IP通信装置、IP通信システム及びデータ通信方法
【課題】相手装置との間で画像データの転送を行うことでファクシミリ通信を実現するIP通信装置において、25番ポートブロックの影響を受けることなくファクシミリ通信を容易に実現可能とする。
【解決手段】IFAX2,3が、相手装置との間でSIPサーバ4を介してSIPメッセージの送受信を行う呼制御部13と、Webサーバ5との間で画像データの送信または受信を実行するファイル送受信部19と、SIPメッセージに所定の情報を付加することにより、相手装置との間で画像データの転送を管理するための情報交換を行う通信管理部20とを備えた構成とし、相手装置との間でSIPに基づく通信を実行しながらWebサーバ5を介して画像データの転送を行う。
【解決手段】IFAX2,3が、相手装置との間でSIPサーバ4を介してSIPメッセージの送受信を行う呼制御部13と、Webサーバ5との間で画像データの送信または受信を実行するファイル送受信部19と、SIPメッセージに所定の情報を付加することにより、相手装置との間で画像データの転送を管理するための情報交換を行う通信管理部20とを備えた構成とし、相手装置との間でSIPに基づく通信を実行しながらWebサーバ5を介して画像データの転送を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP(Internet Protocol)ネットワークを介して通信を行うIP通信装置、IP通信システム及びそのデータ通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネット等のネットワークを介したファクシミリ通信方式として、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)に基づき画像データを電子メールの添付ファイルとして送信する方式(ITU−T T.37方式)が知られている。しかし、近年、大量送信される迷惑メール対策としてプロバイダが実施するいわゆる25番ポートブロック(一般的にメール送信に割り当てられる25番ポートの利用の制限)により、電子メールを利用したファクシミリ通信が制限されるという不都合が生じている。
【0003】
このような不都合を解消可能な技術として、例えば、自装置に接続されるインターネットファクシミリ装置との間でSMTPに従って通信を制御する一方、ネットワーク上のサーバ装置との間でHTTP(HyperText Transfer Protocol)に従って通信を制御し、インターネットファクシミリ装置から受信する電子メールデータをHTML(HyperText Markup Language)データに変換してサーバ装置に送信するようにした通信制御装置が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−49571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のような従来技術によれば、通信相手との経路上で25番ポートが遮断されることがあっても、HTTPで管理されるネットワークにおいて、80番ポートを使用したファクシミリ通信が可能となる。しかしながら、この従来技術は、本来グループウェアネットワークを有する通信環境でのファクシミリ通信を前提としているので、上記通信装置に加えて、グループウェアネットワークやグループウェアサーバが必要となる。従って、そのようなグループウェア環境を備えていない場合には、構築するシステムの規模が大きくなりコストも嵩むという課題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、相手装置との間でシグナリングプロトコル(例えば、SIP)に基づく通信を実行しながら25番ポート以外の、例えば、80番ポートを使用するhttpプロトコルにより、データ蓄積用サーバを介して画像データの転送を行うことで、25番ポートブロックの影響を受けることなくファクシミリ通信を容易に実現可能とするIP通信装置及びそのデータ通信方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のIP通信装置は、データ蓄積用サーバを介して相手装置との間で画像データの転送を行うことでファクシミリ通信を実現するIP通信装置であって、前記相手装置との間で呼接続用サーバを介して呼接続メッセージの送受信を行う呼制御部と、前記データ蓄積用サーバとの間で画像データの送信または受信を実行するデータ送受信部と、前記呼接続メッセージに所定の情報を付加することにより、前記相手装置との間で前記転送を管理するための情報交換を行うデータ転送管理部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このように本発明によれば、IP通信装置が相手装置との間でシグナリングプロトコルに基づく通信を実行しながらデータ蓄積用サーバを介して80番ポートなどの、25番ポート以外のポートを使用し、画像データの転送を行うことで、25番ポートブロックの影響を受けることなくファクシミリ通信を容易に実現可能とするという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、データ蓄積用サーバを介して相手装置との間で画像データの転送を行うことでファクシミリ通信を実現するIP通信装置であって、前記相手装置との間で呼接続用サーバを介して呼接続メッセージの送受信を行う呼制御部と、前記データ蓄積用サーバとの間で画像データの送信または受信を実行するデータ送受信部と、前記呼接続メッセージに所定の情報を付加することにより、前記相手装置との間で前記画像データの転送を管理するための情報交換を行うデータ転送管理部とを備えた構成とする。
【0009】
これによると、相手装置との間でシグナリングプロトコルに基づく通信を実行しながらデータ蓄積用サーバを介して80番ポートなどの、25番ポート以外のポートを使用し、画像データの転送を行うことで、25番ポートブロックの影響を受けることなくファクシミリ通信を容易に実現することが可能となる。
【0010】
上記課題を解決するためになされた第2の発明は、前記データ転送管理部は、前記データ蓄積用サーバに送信した前記画像データの保存場所を示す情報を前記呼接続メッセージに付加する構成とすることができる。
【0011】
これによると、自装置が画像データの送信側である場合、相手装置に画像データの保存場所を容易に通知することが可能となる。また、相手装置は、画像データの保存場所を示す情報に基づきデータ蓄積用サーバにアクセスして画像データを取得することができるので、IP通信装置がNATルータ配下にある場合でもNAT越えの問題を生じることがないという利点もある。
【0012】
上記課題を解決するためになされた第3の発明は、前記データ転送管理部は、前記相手装置に通信を一時的に中断させるための待機指示を前記呼接続メッセージに付加する構成とすることができる。
【0013】
これによると、自装置が画像データの受信側である場合、画像データの受信またはその処理状況に応じて相手装置との通信を一時的に中断できるので、画像データの転送を確実に実行することが可能となる。
【0014】
上記課題を解決するためになされた第4の発明は、前記データ送受信部は前記画像データを1頁単位で送信または受信する構成とすることができる。
【0015】
上記課題を解決するためになされた第5の発明は、前記呼制御部は、前記呼接続メッセージの送受信により確立したセッションを、前記相手装置による全ての画像データの記録が完了した後に終了する構成とすることができる。これによると、全ての画像データの記録を確実に実行することが可能となる。
【0016】
上記課題を解決するためになされた第6の発明は、IP通信装置間で呼接続メッセージの送受信を行って呼接続を制御する呼接続用サーバと、IP通信装置から画像データを受信して蓄積し、蓄積した前記画像データの保存場所を応答としてIP通信装置に返送するとともに、IP通信装置からの要求に応じて前記画像データを送信するデータ蓄積用サーバと、画像データを相手装置に取得させる場合は、画像データを前記データ蓄積用サーバに送信して蓄積し、前記データ蓄積用サーバから受信した前記画像データの保存場所を付加した呼接続メッセージを前記呼接続用サーバを介して相手装置に送信する一方、画像データを相手装置から取得する場合は、前記呼接続用サーバを介して相手装置から受信した呼接続メッセージに含まれる前記データ蓄積用サーバの前記保存場所から前記画像データを取得するIP通信装置とを備えた構成とする。
【0017】
上記課題を解決するためになされた第7の発明は、データ蓄積用サーバを介して画像データの転送を行うことでファクシミリ通信を実現するためのIP通信装置間のデータ通信方法であって、送信側のIP通信装置が画像データをデータ蓄積用サーバに送信して蓄積し、前記データ蓄積用サーバから応答として前記画像データの保存場所を受信し、受信した前記画像データの保存場所を付加した呼接続メッセージを相手装置に送信する一方、受信側のIP通信装置が相手装置から前記保存場所を付加された呼接続メッセージを受信し、受信した呼接続メッセージに含まれる前記データ蓄積用サーバの前記保存場所から前記画像データを取得する構成とする。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本願発明に係るIP通信装置を備えたIP通信システムの構成図である。このIP通信システム1は、IP通信装置としての複数のIFAX(インターネットファクシミリ)2,3、SIPサーバ(呼接続用サーバ)4、及びWebサーバ(データ蓄積用サーバ)5が、インターネット(IP網)6を介してそれぞれ接続された構成を有する。
【0020】
IFAX2,3は、NAT(Network Address Translation)機能を有するNATルータ7,8を介してインターネット6に接続されており、インターネット6を介してファクシミリ通信を実現するための画像データの転送機能(以下、単に「データ転送機能」という。)を有する。受信側のIFAXは受信した画像データを再生して記録紙等に記録することができる。また、IFAX2,3は、SIP(Session Initiation Protocol)のUAC(User Agent Client)として機能し、SIPサーバ4を介して互いにSIPメッセージ(呼接続メッセージ)の送受信を行う。このSIPメッセージの送受信により、IFAX2,3は、それらが実行するファクシミリ通信における画像データの転送を管理するための情報を交換し、その後、各々がHTTPに基づきWebサーバ5とWebメールの手順で、自己のWebメールアカウントから相手のWebメールアカウントに、Webメールを送信することで、画像データの転送を実行する。なお、NATルータ7は本願発明の実施に必須な装置ではなく、省いてもかまわない。
【0021】
SIPサーバ4は、SIPのUAS(User Agent Server)として機能する。SIPサーバ4は、IFAX2,3からのリクエストに応じて、それら装置間の呼接続のためのSIPメッセージの中継を行うプロキシサーバ機能、及びIFAX2,3に関するグローバルアドレス、ポート番号、NAT種別等の情報を管理(ロケーションサーバへの登録、更新、削除処理等を実行)するレジストラ機能等を有する。
【0022】
Webサーバ5は、IFAX2,3それぞれから送信側のWebメールアカウントに、画像データをhttpで送信し、Webメールの手順によって、送信側のWebメールアカウントから、受信側のWebメールアカウントに画像データを送信し、送信された画像データは、相手装置のメールアカウントのフォルダに蓄積され、その蓄積した画像データを、IFAXそれぞれからのRE−INVITEメッセージをトリガーとするhttpの取得要求に基づきインターネット6を通じて配信する機能を有する。
【0023】
図2は、図1に示したIFAXの機能ブロック図である。IFAX2,3は、音声処理部11、音声入出力部12、呼制御部13、ダイヤル操作部14、画像ファイル生成部15、画像読取部16、記録画像生成部17、画像記録部18、ファイル送受信部(データ送受信部)19、通信管理部(データ転送管理部)20、及びネットワークI/F(インタフェース)部21を備える。
【0024】
音声処理部11は、VoIP(voice over internet protocol)に基づき相手装置との間で実行される通話に関する処理を実行する。音声処理部11は、送信データ及び受信データのA/D及びD/A変換機能と、所定の音声符号化方式(例えば、ITU−T勧告G.711、G.729等)に基づく音声コーデック機能とを有しており、送受話器からなる音声入出力部12から入力されるアナログ信号をA/D変換及び符号化して送信データとする一方、符号化された受信データを復号化及びD/A変換して生成したアナログ信号を音声入出力部12に出力する。
呼制御部13は、ユーザによるダイヤル操作部14の操作に応じて、相手装置との間でSIPサーバ4を介してSIPメッセージを交換しながらセッションを確立するためのシグナリング処理を行う。
【0025】
画像ファイル生成部15は、画像読取部16が原稿画像を光学的に読み取り走査した画像データから送信用のファイルを生成する。このファイルは、原稿が複数頁に渡る場合には原稿の1頁単位で複数生成される。記録画像生成部17は、相手装置から受信したファイル(画像データ)から記録用の記録画像データを生成する。画像記録部18は、その記録画像データに基づき記録紙上に画像形成を行う。
【0026】
ファイル送受信部19は、Webブラウザ機能を有しており、HTTPに基づくWebサーバ5との通信により画像データのファイルの送受信を実行する。IFAX2,3が画像データの送信側である場合、ファイル送受信部19は、Webサーバ5に登録されている自己のメールアカウントにHTTPリクエスト(POST)を送信することで、Webメールの手順によって、送信側のWebメールアカウントから、受信側のWebメールアカウントに画像データを送信し、送信された画像データは、相手装置のメールアカウントのフォルダに蓄積され、その蓄積した画像データを、IFAXそれぞれからのRE−INVITEメッセージをトリガーとして、受信側装置で、ファイル送受信部19は、Webサーバ5のメールアカウントに対してHTTPリクエスト(GET)を送信することで、自己のメールアカウントに蓄積された画像データのファイルを取得する。
【0027】
通信管理部20は、SIPメッセージに所定の情報を付加することにより、相手装置との間で前記転送を管理するための情報交換を行うことで画像データのファイルの転送を管理する。より詳細には、通信管理部20は、画像データの転送能力情報(例えば、Webサーバーのアドレス、自装置のWebメールアドレス、データ転送機能の有無、ファイル形式、画像サイズ、カラーまたはモノクロの別)、及びデータ転送の開始及び終了を示す情報をSIPメッセージ上のSDP(Session Description Protocol)記述文書を利用して相手装置と交換する。また、通信管理部20は、自装置における画像データの受信及びその記録処理の状況に応じて相手装置を待機(通信を一時的に中断)させるための待機指示を行う。この待機指示の情報(例えば、待機時間)は、上述と同様にSIPメッセージ上のSDP記述文書を利用して相手装置と交換する。通信管理部20は、逆に相手装置からの待機指示に応じて自装置が待機するための処理も行う。
【0028】
ネットワークI/F部21は、所定の通信プロトコルに従って相手装置との間でSIPメッセージ及び画像データのパケットを送受信すべく、図示しないLAN等を介してインターネット6に接続される。
【0029】
以下、IFAX2,3について、画像データの送信側を送信側IFAXとし、画像データの受信側を受信側IFAXとして、これらのデータ転送機能の詳細について説明する。
【0030】
図3は、IFAXが相手装置に対して画像データを送信する動作を示すフロー図である。
【0031】
まず、送信側IFAXは、起動後にSIPサーバ4に対してREGISTERメッセージを送信し(ST101)、その応答を受信することで(ST102)、SIPサーバ4に対して位置情報等の登録処理を行う。その後、ユーザがダイヤル操作部14により受信側IFAXの宛先番号を入力すると(ST103:YES)、送信側IFAXは、通信管理部20により、自装置のデータ転送(送信)能力情報(例えば、Webサーバーのアドレス、自装置のWebメールアドレス、データ転送機能の有無、ファイル形式、画像サイズ、カラーまたはモノクロの別)をINVITEメッセージに付加し、呼制御部13により、そのINVITEメッセージを受信側IFAXに対して送信する(ST104)。このような通信管理部20によるSIPメッセージに対する各種情報の付加は、SIPメッセージのメッセージボディにSDP記述文書として所定の情報を記載することにより行われる。続いて、送信側IFAXは、そのINVITEメッセージに対する受信側IFAXからの応答を受信する(ST105)。送信側IFAXは、当該応答メッセージのメッセージボディに含まれる情報に基づき、受信側IFAXがデータ転送(受信)能力を把握することができる。
【0032】
次に、送信側IFAXは、通信管理部20により、1頁のデータ送信を開始する旨の情報をre-INVITEメッセージに付加し、呼制御部13により、そのre-INVITEメッセージを受信側IFAXに対して送信する(ST106)。送信側IFAXは、そのre-INVITEメッセージに対する応答を受信すると(ST107:YES)、そのメッセージボディに待機指示の情報が含まれているか否かを判定する(ST108)。このとき、待機指示の情報が含まれている場合には、送信側IFAXは、指定された時間だけ通信を中断し(ST109)、再びST106に戻る。なお、受信側IFAXは、ST107の応答メッセージにデータ転送を承諾するか否かの情報を付加することもできる。
【0033】
次に、送信側IFAXは、画像読取部16により、原稿のページN(ページNは、既に読み取りを終了した頁を除いた原稿の先頭頁とする)の画像を読み取り(ST110)、画像ファイル生成部15により、当該読み取った頁の画像データのファイルを生成する(ST111)。続いて、送信側IFAXは、ファイル送受信部19により、その生成したファイルをST104の能力情報通知で受信側IFAXに通知したWebサーバ5に送信し(ST112)、その応答を受信する(ST113)。
【0034】
なお、Webサーバ5は、送信側IFAXからWebメール(添付ファイル形式)を受信した際に、既に蓄積されているファイル(即ち、受信側IFAXに転送済みのファイル)を消去して新たなファイルを保存することで、メモリ領域の有効利用を図ることができる。
【0035】
また、上述のように画像データのファイルを1頁単位で転送することで、受信側IFAXは従来のG3ファクシミリ装置と同様の要領で1頁単位の画像データを送受信して印刷や保存を実行することが可能となり、ユーザの利便性を向上させることができる。この場合、Webサーバ5が画像データを蓄積するためのメモリの容量、及び受信側IFAXが受信した画像データを印刷等の前に一時的に保存するためのメモリの容量を比較的小さくすることができ、装置の低コスト化を実現できるという利点もある。
【0036】
Webサーバ5上の送信側IFAXのメールアカウントに画像データを添付したファイルの蓄積が完了すると、送信側IFAXは、通信管理部20により、1頁のデータ送信完了の旨をre-INVITEメッセージに付加し、呼制御部13により、そのre-INVITEメッセージを受信側IFAXに対して送信する(ST114)。Webサーバ5上では、送信側IFAXのメールアカウントから受信側IFAXのメールアカウントにWebメールが転送される。送信側IFAXは、そのre-INVITEメッセージに対する応答を受信すると(ST115:YES)、原稿の次頁(即ち、送信していない頁)が存在するか否かを判定する(ST106)。原稿の次頁が存在する場合、再びST106に戻る。
【0037】
一方、全ての頁の送信が完了した場合、送信側IFAXは、通信管理部20により、全データ送信が完了した旨の情報をre-INVITEメッセージに付加し、呼制御部13により、そのre-INVITEメッセージを受信側IFAXに対して送信する(ST117)。送信側IFAXは、そのre-INVITEメッセージに対する応答を受信すると(ST118:YES)、そのメッセージボディに待機指示の情報が含まれているか否かを判定する(ST119)。このとき、待機指示の情報が含まれている場合には、送信側IFAXは、ST109と同様に指定された時間だけ通信を中断し(ST120)、再びST117に戻る。
【0038】
最終的に全ての頁の送信が完了し、受信側IFAXからの待機指示もない場合、送信側IFAXは呼切断を行ってデータ送信動作が終了する。(ST121)。
【0039】
図4は、IFAXが相手装置から画像データを受信する動作を示すフロー図である。
【0040】
まず、受信側IFAXは、図3のST101及びST102と同様に、SIPサーバ4に対して登録処理を行う(ST201、ST202)。その後、受信側IFAXは、送信側IFAXからの着信を受けて(ST203:YES)、送信側IFAXからのINVITEメッセージを受信する(ST204)。このINVITEメッセージにより、受信側IFAXは送信側IFAXのデータ転送能力情報(例えば、Webサーバーのアドレス、自装置のWebメールアドレス、データ転送機能の有無、ファイル形式、画像サイズ、カラーまたはモノクロの別)を取得する。続いて、受信側IFAXは、通信管理部20により、自装置のデータ転送能力情報を200OKメッセージに付加し、呼制御部13により、その200OKメッセージを送信側IFAXに対して送信する(ST205)。
【0041】
続いて、受信側IFAXは、1頁のデータ送信を開始する旨の情報が付加されたre-INVITEメッセージを受信すると(ST206:YES)、通信管理部20により、ファイルを受信する準備が完了しているか否かを判定する(ST207)。このとき、既に受信済みのファイルを記録中である等の理由により受信準備が完了していない場合、通信管理部20が待機時間の情報を含む待機指示を200OKメッセージに付加し、呼制御部13がその200OKメッセージを送信側IFAXに対して送信し(ST208)、再びST206に戻る。この待機時間は画像データの受信またはその処理状況に応じて設定され、これにより、画像データの転送を確実に実行することが可能となる。
【0042】
受信側IFAXは、ファイルの受信準備が完了すると、ST206のre-INVITEメッセージに対する応答として200OKメッセージを送信する(ST209)。次に、受信側IFAXは、送信側IFAXから1頁のデータ送信が完了した旨の情報が付加されたre-INVITEメッセージを受信し(ST210)、その応答として200OKメッセージを送信する(ST211)。
【0043】
次に、受信側IFAXは、ファイル送受信部19により、データ送信能力情報で通知されたところのWebサーバ5上の自己のメールアカウントで、データ送信能力情報で通知されたところの、送信側IFAXのメールアドレスから、未読のWebメールを受信すべくWebサーバ5に対してHTTPリクエスト(GET)を送信し(ST212)、その応答をWebサーバ5から受信する(ST213)。
【0044】
このように、受信側IFAXがWebサーバ5にアクセスしてWebメール形式の画像データのファイルを取得することで、NATルータ7,8配下にある場合でもNAT越えの問題が生じることなく、画像データの転送が可能となる。なお、別法として、受信側IFAXからのリクエストを必要とせずにWebサーバ5側から自動的に画像データのファイルを受信側IFAXに送信させる構成も可能である。その場合、画像データがWebサーバーに送信されると、当該データを、データ送信能力情報で通知されたところの、送信側IFAXのメールアドレスの宛先に対して自動的に送信するための機能をWebサーバ5に付加する必要がある。
【0045】
続いて、受信側IFAXは、記録画像生成部17により、取得したファイルから記録用の記録画像データを生成し、画像記録部18により、その記録画像データに基づき記録紙上に画像形成を開始する(ST214)。
【0046】
受信側IFAXは、送信側IFAXからre-INVITEメッセージを受信すると(ST215:YES)、このre-INVITEメッセージに付加された情報により、次の画像データが存在するか否かを判定する(ST216)。次の画像データが存在する場合、再びST207に戻る。
【0047】
一方、次の画像データが存在しない場合、受信側IFAXは、画像記録部18による画像データの記録が完了しているか否かを判定する(ST217)。画像データの記録が完了していない場合、ST208と同様に、待機指示を付加した200OKメッセージを送信側IFAXに対して送信し(ST218)、再びST215に戻る。全ての画像データの記録が完了すると、受信側IFAXは、ST215のre-INVITEメッセージに対する応答として200OKメッセージを送信し(ST219)、呼切断を行ってデータ送信動作が終了する。(ST220)。
【0048】
図5〜図7は、図1に示したIP通信システムにおける通信処理を示すシーケンス図である。ここでは、2頁(ページ1及びページ2)の原稿の画像データを1頁単位でファイルとして転送する場合を例として示している。図5はページ1の画像データの転送が完了するまでの処理を示し、図6はページ2の画像データの転送が完了するまでの処理を示し、図7は画像データの転送を完了した後に通信を終了する処理を示しており、これらは一連の処理である。図5〜図7の処理において転送される各SIPメッセージの詳細については図8〜図11にそれぞれ示す。なお、図9〜図11のSIPメッセージついては、開始行及びヘッダ部を省略してメッセージボディのみを示してある。
【0049】
図5において、送信側IFAX及び受信側IFAXは、それぞれ起動後にSIPサーバ4に対して位置情報等の登録処理を行うための通信を実行する(ST301)。その後、送信側IFAXが、受信側装置の宛先番号をダイヤルして発呼する。このとき、送信側IFAXは、セッション開始のINVITEメッセージM801を送信し、SIPサーバ4を介して受信側装置との間で一連のSIPメッセージの交換を実行する(ST302)。
【0050】
図8(a)に示すように、INVITEメッセージM801のメッセージボディ31には、メディア種別「audio(音声)」に関連する属性情報32と、メディア種別「image(画像)」に関連する属性情報33が記載されている。受信側装置は、INVITEメッセージのメッセージボディ31における「m=image」の記載を確認することで、送信側装置がデータ転送機能を有することを認識することができる。属性情報31に記載の、o=1167609649 1167609649 IN IP4 192.168.20.20 および c=IN IP4 192.168.20.20は、自装置のIPアドレスを示し、属性情報32に示す音声通話の際に使用される。属性情報33には、画像データの転送能力の情報が含まれている。ここで、「iso_a4 iso_b4」は、原稿サイズがISO A4またはISO B4であることを示し、「tiff」は、画像の符号化形式がTIFF(Tagged Image File Format)であることを示し、「b/w」は、画像がモノクロであることを示す。なお、このような属性情報33については、あくまで本発明のデータ転送機能を実現するための一例として示すものであり、必ずしも標準的な技術仕様(RFC2327等の規定)に従うものではない。また、「a=url www.ifax.com」によりWebサーバーのホスト名がwww.ifax.comであることを通知している。また、「a=mailaddress ifax1@ifax.com」の記載により、Webメールのメールアカウントがifax1@webmail.comであることを通信相手に通知している。
【0051】
なお、このような属性情報31、32、33の表記は、本発明のデータ転送機能を実現するための一例として示すものであり、必ずしも標準的な技術仕様(RFC2327等の規定)に従うものではない。
【0052】
また、図8(b)に示すように、200 OKメッセージM802のメッセージボディ34にはINVITEメッセージM801の属性情報33と同様の属性情報35が記載されており、これにより、送信側IFAXは受信側IFAXがデータ転送機能を有することを認識することができる。ここで、画像データの転送能力の情報として、原稿サイズについては、「iso_a4」が記載されており、この情報を取得した送信側装置は、送信する原稿サイズをISO A4に設定する(後述する図9の属性情報42を参照)。
【0053】
再び図5を参照して、次に、送信側IFAXは、セッション変更のre-INVITEメッセージM901を送信し、SIPサーバを介して受信側IFAXとの間で一連のSIPメッセージの交換を実行する(ST303)。
【0054】
図9に示すように、re-INVITEメッセージM901のメッセージボディ41には属性情報42が記載されている。この属性情報42において、「iso_a4」、「tiff」、及び「b/w」については上述の通りであり、「a=sendstatus start」はページ1の画像データの送信を開始する旨を示す。この場合、受信側IFAXは、ST303における200 OKメッセージに、データ転送を承諾するか否かの情報を付加することができる。
【0055】
次に、送信側IFAXは、原稿のページ1の画像を読み取り(ST304)、読み取った画像データから送信用のファイルを生成する(ST305)。このように、データ転送能力に関する情報交換を行った後に送信用のファイルを生成することで、受信側IFAXの能力に合わせて適切に画像データの転送を行うことが可能となるという利点がある。続いて、送信側IFAXは、ページ1の画像データのファイルをWebサーバ5に送信する(ST306)。
【0056】
次に、送信側IFAXは、受信側IFAXにページ1のデータ送信を完了した旨の情報を通知するための通信を実行する(ST307)。
【0057】
受信側IFAXは、データ送信能力情報で通知されたところの送信側IFAXのメールアドレスからの送信ファイルを受信すべくWebサーバ5にアクセスし、ページ1の画像データのファイルを受信する(ST308)。続いて、受信側IFAXは受信したファイルから記録用の記録画像データを生成し、その記録画像データに基づき記録紙上に画像形成を開始する(ST309)。
【0058】
一方、送信側IFAXは、原稿の次頁が存在することを確認すると(ST310)、図6に示すように、re-INVITEメッセージM1101を送信し、受信側IFAXとの間で一連のSIPメッセージの交換を実行する(ST311)。このre-INVITEメッセージM1101のメッセージボディには、ページ2の画像データのファイルに関するものであるが、re-INVITEメッセージM901と同様の属性情報が含まれているので、M1101のメッセージ内容の詳細については図示していない。
【0059】
受信側IFAXにおける記録処理ST309は、送信側IFAXとの通信とは独立に実行されるので、送信側IFAXからre-INVITEメッセージM1101を受信した際に受信側IFAXの記録処理ST309が完了していない場合が生じ得る。ここでは、受信側IFAXがre-INVITEメッセージM1101を受信した際に記録処理中である場合の例を示す。このとき、受信側IFAXは、記録処理ST309の完了まで相手装置を待機させるべく、re-INVITEメッセージM1101に対する応答の200 OKメッセージM1102に待機指示情報を付加する。
【0060】
図10に示すように、200 OKメッセージM1102のメッセージボディ61には属性情報62が記載されている。この属性情報62には、待機時間を60秒間とした待機指示情報「a=sendstatus wait60」が設定されており、この待機指示を受けた送信側IFAXは60秒間通信を中断する。なお、このような待機指示情報は、受信側IFAXの処理状況に応じて、任意のINVITEメッセージ及びre-INVITEメッセージ(例えば、M801、M1201等)に対する応答に適宜付加することができる。
【0061】
再び図6を参照して、送信側IFAXは、待機時間が経過すると、ST311のre-INVITEメッセージM1101と同一のre-INVITEメッセージM1201(メッセージ内容は図示せず)を再送信し、一連のSIPメッセージの交換を実行する(ST312)。この場合、受信側IFAXからの200 OKメッセージに待機指示がないので、送信側IFAXは、ST304、ST305と同様に、原稿のページ2の画像を読み取って送信用のファイルを生成する(ST313、ST314)。続いて、送信側IFAXは、ページ2の画像データのファイルをWebサーバ5に送信する(ST315)。
【0062】
次に、送信側IFAXは、ST307と同様に、ページ2のデータ送信を完了した旨の情報を通知するための通信を実行する(ST316)。受信側IFAXは、ST308と同様にページ2の画像データのファイルを受信し(ST317)、ST309と同様に記録紙上に画像形成を開始する(ST318)。
【0063】
一方、送信側IFAXは、原稿の次のページが存在しないことを確認すると(ST319)、図7に示すように、re-INVITEメッセージM1201を送信し、受信側IFAXとの間で一連のSIPメッセージの交換を実行する(ST312)。
【0064】
図11に示すように、re-INVITEメッセージM1301のメッセージボディ71には属性情報72が記載されている。この属性情報72には、すべての画像データの送信が完了した旨を示す「a=sendstatus done」が設定されている。このre-INVITEメッセージM1301に対する応答の200 OKメッセージ1302(メッセージ内容は図示せず)には、待機指示が含まれておらず、これを受信した送信側IFAXは、画像データの転送が完了したと判断して呼切断を行う(ST320)。
【0065】
なお、実施例の中では、詳細な説明はしていないが、Webサーバー上のメールアカウントにログインするためのユーザ名とパスワードの設定をWebメールシステムで事前設定しておくとともに、IFAX装置のファイル受信部19に設定しておく必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係るIP通信装置及びデータ通信方法は、相手装置との間でSIPに基づく通信を実行しながらデータ蓄積用サーバを介して画像データの転送を行うことで、25番ポートブロックの影響を受けることなくファクシミリ通信を容易に実現可能とするので、IPネットワークを介して通信を行うIP通信装置及びそのデータ通信方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本願発明に係るIP通信装置を備えたIP通信システムの構成図
【図2】IFAXの機能ブロック図
【図3】IFAXが画像データを送信する動作を示すフロー図
【図4】IFAXが画像データを受信する動作を示すフロー図
【図5】IP通信システムにおける通信処理を示すシーケンス図
【図6】IP通信システムにおける通信処理を示すシーケンス図
【図7】IP通信システムにおける通信処理を示すシーケンス図
【図8】SIPメッセージの詳細を示す図
【図9】SIPメッセージの詳細を示す図
【図10】SIPメッセージの詳細を示す図
【図11】SIPメッセージの詳細を示す図
【符号の説明】
【0068】
1 IP通信システム
2,3 IFAX(IP通信装置)
4 SIPサーバ(呼接続用サーバ)
5 Webサーバ(データ蓄積用サーバ)
6 インターネット
13 呼制御部
19 ファイル送受信部(データ送受信部)
20 通信管理部(データ転送管理部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、IP(Internet Protocol)ネットワークを介して通信を行うIP通信装置、IP通信システム及びそのデータ通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネット等のネットワークを介したファクシミリ通信方式として、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)に基づき画像データを電子メールの添付ファイルとして送信する方式(ITU−T T.37方式)が知られている。しかし、近年、大量送信される迷惑メール対策としてプロバイダが実施するいわゆる25番ポートブロック(一般的にメール送信に割り当てられる25番ポートの利用の制限)により、電子メールを利用したファクシミリ通信が制限されるという不都合が生じている。
【0003】
このような不都合を解消可能な技術として、例えば、自装置に接続されるインターネットファクシミリ装置との間でSMTPに従って通信を制御する一方、ネットワーク上のサーバ装置との間でHTTP(HyperText Transfer Protocol)に従って通信を制御し、インターネットファクシミリ装置から受信する電子メールデータをHTML(HyperText Markup Language)データに変換してサーバ装置に送信するようにした通信制御装置が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−49571号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載のような従来技術によれば、通信相手との経路上で25番ポートが遮断されることがあっても、HTTPで管理されるネットワークにおいて、80番ポートを使用したファクシミリ通信が可能となる。しかしながら、この従来技術は、本来グループウェアネットワークを有する通信環境でのファクシミリ通信を前提としているので、上記通信装置に加えて、グループウェアネットワークやグループウェアサーバが必要となる。従って、そのようなグループウェア環境を備えていない場合には、構築するシステムの規模が大きくなりコストも嵩むという課題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、相手装置との間でシグナリングプロトコル(例えば、SIP)に基づく通信を実行しながら25番ポート以外の、例えば、80番ポートを使用するhttpプロトコルにより、データ蓄積用サーバを介して画像データの転送を行うことで、25番ポートブロックの影響を受けることなくファクシミリ通信を容易に実現可能とするIP通信装置及びそのデータ通信方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のIP通信装置は、データ蓄積用サーバを介して相手装置との間で画像データの転送を行うことでファクシミリ通信を実現するIP通信装置であって、前記相手装置との間で呼接続用サーバを介して呼接続メッセージの送受信を行う呼制御部と、前記データ蓄積用サーバとの間で画像データの送信または受信を実行するデータ送受信部と、前記呼接続メッセージに所定の情報を付加することにより、前記相手装置との間で前記転送を管理するための情報交換を行うデータ転送管理部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
このように本発明によれば、IP通信装置が相手装置との間でシグナリングプロトコルに基づく通信を実行しながらデータ蓄積用サーバを介して80番ポートなどの、25番ポート以外のポートを使用し、画像データの転送を行うことで、25番ポートブロックの影響を受けることなくファクシミリ通信を容易に実現可能とするという優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、データ蓄積用サーバを介して相手装置との間で画像データの転送を行うことでファクシミリ通信を実現するIP通信装置であって、前記相手装置との間で呼接続用サーバを介して呼接続メッセージの送受信を行う呼制御部と、前記データ蓄積用サーバとの間で画像データの送信または受信を実行するデータ送受信部と、前記呼接続メッセージに所定の情報を付加することにより、前記相手装置との間で前記画像データの転送を管理するための情報交換を行うデータ転送管理部とを備えた構成とする。
【0009】
これによると、相手装置との間でシグナリングプロトコルに基づく通信を実行しながらデータ蓄積用サーバを介して80番ポートなどの、25番ポート以外のポートを使用し、画像データの転送を行うことで、25番ポートブロックの影響を受けることなくファクシミリ通信を容易に実現することが可能となる。
【0010】
上記課題を解決するためになされた第2の発明は、前記データ転送管理部は、前記データ蓄積用サーバに送信した前記画像データの保存場所を示す情報を前記呼接続メッセージに付加する構成とすることができる。
【0011】
これによると、自装置が画像データの送信側である場合、相手装置に画像データの保存場所を容易に通知することが可能となる。また、相手装置は、画像データの保存場所を示す情報に基づきデータ蓄積用サーバにアクセスして画像データを取得することができるので、IP通信装置がNATルータ配下にある場合でもNAT越えの問題を生じることがないという利点もある。
【0012】
上記課題を解決するためになされた第3の発明は、前記データ転送管理部は、前記相手装置に通信を一時的に中断させるための待機指示を前記呼接続メッセージに付加する構成とすることができる。
【0013】
これによると、自装置が画像データの受信側である場合、画像データの受信またはその処理状況に応じて相手装置との通信を一時的に中断できるので、画像データの転送を確実に実行することが可能となる。
【0014】
上記課題を解決するためになされた第4の発明は、前記データ送受信部は前記画像データを1頁単位で送信または受信する構成とすることができる。
【0015】
上記課題を解決するためになされた第5の発明は、前記呼制御部は、前記呼接続メッセージの送受信により確立したセッションを、前記相手装置による全ての画像データの記録が完了した後に終了する構成とすることができる。これによると、全ての画像データの記録を確実に実行することが可能となる。
【0016】
上記課題を解決するためになされた第6の発明は、IP通信装置間で呼接続メッセージの送受信を行って呼接続を制御する呼接続用サーバと、IP通信装置から画像データを受信して蓄積し、蓄積した前記画像データの保存場所を応答としてIP通信装置に返送するとともに、IP通信装置からの要求に応じて前記画像データを送信するデータ蓄積用サーバと、画像データを相手装置に取得させる場合は、画像データを前記データ蓄積用サーバに送信して蓄積し、前記データ蓄積用サーバから受信した前記画像データの保存場所を付加した呼接続メッセージを前記呼接続用サーバを介して相手装置に送信する一方、画像データを相手装置から取得する場合は、前記呼接続用サーバを介して相手装置から受信した呼接続メッセージに含まれる前記データ蓄積用サーバの前記保存場所から前記画像データを取得するIP通信装置とを備えた構成とする。
【0017】
上記課題を解決するためになされた第7の発明は、データ蓄積用サーバを介して画像データの転送を行うことでファクシミリ通信を実現するためのIP通信装置間のデータ通信方法であって、送信側のIP通信装置が画像データをデータ蓄積用サーバに送信して蓄積し、前記データ蓄積用サーバから応答として前記画像データの保存場所を受信し、受信した前記画像データの保存場所を付加した呼接続メッセージを相手装置に送信する一方、受信側のIP通信装置が相手装置から前記保存場所を付加された呼接続メッセージを受信し、受信した呼接続メッセージに含まれる前記データ蓄積用サーバの前記保存場所から前記画像データを取得する構成とする。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1は、本願発明に係るIP通信装置を備えたIP通信システムの構成図である。このIP通信システム1は、IP通信装置としての複数のIFAX(インターネットファクシミリ)2,3、SIPサーバ(呼接続用サーバ)4、及びWebサーバ(データ蓄積用サーバ)5が、インターネット(IP網)6を介してそれぞれ接続された構成を有する。
【0020】
IFAX2,3は、NAT(Network Address Translation)機能を有するNATルータ7,8を介してインターネット6に接続されており、インターネット6を介してファクシミリ通信を実現するための画像データの転送機能(以下、単に「データ転送機能」という。)を有する。受信側のIFAXは受信した画像データを再生して記録紙等に記録することができる。また、IFAX2,3は、SIP(Session Initiation Protocol)のUAC(User Agent Client)として機能し、SIPサーバ4を介して互いにSIPメッセージ(呼接続メッセージ)の送受信を行う。このSIPメッセージの送受信により、IFAX2,3は、それらが実行するファクシミリ通信における画像データの転送を管理するための情報を交換し、その後、各々がHTTPに基づきWebサーバ5とWebメールの手順で、自己のWebメールアカウントから相手のWebメールアカウントに、Webメールを送信することで、画像データの転送を実行する。なお、NATルータ7は本願発明の実施に必須な装置ではなく、省いてもかまわない。
【0021】
SIPサーバ4は、SIPのUAS(User Agent Server)として機能する。SIPサーバ4は、IFAX2,3からのリクエストに応じて、それら装置間の呼接続のためのSIPメッセージの中継を行うプロキシサーバ機能、及びIFAX2,3に関するグローバルアドレス、ポート番号、NAT種別等の情報を管理(ロケーションサーバへの登録、更新、削除処理等を実行)するレジストラ機能等を有する。
【0022】
Webサーバ5は、IFAX2,3それぞれから送信側のWebメールアカウントに、画像データをhttpで送信し、Webメールの手順によって、送信側のWebメールアカウントから、受信側のWebメールアカウントに画像データを送信し、送信された画像データは、相手装置のメールアカウントのフォルダに蓄積され、その蓄積した画像データを、IFAXそれぞれからのRE−INVITEメッセージをトリガーとするhttpの取得要求に基づきインターネット6を通じて配信する機能を有する。
【0023】
図2は、図1に示したIFAXの機能ブロック図である。IFAX2,3は、音声処理部11、音声入出力部12、呼制御部13、ダイヤル操作部14、画像ファイル生成部15、画像読取部16、記録画像生成部17、画像記録部18、ファイル送受信部(データ送受信部)19、通信管理部(データ転送管理部)20、及びネットワークI/F(インタフェース)部21を備える。
【0024】
音声処理部11は、VoIP(voice over internet protocol)に基づき相手装置との間で実行される通話に関する処理を実行する。音声処理部11は、送信データ及び受信データのA/D及びD/A変換機能と、所定の音声符号化方式(例えば、ITU−T勧告G.711、G.729等)に基づく音声コーデック機能とを有しており、送受話器からなる音声入出力部12から入力されるアナログ信号をA/D変換及び符号化して送信データとする一方、符号化された受信データを復号化及びD/A変換して生成したアナログ信号を音声入出力部12に出力する。
呼制御部13は、ユーザによるダイヤル操作部14の操作に応じて、相手装置との間でSIPサーバ4を介してSIPメッセージを交換しながらセッションを確立するためのシグナリング処理を行う。
【0025】
画像ファイル生成部15は、画像読取部16が原稿画像を光学的に読み取り走査した画像データから送信用のファイルを生成する。このファイルは、原稿が複数頁に渡る場合には原稿の1頁単位で複数生成される。記録画像生成部17は、相手装置から受信したファイル(画像データ)から記録用の記録画像データを生成する。画像記録部18は、その記録画像データに基づき記録紙上に画像形成を行う。
【0026】
ファイル送受信部19は、Webブラウザ機能を有しており、HTTPに基づくWebサーバ5との通信により画像データのファイルの送受信を実行する。IFAX2,3が画像データの送信側である場合、ファイル送受信部19は、Webサーバ5に登録されている自己のメールアカウントにHTTPリクエスト(POST)を送信することで、Webメールの手順によって、送信側のWebメールアカウントから、受信側のWebメールアカウントに画像データを送信し、送信された画像データは、相手装置のメールアカウントのフォルダに蓄積され、その蓄積した画像データを、IFAXそれぞれからのRE−INVITEメッセージをトリガーとして、受信側装置で、ファイル送受信部19は、Webサーバ5のメールアカウントに対してHTTPリクエスト(GET)を送信することで、自己のメールアカウントに蓄積された画像データのファイルを取得する。
【0027】
通信管理部20は、SIPメッセージに所定の情報を付加することにより、相手装置との間で前記転送を管理するための情報交換を行うことで画像データのファイルの転送を管理する。より詳細には、通信管理部20は、画像データの転送能力情報(例えば、Webサーバーのアドレス、自装置のWebメールアドレス、データ転送機能の有無、ファイル形式、画像サイズ、カラーまたはモノクロの別)、及びデータ転送の開始及び終了を示す情報をSIPメッセージ上のSDP(Session Description Protocol)記述文書を利用して相手装置と交換する。また、通信管理部20は、自装置における画像データの受信及びその記録処理の状況に応じて相手装置を待機(通信を一時的に中断)させるための待機指示を行う。この待機指示の情報(例えば、待機時間)は、上述と同様にSIPメッセージ上のSDP記述文書を利用して相手装置と交換する。通信管理部20は、逆に相手装置からの待機指示に応じて自装置が待機するための処理も行う。
【0028】
ネットワークI/F部21は、所定の通信プロトコルに従って相手装置との間でSIPメッセージ及び画像データのパケットを送受信すべく、図示しないLAN等を介してインターネット6に接続される。
【0029】
以下、IFAX2,3について、画像データの送信側を送信側IFAXとし、画像データの受信側を受信側IFAXとして、これらのデータ転送機能の詳細について説明する。
【0030】
図3は、IFAXが相手装置に対して画像データを送信する動作を示すフロー図である。
【0031】
まず、送信側IFAXは、起動後にSIPサーバ4に対してREGISTERメッセージを送信し(ST101)、その応答を受信することで(ST102)、SIPサーバ4に対して位置情報等の登録処理を行う。その後、ユーザがダイヤル操作部14により受信側IFAXの宛先番号を入力すると(ST103:YES)、送信側IFAXは、通信管理部20により、自装置のデータ転送(送信)能力情報(例えば、Webサーバーのアドレス、自装置のWebメールアドレス、データ転送機能の有無、ファイル形式、画像サイズ、カラーまたはモノクロの別)をINVITEメッセージに付加し、呼制御部13により、そのINVITEメッセージを受信側IFAXに対して送信する(ST104)。このような通信管理部20によるSIPメッセージに対する各種情報の付加は、SIPメッセージのメッセージボディにSDP記述文書として所定の情報を記載することにより行われる。続いて、送信側IFAXは、そのINVITEメッセージに対する受信側IFAXからの応答を受信する(ST105)。送信側IFAXは、当該応答メッセージのメッセージボディに含まれる情報に基づき、受信側IFAXがデータ転送(受信)能力を把握することができる。
【0032】
次に、送信側IFAXは、通信管理部20により、1頁のデータ送信を開始する旨の情報をre-INVITEメッセージに付加し、呼制御部13により、そのre-INVITEメッセージを受信側IFAXに対して送信する(ST106)。送信側IFAXは、そのre-INVITEメッセージに対する応答を受信すると(ST107:YES)、そのメッセージボディに待機指示の情報が含まれているか否かを判定する(ST108)。このとき、待機指示の情報が含まれている場合には、送信側IFAXは、指定された時間だけ通信を中断し(ST109)、再びST106に戻る。なお、受信側IFAXは、ST107の応答メッセージにデータ転送を承諾するか否かの情報を付加することもできる。
【0033】
次に、送信側IFAXは、画像読取部16により、原稿のページN(ページNは、既に読み取りを終了した頁を除いた原稿の先頭頁とする)の画像を読み取り(ST110)、画像ファイル生成部15により、当該読み取った頁の画像データのファイルを生成する(ST111)。続いて、送信側IFAXは、ファイル送受信部19により、その生成したファイルをST104の能力情報通知で受信側IFAXに通知したWebサーバ5に送信し(ST112)、その応答を受信する(ST113)。
【0034】
なお、Webサーバ5は、送信側IFAXからWebメール(添付ファイル形式)を受信した際に、既に蓄積されているファイル(即ち、受信側IFAXに転送済みのファイル)を消去して新たなファイルを保存することで、メモリ領域の有効利用を図ることができる。
【0035】
また、上述のように画像データのファイルを1頁単位で転送することで、受信側IFAXは従来のG3ファクシミリ装置と同様の要領で1頁単位の画像データを送受信して印刷や保存を実行することが可能となり、ユーザの利便性を向上させることができる。この場合、Webサーバ5が画像データを蓄積するためのメモリの容量、及び受信側IFAXが受信した画像データを印刷等の前に一時的に保存するためのメモリの容量を比較的小さくすることができ、装置の低コスト化を実現できるという利点もある。
【0036】
Webサーバ5上の送信側IFAXのメールアカウントに画像データを添付したファイルの蓄積が完了すると、送信側IFAXは、通信管理部20により、1頁のデータ送信完了の旨をre-INVITEメッセージに付加し、呼制御部13により、そのre-INVITEメッセージを受信側IFAXに対して送信する(ST114)。Webサーバ5上では、送信側IFAXのメールアカウントから受信側IFAXのメールアカウントにWebメールが転送される。送信側IFAXは、そのre-INVITEメッセージに対する応答を受信すると(ST115:YES)、原稿の次頁(即ち、送信していない頁)が存在するか否かを判定する(ST106)。原稿の次頁が存在する場合、再びST106に戻る。
【0037】
一方、全ての頁の送信が完了した場合、送信側IFAXは、通信管理部20により、全データ送信が完了した旨の情報をre-INVITEメッセージに付加し、呼制御部13により、そのre-INVITEメッセージを受信側IFAXに対して送信する(ST117)。送信側IFAXは、そのre-INVITEメッセージに対する応答を受信すると(ST118:YES)、そのメッセージボディに待機指示の情報が含まれているか否かを判定する(ST119)。このとき、待機指示の情報が含まれている場合には、送信側IFAXは、ST109と同様に指定された時間だけ通信を中断し(ST120)、再びST117に戻る。
【0038】
最終的に全ての頁の送信が完了し、受信側IFAXからの待機指示もない場合、送信側IFAXは呼切断を行ってデータ送信動作が終了する。(ST121)。
【0039】
図4は、IFAXが相手装置から画像データを受信する動作を示すフロー図である。
【0040】
まず、受信側IFAXは、図3のST101及びST102と同様に、SIPサーバ4に対して登録処理を行う(ST201、ST202)。その後、受信側IFAXは、送信側IFAXからの着信を受けて(ST203:YES)、送信側IFAXからのINVITEメッセージを受信する(ST204)。このINVITEメッセージにより、受信側IFAXは送信側IFAXのデータ転送能力情報(例えば、Webサーバーのアドレス、自装置のWebメールアドレス、データ転送機能の有無、ファイル形式、画像サイズ、カラーまたはモノクロの別)を取得する。続いて、受信側IFAXは、通信管理部20により、自装置のデータ転送能力情報を200OKメッセージに付加し、呼制御部13により、その200OKメッセージを送信側IFAXに対して送信する(ST205)。
【0041】
続いて、受信側IFAXは、1頁のデータ送信を開始する旨の情報が付加されたre-INVITEメッセージを受信すると(ST206:YES)、通信管理部20により、ファイルを受信する準備が完了しているか否かを判定する(ST207)。このとき、既に受信済みのファイルを記録中である等の理由により受信準備が完了していない場合、通信管理部20が待機時間の情報を含む待機指示を200OKメッセージに付加し、呼制御部13がその200OKメッセージを送信側IFAXに対して送信し(ST208)、再びST206に戻る。この待機時間は画像データの受信またはその処理状況に応じて設定され、これにより、画像データの転送を確実に実行することが可能となる。
【0042】
受信側IFAXは、ファイルの受信準備が完了すると、ST206のre-INVITEメッセージに対する応答として200OKメッセージを送信する(ST209)。次に、受信側IFAXは、送信側IFAXから1頁のデータ送信が完了した旨の情報が付加されたre-INVITEメッセージを受信し(ST210)、その応答として200OKメッセージを送信する(ST211)。
【0043】
次に、受信側IFAXは、ファイル送受信部19により、データ送信能力情報で通知されたところのWebサーバ5上の自己のメールアカウントで、データ送信能力情報で通知されたところの、送信側IFAXのメールアドレスから、未読のWebメールを受信すべくWebサーバ5に対してHTTPリクエスト(GET)を送信し(ST212)、その応答をWebサーバ5から受信する(ST213)。
【0044】
このように、受信側IFAXがWebサーバ5にアクセスしてWebメール形式の画像データのファイルを取得することで、NATルータ7,8配下にある場合でもNAT越えの問題が生じることなく、画像データの転送が可能となる。なお、別法として、受信側IFAXからのリクエストを必要とせずにWebサーバ5側から自動的に画像データのファイルを受信側IFAXに送信させる構成も可能である。その場合、画像データがWebサーバーに送信されると、当該データを、データ送信能力情報で通知されたところの、送信側IFAXのメールアドレスの宛先に対して自動的に送信するための機能をWebサーバ5に付加する必要がある。
【0045】
続いて、受信側IFAXは、記録画像生成部17により、取得したファイルから記録用の記録画像データを生成し、画像記録部18により、その記録画像データに基づき記録紙上に画像形成を開始する(ST214)。
【0046】
受信側IFAXは、送信側IFAXからre-INVITEメッセージを受信すると(ST215:YES)、このre-INVITEメッセージに付加された情報により、次の画像データが存在するか否かを判定する(ST216)。次の画像データが存在する場合、再びST207に戻る。
【0047】
一方、次の画像データが存在しない場合、受信側IFAXは、画像記録部18による画像データの記録が完了しているか否かを判定する(ST217)。画像データの記録が完了していない場合、ST208と同様に、待機指示を付加した200OKメッセージを送信側IFAXに対して送信し(ST218)、再びST215に戻る。全ての画像データの記録が完了すると、受信側IFAXは、ST215のre-INVITEメッセージに対する応答として200OKメッセージを送信し(ST219)、呼切断を行ってデータ送信動作が終了する。(ST220)。
【0048】
図5〜図7は、図1に示したIP通信システムにおける通信処理を示すシーケンス図である。ここでは、2頁(ページ1及びページ2)の原稿の画像データを1頁単位でファイルとして転送する場合を例として示している。図5はページ1の画像データの転送が完了するまでの処理を示し、図6はページ2の画像データの転送が完了するまでの処理を示し、図7は画像データの転送を完了した後に通信を終了する処理を示しており、これらは一連の処理である。図5〜図7の処理において転送される各SIPメッセージの詳細については図8〜図11にそれぞれ示す。なお、図9〜図11のSIPメッセージついては、開始行及びヘッダ部を省略してメッセージボディのみを示してある。
【0049】
図5において、送信側IFAX及び受信側IFAXは、それぞれ起動後にSIPサーバ4に対して位置情報等の登録処理を行うための通信を実行する(ST301)。その後、送信側IFAXが、受信側装置の宛先番号をダイヤルして発呼する。このとき、送信側IFAXは、セッション開始のINVITEメッセージM801を送信し、SIPサーバ4を介して受信側装置との間で一連のSIPメッセージの交換を実行する(ST302)。
【0050】
図8(a)に示すように、INVITEメッセージM801のメッセージボディ31には、メディア種別「audio(音声)」に関連する属性情報32と、メディア種別「image(画像)」に関連する属性情報33が記載されている。受信側装置は、INVITEメッセージのメッセージボディ31における「m=image」の記載を確認することで、送信側装置がデータ転送機能を有することを認識することができる。属性情報31に記載の、o=1167609649 1167609649 IN IP4 192.168.20.20 および c=IN IP4 192.168.20.20は、自装置のIPアドレスを示し、属性情報32に示す音声通話の際に使用される。属性情報33には、画像データの転送能力の情報が含まれている。ここで、「iso_a4 iso_b4」は、原稿サイズがISO A4またはISO B4であることを示し、「tiff」は、画像の符号化形式がTIFF(Tagged Image File Format)であることを示し、「b/w」は、画像がモノクロであることを示す。なお、このような属性情報33については、あくまで本発明のデータ転送機能を実現するための一例として示すものであり、必ずしも標準的な技術仕様(RFC2327等の規定)に従うものではない。また、「a=url www.ifax.com」によりWebサーバーのホスト名がwww.ifax.comであることを通知している。また、「a=mailaddress ifax1@ifax.com」の記載により、Webメールのメールアカウントがifax1@webmail.comであることを通信相手に通知している。
【0051】
なお、このような属性情報31、32、33の表記は、本発明のデータ転送機能を実現するための一例として示すものであり、必ずしも標準的な技術仕様(RFC2327等の規定)に従うものではない。
【0052】
また、図8(b)に示すように、200 OKメッセージM802のメッセージボディ34にはINVITEメッセージM801の属性情報33と同様の属性情報35が記載されており、これにより、送信側IFAXは受信側IFAXがデータ転送機能を有することを認識することができる。ここで、画像データの転送能力の情報として、原稿サイズについては、「iso_a4」が記載されており、この情報を取得した送信側装置は、送信する原稿サイズをISO A4に設定する(後述する図9の属性情報42を参照)。
【0053】
再び図5を参照して、次に、送信側IFAXは、セッション変更のre-INVITEメッセージM901を送信し、SIPサーバを介して受信側IFAXとの間で一連のSIPメッセージの交換を実行する(ST303)。
【0054】
図9に示すように、re-INVITEメッセージM901のメッセージボディ41には属性情報42が記載されている。この属性情報42において、「iso_a4」、「tiff」、及び「b/w」については上述の通りであり、「a=sendstatus start」はページ1の画像データの送信を開始する旨を示す。この場合、受信側IFAXは、ST303における200 OKメッセージに、データ転送を承諾するか否かの情報を付加することができる。
【0055】
次に、送信側IFAXは、原稿のページ1の画像を読み取り(ST304)、読み取った画像データから送信用のファイルを生成する(ST305)。このように、データ転送能力に関する情報交換を行った後に送信用のファイルを生成することで、受信側IFAXの能力に合わせて適切に画像データの転送を行うことが可能となるという利点がある。続いて、送信側IFAXは、ページ1の画像データのファイルをWebサーバ5に送信する(ST306)。
【0056】
次に、送信側IFAXは、受信側IFAXにページ1のデータ送信を完了した旨の情報を通知するための通信を実行する(ST307)。
【0057】
受信側IFAXは、データ送信能力情報で通知されたところの送信側IFAXのメールアドレスからの送信ファイルを受信すべくWebサーバ5にアクセスし、ページ1の画像データのファイルを受信する(ST308)。続いて、受信側IFAXは受信したファイルから記録用の記録画像データを生成し、その記録画像データに基づき記録紙上に画像形成を開始する(ST309)。
【0058】
一方、送信側IFAXは、原稿の次頁が存在することを確認すると(ST310)、図6に示すように、re-INVITEメッセージM1101を送信し、受信側IFAXとの間で一連のSIPメッセージの交換を実行する(ST311)。このre-INVITEメッセージM1101のメッセージボディには、ページ2の画像データのファイルに関するものであるが、re-INVITEメッセージM901と同様の属性情報が含まれているので、M1101のメッセージ内容の詳細については図示していない。
【0059】
受信側IFAXにおける記録処理ST309は、送信側IFAXとの通信とは独立に実行されるので、送信側IFAXからre-INVITEメッセージM1101を受信した際に受信側IFAXの記録処理ST309が完了していない場合が生じ得る。ここでは、受信側IFAXがre-INVITEメッセージM1101を受信した際に記録処理中である場合の例を示す。このとき、受信側IFAXは、記録処理ST309の完了まで相手装置を待機させるべく、re-INVITEメッセージM1101に対する応答の200 OKメッセージM1102に待機指示情報を付加する。
【0060】
図10に示すように、200 OKメッセージM1102のメッセージボディ61には属性情報62が記載されている。この属性情報62には、待機時間を60秒間とした待機指示情報「a=sendstatus wait60」が設定されており、この待機指示を受けた送信側IFAXは60秒間通信を中断する。なお、このような待機指示情報は、受信側IFAXの処理状況に応じて、任意のINVITEメッセージ及びre-INVITEメッセージ(例えば、M801、M1201等)に対する応答に適宜付加することができる。
【0061】
再び図6を参照して、送信側IFAXは、待機時間が経過すると、ST311のre-INVITEメッセージM1101と同一のre-INVITEメッセージM1201(メッセージ内容は図示せず)を再送信し、一連のSIPメッセージの交換を実行する(ST312)。この場合、受信側IFAXからの200 OKメッセージに待機指示がないので、送信側IFAXは、ST304、ST305と同様に、原稿のページ2の画像を読み取って送信用のファイルを生成する(ST313、ST314)。続いて、送信側IFAXは、ページ2の画像データのファイルをWebサーバ5に送信する(ST315)。
【0062】
次に、送信側IFAXは、ST307と同様に、ページ2のデータ送信を完了した旨の情報を通知するための通信を実行する(ST316)。受信側IFAXは、ST308と同様にページ2の画像データのファイルを受信し(ST317)、ST309と同様に記録紙上に画像形成を開始する(ST318)。
【0063】
一方、送信側IFAXは、原稿の次のページが存在しないことを確認すると(ST319)、図7に示すように、re-INVITEメッセージM1201を送信し、受信側IFAXとの間で一連のSIPメッセージの交換を実行する(ST312)。
【0064】
図11に示すように、re-INVITEメッセージM1301のメッセージボディ71には属性情報72が記載されている。この属性情報72には、すべての画像データの送信が完了した旨を示す「a=sendstatus done」が設定されている。このre-INVITEメッセージM1301に対する応答の200 OKメッセージ1302(メッセージ内容は図示せず)には、待機指示が含まれておらず、これを受信した送信側IFAXは、画像データの転送が完了したと判断して呼切断を行う(ST320)。
【0065】
なお、実施例の中では、詳細な説明はしていないが、Webサーバー上のメールアカウントにログインするためのユーザ名とパスワードの設定をWebメールシステムで事前設定しておくとともに、IFAX装置のファイル受信部19に設定しておく必要がある。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係るIP通信装置及びデータ通信方法は、相手装置との間でSIPに基づく通信を実行しながらデータ蓄積用サーバを介して画像データの転送を行うことで、25番ポートブロックの影響を受けることなくファクシミリ通信を容易に実現可能とするので、IPネットワークを介して通信を行うIP通信装置及びそのデータ通信方法として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本願発明に係るIP通信装置を備えたIP通信システムの構成図
【図2】IFAXの機能ブロック図
【図3】IFAXが画像データを送信する動作を示すフロー図
【図4】IFAXが画像データを受信する動作を示すフロー図
【図5】IP通信システムにおける通信処理を示すシーケンス図
【図6】IP通信システムにおける通信処理を示すシーケンス図
【図7】IP通信システムにおける通信処理を示すシーケンス図
【図8】SIPメッセージの詳細を示す図
【図9】SIPメッセージの詳細を示す図
【図10】SIPメッセージの詳細を示す図
【図11】SIPメッセージの詳細を示す図
【符号の説明】
【0068】
1 IP通信システム
2,3 IFAX(IP通信装置)
4 SIPサーバ(呼接続用サーバ)
5 Webサーバ(データ蓄積用サーバ)
6 インターネット
13 呼制御部
19 ファイル送受信部(データ送受信部)
20 通信管理部(データ転送管理部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ蓄積用サーバを介して相手装置との間で画像データの転送を行うことでファクシミリ通信を実現するIP通信装置であって、
前記相手装置との間で呼接続用サーバを介して呼接続メッセージの送受信を行う呼制御部と、
前記データ蓄積用サーバとの間で画像データの送信または受信を実行するデータ送受信部と、
前記呼接続メッセージに所定の情報を付加することにより、前記相手装置との間で前記画像データの転送を管理するための情報交換を行うデータ転送管理部と
を備えたことを特徴とするIP通信装置。
【請求項2】
前記データ転送管理部は、前記データ蓄積用サーバに送信した前記画像データの保存場所を示す情報を前記呼接続メッセージに付加することを特徴とする請求項1に記載のIP通信装置。
【請求項3】
前記データ転送管理部は、前記相手装置に通信を一時的に中断させるための待機指示を前記呼接続メッセージに付加することを特徴とする請求項1に記載のIP通信装置。
【請求項4】
前記データ送受信部は前記画像データを1頁単位で送信または受信することを特徴とする請求項1に記載のIP通信装置。
【請求項5】
前記呼制御部は、前記呼接続メッセージの送受信により確立したセッションを、前記相手装置による全ての画像データの記録が完了した後に終了することを特徴とする請求項1に記載のIP通信装置。
【請求項6】
IP通信装置間で呼接続メッセージの送受信を行って呼接続を制御する呼接続用サーバと、
IP通信装置から画像データを受信して蓄積し、蓄積した前記画像データの保存場所を応答としてIP通信装置に返送するとともに、IP通信装置からの要求に応じて前記画像データを送信するデータ蓄積用サーバと、
画像データを相手装置に取得させる場合は、画像データを前記データ蓄積用サーバに送信して蓄積し、前記データ蓄積用サーバから受信した前記画像データの保存場所を付加した呼接続メッセージを前記呼接続用サーバを介して相手装置に送信する一方、画像データを相手装置から取得する場合は、前記呼接続用サーバを介して相手装置から受信した呼接続メッセージに含まれる前記データ蓄積用サーバの前記保存場所から前記画像データを取得するIP通信装置と
を備えるIP通信システム。
【請求項7】
データ蓄積用サーバを介して画像データの転送を行うことでファクシミリ通信を実現するためのIP通信装置間のデータ通信方法であって、
送信側のIP通信装置が画像データをデータ蓄積用サーバに送信して蓄積し、前記データ蓄積用サーバから応答として前記画像データの保存場所を受信し、受信した前記画像データの保存場所を付加した呼接続メッセージを相手装置に送信する一方、受信側のIP通信装置が相手装置から前記保存場所を付加された呼接続メッセージを受信し、受信した呼接続メッセージに含まれる前記データ蓄積用サーバの前記保存場所から前記画像データを取得することを特徴とするデータ通信方法。
【請求項1】
データ蓄積用サーバを介して相手装置との間で画像データの転送を行うことでファクシミリ通信を実現するIP通信装置であって、
前記相手装置との間で呼接続用サーバを介して呼接続メッセージの送受信を行う呼制御部と、
前記データ蓄積用サーバとの間で画像データの送信または受信を実行するデータ送受信部と、
前記呼接続メッセージに所定の情報を付加することにより、前記相手装置との間で前記画像データの転送を管理するための情報交換を行うデータ転送管理部と
を備えたことを特徴とするIP通信装置。
【請求項2】
前記データ転送管理部は、前記データ蓄積用サーバに送信した前記画像データの保存場所を示す情報を前記呼接続メッセージに付加することを特徴とする請求項1に記載のIP通信装置。
【請求項3】
前記データ転送管理部は、前記相手装置に通信を一時的に中断させるための待機指示を前記呼接続メッセージに付加することを特徴とする請求項1に記載のIP通信装置。
【請求項4】
前記データ送受信部は前記画像データを1頁単位で送信または受信することを特徴とする請求項1に記載のIP通信装置。
【請求項5】
前記呼制御部は、前記呼接続メッセージの送受信により確立したセッションを、前記相手装置による全ての画像データの記録が完了した後に終了することを特徴とする請求項1に記載のIP通信装置。
【請求項6】
IP通信装置間で呼接続メッセージの送受信を行って呼接続を制御する呼接続用サーバと、
IP通信装置から画像データを受信して蓄積し、蓄積した前記画像データの保存場所を応答としてIP通信装置に返送するとともに、IP通信装置からの要求に応じて前記画像データを送信するデータ蓄積用サーバと、
画像データを相手装置に取得させる場合は、画像データを前記データ蓄積用サーバに送信して蓄積し、前記データ蓄積用サーバから受信した前記画像データの保存場所を付加した呼接続メッセージを前記呼接続用サーバを介して相手装置に送信する一方、画像データを相手装置から取得する場合は、前記呼接続用サーバを介して相手装置から受信した呼接続メッセージに含まれる前記データ蓄積用サーバの前記保存場所から前記画像データを取得するIP通信装置と
を備えるIP通信システム。
【請求項7】
データ蓄積用サーバを介して画像データの転送を行うことでファクシミリ通信を実現するためのIP通信装置間のデータ通信方法であって、
送信側のIP通信装置が画像データをデータ蓄積用サーバに送信して蓄積し、前記データ蓄積用サーバから応答として前記画像データの保存場所を受信し、受信した前記画像データの保存場所を付加した呼接続メッセージを相手装置に送信する一方、受信側のIP通信装置が相手装置から前記保存場所を付加された呼接続メッセージを受信し、受信した呼接続メッセージに含まれる前記データ蓄積用サーバの前記保存場所から前記画像データを取得することを特徴とするデータ通信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−301424(P2008−301424A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148360(P2007−148360)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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