説明

ITPKb阻害剤としての化合物および組成物

本発明は、式(I)


の新規クラスの化合物、かかる化合物を含む医薬組成物および異常または無調節なB細胞活性に関連した疾患または障害、特にイノシトール1,4,5−トリホスフェート3−キナーゼB(ITPKb)の異常な活性化が関与する疾患または障害を処置または予防するためにかかる化合物を用いる方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は2007年6月15日に出願した米国仮出願第60/944,354の利益を主張し、これをその全体において参照により本明細書に引用する。
【0002】
発明の分野
本発明は、新規クラスの化合物、かかる化合物を含む医薬組成物および異常なまたは無制御のB細胞活性に関連した疾患または障害、特にイノシトール1,4,5−トリホスフェート3−キナーゼB(ITPKb)の異常な活性化が関与する疾患または障害を処置または予防するためにかかる化合物を用いる方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
背景
プロテインキナーゼは広範な細胞プロセスの制御および細胞機能の制御の維持に中心的な役割を有する大きなタンパク質群である。これらのキナーゼの部分的な、非限定的な例は:非タンパク質基質キナーゼ、例えばIPTKb;受容体チロシンキナーゼ、例えば血小板由来増殖因子受容体キナーゼ(PDGF−R)、神経増殖因子受容体、trkB、Metおよび繊維芽細胞増殖因子受容体、FGFR3;非受容体チロシンキナーゼ、例えばAblおよび融合キナーゼキナーゼBCR−Abl、Lck、Csk、Fes、Bmxおよびc−src;ならびにセリン/スレオニンキナーゼ、例えばb−RAF、c−RAF、sgk、MAPキナーゼ(例えばMKK4、MKK6等)およびSAPK2α、SAPK2βおよびSAPK3を含む。異常なキナーゼ活性は、良性および悪性増殖性疾患ならびに免疫系および神経系の不適切な活性化に由来する疾患を含む多様な疾患状態において観察される。
【0004】
本発明の新規な化合物はITPKbの活性を阻害し、従ってITPKb関連疾患の処置に有用であると予期される。
【発明の概要】
【0005】
発明の概要
1つの局面において、本発明は、式(I)
【化1】

〔式中、
nは0、1、2および3から選択され;
mは0、1、2および3から選択され;
Aは−N=で置き換えられた−CR=、−CR=および−CR=から選択される3個までの基を有していてもよく;
、RおよびRは水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1−6アルキル、ハロ−置換C1−6アルキル、ヒドロキシ−置換C1−6アルキルおよびシアノ−置換C1−6アルキルから独立して選択され;
とRは、RとRが結合している炭素原子と一体となって、O、C(O)、S(O)、CR1112およびNHから選択される4個までの基を含む環Aと縮合した5〜6員ヘテロ環を形成し;ここでR11およびR12はそれぞれ、水素、C1−3アルキルおよびハロ−置換C1−3アルキルから独立して選択されるか;あるいはR11とR12はそれらが共に結合している炭素と一体となって、C3−7シクロアルキルを形成し;
およびRは水素、C1−3アルキルおよびハロ−置換C1−3アルキルから独立して選択されるか;あるいはRとRはそれらが共に結合している炭素と一体となって、C3−7シクロアルキルを形成し;
はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、ハロ−置換C1−6アルキルおよびヒドロキシ−置換C1−6アルキルから選択されるか;あるいは2個のR基が一体となって、アルキル架橋を形成してもよく;あるいは2個のR基が同じ炭素原子に結合しているとき、それらはそれらが共に結合している炭素と一体となって、C3−7シクロアルキルを形成し;
はL−C6−10アリール、L−C1−10ヘテロアリール、C1−6アルキル、L−C3−12シクロアルキルおよびL−C3−8ヘテロシクロアルキルから選択され;ここでRのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、所望によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、ハロ−置換C1−3アルキル、シアノ−置換C1−3アルキル、ヒドロキシ−置換C1−3アルキル、−C(O)R13、−C(O)NR1314から独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよく;ここでR13およびR14はそれぞれ水素およびC1−6アルキルから独立して選択され;
は結合、C1−3アルキルまたはハロ−置換C1−3アルキルであり;
YはNまたはCR10であり;
10は水素、C1−6アルキル、−NR1516、−NR15C(O)R16および−C(O)NR1516から選択され;ここでR15およびR16はそれぞれ、水素、C1−6アルキル、C6−10アリール、C1−10ヘテロアリール、C3−12シクロアルキルおよびC3−8ヘテロシクロアルキルから独立して選択され;ここで該アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは所望により、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1−6アルキル、ハロ−置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびハロ−置換C1−6アルコキシから独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよい〕
の化合物およびそのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、保護誘導体、個々の異性体および異性体の混合物;
ならびにかかる化合物の薬学的に許容される塩および溶媒和物(例えば水和物)を提供する。
【0006】
第2の局面において、本発明は、式(I)の化合物またはそのN−オキシド誘導体、個々の異性体および異性体の混合物;またはその薬学的に許容される塩と、1種以上の好適な賦形剤を含む医薬組成物を提供する。
【0007】
第3の局面において、本発明は、キナーゼ活性、特にITPKb活性の阻害によって疾患の病理および/または症状を予防、阻止または軽減することができる、動物における疾患を処置する方法であって、動物に治療上有効量の式(I)の化合物またはそのN−オキシド誘導体、個々の異性体および異性体の混合物、またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
【0008】
第4の局面において、本発明は、キナーゼ活性、特にITPKb活性が疾患の病理および/または症状に関与する動物の疾患の処置用医薬の製造における、式(I)の化合物の使用を提供する。
【0009】
第5の局面において、本発明は、式(I)の化合物およびそのN−オキシド誘導体、プロドラッグ誘導体、保護誘導体、個々の異性体および異性体の混合物ならびにその薬学的に許容される塩の製造方法を提供する。
【0010】
発明の詳細な説明
定義
基またはハロ置換アルキルおよびアルコキシのような他の基の構造要素としての「アルキル」は、直鎖または分枝鎖の何れかであってよい。C1−4−アルコキシはメトキシ、エトキシ等を含む。ハロ置換アルキルはトリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル等を含む。ヒドロキシ置換アルキルはヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル等を含む。
【0011】
「アリール」は、6〜10個の環炭素原子を含む単環式または縮合二環式芳香環集合体を意味する。例えばアリールはフェニルまたはナフチル、好ましくはフェニルであってよい。「アリーレン」は、アリール基に由来する二価基を意味する。
【0012】
「ヘテロアリール」は、1個以上の環員が−O−、−N=、−NR−、−C(O)−、−S−、−S(O)−または−S(O)−から選択されるヘテロ原子であり得るが、上記アリールについて定義のとおりであり、ここでRは水素、C1−4アルキルまたは窒素保護基である。例えば、C1−10ヘテロアリールは、ピリジル、インドリル、インダゾリル、キノキサリニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、イミダゾリル、ベンゾ−イミダゾリル、ピリミジニル、フラニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、チエニル等を含む。
【0013】
「シクロアルキル」は、記載した環原子数を含む飽和または部分不飽和、単環式、縮合二環式または架橋多環式環集合体を意味する。例えば、C3−10シクロアルキルはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含む。
【0014】
「ヘテロシクロアルキル」は、1個以上の環炭素が−O−、−N=、−NR−、−C(O)−、−S−、−S(O)−または−S(O)−から選択される基で置換されているが、本明細書に定義のシクロアルキルを意味し、ここでRは水素、C1−4アルキルまたは窒素保護基である。例えば、C3−8ヘテロシクロアルキルは、本発明の化合物を説明するために本明細書において使用するとき、モルホリノ、ピロリジニル、ピロリジニル−2−オン、ピペラジニル、ピペリジニル、ピペリジニロン、1,4−ジオキサ−8−アザ−スピロ[4.5]デシ−8−イル等を含む。
【0015】
「ハロゲン」(またはハロ)は、好ましくはクロロまたはフルオロを意味するが、ブロモまたはヨードであってもよい。
【0016】
「処置する」、「処置し」および「処置」は、疾患および/またはそれに付随する症状を緩和または軽減する方法を意味する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
好ましい態様の説明
本発明は、キナーゼ関連疾患、特にIPTKb関連疾患の処置のための、化合物、組成物および方法を提供する。例えば自己免疫疾患、特にB細胞関連疾患がIPTKbに関連する。例えばリウマチ様関節炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)および溶血性貧血。
【0018】
1つの態様において、式(I)の化合物について、nが1および2から選択され;mが0、1および2から選択され;Aが−N=で置き換えられた−CR=、−CR=および−CR=から選択される3個までの基を有していてもよく;R、RおよびRが水素であり;RおよびRが水素であり;RがC1−6アルキル、ハロ−置換C1−6アルキルおよびヒドロキシ−置換C1−6アルキルから選択されるか;あるいは2個のR基が組み合わさって、アルキル架橋を形成してもよく;あるいは2個のR基が同一の炭素と結合しているとき、それらはそれらが共に結合している炭素と一体となって、C3−7シクロアルキルを形成し;RがL−C6−10アリール、L−C1−10ヘテロアリール、C1−6アルキル、L−C3−12シクロアルキルおよびL−C3−8ヘテロシクロアルキルから選択され;ここでRの該アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは所望により、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、ハロ−置換C1−3アルキル、シアノ−置換C1−3アルキル、ヒドロキシ−置換C1−3アルキル、−C(O)R13、−C(O)NR1314から独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよく;ここでR13およびR14がそれぞれ、水素およびC1−6アルキルから独立して選択され;Lが結合またはC1−3アルキルであり;YがCR10であり、R10が水素である。
【0019】
別の態様において、RとRから、RおよびRが結合している炭素原子と一体となって形成した環Aと縮合している5〜6員ヘテロ環は:
【化2】

から選択される。
【0020】
他の態様において、Rはメチル、エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチルおよびヒドロキシ−メチルから選択されるか;あるいは2個のR基が組み合わさって、メチル、エチルおよびプロピルから選択されるアルキル架橋を形成してもよく;あるいは2個のR基が同一の炭素原子と結合しているとき、それらはそれらが共に結合している炭素原子と一体となってシクロプロピルを形成する。
【0021】
他の態様において、RはC3−7シクロアルキル、C4−7ヘテロシクロアルキル、フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニルおよびフロ[3,2−c]ピリジン−4−イルから選択され;ここで該フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニルまたはフロ[3,2−c]ピリジン−4−イルは所望により、トリフルオロメチル、シアノ、ブロモ、クロロ、ヒドロキシ−メチル、メチル−カルボニル、メチル、アミノ−カルボニル、ニトロ、ヨード、フルオロ、メトキシ−カルボニル、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシおよびメトキシから独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよい。
【0022】
他の態様において、化合物は次のものから選択される:6−{4−[4−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル]−1H−ピラゾール−3−イル}−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオン;6−(4−((4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオン;6−(4−(((R)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオン;6−(4−(((S)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオン;6−(4−(((R)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;6−(4−((4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−1,4−ジアゼパン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;7−(4−(((R)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3(4H)−オン;7−(4−(((R)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)イソキノリン−1,3(2H,4H)−ジオン;6−(4−((4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−1,4−ジアゼパン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロキナゾリン−2(1H)−オン;7−(4−((4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−1,4−ジアゼパン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3(4H)−オン;および6−(4−(((R)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロキナゾリン−2(1H)−オン;(R)−6−(4−((3−メチル−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン;6−(4−((3−(トリフルオロメチル)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;6−(4−((4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−5−(4−((3−メチル−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン;6−(4−((3−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン−6−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;6−(4−((2−(トリフルオロメチル)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;6−(4−((3−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3,8−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;6−(4−((3−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3,8−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4(3H)−ジオン;(S)−6−(4−((3−(フルオロメチル)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;6−(4−((4−(2,3−ジメチルフェニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4(3H)−ジオン;6−(4−((4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−3(4H)−オン;6−(4−((4−(2,3−ジメチルフェニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン;(S)−6−(4−((3−(トリフルオロメチル)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−6−(4−((3−(トリフルオロメチル)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(S)−6−(4−((3−(ヒドロキシメチル)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−2−(2−メチル−4−((3−(2−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−6−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)イソニコチノニトリル;(R)−6−(4−((3−メチル−4−(4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−6−(4−((3−メチル−4−(5−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(S)−6−(4−((3−メチル−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−6−(4−((4−シクロヘキシル−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−6−(5−((3−メチル−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−2H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−4,4−ジメチル−6−(4−((3−メチル−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;6−(4−((4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−4,7−ジアザスピロ[2.5]オクタン−7−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−6−(2−メチル−4−((3−(2−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−6−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ニコチノニトリル;(R)−6−(4−((4−(5−クロロピリジン−2−イル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(S)−1−((3−(2−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−6−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−2−カルボン酸;(S)−6−(4−((2−(ヒドロキシメチル)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(S)−6−(4−((2−(フルオロメチル)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−6−(4−((3−メチル−4−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−6−(4−((4−(2−フルオロベンジル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−6−(4−((4−(4−クロロフェニル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−6−(4−((3−メチル−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(S)−6−(4−((3−メチル−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(S)−6−(4−((3−メチル−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン、(R)−6−(4−((3−メチル−4−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オンおよび(S)−6−(4−((4−シクロヘキシル−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン。
【0023】
さらなる本発明の化合物は、下記実施例および表1に詳述する。
【0024】
薬理および有用性
本発明の化合物はIPTKbの活性を調節し、それ自体、IPTKbの異常な活性が疾患の病理および/または症状に関与する疾患または障害の処置に有用である。
【0025】
B細胞活性化および形成を阻害することによって、本発明のITPKb阻害剤は多様な治療適用に有用である。IPTKbの薬理学的阻害は、病的状態におけるB細胞機能不全を阻害するための手段を提供する。例えば、B細胞は慢性移植片拒絶および自己免疫疾患(例えばリウマチ性関節炎、SLE、狼瘡等)、乾癬、アレルギー(喘息、鼻炎、COPD、皮膚炎)ならびにアナフィラキシーおよび多様な補体介在性疾患を含む他のものにおいて病理学的役割を有する。本発明のITPKb阻害化合物は、ITPKbが作用して発症を促進するこれらの疾患を処置するための有効薬剤であり得る。
【0026】
処置し得る他の疾患および状態は、異常なB細胞増殖が関与するかあるいはそれによって介在される疾患、例えばB細胞リンパ腫を含む。それらはまた、他の抗体介在性障害、例えばアレルギー、乾癬、全身性エリテマトーデス(SLE)、原発性胆汁性肝硬変(PBC)および特発性血小板減少性紫斑病(ITP)を含む。これらの疾患または状態の処置に加えて、本発明のITPKb阻害剤はまた、かかる疾患または障害かかる疾患または障害の傾向があることが疑われる、または傾向があることが知られている対象(ヒトおよび他の哺乳類のような動物を含む)において、かかる疾患または障害の発生を予防または調節するために有用である。本発明の治療適用に使用することができるB細胞調節剤は、下記実施例および表に記載した特定のITPKb阻害剤を含む。
【0027】
したがって本発明は、自己免疫疾患の処置のために対象(ヒトまたは他の哺乳類)におけるBリンパ球の形成および機能を調節する方法であって、当該対象にそのキナーゼ活性またはITPKb分子の細胞内濃度を調節するために有効量(例えば下記インビトロアッセイによって示される)の式(I)の化合物またはその医薬組成物を投与して、対象におけるBリンパ球分化および機能を調節することを含む方法を提供する。本化合物は、ITPKbのキナーゼ活性を阻害することによってITPKb分子の細胞濃度を下方制御することができる。
【0028】
上記にしたがって、本発明はさらに、かかる処置を必要とする対象における上記疾患または障害の何れかを予防、処置および/または軽減する方法であって、当該対象に治療上有効量の(下記「投与および医薬組成物」参照)の式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩を投与することを含む方法を提供する。式(I)の化合物は、下記インビトロアッセイに記載のようにITPKbのキナーゼ活性を阻害することによって、ITPKb分子の細胞濃度を下方制御することができる。上記何れかの使用のために、必要な投与量は投与形態、処置する具体的な状態および所望の効果に基づいて変化する。
【0029】
投与および医薬組成物
一般に、本発明の化合物は、治療上有効量で、当該技術分薬において既知の何れかの通常の許容される形態で、単剤または1種以上の治療剤との組合せにおいて投与される。治療上有効量は、疾患の重症度、対象の年齢および相対的な健康、使用する化合物の能力および他の要因に依存して広範に変化し得る。一般に、全身的な1日用量約0.03〜2.5mg/kg体重で満足のいく結果が得られる。大型哺乳類、例えばヒトにおける指示1日用量は約0.5mg〜約100mgの範囲であり、簡便には、例えば1日4回までの分割用量または徐放形態で投与する。経口投与に好適な単位投与形態は、約1〜50mgの有効成分を含む。
【0030】
本発明の化合物は、何れかの常套の経路、特に経腸、例えば経口的に、例えば錠剤またはカプセル剤の形態で、または非経腸的に、例えば注射液または懸濁液の形態で、局所的に、例えばローション、ゲル、軟膏またはクリームの形態で、または経鼻もしくは座薬形態で、医薬組成物として投与することができる。遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物と少なくとも1種の薬学的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物は、常套の方法で、混合、造粒またはコーティング方法によって製造することができる。例えば、経口用組成物は、有効成分とa)希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、ショ糖、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;b)滑沢剤、例えばシリカ、タルカム、ステアリン酸、そのマグネシウム塩もしくはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤についてはまた、c)結合剤、例えばケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン;所望により、d)崩壊剤、例えばデンプン、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩または発泡性混合物;および/またはe)吸着剤、着色剤、風味剤および甘味剤を含む錠剤またはゼラチンカプセル剤であり得る。注射用組成物は、水性等張液または懸濁液であってよく、座薬は脂肪エマルジョンまたは懸濁液から製造することができる。該組成物は滅菌してよくおよび/またはアジュバント、例えば防腐剤、安定化剤、湿潤剤または乳化剤、溶解促進剤、浸透圧調整用の塩および/またはバッファーを含んでよい。加えて、それらはまた他の治療上有用な物質を含み得る。経皮適用に好適な製剤は、有効量の本発明の化合物と担体を含む。担体は、宿主の皮膚の通過を補助するための吸収可能な薬理学的に許容される溶媒を含んでいてもよい。例えば、経皮デバイスは、裏打ち部材、所望により担体と共に化合物を含むリザーバー、所望により化合物を宿主の皮膚に制御されたおよび予め決定された速度で長期間にわたって送達するための速度制御バリア、およびデバイスを皮膚に接着させる手段を含むバンデージの形態である。経皮マトリックス製剤を使用してもよい。例えば皮膚および眼への局所適用に好適な製剤は、好ましくは当該技術分野において周知の水溶液、軟膏、クリームまたはゲルである。これらは可溶化剤、安定化剤、張性上昇剤、バッファーおよび保存剤を含んでいてもよい。
【0031】
本発明の化合物は、1種以上の治療剤との組合せにおいて治療上有効量で投与することができる(医薬組合せ剤)。例えば、他の免疫調節剤または抗炎症剤と、例えば次のものと組み合わせて使用したときに相乗効果が生じ得る:シクロスポリン、ラパマイシンまたはアスコマイシンまたはその免疫抑制アナログ、例えばシクロスポリンA(CsA)、シクロスポリンG、FK−506、ラパマイシンまたは同等の化合物、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリン、メトトレキサート、ブレキナル、レフルノミド、ミゾリビン、ミコフェノール酸、ミコフェノール酸モフェチル、15−デオキシスペルグアリン、免疫抑制抗体、特に白血球受容体に対するモノクローナル抗体、例えばMHC、CD2、CD3、CD4、CD7、CD25、CD28、B7、CD45、CD58またはそれらのリガンド、あるいは他の免疫調節化合物、例えばCTLA41g。本発明の化合物を他の治療剤との組合せで投与するとき、共投与する化合物の用量は、当然、使用する共薬剤のタイプ、使用する具体的な薬剤、処置する状態等に依存して変化する。
【0032】
本発明はまた、a)本明細書に記載の、遊離形または薬学的に許容される塩形の本発明の化合物である第1の薬剤とb)少なくとも1種の共薬剤を含む医薬組合せ剤、例えばキットを提供する。当該キットは投与のための指示書を含んでいてもよい。
【0033】
「共投与」または「組合せ投与」などの用語は、本明細書において使用するとき、選択した治療薬剤を1人の患者に投与することを意味しており、薬剤を必ずしも同じ投与経路または同時に投与することのない処置レジメンを含むことを意図する。
【0034】
用語「医薬組合せ剤」は、本明細書において使用するとき、1種以上の有効成分の混合または組合せによって得られる製品を意味しており、有効成分の固定された組合せ剤および固定されていない組合せ剤のいずれをも含む。用語「固定された組合せ剤」は、有効成分、例えば式Iの化合物と共薬剤が共に、同時に、1個の物または投与形で患者に投与されることを意味する。用語「固定されていない組合せ剤」は、有効成分、例えば式Iの化合物と共薬剤を、いずれも1人の患者に、別々の物として、同時に、同時一体的にまたは逐次的に、特に時間の限定なく、かかる投与によって患者の体内で2種の化合物の治療上有効濃度が得られるように投与することを意味する。後者はまた、カクテルセラピー、例えば3種以上の有効成分の投与に適用する。
【0035】
本発明の化合物の製造方法
本発明はまた、本発明の化合物の製造方法を含む。記載の反応において、反応性官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基は、これらが最終生成物において反応への望ましくない参加を避けることが望まれるとき、保護する必要があり得る。標準的な技術に従って、常套の保護基を用いることができる。例えばT.W. Greene and P. G. M. Wuts in “Protective Groups in Organic Chemistry”, John Wiley and Sons, 1991参照。
【0036】
とRが共に水素である式Iの化合物は、次の反応スキームIの通りに進めて製造することができる:
反応スキームI
【化3】

〔ここで、n、m、A、R、R2、、R、R、R、RおよびR10は発明の概要において定義したとおりである〕。
【0037】
式(I)の化合物は、好適な溶媒(例えばDCM)の存在下、適切な還元剤(例えばNaCNBH)を用いて式3の化合物と式4の化合物を反応させて製造することができる。式3の化合物は式2の化合物とPOClとDMFの混合物とを反応させて、次いで好適な塩基(例えばNaOH)を加えて製造することができる。
【0038】
式Iの化合物の合成の詳細な例示は、下記実施例に見出すことができる。
【0039】
本発明の化合物を製造するための付加的な方法
本発明の化合物は、遊離塩基形の化合物と薬学的に許容される無機または有機酸を反応させて、薬学的に許容される酸付加塩として製造することができる。あるいは、本発明の化合物の薬学的に許容される塩基付加塩は、遊離酸形の化合物と薬学的に許容される無機または有機塩基を反応させて製造することができる。
【0040】
あるいは、塩形の本発明の化合物は、塩形の出発物質または中間体を用いて製造することができる。
【0041】
遊離酸形または遊離塩基形の本発明の化合物は、対応する塩基付加塩または酸付加塩形からそれぞれ製造することができる。例えば、酸付加塩形の本発明の化合物は、好適な塩基(例えば水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウム等)で処理して対応する遊離塩基に変換してもよい。塩基付加塩形の本発明の化合物は、好適な酸(例えば塩酸等)で処理して対応する遊離酸に変換してもよい。
【0042】
非酸化形の本発明の化合物は、還元剤(例えば硫黄、硫黄ジオキシド、トリフェニルホスフィン、ホウ化水素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、三塩化リン、三臭素化リン等)で、好適な不活性有機溶媒(例えばアセトニトリル、エタノール、水性ジオキサン等)中、0〜80℃で処理して、本発明の化合物のN−オキシドから製造することができる。
【0043】
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体は、当業者に既知の方法によって製造することができる(さらに詳しくは、例えばSaulnier et al., (1994)、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985を参照されたい)。例えば、適切なプロドラッグは、本発明の化合物を好適なカルバミル化剤(例えば1,1−アシルオキシアルキルカルバノクロリデート、パラ−ニトロフェニルカルボネート等)と反応させて製造することができる。
【0044】
本発明の化合物の保護誘導体は、当業者に既知の方法によって製造することができる。保護基の作製とその除去に適用される技術の詳細な説明は、T. W. Greene, “Protecting Groups in Organic Chemistry”, 3rd edition, John Wiley and Sons, Inc., 1999に見ることができる。
【0045】
本発明の化合物は、溶媒和物(例えば水和物)として、本発明の方法によって簡便に製造または形成することができる。本発明の化合物の水和物は、ジオキサン、テトラヒドロフランまたはメタノールのような有機溶媒を用いて、水性/有機溶媒混合物から再結晶して簡便に製造することができる。
【0046】
本化合物のラセミ混合物を光学活性分割剤と反応させ、ジアステレオ異性化合物のペアを形成し、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋なエナンチオマーを回収することにより、その個々の立体異性体として本発明の化合物を製造できる。エナンチオマーの分割は、本発明の化合物の共有結合性ジアステレオマー誘導体を使用して行ってもよいが、解離可能な複合体が好ましい(例えば、結晶性ジアステレオマー塩)。ジアステレオマーは異なる物理的性質(例えば、融点、沸点、溶解性、反応性等)を有し、これらの差を利用して容易に分割し得る。ジアステレオマーは、クロマトグラフィーにより、または溶解度の差に基づく分離/分割技術により分離し得る。光学的に純粋なエナンチオマーを、次いで、ラセミ化をもたらさないであろう任意の実際的手段により、分割剤と共に回収する。化合物の立体異性体のそのラセミ混合物からの分割に適用可能な技術のより詳細な記載は、Jean Jacques, Andre Collet, Samuel H. Wilen, “Enantiomers, Racemates and Resolutions”, John Wiley And Sons, Inc., 1981に見ることができる。
【0047】
要約すると、式Iの化合物は、次のものを含む方法により製造できる:
(a)反応スキームIのもの、そして
(b)所望により本発明の化合物を薬学的に許容される塩に変換すること;
(c)所望により塩形の本発明の化合物を非塩形態に変換すること;
(d)所望により酸化されていない形態の本発明の化合物を薬学的に許容されるN−オキシドに変換すること;
(e)所望によりN−オキシド形態の本発明の化合物をその酸化されていない形態に変換すること;
(f)所望により本発明の化合物の個々の異性体を異性体混合物から分離すること;
(g)所望により誘導体化されていない本発明の化合物を薬学的に許容されるプロドラッグ誘導体に変換すること;および
(h)所望により本発明の化合物のプロドラッグ誘導体を非誘導体化形態に変換すること。
【0048】
本発明はまた、本発明の化合物の全ての好適な同位体化合物またはその薬学的に許容される塩を含む。本発明の化合物の同位体化合物またはその薬学的に許容される塩は、少なくとも1個の原子が同一の原子数であるが天然で通常見られる原子質量とは異なる原子質量を有する原子で置換されているものと定義される。本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩に導入され得る同位体の例は、水素、炭素、窒素および酸素の同位体、例えばH、H、11C、13C、14C、15N、17O、18O、35S、18F、36Clおよび123Iを含むがこれらに限定されない。ある本発明の化合物およびその薬学的に許容される塩の同位体化合物、例えばHまたは14Cのような放射性同位体が導入されているものは、薬剤および/または基質組織分布試験において有用である。具体的な例において、Hおよび14C同位体は製造および検出が容易であるために使用され得る。他の例において、Hのような同位体置換は、より大きな代謝安定性からもたらされるある治療利益、例えば上昇したインビボ半減期または減少した必要容量を得ることができる。本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の同位体化合物は、一般に、好適な適切な同位体化合物の反応剤を用いた常套の方法によって製造することができる。本化合物の同位体化合物は、化合物の代謝速度を変化させ、そして/または疎水性等のような物理的特性をわずかに変化させる能力を有する。同位体化合物は効果および安全性を向上させ、生物学的利用能および半減期を上昇させ、タンパク質結合能を変化させ、生体内分布を変化させ、活性代謝産物の割合を増加させ、そして/または反応性もしくは毒性代謝産物の形成を減少させる能力を有する。
【0049】
出発物質の製造が特に記載されていない限り、その化合物は既知であるか、または、当分野で既知の方法に準じて、または以下の実施例に開示のとおり、製造し得る。
【0050】
当業者は、上記の変換は本発明の化合物の製造の単なる代表例であって、他の既知の方法を同様に使用してよいことを認識しよう。
【実施例】
【0051】
実施例
本発明を、本発明の式Iの化合物の製造を説明する下記実施例によってさらに例示するが、限定するものではない。
【0052】
実施例1
6−{4−[4−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル]−1H−ピラゾール−3−イル}−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオン
【化4】

2−クロロ−5−トリフルオロメチルピリジン(362mg、1.99mmol)と[1,4]−ジアゼパン(1000mg、9.98mmol)のDMF(6.0mL)混合物を室温で2時間撹拌し、次いで溶媒DMFを真空下で蒸発させる。残渣を酢酸エチル(30mL)と水(40mL)間で分配する。水相を酢酸エチル(20m)で1回抽出し、合併した有機相をNaSOで乾燥させる。蒸発させて油状残渣(粗1−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−[1,4]−ジアゼパン)を得て、これを最終段階の還元的アミノ化に直接使用する。
【0053】
5−アセチルサリチルアミド(900mg、5.02mmol)のピリジン(3.5mL)懸濁液に、0℃で撹拌下、エチルクロロ−カルバメート(600mg、5.53mmol)を滴下し、反応物を98℃で一夜加熱する。ピリジンを蒸発させ、残留物を酢酸エチル(100mL)と水(60mL)間で分配する。有機相をHCl(2N、50mL)と水(60mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させる。有機層を蒸発させると、生成物6−アセチル−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオンの沈殿が生じ始める。濾過して沈殿を回収し、次いで出発物質(5−アセチルサリチルアミド)が共結晶し始めるまでさらに濃縮する。
【0054】
上記工程で得た6−アセチル−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオン(626mg、3.05mmol)のエタノール(5.0mL)懸濁液に、NaOAc・3HO(910mg、2.2当量)とセミカルバジドヒドロクロライド(408mg、1.20当量)の水(5.0mL)溶液を加える。該混合物を92℃で2時間加熱する。室温に冷却後、濾過して生成物を回収し、アセトニトリルで洗浄し、真空下で乾燥させて、対応するセミカルバゾン誘導体を得る。
【0055】
無水DMF(2.50mL)に、0℃でアルゴン下、POCl(0.60mL、1.01g、6.56mmol)を滴下する。10分後、氷浴を除去して温度を室温に上昇させる。上記工程で得たセミカルバゾンを少量ずつ加え、温度を68℃に上昇させ、1時間保つ。氷/水に反応をクエンチする。NaCOを用いてpHを約11〜12に上昇させ、次いでNHCl飽和水溶液で中和する。濾過して沈殿を回収し、真空下で乾燥させて、3−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−6−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボアルデヒドを得る。
【0056】
3−(2,4−ジオキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−6−イル)−1H−ピラゾール−4−カルボアルデヒド(51.4mg、0.2mmol)と1−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−[1,4]ジアゼパン(24.5mg、0.1mmol)の塩化メチレン(1.0mL)、メタノール(0.5mL)および酢酸(15μL)混合物を、室温で30分間撹拌する。次いでNa(AcO)BH(84mg、4.0当量)を加え、反応物を室温で一夜撹拌する。蒸発後、残渣をDMF(1.0mL)に再溶解させて、これを逆相分取LC−MS(アセトニトリル/水/TFAグラジエント10〜90%のCHCNで7.5分、Ultro 120 5uM C18Q、75x30mmID)に付す。回収した生成物のTFA塩の水/MeCN溶液を蒸発させてアセトニトリルを留去する。NaHCO飽和水溶液を加えてpHを約8〜9に上昇させる。次いで酢酸エチルを用いて生成物を抽出し、有機相をNaSOで乾燥させる。溶媒を蒸発させて、遊離塩基形の6−{4−[4−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル]−1H−ピラゾール−3−イル}−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオンを得る。
【0057】
実施例2
6−(5−(((R)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−2H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3,4−ジヒドロベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン
【化5】

実施例2−1:2−(アミノメチル)−4−ブロモフェノールの製造
【化6】

二首セプタム栓付丸底フラスコ中で、5−ブロモ−2−ヒドロキシベンズアミド(2.16g、10mol)とNaBH(1.52g、40mol)を無水THF(150ml)に溶解させる。無水THF中ヨウ素(5.06g、20mol)を窒素雰囲気下、0℃で2.5時間にわたって加える。反応混合物を3時間還流し、次いで0℃に冷却する。1NのHClを注意深く加えて過剰のヒドリドを破壊する。真空下で有機溶媒をほぼ除去し、酸性水溶液を1NのHCl(150ml)で希釈し、エーテル(それぞれ30ml)で3回洗浄する。固体の重炭酸ナトリウムを注意深く加えて水溶液のpHをpH=6〜7に調節する。濾過して生成物を回収し、次いで水で洗浄する。生成物を真空下でさらに一夜乾燥させて2−(アミノメチル)−4−ブロモフェノールを得て、これをさらに精製することなく次の工程に直接使用する。
【0058】
実施例2−2:6−ブロモ−3,4−ジヒドロベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オンの製造
【化7】

2−(アミノメチル)−4−ブロモフェノール(I)(1.16g、5.7mmol)、トリエチルアミン(III)およびカルボニルジイミダゾール(II)(1.86g、11.5mmol)の無水THF(100ml)溶液を4時間還流する。溶媒を蒸発させ、残渣をジクロロメタン(DCM)(100ml)に溶解させる。有機溶液を1NのHCl(20mlx3)、次いで塩水(50ml)で洗浄する。溶媒を蒸発させ、得られた残渣をクロマトグラフィーで精製して、6−ブロモ−3,4−ジヒドロベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オンを白色粉末として得る。
【0059】
実施例2−3:3,4−ジヒドロ−6−(3−ヒドロキシプロプ−1−イニル)ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オンの製造
【化8】

6−ブロモ−3,4−ジヒドロベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン(114mg、0.5mmol)、PdCl(PPh(60mg、0.05mmol)、CuI(20mg、0.1mmol)、テトラブチルアンモニウムアイオダイド(74mg、0.2mmol)の1mLのDMF溶液に、シリンジで、窒素雰囲気下でプロプ−2−イン−1−オール(150mg、2.5mmol)とトリエチルアミン(0.8mL)を加える。TLCでモニターしてアリールブロマイドが消費されるまで、得られた混合物を75℃で加熱する。溶液を冷却し、酢酸エチルと水間で分配し、次いで有機層を塩水で洗浄し、NaSOで乾燥させる。溶液を蒸発させ、次いでカラムクロマトグラフィーによって、カップリング生成物:3,4−ジヒドロ−6−(3−ヒドロキシプロプ−1−イニル)ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オンを無色油状物として得る。m/e: 204 (M+1)
【0060】
実施例2−4:5−(3,4−ジヒドロ−2−オキソ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−6−イル)−2H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボアルデヒドの製造
【化9】

3,4−ジヒドロ−6−(3−ヒドロキシプロプ−1−イニル)ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン(30mg、0.15mmol)をジメチルホルムアミド(DMF)(2ml)に溶解させ、室温でDess-Martin試薬(130mg、0.3mmol)処理する。1時間撹拌後、反応物を1NのHCl(10ml)でクエンチし、次いで酢酸エチル(EtOAc)(10mlx5)で抽出する。合併した有機相を水、次いで塩化アンモニア、次いで塩水で洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥させた後、真空下で溶媒を除去して、粗アルデヒドを得て、これを次の工程に直接使用する。
【0061】
上記工程で得た粗アルデヒドをDMSO(2ml)に溶解させ、次いで室温でナトリウムアジド(98mg、1.5mmol)処理する。4時間撹拌後、重炭酸ナトリウム水溶液(10ml)で反応をクエンチし、次いでEtOAc(10mlx5)で抽出する。合併した有機相を水、次いで重炭酸ナトリウム水溶液、次いで塩水で洗浄する。硫酸ナトリウムで乾燥させた後、真空下で溶媒を除去して粗生成物を得て、これをフラッシュクロマトグラフィーで精製して、5−(3,4−ジヒドロ−2−オキソ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−6−イル)−2H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボアルデヒドを無色油状物として得る。m/e: 245 (M+1).
【0062】
実施例2−5:6−(5−(((R)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−2H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3,4−ジヒドロベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オンの製造
【化10】

5−(3,4−ジヒドロ−2−オキソ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−6−イル)−2H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボアルデヒド(15mg、0.06mmol)と(R)−1−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−2−メチルピペラジン(20mg、0.08mmol)をDMF(1ml)中で混合し、次いで酢酸(AcOH)(30μl)を加える。混合物を室温で30分間撹拌し、次いでナトリウムトリアセテートボロンヒドリド(42mg、0.2mmol)を加える。次いで得られた懸濁液を室温で一夜撹拌する。重炭酸ナトリウムの飽和水溶液を用いて反応をクエンチし、次いで酢酸エチル(10mlx4)で抽出する。合併した有機相を濃縮し、得られた粗生成物をHPLCで精製して、6−(5−(((R)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−2H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3,4−ジヒドロベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オンを白色粉末として得る。m/e:474 (M+1).
【0063】
上記実施例に記載の方法を反復し、適切な出発物質を用いて、下記表1に記載の式(I)の化合物を得る。
表1
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【0064】
アッセイ
本発明の化合物を下記アッセイに従ってアッセイして、それらのITPKb阻害能を測定する:
【0065】
ITPKbの精製:哺乳類発現ベクターpKDNZ中の全長構造から、マウスITPKb残基640〜942をコードするDNAシーケンスをPCRで増幅する。3’−プライマーは停止コドンとオーバーハングPacI部位を組み込む。産物をPacIで消化した後、PmlIとPacIで消化して製造したMH4プラスミドにライゲートする。MH4プラスミドへのクローニングは、翻訳領域のN末端にシーケンスMGSDKIHHHHHHを加える。Stratagene Quikchangeキットを用いた部位指向性変異誘発によって変異酵素を作製する。
【0066】
ITPKbを大腸菌のHK100株で発現させる。典型的に、4Lバッチの細胞を0.1μg/mLアンピシリンを含むLB中で、30℃で0.5A600に増殖させた後、0.02%のL−アラビノースで6時間誘導する。遠心分離で細胞を収穫し、1錠の完全プロテアーゼ阻害剤錠(Roche)を含む50mLの50mMのTris(pH8)、100mMのNaCl、1mMのTCEPおよび0.1mg/mLのリソザイム中にペレットを再懸濁する。超音波で細胞を崩壊させ、35000gで40分間遠心分離して、破片を除去する。
【0067】
連結させた3本のニッケル−セファロース Hi-Trap HP 1mLカラム(Amersham)を用いて初期精製を実施する。ペレット懸濁液を精製した後、結合剤を20mMのTris(pH8.0)、20mMのイミダゾール、10%グリセロール(v/v)および1mMのTCEPで洗浄した後、200mMまでのイミダゾール勾配で溶出する。
【0068】
ITPKbを含む分画をSDS−PAGEで同定し、純粋な分画を濃縮し、centriprep 20 15kDaカラムを用いて20mMのTris(pH8)、200mMのKCl、5mMのMgCl、0.5mMのDTT、10%のグリセロール、1μMのIPおよび20μMのATPにバッファーを交換して、最終タンパク質濃度7mg/mLとする。
【0069】
ITPKb活性の生化学的測定:キナーゼ−Glo(Promega)ATP減少アッセイを用いてITPKb活性を測定する。該アッセイ反応バッファーは、50mMのTris(pH8.0)、100mMのNaCl、1mMのDTT、10%のグリセロール、5mMのMgCl、1μMのATPおよび10μMのIP(Alexis Biochemicals)から成る。40μLの反応物それぞれに、50nlの阻害剤を加え、次いで10μLの精製したITPKb(最終濃度60nM)を加える。反応混合物を室温で60分間インキュベートし、等体積のキナーゼ−glo反応剤(Promega)を加えて停止させる。Molecular Devices Acquest装置を用いて蛍光を測定する。
【0070】
好ましくは、式Iの化合物はIP3のリン酸化の阻害について500nM未満、好ましくは250nM未満、より好ましくは100nM未満のIC50を有する。
【0071】
HPLCによる細胞内IP3、IP4およびIP5レベル測定:Jurkat細胞をATCC(クローンE6−1)(www.ATCC.org Cat#TIB-152)から得る。イノシトール中15uCiの3H ミオ−イノシトールを用いて、イノシトールを含まない1mlのRPMI−1640 w/o血清中の10個の細胞を37℃で6時間、パルス標識する。次いで10%FBSで細胞を4mlのRPMI−1640に希釈し、37℃で一夜インキュベートする。次いで細胞を濃縮し、1mlのRPMI−1640 w/10% FBS中に再懸濁する。DMSO中1μlの阻害剤を加える。50μgのOKT3と10μgの抗ヒトCD28(BD PharmingenクローンCD28.2)を加え、次いで37℃で5分間インキュベーションする。細胞を濃縮し、100μLのPBS w/350mMのHCl中に細胞ペレットを再懸濁して反応をクエンチする。次いで、抽出物を遠心分離してタンパク質と細胞片を除去する。抽出物中の標識化したイノシトールポリホスフェートをPartisphere SAXカラム(15cm×4.6mm)でのHPLCによって分解する。バッファーA(HPOを含む10mMの(NH)HPO、pH3.35)とバッファーB(HPOを含む1.7Mの(NH)HPO、pH3.35)を混合して製造したグラジエントに従ってサンプルを溶出する。0〜12.5分の間0〜100%のバッファーB;12.5〜25分の間100%のバッファーB;25〜30分の間0〜100%のバッファーA;30〜45分の間100%のバッファーA。IN/USシステムのオンラインβ−Ram検出器で放射活性を検出する。
【0072】
好ましくは式Iの化合物は、IP3のIP4への変換の阻害において、1μM未満、より好ましくは500nM未満のIC50を有する。
【0073】
本明細書に記載の例示および態様は説明のみを目的としており、多様な修飾またはその範囲内での変化が当業者に示唆され、本願および特許請求の範囲の精神および範囲に含まれると理解される。本明細書中で言及した全ての公報、特許および特許出願は、あらゆる目的のために参照により本明細書に引用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

〔式中、
nは0、1、2および3から選択され;
mは0、1、2および3から選択され;
Aは−N=で置き換えられた−CR=、−CR=および−CR=から選択される3個までの基を有していてもよく;
、RおよびRは水素、ヒドロキシ、ハロ、シアノ、C1−6アルキル、ハロ−置換C1−6アルキル、ヒドロキシ−置換C1−6アルキルおよびシアノ−置換C1−6アルキルから独立して選択され;
とRは、RとRが結合している炭素原子と一体となって、O、C(O)、S(O)、CR1112およびNHから選択される4個までの基を含む環Aと縮合した5〜6員ヘテロ環を形成し;ここでR11およびR12はそれぞれ、水素、C1−3アルキルおよびハロ−置換C1−3アルキルから独立して選択されるか;あるいはR11とR12はそれらが共に結合している炭素と一体となって、C3−7シクロアルキルを形成し;
およびRは水素、C1−3アルキルおよびハロ−置換C1−3アルキルから独立して選択されるか;あるいはRとRはそれらが共に結合している炭素と一体となって、C3−7シクロアルキルを形成し;
はC1−6アルキル、C2−6アルケニル、ハロ−置換C1−6アルキルおよびヒドロキシ−置換C1−6アルキルから選択されるか;あるいは2個のR基が一体となって、アルキル架橋を形成してもよく;あるいは2個のR基が同じ炭素原子に結合しているとき、それらはそれらが共に結合している炭素と一体となって、C3−7シクロアルキルを形成し;
はL−C6−10アリール、L−C1−10ヘテロアリール、C1−6アルキル、L−C3−12シクロアルキルおよびL−C3−8ヘテロシクロアルキルから選択され;ここでRのアリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは、所望によりハロ、シアノ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、ハロ−置換C1−3アルキル、シアノ−置換C1−3アルキル、ヒドロキシ−置換C1−3アルキル、−C(O)R13、−C(O)NR1314から独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよく;ここでR13およびR14はそれぞれ水素およびC1−6アルキルから独立して選択され;
は結合、C1−3アルキルまたはハロ−置換C1−3アルキルであり;
YはNまたはCR10であり;
10は水素、C1−6アルキル、−NR1516、−NR15C(O)R16および−C(O)NR1516から選択され;ここでR15およびR16はそれぞれ、水素、C1−6アルキル、C6−10アリール、C1−10ヘテロアリール、C3−12シクロアルキルおよびC3−8ヘテロシクロアルキルから独立して選択され;ここで該アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは所望により、ハロ、ヒドロキシ、シアノ、C1−6アルキル、ハロ−置換C1−6アルキル、C1−6アルコキシおよびハロ−置換C1−6アルコキシから独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよい〕
の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
nが1および2から選択され;
mが0、1および2から選択され;
Aが−N=で置き換えられた−CR=、−CR=および−CR=から選択される3個までの基を有していてもよく;
、RおよびRが水素であり;
およびRが水素であり;
がC1−6アルキル、ハロ−置換C1−6アルキルおよびヒドロキシ−置換C1−6アルキルから選択されるか;あるいは2個のR基が組み合わさって、アルキル架橋を形成してもよく;あるいは2個のR基が同一の炭素と結合しているとき、それらはそれらが共に結合している炭素と一体となって、C3−7シクロアルキルを形成し;
がL−C6−10アリール、L−C1−10ヘテロアリール、C1−6アルキル、L−C3−12シクロアルキルおよびL−C3−8ヘテロシクロアルキルから選択され;ここでRの該アリール、ヘテロアリール、シクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルは所望により、ハロ、シアノ、ヒドロキシ、C1−3アルキル、ハロ−置換C1−3アルキル、シアノ−置換C1−3アルキル、ヒドロキシ−置換C1−3アルキル、−C(O)R13、−C(O)NR1314から独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよく;ここでR13およびR14がそれぞれ、水素およびC1−6アルキルから独立して選択され;
が結合またはC1−3アルキルであり;
YがCR10であり、R10が水素である、
請求項1の化合物。
【請求項3】
およびRが結合している炭素原子と一体となってRとRから形成された環Aと縮合した5〜6員ヘテロ環が
【化2】

から選択される、請求項2の化合物。
【請求項4】
がメチル、エチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチルおよびヒドロキシ−メチルから選択されるか;あるいは2個のR基が組み合わさって、メチル、エチルおよびプロピルから選択されるアルキル架橋を形成してもよく;あるいは2個のR基が同一の炭素と結合しているとき、それらはそれらが共に結合している炭素と一体となって、シクロプロピルを形成する、請求項3の化合物。
【請求項5】
がC3−7シクロアルキル、C4−7ヘテロシクロアルキル、フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニルおよびフロ[3,2−c]ピリジン−4−イルから選択され;ここで該フェニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニルまたはフロ[3,2−c]ピリジン−4−イルが所望により、トリフルオロメチル、シアノ、ブロモ、クロロ、ヒドロキシ−メチル、メチル−カルボニル、メチル、アミノ−カルボニル、ニトロ、ヨード、フルオロ、メトキシ−カルボニル、ヒドロキシ、アミノ、カルボキシおよびメトキシから独立して選択される1〜3個の基で置換されていてもよい、請求項4の化合物。
【請求項6】
6−{4−[4−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−[1,4]ジアゼパン−1−イルメチル]−1H−ピラゾール−3−イル}−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオン;6−(4−((4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオン;6−(4−(((R)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオン;6−(4−(((S)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4−ジオン;6−(4−(((R)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;6−(4−((4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−1,4−ジアゼパン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;7−(4−(((R)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3(4H)−オン;7−(4−(((R)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)イソキノリン−1,3(2H,4H)−ジオン;6−(4−((4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−1,4−ジアゼパン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロキナゾリン−2(1H)−オン;7−(4−((4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−1,4−ジアゼパン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−1,2−ジヒドロイソキノリン−3(4H)−オン;および6−(4−(((R)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロキナゾリン−2(1H)−オン;(R)−6−(4−((3−メチル−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン;6−(4−((3−(トリフルオロメチル)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;6−(4−((4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−5−(4−((3−メチル−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン;6−(4−((3−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3,6−ジアザビシクロ[3.1.1]ヘプタン−6−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;6−(4−((2−(トリフルオロメチル)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;6−(4−((3−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3,8−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;6−(4−((3−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−3,8−ジアザビシクロ[3.2.1]オクタン−8−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4(3H)−ジオン;(S)−6−(4−((3−(フルオロメチル)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;6−(4−((4−(2,3−ジメチルフェニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2,4(3H)−ジオン;6−(4−((4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−2H−ベンゾ[b][1,4]オキサジン−3(4H)−オン;6−(4−((4−(2,3−ジメチルフェニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン;(S)−6−(4−((3−(トリフルオロメチル)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−6−(4−((3−(トリフルオロメチル)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(S)−6−(4−((3−(ヒドロキシメチル)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−2−(2−メチル−4−((3−(2−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−6−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)イソニコチノニトリル;(R)−6−(4−((3−メチル−4−(4−(トリフルオロメチル)ピリミジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−6−(4−((3−メチル−4−(5−メチルピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(S)−6−(4−((3−メチル−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−6−(4−((4−シクロヘキシル−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−6−(5−((3−メチル−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−2H−1,2,3−トリアゾール−4−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−4,4−ジメチル−6−(4−((3−メチル−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;6−(4−((4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)−4,7−ジアザスピロ[2.5]オクタン−7−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−6−(2−メチル−4−((3−(2−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−6−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)ニコチノニトリル;(R)−6−(4−((4−(5−クロロピリジン−2−イル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(S)−1−((3−(2−オキソ−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−6−イル)−1H−ピラゾール−4−イル)メチル)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−2−カルボン酸;(S)−6−(4−((2−(ヒドロキシメチル)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(S)−6−(4−((2−(フルオロメチル)−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−6−(4−((3−メチル−4−(4−(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−6−(4−((4−(2−フルオロベンジル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−6−(4−((4−(4−クロロフェニル)−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(R)−6−(4−((3−メチル−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(S)−6−(4−((3−メチル−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(S)−6−(4−((3−メチル−4−(5−(トリフルオロメチル)ピリジン−2−イル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)ベンゾ[d]オキサゾール−2(3H)−オン、および(R)−6−(4−((3−メチル−4−(3−(トリフルオロメチル)フェニル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オン;(S)−6−(4−((4−シクロヘキシル−3−メチルピペラジン−1−イル)メチル)−1H−ピラゾール−3−イル)−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[e][1,3]オキサジン−2−オンから選択される、請求項1の化合物。
【請求項7】
自己免疫疾患の処置のために対象におけるTおよびBリンパ球の形成および機能を調節する方法であって、当該対象にそのキナーゼ活性またはITPKb分子の細胞内濃度を調節するために有効量の薬剤を投与して、対象におけるBリンパ球分化および機能を調節することを含む方法。
【請求項8】
薬剤がITPKb分子の細胞濃度を下方制御する、請求項7の方法。
【請求項9】
薬剤が請求項1の化合物である、請求項8の方法。
【請求項10】
薬剤がITPKb分子のキナーゼ活性を阻害する、請求項9の方法。
【請求項11】
対象がヒトであり、ITPKb分子がヒトITPKβである、請求項10の方法。
【請求項12】
自己免疫疾患がリウマチ様関節炎、全身性エリテマトーデス、特発性血小板減少性紫斑病、溶血性貧血および乾癬から選択される、請求項11の方法。
【請求項13】
対象がB細胞リンパ腫を有する、請求項11の方法。

【公表番号】特表2010−529993(P2010−529993A)
【公表日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512344(P2010−512344)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際出願番号】PCT/US2008/066664
【国際公開番号】WO2008/157210
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(503261524)アイアールエム・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (158)
【氏名又は名称原語表記】IRM,LLC
【Fターム(参考)】