説明

ISO規格に準拠する40フィートコンテナ

【課題】貨物の搬入搬出の際の作業性を高く保ちながらISO規格で規定されている強度条件を満足させること。
【解決手段】貨物が積載される貨物室2と、開閉自在に扉3が取り付けられる開口部とを有するコンテナ1において、開口部は、少なくとも、貨物室2の長手方向の側面に設けられ、開口部の貨物室2の長手方向の長さは、貨物室2の長手方向の長さの60%から95%の長さであるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ISO(International Organization for Standardization)規格に準拠する40フィートコンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
ISO規格に準拠するコンテナは、ISO規格で規定された所定の外形寸法、所定の積載総質量、および所定の強度条件などを満足するものである。これにより、海上輸送または陸上輸送に際し、同形状の多数のコンテナを積み重ねることができるなど、効率の良いコンテナの輸送を実現し、また、所定の強度を有することで貨物の保全および貨物を運搬する船舶または車両の安全の確保が図られている。
【0003】
一方、ISO規格に準拠するコンテナとは別に、たとえば特許文献1に見られるように、貨物の搬入搬出の際の作業性を重視し、扉を、コンテナの長手方向からみて側面に有するものがある。これによれば、所定の貨物を搬入搬出したいときには、その貨物の直近の扉を開き、その貨物だけ、あるいはその貨物の周辺にある少数の貨物だけを搬入搬出することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】EP1136291A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ISO規格に準拠するコンテナでは、貨物の搬入搬出に用いる扉が長手方向からみて後部にある。この場合、ISO規格に準拠するコンテナの最奥部(最前部)にある貨物だけを搬出しようとしても困難であり、最奥部にある貨物の前にあるほとんど全ての貨物を搬出しなければ、所望の貨物を搬出できない。また、本来は最奥部(最前部)に積載されるべき貨物を積み忘れた場合には、他の貨物が積載を完了している場合、それを最奥部に後から積載することは困難である。しかしながらISO規格に準拠するコンテナでは、後部の扉以外は、全て壁面のパネル部材で構成されているため、ISO規格で規定されている所定の強度条件を容易に満足させることができる。
【0006】
これに対し、特許文献1のコンテナは、貨物の搬入搬出の際の作業性は高いが、扉を取り付けるための開口部が大きく、ISO規格で規定されたコンテナと比較すると強度は低く、ISO規格を満たすことができない可能性がある。
【0007】
このように、コンテナにおける貨物の搬入搬出の際の作業性の良さと強度とは互いにトレードオフの関係にある。
【0008】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、貨物の搬入搬出の際の作業性を良く保ちながらISO規格で規定されている強度条件を満足させることができるISO規格に準拠する40フィートコンテナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のISO規格に準拠する40フィートコンテナは、貨物が積載される貨物室と、開閉自在に扉が取り付けられる開口部とを有するISO規格に準拠する40フィートコンテナにおいて、開口部は、少なくとも、貨物室の長手方向の側面に設けられ、開口部の貨物室の長手方向の長さは、貨物室の長手方向の長さの60%から95%の長さであるものである。さらに好ましくは、開口部の幅は、長手方向の全長に対し、75%から90%の長さであるようにすることがよい。
【0010】
また、貨物室の幅である短手方向の長さは、JIS(Japanese Industrial Standard) Z0105規格による縦横共に1100ミリメートルの長さである一貫輸送用平パレットが少なくとも2列搭載可能な寸法であり、貨物室の全長である長手方向の長さは、一貫輸送用平パレットが少なくとも10列搭載可能な寸法であることが好ましい。
【0011】
さらに、扉は、観音開きとなる第一、第二の扉によって構成され、第一、第二の扉は、それぞれ複数段に折り畳み可能であるようにすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、貨物の搬入搬出の際の作業性を良く保ちながらISO規格で規定されている強度条件を満足させることができるISO規格に準拠する40フィートコンテナ(以下では、単に、コンテナと称する)を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態のコンテナとこれを運搬する車両とを示す図である。
【図2】図1のコンテナを側面からみた図である。
【図3】図2のコンテナを上面からみた図である。
【図4】コンテナの扉を取り外した開口部を示す図である。
【図5】扉を取り外した状態のコンテナの斜視図である。
【図6】図3のコンテナの扉を開いた状態を示す図である。
【図7】図2のコンテナに貨物(パレット)が積載された状態を示す図である。
【図8】図7のコンテナの貨物(パレット)の搬入搬出の様子を示す図である。
【図9】図5のコンテナの壁面(開口率85%)の裏に置かれた貨物(パレット)の搬入搬出の様子を示す図である。
【図10】図5のコンテナの壁面(開口率75%)の裏に置かれた貨物(パレット)の搬入搬出の様子を示す図である。
【図11】図5のコンテナの壁面(開口率60%)の裏に置かれた貨物(パレット)の搬入搬出の様子を示す図である。
【図12】コンテナの各フレームおよび各ピラーの構成を示す図である。
【図13】コンテナに取り付ける三角補強部材を示す図である。
【図14】コンテナに積載重量をかけた場合のロアサイドフレームの変位の状態を示す図である。
【図15】2つのコンテナが縦方向に積み重ねられる積載形態における2つのコンテナの間隔を示す図である。
【図16】コンテナの開口寸法とロアサイドフレームの変位との関係を開口率の変化に対応させて示す図である。
【図17】比較例としての後部に扉を有するコンテナに貨物(パレット)が積載されている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(コンテナ1の構成について)
コンテナ1の構成について、図1、図2、および図3を参照して説明する。図1は、コンテナ1とこれを運搬する車両10とを示す図である。図2は、コンテナ1を側面からみた図である。図3は、コンテナ1を上面からみた図である。なお、以下では、図3のような上面図では、扉3,3Bの状態を分かり易くするために天井パネルおよび隅金具5の図示を省略した状態が示されている。
【0015】
本発明の実施の形態のコンテナ1は、たとえば、図1に示すように車両10、または不図示の船舶に搭載されて運搬される。ここでは、いわゆるISO規格に準拠する40ft(フィート)コンテナについて説明する。ISO規格に準拠する40ftコンテナは、外形寸法が高さ9ft6in(インチ)(2896mm(ミリメートル))×幅8ft(2438mm)×長さ40ft(12192mm)であり、最大総質量が30480kg(キログラム)である。なお、隅金具5は、コンテナ1を構成する各フレームおよび各ピラーを溶接により相互に連結するためのものであり、貨物室2の全長、全幅、全高よりも僅かに出っ張っている。よって、後述する開口率を計算するためのコンテナ1の全長は、隅金具5の出っ張り分を含まなくてよい。よって、以下では、開口率を計算する際には、コンテナ1の全長(後述するL1)として12000mmを採用する。
【0016】
コンテナ1は、図1〜図3に示すように、直方体の貨物室2を有し、その長手方向の側壁面に扉3を有し、その長手方向の側壁面と直交する短手方向の2つの側壁面の一方の側壁面(以下、後部と称する)に扉3Bを有する。また、扉3は、小扉3R-1,3R−2,3L−1,3L−2から構成される。また、小扉3R−2,3L−2、および扉3Bは、蝶番4によって、コンテナ1の本体に開閉自在に取り付けられている。さらに、小扉3R−1と小扉3R−2、および小扉3L−1と小扉3L−2は、それぞれ蝶番4によって回動自在に連結されている。また、貨物室2の角には隅金具5が配設されている。
【0017】
(コンテナ1の開口部30,30Bについて)
図4は、コンテナ1の扉3,3Bを取り外した開口部30,30Bを示す図である。図5は、扉3,3Bを取り外した状態のコンテナ1の斜視図である。このように扉3,3Bは、開口部30,30Bに取り付けられている。
【0018】
コンテナ1は、図4および図5に示すように、扉3,3Bを取り付けるための開口部30,30Bを有する。図4の上段の図は、貨物室2に扉3,3Bを有するコンテナ1であり、図4の下段の図は、扉3,3Bを取り外した開口部30,30Bを示している。なお、扉3を開放した状態で現れる開口部30の長さL2のコンテナ1の全長L1に対する割合〔(L2/L1)×100〕(%)を開口率と称することとする。
【0019】
また、開口部30の長手方向の両脇には壁面7F,7Rのパネル部材が配設されている。コンテナ1の前部には、扉が無いため、扉3Bの開口部30Bを有する後部よりも強度を確保できる。したがって、壁面7Fの面積は、壁面7Rの面積よりも小さくしてもよい。しかしながら、コンテナ1の部品点数を少なくするためには、壁面7F,7Rで同じパネル部材を使用することが好ましい。よって、ここでは、壁面7F,7Rの面積は左右均等にしてある。
【0020】
(コンテナ1の扉3,3Bの開閉について)
コンテナ1の扉3,3Bの開閉機構について、図6を参照して説明する。図6は、コンテナ1の扉を開いた状態を示す図である。コンテナ1の扉3,3Bは、図6に示すように、蝶番4によって開閉し、さらに小扉3R-1,3R−2,3L−1,3L−2が蝶番4によって折り畳まれる構造である。なお、図6では、小扉3L−2については開かれていない状態を示している。
【0021】
(コンテナ1の貨物の搬入搬出について)
コンテナ1の貨物の搬入搬出について、図7および図8を参照して説明する。図7は、コンテナ1に貨物(パレット6)が積載された状態を示す図である。図8は、コンテナ1の貨物(パレット6)の搬入搬出の様子を示す図である。
【0022】
コンテナ1は、図7に示すように、たとえばパレット6などの貨物を積載することができる。なお、パレット6は、JIS Z0105規格に準拠する一貫輸送用平パレットを想定しており、その寸法は、縦1100mm×横1100mm×高さ144mmである。これによりコンテナ1には、最大で10個×2列の20個のパレット6を積載することができる。
【0023】
コンテナ1へのパレット6などの搬入搬出は、側面の扉3および後部の扉3Bの双方から行うことができる。コンテナ1に積載されていたパレット6は、図8に示すように、たとえば小扉3R−1,3R−2,3L−1,3L−2(図8では閉じた状態を図示している)が開かれることにより、コンテナ1の側面から搬入搬出が可能になる。また、扉3Bが開かれることにより、コンテナ1の後部からも搬入搬出が可能になる。
【0024】
(側壁面の開口率とパレット6の搬入搬出のやりやすさについて)
コンテナ1の前部におけるパレット6の搬入搬出について、図9、図10、および図11を参照して説明する。図9〜図11には、長手方向の側壁面の開口率が異なるコンテナ1の前部を模式的に示している。図9では、開口率が85%、図10では、75%、そして図11では、開口率60%となっている。なお、開口率は、コンテナ1の全長(図4のL1)を12000mmとして計算している。
【0025】
コンテナ1の前部の奥にあるパレット6(図中点線で示されているパレット6)を搬出する場合、壁面7Fを超えて開口部2のところまで引き出す必要がある。また搬入する場合、開口部2から前部の奥に押し込む必要がある。図9の例は、開口率は85%であり、壁面7F,7Rの各面積を均等にしているので、壁面7Fの長さは、900mmである。パレット6の長さが1100mmであることから、パレット6の長さの約900mm程度が壁面7Fに隠れるので、パレット6を900mm程度水平移動させることにより、コンテナ1の側面からの搬入搬出が可能になる。
【0026】
これに対して、図10の例では、開口率が75%であり、壁面7F,7Rの各面積を均等にしているので、壁面7Fの長さは、1500mmである。パレット6の長さが1100mmであることから、パレット6の1個分が壁面7Fに隠れるので、パレット6をその1個分の長さ程度水平移動させることにより、側面からの搬入搬出が可能になる。また、図11の例では、開口率が60%であり、壁面7F,7Rの各面積を均等にしているので、壁面7Fの長さは、2400mmである。パレット6の長さが1100mmであることから、パレット6の2個分が壁面7Fに隠れるので、パレット6をその2個分の長さ程度水平移動させることにより、コンテナ1の側面からの搬入搬出が可能になる。
【0027】
図9、図10、図11の各例において、パレット6の搬入搬出の際の作業性を比較すると、図9(開口率85%)および図10(開口率75%)では、パレット6の1個分の長さ程度をコンテナ1内で水平方向に移動させる作業を要する。これに対し、図11(開口率60%)では、パレット6の2個分の長さ程度をコンテナ1内で水平方向に移動させる作業を要する。これにより、作業性の観点から見た場合、開口率は大きい方が好ましいことがわかる。特に、開口率が75%を下回ると、搬入搬出の際のパレット6の移動距離がパレット6の1個分を超えるので、開口率は75%以上とすることが好ましい。また、開口率が60%を下回ると、搬入搬出の際のパレット6の移動距離がさらにパレット6の2個分を超えることになり、作業性が著しく低下するので、開口率の下限については60%とすることが適当である。
【0028】
(コンテナ1の各フレームおよび各ピラーの構成について)
コンテナ1の各フレームおよび各ピラーの構成について、図12を参照して説明する。図12は、コンテナ1の各フレームおよび各ピラーの構成を示す図である。
【0029】
コンテナ1は、図12に示すように、ロアサイドフレーム50、アッパーサイドフレーム51、リアサイドピラー52、およびフロントサイドピラー53を有して構成される。これらの各部材は、その端部が隅金具5に溶接されることにより結合されている。
【0030】
(コンテナ1の強度の評価について)
コンテナ1の強度の評価について、図12、図13、および図14を参照して説明する。図12は、前述したように、コンテナ1の各フレームおよび各ピラーの構成を示す図である。図13は、コンテナ1に取り付ける三角補強部材60を示す図である。図14は、コンテナ1に積載重量をかけた場合のロアサイドフレーム50の変位の状態を示す図である。
【0031】
比較対象として、側面には扉を有さず、後部のみに扉を有する、従来から広く知られているISO規格に準拠する40フィートコンテナ(以下では、従来型コンテナと称する)を用い、コンテナ1の強度と比較することによって、コンテナ1の強度の評価を行った。すなわち、コンテナ1と従来型コンテナに対し、それぞれに同じ力を加え、その変位の差異を測定することにより評価を行った。なお、従来型コンテナの各フレームおよび各ピラーの構成は、基本的にはコンテナ1と同じであるので、便宜上、コンテナ1と同じ符号を用いて説明する。
【0032】
強度の評価は、コンテナ1および従来型コンテナの床を支えるロアサイドフレーム50の変位、コンテナ1および従来型コンテナの天井を支えるアッパーサイドフレーム51の変位、隅金具5の変位、および扉3(これは従来型コンテナは有さない),3Bの開口部30(これは従来型コンテナは有さない),30Bに隣接するリアサイドピラー52の変位のそれぞれについて評価する。なお、コンテナ1のフロントサイドピラー53は、前面のパネル部材(不図示)と結合された構造で強度性能を確保するため、フロントサイドピラー53の変位については、必ずリアサイドピラー52の変位量を下回る。このためフロントサイドピラー53は、強度の評価の対象から外すことにする。
【0033】
ロアサイドフレーム50の変位については、コンテナ1および従来型コンテナに重量物を積載し、その変位を測定した。
【0034】
隅金具5およびアッパーサイドフレーム51の変位については、コンテナ1および従来型コンテナの上部にコンテナ形状の重量物を積み重ね、その変位を測定した。
【0035】
さらに、隅金具5およびリアサイドピラー52の変位については、長手方向および長手方向に直交する短手方向からそれぞれ力を加え、その変位を測定した。
【0036】
このようにして行ったコンテナ1の強度の評価によれば、隅金具5およびリアサイドピラー52の短手方向からの力による変位については、後枠コーナー上部に応力が集中するので、ここに、図13に示すように、三角補強部材60を入れることにより、従来型コンテナと同等の変位量とすることができた。また、隅金具5およびリアサイドピラー52の長手方向からの力による変位については、従来型コンテナと同等の変位量であった。また、アッパーサイドフレーム51の変位については、従来型コンテナと同等の変位量であった。
【0037】
また、コンテナ1のロアサイドフレーム50の変位については、従来型コンテナは有さない開口部30の大きさに依存して変位量が変化することがわかった。このとき、ロアサイドフレーム50の変位量は、所定の開口率では、ISO規格に規定されている変化量を超えることもわかった。すなわち、図14に示すように、アッパーサイドフレーム51とロアサイドフレーム50との間には、これらを連結する壁面7F,7Rのパネル部材が介在する。したがって、壁面7F,7Rによって、ロアサイドフレーム50にかかる荷重の一部をアッパーサイドフレーム51が負担することが可能になる。このため、開口部30の大きさによって、壁面7F,7Rの面積が変化し、これによりロアサイドフレーム50の変位量も変化することがわかった。
【0038】
(ロアサイドフレーム50の変位量の許容範囲について)
ロアサイドフレーム50の変位量の許容範囲について、図15を参照して説明する。図15は、2つのコンテナ1−1,1−2が縦方向に積み重ねられる積載形態における2つのコンテナ1−1,1−2の間隔を示す図である。
【0039】
図15に示すような積載形態は、コンテナ1が海上輸送させる際などに、一般的に採られる積載形態である。コンテナ1-1,1-2は、それぞれの隅金具5-1,5-2がツイストロックと呼ばれる固定装置によって、連結されることにより、輸送中に揺れなどがあっても、図15に示す積載形態を保つことができる。このときコンテナ1−1とコンテナ1−2との間隔は、約12.5mmである。ここで、ISO規格の規定では、コンテナ1−1は、最大積載量であっても他のコンテナ1−2と干渉してはならない。したがって、ロアサイドフレーム50に許容される変位量は、12.5mm未満でなければならない。
【0040】
(開口率とロアサイドフレーム50の変位量との関係について)
コンテナ1の開口部30の開口率とロアサイドフレーム50の変位量との関係についての実施例を図16に示す。図16は、コンテナ1の開口寸法(開口部30の長手方向の長さ)とロアサイドフレーム50の変位との関係を開口率の変化に対応させて示す図である。
【0041】
実施例に用いたロアサイドフレーム50は、高さ200mm×幅100mmで厚さが6mm、アッパーサイドフレーム51は、高さ100mm×幅150mmで厚さが6mm、リアサイドピラー52は、高さ150mm×幅150mmで厚さが9mm、フロントサイドピラー53は、高さ90mm×幅173mmで厚さ6mmである。これらの材質は、全て一般構造用圧延鋼材(JIS G3101:種類の記号は、SS400)である。また、コンテナ1の内形寸法は、全長12030mm×幅2250mm×高さ2400mmである。なお、コンテナ1の外形寸法は、ISO規格に準拠したものであるが、全長を12000mmとして開口率を計算した。また、壁面7F,7Rの面積については均等とした。また、コンテナ1の積載量は15トンとした。なお、このときのコンテナ1の総質量は、ISO規格の40フィートコンテナで規定されている最大総質量の30480kgを下回るものである。
【0042】
これによれば、図16に示すように、開口率75%では、変位量が5.7mmであり、開口率80%では、変位量が7.0mmであり、開口率83%では、変位量が7.9mmであり、開口率88%では、変位量が9.1mmであり、開口率93%では、変位量が11.0mmであり、開口率95%では、変位量は12.4mmであり、開口率98%では、変位量は12.6mmであった。なお、開口率98%の場合、壁面7F,7Rの面積はゼロ(すなわち壁面7F,7Rは無し)である。
【0043】
これにより、ロアサイドフレーム50の変位量の許容範囲の上限は12.5mm未満であるので、開口率95%までは、ロアサイドフレーム50の変位量の許容範囲内であることがわかる。したがって、開口率の上限は、95%である。しかしながら、コンテナ1の実際の使用状況に鑑み、コンテナ1の輸送中の振動などを考慮して12.5mmから一定の安全マージンとして2.5mm(12.5mmの20%)を差し引くと10.0mmである。この結果から開口率90%までは、コンテナ1の実際の使用状況を鑑みてもロアサイドフレーム50の変位量の許容範囲を逸脱しないとしてよい。また、開口率75%未満では、前述したように、パレット6の搬入搬出の作業性が低下する。このことから、開口率は、75%から90%とすることが適当である。また、開口率60%未満では、前述したように、パレット1の搬入搬出の作業性が著しく低下することから、開口率の下限は60%とすることが適当である。したがって、開口率の取り得る最大の範囲は、60%から95%である。
【0044】
(効果について)
比較例として、図17に、扉100が後部にあるISO規格に準拠するコンテナ101を示す。ISO規格に準拠するコンテナ101では、ハッチングを施したパレット6を搬出する場合、その他のパレット6がほとんど全て搬出された後でないと搬出できない。
【0045】
これ対し、側面に扉3を有するコンテナ1によれば、搬出したい貨物を容易に搬出することができる。また、コンテナ1へのパレット6などの搬入は、側面の扉3から積み込むことができるため、任意の積載箇所に任意の貨物を容易に積み込むことができる。しかも開口部30の幅をISO規格に準拠するコンテナ1の長手方向の全長に対し、60%から95%、好ましくは75%から90%の長さとすることができるので、側面に大きな扉3を有することができる。特に、開口率を75%から90%とすることにより、壁面7Fの裏面にあるパレット6についてもパレット6の1個分程度の移動距離により、搬入搬出が可能になると共に、ISO規格の規定からみて充分に余裕のある強度を保つことができる。
【0046】
これにより、コンテナ101と同数のパレット6が積載可能であると共に、少量かつ多品種の部品などを複数のパレット6に分けて積載し、これを予め決められた位置に、自由に積載することができる。たとえば、ある部品をコンテナ1に積載し忘れたような場合でも、所定の側面の扉3を開くことにより、後からコンテナ1の所定の位置にその部品だけを追加して積載することができる。これはコンテナ1から貨物を降す場合でも同じであり、ある部品をコンテナ1から降し忘れたような場合でも、所定の側面の扉3を開くことにより、後からコンテナ1の所定の位置からその部品だけを降すことができる。また、扉3が小扉3L-1,3L−2,3R−1,3R−2に分かれて折畳み可能であるため、扉3を開くために要するコンテナ1の周囲の空間を小さくすることができる。
【0047】
(その他の実施の形態について)
本発明の実施の形態は、その要旨を逸脱しない限り様々に変更が可能である。たとえばコンテナ1の各フレームおよび各ピラーの材質自体を、さらに強固な材質に変更することによって、上述した開口率についてはさらに大きな値とすることができる。たとえば、材質をチタン合金のようなものにすることにより、開口率についてはさらに大きな値とすることができる。
【0048】
上述の実施の形態では、コンテナ1の積載貨物としてパレット1を例示したが、積載貨物はどのようなものであってもよい。たとえばパレット1を用いずに、直接、貨物をコンテナ1に積載してもよいし、パレット1に積載された貨物とパレット1を用いずに積載された貨物とが混載されてもよい。あるいは、上述の実施の形態では、コンテナ1の高さ方向の利用形態については詳しく述べていないが、コンテナ1の高さが許すのであれば、パレット1などの貨物を複数段に積み重ねて積載してもよい。
【0049】
また、上述の実施の形態では、コンテナ1の部品点数を少なくするため、壁面7F,7Rの面積は左右均等にしたが、壁面7Fの面積は、壁面7Rの面積よりも小さくしてもよい。これによれば、開口率を75%未満としてもパレット6を搬入搬出する際の作業性の低下を招かないようにできる。
【符号の説明】
【0050】
1…コンテナ、2…貨物室、3,3B…扉、小扉…3R-1,3R−2,3L−1,3L−2、6…パレット(JIS Z0105の一貫輸送用平パレット)、30…開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貨物が積載される貨物室と、開閉自在に扉が取り付けられる開口部とを有するISO規格に準拠する40フィートコンテナにおいて、
前記開口部は、少なくとも、貨物室の長手方向の側面に設けられ、
前記開口部の貨物室の長手方向の長さは、貨物室の長手方向の長さの60%から95%の長さである、
ことを特徴とするISO規格に準拠する40フィートコンテナ。
【請求項2】
請求項1記載のISO規格に準拠する40フィートコンテナであって、
前記開口部の幅は、長手方向の全長に対し、75%から90%の長さである、
ことを特徴とするISO規格に準拠する40フィートコンテナ。
【請求項3】
請求項1または2記載のISO規格に準拠する40フィートコンテナであって、
前記貨物室の幅である短手方向の長さは、JIS Z0105規格による縦横共に1100ミリメートルの長さである一貫輸送用平パレットが少なくとも2列搭載可能な寸法であり、前記貨物室の全長である長手方向の長さは、前記一貫輸送用平パレットが少なくとも10列搭載可能な寸法である、
ことを特徴とするISO規格に準拠する40フィートコンテナ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項記載のISO規格に準拠する40フィートコンテナであって、
前記扉は、観音開きとなる第一、第二の扉によって構成され、
前記第一、第二の扉は、それぞれ複数段に折り畳み可能である、
ことを特徴とするISO規格に準拠する40フィートコンテナ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図5】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−201374(P2012−201374A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64906(P2011−64906)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【出願人】(501461852)岡本物流株式会社 (2)
【Fターム(参考)】