説明

IR感受性組成物及び印刷プレート前駆体の調製のためのその使用

【課題】長い貯蔵寿命、継続して多数のコピー及び現像薬品に対する高度の耐性を有するネガ印刷プレート前駆体の製造を可能にする、IR感受性組成物を提供する。
【解決手段】ポリマーバインダーに加えて、不飽和のフリーラジカル重合可能なモノマー、フリーラジカル重合可能なオリゴマー及び、バックボーン中及び/または側鎖の基中にC=C結合を含むポリマーから選択される少なくとも一の構成物及び開始剤システムからなる、フリーラジカル重合化可能システムを含むIR感受性組成物を調製する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開始剤システムと、これを含有し、とりわけ、IR光で露光して画像形成することのできる、印刷プレート前駆体の製造に並外れて好適なIR感受性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今では、特に高性能印刷プレートに使用可能な光感受性組成物は、高い要求を満たさねばならない。
【0003】
光感受性組成物の特性の向上、さらに、対応する印刷プレート前駆体の検討では、主として二つの異なる方法を論じる。その一つは、該組成物中の光感受性成分(しばしばネガティブジアゾ樹脂または光開始剤)の特性の向上を扱い、いま一つは、光感受性層の物理特性を制御するための新規な重合化合物(“バインダー”)の探索を扱う。第一の方法は、印刷プレート前駆体の感受性が、電磁波の所定の範囲に調整されるならば、特に重要である。また、該物質の貯蔵寿命及び光感受性は、こうした開始剤システムの性質によって強く影響される。
【0004】
印刷プレート前駆体の分野における最近の進歩は、レーザーまたはレーザーダイオードを利用し、露光して画像形成することのできる光感受性組成物を扱っている。レーザーがコンピューターで制御可能であるため、このタイプの露光には、中間の情報担体としてフィルムを要しない。
【0005】
市販の画像セッターにおいて使用される高出力レーザーまたはレーザーダイオードは、それぞれ、800から850nmの間、及び1060から1120nmの間の範囲の波長の光を放出する。したがって、こうした画像セッターを利用して露光させ、画像形成しようとする印刷プレート前駆体またはここに含まれる開始剤システムは、近接のIR領域において感受性でなければならない。こうした印刷プレート前駆体は、基本的に、その生産及び処理が著しく容易な、昼光条件下で取り扱い可能である。こうした印刷プレート用の光感受性組成物の製造には、二つの異なる可能性がある。
【0006】
ネガ印刷プレートには、光感受性組成物が使用され、露光して画像形成された後には、露光領域が硬化する。現像工程においては、非露光領域のみが基質から除去される。ポジ印刷プレートには、その非露光領域よりも露光領域の方が、規定の現像剤中で迅速に溶解する光感受性組成物が使用される。
【0007】
しかしながら、ポジシステム中の光感受性組成物に関して、多数のコピーのためには架橋ポリマーが必要であるため、必ずジレンマが存在する。しかしながら、こうした生成物は、プレートコーティングに好適な溶媒または溶媒混合物中に不溶であるため、さらにまた非架橋の、または僅かに架橋したのみの出発生成物が必要とされる。必要な架橋は、プレート処理の様々な工程において実行可能な、予備加熱処理によって達成可能である。
【0008】
欧州特許出願第0819980号に記載のポジシステムでは、非画像領域は、形成した酸のカーボンブラックとの反応によって形成されると推定される。該画像領域は、予備加熱工程の間にのみ形成され;多数のコピーのためには、画像領域を焼成せねばならない。
【0009】
別のポジシステムが、米国特許第5,658,708号に記載されている。層に必要な架橋は、コーティングの乾燥工程の間に既に実行されている。しかしながら、この目的のため、該システムは120℃にて10分間処理せねばならず、これによって徐々に架橋につながる化学作用が起きる。しかしながら、今日の典型的には完全に自動化されているプレート製造ラインにおいては、このような高温において必要とされる比較的長い加熱期間は、許容しがたい時間の浪費を象徴する。焼成は、架橋が部分的に行われないままなので、コピーの数の増大にはつながらない。
【0010】
欧州特許出願第0823327号及び国際特許出願97/39894号もまた、ポジ組成物を開示している。多くのポジシステムがそうであるように、これらは、プレートの十分な貯蔵寿命を確保するために複雑な調整工程が必要であるという欠点を伴う。さらにまた、多数のコピー及び優れた溶媒耐性を得るためには、焼成工程が必要である。
【0011】
IR光線で露光し、画像形成可能なプレートは、欧州特許出願第0672544号、欧州特許出願第0672954号並びに米国特許5,491,046号及び欧州特許出願第0819985号によっても既知である。これらのプレートはネガ型であり、露光して画像形成した後には、これらは画像層の部分的架橋のみを起こす、非常に狭い温度範囲内での予備加熱工程を要する。コピーの数に関する最大の要求に見合うため、また、印刷チャンバの薬品に対する十分な耐性を示すために、これらの層が更に架橋されている間に、付加的な加熱工程−焼成と呼称される−が実行される。
【0012】
これまでに説明した全てのシステムは、比較的に高いレーザー出力(150mJ/cm2以上)を要するというさらなる欠点を有する;応用(例えば新聞印刷)によっては、短期の時間内で露光済み印刷プレートの必要数を準備することが難しいためである。
【0013】
米国特許第4,997,745号には、可視領域で吸光する染料及びトリハロメチル-s-トリアジン化合物を含む光感受性組成物が記載されている。しかしながら、これらの組成物は、IR領域内では感受性ではなく、光感受性に関する今日の高い要求にも、長い貯蔵寿命に関するこうした要求にも見合わない。米国特許第5,496,903号及び独国特許出願第19648313号には、光感受性組成物が記載されており、これはIR領域内で吸光する染料に加えてボラート共開始剤を含有する;また、ハロゲン化s-トリアジンが、さらなる共開始剤として記載されている。これらの組成物は優れた光感受性を示すが、こうして製造された印刷プレートは、長い貯蔵寿命なる、今日の要求に見合わない。たった1ヶ月室温にて貯蔵した後には、印刷プレートの全層が硬化して、プレートの露光及び現像の後にはもはや画像が形成不可能となる。
【0014】
さらに、開始剤システムを有する光重合可能組成物が、米国特許5,756,258号、米国特許5,545,676号、日本国特許出願第11−038633号、日本国特許出願第09−034110号、米国特許出願5,763,134号及びEP-B-0522175にもまた記載されている。
【0015】
印刷プレート前駆体の製造に使用した際に、高度な光感受性及び十分に長い貯蔵寿命の両方を示す光感受性組成物は、現在、UV吸収染料に関して知られているのみである(欧州特許出願第0730201号)。しかしながら、こうした組成物を使用する印刷プレート前駆体は、暗室条件下で製造及び処理されねばならず、上記のレーザー又はレーザーダイオードを用いて露光して画像形成させることはできない。特に、昼光下で処理できないという事実により、これらの応用の可能性が制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、本発明の目的は、長い貯蔵寿命、継続して多数のコピー及び現像薬品に対する高度の耐性を有するネガ印刷プレート前駆体の製造を可能にする、IR感受性組成物を提供することであり、これらはさらに、高いIR感受性及び解像力並びに昼光下での処理可能性によって特徴付けられる。
【0017】
本発明を成す別の目的は、こうしたIR感受性組成物の、ネガ印刷プレート前駆体の調製のための使用である。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの目的は、ポリマーバインダーに加えて、不飽和のフリーラジカル重合可能なモノマー、フリーラジカル重合可能なオリゴマー及び、バックボーン中及び/または側鎖の基中にC=C結合を含むポリマーから選択される少なくとも一の構成物及び開始剤システムからなる、フリーラジカル重合化可能システムを含むIR感受性組成物によって達成されるが、前記開始剤システムは、下記の成分を含む:
(a)IR光を吸収可能な少なくとも一の化合物、
(b)ラジカルを生成可能な少なくとも一の化合物、及び
(c)N、O及びSから選択されるヘテロ原子で置換された芳香族部分と、さらに少なくとも二のカルボキシル基とを有し、前記カルボキシル基の少なくとも一が、メチレン基を介して前記ヘテロ原子に結合してなる、少なくとも一のポリカルボン酸。
【0019】
有用な赤外吸収化合物は、電磁スペクトルの所定部分に約750nmより大なる吸収極大波長を有することが典型的であり、特に、その吸収極大波長は、800から1100nmの範囲である。
好ましくは、少なくとも一の化合物(a)は、トリアリールアミン染料、チアゾリウム染料、インドリウム染料、オキサゾリウム染料、シアニン染料、ポリアニリン染料、ポリピロール染料、ポリチオフェン染料及びフタロシアニン顔料から選択される。
【0020】
成分(a)が、式(A):
【化1】

[式中、各Xは、個別にS、O、NRまたはC(アルキル)2を表し;
各R1は、個別にアルキル基、アルキルスルホナートまたはアルキルアンモニウム基であり;
2は、水素、ハロゲン、SR、SO2R、ORまたはNR2を表し;
各R3は、個別に水素原子、アルキル基、COOR、OR、SR、NR2、ハロゲン原子または任意に置換されたベンゾ縮合環を表し;
-は、アニオンを表し;
---は、任意に五員または六員の炭素環を表し;
各Rは、個別に水素、アルキルまたはアリール基を表し;
各nは、個別に0、1、2または3を表す]
のシアニン染料であることが、更に好ましい。
【0021】
1がアルキルスルホナート基であるならば、A-が無い(分子内塩の生成);
あるいはアルカリ金属カチオンが、対イオンとして必要である。R1がアルキルアンモニウム基であるならば、第二アニオンが対イオンとして必要である;この第二アニオンは、A-と同一または相違するものであって良い。
【0022】
化合物(b)は、ポリハロアルキル置換化合物及びアジニウム化合物から選択されることが好ましい。
【0023】
本発明のフリーラジカル重合可能システムにおいては、ラジカルが成分(a)及び成分(b)及びポリカルボン酸の間に形成される。高度の光感受性を達成するためには、三成分全ての存在が必須である。成分(b)が欠ける場合には、完全な光不感受性組成物が得られることが判っている。ポリカルボン酸は、要求される熱安定性を得るために必要である。ポリカルボン酸が、例えばメルカプト基を有する化合物によって、またはホウ酸アンモニウムによって置き換えられた場合には、光感受性が若干減少可能であり、こうした組成物の熱安定性は不十分になりうる。
【0024】
基本的に、当業界において既知の全てのポリマーまたはポリマー混合物、例えばアクリル酸コポリマー及びメタクリル酸コポリマーが、ポリマーバインダーとして使用可能である。好ましくは、該ポリマーは、10,000から1,000,000の範囲(GPCを用いて決定)の重量平均分子量を有する。印刷工程中のインキ着肉性に関して起こりうる問題を考慮すれば、使用されるポリマーが70mg KOH/gより大なる酸価を有するか、または、ポリマー混合物が使用される場合は、個々の酸価の数平均が70mg KOH/gより大なることが好ましい。110mg KOH/gより大なる酸価を有するポリマーまたはポリマー混合物が好ましい;特に好ましいのは、140と160mg KOH/gの間の酸価である。IR感受性組成物中のポリマーバインダーの含量は、該IR感受性組成物の全固体含量に基づいて30から60重量%を占めることが好ましく、35から45重量%であるとさらに好ましい。
【0025】
不飽和のフリーラジカル重合可能なモノマーまたはオリゴマーとしては、例えば、一以上の不飽和基を有するアクリル酸またはメタクリル酸の誘導体、好ましくは、モノマー、オリゴマーまたはプレポリマーの形態での、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルが使用可能である。これらは、固体または液体の形態で存在可能であり、固形の、高度に粘性の形態が好ましい。モノマーとして好適な化合物には、例えば、トリメチロールプロパン=トリアクリラート及びメタクリラート、ペンタエリトライト=トリアクリラート及びメタクリラート、ジペンタエリトライトモノヒドロキシ=ペンタアクリラート及びメタクリラート、ジペンタエリトライト=ヘキサアクリラート及びメタクリラート、ペンタエリトライト=テトラアクリラート及びメタクリラート、ジトリメチロールプロパン=テトラアクリラート及びメタクリラート、ジエチレングリコール=ジアクリラート及びメタクリラート、トリエチレングリコール=ジアクリラート及びメタクリラート、またはテトラエチレングリコール=ジアクリラート及びメタクリラートが含まれる。好適なオリゴマー及び/またはプレポリマーは、ウレタン=アクリラート及びメタクリラート、エポキシド=アクリラート及びメタクリラート、ポリエステル=アクリラート及びメタクリラート、ポリエーテル=アクリラート及びメタクリラートまたは不飽和のポリエステル樹脂である。
【0026】
モノマー及びオリゴマーの他に、バックボーン中及び/または側鎖の基中にC=C結合を有するポリマーが使用可能である。その例には、マレイン酸無水物-オレフィン-コポリマーとヒドロキシアルキル(メタクリラート)アクリラートとの反応生成物、アリルアルコール基を含むポリエステル、高分子ポリアルコールとイソシアナート(メタクリラート)アクリラートとの反応生成物、不飽和ポリエステル及び(メタクリラート)アクリラート端末ポリスチレン、ポリ(メタクリラート)アクリラート及びポリエーテルが含まれる。
フリーラジカル重合可能モノマーまたはオリゴマーの重量比は、好ましくは、IR感受性組成物の全固体含量に基づいて、35から60重量%であることが好ましく、更に好ましくは45から55重量%である。
【0027】
本発明の開始剤システムは、必須の成分としてIR光を吸収することのできる化合物を含む。このIR吸収剤は、好ましくは、トリアリールアミン染料、チアゾリウム染料、インドリウム染料、オキサゾリウム染料、シアニン染料、ポリアニリン染料、ポリピロール染料、ポリチオフェン染料及びフタロシアニン顔料から選択される。更に好ましいのは、式(A):
【化2】

[式中、各Xは、個別にS、O、NRまたはC(アルキル)2を表し;
各R1は、個別にアルキル基、アルキルスルホナートまたはアルキルアンモニウム基であり;
2は、ハロゲン、SR、SO2R、ORまたはNR2を表し;
各R3は、個別に水素原子、アルキル基、COOR、OR、SR、NR2、ハロゲン原子または任意に置換されたベンゾ縮合環を表し;
-は、アニオンを表し;
---は、任意に五員または六員の炭素環を表し;
各Rは、個別に水素、アルキルまたはアリール基を表し;
各nは、個別に0、1、2または3を表す]
のIR染料である。
【0028】
これらの染料は、750nmから1100nmの範囲において吸光し;810nmから860nmの範囲で吸光する、式(A)の染料が好ましい。
Xは、C(アルキル)2基であることが好ましく;
1は、1から4の炭素原子を有するアルキル基であることが好ましく;
2は、SRであることが好ましく;
3は、水素原子であることが好ましく;
Rは、アルキル基またはアリール基であることが好ましく;特に好ましくはフェニル基である。
破線は、五または六の炭素原子を有する環の残部を表すことが好ましい。
対イオンA-は、塩化物イオンまたはトシラートアニオンであることが好ましい。
【0029】
特に好ましいのは、対称な式(A)を有するIR染料である。こうした特に好ましい染料の例には、
2-[2-[2-フェニルスルホニル-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウムクロライド、
2-[2-[2-チオフェニル-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウムクロライド、
2-[2-[2-チオフェニル-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロペンテン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウムトシラート、
2-[2-[2-クロロ-3-[2-エチル-(3H-ベンズチアゾール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-3-エチル-ベンズチアゾリウム-トシラート、及び
2-[2-[2-クロロ-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム-トシラート、
が含まれる。
【0030】
本発明の組成物に有用なIR吸収剤には、更に下記の化合物である。
【化3−1】

【化3−2】

【化3−3】

【化3−4】

【化3−5】

【0031】
IR吸収剤(a)は、IR感受性組成物中に、該IR感受性組成物の全固体含量に基づいて1から8重量%の量で存在することが好ましく、特に好ましいのは、1.5から3重量%の量である。
【0032】
該開始剤システムの、別の必須成分は、ラジカルを生成可能な化合物である。好ましくは、この化合物は、ポリハロアルキル置換化合物、及びアジニウム化合物から選択される。特に好ましいのは、ポリハロアルキル置換化合物であり;これらは、一のポリハロゲン化アルキル置換基または幾つかのモノハロゲン化アルキル置換基のいずれかを含む化合物である。ハロゲン化アルキル基は、好ましくは1から3の炭素原子を有し、特に好ましいのは、ハロゲン化メチル基である。
【0033】
ポリハロアルキル置換化合物の吸収特性は、基本的に、当該IR感受性組成物の昼光安定性(daylight stability)を決定する。330nmより大なるUV/VIS吸収極大を有する化合物は、結果として、印刷プレートを昼光中に6から8分間おき、再加熱した後には、もはや完全には現像不可能となる組成物を得る。原理としては、こうした組成物は、IRのみならず、UV光でも、露光して画像形成可能である。高度の昼光安定性が所望であれば、330nmより大なるUV/VIS吸収極大を有しないポリハロアルキル置換化合物が好ましい。
【0034】
アジニウム化合物には、アジニウム核、例えばピリジニウム、ジアジニウム、またはトリアジニウム核が含まれる。アジニウム核は、アジニウム環と縮合した(フューズド)、一以上の芳香環、典型的には環状炭素芳香環を含むことができる。換言すれば、アジニウム核には、キノリニウム、イソキノリニウム、ベンゾジアジニウム、及びナフトジアゾニウム核が含まれる。単位重量当たり、到達可能な最高の活性化効率を達成するためには、単環アジニウム核を用いることが好ましい。
【0035】
アジニウム環中の窒素原子の四級化置換基は、光感受性剤からアジニウム化合物への電子移動に際して、フリーラジカルとして放出可能である。好ましい形態の一つとしては、四級化置換基は、オキシ置換基である。アジニウム核の環窒素原子を四級化するオキシ置換基(-O-R)は、合成が簡便な、多様なオキシ置換基の中から選択可能である。R部分は、例えば、アルキル基であってよく、これは、置換されていても良く、例えばアラルキル及びスルホアルキル基が予想される。最も好ましいオキシ置換基(-O-R)は、1または2の炭素原子を含む。
【0036】
本発明の組成物に、特に好適な化合物(b)の例には、
N-メトキシ-4-フェニルピリジニウムテトラフルオロボラート、
トリブロモメチルフェニルスルホン、
1,2,3,4-テトラブロモ-n-ブタン、
2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、
2-(4-クロロフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、
2-フェニル-4,6-ビス-(トリクロロメチル)-s-トリアジン、
2,4,6-トリ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、
2,4,6-トリ(トリブロモメチル)-s-トリアジン、
2-ヒドロキシテトラデシルオキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート、
2-メトキシ-4-フェニルアミノベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスファート、
が含まれる。
【0037】
さらに、下記の化合物が、本発明の組成物中の開始剤(b)として有用である。
【化4−1】

【化4−2】

【0038】
化合物(b)は、IR感受性組成物中に、好ましくは、当該IR感受性組成物の全固体含量に基づいて2から15重量%の量で存在し、特に好ましいのは、4から7重量%の量である。
【0039】
ポリカルボン酸(化合物C)は、N、O及びSから選択されるヘテロ原子で置換されてなる芳香族部分を有し;これは少なくとも二のカルボキシル基を有し、その少なくとも一が、メチレン基を介して前記ヘテロ原子に結合している。
こうしたポリカルボン酸の例には、
(p-アセトアミドフェニルイミド)二酢酸、
3-(ビス(カルボキシメチル)アミノ)安息香酸、
4-(ビス(カルボキシメチル)アミノ)安息香酸、
2-[(カルボキシメチル)フェニルアミノ]安息香酸、
2-[(カルボキシメチル)フェニルアミノ]-5-メトキシ安息香酸、
3-[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-2-ナフタレンカルボン酸、
N-(4-アミノフェニル)-N-(カルボキシメチル)グリシン、
N,N’-1,3-フェニレンビスグリシン、
N,N’-1,3-フェニレンビス[N-(カルボキシメチル)]グリシン、
N,N’-1,2-フェニレンビス[N-(カルボキシメチル)]グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(4-メトキシフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(3-メトキシフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(3-ヒドロキシフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(3-クロロフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(4-ブロモフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(4-クロロフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(2-クロロフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(4-エチルフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(2,3-ジメチルフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(3,4-ジメチルフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(3,5-ジメチルフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(2,4-ジメチルフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(2,6-ジメチルフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-(4-ホルミルフェニル)グリシン、
N-(カルボキシメチル)-N-エチルアントラニル酸、
N-(カルボキシメチル)-N-プロピルアントラニル酸、
5-ブロモ-N-(カルボキシメチル)アントラニル酸、
N-(2-カルボキシフェニル)グリシン、
o-ジアニシジン-N,N,N’,N’-四酢酸、
N,N’-[1,2-エタンジイルビス(オキシ-2,1-フェニレン)]ビス[N-(カルボキシメチル)グリシン]、
4-カルボキシフェノキシ酢酸、
カテコール-O,O’-二酢酸、
4-メチルカテコール-O,O’-二酢酸、
レゾルシノール-O,O’-二酢酸、
ヒドロキノン-O,O’-二酢酸、
α-カルボキシ-o-アニス酸、
4,4’-イソプロピリデンジフェノキシ酢酸、
2,2’-(ジベンゾフラン-2,8-ジイルジオキシ)二酢酸、
2-(カルボキシメチルチオ)安息香酸、
5-アミノ-2-(カルボキシメチルチオ安息香酸、
3-[(カルボキシメチル)チオ]-2-ナフタレンカルボン酸、
が含まれる。
【0040】
好ましいのは、N-アリールポリカルボン酸、特に以下の式(B):
【化5】

[式中、Arは、モノ-、ポリ-または未置換のアリール基を表し、pは1から5の整数である]
または、式(C):
【化6】

[式中、R4は、水素原子またはC1−C6アルキル基を表し、k及びmは、それぞれ1から5の整数である]
のものである。
【0041】
式(B)中のアリール基の可能な置換基は、C1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシ基、C1−C3チオアルキル基及びハロゲン原子である。前記アリール基は、1から3の同一または異なる置換基を有するとよい。pは好ましくは1であり、Arは好ましくはフェニル基を表す。
【0042】
式(C)において、mは1であると好ましく、R4は水素原子を表すことが好ましい。最も好ましいポリカルボン酸はアニリノ二酢酸である。
ポリカルボン酸は、IR感受性組成物中で、該IR感受性組成物の全固体含量に基づいて、1から10重量%の量を占めることが好ましく、1.5から3重量%であると特に好ましい。
【0043】
IR感受性組成物は、画像のコントラストを増大させるための染料をさらに含有可能である。好適な染料は、コーティングに使用される溶媒または溶媒混合物中によく溶解するか、または顔料の分散形態に容易に導入されるものである。好適なコントラスト染料には、特に、ローダミン染料、トリアリールメタン染料、メチルヴァイオレット、アントラキノン顔料及びフタロシアニン染料及び/または顔料が含まれる。該染料は、IR感受性組成物中で、1から15重量%の量を占めることが好ましく、2から7重量%であると特に好ましい。
【0044】
本発明のIR感受性組成物は、軟化剤をさらに含有可能である。好適な軟化剤には、特にフタル酸ジブチル、リン酸トリアリール及びフタル酸ジオクチルが含まれる。軟化剤が使用される場合、これは0.25から2重量%の範囲の量で存在することが好ましい。
【0045】
本発明のIR感受性組成物は、印刷プレート前駆体の製造に使用可能であることが好ましい。しかしながら、これらはさらに、好適な担体及び受像シート上に画像を造り出すため、印刷プレート、スクリーン等として機能しうるレリーフを造り出すための記録材料において、表面タンパク質用の光硬化性ワニスとして、及び光硬化性印刷インキの処方のために使用可能である。
【0046】
オフセット印刷プレート前駆体の製造のために、従来の担体が使用可能であり、アルミニウム担体の使用が特に好ましい。アルミニウム担体を使用する場合、まず、乾燥状態でブラシ研磨し、研磨懸濁液で、または電気化学的に、例えば塩酸電解液中で、ブラシ研磨することによってその表面を粗すことが好ましく、任意に硫酸またはリン酸中で陽極酸化された、表面の粗いプレートに、次いで、好ましくはポリビニルホスホン酸またはリン酸の水溶液中で、親水性化後処理を施す。上述の基質予備処理の詳細は、当業者には良く知られている。
【0047】
次に、乾燥したプレートに、本発明のIR感受性組成物を、有機溶媒または溶媒混合物を用いて、好ましくは0.5から4g/m2の、更に好ましくは0.8から3g/m2の乾燥層が得られるようにコーティングする。
【0048】
IR感受性層の上に、当業界にて知られているような酸素不透過層、例えばポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール/ポリビニルアセタートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/ポリビニルアセタートコポリマー、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸及びゼラチン等の層を塗布する。酸素不透過層の乾燥層重量は、好ましくは0.1から4g/m2、さらに好ましくは0.3から2g/m2である。この保護膜は酸素バリアとして有用であるのみならず、IR光への露光の間にプレートを離解から保護する。
【0049】
こうして得られた印刷プレート前駆体を、800から1,100nmの範囲で放出する、半導体レーザーまたはレーザーダイオードで露光させる。こうしたレーザー光はコンピューターを介してデジタル制御可能であり、すなわち、スイッチを入れたり切ったりして、プレートに露光させ画像形成することが、コンピューター中に保存したデジタル情報を介して実行可能である。したがって、本発明のIR感受性組成物は、コンピューター・トゥー・プレート(ctp)印刷プレートと呼称されるものの製造に好適である。
【0050】
印刷プレート前駆体に露光させ、画像形成した後、これを85から135℃に短時間加熱し、露光領域を完全に硬化させる。適用した温度によって、これには、僅か20から100秒しかかからない。
その後、プレートを当業者には既知の通りに現像する。現像したプレートは、通常は保恒剤で処理する(“固着(gumming)”)。保恒剤は、親水性ポリマー、湿潤剤及び他の添加剤の水溶液である。
【0051】
下記の実施例は、本発明のより詳細な説明を供する。
【実施例】
【0052】
(実施例1)
下記の成分から、コーティング溶液を調製した。
3.0g Ioncryl 683R(SC Johnson & Son Inc.により市販の、
180mg KOH/gの酸価を有するアクリル酸コポリマー)
4.4g AC 50R(PCASより市販の、48mg KOH/gの酸価を有する
アクリル酸コポリマー、メチルグリコール中70重量%溶液)
8.4g 1-メチル-2,4-ビス-イソシアナートベンゼン(Bayer社より
市販のDesmodur N100R)を、全てのイソシアナート基が完全に反応
した際の100g当たりの二重結合含量が0.50である、
ペンタエリトリトールトリアクリラート及びヒドロキシエチルアク
リラートと反応させることにより調製されるウレタンアクリラート
の80%メチルエチルケトン溶液
1.4g ジペンタエリトリトールペンタアクリラート
0.75g 2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス-(トリクロロメチル)
-s-トリアジン
0.3g Renol Blue B2G HWR(Clariant社により市販の、
ポリビニルブチラルを用いた銅フタロシアニン顔料)
0.4g アニリノ二酢酸
0.25g 2-[2-[2-チオフェニル-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3
-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1
-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル
-3H-インドリウムクロライド
【0053】
これらの成分を、攪拌しつつ、下記:
30体積部のメチルグリコール、
45体積部のメタノール、
25体積部のメチルエチルケトン、
を含む混合物100ml中に溶解させた。
【0054】
濾過の後、該溶液を、電気化学的に砂目立てし、陽極化したアルミニウムホイルに塗布し、これに、通常の方法によりポリビニルホスホン酸の水溶液を用いて後処理を施し、コーティングを4分間、90℃にて乾燥させた。光感受性層の乾燥重量は、およそ2g/m2に相当した。
【0055】
その後、乾燥層重量1.9g/m2の酸素不透過層を、下記の組成物:
50g ポリビニルアルコール(Airproducts社により市販のAirvolR
アセチル基残留12重量%)
170g 水
の溶液のコーティングを施すことによって与えた。
乾燥は、5分間、90℃にて行った。主要層及び表層を乾燥させるために、温度処理のみを施してなる全てのプレートを、これ以降、フレッシュプレートと呼称する。
【0056】
こうして得られた前駆体を、830nmレーザーダイオード及び50から75mJ/cm2の間のレーザーエネルギーを有するCreo社のTrendsetter 3244にて露光させ、その後1分間90℃にて加熱した。露光し、引き続いて加熱してなる層を、下記:
3.4重量部 Rewopol NLS 28R(Rewo社より市販の、ラウリル硫酸ナト
リウムの30%水溶液)
1.8重量部 2-フェノキシエタノール
1.1重量部 ジエタノールアミン
1.0重量部 Texapon 842R(Henkel社により市販の、硫酸オクチルの
42%水溶液)
0.6重量部 Nekal BX PasteR(BASF社により市販のアルキルナフタレ
ンスルホン酸のナトリウム塩)
0.2重量部 4-トルエンスルホン酸
91.9重量部 水
を含む現像液で20秒間処理した。
【0057】
その後、現像液を、該表面に、タンポンを用いてさらに20秒間すりつけた後、プレート全体を水で濯いだ。この処理の後、非露光部分が現像液によって完全に除去された一方で露光部分はプレート表面に維持された。
こうして調製されたプレートを、枚葉オフセット印刷機にセットしたところ、通常の印刷条件下で、優れた品質のコピー130,000が得られた。プレートは、更に印刷可能な状態であった。
【0058】
露光し、次いで加熱して現像させた層の溶媒耐性について模擬実験するために、その全表面が露光されてなる印刷プレートの層減量を、室温にて1時間、典型的な溶媒にさらすことによって決定した。減量は、ジアセトンアルコールの場合に5.5重量%、トルエンの場合にはたった2重量%であった。これらの低い値は、溶媒に対する高い耐性を示している。
【0059】
IR感受性を決定するために、プレートを、IR実験用レーザーダイオードKY-538(波長809nm、Opto Power Corpより市販)で露光させた。電力供給を調整することによって、ダイオードのレーザー出力は、50と400mWの間で変化しうる。該プレートを、モーターを利用して一定速度で回転してなるドラムに取り付けた。モーターの出力を変化させることによって、規定の、調整された回転速度を調節可能であった。レーザーダイオードはまた、スピンドルを介して機械的に動かされ、プレート上にラインを形成した。このスピンドルスピードもまたモーター出力を変化させることによって調整可能であった。電力及び回転速度を変化させることによって、該プレートを、程度の異なるレーザーエネルギーに露光させた。ライン間の距離は、回転速度及びスピンドル速度の様々な調節によって調整可能である。IR感受性値は、中断のないラインが最後に得られた、レーザーダイオード出力及び回転速度の目盛りである。したがって、レーザー出力の値が低いならば、回転速度はより上昇し、IR感受性はより高くなる。
【0060】
露光の後、プレートを再度90℃に1分間加熱し、その後上述の方法で現像した。ラインの解像度は良好で、非画像領域は、80μmで距離をとったラインの間も、現像液によって完全に除去されていた。フレッシュプレートのIR感受性の値を、表にまとめた。プレートが、露光の後、120℃で1分間加熱された場合、同様の感受性値が得られ、プレートの非露光領域もまた完全に除去することができた。
【0061】
プレートの貯蔵寿命を試験するため、これを模擬実験として急速に古びさせた。この目的のため、プレートをインキュベーター中で30分間、90℃に加熱した。このように処理したプレートのIR感受性を、上述の通り決定した。該プレートの非露光領域は、現像液によって完全に除去することができた。IRレーザー装置の目盛りパラメーターを、表にまとめた。フレッシュプレートの対応する値との比較から推測可能なとおり、熱処理は、IR感受性のわずかな低下を引き起こすのみである。
【0062】
以降、後に30分間、90℃にて加熱されたプレートを、エイジドプレートと呼称する。
【0063】
昼光に対するプレートの感受性を試験するために、下記の工程をとった。晴れた日に、通常の窓ガラスの付いた窓のある研究室内で、プレートを昼光にさらし、2分経過毎にカバーを移動させてプレートから除けた。その後プレートを90℃にて1分間加熱し、上述の現像液及び現像条件を用いて現像した。昼光への耐性は、プレート表面に、層の残留物が全く残らなくなる時間によって示される。
かかる実施例については、該時間は28分間である。
【0064】
(実施例2)
2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス-(トリクロロメチル)-s-トリアジンに代えて、2-フェニル-4,6-ビス-(トリクロロメチル)-s-トリアジンを使用したこと以外は、実施例1を繰り返し、実施例1に記載の通りコーティング溶液を処理した。フレッシュプレート及びエイジドプレートのIR感受性の結果を表にまとめた。エイジドプレートの非露光領域は、列記した現像期間内に、残留物もなく、基質から除去することができた。s-トリアジン誘導体の交換が、IR感受性値にいかなる変化も引き起こしていないことが明白である。プレートの昼光への耐性は、38分間であった。
【0065】
(実施例3)
2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス-(トリクロロメチル)-s-トリアジンに代えて、トリブロモメチルフェニルスルホン0.63gを使用したこと以外は、実施例1を繰り返し、実施例1に記載の通りコーティング溶液を処理した。フレッシュプレート及びエイジドプレートのIR感受性の結果を表にまとめた。エイジドプレートの非露光領域は、列記した現像期間内に、残留物もなく、基質から除去することができた。s-トリアジン誘導体の交換が、IR感受性値に僅かな変化しか引き起こしておらず、一方の熱安定性は同等に維持されることが明らかになった。プレートの昼光への耐性は、46分間であった。
【0066】
(実施例4)
AC 50Rに代えて、同量の製品Terpolymer(130mg KOH/gの酸価を有する、Panchimにより市販のメタクリル酸コポリマー)を使用したこと以外は実施例1を繰り返し、コーティング溶液を実施例1に記載の通りに処理した。フレッシュプレート及びエイジドプレートのIR感受性の結果を表にまとめた。エイジドプレートの非露光領域は、列記した現像期間内に、残留物もなく、基質から除去することができた。ポリマーバインダーAC 50Rの交換が、IR感受性値に変化をもたらしていないことが明らかになった。
【0067】
(実施例5)
下記の成分から調製されるコーティング溶液で、実施例1の基質をコーティングし、1.9g/m2のコーティング重量を得た。
3.0g Ioncryl 683R(SC Johnson & Son Inc.により市販の、
180mg KOH/gの酸価を有するアクリル酸コポリマー)
3.5g Elvacite 2670R(DuPontにより市販の、74mg KOH/gの酸価を
有するメタクリル酸コポリマー)
6.3g Actilane 110R(Akcronsより市販の、中程度の分子量の、六官能性
ウレタンアクリラート)
1.8g ジメチロールプロパンテトラアクリラート
0.63g 2,4,6-トリ-(トリクロロメチル)-s-トリアジン
0.3g Renol Blue B2G HWR(Clariant社により市販の、
ポリビニルブチラルを用いた銅フタロシアニン顔料)
0.4g アニリノ二酢酸
0.25g 2-[2-[2-チオフェニル-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3
-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1
-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル
-3H-インドリウムクロライド
【0068】
保護膜溶液の適用及びプレートのさらなる処理もまた、実施例1に記載の通り行った。
フレッシュプレートのIR感受性の結果を表にまとめた。エイジドプレートの非露光領域は、列記した現像期間内に、残留物もなく、基質から除去することができた。AC 50R及びs-トリアジン誘導体の交換並びに、実施例1と比べて調整を加えたモノマーまたはオリゴマー組成物が、IR感受性値にいかなる変化も引き起こしていないことが明らかになった。
【0069】
(実施例6)
2-[2-[2-チオフェニル-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウムクロライドに代えて、2-[2-[2-クロロ-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム-トシラートを0.30g使用したこと以外は、実施例1を繰り返し、実施例1に記載の通りコーティング溶液を処理した。フレッシュプレートのIR感受性の結果を表にまとめた。エイジドプレートの非露光領域は、列記した現像期間内に、残留物もなく、基質から除去することができた。IR染料の交換が、IR感受性値に、僅かな変化しかもたらさないことが明らかになった。
【0070】
(実施例7)
2-[2-[2-チオフェニル-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウムクロライドに代えて、2-[2-[2-クロロ-3-[2-エチル-(3H-ベンズチアゾール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-3-エチル-ベンズチアゾリウム-トシラートを0.28g使用したこと以外は、実施例1を繰り返し、実施例1に記載の通りコーティング溶液を処理した。フレッシュプレートのIR感受性の結果を表にまとめた。エイジドプレートの非露光領域は、列記した現像期間内に、残留物もなく、基質から除去することができた。IR染料の交換が、IR感受性値に、僅かな変化しかもたらさないことが明らかになった。
【0071】
【表1】

【0072】
(実施例8)
下記の成分から、コーティング溶液を調製した。
2.44g CAPR(Eastman Kodak Co.により市販の、セルロースアセタートフ
タラート)
3.36g 1-メチル-2,4-ビス-イソシアナートベンゼン(Bayer社の
Desmodur N100)を、イソシアナート基の完全転化の際に
100g当たりの二重結合含量が0.50である、
ペンタエリトリトールトリアクリラート及びヒドロキシエチルアク
リラートと反応させることにより調製されるウレタンアクリラート
の80%溶液
0.56g ジペンタエリトリトールペンタアクリラート
0.30g 2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス-(トリクロロメチル)
-s-トリアジン
0.075g クリスタルヴァイオレット(C.I.42555)
0.16g アニリノ二酢酸
0.32g 2-[2-[2-フェニルスルホニル-3-[2-(1,3-ジヒドロ
-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)
-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3
-トリメチル-3H-インドリウムクロライド
【0073】
記載の成分を、攪拌しつつ、実施例1で使用した溶媒混合物50ml中に溶解させた。この溶液を、実施例1に概説したのと同様の方法で、コーティングし、乾燥させ、更に保護コーティングした。
前記プレート前駆体を、830nmで放出し、130mJ/cm2の造影エネルギー密度を有するCreo社のTrendsetter 3244画像セッターにて造影し、実施例1に記載のように処理した。Gretag D19C濃度計で、2から98%のドットが測定され、これは、該印刷プレートが、非常に優れた解像力を有することを示している。
【0074】
(実施例9)
2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス-(トリクロロメチル)-s-トリアジンに代えて、2-ヒドロキシテトラデシルオキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモナートを1.3g使用したこと以外は、実施例1を繰り返した。
前記プレート前駆体を、830nmで放出し、180mJ/cm2の造影密度を有するCreo社のTrendsetter 3244画像セッターにて造影し、実施例1に記載のように処理した。Gretag D19C濃度計で、2から98%のドットが測定された。
【0075】
(実施例10)
下記の成分から、コーティング溶液を調製した。
2.5g Scripset 540R(Monsanto Co.製の、
マレイン酸無水物/スチレンコポリマーのブチルセミエステル)
180mg KOH/gの酸価を有するアクリル酸コポリマー)
3.36g 1-メチル-2,4-ビス-イソシアナートベンゼン(Bayer社より
市販のDesmodur N100R)を、イソシアナート基のが完全転化の際の
100g当たりの二重結合含量が0.50である、
ペンタエリトリトールトリアクリラート及びヒドロキシエチルアク
リラートと反応させることにより調製されるウレタンアクリラート
の80%溶液
0.56g ジペンタエリトリトールペンタアクリラート
0.32g 2-メトキシ-4-フェニルアミノベンゼンジアゾニウムヘキサフル
オロホスファート
0.075g クリスタルヴァイオレット(C.I.42555)
0.16g アニリノ二酢酸
0.32g 2-[2-[2-チオフェニル-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3
-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1
-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル
-3H-インドリウムクロライド
【0076】
記載の成分を、攪拌しつつ、実施例1で使用した溶媒混合物50ml中に溶解させた。この溶液を、実施例1に概説したのと同様の方法で、コーティングし、乾燥させ、更に保護コーティングした。
前記プレート前駆体を、830nmで放出し、110mJ/cm2の造影エネルギー密度を有するCreo社のTrendsetter 3244画像セッターにて造影した。この露光させたプレートを、1分間、90℃にて加熱した後、実施例1に記載のように現像した。Gretag D19C濃度計で、2から98%のドットが測定された。
【0077】
(実施例11)
2-[2-[2-チオフェニル-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウムクロライドを、ポリメチン染料に属する、0.33gのIRT染料(昭和電工株式会社、日本)で置き換えることによって、実施例1を変更した。得られた組成物を、実施例1にあるようにコーティングし、造影して処理した。90mJ/cm2では、十分に元のコーティング厚さを維持することが測定された。
【0078】
(実施例12)
下記の成分から、コーティング溶液を調製した。
成分 重量部
Desmodur N100Rの、ヒドロキシエチルアクリラート及び
ペンタエリトリトールトリアクリラートとの反応生成物 3.56
Joncryl 683 1.61
Terpolymer(130mg/KOH/gの酸価を有する、
Panchimにより市販のメタクリル酸コポリマー) 1.61
ジメチロールプロパンテトラアクリラート 0.72
2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス-(トリクロロメチル)
-2-トリアジン 0.39
アニリノ二酢酸 0.21
YKR−30A* 0.13
クリスタルヴァイオレット 0.10
Byk 307 0.11
MEK 13.75
トルエン 22.91
1-メトキシ-2-プロパノール 54.88
YKR−30A* は、Yamamoto Chemicals, Inc.製の可溶性フタロシアニン誘導体であって、830nmに吸収極大を有する。
【0079】
該溶液を、ポリビニルホスホン酸で前処理を施してなる、電気化学的に砂目立てして陽極化させたアルミニウムに、巻線型ロッドで塗布した。乾燥させた後、得られたプレートに、3.94部の2-プロパノール及び89.87部の水中、5.26部のAirvol 203と0.93部のポリビニルイミダゾールから調製されてなる溶液を保護コーティングした。該プレートを、Creo 3244 Trendsetterで830nmにて造影させ、125℃にて約1分間加熱し、953現像液で処理した。
【0080】
(実施例13)
YKR-30A染料を2-[2-[2-チオフェニル-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム-4-メチルベンゼンスルホナートで置き換えること及び、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-2-トリアジンの代わりにN-メトキシ-4-フェニルピリジニウムテトラフルオロボラートを用いることによって、実施例12のコーティング処方を変更した。得られた溶液を、実施例12のようにコーティングし、造影し、更に処理した。
【0081】
(比較例1:米国特許第5496903号の類似物)
3.0g Ioncryl 683R(SC Johnson & Son Inc.により市販の、
180mg KOH/gの酸価を有するアクリル酸コポリマー)
4.4g AC 50R(PCASより市販の、48mg KOH/gの酸価を有する
アクリル酸コポリマー、メチルグリコール中70重量%溶液)
8.4g 1-メチル-2,4-ビス-イソシアナートベンゼン(Bayer社より
市販のDesmodur N100R)を、全てのイソシアナート基が完全に反応
した際の100g当たりの二重結合含量が0.50である、
ペンタエリトリトールトリアクリラート及びヒドロキシエチルアク
リラートと反応させることにより調製されるウレタンアクリラート
の80%メチルエチルケトン溶液
1.4g ジペンタエリトリトールペンタアクリラート
0.62g 2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス-(トリクロロメチル)
-s-トリアジン
0.3g Renol Blue B2G HWR(Clariant社により市販の、
ポリビニルブチラルを用いた銅フタロシアニン顔料)
0.4g CGI 7460R(Ciba Spezialitatenchemie製の、
アルキルアンモニウムボラート)
0.25g 2-[2-[2-チオフェニル-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3
-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1
-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル
-3H-インドリウムクロライド
【0082】
これらの成分を、攪拌しつつ、下記:
30体積部のメチルグリコール、
45体積部のメタノール、
25体積部のメチルエチルケトン、
を含む混合物100ml中に溶解させた。
【0083】
濾過の後、該溶液を、電気化学的に砂目立てし、陽極化したアルミニウムホイルに塗布し、これに、通常の方法によりポリビニルホスホン酸の水溶液を用いて後処理を施し、コーティングを4分間、90℃にて乾燥させた。光感受性層の乾燥重量は、およそ2g/m2に相当した。
その後、乾燥層重量1.9g/m2の酸素不透過層を、実施例1に記載のコーティング溶液を用いたのと同様に与えた。
【0084】
IRレーザーダイオード露光及び、これに続く90℃にて1分間の加熱及び現像の後、露光領域には固体領域のみが維持された。80μmの距離をとったラインは、再生されなかった。さらに、非画像領域は、層残留物のために強度の背景むらを呈した。露光したプレートを120℃にて1分間加熱した場合、露光した領域でも、非濾光領域でも、プレートの現像はもはや不可能であった。
非濾光のエイジドプレートもまた、現像不可能であった。
【0085】
これらの発見は、アニリノ二酢酸をホウ酸アンモニウムによって置き換えることは、この上なく感熱性で、IR感受性印刷プレートの貯蔵寿命の要求を満たし得ない処方に通じることを示している。
【0086】
(比較例2)
アルキルアンモニウムボラートに代えて、同量のN-フェニルグリシンを使用したこと以外は、比較例1を繰り返し、コーティング溶液を既述のように処理した。
目盛り125mW及び回転速度230cm/分のIRレーザーダイオード露光の後に、80μmの距離をとったラインが認識可能であったが、ラインの間の空間には、硬化した層残留物が依然存在した。90℃にて15分間加熱されたフレッシュプレートは、上述の現像液ではもはや現像不可能であった。
【0087】
これらの発見は、アニリノ二酢酸をN-フェニルグリシンによって置き換えることは、この上なく感熱性で、そのためにIR感受性印刷プレートの貯蔵寿命の要求を満たし得ない処方に通じることを示している。
【0088】
(比較例3)
下記の成分:
3.15g Ioncryl 683R(SC Johnson & Son Inc.により市販の、
180mg KOH/gの酸価を有するアクリル酸コポリマー)
4.6g AC 50R(PCASより市販の、48mg KOH/gの酸価を有する
アクリル酸コポリマー、メチルグリコール中70重量%溶液)
8.8g 1-メチル-2,4-ビス-イソシアナートベンゼン(Bayer社より
市販のDesmodur N100R)を、全てのイソシアナート基が完全に反応
した際の100g当たりの二重結合含量が0.50である、
ペンタエリトリトールトリアクリラート及びヒドロキシエチルアク
リラートと反応させることにより調製されるウレタンアクリラート
の80%メチルエチルケトン溶液
1.45g ジペンタエリトリトールペンタアクリラート
0.3g Renol Blue B2G HWR(Clariant社により市販の、
ポリビニルブチラルを用いた銅フタロシアニン顔料)
0.4g アニリノ二酢酸
0.25g 2-[2-[2-チオフェニル-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3
-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1
-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル
-3H-インドリウムクロライド
からコーティング溶液を調製し、実施例1に記載の通り処理して、保護層を有する印刷プレートを供した。
【0089】
続く加熱の後、IRレーザーダイオードの目盛り360mW及び回転速度50cm/分にて、現像液を用いて全層を除去した。実施例1との比較により、s-トリアジン誘導体を除外することにより、該処方の感受性は劇的に減少することが判る。
【0090】
(比較例4)
下記の成分:
3.1g Ioncryl 683R(SC Johnson & Son Inc.により市販の、
180mg KOH/gの酸価を有するアクリル酸コポリマー)
4.6g AC 50R(PCASより市販の、48mg KOH/gの酸価を有する
アクリル酸コポリマー、メチルグリコール中70重量%溶液)
8.7g 1-メチル-2,4-ビス-イソシアナートベンゼン(Bayer社より
市販のDesmodur N100R)を、全てのイソシアナート基が完全に反応
した際の100g当たりの二重結合含量が0.50である、
ペンタエリトリトールトリアクリラート及びヒドロキシエチルアク
リラートと反応させることにより調製されるウレタンアクリラート
の80%メチルエチルケトン溶液
1.45g ジペンタエリトリトールペンタアクリラート
0.3g Renol Blue B2G HWR(Clariant社により市販の、
ポリビニルブチラルを用いた銅フタロシアニン顔料)
0.4g 2-(4-メトキシナフチル-1-イル)-4,6-ビス
-(トリクロロメチル)-s-トリアジン
0.25g 2-[2-[2-チオフェニル-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3
-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1
-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル
-3H-インドリウムクロライド
からコーティング溶液を調製し、実施例1に記載の通り処理して、保護層を有する印刷プレートを供した。
【0091】
このプレートのIR感受性値は200mW、150cm/sであり、実施例1に記載した本発明の組成物の値よりも明らかに低かった。さらにまた、プレートのエイジングの後に、これは感受性を大幅に喪失した(IRレーザーダイオードの値:280mW、100cm/s)。昼光に対する耐性は、たったの6分間であった。
【0092】
前記実施例から、本発明のIR感受性組成物を用いて製造される印刷プレートは、現像用薬品に対して高い耐性を示し、連続して多数のコピーを提供することが推測できる。さらにまた、これらは、長い貯蔵寿命及び昼光への優れた耐性、並びに高度のIR感受性及び解像度によっても特徴付けられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)IR光を吸収可能な少なくとも一の化合物、
(b)ラジカルを生成可能な少なくとも一の化合物、及び
(c)N、O及びSから選択されるヘテロ原子で置換された芳香族部分と、さらに少なくとも二のカルボキシル基とを有し、前記カルボキシル基の少なくとも一が、メチレン基を介して前記ヘテロ原子に結合してなる、少なくとも一のポリカルボン酸、
を含む開始剤システム。
【請求項2】
IR光を吸収可能な化合物が、トリアリールアミン染料、
チアゾリウム染料、インドリウム染料、オキサゾリウム染料、シアニン染料、ポリアニリン染料、ポリピロール染料、ポリチオフェン染料及びフタロシアニン顔料から選択される、請求項1に記載の開始剤システム。
【請求項3】
IR光を吸収可能な化合物が、式(A):
【化1】

[式中、各Xは、個別にS、O、NRまたはC(アルキル)2を表し;
各R1は、個別にアルキル基、アルキルスルホナートまたはアルキルアンモニウム基であり;
2は、水素、ハロゲン、SR、SO2R、ORまたはNR2を表し;
各R3は、個別に水素原子、アルキル基、COOR、OR、SR、NR2、ハロゲン原子または任意に置換されたベンゾ縮合環を表し;
-は、アニオンを表し;
---は、任意に五員または六員の炭素環を表し;
各Rは、個別に水素、アルキルまたはアリール基を表し;
各nは、個別に0、1、2または3を表す]
のシアニン染料である、請求項1または2に記載の開始剤システム。
【請求項4】
ラジカルを生成可能な化合物が、ポリハロアルキル置換化合物及びアジニウム化合物から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の開始剤システム。
【請求項5】
IR光を吸収可能な化合物が、
2-[2-[2-チオフェニル-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロペンテン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウムトシラート、
2-[2-[2-フェニルスルホニル-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウムクロライド、
2-[2-[2-チオフェニル-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウムクロライド、
2-[2-[2-クロロ-3-[2-(1,3-ジヒドロ-1,3,3-トリメチル-2H-インドール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-1,3,3-トリメチル-3H-インドリウム-トシラート、または、
2-[2-[2-クロロ-3-[2-エチル-(3H-ベンズチアゾール-2-イリデン)-エチリデン]-1-シクロヘキセン-1-イル]-エテニル]-3-エチル-ベンズチアゾリウム-トシラート、
である、請求項1から4のいずれか一項に記載の開始剤システム。
【請求項6】
ラジカルを生成可能な化合物が、
N-メトキシ-4-フェニルピリジニウムテトラフルオロボラート、
2-ヒドロキシテトラデシルオキシフェニルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート、
2-メトキシ-4-フェニルアミノベンゼンジアゾニウムヘキサフルオロホスファート、
2-フェニル-4,6-ビス-(トリクロロメチル)-s-トリアジン、
2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、
トリブロモメチルフェニルスルホン、
2,4,6-トリ(トリクロロメチル)-s-トリアジン、または
1,2,3,4-テトラブロモ-n-ブタン、
である、請求項1から5のいずれか一項に記載の開始剤システム。
【請求項7】
ポリカルボン酸が、式(B):
【化2】

[式中、Arは、モノ-、ポリ-または未置換のアリール基を表し、pは1から5の整数である]
または、式(C):
【化3】

[式中、R4は、水素原子またはC1−C6アルキル基を表し、k及びmは、それぞれ1から5の整数である]
の化合物である、請求項1から6のいずれか一項に記載の開始剤システム。
【請求項8】
ポリカルボン酸が、アニリノ二酢酸である、請求項1から7のいずれか一項に記載の開始剤システム。
【請求項9】
(i)請求項1から8のいずれか一項の開始剤システムと、不飽和のフリーラジカル重合可能なモノマー、フリーラジカル重合可能なオリゴマー及び、バックボーン中及び/または側鎖の基中にC=C結合を含むポリマーから選択される少なくとも一の成分とからなるフリーラジカル重合可能なシステム、及び
(ii)ポリマーバインダー、
を含むIR感受性組成物。
【請求項10】
画像のコントラストを増大させるための一以上の染料をさらに含む請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
ポリマーバインダーが、70mg KOH/gより大なる酸価をを有する、請求項9または10に記載の組成物。
【請求項12】
印刷プレート前駆体の調製のための請求項9から11のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項13】
請求項9から11のいずれか一項に記載の組成物によるコーティングと、酸素不透過性の保護膜とを含む印刷プレート前駆体。
【請求項14】
IR光への露光による画像形成、任意の加熱工程及び、これに続く現像工程によって、請求項13の印刷プレート前駆体から得られる印刷プレート。
【請求項15】
(a)任意に予備処理を施した基質を、請求項9−11のいずれか一項に記載のIR感受性組成物でコーティングし、次いで酸素不透過性保護膜でコーティングする工程、
(b)工程(a)で得られた印刷プレート前駆体をIR光に露光させ画像形成する工程、
(c)工程(b)の処理済み前駆体を、任意に加熱工程に処する工程、及び
(d)次いで、前記前駆体を、現像液で現像して、印刷可能な平版印刷プレートを得る工程、
を含む画像形成方法。

【公開番号】特開2010−242090(P2010−242090A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−121163(P2010−121163)
【出願日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【分割の表示】特願2000−599598(P2000−599598)の分割
【原出願日】平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願人】(599029154)コダック ポリクロム グラフィックス カンパニーリミテッド (2)
【Fターム(参考)】