説明

IRE−1αインヒビター

本発明は、インビトロでIRE-1α活性を直接阻害する化合物、それらのプロドラッグおよび薬学的に許容される塩を提供する。このような化合物およびプロドラッグは、小胞体ストレス応答に関連する疾患を治療するために有用であり、単剤としてまたは併用療法において使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2009年11月3日に出願された第61/257,696号の恩典を主張し、これを参照により組み入れる。
【0002】
発明の分野
本発明は、IRE-1αインヒビターおよびそれらの治療的使用に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
細胞の小胞体中におけるタンパク質折り畳みストレスは、小胞体ストレス応答(unfolded protein response)またはUPRと呼ばれるシグナル伝達カスケードを開始する。鍵となる酵素、イノシトール要求性酵素1(inositol requiring enzyme 1)(IRE-1α)は、分子シャペロン活性を増強することによってタンパク質折り畳みストレスを緩和し、従って、ストレス誘導性アポトーシスから細胞を保護する。IRE-1αのインヒビターは、少なくともB細胞自己免疫疾患、特定の癌、およびいくつかのウイルス感染症を治療するために有用である。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、IRE-1αインヒビター化合物、ならびにそれらのプロドラッグおよび薬学的に許容される塩を提供する。本発明はまた、小胞体ストレス応答に関連する障害を治療するために治療的に該IRE-1αインヒビター化合物、それらのプロドラッグおよび薬学的に許容される塩を使用する方法ならびに薬学的組成物を提供する。治療され得る患者としては、B細胞自己免疫疾患、特定の癌、およびいくつかのウイルス感染症を有する患者が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1Aは、実施例29に記載の実験の模式図を示す。図1Bおよび図1Cは、肝臓(図1B)および腎臓(図1C)における化合物12-4(CN-4)によるXBP-1スプライシングの用量依存阻害を実証する、4%アガロースゲルにおいて分離されたRT-PCR産物の反転画像を示す。実施例29を参照されたい。
【発明を実施するための形態】
【0006】
発明の詳細な説明
IRE-1αインヒビター化合物
本発明のIRE-1αインヒビター化合物は、IRE-1αを直接阻害する。本化合物は、酵素のRNAse活性の阻害によって作用すると理解される。本発明の特定の態様において、この活性は、10〜100%、インビトロでのIRE-1αによるヒトミニ-XBP-1 mRNAステムループ基質

の切断として検出される。他の基質も、切断を検出するために使用され得る。US 2007/0105123を参照のこと。
【0007】
本発明のIRE-1αインヒビター化合物は、以下の基準のいずれかまたは両方を満たし得る:
a.本発明のある化合物は、およそ0.0005〜20μMのIC50で、インビトロアッセイにおいてIRE-1αを阻害する。これらの化合物のいくつかは、およそ1〜20μMのこのアッセイにおけるIC50を有する。他のものは、およそ0.1〜1μMのこのアッセイにおけるIC50を有する。さらに他のものは、およそ0.0005〜0.1μMのIC50を有する。
b.本発明のある化合物は、およそ0.05〜80μMの範囲のEC50で、(例えば、骨髄腫細胞における)インビボXBP-1スプライシングアッセイにおいてIRE-1αを阻害する。これらの化合物のいくつかは、およそ10〜80μMのこのアッセイにおけるEC050を有する。他のものは、およそ1〜10μMのこのアッセイにおけるEC050を有する。さらに他のものは、およそ0.05〜1μMのこのアッセイにおけるEC050を有する。
【0008】
定義
以下の用語が本明細書において使用される。
【0009】
「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素を含む。
【0010】
別途指定されない限り、用語「アルキル」は、本明細書において使用される場合、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有する一価飽和炭化水素基(「C1-C6アルキル」)を意味し、直鎖、分枝鎖、またはその組み合わせであり得る。「C1-C6アルキル」は、C1-C5アルキル、C1-C4アルキル、およびC1-C3アルキルを含む。C1-C6アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec-ブチル、tert-ブチル、n-ブチル、2-ブチル、ペンチル、およびヘキシルが挙げられる。
【0011】
「アルコキシ」は、本明細書において使用される場合、-O-アルキル基を意味し、ここで、「アルキル」は、上記に定義される通りであり、直鎖、分枝鎖、またはその組み合わせであり得る。C1-C6アルコキシの例としては、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ、sec-ブトキシ、およびtert-ブトキシが挙げられる。
【0012】
用語「パーフルオロアルキル」は、すべての水素原子がフッ素原子によって置き換えられた、上記に定義されるアルキル基を意味する。用語「パーフルオロアルコキシ」は、アルキル部分が、上記に定義されるパーフルオロアルキル基である、アルコキシ基を意味する。
【0013】
用語「ヒドロキシルアルキル」は、本明細書において使用される場合、ヒドロキシル基によって置換された、上記に定義されるアルキル基を意味する。
【0014】
用語「アルコキシルアルキル」は、式CaH2a+1-O-(CH2)b-の基を意味し、式中、aおよびbは、独立して、1、2、3、4、5、または6である。
【0015】
「シクロアルキル」は、すべての環員が炭素原子である、飽和もしくは部分飽和3〜14員(すなわち3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14員)単環式もしくは多環式環、例えば、5、6、もしくは7員単環式環または10員二環式環である。シクロアルキルの例としては、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが挙げられる。
【0016】
「アリール」は、単独でまたは別の用語の一部として使用される場合、5〜14員(例えば5、6、7、8、9、10、11、12、13、または14員)を含有する炭素環式芳香環を意味し、単環式または多環式であり得る。アリールの例としては、フェニル、ナフチル、アントリル、およびフェナントリルが挙げられる。
【0017】
「複素環(heterocycle)」、「複素環基」、および「複素環(heterocyclic ring)」は、窒素(N)、酸素(O)、および硫黄(S)より選択される1、2、3、もしくは4個のヘテロ原子を有する、飽和もしくは部分飽和4〜14員(すなわち4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14員)単環式もしくは多環式(縮合)環、例えば、5、6、もしくは7員単環式環または10員二環式環である。任意の窒素および硫黄ヘテロ原子は酸化されていてもよく、任意の窒素ヘテロ原子は四級化されていてもよい。複素環は、任意の適切なヘテロ原子または炭素原子において結合され得る。複素環の例としては、アゼピニル、フリル、チエニル、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、イソベンゾフラニル、フラザニル、インドリル、キノリニル、オキサゾリル、イミダゾリニル、イソオキサゾリル、キノリル、ナフチリジニル、フェノキサジニル、フェナントリジニル、クロメニル、トリアジニル、プリニル、ベンゾチエニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾアゾリル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3-b]-チエニル、イソチアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、イソキノリニル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、テトラヒドロキノリニル、インドリジニル、イソインドリル、インダゾリル、イソキノリル、フタラジニル、テトラヒドロキノリニル、およびシンノリニルが挙げられる。
【0018】
「ヘテロアリール」は、窒素(N)、酸素(O)、および硫黄(S)より選択される1、2、3、もしくは4個のヘテロ原子を有する、飽和4〜14員(すなわち4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、もしくは14員)単環式もしくは多環式(縮合)環、例えば、5、6、もしくは7員単環式環または10員二環式環である。任意の窒素および硫黄ヘテロ原子は酸化されていてもよく、任意の窒素ヘテロ原子は四級化されていてもよい。ヘテロアリールは、任意の適切なヘテロ原子または炭素原子において結合され得る。ヘテロアリールの例としては、ピリジル、イミダゾリル、ピロリル、チエニル、フリル、ピラニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリル、キノリル、ナフチリジニル、およびイソオキサゾリルが挙げられる。
【0019】
化合物
本発明の化合物は、以下に記載の1つまたは複数の構造式に入る。これらの式の範囲内に入る化合物の非限定的な例は、表1および実施例において示される。
【0020】
本発明のある態様は、式(1a)、(1b)、(1c)、および(1d)を包含する構造式(1)を有する化合物のみを含む:

式(1a)中、
R3、R4、およびR8は、独立して、水素、ハロゲン、パーフルオロアルキル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、パーフルオロアルコキシ、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、またはアルコキシルアルキルであり;
R5は、水素またはR7であり;
R6は、水素、ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、またはアルコキシルアルキルであり;
R7は、ハロゲン;-CN;-CONH2;-CON(CH3)2;アルキル;パーフルオロアルキル;アルコキシ;ヒドロキシルアルキル;アルコキシルアルキル;パーフルオロアルコキシル;

;ハロゲン、-CN、アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、

からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいフェニル;ハロゲン、-CN、アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、

、アミノ、

からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換された5もしくは6員ヘテロアリール;nが0、1、もしくは2である


であり;
R9は、アルキル;アルコキシルアルキル;パーフルオロアルコキシルアルキル;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ(perfluoroalkyoxy)、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいアリール;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリール;または、nが0、1、2、もしくは3である

であり;R10は、水素またはR9であり;あるいは、
R9およびR10は、それらが結合されている窒素原子と一緒に、N、O、およびSより選択される1、2、3、もしくは4個のヘテロ原子を含有しており、R11より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい複素環を形成し;
R11は、水素;アルキル;アリール;N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールがN、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールアルキル;

であり;
R12は、アミノ;アルコキシ;R11より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいアリール;N、O、およびSより選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を有しており、R11より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;または、N、O、およびSより選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を有しており、R11より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールであり;
R13は、アルキル;アルコキシルアルキル;パーフルオロアルコキシルアルキル;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいアリール;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル(perfluoroalkyoxyl)、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリール;または、nが0、1、2、もしくは3である

であり;R14は、水素またはR13であり;あるいは、
R13およびR14は、それらが結合されている窒素と一緒に、N、O、およびSより独立して選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を含有しており、R16より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい複素環を形成し;
R15は、アミノ;アルコキシ;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいアリール;N、O、およびSより選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を有しており、ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;または、N、O、およびSより選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を有しており、ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールであり;
R16は、水素;アルキル;アリール;N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールがN、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールアルキル;

であり;
R17は、アルキル;アルコキシルアルキル;パーフルオロアルコキシルアルキル;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいアリール;ハロゲン、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリール;または、nが0、1、2、もしくは3である

であり;R18は、水素またはR17であり;あるいは、
R17およびR18は、それらが結合されている窒素と一緒に、N、O、およびSより独立して選択される1、2、3、もしくは4個のヘテロ原子を含有しており、R20より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい複素環を形成し;
R19は、アルコキシ;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいアリール;ハロゲン、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;または、ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールであり;
R20は、ハロゲン;パーフルオロアルキル;パーフルオロアルコキシ;-CN;-CONH2;-CON(CH3)2;アルキル;アルコキシ;ヒドロキシルアルキル;アルコキシルアルキル;ならびに、N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を有しており、ハロゲン、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;または、ハロゲン、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールであり、
但し、R5、R6、R7、およびR8が独立して水素、ハロゲン、-CH3、-OCH3、またはヒドロキシメチルである化合物を除き;
式(1b)中、
R3、R4、R5、およびR8は、水素であり;
R6およびR7は、独立して、

;nが0、1、もしくは2である


であり;
R7およびR6が両方ともメトキシであることはできないことを除いて、R9およびR10は、式(1a)に関連して上記に定義される通りであり;
式(1c)中、
R3、R4、およびR8は、独立して、水素、ハロゲン、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、C2-C6アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、またはアルコキシルアルキルであり;
R5、R6、およびR7は、独立して、水素;ハロゲン;-CN;-CONH2;-CON(CH3)2;アルキル;パーフルオロアルキル;C2-C6アルコキシ;ヒドロキシルアルキル;アルコキシルアルキル;パーフルオロアルコキシル;

;ハロゲン、-CN、アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、

からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいフェニル;ハロゲン、-CN、アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、

、または、nが0、1、もしくは2である

によって一置換、もしくは二置換、もしくは三置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリール;

であり;
R9、R10、R11、およびR12は、式(1a)に関連して上記に定義される通りであるが、但し、(1)R3、R4、R5、およびR8の少なくとも1つは水素ではなく;あるいは、(2)R4、R5、R6、R7、およびR8がそれぞれ水素である場合、R3は水素でも、メトキシでも、

でもなく;
式(1d)中、
R3、R4、およびR8は、独立して、水素;ハロゲン;パーフルオロアルキル;-CN;-CONH2;-CON(CH3)2;パーフルオロアルコキシ;アルキル;アルコキシ;ヒドロキシルアルキル;アルコキシルアルキルであり;
R5、R6、およびR7は、[R5、R6、およびR7]または[R3、R4、R5、R7、およびR8]がいずれも同時に水素であることはないという条件で、独立して、水素;ハロゲン;-CN;-CONH2;-CON(CH3)2;アルキル;パーフルオロアルキル;C2-C6アルコキシ;ヒドロキシルアルキル;アルコキシルアルキル;パーフルオロアルコキシル;

;-CN、パーフルオロアルキル、アルコキシ、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、および

からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいフェニル;-CN、アルキル、パーフルオロアルキル、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、

からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換された5もしくは6員ヘテロアリール;nが0、1、もしくは2である


であり;
R9、R10、R11、およびR12は、式(1a)に関連して上記に定義される通りであるが、但し、R3、R4、R5、R8、ならびにR6およびR7の一方が水素であって、R6およびR7の他方が

である場合、R12はフェニルではない。
【0021】

の例としては、以下のものが挙げられ、ここで、「X」は、ハロゲン、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ヒドロキシルアルキル、またはC1-C4アルコキシルアルキルである。


【0022】
別の態様は、R6が、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、またはアルコキシルアルキルであり;R7が、-CN;-CONH2;-CON(CH3)2;アルキル;パーフルオロアルキル;アルコキシ;ヒドロキシルアルキル;アルコキシルアルキル;パーフルオロアルコキシル;ハロゲン、-CN、アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、

からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいフェニル;炭素原子を介して結合され、ハロゲン、-CN、アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、

からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換された5もしくは6員ヘテロアリール;nが0、1、もしくは2である

;ならびに

である、式(1a)の化合物のみを含む。
【0023】
別の態様は、R5が、R7であり、R7が、

である、式(1a)の化合物のみを含む。
【0024】
別の態様は、R5が、R7であり、R7が、

である、式(1a)の化合物のみを含む。
【0025】
別の態様は、R5が、R7であり、R7が、

である、式(1a)の化合物のみを含む。
【0026】
別の態様は、R9およびR10が、それらが結合されている窒素原子と一緒に、N、O、およびSより選択される1、2、3、もしくは4個のヘテロ原子を合計12個未満の原子で含有しており、R11より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい縮合複素環を形成する、式(1a)の化合物のみを含む。
【0027】
別の態様は、R11が、アリールである、式(1a)の化合物のみを含む。
【0028】
別の態様は、R11が、N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールである、式(1a)の化合物のみを含む。
【0029】
別の態様は、R11が、アリールアルキルである、式(1a)の化合物のみを含む。
【0030】
別の態様は、R11が、N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有するアリールアルキルである、式(1a)の化合物のみを含む。
【0031】
別の態様は、1個または複数のアルキル基、パーフルオロアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシルアルキル基、アルコキシルアルキル基、およびパーフルオロアルコキシル基が、C1-C4アルキル基、C1-C4パーフルオロアルキル基、C1-C4アルコキシ基、C1-C4ヒドロキシルアルキル基、C1-C4アルコキシルアルキル基、またはC1-C4パーフルオロアルコキシル基である、式(1a)の化合物のみを含む。
【0032】
別の態様は、R4およびR8が、水素である、式(1a)の化合物のみを含む。これらの化合物としては、R5が、R7であり、R7が、ハロゲン、-CN、アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、

からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいフェニル;または、ハロゲン、-CN、アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、

からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換された5もしくは6員ヘテロアリールであるものがある。
【0033】
別の態様は、R4およびR8が、水素であり;R5が、R7であり、R7が、nが0、1、もしくは2である

;または

である、式(1a)の化合物のみを含む。
【0034】
別の態様は、R4およびR8が、水素であり;R5が、R7であり、R7が、

である、式(1a)の化合物のみを含む。
【0035】
別の態様は、R6およびR7が、独立して、

;nが0、1、もしくは2である


である、式(1b)の化合物のみを含む。
【0036】
別の態様は、R6およびR7が、独立して、

である、式(1b)の化合物のみを含む。
【0037】
別の態様は、R6およびR7が、独立して、

である、式(1b)の化合物のみを含む。
【0038】
別の態様は、R6およびR7が、独立して、

である、式(1b)の化合物のみを含む。
【0039】
別の態様は、R5、R6、およびR7が、独立して、

である、式(1c)の化合物のみを含む。
【0040】
別の態様は、R5、R6、およびR7が、独立して、-CN;-CONH2;-CON(CH3)2;アルキル;パーフルオロアルキル;C2-C6アルコキシ;ヒドロキシルアルキル;アルコキシルアルキル;パーフルオロアルコキシル;ハロゲン、-CN、アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、

からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいフェニル;炭素を介して結合され、ハロゲン、-CN、アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、

によって一置換、もしくは二置換、もしくは三置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリール;nが0、1、もしくは2である

;あるいは

である、式(1c)の化合物のみを含む。
【0041】
別の態様は、R5、R6、およびR7が、独立して、

である、式(1c)の化合物のみを含む。
【0042】
別の態様は、R5、R6、およびR7が、独立して、

である、式(1c)の化合物のみを含む。
【0043】
別の態様は、式(1d)における1個または複数のアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、またはアルコキシルアルキルが、独立して、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ヒドロキシルアルキル、またはC1-C4アルコキシルアルキルである、式(1c)の化合物のみを含む。
【0044】
別の態様は、R5、R6、およびR7が、独立して、-CN;-CONH2;-CON(CH3)2;アルキル;パーフルオロアルキル;C2-C6アルコキシ;ヒドロキシルアルキル;アルコキシルアルキル;パーフルオロアルコキシル;-CN、パーフルオロアルキル、アルコキシ、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、および

からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいフェニル;-CN、アルキル、パーフルオロアルキル、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、

からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換された5もしくは6員ヘテロアリール;nが0、1、もしくは2である


である、式(1d)の化合物のみを含む。
【0045】
別の態様は、R5、R6、およびR7が、独立して、

である、式(1d)の化合物のみを含む。
【0046】
別の態様は、R5、R6、およびR7が、独立して、

である、式(1d)の化合物のみを含む。
【0047】
別の態様は、R5、R6、およびR7が、独立して、

である、式(1d)の化合物のみを含む。
【0048】
別の態様は、1個または複数のアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、またはアルコキシルアルキルが、独立して、C1-C4アルキル、C2-C6もしくはC2-C4アルコキシ、C1-C4ヒドロキシルアルキル、またはC1-C4アルコキシルアルキルである、式(1d)の化合物のみを含む。
【0049】
本発明のある態様は、構造式(2a)、(2b)、および(2c)を包含する構造式(2)を有する化合物のみを含む:

式(2a)中、
R3は、水素;ハロゲン;またはアルキルであり;
R6は、

であり;
Aは、
(a)4、5、もしくは6員飽和シクロアルキル;または
(b)N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有する4、5、もしくは6員飽和複素環であり;
R11は、式(1a)に関連して上記に定義される通りであり;
式(2b)中、
R3は、水素または-CNであり;
R6は、

であり;
Hetは、N、S、およびOより選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を含有しており、アルキルによって置換されていてもよい5員ヘテロアリールであるが、但し、Hetは非置換の

でもなく;
R24は、-OHまたは

であり;
R9およびR10は、独立して、アルキルであり;あるいは、
R9およびR10は、それらが結合されている原子と一緒に、N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有しており、アルキルによって置換されていてもよい4、5、6、もしくは7員ヘテロアリールまたは複素環を形成し;あるいは、
R9は、水素であり、R10は、nが0、1、2、もしくは3である

であり;
R25は、C1-C3アルコキシ、あるいは、N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を有しており、アルキルによって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールまたは複素環であるが、但し、Hetが

である場合、R24は-OHでも、

でもなく;
式(2c)中、
R3は、-OH、-CN、ハロゲン、C1-C6アルキル、

nが0、1、もしくは2である

であり;
R6は、水素またはハロゲンであり;
R9およびR10は、式(1a)に関連して上記に定義される通りである。
【0050】
ある態様は、R6が、炭素原子を介して連結されている、式(2)の化合物のみを含む。
【0051】
ある態様は、R6が、窒素原子を介して連結されている、式(2)の化合物のみを含む。
【0052】
ある態様は、R3が、C1-C6アルキルである、式(2a)の化合物のみを含む。
【0053】
別の態様は、Aが、炭素原子を介して結合されている、式(2a)の化合物のみを含む。
【0054】
別の態様は、Aが、窒素原子を含有する4、5、もしくは6員飽和複素環であり、窒素原子を介して結合されている、式(2a)の化合物のみを含む。
【0055】
別の態様は、Aが、

であり;R11が、式(1a)に関連して上記に定義される通りである、式(2a)の化合物のみを含む。これらの化合物のいくつかにおいて、R11は、水素;アルキル;

;アリール;N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールがN、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールアルキル;

からなる群より選択され、R13およびR14は、式(1a)に関連して上記に定義される通りである。これらの化合物のいくつかにおいて、アルキルは、C1-C6もしくはC1-C4アルキルであり;アリールアルキルは、アリール-C1-C6-もしくはアリール-C1-C4アルキルであり;かつ/あるいは、R3は、水素、ハロゲン、またはアルキル(C1-C6およびC1-C4アルキルを含む)である。
【0056】
別の態様は、Aが、

であり;R11が、

であり;R13およびR14が、式(1a)に関連して上記に定義される通りである、式(2a)の化合物のみを含む。ある化合物において、アルキルは、C1-C4アルキルである。ある化合物において、R3は、水素である。
【0057】
別の態様は、Aが、

であり、式中、R13が、

、または、nが0、1、2、もしくは3である

であり;R14が、水素またはメチルであり;R12が、C1-C3アルコキシ、または、N、O、およびSより選択される0、1、もしくは2個のヘテロ原子を含有する6員複素環である、式(2a)の化合物のみを含む。
【0058】
別の態様は、Aが、

であり;R23が、炭素または窒素であり;R11が、水素、

であり;R13およびR14が、式(1a)に関連して上記に定義される通りである、式(2a)の化合物のみを含む。
【0059】
別の態様は、R13が、メチル;ベンジル;または

であり、R14が、R13または水素である、式(2a)の化合物のみを含む。
【0060】
別の態様は、R13およびR14が、それらが結合されている窒素と一緒に、N、O、およびSより選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を含有しており、C1-C6もしくはC1-C4アルキルによって置換されていてもよい6員複素環を形成する、式(2a)の化合物のみを含む。
【0061】
別の態様は、式(1d)における1個または複数のアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、またはアルコキシルアルキルが、独立して、C1-C4アルキル、C1-C4アルコキシ、C1-C4ヒドロキシルアルキル、またはC1-C4アルコキシルアルキルである、式(2a)の化合物のみを含む。
【0062】
別の態様は、Hetが、炭素原子を介して連結されている、式(2b)の化合物のみを含む。
【0063】
別の態様は、Hetが、窒素原子を介して連結されている、式(2b)の化合物のみを含む。
【0064】
別の態様は、式(5b)における1個または複数のアルキルが、C1-C4アルキルである、式(2b)の化合物のみを含む。
【0065】
別の態様は、R3が、-CN、C1-C6アルキル、

、または、nが0、1、もしくは2である

である、式(2c)の化合物のみを含む。
【0066】
別の態様は、R3が、

である、式(2c)の化合物のみを含む。
【0067】
別の態様は、R3が、

である、式(2c)の化合物のみを含む。
【0068】
本発明のある態様は、式(3a)、(3b)、(3c)、(3d)、(3e)、(3f)、(3g)、および(3h)を包含する構造式(3)を有する化合物のみを含む:

式中、R6は、以下からなる群より選択される:
(3a)

式中、
Hetは、N、S、およびOより選択される1、2、もしくは3個の原子を含有しており、アルキルによって置換されていてもよい5員ヘテロアリールであり;
nは、0または1であり;
R9およびR10は、それらが結合されている窒素原子と一緒に、N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有しており、アルキルによって置換されていてもよい4、5、6、もしくは7員複素環を形成する;
(3b)

式中、R9およびR10は、独立して水素であるが同時に水素であることはなく;あるいは、独立してC1-C6直鎖アルキルもしくはC6分枝鎖アルキルである;
(3c)

式中、R9およびR10は、式(1a)に関連して上記に定義される通りであり;R26は、水素または-NH2である;
(3d)ハロゲン、C1-C3アルコキシ、

によって置換されたピリミジン;R9およびR10は、それらが結合されている窒素原子と一緒に、1もしくは2個のヘテロ原子を含有しており、アルキルによって置換されていてもよい4、5、6、もしくは7員飽和複素環を形成し;あるいは、R9およびR10は、独立して、アルキルであり;あるいは、R9は、水素であり、R10は、nが0、1、2、もしくは3である

であり;R12は、アルコキシ、または、O、N、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を有しており、アルキルによって置換されていてもよい5もしくは6員飽和複素環である;
(3e)

式中、R27は、-OH、アルコキシ、または

であり;R9およびR10は、独立して、水素、メチル、ベンジル、または

であり;あるいは、R9およびR10は、それらが結合されている窒素と一緒に、N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有しており、アルキルによって置換されていてもよい6員複素環を形成する;
(3f)

式中、R30は、水素またはハロゲンであり;R28およびR29の一方は、水素であり、他方は、

であり;R31は、-OHまたは

であり;R9およびR10は、独立して、水素、メチル、ベンジル、または

であり;あるいは、R9およびR10は、それらが結合されている窒素と一緒に、C1-C3アルキルによって置換されていてもよい6員飽和複素環を形成するが、但し、(1)R30およびR28が両方とも水素であることはなく;あるいは、(2)R30およびR29が両方とも水素であることはない;
(3g)

式中、R32は、アルコキシ、-OH、または

であり;R12は、水素であり、R11は、C1-C3アルコキシによって置換されていてもよいベンジル;シクロヘキサン;O、N、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を有する6員飽和複素環;または、1-メチル-ピペラジンもしくはジメチル-ピペラジンによって置換されていてもよいフェニルであり;あるいは、R11およびR12は、それらが結合されている窒素原子と一緒に、N、O、およびSより選択される2個のヘテロ原子を含有しており、C1-C3アルキルもしくはフェニルによって置換されていてもよい6員複素環を形成し;nは、1、2、または3である;ならびに
(3h)

式中、R33は、C2-C6アルキル;C2-C6アルコキシルアルキル;C2-C6パーフルオロアルコキシルアルキル;アリール;炭素を通じて結合する5もしくは6員複素環;または炭素を通じて結合する5もしくは6員ヘテロアリールであり、C2-C6アルキル、C2-C6アルコキシルアルキル、C2-C6パーフルオロアルコキシルアルキル、アリール、5もしくは6員複素環、または5もしくは6員ヘテロアリールのいずれかは、ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、および

nが0、1、もしくは2である



からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよく;R9およびR10は、式(1a)に関連して上記に定義される通りである。
【0069】
別の態様は、R6が、炭素原子を介して連結されている、式(3)の化合物のみを含む。
【0070】
別の態様は、R6が、窒素原子を介して連結されている、式(3)の化合物のみを含む。
【0071】
別の態様は、Hetが、炭素原子を介して連結されている、式(3a)の化合物のみを含む。
【0072】
別の態様は、Hetが、C1-C6もしくはC1-C4アルキルによって置換された、式(3a)の化合物のみを含む。
【0073】
別の態様は、R6が、炭素原子を介して結合されている、式(3d)の化合物のみを含む。
【0074】
別の態様は、R6が、窒素原子を介して結合されている、式(3d)の化合物のみを含む。
【0075】
別の態様は、1個または複数のアルキルが、C1-C4アルキルである、式(3d)の化合物のみを含む。
【0076】
別の態様は、1個または複数のアルコキシが、C1-C4アルコキシである、式(3d)の化合物のみを含む。
【0077】
別の態様は、1個または複数のアルキルが、C1-C4アルキルである、式(3e)の化合物のみを含む。
【0078】
別の態様は、アルコキシが、C1-C4アルコキシである、式(3e)の化合物のみを含む。
【0079】
別の態様は、nが、2である、式(3g)の化合物のみを含む。
【0080】
別の態様は、nが、2であり、R32が、-OH、アルコキシ、または

であり;R11およびR12が、独立して、水素、C1-C4アルキル、ベンジル、または

であり;あるいは、R11およびR12が、それらが結合されている窒素と一緒に、C1-C6アルキルによって置換されていてもよい6員飽和複素環を形成する、式(3g)の化合物のみを含む。
【0081】
本発明のある態様は、構造式(4)を有する化合物のみを含む:

式中、
R5は、

であり;
R9およびR10は、式(1a)に関連して上記に定義される通りである。
【0082】
別の態様は、R9が、-OHまたはメトキシではない、式(4)の化合物のみを含む。
【0083】
別の態様は、R5が、

である、式(4)の化合物のみを含む。
【0084】
別の態様は、R5が、

である、式(4)の化合物のみを含む。
【0085】
別の態様は、R5が、

である、式(4)の化合物のみを含む。
【0086】
表1は、上記に記載した1つまたは複数の構造式によって包含される化合物の例を示す。表1において、「CHO」は、

を示し;「Bn」は、ベンジルであり;「Ph」は、フェニルであり;「Me」は、メチルである。平均IC50およびEC50は、以下の実施例に記載のように測定された。
【0087】
(表1)


























【0088】
薬学的に許容される塩;立体異性体;互変異性体
IRE-1αインヒビター化合物は、化合物の遊離形態ならびにそれらの薬学的に許容される塩および立体異性体の両方を含む。本明細書に記載される特定のIRE-1αインヒビター化合物のいくつかは、アミン化合物のプロトン化塩である。用語「遊離形態」は、非塩形態のアミン化合物を指す。包含される薬学的に許容される塩は、本明細書に開示される特定の化合物について記載される塩だけでなく、本発明のIRE-1αインヒビター化合物の遊離形態およびそのプロドラッグの典型的な薬学的に許容される塩の全てをも含む。
【0089】
記載される特定の塩化合物の遊離形態は、当技術分野において公知の技術を使用して単離され得る。例えば、遊離形態は、適切な希釈塩基水溶液、例えば、NaOH、炭酸カリウム、アンモニアおよび炭酸水素ナトリウムの希釈水溶液で塩を処理することによって、再生され得る。遊離形態は、極性溶媒中の溶解性などの特定の物性がいくぶんそれらそれぞれの塩形態とは相違し得るが、酸および塩基塩は、本発明の目的についてそれらそれぞれの遊離形態と、その他の点では、薬学的に等価である。
【0090】
開示されるIRE-1αインヒビター化合物の薬学的に許容される塩は、通常の化学的方法によって、塩基性または酸性部分を含有する本発明の化合物から合成され得る。一般的に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによって、または、適切な溶媒もしくは溶媒の種々の組み合わせ中で遊離塩基と化学量論量もしくは過剰量の所望の塩形成性無機または有機酸とを反応させることによって、作製される。同様に、酸性化合物の塩は、適切な無機または有機塩基との反応によって形成される。
【0091】
IRE-1αインヒビター化合物の薬学的に許容される塩としては、塩基性化合物と無機または有機酸とを反応させることによって形成されるような該化合物の通常の非毒性塩が挙げられる。例えば、通常の非毒性塩としては、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸などから誘導されるもの、ならびに有機酸、例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2-アセトキシ-安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸などから作製される塩が挙げられる。
【0092】
IRE-1αインヒビター化合物が酸性である場合、好適な薬学的に許容される塩としては、無機塩基および有機塩基を含む薬学的に許容される非毒性塩基から作製される塩が挙げられる。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などを含む。特定の塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩である。薬学的に許容される有機非毒性塩基から誘導される塩としては、第1級、第2級および第3級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミンならびに塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン カフェイン、コリン、N,N1-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン(hydrabamine)、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩が挙げられる。上記に記載した薬学的に許容される塩および他の典型的な薬学的に許容される塩の作製は、Berg et al.,「Pharmaceutical Salts,」J. Pharm. Sci., 1977:66:1-19によってより完全に記載されている。
【0093】
いくつかのIRE-1α化合物またはプロドラッグは、潜在的に内部塩または両性イオンであり、何故ならば、生理学的条件下で、化合物中の脱プロトン化酸性部分、例えばカルボキシル基は、アニオン性となり得、次いで、この電子電荷は、プロトン化またはアルキル化塩基性部分、例えば第4級窒素原子のカチオン電荷に対して、内部で釣り合わされ得るためである。
【0094】
IRE-1αインヒビター化合物またはそれらのプロドラッグは、不斉中心、キラル軸、およびキラル面を有し得(E. L. Eliel and S. H. Wilen, Stereochemistry of Carbon Compounds, John Wiley & Sons, New York, 1994, pages 1119-1190に記載される通り)、ラセミ体、ラセミ混合物、および個々のジアステレオマーとして存在し得、光学異性体を含む全ての可能な異性体およびそれらの混合物が、本発明内に含まれる。
【0095】
IRE-1αインヒビター化合物またはそれらのプロドラッグは、その構成原子が、同一の結合を有するにもかかわらず、2つまたはそれ以上の様式で空間的に配置可能である性質のものであってよい。結果として、この化合物は、立体異性体の形態で存在する。シス/トランス異性は、立体異性の1タイプに過ぎない。立体異性体が重ね合わせることができない像および鏡像である場合、それらは、1つまたは複数の不斉炭素原子が、それらを形成する構造中に存在するため、キラリティーまたは掌性を有するエナンチオマーである。エナンチオマーは、同程度だが反対方向に偏光面を回転させるため、光学活性であり、従って識別可能である。
【0096】
2つまたはそれ以上の不斉炭素原子がIRE-1α化合物中に存在する場合、2つの可能な立体配置がこれらの炭素原子の各々で存在する。例えば、2つの不斉炭素原子が存在する場合、4つの可能な立体異性体が存在する。さらに、これらの4つの可能な立体異性体は、互いに相違する立体異性体の6つの可能な対に分けられ得る。複数の不斉炭素を有する分子の対がエナンチオマーとなるためには、それらは、各不斉炭素で異なる立体配置を有さなければならない。エナンチオマーとして振る舞わない対は、ジアステレオマー関係として公知である、異なる立体化学的関係を有する。エナンチオマーではない立体異性体は、ジアステレオ異性体、または、より頻繁には、ジアステレオマーとして公知である。
【0097】
本発明の化合物の立体化学のこれらの周知の局面の全てが、本発明の一部であると考えられる。従って、本発明は、立体異性体、ならびに、これらがエナンチオマーである場合は、個々のエナンチオマー、これらのエナンチオマーのラセミ混合物、および、ラセミ混合物において観察されるこれらのエナンチオマーの割合とは相違する割合のこれらのエナンチオマーを含む、人工の、即ち合成の混合物である、IRE-1αインヒビター化合物を包含する。IRE-1αインヒビター化合物が、ジアステレオマーである立体異性体を有する場合、この化合物は、個々のジアステレオマー、ならびに任意の所望の割合のこれらのジアステレオマーの任意の2つまたはそれ以上の混合物を含む。
【0098】
下記は説明に役立つように意図される:単一の不斉炭素原子がIRE-1αインヒビター化合物に存在し、これがその(-)(R)および(+)(S)エナンチオマーを生じさせる場合、このIRE-1αインヒビター化合物は、治療的に活性でありかつ本明細書においてさらに記載される疾患および状態の治療または予防に有用である、全ての薬学的に許容される塩形態、プロドラッグおよびその代謝産物を含む。IRE-1αインヒビター化合物が(-)(R)および(+)(S)エナンチオマーの形態で存在する場合、治療的活性の全て、実質的に全てまたは優勢なシェアがこれらのエナンチオマーのうちの1つにのみに存するか、または望ましくない副作用がこれらのエナンチオマーのうちの1つにのみに存するならば、この化合物はまた、(+)(S)エナンチオマーのみまたは(-)(R)エナンチオマーのみを含む。2つのエナンチオマーの生物学的特性に本質的に差異がない場合、本発明のこの化合物は、さらに、ラセミ混合物としてまたは対応の部分の任意の所望の比率の非ラセミ混合物として、(+)(S)エナンチオマーと(-)(R)エナンチオマーとを一緒に含む。
【0099】
存在する場合、IRE-1αインヒビター化合物の1対または1セットのエナンチオマーの特定の生物学的効果および/または物理的および化学的特性は、例えば最終治療製品を形成するために、特定の比率でこれらのエナンチオマーを使用することを明らかにし得る。下記は例示に役立つように意図される:1対のエナンチオマーが存在する場合、エナンチオマーは、90% (R)−10% (S)、80% (R)−20% (S)、70% (R)−30% (S)、60% (R)−40% (S)、50% (R)−50% (S)、40% (R)−60% (S)、30% (R)−70% (S)、20% (R)−80% (S)、および10% (R)−90% (S)などの比率で使用され得る。それらが存在する場合、IRE-1αインヒビター化合物の種々のエナンチオマーの特性を評価した後に、最終治療製品を形成する特定の所望の特性を有するこれらのエナンチオマーの1つまたは複数の対応の量が、簡単な方法で測定され得る。
【0100】
互変異性体として存在し得る本発明に開示されるIRE-1αインヒビター化合物について、1つの互変異性構造のみが描写されているとしても、両方の互変異性形態が、本発明内に包含される。例えば、ケト互変異性体として下記に描かれるもののような化合物は、エノール互変異性体(逆もまた同様)、並びにそれらの混合物を含む。

【0101】
本発明はまた、開示される化合物の薬学的に使用可能な立体異性体、E/Z異性体、エナンチオマー、ラセミ体、ジアステレオマー、水和物、および溶媒和物を含む。「溶媒和物」は、それらの相互吸引力に起因して形成される、該化合物への不活性溶媒分子の付加物(adduction)である。溶媒和物は、例えば、一水和物、二水和物またはアルコラートである。
【0102】
プロドラッグ
本発明はまた、投与後に活性IRE-1αインヒビター化合物へ代謝されるプロドラッグを提供する。例えば、本明細書に開示されるIRE-1αインヒビター化合物は、例えば、アルキルもしくはアシル基、糖類、またはオリゴペプチドで修飾され得、これらはインビボで迅速に切断され、活性IRE-1αインヒビター化合物が放出される。
【0103】
アルコールおよびアルデヒドは、下記の一般的スキームに従って、代謝的に相互変換可能であるため、対応する芳香族アルコールの誘導体は、芳香族アルデヒドのプロドラッグとして役立ち得る:

Scheline, 1972, Xenobiotica, 2, 227-36。
【0104】
アルデヒド、ケトン、アルコールおよび他の官能基のプロドラッグの例が、Wermuth et al., 1996, Designing Prodrugs and Bioprecursors I: Carrier Prodrugs. In The Practice of Medicinal Chemistry, pp. 672-696;およびWermuth, 1996, 「Preparation of Water-Soluble Compounds by Covalent Attachment of Solubilizing Moieties,」 in Wermuth, ed., The Practice of Medicinal Chemistry, pp. 756-776に記載されている。プロドラッグ機能を行い得る他の一般的なアルデヒド誘導体およびアルコール誘導体ならびにそれらの作製方法は、Cheronis et al., 1965, Semimicro Qualitative Organic Analysis, New York: Interscience, pp. 465-518に記載されている。
【0105】
本発明のIRE-1αインヒビター化合物およびプロドラッグの調製方法
IRE-1αインヒビター化合物およびそれらの合成のための出発材料は、文献、例えば、Houben-Weyl, Methoden der organischen Chemie, Georg-Thieme-Verlag, Stuttgartなどの標準的な著書に開示されるような当技術分野において公知の方法の適切な改変によって作製してもよい。また、The MDL(登録商標)CrossFire Beilsteinデータベースにおけるコンピュータ検索によって、方法を見出してもよく、ここでは、反応ドメインが物質の調製を詳述している。下記の具体的な実施例も参照のこと。
【0106】
薬学的調製
本明細書に開示されるIRE-1αインヒビター化合物およびプロドラッグのいずれも、当技術分野において周知の方法を使用して製剤として製剤化され得る。本発明の薬学的製剤は、典型的に、担体と混合された、希釈剤で希釈された、および/または、アンプルなどの使い捨ての容器によってまたはカプセル、サシェ、カシェ、ペーパーもしくは他の容器の形態の摂取可能な担体によって封入もしくはカプセル化された、少なくとも1つのIRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグを含む。
【0107】
担体または希釈剤は、固体、半固体または液体材料であり得る。本発明の薬学的組成物において使用することができる希釈剤または担体のいくつかの例は、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコール、流動パラフィン、白色軟パラフィン、カオリン、微結晶性セルロース、ケイ酸カルシウム、シリカ ポリビニルピロリドン、セトステアリルアルコール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、カカオバター、カカオ脂、落花生油、アルギネート、トラガカント、ゼラチン、メチルセルロース、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、乳酸エチル、プロピルヒドロキシベンゾエート、ソルビタントリオレエート、ソルビタンセスキオレエート、およびオレイルアルコールである。
【0108】
本発明の薬学的組成物は、通常の混合、溶解、粒状化、糖衣錠作製、粉末化、乳化、カプセル化、エントラッピング、または凍結乾燥プロセスを含む、当技術分野において周知の方法によって製造してもよい。
【0109】
注射について、本発明のIRE-1αインヒビター化合物は、水溶液中に、好ましくは、生理学的に適合性の緩衝液、例えば、ハンクス液、リンゲル液、または緩衝生理食塩水液中に製剤化することができる。経粘膜投与について、浸透すべきバリアに好適な浸透剤が、製剤中に使用される。このような浸透剤は、当技術分野において一般的に知られている。必要に応じて、本明細書に開示されるIRE-1αインヒビター化合物またはそれらのプロドラッグのいずれもが、発熱物質を含まない薬学的に許容されるビヒクル中に提供され得る。
【0110】
経口投与について、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグは、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグが錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液体、ゲル、シロップ剤、スラリー、懸濁剤などとして製剤化されることを可能にする薬学的に許容される担体またはビヒクルと組み合せてもよい。充填剤、例えば、ゼラチン、糖類(例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトール)、セルロース調製物(例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン、トラガカントゴム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、および/またはポリビニルピロリドン(PVP)を使用してもよい。必要に応じて、崩壊剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸もしくはその塩、例えば、アルギン酸ナトリウムを、添加することができる。
【0111】
糖衣錠コアには、好適なコーティングが提供され得る。このために、高濃度の糖溶液を使用することができ、これは、任意で、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カルボポールゲル、ポリエチレングリコール、および/または二酸化チタン、ラッカー溶液、ならびに好適な有機溶媒もしくは溶媒混合物を含有することができる。染料または色素を、識別のために錠剤または糖衣錠コーティングへ添加することができる。
【0112】
経口的に使用され得る薬学的調製物としては、ゼラチンから作製されるプッシュフィットカプセル(push-fit capsule)、ならびにゼラチンおよび可塑剤、例えば、グリセロールまたはソルビトールから作製される軟密封カプセルが挙げられる。プッシュフィットカプセルは、ラクトースなどの充填剤、デンプンなどの結合剤、および/またはタルクもしくはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、および、任意で、安定剤と混合された状態で有効成分を含有してもよい。軟カプセル剤中で、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグを、好適な液体、例えば、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコール中に溶解または懸濁することができる。さらに、安定剤を添加することができる。経口投与用の全ての製剤は、好ましくは、このような投与に好適な投薬量で存在する。
【0113】
口腔投与について、組成物は、通常の様式で製剤化された錠剤またはロゼンジの形態をとることができる。
【0114】
吸入による投与について、本発明の薬学的調製物は、好適な噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適なガスを使用して、加圧パックまたはネブライザーからエアロゾルスプレーの形態で送達され得る。必要に応じて、定量を送達するためにバルブを使用してもよい。IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグとラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末ミックスを含有する、吸入器または注入器における使用のための例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジを、製剤化することができる。
【0115】
IRE-1αインヒビター化合物またはそれらのプロドラッグを、注射による、例えばボーラス注射または持続注入による非経口投与用に製剤化することができる。注射のための製剤は、単位投薬形態で、添加された防腐剤と共に、例えば、アンプル中または複数回用量容器中に、存在することができる。組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液またはエマルジョンなどの形態をとり得、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤など、製剤化のための(formulatory)薬剤を含有することができる。
【0116】
非経口投与用の薬学的製剤としては、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグの水溶液が挙げられる。さらに、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグの懸濁液を、好適な油性注射懸濁剤として調製することができる。好適な親油性溶媒またはビヒクルとしては、脂肪油、例えばゴマ油、合成脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチルもしくはトリグリセリド、またはリポソームが挙げられる。水性注射懸濁剤は、懸濁剤の粘度を増加させる物質、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランを含有することができる。任意で、懸濁剤はまた、高濃度溶液の作製を可能にするために、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグの溶解性を増加させる薬剤または好適な安定剤を含有することができる。
【0117】
または、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグは、使用前に、好適なビヒクル、例えば、発熱物質を含まない滅菌水を用いて構成するための、粉末形態であり得る。
【0118】
IRE-1αインヒビター化合物またはそれらのプロドラッグはまた、例えば、カカオバターまたは他のグリセリドなどの通常の坐剤基剤を含有する、直腸用組成物、例えば、坐剤または停留浣腸剤で製剤化することができる。
【0119】
前述の製剤に加えて、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグはまた、デポ製剤として製剤化することができる。このような長時間作用性の製剤は、移植(例えば、皮下または筋肉内に)によって、または筋肉内注射によって、投与することができる。従って、例えば、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグは、好適なポリマー性または疎水性材料(例えば、許容される油中のエマルジョンとして)またはイオン交換樹脂を用いて、または、溶け難い誘導体として、例えば溶け難い塩として、製剤化することができる。
【0120】
薬学的組成物はまた、好適な固体またはゲル相の担体または賦形剤を含むことができる。このような担体または賦形剤の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、種々の糖類、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、およびポリマー、例えば、ポリエチレングリコールが挙げられるが、これらに限定されない。
【0121】
上述の一般的な投薬形態に加えて、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグは、ALZET(登録商標)浸透圧ポンプ(Alza Corporation)を含む送達デバイスおよび/または制御放出手段によって、投与してもよい。好適な送達デバイスは、米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;第3,944,064号および第4,008,719号に記載されている。
【0122】
治療方法
IRE-1αインヒビター化合物またはそれらのプロドラッグは、小胞体ストレス応答に関連する障害の症状を治療または改善するのに有効な量で、好ましくは発熱物質を含まない薬学的に許容されるビヒクルと共に、上記に開示されるような薬学的調製物において、患者、好ましくはヒト患者へ投与され得る。
【0123】
UPRに関連する障害
タンパク質折り畳みストレスが細胞によってどのように対処されるかに依存する、微妙なバランスが、細胞の生と死との間に存在する(プロテオスタシス(proteostasis))。プロテオスタシスの不均衡は、多くの代謝、腫瘍学的、神経変性、炎症性、心臓血管障害および感染症を招く(Balch et al., Science 319, 916, 2008)。UPRは、特に、小胞体のプロテオスタシスに関連し、小胞体では全ての分泌タンパク質および膜タンパク質が、翻訳され、折り畳まれ、そしてそれらの個々の作用部位への送達のために処理されている。従って、UPRの活性化は、ERにおけるタンパク質折り畳みを増強し、細胞が生き延びることを可能にする。タンパク質折り畳みストレスがERにおいて対処されない場合、細胞はアポトーシスを開始する。
【0124】
タンパク質折り畳みストレスは、細胞型、例えば、インスリン分泌β島細胞または抗体分泌形質細胞の天然のホールマークであり得る。両方の場合とも、細胞は、UPRを活性化させることによって、ストレスを扱う機構を微調整させる。疾患タイプに応じて、UPRを誘導または阻害することが、治療的に有利であり得る。例えば、II型糖尿病またはアルツハイマー病において、インスリンを過剰産生するストレスをβ島細胞が生き延びるか、またはβアミロイドタンパク質の折り畳まれていない凝集体に起因するアポトーシス効果をニューロンが生き延びるような様式で、UPRを活性化させることが治療的に有利であり得る。癌、炎症、およびウイルス感染症などの疾患は、UPRの阻害によって治療的に調節され得る。これらのタイプの状態では、UPRの崩壊に起因する細胞生存が影響を受け得る。ERにおけるタンパク質折り畳みは、低酸素、グルコース飢餓、アミノ酸欠乏、アシドーシスおよび突然変異によって誤って折り畳まれた発癌性タンパク質(mutant malfolded and oncgenic protein)などの、腫瘍微環境における状態によって負に影響される。さらに、化学療法、生物療法、および放射線療法は、タンパク質折り畳みストレスをもたらし得る。UPRの抗アポトーシス効果を阻害することによってこれらの状態においてアポトーシスを誘導することが、可能であり得る。新生物性抗体分泌形質細胞に由来する骨髄腫は、このアプローチが適用され得る状態の例を提供する。
【0125】
最後に、エンベロープウイルスは、感染細胞からの子孫の産生を確実にするために、このシステムを使用し崩壊させなければならない。ウイルスは、しばしば、大量のウイルス膜糖タンパク質を産生し、これらは、ERにおいて折り畳まれ、修飾される。従って、生存メカニズムとしてのこのためのウイルスによるUPRの活性化は、完全に考えられることである。従って、ウイルス感染症の過程で、UPRの阻害が有利な様式で疾患の結果に影響を与え得ることは、論理的である。
【0126】
特殊な分泌細胞および病的細胞のみが、それらの有利になるようにUPRを活性化する。大抵の細胞は、このようなタンパク質折り畳みストレス下になく、従って、UPRインヒビターによって影響されない。従って、「UPRに関連する障害」は、本明細書において使用される場合、病因がUPRの阻害によって有利に影響され得る状態を意味する。本発明の種々の態様において、このようなUPRの阻害は、IRE-1αの阻害によって達成される。
【0127】
ある態様において、IRE-1αインヒビター化合物またはそれらのプロドラッグは、B細胞自己免疫疾患、特定の癌、ならびに、出芽および感染のためのウイルス表面およびスパイクタンパク質を発現するためのウイルス工場として小胞体を使用するエンベロープウイルスの感染症の症状を治療または改善するために有用である。IRE-1αインヒビターおよびそれらのプロドラッグは、下記に記載されるように、単剤としてまたは併用療法において使用され得る。
【0128】
治療され得るB細胞自己免疫疾患としては、アジソン病、抗リン脂質抗体症候群、再生不良性貧血、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性下垂体炎、自己免疫性リンパ増殖性障害、自己免疫性心筋炎、チャーグ−ストラウス症候群、後天性表皮水疱症、巨細胞性動脈炎、グッドパスチャー症候群、グレーヴズ病、ギラン−バレー症候群、橋本甲状腺炎、特発性血小板減少性紫斑病、IgA腎症、重症筋無力症、落葉状天疱瘡、尋常性天疱瘡、結節性多発動脈炎、多発性筋炎/皮膚筋炎、関節リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、高安動脈炎、およびウェゲナー肉芽腫症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
治療され得る癌としては、固形腫瘍、例えば、胸部、骨、前立腺、肺、副腎(例えば、副腎皮質腫瘍)、胆管、膀胱、気管支、神経組織(神経細胞および神経膠細胞腫瘍を含む)、胆嚢、胃、唾液腺、食道、小腸、頸部、結腸、直腸、肝臓、卵巣、膵臓、下垂体腺腫、および分泌性腺腫が挙げられる。本発明の方法は、薬物または放射線耐性固形腫瘍の治療に特に有用である。
【0130】
血液の癌(例えば、リンパ腫および白血病)もまた治療することができ、これらには、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫(例えば、皮膚T細胞リンパ腫、例えば、セザリー症候群および菌状息肉症、びまん性大細胞型リンパ腫、HTLV-1関連T細胞リンパ腫、結節性末梢T細胞リンパ腫、節外性末梢T細胞リンパ腫、中枢神経系リンパ腫、およびAIDS関連リンパ腫)が含まれるが、これらに限定されない。白血病としては、リンパ性白血病および骨髄性白血病の両方の急性および慢性型(例えば、急性リンパ性またはリンパ芽球性白血病、急性骨髄性(myelogenous)白血病、急性骨髄性(myeloid)白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、T細胞前リンパ球性白血病、成人T細胞白血病、およびヘアリー細胞白血病)が挙げられる。骨髄腫の前兆である、意味不明の単クローン性高ガンマグロブリン血症(MGUS)もまた治療することができる。
【0131】
治療できるウイルス感染症としては、それらが複製し感染性子孫を形成する際に小胞体ストレス応答経路を使用するエンベロープウイルスの感染症が挙げられる(例えば、麻疹、ポックスウイルス、エボラなど)。感染症としてはまた、エプスタインバーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)、フラビウイルス(例えば、日本脳炎ウイルスおよび西ナイルウイルス)、およびC型肝炎ウイルス(HCV)のものが挙げられる。
【0132】
併用療法
種々のタイプの生理学的ストレスが、小胞体ストレス応答を誘導し、これらとしては、低酸素、栄養素飢餓、アシドーシス、および、突然変異タンパク質または過剰発現された誤って折り畳まれたタンパク質を生じさせる遺伝子損傷(発癌性ストレス)が挙げられるがこれらに限定されない。これらの状態の1つまたは複数が、癌細胞内に現れ、これは、一部、腫瘍の微環境を介して生じ得る。小胞体ストレス応答(UPR)の細胞保護力が、腫瘍生存において抗アポトーシス役割を果たす可能性が高い。さらに、生物および化学療法薬ならびに放射線治療は、さらに、ERにおけるタンパク質の折り畳みおよび分解サイクルに影響を与え、それによって、保護的耐性機構としてUPRを誘導し得る。腫瘍は通常の療法に対して耐性であるか、または治療に対する最初の応答後に耐性形態に戻るため、患者は癌に屈し、従って、新しい治療および治療組み合わせが必要である。
【0133】
血管新生インヒビターは、腫瘍微環境のストレス効果を増強するプロセスである、新血管形成を阻害することによって、腫瘍増殖を遮断する。全身腫瘍組織量をさらに減少させるための有望なアプローチは、IRE-1α/XBP-1インヒビターと組み合わせて抗血管新生剤を投与し、ERの主要なシャペロンでありかつXBP-1の標的であるGRP78のRNAiノックダウンによって実証されたものと同様の効果を得ることである(Dong et al., Cancer Res. 2007 Jul 15;67(2):6700-7)。さらに、IRE-1α自体が、VEGFの発現に影響を与えることによって、血管新生を調節する。
【0134】
プロテアソームインヒビターおよびHsp90インヒビターは、それぞれ、タンパク質の分解および折り畳みを遮断し、アポトーシスを誘導することによって、一部作用すると考えられている(Davenport et al., Blood 2007 Oct 1 ;110(7):2641-9)。Hsp90インヒビターはXBP-1スプライシングおよびUPRの活性化を誘導することが明らかであるが、プロテアソームインヒビターがIRE-1αを活性化することはあまり明らかではない。現在の科学文献は、IRE-1αは、プロテアソームインヒビター、例えばボルテゾミブまたはMG-132によって、活性化されないかまたは最小限にのみ活性化されることを示唆している(Davenport et al., Blood 2007 Oct 1;110(7):2641-9)。
【0135】
UPRの妨害は、細胞ストレスを高める種々の化学療法に対して癌細胞を感受性にし得る。IRE-1αインヒビターを含む併用療法は、現在および未来の癌の標準治療と併用して、重要な療法となり得る。
【0136】
固形腫瘍におけるIRE-1αの活性化レベルは、現在、明らかには知られていないが、薬物耐性腫瘍の患者生検材料中でのUPRの誘導が、GRP78の誘導によって証明されている(Moenner et al., Cancer Res. 2007 Nov 15;67(22):10631-4;Lee, Cancer Res. 2007 Apr 15;67(6e):3496-9)。
【0137】
XBP-1の非スプライシング形態は、XBP-1およびATF-6転写活性に対してドミナントネガティブとして作用し得るため、XBP-1スプライシングの阻害は、予想よりも大きな効果を有する可能性がある。IRE-1αのキナーゼ活性ではなくRNAse活性を遮断するさらなるインヒビターは、プロアポトーシス結果を有し得るシグナルを、JNK経路を介してシグナル伝達するという付加利益を有し得る。
【0138】
ある態様において、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグは、IRE-1α発現を誘導またはアップレギュレートする治療剤(例えば、Hsp90およびまたはHDACインヒビター、これらは両方ともIRE-1α活性化およびXBP-1スプライシングを誘導する)、または、IRE-1αが発現される場合にあまり有効でない治療剤(例えば、17-AAG(TANESPIMYCIN(登録商標)およびスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA))と組み合わせて投与される。
【0139】
ある態様において、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグは、下記に記載されるような、癌治療剤、例えば、放射線療法または癌治療剤(例えば、化学療法剤または生物療法剤)と組み合わせて投与される。癌治療剤は、IRE-1αインヒビター化合物と別々にまたは一緒に投与することができる。癌治療剤は、IRE-1αインヒビター化合物と本質的に同時に投与することができ、またはIRE-1αインヒビター化合物の前もしくは後のいずれかに投与することができる。
【0140】
本発明に従って使用され得る癌治療剤としては、下記の分類(これらは重複し得る)での薬剤が挙げられるが、これらに限定されない:
a.プロテアソームインヒビター、例えば、ボルテゾミブ([(1R)-3-メチル-1-[[(2S)-1-オキソ-3-フェニル-2-[(ピラジニルカルボニル)アミノ]プロピル]アミノ]ブチル]ボロン酸;MG-341;VELCADE(登録商標))、MG-132(N-[(フェニルメトキシ)カルボニル]-L-ロイシル-N-[(1S)-1-ホルミル-3-メチルブチル]-L-ロイシンアミド);
b.代謝拮抗剤、例えば:
i.ピリミジンアナログ(例えば、5-フルオロウラシル、フロクスウリジン、カペシタビン、ゲムシタビン、およびシタラビン);
ii.プリンアナログ、
iii.葉酸拮抗剤および関連するインヒビター(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチンおよび2-クロロデオキシアデノシン[クラドリビン]);
iv.葉酸アナログ(例えば、メトトレキサート);
c.抗有糸分裂剤、例えば:
i.天然産物、例えば、ビンカアルカロイド(例えば、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビン);
ii.アルキル化薬、例えば、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロルエタミン、シクロホスファミドおよびアナログ、メルファラン、クロラムブシル)、エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ)、アルキルスルホネート−ブスルファン、ニトロソ尿素(例えば、カルムスチン(BCNU)およびアナログ、ストレプトゾシン)、トラゼン−ダカルバジニン(trazenes - dacarbazinine)(DTIC);
d.微小管崩壊剤、例えば、タキサン(パクリタキセル、ドセタキセル)、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、エポチロンおよびナベルビン、ならびにエピジポドフィロトキシン(例えば、テニポシド);
e.DNA損傷剤、例えば、アクチノマイシン、アムサクリン、アントラサイクリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カンプトテシン、カルボプラチン、クロラムブシル、シスプラチン、シクロホスファミド、シトキサン(Cytoxan)、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキソルビシン、エピルビシン、ヘキサメチルメラミンオキサリプラチン、イホスファミド(iphosphamide)、メルファラン、メクロレタミン、マイトマイシン、ミトザントロン、ニトロソ尿素、パクリタキセル、プリカマイシン、プロカルバジン、テニポシド、トリエチレンチオホスホラミド、およびエトポシド(VP 16);
f.抗生物質、例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、イダルビシン、アントラサイクリン、ミトザントロン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)、およびマイトマイシン;
g.酵素、例えば、L-アスパラギナーゼ;
h.抗血小板薬;
i.白金配位錯体(例えば、シスプラチン、カルボプラチン)、プロカルバジン、ヒドロキシ尿素、ミトタン、アミノグルテチミド;
j.ホルモン、ホルモンアナログ(例えば、エストロゲン、タモキシフェン、ゴセレリン、ビカルタミド、ニルタミド);
k.アロマターゼインヒビター(例えば、レトロゾール、アナストロゾール);
l.抗凝血剤(例えば、ヘパリン、合成ヘパリン塩、およびトロンビンの他のインヒビター);
m.線維素溶解剤(例えば、組織プラスミノーゲンアクチベーター、ストレプトキナーゼおよびウロキナーゼ)、アスピリン、COX-2インヒビター、ジピリダモール、チクロピジン、クロピドグレル、アブシキシマブ;
n.抗遊走剤(antimigratory agent);
o.抗分泌剤(例えば、ブレベルジン(breveldin));免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリムス(FK-506)、シロリムス(ラパマイシン)、アザチオプリン、ミコフェノール酸モフェチル);
p.抗血管新生化合物(例えば、TNP-470、ゲニステイン)および増殖因子インヒビター(例えば、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)インヒビター、線維芽細胞増殖因子(FGF)インヒビター、上皮細胞増殖因子(EGF)インヒビター);
q.アンギオテンシン受容体遮断薬;
r.酸化窒素供与体;
s.アンチセンスオリゴヌクレオチド;
t.抗体(例えば、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標))、AVASTIN(登録商標)、ERBITUX(登録商標));
u.細胞周期阻害剤および分化誘導剤(例えば、トレチノイン);
v.mTOR(哺乳類ラパマイシン標的)阻害剤(例えば、エベロリムス、シロリムス);
w.トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、アムサクリン、カンプトテシン、ダウノルビシン、ダクチノマイシン、エニポシド(eniposide)、エピルビシン、エトポシド、イダルビシン、イリノテカン(CPT-11)およびミトザントロン、トポテカン、イリノテカン);
x.コルチコステロイド(例えば、コルチゾン、デキサメタゾン、ヒドロコルチゾン、メチルペドニゾロン(pednisolone)、プレドニゾン、およびプレニゾロン(prenisolone));
y.増殖因子シグナル伝達キナーゼインヒビター;
z.ミトコンドリア機能障害誘導剤;
aa.カスパーゼアクチベーター;ならびに
bb.クロマチン崩壊剤。
【0141】
ある態様において、癌治療剤は、以下からなる群より選択される:アレムツズマブ、アミノグルテチミド、アムサクリン、アナストロゾール、アスパラギナーゼ、ベグ(beg)、ベバシズマブ、ビカルタミド、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、ブセレリン、ブスルファン、カンポテシン、カペシタビン、カルボプラチン、カルムスチン、CeaVac、セツキシマブ、クロラムブシル、シスプラチン、クラドリビン、クロドロネート、コルヒチン、シクロホスファミド、シプロテロン、シタラビン、ダカルバジン、ダクリズマブ、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジエネストロール、ジエチルスチルベストロール、ドセタキセル、ドキソルビシン、エドレコロマブ、エピルビシン、エプラツズマブ、エルロチニブ、エストラジオール、エストラムスチン、エトポシド、エキセメスタン、フィルグラスチム、フルダラビン、フルドロコルチゾン、フルオロウラシル、フルオキシメステロン、フルタミド、ゲムシタビン、ゲムツズマブ、ゲニステイン、ゴセレリン、huJ591、ヒドロキシ尿素、イブリツモマブ、イダルビシン、イホスファミド、IGN-101、イマチニブ、インターフェロン、イリノテカン、イロノテカン(ironotecan)、レトロゾール、ロイコボリン、ロイプロリド、レバミゾール、リンツズマブ(lintuzumab)、ロムスチン、MDX-210、メクロレタミン、メドロキシプロゲステロン、メゲストロール、メルファラン、メルカプトプリン、メスナ、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトタン、ミトザントロン、ミツモマブ(mitumomab)、ニルタミド、ノコダゾール、オクトレオチド、オキサリプラチン、パクリタキセル、パミドロネート、ペントスタチン、ペルツズマブ(pertuzumab)、プリカマイシン、ポルフィマー、プロカルバジン、ラルチトレキセド、リタキシマブ、ストレプトゾシン、スニチニブ、スラミン、タモキシフェン、テモゾロミド、テニポシド、テストステロン、サリドマイド、チオグアニン、チオテパ、チタノセンジクロリド、トポテカン、トシツモマブ、トラスツズマブ、トレチノイン、バタラニブ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、およびビノレルビン。
【0142】
投与経路
本発明の薬学的調製物は、局所または全身投与され得る。好適な投与経路としては、経口、経肺、経直腸、経粘膜、経腸、非経口(筋肉内、皮下、髄内経路を含む)、結節内、髄腔内、直接脳室内(direct intraventricular)、静脈内、腹腔内、鼻腔内、眼内、経皮、局所、および経膣経路が挙げられる。上記により詳細に説明したように、投薬形態としては、錠剤、トローチ剤、ディスパージョン、懸濁剤、坐剤、液剤、カプセル剤、クリーム、パッチ、ミニポンプなどが挙げられるが、これらに限定されない。標的化送達システムもまた使用され得る(例えば、標的特異的抗体がコーティングされたリポソーム)。
【0143】
投薬量
本発明の薬学的組成物は、治療的有効量の少なくとも1つの有効成分(IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグ)を含む。「治療的有効量」は、治療期間にわたって患者へ投与されると、治療される疾患の特徴の測定可能な改善(例えば、検査値の改善、症状の進行の遅延、症状の重篤度の低下、または好適な生物学的マーカーのレベルの改善)をもたらす、IRE-1αインヒビター化合物またはそのプロドラッグの量である。
【0144】
治療的有効量の決定は、十分に当業者の能力内にある。治療的有効量は、最初、インビトロ酵素アッセイ、細胞培養アッセイおよび/または動物モデルから推定することができる。例えば、インビトロ酵素アッセイにおいてまたは細胞培養において測定されたIC50と少なくとも同じぐらい濃い循環濃度範囲を達成するように、用量が動物モデルに処方することができる(即ち、IRE-1α活性の半最大阻害を達成する試験化合物の濃度)。このような情報は、ヒトにおいて有用な用量をより正確に決定するために使用することができる。FDA指針書「Guidance for Industry and Reviewers Estimating the Safe Starting Dose in Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers」 (HFA-305)を参照のこと;これは、インビボ動物実験に基づいてヒト等価用量(HED)を計算する際に使用される等式を提供する。
【0145】
関連疾患についての好適な動物モデルは、当技術分野において公知である。例えば、以下を参照のこと:Lupus. 1996 Oct;5(5b):451-5(抗リン脂質抗体症候群);Blood. 1974 Jul;44(l):49-56(再生不良性貧血);Autoimmunity. 2001;33(5):265-74(自己免疫性下垂体炎);Methods. 2007 Jan;41(l): 118-22(自己免疫性心筋炎);Clin Exp Rheumatol. 2003 Nov-Dec;21(6 Suppl 32):S55-63(チャーグ-ストラウス症候群、ウェゲナー肉芽腫症);J Clin Invest. 2005 Apr;115(5):870-8(後天性表皮水疱症);Circulation. 2005 Jun 14; 111(23):3135-40. Epub 2005 Jun 6(巨細胞性動脈炎;高安動脈炎(Takayusu's arteritis));Int J Immunopathol Pharmacol. 2005 Oct-Dec;18(5):701-8(IgA腎症);Vet Rec. 1984 May 12;114(19):479(落葉状天疱瘡);J. Neuroimmunol. 98, 130-35, 1999(多発性筋炎);Am. J. Pathol. 120, 323-25, 1985(皮膚筋炎);Cell. Mol. Immunol. 2, 461-65, 2005(重症筋無力症);Arthritis Rheum. 50, 3250-59, 2004(エリテマトーデス);Clin. Exp. Immunol. 99, 294-302, 1995(グレーヴズ病);J. Clin. Invest. 116, 961-973, 2006(関節リウマチ);Exp Mol Pathol. 77, 161-67, 2004(橋本甲状腺炎);Rheumatol. 32, 1071-75, 2005(シェーグレン症候群);Brain Pathol. 12, 420-29, 2002(ギラン-バレー症候群);Vet. Pathol. 32, 337-45, 1995(結節性多発動脈炎);Immunol. Invest. 3,47-61, 2006(尋常性天疱瘡);Arch. Dermatol. Res. 297, 333-44, 2006(強皮症);J. Exp. Med. 191, 899-906, 2000(グッドパスチャー症候群);Clin. Exp. Immunol. 99, 294-302, 1995(グレーヴズ病);J. Clin. Invest. 91, 1507-15, 1993(膜性腎症);J. Immunol. 169, 4889-96, 2002(自己免疫性肝炎);Surgery 128, 999-1006, 2000(アジソン病);Eur. J. Immunol. 32, 1147-56, 2002(自己免疫性溶血性貧血);およびHaematologica 88, 679-87, 2003(自己免疫性血小板減少性紫斑病)。
【0146】
LD50(集団の50%に対して致死的である用量)およびED50(集団の50%において治療的に有効である用量)は、細胞培養物および/または実験動物において標準的な薬学的手順によって測定され得る。細胞培養アッセイまたは動物実験から得られたデータは、最初のヒト用量を決定するために使用され得る。当技術分野において公知であるように、投薬量は、使用される投薬形態および投薬経路に応じて、変化してもよい。
【0147】
ヒト患者への全身投与に有用な投薬量は、1μg/kg〜100 mg/kg(例えば、1〜10μg/kg、20〜80μg/kg、5〜50μg/kg、75〜150μg/kg、100〜500μg/kg、250〜750μg/kg、500〜1000μg/kg、1〜10 mg/kg、5〜50 mg/kg、25〜75 mg/kg、50〜100 mg/kg、5 mg/kg、20 mg/kg、または50 mg/kg)の範囲である。ある態様において、治療スケジュールは、IRE-1αインヒビター化合物の血漿濃度が、ある期間(例えば、数日または1週間)の間維持され、次いで、ある期間(例えば、1、2、3、または4週間)の間投与を中止することによって減少されることを必要とし得る。投与される組成物の量は、当然ながら、治療される被験体、被験体の体重、障害の重篤度、投与様式、および処方医師の判断に依存する。
【0148】
本開示において引用される全ての特許、特許出願、および参考文献は、参照により本明細書に明白に組み込まれる。上記の開示は、一般的に本明細書を説明する。より完全な理解は、下記の具体例への参照によって得ることができ、これらは、例示目的のためにのみ提供され、本発明の範囲を限定するようには意図されない。
【0149】
実施例
実施例1〜20において使用した分析用LC/MS法は、220nmにおいて抽出を行う可変波長検出器を備えるAgilent 1200、および、Agilent 6140単一四極子質量分析計を使用した。HPLCカラムは、Zorbax SB-C18、3.5μm、2.1 mm x 30 mmとし、40℃に維持した。HPLC勾配は、0.4 mL/分、95:5:0.1 水:アセトニトリル:ギ酸0.1分から次に5:95:0.1 水:アセトニトリル:ギ酸3.9分とし、0.5分維持した。
【0150】
実施例1
2-ヒドロキシ-6-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ナフタレン-1-カルボアルデヒド塩酸塩1-1の合成

【0151】
2-ヒドロキシ-6-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-ナフタレン-1-カルボアルデヒド1-1
6-ブロモ-2-ヒドロキシ-ナフタレン-1-カルボアルデヒド(1a、WO2008154484)(100 mg、0.4 mmol)、1-メチル-ピペラジン(44 mg、0.44 mmol)、ナトリウムtert-ブトキシド(84 mg、0.88 mmol)、トリス-(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(25 mg、28μmol)、(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン(18 mg、26μmol)を乾燥ジオキサン12 mLに溶解した。得られた淡褐色スラリーを100℃に1時間加熱した。反応混合物を蒸発させ、クロロホルム20 mLと水20 mLとに分配した。水相のpHを酢酸で中性に調整した後、分離し、別の20 mLのクロロホルムで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。得られた固体原料を、溶離剤としてクロロホルムを用いてクロマトグラフィーによって精製した。得られた粗生成物をジエチルエーテルで粉砕し、1-1(50 mg、19 mmol、46%)が得られた。
LC/MS ESI: M+H = 271、Rt: 2.70分;

【0152】
上記の手順によって以下の化合物を作製した。






【0153】
実施例2
2-ヒドロキシ-6-[3-(モルホリン-4-カルボニル)-ピロリジン-1-イル]-ナフタレン-1-カルボアルデヒド2-1の合成

6-ブロモ-2-ヒドロキシ-ナフタレン-1-カルボアルデヒド1a(150 mg、0.6 mmol)、モルホリン-4-イル-ピロリジン-3-イル-メタノン(158 mg、0.72 mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド(207 mg、2.16 mmol)、トリス-(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(38 mg、41μmol)、(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン(25 mg、84μmol)を乾燥ジオキサン18 mLに溶解した。得られた淡褐色スラリーを100℃に3時間加熱した。反応混合物を蒸発させ、クロロホルム30 mLと水30 mLとに分配した。水相のpHを酢酸で中性に調整した後、分離し、別の30 mLのクロロホルムで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。得られた固体原料を、溶離剤としてクロロホルムを用いてクロマトグラフィーによって精製した。得られた粗生成物をジエチルエーテルで粉砕し、2-1(108 mg、31 mmol、51%)が得られた。

【0154】
上記の手順によって以下の化合物を作製した。



【0155】
実施例3
2-ヒドロキシ-6-(4-ピリジン-2-イルメチル-ピペラジン-1-イル)-ナフタレン-1-カルボアルデヒド3-1の合成

6-ブロモ-2-ヒドロキシ-ナフタレン-1-カルボアルデヒド1a(83 mg、0.32 mmol)、1-ピリジン-2-イルメチル-ピペラジン塩酸塩(84 mg、0.39 mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド(138 mg、1.44 mmol)、トリス-(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(20 mg、22μmol)、(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン(25 mg、47μmol)を乾燥ジオキサン8 mLに溶解した。得られた淡褐色スラリーを100℃に3時間加熱した。反応混合物を蒸発させ、クロロホルム15 mLと水15 mLとに分配した。水相のpHを酢酸で中性に調整した後、分離し、別の15 mLのクロロホルムで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。得られた固体原料を、溶離剤としてクロロホルム/メタノール(98/2)を用いてクロマトグラフィーによって精製した。得られた粗生成物をのジオキサン中のHCl 5 mLに懸濁し、濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、3-1(26 mg、0.7 mmol、21%)が得られた。
LC/MS ESI: M+H = 348、Rt: 2.75分;

【0156】
上記の手順によって以下の化合物を作製した。





【0157】
実施例4
2-ヒドロキシ-6-(4-メタンスルホニル-ピペラジン-1-イル)-ナフタレン-1-カルボアルデヒド4-1の合成

【0158】
4-メタンスルホニル-ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル4a
ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(562 mg、3.02 mmol)およびトリエチルアミン(915 mg、9.06 mmol)をジクロロエタン30 mLに溶解し、0℃に冷却し、塩化メタンスルホニル(257μL、3.32 mmol)を滴下し、混合物を冷却浴中で2時間撹拌した。次に混合物を5%クエン酸およびブラインで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させ、白色固体(644 mg、2.44 mmol、80%)が得られた。
【0159】
1-メタンスルホニル-ピペラジン塩酸塩4b
4-メタンスルホニル-ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(640 mg、2.42 mmol)を酢酸エチル(20 mL)に溶解し、HClを含有する酢酸エチルをこの溶液へ0℃で添加し、室温に到達させた。3時間撹拌した後、懸濁液を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、4b(420 mg、2.1 mmol、86%)が得られた。
【0160】
2-ヒドロキシ-6-(4-メタンスルホニル-ピペラジン-1-イル)-ナフタレン-1-カルボアルデヒド4-1
6-ブロモ-2-ヒドロキシ-ナフタレン-1-カルボアルデヒド1a(150 mg、0.6 mmol)、1-メタンスルホニル-ピペラジン塩酸塩4b(132 mg、0.66 mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド(190 mg、1.98 mmol)、トリス-(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(38 mg、41μmol)、(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン(27 mg、90μmol)を乾燥ジオキサン18 mLに溶解した。得られた懸濁液を100℃に3時間加熱した。反応混合物を蒸発させ、ジクロロメタン30 mLと水30 mLとに分配した。水相のpHを酢酸で中性に調整した後、分離し、別の30 mLのジクロロメタンで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。得られた固体原料を、溶離剤としてクロロホルムを用いてクロマトグラフィーによって精製した。得られた粗生成物をジエチルエーテルで粉砕し、暗黄色固体としての4-1(78 mg、0.23 mmol、39%)が得られた。
LC/MS ESI: M+H = 335、Rt: 3.42分;

【0161】
上記の手順によって以下の化合物を作製した。

【0162】
実施例5
N-[1-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-ピロリジン-3-イル]-N-メチル-アセトアミド5-2の合成

【0163】
2-ヒドロキシ-6-(3-メチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-ナフタレン-1-カルボアルデヒド二塩酸塩5-1
6-ブロモ-2-ヒドロキシ-ナフタレン-1-カルボアルデヒド1a(150 mg、0.6 mmol)、メチル-ピロリジン-3-イル-カルバミン酸tert-ブチルエステル(144 mg、0.72 mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド(253 mg、2.64 mmol)、トリス-(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(38 mg、42μmol)、(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン(25mg、90μmol)を乾燥ジオキサン16 mLに溶解した。得られた淡褐色スラリーを100℃に3時間加熱した。反応混合物を蒸発させ、クロロホルム20 mLと水20 mLとに分配した。水相のpHを酢酸で中性に調整した後、分離し、別の20 mLのクロロホルムで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。得られた固体原料を、溶離剤としてクロロホルムを用いてクロマトグラフィーによって精製した。得られた粗中間体をジエチルエーテルで粉砕した。HClを含有する酢酸エチル(10 mL)に0℃で得られた固体を溶解し、室温に到達させた。2時間後、得られた懸濁液を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、5-1(78 mg、0.23 mmol、99%)が得られた。
LC/MS ESI: M+H = 271、Rt: 2.67分;

【0164】
N-[1-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-ピロリジン-3-イル]-N-メチル-アセトアミド5-2
2-ヒドロキシ-6-(3-メチルアミノ-ピロリジン-1-イル)-ナフタレン-1-カルボアルデヒド二塩酸塩5-1(60 mg、018 mmol)を無水ジクロロメタン3 mLに溶解し、無水酢酸(54 mg、53 mmol)を添加した。室温で30分撹拌した後、飽和炭酸水素ナトリウム1 mLを添加した。混合物を分液漏斗へ移し、有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、蒸発させ、ジエチルエーテルで粉砕した。得られたスラリーを濾別し、乾燥させ、5-2(40 mg、13 mmol、73%)が得られた。
LC/MS ESI: M+H = 313、Rt: 3.46分;

【0165】
実施例6
N-[1-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-ピロリジン-3-イル]-アセトアミド(IRE-1508)6-1の合成

【0166】
3-アセチルアミノ-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル6a
3-アミノ-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(2.0 g、10.75 mmol)をジクロロエタン20 mLに溶解し、無水酢酸(1.15 g、11.29 mmol)およびトリエチルアミン(1.14 g, 11.29)を添加した。室温で1時間撹拌した後、混合物を蒸発させ、溶離剤としてクロロホルムを用いて残渣をシリカプラグに通し、6a(2.2 g、9.65 mmol、90%)が得られた。
【0167】
N-ピロリジン-3-イル-アセトアミド塩酸塩6b
HClを含有する酢酸エチル(20 mL)に3-アセチルアミノ-ピロリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル6a(2.2 g、9.65 mmol)を0℃で溶解し、室温に到達させた。2時間撹拌した後、懸濁液を蒸発させた(濾過した場合は吸湿性)。エタノール、次にジエチルエーテルを油状の粗原料から蒸発させてHClを除去し、6b(1.15 g、7.02 mmol、73%)が褐色油状物として得られた。
【0168】
N-[1-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-ピロリジン-3-イル]-アセトアミド6-1
6-ブロモ-2-ヒドロキシ-ナフタレン-1-カルボアルデヒド1a(151 mg、0.6 mmol)、N-ピロリジン-3-イル-アセトアミド塩酸塩6b(115 mg、0.90 mmol)、ナトリウム-tert-ブトキシド(280 mg、3.0 mmol)、トリス-(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(38 mg、42μmol)、(2-ビフェニル)ジ-tert-ブチルホスフィン(27 mg、90μmol)を乾燥ジオキサン12 mLに溶解した。得られた淡褐色スラリーを100℃に3時間加熱した。反応混合物を蒸発させ、クロロホルム20 mLと水20 mLとに分配した。水相のpHを酢酸で中性に調整した後、分離し、別の20 mLのクロロホルムで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。得られた固体原料を、98:2クロロホルム/メタノールで溶離することによって精製した。得られた粗生成物をジエチルエーテルで粉砕し、6-1(34 mg、0.11 mmol、19%)が得られた。
LC/MS ESI: M+H = 299、Rt: 3.22分;

【0169】
上記の手順によって以下の化合物を作製した。

【0170】
実施例7
トリフルオロメタンスルホン酸8-ホルミル-7-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルエステル7-1の合成

【0171】
トリフルオロメタンスルホン酸7-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルエステル7a
ジクロロメタン(10 mL、CaH2から蒸留)中の2,7-ジヒドロキシナフタレン(0.8 g、5 mmol)の緩衝液へピリジン(2.85 mL、2.8 g、35 mmol、KOHで乾燥)を添加した。反応混合物を冷水中で冷却し、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(1 mL、1.64 g、6 mmol)を5℃未満で滴下し、混合物を冷却浴中で2時間撹拌した。次に1N塩酸(12 mL)を添加し、水層を分離し、ジクロロメタン(2 x 5 mL)で抽出した。合わせた有機層を水(3 x 5 mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発乾固した。油状の粗生成物を、2:1ヘキサン/酢酸エチルで溶離するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。このようにして7-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-2-ナフトール7a(0.70 g、収率:48%)が粘稠油状物として得られ、これは静置時に凝固した。
LC/MS ESI: M-H = 291、Rt: 3.83分
【0172】
この中間体をさらに精製せずに次の工程に使用した。
【0173】
トリフルオロメタンスルホン酸8-ホルミル-7-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルエステル7-1の合成
氷水浴中で撹拌したジクロロメタン(10 mL、CaH2から蒸留)中の7-トリフルオロメタンスルホニルオキシ-2-ナフトール7a(0.40 g、1.37 mmol)の溶液へ四塩化チタン(0.30 mL、0.52 g、2.74 mmol)、次にジクロロメチルメチルエーテル(0.37 mL、0.47 g、4.1 mmol)を10℃未満で添加した。混合物を冷却浴中で2時間撹拌した。次に2 N塩酸(10 mL)を添加し、水層を分離し、ジクロロメタン(2 x 5 mL)で抽出した。合わせた有機層をブライン(5 x 5 mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物を、4:1ヘキサン/ジエチルエーテルで溶離するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。このようにして7-1(0.26 g、収率:59%)が半固体として得られた。ジイソプロピルエーテルで試料を粉砕することによって白色粉末が得られた。
LC/MS ESI: M+H = 319、Rt: 4.09分;

【0174】
実施例8
(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルオキシ)-酢酸8-1の合成

【0175】
6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルオキシ)-酢酸エチルエステル8a
ジメチルホルムアミド(90 mL)中の2,6-ジヒドロキシナフタレン(3 g、18.75 mmol)の溶液へNaH(822 mg、約60%油性懸濁液)を添加した。1時間撹拌した後、ブロモ酢酸エチルエステル(2.29 mL、20.62 mmol)を添加した。懸濁液を室温でさらに4時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた後、水(200 mL)中に懸濁し、10%塩酸で酸性化し、次に酢酸エチル(2x150 mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物を、クロロホルムで溶離するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、8aが固体(1.54 g、6.26 mmol、33%)として得られた。
LC/MS ESI: M+H = 247、Rt: 3.28分。
【0176】
この中間体をさらに精製せずに次の工程に使用した。
【0177】
(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルオキシ)-酢酸エチルエステル8b
ジクロロメタン(35 mL、CaH2から蒸留)中の四塩化チタン(1.55 mL、14.3 mmol)およびジクロロメチルメチルエーテル(2.3 mL、25.7 mmol)の撹拌溶液へ、ジクロロメタン(45 mL、CaH2から蒸留)中の6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルオキシ)-酢酸エチルエステル8a(2.11 g, 8.58 mmol)を0℃で添加し、混合物を冷却浴中で1時間、次に室温で一晩撹拌した。次に1N塩酸(80 mL)を添加し、有機層を分離し、1N塩酸(2 x 80 mL)、次にEDTA二ナトリウム塩水溶液100 mLで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム50 mLで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物を、ヘキサン/酢酸エチルで溶離するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、8bが帯赤色固体(355 mg、1.29 mmol、15%)として得られた。
LC/MS (ESI): M+H = 275、Rt: 3.66分。
【0178】
(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルオキシ)-酢酸8-1
(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルオキシ)-酢酸エチルエステル8b(340 mg、1.24 mmol)をジオキサン-10%水酸化ナトリウム水溶液の1:1混合物40 mLに溶解し、室温で30分間撹拌した。ジクロロメタン50 mLを反応混合物へ添加し、水層を分離し、ジクロロメタン50 mLで洗浄し、1N塩酸で酸性化し、沈殿物を濾別し、水で洗浄し、8-1が桃色固体(270 mg、1.09 mmol、88%)として得られた。
LC/MS ESI: M-H = 245、Rt: 2.99分;

【0179】
実施例9
2-ヒドロキシ-7-(2-モルホリン-4-イル-2-オキソ-エトキシ)-ナフタレン-1-カルボアルデヒド9-1の合成

8-ホルミル-7-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルオキシ)-酢酸(123 mg、0.5 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(149 mg、1.1 mmol)、モルホリン(95μL、1.1 mmol)、トリエチルアミン(350μL、2.5 mmol)、および1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(210 mg、1.1 mmol)をテトラヒドロフラン(4 mL)に溶解し、混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣へ飽和炭酸水素ナトリウム30 mLを注ぎ、クロロホルム(2 x 30 mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物を、クロロホルムで溶離するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製した後、最後にジエチルエーテルで粉砕し、9-1が黄色粉末(65 mg、0.206 mmol、41%)として得られた。
LC/MS ESI: M+H = 316、Rt: 3.11分;

【0180】
上記の手順によって以下の化合物を作製した。


【0181】
実施例10
2-ヒドロキシ-7-[2-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-エトキシ]-ナフタレン-1-カルボアルデヒド10-1の合成

【0182】
(8-ホルミル-7-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルオキシ)-アセチルクロリド10a
塩化チオニル(20 mL)を8-ホルミル-7-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルオキシ)-酢酸(200 mg、0.81 mmol)へ添加し、混合物を2時間還流した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をさらに精製せずに次の工程に使用した。
【0183】
2-ヒドロキシ-7-[2-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-2-オキソ-エトキシ]-ナフタレン-1-カルボアルデヒド10-1
ジクロロエタン15 mL中のN-メチルピペラジン(123μL、0.89 mmol)およびトリエチルアミン(340μL、2.44 mmol)の溶液へ0℃で8-ホルミル-7-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルオキシ)-アセチルクロリド10aを添加し、混合物を室温へ加温した。次に混合物を水(25 mL)で抽出し、水層をジクロロメタン(2 x 25 mL)で洗浄した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物を、40:1クロロホルム/メタノールで溶離するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製した。得られた生成物をジエチルエーテルで粉砕し、濾過し、10-1(20 mg、60.9μmol、8%)が得られた。
LC/MS ESI: M+H = 329、Rt: 2.49分;

【0184】
実施例11
2-ヒドロキシ-6-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-カルボニル)-フェノキシ]-ナフタレン-1-カルボアルデヒド11-1の合成

【0185】
4-(6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルオキシ)-ベンゾニトリル11a
ナフタレン-2,6-ジオール(2.28 g、14.25 mmol)、4-フルオロ-ベンゾニトリル(1.72 g、14.25 mmol)、およびK2CO3(1.96 g、14.25mmol)をDMF 60 mLに溶解し、混合物を150℃に2時間加熱した。反応混合物を水とジクロロメタンとに分配した。有機層を分離し、抽出し、1N塩酸で洗浄し、分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。得られた粗生成物を、20:1クロロホルム/メタノールで溶離するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、11a(610 mg、2.34 mmol、16%)が得られた。
【0186】
4-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルオキシ)-ベンゾニトリル11b
ジクロロメタン(10 mL、CaH2から蒸留)中の四塩化チタン(0.67 mL、3.39 mmol)およびジクロロメチルメチルエーテル(0.62 mL、6.09 mmol)の撹拌溶液へ、ジクロロメタン(10 mL、CaH2から蒸留)中の4-(6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルオキシ)-ベンゾニトリル11a(550 mg, 2.03 mmol)を0℃で添加し、混合物を0℃で1時間、次に室温で一晩撹拌した。次に1N塩酸(20 mL)を添加し、有機層を分離し、1N塩酸(2 x 20 mL)で抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム10 mLで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物を、ジクロロメタンで溶離するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、11b(190 mg、0.66 mmol、32%)が得られた。
LC/MS ESI: M-H = 288、Rt: 4.05分;

【0187】
4-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルオキシ)-安息香酸11c
メタノール20 mLおよび10%水酸化ナトリウム水溶液20 mLの混合物に4-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルオキシ)-ベンゾニトリル11b(170 mg、0.59 mmol)を溶解した。反応液を80℃に12時間加熱した。冷却した反応混合物を濃塩酸水溶液で酸性化し、得られた沈殿物を濾過し、粗生成物を、20:1クロロホルム/メタノールで溶出するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、11-1(60 mg、0.19 mmol、32%)が得られた。
LC/MS ESI: M-H = 307、Rt: 3.69分;

【0188】
2-ヒドロキシ-6-[4-(4-メチル-ピペラジン-1-カルボニル)-フェノキシ]-ナフタレン-1-カルボアルデヒド11-1
4-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イルオキシ)-安息香酸11c(40 mg、0.13 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(38 mg、0.29 mmol)、N-メチル-ピペラジン(32μL、0.39 mmol)、トリエチルアミン(90μL、0.65 mmol)、および1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(55 mg、0.29 mmol)をジメチルホルムアミド(4 mL)に溶解し、混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣へ飽和炭酸水素ナトリウム10 mLを注ぎ、クロロホルム(2 x 10 mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物11-1を、クロロホルムで溶離するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製した後、最後にHClを含有する酢酸エチルでの処理後にHCl塩として単離した(29 mg、0.07 mmol、54%)。
LC/MS ESI: M+H= 391、Rt: 2.89分;

【0189】
実施例12
2-ヒドロキシ-6-[4-メチル-5-(モルホリン-4-カルボニル)-チアゾール-2-イル]-ナフタレン-1-カルボアルデヒド12-1の合成

【0190】
2-ブロモ-4-メチル-チアゾール-5-カルボニルクロリド12a
2-ブロモ-4-メチル-チアゾール-5-カルボン酸(250 mg、1.13 mmol)を塩化チオニル5 mLに溶解させた。1時間還流した後、混合物を蒸発させ、トルエン10 mLに溶解し、再度蒸発させ、2-ブロモ-4-メチル-チアゾール-5-カルボニルクロリド12a(228 mg、0.91 mmol、84%)が得られた。
【0191】
(2-ブロモ-4-メチル-チアゾール-5-イル)-モルホリン-4-イル-メタノン12b
無水ジクロロエタン7 mL中のモルホリン(87 mg、1.0 mmol)およびジイソプロピル-エチル-アミン(184 mg、1.43 mmol)の撹拌混合物に0℃で無水ジクロロエタン7 mL中の2-ブロモ-4-メチル-チアゾール-5-カルボニルクロリド12a(228 mg、0.95 mmol)を滴下した。混合物を室温でさらに2時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム15 mLで抽出し、有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させ、(2-ブロモ-4-メチル-チアゾール-5-イル)-モルホリン-4-イル-メタノン12bが黄色油状物(226 mg、78 mmol、82%)として得られた。
【0192】
2-ヒドロキシ-6-[4-メチル-5-(モルホリン-4-カルボニル)-チアゾール-2-イル]-ナフタレン-1-カルボアルデヒド12-1
(2-ブロモ-4-メチル-チアゾール-5-イル)-モルホリン-4-イル-メタノン12b(226 mg、0.78 mmol)、2-ヒドロキシ-6-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-ナフタレン-1-カルボアルデヒド(12c、WO2008154484)(231 mg、0.78 mmol)、炭酸ナトリウム(660 mg、6.24 mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(27 mg、0.023 mmol)をDMF 18 mLおよび水18 mLの混合物に溶解した。反応混合物をアルゴン下において120℃で1時間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固し、固体残渣をクロロホルムと水とに分配した。水相を酢酸でpH 6へ酸性化した。有機相を分離し、水層を再度クロロホルムで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣を、溶離剤としてクロロホルムを用いてカラムクロマトグラフィーによって精製した。粗生成物をジエチルエーテルで粉砕し、濾別し、風乾し、12-1(116 mg、0.31 mmol、39%)が得られた。
LC/MS ESI: M+H = 383、Rt: 3.47分;

【0193】
上記の手順によって以下の化合物を作製した。




【0194】
実施例13
2-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-4-メチル-チアゾール-5-カルボン酸(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-アミド13-1の合成

【0195】
4-[(2-ブロモ-4-メチル-チアゾール-5-カルボニル)-アミノ]-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル13a
無水ジクロロメタン40 mL中の4-アミノ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(801 mg、4.0 mmol)およびジイソプロピル-エチル-アミン(517 mg、4.0 mmol)の撹拌混合物に0℃で無水ジクロロエタン10 mL中の2-ブロモ-4-メチル-チアゾール-5-カルボニルクロリド12a(960 mg、4.0 mmol)を滴下した。混合物を室温でさらに2時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム50 mLで抽出し、有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させ、13a(1.1 g、2.72 mmol、68%)が得られた。
【0196】
2-ブロモ-4-メチル-チアゾール-5-カルボン酸ピペリジン-4-イルアミド塩酸塩13b
4-[(2-ブロモ-4-メチル-チアゾール-5-カルボニル)-アミノ]-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル13a(660 mg、1.63 mmol)を℃で酢酸エチル(20 mL)中約4M HClに懸濁し、室温へ加温した。3時間撹拌した後、懸濁液を蒸発させ、ジエチルエーテルで濾過し、13b(276 mg、0.81 mmol、50%)が得られた。
【0197】
2-ブロモ-4-メチル-チアゾール-5-カルボン酸(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-アミド13c
メタノール(5 mL)中の2-ブロモ-4-メチル-チアゾール-5-カルボン酸ピペリジン-4-イルアミド塩酸塩13b(457 mg、1.34 mmol)の溶液へ炭酸水素ナトリウム(124 mg、1.48 mmol)、37%ホルムアルデヒド水溶液(1.091 g、13.5 mmol)、およびNaBH3CN(101 mg、1.6 mmol)を添加した。反応液を室温で一晩撹拌した後、蒸発させた。残渣を飽和炭酸水素ナトリウムに懸濁し、酢酸エチルで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣を、溶離剤としてクロロホルム:メタノールを用いてカラムクロマトグラフィーによって精製し、13cが固体(250 mg、0.78 mmol、58%)として得られた。
【0198】
2-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-4-メチル-チアゾール-5-カルボン酸(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-アミド13-1
2-ヒドロキシ-6-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-ナフタレン-1-カルボアルデヒド(12c、149 mg、0.5 mmol)、2-ブロモ-4-メチル-チアゾール-5-カルボン酸(1-メチル-ピペリジン-4-イル)-アミド13c(159 mg、0.5 mmol)、炭酸ナトリウム(318 mg、3 mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(17 mg、0.015 mmol)をDMF 5 mLおよび水5 mLの混合物に溶解した。反応混合物をアルゴン下において100℃で1時間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固し、固体残渣をジクロロメタンと水とに分配した。有機相を分離し、水層を再度クロロホルムで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣を、溶離剤としてクロロホルム:メタノールを用いてカラムクロマトグラフィーによって精製した。粗生成物をジエチルエーテルで粉砕し、濾別し、風乾し、13-1(45 mg、0.11 mmol、22%)が得られた。

【0199】
上記の手順によって以下の化合物を作製した。

【0200】
実施例14
2-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-4-メチル-チアゾール-5-カルボン酸ピペリジン-4-イルアミド塩酸塩14-1の合成

【0201】
4-[(2-ブロモ-4-メチル-チアゾール-5-カルボニル)-アミノ]-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル14a
無水ジクロロメタン40 mL中の4-アミノ-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(801 mg、4.0 mmol)およびジイソプロピル-エチル-アミン(517 mg、4.0 mmol)の撹拌混合物に0℃で無水ジクロロエタン10 mL中の2-ブロモ-4-メチル-チアゾール-5-カルボニルクロリド(実施例「Arev」/工程Aを参照のこと;960 mg、4.0 mmol)を滴下した。混合物を室温でさらに2時間攪拌した。反応混合物を飽和炭酸水素ナトリウム50 mLで抽出し、有機層を分離し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させ、14a(1.1 g、2.72 mmol、68%)が得られた。
【0202】
2-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-4-メチル-チアゾール-5-カルボン酸ピペリジン-4-イルアミド塩酸塩14-1
2-ヒドロキシ-6-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-ナフタレン-1-カルボアルデヒド12c(298 mg、1 mmol)、4-[(2-ブロモ-4-メチル-チアゾール-5-カルボニル)-アミノ]-ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル14a(404 mg、1 mmol)、炭酸ナトリウム(636 mg、6 mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(34 mg、0.03 mmol)をDMF 9 mLおよび水9 mLの混合物に溶解した。反応混合物をアルゴン下において100℃で1時間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固し、固体残渣をクロロホルムとブラインとに分配した。有機相を分離し、水層を再度クロロホルムで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣を、溶離剤としてクロロホルムを用いてカラムクロマトグラフィーによって精製した。粗生成物をジエチルエーテルで粉砕し、濾別し、風乾した。得られた固体をメタノール5 mLに溶解させ、HClを含有する酢酸エチル(2 mL)を0℃で添加し、室温に到達させた。3時間撹拌した後、懸濁液を減圧下で濃縮し、ジエチルエーテルで粉砕し、14-1(163 mg、0.38 mmol、38%)が得られた。
LC/MS ESI: M+H = 396、Rt: 2.80分;

【0203】
上記の手順によって以下の化合物を作製した。



【0204】
実施例15
2-ヒドロキシ-6-(3-モルホリン-4-イル-3-オキソ-プロペニル)-ナフタレン-1-カルボアルデヒド15-3の合成

【0205】
3-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-アクリル酸エチルエステル15-1
ジメチルホルムアミド4 mL中の6-ブロモ-2-ヒドロキシ-ナフタレン-1-カルボアルデヒド1a(1 g、4 mmol)の溶液へアクリル酸エチル(521μL、4.8 mmol)、トリエチルアミン(780μL、5.6 mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(23 mg、0.02 mmol)を添加し、混合物を窒素下において100℃で1時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させた後、残渣を水(500 mL)に懸濁し、ジクロロメタン(2x50 mL)で抽出した。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物を、トルエンで溶離するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、15-1が黄色固体(600 mg、2.22mmol、55%)として得られた。
LC/MS ESI: M+H = 271、Rt: 3.18分;

【0206】
3-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-アクリル酸15-2
3-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-アクリル酸エチルエステル15-1(534 mg;1.97 mmol)をジオキサン25 mLおよび1N水酸化ナトリウム20 mLの混合物に溶解し、50℃へ0.5時間加熱した。反応混合物をクロロホルム30 mLで抽出し、水層を0℃へ冷却し、6N塩酸を滴下した。沈殿した固体を濾過し、蒸留水で洗浄し、15-2(418 mg、1.55 mmol、87%)が得られた。

【0207】
2-ヒドロキシ-6-(3-モルホリン-4-イル-3-オキソ-プロペニル)-ナフタレン-1-カルボアルデヒド15-3
3-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-アクリル酸15-2(73 mg、0.3 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(89mg、0.66 mmol)、モルホリン(58 mg、0.66 mmol)、およびトリエチルアミン(151 mg、1.5 mmol)をTHF 5 mLに溶解した。1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(127 mg、0.66 mmol)を撹拌しながら室温で添加した。2時間後、2N塩酸水溶液5 mLを添加し、混合物をさらに2時間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固し、固体残渣をクロロホルム15 mLと飽和炭酸水素ナトリウム15 mLとに分配した。水相をさらなる15 mLのクロロホルムで抽出し、合わせた有機相をブラインで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾別し、蒸発させた。固体原料を、溶離剤としてクロロホルムを用いてシリカでのクロマトグラフィーによって精製し、15-3(50 mg、0.16 mmol、54%)が得られた。

【0208】
上記の手順によって以下の化合物を作製した。

【0209】
2-ヒドロキシ-6-(3-モルホリン-4-イル-3-オキソ-プロピル)-ナフタレン-1-カルボアルデヒド16-3

3-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-アクリル酸エチルエステル(15-1、570 mg、2.11 mmol)を酢酸エチル10 mLに溶解し、Pd/C(10%)50 mgを添加した。混合物を窒素雰囲気下において室温で72時間攪拌した。触媒を濾別し、濾液を減圧下で蒸発させた。得られた黄褐色油状物を、トルエン:メタノールの98:2混合物で溶離するシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、16-1が固体(212 mg、0.78 mmol、37%)として得られた。
LC/MS ESI: M+H = 273、Rt: 3.72分;

【0210】
3-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-プロピオン酸エチルエステル16-1(158 mg、0.58 mmol)をジオキサン-水酸化ナトリウム(10%)の1:1混合物50 mLへ添加し、室温で30分間撹拌した。ジクロロメタン50 mLを添加し、水層を分離し、ジクロロメタン50 mLで洗浄した。水層を1N塩酸で酸性化し、沈殿物を濾過し、水で3回洗浄した後、赤外線ランプ下において乾燥させ、16-2が固体(94 mg、0.39 mmol、63%)として得られた。
LC/MS ESI: M+H = 245、Rt: 2.28分;

【0211】
3-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-プロピオン酸16-2(150 mg、0.67 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(109 mg、0.8 mmol)、モルホリン(64 mg、0.74 mmol)、トリエチルアミン(270 mg、2.68 mmol)、および1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(153 mg、0.8 mmol)をジメチルホルムアミド(4 mL)に溶解し、混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、1N塩酸30 mLを添加し、懸濁液をクロロホルム(2 x 30 mL)で抽出した後、合わせた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム30 mLで洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、蒸発乾固した。粗生成物を分取HPLCによって精製し、16-3(26 mg、83μmol、14%)が得られた。
LC/MS ESI: M+H = 314、Rt: 2.92分;

【0212】
上記の手順によって以下の化合物を作製した。

【0213】
実施例17
4-クロロ-3-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-安息香酸17-1の合成

【0214】
4-クロロ-3-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-安息香酸17-1
6-ブロモ-2-ヒドロキシ-ナフタレン-1-カルボアルデヒド1a(1.5 g、6.0 mmol)、2-クロロ-5-カルボキシフェニルボロン酸(1.36 g、6.6 mmol)、炭酸ナトリウム(660 mg、36 mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(200 mg、0.17 mmol)をDMF 100 mLおよび水100 mLの混合物に溶解した。反応混合物をアルゴン下において100℃で6時間撹拌した。反応混合物を1N水酸化ナトリウム150 mLで2回抽出した。合わせた水相をクロロホルム50 mLで3回抽出した。水層を分離し、0℃に冷却し、5N塩酸を滴下しながら激しく撹拌した。沈殿した白色固体を濾過し、水およびジエチルエーテルで洗浄した。100 mgの粗生成物を、95:5クロロホルム/メタノールで溶離するシリカでのクロマトグラフィーによって精製し、分析的に純粋な17-1(59 mg、0.18 mmol、44%)が得られた。

【0215】
上記の手順によって以下の化合物を作製した。

【0216】
実施例18
5-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-4-メチル-チオフェン-2-カルボン酸18-1の合成

【0217】
5-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-4-メチル-チオフェン-2-カルボン酸メチルエステル18a
2-ヒドロキシ-6-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-ナフタレン-1-カルボアルデヒド12c(1.20 g、4.0 mmol)、5-ブロモ-4-メチル-チオフェン-2-カルボン酸メチルエステル(1.03 g、4.40 mmol)、炭酸ナトリウム(2.54 g、24.0 mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(138 mg、0.12 mmol)をDMF 100 mLおよび水100 mLの混合物に溶解した。反応混合物をアルゴン下において105℃で3時間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固し、水相を酢酸でpH 6へ酸性化しながら固体残渣をクロロホルムと水とに分配した。有機相を分離し、水層を再度クロロホルムで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。得られた粗生成物18a(900 mg、2.76 mmol、96%)を精製せずに次の工程に使用した。
【0218】
5-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-4-メチル-チオフェン-2-カルボン酸18-1
5-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-4-メチル-チオフェン-2-カルボン酸メチルエステル18a(835 mg;2.56 mmol)をジオキサン30 mLおよび1N水酸化ナトリウム30 mLの混合物に溶解し、50℃で1時間撹拌した。木炭を混合物へ添加し、さらに0.5時間撹拌後、濾過した。反応混合物をクロロホルム30 mLで洗浄し、水層を0℃へ冷却し、6N塩酸を滴下した。沈殿した固体を濾過し、蒸留水で洗浄し、18-1(675 mg、2.16 mmol、84%)が得られた。

【0219】
実施例19
6-[2-クロロ-5-(モルホリン-4-カルボニル)-フェニル]-2-ヒドロキシ-ナフタレン-1-カルボアルデヒド19-1の合成

【0220】
6-[2-クロロ-5-(モルホリン-4-カルボニル)-フェニル]-2-ヒドロキシ-ナフタレン-1-カルボアルデヒド19-1
粗製の5-クロロ-6-(5-ホルミル-6-ヒドロキシ-ナフタレン-2-イル)-ピリジン-2-カルボン酸(実施例「O1」を参照のこと;98 mg、0.3 mmol)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(89mg、0.66 mmol)、2-メトキシ-エチルアミン(57 mg、0.66 mmol)、およびトリエチルアミン(151 mg、1.5 mmol)をTHF 5 mLに溶解した。1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(127 mg、0.66 mmol)を撹拌溶液に室温で添加した。2時間後、2N塩酸水溶液5 mLを添加し、混合物をさらに2時間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固し、固体残渣をクロロホルム15 mLと飽和炭酸水素ナトリウム15 mLとに分配した。水相をさらなる15 mLのクロロホルムで抽出し、合わせた有機相をブラインで抽出し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾別し、蒸発させた。固体原料を2-プロパノールで結晶化させ、19-1(66 mg、0.15 mmol、56%)が得られた。

【0221】
上記の手順によって以下の化合物を作製した。










【0222】
実施例20
2-ヒドロキシ-6-[2-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-チアゾール-5-イル]-ナフタレン-1-カルボアルデヒド20-1の合成

【0223】
2-ヒドロキシ-6-[2-(4-メチル-ピペラジン-1-イル)-チアゾール-5-イル]-ナフタレン-1-カルボアルデヒド20-1
2-ヒドロキシ-6-(4,4,5,5-テトラメチル-[1,3,2]ジオキサボロラン-2-イル)-ナフタレン-1-カルボアルデヒド12c(119 mg、0.40 mmol)、1-(5-ブロモ-チアゾール-2-イル)-4-メチル-ピペラジン(126 mg、0.48 mmol)、炭酸ナトリウム(170 mg、1.60 mmol)、およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(14 mg、0.023 mmol)をDMF 10 mLおよび水5 mLの混合物に溶解した。反応混合物をアルゴン下において120℃で2時間撹拌した。反応混合物を蒸発乾固し、水相を酢酸で中性pHへ酸性化しながら固体残渣をクロロホルムと水とに分配した。有機相を分離し、水層を再度クロロホルムで抽出した。合わせた有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。残渣を、98:2クロロホルム/メタノールで溶離するカラムクロマトグラフィーによって精製した。粗生成物をジエチルエーテルで粉砕し、濾別し、風乾し、20-1(85 mg、0.24 mmol、60%)が得られた。
LC/MS ESI: M+H = 354、Rt: 2.88分;

【0224】
上記の手順によって以下の化合物を作製した。

【0225】
実施例21
IRE-1αアッセイ
500 mlのバキュロウイルス感染昆虫細胞培養物から得たグルタチオンSトランスフェラーゼ(GST)とヒトIRE-1αとを含む融合タンパク質(GST-IRE-1α)を、インビトロでIRE-1α活性を測定するために使用することができる。
【0226】
1×反応緩衝液(5×反応緩衝液は、100 mM Hepes pH 7.5、250 mM KOAc、2.5 mM MgCl2である)、3mM DTT、および0.4%ポリエチレングリコール水を含む反応混合物5μlを、384ウェルプレートの各ウェルへ添加する。1 mM試験化合物溶液25 nlを、試験ウェルへ添加する。128 ng/ml IRE-1α調製物3μlを、各試験ウェルおよび陽性対照ウェルへ添加する(最終濃度5.82 ng/ウェル)。陰性対照ウェルは、反応混合物および試験化合物のみを含有する。
【0227】
1200 rpmで30秒間プレートをスピンした後、5'末端において蛍光色素Cy5でおよび3'末端においてBlack Hole Quencher 2(BH2)で標識された、IRE-1αヒトミニ-XBP-1 mRNAステムループ基質

3μlを、対照プレートの各ウェルへ添加する。プレートを1200 rpmで30秒間再度スピンする。アッセイについての最終濃度は以下である:63 nM IRE-1α基質、5.82 ng IRE-1αタンパク質、および2.5μM試験化合物。
【0228】
プレートを蓋で覆い、30℃で1時間インキュベートする。次いで、プレートをACQUEST(商標)マイクロプレートリーダーへ移す。データを、データ分析ソフトウエアを使用して分析し、IRE-1αのパーセント活性を計算する。
【0229】
実施例22
IRE-1αの阻害についてのIC50の測定
表1中に同定される化合物のIRE-1αの阻害についてのIC50を、実施例21に記載の通りに測定した。
【0230】
実施例23
キナーゼ選択性アッセイ
本発明の化合物を、10μMの濃度で、86個の異なるキナーゼを阻害するそれらの能力についてアッセイする。アッセイの結果によって、これらの化合物はIRE-1αについて選択的であることが実証される。
【0231】
実施例24
細胞ベースのアッセイ
ヒト骨髄腫MM.1s細胞を、2mMジチオトレイトール(DTT)で細胞をストレス負荷にかける前に1.25時間、本発明の化合物と共にインキュベートする。化合物およびDTTと共にさらに45分間(計2時間)後、細胞をTRIZOL(登録商標)(フェノールおよびチオシアン酸グアニジンの単相溶液)で採取し、トータルRNAを、製造業者(Invitrogen)によって指示される通りに調製する。ヒトXBP-1を、IRE-1αによって切除される通常ではない26塩基のイントロンに隣接する下記のプライマーを用いて、RT-PCRによって増幅する:

【0232】
ストレス負荷無し細胞において、IRE-1αは不活性であり、従って、前記26塩基イントロンはXBP-1 mRNA中に残される。その場合、ストレス負荷無し(U)細胞のRT-PCRは上部バンドを生じる。細胞が小胞体(ER)ストレス負荷剤DTTでストレス負荷される(S)と、折り畳み不全タンパク質の蓄積に起因してIRE-1αは活性化され、得られるRT-PCR産物は、26塩基対より短くなる。この化合物の量を増加させることは、下部バンドから上部バンドへのシフトによって実証されるように、IRE-1αによるXBP-1スプライシングを遮断する。化合物効力は、インビトロ酵素アッセイにおいてSARを反映する。
【0233】
IRE-1αインヒビターについての細胞ED50の測定
特異性アッセイに合格する化合物を、骨髄腫細胞における内因性XBP-1スプライシングを使用して、細胞EC50についてアッセイする。XBP-1は、IRE-1αの非常に特異的なエンドリボヌクレアーゼ活性によるXBP-1 mRNAからの26ヌクレオチドイントロンの切除によって調節される。このスプライシング事象は、XBP-1のC末端のORFにおけるフレームシフトを誘導し、不活性33 kD形態ではなくより長い54 kD活性転写因子の翻訳へ至る。このスプライシング事象は、細胞および組織中のXBP-1 mRNAに対するIRE-1α活性を測定するために使用される。
【0234】
簡単に記載すると、化合物を、ERストレス剤(例えば、DTT)の存在または非存在下でインキュベートし、XBP-1u(非スプライシング型)とXBP-1s(スプライシング型)との比率をRT-PCRによって定量する。総XPB-1レベルに対する50%XBP-1sとして、ED50を測定する。10μMに等しいかまたはそれ未満のEC50を有する化合物を、アネキシンV染色およびCASPASE-GLO(登録商標)を含む、標準アポトーシスアッセイにおいて使用する。
【0235】
骨髄腫細胞株(U266、RPMI8226およびMM.1s)を使用しての増殖アッセイを、ED50を測定するために使用する。化合物を、単剤として、および他の化学療法薬と組み合わせて使用する。IRE-1αインヒビター化合物は、RPMI8226骨髄腫細胞の増殖を阻害し、この細胞は、前記経路の内因性活性化を有し、ボルテゾミブの添加によってさらに誘導される。IRE-1αインヒビター化合物をMG-132と組み合わせて使用する場合、増加されたアポトーシスが、U266骨髄腫細胞で観察される。
【0236】
実施例25
動物モデル/前臨床検証研究
前臨床検証戦略に、多発性骨髄腫異種移植片および化学的ストレス下で正常組織を示す動物モデルの1セットを使用する。前記正常動物モデルを、代用モデルとして使用し、ここでは、化合物の用量関連オンターゲット活性を、標準的なUPR誘導剤、例えば、ツニカマイシンに感受性の組織で確認できる(Wu et al., Dev Cell. 2007 Sep;13(1d):351-64)。正常なマウス組織はERストレス下になく、従って、XBP-1 mRNAは、不活性な非スプライシング形態として残っている。ツニカマイシンで誘導すると、組織は活性XBP-1 mRNAスプライシングを誘導し、この活性はIRE-1αインヒビターによって抑制される。このオンターゲットERストレス動物モデルは、有用なスクリーニングおよび初期薬物動態ツールである。
【0237】
抗体産生を第2の代用モデルにおいて評価する。しかし、細胞ベースのモデルにおいて、IRE-1αインヒビターは、抗体産生を強力に阻害することが示された。
【0238】
最後の効力研究を、下記に記載するように、骨髄腫異種移植片モデルにおいて行う。
【0239】
実施例26
RPMI8226異種移植片効力モデル
SCIDマウスを、モデル開発および特性決定の裏付けとして、所望の腫瘍細胞の移植を支持するそれらの能力について評価した。マウスに、静脈内(5)注射するか、または皮下(SC)または腹腔内(IP)移植する。ヒト疾患を模倣する適切な動物モデルを作製するために、当技術分野において周知であるように、3つ全てのアプローチが、改善された移植率および適切な疾患進行について評価されることが望ましい。SC注射は、腫瘍の増殖と効力を測定するのに容易な様式を提供し、IVおよびIP注射は、ヒト腫瘍の広がりのより生理学的に適切なモデルを示す。SC注射は主に側腹部になされ、一方、IV注射は尾静脈に投与される。SCおよびIP注射については手で押さえ、IV注射についてはBroomeマウスレストレーナーを使用する。
【0240】
実施例27
異種移植片効力モデルにおいてのIRE-1αインヒビター化合物の評価
異種移植片モデル開発研究(上記)からの結果に基づいて、SCIDマウスに、IP、IVまたはSC経路を介して腫瘍細胞(ヒトRPMI8226骨髄腫細胞)を移植する。マウスを、4〜5週間までの期間、化合物で処置するかまたはモック処置(ビヒクル)する。化合物は、IV、IP、POまたはSC経路を介して投与することができる。いくつかの場合には、動物においてストレスを刺激するために、ツニカマイシンをIP注射によって投与する。このストレスは、腫瘍増殖時の間に動物が受け得るストレスを模倣する。ツニカマイシン注射は、ストレス時の間の腫瘍増殖を模倣し、化合物の有効性を示すバイオマーカー(例えば、XBP-1スプライシング)を、RT-PCR、免疫組織化学、またはウエスタンブロットによって評価することを可能にする。
【0241】
マウスを、腫瘍増殖、退縮および全体的健康についてモニタリングする。腫瘍を回収し、免疫組織化学および/またはFACS分析によって特性決定する。腫瘍増殖を、カリパス、超音波、または腹部洗浄によって測定する。血液または腫瘍中のバイオマーカーが評価され得る(主に、XBP-1スプライシング)。
【0242】
いくつかの実験において、血液サンプルを投薬の間の種々の時点(即ち、第1日または第4週など)で回収し、薬物動態プロフィールを評価する。血液回収の時点は、試験される薬物の薬物動態特性に応じて異なる。血液サンプルの体積は1時点当たり100マイクロリットルであり、後眼窩洞を介して、薬物投与後24時間期間内に2回、マウスから採血する。同一のマウスを使用する場合、24時間の間に各眼から1回、血液サンプルを回収する。
【0243】
腫瘍細胞を培養し、およそ100μLの体積で21G注射針を使用してマウスにIP、IV(尾静脈)またはSC(側腹部)注射する。4〜5週間までの間、週5日、IV、IP、SCまたはPO経路によって、化合物または対照としてのビヒクルのみで、マウスを処置する。後眼窩出血(100μl)によって2時点で(異なる眼)、血液を回収する。研究の終了点は、マウスの全体的健康に依存し:大抵の研究において、4〜5週の終わりにマウスを安楽死させるが、それらの全体的な健康が許容するならば、少数の研究において第40日までマウスは維持される。40日間研究を維持する理由は、試験化合物が、腫瘍増殖を阻害することに対して長期間効果を有するかどうかを測定することである。腫瘍退縮が観察されるマウスの安楽死は、実験設計に依存する。スクリーニング様式において、対照/未処置群における腫瘍が1.5 cmに達し、潰瘍化される場合か、または運動性の喪失がその群において観察される場合、実験を終了する。追跡実験において、腫瘍退縮が観察されるマウスは、それらが健康障害の腫瘍増殖の徴候を示すまで、より長く維持され得る。
【0244】
ヒト骨髄腫RPMI8226腫瘍異種移植片を有するSCIDマウスに、週2回ボルテゾミブ0.75mg/ kg IVを治療的に投薬することによって、腫瘍増殖が抑制された。しかし、ボルテゾミブ療法を停止した後、腫瘍がしばしば再発し、大きな塊へ増殖した。従って、ボルテゾミブ(記載の通り)と組み合わせて、経口、IPまたはIV投与によって、化合物17-1などのIRE-1α/XBP-1インヒビター10〜60mg/kgで、週2回マウスを処置する。腫瘍再発の発生率を低下させる化合物が同定される。
【0245】
実施例28
併用療法
ホモ二量体としてまたはATF-6とのヘテロ二量体としての、XBP-1のスプライシング形態は、ERストレスに順応することに関与する遺伝子を転写的に調節する(Wu et al., Dev Cell. 2007 Sep;13(1d):351-64)。これらの下流標的の多くは、主要なシャペロン、コシャペロン、およびERのERAD成分である。GRP78およびGRP94などのシャペロンは、およそ数日の半減期を有する安定かつ長寿命のタンパク質である(Wu et al., Dev Cell. 2007 Sep;13(1d):351-64)。従って、IRE-1α/XBP-1インヒビターでの癌の治療は、各サイクルにおいて、5〜6日までの治療を必要とし得る。
【0246】
ある態様において、プロテアソームインヒビターとの併用などのサイクルで与えられる併用療法は、患者をIRE-1α/XBP-1インヒビターで2日間前治療し、次いで、薬力学的効果が達成されるまで(典型的に、ボルテゾミブ注入後24時間)化学治療剤で同時に治療することを含む。ボルテゾミブは、典型的に、3週サイクルで、(21日の)毎1、4、8および11日に投与される。投薬は、IV投与によって1.3mg/m2である。IRE-1α/XBP-1インヒビターは、PK/PD関係に依存して1日に1、2または3回、IVまたは経口経路によって、10〜100 mg/kg、ボルテゾミブの注入の2日前および24時間後に、投与され得る。
【0247】
同様のプロトコルを、Hsp90および/またはHDACインヒビターを用いて使用することができる。または、両方の薬剤が、前記インヒビターのPK/PD関係に応じて、各サイクルの期間中、同時に投与される。IRE-1α/XBP-1インヒビターは、タモキシフェンと組み合わせて乳癌患者へ(Gomez et al., FASEB J. 2007 Dec;21(2):4013-27)、またはソラフィニブ(Sorafinib)と組み合わせて腎臓癌および肝細胞癌を含む種々の他の癌へ(Rahmani et al., Mol Cell Biol. 2007 Aug;27(15):5499-513)、与えることができる。
【0248】
一般的に、多くのキナーゼインヒビターは、しばしば、それらの標的キナーゼに対して選択的ではなく、しばしば、多くのさらなるキナーゼに影響を与えることから、それらは、UPRを活性化し得る非特異的細胞ストレスを生じさせる可能性がある。従って、感作剤としてIRE-1α/XBP-1インヒビターを使用する併用アプローチは有用であり得る。
【0249】
実施例29
化合物No. 12-4はERストレスのモデルにおいてインビボでXPB1スプライシングを阻害する
SCIDマウスをツニカマイシン1mg/kgで腹腔内処置した。2時間後、化合物no. 12-4を、10%ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン(HPBCD)中の100 mg/kg、50 mg/kg、または25 mg/kg(2時間曝露)という3つの用量の1つで経口投与した。ツニカマイシンへの総曝露は4時間とし、化合物12-4への総曝露は2時間とした。図1Aを参照のこと。
【0250】
Trizolを使用して肝臓および腎臓を採取し、トータルRNAを調製した。26-ntイントロンに隣接するマウス特異的XBP1プライマーを使用してRT-PCRを行い、産物を4%アガロースゲルにおいて分離した。結果を図1B(肝臓)および図1Cに示し、ここで、各レーンは個々のマウスを表す(n=4)。XBP-1スプライシングの用量依存阻害は肝臓および腎臓の両方において見ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ以下によって表される式(1a)、式(1b)、式(1c)、もしくは式(1d)からなる群より選択される構造式を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩:

式(1a)中、
R3、R4、およびR8は、独立して、水素、ハロゲン、パーフルオロアルキル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、パーフルオロアルコキシ、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、またはアルコキシルアルキルであり;
R5は、水素またはR7であり;
R6は、水素、ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、またはアルコキシルアルキルであり;
R7は、ハロゲン;-CN;-CONH2;-CON(CH3)2;アルキル;パーフルオロアルキル;アルコキシ;ヒドロキシルアルキル;アルコキシルアルキル;パーフルオロアルコキシル;

;ハロゲン、-CN、アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、

からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいフェニル;ハロゲン、-CN、アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、

からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換された5もしくは6員ヘテロアリール;nが0、1、もしくは2である


であり;
R9は、アルキル;アルコキシルアルキル;パーフルオロアルコキシルアルキル;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ(perfluoroalkyoxy)、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいアリール;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリール;または、nが0、1、2、もしくは3である

であり;かつR10は、水素またはR9であり;あるいは、
R9およびR10は、それらが結合されている窒素原子と一緒に、N、O、およびSより選択される1、2、3、もしくは4個のヘテロ原子を含有しており、R11より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい複素環を形成し;
R11は、水素;アルキル;アリール;N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールがN、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールアルキル;

であり;
R12は、アミノ;アルコキシ;R11より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいアリール;N、O、およびSより選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を有しており、かつR11より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;または、N、O、およびSより選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を有しており、かつR11より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールであり;
R13は、アルキル;アルコキシルアルキル;パーフルオロアルコキシルアルキル;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいアリール;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル(perfluoroalkyoxyl)、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリール;または、nが0、1、2、もしくは3である

であり;かつR14は、水素またはR13であり;あるいは、
R13およびR14は、それらが結合されている窒素と一緒に、N、O、およびSより独立して選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を含有しており、R16より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい複素環を形成し;
R15は、アミノ;アルコキシ;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいアリール;N、O、およびSより選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を有しており、かつハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;または、N、O、およびSより選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を有しており、かつハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールであり;
R16は、水素;アルキル;アリール;N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールがN、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールアルキル;

であり;
R17は、アルキル;アルコキシルアルキル;パーフルオロアルコキシルアルキル;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいアリール;ハロゲン、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリール;または、nが0、1、2、もしくは3である

であり;かつR18は、水素またはR17であり;あるいは、
R17およびR18は、それらが結合されている窒素と一緒に、N、O、およびSより独立して選択される1、2、3、もしくは4個のヘテロ原子を含有しており、R20より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい複素環を形成し;
R19は、アルコキシ;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいアリール;ハロゲン、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;または、ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールであり;
R20は、ハロゲン;パーフルオロアルキル;パーフルオロアルコキシ;-CN;-CONH2;-CON(CH3)2;アルキル;アルコキシ;ヒドロキシルアルキル;アルコキシルアルキル;ならびに、N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を有しており、かつハロゲン、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;または、ハロゲン、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールであり、
但し、R5、R6、R7、およびR8が独立して水素、ハロゲン、-CH3、-OCH3、またはヒドロキシメチルである化合物を除き;
式(1b)中、
R3、R4、R5、およびR8は、水素であり;
R6およびR7は、独立して、

;nが0、1、もしくは2である


であり;
R9は、アルキル;アルコキシルアルキル;パーフルオロアルコキシルアルキル;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいアリール;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリール;または、nが0、1、2、もしくは3である

であり;かつR10は、水素またはR9であり;あるいは、
R9およびR10は、それらが結合されている窒素原子と一緒に、N、O、およびSより選択される1、2、3、もしくは4個のヘテロ原子を含有しており、R11より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい複素環を形成し;
R11は、水素;アルキル;アリール;N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールがN、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールアルキル;

であり;
R12は、アミノ;アルコキシ;R11より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいアリール;N、O、およびSより選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を有しており、かつR11より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;または、N、O、およびSより選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を有しており、かつR11より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールであり;
R13は、アルキル;アルコキシルアルキル;パーフルオロアルコキシルアルキル;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいアリール;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリール;または、nが0、1、2、もしくは3である

であり;かつR14は、水素またはR13であり;あるいは、
R13およびR14は、それらが結合されている窒素と一緒に、N、O、およびSより独立して選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を含有しており、R16より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい複素環を形成し;
R15は、アミノ;アルコキシ;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいアリール;N、O、およびSより選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を有しており、かつハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;または、N、O、およびSより選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を有しており、かつハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールであり;
R16は、水素;アルキル;アリール;N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロアリール;アリールアルキル;ヘテロアリールがN、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有するヘテロアリールアルキル;

であり;
R17は、アルキル;アルコキシルアルキル;パーフルオロアルコキシルアルキル;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいアリール;ハロゲン、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリール;または、nが0、1、2、もしくは3である

であり;かつR18は、水素またはR17であり;あるいは、
R17およびR18は、それらが結合されている窒素と一緒に、N、O、およびSより独立して選択される1、2、3、もしくは4個のヘテロ原子を含有しており、R20より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい複素環を形成し;
R19は、アルコキシ;ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいアリール;ハロゲン、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;または、ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシル、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールであり;
R20は、ハロゲン;パーフルオロアルキル;パーフルオロアルコキシ;-CN;-CONH2;-CON(CH3)2;アルキル;アルコキシ;ヒドロキシルアルキル;アルコキシルアルキル;ならびに、N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を有しており、かつハロゲン、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員複素環;または、ハロゲン、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、およびアルコキシルアルキルからなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールであり、
但し、R5、R6、R7、およびR8が独立して水素、ハロゲン、-CH3、-OCH3、またはヒドロキシメチルである化合物を除き、
R7およびR6が両方ともメトキシであることはできないことを除いて、R9およびR10が式(1a)において定義される通りであり;
式(1c)中、
R3およびR8は、独立して、水素、ハロゲン、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、C2-C6アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、またはアルコキシルアルキルであり;
R4は、水素、-CN、-CONH2、-CON(CH3)2、アルキル、C2-C6アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、またはアルコキシルアルキルであり;
R5、R6、およびR7は、独立して、水素;ハロゲン;-CN;-CONH2;-CON(CH3)2;アルキル;パーフルオロアルキル;C2-C6アルコキシ;ヒドロキシルアルキル;アルコキシルアルキル;パーフルオロアルコキシル;

;ハロゲン、-CN、アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、

からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいフェニル;ハロゲン、-CN、アルキル、パーフルオロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、

、または、nが0、1、もしくは2である

によって一置換、もしくは二置換、もしくは三置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリール;

であり;かつ
R9、R10、R11、およびR12は、式(1a)において定義される通りであり、但し、(1)R3、R4、R5、およびR8の少なくとも1つは水素ではないか;あるいは、(2)R4、R5、R6、R7、およびR8がそれぞれ水素である場合、R3は水素でも、メトキシでも、

でもないかのいずれかであり;かつ
式(1d)中、
R3、R4、およびR8は、独立して、水素;ハロゲン;パーフルオロアルキル;-CN;-CONH2;-CON(CH3)2;パーフルオロアルコキシ;アルキル;アルコキシ;ヒドロキシルアルキル;アルコキシルアルキルであり;
R5、R6、およびR7は、[R5、R6、およびR7]または[R3、R4、R5、R7、およびR8]がいずれも同時に水素であることはないという条件で、独立して、水素;ハロゲン;-CN;-CONH2;-CON(CH3)2;アルキル;パーフルオロアルキル;C2-C6アルコキシ;ヒドロキシルアルキル;アルコキシルアルキル;パーフルオロアルコキシル;

;-CN、パーフルオロアルキル、アルコキシ、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、および

からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよいフェニル;-CN、アルキル、パーフルオロアルキル、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、パーフルオロアルコキシル、

からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換された5もしくは6員ヘテロアリール;nが0、1、もしくは2である


であり;かつ
R9、R10、R11、およびR12は、式(1a)において定義される通りであり、但し、R3、R4、R5、R8、ならびにR6およびR7の一方が水素であって、R6およびR7の他方が

である場合、R12はフェニルではない。
【請求項2】
それぞれ以下によって表される式(2a)、式(2b)、および式(2c)からなる群より選択される構造式を有する化合物、またはその薬学的に許容される塩:

式(2a)中、
R3は、水素;ハロゲン;またはアルキルであり;
R6は、

であり;
Aは、
(a)4、5、もしくは6員飽和シクロアルキル;または
(b)N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有する4、5、もしくは6員飽和複素環
であり;
R11は、式(1a)において上記に定義される通りであり;
式(2b)中、
R3は、水素または-CNであり;
R6は、

であり;
Hetは、N、S、およびOより選択される1、2、もしくは3個のヘテロ原子を含有しておりかつアルキルによって置換されていてもよい5員ヘテロアリールであり、但し、Hetは非置換の

でもなく;
R24は、-OHまたは

であり;
R9およびR10は、独立して、アルキルであり;あるいは、
R9およびR10は、それらが結合されている原子と一緒に、N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有しており、アルキルによって置換されていてもよい4、5、6、もしくは7員ヘテロアリールまたは複素環を形成し;あるいは、
R9は、水素であり、かつR10は、nが0、1、2、もしくは3である

であり;
R25は、C1-C3アルコキシ、あるいは、N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を有しておりかつアルキルによって置換されていてもよい5もしくは6員ヘテロアリールまたは複素環であり、但し、Hetが

である場合、R24は-OHでも、

でもなく;
式(2c)中、
R3は、-OH、-CN、ハロゲン、C1-C6アルキル、

;nが0、1、もしくは2である

であり;
R6は、水素またはハロゲンであり;かつ
R9およびR10は、式(1a)において上記に定義される通りである。
【請求項3】
それぞれ以下によって表される構造式(3a)、(3b)、(3c)、(3d)、(3e)、(3f)、(3g)、もしくは(3h)の化合物、またはその薬学的に許容される塩:

式中、R6は、以下からなる群より選択される:
(3a)

式中、
Hetは、N、S、およびOより選択される1、2、もしくは3個の原子を含有しておりかつアルキルによって置換されていてもよい5員ヘテロアリールであり;
nは、0または1であり;かつ
R9およびR10は、それらが結合されている窒素原子と一緒に、N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有しており、アルキルによって置換されていてもよい4、5、6、もしくは7員複素環を形成する;
(3b)

式中、R9およびR10は、独立して水素であるが同時に水素であることはなく;あるいは、独立してC1-C6直鎖アルキルもしくはC6分枝鎖アルキルである;
(3c)

式中、R9およびR10は、式(1a)において定義される通りであり;R26は、水素または-NH2である;
(3d)ハロゲン、C1-C3アルコキシ、

によって置換されたピリミジン;R9およびR10は、それらが結合されている窒素原子と一緒に、1もしくは2個のヘテロ原子を含有しておりかつアルキルによって置換されていてもよい4、5、6、もしくは7員飽和複素環を形成し;あるいは、R9およびR10は、独立して、アルキルであり;あるいは、R9は、水素であり、かつR10は、nが0、1、2、もしくは3である

であり;かつR12は、アルコキシ、または、O、N、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を有しておりかつアルキルによって置換されていてもよい5もしくは6員飽和複素環である;
(3e)

式中、R27は、-OH、アルコキシ、または

であり;R9およびR10は、独立して、水素、メチル、ベンジル、または

であり;あるいは、R9およびR10は、それらが結合されている窒素と一緒に、N、O、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含有しており、アルキルによって置換されていてもよい6員複素環を形成する;
(3f)

式中、R30は、水素またはハロゲンであり;R28およびR29の一方は、水素であり、他方は、

であり;R31は、-OHまたは

であり;R9およびR10は、独立して、水素、メチル、ベンジル、または

であり;あるいは、R9およびR10は、それらが結合されている窒素と一緒に、C1-C3アルキルによって置換されていてもよい6員飽和複素環を形成し、但し、(1)R30およびR28が両方とも水素であることはないか;あるいは、(2)R30およびR29が両方とも水素であることはないかのいずれかであり;
(3g)

式中、R32は、アルコキシ、-OH、または

であり;R12は、水素であり、かつR11は、C1-C3アルコキシによって置換されていてもよいベンジル;シクロヘキサン;O、N、およびSより選択される1もしくは2個のヘテロ原子を有する6員飽和複素環;または、1-メチル-ピペラジンもしくはジメチル-ピペラジンによって置換されていてもよいフェニルであり;あるいは、R11およびR12は、それらが結合されている窒素原子と一緒に、N、O、およびSより選択される2個のヘテロ原子を含有しており、C1-C3アルキルもしくはフェニルによって置換されていてもよい6員複素環を形成し;かつnは、1、2、または3である;ならびに
(3h)

式中、R33は、C2-C6アルキル;C2-C6アルコキシルアルキル;C2-C6パーフルオロアルコキシルアルキル;アリール;炭素を通じて結合する5もしくは6員複素環;または炭素を通じて結合する5もしくは6員ヘテロアリールであり、C2-C6アルキル、C2-C6アルコキシルアルキル、C2-C6パーフルオロアルコキシルアルキル、アリール、5もしくは6員複素環、または5もしくは6員ヘテロアリールのいずれかは、ハロゲン、パーフルオロアルキル、パーフルオロアルコキシ、-CN、アルキル、アルコキシ、ヒドロキシルアルキル、アルコキシルアルキル、および

;nが0、1、もしくは2である


からなる群より独立して選択される1、2、もしくは3個の置換基によって置換されていてもよく;R9およびR10は、式(1a)において定義される通りである。
【請求項4】
構造式(4)の化合物、またはその薬学的に許容される塩:

式中、R5は、

であり;かつR9およびR10は、式(1a)において定義される通りである。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物または薬学的に許容される塩と、
薬学的に許容されるビヒクルと
を含む、薬学的組成物。
【請求項6】
IRE-1αと請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物または薬学的に許容される塩とを接触させることによりIRE-1αを阻害する段階を含む、IRE-1αを阻害する方法。
【請求項7】
請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物または薬学的に許容される塩の有効量をその必要がある患者へ投与する段階を含む、小胞体ストレス応答(unfolded protein response)に関連する疾患を治療する方法。
【請求項8】
小胞体ストレス応答に関連する疾患を治療するための医薬の製造における、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物または薬学的に許容される塩の使用。
【請求項9】
小胞体ストレス応答に関連する疾患の治療に使用するための、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物または薬学的に許容される塩。

【図1】
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【公表番号】特表2013−510156(P2013−510156A)
【公表日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537926(P2012−537926)
【出願日】平成22年11月1日(2010.11.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/054940
【国際公開番号】WO2011/056744
【国際公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【出願人】(507302829)マンカインド コーポレ−ション (16)
【Fターム(参考)】