説明

IRE−1αインヒビター

【課題】IRE-1αインヒビター化合物、ならびにそれらのプロドラッグおよび薬学的に許容される塩と、それを用いて小胞体ストレス応答に関連する障害を治療するために使用する方法の提供。
【解決手段】例えば、式(A)に示されたサリチルアルデヒド誘導体。


(式中、R1、R2は、水素、ハロゲン、置換されたフェニルまたは1もしくは2個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員ヘテロアリールなどであり、R3は、水素、ハロゲン、-NO2、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖ヒドロキシルアルキルである)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年6月8日に出願された第60/942,743号の恩典を主張し、これを参照により組み入れる。
【0002】
発明の分野
本発明は、IRE-1αインヒビターおよびそれらの治療的使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
細胞の小胞体中におけるタンパク質折り畳みストレスは、小胞体ストレス応答(unfolded protein response)またはUPRと呼ばれるシグナル伝達カスケードを開始する。鍵となる酵素、イノシトール要求性酵素1(inositol requiring enzyme 1)(IRE-1α)は、分子シャペロン活性を増強することによってタンパク質折り畳みストレスを緩和し、従って、ストレス誘導性アポトーシスから細胞を保護する。IRE-1αのインヒビターは、少なくともB細胞自己免疫疾患、特定の癌、およびいくつかのウイルス感染症を治療するために有用である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、IRE-1αインヒビター化合物、ならびにそれらのプロドラッグおよび薬学的に許容される塩を提供する。本発明はまた、小胞体ストレス応答に関連する障害を治療するために治療的に該IRE-1αインヒビター化合物、それらのプロドラッグおよび薬学的に許容される塩を使用する方法ならびに薬学的組成物を提供する。治療され得る患者としては、B細胞自己免疫疾患、特定の癌、およびいくつかのウイルス感染症を有する患者が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】6-ブロモo-バニリンによる細胞ベースのIRE-1α XBP-1特異的エンドリボヌクレアーゼ阻害の結果。12 μL DMSOは1.2%である。
【図2】ヒト骨髄腫細胞における細胞ベースのIRE-1α XBP-1特異的エンドリボヌクレアーゼ阻害の結果。
【図3−1】種々のIRE-1αインヒビターについての細胞XBP-1スプライシングの用量依存阻害を実証する、IRE-1αインヒビターの細胞ベースのアッセイからのPCR産物を示すアガロースゲルのスキャン。XBP-1u、非スプライシング型XBP-1;XBP-1s、スプライシング型SBP-1;EC50、IRE-1αインヒビターがDTT誘導細胞XBP-1スプライシングを50%阻害する濃度(μM)。レーンの上の数字は、各化合物の濃度(μM)を示す。MM.1s骨髄腫細胞を、活性または不活性化合物で2時間処理し、次いでDTTで1時間処理した。イントロン領域に隣接するヒトXBP-1特異的プライマーを使用して、RT-PCRを行った。DTT誘導UPRストレス(S)によって、26ヌクレオチドフラグメントが除去され、ストレス負荷無しの細胞(U)(上部バンド)と比較して下部バンドが出現した。DTTによって誘導されるスプライシング型XBP-1の50パーセント阻害として、EC50を測定した。化合物17-1のEC50はおよそ2〜3μMである。
【図3−2】図3-1の続きを示す図である。
【図4】IRE-1αインヒビターが細胞においてIRE-1αの活性化形態を可逆的に阻害することを示すグラフ。XBP-1スプライシングの細胞での阻害を、HEK 293細胞中で10μM 化合物2を使用して測定した。図4Aは、2mM DTTを添加し、培養物中に残した場合(▲)または誘導の30分後(◆)もしくは1時間後(■)にDTTを洗浄除去した後の、標準RT-PCRを使用してのスプライシング型XBP-1の相対量を示す。XBP-1メッセンジャーRNAは、細胞がDTTでストレス負荷されると、スプライシング形態へ迅速に変換される。逆に、ストレスが除去されると、スプライシング型XBP-1は、細胞によって迅速に分解され、非スプライシング形態によって置き換えられる。図4Bは、DDT誘導の2時間前(■)またはDDT誘導の1時間後(▲)に、化合物2がDTTストレス負荷細胞へ添加されると、非スプライシング形態が、DTTの除去と同様に、迅速に蓄積することを実証しており、このことは、該化合物が該酵素の活性化形態を阻害することを示唆している。DDTストレスを残したまま該化合物を洗浄除去すると、スプライシング型XBP-1が、完全な阻害後、数時間にわたって増加し、このことは、阻害が可逆的であることを示唆している(■、×、*)。スプライシングの割合(%)を、非スプライシング型およびスプライシング型XBP-1バンドについてのゲルをスキャンすることによって測定した(図3における通り)。酵素活性を、スプライシング型XBP-1のパーセントによってY軸に示す(スプライシング型および非スプライシング型XBP-1の総量によって割ったスプライシング型の量として計算)。
【図5】IRE-1αインヒビター11-28(実施例11)による多発性骨髄腫細胞の増殖の阻害を示すグラフ。RPMI-8226多発性骨髄腫細胞を、1%FBSおよび必要とされる抗生物質を含有するRPMI培養培地中に、20,000細胞/ウェルで接種した。プレートを、37℃、95%空気、5%CO2で、一晩インキュベートした。翌日、化合物11-28または培地のみをウェルへ添加し、1ウェル当たり100μlの最終体積が得られた。化合物を4倍希釈し、化合物濃度は100μM〜0μMの範囲内であった。化合物の添加後、プレートを、37℃、95%空気、5%CO2で、24時間インキュベートした。細胞増殖を、製造業者の使用説明書に従ってCellTiter-Gloアッセイ(Promega)を使用して測定した。
【図6】ボルテゾミブ(MG-341;VELCADE(登録商標))でのRPMI8226細胞の24時間処理が、リン酸化IRE-1αおよびXBP1スプライシングのレベルを増加させることを実証する、ウエスタンブロット(図6A)およびアガロースゲル(図6B)。数字は、ボルテゾミブの濃度(nM)を示す。
【図7】相対的カスパーゼ活性(カスパーゼ3およびカスパーゼ7活性の合計)によって反映される、プロテアソームインヒビターMG-132(N-[(フェニルメトキシ)カルボニル]-L-ロイシル-N-[(1S)-1-ホルミル-3-メチルブチル]-L-ロイシンアミド)およびIRE-1α/XBP-1特異的インヒビターを使用しての骨髄腫細胞中におけるアポトーシスの増強を示すグラフ。図7A、100 nM MG-132;図7B、200 nM MG-132。
【図8−1】マウス組織におけるIRE-1αインヒビターのインビボアッセイの結果。図8A、ツニカマイシンおよびIRE-1αインヒビター処置についてのプロトコル。図8B、IRE-1α特異的XBP-1スプライシングは、成体NOD-SCIDマウスの腎臓、肝臓および脾臓において大部分が不活性であることを実証するRT-PCR産物のアガロースゲル。図8C、6時間ツニカマイシンでの処置によって、顕著なレベルのスプライシング型XBP-1が生じた(Wu et al., 2007)。図8C、ツニカマイシンでIP処置した後、4時間、IRE-1αインヒビターで処置したマウスにおける、減少したレベルのスプライシング型XBP-1を実証するRT-PCR産物のアガロースゲル。図8Bおよび図8C中の括弧上の数は、マウス番号(マウス3、マウス4など)である。
【図8−2】マウス組織におけるIRE-1αインヒビターのインビボアッセイの結果。図8D:図8Bおよび8Cにおける1群当たり2匹のマウス由来の総XBP-1と比べてのスプライシング型XBP-1の平均相対パーセンテージのグラフ表示。
【図9】選択したIRE-1αインヒビターでの、初代マウスB細胞のLPS刺激後のIgM分泌の阻害。化合物17-1は、刺激の開始時および刺激の24時間後に再度添加した場合、試験した用量の全てで、IgM分泌を100 nMまで遮断した。しかし、刺激の40時間後に添加した場合、化合物はほとんど効果を有さず;最も高い用量でほんの僅かに阻害した。B細胞刺激、形質細胞分化およびIgM分泌のために、Iwakoshi et al., Nature 4, 321-29, 2003によって以前記載された通りに、方法を行った。初代B細胞を、1処置当たり1x106細胞で、マウスCD43マイクロビーズ(Miltenyiカタログ番号130-049-801)を使用して、BALB/c脾細胞から単離した。精製したB細胞を、20 μg/ml LPS(Sigmaカタログ番号L4391)を用いて、24ウェルプレート中、1x106/ml/ウェルの最終密度でB細胞培地において刺激した。IRE-1αインヒビター化合物17-1を、特定の時点(t=0、t=24時間、t=40時間など)において、種々の濃度(50μM、10μM、2μM、0.4μMおよび0.08μM)で添加した。細胞を37℃で48時間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、細胞を1500rpm/3分でプレート中でスピンした。マウスIgM ELISAキット(Bethyl Labsカタログ番号E90-101)を使用して、IgM分泌の定量のために、上澄みを回収した。B細胞培地は、NEAA、HEPES、NaPyr、PSQ、およびβ-メルカプトエタノールが補われたRPMI + 10% FBSを含んだ。
【発明を実施するための形態】
【0006】
発明の詳細な説明
本発明は、IRE-1αインヒビター化合物、ならびにそれらのプロドラッグおよび薬学的に許容される塩を提供する。本発明はまた、小胞体ストレス応答に関連する障害を治療するために治療的に該IRE-1αインヒビター化合物、それらのプロドラッグおよび薬学的に許容される塩を使用する方法ならびに薬学的組成物を提供する。治療され得る患者としては、B細胞自己免疫疾患、特定の癌、およびいくつかのウイルス感染症を有する患者が挙げられる。
【0007】
本発明は、構造および機能によって関連付けられる多数の化合物、ならびにそれらの使用方法を含む。1つから任意の数のこれらを含むこれらの化合物の種々のグループ分けと、それらの使用とが、定義され得、本発明の個々の態様を構成する。ある態様は、明確に特定の化合物を包含し、一方、他のものは、明確に特定の化合物を除外する。包含または除外についての基準としては、特定の構造または構造的特徴、活性のレベルまたは範囲(例えば、IC50またはEC50)、特定の投与経路による投与についての適合性、治療される疾患などが挙げられる。
【0008】
IRE-1αインヒビター化合物
本発明のIRE-1αインヒビター化合物は、酵素を直接阻害する芳香族およびヘテロ芳香族ヒドロキシアルデヒドである。本化合物は、酵素のRNAse活性の阻害によって作用すると理解される。本発明の特定の態様において、この活性は、少なくとも10、15、20、25、30、40、50、60、または75%、インビトロでのIRE-1αによるヒトミニ-XBP-1 mRNAステムループ基質5'-CAGUCCGCAGGACUG-3'(配列番号:1)の切断として検出される。他の基質も、切断を検出するために使用され得る。US 20070105123を参照のこと。
【0009】
ある態様において、化合物は、およそ20μM(20,000 nM)以下(例えば、20000、15000、10000、7500、7250、7000、6750、6500、6250、6000、5750、5500、5250、5000、4750、4500、4250、4000、3750、3500、3250、3000、2750、2500、2250、2000、1750、1500、1250、1000、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、15、10、5、2、または1 nM以下)の平均IC50で、インビトロアッセイにおいてIRE-1αを阻害する。ある態様において、化合物は、80μM(80,000 nM)以下(例えば、80000、75000、70000、65000、60000、55000、50000、45000、40000、35000、30000、25000、20000、15000、10000、7500、7250、7000、6750、6500、6250、6000、5750、5500、5250、5000、4750、4500、4250、4000、3750、3500、3250、3000、2750、2500、2250、2000、1750、1500、1250、1000、950、900、850、800、750、700、650、600、550、500、450、400、350、300、250、200、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、15、10、5、2、または1 nM以下)の平均EC50で、(例えば、骨髄腫細胞における)インビボXBP-1スプライシングアッセイにおいてIRE-1αを阻害する。IRE-1αインヒビター化合物は、これらの基準のいずれかまたは両方を満たし得る。
【0010】
当技術分野において周知であるように、これらの化合物中のアルデヒド基は、下記に示される3つの等価の形態のいずれかによって表され得る:

【0011】
本発明に従う有用な化合物は、構造式(I)内に包含される:

式中、
OH置換基は、アルデヒド置換基に対してオルトに配置され;
Qは、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、ピリジンN-オキシド、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[c]チオフェン、フラン、ピロール、ピリダジン、ピリミジン(pyrmidine)、ピラジン、トリアジン、イソオキサゾリン、オキサゾリン、チアゾリン、ピラゾリン、イミダゾリン、フッ素、ビフェニル、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、ベンゾフラン、インドール、イソインドール、イソベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、1,2-ベンゾイソオキサゾール、およびカルバゾールより選択される芳香族同素環式またはヘテロ環式環系であり;
Rx、Ry、およびRzは、存在するまたは存在しない可能性があり、独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、-A''Ra、-OH、-OA''Ra、-NO2、-NH2、-NHA''Ra、-N(A''Ra)(A'''Rb)、-NHCOA''Ra、-NHCOOA''Ra、-NHCONH2、-NHCONHA''Ra、-NHCON(A''Ra)(A'''Rb)、ハロゲン、-COOH、-COOA''Ra、-CONH2、-CONHA''Ra、-CON(A''Ra)(A'''Rb)、および

より選択され;
RaおよびRbは、独立して、水素、-COOH、-COOA、-CONH2、-CONHA、-CONAA'、-NH2、-NHA、-NAA'、-NCOA、-NCOOA、-OH、または-OAであり;
Yは、C1-C10アルキレンまたはC2-C8アルケニレンであり、ここで、(a)1、2または3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NHまたはNRcによって置き換えられていてもよく、および/または(b)1〜7個のH原子が、独立して、FまたはClによって置き換えられていてもよく;
AおよびA'は、
(a)独立して、(i)1、2または3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NHもしくはNRcによって置き換えられていてもよく、および/もしくは(ii)1〜7個のH原子が、独立してFもしくはClによって置き換えられていてもよいC1-C10アルキルもしくはC2-C8アルケニル;アリール;またはヘテロアリールであり;または
(b)AおよびA'は一緒に代わってC2-C7アルキレンとなり、ここで、1、2または3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NH、NRc、NCORcまたはNCOORcによって置き換えられていてもよく、例えば、アルキレンジオキシ基を形成し;
A''、A'''は、独立して、(a)存在しない、(b)C1-C10アルキレン、C2-C8アルケニレン、またはC3-C7シクロアルキルであり、ここで、1、2または3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NHまたはNRcによって置き換えられていてもよく、および/または1〜7個のH原子が、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく;または(c)一緒にC2-C7アルキルとなり、ここで、1、2または3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NH、NRc、NCORcまたはNCOORcによって置き換えられていてもよく、
Rcは、C1-C10アルキル、C3-C7シクロアルキル、C4-C8アルキレンシクロアルキル、またはC2-C8アルケニルであり;ここで、1、2または3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NH、NMe、NEtおよび/または-CH=CH-基によって置き換えられていてもよく、1〜7個のH原子が、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく、および/または、1個のH原子がRaによって置き換えられていてもよく;
アリールは、フェニル、ベンジル、ナフチル、フルオレニルまたはビフェニルであり、これらの各々は、非置換であるか、またはハロゲン、-CF3、-Rf、-ORd、-N(Rd)2、-NO2、-CN、-COORd、CON(Rd)2、-NRdCORe、-NRdCON(Re)2、-NRdSO2A、-CORd、-SO2N(Rd)2、-S(O)mRf、一緒にAA'、または-O(アリール)によって、一置換、二置換または三置換され、
RdおよびReは、独立して、HまたはC1-C6アルキルであり;
Rfは、C1-C6アルキルであり;
ヘテロアリールは、1〜2個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族ヘテロ環式環であり、これは、非置換であるか、または、カルボニル酸素、ハロゲン、Rf、-ORd、-N(Rd)2、-NO2、-CN、-COORd、-CON(Rd)2、-NRdCORe、-NRdCON(Re)2、-NRfSO2Re、-CORd、-SO2NRdおよび/または-S(O)mRfによって一置換または二置換され得;かつ
mは、0、1または2である。
【0012】
式(I)内のIRE-1αインヒビター化合物のグループとしては、以下が挙げられ、ここで、Rx、Ry、およびRzは、上記で定義される通りである:


【0013】
C1-C10アルキル(即ち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個の炭素原子を有するアルキル)およびC1-C6アルキル(即ち、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有するアルキル)は、分枝鎖または非分枝鎖であり得、置換または非置換であり得る。任意の置換基としては、ハロゲン(例えば、F、Cl、I、Br)が挙げられる。例としては、メチル、エチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、ネオペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、およびn-デシルが挙げられる。ある態様において、C1-C10は、メチル、エチル、トリフルオロメチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、またはn-デシルである。
【0014】
C3-C7シクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、およびシクロヘプチルが挙げられる。ある態様において、C3-C7シクロアルキルはシクロペンチルである。
【0015】
ある態様において、C2-C8アルケニルは、ビニル、アリル、2-ブテニル、3-ブテニル、イソブテニル、sec-ブテニル、4-ペンテニル、イソペンテニルまたは5-ヘキセニルである。ある態様において、C2-C8アルケニルは、4-ペンテニル、イソペンテニル、または5-ヘキセニルである。
【0016】
C1-C10アルキレンは、好ましくは非分枝鎖であり、ある態様において、メチレン、またはエチレン、プロピレン、またはブチレンである。
【0017】
ある態様において、C2-C8アルケニレンは、エテニレン、またはプロペニレンである。
【0018】
C2-C7アルキレンは、好ましくは非分枝鎖である。ある態様において、C2-C7アルキレンは、エチレン、プロピレン、またはブチレンである。
【0019】
ある態様において、C4-C8アルキレンシクロアルキルは、シクロヘキシルメチルまたはシクロペンチルエチルである。
【0020】
ある態様において、Rx、Ry、およびRzは、独立して、-OH、-OA、-NO2、または-NAA'である。
【0021】
ある態様において、Qはベンゼン、ナフタレン、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェンまたはベンゾ[c]チオフェンであり、RxおよびRyは水素であり、Rzは水素または-ORd、-NO2、ピリジル、またはピリジルN-オキシドである。
【0022】
ある態様において、Rxは、水素、ORd、NO2、-NH2、または-NHCOOA''Raである。
【0023】
ある態様において、Raは、水素、-COOH、-NHA、または-NAA'である。
【0024】
ある態様において、Rcは、C1-C10アルキルまたはC1-C6アルキルである。
【0025】
ある態様において、Yは、メチレン、エチレン、プロピレン、またはブチレンである。
【0026】
ある態様において、AおよびA'は、独立して、C1-C10アルキル;1〜7個の水素原子がFおよび/またはClによって置き換えられているC1-C10アルキル;アリール;またはヘテロアリールである。
【0027】
ある態様において、A''およびA'''は、独立して、存在しないか、または、1つのCH2基がNHもしくはNRcによって置き換えられていてもよいC1-C10アルキレンである。
【0028】
ある態様において、A''およびA'''は一緒に、1つのCH2基がNHもしくはNRcによって置き換えられていてもよいC2-C7アルキレン鎖となる。
【0029】
ある態様において、アリールは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フッ素、塩素、ヒドロキシル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、ニトロ、シアノ、ホルミル、アセチル、プロピオニル、トリフルオロメチル、アミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、スルホンアミド、メチルスルホンアミド、エチルスルホンアミド、プロピルスルホンアミド、ブチルスルホンアミド、ジメチルスルホンアミド、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、またはアミノカルボニルで、一置換、二置換または三置換されている。
【0030】
ある態様において、ヘテロアリールは、以下より選択される:2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル、1-ピロリル、3-ピラゾリル、4-ピラゾリル、5-ピラゾリル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソオキサゾリル、4-イソオキサゾリル、5-イソオキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、3-イソチアゾリル、4-イソチアゾリル、5-イソチアゾリル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル(2-pyrimidyl)、4-ピリミジル(4-pyrimidyl)、5-ピルミジニル(5-pyrmidinyl)、6-ピリミジニル、1,2,3-トリアゾール-1-イル、1,2,3-トリアゾール-4-イル、もしくは1,2,3-トリアゾール-5-イル、1,2,4-トリアゾール-1-イル、1,2,4-トリアゾール-3-イル、1,2,4-トリアゾール-5-イル、1-テトラゾリル、5-テトラゾリル、1,2,3-オキサジアゾール-4-イル、1,2,3-オキサジアゾール-5-イル、1,2,4-オキサジアゾール-3-イル、1,2,4-オキサジアゾール-5-イル、1,3,4-チアジアゾール-2-イル、もしくは1,3,4-チアジアゾール-5-イル、1,2,4-チアジアゾール-3-イル、もしくは1,2,4-チアジアゾール-3-5-イル、1,2,3-チアジアゾール-4-イル、1,2,3-チアジアゾール-5-イル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、ピラジニル、1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル、4-イソインドリル、5-イソインドリル、1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル、1-ベンゾピラゾリル、3-ベンゾピラゾリル、4-ベンゾピラゾリル、5-ベンゾピラゾリル、6-ベンゾピラゾリル、7-ベンゾピラゾリル、2-ベンゾオキサゾリル、4-ベンゾオキサゾリル、5-ベンゾオキサゾリル、6-ベンゾオキサゾリル、7-ベンゾオキサゾリル、3-ベンゾイソオキサゾリル、4-ベンゾイソオキサゾリル、5-ベンゾイソオキサゾリル、6-ベンゾイソオキサゾリル、7-ベンゾイソオキサゾリル、2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル、2-ベンゾイソチアゾリル、4-ベンゾイソチアゾリル、5-ベンゾイソチアゾリル、6-ベンゾイソチアゾリル、7-ベンゾイソチアゾリル、4-ベンゾ-2,1,3-オキサジアゾリル、5-ベンゾ-2,1,3-オキサジアゾリル、6-ベンゾ-2,1,3-オキサジアゾリル、7-ベンゾ-2,1,3-オキサジアゾリル、2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル、1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル、3-シンノリニル、4-シンノリニル、5-シンノリニル、6-シンノリニル、7-シンノリニル、8-シンノリニル、2-キナゾリニル、4-キナゾリニル、5-キナゾリニル、6-キナゾリニル、7-キナゾリニル、8-キナゾリニル、5-キノキサリニル、6-キノキサリニル、2-2H-ベンゾ-1,4-オキサジニル、3-2H-ベンゾ-1,4-オキサジニル、5-2H-ベンゾ-1,4-オキサジニル、6-2H-ベンゾ-1,4-オキサジニル、7-2H-ベンゾ-1,4-オキサジニル、8-2H-ベンゾ-1,4-オキサジニル、1,3-ベンゾジオキソール-5-イル、1,4-ベンゾジオキサン-6-イル、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-4-イル、2,1,3-ベンゾチアジアゾール-5-イル、および2,1,3-ベンゾオキサジアゾール-5-イル。
【0031】
ヘテロ環式基はまた、部分的にまたは完全に水素化され得る。例えば、ある態様において、ヘテロアリールは、以下である:2,3-ジヒドロ-2-フリル、2,3-ジヒドロ-3-フリル、2,3-ジヒドロ-4-フリル、2,3-ジヒドロ-5-フリル、2,5-ジヒドロ-2-フリル、2,5-ジヒドロ-3-フリル、2,5-ジヒドロ-4-フリル、2,5-ジヒドロ-5-フリル、テトラヒドロ-2-フリル、テトラヒドロ-3-フリル、1,3-ジオキソラン-4-イル、テトラヒドロ-2-チエニル、テトラヒドロ-3-チエニル、2,3-ジヒドロ-1-ピロリル、2,3-ジヒドロ-2-ピロリル、2,3-ジヒドロ-3-ピロリル、2,3-ジヒドロ-4-ピロリル、2,3-ジヒドロ-5-ピロリル、2,5-ジヒドロ-1-ピロリル、2,5-ジヒドロ-2-ピロリル、2,5-ジヒドロ-3-ピロリル、2,5-ジヒドロ-4-ピロリル、2,5-ジヒドロ-5-ピロリル、1-ピロリジニル、2-ピロリジニル、3-ピロリジニル、テトラヒドロ-1-イミダゾリル、テトラヒドロ-2-イミダゾリル、テトラヒドロ-4-イミダゾリル、2,3-ジヒドロ-1-ピラゾリル、2,3-ジヒドロ-2-ピラゾリル、2,3-ジヒドロ-3-ピラゾリル、2,3-ジヒドロ-4-ピラゾリル、2,3-ジヒドロ-5-ピラゾリル、テトラヒドロ-1-ピラゾリル、テトラヒドロ-3-ピラゾリル、テトラヒドロ-4-ピラゾリル、1,4-ジヒドロ-1-ピリジル、1,4-ジヒドロ-2-ピリジル、1,4-ジヒドロ-3-ピリジル、1,4-ジヒドロ-4-ピリジル、1,2,3,4-テトラヒドロ-1-、1,2,3,4-テトラヒドロ-2-、1,2,3,4-テトラヒドロ-3-ピリジル、1,2,3,4-テトラヒドロ-4-ピリジル、1,2,3,4-テトラヒドロ-5-ピリジル、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-ピリジル、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-ピペリジニル、2-モルホリニル、3-モルホリニル、4-モルホリニル、テトラヒドロ-2-ピラニル、テトラヒドロ-3-ピラニル、テトラヒドロ-4-ピラニル、1,4-ジオキサニル、1,3-ジオキサン-2-イル、1,3-ジオキサン-4-イル、1,3-ジオキサン-5-イル、ヘキサヒドロ-1-ピリダジニル、ヘキサヒドロ-3-ピリダジニル、ヘキサヒドロ-4-ピリダジニル、ヘキサヒドロ-1-ピリミジニル、ヘキサヒドロ-2-ピリミジニル、ヘキサヒドロ-4-ピリミジニル、ヘキサヒドロ-5-ピリミジニル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニル、3-ピペラジニル、1,2,3,4-テトラヒドロ-1-、1,2,3,4-テトラヒドロ-2-キノリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-3-キノリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-4-キノリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-5-キノリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-キノリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-7-キノリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-8-キノリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-1-イソキノリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-2-イソキノリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-3-イソキノリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-4-イソキノリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-5-イソキノリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-6-イソキノリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-7-イソキノリル、1,2,3,4-テトラヒドロ-8-イソキノリル、2-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ-1,4-オキサジニル、3-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ-1,4-オキサジニル、5-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ-1,4-オキサジニル、6-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ-1,4-オキサジニル、7-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ-1,4-オキサジニル、8-3,4-ジヒドロ-2H-ベンゾ-1,4-オキサジニル、2,3-メチレンジオキシフェニル、3,4-メチレンジオキシフェニル、2,3-エチレンジオキシフェニル、3,4-エチレンジオキシフェニル、3,4-(ジフルオロメチレンジオキシ)フェニル、2,3-ジヒドロベンゾフラン-5-イル、2,3-ジヒドロベンゾフラン-6-イル、2,3-(2-オキソメチレンジオキシ)フェニル、3,4-ジヒドロ-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-6-イル、3,4-ジヒドロ-2H-1,5-ベンゾジオキセピン-7-イル、2,3-ジヒドロベンゾフラニル、または2,3-ジヒドロ-2-オキソフラニル。
【0032】
ある他の態様において、ヘテロアリールは、非置換のピリジル、ピリジルN-オキシド、チエニル、フリル、ピロリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、イソオキサゾリニル、オキサゾリニル、チアゾリニル、ピラゾリニル、イミダゾリニル、ナフチル、キノリニル、イソキノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、またはキノキサリニルである。他の態様において、ヘテロアリールはピリジルである。
【0033】
ある態様において、ヘテロアリールは、カルボニル酸素、OHまたはOAによって一置換または二置換され得る、1〜2個のNおよび/またはO原子を有する単環式飽和または不飽和ヘテロ環式環、例えば、2-オキソピペリジン-1-イル、2-オキソピロリジン-1-イル、2-オキソ-1H-ピリジン-1-イル、3-オキソモルホリン-4-イル、4-オキソ-1H-ピリジン-1-イル、2,6-ジオキソピペリジン-1-イル、2-オキソピペラジン-1-イル、2,6-ジオキソピペラジン-1-イル、2,5-ジオキソピロリジン-1-イル、2-オキソ-1,3-オキサゾリジン-3-イル、3-オキソ-2H-ピリダジン-2-イル、2-カプロラクタム-1-イル(=2-オキソアゼパン-1-イル)、2-ヒドロキシ-6-オキソピペラジン1-イル、2-メトキシ-6-オキソピペラジン1-イル、2-アザビシクロ[2.2.2]-オクタン-3-オン-2-イル、または2-オキソピペリジン-1-イルである。ある態様において、ヘテロアリールは、2-オキソピペリジン-1-イルである。
【0034】
他の態様において、ヘテロアリールは、C1-C6アルキルによって一置換または二置換され得る、1〜2個のN原子を有する単環式飽和ヘテロ環式基である。
【0035】
式(I)内のIRE-1αインヒビター化合物のグループはまた、構造式(II)を有するものを含む:

式中、
R1は、水素、ハロゲン、-NO2、-OCH3、または-OCH2CH3であり;かつ
Arは、

であり、これらの各々は、非置換であるか、または、ハロゲン、-OH、-COOH、-CH2OCH3、C1-C3アルキル、C1-C3アルコキシ、-CH2OH、フェニルオキシ、およびフェニル-C1-C3アルコキシより独立して選択される1、2、または3個の置換基によって置換され得る。アルコキシは、直鎖もしくは分枝鎖であり得る。
【0036】
ある態様において、R1は-OCH3である。
【0037】
式(II)の代表的なIRE-1αインヒビターとしては、表1および2に列挙されるものが挙げられる。
【0038】
(表1)

【0039】
式(I)内のIRE-1αインヒビター化合物のグループはまた、構造式(III)を有するものを含む:

式中、R2、R3、およびR4は、独立して、水素、ハロゲン、-OH、-COOH、-CH2OCH3、C1-C3アルキル、C1-C3アルコキシ、-CH2OH、フェニルオキシ、およびフェニル-C1-C3アルコキシより選択される。
【0040】
式(III)の代表的なIRE-1αインヒビター化合物としては、表2に列挙されるものが挙げられる。
【0041】
(表2)


【0042】
式(I)内のIRE-1αインヒビター化合物のグループはまた、構造式(IV)を有するものを含む:

式中、
R1は、水素、-OH、-OCH3、-OCH2CH3、-C=O、または-NO2より選択され;かつ
R5およびR6は、独立して、水素、ハロゲン、C1-C3アルキル、または-NO2である。
【0043】
ある態様において、IRE-1αインヒビター化合物は、以下である化合物を除外する構造式(IV)を有する:
R1、R5、およびR6が、各々、水素である;
R1が-OCH3であり、R5およびR6が両方とも水素である;
R1およびR5が両方とも水素であり、R6がフッ素である;
R1およびR6が両方とも-NO2であり、R5が水素である;
R1およびR5が両方とも水素であり、R6が-CH3である;
R1が-CH3であり、R5およびR6が両方とも水素である;
R1が-OCH3であり、R5

であり、R6が水素である;
R1およびR6が両方ともCl、I、またはFである;
R1がBrであり、R6がClである;
R1が-NO2であり、R6がBrである;
R1がカルボニルであり、R6がClまたはメチルである;
R1がメトキシであり、R6が-NO2、Br、メトキシ、またはClである;ならびに
R1がメトキシであり、R5がBrある。
【0044】
他のIRE-1αインヒビター化合物は、以下の構造式を有する:

式中、R3は上記に定義される通りである。式(V)の代表的なIRE-1αインヒビター化合物としては、以下が挙げられる:

【0045】
他のIRE-1αインヒビター化合物は、構造式(VI)を有する:

式中、R2は上記に定義される通りである。例えば、R2がフェニルであるIRE-1αインヒビター化合物は、以下の構造を有し得る:

式中、R4およびR5は、独立して、上記に定義されるR2およびR3についての置換基より選択される。
【0046】
式(VI)の代表的なIRE-1αインヒビター化合物としては、以下が挙げられる。

【0047】
他の有用なIRE-1αインヒビター化合物を、下記表3に提供する。
【0048】
ある態様において、IRE-1αインヒビター化合物は、式(I)の範囲内に入る、構造式(A)を有する:

式中、
R1は、水素、ハロゲン、または窒素、酸素および硫黄より独立して選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員ヘテロアリールであり;
R2は、水素、

、フェニル、または窒素、酸素および硫黄より独立して選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員ヘテロアリールであり、ここで、該ヘテロアリールはベンゾ縮合(benzofuse)されていてもよく、ここで、該ヘテロアリールは、

C1-C3直鎖もしくは分枝鎖アルキル、

C1-C3フェニルアルキル、C1-C3アルコキシフェニルアルキル、

より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよく、
R3は、水素、ハロゲン、-NO2、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖ヒドロキシルアルキル、

であり、かつ
Qは、5もしくは6員ヘテロ環である。
【0049】
構造式(A)のある化合物において、R1は、水素、

、およびBrからなる群より選択される。
【0050】
構造式(A)のある化合物において、R2は、水素、

からなる群より選択される。
【0051】
構造式(A)のある化合物において、R4は、水素、

からなる群より選択される。
【0052】
構造式(A)のある化合物において、R5は、水素、

からなる群より選択される。
【0053】
構造式(A)のある化合物において、R6は、水素、

からなる群より選択される。
【0054】
構造式(A)のある化合物において、R7は、水素、

からなる群より選択される。
【0055】
構造式(A)のある化合物において、R8は、水素、

からなる群より選択されるか、または、R9およびそれらが結合されている窒素原子と一緒に、

となる。
【0056】
構造式(A)のある化合物において、R9は、水素であるか、または、R8およびそれらが結合されている窒素原子と一緒に、

となる。
【0057】
構造式(A)のある化合物において、R3は、
水素、-F、-CF3、-NO2、-O、-OCH3、-CH3OH、

および-OR10からなる群より選択され、ここで、R10は、水素、C1-C6直鎖もしくは分枝鎖アルキル、または

であり、ここで、R8およびR9は、構造式(A)について上記で定義される通りである。
【0058】
ある態様において、化合物は、式(A)の範囲内に入る構造式(A1)によって表される:

式中、
R1は、水素、または、窒素、酸素もしくは硫黄より独立して選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有する6員ヘテロアリールであり;
Qは、ベンゾ縮合されていてもよい5または6員ヘテロ環式環であり;
R3は、水素、ハロゲン、-NO2、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖ヒドロキシルアルキル、

であり;かつ
R4、R5、およびR6は、独立して、水素、=O、-CH3

である。
【0059】
構造式(A1)のある化合物において、R1は、水素、

からなる群より選択される。
【0060】
構造式(1)のある化合物において、Qは、

からなる群より選択され;
R4、R5、およびR6は、独立して、

C1-C3直鎖もしくは分枝鎖アルキル、

C1-C3フェニルアルキル、C1-C3アルコキシフェニルアルキル、

より選択される。
【0061】
構造式(A1)のある化合物において、R3は、水素、-F、-CF3、-NO2、および-OCH3からなる群より選択される。
【0062】
ある態様において、化合物は、式(A)の範囲内に入る構造式(A2)によって表される:

式中、
R1は、水素、ハロゲン、または、窒素、酸素および硫黄より独立して選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員ヘテロアリールであり;
R3は、水素、ハロゲン、-NO2、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖アルキル、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖ヒドロキシルアルキル、

であり;かつ
R4、R5、およびR6は、独立して、

C1-C3直鎖もしくは分枝鎖アルキル、

C1-C3フェニルアルキル、C1-C3アルコキシフェニルアルキル、

より選択される。
【0063】
ある態様において、化合物は、式(A)の範囲内に入る構造式(A3)によって表される:

式中、
Qは、窒素、酸素および硫黄より独立して選択される1または2個のヘテロ原子を含有する5または6員ヘテロアリールであり;
R1は、水素であり;かつ
R3は、水素またはC1-C3アルコキシ(alkyoxy)である。
【0064】
構造式(A3)のある化合物において、Qは、

からなる群より選択される。
【0065】
構造式(A3)のある化合物において、R3は、

である。
【0066】
ある態様において、化合物は、式(A)の範囲内に入る構造式(A4)によって表される:

式中、
R1は、水素であり;
R3は、水素、-F、-NO2、または

であり;
R8は、

であるか、または、R9およびそれらが結合されている窒素原子と一緒に、

となり;かつ
R9は、水素であるか、または、R8およびそれらが結合されている窒素原子と一緒に、

となる。
【0067】
ある態様において、化合物は、以下の構造式の1つを有する:








【0068】
ある態様において、化合物は、式(I)の範囲内に入る、構造式(B)によって表される:

式中、
R1およびR2は、独立して、水素、フェニル、またはベンゾ縮合されていてもよい5もしくは6員ヘテロ環であり、ここで、該フェニルまたは該ベンゾ縮合されていてもよい5もしくは6員ヘテロ環は、

-CH3OH、-CHO、-OCH3、ハロゲン、-OH、-CH3

で置換されていてもよく;
R3は、水素、ハロゲン、-NO2、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖アルキル、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖ヒドロキシルアルキル、

であり;かつ
R4は、水素、

である。
【0069】
ある態様において、化合物は、以下の構造式の1つを有する:




【0070】
ある態様において、化合物は、式(I)の範囲内に入る構造式(C)によって表される:

式中、
R1は、水素、-CH3、または-OHであり;
R2およびR3は、独立して、水素、フェニル、またはベンゾ縮合されていてもよい5もしくは6員ヘテロ環であり、ここで、該フェニルまたは該ベンゾ縮合されていてもよい5もしくは6員ヘテロ環は、

-CH3OH、-CHO、-OCH3、ハロゲン、-OH、-CH3

で置換されていてもよく;
環A中のヒドロキシ置換基は、アルデヒド置換基に対してオルトに配置される。
【0071】
ある態様において、構造式(C)によって表される化合物は、以下の構造式の1つを有する。

【0072】
ある態様において、化合物は、式(I)の範囲内に入る構造式(D)によって表される:

式中、R1は、水素、ハロゲン、-NO2、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖アルキル、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖ヒドロキシルアルキル、

である。構造式(D)の1つの化合物において、R1はメチルである。
【0073】
本発明に従う他の有用な化合物を、表11- に示す。
【0074】
薬学的に許容される塩;立体異性体;互変異性体
IRE-1αインヒビター化合物は、化合物の遊離形態ならびにそれらの薬学的に許容される塩および立体異性体の両方を含む。本明細書に記載される特定のIRE-1αインヒビター化合物のいくつかは、アミン化合物のプロトン化塩である。
【0075】
用語「遊離形態」は、非塩形態のアミン化合物を指す。包含される薬学的に許容される塩は、本明細書に開示される特定の化合物について記載される塩だけでなく、式I〜VIIおよびA〜DのIRE-1αインヒビター化合物の遊離形態の、ならびに式EおよびF(下記)のプロドラッグの、典型的な薬学的に許容される塩の全てをも含む。
【0076】
記載される特定の塩化合物の遊離形態は、当技術分野において公知の技術を使用して単離され得る。例えば、遊離形態は、適切な希釈塩基水溶液、例えば、NaOH、炭酸カリウム、アンモニアおよび炭酸水素ナトリウムの希釈水溶液で塩を処理することによって、再生され得る。遊離形態は、極性溶媒中の溶解性などの特定の物性がいくぶんそれらそれぞれの塩形態とは相違し得るが、酸および塩基塩は、本発明の目的についてそれらそれぞれの遊離形態と、その他の点では、薬学的に等価である。
【0077】
開示されるIRE-1αインヒビター化合物の薬学的に許容される塩は、通常の化学的方法によって、塩基性または酸性部分を含有する本発明の化合物から合成され得る。一般的に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによって、または、適切な溶媒もしくは溶媒の種々の組み合わせ中で遊離塩基と化学量論量もしくは過剰量の所望の塩形成性無機または有機酸とを反応させることによって、作製される。同様に、酸性化合物の塩は、適切な無機または有機塩基との反応によって形成される。
【0078】
IRE-1αインヒビター化合物の薬学的に許容される塩としては、塩基性化合物と無機または有機酸とを反応させることによって形成されるような該化合物の通常の非毒性塩が挙げられる。例えば、通常の非毒性塩としては、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などから誘導されるもの、ならびに有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ-安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸などから作製される塩が挙げられる。
【0079】
IRE-1αインヒビター化合物が酸性である場合、好適な薬学的に許容される塩としては、無機塩基および有機塩基を含む薬学的に許容される非毒性塩基から作製される塩が挙げられる。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを含む。特定の塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩である。薬学的に許容される有機非毒性塩基から誘導される塩としては、第1級、第2級および第3級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミンならびに塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン カフェイン、コリン、N,N1-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩が挙げられる。上記に記載した薬学的に許容される塩および他の典型的な薬学的に許容される塩の作製は、Berg et al.,「Pharmaceutical Salts,」J. Pharm. Sci., 1977:66:1-19によってより完全に記載されている。
【0080】
いくつかのIRE-1α化合物またはプロドラッグは、潜在的に内部塩または両性イオンであり、何故ならば、生理学的条件下で、化合物中の脱プロトン化酸性部分、例えばカルボキシル基は、アニオン性となり得、次いで、この電子電荷は、プロトン化またはアルキル化塩基性部分、例えば第4級窒素原子のカチオン電荷に対して、内部で釣り合わされ得るためである。
【0081】
IRE-1αインヒビター化合物またはそれらのプロドラッグは、不斉中心、キラル軸、およびキラル面を有し得(E. L. Eliel and S. H. Wilen, Stereochemistry of Carbon Compounds, John Wiley & Sons, New York, 1994, pages 1119-1190に記載される通り)、ラセミ体、ラセミ混合物、および個々のジアステレオマーとして存在し得、光学異性体を含む全ての可能な異性体およびそれらの混合物が、本発明内に含まれる。
【0082】
IRE-1αインヒビター化合物またはそれらのプロドラッグは、その構成原子が、同一の結合を有するにもかかわらず、2つまたはそれ以上の様式で空間的に配置可能である性質のものであってよい。結果として、この化合物は、立体異性体の形態で存在する。シス/トランス異性は、立体異性の1タイプに過ぎない。立体異性体が重ね合わせることができない像および鏡像である場合、それらは、1つまたは複数の不斉炭素原子が、それらを形成する構造中に存在するため、キラリティーまたは掌性を有するエナンチオマーである。エナンチオマーは、同程度だが反対方向に偏光面を回転させるため、光学活性であり、従って識別可能である。
【0083】
2つまたはそれ以上の不斉炭素原子がIRE-1α化合物中に存在する場合、2つの可能な立体配置がこれらの炭素原子の各々で存在する。例えば、2つの不斉炭素原子が存在する場合、4つの可能な立体異性体が存在する。さらに、これらの4つの可能な立体異性体は、互いに相違する立体異性体の6つの可能な対に分けられ得る。複数の不斉炭素を有する分子の対がエナンチオマーとなるためには、それらは、各不斉炭素で異なる立体配置を有さなければならない。エナンチオマーとして振る舞わない対は、ジアステレオマー関係として公知である、異なる立体化学的関係を有する。エナンチオマーではない立体異性体は、ジアステレオ異性体、または、より頻繁には、ジアステレオマーとして公知である。
【0084】
本発明の化合物の立体化学のこれらの周知の局面の全てが、本発明の一部であると考えられる。従って、本発明は、立体異性体、ならびに、これらがエナンチオマーである場合は、個々のエナンチオマー、これらのエナンチオマーのラセミ混合物、および、ラセミ混合物において観察されるこれらのエナンチオマーの割合とは相違する割合のこれらのエナンチオマーを含む、人工の、即ち合成の混合物である、IRE-1αインヒビター化合物を包含する。IRE-1αインヒビター化合物が、ジアステレオマーである立体異性体を有する場合、この化合物は、個々のジアステレオマー、ならびに任意の所望の割合のこれらのジアステレオマーの任意の2つまたはそれ以上の混合物を含む。
【0085】
下記は説明に役立つように意図される:単一の不斉炭素原子がIRE-1αインヒビター化合物に存在し、これがその(-)(R)および(+)(S)エナンチオマーを生じさせる場合、このIRE-1αインヒビター化合物は、治療的に活性でありかつ本明細書においてさらに記載される疾患および状態の治療または予防に有用である、全ての薬学的に許容される塩形態、プロドラッグおよびその代謝産物を含む。IRE-1αインヒビター化合物が(-)(R)および(+)(S)エナンチオマーの形態で存在する場合、治療的活性の全て、実質的に全てまたは優勢なシェアがこれらのエナンチオマーのうちの1つにのみに存するか、または望ましくない副作用がこれらのエナンチオマーのうちの1つにのみに存するならば、この化合物はまた、(+)(S)エナンチオマーのみまたは(-)(R)エナンチオマーのみを含む。2つのエナンチオマーの生物学的特性に本質的に差異がない場合、本発明のこの化合物は、さらに、ラセミ混合物としてまたは対応の部分の任意の所望の比率の非ラセミ混合物として、(+)(S)エナンチオマーと(-)(R)エナンチオマーとを一緒に含む。
【0086】
存在する場合、IRE-1αインヒビター化合物の1対または1セットのエナンチオマーの特定の生物学的効果および/または物理的および化学的特性は、例えば最終治療製品を形成するために、特定の比率でこれらのエナンチオマーを使用することを明らかにし得る。下記は例示に役立つように意図される:1対のエナンチオマーが存在する場合、エナンチオマーは、90% (R)−10% (S)、80% (R)−20% (S)、70% (R)−30% (S)、60% (R)−40% (S)、50% (R)−50% (S)、40% (R)−60% (S)、30% (R)−70% (S)、20% (R)−80% (S)、および10% (R)−90% (S)などの比率で使用され得る。それらが存在する場合、IRE-1αインヒビター化合物の種々のエナンチオマーの特性を評価した後に、最終治療製品を形成する特定の所望の特性を有するこれらのエナンチオマーの1つまたは複数の対応の量が、簡単な方法で測定され得る。
【0087】
互変異性体として存在し得る本発明に開示されるIRE-1αインヒビター化合物について、1つの互変異性構造のみが描写されているとしても、両方の互変異性形態が、本発明内に包含される。例えば、ケト互変異性体として下記に描かれるもののような化合物は、エノール互変異性体(逆もまた同様)、並びにそれらの混合物を含む。

【0088】
本発明はまた、開示される化合物の薬学的に使用可能な立体異性体、E/Z異性体、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー、水和物、および溶媒和物を含む。「溶媒和物」は、それらの相互吸引力に起因して形成される、該化合物への不活性溶媒分子の付加物(adduction)である。溶媒和物は、例えば、一水和物、二水和物またはアルコラートである。
【0089】
プロドラッグ
本発明はまた、投与後に活性IRE-1αインヒビター化合物へ代謝されるプロドラッグを提供する。例えば、本明細書に開示されるIRE-1αインヒビター化合物は、例えば、アルキルもしくはアシル基、糖類、またはオリゴペプチドで修飾され得、これらはインビボで迅速に切断され、活性IRE-1αインヒビター化合物が放出される。
【0090】
アルコールおよびアルデヒドは、下記の一般的スキームに従って、代謝的に相互変換可能であるため、対応する芳香族アルコールの誘導体は、芳香族アルデヒドのプロドラッグとして役立ち得る:

Scheline, 1972, Xenobiotica, 2, 227-36。
【0091】
アルデヒド、ケトン、アルコールおよび他の官能基のプロドラッグの例が、Wermuth et al., 1996, Designing Prodrugs and Bioprecursors I: Carrier Prodrugs. In The Practice of Medicinal Chemistry, pp. 672-696;およびWermuth, 1996, 「Preparation of Water-Soluble Compounds by Covalent Attachment of Solubilizing Moieties,」 in Wermuth, ed., The Practice of Medicinal Chemistry, pp. 756-776に記載されている。プロドラッグ機能を行い得る他の一般的なアルデヒド誘導体およびアルコール誘導体ならびにそれらの作製方法は、Cheronis et al., 1965, Semimicro Qualitative Organic Analysis, New York: Interscience, pp. 465-518に記載されている。
【0092】
本発明のプロドラッグは、下記の構造式AA、BB、またはCCを有する化合物を含み、式中、Qのアルデヒド置換基が下記に示されるようなプロドラッグ形態で存在することを除いて、Q'は、上記に定義されるQについての全ての点で同一であり、RaおよびRcは上記に定義される通りである。

【0093】
ある態様において、IRE-1αインヒビター化合物のプロドラッグは、構造式(E)によって表される:

式中、
R1は、水素または-OCH3であり;かつ
R2は、

である。
【0094】
ある態様において、構造式(E)によって表されるプロドラッグは、以下の構造式の1つを有する。

【0095】
ある態様において、IRE-1αインヒビタープロドラッグは、構造式(F)によって表される:

式中、
R1は、水素またはBrであり;
R2は、水素、Br、または

であり;かつ
R3は、水素、-OCH3、-COOH、または-OCH2CH3である。
【0096】
ある態様において、構造式(F)によって表されるIRE-1αプロドラッグは、以下の構造式の1つを有する。

【0097】
IRE-1αインヒビタープロドラッグの他の例としては、以下が挙げられる。




【0098】
化合物クレームについての但し書き
下記の化合物のいずれかが新規ではない程度まで、本出願人は、クレームの範囲から該化合物および/またはそれらの薬学的に許容される塩を除外する但し書きを含む、現在の化合物および/または組成物クレームに対して権利を保持する:

式中、W2は、ハロゲン;1〜4個の炭素原子を有するアルキル基;1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ基;2〜4個の炭素原子を有するアシルオキシ基;2〜4個の炭素原子を有するアシル基;カルボン酸基;式中、W5が、1〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基であるエステル基--COOW5;ニトリル基;OH基;--CHO基;-NO2基;または、アセトアミド基であり;W1は、水素またはW2で定義される置換基の1つであり;W3およびW4は、同一であるかまたは異なってよく、各々、水素原子またはW2で定義される置換基の1つである;

式中、T1、T2、T3、T4、およびT5は、独立して、ヒドロキシル基、1〜6個の炭素原子を含有するアルコキシ基;1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基、フェニル基、NO2、COOH、COH、スルホン酸、1〜6個の炭素原子を含有するケトン、F、Cl、Br、I、水素、または、前述の酸もしくはアルコールのいずれかの塩より選択され、ここで、上記のT基の少なくとも2つは水素である;またはそれらのフェノール混合物;

式中、U1、U2、U3、およびU4の各々は、独立して、水素もしくはハロゲン原子、またはアルキル、シクロアルキル、アラルキル、アリール、アルカリール、アルコキシ、アリールオキシ、アシルもしくはヒドロキシ基を示す;


式中、V1、V2、V3、およびV4は、水素またはハロゲンを示し;または、式中、V2およびV4は水素であり、V1およびV3は水素またはハロゲンである;

式中、Z、Z1、Z2、およびZ3は、同一であるかまたは異なってよく、水素原子;アルキル、アリール、もしくはシクロアルキル基;アルコキシル、ヒドロキシルもしくはアシルアミノ基;またはハロゲンを示す;
2-ヒドロキシベンズアルデヒド(サリチル酸アルデヒド);2-ヒドロキシ-3-メチルベンズアルデヒド;2-ヒドロキシ-3-tert.ブチルベンズアルデヒド;2-ヒドロキシ-3-tert.ブチル-5-メチルベンズアルデヒド;2-ヒドロキシ-3,5-ジtert.ブチルベンズアルデヒド;2-ヒドロキシ-3-イソプロピル-6-メチル-ベンズアルデヒド;2-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルベンズアルデヒド;2-ヒドロキシ-4-tert.ブチル-ベンズアルデヒド;2-ヒドロキシ-4-クロロベンズアルデヒドおよび2-ヒドロキシ-6-クロロベンズアルデヒド;2-ヒドロキシ-3-フェニルベンズアルデヒド;2-ヒドロキシ-5-メトキシベンズアルデヒド;2-ヒドロキシ-3-ノニルベンズアルデヒド;2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド;および2-ヒドロキシ-4-アセチルアミノベンズアルデヒド;

式中、B1、B2、B3、およびB4は、各々、水素原子、アルキル、シクロアルキル、アルコキシもしくはヒドロキシル基、またはハロゲン原子である;

式中、nは0または1であり、m+nは多くとも4または3であり、Dは、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシアルキル、シクロアルキル、アリール、アルコキシアルキル、ヒドロキシ、ニトロ、またはハロゲンである;
サリチルアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、2,3-ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(オルト-バニリン)、2,4-ジホルミルフェノール、2,6-ジホルミルフェノール、1,2-ジヒドロキシ-3,5-ジホルミルベンゼン、1,2-ジヒドロキシ-4,6-ジホルミルベンゼン、1-ヒドロキシ-2-メトキシ-4,6-ジホルミルベンゼン(4,6-ジホルミルグアイアコール)、1-ヒドロキシ-2-エトキシ-4,6-ジホルミルベンゼン、2,6-ジヒドロキシ-ベンズアルデヒド、およびオルト-ヒドロキシ-パラ-バニリン;

式中、E1は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環式基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、非置換アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、もしくはアルキルアリールアミノ基を示し;またはE1は、一緒に結合し5もしくは6員環を示してもよく;Eは、ホルミル基に対してオルトまたはパラ位に配置され、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アシルオキシ基、クロロカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、およびアミノカルボニルオキシ基からなる群より選択される少なくとも1つによって置換されたメチレン基を示し;rは、0〜3の整数であり;rが2またはそれ以上である場合、E1は同一であるかまたは異なる;

式中、E3は、ヒドロキシル基、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、スルホニルアミノ基、非置換アミノ基、モノアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、もしくはアルキルアリールアミノ基を示し、またはE3は、一緒に結合し5もしくは6員環を示してもよく;-CH2-は、ホルミル基に対してオルトまたはパラ位に配置され、E2は、アルキルチオ基、アリールチオ基、クロロカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、またはアミノカルボニルオキシ基を示し;sは0〜3であり、sが2またはそれ以上である場合、E3は同一であるかまたは異なる;
2-ヒドロキシベンズアルデヒド、3-メチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、3-エチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、3-n-プロピル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、3-イソプロピル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、3-n-ブチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、3-sec-ブチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、3-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、3-アミル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-メチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-エチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-n-プロピル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-イソプロピル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-n-ブチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-sec-ブチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-アミル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、5-メチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、5-エチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、5-n-プロピル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、5-イソプロピル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、5-n-ブチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、5-sec-ブチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、5-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、5-アミル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、6-メチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、6-エチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、6-n-プロピル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、6-イソプロピル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、6-n-ブチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、6-sec-ブチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、6-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、6-アミル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、3,5ジニトロ-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、3,5ジフルオロ-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、3,4ジイソブチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、3,4ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、3,6ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-3,5-ジクロロベンズアルデヒド、2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4-ジヒドロキシ-6-メチルベンズアルデヒド、2,4,6-トリヒドロキシベンズアルデヒド、5-クロロ-2-ヒドロキシベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-5-ブロモベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-3,5-ジヨードベンズアルデヒド、2,4-ジヒドロキシ-3-メチルベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-3-メトキシ-6-ブロモベンズアルデヒド、2,4-ジヒドロキシ-5-プロピルベンズアルデヒド、2,4-ジヒドロキシ-5-ヘキシルベンズアルデヒド、2-ホルミル-3,6-ジヒドロキシ-4,5-ジメチルベンズアルデヒド、2,3,6-トリヒドロキシベンズアルデヒド、2,4-ジヒドロキシ-5-アセチルベンズアルデヒド、2-ホルミル-3,6-ジヒドロキシ-4,5-ジプロピルベンズアルデヒド、2-ホルミル-3-メトキシ-4,5-ジメチル-6-ヒドロキシベンズアルデヒド、2,3,5-トリヒドロキシベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-6-(オキシ-4-メチルペンタン酸)ベンズアルデヒド、3-ホルミル-4,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド、2-エチル-6-ヒドロキシベンズアルデヒド、3-クロロ-5-(3,7-ジメチル-2,6-オクタジエニル)-4,6-ジヒドロキシ-2-メチルベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-6-(8-ペンタデセニル)ベンズアルデヒド、2-4-ジヒドロキシ-3-エチル-6-(1-メチルペンチル)ベンズアルデヒド、2-ペンタン酸-3-ホルミル-4,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド、2-プロパン酸-3-ホルミル-4,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,3,4-トリヒドロキシ-5-メチル-6-ヒドロキシメチルベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-5-カルボキシベンズアルデヒド、3-カルボキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、2,3-ジヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-6-メトキシベンズアルデヒド、2,5-ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,3,4-トリヒドロキシ-6-ヒドロキシメチルベンズアルデヒド、2,3-ジヒドロキシベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-5-アセチルベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-5-カルボキシエチルベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-5-カルボキシプロピルベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-5-カルボキシブチルベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-3-ヨード-5-カルボキシメチルベンズアルデヒド、および2-ホルミル-3,4,5-トリヒドロキシベンズアルデヒド;

式中、Xはハロゲンである;

式中、G1、G2、G3、およびG4は、独立して、水素、直鎖もしくは分枝鎖C1-C10アルキル、C3-C8シクロアルキル、直鎖もしくは分枝鎖C1-C10アルコキシ、フェニル、またはハロゲンであり、ここで、それらがH-原子を有しない場合、アルキルまたはシクロアルキルは、ヒドロキシル基に対してp-位にのみ存在し得る;

式中、J1はNO2であり、J2は水素であるか;J1およびJ2は両方とも塩素であるか;または、J1は水素であり、J2はフッ素である;

式中、K1およびK4は、独立して、水素;ヒドロキシ;ハロ;ニトロ;シアノ;トリフルオロメチル;(C1-C6)アルキル;(C1-C6)アルコキシ;(C3-C6)シクロアルキル;(C2-C6)アルケニル;--C(=O)OK7;--OC(=O)K7;--S(=O)2;--S(=O)2N(K7)(K9);--S(=O)2K7;--S(=O)2OK7;--C(=O)NK7K9;--C(=O)K9;および--N(K7)(K9)から本質的になる群より選択され、ここで、K7は水素または(C1-C4)アルキルであり、K9は(C1-C4)アルキルであり;ここで、K1およびK4を定義する前記アルキル、シクロアルキルおよびアルケニル基は、任意で、独立して、ハロ;ヒドロキシ;(C1-C2)アルキル;(C1-C2)アルコキシ;(C1-C2)アルコキシ-(C1-C2)アルキル;(C1-C2)アルコキシカルボニル;カルボキシル;(C1-C2)アルキルカルボニルオキシ;ニトロ;シアノ;(C1-C2)アルキルによって二置換されたアミノ;スルホニル;および(C1-C2)アルキルによって二置換されたスルホンアミドから本質的になる群より選択される1または2個の置換基によって置換されていてもよく;DDおよびBBは、独立して、それぞれ、N、またはCHK2またはCHK3であり、ここで、K2およびK3は、独立して、水素;ヒドロキシ;ハロ;ニトロ;シアノ;トリフルオロメチル;(C1-C6)アルキル;(C1-C6)アルコキシ;(C3-C6)シクロアルキル;(C2-C6)アルケニル;--C(=O)OK11;--OC(=O)K11;--S(O)2;--S(=O)2N(K11)(K13);および--N(K11)(K13)から本質的になる群より選択され、ここで、K11は水素または(C1-C4)アルキルであり、K13は(C1-C4)アルキルであり;ここで、K2およびK3を定義する前記アルキル、シクロアルキルおよびアルケニル基は、任意で、独立して、ハロ;ヒドロキシ;(C1-C2)アルキル;(C1-C2)アルコキシ;(C1-C2)アルコキシ-(C1-C2)アルキル;(C1-C2)アルコキシカルボニル;カルボキシル;(C1-C2)アルキルカルボニルオキシ;ニトロ;シアノ;(C1-C2)アルキルによって二置換されたアミノ;スルホニル;および(C1-C2)アルキルによって二置換されたスルホンアミドから本質的になる群より選択される1または2個の置換基によって置換されていてもよく;ここで、K1およびK4は、独立して、水素;ヒドロキシ;トリフルオロメチル;(C1-C4)アルキル;(C1-C4)アルコキシ-;--C(=O)OK7;または--N(K7)(K9)であり、ここで、K7は水素または(C1-C2)アルキルであり、K9は(C1-C2)であり;より好ましくは、K1およびK4は、独立して、水素;ヒドロキシ;(C1-C2)アルキル;(C1-C2)アルコキシ;カルボキシルまたはメチルアミノであり、この場合、K7は水素であり、K9はメチルであり;ここで、K1およびK4は、アルキルとして定義され、ヒドロキシ;(C1-C2)アルコキシ;カルボキシル;(C1-C2)アルキルによって二置換されたアミノ;および(C1-C2)アルキルによって二置換されたスルホンアミドより選択される単一の置換基で置換され;ここで、K1およびK4は、アルキルとして定義され、ヒドロキシ、メトキシ、およびジメチルアミノより選択される単一の置換基で置換され;ここで、DDまたはBBの一方はNであり、他方は、それぞれ、CHK2、またはCHK3であり;ここで、DDはCHK2であり、BBはCHK3であり、ここで、K2およびK3は、独立して、水素;ヒドロキシ;ハロ;トリフルオロメチル;(C1-C4)アルキル;(C1-C4)アルコキシ;--C(=O)OK11;--S(=O)2N(K11)(K13);または--N(K11)(K13)であり、ここで、K11は水素または(C1-C2)アルキルであり、K13は(C1-C2)アルキルであり;ここで、K2およびK3は、独立して、水素;ヒドロキシ;(C1-C2)アルキル;(C1-C2)アルコキシ;カルボキシル;またはメチルアミノであり、K11は水素であり、K13はメチルであり;ここで、K2およびK3はアルキルとして定義され、置換され、ヒドロキシ;(C1-C2)アルコキシ;カルボキシル;(C1-C2)アルキルによって二置換されたアミノ;および(C1-C2)アルキルによって二置換されたスルホンアミドより選択される単一の置換基が存在する。
【0099】
o-バニリン;サリチルアルデヒド;2,3-ジヒドロキシベンズアルデヒド;2,6-ジヒドロキシベンズアルデヒド;2-ヒドロキシ-3-エトキシベンズアルデヒド;およびピリドキサール;

式中、L1およびL2は、ハロゲン原子、特に、塩素、臭素、またはヨウ素原子を示し、L3は、水素またはハロゲン原子、特に、塩素を示し、Lは、ヒドロキシル基、アリールまたはアラルキル残基を示し、これは、少なくとも1つの以下の置換基によって置換されている:ハロゲン原子、CF3、NO2、CN、アルキル、アルコキシ、SCN、または第3級アミノ基;

式中、L1およびL2は両方ともCl、両方ともBr、または両方ともIであり;

式中、XXはハロゲンであり、nは2または3であり、YYおよびZZは、同一または異なる低級アルキル基であり、これはまた、窒素原子と一緒にヘテロ環を形成してもよく、かつそれらの第4級塩および金属キレートと同様に、N、N、またはSの別のヘテロ原子を含有してもよい;ならびに

式中、M1、M4、Y'およびX'は、下記に定義される通りである。



【0100】
本発明のIRE-1αインヒビター化合物およびプロドラッグの作製方法
開示される方法に使用するためのIRE-1αインヒビター化合物のいくつかは、例えば、Fluorochem Ltd.、Aurora Fine Chemicals、TCI America Organic Chemicals、AKos Consulting and Solutions、またはMaybridgeから市販されている。他のものおよびそれらの出発材料は、文献、例えば、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的な著書に開示されるような当技術分野において公知の方法の適切な修正によって作製してもよい。また、The MDL(登録商標)CrossFire Beilsteinデータベースにおけるコンピュータ検索によって、方法を見出してもよく、ここでは、反応ドメインが物質の作製を詳述している。下記の具体的な実施例も参照のこと。
【0101】
薬学的調製
本明細書に開示されるIRE-1αインヒビター化合物およびプロドラッグのいずれも、当技術分野において周知の方法を使用して製剤として製剤化され得る。本発明の薬学的製剤は、典型的に、担体と混合された、希釈剤で希釈された、および/または、アンプルなどの使い捨ての容器によってまたはカプセル、サシェ、カシェ、ペーパーもしくは他の容器の形態の摂取可能な担体によって封入もしくはカプセル化された、少なくとも1つのIRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグを含む。
【0102】
担体または希釈剤は、固体、半固体または液体材料であり得る。本発明の薬学的組成物において使用され得る希釈剤または担体のいくつかの例は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコール、流動パラフィン、白色軟パラフィン、カオリン、微結晶性セルロース、ケイ酸カルシウム、シリカ ポリビニルピロリドン、セトステアリルアルコール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、カカオバター、カカオ脂、落花生油、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、メチルセルロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、乳酸エチル、プロピルヒドロキシベンゾエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、およびオレイルアルコールである。
【0103】
本発明の薬学的組成物は、通常の混合、溶解、粒状化、糖衣錠作製、粉末化、乳化、カプセル化、エントラッピング、または凍結乾燥プロセスを含む、当技術分野において周知の方法によって製造してもよい。
【0104】
注射について、本発明の薬剤は、水溶液中に、好ましくは、生理学的に適合性の緩衝液、例えば、ハンクス液、リンゲル液、または緩衝生理食塩水液中に調合され得る。経粘膜投与について、浸透すべきバリアに好適な浸透剤が、製剤中に使用される。このような浸透剤は、当技術分野において一般的に知られている。必要に応じて、本明細書に開示されるIRE-1αインヒビター化合物またはそれらのプロドラッグのいずれもが、発熱物質を含まない薬学的に許容されるビヒクル中に提供され得る。
【0105】
経口投与について、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグは、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグが錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液体、ゲル、シロップ剤、スラリー、懸濁剤などとして製剤化されることを可能にする薬学的に許容される担体またはビヒクルと組み合せてもよい。充填剤、例えば、ゼラチン、糖類(例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトール);セルロース調製物(例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム);および/またはポリビニルピロリドン(PVP)を使用してもよい。必要に応じて、崩壊剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムを、添加してもよい。
【0106】
糖衣錠コアには、好適なコーティングが提供され得る。このために、高濃度の糖溶液が使用され得、これは、任意で、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに好適な有機溶媒もしくは溶媒混合物を含有してもよい。染料または色素を、識別のために錠剤または糖衣錠コーティングへ添加さしてもよい。
【0107】
経口的に使用され得る薬学的調製物としては、ゼラチンから作製されるプッシュフィットカプセル(push-fit capsule)、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えば、グリセロールまたはソルビトールから作製される軟密封カプセルが挙げられる。プッシュフィットカプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および、任意で、安定剤と混合された状態で有効成分を含有してもよい。軟カプセル剤中で、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグは、好適な液体、例えば、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁され得る。さらに、安定剤を添加してもよい。経口投与用の全ての製剤は、好ましくは、このような投与に好適な投薬量で存在する。
【0108】
口腔投与について、組成物は、通常の様式で製剤化された錠剤またはロゼンジの形態をとり得る。
【0109】
吸入による投与について、本発明の薬学的調製物は、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適なガスを使用して、加圧パックまたはネブライザーからエアロゾルスプレーの形態で送達され得る。必要に応じて、定量を送達するためにバルブを使用してもよい。IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグとラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末ミックスを含有する、吸入器または注入器における使用のための例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジが、製剤化され得る。
【0110】
IRE-1αインヒビター化合物またはそれらのプロドラッグを、注射による、例えばボーラス注射または持続注入による非経口投与用に製剤化してもよい。注射のための製剤は、単位投薬形態で、添加された防腐剤と共に、例えば、アンプル中または複数回用量容器中に、存在することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンなどの形態をとり得、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤など、製剤化のための(formulatory)薬剤を含有し得る。
【0111】
非経口投与用の薬学的製剤としては、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグの水溶液が挙げられる。さらに、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグの懸濁液が、好適な油性注射懸濁剤として作製され得る。好適な親油性溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油、例えばゴマ油、または合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルもしくはトリグリセリド、またはリポソームが挙げられる。水性注射懸濁剤は、懸濁剤の粘度を増加させる物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含有し得る。任意で、懸濁剤はまた、高濃度溶液の作製を可能にするために、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグの溶解性を増加させる薬剤または好適な安定剤を含有し得る。
【0112】
または、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグは、使用前に、好適なビヒクル、例えば、発熱物質を含まない滅菌水を用いて構成するための、粉末形態であり得る。
【0113】
IRE-1αインヒビター化合物またはそれらのプロドラッグはまた、例えば、カカオバターまたは他のグリセリドなどの通常の坐剤基剤を含有する、直腸用組成物、例えば、坐剤または停留浣腸剤で製剤化され得る。
【0114】
前述の製剤に加えて、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグはまた、デポ製剤として製剤化され得る。このような長時間作用性の製剤は、移植(例えば、皮下または筋肉内に)によって、または筋肉内注射によって、投与され得る。従って、例えば、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグは、好適なポリマー性または疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂を用いて、または、溶け難い誘導体として、例えば、溶け難い塩として、製剤化され得る。
【0115】
薬学的組成物はまた、好適な固体またはゲル相の担体または賦形剤を含み得る。このような担体または賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリマー、例えば、ポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0116】
上述の一般的な投薬形態に加えて、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグは、Alza Corporationから入手可能なALZET(登録商標)浸透圧ポンプを含む送達デバイスおよび/または制御放出手段によって、投与してもよい。好適な送達デバイスは、米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;第3,944,064号および第4,008,719号に記載されている。
【0117】
治療方法
IRE-1αインヒビター化合物またはそれらのプロドラッグは、小胞体ストレス応答に関連する障害の症状を治療または改善するのに有効な量で、好ましくは発熱物質を含まない薬学的に許容されるビヒクルと共に、上記に開示されるような薬学的調製物において、患者、好ましくはヒト患者へ投与され得る。
【0118】
UPRに関連する障害
タンパク質折り畳みストレスが細胞によってどのように対処されるかに依存する、微妙なバランスが、細胞の生と死との間に存在する(プロテオスタシス(proteostasis))。プロテオスタシスの不均衡は、多くの代謝、腫瘍学的、神経変性、炎症性、心臓血管障害および感染症を招く(Balch et al., Science 319, 916, 2008)。UPRは、特に、小胞体のプロテオスタシスに関連し、小胞体では全ての分泌タンパク質および膜タンパク質が、翻訳され、折り畳まれ、そしてそれらの個々の作用部位への送達のために処理されている。従って、UPRの活性化は、ERにおけるタンパク質折り畳みを増強し、細胞が生き延びることを可能にする。タンパク質折り畳みストレスがERにおいて対処されない場合、細胞はアポトーシスを開始する。
【0119】
タンパク質折り畳みストレスは、細胞型、例えば、インスリン分泌β島細胞または抗体分泌形質細胞の天然のホールマークであり得る。両方の場合とも、細胞は、UPRを活性化させることによって、ストレスを扱う機構を微調整させる。疾患タイプに応じて、UPRを誘導または阻害することが、治療的に有利であり得る。例えば、II型糖尿病またはアルツハイマー病において、インスリンを過剰産生するストレスをβ島細胞が生き延びるか、またはβアミロイドタンパク質の折り畳まれていない凝集体に起因するアポトーシス効果をニューロンが生き延びるような様式で、UPRを活性化させることが治療的に有利であり得る。癌、炎症、およびウイルス感染症などの疾患は、UPRの阻害によって治療的に調節され得る。これらのタイプの状態では、UPRの崩壊に起因する細胞生存が影響を受け得る。ERにおけるタンパク質折り畳みは、低酸素、グルコース飢餓、アミノ酸欠乏、アシドーシスおよび突然変異によって誤って折り畳まれた発癌性タンパク質(mutant malfolded and oncgenic protein)などの、腫瘍微環境における状態によって負に影響される。さらに、化学療法、生物療法、および放射線療法は、タンパク質折り畳みストレスをもたらし得る。UPRの抗アポトーシス効果を阻害することによってこれらの状態においてアポトーシスを誘導することが、可能であり得る。新生物性抗体分泌形質細胞に由来する骨髄腫は、このアプローチが適用され得る状態の例を提供する。
【0120】
最後に、エンベロープウイルスは、感染細胞からの子孫の産生を確実にするために、このシステムを使用し崩壊させなければならない。ウイルスは、しばしば、大量のウイルス膜糖タンパク質を産生し、これらは、ERにおいて折り畳まれ、修飾される。従って、生存メカニズムとしてのこのためのウイルスによるUPRの活性化は、完全に考えられることである。従って、ウイルス感染症の過程で、UPRの阻害が有利な様式で疾患の結果に影響を与え得ることは、論理的である。
【0121】
特殊な分泌細胞および病的細胞のみが、それらの有利になるようにUPRを活性化する。大抵の細胞は、このようなタンパク質折り畳みストレス下になく、従って、UPRインヒビターによって影響されない。従って、「UPRに関連する障害」は、本明細書において使用される場合、病因がUPRの阻害によって有利に影響され得る状態を意味する。本発明の種々の態様において、このようなUPRの阻害は、IRE-1αの阻害によって達成される。
【0122】
ある態様において、IRE-1αインヒビター化合物またはそれらのプロドラッグは、B細胞自己免疫疾患、特定の癌、ならびに、出芽および感染のためのウイルス表面およびスパイクタンパク質を発現するためのウイルス工場として小胞体を使用するエンベロープウイルスの感染症の症状を治療または改善するために有用である。IRE-1αインヒビターおよびそれらのプロドラッグは、下記に記載されるように、単剤としてまたは併用療法において使用され得る。
【0123】
治療され得るB細胞自己免疫疾患としては、アジソン病、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性下垂体炎、自己免疫性リンパ増殖性障害、自己免疫性心筋炎、チャーグ−ストラウス症候群、後天性表皮水疱症、巨細胞性動脈炎、グッドパスチャー症候群、グレーヴズ病、ギラン−バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、重症筋無力症、落葉状天疱瘡、尋常性天疱瘡、結節性多発動脈炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、およびウェゲナー肉芽腫症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
治療され得る癌としては、固形腫瘍、例えば、胸部、骨、前立腺、肺、副腎(例えば、副腎皮質腫瘍)、胆管、膀胱、気管支、神経組織(神経細胞および神経膠細胞腫瘍を含む)、胆嚢、胃、唾液腺、食道、小腸、頸部、結腸、直腸、肝臓、卵巣、膵臓、下垂体腺腫、および分泌性腺腫が挙げられる。本発明の方法は、薬物または放射線耐性固形腫瘍の治療に特に有用である。
【0125】
血液の癌(例えば、リンパ腫および白血病)もまた治療することができ、これらには、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(例えば、皮膚T細胞リンパ腫、例えば、セザリー症候群および菌状息肉症、びまん性大細胞型リンパ腫、HTLV-1関連T細胞リンパ腫、結節性末梢T細胞リンパ腫、節外性末梢T細胞リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、およびAIDS関連リンパ腫)が含まれるが、これらに限定されない。白血病としては、リンパ性白血病および骨髄性白血病の両方の急性および慢性型(例えば、急性リンパ性またはリンパ芽球性白血病、急性骨髄性(myelogenous)白血病、急性骨髄性(myeloid)白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、T細胞前リンパ球性白血病、成人T細胞白血病、およびヘアリー細胞白血病)が挙げられる。骨髄腫の前兆である、意味不明の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS)もまた治療することができる。
【0126】
治療できるウイルス感染症としては、それらが複製し感染性子孫を形成する際に小胞体ストレス応答経路を利用するエンベロープウイルスの感染症が挙げられる(例えば、麻疹、ポックスウイルス、エボラなど)。感染症としてはまた、エプスタインバーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、フラビウイルス(例えば、日本脳炎ウイルスおよび西ナイルウイルス)、およびC型肝炎ウイルス(HCV)のものが挙げられる。
【0127】
併用療法
種々のタイプの生理学的ストレスが、小胞体ストレス応答を誘導し、これらとしては、低酸素、栄養素飢餓、アシドーシス、および、突然変異タンパク質または過剰発現された誤って折り畳まれたタンパク質を生じさせる遺伝子損傷(発癌性ストレス)が挙げられるがこれらに限定されない。これらの状態の1つまたは複数が、癌細胞内に現れ、これは、一部、腫瘍の微環境を介して生じ得る。小胞体ストレス応答(UPR)の細胞保護力が、腫瘍生存において抗アポトーシス役割を果たす可能性が高い。さらに、生物および化学療法薬ならびに放射線治療は、さらに、ERにおけるタンパク質の折り畳みおよび分解サイクルに影響を与え、それによって、保護的耐性機構としてUPRを誘導し得る。腫瘍は通常の療法に対して耐性であるか、または治療に対する最初の応答後に耐性形態に戻るため、患者は癌に屈し、従って、新しい治療および治療組み合わせが必要である。
【0128】
血管新生インヒビターは、腫瘍微環境のストレス効果を増強するプロセスである、新血管形成を阻害することによって、腫瘍増殖を遮断する。全身腫瘍組織量をさらに減少させるための有望なアプローチは、IRE-1α/XBP-1インヒビターと組み合わせて抗血管新生剤を投与し、ERの主要なシャペロンでありかつXBP-1の標的であるGRP78のRNAiノックダウンによって実証されたものと同様の効果を得ることである(Dong et al., Cancer Res. 2007 Jul 15;67(14):6700-7)。さらに、IRE-1α自体が、VEGFの発現に影響を与えることによって、血管新生を調節する。
【0129】
プロテアソームインヒビターおよびHsp90インヒビターは、それぞれ、タンパク質の分解および折り畳みを遮断し、アポトーシスを誘導することによって、一部作用すると考えられている(Davenport et al., Blood 2007 Oct 1 ;110(7):2641-9)。Hsp90インヒビターはXBP-1スプライシングおよびUPRの活性化を誘導することが明らかであるが、プロテアソームインヒビターがIRE-1αを活性化することはあまり明らかではない。現在の科学文献は、IRE-1αは、プロテアソームインヒビター、例えばボルテゾミブまたはMG-132によって、活性化されないかまたは最小限にのみ活性化されることを示唆している(Davenport et al., Blood 2007 Oct 1;110(7):2641-9)。しかし、図6に示されるデータは、ボルテゾミブ耐性RPMI8226細胞におけるこの経路の活性化を実証している。
【0130】
UPRの妨害は、細胞ストレスを高める種々の化学療法に対して癌細胞を感受性にし得、従って、IRE/XBP-1インヒビターは、現在および未来の癌の標準治療と併用して、重要な療法となり得る。
【0131】
固形腫瘍におけるIRE-1αの活性化レベルは、現在、明らかには知られていないが、薬物耐性腫瘍の患者生検材料中でのUPRの誘導が、GRP78の誘導によって証明されている(Moenner et al., Cancer Res. 2007 Nov 15;67(22):10631-4;Lee, Cancer Res. 2007 Apr 15;67(8):3496-9)。
【0132】
XBP-1の非スプライシング形態は、XBP-1およびATF-6転写活性に対してドミナントネガティブとして作用し得るため、XBP-1スプライシングの阻害は、予想よりも大きな効果を有する可能性がある。IRE-1αのキナーゼ活性ではなくRNAse活性を遮断するさらなるインヒビターは、プロアポトーシス結果を有し得るシグナルを、JNK経路を介してシグナル伝達するという付加利益を有し得る。
【0133】
ある態様において、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグは、IRE-1α発現を誘導またはアップレギュレートする治療剤(例えば、Hsp90およびまたはHDACインヒビター、これらは両方ともIRE-1α活性化およびXBP-1スプライシングを誘導する)、または、IRE-1αが発現される場合にあまり有効でない治療剤(例えば、17-AAG(TANESPIMYCIN(登録商標)およびスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA))と組み合わせて投与される。
【0134】
ある態様において、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグは、下記に記載されるような、癌治療剤、例えば、放射線療法または癌治療剤(例えば、化学療法剤または生物療法剤)と組み合わせて投与される。癌治療剤は、IRE-1αインヒビター化合物と別々にまたは一緒に投与することができる。癌治療剤は、IRE-1αインヒビター化合物と本質的に同時に投与することができ、またはIRE-1αインヒビター化合物の前もしくは後のいずれかに投与することができる。
【0135】
本発明に従って使用され得る癌治療剤としては、下記の分類(これらは重複し得る)での薬剤が挙げられるが、これらに限定されない:
a.プロテアソームインヒビター、例えば、ボルテゾミブ([(1R)-3-メチル-1-[[(2S)-1-オキソ-3-フェニル-2-[(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸;MG-341;VELCADE(登録商標))、MG-132(N-[(フェニルメトキシ)カルボニル]-L-ロイシル-N-[(1S)-1-ホルミル-3-メチルブチル]-L-ロイシンアミド);
b.代謝拮抗剤、例えば:
i.ピリミジンアナログ(例えば、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、カペシタビン、ゲムシタビン、およびシタラビン);
ii.プリンアナログ、
iii.葉酸拮抗剤および関連するインヒビター(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチンおよび2-クロロデオキシアデノシン[クラドリビン]);
iv.葉酸アナログ(例えば、メトトレキサート);
c.抗有糸分裂剤、例えば:
i.天然産物、例えば、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン);
ii.アルキル化薬、例えば、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロルエタミン、シクロホスファミドおよびアナログ、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、アルキルスルホネート−ブスルファン、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン(BCNU)およびアナログ、ストレプトゾシン)、トラゼン−ダカルバジニン(trazenes - dacarbazinine)(DTIC);
d.微小管崩壊剤、例えば、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロンおよびナベルビン、ならびにエピジポドフィロトキシン(例えば、テニポシド);
e.DNA損傷剤、例えば、アクチノマイシン、アムサクリン、アントラサイクリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カンプトテシン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シトキサン(Cytoxan)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、ヘキサメチルメラミンオキサリプラチン、イホスファミド(iphosphamide)、メルファラン、メクロレタミン、マイトマイシン、ミトザントロン、ニトロソ尿素、パクリタキセル、プリカマイシン、プロカルバジン、テニポシド、トリエチレンチオホスホラミド、およびエトポシド(VP 16);
f.抗生物質、例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、アントラサイクリン、ミトザントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、およびマイトマイシン;
g.酵素、例えば、L-アスパラギナーゼ;
h.抗血小板薬;
i.白金配位錯体(例えば、シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、アミノグルテチミド;
j.ホルモン、ホルモンアナログ(例えば、エストロゲン、タモキシフェン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド);
k.アロマターゼインヒビター(例えば、レトロゾール、アナストロゾール);
l.抗凝血剤(例えば、ヘパリン、合成ヘパリン塩、およびトロンビンの他のインヒビター);
m.線維素溶解剤(例えば、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼ)、アスピリン、COX-2インヒビター、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ;
n.抗遊走剤(antimigratory agent);
o.抗分泌剤(例えば、ブレベルジン(breveldin));免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス(FK-506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル);
p.抗血管新生化合物(例えば、TNP-470、ゲニステイン)および増殖因子インヒビター(例えば、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)インヒビター、線維芽細胞増殖因子(FGF)インヒビター、上皮細胞増殖因子(EGF)インヒビター);
q.アンギオテンシン受容体遮断薬;
r.酸化窒素供与体;
s.アンチセンスオリゴヌクレオチド;
t.抗体(例えば、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、AVASTIN(登録商標)、ERBITUX(登録商標));
u.細胞周期阻害剤および分化誘導剤(例えば、トレチノイン);
v.mTOR(哺乳類ラパマイシン標的)阻害剤(例えば、エベロリムス、シロリムス);
w.トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、アムサクリン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、エニポシド(eniposide)、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、イリノテカン(CPT-11)およびミトザントロン、トポテカン、イリノテカン);
x.コルチコステロイド(例えば、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルペドニゾロン(pednisolone)、プレドニゾン、およびプレニゾロン(prenisolone));
y.増殖因子シグナル伝達キナーゼインヒビター;
z.ミトコンドリア機能障害誘導剤;
aa.カスパーゼアクチベーター;ならびに
bb.クロマチン崩壊剤。
【0136】
ある態様において、癌治療剤は、以下からなる群より選択される:アレムツズマブ、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、ベグ(beg)、ベバシズマブ、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブセレリン、ブスルファン、カンポテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、CeaVac、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、コルヒチン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクリズマブ、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、エドレコロマブ、エピルビシン、エプラツズマブ、エルロチニブ、エストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、ゲニステイン、ゴセレリン、huJ591、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブ、イダルビシン、イホスファミド、IGN-101、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、イロノテカン(ironotecan)、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミゾール、リンツズマブ(lintuzumab)、ロムスチン、MDX-210、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトザントロン、ミツモマブ(mitumomab)、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、ペルツズマブ(pertuzumab)、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リタキシマブ、ストレプトゾシン、スニチニブ、スラミン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、チタノセンジクロリド、トポテカン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、バタラニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビン。
【0137】
投与経路
本発明の薬学的調製物は、局所または全身投与され得る。好適な投与経路としては、経口、経肺、経直腸、経粘膜、経腸、非経口(筋肉内、皮下、髄内経路を含む)、結節内、髄腔内、直接脳室内(direct intraventricular)、静脈内、腹腔内、鼻腔内、眼内、経皮、局所、および経膣経路が挙げられる。上記により詳細に説明したように、投薬形態としては、錠剤、トローチ剤、ディスパージョン、懸濁剤、坐剤、液剤、カプセル剤、クリーム、パッチ、ミニポンプなどが挙げられるが、これらに限定されない。標的化送達システムもまた使用され得る(例えば、標的特異的抗体がコーティングされたリポソーム)。
【0138】
投薬量
本発明の薬学的組成物は、治療的有効量の少なくとも1つの有効成分(IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグ)を含む。「治療的有効量」は、治療期間にわたって患者へ投与されると、治療される疾患の特徴の測定可能な改善(例えば、検査値の改善、症状の進行の遅延、症状の重篤度の低下、または好適な生物学的マーカーのレベルの改善)をもたらす、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグの量である。
【0139】
治療的有効量の決定は、十分に当業者の能力内にある。治療的有効量は、最初、インビトロ酵素アッセイ、細胞培養アッセイおよび/または動物モデルから推定することができる。例えば、インビトロ酵素アッセイにおいてまたは細胞培養において測定されたIC50と少なくとも同じぐらい濃い循環濃度範囲を達成するように、用量が動物モデルに処方することができる(即ち、IRE-1α活性の半最大阻害を達成するテスト化合物の濃度)。このような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。FDA指針書「Guidance for Industry and Reviewers Estimating the Safe Starting Dose in Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers」 (HFA-305)を参照のこと;これは、インビボ動物実験に基づいてヒト等価用量(HED)を計算する際に使用される等式を提供する。
【0140】
関連疾患についての好適な動物モデルは、当技術分野において公知である。例えば、以下を参照のこと:Lupus. 1996 Oct;5(5):451-5(抗リン脂質抗体症候群);Blood. 1974 Jul;44(l):49-56(再生不良性貧血);Autoimmunity. 2001;33(4):265-74(自己免疫性下垂体炎);Methods. 2007 Jan;41(l): 118-22(自己免疫性心筋炎);Clin Exp Rheumatol. 2003 Nov-Dec;21(6 Suppl 32):S55-63(チャーグ-ストラウス症候群、ウェゲナー肉芽腫症);J Clin Invest. 2005 Apr;115(4):870-8(後天性表皮水疱症);Circulation. 2005 Jun 14; 111(23):3135-40. Epub 2005 Jun 6(巨細胞性動脈炎;高安動脈炎(Takayusu's arteritis));Int J Immunopathol Pharmacol. 2005 Oct-Dec;18(4):701-8(IgA腎症);Vet Rec. 1984 May 12;114(19):479(落葉状天疱瘡);J. Neuroimmunol. 98, 130-35, 1999(多発性筋炎);Am. J. Pathol. 120, 323-25, 1985(皮膚筋炎);Cell. Mol. Immunol. 2, 461-65, 2005(重症筋無力症);Arthritis Rheum. 50, 3250-59, 2004(エリテマトーデス);Clin. Exp. Immunol. 99, 294-302, 1995(グレーヴズ病);J. Clin. Invest. 116, 961-973, 2006(関節リウマチ);Exp Mol Pathol. 77, 161-67, 2004(橋本甲状腺炎);Rheumatol. 32, 1071-75, 2005(シェーグレン症候群);Brain Pathol. 12, 420-29, 2002(ギラン-バレー症候群);Vet. Pathol. 32, 337-45, 1995(結節性多発動脈炎);Immunol. Invest. 3,47-61, 2006(尋常性天疱瘡);Arch. Dermatol. Res. 297, 333-44, 2006(強皮症);J. Exp. Med. 191, 899-906, 2000(グッドパスチャー症候群);Clin. Exp. Immunol. 99, 294-302, 1995(グレーヴズ病);J. Clin. Invest. 91, 1507-15, 1993(膜性腎症);J. Immunol. 169, 4889-96, 2002(自己免疫性肝炎);Surgery 128, 999-1006, 2000(アジソン病);Eur. J. Immunol. 32, 1147-56, 2002(自己免疫性溶血性貧血);およびHaematologica 88, 679-87, 2003(自己免疫性血小板減少性紫斑病)。
【0141】
LD50(集団の50%に対して致死的である用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効である用量)は、細胞培養物および/または実験動物において標準的な薬学的手順によって測定され得る。細胞培養アッセイまたは動物実験から得られたデータは、最初のヒト用量を決定するために使用され得る。当技術分野において公知であるように、投薬量は、使用される投薬形態および投薬経路に応じて、変化してもよい。
【0142】
ヒト患者への全身投与に有用な投薬量は、1μg/kg〜100 mg/kg(例えば、1〜10μg/kg、20〜80μg/kg、5〜50μg/kg、75〜150μg/kg、100〜500μg/kg、250〜750μg/kg、500〜1000μg/kg、1〜10 mg/kg、5〜50 mg/kg、25〜75 mg/kg、50〜100 mg/kg、5 mg/kg、20 mg/kg、または50 mg/kg)の範囲である。ある態様において、治療スケジュールは、IRE-1αインヒビター化合物の血漿濃度が、ある期間(例えば、数日または1週間)の間維持され、次いで、ある期間(例えば、1、2、3、または4週間)の間投与を中止することによって減少されることを必要とし得る。投与される組成物の量は、当然ながら、治療される被験体、被験体の体重、障害の重篤度、投与様式、および処方医師の判断に依存する。
【0143】
本開示において引用される全ての特許、特許出願、および参考文献は、参照により本明細書に明白に組み込まれる。上記の開示は、一般的に本明細書を説明する。より完全な理解は、下記の具体例への参照によって得ることができ、これらは、例示目的のためにのみ提供され、本発明の範囲を限定するようには意図されない。
【実施例】
【0144】
実施例1
IRE-1αアッセイ
グルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)とヒトIRE-1αとを含む融合タンパク質(GST-IRE-1α)を、500 mlのバキュロウイルス感染昆虫細胞培養物から得て、インビトロでIRE-1α活性を測定するために使用した。
【0145】
1×反応緩衝液(5×反応緩衝液は、100 mM Hepes pH 7.5、250 mM KOAc、2.5 mM MgCl2である)、3mM DTT、および0.4%ポリエチレングリコール水を含む反応混合物5μlを、384ウェルプレートの各ウェルへ添加した。1 mMテスト化合物溶液25 nlを、テストウェルへ添加した。128 ng/ml IRE-1α調製物3μlを、各テストウェルおよび陽性対照ウェルへ添加した(最終濃度5.82 ng/ウェル)。陰性対照ウェルは、反応混合物およびテスト化合物のみを含有した。
【0146】
1200 rpmで30秒間プレートをスピンした後、5'末端において蛍光色素Cy5でおよび3'末端においてBlack Hole Quencher 2(BH2)で標識された、IRE-1αヒトミニ-XBP-1 mRNAステムループ基質5'-CAGUCCGCAGCACUG-3'(配列番号:1)3μlを、対照プレートの各ウェルへ添加した。プレートを1200 rpmで30秒間再度スピンした。アッセイについての最終濃度は以下であった:63 nM IRE-1α基質、5.82 ng IRE-1αタンパク質、および2.5μMテスト化合物。
【0147】
プレートを蓋で覆い、30℃で1時間インキュベートした。次いで、プレートをACQUEST(商標)マイクロプレートリーダーへ移した。データを、データ分析ソフトウエアを使用して分析し、IRE-1αのパーセント活性を計算した。
【0148】
実施例2
IRE-1αインヒビター化合物の同定
Maybridgeライブラリー(Fisher)由来の化合物を、実施例1に記載のアッセイを使用してスクリーニングした。ヒットが確認されたものとして、およそ60個の化合物を選択し、精製した。これらの化合物は、2-ヒドロキシベンズアルデヒドアナログのシッフ塩基付加物またはアリールイミンであった。R基に対して観察可能なSARはなかった。しかし、HPLCによって再精製すると、前記化合物は、それらの構成成分:2-ヒドロキシベンズアルデヒド誘導体およびR基へ連結された第1級アミンへ分解されていることがわかり、このことは、該アルデヒド誘導体が該化合物の活性成分であり得ることを示唆した。
【0149】
次いで、3および5位にハロゲン(Cl、BrまたはIのいずれか)を有する3つの精製2-ヒドロキシベンズアルデヒドを、IRE-1αアッセイにおいて試験した。3つ全てが活性であった。最も強力なものは、3,5ヨード2-ヒドロキシベンズアルデヒド(IC50 0.35μM)であり、続いて3,5ブロモ2-ヒドロキシベンズアルデヒド(IC50 0.46μM)、最後に3,5クロロ2-ヒドロキシベンズアルデヒド(1.05μM)であった。
【0150】
次いで、およそ20個のベンズアルデヒド誘導体を購入し、IRE-1αアッセイにおいて試験した。この試験の結果によって、化合物は、アルデヒド基に対してオルト位にヒドロキシル基を必要とするだけでなく、ベンゼン環の3、5、または6位に疎水性電子吸引基を必要とすることが示された。3および5位は、ハロゲンまたはメトキシもしくはエトキシであり得る。ニトロ基は、3または5位で活性であるが、両方では活性でない。最も強力な化合物は、5または6位に臭素置換基を有するo-バニリンであった。下記の説明によって拘束されることを望まないが、オルトヒドロキシルの水素は、アルデヒド酸素との水素結合に恐らく関与し、これは、コンフォーメーションを安定化させる。
【0151】
実施例3
SARを有するo-バニリンの例およびインビトロ酵素アッセイにおけるIRE-1αについての選択性
IRE-1α、T1 RNase、およびRNase Aアッセイを、いくつかのo-バニリン誘導体を用いてインビトロで行い、IRE-1αについての該誘導体の選択性を実証した。IRE-1αアッセイは、実施例1に記載の通りに行った。
【0152】
T1 RNaseを下記の通りにアッセイした。1×反応緩衝液(5×反応緩衝液は、100 mM Hepes pH 7.5、250 mM KOAc、2.5 mM MgCl2である)、3mM DTT、および0.4%ポリエチレングリコール水を含む反応混合物5μlを、384ウェルプレートの各ウェルへ添加した。1 mMテスト化合物溶液25 nlを、テストウェルへ添加した。およそ200,000 U/ml RNase T1(Worthington)調製物の1/48,000希釈物3μlを、各テストウェルおよび陽性対照ウェルへ添加した(最終濃度49.5 pg/ウェル)。陰性対照ウェルは、反応混合物およびテスト化合物のみを含有した。
【0153】
1200 rpmで30秒間プレートをスピンした後、実施例1に記載のミニ-XBP-1 mRNAステムループ基質3μlを、対照プレートの各ウェルへ添加した。プレートを1200 rpmで30秒間再度スピンした。アッセイについての最終濃度は以下であった:63 nM基質、49.5 pg RNase T1、および2.5μMテスト化合物。
【0154】
プレートを蓋で覆い、30℃で1時間インキュベートした。次いで、プレートをACQUEST(商標)マイクロプレートリーダーへ移した。データを、データ分析ソフトウエアを使用して分析した。RNase T1のパーセント活性を計算した。
【0155】
RNase AをRNase T1について記載した通りにアッセイした。アッセイについての最終濃度は以下であった:63 nM基質、0.4 pg RNase A(Qiagen; 100 mg/mlまたは7000U/ml)、および2.5μMテスト化合物.
【0156】
試験した化合物は、3μM(o-バニリン)、1μM(3-エトキシo-バニリン)、および30 nm(6-ブロモo-バニリン)のIC50で、IRE-1について選択的であった。
【0157】
実施例4
6-ブロモo-バニリンによる細胞ベースのIRE-1α XBP-1特異的エンドリボヌクレアーゼ阻害
最初の細胞ベースのXBP-1 mRNAスプライシングアッセイによって、いくつかの強力な5-ブロモおよび6ブロモo-バニリンでのIRE-1α阻害が確認された。HEK293細胞を、UPR誘導試薬タプシガルギンでのIRE-1α活性化の前に2時間または一晩、化合物と共にインキュベートした。IRE-1αによるXBP-1スプライシングを、IRE-1αによって切除される26bpイントロンに隣接するXBP-1特異的プライマーを使用してRT-PCRによって測定した。結果を図1に示す。より高い濃度では、スプライシング形態(下部バンド:生成物)に比べて非スプライシングXBP-1(上部バンド:基質)が比較的多く存在することが観察され得る。
【0158】
この説明によって拘束されることを望まないが、アルデヒドは、恐らく、酵素の活性部位中のリジンの第1級アミンと共に可逆的なシッフ塩基を形成する。オルト−ヒドロキシルは、シッフ塩基を促進および安定化し得る。さらに、不対電子対は、IRE-1αのさらなるアミノ酸と共に水素結合受容体として作用し得る。ベンゼン環および種々のR基は、アルデヒド部分のシッフ塩基を介して連結された前記酵素の疎水性ポケットに存在し得る。3および5位置換基の電子吸引性および疎水性は、効力を大いに促進した。o-バニリンの疎水性に起因して、これらの化合物は、シッフ塩基を形成することに加えて、疎水性ポケット中にフィットし得る。
【0159】
実施例5
IRE-1αの阻害についてのIC50の測定
表3中に同定される化合物のIRE-1αの阻害についてのIC50を、実施例1に記載の通りに測定した。
【0160】
(表3)







【0161】
実施例6
キナーゼ選択性アッセイ
下記に示す化合物:

を、各化合物のIC50(それぞれ、3.71および0.027μM)を十分に超える10μMの濃度で、86個の異なるキナーゼを阻害するそれらの能力についてアッセイした。アッセイの結果によって、これらの化合物はIRE-1αについて選択的であることが実証された。
【0162】
実施例7
2'-クロロ-4-ヒドロキシ-5-メトキシビフェニル-3-カルボアルデヒドの合成

5 mlマイクロウェーブバイアル中に、2-クロロフェニルボロン酸(54.73 mg、0.35 mmol、1.16当量)、触媒としてのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(7 mg、0.006 mmol、2 mol%)、およびMeCN 1 ml中の5-ブロモ-2-ヒドロキシ-3メトキシ-ベンジルデヒド(69.3 mg、0.3 mmol、1当量)の溶液を添加した。得られた溶液へ、1M溶液K2CO3(0.6 ml、0.6 mmol、2当量)を添加し、続いて密封した。反応混合物をPersonal Chemistry Smith Creator Microwave中で150℃で360秒間加熱した。完了後、有機層を96ウェルプレートの1ウェルへ移した。溶媒を蒸発させ、残渣をDMSO中のTFAの0.5%溶液0.6 mlに溶解し、精製した。
【0163】
実施例8
2'-クロロ-3-ヒドロキシ-4-メトキシビフェニル-2-カルボアルデヒドの合成

5 mlマイクロウェーブバイアル中に、2-クロロフェニルボロン酸(54.73 mg、0.35 mmol、1.16当量)、触媒としてのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(7 mg、0.006 mmol、2 mol%)、およびMeCN 1 ml中の6-ブロモ-2-ヒドロキシ-3メトキシ-ベンジルデヒド(69.3 mg、0.3 mmol、1当量)の溶液を添加した。得られた溶液へ、1M溶液K2CO3(0.6 ml、0.6 mmol、2当量)を添加し、続いて密封した。反応混合物をPersonal Chemistry Smith Creator Microwave中で150℃で360秒間加熱した。完了後、有機層を96ウェルプレートの1ウェルへ移した。溶媒を蒸発させ、残渣をDMSO中のTFAの0.5%溶液0.6 mlに溶解し、精製した。
【0164】
実施例9
4-ブロモ-2-{[(E)-4-フルオロ-フェニルイミノ]-メチル}-フェノールの合成

20 mlシンチレーションバイアル中に、5-ブロモサリクアルデヒド(100 mg、0.50 mmol)、トルエン(5ml)、および活性化モレキュラーシーブ(200mg)を添加した。得られた溶液へ、4-フルオロアニリン(56 mg、0.50 mmol、2当量)を添加した。反応混合物を100℃で16時間加熱し、その後、モレキュラーシーブを溶液から濾過し、ジクロロメタンで洗浄した。沈殿した生成物を濾過によって回収し、ヘキサンで洗浄した。乾燥後、NMRおよびTLCによって同一性を確認した。
【0165】
実施例10
細胞ベースのアッセイ
ヒト骨髄腫MM.1s細胞を、2mMジチオトレイトール(DTT)でのストレス負荷の前に1.25時間、記載の量の化合物と共にインキュベートした。化合物およびDTTと共にさらに45分間(計2時間)後、細胞をTRIZOL(登録商標)(フェノールおよびチオシアン酸グアニジンの単相溶液)で採取し、トータルRNAを、製造業者(Invitrogen)によって指示される通りに調製した。ヒトXBP-1を、IRE-1αによって切除される通常ではない26塩基のイントロンに隣接する下記のプライマーを用いて、RT-PCRによって増幅した:

【0166】
結果を図2に示す。ストレス負荷無し細胞において、IRE-1αは不活性であり、従って、前記26塩基イントロンはXBP-1 mRNA中に残される。その場合、ストレス負荷無し(U)細胞のRT-PCRは上部バンドを生じる。細胞が小胞体(ER)ストレス負荷剤DTTでストレス負荷される(S)と、折り畳み不全タンパク質の蓄積に起因してIRE-1αは活性化され、得られるRT-PCR産物は、26塩基対より短くなる(下部バンド)。化合物の量を増加させることは、下部バンドから上部バンドへのシフトによって実証されるように、IRE-1αによるXBP-1スプライシングを遮断する。化合物効力は、インビトロ酵素アッセイにおいてSARを反映する。
【0167】
IRE-1αインヒビターについての細胞ED50の測定
特異性アッセイに合格する化合物を、骨髄腫細胞における内因性XBP-1スプライシングを使用して、細胞EC50についてアッセイする。XBP-1は、IRE-1αの非常に特異的なエンドリボヌクレアーゼ活性によるXBP-1 mRNAからの26ヌクレオチドイントロンの切除によって調節される。このスプライシング事象は、XBP-1のC末端のORFにおけるフレームシフトを誘導し、不活性33 kD形態ではなくより長い54 kD活性転写因子の翻訳へ至る。このスプライシング事象は、細胞および組織中のXBP-1 mRNAに対するIRE-1α活性を測定するために使用される。
【0168】
簡単に記載すると、化合物を、ERストレス剤(例えば、DTT)の存在または非存在下でインキュベートし、XBP-1u(非スプライシング型)とXBP-1s(スプライシング型)との比率をRT-PCRによって定量する。総XPB-1レベルに対する50%XBP-1sとして、ED50を測定する(図3)。10μMに等しいかまたはそれ未満のEC50を有する化合物を、アネキシンV染色およびCASPASE-GLO(登録商標)(図5および図7)を含む、標準アポトーシスアッセイにおいて使用した。
【0169】
骨髄腫細胞株(U266、RPMI8226およびMM.1s)を使用しての増殖アッセイを、ED50を測定するために使用する。化合物を、単剤として、および他の化学療法薬と組み合わせて使用する。図5に示されるように、IRE-1αインヒビター11-28化合物は、RPMI8226骨髄腫細胞の増殖を阻害し、この細胞は、前記経路の内因性活性化を有し、ボルテゾミブの添加によってさらに誘導される(図6)。IRE-1αインヒビター化合物である化合物2をMG-132と組み合わせて使用する場合、増加されたアポトーシスが、U266骨髄腫細胞で観察される(図7)。
【0170】
実施例11
3'-ホルミル-4'-ヒドロキシ-5'-メトキシビフェニル-3-カルボン酸の合成

5-ブロモ-2-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(3.00 g、13.0 mmol)、3-カルボキシ-フェニルボロン酸(2.37 g、14.3 mmol)、炭酸ナトリウム(8.27 g、78.0 mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0.728 g、0.65 mmol)を、200 mL DMFおよび200 mL水の混合物中に溶解した。反応物を105℃でアルゴン下において5時間撹拌した。200 mL 1N水酸化ナトリウムを添加し、溶液をジクロロメタン(3 x 100 mL)で抽出した。水層を6N塩酸で酸性化し、沈殿した材料を濾別し、水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、11-1(1.70 g、6.25 mmol、48%)が得られた。

【0171】
下記の化合物を、対応の臭化アリールおよびアリールボロン酸を使用して上記手順によって作製し、UV検出器(220 nM)およびMS検出器(ESI)を備えるWaters UPLC/MSを使用してLC/MSによって特性決定した。HPLCカラム:Acquity BEH C18 1.7μm (Waters) 2.1 mm x 50 mm。HPLC勾配:0.6 mL/分、95:5 20 mMギ酸アンモニウム緩衝液(水酸化アンモニウムでpH 7.4とした):アセトニトリルから20:80 ギ酸アンモニウム緩衝液:アセトニトリルへ1.5分で、1.3分間維持。
【0172】
(表4)





【0173】
下記の化合物を、対応の臭化アリールおよびアリールボロン酸を使用して上記手順によって作製し、NMRによって特性決定した。
【0174】
(表5)











【0175】
実施例12
N-シクロヘキシル-3'-ホルミル-4'-ヒドロキシ-5'-メトキシビフェニル-3-カルボキサミドの合成

N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩(42 mg、0.22 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(30 mg、0.22 mmol)、トリエチルアミン(140μL、1 mmol)およびシクロヘキシルアミン(50μL、0.44 mmol)を、室温で、2 mL THF中の11-1(54 mg、0.2 mmol)の溶液へ添加した。2時間後、反応物を2 mL 2N塩酸で希釈し、2時間撹拌し、次いで蒸発乾固した。残渣を2 mLクロロホルムに溶解し、水(1 x 1.5 mL)、1N塩酸(1 x 1.5 mL)、水(1 x 1.5 mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(1 x 1.5 mL)および水(1 x 1.5 mL)で抽出した。有機相を蒸発させ、粗生成物を分取(prep.)HPLCで精製し、次いでジエチルエーテルから再結晶させて、12-1(16 mg、0.05 mmol、25%)が得られた。

【0176】
下記の化合物を、対応のアリール酸およびアミンを使用して、上記手順によって作製し、NMRによって特性決定した。
【0177】
(表6)



【0178】
実施例13
6-ブロモ-2-ヒドロキシ-3-(モルホリン-4-カルボニル)ベンズアルデヒドの合成

4-ブロモ-3-ホルミル-2-ヒドロキシ安息香酸(122 mg、0.5 mmol)を5 mLの乾燥THFに溶解した。五塩化リン(115 mg、0.55 mmol)を0℃で添加し、混合物を20分間撹拌した。この混合物を、-10℃で、乾燥THF 20 mL中のモルホリン(433μL、5 mmol)の溶液へ滴下した。反応物を室温へ加温し、30分間撹拌した。揮発性物質を蒸発させ、残渣を15 mLの1N塩酸に溶解し、酢酸エチルで抽出した。有機層を蒸発させ、得られた粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、13-1(25 mg、0.08 mmol、16%)が得られた。

【0179】
下記の化合物を上記手順によって作製し、LC/MSによって特性決定した。
【0180】
(表7)

【0181】
実施例14
5-(1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-5-イル)-2-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒドの合成

5-ブロモ-2-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(3.00 g; 13.0 mmol)、ビス-ピナコラト-ジボロン(3.63g; 14.3 mmol)、酢酸カリウム(3.80; 39.0 mmol)およびPd(dppf)C12(1.10 g; 1.50 mmol)を、ジオキサンに溶解し、アルゴン下で4時間加熱還流した。反応混合物を冷却し、濾過し、濾液を減圧下で蒸発乾固した。固体残渣を、溶離剤としてジクロロメタンを用いてシリカでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。回収された淡黄色固体をジイソプロピルエーテルで粉砕し、14a(1.45 g、5.22 mmol、40%)が得られた。

【0182】
5-ブロモ-1,3-ジメチルウラシル(88 mg、0.4 mmol)、14a(117 mg、0.4 mmol)および無水炭酸ナトリウム(254 mg、2.4 mmol)を、6 mLのDMFおよび6 mLの水の混合物中に溶解した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(22 mg、0.02 mmol)を添加し、反応物をアルゴン下において1時間110℃へ加熱した。40 mLの飽和塩化ナトリウム溶液を添加し、混合物をクロロホルム(2 x 40 mL)で抽出した。有機層を乾燥させ、蒸発させ、残渣をカラムクロマトグラフィーで精製し、14-1(37 mg、0.13 mmol、32%)が得られた。

【0183】
下記の化合物を、対応の臭化アリールを使用して上記手順によって作製し、LC/MSによって特性決定した。
【0184】
(表8)

【0185】
下記の化合物を、対応の臭化アリールを使用して上記手順によって作製し、NMRによって特性決定した。
【0186】
(表9)

【0187】
実施例15
2-ヒドロキシ-3-メトキシ-5-(ピリジン-3-イルエチニル)ベンズアルデヒドの合成

2-ヒドロキシ-5-ヨード-3-メトキシベンズアルデヒド(2.08 g; 7.5 mmol)、エチニル-トリメチルシラン(2.65 mL、1.8 mmol)、Pd(PPh3)2Cl2(158 mg; 0.23 mmol)およびヨウ化銅(I)(43 mg; 0.23 mmol)を、40 mLトリエチルアミンに溶解し、60℃で4時間加熱した。混合物を室温へ冷却し、濾過し、濾液を蒸発させた。固体残渣を、溶離剤としてトルエンを用いてシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、15a(0.7 g、3.9 mmol、49%)が得られた。

【0188】
化合物15a(2.00 g; 8.06 mmol)を150 mLのメタノールに溶解した。炭酸ナトリウム(2.3 g、21.7 mmol)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。反応物を蒸発させ、残渣を水とジクロロメタンとに分配した。有機層を乾燥させ、蒸発させ、固体残渣を、溶離剤としてトルエンを用いてシリカでクロマトグラフィー処理し、15bが白色粉末(0.70 g、4 mmol、50%)として得られた。

【0189】
化合物15b(70 mg、0.4 mmol)、3-ヨードピリジン(90 mg、0.44 mmol)、Pd(dppf)Cl2(15 mg、0.02 mmol)およびヨウ化銅(I)(5 mg、0.02 mmol)を、5 mLトリエチルアミンおよび5 mL DMFに溶解し、80℃へ加熱した。4時間後、20 mL 1N塩酸を添加し、混合物をジクロロメタンで抽出した。有機層を蒸発させ、固体残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製し、15-1(9 mg、0.04 mmol、9%)が得られた。

【0190】
下記の化合物を、対応の臭化アリールを使用して上記手順によって作製し、LC/MSによって特性決定した。
【0191】
(表10)

【0192】
下記の化合物を、対応の臭化アリールを使用して上記手順によって作製し、NMRによって特性決定した。
【0193】
(表11)

【0194】
実施例16
6-ブロモ-2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒドの合成

ジクロロメタン1 mL中の四塩化チタン(231μL、2.1 mmol)およびジクロロメチルメチルエーテル(97μL、1.1 mmol)の溶液を、0℃で15分間撹拌した。ジクロロメタン3 mL中の6-ブロモ-2-ヒドロキシ-ナフタレン(223 mg、1 mmol)の溶液を滴下し、溶液を室温まで加温し、12時間撹拌した。10 mLの1N塩酸を添加し、混合物をジクロロメタンで抽出した。有機層を水で洗浄し、乾燥させ、蒸発させ、16-1(206 mg、0.82 mmol、82%)が得られた。

【0195】
下記の化合物を上記手順によって作製し、NMRによって特性決定した。
【0196】
(表12)

【0197】
実施例17
4-(5-ホルミル-6-ヒドロキシナフタレン-2-イル)-N,N-ジメチルベンズアミドの合成

化合物16-1(251 mg、1 mmol)、4-(N,N-ジメチルアミノカルボニル)フェニルボロン酸(222 mg、1.2 mmol)および無水炭酸ナトリウム(424 mg、4 mmol)をDMF 20 mLおよび水12 mLの混合物中に溶解した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(56 mg、0.05 mmol)を添加し、反応物をアルゴン下で25分間105℃へ加熱した。50 mLの飽和塩化ナトリウム溶液および900μLの酢酸を添加し、混合物をクロロホルムで抽出した。有機層を蒸発させ、粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、17-1(186 mg、0.58 mmol、58%)が得られた。

【0198】
下記の化合物を、対応のアリールボロン酸を使用して上記手順によって作製し、NMRによって特性決定した。
【0199】
(表13)





【0200】
実施例18
6-(5-ホルミル-6-ヒドロキシナフタレン-2-イル)ピコリン酸の合成

化合物16-1(5.00g; 19.9 mmmol)、ビス-ピナコラトジボロン(5.57g; 21.9 mmol)、酢酸カリウム(5.86g; 59.8 mmol)、およびPd(dppf)Cl2(1.75g; 2.39 mmol)を、ジオキサン中でアルゴン下で4時間加熱還流した。反応混合物を室温へ冷却し、濾過し、濾液を減圧下で蒸発乾固した。固体残渣を、溶離剤としてジクロロメタンを用いてシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。回収した淡黄色固体をジイソプロピルエーテルで粉砕し、18a(3.56g; 11.9 mmol、60%)が得られた。

【0201】
6-ブロモピコリン酸(81 mg、0.4 mmol)、18a(119 mg、0.4 mmol)および無水炭酸ナトリウム(339 mg、3.2 mmol)を、DMF 8 mLおよび水8 mLの混合物中に溶解した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(22 mg、0.02 mmol)を添加し、反応物をアルゴン下において3時間110℃で撹拌した。40 mLの1N水酸化ナトリウム溶液を添加し、水層をクロロホルム(2 x 40 mL)で抽出した。水層を6N塩酸でpH 5へ酸性化し、白色沈殿物を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥させ、ジエチルエーテルから再結晶させて、100 mgの18-1(0.34 mmol、84%)が得られた。

【0202】
下記の化合物を、対応のアリールボロン酸を使用して上記手順によって作製し、LC/MSによって特性決定した。
【0203】
(表14)

【0204】
下記の化合物を、対応のアリールボロン酸を使用して上記手順によって作製し、NMRによって特性決定した。
【0205】
(表15)

【0206】
実施例19
6-(5-ホルミル-6-ヒドロキシナフタレン-2-イル)-N-(2-モルホリノエチル)ピコリンアミドの合成

N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩(42 mg、0.22 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(30 mg、0.22 mmol)、トリエチルアミン(140μL、1 mmol)および1-(2-アミノエチル)モルホリン(57μL、0.44 mmol)を、室温で、2 mL THF中の18-1(59 mg、0.2 mmol)の溶液へ添加した。2時間後、2 mLの2N塩酸を添加し、反応物を2時間撹拌した。混合物を蒸発させ、残渣を2 mLクロロホルムに溶解し、飽和炭酸水素ナトリウム(1 x 1.5 mL)および水(1 x 1.5 mL)で洗浄した。有機相を蒸発させ、粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、7 mgの19-1(0.02 mmol、9%)が得られた。

【0207】
下記の化合物を、対応のアリール酸およびアミンを使用して、上記手順によって作製し、NMRによって特性決定した。
【0208】
(表16)



【0209】
実施例20
2-ヒドロキシ-6-(5-(モルホリン-4-カルボニル)チオフェン-2-イル)-1-ナフトアルデヒドの合成

化合物18-3(804 mg; 2.57 mmol)を、ジオキサン25 mLおよび1N水酸化ナトリウム25 mLの混合物中に溶解した。この混合物を室温で30分間撹拌した。75 mLの1N水酸化ナトリウムを添加し、溶液をクロロホルム(2 x 25 mL)で洗浄した。水層を6N塩酸で酸性化し、黄色沈殿物を濾過し、水、次いでジエチルエーテルで洗浄し、666 mgの20-1(2.3 mmol、91%)が得られた。

【0210】
N-(3-ジメチルアミノプロピル)-N'-エチルカルボジイミド塩酸塩(42 mg、0.22 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(30 mg、0.22 mmol)、トリエチルアミン(140μL、1 mmol)、およびモルホリン(38 μL、0.44 mmol)を、室温で、2 mL THF中の20-1(54 mg、0.2 mmol)の溶液へ添加した。2時間後、2 mLの2N塩酸を添加し、反応物を2時間撹拌した。混合物を蒸発乾固し、残渣を2 mLのクロロホルムに溶解し、水(1 x 1.5 mL)、1N塩酸(1 x 1.5 mL)、水(1 x 1.5 mL)、飽和炭酸水素ナトリウム(1 x 1.5 mL)、および水(1 x 1.5 mL)で抽出した。有機相を蒸発させ、粗生成物をカラムクロマトグラフィーによって精製し、20-2(20 mg、0.05 mmol、27%)が得られた。

【0211】
下記の化合物を、対応のアリールエステルおよびアミン(存在する場合)を使用して上記手順によって作製し、NMRによって特性決定した。
【0212】
(表17)

【0213】
実施例21
3-ヒドロキシキノリン-4-カルボアルデヒドの合成

3-ヒドロキシキノリン(145 mg、1 mmol)を、室温で、5 mLのクロロホルム、水(72μL、4 mmol)、水酸化ナトリウム(100 mg、2.5 mmol)および水酸化テトラブチルアンモニウム(50 μL、水中20%)の十分に撹拌された混合物へ添加した。得られた懸濁液を60℃へ加熱し、3時間撹拌した。水酸化ナトリウムを1時間ごとに100 mgずつ添加した。反応混合物を5 mLのクロロホルムで希釈し、10 mLの1N塩酸でpH 6へ酸性化し、クロロホルム(3 x 10 mL)で抽出した。合わせた有機相を乾燥させ、蒸発させた。粗材料をカラムクロマトグラフィーによって精製し、21-1(24 mg、0.14 mmol、14%)が得られた。

【0214】
下記の化合物を上記手順によって作製し、NMRによって特性決定した。
【0215】
(表18)

【0216】
実施例22
3-ヒドロキシ-2-メチルキノリン-4-カルボアルデヒドの合成

2-メチル-3-ヒドロキシキノリン-4-カルボン酸(1.016 g、5 mmol)を10 mLのメタノールに溶解した。塩化チオニル(730μL、10 mmol)を-10℃で添加し、混合物を、4時間ごとに365μLの塩化チオニル(5 mmol)を添加しながら20時間加熱還流した。反応混合物を蒸発させ、飽和炭酸水素ナトリウムに溶解し、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を蒸発させ、粗生成物をヘキサンから再結晶させて、22a(258 mg、1.1 mmol、24%)、ESI MS m/e 218 ([M+H]+)が得られた。
【0217】
化合物22a(0.163 mg、0.75 mmol)を3 mLの乾燥THFに溶解し、THF中のDIBALの1M溶液(3.3 mL、3.3 mmol)を-10℃で添加した。2時間後、5 mLの1Mリン酸二水素カリウム溶液を添加し、混合物をクロロホルムで抽出し、22b(59 mg、0.3 mmol、42%)%)、ESI MS m/e 191 ([M+H]+)が得られた。
【0218】
3-ヒドロキシ-4-ヒドロキシメチルキノリン、22b(63 mg、0.33 mmol)を、12 mLアセトン中の二酸化マンガン(86 mg、1 mmol)の懸濁液へ添加した。12時間間隔で追加部分(86 mg、1 mmol)の二酸化マンガンを添加しながら、混合物を室温で48時間撹拌した。懸濁液を濾過し、蒸発させ、粗生成物をカラムクロマトグラフィーで精製し、22-1(15 mg、0.08 mmol、24%)が得られた。

【0219】
実施例23
エチル2-(2-ヒドロキシ-3-メトキシ-5-(チオフェン-2-イル)フェニル)チアゾリジン-4-カルボキシレートの合成

【0220】
化合物11-28(120 mg、0.5 mmol)、L-システインエチルエステル塩酸塩(90 mg、0.5 mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(85μL、0.5 mmol)を、3 mLのエタノールに溶解し、室温で1時間撹拌した。混合物を濾過し、23-1が黄色固体(147 mg、0.4 mmol、80%)として得られた。

【0221】
下記の化合物を上記手順によって作製し、NMRによって特性決定した。
【0222】
(表19)



【0223】
実施例24
2-メトキシ-6-((4-メトキシベンジルイミノ)メチル)-4-(チオフェン-2-イル)フェノールの合成

化合物11-28(117 mg、0.50 mmol)および4-メトキシベンジルアミン(65μl; 0.50 mmol)を4 mLのエタノールに溶解し、室温で4時間撹拌した。混合物を濾過し、24-1(113 mg、0.32 mmol、64%)が得られた。

【0224】
下記の化合物を上記手順によって作製し、NMRによって特性決定した。
【0225】
(表20)

【0226】
実施例25
3-ヒドロキシ-4-(モルホリノメチル)-2-ナフトアルデヒドの合成

3-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド(20 mg、0.12 mmol)、モルホリン(63μL、0.72 mmol)、およびホルムアルデヒド(37μL、水中37%)を、2 mLの酢酸に溶解した。蒸発させた後、固体残渣をクロロホルムと飽和炭酸水素ナトリウム溶液とに分配した。有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去し、固体残渣をジイソプロピルエーテルから再結晶させて、25-1(18 mg、0.07 mmol、55%)が得られた。

【0227】
下記の化合物を上記手順によって作製し、NMRによって特性決定した。
【0228】
(表21)

【0229】
実施例26
化合物の活性
IC50およびEC50アッセイの結果を表26-42に示す。
【0230】
(表26)


【0231】
(表27)












【0232】
(表28)

【0233】
(表29)



【0234】
(表30)

【0235】
(表31)

【0236】
(表32)


【0237】
(表33)

【0238】
(表34)

【0239】
(表35)

【0240】
(表36)


【0241】
(表37)

【0242】
(表38)



【0243】
(表39)

【0244】
(表40)

【0245】
(表41)

【0246】
(表42)



【0247】
実施例27
最適化アッセイ戦略
一連のインビトロADMEアッセイ(血漿安定性、肝臓ミクロソーム安定性、溶解性、CaCo2透過性などの特性を試験する、吸収−分布−代謝−排泄アッセイ)を使用し、薬理学的特徴についてIRE-1αインヒビター化合物を最適化する。前記戦略を、化合物アナログの活性に応じて段階的に連続パターンのアッセイにおいて実行する。初期段階最適化において、インビトロ効力、細胞オンターゲットXBP-1 mRNAスプライシング、アポトーシスカスパーゼ3および7、ならびにプロテアソームインヒビター相乗作用アッセイを、1セットの化合物特徴アッセイ:溶解性、血清安定性およびlog Pと共に、使用する。活性アッセイを、血清タンパク質結合、膜透過性、細胞透過性、およびミクロソーム安定性などの薬理学的特徴についてのアッセイと一緒に使用する。最後に、インビトロ毒物学および薬物動態アッセイ、例えば、P450、AMES、hERG、および受容体プロファイリングアッセイを使用する。
【0248】
実施例28
動物モデル/前臨床検証研究
前臨床検証戦略に、多発性骨髄腫異種移植片および化学的ストレス下で正常組織を示す動物モデルの1セットを使用する。前記正常動物モデルを、代用モデルとして使用し、ここでは、化合物の用量関連オンターゲット活性を、標準的なUPR誘導剤、例えば、ツニカマイシンに感受性の組織で確認できる(Wu et al., Dev Cell. 2007 Sep;13(3):351-64)。図8において実証されるように、正常なマウス組織はERストレス下になく、従って、XBP-1 mRNAは、不活性な非スプライシング形態として残っている。ツニカマイシンで誘導すると、組織は活性XBP-1 mRNAスプライシングを誘導し、この活性はIRE-1αインヒビターによって抑制される。このオンターゲットERストレス動物モデルは、有用なスクリーニングおよび初期薬物動態ツールである。
【0249】
抗体産生を第2の代用モデルにおいて評価する。しかし、細胞ベースのモデルにおいて、IRE-1αインヒビターは、抗体産生を強力に阻害することが示された。
【0250】
最後の効力研究を、下記に記載するように、骨髄腫異種移植片モデルにおいて行う。
【0251】
実施例29
RPMI8226異種移植片効力モデル
SCIDマウスを、モデル開発および特性決定の裏付けとして、所望の腫瘍細胞の移植を支持するそれらの能力について評価した。マウスに、静脈内(IV)注射するか、または皮下(SC)または腹腔内(IP)移植する。ヒト疾患を模倣する適切な動物モデルを作製するために、当技術分野において周知であるように、3つ全てのアプローチが、改善された移植率および適切な疾患進行について評価されることが望ましい。SC注射は、腫瘍の増殖と効力を測定するのに容易な様式を提供し、IVおよびIP注射は、ヒト腫瘍の広がりのより生理学的に適切なモデルを示す。SC注射は主に側腹部になされ、一方、IV注射は尾静脈に投与される。SCおよびIP注射については手で押さえ、IV注射についてはBroomeマウスレストレーナーを使用する。
【0252】
実施例30
異種移植片効力モデルにおいてのIRE-1αインヒビター化合物の評価
異種移植片モデル開発研究(上記)からの結果に基づいて、SCIDマウスに、IP、IVまたはSC経路を介して腫瘍細胞(ヒトRPMI8226骨髄腫細胞)を移植する。マウスを、4〜5週間までの期間、化合物で処置するかまたはモック処置(ビヒクル)する。化合物は、IV、IP、POまたはSC経路を介して投与することができる。いくつかの場合には、動物においてストレスを刺激するために、ツニカマイシンをIP注射によって投与する。このストレスは、腫瘍増殖時の間に動物が受け得るストレスを模倣する。ツニカマイシン注射は、ストレス時の間の腫瘍増殖を模倣し、化合物の有効性を示すバイオマーカー(例えば、XBP-1スプライシング)を、RT-PCR、免疫組織化学、またはウエスタンブロットによって評価することを可能にする。
【0253】
マウスを、腫瘍増殖、退縮および全体的健康についてモニタリングする。腫瘍を回収し、免疫組織化学および/またはFACS分析によって特性決定する。腫瘍増殖を、カリパス、超音波、または腹部洗浄によって測定する。血液または腫瘍中のバイオマーカーが評価され得る(主に、XBP-1スプライシング)。
【0254】
いくつかの実験において、血液サンプルを投薬の間の種々の時点(即ち、第1日または第4週など)で回収し、薬物動態プロフィールを評価する。血液回収の時点は、試験される薬物の薬物動態特性に応じて異なる。血液サンプルの体積は1時点当たり100マイクロリットルであり、後眼窩洞を介して、薬物投与後24時間期間内に2回、マウスから採血する。同一のマウスを使用する場合、24時間の間に各眼から1回、血液サンプルを回収する。
【0255】
腫瘍細胞を培養し、およそ100μLの体積で21G注射針を使用してマウスにIP、IV(尾静脈)またはSC(側腹部)注射する。4〜5週間までの間、週5日、IV、IP、SCまたはPO経路によって、化合物または対照としてのビヒクルのみで、マウスを処置する。後眼窩出血(100μl)によって2時点で(異なる眼)、血液を回収する。研究の終了点は、マウスの全体的健康に依存し:大抵の研究において、4〜5週の終わりにマウスを安楽死させるが、それらの全体的な健康が許容するならば、少数の研究において第40日までマウスは維持される。40日間研究を維持する理由は、試験化合物が、腫瘍増殖を阻害することに対して長期間効果を有するかどうかを測定することである。腫瘍退縮が観察されるマウスの安楽死は、実験設計に依存する。スクリーニング様式において、対照/未処置群における腫瘍が1.5 cmに達し、潰瘍化される場合か、または運動性の喪失がその群において観察される場合、実験を終了する。追跡実験において、腫瘍退縮が観察されるマウスは、それらが健康障害の腫瘍増殖の徴候を示すまで、より長く維持され得る。
【0256】
ヒト骨髄腫RPMI8226腫瘍異種移植片を有するSCIDマウスに、週2回ボルテゾミブ0.75mg/ kg IVを治療的に投薬することによって、腫瘍増殖が抑制された。しかし、ボルテゾミブ療法を停止した後、腫瘍がしばしば再発し、大きな塊へ増殖した。従って、ボルテゾミブ(記載の通り)と組み合わせて、経口、IPまたはIV投与によって、化合物17-1などのIRE-1α/XBP-1インヒビター10〜60mg/kgで、週2回マウスを処置する。腫瘍再発の発生率を低下させる化合物が同定される。
【0257】
実施例31
併用療法
ホモ二量体としてまたはATF-6とのヘテロ二量体としての、XBP-1のスプライシング形態は、ERストレスに順応することに関与する遺伝子を転写的に調節する(Wu et al., Dev Cell. 2007 Sep;13(3):351-64)。これらの下流標的の多くは、主要なシャペロン、コシャペロン、およびERのERAD成分である。GRP78およびGRP94などのシャペロンは、およそ数日の半減期を有する安定かつ長寿命のタンパク質である(Wu et al., Dev Cell. 2007 Sep;13(3):351-64)。従って、IRE-1α/XBP-1インヒビターでの癌の治療は、各サイクルにおいて、5〜6日までの治療を必要とし得る。
【0258】
ある態様において、プロテアソームインヒビターとの併用などのサイクルで与えられる併用療法は、患者をIRE-1α/XBP-1インヒビターで2日間前治療し、次いで、薬力学的効果が達成されるまで(典型的に、ボルテゾミブ注入後24時間)化学治療剤で同時に治療することを含む。ボルテゾミブは、典型的に、3週サイクルで、(21日の)毎1、4、8および11日に投与される。投薬は、IV投与によって1.3mg/m2である。IRE-1α/XBP-1インヒビターは、PK/PD関係に依存して1日に1、2または3回、IVまたは経口経路によって、10〜100 mg/kg、ボルテゾミブの注入の2日前および24時間後に、投与され得る。
【0259】
同様のプロトコルを、Hsp90および/またはHDACインヒビターを用いて使用することができる。または、両方の薬剤が、前記インヒビターのPK/PD関係に応じて、各サイクルの期間中、同時に投与される。IRE-1α/XBP-1インヒビターは、タモキシフェンと組み合わせて乳癌患者へ(Gomez et al., FASEB J. 2007 Dec;21(14):4013-27)、またはソラフィニブ(Sorafinib)と組み合わせて腎臓癌および肝細胞癌を含む種々の他の癌へ(Rahmani et al., Mol Cell Biol. 2007 Aug;27(15):5499-513)、与えることができる。
【0260】
一般的に、多くのキナーゼインヒビターは、しばしば、それらの標的キナーゼに対して選択的ではなく、しばしば、多くのさらなるキナーゼに影響を与えることから、それらは、UPRを活性化し得る非特異的細胞ストレスを生じさせる可能性がある。従って、感作剤としてIRE-1α/XBP-1インヒビターを使用する併用アプローチは有用であり得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インビトロでIRE-1α活性を直接阻害しかつ構造式(B)によって表される化合物、またはそのプロドラッグもしくは薬学的に許容される塩:

式中、
R1およびR2は、独立して、水素、フェニル、またはベンゾ縮合(benzofuse)されていてもよい5もしくは6員ヘテロ環であり、ここで、該フェニルまたは該ベンゾ縮合されていてもよい5もしくは6員ヘテロ環は、

、-CH3OH、-CHO、-OCH3、ハロゲン、-OH、-CH3

で置換されていてもよく;
R3は、水素、ハロゲン、-NO2、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖アルキル、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖ヒドロキシルアルキル、

であり;かつ
R4は、水素、

である。
【請求項2】
インビトロでIRE-1α活性を直接阻害しかつ構造式(A)によって表される化合物、またはそのプロドラッグもしくは薬学的に許容される塩:

式中、
R1は、水素、ハロゲン、または窒素、酸素および硫黄より独立して選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員ヘテロアリールであり;
R2は、水素、

、フェニル、または窒素、酸素および硫黄より独立して選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有する5もしくは6員ヘテロアリールであり、ここで、該ヘテロアリールはベンゾ縮合されていてもよく、ここで、該ヘテロアリールは、


より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよく、
R3は、水素、ハロゲン、-NO2、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖ヒドロキシルアルキル、

であり、かつ
Qは、5もしくは6員ヘテロ環である。
【請求項3】
インビトロでIRE-1α活性を直接阻害しかつ構造式(C)によって表される化合物、またはそのプロドラッグもしくは薬学的に許容される塩:

式中、
R1およびR2は、独立して、水素、-CH3、または-OHであり;かつ
環A中のヒドロキシ置換基は、アルデヒド置換基に対してオルトに配置される。
【請求項4】
インビトロでIRE-1α活性を直接阻害しかつ構造式(D)によって表される化合物、またはそのプロドラッグもしくは薬学的に許容される塩:

式中、R1は、水素、ハロゲン、-NO2、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖アルキル、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖アルコキシ、C1-C3直鎖もしくは分枝鎖ヒドロキシルアルキル、

である。
【請求項5】
インビトロでIRE-1α活性を直接阻害しかつ構造式(E)によって表される化合物のプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩:

式中、
R1は、水素または-OCH3であり;かつ
R2は、

である。
【請求項6】
インビトロでIRE-1α活性を直接阻害しかつ構造式(F)によって表される化合物のプロドラッグ、またはその薬学的に許容される塩:

式中、
R1は、水素またはBrであり;
R2は、水素、Br、または

であり;
R3は、水素、-OCH3、-COOH、または-OCH2CH3である。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物と薬学的に許容されるビヒクルとを含む、薬学的組成物。
【請求項8】
小胞体ストレス応答(unfolded protein response)に関連する障害を治療する方法であって、インビトロでIRE-1α活性を直接阻害しかつ構造式(I)によって表される化合物、またはそのプロドラッグもしくは薬学的に許容される塩をその必要がある患者へ投与する段階を含む、方法:

式中、
OH置換基は、アルデヒド置換基に対してオルトに配置され;
Qは、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、ピリジンN-オキシド、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[c]チオフェン、フラン、ピロール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、イソオキサゾリン、オキサゾリン、チアゾリン、ピラゾリン、イミダゾリン、フッ素、ビフェニル、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、ベンゾフラン、インドール、イソインドール、イソベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、1,2-ベンゾイソオキサゾール、およびカルバゾールより選択される芳香族同素環式またはヘテロ環式環系であり;
Rx、Ry、およびRzは、存在するまたは存在しない可能性があり、独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、

より選択され;
RaおよびRbは、独立して、水素、-COOH、-COOA、-CONH2、-CONHA、-CONAA'、-NH2、-NHA、-NAA'、-NCOA、-NCOOA、-OH、または-OAであり;
Yは、C1-C10アルキレンまたはC2-C8アルケニレンであり、ここで、(a)1、2または3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NHまたはNRcによって置き換えられていてもよく、および/または(b)1〜7個のH原子が、独立して、FまたはClによって置き換えられていてもよく;
AおよびA'は、
(a)独立して、(i)1、2もしくは3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NHもしくはNRcによって置き換えられていてもよく、および/もしくは(ii)1〜7個のH原子が、独立して、FもしくはClによって置き換えられていてもよいC1-C10アルキルもしくはC2-C8アルケニル;アリール;またはヘテロアリールであり;または
(b)AおよびA'は一緒に代わってC2-C7アルキレンとなり、ここで、1、2または3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NH、NRc、NCORcまたはNCOORcによって置き換えられていてもよく、例えば、アルキレンジオキシ基を形成し;
A''、A'''は、独立して、(a)存在しない、(b)C1-C10アルキレン、C2-C8アルケニレン、またはC3-C7シクロアルキルであり、ここで、1、2または3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NHまたはNRcによって置き換えられていてもよく、および/または1〜7個のH原子が、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく;または(c)一緒にC2-C7アルキルとなり、ここで、1、2または3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NH、NRc、NCORcまたはNCOORcによって置き換えられていてもよく、
Rcは、C1-C10アルキル、C3-C7シクロアルキル、C4-C8アルキレンシクロアルキル、またはC2-C8アルケニルであり;ここで、1、2または3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NH、NMe、NEtおよび/または-CH=CH-基によって置き換えられていてもよく、1〜7個のH原子が、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく、および/または、1個のH原子がRaによって置き換えられていてもよく;
アリールは、フェニル、ベンジル、ナフチル、フルオレニルまたはビフェニルであり、これらの各々は、非置換であるか、またはハロゲン、-CF3、-Rf、-ORd、-N(Rd)2、-NO2、-CN、-COORd、CON(Rd)2、-NRdCORe、-NRdCON(Re)2、-NRdSO2A、-CORd、-SO2N(Rd)2、-S(O)mRf、一緒にAA'、または-O(アリール)によって一置換、二置換または三置換され、
RdおよびReは、独立して、HまたはC1-C6アルキルであり;
Rfは、C1-C6アルキルであり;
ヘテロアリールは、1〜2個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族ヘテロ環式環であり、これは、非置換であるか、または、カルボニル酸素、ハロゲン、Rf、-ORd、-N(Rd)2、-NO2、-CN、-COORd、-CON(Rd)2、-NRdCORe、-NRdCON(Re)2、-NRfSO2Re、-CORd、-SO2NRdおよび/または-S(O)mRfによって一置換または二置換され得;かつ
mは、0、1または2である。
【請求項9】
IRE-1α発現を誘導またはアップレギュレートする治療剤を投与する段階をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項10】
IRE-1αが発現される場合には有効性が低い治療剤を投与する段階をさらに含む、請求項8記載の方法。
【請求項11】
化合物が、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物である、請求項8記載の方法。
【請求項12】
請求項5または請求項6記載の化合物をその必要がある患者へ投与する段階を含む、小胞体ストレス応答に関連する障害を治療する方法。
【請求項13】
インビトロでIRE-1αを直接阻害する化合物、またはそのプロドラッグもしくは薬学的に許容される塩と、
プロテアソームインヒビターと
をその必要がある患者へ投与する段階を含む、小胞体ストレス応答に関連する障害を治療する方法。
【請求項14】
小胞体ストレス応答に関連する障害を治療するための医薬の製造における、請求項1〜6のいずれか一項記載の化合物、または、インビトロでIRE-1α活性を直接阻害しかつ構造式(I)によって表される化合物、またはそのプロドラッグもしくは薬学的に許容される塩の使用:

ここで、構造式Iにおいて、
OH置換基は、アルデヒド置換基に対してオルトに配置され;
Qは、ベンゼン、ナフタレン、ピリジン、ピリジンN-オキシド、チオフェン、ベンゾ[b]チオフェン、ベンゾ[c]チオフェン、フラン、ピロール、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、イソオキサゾリン、オキサゾリン、チアゾリン、ピラゾリン、イミダゾリン、フッ素、ビフェニル、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、ベンゾフラン、インドール、イソインドール、イソベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、1,2-ベンゾイソオキサゾール、およびカルバゾールより選択される芳香族同素環式またはヘテロ環式環系であり;
Rx、Ry、およびRzは、存在するまたは存在しない可能性があり、独立して、水素、アリール、ヘテロアリール、

より選択され;
RaおよびRbは、独立して、水素、-COOH、-COOA、-CONH2、-CONHA、-CONAA'、-NH2、-NHA、-NAA'、-NCOA、-NCOOA、-OH、または-OAであり;
Yは、C1-C10アルキレンまたはC2-C8アルケニレンであり、ここで、(a)1、2または3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NHまたはNRcによって置き換えられていてもよく、および/または(b)1〜7個のH原子が、独立して、FまたはClによって置き換えられていてもよく;
AおよびA'は、
(a)独立して、(i)1、2もしくは3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NHもしくはNRcによって置き換えられていてもよく、および/もしくは(ii)1〜7個のH原子が、独立して、FもしくはClによって置き換えられていてもよいC1-C10アルキルもしくはC2-C8アルケニル;アリール;またはヘテロアリールであり;または
(b)AおよびA'は一緒に代わってC2-C7アルキレンとなり、ここで、1、2または3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NH、NRc、NCORcまたはNCOORcによって置き換えられていてもよく、例えば、アルキレンジオキシ基を形成し;
A''、A'''は、独立して、(a)存在しない、(b)C1-C10アルキレン、C2-C8アルケニレン、またはC3-C7シクロアルキルであり、ここで、1、2または3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NHまたはNRcによって置き換えられていてもよく、および/または1〜7個のH原子が、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく;または(c)一緒にC2-C7アルキルとなり、ここで、1、2または3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NH、NRc、NCORcまたはNCOORcによって置き換えられていてもよく、
Rcは、C1-C10アルキル、C3-C7シクロアルキル、C4-C8アルキレンシクロアルキル、またはC2-C8アルケニルであり;ここで、1、2または3個のCH2基が、O、S、SO、SO2、NH、NMe、NEtおよび/または-CH=CH-基によって置き換えられていてもよく、1〜7個のH原子が、Fおよび/またはClによって置き換えられていてもよく、および/または、1個のH原子がRaによって置き換えられていてもよく;
アリールは、フェニル、ベンジル、ナフチル、フルオレニルまたはビフェニルであり、これらの各々は、非置換であるか、またはハロゲン、-CF3、-Rf、-ORd、-N(Rd)2、-NO2、-CN、-COORd、CON(Rd)2、-NRdCORe、-NRdCON(Re)2、-NRdSO2A、-CORd、-SO2N(Rd)2、-S(O)mRf、一緒にAA'、または-O(アリール)によって一置換、二置換または三置換され、
RdおよびReは、独立して、HまたはC1-C6アルキルであり;
Rfは、C1-C6アルキルであり;
ヘテロアリールは、1〜2個のN、Oおよび/またはS原子を有する単環式または二環式の飽和、不飽和または芳香族ヘテロ環式環であり、これは、非置換であるか、または、カルボニル酸素、ハロゲン、Rf、-ORd、-N(Rd)2、-NO2、-CN、-COORd、-CON(Rd)2、-NRdCORe、-NRdCON(Re)2、-NRfSO2Re、-CORd、-SO2NRdおよび/または-S(O)mRfによって一置換または二置換され得;かつ
mは、0、1または2である。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−121964(P2011−121964A)
【公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12200(P2011−12200)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【分割の表示】特願2010−511418(P2010−511418)の分割
【原出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(507302829)マンカインド コーポレ−ション (16)
【Fターム(参考)】