説明

IP電話アプリケーションの共通管理システム

【課題】 共通管理アプリケーションにより複数のIP電話アプリケーション間の機能の相違を吸収して、IP電話の使い勝手を向上させるようにする。
【解決手段】 PC2上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化するIP電話アプリケーションの共通管理システムでは、PC2でIP電話アプリケーション3−1,3−2,3−3を同時起動して使用する際に共通管理アプリケーション4をOS4に常駐させておき、該共通管理アプリケーション5は、変換テーブル8を用いて、IP電話アプリケーション3−1,3−2,3−3の各々の音量制御に関する設定情報に基づいて、各IP電話アプリケーションの送話音量設定値および受話音量設定値をOS4における音量制御のボリューム4aの送話音量設定値および受話音量設定値にそれぞれ変換する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの音量制御等の各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
IP電話システムの従来例としては、パーソナルコンピュータ(以下PCという)と、PC上で動作するIP電話アプリケーションと、PCのUSB端子に接続するUSBハンドセットとを組み合わせたもの(例えば特許文献1参照)がある。この従来例のIP電話システムは、電話会議装置として構成されており、ハンズフリー機能を有するIP電話通話機器と、ハンズフリー機能を有していないUSBハンドセット等のIP電話通話機器とを切り換える(すなわち、通話パスを切り換える)ように構成されている。
【0003】
すなわち、上記従来例のIP電話システムは、図9に示すように、ネットワーク51に接続されるPC52と、呼制御や音量制御等の各種機能を有しPC51上で動作するIP電話アプリケーション53と、PC52を動作させる基本ソフトウエアであるオペレーションシステム(以下、OSという)54と、OS54が有する音量制御機能であるボリューム(Vol)54aと、PC52のUSB端子55に接続されてPC52と連携動作するIP電話通話機器であるUSBハンドセット56とから成る。USBハンドセット56は、送話音声用のマイク56aと、受話音声用のレシーバ56bと、送話音声/受話音声を増幅する増幅器56c等を具備して成り、増幅器56cは当該USBハンドセット固有の増幅率(ゲイン)を有している。
【0004】
上記従来例のIP電話システムは、IP電話アプリケーション53によってUSBハンドセット56の送話音量/受話音量を調整する音量調整機能を有しているが、PC上で複数のIP電話アプリケーションを起動した場合に複数のIP電話アプリケーションの各々における送話音量や受話音量が同一ボリューム値を指定した場合にほぼ同一になるように音量調整する機能は有していない。また、IP電話システムでは、一般的に、通話相手の送話音量が一定であっても受話側の周囲騒音等の環境に応じて受話音量を変化させる必要があるが、上記従来例のIP電話システムは、そのような音量調整ができるように構成されていない。
【0005】
【特許文献1】特開2004−320457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来例のIP電話システムでは、IP電話通話機器であるUSBハンドセット56の送話音量/受話音量は、USBハンドセット56の増幅率と、IP電話アプリケーション53が指定するOS54のボリューム54aの音量設定値であるボリューム値(送話音量、受話音量共に、0(0×255)〜65025(255×255)の範囲の値を取ることができる)との組み合わせによって決定されることになるが、例えば図10(a)に示すように、PC52上で複数のIP電話アプリケーション(IP電話アプリケーション53−1,IP電話アプリケーション53−2,IP電話アプリケーション53−3,・・)を同時起動する場合には、IP電話アプリケーション毎に指定するOS54のボリューム54aの音量設定値や音量設定範囲が異なるので、複数のIP電話アプリケーションを切り換えて使用する際に異なる音量になってしまうため、IP電話システムのユーザは、IP電話アプリケーション毎に音量調整を強いられることになる。また、上記従来例のIP電話システムでは、PC52上で1つのIP電話アプリケーションのみを起動する場合であっても、例えば図10(b)に示すように、PC52に複数のIP電話通話機器(USBハンドセット等;IP電話通話機器56−1,IP電話通話機器56−2,・・)を接続する場合には、それぞれのIP電話通話機器の増幅率が異なるので、複数のIP電話通話機器を切り換えて使用する際に異なる音量になってしまうため、IP電話システムのユーザは、IP電話通話機器毎に音量調整を強いられることになる。
さらに、上記従来例のIP電話システムでは、PC52上で複数のIP電話アプリケーションを同時起動する場合には、IP電話アプリケーション毎に、搭載されている各種機能や、電話帳や、発信履歴/着信履歴の管理方法等が異なるため、IP電話アプリケーション毎に機能設定や機能切換等の管理が必要となるので、IP電話システムのユーザは、上記管理のための作業を強いられることになる。
【0007】
本発明は、共通管理アプリケーションを介して複数のIP電話アプリケーションの各種動作や各種情報の管理方法を共通化することにより、複数のIP電話アプリケーション間の機能の相違を吸収してIP電話の使い勝手を向上させるようにしたIP電話アプリケーションの共通管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の第1発明は、パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムであって、パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の音量制御に関する設定情報に基づいて、各IP電話アプリケーションの送話音量設定値をオペレーションシステムにおける音量制御の送話音量設定値に変換するようにしたことを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するため、請求項2に記載の第2発明は、パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムであって、パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の音量制御に関する設定情報に基づいて、各IP電話アプリケーションの受話音量設定値をオペレーションシステムにおける音量制御の受話音量設定値に変換するようにしたことを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するため、請求項3に記載の第3発明は、パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムであって、パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の音量制御に関する設定情報に基づいて、各IP電話アプリケーションの送話音量設定値および受話音量設定値をオペレーションシステムにおける音量制御の送話音量設定値および受話音量設定値にそれぞれ変換するようにしたことを特徴とする。
【0011】
上記目的を達成するため、請求項4に記載の第4発明は、パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムであって、パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々のエコーキャンセル機能の代わりに、該共通管理アプリケーションが備えるエコーキャンセル機能を用いてエコーキャンセルを行うようにしたことを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するため、請求項5に記載の第5発明は、パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムであって、パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々が備える録音機能および再生機能の代わりに、該共通管理アプリケーションが備える録音機能および再生機能を用いて通話データの録音および録音した通話データの再生を行うようにしたことを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するため、請求項6に記載の第6発明は、パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムであって、パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の発信履歴情報および着信履歴情報の代わりに、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の発信履歴情報および着信履歴情報をそれぞれ時系列順に統合した共通発信履歴情報および共通着信履歴情報を各IP電話アプリケーション上に表示するようにしたことを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するため、請求項7に記載の第7発明は、パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムであって、パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々が備える電話帳情報の代わりに、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の電話帳情報を統合した共通電話帳情報を各IP電話アプリケーション上に表示するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
第1発明によれば、パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化するIP電話アプリケーションの共通管理システムでは、パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の音量制御に関する設定情報に基づいて、各IP電話アプリケーションの送話音量設定値をオペレーションシステムにおける音量制御の送話音量設定値に変換するから、IP電話システムのユーザが、現在使用中のIP電話アプリケーションおよび現在使用中のIP電話通話機器を意識することなく、かつ、IP電話アプリケーション毎およびIP電話通話機器毎に送話音量調整を行うことなく、現在使用中のIP電話アプリケーションおよびIP電話通話機器の組み合わせにおける送話音量がパーソナルコンピュータのオペレーションシステムにおける音量制御の送話音量設定値に変換されるので、ユーザは常に適切な送話音量で通話することができるようになり、IP電話の使い勝手が向上する。
【0016】
第2発明によれば、パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化するIP電話アプリケーションの共通管理システムでは、パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の音量制御に関する設定情報に基づいて、各IP電話アプリケーションの受話音量設定値をオペレーションシステムにおける音量制御の受話音量設定値に変換するから、IP電話システムのユーザが、現在使用中のIP電話アプリケーションおよび現在使用中のIP電話通話機器を意識することなく、かつ、IP電話アプリケーション毎およびIP電話通話機器毎に受話音量調整を行うことなく、現在使用中のIP電話アプリケーションおよびIP電話通話機器の組み合わせにおける受話音量がパーソナルコンピュータのオペレーションシステムにおける音量制御の受話音量設定値に変換されるので、ユーザは常に適切な受話音量で通話することができるようになり、IP電話の使い勝手が向上する。
【0017】
第3発明によれば、パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化するIP電話アプリケーションの共通管理システムでは、パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の音量制御に関する設定情報に基づいて、各IP電話アプリケーションの送話音量設定値および受話音量設定値をオペレーションシステムにおける音量制御の送話音量設定値および受話音量設定値にそれぞれ変換するから、IP電話システムのユーザが、現在使用中のIP電話アプリケーションおよび現在使用中のIP電話通話機器を意識することなく、かつ、IP電話アプリケーション毎およびIP電話通話機器毎に送話音量調整および受話音量調整を行うことなく、現在使用中のIP電話アプリケーションおよびIP電話通話機器の組み合わせにおける送話音量および受話音量がパーソナルコンピュータのオペレーションシステムにおける音量制御の送話音量設定値および受話音量設定値に変換されるので、ユーザは常に適切な送話音量および受話音量で通話することができるようになり、IP電話の使い勝手が向上する。
【0018】
第4発明によれば、パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムでは、パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々のエコーキャンセル機能の代わりに、該共通管理アプリケーションが備えるエコーキャンセル機能を用いてエコーキャンセルを行うから、IP電話システムのユーザが現在使用中のIP電話アプリケーションを意識することなく、使用するIP電話アプリケーションにおいて共通管理アプリケーションが備えるエコーキャンセル機能が用いられてエコーキャンセル動作が共通化されるので、IP電話の使い勝手が向上する。
【0019】
第5発明によれば、パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムでは、パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々が備える録音機能および再生機能の代わりに、該共通管理アプリケーションが備える録音機能および再生機能を用いて通話データの録音および録音した通話データの再生を行うから、IP電話システムのユーザが現在使用中のIP電話アプリケーションを意識することなく、使用するIP電話アプリケーションにおいて共通管理アプリケーションが備える録音機能および再生機能が用いられて通話データの録音動作および録音した通話データの再生動作が共通化されるので、通話データの一元管理が可能になるとともに、IP電話の使い勝手が向上する。
【0020】
第6発明によれば、パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムでは、パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の発信履歴情報および着信履歴情報の代わりに、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の発信履歴情報および着信履歴情報をそれぞれ時系列順に統合した共通発信履歴情報および共通着信履歴情報を各IP電話アプリケーション上に表示するから、IP電話システムのユーザが現在使用中のIP電話アプリケーションを意識することなく、使用するIP電話アプリケーション上に、共通管理アプリケーションが前記複数のIP電話アプリケーションの各々の発信履歴情報および着信履歴情報をそれぞれ時系列順に統合した共通発信履歴情報および共通着信履歴情報が表示されるので、発信履歴情報および着信履歴情報の一元管理が可能になるとともに、IP電話の使い勝手が向上する。
【0021】
第7発明によれば、パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムでは、パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々が備える電話帳情報の代わりに、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の電話帳情報を統合した共通電話帳情報を各IP電話アプリケーション上に表示するから、IP電話システムのユーザが現在使用中のIP電話アプリケーションを意識することなく、使用するIP電話アプリケーション上に、共通管理アプリケーションが前記複数のIP電話アプリケーションの各々の電話帳情報を統合した共通電話帳情報が表示されるので、電話帳情報の一元管理が可能になるとともに、IP電話の使い勝手が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0023】
図1は本発明の第1実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムの構成を示すブロック図である。本実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムは、図1に示すように、ネットワーク1に接続されるPC2と、呼制御、音量制御、エコーキャンセル、RTP解析、電話帳、発着履歴、通話録音等の各種機能を有しPC2上で動作する複数(図示例では3つ)のIP電話アプリケーション3−1,3−2,3−3と、PC2を動作させる基本ソフトウエアであるオペレーションシステム(以下、OSという)4と、OS4が有する音量制御機能であるボリューム(Vol)4aと、PC2のOS4に常駐する共通管理アプリケーション5と、PC2のUSB端子6に接続されてPC2と連携動作するIP電話通話機器であるUSBハンドセット7とから成る。USBハンドセット7は、送話音声用のマイク7aと、受話音声用のレシーバ7bと、送話音声/受話音声を増幅する増幅器7c等を具備して成り、増幅器7cは当該USBハンドセット固有の増幅率(ゲイン)を有している。
【0024】
上記複数のIP電話アプリケーション(IP電話アプリケーション3−1,3−2,3−3)としては、例えば、「USBハンドセットと組み合わせて『ソフトフォン』として市販しているメーカが独自に開発したIP電話アプリケーション」や、OS4として「Microsoft(登録商標) Windows(登録商標)」を使用する場合にそれに付属する「Windows Messenger」等がある。したがって、PC2で、IP電話アプリケーション3−1としてのメーカAのIP電話アプリケーションと、IP電話アプリケーション3−2としてのメーカBのIP電話アプリケーションと、IP電話アプリケーション3−3としてのWindows Messengerとを、同時に起動して使用するケースがあり得る。
【0025】
上記共通管理アプリケーション5は、基本的には、「複数のIP電話アプリケーション間の機能の相違を吸収して前記複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化するアプリケーション」であり、PC2でIP電話アプリケーション3−1,3−2,3−3を同時起動して使用する際には、OS4に常駐させて使用するものである。さらに詳細に説明すると、本実施形態における共通管理アプリケーション5は、下記(1)〜(6)のような多数の機能を搭載(具備)している。なお、上記共通管理アプリケーション5は、下記(1)〜(6)の機能の全てを搭載する必要はなく、必要に応じて搭載する機能を選択するようにしてもよい。
(1)複数のIP電話アプリケーションの各々の送話音量設定値を、OS4における音量制御のボリューム(Vol)4aの送話音量設定値に変換する送話音量共通管理機能
(2)複数のIP電話アプリケーションの各々の受話音量設定値を、OS4における音量制御のボリューム(Vol)4aの受話音量設定値に変換する受話音量共通管理機能
(3)複数のIP電話アプリケーションの各々のエコーキャンセル機能の代わりに共通管理アプリケーション5が備えるエコーキャンセル機能を用いたり、IP電話アプリケーションがエコーキャンセル機能を有していない場合にエコーキャンセル機能を追加する、エコーキャンセル動作共通化機能
(4)複数のIP電話アプリケーションの各々が備える録音機能および再生機能の代わりに、共通管理アプリケーション5が備える録音機能および再生機能を用いて通話データの録音および録音した通話データの再生を行う、録音再生動作共通化機能
(5)複数のIP電話アプリケーションの各々の発信履歴情報および着信履歴情報の代わりに、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の発信履歴情報および着信履歴情報をそれぞれ時系列順に統合した共通発信履歴情報および共通着信履歴情報を作成して、各IP電話アプリケーション上に表示する、発信履歴/着信履歴共通管理機能
(6)複数のIP電話アプリケーションの各々が備える電話帳情報の代わりに、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の電話帳情報を統合した共通電話帳情報を各IP電話アプリケーション上に表示する、電話帳共通管理機能
以下に、それぞれの機能を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
(1)送話音量共通管理機能および(2)受話音量共通管理機能
図2(a),(b)は第1実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムにおける送話音量および受話音量の共通化のための音量制御方法を説明するための図である。例えば図2(a)に示すように、OS4における音量制御のボリューム(Vol)4aのボリューム値が「0×255(最小音量)」、「20×255」、「40×255」、「60×255」、「80×255」、「100×255」、「120×255」、「140×255」、「160×255」、「180×255」、「200×255」、「220×255」、「255×255(最大音量)」という13段階に設定されているときに、IP電話アプリケーション3−1の6段階の音量設定値(ボリューム)のVol.1が「20×255」に対応し、Vol.2が「60×255」に対応し、Vol.3が「100×255」に対応し、Vol.4が「120×255」に対応し、Vol.5が「140×255」に対応し、Vol.6が「180×255」に対応し、IP電話アプリケーション3−2の6段階の音量設定値(ボリューム)のVol.1が「40×255」に対応し、Vol.2が「60×255」に対応し、Vol.3が「160×255」に対応し、Vol.4が「200×255」に対応し、Vol.5が「220×255」に対応し、Vol.6が「255×255」に対応し、IP電話アプリケーション3−3の6段階の音量設定値(ボリューム)のVol.1が「0×255」に対応し、Vol.2が「80×255」に対応し、Vol.3が「120×255」に対応し、Vol.4が「160×255」に対応し、Vol.5が「200×255」に対応し、Vol.6が「255×255」に対応するようになっている場合には、IP電話アプリケーションにおける音量設定値(ボリューム)が同一であっても、対応するOS4のボリューム値がIP電話アプリケーション毎に異なるものになってしまう。
【0027】
そこで、本実施形態では、共通管理アプリケーション5が図2(b)に例示する変換テーブル8を用いて、IP電話アプリケーション3−1,3−2,3−3のVol.1を、OS4のボリューム値「0×255」に対応させた共通管理アプリケーション5のVol.1に変換し、IP電話アプリケーション3−1,3−2,3−3のVol.2を、OS4のボリューム値「60×255」に対応させた共通管理アプリケーション5のVol.2に変換し、IP電話アプリケーション3−1,3−2,3−3のVol.3を、OS4のボリューム値「100×255」に対応させた共通管理アプリケーション5のVol.3に変換し、IP電話アプリケーション3−1,3−2,3−3のVol.4を、OS4のボリューム値「140×255」に対応させた共通管理アプリケーション5のVol.4に変換し、IP電話アプリケーション3−1,3−2,3−3のVol.5を、OS4のボリューム値「180×255」に対応させた共通管理アプリケーション5のVol.5に変換し、IP電話アプリケーション3−1,3−2,3−3のVol.6を、OS4のボリューム値「255×255」に対応させた共通管理アプリケーション5のVol.6に変換するようにしている。
なお、本実施形態では、図2(b)に示す変換テーブル8を送話音量および受話音量の双方に用いているが、送話音量および受話音量で異なる変換テーブルを用いるようにしてもよい。
【0028】
ところで、上記図2(a),(b)に示す音量制御方法では、IP電話アプリケーションの音量設定値としてVol.1〜Vol.6の6段階のボリューム値を取り得る「ディジタル方式ボリューム」を用いているが、IP電話アプリケーションによっては、操作画面上の「音量調整つまみ」によって音量設定値を連続的に調整し得る「アナログ方式ボリューム」を用いて微妙な音量調整を可能にしたIP電話アプリケーションも存在する。その場合には、図3に例示する変換テーブル9を用いればよい。
すなわち、アナログ方式ボリュームを使用するIP電話アプリケーション3−4は、送話音量、受話音量共に、OS4のボリューム4aのボリューム値の「0×255」〜「255×255」の範囲の値を設定することができ、アナログ方式ボリュームを使用するIP電話アプリケーション3−5は、送話音量、受話音量共に、OS4のボリューム4aのボリューム値の「50×255」〜「200×255」の範囲の値を設定することができ、アナログ方式ボリュームを使用するIP電話アプリケーション3−6は、送話音量、受話音量共に、OS4のボリューム4aのボリューム値の「10×255」〜「230×255」の範囲の値を設定することができる場合には、共通管理アプリケーション5が図3に示す変換テーブル9を用いることにより、IP電話アプリケーション3−4,3−5,3−6の上記音量設定範囲は、送話音量、受話音量共に、OS4のボリューム4aのボリューム値の「10×255」〜「250×255」の範囲に変換されることになる。
【0029】
本実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムによれば、送話音量および受話音量を共通管理するための音量制御を行う際に、共通管理アプリケーション5は、図2(a)に示すIP電話アプリケーション3−1,3−2,3−3の各々の音量制御に関する設定情報(各IP電話アプリケーションのVol.1〜Vol.6とOS4のボリューム値「0×255」〜「255×255」との対応関係を示す情報)に基づいて、図2(b)に例示する変換テーブル8を用いて、各IP電話アプリケーションの送話音量のボリューム設定値および受話音量設定値(Vol.1〜Vol.6)をOS4における音量制御の送話音量設定値および受話音量設定値(「0×255」〜「255×255」の何れか1つ)にそれぞれ変換するから、IP電話システムのユーザが、現在使用中のIP電話アプリケーションがIP電話アプリケーション3−1,3−2,3−3のどれであるか、および、現在使用中のIP電話通話機器が何であるかを意識することなく、かつ、IP電話アプリケーション毎およびIP電話通話機器毎に送話音量調整および受話音量調整を行うことなく、現在使用中のIP電話アプリケーションおよびIP電話通話機器の組み合わせにおける送話音量および受話音量(Vol.1〜Vol.6)がPC2のOS4における音量制御の送話音量設定値および受話音量設定値(「0×255」〜「255×255」の何れか1つ)に変換されるので、ユーザは常に適切な送話音量および受話音量で通話することができるようになり、IP電話の使い勝手が向上する。
【0030】
また、本実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムによれば、送話音量および受話音量を共通管理するための音量制御を行う際に、共通管理アプリケーション5は、図3に例示する変換テーブル9を用いて、各IP電話アプリケーションの送話音量のボリューム設定値および受話音量設定値(OS4のボリューム値の「0×255」〜「255×255」の範囲の値、「50×255」〜「200×255」の範囲の値、「10×255」〜「230×255」の範囲の値)をOS4における音量制御の送話音量設定値および受話音量設定値(「10×255」〜「250×255」の範囲の値)にそれぞれ変換するから、IP電話システムのユーザが、現在使用中のIP電話アプリケーションがIP電話アプリケーション3−4,3−5,3−6のどれであるか、および、現在使用中のIP電話通話機器が何であるかを意識することなく、かつ、IP電話アプリケーション毎およびIP電話通話機器毎に送話音量調整および受話音量調整を行うことなく、現在使用中のIP電話アプリケーションおよびIP電話通話機器の組み合わせにおける送話音量および受話音量(OS4のボリューム値の「0×255」〜「255×255」の範囲の値、「50×255」〜「200×255」の範囲の値、「10×255」〜「230×255」の範囲の値)がPC2のOS4における音量制御の送話音量設定値および受話音量設定値(「10×255」〜「250×255」の範囲の値)に変換されるので、ユーザは常に適切な送話音量および受話音量で通話することができるようになり、IP電話の使い勝手が向上する。
【0031】
(3)エコーキャンセル動作共通化機能
図4は第1実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムにおけるエコーキャンセル動作の共通化方法を説明するための図である。一般に、IP電話アプリケーションの中には、音声データとしてやり取りされるRTPパケットの内容を解析することにより通話時に発生するエコーを低減する、エコーキャンセル機能を有しているIP電話アプリケーションもあるが、エコーキャンセル機能を有しているIP電話アプリケーションであっても、エコーキャンセルの能力や特性はIP電話アプリケーション毎に異なるものとなっており、また、IP電話アプリケーションによっては、エコーキャンセル機能自体を有していないIP電話アプリケーションもある。図4は、IP電話アプリケーション3−1,3−2がエコーキャンセル機能を有しているIP電話アプリケーションであり、IP電話アプリケーション3−3がエコーキャンセル機能を有していないIP電話アプリケーションである場合を例示している。本実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムは、PC2で複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際には共通管理アプリケーション5がOS4に常駐するようにしているため、例えば図4に示すようなIP電話アプリケーション3−1,3−2,3−3を同時起動して使い分ける場合には、各IP電話アプリケーションのエコーキャンセル機能の有無に拘わらず、常に共通管理アプリケーション5のRTP解析機能およびエコーキャンセル機能を使用するように構成されている。なお、共通管理アプリケーション5のエコーキャンセル機能としては、例えば「ITU−T G.165によるエコーキャンセル処理」を用いるものとする。
【0032】
本実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムによれば、共通管理アプリケーション5のRTP解析機能によって通話時に受信するRTPパケットが解析され、その解析結果に基づいて共通管理アプリケーション5のエコーキャンセル機能がエコーキャンセル処理を施した音声(音声データ)をIP電話通話機器(USBハンドセット)7に送信するので、IP電話アプリケーション毎のエコーキャンセル機能の有無やエコーキャンセル能力の違いが吸収されることになり、IP電話アプリケーション毎のエコーキャンセル能力の相違等は共通管理アプリケーション5によって実施されるエコーキャンセルには全く影響しないことになる。したがって、IP電話システムのユーザが現在使用中のIP電話アプリケーションを意識することなく、使用するIP電話アプリケーションにおいて共通管理アプリケーション5が具備する所望の特性のエコーキャンセル機能が用いられてエコーキャンセル動作が共通化されるので、IP電話の使い勝手が向上する。
【0033】
(4)録音再生動作共通化機能
図5は第1実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムにおける録音再生動作の共通化方法を説明するための図である。IP電話アプリケーションは、通常、録音機能/再生機能(以下、録音再生機能という)を有しているが、その録音再生機能はIP電話アプリケーション毎に管理する構成になっている。そのため、図5に例示するような、各々が録音再生機能を有するIP電話アプリケーション3−7,3−8,3−9を同時起動して使い分ける場合には、「どのIP電話アプリケーションに録音された通話データが存在するかが分からないため、通話データを再生したい場合には全てのIP電話アプリケーションにおいて録音された通話データの有無を確認する必要があり、面倒である」、「録音に使用したIP電話アプリケーション毎に録音レベルが異なるため、再生時に過大音量になったり過小音量になったりする」等の問題が生じる。
【0034】
そこで、本実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムでは、図5に示すように、IP電話アプリケーション3−7,3−8,3−9の録音再生機能とは別に、OS4に常駐する共通管理アプリケーション5内に各IP電話アプリケーション共通の録音再生機能を設けている。これにより、何れかのIP電話アプリケーションで通話データを録音する(すなわち、通話時に送受信させる通話音声またはRTPパケットを録音する)ときには当該IP電話アプリケーションの録音再生機能の代わりに共通管理アプリケーション5の共通の録音再生機能を用いて通話データを録音し、何れかのIP電話アプリケーションで録音済みの通話データを再生するときには当該IP電話アプリケーションの録音再生機能の代わりに共通管理アプリケーション5の共通の録音再生機能を用いて所望の録音済みの通話データを再生するようにしている。
【0035】
本実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムによれば、各IP電話アプリケーション録音再生機能の代わりに共通管理アプリケーション5の共通の録音再生機能を用いて通話データの録音および録音済みの通話データの再生を行うから、IP電話システムのユーザが現在使用中のIP電話アプリケーションを意識することなく、使用するIP電話アプリケーションにおいて共通管理アプリケーションが備える録音機能および再生機能を用いて通話データの録音動作および録音した通話データの再生動作が共通化されるので、通話データの一元管理が可能になるとともに、IP電話の使い勝手が向上する。
また、共通管理アプリケーション5の共通の録音再生機能を用いて通話データを録音する際には、例えば上述した図2(b)の変換テーブルを用いて音量調整した後に通話データを録音するから、録音済みの通話データはIP電話アプリケーションによる音量のばらつきの無いものとなる。さらに、録音済みの通話データを再生する際には、IP電話アプリケーションによって音量調整することなく共通管理アプリケーション5の音量調整で再生するから、再生される通話データはIP電話アプリケーションによる音量のばらつきの無いものとなる。なお、録音済みの通話データは、共通管理アプリケーション5以外の音声再生専用アプリケーションで再生することも考えられるので、録音時に音量調整しておく方が好ましい。
【0036】
(5)発信履歴/着信履歴共通管理機能
図5は第1実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムにおける発信履歴/着信履歴の共通管理方法を説明するための図である。IP電話アプリケーションは、通常、発信履歴/着信履歴理機能(以下、発着履歴機能という)を有しているが、その発着履歴機能はIP電話アプリケーション毎に管理するように構成されている。そのため、図5に例示するような、各々が発着履歴理機能を有するIP電話アプリケーション3−7,3−8,3−9を同時起動して使い分ける場合には、「不在時の着信履歴を確認したり最近の発信履歴を利用したい場合には全てのIP電話アプリケーションで発着履歴/着信履歴を確認する必要があり、面倒である」等の問題が生じる。
【0037】
そこで、本実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムでは、図5に示すように、IP電話アプリケーション3−7,3−8,3−9の発着履歴機能とは別に、OS4に常駐する共通管理アプリケーション5内に各IP電話アプリケーション共通の発着履歴機能を設けている。この共通管理アプリケーション5の発着履歴機能は、H.323やSIP等の通信プロトコルを認識して、PC2でIP電話アプリケーション3−7,3−8,3−9がやりとりする呼制御パケットを解析することにより、各IP電話アプリケーションがダイヤルした発信先電話番号情報や各IP電話アプリケーションが受信した通話の発信元電話番号情報を当該IP電話アプリケーションと同時に認識するので、各IP電話アプリケーションの発着履歴情報を統合して、全ての発着履歴情報を一元管理するように構成されている。
【0038】
上記各IP電話アプリケーションの発着履歴の統合は、例えば図6、図7のフローチャートによって行うものとする。すなわち、発信履歴に関しては、まず、図6のステップS1において何れかのIP電話アプリケーションからの発信(ダイヤル入力操作)が検出されると、次のステップS2では、当該IP電話アプリケーションで入力された発信先電話番号情報を共通管理アプリケーション5が読み取り、次のステップS3では、読み取った発信先電話番号情報を共通管理アプリケーション5の共通発信履歴情報に時系列順に統合する。その後、ステップS4で何れかのIP電話アプリケーションからの発信履歴表示要求(例えば操作画面上の発信履歴表示ボタンの押下)が検出されると、次のステップS5では、共通管理アプリケーション5の共通発信履歴情報を当該IP電話アプリケーション上に表示する。一方、着信履歴に関しては、まず、図7のステップS11において何れかのIP電話アプリケーションへのの着信が検出されると、次のステップS12では、当該IP電話アプリケーション上に表示された発信元電話番号情報を共通管理アプリケーション5が読み取り、次のステップS13では、読み取った発信元電話番号情報を共通管理アプリケーション5の共通着信履歴情報に時系列順に統合する。その後、ステップS14で何れかのIP電話アプリケーションからの着信履歴表示要求(例えば操作画面上の着信履歴表示ボタンの押下)が検出されると、次のステップS5では、共通管理アプリケーション5の共通着信履歴情報を当該IP電話アプリケーション上に表示する。
なお、上記図6、図7では、発信履歴表示要求/着信履歴表示要求に応じて発信履歴/着信履歴を表示するようにしているが、IP電話アプリケーションの起動に応じて発信履歴/着信履歴を操作画面上に自動表示するようにしてもよい。
【0039】
本実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムによれば、共通管理アプリケーション5は、IP電話アプリケーション3−7,3−8,3−9の各々の発信履歴情報および着信履歴情報の代わりに、IP電話アプリケーション3−7,3−8,3−9の各々の発信履歴情報および着信履歴情報をそれぞれ時系列順に統合した共通発信履歴情報および共通着信履歴情報を作成して、発信履歴表示要求を送出したIP電話アプリケーション上および着信履歴表示要求を送出したIP電話アプリケーション上に共通発信履歴情報および共通着信履歴情報をそれぞれ表示するから、IP電話システムのユーザが現在使用中のIP電話アプリケーションを意識することなく、使用するIP電話アプリケーション上には、共通管理アプリケーション5がIP電話アプリケーション3−7,3−8,3−9の各々の発信履歴情報および着信履歴情報をそれぞれ時系列順に統合した共通発信履歴情報および共通着信履歴情報が表示されるので、発着履歴データの一元管理が可能になるとともに、ユーザが不在中の着信履歴を確認したり最近の発信履歴を参照したりする際には、共通管理アプリケーション5の共通着信履歴情報を確認したり共通発信履歴情報を参照したりするだけで事足りるので、IP電話の使い勝手が向上する。
【0040】
(6)電話帳共通管理機能
図5は第1実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムにおける電話帳の共通管理方法を説明するための図である。IP電話アプリケーションは、通常、電話帳機能を有しているが、その電話帳機能はIP電話アプリケーション毎に管理するように構成されている。そのため、図5に例示するような、各々が電話帳機能を有するIP電話アプリケーション3−7,3−8,3−9を同時起動して使い分ける場合には、「あるIP電話アプリケーションの電話帳に登録されている連絡先情報と他のIP電話アプリケーションの電話帳に登録されている連絡先情報とは必ずしも一致しないため、特定のIP電話アプリケーションの電話帳のみに登録されている連絡先情報を利用して発信したい場合には該当する連絡先情報が見つかるまでIP電話アプリケーションの電話帳を参照する必要があり、面倒である」等の問題がある。
【0041】
そこで、本実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムでは、図5に示すように、IP電話アプリケーション3−7,3−8,3−9の電話帳機能とは別に、OS4に常駐する共通管理アプリケーション5内に各IP電話アプリケーション共通の電話帳機能を設けている。この共通管理アプリケーション5の電話帳機能は、IP電話アプリケーション3−7,3−8,3−9の電話帳情報(電話帳データベース)を統合した共通電話帳情報(共通電話帳データベース)を共通管理アプリケーション5内に設けることにより、全てのIP電話アプリケーションの電話帳情報を共通管理アプリケーション5で一元管理するように構成されている。
【0042】
上記各IP電話アプリケーションの電話帳情報の統合は、例えば図8のフローチャートによって行うものとする。すなわち、まず、図8のステップS21において共通管理アプリケーション5が全てのIP電話アプリケーションを監視しているとき、ステップS22で何れかのIP電話アプリケーションの電話帳情報の変更が共通管理アプリケーション5によって検出されると、次のステップS23では、当該IP電話アプリケーションの電話帳情報の変更情報を共通管理アプリケーション5が読み取り、次のステップS24では、読み取った電話帳情報の変更情報に基づいて、全てのIP電話アプリケーションの電話帳情報を統合した共通管理アプリケーション5の共通電話帳情報を更新する。その後、ステップS25で何れかのIP電話アプリケーションからの電話帳参照要求(例えば操作画面上の電話帳参照ボタンの押下)が検出されると、次のステップS26では、共通管理アプリケーション5の共通電話帳情報を当該IP電話アプリケーション上に表示する。
【0043】
本実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムによれば、共通管理アプリケーション5は、IP電話アプリケーション3−7,3−8,3−9の何れかのIP電話アプリケーションの電話帳情報の変更時に読み取った当該電話帳情報の変更情報に基づいて、IP電話アプリケーション3−7,3−8,3−9の各々の電話帳情報を統合した共通電話帳情報を更新して、電話帳参照要求を送出したIP電話アプリケーション上に共通管理アプリケーション5の共通電話帳情報を表示するから、IP電話システムのユーザが現在使用中のIP電話アプリケーションを意識することなく、使用するIP電話アプリケーション上に、共通管理アプリケーション5がIP電話アプリケーション3−7,3−8,3−9の各々の電話帳情報を統合した共通電話帳情報が表示されるので、電話帳情報の一元管理が可能になるとともに、IP電話の使い勝手が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の第1実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】(a),(b)は第1実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムにおける送話音量および受話音量の共通化のための音量制御方法を説明するための図である。
【図3】第1実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムにおける送話音量および受話音量の音量制御に用いる変換テーブルを例示する図である。
【図4】第1実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムにおけるエコーキャンセル動作の共通化方法を説明するための図である。
【図5】第1実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムにおける録音再生動作の共通化方法ならびに発信履歴/着信履歴および電話帳の共通管理方法を説明するための図である。
【図6】第1実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムにおける各IP電話アプリケーションの発信履歴の統合処理を例示するフローチャートである。
【図7】第1実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムにおける各IP電話アプリケーションの着信履歴の統合処理を例示するフローチャートである。
【図8】第1実施形態のIP電話アプリケーションの共通管理システムにおける各IP電話アプリケーションの電話帳情報の統合処理を例示するフローチャートである。
【図9】従来例のIP電話システムにおけるIP電話アプリケーションによる音量制御を説明するための図である。
【図10】(a),(b)は従来例のIP電話システムにおけるIP電話アプリケーションによる音量制御の問題点を説明するための図である。
【符号の説明】
【0045】
1 ネットワーク
2 パーソナルコンピュータ(PC)
3−1〜3−9 IP電話アプリケーション
4 オペレーションシステム(OS)
4a ボリューム(Vol)
5 共通管理アプリケーション
6 USB端子
7 IP電話通話機器(USBハンドセット)
7a マイク
7b レシーバ
7c 増幅器
8,9 変換テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムであって、
パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、
該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の音量制御に関する設定情報に基づいて、各IP電話アプリケーションの送話音量設定値をオペレーションシステムにおける音量制御の送話音量設定値に変換するようにしたことを特徴とするIP電話アプリケーションの共通管理システム。
【請求項2】
パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムであって、
パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、
該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の音量制御に関する設定情報に基づいて、各IP電話アプリケーションの受話音量設定値をオペレーションシステムにおける音量制御の受話音量設定値に変換するようにしたことを特徴とするIP電話アプリケーションの共通管理システム。
【請求項3】
パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムであって、
パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、
該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の音量制御に関する設定情報に基づいて、各IP電話アプリケーションの送話音量設定値および受話音量設定値をオペレーションシステムにおける音量制御の送話音量設定値および受話音量設定値にそれぞれ変換するようにしたことを特徴とするIP電話アプリケーションの共通管理システム。
【請求項4】
パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムであって、
パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、
該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々のエコーキャンセル機能の代わりに、該共通管理アプリケーションが備えるエコーキャンセル機能を用いてエコーキャンセルを行うようにしたことを特徴とするIP電話アプリケーションの共通管理システム。
【請求項5】
パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムであって、
パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、
該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々が備える録音機能および再生機能の代わりに、該共通管理アプリケーションが備える録音機能および再生機能を用いて通話データの録音および録音した通話データの再生を行うようにしたことを特徴とするIP電話アプリケーションの共通管理システム。
【請求項6】
パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムであって、
パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、
該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の発信履歴情報および着信履歴情報の代わりに、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の発信履歴情報および着信履歴情報をそれぞれ時系列順に統合した共通発信履歴情報および共通着信履歴情報を各IP電話アプリケーション上に表示するようにしたことを特徴とするIP電話アプリケーションの共通管理システム。
【請求項7】
パーソナルコンピュータ上で動作する複数のIP電話アプリケーションの各種動作を共通化する、IP電話アプリケーションの共通管理システムであって、
パーソナルコンピュータで複数のIP電話アプリケーションを同時起動して使用する際にオペレーションシステムに常駐する共通管理アプリケーションを設けておき、
該共通管理アプリケーションは、前記複数のIP電話アプリケーションの各々が備える電話帳情報の代わりに、前記複数のIP電話アプリケーションの各々の電話帳情報を統合した共通電話帳情報を各IP電話アプリケーション上に表示するようにしたことを特徴とするIP電話アプリケーションの共通管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−20084(P2007−20084A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−201775(P2005−201775)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】