説明

IP電話装置、安否確認システム

【課題】毎日定期的に行う血圧測定や血糖測定の結果である健康測定情報を用いることで、より手軽に日々の安否確認が行えるIP電話装置及び安否確認システムの提供を目的としている。
【解決手段】IP電話装置100が、健康測定を行う時間を設定できるタイマー設定手段122と、健康測定を行う時間になったことを知らせる催促手段123と、健康測定を行った結果からなる健康測定情報を入力できる測定情報入力手段124と、健康測定情報の入力の有無により所定の連絡先へ通報する安否情報通報手段126と、を備えることにより、健康測定情報を特定の時間に確実に得ることができるとともに、その健康測定情報の有無により所定の連絡先へ通報が行われることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IPネットワークに接続されたIP電話装置、およびIP電話装置を用いた安否確認システムに関し、特に、健康測定の結果である健康測定情報を用いて安否確認を行うIP電話装置および安否確認システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年一人で暮らす老人の数が増加してきている。その為、一人暮らしの老人の安否確認が必要になってきている。このような老人など、在宅者の安否確認に関する方法として、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。これは、家庭内にある電気製品の操作情報をもとにした安否確認の方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−307260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている安否確認は、電気製品の操作情報をもとにしている。具体的には特許文献1の段落「0009」などに記載されているが、電源コードを電源に接続する操作や、電気製品に配設されたスイッチのプッシュ操作の情報を用いた安否確認となっている。
【0005】
しかしながら、電気製品の操作情報をもとにした安否確認を行う場合、ユーザが毎日特定の時間に電気製品の操作を行う保障はない。したがって安否の通報を自動化しても、通報までに特定の時間的余裕を設定しておかなければ、ユーザに問題が発生していなくても電気製品の操作が遅れたことにより、問題が発生したという誤報が行われてしまう可能性がある。
【0006】
また、電気製品は一般的に夏場や冬場で使用する種類や時間が大きく異なる。例えば特許文献1のような電気ポットであれば、夏場は全く使用されなかったり、冬場に比べ使用頻度が極端に下がってしまったりすることが起こりうる。この場合、ユーザは使用する意思がなくても、安否確認のためにわざわざ電気製品を使用しなければならない、ということも考えられる。
【0007】
さらには、特許文献1の安否確認のシステムによると、電気製品の他に、外部との通信手段を備えた集中管理部が必要なる。このような安否確認のシステムは非常に大掛かりなものになってしまうことが考えられる。
【0008】
そこで本発明は、毎日定期的に行う血圧測定や血糖測定の結果である健康管理情報を用いることで、より手軽に日々の安否確認が行えるIP電話装置及び安否確認システムの提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、IPネットワークを使った通話が可能なIP電話装置であって、健康測定を行う時間を設定できるタイマー設定手段と、健康測定を行う時間になったことを知らせる催促手段と、健康測定を行った結果からなる健康測定情報を入力できる測定情報入力手段と、健康測定情報の入力の有無により所定の連絡先へ通報する安否情報通報手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかるIP電話装置であって、前記前記催促手段は、複数回にわたって健康測定を行う時間になったことを知らせることができることを特徴とする。
【0011】
また本願の請求項3にかかる発明は、請求項1または2にかかるIP電話装置であって、 複数の健康測定の項目から特定の健康測定を設定できる測定項目設定手段を備えていることを特徴とする。
【0012】
また本願の請求項4にかかる発明は、請求項1から3のいずれかにかかるIP電話装置であって、前記測定情報入力手段は、健康測定を行うヘルスケア装置から直接健康測定情報が入力されることを特徴とする。
【0013】
また本願の請求項5にかかる発明は、請求項1から4のいずれかにかかるIP電話装置であって、健康測定に費やす期間を設定できる測定実施期間設定手段を備えていることを特徴とする。
【0014】
また本願の請求項6にかかる発明は、IPネットワークを使った通話が可能なIP電話装置を備える安否確認システムであって、前記IP電話装置は、健康測定を行った結果からなる健康測定情報を入力できる測定情報入力手段を備え、前記安否確認システムは、健康測定を行う時間を設定できるタイマー設定手段と、健康測定を行う時間になったことを知らせる催促手段と、健康測定情報を記憶できる測定結果保存手段と、を備えていることを特徴とする。
【0015】
また本願の請求項7にかかる発明は、請求項6にかかる安否確認システムであって、前記前記催促手段は、複数回にわたって健康測定を行う時間になったことを知らせることができることを特徴とする。
【0016】
また本願の請求項8にかかる発明は、請求項6または7にかかる安否確認システムであって、前記安否確認システムは、複数の健康測定の項目から特定の健康測定を設定できる測定項目設定手段を備えていることを特徴とする。
【0017】
また本願の請求項9にかかる発明は、請求項6から8のいずれかにかかる安否確認システムであって、前記測定情報入力手段は、健康測定を行うヘルスケア装置から直接健康測定情報が入力されることを特徴とする。
【0018】
また本願の請求項10にかかる発明は、請求項6から9のいずれかにかかる安否確認システムであって、前記安否確認システムは、健康測定に費やす期間を設定できる測定実施期間設定手段を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1にかかる発明においては、IPネットワークを使った通話が可能なIP電話装置であって、健康測定を行う時間を設定できるタイマー設定手段と、健康測定を行う時間になったことを知らせる催促手段と、健康測定を行った結果からなる健康測定情報を入力できる測定情報入力手段と、健康測定情報の入力の有無により所定の連絡先へ通報する安否情報通報手段と、で構成されている。
【0020】
このような構成にすることにより、設定された時間になると、健康測定を行うよう催促されるので、健康測定を忘れることなく実施することでき、また健康測定情報の入力の有無によって所定の連絡先へ安否の通報が行われるので、毎日定期的な安否の情報を知らせることができる。
【0021】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる発明において、例えば、たまたま健康測定の時間になっているとの催促に気づかなかったとしても、何度か催促が行われるので、ユーザが健康測定を忘れるということをより確実に防ぐことができる。
【0022】
請求項3にかかる発明においては、請求項1または2にかかる発明において、ユーザにとって必要な健康測定の項目を選択することが可能となる。
【0023】
請求項4にかかる発明においては、請求項1から3にかかる発明において、ユーザが、わざわざ健康測定情報を入力する必要がないので、入力ミス等を防ぐことが可能となる。
【0024】
請求項5にかかる発明においては、請求項1から4にかかる発明において、健康測定によって測定に費やす時間が変ってくるので、測定項目によって自由に測定に費やす時間を設定することができ、ユーザが安心して測定を行うことが可能となる。
【0025】
請求項6にかかる発明においては、IPネットワークを使った通話が可能なIP電話装置を備える安否確認システムであって、前記IP電話装置は、健康測定を行った結果からなる健康測定情報を入力できる測定情報入力手段を備え、前記安否確認システムは、健康測定を行う時間を設定できるタイマー設定手段と、健康測定を行う時間になったことを知らせる催促手段と、健康測定情報を記憶できる測定結果保存手段と、を備えている。
【0026】
このような構成にすることにより、設定された時間になると、健康測定を行うよう催促されるので、健康測定を忘れることなく実施することでき、また健康測定情報が記憶されている測定結果保持手段にアクセスすることで、健康測定情報の更新の有無などをもとにユーザの安否を確認することができる。
【0027】
請求項7にかかる発明においては、請求項6にかかる発明において、例えば、たまたま健康測定の時間になっているとの催促に気づかなかったとしても、何度か催促が行われるので、ユーザが健康測定を忘れるということをより確実に防ぐことができる。
【0028】
請求項8にかかる発明においては、請求項6または7にかかる発明において、ユーザにとって必要な健康測定の項目を選択することが可能となる。
【0029】
請求項9にかかる発明においては、請求項6から8にかかる発明において、ユーザが、わざわざ健康測定情報を入力する必要がないので、入力ミス等を防ぐことが可能となる。
【0030】
請求項10にかかる発明においては、請求項6から9にかかる発明において、健康測定によって測定に費やす時間が変ってくるので、測定項目によって自由に測定に費やす時間を設定することができ、ユーザが安心して測定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明を適用した実施例である安否確認システムの全体図である。
【図2】本発明を適用した実施例であるIPテレビ電話装置のブロック図である。
【図3】本発明の実施例におけるIPテレビ電話装置に追加された機能を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施例で、IPテレビ電話装置の初期設定の動作を示すフロー図である。
【図5】本発明の実施例で、IPテレビ電話装置の動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術的思想を具体化するためのIP電話装置およびIP電話装置を用いた安否確認システムを例示するものであって、本発明をこのIP電話装置およびIP電話装置を用いた安否確認システムに特定することを意図するものではなく、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載によって定められるものである。
【実施例】
【0033】
図1は、本発明のIP電話装置を含む安否確認システム全体の構成を示すブロック図である。本実施例において、この安否確認システム10はIPテレビ電話装置100、有線LAN101、IP電話ルータ102、ブロードバンドルータ103、ゲートウェイ104、IP電話網105、インターネット106、PSTN網107(=Public Switched Telephone Network:公衆電話交換網)、及び加入者電話装置108、ヘルスケア装置109を含むように構成されている。
【0034】
本発明のIPテレビ電話装置100は有線LAN101に接続され、有線LAN101は、IP電話ルータ102を介してIP電話網105に、ブロードバンドルータ103を介してインターネット106に、ゲートウェイ104を介してPSTN網107にそれぞれ接続されることにより、通信が可能である。なお、IPテレビ電話装置100の内部構造の詳細については後述する。
【0035】
有線LAN101を構成する物理的な手段としては、例えばツイストペアケーブルを用いた10BASE−T(IEEE802.3iとして標準化)や100BASE−TX(IEEE802.3uとして標準化)等があげられる。
【0036】
IP電話ルータ102、及びブロードバンドルータ103は、複数のIPネットワークを相互接続するためのネットワーク中継装置である。具体的には、OSI(Open Systems Interconnection)参照モデルでいうネットワーク層(第3層)やトランスポート層(第4層)の一部のプロトコルを解析して転送を行う。
【0037】
本実例では、IP電話ルータ102は有線LAN101とIP電話網105との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。またブロードバンドルータ103は、有線LAN101とインターネット106との二つのIPネットワークを相互に接続する役割を持つ。
【0038】
ゲートウェイ104は、プロトコル体系が異なるネットワーク間を相互接続するためのプロトコル変換器である。ゲートウェイ104は、例えば、有線LAN101とPSTN網107とを接続し、SIP等のシグナリングプロトコルを用いてシグナル変換を行うことにより、両ネットワーク間での通信を可能とする。
【0039】
IP電話網105は、電話網の一部もしくは全てにVoIP(Voice over Internet Protocol)技術を利用した通信網であり、用いる通信回線としてはFTTH(Fiber To The Home)やADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)等の、いわゆるブロードバンド回線が利用される。なお、IP電話網105にはIPテレビ電話装置100’が複数接続されているが、図1では簡単のため1台のみしか描写されていない。
【0040】
なおVoIPとは、音声を各種符号化方式で圧縮した後にパケットに分割し、IPネットワークでリアルタイム伝送する技術である。これによりIP電話網105は音声通話サービスの他、画像の送受信を行うテレビ電話サービス等が提供可能となる。
【0041】
インターネット106は、通信プロトコルによるネットワークを相互接続して構築された広域通信網である。大小様々なコンピュータネットワークを相互に連結させて、国際的な通信ネットワークが構築されている。通信プロトコルとしては主に、TCP/IPが標準的なプロトコルとして採用されている。
【0042】
PSTN網107は、一般の加入者電話回線ネットワークである。末端に加入者電話装置108を接続し、回線交換方式で通信相手に接続して音声通話を行うのに用いられる。加入者電話装置108は、電話加入者がPSTN網107を用いてPSTN網に接続された他の加入者電話装置や有線LAN101やIP電話網105に接続されたテレビ電話装置と音声通話を行うための電話装置である。
【0043】
ヘルスケア装置109は、血圧計や血糖計、体温計、体重計などの、家庭内で計測できる健康管理のための測定器である。ユーザは必要なヘルスケア装置109を用いて日々の測定を行うことになる。そして詳細は後述するが、日々の測定結果がIPテレビ電話装置100へ入力される。
【0044】
次に、図2を参照して本実施例のIPテレビ電話装置100について説明する。なお、図2は本実施例に係るIPテレビ電話装置100の構成を示す内部ブロック図である。IPテレビ電話装置100は、制御部110、マイク120、スピーカ130、カメラ140、表示部150、入力部160、メモリ170、LANインターフェース180を備えて構成される。
【0045】
制御部110は、CPU、RAM、ROMを備えて構成されるマイクロプロセッサであり、RAMやROMに記憶された制御プログラムをCPUにおいて実行することにより、以下に説明する各手段の動作を制御・統括する。
【0046】
制御部110は、通信制御手段111、音声信号処理手段112、画像・映像信号処理手段113、表示制御手段114、データ制御手段115、時刻制御手段116、を備えて構成される。
【0047】
通信制御手段111は、IPテレビ電話装置100が他のIPテレビ電話装置100’と通信を行う際の通信制御を行うためのものである。これには、シグナリングとデータの送受信とに関わる制御が含まれる。シグナリングには通信セッションの生成、確立、切断が含まれる。具体的には、ユーザが入力部160を操作して電話番号等を入力した際に、IP電話網105に接続されたSIPサーバ(図示せず)等に接続して通話相手先のIPテレビ電話装置100’の位置情報を入手するとともに、通話相手先のIPテレビ電話装置100’を呼出し、通話相手先が応答した場合に通信経路を確立することと、通話が終了した際にセッションの終了処理を行うことが含まれる。
【0048】
データの送受信に関わる制御には、音声データ、映像データ、画像データをパケットに分割して送信するIPパケット処理と、有線LAN101を介して受信したパケットを、正しい順序に並べ替えるとともに実際のデータ部分を抽出して組立てる処理とが含まれる。
【0049】
データをパケットとして送信する際には、所定データ長に分割された各データに送信元、宛先、順序、送信時刻、用途(IP電話の音声データ、映像データ、画像データ)を示すヘッダを付加する。また、受信したパケットは、ヘッダ部分を参照することによって、音声、映像、画像ごとに正しい順序で組立てられてゆき、音声信号処理手段112、画像・映像信号処理手段113に出力される。
【0050】
音声信号処理手段112は、マイク120から入力された音声をA/D変換し、次いで音声コーデックによって圧縮処理し、圧縮されたデータを通信制御手段111に出力する。また、通信制御手段111において組立てられた音声データを音声コーデックによって伸張処理し、次いでD/A変換してスピーカ130から出力する。
【0051】
画像・映像信号処理手段113は、映像コーデックを備えており、カメラ140において撮影された映像を圧縮処理し、圧縮されたデータを通信制御手段111に出力する。また、通信制御手段111において組立てられた映像データを伸張処理し、表示制御手段114に出力する。また、画像・映像信号処理手段113は、画像コーデックを備えており、通信制御手段111において組立てられた画像データを伸張処理し、メモリ(制御部110のRAM)に展開する。
【0052】
表示制御手段114は、カメラ140及び画像・映像信号処理手段113から出力された映像データ及びメモリ(制御部110のRAM)に展開された画像データを表示部150に表示可能な所定の態様に処理し、表示部150に表示させるものである。
【0053】
データ制御手段115は、通信制御手段111の受信データを監視することによって通話相手先のIPテレビ電話装置100’から画像を受信したことを判定し、画像データを受信した場合には、その画像データをメモリ(制御部110のRAM)に展開したり、メモリ170から画像データを取込んでメモリ(制御部110のRAM)に展開したり、メモリ(制御部110のRAM)に展開されている画像データを、通話相手先へ送信する送信指示を行ったり、IPテレビ電話装置100にプリンタが接続されている場合にはプリンタへの出力指示を行ったり、メモリ170への保存を行ったりする。
【0054】
時刻制御手段116は、通信制御手段111において各データをパケットに分割する際に、各データを例えば20mS〜60mSずつ分割するタイミングを調整したり、受信したパケットを組立てる際に所定の時刻に各パケットが再生処理されるようにタイミング調整を行ったりするためのものである。
【0055】
マイク120において集音された音声は、音声信号に変換され、音声信号処理手段112に出力される。また、音声信号処理手段112から出力された音声信号はスピーカ130において音声に変換され出力される。マイク120とスピーカ130は、IPテレビ電話装置100に固定的に設けられていてもよいが、ヘッドセットであってもよい。
【0056】
カメラ140は、IPテレビ電話装置100の通話中にその前にある被写体を撮影するためのものである。またカメラ140はデジタル式のカメラからなり、撮影した静止画や動画はデジタル画像として扱われことになる。撮影された映像は、画像・映像信号処理手段113に出力され、制御部110で画像処理等が行われる。
【0057】
表示部150は液晶ディスプレイユニットなどの表示体であり、表示制御手段114において処理された映像や画像を表示する。そしてIPテレビ電話装置100に用いられるこの表示部150の画面サイズは、一般的な電話装置に用いられる表示部に比べると比較的大きなサイズで、7インチ程度のものが用いられる。一般的な電話装置であれば、相手方の電話番号や、電話装置に備わった機能を表示するメニュー画面などの文字情報の表示が主なものとなる。これに対し、テレビ電話装置の場合、画像情報を扱う必要があるので、できるだけ大きな画面サイズで、かつ高精細なものが好ましい。
【0058】
入力部160は、IPテレビ電話装置100を構成する筐体の一部分に形成されたキーやボタンであるとともに、表示部150に一体に形成されたタッチパネルでも構成されている。ユーザは筐体に形成されたテンキーを直接押して入力操作を行ったり、表示部150に表示された入力用のアイコンの部位に接触することで入力操作を行ったりすることになる。
【0059】
メモリ170は、フラッシュメモリ等であり、データ制御手段115はメモリ170に記録されている画像データを読込んでメモリ(制御部110のRAM)に展開し、編集して通話相手先に送信したり、通話相手先から受信した画像データをメモリ170に保存したりする。
【0060】
LANインターフェース180は、IPテレビ電話装置100を有線LAN101へ接続するものであり、インターフェース180を介して有線LAN101と制御部110との間でパケットの送受信が行われる。
【0061】
次に、本実施例のIPテレビ電話装置100に追加されている機能について説明する。図3はIPテレビ電話装置100に追加されている機能を示すブロック図である。
【0062】
IPテレビ電話装置100は、先に述べたようなIPテレビ電話装置としての基本的な機能のほかに、測定項目設定手段121、タイマー設定手段122、催促手段123、測定情報入力手段124、測定結果保存手段125、安否情報通報手段126をさらに備えている。
【0063】
測定項目設定手段121は、ユーザが毎日行う健康測定のメニューを設定するためのものである。具体的には、血圧測定、血糖測定、体温測定、体重測定など、様々な健康測定のメニューの中から、必要な測定項目をユーザが選んで設定することができる。この測定項目は一つでも、複数項目を設定しても構わない。なお、測定項目設定手段121は本実施例において、制御部110、表示部150、入力部160で構成されている。
【0064】
タイマー設定手段122は、測定項目設定手段121によりユーザが設定した測定項目の測定を開始する時間を設定するためのものである。ユーザが測定したい時間を任意に設定しても構わないが、測定項目によっては測定に適した時間があるので、そのような場合はその時間を設定するのがよい。また測定項目によっては一日に複数回測定する方がよいものもあるので、一つの測定項目に対して複数回設定してもよい。例えば、血圧測定の場合、朝と夜の2回測るのがよいと言われている。したがってユーザは毎日朝6時に起きて、夜10時に寝るのであれば、例えばタイマーを朝7時と夜9時に設定することができる。なお、タイマー設定手段は本実施例において、制御部110、表示部150、入力部160で構成されている。なお、IPテレビ電話装置100を使い医者との間でテレビ会議を行うことで、医者の直接の指示のもと設定を行ってもよい。
【0065】
催促手段123は、タイマー設定手段122で設定された測定時間になると、ユーザに測定時間になったことを知らせるためのものである。ユーザに知らせる具体的な手段としては、表示部150を介して発光などで知らせることも可能であるが、本実施例においては、スピーカ130を介してアラーム音を発生させることによりユーザに測定時間になったことを知らせている。なお、アラーム音と発光の両方で知らせる方法でも構わないし、例えば図示していないIPテレビ電話装置100に付属の子機を振動させることにより知らせる方法でも構わない。
【0066】
また、この催促手段123による催促はタイマー設定手段122で設定された測定時間のみ催促するのではなく、測定時間を基準に所定間隔で所定の回数催促を行う構成であってもよい。本実施例においては、測定時間になると5分間アラーム音を発生させ、その後測定を行った測定値の入力がなければ、15分後に再度アラーム音を発生させ、このサイクルを合計5回繰り返すものとして説明を行う。なお、催促手段123は本実施例において、制御部110、スピーカ130で構成されている。
【0067】
測定情報入力手段124は、ユーザがヘルスケア装置109で測定した測定値である健康測定情報をIPテレビ電話装置100へ入力するためのものである。入力する具体的な手段としては、表示部150のタッチパネルからの入力であったり、入力部160のキーやボタンを介しての入力であったりしても構わない。また、例えばIPテレビ電話装置100をホスト機器、ヘルスケア装置109を周辺機器として、両者をUSB(Universal Serial Bus)などを介して接続し、ヘルスケア装置109の測定データを出力し、IPテレビ電話装置100へ直接入力する方法でも構わない。このような構成によれば、ユーザが直接IPテレビ電話装置100を介して入力する必要がなく、また入力ミスも防ぐことができる。測定情報入力手段124は本実施例において、制御部110、入力部160で構成されている。
【0068】
測定結果保存手段125は、健康測定情報を保存しておくためのものである。この健康測定情報の保存は単に測定値だけの保存に限らず、測定した日時や測定回数、またIPテレビ電話装置100に気温や湿度などの周辺環境が測定できる機能が備わっていれば、それらのデータとともに保存しておけばよい。測定結果保存手段125は本実施例において、制御部110、メモリ170で構成されているものとしてまずは述べる。つまり、IPテレビ電話装置100の内部に測定結果を保存しておく構成について述べるが、後述するように、必ずしもIPテレビ電話装置100の内部に保存しておく必要はなく、IPネットワーク上に接続されたサーバに保存しておく構成であっても構わない。またIPテレビ電話装置100の内部に測定結果を保存しておく場合、IPネットワークを介して特定のものが測定結果にアクセスできるようにしおいても構わない。このような構成であれば、後述の安否情報の通報とは別に、この測定結果にアクセスすることでも安否を確認できるとともに、この測定結果を確認することでユーザの健康状態を知ることもできる。
【0069】
安否情報通報手段126は、測定結果の入力が行われなかった場合に、ユーザに何かトラブルがあったものと判断し、事前に設定されている通報先に通報するためのものである。なお、測定結果の入力が行われた場合には、正常に入力が行われたことを通報先に通知し、入力が行われなかった場合には、入力が行われていないことを通報先に通知する構成であっても構わない。また、測定結果が正常に入力されたことを通報先に通知する構成だけでも構わない。いずれにしても健康測定情報の入力の有無にもとづき、通報が行われる構成となっている。この安否情報の通報はIPテレビ電話装置100からIPネットワークを介して通報先のIPテレビ電話装置100’や他の機器へ行われたり、PSTN網107を介して通報先の加入者電話機108へ行われたりする。なお、安否情報通報手段126は本実施例において、制御部110、LANインターフェース180で構成されている。
【0070】
次に、健康管理情報を用いたIPテレビ電話装置100による安否確認について図4、図5を用いて具体的に説明していく。
【0071】
まず、IPテレビ電話装置100への初期設定として図4に示すフローチャートのような処理をIPテレビ電話装置100で行う。
【0072】
最初に、まず通報先の設定を行う(ステップ201)。これはユーザに何かあった際、安否情報を伝えたい相手先を設定しておくためのものである。相手先の設定方法としては、別に住む家族の電話番号や日中不在の家族の携帯番号、病院の電話番号など通報先の電話番号を設定しておくことが考えられるが通報先のメールアドレスを設定しておくことなど、他の方法でも構わない。この通報先の設定を行うことによりユーザの健康測定が行われなかった場合、安否情報通報手段126により設定された者に通知が行われる。
【0073】
つぎに、ユーザが行う測定項目の設定を測定項目設定手段121により行う(ステップ202)。具体的には血圧測定、血糖測定、体温測定、体重測定などの複数の健康測定項目が表示部150へ表示され、その中から入力部160を介してユーザが測定項目を決定する。本実施例では血圧測定を選択するものとして説明を行っていく。
【0074】
つぎに、設定された測定項目について、タイマー設定手段122により測定を行う時間の設定を行う(ステップ203)。本実施例では血圧測定を朝7時と夜9時の一日2回測定するものとする。なお、IPテレビ電話装置100の機能を用いて、例えば医者と直接テレビ電話による問診を行いながら、医者の指示により測定項目や測定時間の設定を行う構成としてもよい。このような構成であれば、より正確な健康測定を行うことが可能となる。
【0075】
つぎに、設定がすべて終了したかどうかの判断を行う(ステップ204)。これは例えば表示部150に表示された「設定完了」のキーと「他の項目を設定する」のキーのどちらをユーザが押したのかで判断する。「設定完了」のキーを押したのであれば、このフローは終了し、「他の項目を設定する」のキーを押したのであれば、ステップ202に戻り、血圧測定以外の項目についても設定を行うことになる。
【0076】
続いて、初期設定を終えた後のIPテレビ電話装置100の処理について図5のフローチャートに基づいて説明を行う。
【0077】
まず、測定を行う時間かどうかの判断を行う(ステップ301)。これは、ステップ203で設定された測定時間になったかどうかで判断を行う。測定時間になったのであれば次の処理に進み、測定時間になっていなければ、この処理を繰り返す。
【0078】
つぎに、測定時間になると催促手段123によりアラーム音を発生させる(ステップ302)。アラーム音は、単純な音でも構わないし、合成音声による案内音でも構わない。
【0079】
つぎに、アラーム音の発生時間を計測するため、タイマーによる測定を開始する(ステップ303)。このタイマーは例えばIPテレビ電話装置100で通話時間を計測するために用いるタイマーを利用すればよい。
【0080】
つぎに、アラーム音の発生時間が所定期間を経過したかどうかの判断を行う(ステップ304)。本実施例ではこの所定期間を5分間としている。これはアラーム音の発生が一瞬で終わるとアラーム音を別の音と勘違いする恐れがあるためであり、またアラーム音を無限に発生させていると周辺に迷惑がかかるなど不都合もあるためである。そして所定時間が経過したかどうかで処理が異なってくる。
【0081】
ステップ304でアラーム音の発生が5分経過していないのであれば、つぎにアラーム音の停止動作があるか否かの判定を行う(ステップ305)。これは例えばIPテレビ電話装置100に設けられた「アラーム音ストップ」のキーが押されたか否かで判断する。ユーザがアラーム音に気づき、キーを押したのであれば、それ以上アラーム音を発生させる必要はないので、つぎの処理に移る。ストップのキーが押されていなければ、ステップ304に戻り、アラーム音の発生時間についての判断を繰り返す。
【0082】
ステップ304でアラーム音の発生が5分経過した場合、またはステップ305でアラーム音の停止動作があった場合、タイマーをストップし(ステップ306)、アラーム音を停止する(ステップ307)。
【0083】
つぎに、アラーム音の停止後、改めてタイマーによる計測を行う(ステップ308)。これはユーザが実際に測定を行い、測定情報の入力が所定期間内に行われるかどうかを判断するために行うものである。この所定期間は健康測定を行うのに費やされる時間、つまり測定実施期間である。そして測定実施期間は、アラーム音が停止した後、ヘルスケア装置109を用いてユーザが測定を完了するのに十分な時間が設定されることになる。そして本実施例としては15分として設定されているが、健康測定の項目によっては、測定実施期間が大きく異なることが考えられる。したがって、図示していないが測定実施期間設定手段を別途設け、図4に示す初期設定のフローにおいて健康測定の項目にあわせて、測定実施期間を設定できるようにしておくとよい。
【0084】
ステップ308でタイマーによる計測を開始した後、設定されている15分が経過したかどうかの判断を行う(ステップ309)。経過していないのであればユーザは現在測定中であることが考えら、経過しているのであればユーザは測定を行っていないことが考えられるので、その後の処理が異なってくる。
【0085】
ステップ309で15分が経過していなければ、つぎに測定情報入力手段124による健康測定情報の入力があったかどうかの判断を行う(ステップ310)。健康測定情報の入力がなければ、またユーザは測定中であることが考えられるので、ステップ309に戻って、15分が経過したかどうかの判断をつづける。
【0086】
健康測定情報の入力があると、これ以上タイマーによる計測は必要ないので、タイマーによる計測を止める(ステップ311)。そして測定結果保存手段125により、今回の測定結果を保存し(ステップ312)、このフローを終了する。このように測定結果を保存しておくことで、ユーザは日々の血圧の変化を確認できるなど、健康管理に利用することができる。
【0087】
ステップ309で15分が経過していれば、つぎに今回アラーム音を発生させた回数が所定回数かどうかを判断する(ステップ313)。これは、アラーム音の発生回数が一度だけだと、ユーザが、たまたまアラーム音の聞こえない場所にいた場合や、アラーム音を停止した後で寝てしまった場合など、不都合なことも生じうるためである。従って、アラーム音の発生は何度か繰り返しておこなった方がよく、本実施例では5回行うことにしている。この判断はアラーム音の発生が終了する毎にフラグを立てておき、その回数をカウントするなどして行えばよい。
【0088】
そして、アラーム音の発生回数が5回に達していなければ、ステップ302に戻り、アラーム音の発生処理から、また処理を進めていく。
【0089】
アラーム音の発生回数が5回に達していた場合、ユーザが測定を行えない状況にある可能性が高いので、ユーザに何かしらのトラブルがあったと判断し、ステップ201で設定されている連絡先へ通報を行い(ステップ314)、このフローを終了する。
【0090】
このように、本実施例によるIPテレビ電話装置100によれば、健康測定が設定されている日時に行われてない場合、健康測定情報を得ることができないのでIPテレビ電話装置100から、設定されている連絡先へ通報がなされ、連絡先の者はユーザに何かトラブルが発生している可能性があることを知ることができる。特に健康測定は決められた時間に行うよう設定され、その時間になると健康測定を行うよう催促が行われるので、健康測定情報は決まった時間に得ることできる。
【0091】
つぎにIPテレビ電話装置を含めた安否確認システムにおける本発明の他の実施例ついて説明する。IPテレビ電話装置を備えた安否確認システムは、IPネットワーク上に健康測定情報を保存できる測定結果保存サーバをIPテレビ電話装置とは別に備えている。そしてこの測定結果保存サーバが本実施例では測定結果保存手段を構成している。またIPテレビ電話装置は測定項目設定手段、タイマー設定手段、催促手段、測定情報入力手段を備えている。
【0092】
測定情報入力手段によりIPテレビ電話装置に入力された健康測定情報は、測定結果保存手段を構成する測定結果保存サーバへネットワークを介して送信される。このIPテレビ電話装置からの送信は、ユーザによる送信処理により行ってもよいが、IPテレビ電話装置に健康測定情報が入力された時点で自動的に送信されるよう構成しておくとよい。
【0093】
このように健康測定情報を測定結果保存サーバで保存することにより、特定の者にだけ健康測定情報へのアクセス権を設定しておくことで、アクセス権を有する者はこの情報へアクセスすることが可能となり、ユーザの安否を簡単に確認することができる。つまり、健康測定情報の更新が行われていればユーザの安否に問題がないことを知ることができ、健康測定情報の更新が止まっていればユーザの安否に何か問題がある可能性があることを簡単に知ることができる。したがって、IPテレビ電話装置100のような所定の連絡先へ連絡を行う安否情報通報手段126を必ずしも備えておく必要がなくなる。また単に安否確認だけでなく、例えばアクセス権をかかりつけの医者に与えている場合、健康測定情報を医者が確認し、もし測定結果に異常があるようなら直にユーザに対する問診についてIPテレビ電話装置を介して行うことも可能である。
【0094】
なお、IPテレビ電話装置の測定項目設定手段は、すべてIPテレビ電話装置の内部で構成される必要はなく、例えば健康測定項目についてはIPネットワーク上の設けられた記憶手段に記憶しておき、複数のIPテレビ電話装置で共有して用いてもよい。またIPネットワーク上の別の制御部からの指示により機能しても良い。同様に、タイマー設定手段、催促手段、測定実施期間設定手段などについても、IPネットワーク上の別の制御部からの指示によりIPテレビ電話装置において機能する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0095】
10 安否確認システム
100 IPテレビ電話装置
110 制御部
121 測定項目設定手段
122 タイマー設定手段
123 催促手段
124 測定情報入力手段
125 測定結果保存手段
126 安否情報通報手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
IPネットワークを使った通話が可能なIP電話装置であって、
健康測定を行う時間を設定できるタイマー設定手段と、
健康測定を行う時間になったことを知らせる催促手段と、
健康測定を行った結果からなる健康測定情報を入力できる測定情報入力手段と、
健康測定情報の入力の有無により所定の連絡先へ通報する安否情報通報手段と、
を備えることを特徴とするIP電話装置。
【請求項2】
前記前記催促手段は、複数回にわたって健康測定を行う時間になったことを知らせることができることを特徴とする請求項1に記載のIP電話装置。
【請求項3】
複数の健康測定の項目から特定の健康測定を設定できる測定項目設定手段を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載のIP電話装置。
【請求項4】
前記測定情報入力手段は、健康測定を行うヘルスケア装置から直接健康測定情報が入力されることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のIP電話装置。
【請求項5】
健康測定に費やす期間を設定できる測定実施期間設定手段を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のIP電話装置。
【請求項6】
IPネットワークを使った通話が可能なIP電話装置を備える安否確認システムであって、
前記IP電話装置は、健康測定を行った結果からなる健康測定情報を入力できる測定情報入力手段を備え、
前記安否確認システムは、
健康測定を行う時間を設定できるタイマー設定手段と、
健康測定を行う時間になったことを知らせる催促手段と、
健康測定情報を記憶できる測定結果保存手段と、を備えていることを特徴とする安否確認システム。
【請求項7】
前記前記催促手段は、複数回にわたって健康測定を行う時間になったことを知らせることができることを特徴とする請求項6に記載の安否確認システム。
【請求項8】
前記安否確認システムは、
複数の健康測定の項目から特定の健康測定を設定できる測定項目設定手段を備えていることを特徴とする請求項6または7に記載の安否確認システム。
【請求項9】
前記測定情報入力手段は、健康測定を行うヘルスケア装置から直接健康測定情報が入力されることを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の安否確認システム。
【請求項10】
前記安否確認システムは、
健康測定に費やす期間を設定できる測定実施期間設定手段を備えていることを特徴とする請求項6から9のいずれか一項に記載の安否確認システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−26783(P2013−26783A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159040(P2011−159040)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】