説明

JAK阻害薬として有用なN−複素環式化合物

本発明は、タンパク質キナーゼ、特にJAKファミリーキナーゼの阻害薬として有用な化合物に関する。本発明は、また、前記化合物を含む医薬として許容し得る組成物、及び様々な疾患、状態又は障害の治療における該組成物の使用方法を提供する。本発明の化合物、及びその医薬として許容し得る組成物は、増殖性障害、心臓障害、神経変性障害、自己免疫障害、臓器移植に関連する状態、炎症性障害、又は患者における免疫媒介障害を含む様々な障害を治療する、又は該障害の重度を軽減するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の技術分野)
本発明は、ヤヌスキナーゼ(JAK)の阻害薬として有用な化合物に関する。本発明は、また、本発明の化合物を含む医薬として許容し得る組成物、及び様々な障害の治療において該組成物を使用する方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ヤヌスキナーゼ(JAK)は、JAK1、JAK2、JAK3及びTYK2からなるチロシンキナーゼのファミリーである。JAKは、サイトカインシグナル伝達に重要な役割を果たす。JAKファミリーのキナーゼの下流基質は、STAT(signal transducer and activator of transcription、シグナル伝達性転写因子)タンパク質を含む。JAK/STATシグナル伝達は、アレルギー、喘息、移植片拒絶などの自己免疫疾患、リウマチ様関節炎、乾癬、筋萎縮性側索硬化及び多発性硬化症などの多くの異常免疫応答の媒介、並びに白血病及びリンパ腫などの固形及び血液悪性腫瘍に関与するとされてきた。JAK2は、真性多血症、本態性血小板血症、慢性特発性骨髄線維症、骨髄線維症による骨髄化生、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、慢性好酸球性白血病、好酸球増加症候群及び全身性肥満細胞症を含む骨髄増殖性障害にも関与するとされてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、タンパク質キナーゼの阻害薬として有用な化合物を開発することが大いに必要である。特に、JAKファミリーキナーゼの阻害薬として有用な化合物を開発することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(発明の要旨)
本発明の化合物、及びその医薬として許容し得る組成物は、タンパク質キナーゼ、特にJAKファミリーキナーゼの阻害薬として有効であることが見いだされた。これらの化合物は、一般式I:
【0005】
【化1】

又はその医薬として許容し得る塩[式中、X、X、X、X、R、R、R、R、R及びRは本明細書に定義されている通りである]を有する。
【0006】
これらの化合物、及びその医薬として許容し得る組成物は、増殖性障害、心臓障害、神経変性障害、自己免疫障害、臓器移植に関連する状態、炎症性障害、又は患者における免疫媒介障害を含む様々な障害を治療する、又は該障害の重度を軽減するのに有用である。
【0007】
本発明によって提供される化合物及び組成物は、生物学的及び病理学的現象におけるJAKキナーゼの研究;当該キナーゼによって媒介される細胞内シグナル伝達経路の研究;及び新しいキナーゼ阻害薬の比較評価にも有用である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(発明の詳細な説明)
定義及び一般用語
本明細書に用いられているように、他に指定する場合を除いて、以下の定義を適用するものとする。本発明の目的では、化学元素は、Periodic Table of the Elements、CAS version、and the Handbook of Chemistry and Physics、第75版、1994年に従って識別される。また、有機化学の一般的な原理は、その全開示内容が参照により本明細書に組み込まれている「Organic Chemistry」、Thomas Sorrell、University Science Books、Sausalito:1999年及び「March’s Advanced Organic Chemistry」、第5版、編集:Smith, M.B.及びMarch, J.、John Wiley & Sons、New York:2001年に記載されている。
【0009】
本明細書に記載されているように、本発明の化合物は、以上に全般的に示されているような、又は本発明の特定の類、亜類及び種で例示されているような1つ又は複数の置換基で場合により置換されていてもよい。「場合により置換された」という語句は、「置換又は非置換の」という語句と区別なく使用されることが理解されるであろう。概して、「置換された」という用語は、「場合により」という用語に先行されていてもいなくても、所定の構造における1つ又は複数の水素ラジカルが特定の置換基のラジカルで置換されていることを指す。他に指定する場合を除いて、場合により置換された基は、該基の各置換可能位置に置換基を有することができる。所定の構造における1つ以上の位置が、特定の基から選択される1つ以上の置換基で置換され得る場合は、該置換基は、各位置において同一であっても異なっていてもよい。
【0010】
本明細書に記載されているように、「場合により置換された」という用語がリストに先行する場合は、前記用語は、そのリストにおける後続の置換可能基のすべてを指す。置換基ラジカル又は構造が「場合により置換された」と特定又は定義されていない場合は、該置換基ラジカル又は構造は非置換である。例えば、Xがハロゲン;場合により置換されたC1〜3アルキル又はフェニルである場合は、Xは、場合により置換されたアルキル又は場合により置換されたフェニルである。同様に、「場合により置換された」という用語がリストに後続する場合は、他に指定する場合を除いて、前記用語は、また、先のリストにおける置換可能基のすべてを指す。例えば、Xがハロゲン、C1〜3アルキル又はフェニルであり、XがJで場合により置換されている場合は、C1〜3アルキル及びフェニルは、いずれもJで場合により置換されていてもよい。当業者に明らかであるように、H、ハロゲン、NO、CN、NH、OH又はOCFなどの基は、置換可能基でないため、含まれない。
【0011】
本発明に考えられる置換基の組合せは、好ましくは、安定な、又は化学的に実現可能な化合物を形成させるものである。「安定な」という用語は、本明細書に使用されているように、化合物の製造、検出、好ましくは化合物の回収、精製、及び本明細書に開示されている1つ又は複数の目的での使用に対応する条件に曝されたときに実質的に変化しない化合物を指す。いくつかの実施形態において、安定な化合物又は化学的に実現可能な化合物は、少なくとも1週間にわたって、水分又は他の化学反応条件の不在下で、40℃以下の温度に維持されたときに実質的に変化しない化合物である。
【0012】
「脂肪族」又は「脂肪族基」という用語は、本明細書に使用されているように、完全に飽和された、或いは1つ又は複数の不飽和単位を含む直鎖状(即ち非分枝状)又は分枝状の置換又は非置換の炭化水素鎖を指す。他に指定する場合を除いて、脂肪族基は、1〜20個の脂肪族炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、脂肪族基は、1〜10個の脂肪族炭素原子を含む。他の実施形態において、脂肪族基は、1〜8個の脂肪族炭素原子を含む。さらに他の実施形態において、脂肪族基は、1〜6個の脂肪族炭素原子を含む、さらに他の実施形態において、脂肪族基は、1〜4個の脂肪族炭素原子を含む。好適な脂肪族基としては、直鎖状又は分枝状の置換又は非置換のアルキル、アルケニル又はアルキニル基が挙げられるが、それらに限定されない。脂肪族基のさらなる例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、イソブチル、ビニル及びsec−ブチルが挙げられる。
【0013】
「脂環式」(又は「炭素環」若しくは「シクロアルキル」)という用語は、完全に飽和された、或いは1つ又は複数の不飽和単位を含むが、芳香族でなく、分子の残りの部分に対する単一の結合点を有する炭化水素であって、前記二環式環系における任意の個別の環が3〜7員を有する炭化水素を指す。他に指定する場合を除いて、「脂環式」という用語は、単環式C〜C炭化水素又は二環式C〜C12炭化水素を指す。好適な脂環式基としては、シクロアルキル、シクロアルケニル及びシクロアルキニルが挙げられるが、それらに限定されない。脂肪族基のさらなる例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、シクロヘプチル及びシクロヘプテニルが挙げられる。
【0014】
「複素環」、「ヘテロシクリル」又は「複素環式」という用語は、本明細書に用いられているように、1つ又は複数の環員が独立に選択されたヘテロ原子であり、完全に飽和された、或いは1つ又は複数の不飽和単位を含むが、芳香族でなく、分子の残りの部分に対する単一の結合点を有する単環式、二還式又は三環式環系を指す。いくつかの実施形態において、「複素環」、「ヘテロシクリル」又は「複素環式」基は、1つ又は複数の環員が、酸素、硫黄、窒素又はリンから独立に選択されるヘテロ原子である3から14個の環員を有し、系における各環が3から7個の環員を含む。
【0015】
複素環式環の例としては、以下の単環:2−テトラヒドロフラニル、3−テトラヒドロフラニル、2−テトラヒドロチオフェニル、3−テトラヒドロチオフェニル、2−モルホリノ、3−モルホリノ、4−モルホリノ、2−チオモルホリノ、3−チオモルホリノ、4−チオモルホリノ、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル、3−ピロリジニル、1−テトラヒドロピペラジニル、2−テトラヒドロピペラジニル、3−テトラヒドロピペラジニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、1−ピラゾリニル、3−ピラゾリニル、4−ピラゾリニル、5−ピラゾリニル、1−ピペリジニル、2−ピペリジニル、3−ピペリジニル、4−ピペリジニル、2−チアゾリジニル、3−チアゾリジニル、4−チアゾリジニル、1−イミダゾリジニル、2−イミダゾリジニル、4−イミダゾリジニル、5−イミダゾリジニル;並びに以下の二環:3−1H−ベンズイミダゾール−2−オン、3−(1−アルキル)−ベンズイミダゾール−2−オン、インドリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、ベンゾチオラン、ベンゾジチアン及び1,3−ジヒドロ−イミダゾール−2−オンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0016】
「ヘテロ原子」という用語は、窒素、硫黄、リン又はケイ素の任意の酸化形態、任意の塩基性窒素の四級化形態、或いは複素環式環の置換可能窒素、例えば、(3,4−ジヒドロ−2H−ピロリルなどにおける)N、(ピロリジニルなどにおける)NH又は(N−置換ピロリジニルなどにおける)NRを含む1つ又は複数の酸素、硫黄、窒素、リン又はケイ素を指す。
【0017】
「不飽和」という用語は、本明細書に使用されているように、成分が1つ又は複数の不飽和単位を有することを意味する。
【0018】
単独で、又は「アラルキル」、「アラルコキシ」若しくは「アリールオキシアルキル」などにおけるより大きい成分の一部として使用される「アリール」という用語は、系における少なくとも1つの環が芳香族であり、系における各環が3から7個の環員を含み、分子の残りの部分に対する単一の結合点を有する、全部で6から14個の環員を有する単環式、二環式及び三環式炭素環式環系を指す。「アリール」という用語は、「アリール環」という用語と区別なく使用され得る。アリール環の例としては、フェニル、ナフチル及びアントラセンが挙げられる。
【0019】
単独で、又は「ヘテロアラルキル」若しくは「ヘテロアリールアルコキシ」などにおけるより大きい成分の一部として使用される「ヘテロアリール」という用語は、系における少なくとも1つの環が芳香族であり、系における少なくとも1つの環が1つ又は複数のヘテロ原子を含み、系における各環が3から7個の環員を含み、分子の残りの部分に対する単一の結合点を有する、全部で5から14個の環員を有する単環式、二環式及び三環式環系を指す。「ヘテロアリール」という用語は、「ヘテロアリール環」という用語又は「ヘテロ芳香族」という用語と区別なく使用され得る。
【0020】
ヘテロアリール環のさらなる例としては、以下の単環:2−フラニル、3−フラニル、N−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、5−イミダゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、5−オキサゾリル、N−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、ピリダジニル(例えば3−ピリダジニル)、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル、テトラゾリル(例えば5−テトラゾリル)、トリアゾリル(例えば2−トリアゾリル及び5−トリアゾリル)、2−チエニル、3−チエニル、ピラゾリル(例えば2−ピラゾリル)、イソチアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、ピラジニル、1,3,5−トリアジニル、並びに以下の二環:ベンズイミダゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチオフェニル、インドリル(例えば2−インドリル)、プリニル、キノリニル(例えば2−キノリニル、3−キノリニル、4−キノリニル)及びイソキノリニル(例えば、1−イソキノリニル、3−イソキノリニル又は4−イソキノリニル)が挙げられる。
【0021】
いくつかの実施形態において、(アラルキル、アラルコキシ及びアリールオキシアルキル等を含む)アリール又は(ヘテロアラルキル及びヘテロアリールアルコキシ等を含む)ヘテロアリール基は、1つ又は複数の置換基を含むことができる。アリール又はヘテロアリール基の不飽和炭素原子上の好適な置換基は、以下のR及びRの定義に列記されたものから選択される。他の好適な置換基としては、ハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;Rで場合により置換されたフェニル(Ph);Rで場合により置換された−O(Ph);Rで場合により置換された−(CH1〜2(Ph);Rで場合により置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(S)R;−NRC(O)N(R;−NRC(S)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(S)R;−C(O)N(R;−C(S)N(R;−OC(O)N(R;−OC(O)R;−C(O)N(OR)R;−C(NOR)R;−S(O);−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−N(OR)R;−C(=NH)−N(R;又は−(CH0−2NHC(O)R;(各々独立したRは、水素、場合により置換されたC1〜6脂肪族、非置換の5〜6員のヘテロアリール又は複素環式環、フェニル、−O(Ph)又は−CH(Ph)から選択され、或いは同一の置換基又は異なる置換基上の2個の独立したRは、各R基が結合した原子と一緒になって、5〜8員のヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリール環又は3〜8員のシクロアルキル環を形成し、前記ヘテロアリール又はヘテロシクリル環は、窒素、酸素又は硫黄から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する)が挙げられる。Rの脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)又はハロC1〜4脂肪族から選択され、Rの先述のC1〜4脂肪族基の各々は非置換である。
【0022】
いくつかの実施形態において、脂肪族若しくはヘテロ脂肪族基、又は非芳香族複素環式環は、1つ又は複数の置換基を含むことができる。脂肪族若しくはヘテロ脂肪族基、又は非芳香族複素環式環の飽和炭素上の好適な置換基は、アリール又はヘテロアリール基の不飽和炭素について以上に列記したものから選択され、=O、=S、=NNHR、=NH(R、=NNHC(O)R、=NNHCO(アルキル)、=NNHSO(アルキル)又はNRをさらに含み、各Rは、水素又は場合により置換されたC1〜6脂肪族から独立に選択される。Rの脂肪族基上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)又はハロ(C1〜4脂肪族)から選択され、Rの先述のC1〜4脂肪族基の各々は非置換である。
【0023】
いくつかの実施形態において、非芳香族複素環式環の窒素上の任意の置換基としては、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(R又は−NR+SO(Rは、水素、場合により置換されたC1〜6脂肪族、場合により置換されたフェニル、場合により置換された−O(Ph)、場合により置換された−CH(Ph)、場合により置換された−(CH1〜2(Ph);場合により置換された−CH=CH(Ph);又は酸素、窒素若しくは硫黄から独立に選択される1から4個のヘテロ原子を有する非置換の5〜6員のヘテロアリール若しくは複素環式環であり、或いは同一の置換基又は異なる置換基上の2個の独立したRは、各R基が結合した原子と一緒になって、5〜8員のヘテロシクリル、アリール若しくはヘテロアリール環、又は3〜8員のシクロアルキル環を形成し、前記ヘテロアリール又はヘテロシクリル環は、窒素、酸素又は硫黄から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有する)が挙げられる。Rの脂肪族基又はフェニル環上の任意の置換基は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)又はハロ(C1〜4脂肪族)から選択され、Rの先述のC1〜4脂肪族基の各々は非置換である。
【0024】
以上に詳述したように、いくつかの実施形態において、2個の独立したR(若しくはR、又は本明細書に同様に定義されている任意の他の記号)は、各記号が結合した原子と一緒になって、5〜8員のヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリール環若しくは3〜8員のシクロアルキル環を形成してもよい。2個の独立したR(若しくはR、又は本明細書に同様に定義されている任意の他の記号)が、各記号が結合した原子と一緒になったときに形成される例示的な環としては、a)同一の原子に結合し、その原子と一緒になって環、例えば、N(R(両Rは、窒素原子と一緒になってピペリジン−1−イル、ピペラジン−1−イル又はモルホリン−4−イル基を形成する)を形成する2個の独立したR(若しくはR、又は本明細書に同様に定義されている任意の他の記号);及びb)異なる原子に結合し、それらの原子の両方と一緒になって、例えば、フェニル基が2個のORで置換された環:
【0025】
【化2】

を形成し、これらの2個のRは、それらが結合した酸素原子と一緒になって、縮合6員酸素含有環:
【0026】
【化3】

を形成する2個の独立したR(若しくはR、又は本明細書に同様に定義されている任意の他の記号)が挙げられるが、それらに限定されない。2個の独立したR(若しくはR、又は本明細書に同様に定義されている任意の他の記号)が、各記号が結合した原子と一緒になったときに様々な他の環を形成できること、及び以上に詳述された例は、限定することを意図するものでないことが理解されるであろう。
【0027】
いくつかの実施形態において、アルキル又は脂肪族鎖を別の原子又は基で場合により遮断することができる。これは、アルキル又は脂肪族鎖のメチレン単位が前記他の原子又は基で場合により置換されていることを意味する。当該原子又は基の例としては、−NR−、−O−、−S−、−CO−、−OC(O)−、−C(O)CO−、−C(O)−、−C(O)NR−、−C(=N−CN)、−NRCO−、−NRC(O)O−、−SONR−、−NRSO−、−NRC(O)NR−、−OC(O)NR−、−NRSONR−、−SO−又は−SO−(Rは本明細書に定義されている通りである)が挙げられるが、それらに限定されない。他に指定する場合を除いて、任意の置換は、化学的に安定な化合物を形成する。任意の遮断は、鎖内及び鎖のいずれかの末端の両方、即ち結合点及び/又は末端で起こり得る。2個の任意の置換は、化学的に安定な化合物をもたらすのであれば、互いに隣接することができる。他に指定する場合を除いて、置換又は遮断が末端で生じる場合は、置換原子は、末端上のH原子に結合する。例えば、−CHCHCHが−O−で場合により遮断された場合は、得られた化合物は、−OCHCH、−CHOCH又は−CHCHOHであり得る。
【0028】
本明細書に記載されているように、(以下に示すように)置換基から多環系内の1個の環の中心に引かれた結合は、多環系内の環のいずれかにおける任意の置換可能位置における置換基の置換を示す。例えば、図aは、図bに示される位置のいずれかにおける可能な置換を示す。
【0029】
【化4】

これは、(点線で示される)任意の環系に縮合した多環系にも適応する。例えば、図cにおいて、Xは、環A及び環Bの両方に対する任意の置換基である。
【0030】
【化5】

しかし、多環系における2個の環が、それぞれ、各環の中心から引かれた異なる置換基を有する場合は、他に指定する場合を除いて、各置換基は、単にそれが結合した環上の置換基を表す。例えば、図dにおいて、Yは、環Aのみに対する任意の置換基であり、Xは、環Bのみに対する任意の置換基である。
【0031】
【化6】

他に指定する場合を除いて、本明細書に示される構造は、該構造のすべての異性体(例えば、鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び幾何異性体(又は配座異性体));例えば、各非対称中心に対するR及びS構成、(Z)及び(E)二重結合異性体、並びに(Z)及び(E)配座異性体をも含むことを意図する。したがって、これらの化合物の単一の立体化学異性体並びに鏡像異性、ジアステレオ異性及び幾何異性(又は配座異性)混合物も本発明の範囲内である。
【0032】
他に指定する場合を除いて、本発明の化合物のすべての互変異性体も本発明の範囲内である。また、他に指定する場合を除いて、本明細書に示される構造は、1つ又は複数の同位体的に濃縮された原子の存在のみが異なる化合物をも含むことを意図する。例えば、水素を重水素又は三重水素で置換したこと、或いは炭素を13C−又は14C−濃縮炭素で置換したことを除いてこれらの構造を有する化合物も本発明の範囲内に含まれる。当該化合物は、例えば、分析手段、バイオアッセイにおけるプローブ、又は向上した治療プロファイルを有するJAK阻害薬として有用である。
【0033】
発明の化合物の説明
本発明は、式Iの化合物:
【0034】
【化7】

又はその医薬として許容し得る塩に関する[式中、
は、N又はCRであり;
は、N又はCRであり;X及びXの両方がNであることはなく;
は、N又はCR23であり;
は、N又はCR24であり;X及びXの少なくとも一方がNであり;
は、H、ハロ、R’、OH、OR’、COR’、COOH、COOR’、CONH、CONHR’、CON(R’)又はCNであり;
は、H、ハロ、R’、OH、OR’、COR’、COOH、COOR’、CONH、CONHR’、CON(R’)又はCNであり;或いは
及びRは、一緒になって、1〜4個のRで場合により置換された5〜7員のアリール又はヘテロアリール環を形成し;
各Rは、ハロゲン、OCH、OH、NO、NH、SH、SCH、NCH、CN又は非置換のC1〜2脂肪族から独立に選択され;
23は、H、ハロ、R’、OH、OR’、COR’、COOH、COOR’、CONH、CONHR’、CON(R’)又はCNであり;
24は、H、ハロ、R’、OH、OR’、COR’、COOH、COOR’、CONH、CONHR’、CON(R’)又はCNであり;
R’は、1〜4個のR10で場合により置換されたC1〜3の脂肪族であり;
各R10は、ハロゲン、CF、OCH、OH、SH、NO、NH、SCH、NCH、CN又は非置換のC1〜2脂肪族から独立に選択され、或いは2個のR10基は、それらが結合した炭素と一緒になって、シクロプロピル環又はC=Oを形成し;
は、
【0035】
【化8】

【0036】
【化9】

から選択され;
19は、H;1〜4個のハロゲン、OH、NO、NH、SH若しくはCNで場合により置換されたC3〜7脂環式基;又はC1〜6脂肪族であり、前記C1〜6脂肪族の2つまでのメチレン単位が、Gで場合により、且つ独立に置換されており、前記C1〜6脂肪族は、1〜4個のR20で場合により置換されており;
は、−NH−、−NR21−、−O−、−S−、−CO−、−OC(O)−、−C(O)CO−、−C(O)−、−C(O)NH−、−C(O)NR21−、−NC(=N−CN)N−、−NHCO−、−NR21CO−、−NHC(O)O−、−NR21C(O)O−、−SONH−、−SONR21−、−NHSO−、−NR21SO−、−NHC(O)NH−、−NR21C(O)NH−、−NHC(O)NR21−、−NR21C(O)NR21、−OC(O)NH−、−OC(O)NR21−、−NHSONH−、−NR21SONH−、−NHSONR21−、−NR21SONR21−、−SO−、又は−SO−であり;
21は、1〜6個のハロゲン、N(R、R、−OR、−SR、−NO、−CF、−CN、−CO、−COR、OCOR、CONHR若しくはNHCORで場合により置換されたC1〜6脂肪族又はC3〜7脂環式基であり;
各Rは、H又は非置換のC1〜6脂肪族から独立に選択され;
各R20は、ハロゲン、OH、OR22、NO、NH、NHR22、N(R22、SH、SR22、CN又はR22から独立に選択され;或いは2個のR20は、それらが結合した炭素と一緒になって、シクロプロピル環又はC=Oを形成し;
各R22は、1〜6個のハロゲン、OH、NO、NH、SH又はCNで場合により置換されたC1〜6脂肪族又はC3〜7脂環式基から独立に選択され;
25は、−(U)−Yであり;
Uは、C1〜6脂肪族であり、2つまでのメチレン単位が、Gで場合により且つ独立に置換されており、Uは、1〜4個のJで場合により置換されており;
は、−NH−、−NR26−、−O−、−S−、−CO−、−OC(O)−、−C(O)CO−、−C(O)−、−C(O)NH−、−C(O)NR26−、−NC(=N−CN)N−、−NHCO−、−NR26CO−、−NHC(O)O−、−NR26C(O)O−、−SONH−、−SONR26−、−NHSO−、−NR26SO−、−NHC(O)NH−、−NR26C(O)NH−、−NHC(O)NR26−、−NR26C(O)NR26、−OC(O)NH−、−OC(O)NR26−、−NHSONH−、−NR26SONH−、−NHSONR26−、−NR26SONR26−、−SO−、又は−SO−であり;
26は、C1〜6脂肪族、C3〜10脂環式基、C6〜10アリール、5〜10員ヘテロアリール又は5〜10員ヘテロシクリルであり;前記脂肪族、脂環式基、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルは、ハロゲン、R、−OR、−SR、−NO、−CF、−CN、−CO、−COR、OCOR、CONHR又はNHCORで場合により置換されており;
各Jは、ハロゲン、L、−(L)−R’、−(L)−N(R’)、−(L)−SR’、−(L)−OR’、−(L)−(C3〜10脂環式基)、−(L)−(C6〜10アリール)、−(L)−(5〜10員ヘテロアリール)、−(L)−(5〜10員ヘテロシクリル)、オキソ、C1〜4ハロアルコキシ、C1〜4ハロアルキル、−(L)−NO、−(L)−CN、−(L)−OH、−(L)−CF、−COR’、−COH、−COR’、−COH、−OC(O)R’、−C(O)NHR’、C(O)N(R’)、−NHC(O)R’又はNR’C(O)R’から独立に選択され;或いは同一の置換基又は異なる置換基上の2個のJ基は、各J基が結合した原子と一緒になって、5〜7員の飽和、不飽和、又は部分飽和環を形成し;
mは、0又は1であり;
Yは、H、ハロゲン、CN、NO、NH、NHR、N(R)、又はC1〜6脂肪族、C3〜10脂環式、C6〜10アリール、5〜10員ヘテロアリール、5〜10員ヘテロシクリルから選択される基であり、前記基は、1〜8個のJで場合により置換されており;
各Jは、ハロゲン、L、−(L)−R26、−(L)−N(R26、−(L)−SR26、−(L)−OR26、−(L)−(C3〜10脂環式基)、−(L)−(C6〜10アリール)、−(L)−(5〜10員ヘテロアリール)、−(L)−(5〜10員ヘテロシクリル)、オキソ、C1〜4ハロアルコキシ、C1〜4ハロアルキル、−(L)−NO、−(L)−CN、−(L)−OH、−(L)−CF、−CO26、−COH、−COR26、−COH、−OC(O)R26、−C(O)NHR26、C(O)N(R26、−NHC(O)R26又はNR26C(O)R26から独立に選択され;或いは同一の置換基又は異なる置換基上の2個のJ基は、各J基が結合した原子と一緒になって、5〜7員の飽和、不飽和又は部分飽和環を形成し;
各Lは、独立に、C1〜6脂肪族であり、3つまでのメチレン単位が、−NH−、−NR−、−O−、−S−、−CO−、−OC(O)−、−C(O)CO−、−C(O)−、−C(O)NH−、−C(O)NR−、−NC(=N−CN)N、−NHCO−、−NRCO−、−NHC(O)O−、−NRC(O)O−、−SONH−、−SONR−、−NHSO−、−NRSO−、−NHC(O)NH−、−NRC(O)NH−、−NHC(O)NR−、−NRC(O)NR、−OC(O)NH−、OC(O)NR−、−NHSONH−、−NRSONH−、−NHSONR−、−NRSONR−、−SO−、又は−SO−で置換されており;
各nは、独立に0又は1であり;
は、C1〜6脂肪族、C3〜10脂環式基、C6〜10アリール、5〜10員ヘテロアリール又は5〜10員ヘテロシクリルから選択され;或いは同一の置換基又は異なる置換基上の2個のR基は、各R基が結合した原子と一緒になって、3〜8員ヘテロシクリルを形成し;
各Rは、C1〜6脂肪族、又は1〜6個のハロゲン、OH、NO、NH、SH若しくはCNで場合により置換されたC3〜6脂環式基から選択され、或いは2個のR基は、R基が結合した原子と一緒になって、5〜7員の飽和、不飽和又は部分飽和環を形成し;
環の各置換可能炭素は、ハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;Rで場合により置換されたフェニル(Ph);Rで場合により置換された−O(Ph);Rで場合により置換された−(CH1〜2(Ph);Rで場合により置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(S)R;−NRC(O)N(R;−NRC(S)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(S)R;−C(O)N(R;−C(S)N(R;−OC(O)N(R;−OC(O)R;−C(O)N(OR)R;−C(NOR)R;−S(O);−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−N(OR)R;−C(=NH)−N(R;又は−(CH0−2NHC(O)Rで場合により且つ独立に置換され;各々独立したRは、水素、場合により置換されたC1〜6脂肪族、非置換の5〜6員のヘテロアリール又は複素環式環、フェニル、−O(Ph)又は−CH(Ph)から選択され、或いは同一の置換基又は異なる置換基上の2個の独立したRは、各R基が結合した原子と一緒になって、5〜8員のヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリール環又は3〜8員のシクロアルキル環を形成し、前記ヘテロアリール又はヘテロシクリル環は、窒素、酸素又は硫黄から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有し;Rの脂肪族基上の前記任意の置換基の各々は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)又はハロC1〜4脂肪族から独立に選択され、Rの先述のC1〜4脂肪族基の各々は非置換であり;
の非芳香族複素環式環の各置換可能窒素は、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(R又は−NR+SOで場合により且つ独立に置換され、Rは、水素、場合により置換されたC1〜6脂肪族、場合により置換されたフェニル、場合により置換された−O(Ph)、場合により置換された−CH(Ph)、場合により置換された−(CH1〜2(Ph);場合により置換された−CH=CH(Ph);又は酸素、窒素若しくは硫黄から独立に選択される1から4個のヘテロ原子を有する非置換の5〜6員のヘテロアリール若しくは複素環式環であり、或いは同一の置換基又は異なる置換基上の2個の独立したRは、各R基が結合した原子と一緒になって、5〜8員のヘテロシクリル、アリール若しくはヘテロアリール環、又は3〜8員のシクロアルキル環を形成し、前記ヘテロアリール又はヘテロシクリル環は、窒素、酸素又は硫黄から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有し;Rの脂肪族基又はフェニル環上の前記任意の置換基の各々は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)又はハロ(C1〜4脂肪族)から独立に選択され、Rの先述のC1〜4脂肪族基の各々は非置換であり;
はHであり、又は1〜3個のR11で場合により置換された−C1〜2脂肪族であり;
各R11は、ハロゲン、CF、OCH、OH、SH、NO、NH、SCH、NCH、CN、CON(R15又は非置換のC1〜2脂肪族から独立に選択され、或いは2個のR11基は、それらが結合した炭素と一緒になって、シクロプロピル環又はC=Oを形成し;
15は、H又は非置換のC1〜2アルキルであり;
はH、又は1〜5個のR12で場合により置換されたC1〜6脂肪族であり;
はH、又は1〜5個のR13で場合により置換されたC1〜6脂肪族であり;
各R12は、ハロゲン、OCH、OH、NO、NH、SH、SCH、NCH、CN又は非置換のC1〜2脂肪族から独立に選択され、或いは2個のR12基は、それらが結合した炭素と一緒になって、シクロプロピル環を形成し;
各R13は、ハロゲン、OCH、OH、NO、NH、SH、SCH、NCH、CN又は非置換のC1〜2脂肪族から独立に選択され、或いは2個のR13基は、それらが結合した炭素と一緒になって、シクロプロピル環を形成し;
及びRは、一緒になって、1〜5個のR12で場合により置換された3〜7員の炭素環式又は複素環式飽和環を形成し;
及びRは、Rが結合した窒素と一緒になって、N、O又はSから選択される2個までのさらなるヘテロ原子を含み、1〜4個のR14で場合により置換された3〜8員の飽和、部分飽和又は芳香族窒素含有環を形成し;
及びRは、Rが結合した窒素と一緒になって、N、O又はSから選択される2個までのさらなるヘテロ原子を含み、1〜4個のR14で場合により置換された3〜8員の飽和、部分飽和又は芳香族窒素含有環を形成し;或いは
各R14は、ハロゲン、R”、NH、NHR”、N(R”)、SH、SR”、OH、OR”、NO、CN、CF、COOR”、COOH、COR”、OC(O)R”又はNC(O)R”から独立に選択され;或いは同一の置換基又は異なる置換基上の任意の2個のR13基は、各R14基が結合した原子と一緒になって、1〜3個のR16で場合により置換された3〜7員の飽和、不飽和又は部分飽和炭素環式又は複素環式環を形成し;
R”は、1〜4個のR10で場合により置換されたC1〜3脂肪族であり;
各R16は、ハロゲン、CF、OCH、OH、SH、NO、NH、SCH、NCH、CN、CON(R15又は非置換のC1〜2脂肪族から独立に選択され、或いは2個のR16基は、それらが結合した炭素と一緒になって、シクロプロピル環又はC=Oを形成し;
はH、又は1〜3個のR17で場合により置換されたC1〜4脂肪族であり;
各R17は、ハロゲン、CF、OCH、OH、SH、NO、NH、SCH、NCH、CN、CON(R15又は非置換のC1〜2脂肪族から独立に選択され、或いは2個のR17基は、それらが結合した炭素と一緒になって、シクロプロピル環又はC=Oを形成し;
は、1〜6個のR18で場合により置換されたC1〜4脂肪族であり;
各R18は、ハロゲン、CF、OCH、OH、SH、NO、NH、SCH、NCH、CN、CON(R15又は非置換のC1〜2脂肪族から独立に選択され、或いは2個のR18基は、それらが結合した炭素と一緒になって、シクロプロピル環又はC=Oを形成する。]。
【0037】
一実施形態において、本発明の化合物は、式I−A、I−B、I−C、I−D、I−E、I−F、I−G、I−H又はI−iの1つを有する。
【0038】
【化10】

【0039】
【化11】

一実施形態において、前記化合物は、式I−A、I−B、I−C又はI−Dの化合物から選択される。さらなる実施形態において、前記化合物は、式I−C又はI−Dの化合物から選択される。さらなる実施形態において、前記化合物は、式I−Dを有する。
【0040】
別の実施形態において、前記化合物は、式I−A、I−B、I−C、I−F、I−G又はI−Iの化合物から選択され、Rは、H、Cl、F、R’、OH又はOR’である。さらなる実施形態において、Rは、H、CH、Cl又はFである。
【0041】
別の実施形態において、前記化合物は、式I−A、I−B、I−C、I−D、I−E又はI−Hの化合物から選択され、Rは、H、Cl、F、R’、OH又はOR’である。さらなる実施形態において、Rは、H、CH、Cl又はFである。さらに別の実施形態において、前記化合物は、式I−Cの化合物であり、Rは、H、Cl又はFであり、RはHである。
【0042】
別の実施形態において、前記化合物は、式I−A、I−E又はI−Gの化合物から選択され、R23は、H、Cl、F、R’、OH又はOR’である。さらなる実施形態において、R23は、H、CH、Cl又はFである。さらなる実施形態において、R23はHである。
【0043】
別の実施形態において、前記化合物は、式I−B、I−D又はI−Fの化合物から選択され、R24は、H、Cl、F、R’、OH又はOR’である。さらなる実施形態において、R24は、H、CH、Cl又はFである。さらに別の実施形態において、前記化合物は、式I−Dの化合物であり、R及びR24は、ともにHである。
【0044】
別の実施形態において、XはCRであり、XはCRであり、R及びRは、一緒になって、1〜4個のRで場合により置換された5〜7員のアリール又はヘテロアリール環を形成する。
【0045】
以上に開示した実施形態のいずれかの別の実施形態において、Rは、H、CH、CHCH又はCH(CHである。さらなる実施形態において、Rは、H又はCHである。さらなる実施形態において、RはHである。
【0046】
代替的な実施形態において、R及びRは、Rが結合した窒素と一緒になって、N、O又はSから選択される2個までのさらなるヘテロ原子を含み、1〜4個のR14で場合により置換された3〜8員の飽和、部分飽和又は芳香族窒素含有環を形成する。
【0047】
以上に開示した実施形態のいずれかの別の実施形態において、Rは、H、又は3つまでのR12で場合により置換されたC1〜2アルキルである。さらなる実施形態において、Rは、H又は非置換のC1〜2アルキルである。
【0048】
以上に開示した実施形態のいずれかの別の実施形態において、Rは、1〜5個のR13で場合により置換されたC1〜4脂肪族である。さらなる実施形態において、R5はHであり、Rは、
【0049】
【化12】

【0050】
【化13】

から選択される。
【0051】
さらなる実施形態において、Rは、
【0052】
【化14】

【0053】
【化15】

から選択される。
【0054】
さらなる実施形態において、Rは、
【0055】
【化16】

から選択される。
【0056】
さらなる実施形態において、Rは、
【0057】
【化17】

から選択される。
【0058】
別の実施形態において、R及びRは、一緒になって、
【0059】
【化18】

[式中、前記環における1つ又は複数の炭素原子は、N、O又はSで場合により且つ独立に置換されている]から選択される環を形成する。
【0060】
別の実施形態において、R及びRは、
【0061】
【化19】

である。
【0062】
さらなる実施形態において、R及びRは、
【0063】
【化20】

である。
【0064】
さらなる実施形態において、R及びRは、
【0065】
【化21】

である。
【0066】
別の実施形態において、R及びRは、Rが結合した窒素と一緒になって、N、O又はSから選択される2個までのさらなるヘテロ原子を含み、1〜4個のR14で場合により置換された3〜8員の飽和、部分飽和又は芳香族窒素含有環を形成する。さらなる実施形態において、R及びRは、一緒になって、
【0067】
【化22】

から選択され;R14’は、H又はR14である。
【0068】
さらなる実施形態において、R及びRは、一緒になって、
【0069】
【化23】

である。
【0070】
さらなる実施形態において、R及びRは、一緒になって、
【0071】
【化24】

である。
【0072】
さらなる実施形態において、R及びRによって形成される環は、非置換である。別の実施形態において、R及びRによって形成される環は、1個のR14で置換されている。さらなる実施形態において、R14は、OH、CH、F、OR’又はNHR’である。さらなる実施形態において、R’は、C1〜2アルキル又はC2〜3アルケニルである。さらなる実施形態において、R14はOHである。
【0073】
以上に開示した実施形態のいずれかの別の実施形態において、Rは、H、又は1〜3個のR17で場合により置換されたC1〜2アルキルである。さらなる実施形態において、Rは、H又は非置換のC1〜2アルキルである。
【0074】
以上に開示した実施形態のいずれかの別の実施形態において、Rは、6つまでのR18で場合により置換されたC1〜4脂肪族又は脂環式基である。さらなる実施形態において、Rは、6つまでのR18で場合により置換されたC2〜3脂肪族又は脂環式基である。さらなる実施形態において、R18はFである。さらなる実施形態において、Rは、CHCH、CHCF、CHCHF、CHCHF、CHCHCH、CHCHCF、CHCHCHF又はCHCHCHFである。さらなる実施形態において、Rは、CHCH、CHCF、CHCHCH又はCHCHCFである。さらなる実施形態において、Rは、CHCFである。
【0075】
以上に開示した実施形態のいずれかの別の実施形態において、Rは、(1−a)、(1−c)、(1−k)、(2−d)、(2−e)、(2−f)、(2−n)、(2−o)、(2−u)、(2−v)、(2−x)、(2−y)、(2−z)及び(3−a)から選択される。さらなる実施形態において、Rは、(1−a)、(1−c)、(1−k)、(2−d)、(2−e)、(2−n)、(2−o)、(2−u)、(2−x)及び(2−z)から選択される。さらなる実施形態において、Rは、(1−a)、(1−c)、(2−d)、(2−e)、(2−n)、(2−o)、(2−u)及び(2−x)から選択される。さらなる実施形態において、Rは、(1−c)、(2−d)、(2−n)及び(2−o)から選択される。
【0076】
別の実施形態において、Rは非置換である。代替的な実施形態において、R環の非芳香族複素環式環の2個までの置換可能炭素及び1個までの置換可能窒素が置換されている。さらなる実施形態において、R環の非芳香族複素環式環の1個の置換可能炭素及び1個までの置換可能窒素が置換されている。さらなる実施形態において、R環の1個の置換可能炭素が置換されている。
【0077】
別の実施形態において、Rは(2−n)であり、R25はC(O)NRである。別の実施形態において、Rは、(2−o)であり、R25は、場合により置換されたアリール又はヘテロアリールである。さらなる実施形態において、R25は、場合により置換されたフェニルである。別の実施形態において、Rは(1−c)又は(2−d)であり、Rは非置換である。
【0078】
別の実施形態において、本発明は、表1の化合物を提供する。
【0079】
【表1−1】

【0080】
【表1−2】

【0081】
【表1−3】

【0082】
【表1−4】

【0083】
【表1−5】

【0084】
【表1−6】

【0085】
【表1−7】

【0086】
【表1−8】

【0087】
【表1−9】

【0088】
【表1−10】

【0089】
【表1−11】

【0090】
【表1−12】

【0091】
【表1−13】

【0092】
【表1−14】

使用、調合及び投与
医薬として許容し得る組成物
別の実施形態において、本発明は、式Iの化合物を含む医薬組成物を提供する。
【0093】
さらなる実施形態において、該組成物は、化学療法薬若しくは抗増殖薬、抗炎症薬、免疫調節薬若しくは免疫抑制薬、神経栄養因子、心臓血管疾患を治療するための薬剤、破壊性骨障害を治療するための薬剤、肝臓疾患を治療するための薬剤、抗ウィルス薬、血液障害を治療するための薬剤、糖尿病を治療するための薬剤、又は免疫不全障害を治療するための薬剤から選択される治療薬をさらに含む。
【0094】
別の実施形態によれば、本発明は、本発明の化合物又はその医薬として許容し得る誘導体、及び医薬として許容し得る担体、アジュバント又はビヒクルを含む組成物を提供する。本発明の組成物における化合物の量は、生体試料又は患者におけるタンパク質キナーゼ、特にJAKファミリーキナーゼを測定可能に阻害するのに有効な量である。好ましくは、本発明の組成物は、当該組成物を必要とする患者に対する投与に向けて調合される。最も好ましくは、本発明の組成物は、患者に対する経口投与に向けて調合される。
【0095】
「患者」という用語は、本明細書に使用されているように、動物、好ましくは哺乳動物、最も好ましくはヒトを指す。
【0096】
したがって、本発明の別の態様において、医薬として許容し得る組成物が提供され、これらの組成物は、本明細書に記載されている化合物のいずれかを含み、医薬として許容し得る担体、アジュバント又はビヒクルを場合により含む。一部の実施形態において、これらの組成物は、1つ又は複数のさらなる治療薬を場合によりさらに含む。
【0097】
本発明の化合物の一部は、治療に応じた自由な形で、又は適宜その医薬として許容し得る誘導体として存在できることも理解されるであろう。本発明によれば、医薬として許容し得る誘導体は、医薬として許容し得るプロドラッグ、塩、エステル、当該エステルの塩、或いは必要とする患者に投与されると、本明細書に別に記載の化合物、又は代謝物質若しくはその残留物を直接又は間接的に供給することが可能な任意の他の付加物又は誘導体を含むが、それらに限定されない。本明細書に使用されているように、「阻害活性代謝物質又はその残留物」という用語は、代謝物質又はその残留物もJAKファミリーキナーゼの阻害薬であることを意味する。
【0098】
本明細書に使用されているように、「医薬として許容し得る塩」という用語は、適切な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激及びアレルギー応答等を伴わずにヒト及びより下等な動物の組織と接触させて使用することに好適な塩を指す。
【0099】
医薬として許容し得る塩は、当技術分野でよく知られている。例えば、S. M. Bergeらは、参照により本明細書に組み込まれているJ. Pharmaceutical Sciences、1977年、66、1〜19頁において医薬として許容し得る塩を詳細に記載している。本発明の化合物の医薬として許容し得る塩としては、好適な無機及び有機酸及び塩基から誘導される塩が挙げられる。医薬として許容し得る無毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸及び過塩素酸などの無機酸、又は酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸若しくはマロン酸などの有機酸により、或いはイオン交換などの当技術分野で用いられる他の方法を用いることによって形成されるアミノ基の塩である。他の医薬として許容し得る塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重硫酸塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシ−エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリル酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩及び吉草酸塩等が挙げられる。適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム及びN(C1〜4アルキル)塩が挙げられる。本発明には、本明細書に開示されている化合物の任意の塩基性窒素含有基の四級化も想定される。当該四級化によって水溶性若しくは油溶性又は分散性生成物を得ることができる。代表的なアルカリ又はアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウム等が挙げられる。さらなる医薬として許容し得る塩としては、適宜、無毒性アンモニウム、四級アンモニウム、又はハロゲン化物、水酸化物、カルボン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩、低級アルキルスルホン酸塩及びアリールスルホン酸塩などの対イオンで形成されるアミンカチオンが挙げられる。
【0100】
上述したように、本発明の医薬として許容し得る組成物は、所望の具体的な剤形に適する、医薬として許容し得る担体、アジュバント、又は本明細書に使用されているように、あらゆる溶媒、希釈剤若しくは他の液体媒体を含む媒体、分散若しくは懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘若しくは乳化剤、防腐剤、固体バインダ及び滑沢剤等をさらに含む。Remington’s Pharmaceutical Sciences、第16版、E. W. Martin(Mack Publishing Co.ペンシルバニア州Easton、1980年)には、医薬として許容し得る組成物を調合するのに使用される様々な担体、及びそれらを調製するための既知の技法が開示されている。何らかの従来の媒体が、何らかの望ましくない生物学的影響をもたらすか、或いは医薬として許容し得る組成物の他の構成要素と有害な形で相互作用する場合を除いて、その使用は、本発明の範囲内であると考えられる。
【0101】
医薬として許容し得る担体として機能することができる材料のいくつかの例としては、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸若しくはソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、蝋、ポリエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマー、羊毛脂などの塩又は電解質、ラクトース、グルコース及びスクロースなどの糖;トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンなどのデンプン;カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース及び酢酸セルロースなどのセルロース及びその誘導体;粉末状トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;ココアバター及び坐薬蝋などの賦形剤;落花生油、綿実油;サフラワー油;ゴマ油;オリーブ油;トウモロコシ油及び大豆油などの油;グリコール;当該プロピレングリコール又はポリエチレングリコール:オレイン酸エチル及びラウリル酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール、及びリン酸緩衝液、並びにラウリル硫酸ナトリウム及びステアリン酸マグネシウムなどの他の無毒性適合性滑沢剤が挙げられるが、それらに限定されず、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味料、香料及び芳香剤、防腐剤及び酸化防止剤も調合者の判断に応じて化合物中に存在し得る。
【0102】
「測定可能に阻害する」という用語は、本明細書に使用されているように、本発明の化合物及びJAKキナーゼを含む試料と、前記化合物を含まずにJAKキナーゼを含む等価物としての試料とのキナーゼ活性、特にJAKキナーゼ活性の測定可能な差異を指す。
【0103】
本発明の組成物を経口投与、吸入スプレーによる非経口投与、局部投与、直腸投与、経鼻投与、頬投与、膣投与、又は移植リザーバにより投与することができる。本明細書で使用される「非経口」という用語は、皮下、静脈内、筋肉内、動脈内、滑液包内、胸骨内、クモ膜下腔内、眼内、肝臓内、病巣内及び頭蓋内注射又は注入技法を含む。好ましくは、該組成物は、経口投与、腹腔内投与、又は静脈内投与される。本発明の組成物の無菌注射可能形態は、水性又は油性懸濁液であってよい。好適な分散又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、当技術分野で知られている技法に従ってこれらの懸濁液を調合することができる。無菌注射可能製剤は、例えば1,3−ブタンジオール中溶液などの無毒性の非経口的に許容し得る希釈剤又は溶媒中無菌注射可能溶液又は懸濁液であってもよい。採用できる許容し得る媒体及び溶媒のなかには、水、リンゲル液及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌の不揮発油が、溶媒又は懸濁媒体として従来から使用されている。
【0104】
この目的では、合成モノ又はジグリセリドを含む任意の無刺激性の不揮発油を採用することができる。オレイン酸及びそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、特にそれらのポリオキシエチル化型で、オリーブ油又はヒマシ油などの天然の医薬として許容し得る油と同様に、注射剤の調製に有用である。これらの油溶液又は懸濁液は、カルボキシメチルセルロースなどの長鎖アルコール希釈剤又は分散剤、或いはエマルジョン及び懸濁液を含む、医薬として許容し得る剤形の調合に広く使用される同様の分散剤を含むこともできる。ツイーン、スパン、及び医薬として許容し得る固体、液体又は他の剤形の製造に広く使用される他の乳化剤又は生物学的利用能向上剤を調合の目的で使用することもできる。
【0105】
本発明の医薬として許容し得る組成物を、カプセル剤、錠剤、水性懸濁液又は溶液を含むが、それらに限定されない任意の経口的に許容し得る剤形で経口投与することができる。経口用途の錠剤の場合は、広く使用される担体としては、ラクトース及びトウモロコシデンプンが挙げられる。典型的にはステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤も添加される。カプセルの形での経口投与では、有用な希釈剤としてはラクトース及び乾燥トウモロコシデンプンが挙げられる。水性懸濁液が経口投与に必要とされるときは、活性成分が乳化剤及び懸濁剤と混合される。望まれる場合は、特定の甘味料、香料又は着色剤を添加することもできる。
【0106】
或いは、本発明の医薬として許容し得る組成物を直腸投与のための坐薬の形で投与することができる。該薬剤と、室温で固体であるが、直腸の温度では液体であるため、直腸内で溶融して薬物を放出させる好適な無刺激性賦形剤とを混合することによって、これらを調製することができる。当該材料としては、ココアバター、蜜蝋及びポリエチレングリコールが挙げられる。
【0107】
特に、治療の目標が、眼、皮膚又は下部腸管の疾患を含めて、局部的適用によって容易に接触可能な部分又は器官を含む場合は、本発明の医薬として許容し得る組成物を局部投与することもできる。好適な局部製剤は、これらの部分又は器官の各々に対して容易に調製される。
【0108】
下部腸管に対する局部的適用を直腸坐薬製剤(上記参照)又は好適な浣腸製剤で実施することができる。局部経皮貼付剤を使用することもできる。
【0109】
局部的適用では、医薬として許容し得る組成物を、1つ又は複数の担体に懸濁又は溶解した活性構成要素を含む好適な軟膏剤で調合することができる。本発明の化合物の局部投与のための担体としては、鉱油、液体ワセリン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋及び水が挙げられるが、それらに限定されない。或いは、医薬として許容し得る組成物を、1つ又は複数の医薬として許容し得る担体に懸濁又は溶解した活性構成要素を含む好適なローション剤又はクリーム剤で調合することができる。好適な担体としては、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステル蝋、セテアリールアルコール、2−オクチルドデカノール、ベンジルアルコール及び水が挙げられるが、それらに限定されない。
【0110】
眼の用途では、塩化ベンジルアルコニウムなどの防腐剤を含めて、又は含めずに、等張性のpH調整無菌食塩水若しくは他の水溶液中微粉化懸濁液として、又は好ましくは、等張性のpH調整無菌食塩水若しくは他の水溶液中溶液として、医薬として許容し得る組成物を調合することができる。或いは、眼の用途では、医薬として許容し得る組成物をワセリンなどの軟膏剤で調合することができる。本発明の医薬として許容し得る組成物を経鼻エアロゾル又は吸入によって投与することもできる。当該組成物は、医薬製剤の技術分野でよく知られた技法に従って調製され、ベンジルアルコール又は他の好適な防腐剤、生物学的可用性を向上させるための吸収促進剤、炭化フッ素、及び/又は他の従来の可溶化剤若しくは分散剤を採用した食塩水中溶液として調製され得る。
【0111】
最も好ましくは、本発明の医薬として許容し得る組成物は、経口投与のために調合される。
【0112】
経口投与のための液体剤形としては、医薬として許容し得るエマルジョン剤、ミクロエマルジョン剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤が挙げられるが、それらに限定されない。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば、水又は他の溶媒などの当技術分野で広く使用されている不活性希釈剤、可溶化剤、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、落下生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油及びゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコール及びソルビタンの脂肪酸エステル並びにそれらの混合物などの乳化剤を含むことができる。経口組成物は、不活性希釈剤に加えて、湿潤剤、乳化剤及び懸濁剤、甘味料、香料及び芳香剤などの助剤を含むこともできる。
【0113】
注射可能製剤、例えば、無菌注射可能水性又は油性懸濁液を、好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使用して、既知の技術に従って調合することができる。無菌注射可能製剤は、例えば、1,3−ブタンジオール中溶液などの無毒性の非経口的に許容し得る希釈剤又は溶媒中の無菌注射可能溶液、懸濁液又はエマルジョンであってもよい。採用できる許容し得る媒体及び溶媒のなかには、リンゲル液、U.S.P.及び等張塩化ナトリウム溶液がある。加えて、無菌揮発油が、溶媒又は懸濁媒体として従来から採用されている。この目的のために、合成モノ又はジグリセリドを含む任意の無刺激不揮発油を採用することができる。加えて、オレイン酸などの脂肪酸が注射薬の調製に使用される。
【0114】
例えば、細菌保持フィルタによる濾過によって、又は使用前に無菌水若しくは他の無菌注射可能媒体に溶解若しくは分散できる無菌個体組成物の形で滅菌剤を組み込むことによって注射可能製剤を無菌化することができる。
【0115】
本発明の化合物の効果を長引かせるために、皮下又は筋肉内注射からの化合物の吸収を緩慢にすることがしばしば望ましい。これを、水溶性が劣る結晶質又は非晶質材料の懸濁液を使用することによって達成することができる。次いで、化合物の吸収速度は、その溶解速度に左右され、そして、溶解速度は結晶サイズ及び結晶形態に左右され得る。或いは、非経口投与化合物形態の吸収の緩慢化は、化合物を油性媒体に溶解又は懸濁させることによって達成される。注射可能デポー剤は、ポリラクチド−ポリグリコリドなどの生分解性ポリマーで化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成することによって製造される。化合物とポリマーの比率、及び採用される具体的なポリマーの性質に応じて、化合物放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)及びポリ(無水物)が挙げられる。デポー注射可能製剤は、また、体組織との適合性を有するリポソーム又はミクロエマルジョンに化合物を混入させることによって調製される。
【0116】
直腸又は膣投与のための組成物は、好ましくは、本発明の化合物と、室温で固体であるが、体温で液体であるため、直腸又は膣洞で溶融し、活性化合物を放出させるココアバター、ポリエチレングリコール又は坐薬蝋などの好適な無刺激性賦形剤又は担体とを混合することによって調製できる坐薬である。
【0117】
経口投与のための固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉剤及び顆粒剤が挙げられる。このような固体剤形において、活性化合物は、クエン酸ナトリウム又はリン酸二カルシウムなどの少なくとも1つの不活性の医薬として許容し得る賦形剤若しくは担体、及び/又はa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール及びケイ酸などの充填剤若しくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース及びアカシアなどのバインダ、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶液緩染剤、f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリン及びベントナイトクレーなどの吸収剤、並びにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム及びそれらの混合物などの滑沢剤と混合される。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合は、剤形は、緩衝剤を含むこともできる。
【0118】
ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコール等の賦形剤を使用して、類似の種類の固体組成物を軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル剤中の充填剤として採用することもできる。腸溶コーティング、及び製剤分野でよく知られている他のコーティングなどのコーティング及びシェルを用いて、錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤及び顆粒剤の固体剤形を調製することができる。それらは、不透明化剤を場合により含むことができ、腸管の特定の部分において、活性成分のみを、又は活性成分を優先的に場合により徐々に放出させる組成を有することもできる。使用できる包理組成物の例としては、ポリマー物質及び蝋が挙げられる。ラクトース又は乳糖並びに高分子量ポリエチレングリコール等の賦形剤を使用して、類似の種類の固体組成物を軟質及び硬質充填ゼラチンカプセル剤に採用することができる。
【0119】
活性化合物は、以上に挙げた1つ又は複数の賦形剤を含むマイクロカプセル化された形をとることもできる。腸溶コーティング、放出制御コーティング、及び製剤分野でよく知られている他のコーティングなどのコーティング及びシェルを用いて、錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤及び顆粒剤の固体剤形を調製することができる。このような固体剤形において、活性化合物をスクロース、ラクトース又はデンプンなどの少なくとも1つの不活性希釈剤と混合することができる。このような剤形は、通例のように、不活性希釈剤以外のさらなる物質、例えば、錠剤化滑沢剤、並びにステアリン酸マグネシウム及び微結晶セルロースなどの他の錠剤化助剤を含むこともできる。カプセル剤、錠剤及び丸剤の場合は、剤形は、緩衝剤を含むこともできる。それらは、不透明化剤を場合により含むことができ、腸管の特定の部分において、活性成分のみを、又は活性成分を優先的に場合により徐々に放出させる組成を有することもできる。使用できる包理組成物の例としては、ポリマー物質及び蝋が挙げられる。
【0120】
本発明の化合物の局部又は経皮投与のための剤形としては、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、粉剤、液剤、スプレー剤、吸入剤又は貼付剤が挙げられる。活性構成要素は、医薬として許容し得る担体、及び必要に応じて任意の必要な防腐剤又は緩衝剤と無菌条件下で混合される。眼科製剤、点耳剤及び点眼剤も本発明の範囲内にあると想定される。また、本発明は、化合物を身体に制御送達させる追加的な利点を有する経皮貼付剤の使用を想定している。化合物を適正な媒体に溶解又は分配することによって当該剤形を製造することができる。吸収向上剤を使用して、皮膚への化合物の流動を向上させることもできる。速度制御膜を設けることによって、又は化合物をポリマーマトリックス若しくはゲルに分散させることによって速度を制御することができる。
【0121】
本発明の化合物は、好ましくは、投与を容易にし、投与を均一にするために単位剤形で調合される。本明細書に使用されているように、「単位剤形」という表現は、治療される患者に適した薬剤の物理的に個別の単位を指す。しかし、本発明の化合物及び組成物の全日用量は、適切な医学的判断の範囲内で担当医によって決定されることになることが理解されるであろう。任意の特定の患者又は生体に対する具体的な有効投与量は、治療されている障害及び障害の重度;採用される具体的な化合物の活性;採用される具体的な組成物;患者の年齢、体重、全体的な健康状態、性別及び食事;採用される具体的な化合物の投与時間、投与経路及び排泄速度;治療の継続時間;採用される具体的な化合物と併用又は同時に使用される薬物、及び医学分野でよく知られている同様の要因を含む様々な要因によって決まる。
【0122】
担体材料と組み合わせて、単一剤形の組成物を製造することができる本発明の化合物の量は、治療される宿主、具体的な投与方式に応じて異なることになる。好ましくは、該組成物は、体重1kg当たり阻害薬が0.01〜100mg毎日の投与量を、これらの組成物を受領する患者に投与できるように調合されるべきである。
【0123】
治療又は予防される特定の状態又は疾患に応じて、通常、その状態を治療又は予防するために投与されるさらなる治療薬が本発明の組成物に存在してもよい。本明細書に使用されているように、通常、特定の疾患又は状態を治療又は予防するために投与されるさらなる治療薬は、「治療されている疾患又は状態に適するもの」として知られる。
【0124】
例えば、化学療法薬又は他の抗増殖薬を本発明の化合物と組み合わせて、増殖性疾患及び癌を治療することができる。既知の化学療法薬の例としては、Gleevec(登録商標)、アドリアマイシン、デキサメタソン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、フルオロウラシル、トポテカン、Taxol、インターフェロン及びプラチナ誘導体が挙げられるが、それらに限定されない。
【0125】
本発明の阻害薬と組み合わせることができる薬剤の他の例としては、限定することなく、Aricept(登録商標)及びExcclon(登録商標)などのアルツハイマー病の治療薬;L−DOPA/カルビドーパ、エンタカポン、ロピンロール、プラミペキソール、ブロモクリプチン、ペルゴリド、トリヘキセフェンジル及びアマンタジンなどのパーキンソン病の治療薬;ベータインターフェロン(例えばAvonex(登録商標)及びRebif(登録商標))、Copaxone(登録商標)及びミトキサントロンなどの多発性硬化症(MS)治療薬;アルブテロール及びSingulair(登録商標)などの喘息治療薬;ジプレキサ、リスペルダール、スクロクエル及びハロペリドールなどの統合失調症治療薬;コルチコステロイド、TNF遮断薬、Il−1RA、アザチオプリン、シクロホスファミド及びスルファサラジンなどの抗炎症薬;シクロスポリン、タクロリムス、ラパマイシン、マイコフェノレートモフェチル、インターフェロン、コルチコステロイド、シクロホファミド、アザチオプリン及びスルファサラジンなどの免疫調節薬及び免疫抑制薬;アセチルコリンステラーゼ阻害薬、MAO阻害薬、インターフェロン、抗痙攣薬、イオンチャネル遮断薬、リルゾール及び抗パーキンソン病薬などの神経栄養因子;ベータ遮断薬、ACE阻害薬、利尿薬、硝酸塩、カルシウムチャネル遮断薬及びスタチンなどの心臓血管疾患治療薬;コルチコステロイド、コレスチラミン、インターフェロン及び抗ウィルス薬などの肝臓疾患治療薬;コルチコステロイド、抗白血病薬及び成長因子などの血液障害治療薬;ガンマグロブリンなどの免疫不全障害治療薬が挙げられる。
【0126】
本発明の化合物と併用できる治療薬としては、リウマチ様関節炎、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、反応性関節炎、クローン病に関連する関節炎、及び潰瘍性結腸炎に関連する関節炎を治療するための1つ又は複数の薬剤が挙げられる。関節炎(例えば、リウマチ様関節炎、乾癬性関節炎、反応性関節炎、又はクローン病若しくは潰瘍性結腸炎に関連する関節炎)を治療するために使用できる薬剤としては、限定することなく、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS;例えば、アスピリン、インブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、インドメタシン、トルメチン、スリンダク、ピロキシカム、ジクロフェナク及びセレコキシブ)、抗炎症ステロイド(例えば、コルチソン又はプレドニソン)の局部注射及び/又は経口投与薬、メトトレキセート、金化合物の経口投与及び/又は筋肉注射薬、抗マラリア薬(例えばヒドロキシクロロキン)、シクロスポリン、レフルノミド、アザチオプリン、スルファサラジン、d−ペニシラミン、シクロホスファミド、ミコフェノレート、p38アンタゴニスト(例えばVX−702)、生物薬、又はそれらの組合せが挙げられる。生物薬としては、限定することなく、腫瘍壊死因子α(TNFα)アンタゴニスト、インターロイキン−1α(IL−1α)アンタゴニスト、CD28アンタゴニスト及びCD20アゴニストが挙げられる。さらなる実施形態において、生物薬としては、エタネルセプト(ENBREL(商標))、アダリムマブ(HUMIRA(商標))、インフリキシマブ(REMICADE(商標))、アナキンラ(KINERET(商標))、アバタセプト(ORENCIA(商標))、リツキシマブ(RITUXAN(商標))及びセルトリズマブペゴル(CIMZIA(商標))、乾癬を治療するのに使用できる治療薬としては、限定することなく、コルチコステロイド、カルシポトルエン、コールタール、アントラリン及びサリチル酸などの局部薬;コールタール又はソラレンに関連する光線療法;メトトレキセート、レチノイド(例えばエトレチネート及びイソトレチノイン)、ヒドロキシ尿素、及びエタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、アラファセプト(AMEVIVE(商標))及びエファリズマブ(RAPTIVA(商標))などの生物薬などの全身薬が挙げられる。
【0127】
本発明の組成物に存在するさらなる治療薬の量は、通常、その治療薬を唯一の活性薬として含む組成物で投与される量を超えない。好ましくは、本明細書に開示されている組成物におけるさらなる治療薬の量は、通常、その薬剤を唯一の活性治療薬として含む組成物に存在する量の約50%から100%の範囲になる。
【0128】
化合物及び組成物の使用
一実施形態において、本発明は、患者におけるJAKキナーゼ活性を阻害する方法であって、本発明の化合物又は組成物を前記患者に投与することを含む方法を提供する。
【0129】
別の実施形態において、本発明は、患者におけるJAK媒介状態又は疾患を治療する、又はその重度を軽減する方法を含む。「JAK媒介疾患」という用語は、本明細書に使用されているように、JAKファミリーキナーゼ、特にJAK2又はJAK3が役割を果たすことが知られる任意の疾患又は他の有害な状態を指す。さらなる実施形態において、本発明は、JAK3媒介疾患を治療する方法を含む。当該状態としては、限定することなく、アレルギー又はI型過敏反応などの免疫応答、喘息、移植片拒絶などの自己免疫疾患、移植片対宿主病、リウマチ様関節炎、筋萎縮性側索硬化及び多発性硬化症、家族性筋萎縮性側索硬化(FALS)などの神経変性障害、並びに白血病及びリンパ腫などの固形及び血液悪性腫瘍が挙げられる。
【0130】
別の実施形態において、本発明は、増殖性障害、心臓障害、神経変性障害、自己免疫障害、臓器移植に関連する状態、炎症性障害、免疫障害又は免疫媒介障害から選択される状態の疾患を治療する、又はその重度を軽減する方法であって、本発明の化合物又は組成物を前記患者に投与することを含む方法を提供する。
【0131】
さらなる実施形態において、該方法は、化学療法薬又は抗増殖薬、抗炎症薬、免疫調節又は免疫抑制薬、向神経性因子、心臓血管疾患治療薬、糖尿病治療薬又は免疫不全障害治療薬から選択されるさらなる治療薬を前記患者に投与するさらなる工程を含み、前記さらなる治療薬は、治療されている疾患に適切であり、前記さらなる治療薬は、単一剤形として前記組成物とともに、又は複数剤形の一部として前記組成物と別に投与される。
【0132】
一実施形態において、疾患又は障害は、アレルギー又はI型過敏反応、喘息、糖尿病、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、AIDS関連認知症、筋萎縮性側索硬化(ALS、ルーゲーリッグ病)、多発性硬化症(MS)、統合失調症、心筋細胞肥大、再灌流/虚血、卒中、脱毛、移植片拒絶、移植片対宿主病、リウマチ様関節炎、筋萎縮性側索硬化及び多発性硬化症、並びに白血病及びリンパ腫などの固形及び血液悪性腫瘍である。さらなる実施形態において、前記疾患又は障害は、喘息である。別の実施形態において、前記疾患又は障害は、移植片拒絶である。別の実施形態において、前記疾患又は障害は、リウマチ様関節炎である。
【0133】
別の実施形態において、本発明の化合物又は組成物を使用して、骨髄増殖性障害を治療することができる。一実施形態において、骨髄増殖性障害は、真性多血症、本態性血小板血症又は慢性特発性骨髄線維症である。別の実施形態において、骨髄増殖性障害は、骨髄線維症による骨髄化生、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病、慢性好酸球性白血病、好酸球増加症候群、全身肥満細胞疾患、異型CML又は若年性骨髄単球性白血病である。
【0134】
別の実施形態において、本発明は、JAK媒介疾患を治療するための式Iの化合物の使用に対応する。さらなる実施形態において、本発明は、上述の疾患のいずれかを治療するための前記化合物の使用に対応する。別の実施形態において、本発明は、JAK媒介疾患を治療するための医薬品の製造のための式Iの化合物の使用に対応する。さらなる実施形態において、本発明は、上述の疾患のいずれかを治療するための医薬品の製造のための前記化合物の使用に対応する。
【0135】
別の実施形態において、本発明は、生体試料におけるJAKキナーゼ活性を阻害する方法であって、前記生体試料と、本発明の化合物又は組成物とを接触させることを含む方法を提供する。
【0136】
「生体試料」という用語は、本明細書に使用されているように、エキソビボ試料を指し、限定することなく、細胞培養物又はそれらの抽出物;組織若しくは臓器試料又はそれらの抽出物;哺乳動物から得られる生検材料又はその抽出物;及び血液、唾液、尿、糞、精液、涙若しくは他の体液又はそれらの抽出物を含む。
【0137】
生体試料におけるキナーゼ活性、特にJAKキナーゼ活性は、当業者に知られている様々な目的に有用である。当該目的の例としては、輸血、臓器移植、生体標本の保管及び生物学的アッセイが挙げられるが、それらに限定されない。
【0138】
本発明の一部の実施形態において、該化合物又は医薬として許容し得る組成物の「有効量」は、上記障害の1つ又は複数を治療する、又はその重度を軽減するのに有効な量である。本発明の方法によれば、該障害又は疾患を治療する、又はその重度を軽減するのに有効な任意の量及び投与経路を用いて、該化合物及び組成物を投与することができる。必要とされる正確な量は、対象の生物種、年齢及び全体的な状態、感染の重度、具体的な薬剤及びその投与方式等に応じて対象毎に異なることになる。
【0139】
代替的な実施形態において、本発明の方法は、さらなる治療薬を前記患者に個別に投与するさらなる工程を含む。これらのさらなる薬剤を個別に投与する場合は、それらを本発明の組成物の投与の前、該投与と連続して、又は該投与後に患者に投与することができる。
【0140】
人工器官、人工弁、人工血管、ステント及びカテーテルなどの移植可能医療デバイスにコーティングするのに本発明の化合物又はそれらの医薬として許容し得る組成物を使用することもできる。例えば、再狭窄(傷害後に血管壁が再び狭まること)を克服するために、血管ステントが使用されてきた。しかし、ステント又は他の移植可能デバイスを使用している患者は、凝血塊形成又は血小板活性化の危険がある。本発明の化合物を含む医薬として許容し得る組成物をデバイスにプレコーティングすることによって、これらの望ましくない影響を防止又は緩和することができる。
【0141】
コーティングされた移植可能デバイスの好適なコーティング及び一般的な調製は、米国特許第6,099,562号明細書;同第5,886,026号明細書;及び同第5,304,121号明細書に記載されている。コーティングは、典型的には、ヒドロゲルポリマー、ポリメチルジシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、エチレン酢酸ビニル及びそれらの混合物などの生体適合性ポリマー材料である。コーティングをフッ化シリコーン、多糖類、ポリエチレングリコール、リン脂質又はそれらの組合せの適切なトップコートで場合によりさらに被覆して、組成物において制御放出特性を付与することができる。本発明の化合物がコーティングされた移植可能デバイスは、本発明の別の実施形態である。該化合物をビーズなどの移植可能医療デバイスにコートし、又はポリマー若しくは他の分子と同時配合して「デポー薬」を調製することで、薬物の水溶液の投与より長時間にわたって薬物を放出させることが可能になる。
【0142】
化合物の合成及び特徴付けのための手法
本発明の化合物を、概して、類似の化合物について当業者に知られている方法によって、又は以下の実施例に示される方法によって調製することができる。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている国際公開第2005/095400号パンフレットに記載されている実施例を参照されたい。
【0143】
実施例に示されるすべての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれている。本明細書に使用されているように、すべての略語、符号及び規則は、最新の科学文献に使用されているものと一致する。例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれているJanet S. Dodd編、The ACS Style Guide:A Manual for Authors and Editors、第2版、Washington, D.C.:American Chemical Society、1997年を参照されたい。
【実施例】
【0144】
(実施例1)
本発明の化合物の調製
一般的な合成スキーム
スキームI
【0145】
【化25】

国際公開第2005/095400号パンフレットにすでに記載されている方法を用いて、式Fの化合物を、スキームIに示されるように調製することができる。
【0146】
具体的には、式A及びC並びにRNH−HClの化合物を商業的に入手するか、又は当業者によって調製することができる。式E及び/又はR−B(OR27の化合物を商業的に入手するか、又は表2の引用文献に記載されているように当業者によって調製することができる。既知の方法を用いて、Rのさらなる誘導体又は他の置換基を製造することができる。
【0147】
【表2−1】

【0148】
【表2−2】

化合物1〜32及び59〜168をスキームIに従って調製した。
【0149】
スキームII
【0150】
【化26】

II−l及びII−mをTetrahedron、1976年、32、341〜348頁に記載されている方法に従って調製した。得られた混合物を分離し、化合物をスキームIIに示されるように反応させて、対応するボロン酸塩を得た。
【0151】
スキームIII
【0152】
【化27】

が3−hである式Iの化合物をスキームIIIに従って調製することができる。
【0153】
スキームIV
【0154】
【化28】

スキームV
【0155】
【化29】

が3−o又は3−qである式Iの化合物をそれぞれスキームIV又はスキームVに従って調製することができる。
【0156】
スキームVI
【0157】
【化30】

国際公開2004/046120号パンフレット、国際公開第2006/034116号パンフレット及び国際公開第2005/095400号パンフレットにすでに記載されている方法を用いて、式G及びHの化合物を調製することができる。
【0158】
化合物33〜58をスキームVIに従って調製することができる。
【0159】
(実施例2)
分析結果
以下の表2は、本発明の特定の化合物について、電気スプレーによって測定された質量プラス陽子(M+H)で報告される例示的なH−NMRデータ(NMR)及び液体クロマトグラフィー質量スペクトルデータ、並びに滞留時間(RT)を示し、表2における化合物番号は、表1に示される化合物に対応する(空白の欄は、試験が実施されなかったことを示す)。
【0160】
【表3−1】

【0161】
【表3−2】

【0162】
【表3−3】

【0163】
【表3−4】

【0164】
【表3−5】

【0165】
【表3−6】

【0166】
【表3−7】

【0167】
【表3−8】

(実施例3)
JAK3阻害アッセイ
以下に示されるアッセイを使用して、化合物を、JAK3を阻害するそれらの能力について選別した。100mMのHEPES(pH7.4)、1mMのDTT、10mMのMgCl、25mMのNaCl及び0.01%のBSAを含むキナーゼ緩衝剤中で反応を実施した。アッセイにおける基質濃度は、5μMのATP(200uCi/μモルATP)及び1μMのポリ(Glu)Tyrであった。反応を25℃及び1nMのJAK3で実施した。
【0168】
96ウェルポリカーボネートプレートの各ウェルに対して、2μMのポリ(Glu)Tyr及び10μMのATPを含む50μlのキナーゼ緩衝剤とともに1.5μlの候補JAK3阻害薬を添加した。次いで、これを混合し、2nMのJAK3酵素を含む50μlのキナーゼ緩衝剤を添加して、反応を開始させた。室温(25℃)で20分間放置した後に、0.4mMのATPをも含む50μlの20%トリクロロ酢酸(TCA)で反応を停止させた。次いで、TomTek Cell Harvesterを使用して各ウェルの全内容物を96ウェルガラス繊維フィルタプレートに移した。洗浄後、60μlのシンチレーション液を添加し33Pの混入をPerkin ElmerTopCountで検出した。
【0169】
化合物29、33、34、35、36、37、42、56、68、74、75、97、101、102、108、114、120、123、132、139、140、144、148、154、155、162及び163は、1.0μM以下のKiでJAK3を阻害した。化合物4、11、26、27、28、30、31、32、38、39、43、44、45、49、50、51、57、58、59、60、61、64、65、66、67、72、73、77、78、79、82、86、93、94、98、104、107、109、110、112、113、119、121、130、133、136、141、147、156、158、164、167及び168は、1.0μMを超え、10μM以下のKiでJAK3を阻害した。化合物2、6、8、15、20、63、71、76、80、83、84、85、88、89、96、99、100、103、106、115、116、118、126、129、135、137、142、151、159、161及び165は、10μmを超え、50μM以下のKiでJAK3を阻害した。化合物1、3、5、7、9、10、12、13、14、16、17、18、19、21、22、23、24、25、62、69、70、81、87、90、91、92、95、105、111、117、122、124、125、127、128、131、134、138、143、145、146、149、150、152、153、157、160及び166は、50μMの濃度でJAK3を阻害しなかった。化合物40、41、46,47、48、52、53、54及び55は、5.0μMの濃度でJAK3を阻害しなかった。
【0170】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、我々の基本的な実施例を変更して、本発明の化合物及び方法を利用する他の実施形態を提供できることが明らかである。したがって、本発明の範囲は、上記の例によって示された具体的な実施形態でなく、添付の請求項によって規定されるべきであることが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物:
【化31】

又はその医薬として許容し得る塩[式中、
は、N又はCRであり;
は、N又はCRであり;X及びXの両方がNであることはなく;
は、N又はCR23であり;
は、N又はCR24であり;X及びXの少なくとも一方がNであり;
は、H、ハロ、R’、OH、OR’、COR’、COOH、COOR’、CONH、CONHR’、CON(R’)又はCNであり;
は、H、ハロ、R’、OH、OR’、COR’、COOH、COOR’、CONH、CONHR’、CON(R’)又はCNであり;或いは
及びRは、一緒になって、1〜4個のRで場合により置換された5〜7員のアリール又はヘテロアリール環を形成し;
各Rは、ハロゲン、OCH、OH、NO、NH、SH、SCH、NCH、CN又は非置換のC1〜2脂肪族から独立に選択され;
23は、H、ハロ、R’、OH、OR’、COR’、COOH、COOR’、CONH、CONHR’、CON(R’)又はCNであり;
24は、H、ハロ、R’、OH、OR’、COR’、COOH、COOR’、CONH、CONHR’、CON(R’)又はCNであり;
R’は、1〜4個のR10で場合により置換されたC1〜3の脂肪族であり;
各R10は、ハロゲン、CF、OCH、OH、SH、NO、NH、SCH、NCH、CN又は非置換のC1〜2脂肪族から独立に選択され、或いは2個のR10基は、それらが結合した炭素と一緒になって、シクロプロピル環又はC=Oを形成し;
は、
【化32】

【化33】

から選択され;
19は、H;1〜4個のハロゲン、OH、NO、NH、SH若しくはCNで場合により置換されたC3〜7脂環式;又はC1〜6脂肪族であり、該C1〜6脂肪族の2つまでのメチレン単位が、Gで場合により、且つ独立に置換されており、該C1〜6脂肪族は、1〜4個のR20で場合により置換されており;
は、−NH−、−NR21−、−O−、−S−、−CO−、−OC(O)−、−C(O)CO−、−C(O)−、−C(O)NH−、−C(O)NR21−、−NC(=N−CN)N−、−NHCO−、−NR21CO−、−NHC(O)O−、−NR21C(O)O−、−SONH−、−SONR21−、−NHSO−、−NR21SO−、−NHC(O)NH−、−NR21C(O)NH−、−NHC(O)NR21−、−NR21C(O)NR21、−OC(O)NH−、−OC(O)NR21−、−NHSONH−、−NR21SONH−、−NHSONR21−、−NR21SONR21−、−SO−、又は−SO−であり;
21は、1〜6個のハロゲン、N(R、R、−OR、−SR、−NO、−CF、−CN、−CO、−COR、OCOR、CONHR若しくはNHCORで場合により置換されたC1〜6脂肪族又はC3〜7脂環式であり;
各Rは、H又は非置換のC1〜6脂肪族から独立に選択され;
各R20は、ハロゲン、OH、OR22、NO、NH、NHR22、N(R22、SH、SR22、CN又はR22から独立に選択され;或いは2個のR20は、それらが結合した炭素と一緒になって、シクロプロピル環又はC=Oを形成し;
各R22は、1〜6個のハロゲン、OH、NO、NH、SH又はCNで場合により置換されたC1〜6脂肪族又はC3〜7脂環式から選択され;
25は、−(U)−Yであり;
Uは、C1〜6脂肪族であり、2つまでのメチレン単位が、Gで場合により且つ独立に置換されており、Uは、1〜4個のJで場合により置換されており;
は、−NH−、−NR26−、−O−、−S−、−CO−、−OC(O)−、−C(O)CO−、−C(O)−、−C(O)NH−、−C(O)NR26−、−NC(=N−CN)N−、−NHCO−、−NR26CO−、−NHC(O)O−、−NR26C(O)O−、−SONH−、−SONR26−、−NHSO−、−NR26SO−、−NHC(O)NH−、−NR26C(O)NH−、−NHC(O)NR26−、−NR26C(O)NR26、−OC(O)NH−、−OC(O)NR26−、−NHSONH−、−NR26SONH−、−NHSONR26−、−NR26SONR26−、−SO−、又は−SO−であり;
26は、C1〜6脂肪族、C3〜10脂環式、C6〜10アリール、5〜10員ヘテロアリール又は5〜10員ヘテロシクリルであり;該脂肪族、脂環式、アリール、ヘテロアリール又はヘテロシクリルは、ハロゲン、R、−OR、−SR、−NO、−CF、−CN、−CO、−COR、OCOR、CONHR又はNHCORで場合により置換されており;
各Jは、ハロゲン、L、−(L)−R’、−(L)−N(R’)、−(L)−SR’、−(L)−OR’、−(L)−(C3〜10脂環式)、−(L)−(C6〜10アリール)、−(L)−(5〜10員ヘテロアリール)、−(L)−(5〜10員ヘテロシクリル)、オキソ、C1〜4ハロアルコキシ、C1〜4ハロアルキル、−(L)−NO、−(L)−CN、−(L)−OH、−(L)−CF、−COR’、−COH、−COR’、−COH、−OC(O)R’、−C(O)NHR’、C(O)N(R’)、−NHC(O)R’又はNR’C(O)R’から独立に選択され;或いは同一の置換基又は異なる置換基上の2個のJ基は、各J基が結合した原子と一緒になって、5〜7員の飽和、不飽和、又は部分飽和環を形成し;
mは、0又は1であり;
Yは、H、ハロゲン、CN、NO、NH、NHR、N(R)、又はC1〜6脂肪族、C3〜10脂環式、C6〜10アリール、5〜10員ヘテロアリール、5〜10員ヘテロシクリルから選択される基であり、該基は、1〜8個のJで場合により置換されており;
各Jは、ハロゲン、L、−(L)−R26、−(L)−N(R26、−(L)−SR26、−(L)−OR26、−(L)−(C3〜10脂環式)、−(L)−(C6〜10アリール)、−(L)−(5〜10員ヘテロアリール)、−(L)−(5〜10員ヘテロシクリル)、オキソ、C1〜4ハロアルコキシ、C1〜4ハロアルキル、−(L)−NO、−(L)−CN、−(L)−OH、−(L)−CF、−CO26、−COH、−COR26、−COH、−OC(O)R26、−C(O)NHR26、C(O)N(R26、−NHC(O)R26又はNR26C(O)R26から独立に選択され;或いは同一の置換基又は異なる置換基上の2個のJ基は、各J基が結合した原子と一緒になって、5〜7員の飽和、不飽和又は部分飽和環を形成し;
各Lは、独立に、C1〜6脂肪族であり、3つまでのメチレン単位が、−NH−、−NR−、−O−、−S−、−CO−、−OC(O)−、−C(O)CO−、−C(O)−、−C(O)NH−、−C(O)NR−、−NC(=N−CN)N、−NHCO−、−NRCO−、−NHC(O)O−、−NRC(O)O−、−SONH−、−SONR−、−NHSO−、−NRSO−、−NHC(O)NH−、−NRC(O)NH−、−NHC(O)NR−、−NRC(O)NR、−OC(O)NH−、OC(O)NR−、−NHSONH−、−NRSONH−、−NHSONR−、−NRSONR−、−SO−、又は−SO−で置換されており;
各nは、独立に0又は1であり;
は、C1〜6脂肪族、C3〜10脂環式、C6〜10アリール、5〜10員ヘテロアリール又は5〜10員ヘテロシクリルから選択され;或いは同一の置換基又は異なる置換基上の2個のR基は、各R基が結合した原子と一緒になって、3〜8員ヘテロシクリルを形成し;
各Rは、C1〜6脂肪族、又は1〜6個のハロゲン、OH、NO、NH、SH若しくはCNで場合により置換されたC3〜6脂環式から選択され、或いは2個のR基は、R基が結合した原子と一緒になって、5〜7員の飽和、不飽和又は部分飽和環を形成し;
環の各置換可能炭素は、ハロゲン;−R;−OR;−SR;1,2−メチレンジオキシ;1,2−エチレンジオキシ;Rで場合により置換されたフェニル(Ph);Rで場合により置換された−O(Ph);Rで場合により置換された−(CH1〜2(Ph);Rで場合により置換された−CH=CH(Ph);−NO;−CN;−N(R;−NRC(O)R;−NRC(S)R;−NRC(O)N(R;−NRC(S)N(R;−NRCO;−NRNRC(O)R;−NRNRC(O)N(R;−NRNRCO;−C(O)C(O)R;−C(O)CHC(O)R;−CO;−C(O)R;−C(S)R;−C(O)N(R;−C(S)N(R;−OC(O)N(R;−OC(O)R;−C(O)N(OR)R;−C(NOR)R;−S(O);−S(O);−SON(R;−S(O)R;−NRSON(R;−NRSO;−N(OR)R;−C(=NH)−N(R;又は−(CH0−2NHC(O)Rで場合により且つ独立に置換され;各々の独立したRは、水素、場合により置換されたC1〜6脂肪族、非置換の5〜6員のヘテロアリール又は複素環式環、フェニル、−O(Ph)又は−CH(Ph)から選択され、或いは同一の置換基又は異なる置換基上の2個の独立したRは、各R基が結合した原子と一緒になって、5〜8員のヘテロシクリル、アリール、又はヘテロアリール環又は3〜8員のシクロアルキル環を形成し、該ヘテロアリール又はヘテロシクリル環は、窒素、酸素又は硫黄から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有し;Rの脂肪族基上の該任意の置換基の各々は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)又はハロC1〜4脂肪族から独立に選択され、Rの上記C1〜4脂肪族基の各々は非置換であり;
の非芳香族複素環式環の各置換可能窒素は、−R、−N(R、−C(O)R、−CO、−C(O)C(O)R、−C(O)CHC(O)R、−SO、−SON(R、−C(=S)N(R、−C(=NH)−N(R又は−NR+SOで場合により且つ独立に置換され、Rは、水素、場合により置換されたC1〜6脂肪族、場合により置換されたフェニル、場合により置換された−O(Ph)、場合により置換された−CH(Ph)、場合により置換された−(CH1〜2(Ph);場合により置換された−CH=CH(Ph);又は酸素、窒素若しくは硫黄から独立に選択される1から4個のヘテロ原子を有する非置換の5〜6員のヘテロアリール若しくは複素環式環であり、或いは同一の置換基又は異なる置換基上の2個の独立したRは、各R基が結合した原子と一緒になって、5〜8員のヘテロシクリル、アリール若しくはヘテロアリール環、又は3〜8員のシクロアルキル環を形成し、該ヘテロアリール又はヘテロシクリル環は、窒素、酸素又は硫黄から独立に選択される1〜3個のヘテロ原子を有し;Rの脂肪族基又はフェニル環上の該任意の置換基の各々は、NH、NH(C1〜4脂肪族)、N(C1〜4脂肪族)、ハロゲン、C1〜4脂肪族、OH、O(C1〜4脂肪族)、NO、CN、COH、CO(C1〜4脂肪族)、O(ハロC1〜4脂肪族)又はハロ(C1〜4脂肪族)から独立に選択され、Rの先述のC1〜4脂肪族基の各々は非置換であり;
はH、又は1〜3個のR11で場合により置換された−C1〜2脂肪族であり;
各R11は、ハロゲン、CF、OCH、OH、SH、NO、NH、SCH、NCH、CN、CON(R15又は非置換のC1〜2脂肪族から独立に選択され、或いは2個のR11基は、それらが結合した炭素と一緒になって、シクロプロピル環又はC=Oを形成し;
15は、H又は非置換のC1〜2アルキルであり;
はH、又は1〜5個のR12で場合により置換されたC1〜6脂肪族であり;
はH、又は1〜5個のR13で場合により置換されたC1〜6脂肪族であり;
各R12は、ハロゲン、OCH、OH、NO、NH、SH、SCH、NCH、CN又は非置換のC1〜2脂肪族から独立に選択され、或いは2個のR12基は、それらが結合した炭素と一緒になって、シクロプロピル環を形成し;
各R13は、ハロゲン、OCH、OH、NO、NH、SH、SCH、NCH、CN又は非置換のC1〜2脂肪族から独立に選択され、或いは2個のR13基は、それらが結合した炭素と一緒になって、シクロプロピル環を形成し;或いは
及びRは、一緒になって、1〜5個のR12で場合により置換された3〜7員の炭素環式又は複素環式飽和環を形成し;或いは
及びRは、Rが結合した窒素と一緒になって、N、O又はSから選択される2個までのさらなるヘテロ原子を含み、1〜4個のR14で場合により置換された3〜8員の飽和、部分飽和又は芳香族窒素含有環を形成し;或いは
及びRは、Rが結合した窒素と一緒になって、N、O又はSから選択される2個までのさらなるヘテロ原子を含み、1〜4個のR14で場合により置換された3〜8員の飽和、部分飽和又は芳香族窒素含有環を形成し;或いは
各R14は、ハロゲン、R”、NH、NHR”、N(R”)、SH、SR”、OH、OR”、NO、CN、CF、COOR”、COOH、COR”、OC(O)R”又はNC(O)R”から独立に選択され;或いは同一の置換基又は異なる置換基上の任意の2個のR14基は、各R14基が結合した原子と一緒になって、1〜3個のR16で場合により置換された3〜7員の飽和、不飽和又は部分飽和炭素環式又は複素環式環を形成し;
R”は、1〜4個のR10で場合により置換されたC1〜3脂肪族であり;
各R16は、ハロゲン、CF、OCH、OH、SH、NO、NH、SCH、NCH、CN、CON(R15又は非置換のC1〜2脂肪族から独立に選択され、或いは2個のR16基は、それらが結合した炭素と一緒になって、シクロプロピル環又はC=Oを形成し;
はH、又は1〜3個のR17で場合により置換されたC1〜4脂肪族であり;
各R17は、ハロゲン、CF、OCH、OH、SH、NO、NH、SCH、NCH、CN、CON(R15又は非置換のC1〜2脂肪族から独立に選択され、或いは2個のR17基は、それらが結合した炭素と一緒になって、シクロプロピル環又はC=Oを形成し;
は、1〜6個のR18で場合により置換されたC1〜4脂肪族であり;
各R18は、ハロゲン、CF、OCH、OH、SH、NO、NH、SCH、NCH、CN、CON(R15又は非置換のC1〜2脂肪族から独立に選択され、或いは2個のR18基は、それらが結合した炭素と一緒になって、シクロプロピル環又はC=Oを形成する。]。
【請求項2】
式I−aからI−iの化合物から選択される、請求項1に記載の化合物。
【化34】

【化35】

【請求項3】
式I−a、I−b、I−c又はI−dの化合物から選択される、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
式I−cからI−dの化合物から選択される、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
式I−a、I−b、I−c、I−f、I−g又はI−iの化合物から選択され、RがH、Cl、F、R’、OH又はOR’である、請求項2に記載の化合物。
【請求項6】
がH、CH、Cl又はFである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
式I−a、I−b、I−c、I−d、I−e又はI−hの化合物から選択され、RがH、Cl、F、R’、OH又はOR’である、請求項2に記載の化合物。
【請求項8】
がH、CH、Cl又はFである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
式I−cの化合物であり、RがH、Cl又はFであり、RがHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項10】
式I−a、I−e又はI−gの化合物から選択され、R23がH、Cl、F、R’、OH又はOR’である、請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
23がH、CH、Cl又はFである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
23がHである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
I−b、I−d又はI−fから選択され、R24がH、Cl、F、R’、OH又はOR’である、請求項2に記載の化合物。
【請求項14】
24がH、CH、Cl又はFである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
式I−dの化合物であり、R及びR24がともにHである、請求項2に記載の化合物。
【請求項16】
がCRであり、XがCRであり、R及びRが一緒になって、1〜4個のRで場合により置換された5〜7員のアリール又はヘテロアリール環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
がH、CH、CHCH又はCH(CHである、請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
がH又はCHである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
がHである、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
及びRが、Rが結合した窒素と一緒になって、N、O又はSから選択される2個までのさらなるヘテロ原子を含み、1〜4個のR14で場合により置換された3〜8員の飽和、部分飽和又は芳香族窒素含有環を形成する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
がH、又は3個までのR12で場合により置換されたC1〜2アルキルである、請求項1〜20のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項22】
がH又はC1〜2アルキルである、請求項21に記載の化合物。
【請求項23】
が、1〜5個のR13で場合により置換されたC1〜4脂肪族である、請求項1〜22のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項24】
がHであり、Rが、
【化36】

【化37】

から選択される、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
が、
【化38】

【化39】

から選択される、請求項24に記載の化合物。
【請求項26】
が、
【化40】

から選択される、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
が、
【化41】

から選択される、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
及びRが一緒になって、
【化42】

[式中、該環の1つ又は複数の炭素原子が、N、O又はSで場合により且つ独立に置換されている]から選択される環を形成する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
及びRが、
【化43】

である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項30】
及びRが、
【化44】

である、請求項29のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項31】
及びRが、
【化45】

である、請求項30に記載の化合物。
【請求項32】
及びRが、Rが結合した窒素と一緒になって、N、O又はSから選択される2個までのさらなるヘテロ原子を含み、1〜4個のR14で場合により置換された3〜8員の飽和、部分飽和又は芳香族窒素含有環を形成する、請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項33】
及びRが一緒になって、
【化46】

から選択され;
14’がH又はR14である、請求項32に記載の化合物。
【請求項34】
及びRが一緒になって、
【化47】

である、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
及びRが一緒になって、
【化48】

である、請求項34に記載の化合物。
【請求項36】
14が存在しない、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
及びRによって形成された環が1個のR14で置換されている、請求項35に記載の化合物。
【請求項38】
14がOH、CH、F、OR’又はNHR’である、請求項37に記載の化合物。
【請求項39】
R’がC1〜2アルキル又はC2〜3アルケニルである、請求項38に記載の化合物。
【請求項40】
14がOHである、請求項38に記載の化合物。
【請求項41】
がH、又は1〜3個のR17で場合により置換されたC1〜2アルキルである、請求項1〜40のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項42】
がH又は非置換のC1〜2アルキルである、請求項41に記載の化合物。
【請求項43】
が、6つまでのR18で場合により置換されたC1〜4脂肪族又は脂環式である、請求項1〜42のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項44】
が、6つまでのR18で場合により置換されたC2〜3脂肪族又は脂環式である、請求項43に記載の化合物。
【請求項45】
18がFである、請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
が、CHCH、CHCF、CHCHF、CHCHF、CHCHCH、CHCHCF、CHCHCHF又はCHCHCHFである、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
が、CHCH、CHCF、CHCHCH又はCHCHCFである、請求項46に記載の化合物。
【請求項48】
がCHCFである、請求項47に記載の化合物。
【請求項49】
が、(1−a)、(1−c)、(1−k)、(2−d)、(2−e)、(2−k)、(2−w)、(2−x)、(3−d)、(3−e)、(3−g)、(3−h)、(3−i)及び(3−j)から選択される、請求項1〜48のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項50】
が、(1−a)、(1−c)、(1−k)、(2−d)、(2−e)、(2−n)、(2−o)、(2−u)、(2−x)及び(2−z)から選択される、請求項49に記載の化合物。
【請求項51】
が、(1−a)、(1−c)、(2−d)、(2−e)、(2−n)、(2−o)、(2−u)及び(2−x)から選択される、請求項50に記載の化合物。
【請求項52】
が、(1−c)、(2−d)、(2−n)及び(2−o)から選択される、請求項51に記載の化合物。
【請求項53】
が非置換である、請求項1に記載の化合物。
【請求項54】
環の非芳香族複素環式環の2個までの置換可能炭素及び1個までの置換可能窒素が置換されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項55】
環の非芳香族複素環式環の1個の置換可能炭素及び1個までの置換可能窒素が置換されている、請求項54に記載の化合物。
【請求項56】
環の1個の置換可能炭素が置換されている、請求項55に記載の化合物。
【請求項57】
が(2−n)であり、R25がC(O)NRである、請求項52に記載の化合物。
【請求項58】
が(2−o)であり、R25が場合により置換されたアリール又はヘテロアリールである、請求項52に記載の化合物。
【請求項59】
25が場合により置換されたフェニルである、請求項58に記載の化合物。
【請求項60】
が(1−c)又は(2−d)であり、Rが非置換である、請求項52に記載の化合物。
【請求項61】
表1から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項62】
請求項1〜61のいずれか一項に記載の化合物、及び医薬として許容し得る担体、アジュバント又はビヒクルを含む医薬組成物。
【請求項63】
化学療法薬若しくは抗増殖薬、抗炎症薬、免疫調節薬若しくは免疫抑制薬、神経栄養因子、心臓血管疾患を治療するための薬剤、破壊性骨障害を治療するための薬剤、肝臓疾患を治療するための薬剤、抗ウィルス薬、血液障害を治療するための薬剤、糖尿病を治療するための薬剤、又は免疫不全障害を治療するための薬剤から選択される治療薬をさらに含む、請求項62に記載の組成物。
【請求項64】
生体試料におけるJAKキナーゼ活性を阻害する方法であって、該生体試料と、請求項1〜61のいずれか一項に記載の化合物或いは請求項62又は63に記載の組成物とを接触させることを含む方法。
【請求項65】
患者におけるJAKキナーゼ活性を阻害する方法であって、請求項1から61のいずれか一項に記載の化合物或いは請求項62又は63に記載の組成物を該患者に投与することを含む方法。
【請求項66】
患者における増殖性障害、心臓障害、神経変性障害、自己免疫障害、臓器移植に関連する状態、炎症性障害、又は免疫媒介障害から選択される状態の疾患を治療する、又はその重症度を軽減する方法であって、請求項1〜61のいずれか一項に記載の化合物又は該化合物を含む組成物を該患者に投与する工程を含む方法。
【請求項67】
化学療法薬若しくは抗増殖薬、抗炎症薬、免疫調節薬若しくは免疫抑制薬、神経栄養因子、心臓血管疾患を治療するための薬剤、糖尿病を治療するための薬剤、又は免疫不全障害を治療するための薬剤から選択されるさらなる治療薬を前記患者に投与するさらなる工程を含み、該さらなる治療薬が、治療されている疾患に適切である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記疾患又は障害が、アレルギー又はI型過敏反応、喘息、糖尿病、アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病、AIDS関連痴呆、筋萎縮性側索硬化(AML、ルーゲーリッグ病)、多発性硬化症(MS)、統合失調症、心筋細胞肥大、再灌流/虚血、卒中、脱毛、移植片拒絶、移植片対宿主病、リウマチ様関節炎、乾癬、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎、固形悪性腫瘍、血液悪性腫瘍、白血病、リンパ腫及び骨髄増殖性障害である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記疾患又は障害が喘息である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記疾患又は障害が移植片拒絶である、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記疾患又は障害がリウマチ様関節炎である、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記疾患又は障害が乾癬である、請求項68に記載の方法。

【公表番号】特表2010−522210(P2010−522210A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554762(P2009−554762)
【出願日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/057797
【国際公開番号】WO2008/116139
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(598032106)バーテックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (414)
【氏名又は名称原語表記】VERTEX PHARMACEUTICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】130 Waverly Street, Camridge, Massachusetts 02139−4242, U.S.A.
【Fターム(参考)】