説明

IP電話システム

【課題】任意に選択した通話装置に対して所定内容の情報を強制的に一斉通報するための機能を有するIP電話システムを提供する。
【解決手段】ネットワークを介して相互に通信することが可能な複数の通話装置4a,4b(クライアント)と、通話装置と通話する際の接続開始処理を実行すると共に、前記通話装置との通話に際し、当該通話装置との間で送受信されるデータを制御するサーバ6(ホスト)とを有するIP電話システムであって、複数の通話装置の中から任意に選択した通話装置に対して、所定内容の情報を強制的に一斉通報するための一斉通報手段を備えている。一斉通報手段は、一斉通報に先立って、任意に選択した通話装置とサーバとの間で接続開始処理を強制的に実行して通話接続を確立させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の通話装置(例えば、IP電話)に対して通話を行うトランシーバ方式の通話システムであるIP電話システムに関し、特に、ホスト(例えば、サーバ)から任意に選択したクライアント(即ち、通話装置)に対して所定内容の情報を一斉通報するための機能の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通話ボタンを押す操作によって単独、或いは複数の相手方との通話を行うことが可能ないわゆるトランシーバ方式の通話システム(プッシュトゥトーク(Push To Talk))、例えば、通話装置として携帯電話を用いたPoC(Push to talk over Cellular)システムなどが知られている(非特許文献1参照)。
【0003】
なお、PoCシステムは、一般的に携帯電話を用いたシステムのことを指すが、同様のシステムをIP(Internet Protocol)ネットワーク(IP網)を介して相互に通話することが可能な通話装置、いわゆるIP電話によって構築したトランシーバ方式の通信システムも実用されている。
【0004】
PoCシステムは、SIP(Session Initiation Protocol)やRIP(Real-time Transport Protocol)のパケット交換システムを用いることによって構築されており、通話装置(例えば、携帯電話やIP電話などのクライアント)に対して電話番号を入力する代わりに、特定のボタン(通話ボタン)を押すことで通話状態とすることができる。
【0005】
即ち、Pocシステムにおいては、通話ボタンを押しているクライアントのみが、予め選択された単独、或いは複数の相手方(クライアント)に対して通話を行える権限(いわゆる通信権)を有し、これにより、クライアント相互間で所定内容の情報を同時に伝達することができる通信システムが構成されている。この結果、通話装置(携帯電話やIP電話など)をあたかもトランシーバのように扱うことが可能となる。
【0006】
このように、PoCシステムによれば、従来の通話装置(携帯電話やIP電話など)による音声通話のように1対1の通信ではなく、1対多の通信が可能となるため、例えば、業務用トランシーバやインカムなどを用いた通信システム(一例として、遊技場におけるフロアマネージャ並びにスタッフ間の連絡システムなど)を代替するシステムとしてPoCシステムを利用することができる。
【0007】
その際、トランシーバやインカムなどは、通話ボタンを押すことによって通話が開始されると共に、通話が可能となる構造を成しているため、通話時における通話装置(携帯電話やIP電話など)に対する基本的な動作が共通するPoCシステムへの移行は、ユーザの利用環境における変化が少なく、比較的スムーズに行いやすいという特徴を有する。
【非特許文献1】株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ テクニカル・ジャーナル Vol.13 No.4
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述したようなPoC機能を有するIP電話システムでは、1対1の通話や1対多の同時通話が可能となっているが、いずれも、クライアント(通話装置)相互間での情報のやり取りに限定されている。これは、既存のIP電話システムは、所定のユーザが主体的に通話を開始し、当該ユーザグループ内での1対1或いは1対多の通話を可能にすることを前提として構築されているからである。
【0009】
そうなると、例えば緊急の業務連絡を行う際に、ホストであるサーバが自動生成した情報(例えば、予め録音してある会話や音声合成など)を、当該サーバから任意に選択した通話装置(クライアント)に対して一斉通報することはできない。
そこで、ホスト(サーバ)から任意に選択したクライアント(通話装置)に対して所定内容の情報を一斉通報するための機能を有するIP電話システム機能の開発が要望されているが、現在そのような機能を有するIP電話システムは知られていない。
【0010】
本発明は、このような要望に応えるためになされており、その目的は、任意に選択した通話装置に対して所定内容の情報を強制的に一斉通報するための機能を有するIP電話システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような目的を達成するために、第1の発明は、ネットワークを介して相互に通信することが可能な複数の通話装置と、前記通話装置と通話する際の接続開始処理を実行すると共に、前記通話装置との通話に際し、当該通話装置との間で送受信されるデータを制御するサーバとを有するIP電話システムであって、前記通話装置の中から任意に選択した通話装置に対して、所定内容の情報を強制的に一斉通報するための一斉通報手段を備えている。
【0012】
第1の発明によれば、選択した通話装置に所定内容の情報を強制的に一斉通報することができるため、例えば緊急の業務連絡を行う際に、当該通話装置を携帯する者に対して所定内容の情報を自動通報することができる。これにより、例えば緊急時における各種対応の迅速化及び適確化を図ることが可能となる。
【0013】
第2の発明において、一斉通報手段は、前記一斉通報に先立って、前記任意に選択した通話装置と前記サーバとの間で前記接続開始処理を強制的に実行して通話接続を確立させる。
第2の発明によれば、任意に選択した複数の通話装置に対して確実に一斉通報を行うことができるため、IP電話システム全体としての通話接続の利便性や効率性を向上させることができる。
【0014】
第3の発明において、前記サーバには、前記一斉通報手段として、前記任意に選択した通話装置に対して前記接続開始処理を強制的に実行するためのメッセージを送信するメッセージ送信機能が付加されており、前記通話装置には、前記一斉通報手段として、前記送信されたメッセージに基づいて、前記サーバに前記接続開始処理を強制的に実行させて通話接続を確立させ、当該サーバからの前記一斉通報を着呼可能な状態に制御する通話制御部が設けられている。
第3の発明によれば、現在の通話装置の状態の如何を問わず、選択した通話装置に対して所定内容の情報を強制的に一斉通報することができる。この場合、現在の通話装置の状態としては、例えば話中のため他者からの通話を着呼できない状態や、サーバとの間で接続開始処理が実行されていない状態などを想定することができる。
【0015】
第4の発明において、IP電話システムには、前記通話装置と前記サーバとの間でデータが送受信される際、当該データを中継するデータ中継手段が備えられている。
第4の発明によれば、前記通話時における前記サーバやネットワーク(例えば、IP網)へのトラフィックの集中を防止するとともに、当該サーバやネットワークに対する負荷の分散を図ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係るIP電話システムによれば、任意に選択した通話装置に対して所定内容の情報を強制的に一斉通報するための機能を有するIP電話システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態に係るIP電話システムについて説明する。
本実施の形態に係るIP電話システムは、インターネットの通信技術を利用した通話装置や、所定の通信規約(プロトコル)に従って通話装置同士を交信(無線通信)させる機能を有するサーバを、IP網を介して相互に接続させた通信システムとして構築されている。なお、IP網とは、インターネット或いはインターネットと同じ仕組みのネットワークの総称であり、通話装置は、当該IP網に敷設された無線LAN(Local Area Network)、或いは有線LANに接続させることができる。
【0018】
また、サーバは、例えばSIP(Session Initiation Protocol)やP2P(Peer to Peer)などの通信形態に準拠して、通話装置の呼設定を実現する機能を有している。この場合、通話装置としては、例えばIP電話、並びにIP電話として機能するインカム、或いは所定のアプリケーションソフトがインストールされ、ソフトフォンとして機能する固定のパソコンやモバイルPC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistants)などを適用することができる。
【0019】
図1には、上述したようなIP電話システムが遊技場(例えば、パチンコホール)に構築された構成例が示されている。この構成例では、IP電話システムの基本的な構成の明確化を図るために、遊技場の1階フロア1Fに構築された当該システムのみを示す。なお、当該フロア1F内には、複数種類の遊技機(パチンコ機)PMが設置された遊技島1PL,2PLが複数配列されており、各遊技島1PL,2PLには、それぞれの遊技機1台毎に対応して1つの呼出ランプユニット2が設けられている。
【0020】
この場合、1階フロア1F内に構築されたIP電話システムは、当該フロア1F内を巡回する複数(図面では2名)の店員A,Bが携帯している通話装置(例えば、インカム)4a,4bと、各通話装置4a,4bと無線通信を行って当該通話装置4a,4bをIP網(図示しない)に接続させるための複数(図面では一例として、3つ)のアクセスポイント1AP,2AP,3APと、IP網を介して各アクセスポイント1AP,2AP,3APに接続されたサーバ6(例えば、管理室等に設置)とを備えて構成されている。また、サーバ6には、各遊技島1PL,2PLの遊技機1台毎に設けられた呼出ランプユニット2が接続されている。
【0021】
かかるIP電話システムにおいて、アクセスポイント1AP,2AP,3APは、各通話装置4a,4bとの通話に際し、当該通話装置4a,4bとサーバ6との間で送受信されるデータを中継するデータ中継装置としての機能(データ中継手段)を有しており、IP網のトラフィック状況に応じて当該データを中継している。これにより、前記通話時におけるサーバ6やIP網へのトラフィックの集中を防止するとともに、サーバ6やIP網に対する負荷の分散を図ることができる。なお、このようなデータ中継手段をアクセスポイント1AP,2AP,3APに持たせるのではなく、図示しないデータ中継サーバ(負荷分散サーバ)を別途設けて同様のデータ中継を行わせる構成としてもよいし、サーバ6にデータ中継手段を持たせてもよい。
【0022】
ここで、通話装置4a,4bは、そのモバイル性を確保するために、一定時間毎(例えば、数秒に1回、1分に1回)に各アクセスポイント1AP,2AP,3APとの間で無線通信を行って、自端末の位置登録を繰り返すように設定されている。なお、各通話装置4a,4bと各アクセスポイント1AP,2AP,3APとの無線通信では、例えばIEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11gなどの規格に従って各種信号の送受信が行われる。このとき、各アクセスポイント1AP,2AP,3APは、各通話装置4a,4bからの無線信号を受信すると、各アクセスポイント1AP,2AP,3AP毎に電波強度を測定し、その測定結果を各アクセスポイント1AP,2AP,3APを介してサーバ6に通知する。
【0023】
図2には、このような通話装置4a,4bの内部構成の一例が示されており、当該通話装置4a,4bは、音声を電気信号に変換するマイク8と、電気信号を音声に変換するスピーカ10と、マイク8から出力されたアナログ信号をデジタル信号に変換すると共に、デジタル信号をアナログ信号に変換し、当該アナログ信号によりスピーカ10を駆動する音声処理回路12と、SIPリクエストを生成・送信し、応答を受信するユーザ・エージェント・クライアント部14と、SIPリクエストを受信・処理し、応答を生成するユーザ・エージェント・サーバ部16と、各アクセスポイント1AP,2AP,3APとの間で無線通信し、各種データの送受信を行う無線LANインターフェイス18と、RF-IDを有する無線チップ19とを備えている。
【0024】
この場合、各通話装置4a,4bは、交信可能範囲内にあるアクセスポイント1AP,2AP,3APを経由して、SIPサーバとしての機能を有するサーバ6を介して互いに交信(無線通信)可能であると共に、内線電話の端末として各店員A,B相互で通話することが可能である。また、通話装置4a,4bにSIPフォンの機能を持たせることで、1対多の通話(例えば、マネージャから全店員への一斉通報)、多対多の通話(例えば、全店員参加の多地点会議)などを実行することも可能である。更に、SIPサーバとしての機能を有するサーバ6を他の遊技場のサーバ(図示しない)と接続することにより、複数の遊技場に割り当てられた通話装置相互間で交信することも可能である。
【0025】
図3には、各アクセスポイント1AP,2AP,3APの内部構成の一例が示されており、当該アクセスポイント1AP,2AP,3APは、上述したような無線LAN端末である通話装置4a,4bをサーバ6に接続するための電波を中継する機能を有する。これにより、各アクセスポイント1AP,2AP,3APの交信可能範囲内にある全ての通話装置4a,4b同士、及び当該通話装置4a,4bとサーバ6とは、本実施の形態の通信システム(ネットワーク)を経由して相互に接続可能となる。
【0026】
図3に示すように、アクセスポイント1AP,2AP,3APは、各通話装置4a,4bに設けられたRF-IDを有する無線チップ19から受信した電波の強度を自動的に測定し、その測定結果を当該通話装置4a,4bの状態を示す情報に対応した電波強度測定データとして取得し且つ記憶すると共に、記憶した電波強度測定データをサーバ6に送信する電波強度測定部20と、各通話装置4a,4bとの間で無線通信を行うための無線通信部22と、無線通信部22に接続された演算部24と、演算部24に接続されたネットワーク通信制御部26とを備えている。
ここで、無線通信部22は、各通話装置4a,4bに対してデータの送受信(無線通信)を行うための変調・復調機能、並びに、所定の通信規約(プロトコル)に従ってデータの送受信(無線通信)を行う機能を有する例えばRF(Radio
Frequency)ユニットとして構成されている。
【0027】
また、演算部24は、CPU28がRAM30を作業領域としてROM32に記憶されたプログラムに従って所定の処理を実行する機能を有する。ここで、ROM32には、例えば2つのバンクB1,B2が設けられており、少なくとも一方のバンク(例えば、B1)には、アクセスポイント1AP,2AP,3APとして機能させるためのプログラムが記憶されるようになっている。また、プログラムデータは、バス34を介してCPU28とRAM30とROM32との間でやり取りされるようになっており、バス34は、ネットワーク通信制御部26を介してサーバ6に接続されている。この場合、ROM32のバンクB1に記憶されたプログラムがRAM30を作業領域としてCPU28によって実行されることにより、アクセスポイント1AP,2AP,3APが実現される。また、例えばバンクB1に不都合が発生した場合やプログラムを更新した場合に、通信を停止させないようにするために、CPU28は、予備用のバンクB2に切り換えて運用されるようにしても良い。
【0028】
このとき、サーバ6は、各アクセスポイント1AP,2AP,3APの電波強度測定部20から送信された電波強度測定データを受信し、当該電波強度測定データに基づいて、各通話装置4a,4bの位置を特定する位置特定処理を実行する。この場合、ある遊技機PM(図1)の呼出ランプユニット2が遊技者や店員等により操作され、呼出信号がサーバ6に送信されると、サーバ6は、位置特定処理の結果得られた各通話装置4a,4bの位置に基づいて、特定の通話装置(例えば4a)を選択し、当該通話装置4aに対してメッセージを通報する。これにより、例えば当該通話装置4aを携帯している店員A(図1)を該当する遊技機PMに派遣することが可能となる。
【0029】
また、サーバ6は、SIPサーバとしての機能(SIPリクエストを処理する機能)を有するSIPエンティティであって、ユーザ・エージェントとして動作する通話装置4a,4bからのSIPリクエストの次の転送先を解決し、そのリクエストを転送するプロキシサーバ、SIPリクエストの次の転送先を解決し、そのリクエストを応答で送信するリダイレクトサーバ、REGISTERリクエストを受信し、ユーザ・エージェントである通話装置4a,4bのコンタクトアドレスを登録するサーバを含むユーザ・エージェント・サーバとして機能するだけで無く、ユーザ・エージェント・クライアントとしても機能する。
【0030】
図4には、このようなサーバ6の内部構成の一例が示されており、当該サーバ6は、通話装置位置特定部36と、通話装置位置記憶部38と、通話装置選択部40と、選択通話装置通報部42とを備えている。
通話装置位置特定部36は、各通話装置4a,4bから各アクセスポイント1AP,2AP,3APを経由して受信した電波強度測定データに基づいて、当該通話装置4a,4bの位置を特定する。このとき、各通話装置4a,4bの位置は、それを携帯する店員A,B(図1)の移動に従って変化するため、通話装置位置特定部36は、電波強度測定データを受信する毎に当該通話装置4a,4bの位置を最新のものに更新する。なお、通話装置4a,4bの位置は、必ずしも座標のように1点に定める必要は無く、例えば遊技場の1階フロア1F(図1)を複数の小エリアに分割し、エリア毎に該当する通話装置4a,4bの位置を特定しても良い。
【0031】
ここで、通話装置4a,4bの位置を特定する方法としては、例えば受信した電波強度測定データの電波強度に基づいて、当該通話装置4a,4bと各アクセスポイント1AP,2AP,3APとの間の距離を算出し、当該距離を半径とした各アクセスポイント1AP,2AP,3AP回りの仮想円同士の交点を求めれば良い。また、他の方法としては、例えば特開2002−159041号公報に開示された無線移動端末の位置検出方法を用いても良い。
【0032】
通話装置位置記憶部38は、通話装置位置特定部36が特定した各通話装置4a,4bの位置を記憶すると共に、電波強度測定データを受信する毎に最新のものに更新した当該通話装置4a,4bの位置を記憶する。
【0033】
通話装置選択部40は、ある遊技機PM(図1)の呼出ランプユニット2が操作されて、呼出信号が送信されたとき、当該呼出信号に対応する遊技機PM(以下、呼出遊技機PMという)の位置を特定する。続いて、当該呼出遊技機PMの位置と通話装置位置記憶部38に記憶されている各通話装置4a,4bの位置とを比較して、呼出遊技機PMに派遣するのに適した位置に所在する通話装置4a,4bを選択する。この場合、通話装置4a,4bの選択方法としては、例えば呼出遊技機PMに最も近い位置に所在する通話装置4a,4bを選択しても良いし、或いは、店員A,Bの呼出遊技機PMに対する経験や知識などに応じて最適な店員A,Bが携帯する通話装置4a,4bを選択しても良い。
【0034】
選択通話装置通報部42は、通話装置選択部40が選択した通話装置4a,4b(以下、選択通話装置4a,4bという)に対して、呼出遊技機PMから呼出信号を受信した旨を通報する。この場合、通報する方法としては、例えば選択通話装置4a,4bのスピーカ10(図2)に音声によるメッセージを送信しても良いし、或いは、スピーカ10から単純な音を発生させるようにしても良い。要するに、選択通話装置4a,4bを携帯している店員A,Bに呼出信号を受信した旨を知らせることができるような方法であれば、特に限定されない。
【0035】
一例として、選択通話装置通報部42にSIPフォン(IP電話)の発呼側端末(ユーザ・エージェント・クライアント)としての機能を持たせて、当該選択通話装置通報部42と選択通話装置4a,4bとの間でセッション管理を行う場合を想定する。この場合、選択通話装置通報部42には、各通話装置4a,4bの宛先情報(例えば、URI(Uniform Resource Identifier)、電話番号)を予め記録しておくことにより、該当する宛先情報に基づいてセッションが実行される。そして、双方間にセッションが確立したとき、例えば「第○○番台の遊技機から呼出がありました。対応願います。」といったような音声メッセージを選択通話装置(例えば4a)に送信し、スピーカ10から再生して通報する。これにより、選択通話装置4aを携帯している店員Aを呼出遊技機PMに派遣することが可能となる。
【0036】
なお、このような各種機能を有するサーバ6(図4)は、例えばコンピュータ、ワークステーションなどの情報処理装置として構成されており、その内部メモリであるROM44に上記各種機能を実行させるためのプログラムを記憶し、これをRAM46を作業領域としてCPU48によって実行することで、各通話装置4a,4bの位置を特定することができる。この場合、プログラムは、必ずしもROM44に記憶させる必要は無く、例えばASP(Application Service Provider)などの外部装置から提供されるようにしても良い。
【0037】
以下、本実施の形態のIP電話システムの動作例について、図5を参照して説明する。なお、当該動作説明に際し、遊技場の1階フロア1F内を2名の店員A,B(図1)が巡回しており、各店員A,Bが携帯する各通話装置(インカム)4a,4bは、全て電源が入った状態にある。そして、各通話装置(インカム)4a,4bは、一定時間毎に各アクセスポイント1AP,2AP,3APとの間で無線通信を行って、自端末の位置登録を繰り返している。
【0038】
この状態において、各アクセスポイント1AP,2AP,3APは、エリア内の各通話装置4a,4bに向けて電波を送信する(S1)。このときの電波は、各アクセスポイント1AP,2AP,3APが定期的に発信するビーコンでも良いし、或いは、他の目的のために発信する電波でも良い。
【0039】
各アクセスポイント1AP,2AP,3APから各通話装置4a,4bに送信された電波は、無線LANインターフェイス18を介して各アクセスポイント1AP,2AP,3APの電波強度測定部20(図3)に受信される。このとき、当該アクセスポイントの電波強度測定部20は、各通話装置4a,4bに対する電波強度を測定し(S2)、その測定結果を電波強度測定データとして記憶すると共に、その記憶した測定データをサーバ6に送信する(S3)。
【0040】
各アクセスポイント1AP,2AP,3APからサーバ6に送信された各電波強度測定データは、通話装置位置特定部36(図4)に受信される。このとき、通話装置位置特定部36は、各電波強度測定データに基づいて、その電波強度測定データを送信した通話装置4a,4bと各アクセスポイント1AP,2AP,3APとの間の距離を算出する(S4)。なお、この距離算出は、各通話装置4a,4b毎に実行される。
【0041】
また、通話装置位置特定部36は、算出した距離(各通話装置4a,4bと各アクセスポイント1AP,2AP,3APとの距離)に基づいて、当該通話装置4a,4bの位置を算出する(S5)。なお、この位置算出は、各通話装置4a,4b毎に実行される。以上、距離算出(S4)及び位置算出(S5)が実行されることで、各通話装置4a,4bの位置が特定される。
【0042】
続いて、通話装置位置記憶部38(図4)は、距離算出(S4)及び位置算出(S5)により特定された各通話装置4a,4bの位置を記憶する(S6)。この場合、上述の距離算出(S4)及び位置算出(S5)から位置記憶(S6)までの処理は、電波強度測定データを受信する毎に実行し、各通話装置4a,4bの位置を常に最新のものに更新することが好ましい。なお、上述の(S1)から(S6)までの処理は、一定時間毎に繰り返される。更に、通信トラフィックを考慮して、各アクセスポイント1AP,2AP,3APが測定した電波強度測定データに変更があった場合のみ、当該アクセスポイント1AP,2AP,3APから当該測定データをサーバ6へ送信し、当該サーバ6が上述の(S1)から(S6)までの処理をするようにしても良い。
【0043】
この状態において、ある遊技者が遊技機PMの呼出ランプユニット2(図1)を操作すると(S7)、当該呼出遊技機PMからサーバ6に呼出信号が送信される(S8)。そして、呼出遊技機PMからサーバ6に送信された呼出信号は、通話装置選択部40(図4)に受信される。このとき、通話装置選択部40は、処理(S6)において通話装置位置記憶部38に記憶された各通話装置4a,4bの位置と、呼出信号の送信元である呼出遊技機PMの位置とを比較し、呼出遊技機PMに派遣するのに適した位置に所在する通話装置4a,4bを選択する(S9)。続いて、通話装置選択部40は、選択通話装置(例えば4a)を特定する情報を選択通話装置通報部42に送信する。
【0044】
選択通話装置通報部42は、選択通話装置(例えば4a)を特定する情報に基づいて、当該選択通話装置(例えば4a)に向けて発呼し、通話接続を試みる接続開始処理を実行する(S10)。接続開始処理では、選択通話装置通報部42と選択通話装置(例えば4a)との間で、所定の通信規約(プロトコル)に従ったSIPリクエストの送受信処理(シグナリング処理)が実行される(S11)。具体的には、SIPメッセージの手順に従って、まず、選択通話装置通報部42から選択通話装置(例えば4a)に「INVITE(招待)」が送信され、このとき、選択通話装置(例えば4a)から「100 Trying(暫定応答)」「180 Ringing(呼び出し中)」「200 ok(成功応答)」を受信したとき、続いて、選択通話装置通報部42から選択通話装置(例えば4a)に「ACK(確認応答)」が送信される。これにより、通話接続が確立する(S12)。
【0045】
通話接続が確立したとき、選択通話装置通報部42は、選択通話装置(例えば4a)に呼出遊技機PMから呼出信号を受信した旨を通報する。例えば「第○○番台の遊技機から呼出がありました。対応願います。」といったような音声メッセージを選択通話装置(例えば4a)に送信し(S13)、スピーカ10から再生して通報する(S14)。これにより、選択通話装置4aを携帯している店員Aを呼出遊技機PMに派遣することが可能となる。なお、音声メッセージの送信は、各音声パケットをRTP(Real-time Transport Protocol)などの任意の通信規約に基づいて行われる。
【0046】
なお、上述した実施の形態では、各通話装置4a,4bと各アクセスポイント1AP,2AP,3APとの距離を算出するための電波強度の測定を各アクセスポイント1AP,2AP,3APに実行させる構成としたが、当該距離を算出するための電波強度の測定を各通話装置4a,4bに実行させる構成としても良い。この場合、各通話装置4a,4bは、受信可能なエリア内に所在するアクセスポイント1AP,2AP,3AP毎に電波強度を測定し、その電波強度測定データをサーバ6に送信する。このとき、サーバ6は、受信した電波強度測定データに基づいて、各通話装置4a,4bと各アクセスポイント1AP,2AP,3APとの距離を算出する。
【0047】
ところで、本実施の形態のIP電話システムにおいて、サーバ6は、各通話装置(例えば、インカム)4a,4bのプレゼンス情報を自動的に更新して表示する自動プレゼンス機能を有している。なお、このように、サーバ6をプレゼンスサーバとして構成する代わりに、当該サーバ6とは別に、プレゼンスサーバを新たに構築しても良い。ここで、プレゼンス情報とは、例えば各通話装置4a,4bの所在する位置(例えば、事務所の場合:×階×室、店舗の場合:×階×売場)や、そのときの各通話装置4a,4bの動作(例えば、電源ON/OFF、通話中、待機中、移動中)などの位置・動作情報として規定することができる。この場合、プレゼンス情報(位置・動作情報)は、所定タイミングでサーバ6に受け取られ、当該サーバ6の自動プレゼンス機能によって、サーバ6や各通話装置4a,4bのモニタM(図1)上に自動的に更新して表示させることができる。
【0048】
上述した本実施の形態では、IP電話システムが遊技場(パチンコホール)の1階フロア1F(図1)に、サーバ6が管理室等に構築されている場合を想定している。このため、プレゼンス情報(位置・動作情報)は、1階フロア1Fにおける各通話装置4a,4bの所在する位置、及び、そのときの各通話装置4a,4bの動作として規定される。この場合、各通話装置4a,4bの所在する位置は、例えば各アクセスポイント1AP,2AP,3APからの距離に対応した各通話装置4a,4bの位置情報として表示することができる。また、そのときの各通話装置4a,4bの動作は、例えば電源ON/OFF、通話中、巡回中、待機中などの各通話装置4a,4bの動作情報として表示することができる。
【0049】
また、このようなプレゼンス情報(位置・動作情報)の表示方法としては、例えば所定タイミング(即ち、一定時間毎)に繰り返される各通話装置4a,4bの位置登録に同期して、当該通話装置4a,4bの位置情報及び動作情報を自動的に更新して表示しても良い。具体的に説明すると、各通話装置4a,4bは、一定時間毎に各アクセスポイント1AP,2AP,3APとの間で無線通信を行って、自端末の位置登録を繰り返している。この位置登録では、図5に示された(S1)から(S6)までの処理により各アクセスポイント1AP,2AP,3APからの距離に応じた各通話装置4a,4bの位置が特定されて記憶される。
【0050】
このとき、サーバ6は、一定時間毎の位置登録に同期して、自動プレゼンス機能を実行し、各通話装置4a,4bの位置情報及び動作情報を自動的に更新して表示する。ここで、更新とは、直前の情報を現在(最新)の情報に新たに書き換えて表示する処理手順を指す。
【0051】
まず、各通話装置4a,4bの位置情報の表示処理では、サーバ6は、例えば、上記(S1)〜(S6)までの処理により記憶(特定)された各通話装置4a,4bと各アクセスポイント1AP,2AP,3APとの距離を算出する。次に、算出した距離を半径とした各アクセスポイント1AP,2AP,3AP回りの仮想円同士の交点を求める。続いて、その求めた交点に基づいて、各通話装置4a,4bの位置を特定する。そして、その特定した位置を視認可能な位置情報に変換し、サーバ6や各通話装置4a,4bのモニタM(図1)上に自動的に更新して表示する。
【0052】
一方、各通話装置4a,4bの動作情報の表示処理では、サーバ6は、上記(S1)〜(S6)までの処理により記憶(特定)された各通話装置4a,4bと各アクセスポイント1AP,2AP,3APとの通信状態の変化や距離の変化などに基づいて、現在、各通話装置4a,4bがどのような動作状態(例えば、電源ON/OFF、通話中、巡回中、待機中など)にあるか判定し、その判定した結果を視認可能な動作情報に変換し、サーバ6や各通話装置4a,4bのモニタM(図1)上に自動的に更新して表示する。
【0053】
電源ON/OFFの判定では、例えば、各通話装置4a,4bの電源が入っていなければ、サーバ6に対して位置登録を行うことができないため、当該位置登録が行われたとき、現在、各通話装置4a,4bが電源ON状態であると判定し、その判定結果としての動作情報をサーバ6や各通話装置4a,4bのモニタM(図1)上に自動的に表示すれば良い。
【0054】
また、通話中か否かの判定では、例えば、通話装置4a,4b同士の交信に際し、サーバ6のSIPサーバ機能によるセッション管理(確立・変更・切断)が実行されるため、この間、各通話装置4a,4bが通話中であると判定し、その判定結果としての動作情報をサーバ6や各通話装置4a,4bのモニタM(図1)上に自動的に表示すれば良い。
【0055】
また、巡回中か否かの判定では、例えば、各通話装置4a,4bの位置登録に際し上記(S1)〜(S6)までの処理が繰り返されている間、各アクセスポイント1AP,2AP,3APに対する各通話装置4a,4bの位置情報の時間経過に伴う変化を監視し、当該位置情報が変化しているとき、各通話装置4a,4bを携帯している店員A,Bが巡回中であると判定し、その判定結果としての動作情報をサーバ6や各通話装置4a,4bのモニタM(図1)上に自動的に表示すれば良い。
【0056】
また、待機中か否かの判定では、例えば、各通話装置4a,4bの位置登録に際し上記(S1)〜(S6)までの処理が繰り返されている間、各アクセスポイント1AP,2AP,3APに対する各通話装置4a,4bの位置情報の時間経過に伴う変化を監視し、当該位置情報が変化していないとき、各通話装置4a,4bを携帯している店員A,Bが待機中であると判定し、その判定結果としての動作情報をサーバ6や各通話装置4a,4bのモニタM(図1)上に自動的に表示すれば良い。
【0057】
なお、サーバ6(図4)において、自動プレゼンス機能によって各通話装置4a,4bの位置情報及び動作情報を自動的に更新して表示する処理手順は、例えば当該処理手順を実行するためのプログラム(即ち、各通話装置4a,4bの位置情報の表示処理プログラム、各通話装置4a,4bの動作情報の表示処理プログラム)をROM44に記憶し、その記憶したプログラムがRAM46を作業領域としてCPU48によって実行される。この場合、サーバ6に対するプログラムのインストールに代えて、例えば同様の処理手順を実行するための回路系を新たにサーバ6に増設しても良い。
【0058】
図6(a),(b)には、上述したような各通話装置4a,4bの位置情報及び動作情報の自動更新表示の一例が示されている。なお、同図(a),(b)には、遊技場の1階フロア1Fにおいて、店員Aが携帯する通話装置4a(図1)がアクセスポイント1APに最も近い位置に所在し、また、店員Bが携帯する通話装置4b(図1)がアクセスポイント2APに最も近い位置に所在することが特定された場合の位置情報の表示態様と、このときの各通話装置4a,4bの動作情報の表示態様が示されている。
【0059】
図6(a)では、位置情報の表示態様の一例として、店員Aの通話装置4aが、現在1階フロア1Fのアクセスポイント1AP付近に位置し、また、店員Bの通話装置4bが、現在1階フロア1Fのアクセスポイント2AP付近に位置していることがモニタM上に視認可能に表示されている。また、このときの各通話装置4a,4bの動作情報の表示態様の一例として、店員A,Bの通話装置4a,4bが、現在電源ON状態にあり、通話装置4aを携帯する店員Aがアクセスポイント1AP付近を巡回中、そして、通話装置4bを携帯する店員Bがアクセスポイント2AP付近で待機中であることがモニタM上に視認可能に表示されている。
【0060】
図6(b)では、各通話装置4a,4bの動作情報の表示態様の一例として、店員Bの通話装置4bが、現在電源ON状態、一方、店員Aの通話装置4aが、現在電源OFF状態にあり、通話装置4bを携帯する店員Bがアクセスポイント2AP付近で待機中であることがモニタM上に視認可能に表示されている。このとき、通話装置4bの位置情報の表示態様は、上記図6(a)と同様に実行されるが、通話装置4aの電源がOFF状態にあるため、現在、サーバ6に対して位置登録を行うことができない。
【0061】
この場合、サーバ6は、最後に位置登録を行った際の各アクセスポイント1AP,2AP,3APに対する通話装置4a,4bの位置を、当該通話装置4a,4bの位置情報としてモニタM上に視認可能に自動更新表示する。なお、かかる自動更新表示処理は、例えば当該処理を実行するためのプログラム(即ち、最後に位置登録を行った通話装置4a,4bの位置を自動更新表示するプログラム)をROM44に記憶し、その記憶したプログラムがRAM46を作業領域としてCPU48によって実行される。この場合、サーバ6に対するプログラムのインストールに代えて、例えば同様の処理を実行するための回路系を新たにサーバ6に増設しても良い。
【0062】
この後、再び通話装置4aの電源が入った場合(電源ON状態)、これに同期して当該通話装置4aの位置登録が行われた際に、サーバ6は、上記(S1)〜(S6)までの処理により、最も近いアクセスポイント1AP,2AP,3APに対する各通話装置4aの位置を視認可能な位置情報としてモニタM上に自動的に更新して表示する。これにより、例えば図6(a)に示すように、通話装置4aが、現在電源ON状態にあり、当該通話装置4bを携帯する店員Aがアクセスポイント1AP付近を巡回中であることがモニタM上に表示される。
【0063】
なお、図6(a),(b)では、文字による表示態様の一例を示したが、これに限定されることは無く、例えば記号やマーク、或いは、動画や図形など、各通話装置4a,4bの位置情報及び動作情報を管理する遊技場サイドの使用目的や使用環境に応じて任意の表示態様を設定することができる。
【0064】
以上、本実施の形態によれば、各通話装置4a,4bの所持者(店員A,B)が自ら手動操作によるプレゼンス情報の入力処理を行うこと無く、当該プレゼンス情報を自動的に更新して表示することができる。この場合、各通話装置4a,4bの現在のプレゼンス情報(位置・動作情報)をリアルタイムに把握して管理することができる。これにより、例えばある遊技機(呼出遊技機)PMの呼出ランプユニット2が操作されて呼出信号が送信されたとき、当該呼出遊技機PMに派遣するのに適した位置に所在する通話装置4a,4bを短時間に選択して特定することができる。この結果、特定した通話装置(例えば、4a)を携帯する店員Aを迅速に呼出遊技機PMに派遣することができる。
【0065】
この場合、従来では、手動操作でプレゼンス情報を登録・更新しているため、登録・更新ミスや登録・更新忘れなどの原因により、プレゼンス情報の信頼性に欠ける場合があったが、本実施の形態によれば、各通話装置4a,4bのプレゼンス情報を自動的に取得するようにしたことにより、信頼性の高いプレゼンス情報をモニタM上に表示させることができる。これにより、各通話装置4a,4bの管理や状況把握などを間違い無く適確に行うことができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、プレゼンス情報を自動的に更新して表示するようにしたことにより、遊技場(1階フロア1F)を巡回する店員A,Bは、プレゼンス情報の手動入力といった煩わしさから解放されるため、その分だけ例えば遊技場の巡回や、その他の担当別の職務に集中することができる。これにより、遊技場に来店した遊技者に対するサービスの向上を図ることができる。
【0067】
更に、本実施の形態によれば、プレゼンス情報を自動的に更新して表示するようにしたことにより、遊技場サイド(即ち、サーバ6)において、遊技場(1階フロア1F)を巡回する店員A,B全ての通話装置4a,4bの現在のプレゼンス情報を一括して管理することができる。これにより、各通話装置4a,4bの現在のプレゼンス情報(位置・動作情報)を当該通話装置4a,4b並びにサーバ6のモニタM上に漏れなく且つ正確に表示させることができる。
【0068】
また、本実施の形態において、例えばRF-ID(Radio Frequency Identification)を有する無線チップ(図示しない)を各通話装置4a,4bにそれぞれ設置したことにより、更に詳細なプレゼンス情報(位置・動作情報)を取得することができる。この場合、例えば、UHF(Ultra-High Frequency:300MHz〜3000MHzの周波数帯の極超短波)などの長距離読み取り可能なRF-IDを適用すると共に、当該RF-IDの読取用のアンテナ(図示しない)を各遊技島1PL,2PL(図1)にそれぞれ複数設置する。これにより、各アクセスポイント1AP,2AP,3APからの距離に対応した各通話装置4a,4bの位置情報だけで無く、更に、各アンテナを介してRF-IDの位置情報を読み取ることにより、「どの遊技島1PL,2PLの、どの遊技機PM付近に各通話装置4a,4bが位置する」といった詳細なプレゼンス情報を取得することができる。
【0069】
これにより、各通話装置4a,4bの現在のきめ細かで詳細なプレゼンス情報(位置・動作情報)を当該通話装置4a,4b並びにサーバ6のモニタM上に漏れなく且つ正確に表示させることができる。
例えば図7では、通常の位置情報の表示態様の一例として、店員Aの通話装置4aが、現在1階フロア1Fのアクセスポイント1AP付近に位置し、また、店員Bの通話装置4bが、現在1階フロア1Fのアクセスポイント2AP付近に位置していることがモニタM上に視認可能に表示されている。
【0070】
更に、このときの詳細な位置情報の表示態様の一例として、店員Aの通話装置4aが、現在遊技島1PLに設置されたCR×××機種の第○○番台遊技機付近に位置し、また、店員Bの通話装置4bが、現在遊技島2PLに設置されたCR×××機種の第○○番台遊技機付近に位置していることがモニタM上に視認可能に表示されている。
【0071】
そして、このときの各通話装置4a,4bの動作情報の表示態様の一例として、店員A,Bの通話装置4a,4bが、現在電源ON状態にあり、通話装置4aを携帯する店員Aがアクセスポイント1AP付近(詳細には、CR×××機種の第○○番台遊技機付近)を巡回中、そして、通話装置4bを携帯する店員Bがアクセスポイント2AP付近(詳細には、CR×××機種の第○○番台遊技機付近)で待機中であることがモニタM上に視認可能に表示されている。
【0072】
また、本実施の形態において、各アクセスポイント1AP,2AP,3APに対する通話装置4a,4bの位置情報、RF-IDの位置情報に加えて、IP-PBX(Private Branch eXchange)から得られる各通話装置4a,4bの位置情報などを相互に組み合わせることで、極めて正確なプレゼンス情報(位置・動作情報)を取得することができる。これにより、各通話装置4a,4bの現在の極めてきめ細かで詳細なプレゼンス情報(位置・動作情報)を当該通話装置4a,4b並びにサーバ6のモニタM上に漏れなく且つ正確に表示させることができる。
【0073】
なお、IP-PBXとは、IP網内において、IP電話としての端末(通話装置4a,4b)同士の回線交換を行う装置及びソフトウェアであり、IP電話(通話装置4a,4b)同士の内線網を実現すると共に、通常の公衆回線網とIP網との中継を実現する機能を有する。専用のハードウェアによって回線交換を行うものと、汎用のサーバでソフトウェアとして動作するものの2種類があり、いずれもIP-PBXを使った回線網は、IP網を利用することで、専用回線を敷設すること無く構築することができる。
【0074】
また、上述した実施の形態では、プレゼンス情報(位置・動作情報)を各通話装置4a,4bのモニタM上に表示させるタイミングとして、一定時間毎に繰り返される各通話装置4a,4bの位置登録に同期して行う場合を想定して説明したが、これに限定されることは無く、例えば位置登録以外の他のタイミングに同期して、プレゼンス情報を各通話装置4a,4bのモニタM上に表示させるように設定しても良い。
【0075】
ここで、位置登録以外の他のタイミングとしては、例えば各通話装置4a,4bの通話時(セッション開始時)、ある遊技機PMの呼出ランプユニット2が操作されて、呼出信号がサーバ6に送信されたとき、サーバ6から各通話装置4a,4bに一斉通報を行うときなど、比較的長い時間間隔を想定することができる。要するに、プレゼンス情報は、少なくとも各通話装置4a,4bを使用する際に、当該モニタM上に表示されるように設定すれば良い。
【0076】
なお、このような表示動作は、サーバ6において、例えば当該動作を実行するためのプログラム(例えば、各通話装置4a,4bを使用する際に、プレゼンス情報をモニタM上に表示するプログラム)をROM44に記憶し、その記憶したプログラムがRAM46を作業領域としてCPU48によって実行される。この場合、サーバ6に対するプログラムのインストールに代えて、例えば同様の手順を実行するための回路系を新たにサーバ6に増設しても良い。
【0077】
ところで、位置登録毎にプレゼンス表示させる場合には、その登録回数に応じて各通話装置4a,4bとの無線通信が繰り返されることになり、その分だけ当該通話装置4a,4bの電池が消耗する。これを回避するためには、例えば充電を頻繁に行ったり、或いは、予備電池を携帯しなければならない。そうなると、手間がかかり煩わしいだけで無く、予備電池の数だけIP電話システムの維持・構築コストが上昇してしまう。
【0078】
これに対して、ユーザが使用する通話装置4a,4bに対するプレゼンス情報の表示のタイミングを調整制御し、必要最小限に止めることにより、位置登録毎にプレゼンス表示する場合に比べて、各通話装置4a,4bとの無線通信の回数を大幅に減らすことができるため、その分だけ各通話装置4a,4bの電池の消耗を低減させることができる。これにより、例えば充電を頻繁に行ったり、或いは、予備電池を携帯する必要が無くなるため、手間もかからず、更に、IP電話システムの維持・構築コストも大幅に低減させることができると共に、通話環境を長期に亘って良好に維持することができる。
【0079】
また、本実施の形態のIP電話システムでは、通話装置4a,4b相互で交信する際に、いわゆるトランシーバ方式で通話を行うことができる。この通話方式では、発呼側が着呼側のプレゼンス情報を参照し、通話を希望する相手方を選択することにより、発呼側から着呼側への通話が可能となる。この場合、当該IP電話システムでは、図面上において2つの通話装置4a,4bが無線LAN接続された場合を想定しているため、発呼側(例えば、通話装置4a)では、上述した自動プレゼンス機能によって自端末のモニタM(図6(a))上に自動更新表示された着呼側(例えば、通話装置4b)のプレゼンス情報(位置・動作情報)に基づいて、通話相手(即ち、通話装置4b)を選択する。
【0080】
なお、通話相手を選択する方法としては、例えば、発呼側の通話装置4aに設けられた操作ボタン(図示しない)を操作してモニタM上に表示されている通話相手(即ち、着呼側の通話装置4b)のアイコン(図示しない)をクリックしたり、或いは、モニタMがタッチパネル式に構成されている場合には、その通話相手(即ち、通話装置4b)のアイコンをタッチすれば良い。要するに、通話を希望する相手を選択することができる方法であれば、その選択方法に制限は無い。
【0081】
このとき、発呼側(通話装置4a)から送信された選択データ(通話相手を選択した旨を示す信号)は、データ中継装置としてのアクセスポイント1AP,2AP,3AP(図3)を経由して、SIPサーバ機能を有するサーバ6(図4)に受信される。ここで、例えば、通話装置位置特定部36は、選択データを送信した通話装置4aと通話相手の通話装置4bをそれぞれ特定し、次に、選択通話装置通報部42は、特定した各通話装置4a,4bに向けて発呼する。これにより、当該発呼側の通話装置4aと着呼側の通話装置4bとの通話接続を試みる接続開始処理が実行される。
【0082】
接続開始処理では、所定の通信規約(プロトコル)に従ったSIPリクエストの送受信処理(シグナリング処理)がサーバ6を経由して実行される。具体的には、SIPメッセージの手順に従って、まず、発呼側(通話装置4a)から着呼側(通話装置4b)に「INVITE(招待)」が送信され、続いて、着呼側(通話装置4b)から「100 Trying(暫定応答)」「180 Ringing(呼び出し中)」「200 ok(成功応答)」を受信したとき、発呼側(通話装置4a)から着呼側(通話装置4b)に「ACK(確認応答)」が送信される。これにより、発呼側(通話装置4a)と着呼側(通話装置4b)との通話接続が確立(セッション確立)する。
【0083】
セッションが確立すると、発呼側の通話装置4aは、着呼側の通話装置4bに向けて通話を開始可能な状態に制御され、それ以降、所定の通話操作(例えば、通話ボタンの操作など)を行うことにより、発呼側から着呼側へ通話を行うことができる。
【0084】
ところで、上述したようなトランシーバ方式の通話では、発呼側から着呼側に1対1の通話(図面上における通話装置4a,4b相互間の通話)、或いは、1対多の同時通話(例えば、通話装置4a(又は4b)からその他の複数の通話装置への同時通話)が可能となるが、いずれも、クライアント(通話装置)相互間での情報のやり取りに限定されている。これは、既存のIP電話システムは、所定のユーザが主体的に通話を開始し、当該ユーザグループ内での1対1或いは1対多の通話を可能にすることを前提として構築されているからである。そうなると、例えば緊急の業務連絡を行う際に、ホストであるサーバ6が自動生成した情報を、当該サーバ6から任意に選択した通話装置4a,4b(クライアント)に対して一斉通報することはできない。
【0085】
そこで、本実施の形態のIP電話システムは、複数の通話装置4a,4b(クライアント)の中から任意に選択した通話装置4a,4bに対して、サーバ6(ホスト)から所定内容の情報を強制的に一斉通報するための一斉通報手段を備えている。この場合、一斉通報手段は、サーバ6(ホスト)からの一斉通報に先立って、任意に選択した通話装置4a,4bと当該サーバ6(ホスト)との間で接続開始処理を強制的に実行して通話接続を確立させる。
【0086】
ここで、一斉通報する情報内容は、例えばIP電話システムの使用目的や使用環境に応じて、任意に選択した通話装置4a,4b毎に全て同一内容であっても良いし、或いは、当該通話装置4a,4b毎に互いに異なる内容であっても良い。また、情報内容の一斉通報のタイミングは、例えばIP電話システムの使用目的や使用環境に応じて、任意に選択した通話装置4a,4bに対して同時であっても良いし、或いは、当該通話装置4a,4b毎に時間差を持たせても良い。なお、情報内容としては、例えば音声情報や文字情報、或いは、画像情報など各種のものを適用することができるが、ここでは一例として、緊急の業務連絡を行う際にサーバが自動生成した音声情報(例えば、予め録音してある会話や音声合成など)を想定する。
【0087】
このような効果を実現するために、当該IP電話システムにおいて、サーバ6には、一斉通報手段として、任意に選択した通話装置4a,4bに対して接続開始処理を強制的に実行するためのメッセージを送信するメッセージ送信機能が付加されている。また、各通話装置4a,4bには、一斉通報手段として、送信されたメッセージに基づいて、サーバ6に接続開始処理を強制的に実行させて通話接続を確立させ、当該サーバ6からの一斉通報を着呼可能な状態に制御する通話制御部25が設けられている。
【0088】
サーバ6において、メッセージ送信機能の実行手順としては、まず、例えば上述の自動プレゼンス機能によって管理されているプレゼンス情報(図6(a),(b))に基づいて、音声情報を一斉通報する通報相手を選択する。ここでは、2つの通話装置4a,4bが無線LAN接続された場合を想定しているため、これら各通話装置4a,4bの中から通報相手を選択する。この場合、選択方法としては、通話装置4a,4bの全てを選択しても良いし、いずれか一方を選択しても良い。要するに、一斉通報する際の状況に応じて通話装置4a,4bを任意に選択することができるが、ここでは一例として、通話装置4a,4bの全てを選択した場合を想定する。
【0089】
なお、このような選択実行手順は、ROM44に予め記憶されたプログラム(例えば、選択手順を実行させるプログラム)がRAM46を作業領域としてCPU48によって実行される。この場合、サーバ6に対するプログラムのインストールに代えて、例えば同様の処理手順を実行するための回路系を新たにサーバ6に増設しても良い。
【0090】
続いて、メッセージ送信機能の実行手順としては、選択した各通話装置4a,4bに対して接続開始処理を強制的に実行するためのメッセージを送信する。この場合、かかるメッセージ送信には、それぞれの通話装置4a,4bに予め互いに異なる電話番号(例えば、内線番号)を割り振っておき、当該電話番号宛にいわゆるショートメッセージを送信するSMS(Short Message Service)を適用する。これにより、サーバ6から各通話装置4a,4bの内線番号宛に、ショートメッセージをリアルタイムに且つダイレクトに送信することができる。
【0091】
なお、ショートメッセージの送信方法としては、例えば選択通話装置通報部42にショートメッセージサーバとしての機能を付加する。これにより、当該選択通話装置通報部42からIP−PBX(データ中継装置)を介して各通話装置4a,4bの内線番号宛に、ショートメッセージをリアルタイムに且つダイレクトに送信することができる。この場合、ショートメッセージの内容は、例えばIP電話システムの使用目的や使用環境に応じて任意に設定されるため、ここでは特に限定しない。
【0092】
一方、各通話装置4a,4bにおいて、通話制御部25は、送信されたショートメッセージに基づいて、サーバ6に接続開始処理を強制的に実行させて通話接続を確立させる要求メッセージを送信する。この場合、当該要求メッセージは、無線LANインターフェイス18からIP−PBX(データ中継装置)を経由してサーバ6(図4)に受信される。ここで、例えば、通話装置位置特定部36は、要求メッセージを送信した各通話装置4a,4bをそれぞれ特定し、次に、選択通話装置通報部42は、特定した各通話装置4a,4bに向けて発呼する。これにより、当該発呼側の選択通話装置通報部42と着呼側の各通話装置4a,4bとの通話接続を試みる接続開始処理が強制的に実行される。
【0093】
接続開始処理では、選択通話装置通報部42にSIPフォン(IP電話)の発呼側端末(ユーザ・エージェント・クライアント)としての機能を持たせることにより、当該選択通話装置通報部42と各通話装置4a,4bとの間で、所定の通信規約(プロトコル)に従ったSIPリクエストの送受信処理(シグナリング処理)が実行される。この場合、選択通話装置通報部42には、各通話装置4a,4bの宛先情報(例えば、URI(Uniform
Resource Identifier)、電話番号)を予め記録しておくことにより、該当する宛先情報に基づいてセッションが実行される。
【0094】
具体的には、SIPメッセージの手順に従って、まず、発呼側(選択通話装置通報部42)から着呼側(通話装置4a,4b)に「INVITE(招待)」が送信され、続いて、着呼側(通話装置4a,4b)から「100 Trying(暫定応答)」「180 Ringing(呼び出し中)」「200 ok(成功応答)」を受信したとき、発呼側(選択通話装置通報部42)から着呼側(通話装置4a,4b)に「ACK(確認応答)」が送信される。これにより、発呼側(選択通話装置通報部42)と着呼側(通話装置4a,4b)との通話接続が確立(セッション確立)する。
【0095】
セッションが確立したとき、各通話装置4a,4bは、通話制御部25によって、サーバ6からの一斉通報を着呼可能な待受け状態に制御される。この場合、待受け状態への制御タイミングは、例えば、セッションの確立前に予め制御しても良いし、或いは、セッションの確立と同時に制御しても良い。要するに、セッションが確立し、サーバ6から所定内容の音声情報が一斉通報されるまでに、当該一斉通報を着呼可能な待受け状態に制御されていれば良い。
【0096】
そして、各通話装置4a,4bが待受け状態に制御された状態において、サーバ6から一斉通報された音声情報は、アクセスポイント(データ中継装置)1AP,2AP,3APを経由して各通話装置4a,4bに受信され、特別な着呼操作(例えば、着呼ボタンの操作)を行うこと無く、自動的にスピーカ10(図2)から音声出力される。
【0097】
以上、本実施の形態によれば、選択した通話装置4a,4bに所定内容の音声情報を強制的に一斉通報することができるため、例えば緊急の業務連絡を行う際に、当該通話装置4a,4bを携帯する店員A,Bに所定内容の音声情報を自動通報することができる。これにより、例えば緊急時における各種対応(例えば、呼出遊技機PMへの各店員A,Bの派遣、各店員A,Bによる遊技者の非難誘導など)の迅速化及び適確化を図ることが可能となる。
【0098】
また、本実施の形態によれば、任意に選択した複数の通話装置4a,4bに対して確実に一斉通報を行うことができるため、IP電話システム全体としての通話接続の利便性や効率性を向上させることができる。これにより、通話装置4a,4bを携帯する店員A,Bをリアルタイムに統括して管理することができる。
【0099】
更に、本実施の形態によれば、現在の通話装置4a,4bの状態の如何を問わず、選択した通話装置4a,4bに対して所定内容の音声情報を強制的に一斉通報することができる。この場合、現在の通話装置4a,4bの状態としては、例えば図6(c)に示すように通話装置4a,4b相互間で話中のため他者からの通話を着呼できない状態や、サーバ6との間で接続開始処理が実行されていない状態などを想定することができる。
【0100】
ここで、通話装置4a,4bが相互に話中(図6(c))の場合、他者から通報された音声情報を着呼することはできない。しかしながら、ショートメッセージは、サーバ6から各通話装置4a,4bの内線番号宛にリアルタイムに且つダイレクトに送信することができる。このとき、当該ショートメッセージを受信した通話制御部25が、サーバ6にセッションを確立させ、当該通話装置4a,4bを待受け状態に制御することにより、サーバ6から一斉通報された音声情報をスピーカ10(図2)から自動的に音声出力させることができる。
【0101】
また、上述した実施の形態では、現在の通話装置4a,4bの状態の如何を問わず、各通話装置4a,4bの内線番号宛にショートメッセージを送信し、セッション確立と待受け制御を行う手順を想定したが、これに限定されることは無く、現在の通話装置4a,4bの状態に応じて手順を変更するようにしても良い。例えば、話中(図6(c))の通話装置4a,4bとそうでない通話装置(図6(a))とが混在した状況において、話中の通話装置4a,4bに対しては、ショートメッセージを送信し、セッション確立と待受け制御を行うと共に、それ以外の通話装置に対しては、ショートメッセージを送信すること無く、セッション確立と待受け制御だけで対処する。これにより、効率よくサーバ6から各通話装置4a,4bに対して一斉通報を行うことができる。
【0102】
なお、上述した実施の形態では、遊技場(パチンコホール)の1階フロア1F内に構築されたIP電話システムを想定して説明したが、これに限定されることは無く、複数階フロアから成る遊技場にも本発明のIP電話システムを構築することができる。この場合、各フロアを巡回する店員が携帯するIP電話(通話装置)のプレゼンス情報に基づいて、フロアの異なる通話装置を選択した後、その選択した通話装置の内線番号宛にサーバ6からショートメッセージを送信し、当該通話装置とサーバとのセッション確立、並びに当該通話装置の待受け状態への制御を行う。これにより、フロアの異なる通話装置に対して所定内容の音声情報を強制的に一斉通報することができる。なお、他の構成や効果は、上述した実施の形態と同様であるため、その説明は省略する。
【0103】
また、上述した実施の形態では、1箇所の遊技場(パチンコホール)に構築したIP電話システムを想定して説明したが、これに限定されることは無く、例えば図8に示すように、複数の遊技場にそれぞれ同様のシステムを構築し、これらのシステムをインターネットINTを介して相互に交信(無線通信)させるようにしても良い。なお、図8には、IP電話システムが構築された通信システムの構成例が示されているが、当該システムは、かかる構成例に限定されることは無く、例えば当該システムの使用目的や使用環境に応じて任意に構成することができる。
【0104】
図8の通信システムにおいて、遊技場の本店LANは、インターネットINTを介して複数(図面では3つ)のA,B,C支店LANと交信可能に構築されている。一例として、各遊技場は、3階フロア1F,2F,3Fで構成され、各フロア1F,2F,3Fには、3つのアクセスポイント1AP,2AP,3APが設置されている。また、各フロア1F,2F,3Fを巡回する店員(図示しない)は、上述した実施の形態と同様の機能を有するIP電話としての通話装置(例えば、インカム)4を携帯している。なお、本店LAN及び各支店LANは、互いに同一のシステム構成となっているため、以下、本店LANのシステム構成について説明し、各支店LANのシステム構成については、その説明を省略する。
【0105】
この場合、本店LANには、上述した実施の形態と同様の機能を有するサーバ6に加えて、更に、通話装置4の起動時に動的にIPアドレスを割り当て、終了時にIPアドレスを回収する機能を有するDHCPサーバ50と、ドメイン名とIPアドレスとを対応付けて管理するDNSサーバ52と、ボタン操作によって複数の通話を切り替える通話システム(Push To Talk)をIP電話で実現する機能を有するPoCサーバ54と、RF-IDから取得したデータを格納する機能を有する位置情報管理サーバ56とを備えており、これら各サーバによってDMZ(DeMilitarized Zone)が構成されている。
【0106】
また、このようなDMZ及びこれに接続されたアクセスポイント1AP,2AP,3APから成る本店LANは、ファイアウォールFWからルータRを介してインターネットINTに中継させることができるようになっている。
このようなシステム構成によれば、本店LAN及び例えばA支店LANのサーバ6によって、互いに相手方の各通話装置4のプレゼンス情報に基づいて、店舗の異なる通話装置4を選択した後、その選択した通話装置4の内線番号宛にサーバ6からショートメッセージを送信し、当該通話装置4とサーバ6とのセッション確立、並びに当該通話装置4の待受け状態への制御を行う。これにより、店舗の異なる通話装置4に対して所定内容の音声情報を強制的に一斉通報することができる。
【0107】
なお、上述した実施の形態では、IP電話システムを遊技場(例えば、パチンコホール)に構築した場合を想定したが、これに限定されることは無く、例えば宿泊施設(ホテル)、病院、デパート、その他の商工業施設にも、本発明のIP電話システムを適用することにより、従業員が携帯する通話装置のプレゼンス情報を自動的に更新して表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の一実施の形態に係るIP電話システムが遊技場に構築された構成例を示す図。
【図2】通話装置の内部構成を示す図。
【図3】アクセスポイントの内部構成を示す図。
【図4】サーバの内部構成を示す図。
【図5】IP電話システムの動作例を示すフロー図。
【図6】(a)は、通話装置のプレゼンス情報の表示例を示す図、(b)は、通話装置のプレゼンス情報の他の表示例を示す図、(c)は、通話装置のプレゼンス情報の他の表示例を示す図。
【図7】RF-IDを有する無線チップが設置された通話装置のプレゼンス情報の表示例を示す図。
【図8】本発明の一実施の形態に係るIP電話システムがインターネットを介して相互に結ばれた構成例を示す図。
【符号の説明】
【0109】
1AP,2AP,3AP データ中継装置
4a,4b 通話装置(クライアント)
6 サーバ(ホスト)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して相互に通信することが可能な複数の通話装置と、
前記通話装置と通話する際の接続開始処理を実行すると共に、前記通話装置との通話に際し、当該通話装置との間で送受信されるデータを制御するサーバとを有するIP電話システムであって、
前記通話装置の中から任意に選択した通話装置に対して、所定内容の情報を強制的に一斉通報するための一斉通報手段を備えていることを特徴とするIP電話システム。
【請求項2】
前記一斉通報手段は、前記一斉通報に先立って、前記任意に選択した通話装置と前記サーバとの間で前記接続開始処理を強制的に実行して通話接続を確立させることを特徴とする請求項1に記載のIP電話システム。
【請求項3】
前記サーバには、前記一斉通報手段として、前記任意に選択した通話装置に対して前記接続開始処理を強制的に実行するためのメッセージを送信するメッセージ送信機能が付加されており、
前記通話装置には、前記一斉通報手段として、前記送信されたメッセージに基づいて、前記サーバに前記接続開始処理を強制的に実行させて通話接続を確立させ、当該サーバからの前記一斉通報を着呼可能な状態に制御する通話制御部が設けられていることを特徴とする請求項2に記載のIP電話システム。
【請求項4】
前記通話装置と前記サーバとの間でデータが送受信される際、当該データを中継するデータ中継手段が備えられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のIP電話システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−49822(P2009−49822A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−215343(P2007−215343)
【出願日】平成19年8月21日(2007.8.21)
【出願人】(598098526)アルゼ株式会社 (7,628)
【Fターム(参考)】