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JAKおよび他のプロテインキナーゼのインヒビターとして有用な化合物
説明

JAKおよび他のプロテインキナーゼのインヒビターとして有用な化合物

【課題】JAK、JNK、GSK、SYK、CDKプロテインキナーゼのインヒビターを開発すること。
【解決手段】本発明は、式I:


の化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩を提供する。本発明はまた、本発明の化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物、および種々のプロテインキナーゼが媒介する障害においてこれらの化合物および組成物を利用する方法を提供する。本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な組成物は、JAK−3、JNK−3、CDK−2、SYK、およびGSK−3プロテインキナーゼのインヒビターとして有効である。本発明の組成物は、式Iの化合物、薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、35 U.S.C.119(e)に基づいて、米国仮特許出願第60/424,043号(これは、2002年11月5日に出願され、「Compositions Useful as Inhibitors of Jak and Other Protein Kinases」の表題であり、その全内容は、本明細書中で参考として援用されている)に対して優先権を主張している。
【0002】
(発明の技術分野)
本発明は、プロテインキナーゼのインヒビターとして有用な化合物に関する。本発明はまた、本発明の化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物および種々の障害を治療する際に該組成物を使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
新しい治療剤の探索は、近年、疾患に関連する酵素および他の生物分子の構造のよりよい理解によって、非常に助けられている。多くの研究の対象となってきた酵素の1つの重要な分類は、プロテインキナーゼである。
【0004】
プロテインキナーゼは、細胞内の種々のシグナル伝達プロセスの制御を担う構造的に関連する酵素の、大きなファミリーを構成する。(Hardie,G.およびHanks,S. The Protein Kinase Facts Book,IおよびII,Academic Press,San Diego,CA:1995を参照のこと。)プロテインキナーゼは、それらの構造および触媒機能の維持の故に、共通の先祖遺伝子から進化してきたと考えられる。ほとんど全てのキナーゼは、類似した250〜300アミノ酸の触媒ドメインを含有する。キナーゼは、それらがリン酸化する基質(例えば、タンパク質−チロシン、タンパク質−セリン/スレオニン、脂質、など)によってファミリーに分類され得る。これらのキナーゼファミリーの各々に一般的に対応する配列のモチーフは、同定されている(例えば、Hanks,S.K.,Hunter,T.,FASEB J.1995,9,576−596;Knightonら、Science 1991,253,407−414;Hilesら、Cell 1992,70,419−429;Kunzら、Cell 1993,73,585−596;Garcia−Bustosら、EMBO J.1994,13,2352−2361を参照のこと)。
【0005】
多くの疾患が、プロテインキナーゼ媒介性現象によって引き起こされる異常な細胞反応に関連する。これらの疾患としては、自己免疫疾患、炎症性疾患、骨疾患、代謝性疾患、神経性および神経変性疾患、癌、心血管性疾患、アレルギーおよび喘息、アルツハイマー病、ならびにホルモン関連疾患が挙げられる。したがって、医化学分野では、治療剤として有効なプロテインキナーゼインヒビターを見つけるための相当の努力があった。
【0006】
Janusキナーゼ(JAK)は、JAK1、JAK2、JAK3およびTYK2からなるチロシンキナーゼのファミリーである。このJAKは、サイトカインシグナル伝達において重要な役割を果たす。JAKファミリーのキナーゼの下流の基質は、シグナル伝達分子および転写活性化因子(STAT)のタンパク質を含む。JAK/STATシグナル伝達は、多くの異常な免疫応答(例えば、アレルギー、喘息、自己免疫疾患(例えば、移植片拒絶、慢性関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症および多発性硬化症)の媒介において、ならびに固形悪性腫瘍および血液学的悪性腫瘍(例えば、白血病およびリンパ腫))において示されている。JAK/STAT経路における薬学的介入が総説されている[Frank Mol.Med.5,432−456(1999)およびSeidelら、Oncogene 19,2645−2656(2000)]。
【0007】
JAK1、JAK2およびTYK2は、遍在的に発現されている一方で、JAK3は、造血細胞において主に発現されている。JAK3は、もっぱら一般的なサイトカインレセプターγ鎖(γ)に結合し、IL−2、IL−4、IL−7、IL−9、およびIL−15によって活性化される。IL−4およびIL−9によって誘導されるマウス肥満細胞の増殖および生存は、実際に、JAK3シグナル伝達経路およびγシグナル伝達経路に依存することが示されている[Suzukiら、Blood 96,2172−2180(2000)]。
【0008】
感作された肥満細胞の高親和性免疫グロブリン(Ig)Eレセプターの架橋は、炎症促進性メディエーター(急性アレルギー反応、または中間(I型)過敏性反応を生じる多くの血管作用性サイトカインを含む)の放出をもたらす[Gordonら、Nature 346:274−276(1990)およびGalli,N.Engl.J.Med.,328:257−265(1993)]。インビトロおよびインビボでのIgEレセプター媒介性肥満細胞応答におけるJAK3の重要な役割は、確立されている[Malaviyaら、Biochem.Biophys.Res.Commun.257,807−813(1999)]。さらに、I型過敏性反応(JAK3の阻害を介する肥満細胞活性化により媒介されるアナフィラキシーを含む)の予防もまた、報告されている[Malaviyaら、J.Biol.Chem.274,27028−27038(1999)]。肥満細胞をJAK3インヒビターを用いて標的化することは、インビトロにおける肥満細胞脱顆粒化を調節し、インビボでIgEレセプター/抗原媒介性アナフィラキシー反応を予防した。
【0009】
最近の研究により、免疫抑制および同種移植片受容のためにJAK3の首尾よい標的化が記載された。研究により、JAK3のインヒビターを投与した際にWistar Furthレシピエントにおける水牛心臓同種移植片の用量依存性生存が実証された。このことは、宿主対移植片病において所望されない免疫応答を制御する可能性を示す[Kirken,Transpl.Proc.33:3268−3270(2001)]。
【0010】
IL−4媒介性STATリン酸化は、慢性関節リウマチ(RA)の初期段階および後期段階に関与する機構として示されてきた。RA滑膜および滑液における炎症促進性サイトカインのアップレギュレーションは、この疾患の特徴である。IL−4/STAT経路のIL−4媒介性活性化は、Janusキナーゼ(JAK1および3)を通して媒介され、IL−4関連JAKキナーゼが、RA滑膜において発現されることが実証された[Muller−Ladnerら、J.Immunol.164:3894−3901(2000)]。
【0011】
家族性筋萎縮性側索硬化症(FALS)は、ALS患者の約10%が罹患している致命的な神経変性障害である。FALSマウスの生存率は、JAK3特異的インヒビターで処置すると、増加した。このことは、JAK3がFALSにおいて役割を果たすことを示唆した[Trieuら、Biochem.Biophys.Res.Commun.267,22−25(2000)]。
【0012】
シグナル伝達物質および転写活性化因子(STAT)タンパク質は、とりわけ、JAKファミリーキナーゼによって活性化される。最近の研究の結果によって、JAKファミリーキナーゼを白血病の処置に対する特異的インヒビターで標的化することによるJAK/STATシグナル伝達経路における介入の可能性が示唆された[Sudbeckら、Clin.Cancer Res.5,1569−1582(1999)]。JAK3特異的化合物は、JAK3発現細胞株DAUDI、RAMOS、LC1;19、NALM−6、MOLT−3およびHL−60のクローン生成性増殖を阻害することが示された。
【0013】
動物モデルにおいて、TEL/JAK2融合タンパク質は、骨髄増殖性障害を誘導し、造血細胞株において、TEL/JAK2の導入は、STAT1、STAT3、STAT5、およびサイトカイン非依存性増殖の活性化を生じた[Schwallerら、EMBO J.17,5321−5333(1998)]。
【0014】
JAK3およびTYK2の阻害は、STAT3のチロシンリン酸化を排除し、菌状息肉腫(皮膚T細胞リンパ腫の形態)の細胞増殖を阻害した。これらの結果は、構成的に活性化されたJAK/STAT経路におけるJAKファミリーキナーゼが、菌状息肉腫に存在することを示した[Nielsenら、Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.94,6764−6769(1997)]。同様に、STAT3、STAT5、JAK1およびJAK2は、LCK過剰発現によって初めに特徴づけられたマウスT細胞リンパ腫において構成的に活性化されること、従って、異常な細胞増殖におけるJAK/STAT経路のさらなる関与が実証された[Yuら、J.Immunol.159,5206−5210(1997)]。さらに、IL−6媒介性STAT3活性化は、JAKのインヒビターによってブロックされ、アポトーシスに対する骨髄腫細胞の感作に導いた[Catlett−Falconeら、Immunity 10,105−115(1999)]。
【0015】
グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3(GSK−3)は、各々、別個の遺伝子によりコードされるαアイソフォームおよびβアイソフォームで構成されるセリン/スレオニンキナーゼである[Coghlanら、Chemistry & Biology,7,793−803(2000);KimおよびKimmel,Curr.Opinion Genetics Dev.,10,508−514(2000)]。GSK−3は、糖尿病、アルツハイマー病、躁うつ病および神経変性疾患などのCNS障害、ならびに心筋細胞肥大(cardiomyocete hypertrophy)などが挙げられる種々の疾患への関与が明らかにされた[WO 99/65897;WO 00/38675;およびHaqら、J.Cell.Biol.(2000)151,117]。これらの疾患は、GSK−3が役割を果たす特定の細胞シグナル伝達経路の異常作用により引き起こされ得るか、またはGSK−3が役割を果たす特定の細胞シグナル伝達経路の異常作用を生じ得る。GSK−3は、多数の調節性タンパク質をリン酸化し、多数の調節性タンパク質の活性を調節することが見出されている。これらの調節性タンパク質としては、グリコーゲン合成に必要な律速酵素であるグリコーゲンシンターゼ、微小管結合タンパク質Tau、遺伝子転写因子β−カテニン、翻訳開始因子e1F2B、ならびにATPクエン酸リアーゼ、アキシン(axin)、熱ショック転写因子−1、c−Jun、c−Myc、c−Myb、CREB、およびCEPBαが挙げられる。これらの多様な標的は、細胞代謝、細胞増殖、細胞分化および細胞発生の多くの局面において、GSK−3と関与する。
【0016】
II型糖尿病の処置に関連するGSK−3媒介性経路において、インスリン誘発シグナル伝達は、細胞のグルコース取り込みおよび細胞のグリコーゲン合成を導く。この経路に起因して、GSK−3は、インスリン誘発シグナルの負の制御因子である。通常は、インスリンの存在は、GSK−3媒介性リン酸化の阻害およびグリコーゲンシンターゼの不活性化を引き起こす。GSK−3の阻害は、増加したグリコーゲン合成およびグルコース取り込みを導く[Kleinら、PNAS,93,8455−9(1996);Crossら、Biochem.J.303,21−26(1994);Cohen,Biochem.Soc.Trans.,21,555−567(1993);Massillonら、Biochem.J.299,123−128(1994)]。しかしながら、そのインスリン応答が減退した糖尿病患者においては、グリコーゲン合成およびグルコース取り込みは、インスリンの比較的高い血中濃度にもかかわらず、増加しない。このことは、ついには心臓血管疾患、腎不全および失明を生じ得る急性の影響および長期の影響を伴う、グルコースの異常に高い血中レベルを導く。そのような患者においては、GSK−3についての正常なインスリン誘発の阻害は起こらない。II型糖尿病の患者においては、GSK−3は、過剰発現されることもまた、報告されている[WO 00/38675]。GSK−3の治療的なインヒビターは、それゆえに、インスリンに対する減退した応答を患う糖尿病患者を処置することについて、潜在的に有用である。
【0017】
GSK−3活性はまた、アルツハイマー病にも関連している。この疾患は、周知のβ−アミロイドペプチドおよび細胞内の神経細線維もつれ(tangle)の形成により特徴付けられる。その神経細線維もつれは、過剰リン酸化(hyperphosphorylated)Tauタンパク質を含み、そのTauタンパク質では、Tauが異常な部位でリン酸化されている。GSK−3が、細胞モデルおよび動物モデル中のこれらの異常な部位をリン酸化することが示されている。さらに、GSK−3の阻害が、細胞中のTauの過剰リン酸化を防止することが示されている[Lovestoneら、Current Biology 4、1077−86(1994);Brownleesら、Neuroreport 8,3251−55(1997)]。それゆえに、GSK−3活性は、神経細線維もつれの発生およびアルツハイマー病の進行を促進し得ると考えられている。
【0018】
GSK−3の別の基質は、β−カテニンであり、このβ−カテニンはGSK−3によるリン酸化の後に分解される。β−カテニンの低下したレベルが、分裂病患者において報告されており、β−カテニンの低下したレベルはまた、ニューロン細胞死の増加に関連する他の疾患にも関連付けられている[Zhongら、Nature,395,698−702(1998);Takashimaら、PNAS,90,7789−93(1993);Peiら、J.Neuropathol.Exp,56,70−78(1997)]。
【0019】
Sykは、FcεRI媒介性の肥満細胞脱顆粒および好酸球(eosiniphil)活性化において重要な役割を果たすチロシンキナーゼである。従って、Sykキナーゼは、種々のアレルギー性障害、特に喘息に関与している。Sykは、N−末端のSH2領域を介してFcεRIレセプターのリン酸化γ鎖に結合し、これが下流のシグナル伝達にとって必須であることが示されている[Taylorら、Mol Cell Biol 1995;15:4149。
【0020】
好酸球アポトーシスの阻害が、喘息における血液好酸球増加症および組織好酸球増加症の発生のための重要な機構として提案されている。IL−5およびGM−CSFは、喘息では、アップレギュレーションされ、そしてIL−5およびGM−CSFが、好酸球アポトーシスの阻害により血液好酸球増加症および組織好酸球増加症を引き起こすことが提案される。好酸球アポトーシスの阻害が、喘息における血液好酸球増加症および組織好酸球増加症の発生のための重要な機構として提案されている。Sykキナーゼが、サイトカイン(アンチセンスを用いる)による好酸球アポトーシスの予防のために必要とされることが報告されている[Yousefiら、J Exp Med 1996;183:1407]。
【0021】
骨髄誘導マクロファージ中のFcγR依存性応答およびFcγR非依存性応答におけるSykの役割は、Syk−/−胚からの胎児の肝臓細胞を用いて再形成される照射したマウスのキメラを用いることにより決定されている。Syk欠損マクロファージは、FcγRによって誘発される食作用において不完全であったが、補体に対する応答においては正常な食作用を示した[Kieferら、Mol Cell Biol 1998;18:4209]。エアゾールにして散布したSykアンチセンスが、Syk発現およびマクロファージからのメディエーターの放出を抑制することもまた報告されている[Stentonら、J Immunology 2000;164:3790]。
【0022】
サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、β−シートリッチなアミノ末端葉(lobe)およびより大きなカルボキシ末端葉(大部分はα−へリックスである)からなるセリン/スレオニンプロテインキナーゼである。CDKは、全てのプロテインキナーゼによって共有される11個のサブドメインを提示し、その分子量は、33〜44kDの範囲である。このキナーゼのファミリーは、CDK1、CKD2、CDK4およびCDK6を含むが、十分に活性であるために、CDK2 Thr160に対応する残基で、リン酸化が必要である[Meijer,L.,Drug Resistance Updates,3,83−88(2000)]。
【0023】
各CDK複合体は、調節性サイクリンサブユニット(例えば、サイクリンA、サイクリンB1、サイクリンB2、サイクリンD1、サイクリンD2、サイクリンD3、およびサイクリンE)ならびに触媒性キナーゼサブユニット(例えば、CDK1、CDK2、CDK4、CDK5、およびCDK6)から形成される。異なった各キナーゼ/サイクリン対は、G1期、S期、G2期およびM期として公知の、細胞周期の異なる基および特定の基の調節に機能する。[Nigg,E.,Nature Reviews,2,21−32(2001);Flatt,P.,Pietenpol,J.,Drug Metabolism Reviews,32,283−305(2000)]。
【0024】
CDKは、細胞増殖障害、特に癌に関係している。細胞増殖は、細胞分裂周期の直接的または間接的な調節解除の結果であって、CDKは、この周期の種々の期の調節において重要な役割を果たす。例えば、サイクリンD1の過剰発現は、一般的に、乳癌、結腸癌、肝細胞癌腫および神経膠腫を含む多数のヒト癌と関連している[Flatt,P.,Pietenpol,J.,Drug Metabolism Reviews,32,283−305(2000)]。CDK2/サイクリンE複合体は、細胞周期のG初期からS期までの進行において重要な役割を果たし、サイクリンEの過剰発現は、種々の固形腫瘍と関連している。従って、サイクリンD1、サイクリンEまたはそれらと関連するCDKのインヒビターは、癌治療に対する有用な標的である[Kaubisch,A.,Schwartz,G.,The Cancer Journal,6,192−212(2000)]。
【0025】
CDK、特にCDK2はまた、アポトーシスおよびT細胞の発生において役割を果たす。CDK2は、胸腺細胞アポトーシスの重要な調節因子として同定されている(Williams,O.ら,European Journal of Immunology,709−713(2000)]。CDK2キナーゼ活性の刺激は、特定の刺激に反応して、胸腺細胞におけるアポトーシスの進行と関連している。CDK2キナーゼ活性の阻害は、胸腺細胞の防御を生じるこのアポトーシスをブロックする。
【0026】
細胞周期およびアポトーシスを調節するのに加えて、CDKは、転写のプロセスに直接関与している。多数のウイルスが、その複製プロセスにCDKを必要とする。CDKインヒビターがウイルス複製を抑制する例としては、ヒトサイトメガロウイルス、ヘルペスウイルスおよび水痘−帯状疱疹ウイルスが挙げられる[Meijer,L.、Drug Resistance Updates,3,83−88(2000)]。
【0027】
CDKの阻害はまた、神経変性性障害(例えば、アルツハイマー病)の処置に対して有用である。アルツハイマー病と関連した対らせん状フィラメント(PHF)の出現は、CDK5/p25によるTauタンパク質の過剰リン酸化によって引き起こされる[Meijer,L.,Drug Resistance Updates,3,83−88(2000)]。
【0028】
JNKは、マイトジェン活性化タンパク質(MAP)キナーゼファミリーのメンバーである。MAPキナーゼ(MAPK)は、成長因子、サイトカイン、UV照射、およびストレス誘導薬剤を含む種々のシグナルによって活性化される。MAPKは、セリン/スレオニンキナーゼであり、そしてそれらの活性化は、活性化ループ中のThr−X−Tyrセグメントにおけるスレオニンおよびチロシンの二重リン酸化によって生じる。MAPKは、転写因子を含む種々の基質をリン酸化し、これは、次いで特定の遺伝子セットの発現を調節し、それによって刺激への特定の反応を媒介する。
【0029】
このキナーゼファミリーに対して、3つの別個の遺伝子、JNK1、JNK2、JNK3が同定され、そして少なくとも10個の異なるJNKのスプライシングアイソフォームが、哺乳動物細胞中に存在する[Guptaら、EMBO J.,15,2760−70(1996)]。JNKファミリーのメンバーは、炎症促進性サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)およびインターロイキン−1β(IL−1β))によって、ならびに環境ストレス(アニソマイシン、UV照射、低酸素、および浸透圧性ショックが挙げられる)によって活性化される[Mindenら、Biochemica et Biophysica Acta,1333,F85−F104(1997)]。
【0030】
JNKの下流基質としては、転写因子c−Jun、ATF−2、Elk1、p53、および細胞死ドメインタンパク質(DENN)が挙げられる[Zhangら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,95,2586−91(1998)]。各JNKアイソフォームは、異なる親和性でこれらの基質に結合する。このことは、インビボにおける異なるJNKの基質特異性による、シグナル伝達経路の調節を示唆する(Guptaら、上記)。
【0031】
JNKは、他のMAPKとともに、癌、トロンビン誘導性血小板凝集、免疫不全疾患、自己免疫疾患、細胞死、アレルギー、骨粗鬆症、および心疾患に対する細胞応答を媒介する役割を有することに関係するとみなされてきた。JNK経路の活性化に関する治療標的としては、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性関節リウマチ、喘息、変形性関節症、虚血、癌および神経変性疾患が挙げられる。
【0032】
いくつかの報告は、肝疾患もしくは肝性虚血の発症に関連するJNK活性化の重要性を詳しく述べている[Nat.Genet.21,326−9(1999);FEBS Lett.420,201−4(1997);J.Clin.Invest.102,1942−50(1998);Hepatology 28,1022−30(1998)]。したがって、JNKのインヒビターは、種々の肝障害を処置するのに有用であり得る。
【0033】
JNKが種々の形態の心ストレスに対する肥厚性反応を媒介することが示されているのと同じく、心血管性疾患(例えば、心筋梗塞もしくは鬱血性心不全)におけるJNKの役割もまた、報告されている[Circ.Res.83,167−78(1998);Circulation 97,1731−7(1998);J.Biol.Chem.272,28050−6(1997);Circ.Res.79,162−73(1996);Circ.Res.78,947−53(1996);J.Clin.Invest.97,508−14(1996)]。
【0034】
JNKカスケードはまた、T細胞活性化(IL−2プロモーターの活性化が挙げられる)に役割を果たすことが示されている。したがって、JNKのインヒビターは、病理学的免疫応答を変化させることにおいて治療価値を有し得る。[J.Immunol.162,3176−87(1999);Eur.J.Immunol.28,3867−77(1998);J.Exp.Med.186,941−53(1997);Eur.J.Immunol.26,989−94(1996)]。
【0035】
種々の癌におけるJNK活性化の役割もまた、確立されている。このことは、癌におけるJNKインヒビターの使用の潜在性を示唆する。例えば、構成的に活性されたJNKは、HTLV−1媒介性腫瘍形成に関連する[Oncogene 13,135−42(1996)]。JNKは、カポジ肉腫(KS)において役割を果たし得る。なぜなら、KS細胞におけるβFGFおよびOSMの増殖性作用は、それらのJNKシグナル伝達経路活性化によって媒介されると考えられているためである[J.Clin.Invest.99,1798−804(1997)]。KS増殖に関係するとみなされる他のサイトカインの他の増殖性作用(例えば、血管内皮成長因子(VEGF)、IL−6、およびTNFα)もまた、JNKによって媒介され得る。加えて、p210 BCR−ABL形質転換細胞におけるc−jun遺伝子の調節は、JNKの活性化と対応する。このことは、慢性骨髄性白血病(CML)の処置におけるJNKインヒビターの役割を示唆する[Blood 92,2450−60(1998)]。
【0036】
JNK1およびJNK2は、種々の組織中で広く発現される。対照的に、JNK3は、脳で選択的に発現され、そしてより少ない程度で心臓および精巣で発現される[Guptaら、上記;Mohitら、Neuron 14,67−78(1995);Martinら、Brain Res.Mol.Brain Res.35:47−57(1996)]。JNK3は、カイニン酸によって誘導されるニューロンのアポトーシスに関連している。このことは、グルタミン酸の神経毒性の病原性におけるJNKの役割を示す。ヒト成人の脳において、JNK3発現は、CA1、CA4および海馬の海馬台領域、ならびに新皮質の第3層および第5層における錐体ニューロン(pyramidal neuron)の亜集団に局在する[Mohitら、上記]。急性低酸素症を有する患者のCA1ニューロンは、正常患者の脳組織由来の海馬ニューロンの、わずかなび漫性の細胞質染色と比較して、強力な細胞核のJNK3免疫反応を示した[Zhangら、上記]。したがって、JNK3は、海馬のCA1ニューロンの低酸素性傷害および虚血性傷害に関与するように見える。
【0037】
加えて、JNK3は、アルツハイマー病において脆弱なニューロンに免疫化学的に共局在する[Mohitら、上記]。JNK3遺伝子の破壊は、マウスに、興奮毒性のグルタミン酸レセプターアゴニストであるカイニン酸に対する抵抗性(発作活動、AP−1転写活性、および海馬ニューロンのアポトーシスへの影響が挙げられる)をもたらした。このことは、JNK3シグナル伝達経路が、グルタミン酸神経毒性の病原性における重要な構成成分であることを示す[Yangら、Nature,389,865−870(1997)]。
【0038】
これらの発見に基づいて、JNKのシグナル伝達、特にJNK3のシグナル伝達は、アポトーシス駆動性神経変性疾患(例えば、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、癲癇および発作、ハンチントン病、外傷性脳傷害、ならびに虚血性発作および出血性発作)の分野に関係する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
従って、JAK、JNK、GSK、SYK、およびCDKの活性化に関連した種々の疾患または状態を処置する(特に、これらの障害の大部分に現在利用できる処置が不十分であることを考えると)際に、有用であるJAK、JNK、GSK、SYK、CDKプロテインキナーゼのインヒビターを開発することが大いに必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0040】
(発明の要旨)
現在、本発明の化合物およびそれらの薬学的に受容可能な組成物は、JAK、JNK、GSK、SYK、およびCDKプロテインキナーゼのインヒビターとして有効であることが見出された。ある実施態様では、これらの化合物は、JAK−3、JNK−3、GSK−3、SYK、およびCDK−2プロテインキナーゼのインヒビターとして有効である。これらの化合物は、一般式I、またはそれらの薬学的に受容可能な誘導体を有する:
【0041】
【化9】

ここで、R、T、R、Z、Z、Z、Z、Z、Z、およびZは、以下で定義したとおりである。
【0042】
これらの化合物およびそれらの薬学的組成物は、種々の障害(例えば、心臓病、糖尿病、アルツハイマー病、免疫不全障害、炎症性疾患、アレルギー疾患、自己免疫疾患、破壊的骨障害(例えば、骨粗鬆症)、増殖性障害、感染疾患、免疫媒介疾患およびウイルス疾患)を処置または予防するのに有用である。これらの組成物はまた、細胞死および過形成を防止する方法において有用であり、従って、発作、心臓発作および臓器低酸素における再灌流/虚血を処置または予防するのに使用され得る。これらの組成物はまた、トロンビンが誘発する血小板凝集を防止する方法において有用である。これらの組成物は、以下のような障害に特に有用である:慢性骨髄性白血病(CML)、慢性関節リウマチ、喘息、変形性関節炎、虚血、癌、肝臓の疾患(肝臓虚血を含めて)、心臓病(例えば、心筋梗塞および鬱血性心不全)、T細胞活性化が関与している病的免疫状態、および神経変性障害。
本発明はまた、以下の項目を提供する。
(項目1)
式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩:
【化1】

ここで:
は、Q−Arであり、
ここで、Qは、結合またはC1〜2アルキリデン鎖であり、ここで、Qの一つのメチレン単位は、必要に応じて、O、NR、NRCO、NRCONR、NRCO、CO、CO、CONR、OCONR、SO、SONR、NRSO、NRSONR、COCO、またはCOCHCOで置換されている;
Arは、5〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環または8〜12員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の二環式環系であり、該単環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択され、そして該二環式環系は、0個〜5個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される;ここで、Arは、必要に応じて、Z−Rのq個の独立の出現例で置換されている;ここで、qは、0〜5であり、Zは、結合であるか、またはC〜Cアルキリデン鎖であり、ここで、Zの2個までのメチレン単位は、必要に応じて、独立してCO、CO、COCO、CONR、OCONR、NRNR、NRNRCO、NRCO、NRCO、NRCONR、SO、SO、NRSO、SONR、NRSONR、O、SまたはNRで置換されている;そしてRの各出現例は、独立して、R’、ハロゲン、NO、CN、OR’、SR’、N(R’)、NR’COR’、NR’CON(R’)、NR’COR’、COR’、COR’、OCOR’、CON(R’)、OCON(R’)、SOR’、SOR’、SON(R’)、NR’SOR’、NR’SON(R’)、COCOR’、またはCOCHCOR’から選択されている;
Rの各出現例は、独立して、水素または必要に応じて置換されたC〜C脂肪族である;そして、R’の各出現例は、独立して、水素または必要に応じて置換されたC〜C脂肪族基、3員〜8員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環または8〜12員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の二環式環系であり、該単環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択され、そして該二環式環系は、0個〜5個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される;または、RおよびR’、Rの2個の出現例、もしくはR’の2個の出現例は、それらが結合する原子と一緒になって、3員〜12員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環または3〜12員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の二環式環を形成し、該単環もしくは該二環式環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される;
は、NまたはCHである;
は、NまたはC−URである;
TおよびUは、それぞれ独立して、結合または飽和もしくは不飽和のC1〜6アルキリデン鎖であり、ここで、該鎖の2個までのメチレン単位は、必要に応じて、独立して、CO、CO、COCO、CONR、OCONR、NRNR、NRNRCO、NRCO、NRCO、NRCONR、SO、SO、NRSO、SONR、NRSONR、O、S、またはNRで置換されている;
およびRは、それぞれ独立して、ハロゲン、CN、NO、またはR’である;
、ZおよびZは、それぞれ独立して、NまたはCHであるが、ただしZ、ZおよびZのうちの2個以下がNである;
は、CRである;
は、CRである;
ここで、RまたはRのうちの一方は、Rであり、RまたはRのうちの他方は、RV1であり、ここで:Rは、(CHCN、(CHNO、(CHN(R)、(CHNRC(O)R、(CHCON(R)、(CHCOOR、(CHSON(R)、(CHNRSOR、(CHNRCON(R)、(CHNRSON(R)、(CHCOCOR、(CHArであり、ここで、tは0、1、または2であり、Arは、必要に応じて置換された5〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環であり、該単環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、該ヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される;そして、RV1は、OR’である、
化合物。
(項目2)
が、Nであり、前記化合物が以下の構造II:
【化2】

を有する、項目1に記載の化合物。
(項目3)
が、CHであり、前記化合物が以下の構造III:
【化3】

を有する、項目1に記載の化合物。
(項目4)
が、必要に応じて置換されたフェニル、シクロヘキシル、シクロペンチル、ピリジル、ナフチル、モルホリノ、ピペラジニルまたはピペリジニル環である、項目1に記載の化合物。
(項目5)
が、フェニル、シクロヘキシル、またはピリジルから選択される必要に応じて置換された基である、項目1に記載の化合物。
(項目6)
が、必要に応じて置換されたフェニルである、項目1に記載の化合物。
(項目7)
ZRの各独立の出現例が、ハロゲン、R’、CN、NO、−N(R)(R’)、−OR’、−SR’、−S(O)N(R)(R’)、CO(C1〜4アルキル)、NRSOR、COO(C1〜4アルキル)である、項目1に記載の化合物。
(項目8)
qが、1または2であり、ZRの各独立の出現例が、F、Cl、Br、COO(C1〜4アルキル)、C1〜4アルキル、CN、NO、−NH、−OH、C1〜4アルコキシ、−S(O)NH、または必要に応じて置換されたベンジルオキシ基、フェニルオキシ基、もしくはフェニル基である、項目1に記載の化合物。
(項目9)
TRおよびURが、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、NO、CN、OR、SR、もしくはN(R)、または必要に応じてオキソ、OR、SR、N(R)、ハロゲン、NOもしくはCNで置換されたC1〜4脂肪族である、項目1に記載の化合物。
(項目10)
TR基およびUR基が、それぞれ独立して、水素、Me、OH、OMeまたはN(R)である、項目1に記載の化合物。
(項目11)
(T)および(U)が、それぞれ、水素である、項目1に記載の化合物。
(項目12)
環Bが、以下のi〜viii:
【化4】

のうちの一つから選択される、項目1に記載の化合物。
(項目13)
以下の構造:
【化5−1】

【化5−2】

【化5−3】

【化5−4】

【化5−5】

【化5−6】

のうちの一つを有する、項目1に記載の化合物。
(項目14)
項目13に記載の化合物であって、ここで化合物変数が、以下の群のうちの一つ以上、またはすべてから選択される:
i)Rは、フェニル、シクロヘキシル、シクロペンチル、ピリジル、モルホリノ、ピペラジニルまたはピペリジニルから選択される必要に応じて置換された基から選択される;
ii)Rは、フェニル、シクロヘキシル、またはピリジルから選択される必要に応じて置換された基である;
iii)Rは、必要に応じて置換されたフェニルである;
iv)Arは、5個までのZRの出現例で置換されており、ZR基は、ハロゲン、R’、CN、NO、−N(R)(R’)、−OR’、−SR’、−S(O)N(R)(R’)、CO(C1〜4アルキル)、NRSOR’、COO(C1〜4アルキル)から選択される;
v)qは、1であり、ZRは、F、Cl、Br、COO(C1〜4アルキル)、C1〜4アルキル、CN、NO、−NH、−OH、C1〜4アルコキシ、−S(O)NH、または必要に応じて置換されたベンジルオキシ基、フェニルオキシ基、もしくはフェニル基である;
vi)qは、1であり、ZRは、メタ位またはパラ位にあり、そしてZRは、F、Cl、Br、ベンジルオキシ、フェニル、フェニルオキシ、COO(C1〜4アルキル)、−NH、−OH、C1〜4アルコキシ、または−S(O)NHである;
vii)TRおよびURは、水素、ハロゲン、NO、CN、OR、SRもしくはN(R)、または必要に応じてオキソ、OR、SR、N(R)、ハロゲン、NOもしくはCNで置換されたC1〜4脂肪族から選択される;
viii)TR基およびUR基は、水素、Me、OH、OMeまたはN(R)から選択される;
ix)TRおよびURは、それぞれ、水素である;
x)ZおよびZは、それぞれ、CHである;
xi)tは、0である;
xii)tは、1である;ならびに
xiii)Arは、必要に応じて置換されたテトラゾール基、トリアゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基またはピリジル基である、
化合物。
(項目15)
以下の構造:
【化6−1】

【化6−2】

【化6−3】

【化6−4】

【化6−5】

【化6−6】

のうちの一つを有する、項目1に記載の化合物。
(項目16)
環Aが、ピリミジンである;UR、およびTRが、それぞれ水素であり、前記化合物が以下の一般構造:
【化7−1】

【化7−2】

【化7−3】

【化7−4】

を有する、項目1に記載の化合物。
(項目17)
項目16に記載の化合物であって、ここで:
a.qは0、1、または2であり、ZRは、ハロゲン、R’、CN、NO、−N(R)(R’)、−OR’、−SR’、−S(O)N(R)(R’)、CO(C1〜4アルキル)、NRSOR’、COO(C1〜4アルキル)である;
b.tは、0である;
c.Rは、必要に応じて置換されたC1〜6アルキルまたは水素である;そして
d.R’は、必要に応じて置換されたC1〜6アルキルまたは水素である、
化合物。
(項目18)
項目1に記載の化合物であって、該化合物が、以下の構造:
【化8−1】

【化8−2】

【化8−3】

【化8−4】

【化8−5】

【化8−6】

【化8−7】

【化8−8】

【化8−9】

【化8−10】

【化8−11】

【化8−12】

【化8−13】

【化8−14】

のうちの1個から選択される、化合物。
(項目19)
項目1に記載の化合物と、薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルとを含有する、薬学的組成物。
(項目20)
さらに、追加治療薬を含有し、該追加治療薬が、化学療法薬または抗増殖薬、アルツハイマー病治療薬、パーキンソン病治療薬、多発性硬化症(MS)治療薬、喘息治療薬、統合失調症治療薬、抗炎症薬、免疫調節薬または免疫抑制薬、神経栄養性因子、循環器病治療薬、破壊的骨障害治療薬、肝疾患治療薬、血液疾患治療薬、または免疫不全障害治療薬から選択される、項目25に記載の組成物。
(項目21)
(a)患者;または
(b)生物学的試料におけるJAK−3キナーゼ活性、JNK−3キナーゼ活性、CDK−2キナーゼ活性、SYKキナーゼ活性、GSK−3キナーゼ活性を阻害する方法であって、項目1に記載の化合物または項目19に記載の組成物を該患者に投与するかまたは該生物学的試料と接触させる工程を包含する、方法。
(項目22)
免疫応答、自己免疫疾患、神経変性障害、固形悪性腫瘍または血液悪性腫瘍から選択される疾患または障害を処置するかその重症度を軽くする方法であって、それを必要とする被験体に、項目1に記載の化合物または項目24に記載の組成物を投与する工程を包含する、方法。
(項目23)
前記疾患または障害が、アレルギー性またはI型過感受性反応、喘息、移植片拒絶、移植片対宿主病、慢性関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、家族性筋萎縮性側索硬化症(FALS)、白血病またはリンパ腫から選択される、項目22に記載の方法。
(項目24)
前記患者に、追加治療薬を投与する追加工程を包含し、該追加治療薬が、化学療法薬または抗増殖薬、アルツハイマー病治療薬、パーキンソン病治療薬、多発性硬化症(MS)治療薬、喘息治療薬、統合失調症治療薬、抗炎症薬、免疫調節薬または免疫抑制薬、神経栄養性因子、循環器病治療薬、破壊的骨障害治療薬、肝疾患治療薬、血液疾患治療薬、または免疫不全障害治療薬から選択され、ここで、
該追加治療薬が、治療する疾患に適切であり、そして
該追加治療薬が、単一剤形として、前記組成物と共に投与されるか、または複数剤形の一部として、該組成物とは別々に投与される、項目22に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0043】
(発明の詳細な説明)
I.本発明の化合物の概要
本発明は、式Iの化合物またはそれらの薬学的に受容可能な塩に関する:
【0044】
【化10】

ここで:
は、Q−Arであり、
ここで、Qは、結合またはC1〜2アルキリデン鎖であり、ここで、Qの一つのメチレン単位は、必要に応じて、O、NR、NRCO、NRCONR、NRCO、CO、CO、CONR、OCONR、SO、SONR、NRSO、NRSONR、COCO、またはCOCHCOで置換されている;
Arは、5〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環または8〜12員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の二環式環系であり、この単環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択され、そしてこの二環式環系は、0個〜5個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される;ここで、Arは、必要に応じて、Z−Rのq個の独立の出現例で置換されている;ここで、qは、0〜5であり、Zは、結合であるか、またはC〜Cアルキリデン鎖であり、ここで、Zの2個までのメチレン単位は、必要に応じて、独立してCO、CO、COCO、CONR、OCONR、NRNR、NRNRCO、NRCO、NRCO、NRCONR、SO、SO、NRSO、SONR、NRSONR、O、S、またはNRで置換されている;そしてRの各出現例は、独立して、R’、ハロゲン、NO、CN、OR’、SR’、N(R’)、NR’COR’、NR’CON(R’)、NR’COR’、COR’、COR’、OCOR’、CON(R’)、OCON(R’)、SOR’、SOR’、SON(R’)、NR’SOR’、NR’SON(R’)、COCOR’、またはCOCHCOR’から選択されている;
Rの各出現例は、独立して、水素または必要に応じて置換されたC〜C脂肪族である;そして、R’の各出現例は、独立して、水素または必要に応じて置換されたC〜C脂肪族基、3員〜8員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環または8〜12員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の二環式環系であり、この単環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択され、そしてこの二環式環系は、0個〜5個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される;または、RおよびR’、Rの2個の出現例、もしくはR’の2個の出現例は、それらが結合する原子と一緒になって、必要に応じて置換された3員〜12員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環または3〜12員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の二環式環を形成し、この単環もしくはこの二環式環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される;
は、NまたはCHである;
は、NまたはC−URである;
TおよびUは、それぞれ独立して、結合または飽和もしくは不飽和のC1〜6アルキリデン鎖であり、ここで、この鎖の2個までのメチレン単位は、必要に応じて、独立して、CO、CO、COCO、CONR、OCONR、NRNR、NRNRCO、NRCO、NRCO、NRCONR、SO、SO、NRSO、SONR、NRSONR、O、S、またはNRで置換されている;
およびRは、それぞれ独立して、ハロゲン、CN、NO、またはR’である;
、ZおよびZは、それぞれ独立して、NまたはCHであるが、ただしZ、ZおよびZのうちの2個以下がNである;
は、CRである;
は、CRである;
ここで、RまたはRのうちの一方は、Rであり、RまたはRのうちの他方は、RV1であり、ここで:Rは、(CHCN、(CHNO、(CHN(R)、(CHNRC(O)R、(CHCON(R)、(CHCOOR、(CHSON(R)、(CHNRSOR、(CHNRCON(R)、(CHNRSON(R)、(CHCOCOR、(CHArであり、ここで、tは0、1、または2であり、Arは、必要に応じて置換された5〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環であり、この単環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される;そして、RV1は、OR’である。
【0045】
特定の実施態様では、一般式Iの化合物について:
a)ZがNであり、そしてZがCHである場合には、Rは、2個または3個のOR’の出現例で置換されただけのフェニルではない;
b)ZがNであり、ZがCHであり;そして環Bがフェニルである場合には、Rは、メタ位で、ニトロ、フッ素で置換された低級アルコキシ、または−NRCOOR’、NRCON(R’)、NRCSOR’、もしくはNRCSN(R’)で置換されたフェニルではない;そして
c)ZがNであり、ZがCHであり、そして環Bが、ハロゲン、シアノ、カルバモイル、COOR、COR、SON(R)、N(R)、OR、もしくはフッ素で置換された低級アルキルの一つ以上の出現例で置換されたピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、またはピリダジニルである場合には、Rは、メタ位で、ハロゲン、シアノ、カルバモイル、COOR、COR、SON(R)、N(R)、OR、またはフッ素で置換された低級アルキルで置換されたフェニルではない。
【0046】
さらなる他の実施態様では、上で一般的に記述した式Iの化合物に対して、TRがハロゲンである化合物は除外される。
【0047】
さらなる他の実施態様では、上で一般的に記述した式Iの化合物に対して、TRがシアノである化合物は除外される。
【0048】
特定の他の実施態様では、上で一般的に記述した式Iの化合物に対して、TRがアルキニルである化合物は除外される。
【0049】
2.化合物および定義:
本発明の化合物としては、上で一般的に記述したものが挙げられ、さらに、本明細書中で開示した分類、下位分類および種により例示される。本明細書中で使用する場合には、そうではないと明記しない限り、以下の定義が適用される。本発明の目的のために、化学元素は、the Periodic Table of the Elements,CAS版,Handbook of Chemistry and Physics,第75版に従って同定される。さらに、有機化学の一般的な原理は、「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell,University Science Books,Sausalito:1999および「March’s Advanced Organic Chemistry」、第5版:Smith,M.B.およびMarch,J.編集,John Wiley & Sons,New York:2001で記述されており、それらの全内容は、本明細書中で参考として援用されている。
【0050】
本明細書中で記述する本発明の化合物は、必要に応じて、1個またはそれより多くの置換基(例えば、上で一般に例示したもの、または本発明の特定の分類、下位分類および種で例示されるもの)で置換され得る。「必要に応じて置換された」との語句は、「置換または非置換」との語句と交換可能に使用されることが分かる。一般に、「置換された」との用語(その前に「必要に応じて」との用語が付いていようといまいと)は、所定の構造において特定した置換基のラジカルで水素ラジカルを置き換えることを意味する。そうでないと明記しない限り、必要に応じて置換された基は、その基の各置換可能位置で置換基を有し得、任意の所定の構造にある1個より多い位置が特定した基から選択される1個より多い置換基で置換され得るとき、その置換基は、すべての位置において、同一であってもよく異なっていてもよい。本発明で想定される置換基の組合せは、好ましくは、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物の形成を生じるものである。本明細書中で使用する「安定な」との用語は、それらの製造、検出、ならびに、好ましくは、それらの回収、精製、および本明細書中で開示した目的の1つまたはそれより多くに使用することを可能にする条件に晒すとき、実質的に変化しない化合物を意味する。ある実施態様では、安定な化合物または化学的に実現可能な化合物は、水分または他の化学的に反応性の条件なしで、40℃以下の温度で、少なくとも1週間保持したとき、実質的に変化しないものである。
【0051】
本明細書中で使用する「脂肪族」または「脂肪族基」との用語は、直鎖(すなわち、分枝していない)または分枝の、置換または非置換の炭化水素鎖(これは、完全に飽和しているか、または1個もしくはそれより多くの不飽和単位を含有する)、あるいは単環式炭化水素または二環式炭化水素(これは、完全に飽和しているか、または1個もしくはそれより多くの不飽和単位を含有する)であるが、芳香族ではなく(これはまた、本明細書中にて、「炭素環式」、「環状脂肪族」または「シクロアルキル」とも呼ばれる)、分子の残りと単一の結合点を有する。そうではないと明記しない限り、脂肪族基は、1個〜20個の脂肪族炭素原子を含有する。ある実施態様では、脂肪族基は、1個〜10個の脂肪族炭素原子を含有する。他の実施態様では、脂肪族基は、1個〜8個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施態様では、脂肪族基は、1個〜6個の脂肪族炭素原子を含有し、さらに他の実施態様では、脂肪族基は、1個〜4個の脂肪族炭素原子を含有する。ある実施態様では、「環状脂肪族」(または「炭素環式」または「シクロアルキル」)とは、単環式C〜C炭化水素または二環式C〜C12炭化水素を意味し、これは、完全に飽和しているか、または1個もしくはそれより多くの不飽和単位を含有するが、それは、芳香族ではなく、分子の残りと単一の結合点を有し、ここで、この二環式の環系にある任意の個々の環は、3員〜7員を有する。適当な脂肪族基としては、直鎖または分枝の、置換または非置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびそれらの混成体(例えば、(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニル)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
本明細書中で使用する「ヘテロ脂肪族」との用語は、1個または2個の炭素原子を1個またはそれより多くの酸素、硫黄、窒素、リンまたはケイ素で独立して置換された脂肪族基を意味する。ヘテロ脂肪族基は、置換または非置換、分枝または非分枝、環式または非環式であり得、「ヘテロサイクル」基、「ヘテロシクリル」基、「ヘテロ環状脂肪族」基または「複素環」基を含む。
【0053】
本明細書中で使用する「ヘテロサイクル」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロ環状脂肪族」または「複素環」との用語は、1個またはそれより多くの環員が独立して選択されるヘテロ原子である単環式、二環式または三環式の環系を意味する。ある実施態様では、この「ヘテロサイクル」基、「ヘテロシクリル」基、「ヘテロ環状脂肪族」基または「複素環」基は、3個〜14個の環メンバーを有し、ここで、1個またはそれより多くの環メンバーは、酸素、硫黄、窒素またはリンから独立して選択されるヘテロ原子であり、そしてこの系内の各環は、3個〜7個の環メンバーを含有する。
【0054】
「ヘテロ原子」との用語は、1種またはそれより多くの酸素、硫黄、窒素、リンまたはケイ素(窒素、硫黄、リンまたはケイ素の任意の酸化形態;任意の塩基性窒素の四級化形状;複素環の置換可能窒素(例えば、N(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリル中のもののように)、NH(ピロリジニル中のもののように)またはNR(N−置換ピロリジニル中のもののように)を含む)を意味する。
【0055】
本明細書中で使用する「不飽和」との用語は、ある部分が1個またはそれより多くの不飽和単位を有することを意味する。
【0056】
本明細書中で使用する「アルコキシ」または「チオアルキル」との用語は、酸素原子(「アルコキシ」)または硫黄(「チオアルキル」)原子を介して炭素主鎖に結合したアルキル基(これは、先に定義した)を意味する。
【0057】
「ハロアルキル」、「ハロアルケニル」および「ハロアルコキシ」との用語は、場合によっては、1個またはそれより多くのハロゲン原子で置換され得るアルキル、アルケニルまたはアルコキシを意味する。「ハロゲン」との用語は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0058】
「アリール」との用語は、単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」または「アリールオキシアルキル」のようなそれより大きい部分の一部として使用されるが、全部で5員〜14員を有する単環式、二環式および三環式の環系を意味し、ここで、この環系内の各環は、3員〜7員を含有する。「アリール」との用語は、「アリール環」との用語と交換可能に使用され得る。「アリール」との用語はまた、以下で定義するヘテロアリール環系を意味する。
【0059】
「ヘテロアリール」との用語は、単独で、または「ヘテロアラルキル」または「ヘテロアリールアルコキシ」のようなそれより大きい部分の一部として使用されるが、全部で5員〜14員を有する単環式、二環式および三環式の環系を意味し、ここで、この系内の少なくとも1個の環は、芳香族であり、この系内の少なくとも1個の環は、1個またはそれより多くのヘテロ原子を含有し、ここで、この系内の各環は、3員〜7員を含有する。「ヘテロアリール」との用語は、「ヘテロアリール環」との用語または「ヘテロ芳香族」との用語と交換可能に使用され得る。
【0060】
アリール(アラルキル、アラルコキシ、アリールオキシアルキルなどを含む)基またはヘテロアリール(ヘテロアラルキルおよびヘテロアリールアルコキシなどを含む)基は、1個またはそれより多くの置換基を含有し得、それゆえ、「必要に応じて置換され」得る。上でまたは本明細書中でそうでないと定義していなければ、アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の適当な置換基は、一般に、以下から選択される:ハロゲン;−R;−OR;−SR;必要に応じてRで置換されたフェニル(Ph);必要に応じてRで置換された−O(Ph);必要に応じてRで置換された−(CH1〜2(Ph);必要に応じてRで置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(S)R;−NRC(O)N(R;−NRC(S)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(S)R;−C(O)N(R;−C(S)N(R;−OC(O)N(R;−OC(O)R;−C(O)N(OR)R;−C(NOR)R;−S(O);−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−N(OR)R;−C(=NH)−N(R;−P(O);−PO(R;−OPO(R;−(CH0〜2NHC(O)R;必要に応じてRで置換されたフェニル(Ph);必要に応じてRで置換されたフェニル−O(Ph);必要に応じてRで置換された−(CH1〜2(Ph);または必要に応じてRで置換された−CH=CH(Ph);ここで、Rの独立した出現例は、水素、必要に応じて置換されたC1〜6脂肪族、非置換5員〜6員ヘテロアリールまたは複素環、フェニル、−O(Ph)または−CH(Ph)、または上記定義にもかかわらず、同じ置換基または異なる置換基上での、Rの2個の独立の出現例は、各R基が結合する原子と一緒になって、必要に応じて置換された3員〜12員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環式または二環式の環を形成し、この環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される。
【0061】
の脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロC1〜4脂肪族から選択され、ここで、Rの前述のC1〜4脂肪族基の各々は、非置換である。
【0062】
脂肪族またはヘテロ脂肪族基または非芳香族複素環は、1個またはそれより多くの置換基を含有し得、それゆえ、「必要に応じて置換され」得る。上でまたは本明細書中で定義していなければ、脂肪族またはヘテロ脂肪族基または非芳香族複素環の飽和炭素上の適当な置換基には、アリール基またはヘテロアリール基の不飽和炭素について上で列挙したものから選択され、さらに、以下が挙げられる:=O、=S、=NNHR、=NN(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)または=NRであって、ここで、各Rは、独立して、水素または必要に応じて置換されたC1〜6脂肪族基である。
【0063】
上でまたは本明細書中でそうでないと定義していなければ、非芳香族複素環の窒素上の任意の置換基は、一般に、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(Rまたは−NRSOから選択される;ここで、Rは、水素、必要に応じて置換されたC1〜6脂肪族、必要に応じて置換されたフェニル、必要に応じて置換されたO(Ph)、必要に応じて置換された−CH(Ph)、必要に応じて置換された−(CH1〜2(Ph)、必要に応じて置換された−CH=CH(Ph);または非置換5員〜6員ヘテロアリールまたは複素環(これは、0個〜4個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される)、または上記定義にもかかわらず、同じ置換基または異なる置換基上での、Rの2個の独立の出現例は、各R基が結合する原子と一緒になって、必要に応じて置換された3員〜12員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環式または二環式の環を形成し、この環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される。
【0064】
の脂肪族基またはフェニル環上の任意の置換基は、−NH、−NH(C1〜4脂肪族)、−N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、−OH、−O(C1〜4脂肪族)、−NO、−CN、−COH、−CO(C1〜4脂肪族)、−O(ハロC1〜4脂肪族)またはハロC1〜4脂肪族から選択され、ここで、Rの前述のC1〜4脂肪族基の各々は、非置換である。
【0065】
「アルキリデン鎖」との用語は、直鎖または分枝炭素鎖であって、完全に飽和であり得るか1個またはそれより多くの不飽和単位を有し得かつ分子の残りと2個の結合点を有するものを意味する。
【0066】
上で詳述されるように、ある実施態様では、R(またはR、R、R’または本明細書中で同様に定義した他の変数)の2つの独立した出現例は、それらが結合する原子と一緒になって、必要に応じて置換された3員〜12員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の、単環式または二環式の環を形成し、この環は、0個〜4個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択される。
【0067】
(またはR、R、R’または本明細書中で同様に定義した他の変数)の2個の独立の出現例が、各変数が結合する原子と一緒になる場合に形成される代表的な環には、以下が挙げられるが、これらに限定されない:a)同じ原子に結合し、かつその原子と一緒になって環を形成するR(またはR、R、R’または本明細書中で同様に定義した他の変数)の2個の独立の出現例(例えば、N(Rであり、ここで、Rの両方の出現例は、その窒素原子と一緒になって、ピペリジン−1−イル基、ピペラジン−1−イル基またはモルホリン−4−イル基を形成する);b)異なる原子に結合し、かつこれらの原子の両方と一緒になって環を形成するR(またはR、R、R’または本明細書中で同様に定義した他の変数)の2個の独立の出現例(例えば、ORの2個の出現例で置換されたフェニル基:
【0068】
【化11】

の場合、Rのこれらの2個の出現例は、それらが結合する酸素原子と一緒になって、以下の縮合6員酸素含有環:
【0069】
【化12】

を形成する)。R(またはR、R、R’または本明細書中で同様に定義した他の変数)の2個の独立の出現例が各変数が結合する原子と一緒になる場合に種々の他の環が形成され得、そして上で詳述した例は、限定的であるとは意図されていないことが理解される。
【0070】
そうではないと明記しない限り、本明細書中で描写した構造はまた、その構造の全ての異性体(例えば、鏡像異性体、ジアステレオマーおよび幾何異性体(すなわち、配座異性体));例えば、各非対称中心のRおよびS立体配置、(Z)および(E)二重結合異性体、ならびに(Z)および(E)配座異性体を含むことを意味する。従って、本発明の化合物の単一の立体化学異性体だけでなく鏡像異性体、ジアステレオマーおよび幾何異性体(すなわち、立体配座)混合物は、本発明の範囲内である。そうではないと明記しない限り、本発明の化合物の全ての互変異性体は、本発明の範囲内である。さらに、そうではないと明記しない限り、本明細書中で描写した構造はまた、1個またはそれより多くの同位体が富んだ原子の存在下にてのみ異なる化合物をも含むことを意味する。例えば、水素を重水素または三重水素で置き換えるか、あるいは炭素を13Cまたは14Cに富んだ炭素で置き換えたこと以外は本発明の構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。このような化合物は、例えば、生物学的アッセイにおける分析手段またはプローブとして、有用である。
【0071】
3.代表的な化合物の説明
特定の代表的な実施態様では、ZはNであり、そして一般式IIのアミノピリジンが提供される:
【0072】
【化13】

ここで、R、UR、TR、Z、Z、Z、Z、およびZは、上でそして本明細書中の分類および下位分類で一般的に定義したとおりである。
【0073】
特定の他の代表的な実施態様では、ZはCHであり、そして一般式IIIのアミノピリミジンが提供される:
【0074】
【化14】

ここで、R、UR、TR、Z、Z、Z、Z、およびZは、上でそして本明細書中の分類および下位分類で一般的に定義したとおりである。
【0075】
上で一般的に記述されるように、RはQ−Arである。Rについての特定の代表的な置換基としては、以下のものが挙げられる:フェニル、シクロヘキシル、シクロペンチル、ピリジル、ナフチル、モルホリノ、ピペラジニルまたはピペリジニルから選択される必要に応じて置換された基。他の実施態様では、Rは、フェニル、シクロヘキシル、またはピリジルから選択される必要に応じて置換された基である。さらなる他の実施態様では、Rは、必要に応じて置換されたフェニルである。
【0076】
上に一般的に記載されるように、特定の実施態様では、Arは、0個〜5個のZRの出現例で置換される。代表的なZR基は、ハロゲン、R’、CN、NO、−N(R)(R’)、−OR’、−SR’、−S(O)N(R)(R’)、CO(C1〜4アルキル)、NRSOR’、COO(C1〜4アルキル)から選択される。他の実施態様では、qは1または2であり、そしてZRは、F、Cl、Br、COO(C1〜4アルキル)、C1〜4アルキル、CN、NO、−NH、−OH、C1〜4アルコキシ、−S(O)NH、または必要に応じて置換されたベンジルオキシ基、フェニルオキシ基、もしくはフェニル基である。さらなる他の実施態様では、qは1であり、ZRは、メタ位またはパラ位にあり、そしてZRは、F、Cl、Br、メチル、エチル、ベンジルオキシ、フェニル、フェニルオキシ、COO(C1〜4アルキル)、−NH、−OH、C1〜4アルコキシ、または−S(O)NHである。
【0077】
式Iならびに本明細書中で記載されるようなそれらの分類および下位分類の代表的なTR基およびUR基は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、NO、CN、OR、SR、もしくはN(R)、または必要に応じてオキソ、OR、SR、N(R)、ハロゲン、NOもしくはCNで置換されたC1〜4脂肪族である。他の実施態様では、TRおよびURは、それぞれ独立して、水素、Me、OH、OMeまたはN(R)である。さらなる他の実施態様では、TRおよびURは、それぞれ水素である。
【0078】
特定の他の実施態様では、環Bは、以下に図示される環i〜viiiのうちの一つから選択される。
【0079】
【化15−1】

【0080】
【化15−2】

さらなる他の実施態様では、環Bは、i、ii、v、vi、またはviiである。さらなる他の実施態様では、環Bは、iである。
【0081】
上に一般的に記載されるように、RまたはRのうちの一方は、Rであり、RまたはRのうちの他方は、RV1であり、ここでRは、(CHCN、(CHNO、(CHN(R)、(CHNRC(O)R、(CHCON(R)、(CHCOOR、(CHSON(R)、(CHNRSOR、(CHNRCON(R)、(CHNRSON(R)、(CHCOCOR、(CHArであり、ここで、tは0、1、または2であり、Arは、必要に応じて置換された5〜7員の飽和、部分不飽和または完全不飽和の単環であり、この単環は、0個〜3個のヘテロ原子を有し、このヘテロ原子は、独立して、窒素、酸素または硫黄から選択され;そして、RV1は、OR’である。特定の代表的な実施態様では、Arは、必要に応じて置換されたテトラゾール基、トリアゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基またはピリジル基である。特定の代表的な実施態様では、化合物は、以下に図示される構造のうちの一つを有する:
【0082】
【化16−1】

【0083】
【化16−2】

【0084】
【化16−3】

【0085】
【化16−4】

【0086】
【化16−5】

【0087】
【化16−6】

上記の化合物に対して、環Bが構造i、ii、v、vi、またはviiのうちの一つから選択されることは理解される。特定の代表的な実施態様では、環Bはiから選択される。
【0088】
特定の下位分類の上記化合物は、以下に、より詳細に記載される。上に一般的に記載された化合物(式I)およびその各々について、以下に示される部分集合の任意の組み合わせが利用され、本発明の代表的な下位分類が記載されることは理解される。特に、特定の好ましい部分集合としては、以下のものが挙げられるが、これらに限定されない:
i)Rが、フェニル、シクロヘキシル、シクロペンチル、ピリジル、モルホリノ、ピペラジニルまたはピペリジニルから選択される必要に応じて置換された基から選択される化合物;
ii)Rが、フェニル、シクロヘキシル、またはピリジルから選択される必要に応じて置換された基である化合物;
iii)Rが、必要に応じて置換されたフェニルである化合物;
iv)Arが、5個までのZRの出現例で置換されており、ZR基が、ハロゲン、R’、CN、NO、−N(R)(R’)、−OR’、−SR’、−S(O)N(R)(R’)、CO(C1〜4アルキル)、−NRSOR’、COO(C1〜4アルキル)から選択される化合物;
v)qが、1であり、ZRが、F、Cl、Br、COO(C1〜4アルキル)、C1〜4アルキル、CN、NO、−NH、−OH、C1〜4アルコキシ、−S(O)NH、または必要に応じて置換されたベンジルオキシ基、フェニルオキシ基、もしくはフェニル基である化合物;
vi)qが、1であり、ZRが、メタ位またはパラ位にあり、そしてZRが、F、Cl、Br、ベンジルオキシ、フェニル、フェニルオキシ、COO(C1〜4アルキル)、−NH、−OH、C1〜4アルコキシ、または−S(O)NHである化合物;
vii)TRおよびURが、水素、ハロゲン、NO、CN、OR、SRもしくはN(R)、または必要に応じてオキソ、OR、SR、N(R)、ハロゲン、NOもしくはCNで置換されたC1〜4脂肪族から選択される化合物;
viii)TR基およびUR基が、水素、Me、OH、OMeまたはN(R)から選択される化合物;
ix)TRおよびURが、それぞれ、水素である化合物;
x)ZおよびZが、それぞれ、CHである化合物;
xi)tが、0である化合物;
xii)tが、1である化合物;ならびに
xiii)Arが、必要に応じて置換されたテトラゾール基、トリアゾール基、オキサゾール基、チアゾール基、チアジアゾール基、オキサジアゾール基またはピリジル基である化合物。
【0089】
特定の他の代表的な実施態様は、Rが必要に応じて置換されたフェニルであり、環Bがフェニルであり、そして化合物が以下の構造のうちの一つを有する化合物に関する:
【0090】
【化17−1】

【0091】
【化17−2】

【0092】
【化17−3】

【0093】
【化17−4】

【0094】
【化17−5】

【0095】
【化17−6】

特定の代表的な実施態様はまた、環Aがピリミジンであり;UR、およびTRが、それぞれ、水素であり、そしてその化合物が以下に一般的に図示される一般構造を有する化合物に関する:
【0096】
【化18−1】

【0097】
【化18−2】

【0098】
【化18−3】

【0099】
【化18−4】

上記の化合物の各々についての特定の代表的な部分集合としては、以下のような化合物が挙げられる:
a.qが0、1、または2であり、ZRが、ハロゲン、R’、CN、NO、−N(R)(R’)、−OR’、−SR’、−S(O)N(R)(R’)、CO(C1〜4アルキル)、−NRSOR’、COO(C1〜4アルキル)である化合物;
b.tが、0である化合物;
c.Rが、必要に応じて置換されたC1〜6アルキルまたは水素である化合物;および
d.R’が、必要に応じて置換されたC1〜6アルキルまたは水素である化合物。
【0100】
式IIおよび式IIIの化合物の代表的な例は、以下の表1および表2に示される。
【0101】
(表1.式IIの化合物の例)
【0102】
【化19−1】

【0103】
【化19−2】

【0104】
【化19−3】

【0105】
【化19−4】

【0106】
【化19−5】

【0107】
【化19−6】

【0108】
【化19−7】

【0109】
【化19−8】

【0110】
【化19−9】

【0111】
【化19−10】

【0112】
【化19−11】

【0113】
【化19−12】

(表2.式IIIの化合物の例)
【0114】
【化20−1】

【0115】
【化20−2】

【0116】
【化20−3】

4.一般的な合成方法:
本発明の化合物は、一般に、以下のスキーム1、スキーム2およびスキーム3ならびに以下の調製実施例で説明するように、類似の化合物について当業者に公知の方法により、調製され得る。
【0117】
以下のスキーム1、スキーム2およびスキーム3は、本発明の特定の代表的化合物の合成を一般的に描写する。具体的には、スキーム1は、RがCOOHまたはCON(R)であり、かつRがOHである化合物の合成を描写する。スキーム2は、RがNOまたはN(R)であり、かつRがOR’である化合物を描写する。スキーム3は、RがCON(R)であり、かつRがOR’である化合物の合成を描写する。Rが一般的に本明細書中の部分集合に定義されるさらなる化合物が、適切な出発物質を用いて、上記一般方法および当該分野で公知の方法に従って調製され得ることは理解される。
【0118】
【化21】

【0119】
【化22】

5.用途、処方および投与
(薬学的に受容可能な組成物)
上述のように、本発明は、プロテインキナーゼのインヒビターである化合物を提供し、本発明の化合物は、以下を含む(これらに限定されないが)疾患、障害および状態を処置するのに有用である:増殖性障害、心臓障害、神経変性障害、精神病的障害、自己免疫性障害、臓器移植に関連した状態、炎症障害、免疫学的に媒介された障害、ウイルス性疾患または骨障害。好ましい実施態様では、これらの化合物は、以下を処置するのに有用である:アレルギー、喘息、糖尿病、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、AIDS関連痴呆、筋萎縮性側索硬化症(AML、ルーゲーリック病)、多発性硬化症(MS)、統合失調症、心筋細胞肥大、再灌流/虚血(例えば、発作)、脱毛、癌、肝腫大、循環器病(心肥大を含む)、嚢胞性線維症、ウイルス性疾患、自己免疫疾患、アテローム性動脈硬化症、再狭窄、乾癬、炎症、高血圧症、狭心症、脳血管収縮、末梢循環障害、早産、動脈硬化症、血管攣縮(大脳の血管攣縮、冠血管血管攣縮)、網膜症、勃起機能障害(ED)、AIDS、骨粗鬆症、クローン病および大腸炎、神経突起成長、およびレイノー病。好ましい実施態様では、この疾患、状態または障害は、アテローム性動脈硬化症、高血圧症、勃起機能障害(ED)、再灌流/虚血(例えば、発作)または血管攣縮(大脳血管攣縮および冠血管血管攣縮)である。
【0120】
従って、本発明の別の局面では、薬学的に受容可能な組成物が提供され、ここで、これらの組成物は、本明細書で記述した化合物のいずれかを含有し、必要に応じて、薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルを含有する。ある実施態様では、これらの化合物は、必要に応じて、さらに、1種またはそれより多くのさらなる治療薬を含有する。
【0121】
本発明の特定の化合物は、処置のための遊離形態で存在でき、または適当な場合、それらの薬学的に受容可能な誘導体として存在できることが分かる。本発明に従って、薬学的に受容可能な誘導体としては、薬学的に受容可能なプロドラッグ、塩、エステル、このようなエステルの塩、または任意の他の付加物または誘導体が挙げられるがこれらに限定されず、これらは、必要とする患者への投与後、直接的または間接的に、本明細書中で記述した化合物またはそれらの代謝物もしくは残留物を提供できる。
【0122】
本明細書中で使用する「薬学的に受容可能な塩」とは、適切な医学的判断の範囲内において、過度の毒性、刺激、アレルギー応答などなしで、ヒトおよび下等動物の組織と接触して使用するのに適当な塩であって、合理的な有益性/リスク比と釣り合った塩を意味する。「薬学的に受容可能な塩」とは、本発明の化合物の任意の非毒性の塩またはエステルの塩であって、レシピエントに投与した際、本発明の化合物またはそれらの阻害活性代謝物または残留物を直接的または間接的のいずれかで提供できるものを意味する。本明細書中で使用する「それらの阻害活性代謝物または残留物」とは、その代謝物または残留物がまた、JAK−3、JNK−3、CDK−2、SYK、またはGSK−3キナーゼのインヒビターでもあることを意味する。
【0123】
薬学的に受容可能な塩は、当該技術分野で周知である。例えば、S.M.Bergeらは、J.Pharmaceutical Sciences、1977,66,1−19(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)において、薬学的に受容可能な塩を詳細に記述している。本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩は、適当な無機および有機の酸および塩基から誘導したものが挙げられる。薬学的に受容可能な非毒性の酸付加塩の例としては、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸)または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸またはマロン酸)と共にまたは当該技術分野で使用される他の方法(例えば、イオン交換)を使用することにより形成されたアミノ基の塩がある。他の薬学的に受容可能な塩には、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、ショウノウ酸塩、ショウノウスルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバリン酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。適当な塩基から誘導された塩には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩およびN(C1〜4アルキル)塩が挙げられる。本発明はまた、本明細書中で開示した化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化を想定している。このような四級化により、水溶性もしくは油溶性または水分散性もしくは油分散性の生成物を得ることができる。代表的なアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩には、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらに別の薬学的に受容可能な塩には、適当な場合には、非毒性のアンモニウム、四級アンモニウム、およびアミンカチオンが挙げられ、これらは、対イオンを使用して形成される(例えば、ハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩およびアリールスルホン酸塩)。
【0124】
上記のように、本発明の薬学的に受容可能な組成物は、さらに、薬学的に受容可能な担体、アジュバントまたはビヒクルを含有し、これは、本明細書中で使用するように、望ましい特定の剤形に適するように、任意の全ての溶媒、希釈剤、または他の液状ビヒクル、分散助剤または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、防腐剤、固形結合剤、潤滑剤などが挙げられる。Remington’s Pharmaceutical Sciences,第16版,E.W.Martin(Mack Publishing Co.,Easton,Pa.,1980)は、薬学的に受容可能な組成物を処方するのに使用される種々の担体およびそれらの公知の調製技術を開示している。任意の従来と同じ担体媒体が、例えば、望ましくない生物学的効果を生じることにより、あるいは、他の有害な様式で、薬学的に受容可能な組成物の任意の他の成分と相互作用することにより、本発明の化合物と非相溶性である範囲以外は、その用途は、本発明の範囲内であることが意図される。薬学的に受容可能な担体として役立ち得る物質の一部の例には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質(例えば、ヒト血清アルブミン)、緩衝液基質(例えば、リン酸塩)、グリシン、ソルビン酸またはソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質(例えば、硫酸プロタミン)、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロック共重合体および羊毛脂、糖(例えば、ラクトース、グルコースおよびスクロース);デンプン(例えば、コーンスターチおよびポテトスターチ);セルロースおよびその誘導体(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロース);粉末化トラガカント;モルト;ゼラチン;タルク;賦形剤(例えば、ココアバターおよび坐剤ワックス);オイル(例えば、落花生油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、とうもろこし油および大豆油);グリコール(例えば、フロピレングリコール);エステル(オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチル);寒天;緩衝剤(例えば、水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウム);アルギン酸;発熱物質を含まない水;等張性生理食塩水;リンゲル液;エチルアルコールおよびリン酸緩衝液だけでなく、他の非毒性相溶性潤滑剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム)および着色剤、解離剤、被覆剤、香料、調香剤および防腐剤および酸化防止剤が挙げられるが、これらに限定されず、それらは、調合者の判断に従って、その組成物中に存在し得る。
【0125】
(化合物および薬学的に受容可能な組成物の用途)
さらに別の局面では、増殖性障害、心臓障害、神経変性障害、精神病的障害、自己免疫性障害、臓器移植に関連した状態、炎症障害、免疫障害、免疫学的に媒介された障害、ウイルス性疾患または骨障害を処置またはその重症度を軽くする方法が提供され、この方法は、それが必要な被験体に、有効量の、化合物、または化合物を含有する薬学的に受容可能な組成物を投与する工程を包含する。本発明のある実施態様では、上記化合物または薬学的に受容可能な組成物の「有効量」とは、増殖性障害、心臓障害、神経変性障害、精神病的障害、自己免疫性障害、臓器移植に関連した状態、炎症障害、免疫障害、免疫学的に媒介された障害、ウイルス性疾患または骨障害を処置またはその症状を軽減するのに有効な量である。これらの化合物および組成物は、本発明の方法に従って、増殖性障害、心臓障害、神経変性障害、自己免疫性障害、臓器移植に関連した状態、炎症障害、免疫障害、免疫学的に媒介された障害、ウイルス性疾患または骨障害を処置するかその重症度を軽くするのに有効な任意の量および任意の投与経路を使用して、投与され得る。必要な正確な量は、被験体の種、年齢および一般的な健康状態、感染の重症度、特定の薬剤、その投与様式などに依存して、被験体ごとに変わる。本発明の化合物は、好ましくは、投与を容易にし投薬を均一にするために、単位剤形で処方される。本明細書中で使用する「単位剤形」との表現は、処置される患者に適当な物理的に別個の単位の薬剤を意味する。しかしながら、本発明の化合物および組成物の一日の総使用量は、適切な医学的判断の範囲内で、担当医により決定されることが分かる。任意の特定の患者または生物体に特定の有効用量レベルは、種々の要因に依存しており、これらには、処置されようとする障害およびその障害の重症度;使用する特定の化合物の活性;使用する特定の組成物;患者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別および常食;使用する特定の化合物の投与時間、投与経路および排出速度;処置の持続時間;使用する特定の化合物と併用または同時使用する薬剤;および医学分野で周知の類似の要因が挙げられる。本明細書中で使用する「患者」との用語は、動物、好ましくは、哺乳動物、最も好ましくは、ヒトを意味する。
【0126】
本発明の薬学的に受容可能な組成物は、処置されようとする感染の重症度に依存して、経口的、直腸的、非経口的、大槽内的、膣内的、腹腔内的、局所的(散剤、軟膏または滴剤により)、舌下的、経口または鼻内スプレーとしてなどで、投与できる。ある実施態様では、本発明の化合物は、所望の治療効果を得るために、1日1回またはそれより多く、1日あたり、被験体の体重1kgあたり、約0.01mg〜約50mg、約1mg〜約25mgで、経口的または非経口的に投与され得る。
【0127】
経口投与用の液状剤形には、薬学的に受容可能な乳濁液、微小乳濁液、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤が挙げられるが、これらに限定されない。これらの活性化合物に加えて、これらの液状剤形は、当該技術分野で通例使用される不活性希釈剤(例えば、水および他の溶媒)、可溶化剤および乳化剤(例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、オイル(特に、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油))、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物を含有し得る。不活性希釈剤以外に、これらの経口組成物はまた、補助剤(例えば、湿潤剤、乳化剤および懸濁液、甘味料、香料および調香剤)も含有できる。
【0128】
注射可能製剤(例えば、無菌注射可能水性または油性懸濁液)は、適当な分散剤または湿潤剤および懸濁液を使用して、公知技術に従って、処方され得る。この無菌注射可能製剤はまた、非毒性の非経口的に受容可能な希釈剤または溶媒中の無菌注射可能溶液、懸濁液または乳濁液(例えば、1,3−ブタンジオール溶液)であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒には、水、リンゲル液、U.S.P.および等張性塩化ナトリウム溶液がある。それに加えて、滅菌された不揮発性油は、通常、溶媒または懸濁媒体として、使用される。この目的のために、任意のブランドの不揮発性油が使用でき、これらには、合成のモノグリセリドまたはジグリセリドが挙げられる。それに加えて、注射可能物の調製では、脂肪酸(例えば、オレイン酸)が使用される。
【0129】
これらの注射可能処方は、例えば、細菌保持フィルターで濾過することにより、または使用前に滅菌水または他の無菌注射可能媒体に溶解または分散できる無菌固形組成物の形状で可溶化剤を取り込むことにより、滅菌できる。
【0130】
本発明の化合物の効果を延ばすために、しばしば、皮下注射または筋肉内注射からのその化合物の吸収を遅くすることが望ましい。これは、水溶性に乏しい結晶性物質または非晶質物質の液状懸濁液の使用を伴い得る。次いで、この化合物の吸収速度は、その溶解度に依存し、これは、順に、結晶の大きさおよび結晶形状に依存し得る。あるいは、非経口投与した化合物形状の遅延吸収は、その化合物をオイルビヒクルに溶解または懸濁することを伴う。注射可能デポー形状は、その化合物のマイクロカプセル化マトリックスを生物分解性重合体(例えば、ポリラクチド−ポリグリコチド)で形成することにより、行われる。化合物と重合体との比および使用する重合体の性質に依存して、化合物放出速度が制御できる。他の生体分解性重合体の例には、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射可能処方もまた、その化合物をリポソームまたは微小乳濁液(これらは、体組織と適合性である)に取り込むことにより、調製される。
【0131】
直腸投与または膣内投与用の組成物には、好ましくは、坐剤があり、これらは、本発明の化合物を適当な非刺激性賦形剤または担体(例えば、ココアバター。ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックス(これらは、室温で固形であるが、対応で液状となり、従って、直腸または膣腔で溶解して、活性化合物を放出する))と混合することにより、調製できる。
【0132】
経口投与用の固形剤形には、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤が挙げられる。このような剤形では、その活性化合物は、少なくとも1種の不活性で薬学的に受容可能な賦形剤または担体(例えば、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム)および/またはa)充填剤または増量剤(例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸)、b)結合剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよびアラビアゴム)、c)湿潤剤(例えば、グリセロール)、d)崩壊剤(例えば、寒天、炭酸カルシウム、ポテトデンプンまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、および炭酸ナトリウム)、e)溶解遅延剤(例えば、バラフィン)、f)吸収促進剤(例えば、四級アンモニウム化合物)、g)加湿剤(例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート)、h)吸収剤(例えば、カオリンおよびベントナイト粘土)、およびi)潤滑剤(例えば、タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびそれらの混合物)と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形はまた、緩衝化剤を含み得る。
【0133】
類似の種類の固形組成物もまた、ラクトースすなわち乳糖および高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、軟質および硬質ゼラチンカプセルの充填剤として、使用され得る。錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固形剤形は、被覆および殻(例えば、腸溶性被覆および医薬処方技術で周知の他の被覆)と共に調製できる。それらは、必要に応じて、不透明化剤を含有し得、また、優先的には、腸管の一部にて、必要に応じて、遅延様式で、その活性成分のみを放出する組成であり得る。使用できる包埋組成物の例には、重合性物質およびワックスが挙げられる。類似の種類の固形組成物もまた、ラクトースまたは乳糖だけでなく高分子量ポリエチレングリコールなどのような賦形剤を使用して、軟質および硬質ゼラチンカプセルの充填剤として、使用され得る。
【0134】
これらの活性化合物はまた、上で述べたような1種またはそれより多くの賦形剤とのマイクロカプセル化形状であり得る。錠剤、糖衣錠剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固形剤形は、被覆および殻(例えば、腸溶性被覆および医薬処方分野で周知の他の被覆)と共に調製できる。このような固形剤形では、その活性化合物は、少なくとも1種の不活性希釈剤(例えば、スクロース、ラクトースまたはデンプン)と混合され得る。このような剤形はまた、通常の方法と同様に、不活性希釈剤以外のさらなる物質(例えば、錠剤化潤滑剤および他の錠剤化助剤(例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロース))を含有し得る。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、それらの剤形はまた、緩衝剤を含有し得る。それらは、必要に応じて、不透明化剤を含有し得、また、優先的には、腸管の一部にて、必要に応じて、遅延様式で、その活性成分のみを放出する組成であり得る。使用できる包埋組成物の例には、重合性物質およびワックスが挙げられる。
【0135】
本発明の化合物を局所投与または経皮投与する剤形としては、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、散剤、液剤、噴霧剤、吸入剤またはパッチが挙げられる。その活性成分は、必要に応じて、無菌条件下にて、薬学的に受容可能な担体および任意の必要な防腐剤または緩衝剤と混合される。眼科処方、点耳液および点眼液もまた、本発明の範囲内であると見なされる。さらに、本発明は、経皮パッチの使用を考慮しており、これらは、ある化合物を体内に制御した送達するというさらなる利点がある。このような剤形は、その化合物を適当な媒体に溶解または分散することにより、製造できる。この化合物が皮膚を横切る流動を高めるために、吸収向上剤もまた使用できる。その速度は、速度制御膜を提供することにより、またはその化合物を重合体マトリックスまたはゲルに分散させることにより、いずれかにより、制御できる。
【0136】
上で一般的に記載されるように、本発明の化合物は、プロテインキナーゼのインヒビターとして有用である。1つの実施態様において、本発明の化合物および組成物は、JAK−3、JNK−3、CDK−2、SYK、またはGSK−3の1つまたはそれより多くのインヒビターであり、従って、任意の特定の理論によって束縛されることを望まないが、上記化合物および組成物は、疾患、状態、または障害を処置するかまたはその重篤度を減少させるために特に有用であり、ここで、JAK−3、JNK−3、CDK−2、SYK、またはGSK−3の1つまたはそれより多くの活性化が、この疾患、状態、または障害に関係している。JAK−3、JNK−3、CDK−2、SYK、またはGSK−3の活性化が特定の疾患、状態、または障害に関係する場合、この疾患、状態、または障害は、「JAK−3媒介疾患、JNK−3媒介疾患、CDK−2媒介疾患、SYK媒介疾患、もしくはGSK−3媒介疾患」または疾患症状と呼ばれ得る。従って、別の局面において、本発明は、JAK−3、JNK−3、CDK−2、SYK、またはGSK−3の1つまたはそれより多くの活性化が疾患状態に関連する疾患、状態または障害を処置するかまたはその重篤度を減少するための方法を提供する。
【0137】
JAK−3、JNK−3、CDK−2、SYK、またはGSK−3のインヒビターとして本発明において利用される化合物の活性は、インビトロ、インビボまたは細胞株においてアッセイされ得る。インビトロアッセイとしては、活性化されたJAK−3、JNK−3、CDK−2、SYK、またはGSK−3のリン酸化活性またはATP分解酵素活性のどちらかの阻害を決定するアッセイが挙げられる。インビトロアッセイの代替物は、JAK−3、JNK−3、CDK−2、SYK、またはGSK−3に結合するためのインヒビターの能力を定量化する。インヒビター結合を、結合する前にインヒビターを放射標識すること、インヒビター/JAK−3複合体、インヒビター/JNK−3複合体、インヒビター/CDK−2複合体、インヒビター/SYK複合体またはインヒビター/GSK−3複合体を単離すること、および結合した放射標識量を決定することによって、測定し得る。あるいは、新規インヒビターを、既知の放射性リガンドに結合するJAK−3、JNK−3、CDK−2、SYK、またはGSK−3とともにインキュベートする競合実験を行うことによって、インヒビター結合を決定し得る。
【0138】
本明細書中で使用する「測定可能に阻害する」との用語は、上記組成物ならびにJAK−3キナーゼ、JNK−3キナーゼ、CDK−2キナーゼ、SYKキナーゼ、またはGSK−3キナーゼを含有する試料と、上記組成物なしでJAK−3キナーゼ、JNK−3キナーゼ、CDK−2キナーゼ、SYKキナーゼ、またはGSK−3キナーゼを含有する等価試料との間のJAK−3、JNK−3、CDK−2、SYK、またはGSK−3の活性の測定可能な変化を意味する。
【0139】
用語「JAK媒介性疾患」は、本明細書中で使用される場合、JAKファミリーキナーゼが役割を果たすことが公知である任意の疾患または他の有害な状態を意味する。このような状態としては、限定しないが、免疫応答(例えば、アレルギー性超過敏性反応、I型超過瓶性反応)、喘息、自己免疫疾患(例えば、移植拒絶、移植対宿主疾患、慢性関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、および多発性硬化症)、神経変性障害(例えば、家族性筋萎縮性側索硬化症(FALS))、ならびに固形悪性腫瘍、血液学的悪性腫瘍(例えば、白血病およびリンパ腫)が挙げられる。
【0140】
別の実施態様に従って、本発明は、被験体において、CDK2媒介性疾患またはCDK2媒介状態を処置するか、またはその重症度を減少させるための方法を提供し、その被験体に本発明に従う組成物を投与する工程を包含する。
【0141】
用語「CDK2媒介性疾患」は、本明細書中で使用される場合、CDK2が役割を果たすことが公知である任意の疾患または他の有害な状態を意味する。従って、これらの化合物は、CDK2キナーゼの活性化により影響されることが公知である疾患または状態を処置するのに有用である。そのような疾患または状態としては、癌、アルツハイマー病、再狭窄、新脈管形成、糸球体腎炎、サイトメガロウイルス、HIV、ヘルペス、乾癬、アテローム性動脈硬化症、脱毛症、および自己免疫疾患(例えば、慢性関節リウマチ、ウイルス感染、神経変性障害、胸腺細胞アポトーシスと関連する障害、または細胞周期(特に、G1期からS期への進行について)の調節解除から生じる増殖性障害が挙げられる。
【0142】
別の実施態様に従って、本発明は、被験体において、CDK2媒介性疾患またはCDK2媒介状態を処置するか、またはその重症度を減少させるための方法を提供し、その被験体に本発明に従う組成物を投与する工程を包含する。
【0143】
用語「JNK媒介状態」とは、本明細書中で使用される場合、JNKが、役割を果たすことが公知である任意の疾患状態または他の有害な状態を意味する。このような状態としては、炎症疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、癌、感染症、神経変性疾患、アレルギー、発作における再灌流/虚血、心臓発作、血管障害、臓器低酸素症、血管肥厚化、心肥大、トロンビン誘導性血小板凝集、ならびにプロスタグランジンエンドペルオキシダーゼシンターゼ−2に関連する状態が挙げられるがこれらに限定されない。
【0144】
「JNK媒介状態」にはまた、発作における虚血性/再灌流、心臓発作、心筋虚血、臓器低酸素症、血管肥厚化、心肥大、肝臓虚血、肝疾患、うっ血性心不全、病理的免疫応答(例えば、T細胞活性化およびトロンビン誘導性血小板凝集により生じる免疫応答)が挙げられる。
【0145】
さらに、本発明のJNKインヒビターは、誘導性炎症促進性タンパク質の発現を阻害し得る。それゆえ、本発明の化合物により処置され得る他の「JNK媒介状態」としては、水腫、痛覚脱失、熱および疼痛(例えば、神経筋疼痛、頭痛、癌性疼痛、歯痛および関節炎痛)が挙げられる。
【0146】
別の実施態様に従って、本発明は、被験体において、GSK3媒介性疾患またはGSK3媒介状態を処置するか、またはその重症度を減少させるための方法を提供し、その被験体に本発明に従う組成物を投与する工程を包含する。
【0147】
用語、「GSK3媒介性疾患」または「GSK3媒介性状態」とは、本明細書中で使用される場合、GSK3プロテインキナーゼが一定の役割を果たすことが公知である任意の疾患または他の有害状態を意味する。このような状態としては、糖尿病、神経変性疾患、アルツハイマー病、.ハンチントン病、パーキンソン病、AIDS関連痴呆、筋萎縮性側索硬化症(AML)、多発性硬化症(MS)、統合失調症、発作、心筋細胞肥大、および禿頭症が挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
別の実施態様に従って、本発明は、被験体において、Syk媒介性疾患またはSyk媒介状態を処置するか、またはその重症度を減少させるための方法を提供し、その被験体に本発明に従う組成物を投与する工程を包含する。
【0149】
「Syk媒介疾患」または「Syk媒介性状態」とは、本明細書中で使用される場合、本明細書中で使用される場合、Sykプロテインキナーゼが一定の役割を果たすことが公知である任意の疾患または他の有害状態を意味する。このような状態としては、アレルギー性障害、特に喘息が挙げられるが、これらに限定されない。
【0150】
本発明の化合物および薬学的に受容可能な組成物が、併用療法において使用され得る、すなわち、化合物および薬学的に受容可能な組成物が、1つ以上の他の所望の治療剤または医療手順と同時に、1つ以上の他の所望の治療剤または医療手順の前に、または1つ以上の他の所望の治療剤または医療手順の後に、投与され得ることがまた理解される。併用レジメンにおいて使用するための治療(治療剤または手順)の特定の組み合わせは、所望の治療剤および/または手順の適合性、ならびに達成される所望の治療効果を考慮する。使用される治療剤が、同じ障害に対して所望の効果を達成し得る(例えば、本発明の化合物が同じ障害を処置するために使用される別の薬剤と同時投与され得る)か、またはこれらが、異なる効果を達成し得る(例えば、任意の有害な効果の制御)。本明細書中で使用されるように、特定の疾患、または状態を処置または予防するために通常投与されるさらなる治療剤は、「処置される疾患または状態に対して適切である」として公知である。
【0151】
例えば、化学療法薬または他の抗増殖性薬剤は、増殖性疾患および癌を処置するために、本発明の化合物と組み合わされ得る。公知の化学療法薬の例としては、例えば、以下が挙げられるがこれらに限定されない:本発明の抗癌剤と組み合わせて使用され得る他の治療または抗癌剤としては、外科手術、放射線療法(ほんの数例として、(少し挙げると)ガンマ線、中性子ビーム放射線療法、プロトン療法、近接照射療法、および全身性放射性同位体など)、内分泌療法、生物学的応答改変因子((少し挙げると)インターフェロン、インターロイキン、および腫瘍絵師因子(TNF)など)、温熱療法および凍結療法、任意の有害影響を原弱するための因子(例えば、制吐剤)、および他の認可された化学療法薬(アルキル化剤(メクロレタミン、クロラムブシル、シクロホスファミド、メルファラン、イフォスファミド)、抗代謝剤(メトトレキサート)、プリンアンタゴニストおよびピリミジンアンタゴニスト(6−メルカプトプリン、5−フルオロウラシル、シタラビル(Cytarabile)、ゲムシタビン)、紡錘体毒(ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル)、ポドフィロトキシン(エトポシド、イリノテカン、トポテカン)、抗生物質(ドキソルビシン、ブレオマイシン、マイトマイシン)、ニトロソウレア(カルムスチン、ロムスチン)、無機イオン(シスプラチン、カルボプラチン)、酵素(アスパラギナーゼ)、およびホルモン(タモキシフェン、ロイプロリド、フルタミド、およびメゲストロール)、GleevecTM、アドリアマイシン、デキサメタゾン、およびシクロホスファミドが挙げられる。最新の癌療法についてのより一般的な考察について、http://www.nci.nih.gov/、http://www.fda.gov/cder/cancer/druglistframe.htmのFDA認可腫瘍学薬物のリスト、およびThe Merck Manual,第17版,1999(これらの内容全体が本明細書によって参考として援用される)を参照のこと。
【0152】
本発明のインヒビターと組み合わせ得る薬剤の他の例としては以下が挙げられるがこれらに限定されない:アルツハイマー病のための処置物質(例えば、Aricept(登録商標)およびExcelon(登録商標));パーキンソン病のための処置物質(例えば、L−DOPA/カルビドパ、エンタカホン(entacapone)、ロピンロール(ropinrole)、プラミペキソール(pramipexole)、ブロモクリプチン(bromocriptine)、ペルゴリド、トリへキセフェンチジルおよびアマンタジン);多発性硬化症(MS)のための薬剤(例えば、β−インターフェロン(例えば、Avonex(登録商標)およびRebif(登録商標))、Copaxone(登録商標)、ミトキサントロン);喘息のための処置物質(例えば、アルブテロールおよびSingulair(登録商標);統合失調症のための処置物質(例えば、ジプレキサ(zyprexa)、リスペルダル(risperdal)、セルクエル(seroquel)およびハロペリドール);抗炎症剤(例えば、コルチコステロイド、TNFブロッカー、IL−1 RA、アザチオプリン、シクロホスファミドおよびスルファサラジン);免疫調整剤および免疫抑制剤(例えば、シクロスポリン、タクロリウム、ラパミシン、ミコフェノレートモフェティル(mycophenolate mofetil)、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホスファミド、アザチオプリンおよびサルファサラジン);神経栄養因子(例えば、アセチルコリンエステラーゼインヒビター、MAOインヒビター、インターフェロン、抗痙攣薬、イオンチャンネルブロッカー、リルゾール(riluzole)および抗パーキンソン病剤);心臓血管疾患を処置するための薬剤(β−ブロッカー、ACEインヒビター、利尿剤、硝酸塩、カルシウムチャンネルブロッカーおよびスタチン);肝疾患を処置するための薬剤(例えば、コルチコステロイド、コレスチラミン、インターフェロンおよび抗ウイルス薬;血液障害を処置するための薬剤(例えば、コルチコステロイド、抗白血病薬および成長因子);ならびに免疫欠損障害を処置するための薬剤(例えば、γ−グロブリン)。
【0153】
本発明の組成物に存在するさらなる治療剤の量は、活性薬剤だけとして治療剤を含む組成物において通常投与される量よりも多くはない。好ましくは、本明細書中で開示される組成物におけるさらなる治療剤の量は、治療的に活性な薬剤だけとしてその薬剤を含む組成物中に通常存在する量の約50%〜100%の範囲である。
【0154】
本発明の化合物またはその薬学的に受容可能な組成物はまた、移植可能な医療デバイス(例えば、義肢、人工弁、脈管移植片、ステントおよびカテーテル)をコーティングするための組成物中に取り込まれ得る。従って、本発明は、別の局面において、一般的に上記される本発明の化合物ならびに本明細書中の分類および下位分類の化合物、ならびにこのような移植可能なデバイスをコーティングするために適切なキャリアを含む移植可能なデバイスをコーティングするための組成物を含む。なお別の局面において、本発明は、一般的に上記される本発明の化合物ならびに本明細書中の分類および下位分類の化合物、ならびにこのような移植可能なデバイスをコーティングするために適切なキャリアを含む組成物でコーティングされた移植可能なデバイスを包含する。
【0155】
例えば、血管ステントは、再狭窄(損傷後の血管壁の再狭窄化)を克服されるために用いられてきた。しかしながら、ステントまたは他の移植可能なデバイスを使用する患者は、凝結形成または血小板活性化のリスクがある。これらの望ましくない影響は、キナーゼインヒビターを含む薬学的に受容可能な組成物を用いてこのデバイスを前もってコーティングすることによって防止され得るか、または軽減され得る。適切なコーティングおよびコーティングされる移植可能なデバイスの一般的な調製は、米国特許第6,099,562号;同第5,886,026号;および同第5,304,121号に記載されている。このコーティングは、代表的には、生物適合性ポリマー物質(例えば、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレンビニルアセテートおよびそれらの混合物である。このコーティングは、その組成物において徐放特徴を与えるために、フルオロシリコーン、ポリサッカライド、ポリエチレングリコール、リン脂質またはそれらの組み合わせの適切なトップコーティングによって、必要に応じてさらに覆われ得る。
【0156】
本発明の別の局面は、生物学的サンプル中、または患者の中で、JAK−3、JNK−3、CDK−2、SYK、またはGSK−3の活性を阻害することに関し、この方法は、式Iの化合物またはこの化合物を含む組成物を、患者に投与するかまたはこの生物学的サンプルを式Iの化合物またはこの化合物を含む組成物に接触させる工程を包含する。用語「生物学的サンプル」としては、本明細書中で使用される場合、細胞培養物またはその抽出物;哺乳動物から得られる生検物質またはその抽出物;ならびに血液、唾液、尿、糞便、精液、涙液、または他の体液もしくはそれらの抽出物が挙げられるが、限定はされない。
【0157】
生物学的サンプルにおける、JAK−3、JNK−3、CDK−2、SYK、またはGSK−3のキナーゼ活性の阻害は、当業者に公知の種々の目的のために有用である。そのような目的の例としては、輸血、器官移植、生物学的検体保存、および生物学的アッセイが挙げられるが、これらに限定されない。
【0158】
本明細書中で記述した発明をさらに十分に理解できるように、以下の実施例を示す。これらの実施例は、例示の目的のためのみであり、いずれの様式でも本発明を限定するとは解釈されないことが理解されるべきである。
【実施例】
【0159】
上記スキームIは、いくつかの代表的な化合物の合成を描写している。以下の実施例は、(スキーム1、スキーム2またはスキーム3に示されるような)本明細書中の化合物の調製の一般的な手順を記述しており、表3は、本発明の代表的な化合物の特性を描写している。
【0160】
(実施例1:グアニジンの調製)
手順A:グアニジンを合成する一般的な手順
置換アニリン(20mmol、2当量)およびシアナミド(10mmol、1当量)をトルエン(5ml)およびトリフリック酸(1ml)に吸収させた。その反応物を封止し、そして磁気攪拌しつつ、一晩にわたって、85℃まで加熱した。この反応を水(10ml)でクエンチした。相分離し、その水相を2N水酸化ナトリウム(10ml)で塩基性にした。この塩基性水相をトルエンで洗浄し、次いで、塩化メチレン(3×)で抽出して、濃縮すると、所望のグアニジンが得られた。
【0161】
手順B:グアニジンを合成する一般的な手順
チューブに、シアナミド(10mmol、1当量)および置換アニリン(11mmol、1.1当量)を入れた。これに、ジオキサン(あるいは、エチレングリコールジメチルエーテル(DME)が使用できる)10mlを加え、その混合物を温めて、溶解を達成した。その均一溶液に、ジオキサン中の4N塩酸(3ml、12mmol、1.2当量)を加えた。このチューブを封止し、そして磁気攪拌しつつ、一晩にわたって、60℃まで加熱した。その反応を乾燥状態まで濃縮し、2N NaOHで塩基性にし、そして塩化メチレン(2×)で抽出した。それらの有機物を濃縮して、所望のグアニジンを得た。
【0162】
手順B(改変):グアニジンを合成する一般的な手順
置換アニリン(20mmol)およびシアナミド(20mmol)を、温めつつ、ジオキサン(25ml)に溶解させた。これに、注射器を経由して、ジオキサン中の4N塩酸(5ml、20mmol)を滴下させた。その反応物を、3日間にわたって、還流状態まで加熱し、乾燥状態まで濃縮し、そしてエタノールに溶解した。これに、2N水酸化ナトリウム(10ml、20mmol)を加えると、嵩張った沈殿物が得られた。その固形物を濾過し、そしてエーテル/エタノールで洗浄し、次いで、真空中で乾燥して、1当量の塩化ナトリウムと共に、所望のグアニジンを得た。
【0163】
手順D:N−メチル化ベンゾキサジンエンアアミノン(eneaminones)を合成する手順
化合物6−アセチル−2H−1,4−ベンゾキサジン−3(4H)−オン(10mmol)を過剰のN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールに吸収し、そして一晩にわたって、80℃まで加熱した。その反応物を乾燥状態まで濃縮し、そして精製することなく使用した。
【0164】
手順E:N−アルキル化ベンゾキサジンアセトフェノンを合成する一般的な手順
化合物6−アセチル−2H−1,4−ベンゾキサジン−3(4H)−オン(10mmol)およびアルキル化剤(5.4mmol、1.1当量)を、粉末化炭酸カリウム(36mmol、過剰)と共に、ジメチルホルムアミド(10ml)に吸収させた。その反応物を、1.5〜24時間にわたって、約110℃まで加熱した。この反応を水でクエンチし、そしてエーテル(2×)で抽出した。それらの有機物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮して、粗製物を得た。この粗製物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィーで精製し、そしてエーテルまたは酢酸エチルで溶出させた。
【0165】
手順F:エンアミノンを合成する一般的な手順
適当なアセトフェノンをニートのN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(あるいは、共溶媒として、トルエンが使用され得る)に吸収し、そして1〜3日間にわたって、95℃まで加熱した。あるいは、トルエンを加えて、溶解を促進した。次いで、その反応物を油状物に濃縮した。この生成物は、場合によっては、酢酸エチルまたは酢酸エチル/ヘキサンから結晶化した。結晶化しない場合には、それをシリカゲルカラムクロマトグラフィー(これは、酢酸エチル/ヘキサン〜純粋な酢酸エチルで溶出する)で精製した。
【0166】
手順G:エンアミノンを合成する一般的な手順
適当なアセトフェノン(20mmol)をトルエン(あるいは、溶媒として、N,N−ジメチルホルムアミドまたはテトラヒドロフランが使用され得る)100mlに溶解させ、そしてtert−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン(Bredereck試薬、35mmol、1.75当量)で処理した。その反応物を、一晩にわたって、還流状態まで加熱した。あるいは、その粗製物は、シリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(これは、酢酸エチル/ヘキサンまたはアセトン/ヘキサンで溶出する)で精製され得る。
【0167】
手順H:フェニルアミノピリミジンを合成する一般的な手順
このエンアミノン(200μmol)およびグアニジン(300μmol〜500μmol、1.5〜2.5当量)をアセトニトリル(200μL〜500μL)に溶解した。その反応物を封止し、そして一晩にわたって、約80℃まで加熱した。この反応物を酢酸エチルおよび水で抽出した。これらの有機物をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして粗製物に濃縮した。この粗製物を、酢酸エチル、酢酸エチル/ヘキサン、エーテルまたはエーテル/ヘキサンのいずれかから再結晶した。再結晶しない場合には、この粗製物をシリカゲルフラッシュクロマトグラフィー(これは、酢酸エチル/ヘキサンまたは酢酸エチルで溶出する)で精製した。
【0168】
手順J:フェニルアミノピリミジンを合成する一般的な手順
このエンアミノン(200μmol)およびグアニジン(300μmol〜500μmol、1.5〜2.5当量)を約1mlのジメチルホルムアミド(あるいは、DMSO)に溶解した。その反応物を封止し、そして一晩にわたって、約120℃まで加熱した。この生成物は、酢酸エチルおよび1N塩酸を加えることによって沈殿させ得るか、または逆相HPLC(これは、C18カラムを使用し、そしてアセトニトリル/水(0.1%トリフルオロ酢酸v/vを使う)の勾配で溶出する)で精製し得るかのいずれかである。
【0169】
手順J(改変):フェニルアミノピリミジンを合成する一般的な手順
粉末化炭酸カリウム(1当量または過剰)を加えたこと以外は、手順Jによる。
【0170】
手順K:フェニルアミノピリミジンの調製に対する一般的手順
このエンアミノン(400μmol)およびグアニジン(400μmol、1当量)を無水エタノール(2mL)中に溶解させた。その反応物を封止し、7日までの間加熱した。その得られた生成物を、濾過し得るか、またはシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し得る(酢酸エチル/ヘキサン、酢酸エチル、もしくはアセトンで溶出し得る)。あるいは、0.1%TFAを伴なうアセトニトリル/水の勾配を利用するC18での逆相HPLCを用い得る。
【0171】
手順L:ニトロベンゼンのアニリンへの還元のための一般的手順
管中で、そのニトロベンゼン(100〜200μmmol)を、DMF(3mL)中に溶解した。これに、メタノール(1ml)、鉄粉(200mg〜300mg、過剰)、および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(0.25〜0.5mL)を添加した。その管を封止し、96℃まで、終夜加熱した。その反応物を冷却し、濾過し、そして濃縮し、粗生成物を得た。その生成物を、1%トリエチルアミンを伴なう酢酸エチル/ヘキサンで溶出するシリカゲル、または0.1%TFAを伴なうアセトニトリル/水で溶出するC18での逆相HPLCにより精製した。
【0172】
手順M:カルボン酸からのアミドカップリングのための一般的手順
そのカルボン酸(100〜200μmol)を、EDC(110〜400μmol、1.1〜2当量)、HOBT(40〜200μmol、0.4〜1当量)、DMF(1〜3ml)およびN−メチルモルホリン(250〜500μl)とともに、管中に入れた。この混合物に、所望のアミンまたはアミン塩酸塩(300〜600μmol、3〜6当量)を添加した。この反応物を封止し、そして122℃まで終夜加熱した。その反応物を乾燥状態まで濃縮し、酢酸エチル/水で抽出した。その有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、そして濃縮し、粗生成物を得た。その生成物を、酢酸エチル/ヘキサン、酢酸エチル、またはアセトンで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーにより精製した。
【0173】
手順N:エステルの加水分解のための一般的手順
そのエステル(100〜200μmmol)を、DMF(1〜3ml)中に溶解した。これに、1N水酸化ナトリウム(2〜5当量)を添加した。その反応物を、完結するまで数時間、50℃まで加熱した。その反応物を1N 塩酸(2〜5当量)でクエンチした。その得られた生成物を、濾過し、そして温めながら真空中で乾燥した。
【0174】
【化23−1】

【0175】
【化23−2】

「X」は、手順の不在を示し、そして小文字は、改変した手順の使用を示す。
【0176】
(実施例2:JAK3阻害アッセイ)
化合物を、G.R.Brownら,Bioorg.Med.Chem.Lett.2000,第10巻,575−579頁によって記載された方法によって、以下の様式で、JAK3を阻害する能力についてスクリーニングした。4℃においてポリ(Glu、Ala、Tyr)6:3:1を用いて予めコーティングして、リン酸緩衝化生理食塩水0.05%およびTween(PBST)で洗浄したMaxisorbプレート中に、2μM ATP、5mM MgCl、およびDMSO中の化合物溶液を添加した。JAK酵素を用いて反応を開始し、そしてプレートを30℃にて60分間インキュベートした。次いで、このプレートをPBSTで洗浄し、100μL HRP結合体化4G10抗体を添加し、そしてこのプレートを30℃にて90分間インキュベートした。このプレートをPBSTで再度洗浄し、100μL TMB溶液を添加し、そしてこのプレートを30℃にてさらに30分間インキュベートした。硫酸(100μLの1M)を添加して反応を停止させ、そしてこのプレートを450nmにおいて読み取って、K値を決定するための分析のための光学密度を得た。
【0177】
上記化合物番号は、表1中の化合物番号に対応し、そして化合物を試験し、JAK−3を阻害することを見出した。本明細書中に記載される特定の化合物は0.1マイクロモル濃度(μM)未満のKを有することが示された。
【0178】
(実施例3:CDK2阻害アッセイ)
化合物を、標準的な共役酵素アッセイ(Foxら、(1998)Protein Sci 7,2249)を用いて、CDK−2/サイクリンAを阻害するそれらの能力についてスクリーニングした。反応を、100mM HEPES pH7.5、10mM MgCl、25mM NaCl、1mM DTTおよび1.5% DMSO中で実施した。このアッセイにおける最終基質濃度は、100μM ATP(Sigma Chemicals)および100μMペプチド(American Peptide,Sunnyvale,CA)であった。アッセイを、30℃および25nM CDK−2/サイクリンAにおいて実施した。共役酵素系の成分の最終濃度は、2.5mMホスホエノールピルビン酸、350μM NADH、30μg/mlピルビン酸キナーゼおよび10μg/ml乳酸デヒドロゲナーゼであった。
【0179】
CDK−2/サイクリンA、DTTおよび目的の試験化合物を除く、上記に列挙した試薬の全てを含むアッセイストック緩衝液溶液を調製した。56μlの試験反応を384ウェルプレート中に配置し、続いて試験化合物を含む1μlの2mM DMSOストック溶液を添加した(最終化合物濃度30μM)。このプレートを、30℃にて約10分間予備インキュベートし、そして10μlの酵素(最終濃度25nM)の添加によって、反応を開始した。反応速度を、BioRad Ultramarkプレートリーダー(Hercules,CA)を用いて、5分間の読取時間にわたって30℃にて得、Kを標準的な方法を用いて決定した。
【0180】
上記化合物番号は、表1中の化合物番号に対応し、そして化合物を試験し、CDK−2を阻害することを見出した。本明細書中に記載される特定の化合物は0.1マイクロモル濃度(μM)未満のKを有することが示された。
【0181】
(実施例4:JNK3阻害アッセイ)
化合物を、分光光度滴定共役−酵素アッセイによってJNK3の阻害についてアッセイした。このアッセイでは、固定した濃度の活性化JNK3(10nM)を、10mM MgCl、2.5mMホスホエノールピルビン酸、200μM NADH、150μg/mLピルビン酸キナーゼ、50μg/mL乳酸デヒドロゲナーゼ、および200μM EGFレセプターペプチドを含む0.1M HEPES緩衝液(pH7.5)を含む緩衝液中で、DMSO中に溶解した種々の濃度の潜在的インヒビターとともに30℃にて10分間インキュベートした。反応を、10μM ATPの添加によって開始し、そしてアッセイプレートを分光光度計のアッセイプレート区画中に挿入し、これを30℃にて維持した。340nmでの吸光度の減少を、時間の関数としてモニタリングした。インヒビター濃度の関数としての速度のデータを、競合阻害反応速度モデルに適合させて、Kを決定した。
【0182】
上記化合物番号は、表1中の化合物番号に対応し、そして化合物を試験し、JNK−3を阻害することを見出した。本明細書中に記載される特定の化合物は0.1マイクロモル濃度(μM)未満のKを有することが示された。
【0183】
(実施例5:Syk阻害アッセイ)
化合物を、標準的な共役酵素アッセイ(Foxら(1998)Protein Sci 7,2249)を使用して、Sykを阻害する能力についてスクリーニングした。反応を、100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、25mM NaCl、1mM DTTおよび1.5% DMSO中で行った。アッセイにおける最終基質濃度は、200μM ATP(Sigma Chemical Co.)および4μM ポリGly−Tyrペプチド(Sigma Chemical Co.)であった。アッセイを、30℃、200nMのSykにて行った。結合酵素系の成分の最終濃度は、2.5mM ホスホエノールピルビン酸、300μM NADH、30μg/mlピルビン酸キナーゼおよび10μg/ml乳酸デヒドロゲナーゼであった。
【0184】
Syk、DTTおよび目的の試験化合物以外の、上に列挙される試薬を全て含有するアッセイのストック緩衝溶液を調製した。56μlの試験反応物を、96ウェルプレートに入れ、その後、試験化合物を含有する、1μlの2mMのDMSOストック(最終の化合物濃度は30μM)で処理した。そのプレートを、約10分間、30℃で予備インキュベートし、その反応を10μlの酵素(最終濃度は25nM)の添加により開始した。反応速度を、BioRad Ultramarkプレートリーダー(Hercules,CA)を用いて、30℃で5分間の読取時間にわたって得、標準的な方法を用いてK値を決定した。
【0185】
上記化合物番号は、表1中の化合物番号に対応し、そして化合物を試験し、Sykを阻害することを見出した。本明細書中に記載される特定の化合物は0.1マイクロモル濃度(μM)未満のKを有することが示された。
【0186】
(実施例6:GSK−3阻害アッセイ)
化合物を、標準的な共役酵素系(Foxら(1998)Protein Sci 7,2249)を使用して、GSK3−β(AA 1−420)を阻害する能力についてスクリーニングした。反応を、100mM HEPES(pH7.5)、10mM MgCl、25mM NaCl、300μM NADH、1mM DTTおよび1.5% DMSOを含む溶液中で行った。アッセイにおける最終基質濃度は、10μM ATP(Sigma Chemicals,St Louis、MO)および300μM ペプチド(American Peptide,Sunnyvale,CA)であった。反応を、30℃、60nMのGSK−3βにて行った。結合酵素系の成分の最終濃度は、2.5mM ホスホエノールピルビン酸、300μM NADH、30μg/ml ピルビン酸キナーゼおよび10μg/ml 乳酸デヒドロゲナーゼであった。
【0187】
ATPおよび目的の試験化合物以外の、上に列挙される試薬を全て含有するアッセイのストック緩衝溶液を調製した。59μlの試験反応物を、96ウェルの直径1/2インチのプレート(Corning,Corning,NY)に入れ、次いで1μlの、試験化合物を含有する2mMのDMSOストック(最終の化合物濃度は30μM)で処理した。そのプレートを、約10分間、30℃でインキュベートし、その後その反応を7μlのATP(最終濃度は10μM)の添加により開始した。反応速度を、Molecular Devices Spectramaxプレートリーダー(Sunnyvale,CA)で、30℃で5分間の読み取り時間にわたって得、標準的な方法を用いてK値を決定した。
【0188】
上記化合物番号は、表1中の化合物番号に対応し、そして化合物を試験し、GSK−3を阻害することを見出した。本明細書中に記載される特定の化合物は0.1マイクロモル濃度(μM)未満のKを有することが示された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書中に記載の発明。

【公開番号】特開2010−195838(P2010−195838A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139840(P2010−139840)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【分割の表示】特願2004−550489(P2004−550489)の分割
【原出願日】平成15年11月5日(2003.11.5)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】