説明

JANUSキナーゼの阻害剤

本発明は、4つの既知の哺乳類JAKキナーゼ(JAK1、JAK2、JAK3、及びTYK2)を阻害する化合物を提供する。本発明はまた、かかる阻害化合物を含んでなる組成物、及び、骨髄増殖性疾患又は癌の治療を必要とする患者に該化合物を投与することによりJAK1、JAK2、JAK3、及びTYK2の活性を阻害する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ヤヌスキナーゼ(JAK)は、サイトカイン媒介性シグナルをJAK−STAT経路を介して伝達する、120ないし140kDaの範囲にわたる、細胞内非受容体チロシンキナーゼファミリーである。JAKファミリーは、免疫応答に関与する細胞の増殖及び機能の、サイトカイン依存性の調節において役割を果たす。現在、4つの哺乳類JAKファミリーメンバー:JAK1、JAK2、JAK3、及びTYK2が知られている。
【0002】
JAK1、JAK2、及びTYK2は広範に発現されるのに対し、JAK3は骨髄球及びリンパ球の系統において発現される。JAKファミリーメンバーは、多くのヘマトポエチンサイトカイン、受容体チロシンキナーゼ、及びGPCRに関連する、非受容体チロシンキナーゼである。JAK1(−/−)マウスは、JAK1(+/+)と発生的に類似していることが判明しているが、野生型よりも40%体重が少なく、かつ出生時に保育に失敗する。このような子ネズミは生育せず、出生後24時間以内に死ぬ(メラズ(Meraz)ら、Cell、1998年、p.373−383)。JAK1欠損は、胸腺細胞、B前駆細胞、及び成熟T及びBリンパ球数の減少をもたらす。一方、TYK2(−/−)マウスは、生育可能であり、IFN−α/β及びIL−10に対するその応答に微妙な欠陥を、かつIL−12及びLPSに対する応答に重大な欠陥を示す。
【0003】
乳癌易罹患性タンパク質(BRCA1)は、腫瘍サプレッサーとして作用し、かつ細胞増殖、サイクル調節、並びにDNA損傷及び修復に寄与する。BRCA1(−/−)マウスは、正常に発生するが、出生後7.5日までに死ぬことから、発生に関するBRCA1の重要な役割が示唆される。BRCA1タンパク質が過剰発現されたマウスは、細胞成長が阻害され、かつ細胞毒性試薬に対し細胞が感受性化される結果となった。ヒト前立腺癌細胞系Du−145(ガオ(Gao)、FEBS Letters、2001年、第488巻、p.179−184)では、BRCA1の発現増強が、STAT3の構成的な活性化ならびにJAK1及びJAK2の活性化と相互に関連していることが見出された。さらに、STAT3に選択的なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、Du−145細胞において、細胞増殖及びアポトーシスの有意な阻害をもたらした。このデータは、前立腺癌の治療におけるJAK1及びJAK2阻害剤の潜在的な有用性を支持している。
【0004】
キャンベル(Campbell)ら(Journal of Biological Chemistry、1997年、第212巻、p.2591−2594)は、STAT3が、v−Src形質転換細胞において構成的に活性化されることを報告した。STAT3活性化がJAK−STAT経路を介したシグナリングの結果生じるかどうかを試験するため、3つの線維芽細胞系(NIH3T3、Balb/c、及び3Y1)をv−Srcで形質転換した。NIH3T3細胞におけるJAK1リン酸化のレベルは、形質転換能の低いc−Srcにおけるものに比較して、v−Src又は突然変異体c−Src(Y527F)で過剰発現された細胞では著しく増大した。この結果は、JAK1酵素活性の増大と相関していた。同様の結果が、JAK2について、より小さい規模ではあるが観察された。これらの結果は、Src−形質転換細胞におけるSTAT3の超活性化に寄与している、JAK1及び恐らくはJAK2の構成的活性化と一致する。
【0005】
喘息は、罹患率が増えつつあり、かつ「気道閉塞、気道過敏、及び気道炎症、並びにリモデリング」を生じる結果となる疾患である(ペルニス(Pernis)、The Journal of Clinical Investigation、2002年、第109巻、p.1279−1283)。一般的な原因は、環境抗原に対する不適切な免疫応答であり、通常はCD4+ヘルパーT細胞(TH2)が関与しており、これらは、JAK1/JAK3−STAT6経路を介してシグナルする、サトカインIL−4、IL−5、IL−6、IL−10、及びIL−13からトリガーされる。Th1細胞は、IL−2、IFN−γ、及びTNF−βを分泌し、かつJAK2/TYK2−STAT4経路を介してシグナルする、「遅延型過敏応答」に関与すると考えられている。STAT6(−/−)マウスは、環境抗原による誘発時にはAHRから保護され、かつIgEレベル又は粘液含有細胞の量において何ら増加を示さなかった。
【0006】
JAK2は、細胞質タンパク質チロシンキナーゼであり、アデノシン三リン酸のガンマリン酸基の、シグナル伝達分子の特異的なチロシン残基の水酸基への転移を触媒する。JAK2は、受容体及び酵素双方のリガンド誘導性の自己リン酸化後の、サイトカイン受容体の下流のシグナリングを媒介する。JAK2の主要な下流エフェクターは、シグナル伝達因子及び転写活性化因子(STAT)として知られる転写因子のファミリーである。研究により、活性化JAK2突然変異(JAK2V617F)と骨髄増殖性疾患との間の関連が開示されてきた。骨髄増殖性疾患(骨髄性悪性疾患のサブグループ)は、形態学的に成熟した顆粒球、赤血球、巨核球、又は単球系細胞の拡大により特徴づけられる、クローン性幹細胞疾患である。骨髄増殖性疾患(MPD)は、真性赤血球増加症(PV)、原発性血小板血症(ET)、骨髄線維症(MMM)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、好酸球増加症候群(HES)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、及び全身性肥満細胞症(SMCD)を包含する。タンパク質チロシンキナーゼの構成的活性化を含む、シグナル伝達メカニズムにおける異常が、MPDを開始させることが示唆されてきた。
【0007】
JAK3は、以下のインターロイキンの、細胞外受容体の共通のガンマ鎖に関連している:IL−2、IL−4、IL−7、IL−9、及びIL−15。JAK3欠損は、げっ歯類及びヒトの双方において、免疫不全(SCID)表現型に関連する。JAK3(−/−)哺乳類のSCID表現型と、JAK3のリンパ系細胞特異発現とは、免疫抑制のための標的の2つの好適な特質である。データは、JAK3の阻害剤がT細胞活性化を妨げ、かつ移植手術後の移植片拒絶を防止し得たこと、或いは、自己免疫異常を患っている患者に治療的利益を与えることを示唆している。
【発明の概要】
【0008】
発明の趣旨
本発明は、哺乳類JAKキナーゼ(例えば、JAK1、JAK2、JAK3、及びTYK2)を阻害する化合物を提供する。本発明はまた、かかる阻害化合物を含んでなる組成物、及び、骨髄増殖性疾患又は癌の治療を必要とする患者に該化合物を投与することにより、JAK1、JAK2、JAK3、及びTYK2の活性を阻害する方法も提供する。本発明の1つの実施態様は、式I:
【0009】
【化1】

【0010】
の化合物及びその薬学的に許容される塩及び立体異性体によって例示される。
【0011】
発明の詳細な記載
本発明は、4つの既知の哺乳類JAKキナーゼ(JAK1、JAK2、JAK3、及びTYK2)を阻害する化合物を提供する。本発明はまた、かかる阻害化合物を含んでなる組成物、及び、骨髄増殖性疾患又は癌の治療を必要とする患者に該化合物を投与することにり、JAK1、JAK2、JAK3、及びTYK2の活性を阻害する方法も提供する。本発明の1つの実施態様は、式I:
【0012】
【化2】

【0013】
[式中、Rは、独立して、ハロ、ヒドロキシル、シアノ、SO、C1−6アルキル、及びヘテロシクリルからなる群から選択される1個ないし3個の置換基で置換されていてもよいアリールであり;ここで、前記アルキル基は、1個ないし3個のハロ、ヒドロキシル、又はシアノで置換されていてもよく、前記ヘテロシクリル基は、1個ないし3個のハロ、ヒドロキシル、又はオキソで炭素又はヘテロ原子のいずれか上で置換されていてもよく;
【0014】
は、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、前記アリール基およびヘテロアリール基は、ハロ、シアノ、C1−6アルキル、ヘテロシクリル、(C=O)ヘテロシクリル、(C=O)R、(C=O)OR、(C=O)NR、SO、SONR、NRSO、及びSO(ヘテロシクリル)からなる群から選択される1個ないし3個の置換基で、炭素又はヘテロ原子のいずれか上で置換されていてもよく;ここで、前記アルキル基は、1個ないし3個のハロ、ヒドロキシル、O(C=O)NR、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、又はNRで置換されていてもよく;前記ヘテロシクリル基は、独立して、C1−3アルキル、ヒドロキシル、及びオキソからなる群から選択される1個ないし2個の基で、炭素又はヘテロ原子のいずれか上で置換されていてもよく;及び、前記ヘテロアリール基は、C1−3アルキルで炭素又はヘテロ原子のいずれか上で置換されていてもよく;
【0015】
は、水素又はC1−6アルキルであり;
【0016】
は、水素又はC1−6アルキルである]
の化合物又はその薬学的に許容される塩によって例示される。
【0017】
本発明の1つの実施態様では、Rは、アリールであり、ここで、前記アリール基は、独立して、ハロ及びC1−6アルキルからなる群から選択される1個ないし3個の置換基で置換され、ここで、前記アルキル基は、ヒドロキシルで置換されていてもよい。本発明の1つのクラスでは、Rは、フェニルであり、ここで、前記フェニル基は、1個ないし3個のハロで置換されている。
【0018】
本発明の1つの実施態様では、Rは、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、前記アリール基又はヘテロアリール基は、C1−6アルキル、(C=O)ヘテロシクリル、(C=O)NR、SO、SONR、及びSO(ヘテロシクリル)からなる群から選択される1個ないし3個の置換基で、炭素又はヘテロ原子のいずれか上で置換されていてもよく;ここで、前記アルキル基は、ヒドロキシル、ヘテロシクリル、又はNRで置換されていてもよく;前記ヘテロシクリル基は、独立して、C1−3アルキル及びオキソからなる群から選択される1個ないし2個の基で、炭素又はヘテロ原子のいずれか上で置換されていてもよい。本発明の1つのクラスでは、Rは、アリールであり、ここで、前記アリール基は、C1−6アルキル、(C=O)ヘテロシクリル、(C=O)NR、SO、SONR、及びSO(ヘテロシクリル)からなる群から選択される1個ないし3個の置換基で置換されていてもよく;ここで、前記アルキル基は、ヒドロキシル、ヘテロシクリル、又はNR4で置換されていてもよく;前記ヘテロシクリル基は、独立して、C1−3アルキル及びオキソからなる群から選択される1個ないし2個の基で、炭素又はヘテロ原子のいずれか上で置換されていてもよい。本発明の1つのサブクラスでは、Rは、フェニルであり、ここで、C1−6アルキル、(C=O)ヘテロシクリル、(C=O)NR、SO、SONR、及びSO(ヘテロシクリル)からなる群から選択される1個ないし3個の置換基で置換されていてもよく;ここで、前記アルキル基は、ヒドロキシル又はヘテロシクリルで置換されていてもよく;前記ヘテロシクリル基は、独立して、C1−3アルキル及びオキソからなる群から選択される1個ないし2個の基で、炭素又はヘテロ原子のいずれか上で置換されていてもよい。
【0019】
上記に示される好ましい実施態様についての言及は、明記しない限り、特定の、好ましい基のすべての組合せを含むものとする。
【0020】
本発明の具体的な実施態様として、それだけに限定されないが:
【0021】
3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
【0022】
3−({4−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
【0023】
3−{[2−(ヒドロキシメチル)ピリジン−4−イル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
【0024】
3−{[4−(モルホリン−4−イルカルボニル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
【0025】
3−{[4−(モルホリン−4−イルスルホニル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
【0026】
3−({4−[(ジメチルアミノ)スルホニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
【0027】
3−({4−[(ジメチルアミノ)カルボニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
【0028】
3−アニリノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
【0029】
3−({4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
【0030】
3−({4−[(1,1−ジオキシドチオモルホリン−4−イル)カルボニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
【0031】
3−{[4−(モルホリン−4−イルメチル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
【0032】
3−({4−[(1,1−ジオキシドチオモルホリン−4−イル)メチル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
【0033】
3−({4−[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
【0034】
3−{[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
【0035】
1−(4−クロロフェニル)−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
【0036】
1−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
【0037】
1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
【0038】
1−[4−(1−ヒドロキシエチル)フェニル]−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
又はその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0039】
また、上記の式Iの化合物及び薬学的に許容される担体を含んでなる医薬組成物も本発明の範囲内に含まれる。本発明はまた、薬学的に許容される担体及び本願に具体的に開示されるいずれかの化合物を含んでなる医薬組成物を包含するよう考慮される。本発明のこれら及びその他の態様は、本発明に含まれる教示から明らかとなる。
【0040】
本発明の化合物は、不斉中心、キラル軸、及びキラル面を有し(E.L.Eliel及びS.H.Wilen,Stereochemistry of Carbon Compounds,John Wiley & Sons,New York,1994年,1119〜1190頁に記載のとおり)、ラセミ体、ラセミ混合物として、及び個々のジアステレオマーとして生じ得、光学異性体をはじめとするすべての可能性ある異性体及びその混合物を伴い、すべてのこのような立体異性体は、本発明に含まれる。
【0041】
さらに、本明細書に開示される化合物は、互変異性体として存在してもよく、一方の互変異性体の構造のみが記載されていたとしても、両方の互変異性体の形態が本発明の範囲によって包含されることが意図される。例えば、以下が本発明の範囲内にある:
【0042】
【化3】

【0043】
多数のヘテロアリール基、例えば、イミダゾールは、1H/2H互変異性体の混合物として存在する。これらのヘテロアリール部分の互変異性体の形態もまた本発明の範囲内にある。
【0044】
任意の変数(例えば、Rなど)が任意の構成成分において1回より多く出現する場合、その出現ごとの定義は他の全ての出現とは無関係である。また、置換基及び変数の組合せは、かかる組合せが結果として安定な化合物を生じる場合にのみ許容される。置換基から環系内へ描かれた線は、示された結合が、置換可能な任意の環原子へ結合されてよいことを表わしている。環系が二環式である場合、結合は該二環式基のいずれかの環上の任意の適当な原子に結合されることが意図されている。
【0045】
当業者により、本発明の化合物中に、1個以上の炭素原子の代わりに1個以上のケイ素(Si)原子が取り込まれて、化学的に安定な化合物であり、かつ、容易に入手できる出発物質から当該技術分野における技術上既知の方法により容易に合成し得る化合物を提供し得ることが理解される。炭素及びケイ素は、その共有結合半径が異なるため、類似したC−エレメント及びSi−エレメント結合を比較したとき、結合距離及び立体配置に差異をもたらす。これらの差異は、ケイ素含有化合物のサイズ及び形態に、炭素に比較して微妙な差異をもたらす。当業者は、サイズ及び形態の差異が、効力、溶解性、標的活性の欠如、パッケージング特性などに、微妙な又は劇的な変化をもたらし得ることを理解するであろう(ディアス(Diass,J.O.)ら、Organometallics、2006年、第5巻、p.1188−1198;ショーウェル(Showell,G.A.)ら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、2006年、第16巻、p.2555−2558)。
【0046】
本発明の化合物上の置換基及び置換パターンが、化学的に安定な化合物でありかつ、当該技術分野における技術上既知の方法、並びに以下に示される方法により、容易に入手可能な出発物質から容易に合成し得る化合物を提供するべく、当業者により選択可能であることが理解される。1個の置換基自体が複数の基で置換されている場合、結果として安定な構造を生じる限り、これらの多数の基が、同じ炭素上若しくは異なる炭素上にあってもよいことが理解される。語句「1個以上の置換基で置換されていてもよい」は、語句「少なくとも1個の置換基で置換されていてもよい」と同等であると理解されるべきであり、かかる場合、好適な実施態様は、ゼロないし4個の置換基をもつことができ、さらに好適な実施態様は、ゼロないし3個の置換基をもつことができる。
【0047】
本明細書で用いる場合、「アルキル」は、特定の数の炭素原子を有している、分枝及び直鎖双方の、飽和脂肪族炭化水素基を包含することを意図している。例えば、「(C1−6)アルキル」におけるC1−は、1,2、3、4、5、又は6個の炭素を、直鎖又は分枝配置中に有する基を包含すると定義される。例えば、「(C1−)アルキル」は、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、i−ブチル、ペンチル、ヘキシルなどを包含する。
【0048】
用語「ハロアルキル」は、他に指定しない限り、1ないし5個、好ましくは1ないし3個のハロゲンで置換された、上記に定義されたアルキル基を意味する。例示的な例は、限定されないが、トリフルオロメチル、ジクロロエチルなどを包含する。
【0049】
用語「シクロアルキル」は、特定の数の炭素原子を有する、単環式の飽和脂肪族炭化水素基を意味する。例えば、「シクロアルキル」は、シクロプロピル、メチル−シクロプロピル、2,2−ジメチル−シクロブチル、2−エチル−シクロペンチル、シクロヘキシルなどを包含する。
【0050】
「アルコキシ」は、酸素架橋を介して結合した、指示された数の炭素原子からなる環式又は非環式のアルキル基を表わす。「アルコキシ」は、それ故、上記のアルキル及びシクロアルキルの定義を包含する。
【0051】
本明細書で用いる場合、「アリール」は、各環が7個までの原子からなる任意の安定な単環又は二環式の炭素環を意味することを意図しており、これにおいて少なくとも1つの環が芳香族である。かかるアリール基の例は、フェニル、ナフチル、テトラヒドロ−ナフチル、インダニル、及びビフェニルを包含する。アリール基が二環式であり、かつ一方の環が非芳香族である場合、結合は芳香族環を介することが理解される。
【0052】
用語「ヘテロアリール」は、本明細書で用いる場合、各環が7個までの原子からなる安定な単環又は二環式の環を表わし、これにおいて少なくとも1つの環は、芳香族であり、かつ、O、N、及びSからなる群より選択される1ないし4個のヘテロ原子を含有する。この定義の範囲内のヘテロアリール基は、限定されないが:アクリジニル、カルバゾリル、シンノリニル、キノキサリニル、ピラゾリル、インドリル、ベンゾトリアゾリル、フラニル、チエニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、キノリニル、イソキノリニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、インドリル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピロリル、テトラヒドロキノリンを包含する。以下の複素環の定義と同様に、「ヘテロアリール」はまた、任意の窒素含有ヘテロアリールのN−オキシド誘導体を包含することが理解される。ヘテロアリール置換基が二環式であり、かつ一方の環が非芳香族であるか、又は何らヘテロ原子を含有しない場合、結合は、それぞれ芳香族環か、又はヘテロ原子含有環を介することが理解される。かかるヘテロアリール基は、限定されないが:2−ベンゾイミダゾリル、2−キノリニル、3−キノリニル、4−キノリニル、1−イソキノリニル、3−イソキノリニル、4−イソキノリニル、ジヒドロイミダゾピラジニル、及びジヒドロオキソゾロピリジニルを包含する。
【0053】
用語「複素環」又は「ヘテロシクリル」は、本明細書で用いる場合、O、N、及びSからなる群より選択される1ないし4個のヘテロ原子を含有する、3ないし10員の、芳香族又は非芳香族複素環を意味することが意図されており、かつ二環式基を包含する。「ヘテロシクリル」のさらなる例は、限定されないが、以下を包含する:アザビシクロヘキシル、アザホスフィニル、アザスピロヘプチル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾイミダゾロニル、ベンゾフラニル、ベンゾフラザニル、ベンゾピラゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、カルバゾリル、カルボリニル、シンノリニル、ジオキシドチオモルホリニル、フラニル、イミダゾリル、インドリニル、インドリル、インドラジニル、インダゾリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、ナフトピリジニル、オキサジアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリン、イソオキサゾリン、オキセタニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドピリジニル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、テトラヒドロピラニル、テトラゾリル、テトラゾロピリジル、チアジアゾリル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、アゼチジニル、1,4−ジオキサニル、ヘキサヒドロアゼピニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピリジン−2−オニル、ピロリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ジヒドロベンゾイミダゾリル、ジヒドロベンゾフラニル、ジヒドロベンゾチオフェニル、ジヒドロベンゾオキサゾリル、ジヒドロフラニル、ジヒドロイミダゾリル、ジヒドロインドリル、ジヒドロイソオキサゾリル、ジヒドロイソチアゾリル、ジヒドロオキサジアゾリル、ジヒドロオキサゾリル、ジヒドロピラジニル、ジヒドロピラゾリル、ジヒドロピリジニル、ジヒドロピリミジニル、ジヒドロピロリル、ジヒドロキノリニル、ジヒドロテトラゾリル、ジヒドロチアジアゾリル、ジヒドロチアゾリル、ジヒドロチエニル、ジヒドロトリアゾリル、ジヒドロアゼチジニル、メチレンジオキシベンゾイル、オキサジアザスピロデシル、テトラヒドロフラニル、及びテトラヒドロチエニル、及び、そのN−オキシド。ヘテロシクリル置換基の結合は、炭素原子を介するか、又はヘテロ原子を介して生じ得る。
【0054】
当業者により理解されるように、「ハロ」又は「ハロゲン」は、本明細書で用いる場合、クロロ(Cl)、フルオロ(F)、ブロモ(Br)、及びヨード(I)を包含することが意図されている。
【0055】
本発明に包含されるのは、本発明の化合物の遊離形態、並びにその薬学的に許容される塩及び立体異性体である。本明細書に例示された単離された特定の化合物のあるものは、アミン化合物のプロトン化塩である。用語「遊離形態(free form)」は、非塩型のアミン化合物を指す。包含される薬学的に許容される塩は、本明細書に記載の具体的な化合物に例示される単離された塩を包含するだけでなく、本発明の遊離形態の化合物の、全ての典型的な薬学的に許容される塩も包含する。記載された具体的な塩化合物の遊離形態は、当該技術分野における技術上既知の方法を用いて単離してもよい。例えば、遊離形態は、その塩を、適当な塩基の希釈水溶液、例えばNaOH、炭酸カリウム、アンモニア、及び炭酸水素ナトリウムの希釈水溶液、で処理することにより再生してもよい。遊離形態は、極性溶媒中の溶解度のような、ある物理的性質において、その各々の塩型と幾分異なってもよいが、本発明では、酸及び塩基塩は、それ以外の点ではその各々の遊離形態と薬学的に同等である。
【0056】
当該化合物の薬学的に許容される塩は、塩基性又は酸性の基を含有する本発明化合物から、通常の化学的方法により合成することができる。一般に、塩基性化合物の塩は、イオン交換クロマトグラフィーによるか、又は、遊離塩基を化学量論的な量の、若しくは過剰の、所望の塩形成性無機又は有機酸と、適当な溶媒又は溶媒の種々の組合せの中で反応させることにより調製される。同様に、酸性化合物の塩は、適切な無機又は有機塩基との反応により形成される。
【0057】
したがって、本発明化合物の薬学的に許容される塩は、塩基性の当該化合物を無機又は有機酸と反応させることにより形成される、本発明化合物の通常の非毒性塩を包含する。例えば、通常の非毒性塩は、無機酸(例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸など)から誘導される塩、並びに有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモ酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)など)から調製される塩を包含する。
【0058】
本発明化合物が酸性である場合、適当な「薬学的に許容される塩」は、無機塩基及び有機塩基を含む、薬学的に許容される非毒性塩基から調製される塩を指す。無機塩基から誘導される塩は、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、第二鉄、第一鉄、リチウム、マグネシウム、第二マンガン塩、第一マンガン、カリウム、ナトリウム、亜鉛などの塩を包含する。特に好適な塩は、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、カリウム、及びナトリウムの塩である。薬学的に許容される有機の非毒性塩基から誘導される塩は、第一級、第二級、及び第三級のアミンの塩;天然産置換アミンを含む置換アミンの塩;環状アミン及び塩基性イオン交換樹脂、例えば、アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リジン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩を包含する。
【0059】
上記記載の薬学的に許容される塩、及び他の典型的な薬学的に許容される塩の調製は、バーグ(Berg)ら、「J.Pharm.Sci、“Pharmaceutical Salts(医薬用塩類)”)」、1977年、第66巻、p.1−19により、さらに充分に記載されている。
【0060】
生理的条件下では、該化合物中の脱プロトン化された酸性基、例えばカルボキシル基が、アニオン性であってよく、かつ、この電子電荷が次に、プロトン化又はアルキル化された塩基性基、例えば第四級窒素原子のカチオン性電荷に対し、内部で平衡化されるかもしれないことから、本発明化合物が潜在的に内部塩又は両性イオンであることにも注目されるであろう。
【0061】
有用性
本発明の化合物は、JAK1、JAK2、JAK3、及びTYK2の阻害剤であり、かつそれ故に、哺乳類、好ましくはヒトにおいて、骨髄増殖性疾患又は癌を治療又は予防するために有用である。
【0062】
本発明の1つの実施態様は、JAK1チロシンキナーゼを阻害するための方法であって、治療有効量の、上記記載の任意の化合物又は任意の医薬組成物を、哺乳類に投与することを含んでなる該方法を提供する。
【0063】
本発明の1つの実施態様は、JAK2チロシンキナーゼを阻害するための方法であって、治療有効量の、上記記載の任意の化合物又は任意の医薬組成物を、哺乳類に投与することを含んでなる該方法を提供する。
【0064】
本発明の1つの実施態様は、野生型又は突然変異型JAK2チロシンキナーゼを阻害するための方法であって、治療有効量の、上記記載の任意の化合物又は任意の医薬組成物を、哺乳類に投与することを含んでなる該方法を提供する。
【0065】
本発明の1つの実施態様は、JAK2V617Fチロシンキナーゼを阻害するための方法であって、治療有効量の、上記記載の任意の化合物又は任意の医薬組成物を、哺乳類に投与することを含んでなる該方法を提供する。
【0066】
本明細書において提供された化合物、組成物、及び方法は、骨髄増殖性疾患の治療に特に有用であると考えられる。治療されてもよい骨髄増殖性疾患は、真性赤血球増加症(PV)、原発性血小板血症(ET)、骨髄線維症(MMM)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病(CMML)、好酸球増加症候群(HES)、若年性骨髄単球性白血病(JMML)、及び全身性肥満細胞症(SMCD)を包含する。
【0067】
文献においては、JAK2の阻害剤が骨髄増殖性疾患の治療及び/又は予防に有用であることが知られている。例えば、テフェリ(Tefferi,A.)及びギリランド(Gilliland,D.G.)、Mayo Clin. Proc.2005年、第80巻、第7号、p.947−958;フェルナンデス・ルナ(Fernandez−Luna,J.L.)ら、Haematologica、1998年、第83巻、第2号、p.97−98;ハリソン(Harrison,C.N.)、Br.J.Haematol.2005年、第130巻、第2号、p.153−165;Leukemia、2005年、第19巻、p.1843−1844;及びテフェリ(Tefferi,A)及びバーブイ(Barbui,T.)、Mayo Clin.Proc.2005年、第80巻、第9号、p.1220−1232を参照。
【0068】
本明細書において提供された化合物、組成物、及び方法はまた、癌の治療にも有用であると考えられる。本発明の化合物、組成物、及び方法により治療されてもよい癌は、限定されないが:心臓:肉腫(血管肉腫、線維肉腫、横紋筋肉腫、脂肪肉腫)、粘液腫、横紋筋腫、線維腫、脂肪腫、及び奇形腫;:気管支原性癌(扁平上皮細胞、未分化小細胞、未分化大細胞、腺癌)、肺胞(細気管支)癌、気管支腺腫、肉腫、リンパ腫、軟骨腫様過誤腫、中皮腫;胃腸:食道(扁平上皮細胞癌、腺癌、平滑筋肉腫、リンパ腫)、胃(癌腫、リンパ腫、平滑筋肉腫)、膵臓(腺管腺癌、インスリノーマ、グルカゴノーマ、ガストリノーマ、カルチノイド腫瘍、ビポーマ)、小腸(腺癌、リンパ腫、カルチノイド腫瘍、カポジ肉腫、平滑筋腫、血管腫、脂肪腫、神経線維腫、線維腫)、大腸(腺癌、管状腺腫、絨毛腺腫、過誤腫、平滑筋腫)、結腸、結腸直腸、直腸;尿生殖路:腎臓(腺癌、ウィルムス腫瘍[腎芽細胞腫]、リンパ腫、白血病)、膀胱及び尿道(扁平上皮細胞癌、移行上皮癌、腺癌)、前立腺(腺癌、肉腫)、精巣(精上皮腫、奇形腫、胎児性癌、奇形癌、絨毛上皮腫、肉腫、間質細胞癌、線維腫、線維腺腫、類腺腫瘍、脂肪腫);肝臓:肝癌(肝細胞癌)、胆管癌、肝芽細胞腫、血管肉腫、肝細胞腺腫、血管腫;:骨原性肉腫(骨肉腫)、線維肉腫、悪性線維性組織球腫、軟骨肉腫、ユーイング肉腫、悪性リンパ腫(細網肉腫)、多発性骨髄種、悪性巨細胞腫軟骨腫、骨軟骨腫(骨軟骨性外骨症)、良性軟骨腫、軟骨芽細胞腫、軟骨粘液線維腫、類骨骨腫及び、巨細胞腫;神経系:頭蓋(骨腫、血管腫、肉芽腫、黄色腫、変形性骨炎)、髄膜(髄膜腫、髄膜肉腫、神経膠腫症)、脳(星状細胞腫、髄芽細胞腫、神経膠腫、上衣細胞腫、胚細胞腫[松果体腫]、多形性神経膠芽腫、乏突起神経膠腫、神経鞘種、網膜芽細胞腫、先天性腫瘍)、脊髄神経線維腫、髄膜腫、神経膠腫、肉腫);婦人科系:子宮(子宮内膜癌)、子宮頚(子宮頚癌、前腫瘍性子宮頚部異形成)、卵巣(卵巣癌[漿液性嚢胞腺癌、粘液性嚢胞腺癌、分類不能癌腫]、顆粒膜卵胞膜細胞腫、セルトリ−ライディッヒ細胞腫、未分化胚細胞腫、悪性奇形腫)、外陰(扁平上皮細胞癌、上皮内癌、腺癌、線維肉腫、黒色腫)、膣(明細胞癌、扁平上皮細胞癌、ブドウ状肉腫(胎児性横紋筋肉腫)、卵管(癌腫);血液系:血液(骨髄性白血病[急性及び慢性]、急性リンパ芽球生白血病、慢性リンパ球性白血病、骨髄増殖性疾患、多発性骨髄腫、脊髄異形成症候群)、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫[悪性リンパ腫];皮膚:悪性黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、カポジ肉腫、色素性異形成毋斑、脂肪腫、血管腫、皮膚線維種;及び副腎:神経芽細胞腫を包含する。したがって、本明細書に提供された、用語「癌性細胞」は、上記に定義された症状の任意の1つに苦しめられた細胞を包含する。
【0069】
本発明の化合物、組成物、及び方法はまた、以下の疾患症状の治療においても有用であってよい:ケロイド及び乾癬。
【0070】
本発明の化合物、組成物、及び方法により治療されてもよい癌は、限定されないが:乳癌、前立腺癌、結腸癌、結腸直腸癌、肺癌、脳癌、精巣癌、胃癌、膵臓癌、皮膚癌、小腸癌、大腸癌、咽頭癌、頭頸部癌、口腔癌、骨癌、肝臓癌、膀胱癌、腎臓癌、甲状腺癌、及び血液癌を包含する。
【0071】
本発明の化合物、組成物、及び方法により治療されてもよい癌は、乳癌、前立腺癌、結腸癌、卵巣癌、結腸直腸癌、及び肺癌(非小細胞肺癌)を包含する。
【0072】
本発明の化合物、組成物、及び方法により治療されてもよい癌は、乳癌、結腸癌、結腸直腸癌、及び肺癌を包含する。
【0073】
本発明の化合物、組成物、及び方法により治療されてもよい癌は、リンパ腫及び白血病を包含する。
【0074】
本発明の範囲内にさらに包含されるのは、血管新生が関与する疾患を治療又は予防する方法であり、これは、かかる治療を必要とする哺乳類に対し、治療有効量の本発明化合物を投与することを含んでなる。眼の血管新生疾患は、結果として生じる組織損傷の大部分を眼の血管の異常な浸潤に帰し得る症状の一例である(2000年6月2日公開のWO 00/30651を参照)。望ましくない浸潤は、虚血性網膜症、例えば、糖尿病性網膜症、未熟児網膜症、網膜静脈閉塞その他から結果として生じるものにより、又は、神経変性疾患、例えば、加齢関連黄班変性症において観察される脈絡膜血管新生により誘発され得る。本発明化合物の投与による血管増殖の阻害は、それ故、血管の浸潤を防止し、かつ、血管新生が関与する疾患、例えば、網膜血管新生、糖尿病性網膜症、加齢関連黄班変性症などのような眼疾患を予防又は治療するであろう。
【0075】
本発明の範囲内にさらに包含されるのは、限定されないが:眼疾患(例えば、網膜血管新生、糖尿病性網膜症、及び加齢関連黄班変性症)、アテローム性動脈硬化症、関節炎、乾癬、肥満、及びアルツハイマー病を含む、血管新生が関与する非悪性疾患(ドレッジ(Dredge)ら、Expert Opin.Biol.Ther.、2002年、第2巻、第8号、p.953−966)を、治療又は予防する方法である。別の実施態様においては、血管新生が関与する疾患を治療又は予防する方法は、眼疾患(例えば、網膜血管新生、糖尿病性網膜症、及び加齢関連黄班変性症)、アテローム性動脈硬化症、関節炎、及び乾癬を包含する。
【0076】
本発明の範囲内にさらに包含されるのは、再狭窄、炎症、自己免疫疾患、及びアレルギー/喘息といった、過増殖性疾患を治療する方法である。
【0077】
本発明の範囲内にさらに包含されるのは、ステントを被覆するための本発明化合物の使用であり、かつそれ故に、再狭窄の治療及び/又は予防用の被覆ステント(WO 03/032809)に対する本化合物の使用である。
【0078】
本発明の範囲内にさらに包含されるのは、変形性関節症の治療及び/又は予防(WO 03/035048)のための本化合物の使用である。
【0079】
本発明の範囲内にさらに包含されるのは、低インスリン症を治療する方法である。
【0080】
本発明の1つの実施態様は、JAK3チロシンキナーゼを阻害するための方法であって、上記記載の任意の化合物又は任意の医薬組成物の治療有効量を、哺乳類に投与することを含んでなる該方法を提供する。
【0081】
本発明の1つの実施態様は、TYK2チロシンキナーゼを阻害するための方法であって、上記記載の任意の化合物又は任意の医薬組成物の治療有効量を、哺乳類に投与することを含んでなる該方法を提供する。
【0082】
本発明を例示するのは、上記記載の任意の化合物の、それを必要とする哺乳類における骨粗鬆症の治療及び/又は予防用医薬の調製における使用である。本発明をさらに例示するのは、上記記載の任意の化合物の、骨喪失、骨吸収、骨折、転移性骨疾患、及び/又はカテプシン機能化に関連した疾患の、治療及び/又は予防用医薬の調製における使用である。
【0083】
本発明の化合物は、ヒトを含む哺乳類に対し、単独で、或いは、医薬組成物において、標準的薬学のプラクティスに従って、薬学的に許容される担体、賦形剤、又は希釈剤と組合せて投与してもよい。該化合物は、経口的に、又は、静脈内、筋肉内、腹腔内、皮下、直腸内、及び局所の投与経路を含めて非経口的に投与することができる。
【0084】
活性成分を含有する医薬組成物は、例えば、錠剤、トローチ、ロゼンジ、水性又は油性懸濁液、分散性粉末又は顆粒、エマルジョン、硬又は軟カプセル、又はシロップ又はエリキシルといった、経口使用に適した形態であってよい。経口使用を意図した組成物は、医薬組成物の製造のための当該技術分野において周知の任意の方法に従って調製してもよく、かかる組成物は、医薬的にエレガントで美味な製剤を提供するため、甘味剤、着香剤、着色剤、及び保存剤からなる群より選択される、1つ以上の薬剤を含有してもよい。錠剤は、活性成分を、錠剤の製造に適した非毒性の薬学的に許容される賦形剤との混合物中に含有する。これらの賦形剤は、例えば、不活性な希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウム;造粒及び崩壊剤、例えば、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、コーンスターチ、又はアルギン酸;結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、ポリビニル−ピロリドン、又はアラビアゴム、及び潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクであってよい。錠剤は、コートされていなくてもよく、或いはそれらは周知の技術によりコートされて、薬物の不快な味をマスクするか、消化管内での崩壊及び吸収を遅延させ、そしてそれにより長期間にわたる持続作用を提供するようにしてもよい。例えば、水溶性の味覚マスキング剤、例えばヒドロキシプロピルメチル−セルロース又はヒドロキシプロピルセルロース、又は時間遅延物質、例えば、エチルセルロース、セルロースアセテートブチレートを使用してもよい。
【0085】
経口使用用の製剤はまた、活性成分が、不活性な固形希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリンと混合されている硬ゼラチンカプセルとして、或いは、活性成分が、水溶性担体、例えばポリエチレングリコール、又は油性媒体、例えば、ラッカセイ油、流動パラフィン、若しくはオリーブ油と混合されている軟ゼラチンカプセルとして与えてもよい。
【0086】
水性懸濁液は、活性成分を、水性懸濁液の製造に適した賦形剤との混合物中に含有する。かかる賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチル−セルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム、及びアラビアゴムであり;分散又は湿潤剤は、天然産ホスファチド、例えばレシチン、又は、アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合産物、例えばステアリン酸ポリオキシエチレン、又は、エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合産物、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合産物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合産物、例えばモノオレイン酸ポリエチレンソルビタンでよい。水性懸濁液はまた、1つ以上の保存剤、例えば、エチル、又はn−プロピルp−ヒドロキシベンゾアート、1つ以上の着色剤、1つ以上の着香剤、及び1つ以上の甘味剤、例えばスクロース、サッカリン、又はアスパルテームも含有してよい。
【0087】
油性懸濁液は、活性成分を、植物油、例えば、ラッカセイ油、オリーブ油、ゴマ油、又はヤシ油か、或いは鉱物油、例えば流動パラフィン中に懸濁することにより製剤してもよい。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜蝋、固形パラフィン、又はセチルアルコールを含有してもよい。上記に示されたような甘味剤、及び着香剤を添加して、美味な経口用製剤を提供するようにしてもよい。これらの組成物は、酸化防止剤、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール又はアルファ−トコフェロールの添加により調製してもよい。
【0088】
水の添加による水性懸濁液の調製に適した分散性粉末及び顆粒は、活性成分を、分散又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1つ以上の保存剤との混合物中に提供する。適当な分散又は湿潤剤、及び懸濁化剤は、上記のすでに列挙されたものに例示される。追加の賦形剤、例えば、甘味剤、着香剤、及び着色剤もまた存在してよい。これらの組成物を、アスコルビン酸のような酸化防止剤の添加により保存してもよい。
【0089】
本発明の医薬組成物はまた、水中油型エマルジョンの形態であってもよい。油性相は、植物油、例えばオリーブ油又はラッカセイ油、或いは鉱物油、例えば流動パラフィン、又はこれらの混合物でもよい。適当な乳化剤は、天然産ホスファチド、例えばダイズレシチン、及び、脂肪酸とヘキシトール無水物とから誘導されるエステル又は部分エステル、例えばモノオレイン酸ソルビタン、及び、前記部分エステルと、エチレンオキシドとの縮合産物、例えばモノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンでもよい。エマルジョンはまた、甘味剤、着香剤、保存剤、及び酸化防止剤を含有してもよい。
【0090】
シロップ及びエリキシルは、甘味剤、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、又はスクロースを用いて製剤してもよい。かかる製剤はまた、粘滑剤、保存剤、着香剤及び着色剤、及び酸化防止剤を含有してもよい。
【0091】
医薬組成物はまた、無菌の注射用水溶液の形態であってもよい。使用してもよい許容されるビヒクル及び溶媒は、なかんずく、水、リンガー液、及び等張の塩化ナトリウム溶液である。
【0092】
無菌の注射用製剤はまた、活性成分が油性相中に溶解されている、無菌の注射可能な水中油型マイクロエマルジョンでもよい。例えば、活性成分はまず、ダイズ油及びレシチンの混合物中に溶解してもよい。次いで油性溶液を、水とグリセロールとの混合物中に投入し、そしてマイクロエマルジョンを形成するべく加工する。
【0093】
注射用溶液又はマイクロエマルジョンは、局所ボーラス注射により、患者の血中へ投入してもよい。別法として、該溶液又はマイクロエマルジョンを、本化合物の一定の循環濃度を維持するような方法で投与することが有利であってもよい。かかる一定濃度を維持するため、持続静脈内送達装置を利用してもよい。かかる装置の一例は、デルテック(Deltec)CADD−PLUS(登録商標)モデル5400静脈内ポンプである。
【0094】
医薬組成物は、筋肉内及び皮下投与用の、無菌の注射用水性又は油脂性懸濁液の形態でもよい。この懸濁液は、当該技術分野において周知の方法により、上記に列挙されてきた適当な分散又は湿潤剤及び懸濁化剤を用いて製剤してもよい。無菌の注射用製剤はまた、例えば1,3−ブタンジオール中の溶液のような、非毒性の非経口的に許容される希釈剤又は溶媒中の、無菌の注射用溶液又は懸濁液であってもよい。さらに、無菌の固定油が、溶媒又は懸濁媒体として慣習的に使用される。この目的のためには、合成モノ−、又はジグリセリドを含む、任意の無刺激性の固定油を使用してもよい。さらに、オレイン酸のような脂肪酸は、注射用物質の調製において用途がある。
【0095】
本発明化合物はまた、薬物の直腸投与用の坐剤の形態で投与してもよい。これらの組成物は、該薬物を、常温では固定であるが直腸温度では液体であり、それ故直腸内では融解して該薬物を放出することができる、適当な非刺激性の賦形剤と混合することにより調製することができる。かかる物質は、カカオバター、グリセリンゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルを包含する。
【0096】
局所使用には、本発明化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液、又は懸濁液その他が使用される。(本出願では、局所適用はマウスウォッシュ及びうがい薬を含むものとする。)
【0097】
本発明化合物は適当な鼻腔内ビヒクル及び送達装置の局所使用によるか、又は経皮経路により、当業者に周知の経皮パッチの形態のものを用いて投与可能である。経皮送達系の形態において投与されるためには、用量投与は、もちろん、用法用量全体を通して、断続的であるよりもむしろ連続的となるであろう。本発明化合物はまた、基剤、例えば、カカオバター、グリセリンゼラチン、硬化植物油、種々の分子量のポリエチレングリコールの混合物、及びポリエチレングリコールの脂肪酸エステルを用いた、坐剤として送達してもよい。
【0098】
本発明化合物はまた、リポソーム送達系、例えば、小さいユニラメラベシクル、大きいユニラメラベシクル、及びマルチラメラベシクル、の形態で投与することもできる。リポソームは、種々のリン脂質、例えば、コレステロール、ステアリルアミン、又はホスファチジルコリンから形成し得る。
【0099】
本発明化合物はまた、本発明化合物を結合する個別の担体としての、モノクローナル抗体の使用により送達してもよい。本発明化合物はまた、標的化可能な薬物担体としての可溶性ポリマーと結合してもよい。かかるポリマーは、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシ−エチルアスパルタミド−フェノール、又は、パルミトイル残基で置換されたポリエチレンオキシド−ポリリジンを包含することができる。さらに本発明化合物は、薬物の制御放出の達成において有用な生分解性ポリマーのクラス、例えばポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸とのコポリマー、ポリエプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリラート、及び、架橋ヒドロゲル又はヒドロゲルの両親媒性ブロックコポリマーに結合してもよい。
【0100】
本発明による化合物がヒト患者へ投与される場合、日用量は通常、処方する医師により、一般的には、個々の患者の年齢、体重、及び応答、並びに患者の症状の重さによって異なる投薬量について決定されるであろう。
【0101】
1つの実施態様においては、適当な量のJAK2の阻害剤が、癌の治療を受けている哺乳類に投与される。投与は、1日当たり体重あたり約0.1mg/kgないし約60mg/kgか、又は、1日当たり体重あたり0.5mg/kgないし約40mg/kgの阻害剤の量で行なわれる。本組成物を含んでなる別の治療用の投薬量は、約0.01mgないし約1000mgのJAK2阻害剤を包含する。別の実施態様においては、投薬量は、約1mgないし約1000mgのJAK2阻害剤を含んでなる。
【0102】
本発明化合物はまた、治療剤、化学療法剤、及び抗癌剤との併用においても有用である。本開示化合物と、治療剤、化学療法剤、及び抗癌剤との併用は、本発明の範囲内である。かかる薬剤の例は、デヴィータ(V.T.Devita)及びヘルマン(S.Hellman)(共編)“Cancer Principles and Practice of Oncology)(癌の原理及び腫瘍学のプラクティス)”、第6版、2001年2月15日、Lippincott Williams&Wilkins Publishers、において見出すことができる。当業者は、薬物及び関係する癌の、特定の性質に基づき、どの薬剤の組合せが有用であるかを識別することができるであろう。かかる抗癌剤は、限定されないが以下を包含する:エストロゲンレセプターモジュレータ、アンドロゲンレセプターモジュレータ、レチノイドレセプターモジュレータ、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤及び他の血管新生インヒビター、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療、γ−セクレターゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ(RTK)を妨害する薬剤、及び細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤。本化合物は、放射線療法と同時投与された場合、特に有用である。
【0103】
「エストロゲンレセプターモジュレータ」は、メカニズムにかかわらず、エストロゲンの受容体への結合を妨害又は阻害する化合物を指す。エストロゲンレセプターモジュレータの例は、限定されないが、タモキシフェン、ラロキシフェン、ヨードキシフェン、LY353381、LY117081、トレミフェン、フルベストラント、4−[7−(2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ−4−メチル−2−[4−[2−(1−ピペリジニル)エトキシ]フェニル]−2H−1−ベンゾピラン−3−イル]−フェニル−2,2−ジメチルプロパノアート、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン−2,4−ジニトロフェニル−ヒドラゾン、及びSH646を包含する。
【0104】
「アンドロゲンレセプターモジュレータ」は、メカニズムにかかわらず、アンドロゲンの受容体への結合を妨害又は阻害する化合物を指す。アンドロゲンレセプターモジュレータの例は、フィナステリド及び他の5α−レダクターゼ阻害剤、ニルタミド、フルタミド、ビカルタミド、リアロゾール、及びアビラテロンアセタートを包含する。
【0105】
「レチノイドレセプターモジュレータ」は、メカニズムにかかわらず、受容体へのレチノイドの結合を妨害又は阻害する化合物を指す。かかるレチノイドレセプターモジュレータの例は、ベキサロテン、トレチノイン、13−シス−レチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、α−ジフルオロメチルオルニチン、ILX23−7553、トランス−N−(4’−ヒドロキシフェニル)レチンアミド、及びN−4−カルボキシフェニルレチンアミドを包含する。
【0106】
「細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤」は、主として細胞の機能化を直接妨害するか又は細胞有糸分裂を阻害又は妨害することにより、細胞死を引き起こすか又は細胞増殖を阻害する化合物を指し、アルキル化剤、腫瘍壊死因子、インターカレーター、低酸素活性化化合物、微小管阻害剤/微小管安定化剤、有糸分裂キネシンの阻害剤、ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤、有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤、成長因子及びサイトカインシグナル伝達経路に関与するキナーゼの阻害剤、代謝拮抗物質、生物応答調節剤;ホルモン/抗ホルモン治療剤、造血成長因子、モノクローナル抗体標的化治療剤、トポイソメラーゼ阻害剤、プロテオソーム阻害剤、ユビキチンリガーゼ阻害剤、及びオーロラキナーゼ阻害剤を包含する。
【0107】
細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤の例は、制限なされることなく、セルテネフ、カケクチン、イフォスファミド、タソネルミン、ロニダミン、カルボプラチン、アルトレタミン、プレドニムスチン、ジブロモダルシトール、ラニムスチン、フォテムスチン、ネダプラチン、オキザリプラチン、テモゾロミド、ヘプタプラチン、エストラムスチン、インプロスルファントシラート、トロホスファミド、ニムスチン、塩化ジブロスピジウム、プミテパ、ロバプラチン、サトラプラチン、プロフィロマイシン、シスプラチン、イロフルベン、デキシホスファミド、シス−アミンジクロロ(2−メチル−ピリジン)白金、ベンジルグアニン、グルホスファミド、GPX100、(トランス、トランス、トランス)−ビス−ミュー−(ヘキサン−1,6−ジアミン)−ミュー−[ジアミン−白金(II)]ビス[ジアミン(クロロ)白金(II)]テトラクロリド、ジアリジジニル(diarizidinyl)スペルミン、三酸化ヒ素、1−(11−ドデシルアミノ−10−ヒドロキシウンデシル)−3,7−ジメチルキサンチン、ゾルビシン、イダルビシン、ダウノルビシン、ビサントレン、ミトキサントロン、ピラルビシン、ピナフィド、バルルビシン、アムルビシン、アンチネオプラストン、3’−デアミノ−3’−モルホリノ−13−デオキソ−10−ヒドロキシカルミノマイシン、アナマイシン、ガラルビシン、エリナフィド、MEN10755、及び4−デメトキシ−3−デアミノ−3−アジリジニル−4−メチルスルホニル−ダウノルビシン(WO00/50032参照)、Rafキナーゼ阻害剤(例えば、Bay43−9006)、及びmTOR阻害剤(例えば、ワイス(Wyeth)CCI−779)を包含する。
【0108】
低酸素活性化化合物の1つの例は、チラパザミンである。
【0109】
プロテオソーム阻害剤の例は、限定されないが、ラクタシスチン、MLN−341(ベルケード(Velcade))及びカルフィルゾミブを包含する。
【0110】
微小管阻害剤/微小管安定化剤の例は、パクリタキセル、硫酸ビンデシン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−8’−ノルビンカロイコブラスチン、ドセタキソール、リゾキシン、ドラスタチン、ミボブリンイセチオナート、アウリスタチン、セマドチン、RPR109881、BMS184476、ビンフルニン、クリプトフィシン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロ−N−(3−フルオロ−4−メトキシフェニル)ベンゼンスルホンアミド、アンヒドロビンブラスチン、N,N−ジメチル−L−バリル−L−バリル−N−メチル−L−バリル−L−プロリル−L−プロリン−t−ブチルアミド、TDX258、エポチロン(例えば米国特許第6,284,781及び6,288,237号参照)、及び、BMS188797を包含する。1つの実施態様においては、エポチロンは微小管阻害剤/微小管安定化剤に包含されない。
【0111】
トポイソメラーゼラーゼ阻害剤のいくつかの例は、トポテカン、ハイカプタミン(hycaptamine)、イリノテカン、ルビテカン、6−エトキシプロピオニル−3’,4’−O−エキソ−ベンジリデン−シャールトルーシン、9−メトキシ−N,N−ジメチル−5−ニトロピラゾロ[3,4,5−kl]アクリジン−2−(6H)プロパンアミン、1−アミノ−9−エチル−5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−9−ヒドロキシ−4−メチル−1H,12H−ベンゾ[de]ピラノ[3’,4’:b,7]−インドリジノ[1,2b]キノリン−10,13(9H,15H)ジオン、ルルトテカン(lurtotecan)、7−[2−(N−イソプロピルアミノ)エチル]−(20S)カンプトテシン、BNP1350、BNPI1100、BN80915、BN80942、エトポシドホスファート、テニポシド、ソブゾキサン、2’−ジメチルアミノ−2’−デオキシ−エトポシド、GL331、N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−9−ヒドロキシ−5,6−ジメチル−6H−ピリド[4,3−b]カルバゾール−1−カルボキサミド、アスラクライン(asulacrine)、(5a,5aB,8aa,9b)−9−[2−[N−[2−(ジメチルアミノ)エチル]−N−メチルアミノ]エチル]−5−[4−ヒドロキシ−3,5−ジメトキシフェニル]−5,5a,6,8,8a,9−ヘキソヒドロフロ(3’,4’:6,7)ナフト(2,3−d)−1,3−ジオキソール−6−オン、2,3−(メチレンジオキシ)−5−メチル−7−ヒドロキシ−8−メトキシベンゾ[c]−フェナントリジニウム、6,9−ビス[(2−アミノエチル)アミノ]ベンゾ[g]イソキノリン−5,10−ジオン、5−(3−アミノプロピルアミノ)−7,10−ジヒドロキシ−2−(2−ヒドロキシエチルアミノメチル)−6H−ピラゾロ[4,5,1−de]アクリジン−6−オン、N−[1−[2(ジエチルアミノ)エチルアミノ]−7−メトキシ−9−オキソ−9H−チオキサンテン−4−イルメチル]ホルムアミド、N−(2−(ジメチルアミノ)エチル)アクリジン−4−カルボキサミド、6−[[2−(ジメチルアミノ)エチル]アミノ]−3−ヒドロキシ−7H−インデノ[2,1−c]キノリン−7−オン、及び、ジメスナである。
【0112】
有糸分裂キネシン、及び特にヒト有糸分裂キネシンKSPの阻害剤の例は、国際公開WO 03/039460、WO 03/050064、WO 03/050122、WO 03/049527、WO03/049679、WO 03/049678、WO 04/039774、WO 03/079973、WO 03/099211、WO 03/015855、WO 03/106417、WO 04/037171、WO 04/058148、WO 04/058700、WO 04/126699、WO05/018638、WO05/019206、WO05/019205、WO05/018547、WO05/017190、US2005/0176776に記載されている。1つの実施態様においては、有糸分裂キネシンの阻害剤は、限定されないが、KSPの阻害剤、MKLP1の阻害剤、CENP−Eの阻害剤、MCAKの阻害剤、及びRab6−KIFLの阻害剤を包含する。
【0113】
「ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤」の例は、限定されないが、SAHA、TSA、オキサムフラチン、PXD101、MG98、及びスクリプタイドを包含する。他のヒストン脱アセチル化酵素阻害剤に関するさらなる参考文献は、以下の文書に見出されてよい;ミラー(Miller,T.A)ら、J.Med.Chem.、2003年、第46巻、第24号、p.5097−5116。
【0114】
「有糸分裂の進行に関与するキナーゼの阻害剤」は、限定されないが、オーロラキナーゼの阻害剤、ポロ様キナーゼの阻害剤(PLK;特にPLK−1の阻害剤)、bub−1の阻害剤、及びbub−R1の阻害剤を包含する。「オーロラキナーゼ阻害剤」の一例は、VX−680である。
【0115】
「抗増殖剤」は、アンチセンスRNA及びDNAオリゴヌクレオチド、例えばG3139、ODN698、RVASKRAS、GEM231、及びINX3001;及び、代謝拮抗物質、例えばエノシタビン、カルモフール、テガフール、ペントスタチン、ドキシフルリジン、トリメトレキセート、フルダラビン、カペシタビン、ガロシタビン、シタラビンオクフォスファート、フォステアビン(fosteabine)ナトリウム水和物、ラルチトレキセド、パルチトレキシド、エミテフール、チアゾフリン、デシタビン、ノラトレキセド、ペメトレキセド、ネルザラビン、2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン、2’−フルオロメチレン−2’−デオキシシチジンン、N−[5−(2,3−ジヒドロ−ベンゾフリル)スルホニル]−N’−(3,4−ジクロロフェニル)尿素、N6−[4−デオキシ−4−[N2−[2(E),4(E)−テトラデカジエノイル]グリシルアミノ]−L−グリセロ−B−L−マンノ−ヘプトピラノシル]アデニン、アプリジン、エクチナサイジン、トロキサシタビン、4−[2−アミノ−4−オキソ−4,6,7,8−テトラヒドロ−3H−ピリミジノ[5,4−b][1,4]チアジン−6−イル−(S)−エチル]−2,5−チエノイル−L−グルタミン酸、アミノプテリン、5−フルオロウラシル、アラノシン、11−アセチル−8−(カルバモイルオキシメチル)−4−ホルミル−6−メトキシ−14−オキサ−1,11−ジアザテトラシクロ(7.4.1.0.0)−テトラデカ−2,4,6−トリエン−9−イル酢酸エステル、スワインソニン、ロメトレキソール、デキシラゾキサン(dexrazoxane)、メチオニナーゼ、2’−シアノ−2’−デオキシ−N4−パルミトイル−1−B−D−アラビノフラノシルシトシン、3−アミノピリジン−2−カルボキシアルデヒドチオセミカルバゾン、及びトラツズマブを包含する。
【0116】
モノクローナル抗体標的化治療剤の例は、癌細胞特異又は標的細胞特異モノクローナル抗体へ結合した、細胞傷害剤又は放射性同位元素を有する治療剤を包含する。例は、ベキサール(Bexxar)を包含する。
【0117】
「HMG−CoAレダクターゼ阻害剤」は、3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−CoAレダクターゼの阻害剤を指す。使用してもよいHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の例は、限定されないが、ロバスタチン(メバコール(MEVACOR)(登録商標);米国特許第4,231,938、4,294,926、及び4,319,039号参照)、シンバスタチン(ゾコール(ZOCOR)(登録商標);米国特許第4,444,784、4,820,850、及び4,916,239号参照)、プラバスタチン(プラバコール(PRAVACHOL)(登録商標);米国特許第4,346,227、4,537,859、4,410,629、5,030,447、及び5,180,589号参照)、フルバスタチン(レスコール(LESCOL)(登録商標);米国特許第5,354,772、4,911,165、4,929,437、5,189,164、5,118,853、5,290,946、及び5,356,896号参照)、アトルバスタチン(リピトール(LIPITOR)(登録商標);米国特許第5,273,995、4,681,893、5,489,691、及び5,342,952号参照)、及びセリバスタチン(リバスタチン及びバイコール(BAYCHOL)(登録商標)としても知られる;米国特許第5,177,080号参照)を包含する。これらの、及び、本方法において使用してもよい追加のHMG−CoAレダクターゼ阻害剤の構造式は、ヤルパーニ(M.Yalpani)、“Cholesterol Lowering Drugs(コレステロール低下薬)”,Chemistry & Industry,1996年2月5日、p.85−89の第87頁、及び、米国特許第4,782,084及び4,885,314号に記載されている。本明細書で使用される場合、用語、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、全ての薬学的に許容されるラクトン及びオープン酸型(すなわち、ラクトン環が開裂されて遊離酸を形成する場合)、並びに、HMG−CoAレダクターゼ阻害活性を有する化合物の塩及びエステル型であって、それ故、かかる塩、エステル、オープン酸、及びラクトン型の使用は、本発明の範囲内に包含される。
【0118】
「プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤」は、プレニルタンパク質トランスフェラーゼ酵素の任意の1つ又は任意の組合せを阻害する化合物を指し、ファルネシル−タンパク質トランスフェラーゼ(FPTアーゼ)、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼI型(GGPTアーゼ−I)、及び、ゲラニルゲラニル−タンパク質トランスフェラーゼII型(GGPTアーゼ−II、またRab GGPTアーゼとも呼ばれる)を包含する。
【0119】
プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の例は、以下の出版物及び特許に見出すことができる:WO 96/30343、WO 97/18813、WO 97/21701、WO 97/23478、WO 97/38665、WO 98/28980、WO 98/29119、WO95/32987、米国特許第5,420,245号、米国特許第5,523,430号、米国特許第5,532,359号、米国特許第5,510,510号、米国特許第5,589,485号、米国特許第5,602,098号、欧州特許公開0 618 221、欧州特許公開0 675 112、欧州特許公開0 604 181、欧州特許公開第0 696 593、WO 94/19357、WO 95/08542、WO 95/11917、WO 95/12612、WO 95/12572、WO 95/10514、米国特許第5,661,152号、WO 95/10515、WO 95/10516、WO 95/24612、WO 95/34535、WO 95/25086、WO 96/05529、WO 96/06138、WO 96/06193、WO 96/16443、WO 96/21701、WO 96/21456、WO 96/22278、WO 96/24611、WO 96/24612、WO 96/05168、WO 96/05169、WO 96/00736、米国特許第5,571,792号、WO 96/17861、WO 96/33159、WO 96/34850、WO 96/34851、WO 96/30017、WO 96/30018、WO 96/30362、WO 96/30363、WO 96/31111、WO 96/31477、WO 96/31478、WO 96/31501、WO 97/00252、WO 97/03047、WO 97/03050、WO 97/04785、WO 97/02920、WO 97/17070、WO 97/23478、WO 97/26246、WO 97/30053、WO 97/44350、WO 98/02436、及び米国特許第5,532,359号。血管新生に対するプレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤の役割の1つの例については、European J.of Cancer、1999年、第35巻、第9号、p.1394−1401参照。
【0120】
「血管新生インヒビター」は、メカニズムにかかわらず、新たな血管の形成を阻害する化合物を指す。血管新生インヒビターの例は、限定されないが、チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、チロシンキナーゼ受容体Flt−1(VEGFR1)及びFlk−1/KDR(VEGFR2)の阻害剤、上皮由来、線維芽細胞由来、又は血小板由来の成長因子の阻害剤、MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)阻害剤、インテグリンブロッカー、インターフェロン−α、インターロイキン−12、ペントサン多硫酸塩、アスピリン及びイブプロフェンのような非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)並びにセレコキシブ及びロフェコキシブのような選択的シクロオキシ−ゲナーゼ−2阻害剤を含む、シクロオキシゲナーゼ阻害剤(PNAS、1992年、第89巻、p.7384;JNCI、1982年、第69巻、p.475;Arch.Opthalmol.1990年、第108巻、p.573;Anat.Rec.1994年、第238巻、p.68;FEBS Letters、1995年、第372巻、p.83;Clin.Orthop.1995年、第313巻、p.76;J.Mol.Endocrinol.1996年、第16巻、p.107;Jpn.J.Pharmacol.1997年、第75巻、p.105;Cancer Res.1997年、第57巻、p.1625;Cell、1998年、第93巻、p.705;Intl.J.Mol.Med.1998年、第2巻、p.715;J.Biol.Chem.1999年、第274巻、p.9116、ステロイド系抗炎症剤(例えばコルチコステロイド、ミネラルコルチコイド、デキサメタゾン、プレドニソン、プレドニソロン、メチルプレド、ベタメタゾン)、カルボキサミドトリアゾール、コンブレタスタチンA−4、スクアラミン、6−O−クロロアセチル−カルボニル)−フマギロール、サリドマイド、アンギオスタチン、トロポニン−1、アンギオテンシンIIアンタゴニスト(例えば、フェルナンデス(Fernandez)ら、J.Lab.Clin.Med.1985年、第105巻、p.141−145を参照)、及びVEGFに対する抗体(Nature Biotechnology、1999年10月、第17巻、p.963−968;キム(Kim)ら、Nature、1993年、第362巻、p.841−844;WO 00/44777;及び、WO 00/61186参照)を包含する。
【0121】
血管新生を調節又は阻害し、かつ本発明化合物と組合せて使用されてもよい他の治療薬は、凝固及び線溶系を調節又は阻害する薬剤を包含する(Clin.Chem.La.Med.2000年、第38巻、p.679−692の総説を参照)。凝固及び線溶経路を調節又は阻害する、かかる薬剤の例は、限定されないが、ヘパリン(Thromb.Haemost.1998年、第80巻、p.10−23を参照)、低分子量ヘパリン、及びカルボキシペプチダーゼU阻害剤(活性型のトロンビン活性化線溶抑制因子[TAFIa]の阻害剤としても公知)(Thrombosis Res.2001年、第101巻、p.329−354参照)を包含する。TAFIa阻害剤は、米国特許出願番号60/310,927(2001年8月8日出願)及び60/349,925号(2002年1月18日出願)に記載されている。
【0122】
「細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤」は、細胞周期チェックポイントシグナルを伝達するプロテインキナーゼを阻害し、それにより癌細胞をDNA損傷剤に対し感受性化する化合物を指す。かかる薬剤は、ATR、ATM、CHK11及びCHK12キナーゼの阻害剤、及び、cdk及びcdcキナーゼ阻害剤を包含し、かつ特に、7−ヒドロキシスタウロスポリン、フラボピリドール、CYC202(サイクラセル(Cyclacel))、及びBMS−387032に例示される。
【0123】
「受容体チロシンキナーゼ(RTK)を妨害する薬剤」は、RTKを、及びそれ故に、発癌及び腫瘍進行に関与するメカニズムを阻害する化合物を指す。かかる薬剤は、c−Kit、Eph、PDGF、Flt3、及びc−Metの阻害剤を包含する。さらなる薬剤は、ブーム・ジェンセン(Bume−Jensen)及びハンター(Hunter)、Nature、2001年、第411巻、p.355−365により記述された、RTKの阻害剤を包含する。
【0124】
「細胞増殖及び生存シグナリング経路の阻害剤」は、細胞表面受容体の下流のシグナル伝達カスケードを阻害する化合物を指す。かかる薬剤は、セリン/スレオニンキナーゼ(限定されないが、Aktの阻害剤、例えばWO 02/083064、WO 02/083139、WO 02/083140、US2004−0116432、WO 02/083138、US2004−0102360、WO 03/086404、WO 03/086279、WO 03/086394、WO 03/084473、WO 03/086403、WO 2004/041162、WO 2004/096131、WO 2004/096129、WO 2004/096135、WO 2004/096130、WO 2005/100356、WO 2005/100344、US2005/029941、US2005/44294、US2005/43361、60/734188、60/652737、60/670469に開示されたものを包含する)、Rafキナーゼの阻害剤(例えばBAY−43−9006)、MEKの阻害剤(例えば、CI−1040及びPD−098059)、mTORの阻害剤(例えばワイス(Wyeth)CCI−779)、及びPI3Kの阻害剤(例えば、LY294002)を包含する。
【0125】
上記記載のように、NSAIDとの併用は、強力なCOX−2阻害剤であるNSAIDの使用に向けたものである。本明細書では、NSAIDは、細胞又はミクロソームアッセイにより測定されるとき、COX−2の阻害について1μM以下のIC50をもつ場合に効力がある。
【0126】
本発明はまた、選択的なCOX−2阻害剤である、NSAIDとの併用も包含する。本明細書では、選択的COX−2阻害剤であるNSAIDは、細胞又はミクロソームアッセイにより評価される、COX−1のIC50に対するCOX−2のIC50の比率によって測定されるとき、少なくとも100倍の、COX−1に対するCOX−2阻害特異性を有するものとして定義される。かかる化合物は、限定されないが、米国特許5,474,995、米国特許5,861,419、米国特許6,001,843、米国特許6,020,343、米国特許5,409,944、米国特許5,436,265、米国特許5,536,752、米国特許5,550,142、米国特許5,604,260、米国特許5,698,584、米国特許5,710,140、WO 94/15932、米国特許5,344,991、米国特許5,134,142、米国特許5,380,738、米国特許5,393,790、米国特許5,466,823、米国特許5,633,272、及び米国特許5,932,598に開示されているものを包含し、これらは全て参考として本明細書に含まれる。
【0127】
本治療法において特に有用であるCOX−2の阻害剤は、3−フェニル−4−(4−(メチルスルホニル)フェニル)−2−(5H)−フラノン;及び5−クロロ−3−(4−メチルスルホニル)フェニル−2−(2−メチル−5−ピリジニル)ピリジン;又はその薬学的に許容される塩である。
【0128】
COX−2の特異的阻害剤として記載されてきており、かつそれ故、本発明において有用である化合物は、限定されないが以下を包含する:パレコキシブ、ベクストラ(BEXTRA(登録商標))、セレブレックス(CELEBREX(登録商標))、又はその薬学的に許容される塩。
【0129】
血管新生インヒビターの他の例は、限定されないが、エンドスタチン、ウクライン、ランピルナーゼ、IM862、5−メトキシ−4−[2−メチル−3−(3−メチル−2−ブテニル)オキシラニル]−1−オキサスピロ[2,5]オクト−6−イル(クロロアセチル)カルバメート、アセチルジナナリン(acetyldinanaline)、5−アミノ−1−[[3,5−ジクロロ−4−(4−クロロベンゾイル)フェニル]メチル]−1H−1,2,3−トリアゾール−4−カルボキサミド、CM101、スクアラミン、コンブレタスタチン、RPI4610、NX31838、硫酸化マンノペンタオースホスファート、7,7−(カルボニル−ビス[イミノ−N−メチル−4,2−ピロロカルボニルイミノ[N−メチル−4,2−ピロール]−カルボニルイミノ]−ビス−(1,3−ナフタレンジスルホナート)、及び、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノン(SU5416)を包含する。
【0130】
前記に使用したように、「インテグリンブロッカー」は、生理的リガンドの、αβインテグリンへの結合を選択的に拮抗するか、阻害するか、又は反対に作用する化合物、生理的リガンドの、αβインテグリンへの結合を選択的に拮抗するか、阻害するか、又は反対に作用する化合物、生理的リガンドの、αβインテグリン及びαβインテグリン双方への結合を拮抗するか、阻害するか、又は反対に作用する化合物、及び、毛細血管内皮細胞上に発現された特定のインテグリンの活性を拮抗するか、阻害するか、又は反対に作用する化合物を指す。該用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、及びαβインテグリンのアンタゴニストも指す。該用語はまた、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、αβ、βα、αβ、及びαβインテグリンの任意の組合せのアンタゴニストも指す。
【0131】
チロシンキナーゼ阻害剤のいくつかの具体的な例は、N−(トリフルオロメチルフェニル)−5−メチルイソオキサゾール−4−カルボキサミド、3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]インドリン−2−オン、17−(アリルアミノ)−17−デメトキシゲルダナマイシン、4−(3−クロロ−4−フルオロフェニルアミノ)−7−メトキシ−6−[3−(4−モルホリニル)プロポキシル]キナゾリン、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)−4−キナゾリンアミン、BIBX1382、2,3,9,10,11,12−ヘキサヒドロ−10−(ヒドロキシメチル)−10−ヒドロキシ−9−メチル−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3’,2’,1’−kl]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1−オン、SH268、ゲニステイン、STI571、CEP2563、4−(3−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジメチル−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジンメタンスルホナート、4−(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、4−(4’−ヒドロキシフェニル)アミノ−6,7−ジメトキシキナゾリン、SU6668、STI571A、N−4−クロロフェニル−4−(4−ピリジルメチル)−1−フタラジンアミン、及びEMD121974を包含する。
【0132】
抗癌化合物以外の化合物との併用もまた、本方法に包含される。例えば、本願にクレームされた化合物と、PPAR−γ(すなわち、PPAR−ガンマ)アゴニスト及びPPAR−δ(すなわち、PPAR−デルタ)アゴニストとの併用は、いくつかの悪性疾患の治療において有用である。PPAR−γ及びPPAR−δは、核のペルオキシソーム増殖剤活性化受容体γ及びδである。PPAR−γの、内皮細胞上での発現及び、血管新生におけるその関与は、文献に報告されてきた(J.Cardiovasc.Pharmacol.1998年、第31巻、p.909−913;J.Biol.Chem.1999年、第274巻、p.9116−9121;Invest.Ophthalmol Vis.Sci.2000年、第41巻、p.2309−2317参照)。より最近では、PPAR−γアゴニストが、インビトロでVEGFに対する血管新生応答を阻害することが示された;トログリタゾン及びマレイン酸ロシグリタゾンの双方は、マウスにおいて、網膜の血管新生の発生を阻害する(Arch.Opthamol.2001年、第119巻、p.709−717)。PPAR−γアゴニスト及びPPAR−γ/αアゴニストの例は、限定されないが、チアゾリジンジオン(例えばDRF2725、CS−011、トログリタゾン、ロシグリタゾン、及びピオグリタゾン)、フェノフィブラート、ゲンフィブロジル、クロフィブラート、GW2570、SB219994、AR−H039242、JTT−501、MCC−555、GW2331、GW409544、NN2344、KRP297、NP0110、DRF4158、NN622、GI262570、PNU182716、DRF552926、2−[(5,7−ジプロピル−3−トリフルオロメチル−1,2−ベンゾイソオキサゾール−6−イル)オキシ]−2−メチルプロピオン酸(USSN 09/782,856に開示)、及び2(R)−7−(3−(2−クロロ−4−(4−フルオロフェノキシ)フェノキシ)プロポキシ)−2−エチルクロマン−2−カルボン酸(USSN 60/235,708及び60/244,697に開示)を包含する。
【0133】
本発明の別の実施態様は、本開示化合物の、癌の治療のための遺伝子療法と組合せた使用である。癌を治療するための遺伝学的戦略の概要に関しては、ホール(Hall)ら、(Am.J.Hum,Genet.1997年、第61巻、p.785−789)、及びクーフェ(Kufe)ら(「Cancer Medicine(癌医療)」、第5版、BC Decker、ハミルトン、2000年、p.876−889)を参照のこと。遺伝子療法を用いて、任意の腫瘍抑制遺伝子を送達することができる。かかる遺伝子の例は、限定されないが、組換えウイルス媒介性の遺伝子導入により送達可能であるp53(例えば、米国特許第6,069,134号参照)、uPA/uPARアンタゴニスト(「Adenovirus−Mediated Delivery of a uPA/uPAR Antagonist Suppresses Angiogenesis−Dependent Tumor Growth and Dissemination in Mice(uPA/uPARアンタゴニストのアデノウイルス媒介送達は、血管新生依存性の腫瘍増殖及び播種をマウスにおいて抑制する)」、Gene Therapy、1998年8月、第5巻、第8号、p.1105−13)、及びインターフェロンガンマ(J.Immunol.2000年、第164巻、p.217−222)を包含する。
【0134】
本発明化合物はまた、生来多剤耐性(MDR)、特に、高レベルのトランスポータ−タンパク質の発現に関与しているMDRの阻害剤と併用して投与されてもよい。かかるMDR阻害剤は、p−糖タンパク質(P−gp)の阻害剤、例えばLY335979、XR9576、OC144−093、R101922、VX853、及びPSC833(バルスポダール)を包含する。
【0135】
本発明化合物は、本発明化合物の、単独の又は放射線療法との使用の結果として生じるかもしれない急性、遅発性、遅延相、及び予測性嘔吐を含めた、悪心又は嘔吐を治療するべく、抗嘔吐薬と一緒に用いてもよい。嘔吐の予防又は治療のためには、本発明化合物は、他の抗嘔吐薬、特にニューロキニン−1受容体アンタゴニスト;5HT3受容体アンタゴニスト、例えばオンダンセトロン、グラニセトロン、トロピセトロン、及びザチセトロン;GABAB受容体アゴニスト、例えばバクロフェン;コルチコステロイド、例えばデカドロン(デキサメタゾン)、ケナログ(Kenalog)、アリストコート(Aristocort)、ナサライド(Nasalide)、プレフェリド(Preferid)、ベネコルテン(Benecorten)、又は他の、米国特許第2,789,118、2,990,401、3,048,581、3,126,375、3,929,768、3,996,359、3,928,326、及び3,749,712号に開示されたもの;抗ドーパミン作動薬、例えばフェノチアジン類(例えばプロクロペラジン、フルフェナジン、チオリダジン、及びメソリダジン)、メトクロプラマイド、又はドロナビノールと一緒に使用してもよい。別の実施態様においては、ニューロキニン−1受容体アンタゴニスト、5HT3受容体アンタゴニスト、及びコルチコステロイドから選ばれる抗嘔吐薬との併用療法が、本化合物の投与の結果として生じるかもしれない嘔吐の治療又は予防用に開示されている。
【0136】
本発明化合物との併用において役立つニューロキニン−1受容体アンタゴニストは、例えば、米国特許第5,162,339、5,232,929、5,242,930、5,373,003、5,387,595、5,459,270、5,494,926、5,496,833、5,637,699、5,719,147号;欧州特許公開番号EP 0 360 390、0 394 989、0 428 434、0 429 366、0 430 771、0 436 334、0 443 132、0 482 539、0 498 069、0 499 313、0 512 901、0 512 902、0 514 273、0 514 274、0 514 275、0 514 276、0 515 681、0 517 589、0 520 555、0 522 808、0 528 495、0 532 456、0 533 280、0 536 817、0 545 478、0 558 156、0 577 394、0 585 913、0 590 152、0 599 538、0 610 793、0 634 402、0 686 629、0 693 489、0 694 535、0 699 655、0 699 674、0 707 006、0 708 101、0 709 375、0 709 376、0 714 891、0 723 959、0 733 632、及び0 776 893;PCT国際特許公開番号WO 90/05525、90/05729、91/09844、91/18899、92/01688、92/06079、92/12151、92/15585、92/17449、92/20661、92/20676、92/21677、92/22569、93/00330、93/00331、93/01159、93/01165、93/01169、93/01170、93/06099、93/09116、93/10073、93/14084、93/14113、93/18023、93/19064、93/21155、93/21181、93/23380、93/24465、94/00440、94/01402、94/02461、94/02595、94/03429、94/03445、94/04494、94/04496、94/05625、94/07843、94/08997、94/10165、94/10167、94/10168、94/10170、94/11368、94/13639、94/13663、94/14767、94/15903、94/19320、94/19323、94/20500、94/26735、94/26740、94/29309、95/02595、95/04040、95/04042、95/06645、95/07886、95/07908、95/08549、95/11880、95/14017、95/15311、95/16679、95/17382、95/18124、95/18129、95/19344、95/20575、95/21819、95/22525、95/23798、95/26338、95/28418、95/30674、95/30687、95/33744、96/05181、96/05193、96/05203、96/06094、96/07649、96/10562、96/16939、96/18643、96/20197、96/21661、96/29304、96/29317、96/29326、96/29328、96/31214、96/32385、96/37489、97/01553、97/01554、97/03066、97/08144、97/14671、97/17362、97/18206、97/19084、97/19942、及び97/21702;及び英国特許公開番号2 266 529、2 268 931、2 269 170、2 269 590、2 271 774、2 292 144、2 293 168、2 293 169、及び2 302 689において充分に記載されている。かかる化合物の調製は、上述の特許及び刊行物において充分に記載されており、それらは参考として本明細書に含まれている。
【0137】
1つの実施態様においては、本発明化合物との併用使用のためのニューロキニン−1受容体アンタゴニストは:2−(R)−(1−(R)−(3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ)−3−(S)−(4−フルオロフェニル)−4−(3−(5−オキソ−1H,4H−1,2,4−トリアゾロ)メチル)モルホリン、又は、その薬学的に許容される塩から選ばれ、それは、米国特許第5,719,147号に記載されている。
【0138】
本発明化合物はまた、貧血症の治療において有用な薬剤とともに投与してもよい。かかる貧血症治療薬は、例えば、持続性の赤血球形成受容体活性化剤(例えばエポエチン・アルファ)である。
【0139】
本発明化合物はまた、好中球減少症の治療において有用な薬剤とともに投与されてよい。かかる好中球減少症治療薬は、例えば、ヒト顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)のような、好中球の産生及び機能を調節する造血成長因子である。G−CSFの例は、フィルグラスチムを包含する。
【0140】
本発明化合物はまた、免疫強化剤、例えば、レバミソール、イソプリノシン、及びザダキシン(Zadaxin)とともに投与してもよい。
【0141】
本発明化合物はまた、ビスホスホネート(ビスホスホナート、ジホスホナート、ビスホスホン酸、及びジホスホン酸を包含するべく理解される)と併用して、骨癌を含む癌の治療又は予防に有用であってよい。ビホスホネートの例は、限定されないが:エチドロネート(ダイドロネル(Didronel))、パミドロネート(アレディア(Aredia))、アレンドロネート(フォサマックス(Fosamax))、リセドロネート(アクトネル(Actonel))、ゾレドロネート(ゾメタ(Zometa))、イバンドロネート(ボニバ(Boniva))、インカドロネート又はシマドロネート、クロドロネート、EB−1053、ミノドロネート、ネリドロネート、ピリドロネート(piridronate)、及びチルドロネートを包含し、任意の及び全ての、薬学的に許容される塩、誘導体、水和物、及びそれらの混合物を包含する。
【0142】
本発明化合物はまた、アロマターゼ阻害剤と組合せて、乳癌の治療又は予防に有用であってもよい。アロマターゼ阻害剤の例は、限定されないが、アナストロゾール、レトロゾール、及びエキセメスタンを包含する。
【0143】
本発明化合物はまた、siRNA治療薬との併用において、癌の治療又は予防に有用であってもよい。
【0144】
本発明化合物はまた、γ−セクレターゼ阻害剤及び/又はNOTCHシグナリング阻害剤と併用して投与してもよい。かかる阻害剤は、WO 01/90084、WO 02/30912、WO 01/70677、WO 03/013506、WO 02/36555、WO 03/093252、WO 03/093264、WO 03/093251、WO 03/093253、WO 2004/039800、WO 2004/039370、WO 2005/030731、WO 2005/014553、USSN 10/957,251、WO 2004/089911、WO 02/081435、WO 02/081433、WO 03/018543、WO 2004/031137、WO 2004/031139、WO 2004/031138、WO 2004/101538、WO 2004/101539、及びWO 02/47671(LY−450139を含む)。
【0145】
本発明化合物はまた、Aktの阻害剤との併用において、癌の治療又は予防に有用であってもよい。かかる阻害剤は、限定されないが、以下の出版物に記載された化合物を包含する:WO 02/083064、WO 02/083139、WO 02/083140、US2004−0116432、WO 02/083138、US2004−0102360、WO 03/086404、WO 03/086279、WO 03/086394、WO 03/084473、WO 03/086403、WO 2004/041162、WO 2004/096131、WO 2004/096129、WO 2004/096135、WO 2004/096130、WO 2005/100356、WO 2005/100344、US2005/029941、US2005/44294、US2005/43361、60/734188、60/652737、60/670469。
【0146】
本発明化合物はまた、PARP阻害剤との併用において、癌の治療又は予防に有用であってもよい。
【0147】
本発明化合物はまた、以下の治療薬との併用において、癌の治療に有用であってもよい:アバレリックス(プレナキシス・デポ(Plenaxis depot)(登録商標));アルデスロイキン(プロカイン(Prokine)(登録商標));アルデスロイキン(プロロイキン(Proleukin)(登録商標));アレムツズマブ(キャンパス(Campath)(登録商標));アリトレチノイン(パンレチン(Panretin)(登録商標));アロプリノール(ザイロプリム(Zyloprim)(登録商標));アルトレタミン(ヘキサレン(Hexalen)(登録商標));アミフォスチン(エチヨル(Ethyol)(登録商標));アナストロゾール(アリミデックス(Arimidex)(登録商標));三酸化ヒ素(トリセノックス(Trisenox)(登録商標));アスパラギナーゼ(エルスパル(Elspar)(登録商標));アザシチジン(ビダザ(Vidaza)(登録商標));ベバシズマブ(アバスチン(Avastin)(登録商標));ベキサロテン・カプセル(タルグレチン(Targretin)(登録商標));ベキサロテン・ゲル(タルグレチン(Targretin)(登録商標));ブレオマイシン(ブレノキサン(Blenoxane)(登録商標));ボルテゾミブ(ベルケード(Velcade)(登録商標));ブスルファン・静脈内(ブスルフレックス(Busulflex)(登録商標));ブスルファン・経口(マイレラン(Myleran)(登録商標));カルステロン(メトサーブ(Methosarb)(登録商標));カペシタビン(ゼローダ(Xeloda)(登録商標));カルボプラチン(パラプラチン(Paraplatin)(登録商標));カルムスチン(BCNU(登録商標)、BiCNU(登録商標));カルムスチン(グリアデル(Gliadel)(登録商標));インプラント型ポリフェプロサン20カルムスチン(グリアデル・ウエファー(Gliadel Wafer)(登録商標));セレコキシブ(セレブレックス((Celebex)(登録商標));セツキシマブ(アービタックス(Erbitux)(登録商標));クロランブシル(ロイケラン(Leukeran)(登録商標));シスプラチン(プラチノール(Platinol)(登録商標));クラドリビン(ロイスタチン(Leustatin)(登録商標)、2−CdA(登録商標));クロファラビン(クロラール(Clolar)(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン(Cytoxan)(登録商標)、ネオサール(Neosar)(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン注射薬(Cytoxan Injection)(登録商標));シクロホスファミド(サイトキサン・錠剤(Cytoxan Tablet)(登録商標));シタラビン(サイトサール−U(Cytosar−U)(登録商標));リポソーム化シタラビン(DepoCyt(登録商標));デカルバジン(DTIC−Dome(登録商標));ダクチノマイシン、アクチノマイシンD(コスメゲン(Cosmegen)(登録商標));ダルベポエチン・アルファ(アラネスプ(Aranesp)(登録商標));リポソーム化ダウノルビシン(DanuoXome(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(ダウノルビシン(Daunorubicin)(登録商標));ダウノルビシン、ダウノマイシン(セルビジン(Cerbidine)(登録商標));デニロイキン・diftitox(オンタック(Ontak)(登録商標));デクスラゾキサン(ザインカード(Zinecard)(登録商標));ドセタキセル(タキソテール(Taxotere)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシンPFS(Adriamycin PFS)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシン(Adriamycin)(登録商標)、ルベックス(Rubex)(登録商標));ドキソルビシン(アドリアマイシンPFS注射薬(Adriamycin PFS Injection)(登録商標));リポソーム化ドキソルビシン(ドキシル(Doxil)(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(ドロモスタノロン(Dromostanolone)(登録商標));プロピオン酸ドロモスタノロン(マステロン注射薬(Masterone Injection)(登録商標));エリオットのB溶液(エリオットのB溶液(Elliott’s B Solution)(登録商標));エピルビシン(エレンス(Ellence)(登録商標));エポエチン・アルファ(エポジェン(epogen)(登録商標));エルロチニブ(タルセバ(Tarceva)(登録商標));エストラムスチン(Emcyt(登録商標));エトポシドリン酸塩(エトポフォス(Etopophos)(登録商標));エトポシド、VP−16(ベペシド(Vepesid)(登録商標));エキセメスタン(アロマシン(Aromasin)(登録商標));フィルグラスチム(ノイポゲン(Neupogen)(登録商標));フロクスウリジン(動脈内)(FUDR(登録商標));フルダラビン(フルダラ(Fludara)(登録商標));フルオロウラシル、5−FU(アドルシル(Adrucil)(登録商標));フルベストラント(ファスロデックス(Faslodex)(登録商標));ゲフィチニブ(イレッサ(Iressa)(登録商標));ゲムシタビン(ゲムザール(Gemzar)(登録商標));ゲムツズマブ・オゾガマイシン(マイロターグ(Mylotarg)(登録商標));ゴセレリン酢酸塩(ゾラデックス・インプラント(Zoladex Implant)(登録商標));ゴセレリン酢酸塩(ゾラデックス(Zoladex)(登録商標));ヒストレリン酢酸塩(ヒストレリン・インプラント(Histrelin implant)(登録商標));ヒドロキシウレア(ハイドレア(Hydrea)(登録商標));イブリツモマブ・チウキセタン(ゼヴァリン(Zevalin)(登録商標));イダルビシン(イダマイシン(Idamycin)(登録商標));イフォスファミド(IFEX(登録商標));イマチニブメシル酸塩(グリベック(Gleevec)(登録商標));インターフェロンアルファ2a(ロフェロンA(Roferon A)(登録商標));インターフェロンアルファ−2b(イントロンA(Intron A)(登録商標));イリノテカン(カンプトサール(Camptosar)(登録商標));レナリドマイド(レブリミド(Revlimid)(登録商標));レトロゾール(フェマーラ(Femara)(登録商標));ロイコボリン(ウェルコボリン(Wellcovorin)(登録商標)、ロイコボリン(Leucovorin)(登録商標));酢酸ロイプロリド(エリガード(Eligard)(登録商標));レバミソール(エルガミゾール(Ergamisol)(登録商標));ロムスチン、CCNU(CeeBU(登録商標));メクロレタミン・ナイトロジェンマスタード(マスタルゲン(Mustargen)(登録商標));酢酸メゲストロール(メゲース(Megace)(登録商標));メルファラン、L−PAM(アルケラン(Alkeran)(登録商標));メルカプトプリン、6−MP(プリネトール(Purinethol)(登録商標));メスナ(メスネックス(Mesnex)(登録商標));メスナ(メスネックス錠(Mesnex tabs)(登録商標));メトトレキサート(メトトレキセート(Methotrexate)(登録商標));メトキサレン(ウヴァデクス(Uvadex)(登録商標));マイトマイシンC(ミュータマイシン(Mutamycin)(登録商標));ミトタン(リソドレン(Lysodren)(登録商標));ミトキサントロン(ノバントロン(Novantrone)(登録商標));フェンプロピオン酸ナンドロロン(デュラボリン−50(Durabolin−50)(登録商標));ネララビン(アラノン(Arranon)(登録商標));ノフェツモマブ(ヴァールマ(Verluma)(登録商標));オプレルベキン(ニューメガ(Neumega)(登録商標));オキサリプラチン(エロキサチン(Eloxatin)(登録商標));パクリタキセル(パクセン(Paxene)(登録商標));パクリタキセル(タキソール(Taxol)(登録商標));パクリタキセル・タンパク質結合粒子(アブラキサン(Abraxane)(登録商標));パリフェルミン(ケピバンス(Kepivance)(登録商標));パミドロネート(アレディア(Aredia)(登録商標));ペグアデマーゼ(アダジェン(Adagen)(ウシ・ペグアデマーゼ(Pegademase Bovine))(登録商標));ペグアスパラガーゼ(オンキャスパー(Oncaspar)(登録商標));ペグフィルグラスチム(ニューラスタ(Neulasta)(登録商標));ペメトレキセド2ナトリウム(アリムタ(Alimta)(登録商標));ペントスタチン(ナイペント(Nipent)(登録商標));ピポブロマン(バーサイト(Vercyte)(登録商標));プリカマイシン、ミトラマイシン(ミトラシン(Mithracin)(登録商標));ポルフィマー・ナトリウム(フォトフリン(Photofrin)(登録商標));プロカルバジン(マツラン(Matulane)(登録商標));キナクリン(アタブリン(Atabrine)(登録商標));ラスブリカーゼ(エリテック(Elitek)(登録商標));リツキシマブ(リツキサン(Rituxan)(登録商標));サルグラモスチン(リューカイン(Leukine)(登録商標));サルグラモスチン(プロカイン(Prokine)(登録商標));ソラフェニブ(ネクサバール(Nexavar)(登録商標));ストレプトゾシン(ザノサール(Zanosar)(登録商標));スニチニブ・マレイン酸塩(スーテント(Sutent)(登録商標));タルク(スクレロゾール(Sclerosol)(登録商標));タモキシフェン(ノルバデックス(Nolvadex)(登録商標));テモゾロミド(テモダール(Temodar)(登録商標));テニポシド、VM−26(ヴァモン(Vumon)(登録商標));テストラクトン(テスラク(Teslac)(登録商標));チオグアニン、6−TG(チオグアニン(Thioguanine)(登録商標));チオテパ(チオプレックス(Thioplex)(登録商標));トポテカン(ハイカムチン(Hycamtin)(登録商標));トレミフェン(フェアストン(Fareston)(登録商標));トシツモマブ(ベキサール(Bexxar)(登録商標));トシツモマブ/I−131 トシツモマブ(ベキサール(Bexxar)(登録商標));トラツズマブ(ハーセプチン(Herceptin)(登録商標));トレチノイン、ATRA(ベサノイド(Vesanoid)(登録商標));ウラシル・マスタード(ウラシル・マスタード・カプセル(Uracil Mustard Capsules)(登録商標));バルルビシン(バルスター(Valstar)(登録商標));ビンブラスチン(ベルバン(Velban)(登録商標));ビンクリスチン(オンコビン(Oncovin)(登録商標));ビノレルビン(ナベルビン(Navelbine)(登録商標));及びゾレドロネート(ゾメタ(Zometa)(登録商標))。
【0148】
したがって、本発明の範囲は、本願にクレームされた化合物と:エストロゲンレセプターモジュレータ、アンドロゲンレセプターモジュレータ、レチノイドレセプターモジュレータ、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生インヒビター、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、生来多剤耐性の阻害剤、抗嘔吐薬、貧血症の治療において有用な薬剤、好中球減少症の治療において有用な薬剤、免疫強化薬、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療剤、γ−セクレターゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ(RTK)を妨害する薬剤、細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤、及び上記にリストされた任意の治療剤から選択される、第2の化合物との併用における使用を包含する。
【0149】
本発明化合物について、用語「投与」及びその変形(例えば、化合物を「投与すること」)は、該化合物又は該化合物のプロドラッグを、治療を必要とする動物の系内へ投入することを意味する。本発明化合物又はそのプロドラッグが、1つ以上の他の活性薬剤(例えば、細胞傷害剤など)と組合せて提供される場合、「投与」及びその変形は、各々、該化合物又はそのプロドラッグ及び他の薬剤の、同時の及び連続した投入を包含することが理解される。
【0150】
本明細書で用いる場合、用語「組成物」は、指定された量の指定された成分を含んでなる生成物、並びに指定された量の指定された成分の組合せから結果として直接又は間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図される。
【0151】
「治療有効量」は、本明細書において使用される場合、組織、系、動物、又はヒトにおいて、研究者、獣医師、医師、又は他の臨床家によって求められている生物学的又は医学的応答を誘起する活性化合物又は医薬物質の量を意味する。
【0152】
用語「癌を治療すること」又は「癌の治療」は、癌性症状に苦しんでいる哺乳類への投与を指し、かつ癌性細胞を殺すことにより癌性症状を軽減する効果を指すが、癌の増殖及び/又は転移の阻害の結果として生じる効果も指す。
【0153】
また本クレームの範囲に含まれるのは、癌を治療する方法であって、治療有効量の本発明化合物を、放射線療法と併用して、及び/又は:エストロゲンレセプターモジュレータ、アンドロゲンレセプターモジュレータ、レチノイドレセプターモジュレータ、細胞傷害剤 細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生インヒビター、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、生来多剤耐性の阻害剤、抗嘔吐薬、貧血症の治療において有用な薬剤、好中球減少症の治療において有用な薬剤、免疫強化薬、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療剤、γ−セクレターゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ(RTK)を妨害する薬剤、細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤、及び上記にリストされた任意の治療剤から選択される、第2の化合物と併用して投与することを含んでなる該方法である。
【0154】
また本発明は、癌を治療又は予防するために有用な医薬組成物であって、治療有効量の本発明化合物と:エストロゲンレセプターモジュレータ、アンドロゲンレセプターモジュレータ、レチノイドレセプターモジュレータ、細胞傷害剤/細胞増殖抑制剤、抗増殖剤、プレニル−タンパク質トランスフェラーゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HIVプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、血管新生インヒビター、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、細胞増殖及び生存シグナリングの阻害剤、ビスホスホネート、アロマターゼ阻害剤、siRNA治療剤、γ−セクレターゼ阻害剤、受容体チロシンキナーゼ(RTK)を妨害する薬剤、細胞周期チェックポイントを妨害する薬剤、及び上記にリストされた任意の治療剤から選択される第2の化合物と、を含んでなる該組成物も包含する。
【0155】
全ての特許、刊行物、及び確認された係属中の特許は、参考として本明細書に含まれる。
【0156】
本明細書において使用される略語は、以下の表にされた意味を有する。以下の表にされていない略語は、特に断りのない限り、一般的に使用されるようなその意味を有する。
【0157】
【化4】

【0158】
アルキル基略語
【0159】
【化5】

【0160】
本発明の化合物は、適当な原料を使用し、以下の一般スキームに従って調製してよく、次の具体的な例によってさらに例示される。しかし、実施例に例示される化合物が、本発明として考慮される唯一の属を形成すると解釈されるべきではない。したがって、以下の例示的実施例は、列挙される化合物によって、又は例示目的で使用される任意の特定の置換基によって制限されない。当業者ならば、以下の調製手順の条件及び工程の既知変法を使用して、これらの化合物を調製してもよいということを容易に理解するであろう。すべての温度は、特に断りのない限り、摂氏温度である。
【0161】
合成方法
方法1
本発明の化合物を調製するための一般手順が、スキーム1に記載されている。ヒドラジドIを(エトキシメチレン)マロノニトリルと縮合して、ピラゾールエナミンIIを得ることができる。このエナミンを、酸性条件下で加水分解して3−アミノピラゾールIII及びIVを得ることができる。その後、シアノピラゾールIIIを水和して、アミドピラゾールIVを得ることができる。3−アミノピラゾールIVを、適当な置換されていてもよいハロゲン化(ヘテロ)芳香族を用いた、パラジウム触媒カップリングによって最終生成物ピラゾールVに合成できる。
【0162】
【化6】

【0163】
方法2
本発明の化合物を調製するための一般手順が、スキーム2に記載されている。3−アミノ−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルVIを、フェニルボロン酸を用いてアリール化し、アニリノピラゾールVII−A及び3−アミノピラゾールIIIの混合物を得ることができる。3−アミノピラゾールIIIを、適当な置換されていてもよいハロゲン化(ヘテロ)芳香族を用いた、パラジウム触媒カップリングによってピラゾールVIIに合成することができる。最終生成物ピラゾールVは、シアノピラゾールVIIの水和によって得ることができる。
【0164】
【化7】

【0165】
方法3
本発明の化合物を調製するための一般手順が、スキーム3に記載されている。3−アミノ−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルVIを、SEM−Clと反応させて、3−アミノピラゾールVIIIA及びVIIIBの混合物を得ることができる。位置異性体VIIIBをアリール化して、適当な置換されていてもよいハロゲン化(ヘテロ)芳香族を用いた、パラジウム触媒カップリングによって、ピラゾールIXを得ることができる。SEM基を、酸加水分解によって除去してピラゾールXを得ることができる。3−アリールアミノピラゾールXを、適当な置換されていてもよいアリールボロン酸を用いた、銅触媒アリール化によってピラゾールVIIに合成することができる。最終生成物ピラゾールVは、シアノピラゾールVIIの水和によって得ることができる。
【0166】
【化8】

【0167】
本発明は、別に言及されない限り、以下の非限定的な実施例において例示される:
【0168】
1.全ての最終生成物は、NMR、LCMSによって分析した。
【0169】
2.中間体は、NMR及び/又はTLC及び/又はLCMSによって分析した。
【0170】
3.ほとんどの化合物は、シリカゲル上でのフラッシュクロマトグラフィー、逆相HPLC、再結晶化及び/又はスウィッシュ(swish)(溶媒に懸濁し、続いて、固体を濾過)によって精製した。
【0171】
4.反応工程に続いて、薄層クロマトグラフィー(TLC)及び/又はLCMSを行い、反応時間は単に例示のために示されている。
【0172】
実施例1
【0173】
【化9】

【0174】
3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【0175】
【化10】

【0176】
工程1.{[(4−シアノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル)アミノ]メチレン}マロノニトリル
N’−フェニルアセトヒドラジド(5g、33.3mmol)及び(エトキシメチレン)マロノニトリル(8.13g、66.6mmol)を、オキシ塩化リン(6.21ml、66.6mmol)中、100℃で30分間撹拌した。室温を達成し、水を加え、濾過によって暗色固体を回収した。残渣をEtOH中で粉砕すると、{[(4−シアノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル)アミノ]メチレン}マロノニトリルが、ベージュ色の固体として得られた(バッチ1)。濾液を真空濃縮し、残渣をMPLC(6〜50% EtOAc−ヘキサン)によって精製すると、EtOAc−ヘキサンから再結晶化した後に、{[(4−シアノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル)アミノ]メチレン}マロノニトリルが、橙色の固体として得られた(バッチ2)。
LRMS(APCI)(C14)[M+H]の計算値:261,実測値:261。
【0177】
【化11】

【0178】
工程2.3−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル及び3−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
{[(4−シアノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル)アミノ]メチレン}マロノニトリル(1.07g、4.11mmol)を、還流ジオキサン(80mL)/2N HCl(80mL)中で3日間撹拌した。室温を達成し、生成物をEtOAcに抽出した(×2)。合わせた有機抽出物を、食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空濃縮した。残渣を、MPLC(12〜100% EtOAc−ヘキサンと、続いて0〜10% MeOH−EtOAc)によって精製すると、3−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルがベージュ色の固体(A)として、また3−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドが褐色の固体(B)として得られた。
A−LRMS(APCI)(C10)[M+H]の計算値:185,実測値:185。
B−LRMS(APCI)(C1011O)[M+H]の計算値:203,実測値:203。
【0179】
【化12】

【0180】
工程3.3−3−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
3−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(0.34g、1.846mmol)を、95% HSO(10mL)中、50℃で3時間撹拌した。室温を達成し、水を加え、生成物をEtOAcに抽出した(×3)。水相を2N NaOHを用いて中和し、生成物をDCMに抽出し(×2)、続いて、20% MeOH−DCMに抽出した(×4)。合わせた有機抽出物をMgSOで乾燥させ、真空濃縮した。残渣をEtOAc中で粉砕すると、3−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドが淡黄色の固体として得られた。
LRMS(APCI)(C1011O)[M+H]の計算値:203,実測値:203。
【0181】
【化13】

【0182】
工程4.3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
5mLマイクロ波バイアルに、3−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(50mg、0.247mmol)、4−ブロモフェニルメチルスルホン(58.1mg、0.247mmol)、Pddba(22.64mg、0.025mmol)、KCO(37.6mg、0.272mmol)、及びX−Phos(58.9mg、0.124mmol)を加えた。脱気したEtOH(0.75mL)を加え、バイアルを排気し、Nをバックフィルした(×3)。得られた混合物を100℃で4時間撹拌した。室温を達成し、MeOHを加え、シリカ上にロードしながら溶媒を真空除去した。残渣をMPLC(0〜6% MeOH−CHCl)によって精製すると、DCM中で粉砕した後に、3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドが、淡黄色の固体として得られた。
LRMS(APCI)(C1717S)[M+H]の計算値:357,実測値:357。
JAK2IC50=170nM。
【0183】
さらなる類似体は、上記の実施例に記載されるものと同様の手順を使用して調製した。
【0184】
【表1】

【0185】
実施例4
【0186】
【化14】

【0187】
3−{[4−(モルホリン−4−イルカルボニル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【0188】
【化15】

【0189】
工程1.4−(4−ブロモベンゾイル)モルホリン
4−ブロモベンゾイルクロリド(5g、22.78mmol)を、THF(75mL)中に取り、0℃に冷却した。THF(25mL)中の、モルホリン(2.084mL、23.92mmol)及びDIPEA(4.38mL、25.06mmol)の溶液を滴下添加し、得られた混合物を0℃で3時間撹拌した。水を加え、生成物をEtOAcに抽出した(×2)。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空濃縮すると、4−(4−ブロモベンゾイル)モルホリンが、淡黄色のゴム質として得られた。
LRMS(APCI)(C1113BrNO)[M+H]の計算値:270,272,実測値:270,272。
【0190】
【化16】

【0191】
工程2.3−{[4−(モルホリン−4−イルカルボニル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
3−{[4−(モルホリン−4−イルカルボニル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドを、出発物質として3−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(52mg、0.257mmol)及び4−(4−ブロモベンゾイル)モルホリン(69.5mg、0.257mmol)を使用し、実施例1工程4における一般手順に従って調製した。
LRMS(APCI)(C2122)[M+H]の計算値:392,実測値:392。
JAK2IC50=94nM。
【0192】
実施例5
【0193】
【化17】

【0194】
3−{[4−(モルホリン−4−イルスルホニル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【0195】
【化18】

【0196】
工程1.4−[(4−ブロモフェニル)スルホニル]モルホリン
モルホリン(58.2mg、0.668mmol)及びトリエチルアミン(116μl、0.835mmol)を、撹拌バーを備えた丸底フラスコに入れた。次いで、無水ジクロロメタン(5870μL)を加え、溶液を0℃に冷却した。4−ブロモベンゼンスルホニルクロリド(150mg、0.556mmol)を加え、反応物を室温に一晩加温させた。水でクエンチし、酢酸エチルに抽出した。有機層を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮すると、4−[(4−ブロモフェニル)スルホニル]モルホリンが白色固体として得られた。
LRMS(APCI)(C1113BrNO)[M+H]の計算値:270,272,実測値:270,272。
【0197】
【化19】

【0198】
工程2.3−{[4−(モルホリン−4−イルスルホニル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
3−{[4−(モルホリン−4−イルスルホニル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドを、出発物質として3−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(34mg、0.168mmol)及び4−[(4−ブロモフェニル)スルホニル]モルホリン(51.5mg、0.168mmol)を使用し、実施例1工程4における一般手順に従って調製した。
LRMS(APCI)(C2022S)[M+H]の計算値:428,実測値:428。
JAK2IC50=63nM。
【0199】
さらなる類似体は、上記の実施例に記載されるものと同様の手順を使用して調製した。
【0200】
【表2】

【0201】
実施例7
【0202】
【化20】

【0203】
3−({4−[(ジメチルアミノ)カルボニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【0204】
【化21】

【0205】
工程1.3−アニリノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル及び3−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
3−アミノ−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(200mg、1.850mmol)、酢酸銅(II)(504mg、2.78mmol)、フェニルボロン酸(451mg、3.70mmol)、及びピリジン(0.599mL、7.40mmol)をDCM(20mL)中、室温で一晩撹拌した。2N HClを加え、生成物をEtOAcに抽出した(×2)。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空濃縮した。残渣をMPLC(2〜30% EtOAc−ヘキサン)によって精製すると、3−アニリノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(A)が黄色固体として、また3−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(B)が淡黄色固体として得られた。5−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルも単離された。
A−LRMS(APCI)(C1613)[M+H]の計算値:261,実測値:261。
B−LRMS(APCI)(C10)[M+H]の計算値:185,実測値:185。
【0206】
【化22】

【0207】
工程2.4−[(4−シアノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル)アミノ]−N,N−ジメチルベンズアミド
5mLマイクロ波バイアルに、3−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(60mg、0.326mmol)、4−ブロモ−N,N−ジメチルベンズアミド(74.3mg、0.326mmol)、Pddba(14.91mg、0.016mmol)、KCO(49.5mg、0.358mmol)、及びX−Phos(38.8mg、0.081mmol)を加えた。tert−アミルアルコール(1mL)を加え、バイアルを排気し、Nをバックフィルした(×3)。得られた混合物を、100℃で一晩撹拌した。室温を達成し、EtOAcを加え、シリカ上にロードしながら溶媒を真空除去した。残渣をMPLC(0〜10% MeOH−CHCl)によって、続いて、MPLC(12〜100% EtOAc−ヘキサン)によって精製すると、4−[(4−シアノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル)アミノ]−N,N−ジメチルベンズアミドが淡黄色固体として得られた。
LRMS(APCI)(C1918O)[M+H]の計算値:332,実測値:332。
【0208】
【化23】

【0209】
工程3.3−({4−[(ジメチルアミノ)カルボニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
4−[(4−シアノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−3−イル)アミノ]−N,N−ジメチルベンズアミド(83mg、0.250mmol)及び5N 水酸化ナトリウム(0.351mL、1.753mmol)を、DMSO(1mL)/EtOH(1mL)中に取り、60℃に加温した。過酸化水素(0.329mL、3.76mmol)を滴下添加し、60℃で15分間撹拌を続けた。室温を達成し、水を加え、生成物をEtOAcに抽出した(×2)。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し(×2)、MgSOで乾燥させ、真空濃縮した。残渣をMPLC(25〜100% EtOAc−ヘキサン、続いて、0〜10% MeOH−EtOAc、続いて15% MeOH−CHCl)によって精製すると、3−({4−[(ジメチルアミノ)カルボニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドが淡黄色固体として得られた。
LRMS(APCI)(C1920)[M+H]の計算値:350,実測値:350。
JAK2IC50=56nM。
【0210】
実施例8
【0211】
【化24】

【0212】
3−アニリノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
3−アニリノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドを、出発物質として3−アニリノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(10mg、0.038mmol)を使用し、実施例7工程3における一般手順に従って調製した。
LRMS(APCI)(C1615O)[M+H]の計算値:279,実測値:279。
JAK2IC50=480nM。
【0213】
実施例9
【0214】
【化25】

【0215】
3−({4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【0216】
【化26】

【0217】
工程1.1−(4−ブロモベンゾイル)−4−メチルピペラジン
1−(4−ブロモベンゾイル)−4−メチルピペラジンを、出発物質として4−ブロモベンゾイルクロリド(1g、4.56mmol)及び1−メチルピペラジン(0.532mL、4.78mmol)を使用し、実施例4工程1における一般手順に従って調製した。
LRMS(APCI)(C1216BrNO)[M+H]の計算値:283,285,実測値:283,285。
【0218】
【化27】

【0219】
工程2.3−({4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
3−({4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルを、出発物質として3−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(50mg、0.271mmol)及び1−(4−ブロモベンゾイル)−4−メチルピペラジン(77mg、0.271mmol)を使用し、実施例7工程2における一般手順に従って調製した。
LRMS(APCI)(C1223O)[M+H]の計算値:387,実測値:387。
【0220】
【化28】

【0221】
工程3.3−({4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
3−({4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドを、出発物質として3−({4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(90mg、0.233mmol)を使用し、実施例7工程3における一般手順に従って調製した。
LRMS(APCI)(C2225)[M+H]の計算値:405,実測値:405.
JAK2IC50=38nM。
【0222】
さらなる類似体は、上記の実施例に記載されるものと同様の手順を使用して調製した。
【0223】
【表3】

【0224】
実施例11
【0225】
【化29】

【0226】
3−{[4−(モルホリン−4−イルメチル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【0227】
【化30】

【0228】
工程1.3−{[4−(モルホリン−4−イルメチル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
5mLマイクロ波バイアルに、3−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(100mg、0.543mmol)、4−(4−ヨードベンジル)モルホリン(165mg、0.543mmol)、Pddba(24.86mg、0.027mmol)、KCO(83mg、0.597mmol)、及びX−Phos(64.7mg、0.136mmol)を加えた。脱気したtert−アミルアルコール(0.8mL)を加え、バイアルを排気し、Nをバックフィルした(×3)。得られた混合物を100℃で24時間撹拌した。室温を達成し、MeOHを加え、シリカ上にロードしながら溶媒を真空除去した。残渣を、MPLC(0〜15% MeOH−CHCl)によって精製すると、3−{[4−(モルホリン−4−イルメチル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルがベージュ色の固体として得られた。
LRMS(APCI)(C2122O)[M+H]の計算値:360,実測値:360。
【0229】
【化31】

【0230】
工程2.3−{[4−(モルホリン−4−イルメチル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
3−{[4−(モルホリン−4−イルメチル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドを、出発物質として3−{[4−(モルホリン−4−イルメチル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(81mg、0.225mmol)を使用し、実施例7工程3における一般手順に従って調製した。
LRMS(APCI)(C1715O−アミノフラグメントの損失)[M+H]の計算値:291,実測値:291。
JAK2IC50=49nM。
【0231】
実施例12
【0232】
【化32】

【0233】
3−({4−[(1,1−ジオキシドチオモルホリン−4−イル)メチル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【0234】
【化33】

【0235】
工程1.4−(4−ヨードベンジル)チオモルホリン1,1−ジオキシド
1−(ブロモメチル)−4−ヨードベンゼン(1g、3.37mmol)、チオモルホリン1,1−ジオキシド(0.546g、4.04mmol)、及びDIPEA(0.882mL、5.05mmol)をTHF(15mL)中、室温で一晩撹拌した。シリカにロードしながら溶媒を真空除去した。残渣をMPLC(12〜100% EtOAc−ヘキサン)によって精製すると、4−(4−ヨードベンジル)チオモルホリン1,1−ジオキシドが白色固体として得られた。
LRMS(APCI)(C1115INOS)[M+H]の計算値:352,実測値:352。
【0236】
【化34】

【0237】
工程2.3−({4−[(1,1−ジオキシドチオモルホリン−4−イル)メチル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
3−({4−[(1,1−ジオキシドチオモルホリン−4−イル)メチル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルを、出発物質として3−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(100mg、0.543mmol)及び4−(4−ヨードベンジル)チオモルホリン1,1−ジオキシド(191mg、0.543mmol)を使用し、実施例11工程1における一般手順に従って調製した。
LRMS(APCI)(C1713−アミノフラグメントの損失)[M+H]の計算値:272,実測値:272。
【0238】
【化35】

【0239】
工程3.3−({4−[(1,1−ジオキシドチオモルホリン−4−イル)メチル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
3−({4−[(1,1−ジオキシドチオモルホリン−4−イル)メチル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドを、出発物質として3−({4−[(1,1−ジオキシドチオモルホリン−4−イル)メチル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(79mg、0.194mmol)を使用し、実施例7工程3における一般手順に従って調製した。
LRMS(APCI)(C2124S)[M+H]の計算値:426,実測値:426。
JAK2IC50=36nM。
【0240】
さらなる類似体は、上記の実施例に記載されるものと同様の手順を使用して調製した。
【0241】
【表4】

【0242】
実施例14
【0243】
【化36】

【0244】
3−{[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【0245】
【化37】

【0246】
工程1.2−(4−ヨードフェニル)プロパン−2−オール
メチル4−ヨードベンゾアート(10g、38.2mmol)を、THF(100mL)中に取り、0Cに冷却した。臭化メチルマグネシウム(38.2ml、114mmol)を滴下添加し、撹拌を0Cで30分間続けた。飽和NHClを加え、生成物をEtOAcに抽出した(×2)。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空濃縮した。残渣をMPLC(6〜50% EtOAc−ヘキサン)によって精製すると、2−(4−ヨードフェニル)プロパン−2−オールが、黄色の油として得られた。
LRMS(APCI)(C10I−水の損失)[M+H]の計算値:245,実測値:245。
【0247】
【化38】

【0248】
工程2.3−{[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
3−{[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルを、出発物質として3−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(70mg、0.380mmol)及び2−(4−ヨードフェニル)プロパン−2−オール(100mg、0.380mmol)を使用し、実施例11工程1における一般手順に従って調製した。
LRMS(APCI)(C1919O)[M+H]の計算値:319,実測値:319。
【0249】
【化39】

【0250】
工程3.3−{[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
3−{[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドを、出発物質として3−{[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(36mg、0.113mmol)を使用し、実施例7工程3における一般手順に従って調製した。
LRMS(APCI)(C1921)[M+H]の計算値:337,実測値:337。
JAK2IC50=81nM。
【0251】
実施例15
【0252】
【化40】

【0253】
1−(4−クロロフェニル)−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【0254】
【化41】

【0255】
工程1.5−アミノ−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル及び3−アミノ−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
3−アミノ−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(10g、93mmol)及びKCO(19.18g、139mmol)を、DMF(60mL)中に取った。SEM−Cl(19.69mL、111mmol)を、速い滴下添加速度で加え(発熱)、得られた混合物を室温で一晩撹拌した。水を加え、生成物をEtOAcに抽出した(×2)。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空濃縮した。残渣をMPLC(6〜50% EtOAc−ヘキサン)によって精製すると、5−アミノ−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(A)が淡黄色固体として、また3−アミノ−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(B)が黄色の油状固体として得られた。
A-HNMR(600MHz,d6−DMSO):δ7.54(s,1H),6.77(s,2H),5.21(s,2H),3.49(m,2H),0.78(m,2H),0.08(s,9H)。
B-HNMR(600MHz,d6−DMSO):δ8.24(s,1H),5.60(s,2H),5.11(s,2H),3.47(m,2H),0.79(m,2H),0.07(s,9H)。
【0256】
【化42】

【0257】
工程2.5−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
5−アミノ−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(1.27g、5.33mmol)、4−ブロモフェニルメチルスルホン(1.253g、5.33mmol)、Pddba(0.244g、0.266mmol)、KCO(0.810g、5.86mmol)、及びX−Phos(0.635g、1.332mmol)を、tert−アミルアルコール(15mL)中に取った。フラスコを排気し、Nをバックフィルし(×3)、得られた混合物を100℃で一晩撹拌した。MeOHを加え、シリカ上にロードしながら溶媒を真空除去した。残渣をMPLC(12〜100% EtOAc−ヘキサン)、続いて、MPLC(6〜100% EtOAc−ヘキサン)によって精製すると、5−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルが、吸湿性黄色固体として得られた。
HNMR(600MHz,d6−DMSO):δ9.40(s,1H),8.10(s,1H),7.75(m,2H),6.98(m,2H),5.38(s,2H),3.46(m,2H),3.09(s,3H),0.74(m,2H),0.17(s,9H)。
【0258】
【化43】

【0259】
工程3.3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
5−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1−{[2−(トリメチルシリル)エトキシ]メチル}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(0.82g、2.089mmol)を、エタノール(40mL)/2N HCl(40mL)中、80℃で2時間撹拌した。室温を達成し、飽和NaHCOを加え、生成物をEtOAcに抽出した(×2)。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空濃縮すると、3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルが淡黄色固体として得られた。
LRMS(APCI)(C1111S)[M+H]の計算値:263,実測値:263。
【0260】
【化44】

【0261】
工程4.1−(4−クロロフェニル)−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(64mg、0.244mmol)、酢酸銅(II)(66.5mg、0.366mmol)、(4−クロロフェニル)ボロン酸(76mg、0.488mmol)、及びピリジン(0.079mL、0.976mmol)を、DCM(8mL)中、室温で一晩撹拌した。2N HClを加え、生成物をEtOAcに抽出した(×2)。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空濃縮した。残渣をMPLC(5〜60% EtOAc−ヘキサン)によって2回精製すると、1−(4−クロロフェニル)−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルが白色固体として得られた。1−(4−クロロフェニル)−5−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルも単離された。
LRMS(APCI)(C1714ClNS)[M+H]の計算値:373,375,実測値:373,375。
【0262】
【化45】

【0263】
工程5.1−(4−クロロフェニル)−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
1−(4−クロロフェニル)−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドを、出発物質として1−(4−クロロフェニル)−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(27mg、0.072mmol)を使用し、実施例7工程3における一般手順に従って調製した。
LRMS(APCI)(C1716ClNS)[M+H]の計算値:391,393,実測値:391,393。
JAK2IC50=290nM。
【0264】
さらなる類似体は、上記の実施例に記載されるものと同様の手順を使用して調製した。
【0265】
【表5】

【0266】
実施例18
【0267】
【化46】

【0268】
1−[4−(1−ヒドロキシエチル)フェニル]−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
【0269】
【化47】

【0270】
工程1.1−(4−アセチルフェニル)−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
1−(4−アセチルフェニル)−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルを、出発物質として3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(0.24g、0.915mmol)及び(4−アセチルフェニル)ボロン酸(0.300g、1.830mmol)を使用し、実施例15工程4における一般手順に従って調製した。
LRMS(APCI)(C1917S)[M+H]の計算値:381,実測値:381。
【0271】
【化48】

【0272】
工程2.1−[4−(1−ヒドロキシエチル)フェニル]−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル
1−(4−アセチルフェニル)−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(30mg、0.079mmol)及び水素化ホウ素ナトリウム(5.97mg、0.158mmol)を、ジオキサン(1mL)中、60℃で一晩撹拌した。さらなる水素化ホウ素ナトリウム(5.97mg、0.158mmol)を加え、撹拌を60℃で24時間続けた。室温を達成し、水を加え、生成物をEtOAcに抽出した(×2)。合わせた有機抽出物を食塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、真空濃縮した。残渣をDCM中で粉砕すると、1−[4−(1−ヒドロキシエチル)フェニル]−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリルが白色固体として得られた。
LRMS(APCI)(C1919S)[M+H]の計算値:383,実測値:383。
【0273】
【化49】

【0274】
工程3.1−[4−(1−ヒドロキシエチル)フェニル]−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
1−[4−(1−ヒドロキシエチル)フェニル]−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドを、出発物質として1−[4−(1−ヒドロキシエチル)フェニル]−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボニトリル(15mg、0.072mmol)を使用し、実施例7工程3における一般手順に従って調製した。
LRMS(APCI)(C1921S)[M+H]の計算値:401,実測値:401。
JAK2IC50=20nM。
【0275】
医薬組成物
本発明の特定の実施形態として、100mgの3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミドを、十分に微粉化したラクトースとともに、全量580ないし590mgとするべく充分な微粒子状ラクトースと共に製剤化して、サイズ0の硬ゼラチンカプセルに充填した。
【0276】
生物学的アッセイ
JAK1酵素アッセイ
JAK1酵素アッセイでは、反応(50uL)は、5倍IVGN緩衝液(50mM ヘペス(Hepes)、pH7.5、10mM MgCl、0.01% Brij−35、1mM EGTA、0.1mg/ml BSA)、2mM DTT、2.0μM ペプチド基質、25μM MgATP、400pM JAK1酵素、及び基質化合物を、5%DMSO中に含有した。反応を、室温で60分間インキュベートし、そして2倍クエンチ検出緩衝液(10mM EDTA、25mM ヘペス(HEPES)、0.1%TRITON(トリトン)X−100,4.7uM ユーロピウム(Europium)−Py20、及び2.1mg/mL ストレプトアビジン−APC)50uLでクエンチした。室温で1時間インキュベートし、そして蛍光共鳴エネルギー移動を読み取るべく設定されたビクター(Victor)V3にて読み取る(ラベル1:Lance615、ラベル2:Lance665、双方について:ディレイ=50us、ウィンドウタイム=100us、サイクル=1000us、フラッシュエネルギーレベル=103)。
ペプチド基質は、DMSO中の、アミノヘキサノイルビオチン−EQEDEPEGDYFEWLE−NH2(配列番号:1)である。
【0277】
JAK2キナーゼ活性阻害アッセイ及びIC50の測定
キナーゼ活性を、パーク(Park)ら、Anal.Biochem.、1999年、第269巻、p.94−104に記載された、均一時間分解チロシンキナーゼアッセイの変法を用いて測定した。
化合物のJAK2キナーゼ阻害能を測定するための方法は、以下の工程を含んでなる:
1. 96ウェルプレートにて、3倍連続希釈された、化合物/阻害剤溶液を、100%(DMSO)中で、所望の終濃度の20倍に調製する;
2. 6.67mM MgCl、133.3mM NaCl、66.7mM トリス−HCl(pH7.4)、0.13mg/ml BSA、2.67mM ジチオスレイトール、0.27組換えJAK2、及び666.7nM ビオチン化合成ペプチド基質(ビオチン−ahx−EQEDEPEGDYFEWLE−CONH(配列番号:1)を含有する、主反応混合物を調製する;
3. 黒色のアッセイプレートにおいて、ウェル当たり、化合物/阻害剤(又はDMSO) 2.5μl、及び主反応混合物 37.5μlを添加する;ウェル当たり10μlの75μM MgATPを添加することにより、キナーゼ反応を開始し、反応を室温で80分間進行させる;(反応の最終条件は、50nM JAK2 JH1ドメイン(アップステート(Upstate)、2.0μM 基質、15μM MgATP、5mM MgCl、100mM NaCl、2mM DTT、0.1mg/ml BSA、50mM トリス(pH7.4)、及び5%DMSOである);
4. キナーゼ反応を、10mM EDTA、25mM HEPES、0.1% トリトンX−100、0.126μg/mlのEu−キレート標識抗ホスホチロシン抗体PY20(カタログ番号 AD0067、パーキンエルマー(PerkinElmer))、及び45μg/mlのストレプトアビジン−アロフィコシアニンコンジュゲート(カタログ番号 PJ25S、プロザイム(Prozyme))を含有する、停止/検出緩衝液 50μlで停止する;そして
5. 60分後、HTRFモードのVictorリーダー(パーキンエルマー)でHTRFシグナルを読み取る。
IC50は、化合物/阻害剤濃度とHTRFシグナルとの間に観察された関係を、4−パラメータロジスティック方程式にあてはめることによって得た。
本発明化合物は、約8nMないし1μMのIC50をもつ、組換え型の精製されたJAK2キナーゼ活性の強力な阻害剤である。
【0278】
JAK3酵素アッセイ
JAK3酵素アッセイでは、反応(50uL)は、5倍IVGN緩衝液(50mM Hepes、pH7.5、10mM MgCl、0.01% Brij−35、1mM EGTA、0.1mg/ml BSA)、2mM DTT、2.0μM ペプチド基質、25μM MgATP、400pM JAK3酵素、及び基質化合物を、5%DMSO中に含有した。反応を、室温で60分間インキュベートし、そして2倍クエンチ検出緩衝液(10mM EDTA、25mM HEPES、0.1%トリトンX−100,4.7uM ユーロピウム−Py20、及び2.1mg/mLストレプトアビジン−APC)50μLでクエンチした。室温で1時間インキュベートし、そして蛍光共鳴エネルギー移動を読み取るべく設定されたビクターV3にて読み取る(ラベル1:Lance615、ラベル2:Lance665、双方について:ディレイ=50us、ウィンドウタイム=100us、サイクル=1000us、フラッシュエネルギーレベル=103)。
ペプチド基質は、DMSO中の、アミノヘキサノイルビオチン−EQEDEPEGDYFEWLE−NH2(配列番号:1)である。
【0279】
TYK2酵素アッセイ
TYK2酵素アッセイでは、反応(50uL)は、5倍IVGN緩衝液(50mM Hepes、pH7.5、10mM MgCl、0.01% Brij−35、1mM EGTA、0.1mg/ml BSA)、2mM DTT、2.0μM ペプチド基質、15μM MgATP、125pM 酵素、及び基質化合物を、5%DMSO中に含有した。反応を、室温で60分間インキュベートし、そして2倍クエンチ検出緩衝液(10mM EDTA、25mM HEPES、0.1%トリトンX−100,4.7uM ユーロピウム−Py20、及び2.1mg/mLストレプトアビジン−APC)50μLでクエンチした。室温で1時間インキュベートし、そして蛍光共鳴エネルギー移動を読み取るべく設定されたビクターV3にて読み取る(ラベル1:Lance615、ラベル2:Lance665、双方について:ディレイ=50us、ウィンドウタイム=100us、サイクル=1000us、フラッシュエネルギーレベル=103)。
ペプチド基質は、DMSO中の、アミノヘキサノイルビオチン−EQEDEPEGDYFEWLE−NH2(配列番号:1)である。
【0280】
JAKファミリープロテインキナーゼ活性のアッセイ
材料: ストレプトアビジン・アロフィコシアニンコンジュゲート(SA・APC)、及びユーロピウム・クリプテート(Eu・K)は、パッカード・インスツルメント・カンパニー(Packard Instrument Company)からである。Eu・KコンジュゲートpY20は、カミングズ(Cummings,R.T.);マクガバン(McGovern,H.M.);チェン(Zheng,S.);パーク(Park,Y.W.)、及びヘルメス(Hermes,J.D.)、「Use Of A Phosphotyrosine−Antibody Pair As A General Detection Method In Homogeneous Time Resolved Fluorescence−Application To Human Immunodeficeincy Viral Protease(ヒト免疫不全ウイルスプロテアーゼへの均一時間分解蛍光適用における一般的な検出法としてのホスホチロシン−抗体ペアの使用)」、Analytical Biochemistry、1999年、第33巻、p.79−93に記載されたように生成した。均一時間分解蛍光(HTRF)測定は、パッカードからのディスカバリー(Discovery)測定器を用いて行った。T−stim培養添加物は、コラボラティブ・バイオメディカル・リサーチ(Collaborative Biomedical Research)からであった。組換えマウスIL2は、ファーミンゲン(Pharmingen)又はアールアンドディー(R&D)からであった。
【0281】
JAKファミリーキナーゼ発現: N−末端「Flag」アフィニティータグをもつ、JAK3、TYK2、及びJAK2キナーゼドメインを、Sf9細胞において、標準的なバキュロウイルス法を用いて発現させた。ヒトJAK3遺伝子及びヒトTYK2遺伝子は、アップデート(Update)(現在はミリポアコーポレーション(Millpore Corporation)の一部)から購入可能である。ヒトJAK2キナーゼドメインは、MOLT4cDNAライブラリ(クロンテック(Clontech))からクローン化した。
【0282】
JAKファミリープロテインキナーゼ活性のアッセイ: チロシンキナーゼ活性は、ホスホチロシンに対するユーロピウム標識抗体(pY20)を用いた時間分解蛍光により検出される、チロシンリン酸化されたペプチドアミノヘキサノイルビオチン−EQEDEPEGDYFEWLE−NH(配列番号:1);(以降、S)の検出により測定した。JAK3(JH1)に触媒されるリン酸化反応を、全反応体積30uL中で行なった。化合物は、5%DMSOにて実施し、そして酵素緩衝液(EB)とプレインキュベートした。EBは、インビトロジェン(Invitrogen)の5倍キナーゼ緩衝液(50mM Hepes、pH7.5、10mM MgCl、0.01% Brij−35、1mM EGTA、0.1mg/ml BSA)、2mM(最終) DTT、2.0μM(最終) S、及び250pM(最終) JAK3酵素を含んでなった。アッセイは、ATP K(5μM 最終)において、40ないし80分間実施した。反応は、室温で行ない、そして、50μg/mL SA・APCコンジュゲート、及び0.75nM Eu・KコンジュゲートpY20を含有する、等量のクエンチ緩衝液(QB)(10mM EDTA、25mM HEPES、0.1% トリトンX−100)でクエンチした。この混合物を、室温で少なくとも60分間インキュベートし、そして最適化された蛍光読み取り機で、Ex=320nm、Em=665nm(SA−APC)、及びEm=615nM(Eu)において読み取った。データは、Emの結果の比:(EM÷EM10,000に、標準的な4Pフィットを用いることにより分析した。
【0283】
JAK2 384ウェルHEL irf1−bla アルファスクリーン(AlphaScreen)(登録商標)シュアファイア(SureFire)(登録商標)p−STAT5アッセイ
原理: JAK2は、活性化及び二量体化されると、STAT5をリン酸化し、これが核へ移動し、そして標的遺伝子の転写を活性化する。AlphaScreen(登録商標)SureFire(登録商標)p−STAT5アッセイ(パーキンエルマー及びTGRバイオサイエンシズ(BioSciences))は、ビオチニル化された抗ホスホ−STAT5抗体(これは、ストレプトアビジンコートされたドナービーズにより捕捉される)及び、抗全STAT5抗体(これは、プロテインAコンジュゲートされたアクセプタービーズにより捕捉される)の双方を使用する。irf1−bla HELセルセンサー(CellSensor)(登録商標)細胞系は、親のHEL92.17細胞(ATCC)に、pLenti−bsd/irf1−bla CellSensor(登録商標)ベクターを導入することにより作成した。双方の抗体が、HEL irf1−bla細胞から放出されたホスホ−STAT5タンパク質に結合すると、ドナー及びアクセプタービーズが至近距離(<=200nm)内に入り、そして化学反応のカスケードが開始されて、非常に増幅されたシグナルが生成される。レーザー励起に際し、ドナービーズの光増感剤が、周囲の酸素をさらに励起されたシングレット状態に変換する。シングレット状態の酸素分子は、横に拡散して、アクセプタービーズの化学ルミネッサーと反応し、これが同じビーズに含有される蛍光体をさらに活性化する。蛍光体は次に、520ないし620nmの光を放出する。放出光の強度は、HEL irf1−bla細胞から放出されたホスホ−STAT5タンパク質の量に正比例する。
【0284】
増殖培地: 10% 透析済みFBS(インビトロジェン)、1μg/ml ブラスチサイジン、0.1mM NEAA、1mM ピルビン酸ナトリウム、及び1% ペニシリン−ストレプトマイシンを加えた、RPMI培地1640(インビトロジェン)。
方法: 1日目、HEL irf1−bla細胞を、500,000細胞/mlの密度に分裂させる。細胞を、組織培養フラスコ内で、37℃、5%COにおいて、一晩インキュベートする。2日目、細胞を収穫し、そして0.5% 透析済みFBSを含有するHBSS(インビトロジェン)で1回洗浄する。次に、384ウェルマイクロタイタープレートにて、0.5 %透析済みFBSを加えたHBSS 8ul中に、100,000細胞/ウェルの密度で細胞を播種する。これらの細胞プレートを、37℃、5%COインキュベーター内に仮置きする。化合物プレートを調製するため、DMSO中に連続希釈された化合物を、500倍のストック濃度に調製する。化合物プレートからの連続希釈された化合物 2uLを、0.5% 透析済みFBSを加えたHBSS198uLを含有する中間希釈プレートに移す。次いで、2uLの中間希釈化合物を、細胞プレートの各ウェルに移して、各試験化合物及びコントロールの、1:500最終希釈を得る。細胞プレートを、37℃、5%COにおいて、1時間インキュベートする。キットからの5倍溶解用緩衝液 2.5ul/ウェルを、細胞プレートに添加する。プレートを、5ないし10分間穏やかに攪拌する。
検出試薬混合物Aは、800uLの反応緩衝液、20uLのアクセプタービーズ、及び200uLの活性化緩衝液を、一緒に添加することにより作成する。15uL/ウェルの検出混合物Aを、細胞プレートに添加し、そしてプレートを1ないし2分間穏やかに攪拌する。プレートを粘着性のカバーで密閉し、そして光への露出を避けながら、室温で2時間インキュベートする。検出混合物Bは、400uLの釈緩衝液と、20uLのドナービーズとを一緒に添加することにより作成する。6uL/ウェルの混合物Bを、細胞プレートに添加し、そしてプレートを1ないし2分間穏やかに攪拌する。プレートを粘着性のカバーで密閉し、そして光への露出を避けながら、室温で2時間インキュベートする。プレートを、アルファスクリーン対応リーダーで読み取る。
【0285】
細胞増殖アッセイ: CTLL−2細胞(ATCC)を、10% ウシ胎児血清、1mM ピルビン酸ナトリウム、50μM β−メルカプトエタノール、1.4mM L−グルタミン、10mM HEPES、1mg/ml デキストロース、0.04mM 必須アミノ酸、0.02mM 非必須アミノ酸、ペニシリン及びストレプトマイシン(H10)を補足したRPMI−1640において、6% T−Stim培養添加物(IL2の供給源)中に維持した。増殖アッセイに使用する前日に、細胞を洗浄し、そして5x10/mlの細胞濃度で0.2% Tstim中に懸濁した。翌日、細胞を洗浄し、そして96ウェル組織培養プレート(コースター(CoStar))にて、0.2−1x10細胞/ウェルでプレートした。0.05ng/mlのマウス組換えIL2(ファーミンゲン)を、試験化合物を用いるか用いずに、又は20ng/mlのPMA(シグマ)、及び1μCi/ウェル[H]−チミジンと共に添加した。一晩の培養後、細胞を、ガラス繊維フィルターマット(Filtermat)(ワラック(Wallac))及びトムテック(Tomtek)セルハーベスターを用いて収穫した。トリチウムの取込みは、トップカウント(Topcount)シンチレーションカウンター(パッカード)での液体シンチレーションカウンティングにより測定した。
本発明化合物は、>3000nMのIC50をもつ、組換え精製JAK3キナーゼ活性の阻害剤である。
【0286】
本発明の多くの実施態様を記載してきたが、基本的な実施例を変更して、本発明によって包含される別の実施態様を提供してもよいことは明らかである。それ故、本発明の範囲は、単なる例として例示されてきた特定の実施態様によるよりも、むしろ添付のクレームによって定義されるべきであることが理解されよう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】

[式中、Rは、独立して、ハロ、ヒドロキシル、シアノ、SO、C1−6アルキル、及びヘテロシクリルからなる群から選択される1個ないし3個の置換基で置換されていてもよいアリールであり;ここで、前記アルキル基は、1個ないし3個のハロ、ヒドロキシル、又はシアノで置換されていてもよく、前記ヘテロシクリル基は、1個ないし3個のハロ、ヒドロキシル、又はオキソで炭素又はヘテロ原子のいずれか上で置換されていてもよく;
は、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、前記アリール及びヘテロアリール基は、ハロ、シアノ、C1−6アルキル、ヘテロシクリル、(C=O)ヘテロシクリル、(C=O)R、(C=O)OR、(C=O)NR、SO、SONR、NRSO、及びSO(ヘテロシクリル)からなる群から選択される1個ないし3個の置換基で、炭素又はヘテロ原子上で置換されていてもよく;前記アルキル基は、1個ないし3個のハロ、ヒドロキシル、O(C=O)NR、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、又はNRで置換されていてもよく;前記ヘテロシクリル基は、独立して、C1−3アルキル、ヒドロキシル、及びオキソからなる群から選択される1個ないし2個の基で、炭素又はヘテロ原子のいずれか上で置換されていてもよく;及び前記ヘテロアリール基は、C1−3アルキルで炭素又はヘテロ原子のいずれか上で置換されていてもよく;
は、水素又はC1−6アルキルであり;
は、水素又はC1−6アルキルである]
の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
は、アリールであり、ここで、前記アリール基は、独立して、ハロ及びC1−6アルキルからなる群から選択される1個ないし3個の置換基で置換され、ここで、前記アルキル基は、ヒドロキシルで置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
は、フェニルであり、ここで、前記フェニル基は、1個ないし3個のハロで置換されている請求項2に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
は、アリール又はヘテロアリールであり、ここで、前記アリール基及びヘテロアリール基は、C1−6アルキル、(C=O)ヘテロシクリル、(C=O)NR、SO、SONR、及びSO(ヘテロシクリル)からなる群から選択される1個ないし3個の置換基で、炭素又はヘテロ原子のいずれか上で置換されていてもよく;ここで、前記アルキル基は、ヒドロキシル、ヘテロシクリル、又はNRで置換されていてもよく;前記ヘテロシクリル基は、独立して、C1−3アルキル及びオキソからなる群から選択される1個ないし2個の基で、炭素又はヘテロ原子のいずれか上で置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
は、アリールであり、ここで、前記アリール基は、C1−6アルキル、(C=O)ヘテロシクリル、(C=O)NR、SO、SONR、及びSO(ヘテロシクリル)からなる群から選択される1個ないし3個の置換基で置換されていてもよく;ここで、前記アルキル基は、ヒドロキシル、ヘテロシクリル、又はNR4で置換されていてもよく;前記ヘテロシクリル基は、独立して、C1−3アルキル及びオキソからなる群から選択される1個ないし2個の基で、炭素又はヘテロ原子のいずれか上で置換されていてもよい、請求項4に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
は、フェニルであり、ここで、前記フェニル基は、C1−6アルキル、(C=O)ヘテロシクリル、(C=O)NR、SO、SONR、及びSO(ヘテロシクリル)からなる群から選択される1個ないし3個の置換基で置換されていてもよく;ここで、前記アルキル基は、ヒドロキシル又はヘテロシクリルで置換されていてもよく;前記ヘテロシクリル基は、独立して、C1−3アルキル及びオキソからなる群から選択される1個ないし2個の基で、炭素又はヘテロ原子のいずれか上で置換されていてもよい、請求項5に記載の化合物、又はその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
3−({4−[(メチルアミノ)カルボニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
3−{[2−(ヒドロキシメチル)ピリジン−4−イル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
3−{[4−(モルホリン−4−イルカルボニル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
3−{[4−(モルホリン−4−イルスルホニル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
3−({4−[(ジメチルアミノ)スルホニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
3−({4−[(ジメチルアミノ)カルボニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
3−アニリノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
3−({4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
3−({4−[(1,1−ジオキシドチオモルホリン−4−イル)カルボニル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
3−{[4−(モルホリン−4−イルメチル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
3−({4−[(1,1−ジオキシドチオモルホリン−4−イル)メチル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
3−({4−[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}アミノ)−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
3−{[4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)フェニル]アミノ}−1−フェニル−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
1−(4−クロロフェニル)−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
1−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
1−(4−tert−ブチルフェニル)−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド;
1−[4−(1−ヒドロキシエチル)フェニル]−3−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド
から選択される、請求項1に記載の化合物又はその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項に記載の化合物の薬学的有効量と、薬学的に許容される担体とを含んでなる、医薬組成物。
【請求項9】
哺乳類における骨髄増殖性疾患又は癌の治療又は予防用医薬の製造のための、請求項1ないし7のいずれか1項に記載の化合物の使用。

【公表番号】特表2011−529891(P2011−529891A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521192(P2011−521192)
【出願日】平成21年7月21日(2009.7.21)
【国際出願番号】PCT/US2009/051192
【国際公開番号】WO2010/014453
【国際公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(390023526)メルク・シャープ・エンド・ドーム・コーポレイション (924)
【Fターム(参考)】