KIR結合剤およびその使用方法

【課題】阻害性ヒトキラーIgG様受容体(KIR)のシグナリングを減少させることにより、ナチュラルキラー細胞を媒介した標的細胞の死滅を増大することができる薬剤および方法の提供。
【解決手段】モノクローナル抗-KIR抗体や交差反応性抗KIR抗体またはこれらの断片から選択される薬剤で癌、感染症、ウイルス感染または免疫不全の治療のための医薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、阻害性KIRシグナリングを減少させることにより、NKを媒介した標的細胞の死滅を増大することができる薬剤および方法に関する。さらに、本発明は、医薬の製造のためのこのような薬剤の使用、並びに抗体を製造する方法およびこれらの抗体を産生するハイブリドーマおよびトランスフェクトされた株化細胞に関する。
【背景技術】
【0002】
ナチュラルキラー(NK)細胞は、免疫に、および宿主免疫監視系に関与するリンパ球亜集団である。
【0003】
NK細胞は、リンパ系前駆体から骨髄において発達する単核細胞であり、形態学的特徴および生物学的性質は、典型的にはクラスター決定因子(CD)CD16、CD56および/またはCD57の発現;細胞表面上のα/βまたはγ/δTCR複合体の非存在;「自己」主要組織適合複合体(MHC)/ヒト白血球抗原(HLA)タンパク質を発現することができない標的細胞に結合して死滅させる能力;並びにNK受容体を活性化するためのリガンドを発現する腫瘍細胞およびその他の病気にかかった細胞を死滅させる能力を含む。NK細胞は、これらが事前に免疫化または活性化を必要とすることなく数種類の腫瘍株化細胞に結合して死滅させる能力によって特徴づけられる。また、NK細胞は、免疫系に対して調節効果を及ぼす可溶性タンパク質およびサイトカインを放出することができ;また複数ラウンドの細胞分裂を受けて親細胞と同様の生物学的特性をもつ娘細胞を生じさせることができる。インターフェロンおよび/またはサイトカインによる活性化により、NK細胞は、NK細胞と標的細胞との間の直接の物理的接触を必要とするメカニズムによって腫瘍細胞の、および細胞内病原体に感染した細胞の溶解を媒介する。標的細胞の溶解には、結合した標的の表面に対するNK細胞からの細胞障害性顆粒の放出、並びに標的原形質膜を透過し、かつアポトーシスまたはプログラム細胞死を誘導するパーフォリンおよびグランザイムBなどのエフェクタータンパク質の放出を含む。正常な健常細胞は、NK細胞による溶解から保護されている。
【0004】
これらの生物学的性質に基づいて、種々の治療ストラテジーおよびワクチンストラテジーが、NK細胞の調整に依存する技術分野において提唱されてきた。しかし、NK細胞活性は、刺激シグナルおよび阻害シグナルを含む複雑なメカニズムによって調節される。
【0005】
簡潔には、NK細胞の溶解活性は、標的細胞上のリガンドとの相互作用によりポジティブまたはネガティブな細胞内シグナルを伝達する種々の細胞表面受容体によって調節される。これらの受容体を経て伝えられるポジティブシグナルとネガティブシグナルとの間のバランスが、標的細胞がNK細胞によって溶解される(死滅する)かどうかを決定する。NK細胞刺激シグナルは、NKp30、NKp44およびNKp46などのナチュラル細胞障害性受容体(NCR);並びにCD94/NKG2C受容体、NKG2D受容体、一定の活性化キラーIg様受容体(KIR)およびその他の活性化NK受容体によって媒介され得る(Lanier, Annual Review of Immunology 2005;23:225-74)。NK細胞阻害性シグナルは、Ly49、CD94/NKG2Aのような受容体、並びに主要組織適合複合体(MHC)クラスI分子を認識する一定の阻害性KIRによって媒介され得る(Karre et al., Nature 1986;319:675-8; Ohlen et al, Science 1989;246:666-8)。これらの阻害性受容体は、その他の細胞上に存在するMHCクラスI分子(HLAクラスIを含む)多形決定因子と結合してNK細胞を媒介した溶解を阻害する。
【0006】
KIRは、ヒトおよび非ヒト霊長類において特徴づけられており、NK細胞およびいくつかのT細胞を含むリンパ球の一定のサブセット上に存在する多形性1型膜貫通分子である。KIRは、MHCクラスI分子のα1および2ドメインの決定因子と相互作用し、上記のとおり、特徴的KIRは、NK細胞に対して刺激性または阻害性のいずれかである。
【0007】
KIRのための命名法は、細胞外ドメインの数(KIR2DおよびKIR3Dは、それぞれ2つおよび3つの細胞外Igドメインを有する)および細胞質尾部が長いか(KIR2DLまたはKIR3DL)、または短いか(KIR2DSまたはKIR3DS)どうかに基づいている。所与のKIRの有無は、単一の個体に存在するNK集団内のNK細胞間で変化する。また、ヒトの間では、比較的高レベルのKIR遺伝子の多型があり、一定のKIR遺伝子は、一部に存在するが、全ての個体ではない。NK細胞上のKIR対立遺伝子の発現は、確率論的に調節されており、所与の個体において、所与のリンパ球は、個々の遺伝子型に応じて1つ、2つまたはそれ以上の異なるKIRを発現する可能性があることを意味している。単一個体のNK細胞は、典型的には異なるKIRの組み合わせを発現し、MHCクラスI分子に対して異なる特異性をもつNK細胞のレパートリーを提供する。
【0008】
一定のKIR遺伝子産物は、適切なリガンドに結合したときに、リンパ球活性刺激を生じる。活性化KIRは全て、NK細胞に対して刺激シグナルを伝達する免疫受容体チロシンに基づいた活性化モチーフ(ITAM)を有するアダプター分子と会合する荷電した膜貫通残基をもつ短い細胞質尾部を有する。対照的に、阻害性KIRは、これらのMHCクラスIリガンドの結合によりNK細胞に対して阻害性シグナルを伝達する免疫受容体チロシンベース阻害性モチーフ(ITIM)を含む長い細胞質尾部を有する。KIRのクラスター形成、並びにKIRおよびSHP-1リン酸化を誘導するためには、NK細胞をHLA-Cを発現する昆虫細胞と混合するだけで十分であったことが報告されている(Faure et al., J Immunol 2003;170:6107-6114)。また、KIR2DL1は、Co(2+)の存在下で二量体化したこと、およびアミノ末端His残基のAlaによる置換は、KIR2DL1がCo(2+)に結合する能力を消失させたことが報告されている(Fan et al., J. Biol. Chem. 2000. 98:1734)。
【0009】
既知の阻害性KIRには、KIR2DLおよびKIR3DLサブファミリーのメンバーを含む。2つのIgドメイン(KIR2DL)を有する阻害性KIRは、HLA-Cアロタイプ:KIR2DL2(以前には、p58.2と命名された)および密接に関連した対立形質遺伝子産物KIR2DL3(両者とも「グループ1」HLA-Cアロタイプ(HLA-Cw1、3、7および8を含む)を認識する)を認識するが、KIR2DL1(p58.1)は、「グループ2」HLA-Cアロタイプ(HLA-Cw2、4、5および6など)を認識する。KIR2DL1による認識には、HLA-C対立遺伝子の位置80におけるLys残基の存在の存在が要求される。KIR2DL2およびKIR2DL3認識には、HLA-Cの位置80におけるAsn残基の存在が要求される。重要なことに、大多数のHLA-C対立遺伝子は、位置80にAsnまたはLys残基を有する。したがって、KIR2DL1、2および3は、ひとまとめにして、ヒトにおいて見いだされる本質的に全てのHLA-Cアロタイプを認識する。3つのIgドメインのKIR3DL1(p70)をもつ1つのKIRは、HLA-Bw4対立遺伝子によって共有されるエピトープを認識する。最後に、3つのIgドメインをもつ分子のジスルフィド結合したホモ二量体として構成的に存在するKIR3DL2(p140)は、HLA-A3および-A11を認識する。
【0010】
複数の阻害性KIRおよび/または阻害性のその他のMHCクラスI特異的受容体(Moretta et al, Eur J Immunogenet. 1997;24(6):455-68; Valiante et al, Immunol Rev 1997;155:155-64; Lanier, Annu Rev Immunol 1998;16:359-93)が、任意の所与の個体のNKレパートリーにおいてNK細胞によって同時発現されることがあるが、単一のKIRのみを発現し、したがって、特異的MHCクラスI対立遺伝子(または、MHCクラスIアロタイプの同じグループに属する対立遺伝子)によってのみ阻害される細胞もある。ヒトMHCクラスI分子は、しばしば組織適合性抗原(HLA)クラスIと称される。
【0011】
それらの標的に関して不適合のKIRリガンドである、すなわち宿主のいずれのHLA分子も認識しないKIRを発現するNK細胞集団またはクローンは、白血病患者の同種間骨骨髄移植後に、強力な救命抗腫瘍応答を媒介することが示された(Ruggeri et al., Science 2002,295:2097-2100)。根底にあるメカニズムは、HLA不適合の造血性移植により、レシピエントのいずれのHLAリガンドも認識せず、したがってKIRを経て阻害されないKIRを発現するドナー由来のNK細胞の増殖を引き起こすことにあると考えられる。これらの同種間NKクローンは、強力な抗腫瘍活性を及ぼす。この反応は、急性骨髄球性白血病(AML)であると診断され、かつKIR-MHC不適合の半合致移植で治療された患者において、非常に強力である。患者の薬理学的処置によってこの効果を再現する一つの方法には、患者の内因性NK細胞を活性化するためにKIR/HLA相互作用を遮断する試薬を投与することがあろう。
【0012】
KIR2DL1に対して特異的な一定のモノクローナル抗体は、HLA-Cw4などの「グループ2」HLA-CアロタイプとKIR2DL1の相互作用を遮断して(Moretta et al., J Exp Med 1993;178:597-604)、これらのHLA-Cアロタイプを発現する標的細胞のNKを媒介した溶解を促進することが示された。また、KIR2DL2/3のHLA-Cw3または同様のアロタイプとの相互作用を遮断するKIR2DL2/3に対するモノクローナル抗体が記述されている(Moretta et al., J Exp Med 1993;178:597〜604)。Watzlら(Tissue Antigens 2000;56:240-24)は、KIRの複数のアイソタイプを認識する交差反応マウス抗体を産生したが、これらの抗体は、NK細胞の溶解活性を増強しなかった。さらに、Spaggiariら(Blood 2002;99:1706-1714 and Blood 2002;100:4098-4107)は、種々のKIRに対するマウスモノクローナル抗体を利用する実験を実施した。これらの抗体のうちの1つであるNKVSF1(Pan2Dとしても知られる)は、KIR2DL1(CD158a)、KIR2DL2(CD158b)およびKIR2DS4(p50.3)の共通の抗原決定基を認識することが報告された。また、Shinら(Hybridoma 1999;18:521-7)は、KIR2DL1、KIR2DL3およびKIR2DS4の全てに対して結合することができるA210およびA803gと名付けられた2つのモノクローナル抗体の産生を報告した。A210およびA803gはいずれもKIRとHLA-Cとの間の結合を妨害しなかったか、または阻害性KIRシグナリングを遮断することができなかった。
【0013】
国際公開第2005003172号、国際公開第2005003168号および国際公開第2005009465号は、たとえばDF200、1-7F9、1-4F1、1-6F5および1-6F1などのKIR2DL1およびKIR2DL2/3交差反応性抗体と、DF200および1-7F9がNK細胞細胞障害性を増強することとを記述している。
【0014】
国際公開第0050081号は、たとえばB細胞またはNK細胞受容体を、トランスデューサ成分との会合を阻害する調節性化合物とこれを接触させることによって除感作するための方法を記述する。
【0015】
国際公開第0002583号は、たとえばMHC分子に対するNK-T細胞受容体の結合を遮断することによって乾癬を治療する方法を記述する。
【0016】
国際公開第9849292号および国際公開第2005060375号は、一般にKIRまたはその他NK細胞受容体およびこれに対する抗体に関する。
【0017】
しかし、NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を中和することができる、抗体などの薬剤を単離する以前の試みでは、たとえばHLA-Cなどのその対応するHLA分子とKIRの相互作用を遮断することに焦点をおいていた。NK細胞を活性化することができる治療薬のための代わりの標的についての需要がいまだ存在する。
【0018】
本発明は、このような新規標的、並びにこのような標的に結合する新規薬剤およびそれについての新規使用方法を提供する。
【発明の概要】
【0019】
本発明は、部分的には、1つまたは複数のヒト阻害性KIRの決定因子に結合して、KIRとそのHLA-Cリガンドとの間の結合を遮断することを含まない新規メカニズムにより、これらのKIR遺伝子産物の少なくとも1つを発現するNK細胞の増強を生じさせる新規薬剤の発見に基づいている。一つの態様において、本薬剤は、KIRの二量体化を減少させるか、または遮断することによってNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させ、これが次にNK細胞活性の増強を生じさせる。
【0020】
したがって、一つの局面において、本発明は、阻害性ヒトキラーIgG様受容体(KIR)の細胞外部分と結合するか、または相互作用する薬剤であって、薬剤は、KIRとKIRのHLAクラスIリガンドとの間の結合を検出可能に減少することなくNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させる薬剤を提供する。一つの態様において、薬剤は、KIRのクラスター形成を減少させるか、または遮断することによってNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させる。もう一つの態様において、薬剤は、また、または代わりに、KIRの二量体化を減少させるか、または遮断することによって、NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させる。
【0021】
一つの態様において、薬剤は、ドメイン1と会合する相互作用部位の間の相互作用を減少させるか、または遮断する。ドメイン1と会合する相互作用部位は、たとえば配列番号:14の残基1〜92の1つに対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を含んでいてもよい。たとえば、ドメイン1と会合する相互作用部位は、H1、E2、H5、R6、D31、V32、M33、F34、E35、H36、H50、D57、G58、V59、V83、T84、H85、S86、Q89、L90、S91またはA92に対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を含むことができる。
【0022】
もう一つの態様において、薬剤は、ドメイン2と会合する相互作用部位の間の相互作用を減少させるか、または遮断する。ドメイン2と会合する相互作用部位は、たとえば配列番号:14の残基108〜200の1つに対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を含んでいてもよい。たとえば、ドメイン2と会合する相互作用部位は、P108、S109、L110、S111、A112、Q113、P114、L114、G115、T125、S127、S129、R131、K155、V156、N157、G158、T159、Q161、A162、D163、S192、D193、P194、L195、L196、V197、S198、V199またはT200に対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を含むことができる。たとえば、KIR2DL1のドメイン2と会合する相互作用部位は、アミノ酸残基L110、S111、A112、Q113、P/L114(残基114PまたはLであることができることを示す)およびL195を含む。
【0023】
上記態様のいずれかにおいて、本発明によって提供される薬剤は、たとえばKIRファミリーのメンバーのホモ二量体化、ヘテロ二量体化または両方の少なくとも一つを減少させるか、または遮断してもよい。たとえば、薬剤は、KIR2DL1のホモ二量体化を減少させるか、または遮断してもよい。
【0024】
薬剤は、たとえば抗体またはこれらの断片などのいずれの適切な化合物であってもよい。抗体断片は、たとえばFab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ダイアボディー、単鎖抗体断片および多特異的抗体から選択することができる。抗体は、たとえばヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体もしくはこのような抗体に由来する抗体断片であることができる。
【0025】
一つの態様において、薬剤は、たとえば交差反応性抗KIR抗体またはこれらの断片などの交差反応性KIR結合剤である。薬剤は、たとえばKIR2DL1およびKIR2DL3のそれぞれと結合してもよい。
【0026】
一つの態様において、薬剤は、たとえばKIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号:17のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と競合する抗体または抗体断片であってもよい。たとえば、薬剤は、配列番号:17のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体または抗体断片であることができる。代わりの態様において、薬剤は、KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号:21のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と競合する抗体または抗体断片であってもよい。たとえば、薬剤は、配列番号:21のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体または抗体断片であることができる。
【0027】
もう一つの側面において、本発明は、医薬として使用するための、本発明に従った薬剤を提供する。
【0028】
もう一つの側面において、本発明は、患者におけるNK細胞細胞障害性を検出可能に増強するために有効な量の本発明に従った薬剤と1つまたは複数の薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0029】
一つの態様において、医薬品製剤は、免疫調節薬、ホルモン薬、化学療法薬、血管新生阻害薬、アポトーシス薬および阻害性KIR受容体に対するHLA結合を遮断する抗体から選択される治療薬をさらに含む。
【0030】
もう一つの側面において、本発明は、NK細胞を本発明に従った薬剤の有効量と接触させることによってNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させる方法を提供する。薬剤は、たとえばKIRの二量体化を減少させるか、または遮断してもよい。また、薬剤は、モノクローナル抗-KIR抗体またはこれらの断片であってもよい。一つの態様において、薬剤は、KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに対する結合の際に配列番号:17のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と競合する。もう一つの態様において、薬剤は、KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号:21のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と競合する。
【0031】
もう一つの側面において、本発明は、癌、感染症、ウイルス感染または免疫不全の治療のための医薬の製造のための、本発明に従った薬剤の使用を提供する。一つの態様において、医薬は、癌を治療するためのものである。本態様において、癌は、たとえば急性および慢性脊髄性白血病(AMLおよびCML)、急性リンパ性白血病(ALL)、骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫(NHL)、多発性骨髄腫、腎細胞癌、悪性黒色腫および結直腸癌から選択されるから選択されてもよい。代わりの態様において、医薬は、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス(HCV)およびエボラウイルスから選択されるウイルスによって生じるウイルス感染を治療するためのものである。
【0032】
もう一つの側面において、本発明は、癌の治療のために方法であって、癌に罹患している被験体に対して本発明に従った薬剤の有効量を投与することを含む方法を提供する。薬剤は、たとえばヒト抗体、ヒト化抗体もしくはキメラ交差反応性モノクローナル抗KIR抗体またはこれらの断片であることができる。一つの態様において、薬剤は、KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号:17のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と競合する。もう一つの態様において、薬剤は、KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号:21のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と競合する。本方法は、免疫調節薬、ホルモン薬、化学療法薬、血管新生阻害薬、アポトーシス薬および阻害性KIR受容体に対するHLA結合を遮断する抗体から選択される治療薬を投与することをさらに含んでいてもよい。
【0033】
もう一つの側面において、本発明は、a)候補薬剤のプールを製造することと;b)前記阻害性KIRの細胞外部分と結合するか、または相互作用するいずれかの候補薬剤を選択することと;および、c)前記阻害性KIRと前記KIRのHLAクラスIリガンドとの間の結合を減少させることなくNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を中和することができる工程b)からのいずれかの候補薬剤を選択することとによってNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を中和することができる薬剤を製造する方法であって、工程b)およびc)の順序は、任意に逆転される方法を提供する。一つの態様において、本方法は、交差反応性KIR結合剤を選択する工程をさらに含む。薬剤は、たとえばモノクローナル抗体またはこれらの断片であってもよい。
【0034】
もう一つの側面において、本発明は、以下の工程を含む、NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させることができる抗体または抗体断片を製造するための方法を提供する:a)ヒト以外の動物を少なくともKIRの細胞外部分を含む免疫原性組成物で免疫することと;b)免疫された動物からKIRに結合する抗体を製造することと;c)阻害性KIRとKIRのHLAクラスIリガンドとの間の結合を減少させることなくNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を中和することができる(b)からのいずれかの抗体を選択することと;および、d)任意に抗体の断片を製造すること。
【0035】
もう一つの側面において、本発明は、KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号:17のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と競合する単離された抗体または抗体断片を提供する。一つの態様において、抗体または抗体断片は、KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号:17のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と同じKIR2DL1エピトープと結合する。もう一つの態様において、抗体または抗体断片は、配列番号:17の残基31〜35に対応するCDR H1領域、配列番号:17の残基50〜66に対応するCDR H2、配列番号:17の残基99〜108に対応するCDR H3;配列番号:18の残基24〜34に対応するCDR L1;配列番号:18の残基50〜56に対応するCDR L2および配列番号:18の残基89〜97に対応するCDR L3を含む。もう一つの態様において、請求項44および45のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片は、配列番号:17のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む。
【0036】
もう一つの側面において、本発明は、IR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号:21のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と競合する単離された抗体または抗体断片を提供する。一つの態様において、抗体または抗体断片は、KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号:21のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と同じKIR2DL1エピトープと結合する。もう一つの態様において、抗体または抗体断片は、配列番号:21の残基31〜35に対応するCDR H1領域、配列番号:21の残基50〜66に対応するCDR H2、配列番号:21の残基98〜103に対応するCDR H3;配列番号:18の残基24〜34に対応するCDR L1;配列番号:18の残基50〜56に対応するCDR L2および配列番号:18の残基89〜97に対応するCDR L3を含む。もう一つの態様において、抗体または抗体断片は、配列番号:21のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む。
【0037】
また、本発明は、前述の側面のいずれかに従った抗体または抗体断片をコードするヌクレオチド配列、このようなヌクレオチド配列を含む発現ベクター、このようなベクターをトランスフェクトされた宿主細胞および抗体の発現のために適した条件下でこのような宿主細胞を培養することを含む抗体を産生する方法を提供する。これらのおよびその他の本発明の態様を以下の節に記述してある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】図1Aは、それぞれ正面(D1左、D2右)、上面(D1左、D2右)および背面(D2左、D1右)からの表示と共にKIR2DL1(1NKR.pdb)の構造上のドメイン1と会合する相互作用部位の位置を図示する。
【図1B】図1Bは、それぞれ正面(D1左、D2右)、上面(D1左、D2右)および背面(D2左、D1右)からの表示と共にKIR2DL1(1NKR.pdb)の構造上のドメイン2と会合する相互作用部位の位置を図示する。
【図1C】図1Cは、NK細胞と標的細胞との間の境界面におけるKIR2DL1−HLACw4のクラスター形成モデルを示す。理論に制限されないが、これは、HLACw4(明るい灰色)に対するKIR2DL1(濃い灰色)の結合により、最初にKIR2DL1−HLACw4二量体セットが形成されると考えられる。二量体は、図示したようにD1-D1およびD2-D2相互作用を形成した、NK細胞と標的細胞との間の境界面において二量体のクラスター形成を生じることができる。
【図2−1】図2A-2Hは、ドメイン1およびドメイン2と会合する相互作用部位の対応する残基の表示と共にKIR2DL1(配列番号:1)、2DL2(配列番号:2)、2DL3(配列番号:3)、2DL4(配列番号:4)、2DS1(配列番号:5)、2DS2(配列番号:6、)2DS3(配列番号:7)、2DS4(配列番号:8)および2DS5(配列番号:9)配列の整列を示す。
【図2−2】図2A-2Hは、ドメイン1およびドメイン2と会合する相互作用部位の対応する残基の表示と共にKIR2DL1(配列番号:1)、2DL2(配列番号:2)、2DL3(配列番号:3)、2DL4(配列番号:4)、2DS1(配列番号:5)、2DS2(配列番号:6、)2DS3(配列番号:7)、2DS4(配列番号:8)および2DS5(配列番号:9)配列の整列を示す。
【図2−3】図2A-2Hは、ドメイン1およびドメイン2と会合する相互作用部位の対応する残基の表示と共にKIR2DL1(配列番号:1)、2DL2(配列番号:2)、2DL3(配列番号:3)、2DL4(配列番号:4)、2DS1(配列番号:5)、2DS2(配列番号:6、)2DS3(配列番号:7)、2DS4(配列番号:8)および2DS5(配列番号:9)配列の整列を示す。
【図2−4】図2A-2Hは、ドメイン1およびドメイン2と会合する相互作用部位の対応する残基の表示と共にKIR2DL1(配列番号:1)、2DL2(配列番号:2)、2DL3(配列番号:3)、2DL4(配列番号:4)、2DS1(配列番号:5)、2DS2(配列番号:6、)2DS3(配列番号:7)、2DS4(配列番号:8)および2DS5(配列番号:9)配列の整列を示す。
【図3−1】図3A〜3Iは、ドメイン1およびドメイン2と会合する相互作用部位の対応する残基の表示と共に3DL1(配列番号:10)、3DL2(配列番号:11)、3DL3(配列番号:12)、3DS1(配列番号:13)および2DL1(配列番号:1)配列の整列を示す。
【図3−2】図3A〜3Iは、ドメイン1およびドメイン2と会合する相互作用部位の対応する残基の表示と共に3DL1(配列番号:10)、3DL2(配列番号:11)、3DL3(配列番号:12)、3DS1(配列番号:13)および2DL1(配列番号:1)配列の整列を示す。
【図3−3】図3A〜3Iは、ドメイン1およびドメイン2と会合する相互作用部位の対応する残基の表示と共に3DL1(配列番号:10)、3DL2(配列番号:11)、3DL3(配列番号:12)、3DS1(配列番号:13)および2DL1(配列番号:1)配列の整列を示す。
【図3−4】図3A〜3Iは、ドメイン1およびドメイン2と会合する相互作用部位の対応する残基の表示と共に3DL1(配列番号:10)、3DL2(配列番号:11)、3DL3(配列番号:12)、3DS1(配列番号:13)および2DL1(配列番号:1)配列の整列を示す。
【図4】KIR2DL1/1-7F9 Fab’構造の結晶パッキングにおける2つの対称な関連したKIR2DL1分子(それぞれ、X、Y ZおよびY、X、1/3-Z)を示す(REF解析)。第1のKIR2DL1分子には、第2の分子との二量体相互作用に関与する残基の表面を表示すると共に、灰色のチューブの表示で示してある。第2のKIR2DL1分子は、黒い固体のリボン表示で示してある。
【図5】フローサイトメトリーによるKIR特異的モノクローナル抗体(mAb)の一次スクリーニングを示す。YTS(A)およびYTS-2DL1(B)細胞を、KIR2DL1を免疫したマウスに由来するハイブリドーマ由来の組織培養上清と共にインキュベートした。Ab結合は、マウスIgGに対して特異的なAPC抱合二次Ab断片で検出し、これをフローサイトメトリー(FACSarray)によって視覚化した。ヒストグラムは、1-26F117ハイブリドーマ由来の抗KIR抗体がKIR2DL1発現YTS-2DL1細胞に対して特異的に結合するが、KIR2DL1ネガティブのYTS細胞に結合しないことを示す。
【図6】示したとおり、抗KIR mAbの有無におけるYTS-2DL1 NK細胞によるLCL 721.221-Cw4標的細胞の溶解を示す。KIR2DL1特異的YTS-2DL1細胞を、少なくともKIR2DL1および3を認識するmAbを産生する選択されたサブクローニングしたハイブリドーマ由来の組織培養上清と共にプレインキュベートした。次いで、これらの細胞が51Cr標識されたLCL 721.221-Cw4細胞を死滅させる能力を51Cr-放出細胞障害性アッセイ法(E:T比率= 6:1)で測定した。抗KIR抗体の非存在下では、標的細胞の〜5%が死滅したが、交差反応性ヒトmAb 1-7F9では、約25%の特異的死滅を誘導した。新たに同定された交差反応性mAb 1-26F117-A3および-A4は、特異的に死滅を誘導し、これらがNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させることができるKIR阻害性mAbであることを示している。
【図7】種々の抗KIR mAbの存在下におけるHLA-Cw4に対するKIR2DL1の結合を試験する競合アッセイ法の結果を示す。KIR2DL1-hFc(20μg/mL終濃度)をサブクローニングした抗KIRハイブリドーマの上清の有無において、または対照抗体の存在下においてプレインキュベートした。次いで、LCL 721.221-Cw4細胞上のHLA-Cw4に対するKIR2DL1-hFcの結合を、フローサイトメトリ(FACSarray)を使用して研究した。KIR-HLA結合を妨害するmAbの存在下では、KIR2DL1-hFcは、mAbの非存在下におけるKIR2DL1-hFc結合と比較すると、LCL 721.221-Cw4細胞とあまり結合せず、ドットプロットのX軸上において左に移動する。(A)DF200と共にプレインキュベートしたときに、HLA-Cw4に対するKIR2DL1-hFcの結合は、DF200用量依存的様式で競合するが、KIR2DL1-hFc結合は、KIR2DL2特異的mAb GL183(対照)と競合しなかった。1-26F117-A3(B)または1-26F117-A4(C)と共にプレインキュベートしたときに、KIR2DL1-hFcは、HLA-Cw4に対する結合を妨げなかった。その代わりに、LCL 721.221-Cw4細胞は、ドットプロットにおいてHLA-Cw4でのLCL 721.221-Cw4の二重陽性染色によって示されるように、KIR2DL1-hFc/1-26F117-A3またはKIR2DL1-hFc/1-26F117-A4複合体に結合しており、HLA-Cw4と1-26F117-A3またはHLA-Cw4と1-26F117-A4がKIR2DL1に対して同時に(simultanously)結合できることを確信させる。
【0039】
(D)対照(mAbなし)。
【図8】図7と同様の実験の結果を、精製した1-26F117の濃度を増大して示す。結果は、クローン1-26F117によって産生される抗体が、KIR/HLA-Cw4相互作用に影響を及ぼさなかったことを確信させる。(A)2μg/mL。(B)10μg/mL。(C)20μg/mL。(D)50μg/mL。(E)mAbの非存在下におけるKIR2DL1-hFcの結合(対照)。(F)KIR2DL1-hFcおよび一次mAbの非存在下における二次抗体のバックグラウンド結合。
【定義】
【0040】
本発明に従った「薬剤」には、小分子、ポリペプチド、タンパク質、抗体または抗体断片を含む。本発明に関して、小分子は、一つの態様において1000ダルトン、特に800ダルトン未満、特に500ダルトン未満よりも小さい分子量をもつ化学物質を意味する。
【0041】
本明細書に使用される「ポリペプチド」という用語は、特定の長さのコードされた産物をいい、したがって、ペプチド、オリゴペプチドおよびタンパク質を包含する。また、ポリペプチドは、ポリペプチド、並び一般にタンパク質の天然に存在する対立形質変異体または操作された変異体であってもよい。
【0042】
本明細書に使用される「抗体」という用語は、抗原(たとえば、KIR)と特異的に結合する能力を有する免疫グロブリン分子をいうことが意図される。特に明記しない限り、または明らかに状況によって否定されない限り、「抗体」という用語は、全長抗体、抗体断片および抗体誘導体;モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体;ヒト抗体および非ヒト抗体;並びに非ヒト抗体のヒト化形態およびキメラ形態を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0043】
本明細書に使用される「抗体断片」という用語は、抗原(たとえば、KIR)と特異的に結合する能力を保持する抗体の1つまたは複数の断片を含む分子を意味する。「抗体断片」という用語の範囲内に包含される結合断片の例には、(i)VL、VH、Cl、およびCH Iドメインからなる一価の断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域にてジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片であるF(ab)2およびF(ab’)2断片;(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片;(iv)抗体の単一腕のVLおよびVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al., (1989) Nature 341:544-546);および(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、(vi)単鎖Fv(scFv)(たとえば、Bird et al. (1988) Science 242:423-426:およびHuston et al. (1988) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883を参照されたい);(vii)VHおよびVLドメインが単一のポリペプチド鎖上で発現されるが、同じ鎖上の2つのドメイン間の対形成対形成させるにはあまりに短いリンカーを使用することにより、該ドメインを強制的にもう一つの鎖の相補ドメインと対形成させて2つの抗原結合部位を生じさせる二価の二特異性抗体であるダイアボディー(たとえば、Holliger, P., et al. (1993) Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-6448; Poljak, R. J., et al. (1994) Structure 2:1121-1123を参照されたい);並びに(viii)重鎖-軽鎖対の一方を含む一価抗体(例えばIgG4などのいくつかのIgGサブクラスの抗体は、自発的に2つの一価の断片に「分裂」することが知られている)。
【0044】
本明細書に使用される「抗体誘導体」という用語は、親分子が抗原(たとえば、KIR)と特異的に結合する能力を保持する全長抗体または抗体断片の変異体であって、親分子のアミノ酸の1つまたは複数が、たとえばアルキル化、PEG化、アシル化、エステル形成またはアミド形成その他によって化学的に修飾されたものを示すことが意図される。これには、PEG化された抗体、システイン-PEG化された抗体およびこれらの変異体を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0045】
本発明に関して、「結合する」または「相互作用する」または「反応する」とは、10-4Mよりも低い解離定数Kdでの、その決定因子(たとえば、エピトープ)に対する薬剤(たとえば、抗体)のいかなる結合をも意味する。「結合する」、「相互作用する」もしくは「反応する」または「結合すること」もしくは「相互作用すること」もしくは「反応すること」という用語は、適切な場合には、「特異的に結合する」「特異的に相互作用する」または「特異的に反応する」という用語と交換可能に使用される。相互作用には、水素結合、疎水結合およびイオン結合を含む。
【0046】
本発明に関連した範囲内において、決定因子「に結合する薬剤」という用語は、特異性および/または親和性をもって前記決定因子と結合する薬剤を示す。前記決定因子に結合する抗体は、特異性および/または親和性をもって結合する抗体を示す。「二量体化を減少させるか、または遮断する」という用語は、細胞の表面におけるKIR受容体の二量体化を妨害し、または防止し、または減弱させる過程として理解されるべきである。
【0047】
本明細書に使用される、KIRの「二量体化」には、KIRファミリーの2つの異なるメンバー間の二量体化を意味するヘテロ二量体化および2つの同一のKIRファミリーメンバーの二量体の形成を意味するホモ二量体化の両方を含む。
【0048】
本明細書に使用される「親和性」という用語は、エピトープに対する抗体の結合の強度を意味する。抗体の親和性は、[Ab]×[Ag]/[AbAg](式中、[Ab-Ag]は、抗体-抗原複合体のモル濃度であり、[Ab]は、結合していない抗体のモル濃度であり、および[Ag]は、結合していない抗原のモル濃度である)として定義される解離定数Kdによって与えらる。親和定数Kaは、1/Kdによって定義される。mAbの親和性を決定するための好ましい方法は、たとえばHarlow, et al., Antibodies: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y., 1988); Colligan et al., eds., Current Protocols in Immunology, Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience, N.Y., (1992, 1993)、および Muller, Meth. Enzymol. 92:589-601 (1983)に見いだすことができ、これらの参照文献は、参照により全体が本明細書に援用される。mAbの親和性を決定するための当技術分野において周知の1つの好ましく、かつ標準的方法は、Biacore装置の使用である。
【0049】
本発明に関連した範囲内において、「決定因子」は、ヒトKIR遺伝子ファミリーのいくつかの遺伝子産物によって共有される相互作用または結合の部位を示す。
【0050】
「エピトープ」という用語は、抗原決定基として定義され、かつ抗体が結合する抗原上の部位または領域である。タンパク質エピトープには、結合に直接関与するアミノ酸残基、並びに特異的な抗原結合抗体またはペプチドによって効率的に遮断されるアミノ酸残基、すなわち抗体の「フットプリント」内のアミノ酸残基を含んでいてもよい。これは、抗体または受容体(たとえば、Tリンパ球受容体など)と組み合わせることができる複雑な抗原分子上の最も単純な形態または最も小さな構造領域である。エピトープは、直線的または高次構造的/構造的であることができる。
【0051】
「直線的エピトープ」という用語は、アミノ酸の線状配列(一次構造物)上の隣接したアミノ酸残基で構成されるエピトープとして定義される。
【0052】
「高次構造的または構造的エピトープ」という用語は、全て隣接しておらず、したがって、分子の折り畳みによって互いに近くにされたアミノ酸の線状配列の別々の部分を表すアミノ酸残基(二次構造、三次構造および/または四次構造)で構成されるエピトープとして定義される。高次構造的エピトープは、三次元構造に依存する。したがって、「高次構造的」という用語は、「構造的」と交換可能に使用されることが多い。
【0053】
「抗体結合ペプチド」という用語は、抗体に対して十分に高い親和性で結合するペプチドとして定義される。
【0054】
「免疫原」という用語は、免疫寛容を誘導するよりむしろ、体液性抗体および/または細胞性免疫応答を誘導することができる物質である。「免疫原」という用語は、ときに「抗原」と交換可能に使用され、さらに、本用語は、免疫応答を刺激する能力、並びにその産物、たとえば抗体と反応する能力を特定する。対照的に、「抗原」は、抗体と反応する物質を意味することが一部によって確保される。主要免疫原は、遊離の、または微生物に付着したタンパク質および多糖体である。
【0055】
「免疫原性の」という用語は、体液性抗体および/または細胞性免疫応答性を誘導する能力を意味する。本明細書に使用される「キラーIg様受容体」または「KIR」は、KIR遺伝子ファミリーのメンバーである遺伝子によって、またはこのような遺伝子から調製されるcDNAによってコードされるタンパク質またはポリペプチドをいう。KIR遺伝子ファミリーの詳細な総説は、“The KIR Gene Cluster” by M. Carrington and P. Norman, available at the NCBI web-site called “Bookshelf” (World-Wide Web (WWW) address ncbi.nlm.nih.gov/booksを介してアクセス可能)に提供される。ヒトKIR遺伝子およびcDNAの配列、並びにこれらのタンパク質産物は、GenBankを含む公共データベースで利用できる。ヒトKIR遺伝子ファミリーに属するヒト遺伝子の非限定の例示的GenBank登録は、以下のアクセッション番号を有する:KIR2DL1:Genbankアクセッション番号U24076、NM_014218、AAR16197またはL41267;KIR2DL2:Genbankアクセッション番号U24075またはL76669;KIR2DL3:Genbankアクセッション番号U24074またはL41268;KIR2DL4:Genbankアクセッション番号X97229;KIR2DS1:Genbankアクセッション番号X89892;KIR2DS2:Genbankアクセッション番号L76667;KIR2DS3:Genbankアクセッション番号NM_012312またはL76670(スプライスバリアント);KIR3DL1:Genbankアクセッション番号L41269;およびKIR2DS4:Genbankアクセッション番号AAR26325。
【0056】
KIRは、1〜3個の細胞外ドメインを含み得るし、長い(すなわち、40アミノ酸以上)、または短い(すなわち、40アミノ酸未満)細胞質尾部を有し得る。本明細書において前述したように、これらの特徴により、KIRの命名法を決定する。例示的KIR2DL1、KIR2DL2およびKIR2DL3タンパク質は、以下のそれぞれのアミノ酸配列を含み、これらの細胞外ドメインを表す:
【0057】
KIR2DL1細胞外ドメイン:
HEGVHRKPSLLAHPGXLVKSEETVILQCWSDVMFEHFLLHREGMFNDTLRLIGEHHDGVSKANFSISRMTQDLAGTYRCYGSVTHSPYQVSAPSDPLDIVIIGLYEKPSLSAQXGPTVLAGENVTLSCSSRSSYDMYHLSREGEAHERRLPAGPKVNGTFQADFPLGPATHGGTYRCFGSFHDSPYEWSKSSDPLLVSVTGNPSNSWPSPTEPSSKTGNPRHLH(配列番号:14)、式中、位置16の「X」は、PまたはRであり、位置114の「X」は、PまたはLであり、対立遺伝子変異体を表す。
【0058】
KIR2DL2細胞外ドメイン:
HEGVHRKPSLLAHPGRLVKSEETVILQCWSDVRFEHFLLHREGKFKDTLHLIGEHHDGVSKANFSIGPMMQDLAGTYRCYGSVTHSPYQLSAPSDPLDIVITGLYEKPSLSAQPGPTVLAGESVTLSCSSRSSYDMYHLSREGEAHECRFSAGPKVNGTFQADFPLGPATHGGTYRCFGSFRDSPYEWSNSSDPLLVSVIGNPSNSWPSPTEPSSKTGNPRHLH(配列番号:15)、
【0059】
KIR2DL3細胞外ドメイン:
HEGVHRKPSLLAHPGPLVKSEETVILQCWSDVRFQHFLLHREGKFKDTLHLIGEHHDGVSKANFSIGPMMQDLAGTYRCYGSVTHSPYQLSAPSDPLDIVITGLYEKPSLSAQPGPTVLAGESVTLSCSSRSSYDMYHLSREGEAHERRFSAGPKVNGTFQADFPLGPATHGGTYRCFGSFRDSPYEWSNSSDPLLVSVTGNPSNSWPSPTEPSSETGNPRHLH(配列番号:16)。
【0060】
「KIR2DL」という用語は、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3またはKIR2DL4分子であるKIR分子をいう。
【0061】
「KIR2DL2/3」という用語は、KIR2DL2受容体およびKIR2DL3受容体のいずれか、または両方をいう。これらの2つの受容体は、非常に高い相同性を有し、これらは、同じ遺伝子の対立形質形態であり、当業者には機能的に同等と考えられている。
【0062】
特に明記しない限り、「MHC」という用語は、全ての哺乳類のMHC分子を包含するが、「HLA」分子は、ヒトMHC分子をいう。
【0063】
「交差反応性」KIR結合因子は、複数のKIR分子と結合する因子である。たとえば、「交差反応性抗KIR抗体」は、複数のKIR分子に特異的に結合する抗体である。
【0064】
「特異的結合」または「特異性」は、抗体またはその他の因子が検出可能に抗原上に提示されたエピトープに結合する能力であって、一方でその他のタンパク質または構造(NK細胞上に、またはその他の細胞タイプ上に提示されたその他のタンパク質など)との検出可能な反応性が比較的小さいことをいう。特異性は、たとえばBiacore装置を使用して、結合または競合結合アッセイ法によって相対的に決定することができる。特異性は、たとえば特異的抗原に対する結合対その他の無関係な分子に対する非特異的結合において約10:1、約20:1、約50:1、約100:1、10.000:1以上の親和性/結合活性の比によって示することができる。ヒトKIRに対して特異的なKIR結合抗体は、ときにその他の種の同様のKIRに対して特異的な結合を示すこともできる。
【0065】
第1の抗体が「実質的に」または「少なくとも部分的に」第2の抗体と同じエピトープ結合するという句は、第1の抗体のためのエピトープ結合部位が、第2の抗体のエピトープ結合部位を構成する抗原上のアミノ酸残基の少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%またはそれは以上を含むことを意味する。
【0066】
抗KIR抗体がHLA分子に対するKIR分子の結合を「遮断する」能力とは、抗体が、可溶性または細胞表面結合KIRおよびHLA分子を使用するアッセイ法において、KIR分子が抗体の非存在下で検出可能にHLA分子と結合する場合に、用量依存的様式でHLA分子に対するKIR分子の結合を検出可能に減少させることができることを意味する。抗KIR抗体がこのような遮断をすることができるかどうかを決定するための例示的アッセイ法は、実施例に提供してある。
【0067】
薬剤が「NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させる」または「NK細胞細胞障害性を増強する」能力とは、KIRを発現するNK細胞が抗体と接触したときに、対照と比較して、薬剤の存在下においてこれらの表面上に特定のMHCまたはHLAクラスI(これらは、前記KIRのためのリガンドである)を発現する標的細胞を溶解することができることを意味する。「阻害の減少」または「増強」とは、対照と比較すると、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも70%、少なくとも100%、少なくとも500%、少なくとも1000%もしくはより高く、またはたとえば約50〜100%、約100〜500%、約100〜2000%よりも高いか、または少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10もしくは少なくとも約20倍よりも高くを含む、NK細胞細胞障害性の何らかの検出可能な増大を意味する。これは、適切なアッセイ法、たとえば、より多数の標的細胞が、薬剤の非存在下における(すなわち、対照)よりも薬剤の存在下においてNK細胞によって溶解される細胞障害性アッセイ法において測定することができる。たとえば、薬剤が検出可能に特異的溶解を増大する能力は、細胞障害性の古典的クロム放出試験により、たとえば所与のKIRを発現するNK細胞集団を同族のMHCクラスI分子(NK細胞上に発現されたKIRによって認識される)を発現する標的細胞と接触させたときに抗体なしで得られる特異的溶解のレベルと比較して試験することができる。あるいは、「KIRを媒介した阻害を減少させる」という用語は、1つまたはいくつかのKIRを発現するNK細胞クローン、およびNKクローンのKIRのうちの1つによって認識される1つのHLAアロタイプのみを発現し、かつNKクローン上のその他のKIRによって認識されるその他のいかなるHLAクラスI分子も発現しない標的細胞でのクロムアッセイ法において、抗体で得られた細胞障害性レベルが、抗KIR mAb GL183またはEB6(Immunotech、Franceから入手可能)などのKIRとHLA-Cとの間の相互作用を遮断する対照抗体で得られる細胞障害性の少なくとも60%、好ましくは少なくとも70%またはそれ以上であるはずであることを意味する。
【0068】
「治療」という用語には、言及された疾患、障害または状態の予防および極小化を含むことを意味する。したがって、「治療」は、特に明記しない限り、または状況によって明らかに矛盾しない限り、薬剤または薬剤を含む組成物の予防的および治療的投与をいう。しかし、薬剤または薬剤を含む組成物の治療的投与および薬剤または薬剤を含む組成物の予防的投与は、別々に、本発明の独特の側面であるとみなすことができる。たとえば、疾患もしくは障害の症候または臨床的に関連した徴候が同定されていない患者の「治療」は、予防的療法である。
【0069】
「有効量」という用語は、適切な投薬量で、および適切な期間送達されたときに、たとえばNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を検出可能的におよび/もしくは実質的に減少させて、またはKIR二量体化を検出可能的におよび/もしくは実質的に減少させるなど、所望の結果を達成するのに十分である量をいう。使用目的に応じて、「有効量」は、また「治療上有効量」、「予防的有効量」、「生理的有効量」またはこれらの組み合わせであってもよい。「治療上有効量」は、患者またはその他の宿主において所望の治療結果(たとえば、癌進行を減少すること、ウイルス病症候を減少すること、期間(たとえば、最初の治療後の18〜60月)を超える生存の可能性を増大すること、増殖に付随した癌細胞の伝播を減少すること、および/または腫瘍成長の再発の可能性を減少することなどの、障害の1つまたは複数の側面を減少させることと関連した生理反応の誘導、促進および/または増強)を達成するために、適切な投薬量において、および適切な期間送達されたときに有効な薬剤または組成物の量をいう。治療上有効量は、個体の疾病状態、年齢、性および重量などの要素、並びに組成物が個体において所望の応答を誘発する能力に従って変更してもよい。また、治療上有効量は、投与される組成物の何らかの有毒または有害効果を治療的に有益な効果が上回るものである。「予防的有効量」は、投薬量にて、および必要な期間、所望の予防結果(たとえば、障害を発病する可能性、障害の強度または伝播の減少、差し迫った障害の間の生存の可能性の増大、疾患状態の発症の遅延、差し迫った状態の伝播の減少、予防処方計画を受けていない同様の患者におけるものと比較した伝播の減少、その他)を達成するのに必要な有効な量をいう。典型的には、予防的用量は、疾病の前または初期段階で被験体に使用されるので、予防的有効量は、治療上有効量よりも少ないであろう。「生理的有効」量は、所望の生理作用を誘導し、促進し、および/または増強するために十分である量をいう。
【0070】
2つのアミノ酸に関して「実質的に同一」という用語は、配列が、プログラムGAPまたはBESTFITなどによってデフォルトギャップ加重を使用して至適に整列させたときに、少なくとも約50、少なくとも約60、少なくとも約70、少なくとも約80、少なくとも約90、少なくとも約95、少なくとも約98または少なくとも約99パーセントの配列同一性を共有することを意味する。一つの態様において、同一でない残基位置は、保存的アミノ酸置換によって異なる(さらに、本明細書において他に記述してある)。配列同一性は、典型的には配列分析ソフトウェアを使用して測定される。タンパク質解析ソフトウェアは、種々の置換、欠失および保存的アミノ酸置換を含むその他の修飾に割り当てられた類似性の値を使用して同様の配列を突き合わせる。たとえば、公的に利用できるGCGソフトウェアには、デフォルトパラメーターを使用して生物体の異なる種に由来する相同的ポリペプチドまたは野生型タンパク質とこれらの突然変異タンパク質との間などの密接に関連したポリペプチド間の配列相同性または配列同一性を決定することができる「Gap」および「BestFit」などのプログラムを含む。たとえば、GCG Version 6.1を参照されたい。また、ポリペプチド配列は、FASTA使用してデフォルトまたは推奨されるパラメーターを適用して比較することができる。GCG Version 6.1.のプログラムのFASTA(たとえば、FASTA2およびFASTA3)は、問い合わせ配列と検索配列との間で最高の重複領域の整列およびパーセント配列同一性を提供する(Pearson, Methods Enzymol. 1990;183:63-98; Pearson, Methods Mol. Biol. 2000;132:185-219)。配列を種々の生物体に由来する多数の配列を含むデータベースと比較するときのもう一つの好ましいアルゴリズムは、デフォルトパラメーターを使用するコンピュータープログラムBLAST、特にblastpである。たとえば、Altschul et al., J. Mol. Biol. 1990;215:403-410; Altschul et al., Nucleic Acids Res. 1997;25:3389-402 (1997);を参照され;そ
れぞれが参照により本明細書に援用される。2つの実質的に同一のアミノ酸配列の「対応する」アミノ酸位置は、本明細書において言及したタンパク質解析ソフトウェア(典型的には、デフォルトパラメーターを使用する)のいずれかによって整列させたものである。
【0071】
「単離された」薬剤は、典型的には、問題の分子が産生される細胞、細胞培養、化学物質媒体または動物内に含まれる外来分子および望ましくない生体分子(たとえば、非KIR結合生体分子、たとえば抗体など)の有意量(たとえば、約1%を上回る、約2%を上回る、約3%を上回るまたは約5%を上回る)が付随していない薬剤をいう。「単離された」薬剤は、有意な時間量(たとえば、少なくとも約10分、少なくとも約20分、少なくとも約1時間またはより長く)の間のヒト介入(自動、手動または両方であるかにかかわらず)により、このような純度の段階を通過したいずれの分子をもいうことができる。
【発明の詳細な説明】
【0072】
本発明は、部分的には、KIRのそのHLAリガンドに対する結合を遮断することなくNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させることができる抗体の発見およびKIRのそのHLAクラスIリガンドに対する結合によるKIRを経たネガティブシグナリングの伝達には、リガンド結合で誘導されるKIR分子の高次構造を再配向して特定ドメインの隣接したKIR間の相互作用を形成させ、クラスター形成の促進を引き起こすことを含むという知見に基づいている。リガンド結合により、KIRを経たシグナリングを引き起こすことは既知であったが、どのように、リガンドが結合する場合にのみ、細胞の外側のKIRの細胞外部分で生じるリガンド結合がKIRの細胞質尾部に伝達されて、細胞内シグナリングを引き起こすことができるか、リガンド結合がないときにはできないのかを完全には説明することができるメカニズムは、記述されていなかった。また、ある種の受容体のクラスター形成が文献に記述されているが、本発明の前には、KIRなどのNK細胞阻害性受容体の二量体化またはクラスター形成を、薬剤添加を使用することによって減少させるか、または遮断することができることは知られていなかった。KIR分子を二量体化させることができるKIR上の部位の発見により、今回このための説明を提供して、HLA-結合と関連していないこれらおよびその他の部位をターゲットすることにより、KIRを経た阻害性シグナリングを妨げるであろう治療薬を開発および同定することができる。
【0073】
実施例に記載したように、今回、KIRを経た阻害性シグナリングの開始および伝播には、2つ以上のKIRが互いに密接に近接すること、すなわち二量体化することが必要であることを発見した。理論に制限されないが、二量体化の過程は、おそらくKIRが標的細胞上のMHCクラスIリガンドに結合するときに開始される。これにより、KIR受容体が互いに密接に近接して、KIRの細胞質尾部の一定のチロシン残基のリン酸化を含むメカニズムによって阻害性シグナリングを惹起することができる。リガンド結合によってKIRの二量体化を誘導することができる正確な現象は、分子での詳細は明らかではないが、阻害性シグナリングを誘導するためにはKIRのクラスター形成(いくつかのKIR分子を互いに近接させること)で十分であることが報告されていた(Faure et al., 上記)。この二量体化もしくはクラスター形成または近接過程を妨害することにより、今回、阻害性シグナリングの開始および伝播を妨げることができることを見いだした。以前には、KIRがそのMHCクラスIリガンドに結合するのを妨げることによって、KIRシグナリングを減少させることが可能であったことのみが知られていた。本明細書には、たとえばHLAクラスIとKIRの相互作用を妨げることなく阻害シグナリングの開始を防止するが、その代わりにKIRの二量体化および/またはその後のクラスター形成を妨げるか、または減少させることによって、リガンド結合のKIRシグナリング下流を調整する新規薬剤が記述されている。これらの新たな薬剤の利点は、リガンド結合を遮断するものと比較して、KIR-クラスI相互作用が標的細胞に対するNK細胞の接着に寄与するのをこれらが妨げることにより、標的細胞によるNKの積極的活性化を増大することである。さらなる利点は、これらのmAbのエピトープおよびKIR二量体化部位が、リガンド結合ドメインよりもKIRファミリーのメンバー間で保存されており、それ故、KIRファミリーの種々のメンバー間で交差反応するmAbを得ることがより容易であろうことである。複数のKIRを経たネガティブシグナリングを妨げる抗体は、これらがより大部分のNK細胞による溶解を誘導するために、治療目的に有利である。
【0074】
実施例に記載されているように、同定されたこのような薬剤は、マウスIgG1モノクローナル抗体1-26F117-A3である。この抗体は、交差反応性であり、少なくともKIR2DL1およびKIR2DL3に対して結合し;NK細胞細胞障害性を増強し;かつHLA-Cに対するKIR2DL1の結合を減少させない。1-26F117-A3のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、以下のとおりに決定された:
【0075】
VH領域(配列番号:17):
EVQLQQSGPELVKPGASVKISCKASDYSFTGYFMNWVMQSQEKSLEWIGRINPFNGDAFYNQKFKGKATLTVDKSSNTAHMELRSLTSEDSAVYYCARLDYRGYFFDYWGQGTTLTVSS
【0076】
VL領域(配列番号:18):
DIVMTQSQKFMSTTVGDRVSITCKASQSVGSAVGWYQQKPGQSPKLLIYSASTRYTGVPDRFTGSGSGTDFTLTITNMQSDDLADYFCHQYSRYPLSFGSGTKLEMKR。
【0077】
1-26F117-A3のVHおよびVL領域のCDRは、以下のとおりに決定された:
CDR H1:GYFMN(配列番号:17の残基31〜35)
CDR H2:RINPFNGDAFYNQKFKG(配列番号:17の残基50〜66)
CDR H3:LDYRGYFFDY(配列番号:17の残基99〜108)。
【0078】
CDR L1:KASQSVGSAVG(配列番号:18の残基24〜34)
CDR L2:SASTRYT(配列番号:18の残基50〜56)
CDR L3:HQYSRYPLS(配列番号:18の残基89〜97)。
【0079】
1-26F117-A3のVLおよびVH領域のcDNA配列は、以下のとおりに決定された:
【0080】
VH領域(配列番号:19):
gaggttcagctgcagcagtctggacctgagctggtgaagcctggggcttcagtgaagatatcctgtaagg cttctgattactcatttactggctactttatgaactgggtgatgcagagccaagaaaagagccttgagtg gattggacgtattaatcctttcaatggtgatgctttctacaaccagaagttcaagggcaaggccacattg actgtggacaaatcctctaacacagcccacatggagctccggagcctgacatctgaggactctgcagtct attattgtgcaagattggattaccgcggctacttctttgactactggggccaaggcaccacgctcacagt ctcatca。
【0081】
VL領域(配列番号:20):
gacattgtgatgacccagtctcaaaaattcatgtccacaacagtaggagacagggtcagcatcacctgca aggccagtcagagtgtgggtagcgctgtaggctggtatcaacagaaaccaggacaatctcctaaactact gatttactcagcatccactcggtacactggagtccctgatcgcttcacaggcagtggatctgggacagat ttcactctcaccattaccaatatgcagtctgatgacctggcagattatttctgtcaccaatatagcagat atcctctctcgttcggctcggggacaaagttggaaatgaaacgg。
【0082】
もう一つの同定されたこのような薬剤は、マウスIgG1モノクローナル抗体1-26F117-A4である。実施例に記載したように、この抗体は、NK細胞細胞障害性を増強し;かつHLA-Cに対するKIR2DL1の結合を減少させない。
【0083】
1-26F117-A4のVHおよびVL領域のアミノ酸配列は、以下のとおりに決定された:
【0084】
VH領域(配列番号:21):
QVQLKESGPGLVAPSQSLSITCTVSGFSLTDYGVSWVRQPPGKGLEWLGLIWGDGRTNYHSALISRLSISKDNSKSQVFLKLNSLQIDDTATYYCARRGAMDYWGQGTSVTVSS。
【0085】
1-26F117-A3のVL配列は、VL配列と同一であった;(配列番号:18)。
【0086】
1-26F117-A4のVHおよびVL領域のCDRは、以下のとおりに決定された:
CDR H1:DYGVS(配列番号:21の残基31〜35)
CDR H2:LIWGDGRTNYHSALISR(配列番号:21の残基50〜66)
CDR H3:RGAMDY(配列番号:21の残基98〜103)
CDR L1:KASQSVGSAVG(配列番号:18の残基24〜34)
CDR L2:SASTRYT(配列番号:18の残基50〜56)
CDR L3:HQYSRYPLS(配列番号:18の残基89〜97)。
【0087】
1-26F117のVLおよびVH領域のcDNA配列は、以下のとおりに決定された:
【0088】
VH領域(配列番号:22):
caggtgcagctgaaggagtcaggacctggcctggtggcgccctcacagagcctgtccatcacatgcactg tctcagggttctcactaaccgactatggtgtaagctgggttcgccagcctccaggaaagggtctggagtg gctgggactaatatggggtgacgggcgcacaaattatcattcagctctcatatccagactgagcatcagc aaggataactccaagagccaagttttcttaaaactgaacagtctgcaaattgatgacacagccacatact actgtgccagaaggggtgctatggactactggggtcaaggaacctcggtcaccgtctcctca。
【0089】
VL領域(配列番号:23):
gacattgtgatgacccagtctcaaaaattcatgtccacaacagtaggagacagggtcagcatcacctgca aggccagtcagagtgtgggtagcgctgtaggctggtatcaacagaaaccaggacaatctcctaaactact gatttactcagcatccactcggtacactggagtccctgatcgcttcacaggcagtggatctgggacagat ttcactctcaccattaccaatatgcagtctgatgacctggctgattatttctgtcaccaatatagcagat atcctctctcgttcggctcggggacaaagttggaaatgaaacgg。
【0090】
したがって、一つの局面において、本発明は、HLAに対するKIR結合を妨害することなくNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させることができる小分子、ポリペプチドおよび抗体(抗体断片または誘導体を含む)を含むKIR結合剤に、並びにこのような薬剤を単独で、またはその他の活性薬剤と組み合わせて含む医薬組成物に関する。一つの態様において、薬剤は、たとえばKIR2DL1およびKIR2DL2および/またはKIR2DL3に結合する交差反応性抗KIR抗体である。もう一つの態様において、薬剤は、NK細胞細胞障害性KIR2DLを媒介した阻害を減少させることができる抗体である。
【0091】
もう一つの側面において、本発明は、標的細胞のNK細胞を媒介した死滅を増強するための、KIRを媒介したNK細胞細胞障害性を増強するための、および癌またはウイルス病を治療するための、抗体を含むこのような薬剤を使用する方法に関する。一つの態様において、本方法は、KIR2DLを媒介したか、またはKIR2DL1およびKIR2DL2/3を媒介したNK細胞細胞障害性を増強する方法である。もう一つの態様において、本方法は、ヒト個体などのKIR2DL1受容体もしくはKIR2DL2/3受容体を発現するNK細胞またはKIR2DL1およびKIR2DL2/3のいずれかまたは両方を発現するNK細胞集団によって細胞障害性を増強する方法である。
【0092】
もう一つの側面において、本発明は、抗KIR結合抗体またはその他の薬剤のライブラリーを作製し、およびスクリーニングし、並びに(a)NK細胞細胞障害性を、KIRを媒介して阻害するもの、および(b)HLAに対するKIR結合を減少させないものを選択することによって、抗体を含むこのような薬剤を作製し、および/または同定する方法であって、工程(a)および(b)は、任意に逆転することができる方法に関する。一つの態様において、工程(a)は、NK細胞細胞障害性のKIR2DLを媒介し、またはKIR2DL1およびKIR2DL2/3を媒介した阻害を減少させる薬剤を選択することを含む。このような方法を実施するための適切なアッセイ法は、本明細書に、特に実施例に記述されている。本発明の一つの局面において、本発明の抗体を産生するハイブリドーマを製造し、および同定するために、同じか、または同様の方法が使用される。
【0093】
もう一つの側面において、本発明は、少なくとも一つのKIR2DL1およびKIR2DL3に結合する際に、1-26F117-A3および/もしくは1-26F117-A4と競合する抗体またはその他の薬剤に関する。
【0094】
もう一つの側面において、本発明は、少なくとも一つのKIR2DL1およびKIR2DL3に対して結合する際に、1-26F117-A3または1-26F117-A4のVHおよびVL配列から本質的になるVHおよびVL配列を含む抗体と競合する抗体またはその他の薬剤に関する。
【0095】
例示的態様において、薬剤は、全長マウス抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体もしくはキメラ抗体などの抗体;またはこれらの断片もしくは誘導体である。一つの態様において、抗体は、1-26F117として同じエピトープに結合する。もう一つの態様において、抗体は、1-26F117と実質的に同じエピトープに結合する。もう一つの態様において、薬剤は、モノクローナル抗体1-26F117-A3および/もしくは1-26F117-A4によって、または配列番号:17のVH配列および配列番号:18のVL配列を含むモノクローナル抗体によって、または配列番号:21のVH配列および配列番号:18のVL配列を含むモノクローナル抗体によって認識されるKIR2DL1および/またはKIR2DL3上のエピトープに結合するモノクローナル抗体である。もう一つの態様において、抗体には、これらの断片または誘導体を含み、1-26F117-A3または1-26F117-A4と同じか、または実質的に同一のVHおよび/またはVL領域を含む。もう一つの態様において、抗体には、これらの断片または誘導体を含み、配列番号:17または配列番号:21と少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するVH領域を含む。もう一つの態様において、抗体には、これらの断片または誘導体を含み、配列番号:18と少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%の配列同一性を有するVL領域を含む。もう一つの態様において、抗体には、これらの断片または誘導体を含み、1-26F117-A3もしくは1-26F117-A4と同じか、または実質的に同一のCDR H1、H2、H3、L1、L2およびL3領域を含む。特定の態様において、抗体は、配列番号:17のVH配列、配列番号:18のVL配列、並びにマウスIgG1重鎖定常領域のための配列(GenBankアクセッション番号D78344、参照によりその全体が本明細書により具体的に援用される)およびマウスIgG1軽鎖定常領域(GenBankアクセッション番号V00807、参照によりその全体が本明細書により具体的に援用される)のための配列を含む。もう一つの態様において、抗体は、それぞれ配列番号:17および配列番号:18のVHおよびVL配列から本質的になるVHおよびVL配列を含む。もう一つの特定の態様において、抗体は、配列番号:21のVH配列、配列番号:18のVL配列、並びにマウスIgG1重鎖定常領域のための配列(GenBankアクセッション番号D78344、参照によりその全体が本明細書により具体的に援用される)およびマウスIgG1軽鎖定常領域(GenBankアクセッション番号V00807、参照によりその全体が本明細書により具体的に援用される)のための配列を含む。もう一つの態様において、抗体は、それぞれ配列番号:21および配列番号:18のVHおよびVL配列から本質的になるVHおよびVL配列を含む。もう一つの態様(embodment)において、抗体は、単離された抗体である。このような抗体を製造し、および同定する方法は、本明細書に記述してある。また、本発明は、このような抗体をコードするヌクレオチド配列、このような配列を含む発現ベクター、このようなベクターを含む宿主細胞およびこのような宿主細胞からこのような抗体を産生する方法にも関する。
【0096】
もう一つの側面において、本発明は、ヒトKIR遺伝子産物に存在する決定因子と結合するか、または相互作用する薬剤であって、KIRの二量体化を減少させるか、または遮断することによってNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させることができる薬剤に関する。
【0097】
もう一つの側面において、本発明は、KIRの二量体化を減少させるか、または遮断することによってNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させる方法に関する。
【0098】
もう一つの側面において、本発明は、医薬として使用するための、本発明に従った薬剤に関する。
【0099】
もう一つの側面において、本発明は、癌、感染症、ウイルス感染または免疫不全の治療のための医薬の製造のための、本発明に従った薬剤の使用に関する。
【0100】
もう一つの側面において、本発明は、不死化された細胞に融合された、ヒトKIRポリペプチドに存在する決定因子を含む抗原で免疫された非ヒト哺乳類宿主由来のB細胞を含むハイブリドーマであって、前記は、ハイブリドーマヒトKIRポリペプチドに存在する決定因子に結合するモノクローナル抗体を産生し、かつ前記抗体は、KIRの二量体化を減少させるか、または遮断することによって前記ヒトKIRポリペプチド産物を発現するNK細胞の集団に対してNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を中和することができるハイブリドーマに関する。
【0101】
もう一つの側面において、本発明は:
a)薬剤を提供すること;および
b)二量体化のために寄与する条件下で、薬剤の存在下における(HLA-Cまたはその他のKIRリガンドを発現する標的細胞の存在下など)KIRの二量体化を試験すること;
c)NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を中和することができる(b)からの薬剤を選択すること、
によってNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を中和することができる薬剤を単離する方法であって、工程(c)および(d)の順序は、任意に逆転される方法に関する。
【0102】
もう一つの側面において、本発明は、ヒトKIR受容体遺伝子産物上の決定因子に結合する抗体または抗体断片を産生するための方法であって、前記抗体は、NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させることができ:
a)KIRポリペプチドを含む免疫原でヒト以外の動物を免疫する工程;
b)前記免疫された動物から、前記KIRポリペプチドに結合する抗体を製造する工程;
c)KIRの二量体化を遮断する抗体を選択する工程;
d)NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を中和することができる(c)からの抗体を選択する工程、
を含み、
工程(c)および(d)の順序は、任意に逆転される方法に関する。
【0103】
もう一つの側面において、本発明は、本発明に従った薬剤と1つもしくは複数の薬学的に許容される担体または希釈剤を含む医薬組成物に関する。
【0104】
特定の態様において、薬剤は、モノクローナル抗体またはこれらの誘導体もしくは断片である。
【0105】
特定の態様において、本発明の薬剤は、KIR上の決定因子のうちの1つと結合することにより阻害性シグナリングを妨げるか、または減少させるモノクローナル抗体または小分子またはペプチド、またはタンパク質などの薬剤である。
【0106】
特定の態様において、KIR遺伝子産物は、阻害性KIR遺伝子産物である。いくつかのKIR遺伝子産物は、天然に阻害性である。全ての確認された阻害性KIRは、長い細胞質尾部を有し、かつこれらの細胞質内部分に、阻害性シグナリングをにナウホスファターゼを補充する1つまたはいくつかのアミノ酸モチーフを示す。異なったKIRは、HLAクラスI抗原の異なるサブセットと相互作用する。既知の阻害性KIR受容体には、KIR2DLおよびKIR3DLサブファミリーのメンバーを含む。
【0107】
特定の態様において、決定因子は、エピトープおよび特に高次構造的エピトープである。
【0108】
特定の態様において、薬剤は、抗体である。
【0109】
阻害性KIRシグナリングの減少
本発明の抗体は、NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害;特にKIR2DL受容体によって媒介される阻害およびより詳細には、少なくともKIR2DL1およびKIR2DL2/3の両方の阻害を中和することができる。したがって、これらの抗体は、これらが少なくとも部分的にKIR受容体によって媒介される阻害性シグナリング経路を遮断するという意味で、二量体化を「減少させ」または「遮断する」。さらに重要なことに、この阻害活性は、阻害性KIR受容体のいくつかのタイプ、特にいくつかのKIR2DL受容体遺伝子産物、およびより詳細には、少なくともKIR2DL1、KIR2DL2およびKIR2DL3に関して示され、その結果、これらの抗体は、種々の被験体において高い有効性で使用されるであろう。NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害の阻害は、結合アッセイ法または細胞アッセイ法などの種々のアッセイ法または試験によって評価することができる。mAbが本発明の基準を満たすかどうか、すなわち(1)KIRを媒介した阻害性シグナリングを減少させる能力を有し、(2)KIR-HLAクラスI相互作用を遮断しないことを検査するための例示的方法は、以下のとおりである(また実施例を参照されたい):
(1)薬剤がKIRを媒介したシグナリングを減少させる能力は、KIR2DL1を発現するNK細胞およびHLA-Cw4を発現する標的細胞を使用して、標準的な4時間のインビトロ細胞障害性アッセイ法において試験することができる。KIR2DL1は、HLA-Cw4を認識してKIRの二量体化を引き起こし、これが次にNKを媒介した細胞溶解を妨げる阻害性シグナリングの開始および伝播を引き起こすので、このようなNK細胞は、HLA-Cw4を発現する標的を死滅させない。インビトロ細胞障害性アッセイ法は、当技術分野に周知の標準的方法によって、たとえばColigan et al., eds., Current Protocols in Immunology, Greene Publishing Assoc. and Wiley Interscience, N.Y., (1992, 1993)に記述されたとおりに行われる。標的細胞をNK細胞の添加の前に51Crで標識し、次いで、死滅の結果として細胞から培地への51Crの放出に比例した死滅を見積もる。KIRの二量体化を妨げる薬剤またはKIRがHLA-Cw4に結合するのを妨げる薬剤を添加すると、KIRを経た阻害性シグナリングの開始および伝播の阻止が生じる。したがって、このような薬剤の添加により、標的細胞のNKを媒介した死滅の増大が生じる。こうして、この工程により、たとえばリガンド結合を遮断すること、またはKIRがリガンドに結合したことを示す、KIRの二量体化もしくは細胞外から細胞内へのシグナル伝達に関与するその他の分子現象を妨げることによってKIRで誘導されるネガティブシグナリングを妨げる薬剤を同定する。特定の51Cr-放出細胞障害性アッセイ法において、KIR2DL1を発現するYTSエフェクター細胞(YTS-2DL1)は、LCL 721.221-Cw3標的細胞を死滅させることができるが、LCL 721.221-Cw4細胞ではできない。対照的に、KIRを欠いているYTSエフェクター細胞(YTS)は、両方の株化細胞を効率的に死滅させる。したがって、YTS-2DL1エフェクター細胞は、KIR2DL1を経たHLA-Cw4で誘導された阻害性シグナリングのために、LCL 721.221-Cw4細胞を死滅させることができない。このような51Cr-放出細胞障害性アッセイ法において、YTS-2DL1細胞を本発明に従った遮断抗KIR mAbまたはmAbと共にプレインキュベートすると、LCL 721.221-Cw4細胞は、抗KIR mAb濃度依存的様式で死滅する。
【0110】
(2)薬剤がHLAクラスIとのKIR相互作用を遮断するかどうかを決定するために、以下の試験を行う:HLA-Cw4をトランスフェクトした株化細胞721.221(Litwin et al. Journal of Experimental Medicine. 1993. Vol 178, pages 1321-1336)を10μg/mLの可溶性KIR2DL1-Fc融合タンパク質(Wagtmann et al. Immunity. 1995. Vol 3, pages 801-809に記載されているように産生し、精製した)と共に4℃にて30分間、試験抗KIR mAbの濃度を増大しつつ試験抗KIR mAbの有無においてインキュベートした。細胞を洗浄し、次いでKIR-Fc融合タンパク質のFc部分を認識する二次抗体と共にインキュベートし、再び洗浄して、フローサイトメーター(FACScalibur、Beckton Dickinson)で標準的方法によって解析した。抗KIR mAbの非存在下では、KIR-Fcタンパク質が721.221-Cw4細胞に対して十分に結合する。HLA-Cに対するKIR結合を遮断する抗KIR mAbの存在下では、細胞に対するKIR-Fc結合の減少があり、このようなmAbは、「遮断mAb」と名付けられる。抗KIR mAbが、細胞に対するKIR-Fcタンパク質の結合の減少を引き起こさない場合、抗KIRmAbは、「非遮断」mAbと名付けられる。
【0111】
抗KIR mAbが、HLA-Cを発現する標的細胞のKIRを発現するNK細胞による死滅を誘導し(上記の実験1による)、かつそれがHLA-Cに対するKIRの結合を遮断しない(上記の実験2において)場合、mAbは、たとえばKIRがHLA-Cに結合するのを妨げずに、二量体化を減少させることによって阻害性KIRシグナリングを妨げる本発明の抗体である。
【0112】
本発明の抗体は、NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させる、たとえば部分的に、または完全に中和するであろう。たとえば、本発明の好ましい抗体は、合致したか、またはHLA適合性か、または自己の標的細胞集団、すなわち前記抗体の非存在下でNK細胞によって効率的に溶解されない細胞集団の溶解を誘導することができる。したがって、本発明の抗体は、また、インビトロおよびインビボの両方においてNK細胞細胞毒性活性を容易にし、増強し、または促進するものとして定義してもよい。
【0113】
免疫化および抗体産生と同時に、特定の選択工程を行って本発明の抗体を単離してもよい。一旦KIRポリペプチドに結合することができるモノクローナル抗体として同定したら、該抗体を、これらがHLA結合を減少させることなくNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させる能力および/またはこれらがKIRの二量体化を遮断する能力について選択する。この選択は、本明細書に記述したように行うことができる。
【0114】
具体的側面において、本発明は、また、ヒトKIR受容体遺伝子産物上の決定因子に結合する抗体または抗体断片を産生する方法であって、前記抗体は、NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させることができ、
(a)KIRポリペプチドを含む免疫原で非ヒト哺乳類を免疫する工程;
(b)前記免疫された動物から、前記KIRポリペプチドに結合する抗体を製造する工程、
(c)NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させることができる(b)の抗体を選択する工程、
(d)HLA-Cに対するKIR結合を減少させない(c)の抗体を選択する工程、
を含み、工程(c)および(d)の順序は、任意に逆転することができる方法に関する。
【0115】
一つの態様において、工程(b)で製造される抗体は、モノクローナル抗体である。したがって、本明細書に使用される「前記免疫された動物から抗体を製造すること」という用語は、免疫された動物からB細胞を得ること、およびこれらのB細胞を使用して抗体を発現するハイブリドーマを作製すること、並びに免疫した動物の血清から直接抗体を得ることを含む。もう一つの態様において、工程(c)で選択される抗体は、同族HLAクラスI分子を発現する標的細胞に対する標準的クロム放出アッセイ法で測定される抗KIR抗体によって認識される少なくとも1つのKIRを示すNK細胞によって媒介されるNK細胞障害性の阻害の少なくとも10%の増強または減少、好ましくはNK細胞障害性の少なくとも40もしくは50%またはより好ましくは少なくとも70%の増強を生じさせる。
【0116】
もう一つの態様によれば、本発明は、非ヒト宿主由来のB細胞を含むハイブリドーマであって、前記B細胞は、ヒトKIR受容体遺伝子産物、たとえばヒト阻害性KIR受容体遺伝子産物に存在する決定因子に結合し、かつ前記受容体の阻害活性を減少させることができる抗体を産生するハイブリドーマを提供する。本発明に従ったハイブリドーマは本明細書に記述したように、不死化した株化細胞を免疫した非ヒト哺乳類由来の脾細胞の融合によって作製される。この融合によって産生されるハイブリドーマをこのような抗体の存在についてスクリーニングする。特に、ハイブリドーマは、HLA-Cに対するKIR結合を遮断せず、および/または上記のようなドメイン1もしくはドメイン2または相同的ドメインに存在する決定因子を認識してNK細胞細胞障害性の増強を生じさせる抗体を産生する。
【0117】
別の側面において、本発明の薬剤は、1-26F117-A3および/もしくは1-26F117-A4並びに/またはその他の抗体と競合するか、あるいは本発明は、KIR2DL1またはKIR2DL3に対して結合の際に、および/または同じか、もしくは実質的に同じKIR2DL1および/またはKIR2DL3エピトープに結合する。このような薬剤は、当該技術分野において既知の種々の方法を使用して同定することができる。たとえば、1-26F117-A3および/または1-26F117-A4などの本発明の抗体と競合する1つまたは複数の抗体の同定は、たとえば抗体競合を評価することができる既知のスクリーニングアッセイ法を使用して決定することができる。多くのこのようなアッセイ法がルーチンで実施されており、当該技術分野において周知である(たとえば、米国特許第5,660,827号を参照された、これは、具体的に参照により本明細書に援用される)。たとえば、検査される試験抗体は、種々の供与源動物から得られ、またはさらに種々のIgアイソタイプのものであり、対照抗体(たとえば、1-26F117-A3または1-26F117-A4)を試験抗体と混合し、次いでKIR2DL1および/またはKIR2DL3のいずれかまたは両方を含む試料に適用するという単純な競合アッセイ法を使用してもよい。ELISA、放射免疫アッセイ、ウエスタンブロット法およびBIACORE解析の使用に基づくプロトコルは、たとえばこのような単純な競合研究に使用するために適している。
【0118】
ある態様において、KIR抗原試料に適用される前に、対照抗体を種々の量の試験抗体と(たとえば、約1:1、1:2、約1:10または1:100の比率で)しばらくの間前もって混合する。あるいは、対照と様々な量の試験抗体とを単に別々に添加することができ、KIR抗原試料に曝露する間に混合することができる。遊離抗体から結合抗体を区別し(たとえば、結合していない抗体を除去するための分離技術または洗浄技術を使用することにより)および試験抗体から対照抗体を区別する(たとえば、種特異的またはアイソタイプ特異的二次抗体使用することにより、または検出可能なラベルで対照抗体を特異的に標識することにより)ことができる限り、試験抗体が対照抗体の異なるKIR2DL抗原に対する結合を減少させて、実質的に対照と同じエピトープを認識することを示すかどうかを決定することができるであろう。完全に無関係な抗体(これは、KIRに結合しない)の存在下における(標識された)対照抗体の結合は、対照高値として役立ち得る。対照低値は、標識された対照抗体を、同じ対照抗体であるが標識されていない対照抗体と共にインキュベートすることによって得ることができ、この場合、競合が生じて標識された抗体の結合を減少させるであろう。試験アッセイ法において、試験抗体の存在下における標識された抗体の反応性の有意な減少は、実質的に同じエピトープを認識する試験抗体、すなわち標識された対照抗体と競合するものを指し示す。たとえば、約1:1または1:10〜約、1:100の間の1-26F117対試験抗体の比で、KIR2DL1およびKIR2DL3抗原の一方または両方に対する1-26F117対照抗体の結合を約50%まで、少なくとも約60%までなど、またはより好ましくは少なくとも約70%(たとえば、約65〜100%)減少させるいずれの試験抗体も、対照抗体と競合する抗体であるとみなされる。
【0119】
また、競合は、たとえばフローサイトメトリーによって評価することもできる。このような試験において、所与のKIRを有する細胞を最初に対照抗体(たとえば、1-26F117-A3または1-26F117-A4)と共に、次いで蛍光色素またはビオチンで標識された試験抗体と共にインキュベートすることができる。抗体は、対照抗体の飽和量と共にプレインキュベーションすることによって得られる結合が対照抗体と共にプレインキュベーションしていない試験抗体によって得られる結合(蛍光の平均値によって測定されるもの)の約80%、好ましくは約50%、約40%以下(たとえば、約30%)である場合に、対照抗体と競合するという。あるいは、抗体は、試験抗体の飽和量と共にプレインキュベートした細胞に対する標識された対照抗体で得られる結合(蛍光色素またはビオチンによって)が、試験抗体と共にプレインキュベーションすることなく得られる結合の約80%、好ましくは約50%、約40%以下(たとえば、約30%)である場合に、対照抗体と競合するという。
【0120】
また、試験抗体をKIR2DL1もしくはKIR2DL2/3のいずれかまたは両方が固定されている表面に対して事前に吸着させて、飽和濃度にて適用する単純な競合アッセイ法を使用してもよく、有利である。単純な競合アッセイ法での表面は、好ましくはBIACOREチップ(または、表面プラスモン共鳴解析のために適したその他の媒体)である。KIR-コーティング表面に対する対照抗体(たとえば、1-26F117-A3または1-26F117-A4)の結合が測定される。対照抗体単独のKIR含有表面に対するこの結合を試験抗体の存在下における対照抗体の結合と比較する。試験抗体の存在下における対照抗体によるKIR2DL1およびKIR2DL2/3含有表面に対する結合の有意な減少は、試験抗体が実質的に対照抗体と同じエピトープを認識し、その結果試験抗体が対照抗体と「競合する」することを示す。KIR2DL1およびKIR2DL2/3抗原の両方に対する対照抗体の結合を少なくとも約20%以上、少なくとも約40%、少なくとも約50%は、少なくとも約70%またはそれ以上まで減少させるいずれのの試験抗体も対照抗体と競合する抗体であるとみなすることができる。好ましくは、このような試験抗体は、対照抗体の結合を少なくともKIR2DL1、2、および3抗原のそれぞれの少なくとも約50%(たとえば、少なくとも約60%、少なくとも約70%またはそれ以上)まで減少させるであろう。対照抗体と試験抗体の順序は、逆転することができること;すなわち、対照抗体を最初に表面に結合させ、次いでその後に競合アッセイ法において試験抗体を表面と接触させることができる。好ましくは、第2の抗体に対して見られる結合の減少が、より大きくなることが予想されるので(抗体が競合する場合)、KIR2DL1およびKIR2DL2/3抗原に対してより高い親和性を有する抗体を最初にKIR2DL1およびKIR2DL2/3含有表面に結合させる。このようなアッセイ法のさらなる例は、本明細書に実施例において、およびたとえばSaunal and Regenmortel, (1995) J. Immunol. Methods 183: 33-41に提供されており、この開示は、参照により本明細書に援用される)。
【0121】
抗体またはその他の薬剤が、本発明の抗体、たとえばたとえば、1-26F117-A3または1-26F117-Aと同じか、または実質的に同じエピトープ領域に結合するかどうかの決定は、当業者に既知の方法使用することによって実施することができる。エピトープマッピング/特性付け法の例において、抗KIR抗体に対するエピトープ領域は、KIR2DL1またはKIR2DL2/3タンパク質の曝露されたアミン/カルボキシルの化学修飾を使用するエピトープ「フットプリント法」によって決定してもよい。このようなフットプリント法技術の1つの具体例は、HXMS(質量分析によって検出される水素重水素交換)の使用であり、この場合に、受容体およびリガンドタンパク質アミドプロトンの水素/重水素交換、結合および逆交換が生じ、タンパク質結合に関与するバックボーンアミド基は、逆交換から保護されており、したがって、重水素化したままである。関連した領域では、現時点で、消化性タンパク質分解、高速ミクロボア高速液体クロマトグラフィー分離および/またはエレクトロスプレーイオン化質量分析によって同定することができる。たとえば、Ehring H, Analytical Biochemistry, Vol. 267(2) pp. 252-259(1999) および/または Engen, J.R. and Smith, D.L.(2001) Anal. Chem. 73, 256A-265Aを参照されたい。適切なエピトープ同定技術のもう一つの例は、核磁気共鳴エピトープマッピング(NMR)であり、この場合、典型的には、遊離抗原と抗体などの抗原結合ペプチドと複合体を形成した抗原の二次元NMRスペクトルのシグナルの位置が比較される。抗原は、典型的には、15Nで選択的に同位体的に標識されており、その結果NMRスペクトルにおいて抗原に対応するシグナルだけが見え、抗原結合ペプチドからのシグナルは見えない。抗原結合ペプチドとの相互作用に関与するアミノ酸から生じる抗原シグナルは、典型的には遊離抗原のスペクトルと比較して複合体のスペクトルの位置が変化し、結合に関与するアミノ酸をこの方法で同定することができる。たとえば、Ernst Schering Res Found Workshop. 2004;(44):149-67; Huang et al, Journal of Molecular Biology, Vol. 281(1) pp. 61-67(1998);およびSaito and Pat-terson, Methods. 1996 Jun;9(3):516-24を参照されたい。
【0122】
また、エピトープマッピング/特性付けは、質量分析方法を使用して行うこともできる。たとえば、Downward, J Mass Spectrom. 2000 Apr;35(4):493-503 および Kiselar and Downard, Anal Chem. 1999 May 1;71(9):1792-801を参照されたい。
【0123】
また、プロテアーゼ消化技術は、エピトープマッピングおよび同定に関して有用であり得る。抗原決定基に関連した領域/配列は、プロテアーゼ消化によって、たとえば37℃およびpH 7-8でのKIR2DL1またはKIR2DL2/3 o/n消化のために約1:50の比率でトリプシンを使用し、続いてペプチド同定のために質量分析(MS)解析することによって決定することができる。続いて、抗KIR抗体によりトリプシン切断から保護されたペプチドをトリプシン消化に供した試料と抗体と共にインキュベートし、次いでたとえばトリプシンによる消化に供した試料との比較によって同定することができる(これにより、抗体に対するフットプリントを明らかにする)。また、または代わりに、キモトリプシン、ペプシン、その他のようなその他の酵素を同様のエピトープ特性付け法に使用することができる。さらに、酵素消化により、潜在的抗原性決定因子配列がKIR結合因子と会合したKIR2DL1の領域内にあるかどうかについて解析するための迅速な方法を提供することができる。ポリペプチドが表面に曝露されていない場合は、免疫原性/抗原性に関して関連がない可能性が高い。同様の技術の考察については、たとえば、Manca, Ann Ist Super Sanita. 1991;27(1):15-9を参照されたい。
【0124】
部位特異的変異誘発は、結合エピトープの解明のために有用なもう一つの技術である。たとえば、「アラニンスキャニング」では、タンパク質セグメント内のそれぞれの残基をアラニン残基で置換し、結合親和性についての結果を測定する。突然変異が結合親和性の有意な減少(resuction)を引き起こす場合、結合に関与している可能性が高い。構造的エピトープに特異的なモノクローナル抗体(すなわち、折り畳まれていないタンパク質を結合しない抗体)は、アラニン置換がタンパク質の全体の折り畳みに影響しないことを検証するために使用することができる。たとえば、Clackson and Wells, Science 1995;267:383-386;および Wells, Proc Natl Acad Sci USA 1996;93:1-6を参照されたい。
【0125】
また、エピトープ「フットプリント法」のために電子顕微鏡法を使用することができる。たとえば、Wang et al., Nature 1992;355:275-278では、天然のササゲモザイクウイルスのキャプシド表面に対するFab断片の物理的フットプリントを決定するために低温電子顕微鏡観察、三次元イメージ再構成およびX線結晶学を連繋した適用を使用した。
【0126】
エピトープ評価のための「標識なし」アッセイ法のその他の形態には、表面プラスモン共鳴(SPR、BIACORE)および反射光測定干渉分光法(RifS)を含む。たとえば、Fagerstam et al., Journal Of Molecular Recognition 1990;3:208-14; Nice et al., J. Chroma-togr. 1993;646:159-168; Leipert et al., Angew. Chem. Int. Ed. 1998;37:3308-3311; Kroger et al., Biosensors and Bioelectronics 2002;17:937-944を参照されたい。
【0127】
本発明の抗体と同じか、または実質的に同じエピトープに結合する抗体は、本明細書に記述した例示的競合アッセイ法の1つまたは複数のにおいて同定される点にまた留意されるはずである。
【0128】
KIR二量体化の阻止
本発明によれば、HLA-Cに対するKIR結合で妨害することなくNK細胞細胞障害性の阻害を妨げるための一つの方法は、KIR二量体化を妨げることである。一つの側面において、HLA-Cに対するKIR結合で妨害することなくNK細胞細胞障害性の阻害を妨げるもう一つの方法は、KIRクラスター形成を妨げることである。
【0129】
実施例1に記載されているように、「保存された部位アプローチ」、「タンパク質-タンパク質ドッキングアプローチ」および「結晶のパッキングアプローチ」(全て下に記述してある)を含む種々の分子モデリングアプローチを使用して、2つのKIRが互いに相互作用することができきるKIR上の部位があることを発見した。本明細書において「ドメイン1と会合する相互作用部位」と定義した一つのこのような部位は、KIR2DL1の細胞外部分の残基1〜101に対応するKIRのドメイン1に位置する(配列番号:14)。この部位は、折り畳まれたポリペプチドに多数の隣接したアミノ酸残基を含む。この部位を構成するアミノ酸は、本発明の薬剤に結合することができる。1つのKIR分子の相互作用部位のアミノ酸は、隣接したKIRの同一の部位のアミノ酸と相互作用することができる。したがって、KIR-KIR二量体化は、1つのKIRの「ドメイン1と会合する相互作用部位」のアミノ酸ともう一つのKIRの「ドメイン1と会合する相互作用部位」のアミノ酸との間の相互作用を含む。この他方のKIRは、KIR2DL1-KIR2DL1相互作用など、同じタイプのものであることができる。しかし、「ドメイン1と会合する相互作用部位」は、ほとんどまたは全てのその他のKIRにおいて保存されているので、相互作用は、KIR2DL1-KIR2DL2もしくはKIR2DL1-KIR2DS3またはその他の相互作用などの異なるKIR間であることができる。
【0130】
KIRのドメイン1における相互作用部位に加えて、ドメイン2にも異なる相互作用部位が同定され、これを「ドメイン2と会合する相互作用部位」と名付けた。KIRのドメイン2は、KIR2DL1の細胞外部分の残基105〜200(配列番号:14)に対応する。2つのKIRは、1つのKIRの「ドメイン2と会合する相互作用部位」のアミノ酸ともう一つのKIRの「ドメイン2と会合する相互作用部位」のアミノ酸との間の相互作用によって二量体化し得る。「ドメイン2と会合する相互作用部位」内のアミノ酸は、ほとんどまたは全てのその他のKIRにおいて保存されており;したがって、二量体化は、同じタイプ(KIR2DL2-KIR2DL2またはKIR2DL3-KIR2DL3などの)の2つのKIRの間で、または異なるタイプのKIR(KIR2DL1-KIR2DL2またはKIR2DL1-KIR2DS4など)の間であってもよい。
【0131】
したがって、本発明は、KIR二量体化を妨げるための薬剤および関連した方法であって、薬剤は、ドメイン1または2と会合する相互作用部位内のKIR決定因子に結合することにより、ドメイン1または2と会合する相互作用部位に含まれるアミノ酸の間の相互作用を妨害することによってKIRの二量体化を阻害するか、または減少させる方法を提供する。決定因子は、ドメイン1または2と会合する前記相互作用部位に含まれることができるが、決定因子は、また相互作用部位と隣接して、さらに二量体化に影響を及ぼすこともできる。一つの態様において、決定因子は、エピトープ、特に構造的エピトープである。
【0132】
特に、決定因子は、KIR2DL受容体基の少なくとも2つのメンバーによって共有されることができる。より詳細には、決定因子は、少なくともKIR2DL1とKIR2DL2および3とによって共有されることができる。本発明の一定の抗体は、KIR2DLの複数の遺伝子産物を認識することに加えて、KIR3DL受容体基の遺伝子産物などのその他の阻害性KIRに存在する決定因子を認識してもよい。さらにまた、本発明の抗体は、KIR2DS1またはKIR2DS2またはKIR2DS3を含むが、これらに限定されるわけではない活性化KIRと交差反応してもよい。決定因子またはエピトープは、KIRファミリーの前記メンバーによって共有されるペプチド断片または高次構造的エピトープを表してもよい。
【0133】
KIRのドメイン1またはドメイン2と会合する本発明に従った相互作用部位は、隣接したアミノ酸残基として折り畳まれたポリペプチドに存在し、したがって、高次構造的相互作用部位である。具体的残基およびこれらの位置は、実施例に示してあり、下記で再現してある。本発明の一つの態様において、前記決定因子は、ドメイン1または2と会合する相互作用部位に隣接するか、または含まれる高次構造的エピトープである。
【0134】
上記によれば、本発明の一つの局面において、KIRの二量体化は、ドメイン1と会合する2つの相互作用部位の間の相互作用の阻害によって減少されるか、または遮断される。
【0135】
もう一つの側面において、KIRの二量体化は、ドメイン2と会合する2つの相互作用部位の間の相互作用の阻害によって減少されるか、または遮断される。
【0136】
もう一つの側面において、本発明は、ヒトKIR受容体遺伝子産物上の決定因子に結合する抗体または抗体断片を産生する方法であって、前記抗体は、NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させることができ:
(a)KIRポリペプチドを含む免疫原で非ヒト哺乳類を免疫する工程;
(b)前記免疫された動物から、前記KIRポリペプチドに結合する抗体を製造する工程、
(c)KIR遺伝子産物の二量体化を遮断する(b)の抗体を選択する工程、および、
(d)NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させることができる(c)の抗体を選択する工程、
を含み、
工程(c)および(d)の順序は、任意に逆転することができる方法を提供する。
【0137】
一つの態様において、工程(b)において製造される抗体は、モノクローナル抗体である。したがって、本明細書に使用される「前記免疫された動物から抗体を製造する」という用語は、免疫された動物からB細胞を得る工程、およびこれらのB細胞を使用して、それはハイブリドーマを産生することは抗体を発現する。および並びにが免疫された動物の血清から直接に抗体を得る。したがって、本明細書に使用される「前記免疫された動物から抗体を製造すること」という用語は、免疫された動物からB細胞を得ること、およびこれらのB細胞を使用して抗体を発現するハイブリドーマを作製すること、並びに免疫した動物の血清から直接抗体を得ることを含む。もう一つの態様において、工程(c)で選択される抗体は、本発明に従った決定因子と結合し、かつKIRの二量体化を遮断するもの、より詳細には、本発明のドメイン1またはドメイン2と会合する相互作用部位と結合するものである。さらにもう一つの態様において、工程(c)で選択される抗体は、同族HLAクラスI分子を発現する標的細胞に対する標準的クロム放出アッセイ法で測定される抗体によって認識される少なくとも1つのKIRを示すNK細胞によって媒介されるNK細胞障害性の阻害のを少なくとも10%の増強または減少、好ましくはNK細胞障害性の少なくとも40もしくは50%またはより好ましくは少なくとも70%の増強を生じさせる。
【0138】
もう一つの態様によれば、本発明は、非ヒト宿主由来のB細胞を含むハイブリドーマであって、前記B細胞は、ヒトKIR受容体遺伝子産物、たとえばヒト阻害性KIR受容体遺伝子産物に存在する決定因子に結合し、かつ前記受容体の阻害活性を減少させることができる抗体を産生するハイブリドーマを提供する。本発明に従ったハイブリドーマは本明細書に記述したように、不死化した株化細胞を免疫した非ヒト哺乳類由来の脾細胞の融合によって作製される。この融合によって産生されるハイブリドーマをこのような抗体の存在についてスクリーニングする。特に、ハイブリドーマは、上記のようなドメイン1もしくはドメイン2または相同的ドメインに存在する決定因子を認識してKIRの二量体化を減少させるか、または遮断することによってNK細胞の増強を生じさせる抗体を産生する。
【0139】
当該技術分野において既知の方法を使用し、簡単な修正をして、薬剤がKIR二量体化またはクラスター形成を遮断することによってKIRを媒介した阻害を減少させるかどうかを試験することができる。たとえばFaureら(J Immunol. 2003; 170:6107-14)によって記述された傾向共鳴エネルギー転移(FRET)に基づいた方法を、本発明の薬剤がKIR二量体化および/またはクラスター形成を減少させるか、または遮断するかどうかを検出するための以下のアッセイ法に適応することができる。このアッセイ法では、KIR2DL1を発現したNK株化細胞YTS-2DL1を、KIR2DL1のリガンドである組換えHLA-Cw4分子を発現する標的細胞と共にインキュベートする。トランスフェクトしたHLA-Cw4分子は、454nmレーザーで興奮したときに、それぞれ緑色または黄色の光を放射する緑色蛍光タンパク質(GFP)または黄色蛍光タンパク質(YFP)をこれらのC末端にて含む。Cw4-GFPおよびCw4-YFP構築物の両方を同時トランスフェクトした細胞をYTS-2DL1 NK細胞と混合して、37℃にて20分間インキュベートし、細胞抱合対を固定する。次いで、454nmで励起して同時に共焦点のレーザー走査顕微鏡でスペクトル蛍光イメージを記録することにより、FRET解析を行う。YFPシグナルを光退色することにより、GFPタンパク質からの蛍光値を得ることができ、これがYFPの付近にあることによって、すなわち蛍光がYFPからGFPに移行するときに異なる波長の光を放射する(FRETシグナル)。HLA-Cw4分子が、静止状態においてトランスフェクト細胞の表面上に均一に分布するときは、極少数のHLA-Cw4分子が、FRETシグナルを発生するために必要とされるほど密接に近くにきて(100Å未満の)、蛍光がYFPからGFPに転移される。しかし、YTS-2DL1細胞の存在下では、HLA-Cw4分子は、YFPからGFPへの蛍光転移によって検出可能なほど密接に近くにくる(Faure et al. J Immunol. 2003;170:6107-14)。KIR-HLAクラスI結合の化学量論は、1:1であるので(Fan et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA。1996;93:7178)、FRE
Tによって明らかになるHLA-Cw4の近接、またはクラスター形成、または二量体化は、同じようにKIRが近くに近接することを意味する。抗KIR mAbの有無においてこのアッセイ法を行うことにより、抗KIR mAbがKIRクラスター形成または二量体化に影響を及ぼす能力の測定値が得られる。HLA-Cw4-GFPによるFRETを、標的細胞をNK細胞の非存在下でインキュベートしたときに観察されるレベルに減少させる抗KIR mAbは、KIRクラスター形成または二量体化を妨げるmAbを指し示す。
【0140】
同一形式のアッセイ法の代わりの構成では、YTS細胞においてC末端のGFPまたはYFPタグと共に組換えで発現される野生型HLA-Cw4または一定のKIRの別のHLA-Cリガンドを発現する標的細胞を使用する。HLA-CによるGFPおよびYFP標識されたKIRの結合により、クラスター形成または二量体化を生じて、FRETシグナルを引き起こす。KIRのクラスター形成または二量体化を妨げる抗KIR mAbの添加により、FRETシグナリングの減少を引き起こす。
【0141】
代わりのアッセイ法では、抗体などの特定の抗KIR結合剤がKIR二量体化を妨げるかどうかを、薬剤がKIRのドメイン1または2と結合するかどうかを試験によって決定する。ドメイン1または2のいずれかに対して結合することが同定された薬剤は、KIR二量体化を減少させるか、または遮断するはずである。ドメイン1または2に対する薬剤の結合を試験するための例示的アッセイ法は、実施例8に提供してある。
【0142】
KIRファミリーのKIR2DL1の特定のメンバーでのモデリングにより、ドメイン1またはドメイン2と会合する相互作用部位が同定されており、図1に、並びに実施例1および2に示したように、2つの高次構造的相互作用部位を含む。KIR2DL1(配列番号:14)およびKIR2DS2(配列番号:6残基22にて始まる、図3を参照されたい)の細胞外部分のアミノ酸配列を参照して、以下の相互作用部位が、ここで、並びに実施例1および2において説明したとおりに予測された。
【0143】
ドメイン1と会合する相互作用部位:H1、E2、H5、R6、D31、V32、M33、F34、E35、H36、H50、D57、G58、V59、V83、T84、H85、S86、Q89、L90、S91、A92。
【0144】
ドメイン2と会合する相互作用部位:P108、S109、L110、S111、A112、Q113、P114(またはL114)、G115、T125、S127、S129、R131、K155、V156、N157、G158、T159、Q161、A162、D163、S192、D193、P194、L195、L196、V197、S198、V199およびT200。
【0145】
したがって、一つの態様において、ドメイン1と会合する相互作用部位は、アミノ酸位H1、E2、H5、R6、D31、V32、M33、F34、E35、H36、H50、D57、G58、V59、V83、T84、H85、S86、Q89、L90、S91、A92を含む。
【0146】
もう一つの態様において、ドメイン2と会合する相互作用部位は、アミノ酸位P108、S109、L110、S111、A112、Q113、P114(またはL114)、G115、T125、S127、S129、R131、K155、V156、N157、G158、T159、Q161、A162、D163、S192、D193、P194、L195、L196、V197、S198、V199およびT200を含む。
【0147】
KIR2DL1のドメイン1および2に対応するその他のKIRのドメインは、KIR2DL1、KIR2DL、KIR2DS、KIR3DLおよびKIR3DS配列の配列整列によって予測することができる。代表例を図2および3に示してあり、ドメイン1およびドメイン2の相互作用残基の表示(ドメイン1について「1」;ドメイン2について「2」)と共に2DL2、2DL3、2DL4、2DS1、2DS2、2DS3、2DS4、2DS5の整列(図2)、並びにドメイン1およびドメイン2と会合する相互作用残基の表示と共に3DL1、3DL2、3DL3、3DS1、2DL1の整列(図3)を示す。
【0148】
その他のKIRファミリーメンバーのこのような相同配列と結合し、および二量体化を減少させるか、または遮断する薬剤も、本発明の範囲内に含まれる。本状況において、「ヒトKIR遺伝子産物」は、KIR遺伝子によってコードされるタンパク質を示す。
【0149】
モデリングアプローチ
タンパク質の3次元の構造が、X線実験または相同性モデリングから既知であるときは、機能的有意性をもつ残基を同定するために、少なくとも3つの異なる方法が存在する。保存部位アプローチでは、保存された部位を同定するために、タンパク質構造上の部位を配列整列と比較する。タンパク質-タンパク質ドッキングアプローチでは、機能的に有意な残基を同定するために、タンパク質がそれ自体または別のタンパク質にドッキングされるであろう。結晶パッキングアプローチでは、機能的部位を決定するために、タンパク質を同じかまたは異なる結晶の組成物のその他のタンパク質にパックするかが、X線結晶により調査される。
【0150】
保存部位アプローチでは、このようなタンパク質の分子表面を、潜在的相互作用部位について詳細に考察することができる。それぞれの部位を、表面常でのその位置および該位置を取り囲むサイズによって定義する。部位と会合する原子が決定されたときは、部位をその残基組成に関して特定することができる。次いで、その残基によって定義された部位を一連の関連したタンパク質、たとえば相同体、相同分子種、類似体またはキメラの配列整列において同じ位置の残基と比較して、いくつかの関連したタンパク質間で同じ残基組成をもつ保存された部位を同定することができる。このような保存された部位は、機能的有意性と関連する(del Sol MA, Pazos F, Valencia A, 2003, J. Mol. Biol. 326:1289-1302)。
【0151】
最近概説された(Schneidman-Duhovny D, Nussinov R, Wolfson HJ, 2004, Curr. Med. Chem. 11:91-107)タンパク質-タンパク質ドッキングアプローチでは、2つの表面を表面上の特徴によって表す。特徴には、水素結合能力、電荷および疎水性を含む。格子に基づいた方法で、空間を立方体に分けて、それぞれの立方体には、表面(内部、表面、外部)と関連したその位置に従った値を与えて、関連した特徴セットを割り当てる。現在、全体の3方の平行移動および3法の回転自由度を検索することにより、スコアリング関数による表面の総当たり突き合わせを使用することができる。平行移動は、高速フーリエ変換によって扱い、回転は、回転空間の標準的打切り内の個々の計算として処理する。最高のスコアリング複体から、広範な方法、たとえば形状相補性、ファンデルワールス相互作用、疎水性、静電学、脱溶媒和、水素結合、原子接触エネルギー、残基-残基対統計結果および親水基対により、結果をフィルターして、スコアすることができる。最高のスコアリング複体を詳細に評価して、相互作用残基を同定することができる。
【0152】
結晶のパッキングアプローチでは、対称換算される座標だけでなく、単位セルおよびその隣接セル内の全ての関連したパッキングについても、どのようにタンパク質が結晶においてそれ自体およびその他のタンパク質上にパックされるかをX線結晶により調査する。この手法では、単位セルの全ての3×3×3格子内のタンパク質をそれらの相互作用について解析し、これを列に鎖数および水平に横切って残基数をもつピボットテーブルにマップして、セルの相互作用を計数する。それぞれの鎖ついての総相互作用数によってソーティングして、隣の完全なセットと共に鎖を同定し、これらのうちの1つをタンパク質と全てのその相互作用隣接物のみをもつ換算した構造セットでのさらなる解析のために選択することができる。それぞれの相互作用を詳細に評価して、相互作用する残基を同定することができる。
【0153】
機能的有意性をもつ残基は、現在、突然変異解析による機能的側面の研究によって確証し、機能効果を阻害する治療薬のための標的として役立てることができる。
【0154】
抗体
重鎖の定常ドメインのタイプに応じて、抗体は、5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgMのうちの1つに割り当てられる。これらのいくつかは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、その他などのサブクラスまたはアイソタイプにさらに分けられる。異なる免疫グロブリンのクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ「α」、「δ」、「ε」、「γ」および「μ」と呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造および三次元配置が周知である。IgGおよび/またはIgMは、これらが生理学的状況において最も一般的抗体であるので、またこれらが研究室状況において最も容易に作製されるので、本発明に使用される抗体の好ましいクラスである。一つの態様において、本発明の抗体は、インビボにおけるNK細胞の枯渇を回避するために、Fc受容体と結合せず、かつ補体を固定しないIgG4サブクラス、またはIgG1もしくはIgG2のモノクローナル抗体である。
【0155】
全長抗体には、鎖がジスルフィド結合によって相互接続された4つのポリペプチド鎖の2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖を含む。それぞれの重鎖は、重鎖可変領域および重鎖定常領域で構成される(本明細書においてHCVRまたはVHと略記した)。重鎖定常領域は、3つのドメインのCH1、CH2およびCH3で構成される。それぞれの軽鎖は、軽鎖可変領域および軽鎖定常領域で構成される(本明細書においてLCVRまたはVLと略記した)。軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL)で構成される。VHおよびVL領域は、超可変領域(相補性決定領域(CDR)と呼ばれ、フレームワーク領域(FR)と呼ばれるより保存された領域と共に散在している)にさらに細分することができる。それぞれのVHおよびVLは、以下の順序でアミノ末端からカルボキシ末端まで配置された3つのCDRおよび4つのFRで構成される:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。
【0156】
本発明の抗体は、当該技術分野において既知の種々の技術によって産生してもよい。典型的には、これらは、KIRポリペプチド、たとえば阻害性KIRポリペプチド、好ましくはKIR2DLポリペプチド、より好ましくはヒトKIR2DLポリペプチドを含む免疫原でヒト以外の動物を免疫化することによって産生される。KIRポリペプチドは、ヒトKIRポリペプチドの全長配列または断これらの片もしくは誘導体、典型的には免疫原性断片、すなわち阻害性KIR受容体を発現する細胞の表面上に曝露されるエピトープを含む一部のポリペプチドを含んでいてもよい。このような断片は、典型的には成熟ポリペプチド配列の少なくとも7つの連続したアミノ酸、さらに好ましくはこれらの少なくとも10個の連続したアミノ酸を含む。これらは、本質的に受容体の細胞外ドメインに由来する。さらに好ましくは、全長KIRDLポリペプチドの細胞外Igドメインの少なくとも一方、より好ましくは両方を含み、かつKIR2DL受容体に存在する少なくとも1つの高次構造的エピトープを模倣することができるヒトKIR2DLポリペプチドである。その他の態様において、前記ポリペプチドは、KIR2DL1の細胞外Igドメインの少なくとも8つの連続したアミノ酸を含む(配列番号:14)。
【0157】
最も詳細な態様において、免疫原には、典型的には細胞の表面にける脂質膜の野生型ヒトKIR2DLポリペプチドを含む。特定の態様において、免疫原は、無処置のNK細胞、特に無処置のヒトNK細胞、任意に処置または溶解されたものを含む。
【0158】
好ましい態様において、ヒト以外の動物は、齧歯類(たとえば、マウス、ラット、その他)、ウシ、ブタ、ウマ、ウサギ、ヤギ、ヒツジ、その他などの哺乳類である。また、非ヒト哺乳類を遺伝子改変または操作してXenomouse(商標)(Abgenix)またはHuMAb-マウス(商標)(Medarex)などの「ヒト」抗体を産生してもよい。
【0159】
非ヒト哺乳類を抗原で免疫する工程は、マウスにおいて抗体産生を刺激するために当技術分野において周知のいずれの様式で行ってもよい(たとえば、E. Harlow and D. Lane, Antibodies: A Laboratory Manual., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY (1988)を参照されたい)。次いで、免疫原を緩衝液に、任意に完全フロインドアジュバントなどのアジュバントと共に懸濁し、または溶解させる。免疫原の量、緩衝液の型およびアジュバントの量を決定するための方法は、当業者に周知であり、本発明のいずれの方法にも限定しない。これらのパラメーターは、異なる免疫原に対して異なるが、容易に解明されるであろう。
【0160】
同様に、抗体産生を刺激するために十分な免疫化の位置および頻度も、当技術分野において周知である。典型的な免疫化プロトコルでは、ヒト以外の動物に1日目に、および約1週後に再び抗原を腹腔内注射する。これには、20日ごろに任意に不完全フロイントアジュバントなどのアジュバントと共に抗原のリコール注射を行う。リコール注射は、静脈内に行い、数日間連続して繰り返してもよい。これには、40日目に、静脈内または腹腔内のいずれに、典型的にはアジュバントを伴わずにブースター注射を行う。このプロトコルでは、約40日後に抗原特異的抗体を産生するB細胞が生じることとなる。また、その他のプロトコルも、これらが免疫化に使用した抗原に対する抗体を発現するB細胞を生じることとなる限り、利用してもよい。
【0161】
ポリクローナル抗体製造のためには、免疫されたヒト以外の動物から血清を得て、周知の技術によってその中に存在する抗体を単離する。阻害性KIR受容体と反応する抗体を得るために、固体支持体に連結した上記した免疫原を使用して血清を親和性精製してもよい。
【0162】
代わりの態様において、ワクチン接種を受けていない非ヒト哺乳類からのリンパ球を単離して、インビトロで培養し、次いで細胞培養の際に免疫原に曝露する。次いで、リンパ球を収集し、下に記述した融合工程を行う。
【0163】
モノクローナル抗体について、次の工程は、免疫された非ヒト哺乳類からの脾細胞の単離およびその後の、抗体産生ハイブリドーマを形成するための、これらの脾細胞の不死化された細胞との融合である。非ヒト哺乳類からの脾細胞の単離は、当技術分野において周知であり、典型的には麻酔した非ヒト哺乳類から脾臓を除去し、これを小さな小片に切断して、単個細胞浮遊液を作製するために、脾臓カプセルから脾細胞を細胞濾過器のナイロンメッシュを通して適切な緩衝液中に圧搾することを含む。細胞を洗浄し、遠心して、何らかの赤血球溶解緩衝液に再懸濁する。溶液を再び遠心して、最後にペレット中の残りのリンパ球を新鮮な緩衝液に再懸濁する。
【0164】
一旦単離して、単個細胞浮遊液に存在すれば、リンパ球を不死株化細胞に融合させる。これらは、典型的にはマウス骨髄腫株化細胞であるが、ハイブリドーマを作製するために有用な多くのその他の不死株化細胞が当該技術分野において既知である。好ましいマウス骨髄腫株は、Salk Institute Cell Distribution Center, San Diego, Calif. U.S.Aから入手可能なMOPC-21のおよびMPC-11マウス腫瘍またはAmerican Type Culture Collection, Rockville, Maryland U.S.Aから入手可能なX63 Ag8653およびASP-2細胞に由来するものを含むが、これらに限定されるわけではない。融合は、ポリエチレングリコール等を使用して行う。次いで、生じるハイブリドーマを、融合していない親骨髄腫細胞の増殖または生存を阻害する1つまたは複数の物質を含む選択培地中で培養する。たとえば、親骨髄腫細胞が、酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠いている場合、ハイブリドーマのための培地は、典型的にはヒポキサンチン、アミノプテリンおよびチミジン(HAT培地)を含むと考えられる(これらの物質はHGPRT欠損した細胞の増殖を妨げる)。
【0165】
ハイブリドーマは、典型的にはマクロファージの支持細胞層上で培養される。マクロファージは、好ましくは脾細胞を単離するために使用される非ヒト哺乳類の同腹仔由来であり、典型的にはハイブリドーマをプレートにまく数日前に、不完全フロイントアジュバントまたは同様のもので初回抗原刺激を受けさせる。融合法は、(Goding, “Monoclonal Antibodies: Principles and Practice,” pp. 59-103 (Academic Press, 1986))に記述されている。
【0166】
細胞を、コロニー形成および抗体産生のために十分な時間選択培地中で増殖させる。これは、通常7〜14日の間である。次いで、ハイブリドーマコロニーを、KIR遺伝子産物を結合する抗体産生についてアッセイする。アッセイ法は、典型的には比色ELISA型アッセイ法であるが、当技術分野において周知のとおり、免疫沈降法、放射免疫アッセイ法、Biacoreアッセイ法またはシンチレーション近接アッセイ法(SPA)を含むいくつかのその他のタイプのアッセイ法を使用してもよい。1つまたは複数の異なったコロニーが存在するかどうかを決定するために、所望の抗体産生について陽性のウェルを調べる。複数のコロニーが存在する場合、単一細胞だけが確実に所望の抗体を産生するコロニーを生じさせるように、細胞を再度クローン化して増殖させてもよい。典型的には、単一の明らかなコロニーをもつ陽性ウェルを再度クローン化して、1つのモノクローナル抗体だけが検出されて、産生されていることを確認するために再度アッセイする。
【0167】
本発明のモノクローナル抗体を産生することが確認されたハイブリドーマは、次いでDMEMまたはRPMI-1640などの適切な培地中でより大量に増殖させる。あるいは、ハイブリドーマ細胞は、動物中で腹水癌としてインビボで増殖させることができる。
【0168】
所望のモノクローナル抗体を産生するのに十分に増殖後、モノクローナル抗体(または腹水液)を含む増殖培地を細胞から分離して、その中に存在するモノクローナル抗体を精製する。精製は、典型的にはアガロースもしくはセファロースビーズなどの固体支持体に連結されたプロテインAもしくはタンパク質G-セファロース、または抗マウスIgを使用してクロマトグラフィーによって達成される(全て、たとえばAntibody Purification Handbook, Amersham Biosciences, publication No. 18-1037-46, Edition ACに記述されており、この開示は、参照により本明細書に援用される)。結合した抗体は、典型的には低いpHの緩衝液(pH 3.0以下のグリシンまたは酢酸緩衝液)使用することによりプロテインA/タンパク質Gカラムから溶出し、抗体含有画分を即時に中和する。これらの画分をプールし、透析して、必要に応じて濃縮する。
【0169】
別の態様によれば、本発明の抗体をコードするDNAをハイブリドーマから単離して、適切な宿主にトランスフェクションするために適した発現ベクター内に配置する。次いで、宿主を、そのモノクローナル抗体のヒト化バージョン、抗体の活性断片または抗体の抗原認識部分を含むキメラ抗体などの抗体またはこれらの変異体の組換え産生のために使用する。特に、本態様に使用されるDNAは、KIR2DL遺伝子産物の決定因子を含むドメイン1および/またはドメイン2を認識する抗体をコードし、これらのKIR受容体の少なくとも1つを発現するNK細胞の増強を生じさせる。
【0170】
本発明のモノクローナル抗体をコードするDNAは、容易に単離され、従来の手順を使用して(たとえば、マウス抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子に対して特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブ使用することにより)シーケンスされる。一旦単離されれば、DNAを発現ベクターに入れて、次いでこれをトランスフェクトがなければ免疫グロブリンタンパク質を産生しない大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または骨髄腫細胞などの宿主細胞にトランスフェクトして、組換え宿主細胞においてモノクローナル抗体の合成を行うことができる。抗体をコードするDNAの細菌における組換え発現は、当技術分野において周知である(たとえば、Skerra et al., Curr. Opinion in Immunol., 5, pp. 256 (1993); and Pluckthun, Immunol. Revs., 130, pp. 151 (1992)を参照されたい)。
【0171】
また、抗体は、たとえばWard et al (Nature 341 (1989) 544)に開示されたように、免疫グロブリンの組み合わせライブラリーの選択によって産生してもよい。
【0172】
抗体断片および誘導体
本発明の抗体の断片および誘導体は、当該技術分野において既知の技術によって作製することができる。「免疫反応性断片」は、一部の無処置の抗体、一般には抗原結合部位または可変領域を含む。抗体断片の例は、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2およびFv断片;ダイアボディー;隣接するアミノ酸残基の1つの連続的配列からなる一次構造物を有するポリペプチドであるいずれかの抗体断片(本明細書において、「単鎖抗体断片」または「1本鎖ポリペプチド」と称する)を含み、:(1)単鎖Fv(scFv)分子(2)結合した重鎖部分をもたずに軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含む、1つの軽鎖可変ドメインのみを含む1本鎖ポリペプチドか、またはこれらの断片および(3)結合した軽鎖部分をもたずに重鎖可変領域の3つのCDRを含む、1つの重鎖可変領域のみを含む1本鎖ポリペプチドまたはこれらの断片;並びに抗体断片から形成された多特異的抗体を含むが、これらに限定されるわけではない。たとえば、FabまたはF(ab’)2断片は、従来の技術に従って単離した抗体のプロテアーゼ消化によって産生してもよい。
【0173】
あるいは、本発明の抗体を産生するハイブリドーマのDNAを本発明の断片をコードするように修飾してもよい。次いで、修飾されたDNAを発現ベクターに挿入して、適切な細胞を形質転換するか、またはトランスフェクトするために使用し、次いでこれにより所望の断片を発現する。
【0174】
代わりの態様において、本発明の抗体を産生するハイブリドーマのDNAは、発現ベクターに挿入する前に、たとえばヒト重鎖および軽鎖定常ドメイン相同的非ヒト配列の代わりにコード配列と置き換えることによって(たとえば、Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 81, pp. 6851 (1984))、または非免疫グロブリンポリペプチドをコードする配列のコード配列全部または一部を免疫グロブリンに共有結合と連結することによって修飾することができる。その様式において、本来の抗体の結合特異性を有する「キメラ」または「ハイブリッド」抗体が製造される。典型的には、このような非免疫グロブリンポリペプチドにより、本発明の抗体の定常ドメインを置換する。
【0175】
したがって、本発明の抗体は、また、一部の重鎖および/または軽鎖が本来の抗体の対応配列と同一もしくは相同的であるが、これらが所望の生物活性を示す限り、鎖の残りが別の種に由来する抗体の対応配列と同一または相同的であるか、または別の抗体クラスまたはサブクラスに属する「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、並びにこのような抗体の断片に作製してもよい(Cabilly et al., supra; Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 81, pp. 6851 (1984))。
【0176】
既知の可変重鎖(VH)および可変軽鎖(VL)およびヒト定常領域由来の組換え抗体産生は、たとえばCHO細胞におけるヒトモノクローナル抗-HIV-1抗体の発現を報告するRukerらによって(Annals of the New York Academy of Sciences. 1991;646:212-219)、;Bianchiら(Biotechnology and Bioengineering. 2003;84:439-444)、トランス補完(trans-complementing)発現ベクターを使用する全長抗体の高レベル発現を記述するBianchiら(Biotechnology and Bioengineering. 2003;84:439-444)、ジヒドロ葉酸還元酵素を媒介した遺伝子増幅の間のCHO細胞のヒト化抗体発現の際のクローン変異の発生の重要な決定因子を記述するNo Soo Kimら(Biotechnol. Prog. 2001;17:69-75)、マウス-ヒトキメラ抗体およびキメラFab’断片の発現、精製、並びに特性付けを報告するKingら(Biochemical Journal. 1992;281:317-323);ヒト重鎖およびヒト軽鎖可変領域(両方ともFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4配列を含む)を含む単離されたヒトモノクローナル抗体を記述する国際公開第2003064606号;並びにヒトCD40に特異的に結合して、活性化するキメラまたはヒトモノクローナル抗体および抗原結合性部分を記述する国際公開第2003040170号によって記述されている。
【0177】
ある例示的態様において、1-26F117-A3または1-26F117-A4のVHおよびVL配列由来のキメラ組換えmAbまたはこれらの誘導体もしくは変異体が産生される。抗体遺伝子を哺乳動物発現ベクターないにサブクローニングするためには、軽鎖可変(VL)および重鎖可変(VH)遺伝子の増幅のために、それぞれmAbの重鎖および軽鎖可変領域をコードするcDNAに基づいてプライマーをデザインする。コザック配列、リーダー配列および独特の制限酵素部位を含むように、PCRにより可変領域をフォーマットする。VLについては、これは、5’PCRプライマーが、HindIII部位、コザック配列を導入して、かつ可変軽鎖領域のリーダー配列の5’末端に相同的であるようにデザインすることによって達成される。3’プライマーは、可変領域の3’末端に相同的であり、かつ可変領域の3’境界にBsiWI部位が導入される。VH領域は、それぞれNotIおよびNheI部位がHindIIIおよびBsiWIの代わりに5’および3’末端に導入されることを除いては、同様の様式で作製される。
【0178】
増幅された遺伝子産物は、それぞれ、標準的技術を使用してヒトまたは非ヒト抗体のための軽鎖および重鎖定常領域を含む市販の、またはさもなければ既知の真核生物発現ベクターないにクローニングする。市販のベクターの1つの例は、ATCC(アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション、カタログ番号87094)から入手可能なpASK84である。VL DNA断片をHindIIIおよびBsiWIで消化して、アンピシリンに対する耐性をコードするベータラクタマーゼ遺伝子および大腸菌複製開始点(pUC)を含む真核生物発現ベクターに結合し;生じるプラスミドは、VLCLと命名してある。VH DNA断片をNotIおよびNheIで消化して、上記のとおりにVL断片の導入によって生じたVLCLベクターに導入する。生じるプラスミドは、同じプラスミド上に抗体の重鎖および軽鎖の両方をコードする機能的発現カセットを含む。結合されたプラスミドを使用して大腸菌を形質転換する。プラスミドDNAをこれらのアンピシリン耐性微生物集団から製造して、CHO細胞またはその他の哺乳類株化細胞へのトランスフェクションのために使用する。トランスフェクションおよび細胞培養は、たとえば“Molecular Cloning”, Sambrookらに記述されるているような標準的方法によって行うことができる。生じたものは、その本来のVHおよびVL領域とヒトmAbからの定常領域とを含む1-26F117のキメラバージョンなどの関心対象の抗体分子を安定に発現して、分泌するトランスフェクト株化細胞である。
【0179】
ヒトIgGの定常領域をコードする全てのcDNA配列は、以下のGenBank登録で見つけることができ、こららのそれぞれが、参照によりその全体が援用される:
ヒトIgG1定数重鎖領域:GenBankアクセッション#:J00228
ヒトIgG2一定の重鎖領域:GenBankアクセッション#:J00230
ヒトIgG3一定の重鎖領域:GenBankアクセッション#:X04646
ヒトIgG4一定の重鎖領域:GenBankアクセッション#:K01316
ヒトカッパ軽鎖定常領域:GenBankアクセッション#:J00241。
【0180】
あるいは、抗体断片(たとえば、Fab断片)を発現するために、1-26F117-A3もしくは1-26F117-A4のVHおよびVL領域またはこれらの突然変異体もしくは誘導体を切断された定常領域をコードするベクターにクローニングすることができる。
【0181】
抗体のアイソタイプ転換も、同様の原理に従って行うことができる。たとえば1-26F117-A3または-A4と正確に同じ特異性をもつが異なるアイソタイプの抗体は、カッパ軽鎖定常領域およびIgG1またはIgG2またはIgG3またはIgG4重鎖定常領域から選択される重鎖定常領域をコードするcDNAを含むプラスミド内にVLおよびVH配列をコードするcDNAをサブクローニングすることによって得ることができる。したがって、産生される抗体は、いずれのアイソタイプを有することもでき、次いで当技術分野の従来技術を使用して、抗体をアイソタイプ転換することができる。このような技術には、直接組換え技術(たとえば、米国特許4,816,397号を参照されたい)、細胞-細胞融合法(たとえば、米国特許5,916,771号を参照されたい)および当該技術分野において既知のその他の適切な技術の使用を含む。したがって、本発明によって提供される抗体のエフェクター機能は、種々の治療的またはその他の使用のために、たとえばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgA、IgEまたはIgM抗体へアイソタイプ転換することによって親抗体のアイソタイプに関して「変更」を行ってもよい。
【0182】
もう一つの態様に従って、本発明の抗体は、ヒト化されている。本発明に従った抗体の「ヒト化」形態は、マウス免疫グロブリンに由来する最小の配列を含む特異的キメラ免疫グロブリン、免疫グロブリン鎖またはこれらの断片(Fv、Fab、Fab’、F(ab’)2またはその他の抗体の抗原結合性部分列など)である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、レシピエントの相補性決定領域(CDR)由来の残基が、本来の抗体(ドナー抗体)のCDR由来の残基によって置換されているが、もとの抗体の所望の特異性、親和性および能力を維持するヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。いくつかの場合には、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基を対応する非ヒト残基によって置換してもよい。さらにまた、ヒト化抗体は、レシピエント抗体内で、または移入されたCDRまたはフレームワーク配列内のいずれかでは見いだされない残基を含むことができる。これらの修飾により、抗体性能がさらに洗練され、最適化される。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つの、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、もとの抗体のものに対応したCDR領域の全てまたは実質的に全ておよびFR領域の全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。また、ヒト化抗体は、至適には、少なくとも一部の免疫グロブリン定常領域(Fc)、典型的にヒト免疫グロブリンのものを含む。さらなる詳細については、Jones et al., Nature, 321, pp. 522 (1986); Reichmann et al., Nature, 332, pp. 323 (1988); and Presta, Curr. Op. Struct. Biol., 2, pp. 593 (1992)を参照されたい。したがって、1-26F117-A3または1-26F117-A4のVHおよびVL CDR領域とヒトmAb由来の定常領域およびフレームワーク領域とを含む1-26F117-A3または1-26F117-A4のヒト化バージョンは、本明細書に記述したように、既知の定常およびフレームワークヒトmAb配列、並びに当技術分野において確立された技術を使用して作製することができる。
【0183】
本発明の抗体をヒト化するための方法は、当技術分野において周知である。一般に、本発明に従ったヒト化抗体は、1つまたは複数のアミノ酸残基がもとの抗体に由来するその中に導入されている。これらのマウスまたはその他の非ヒトアミノ酸残基は、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と称されることが多い。ヒト化は、本質的にWinterおよぶ同僚(Jones et al., Nature, 321, pp. 522 (1986); Riechmann et al., Nature, 332, pp. 323 (1988); Verhoeyen et al., Science, 239, pp. 1534 (1988))の方法に従って行うことができる。したがって、このような「ヒト化」抗体は、キメラ抗体(Cabilly et al.,米国特許第4,816,567号)であって、実質的に無処置のヒト可変ドメインが、もとの抗体由来の対応配列によって置換されていないキメラ抗体である。実際に、本発明に従ったヒト化抗体は、典型的には、いくつかのCDR残基およびおそらくいくつかのFR残基が、もとの抗体の類似の部位由来の残基によって置換されたヒト抗体である。
【0184】
ヒト化抗体を作製する際に使用されるヒト可変ドメイン(軽および重)の選択は、抗原性を減少させるために非常に重要である。いわゆる「最良適合」法によれば、本発明の抗体の可変ドメインの配列を、既知のヒト可変ドメインお配列の全てのライブラリーに対してスクリーニングする。次いで、マウスのものに最も近いヒト配列が、ヒト化抗体のためのヒトフレームワーク(FR)として受け入れられる(Sims et al., J. Immunol., 151, pp. 2296 (1993); Chothia and Lesk, J. Mol. Biol., 196, pp. 901 (1987))。もう一つの方法では、軽鎖または重鎖の特定のサブグループの全てのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体のために使用することができる(Carter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 89, pp. 4285 (1992); Presta et al., J. Immunol., 51, pp. 1993))。
【0185】
抗体は、複数の阻害性KIR受容体に対する高親和性およびその他の有利な生物学的性質を保持しつつヒト化することがさらに重要である。この目標を達成するために、好ましい方法に従って、親配列およびヒト化の配列の三次元モデルを使用して、親配列および種々の概念上のヒト化産物の解析法によってヒト化抗体を製造する。三次元免疫グロブリンモデルは、一般に利用でき、当業者にはなじみがある。選択された候補免疫グロブリン配列においてありそうな三次元高次構造上の構造を図示し、示すコンピュータープログラムを利用できる。これらのディスプレイの検査により、候補免疫グロブリン配列の機能を担う残基の可能性が高いことの解析、すなわち候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響を与える残基の解析が可能になる。このような方法で、標的抗原に対する親和性の増大などの所望の抗体特性が達成されるように、FR残基を選択して、コンセンサス配列と移入配列からのものを組み合わせることができる。一般に、CDR残基は、直接およびほとんど実質的に、抗原結合への影響に関与している。
【0186】
「ヒト化」モノクローナル抗体を作製するもう一つの方法は、免疫化のために使用するマウスとしてXenoMouse(登録商標)(Abgenix、Fremont、CA)を使用することである。
【0187】
XenoMouseは、その免疫グロブリン遺伝子が機能的ヒト免疫グロブリン遺伝子によって置換された本発明に従ったマウス宿主である。したがって、このマウスによって、またはこのマウスのB細胞から作製したハイブリドーマにおいて産生される抗体は、すでにヒトである。XenoMouseは、米国特許第6,162,963号に記述されている。類似の方法は、HuMAb-Mouse(商標)(Medarex)を使用して達成することができる。
【0188】
また、免疫化のために、ヒト抗体レパートリーを発現するように操作されたその他のトランスジェニック動物使用することによるか(Jakobovitz et al., Nature 362 (1993) 255)またはファージディスプレイ法を使用して抗体レパートリーを選択することなどにより、種々のその他の技術に従ってヒト抗体を産生してもよい。このような技術は、当業者に既知であり、本出願に開示したように、モノクローナル抗体から開始して実行することができる。
【0189】
本発明の範囲内のその他の誘導体は、官能性をもたせた抗体、すなわちリシン、ジフテリア毒素、アブリンおよびシュードモナス(Pseudomonas)外毒素などの毒素に対して;蛍光部分、放射性同位元素もしくはイメージング剤などの検出可能な部分に対して;PEG-分子;もしくはアガロースビーズ等などの固体支持体に対して抱合されたか、または共有結合で結合した抗体を含む。抗体に対するこれらのその他の薬剤の抱合または共有結合形成のための方法は、当技術分野において周知である。
【0190】
本発明の抗体が診断目的に使用されるときに、検出可能な部分に対する抱合は、有用である。このような目的には、生体試料をこれらの細胞表面上にKIRを有するNK細胞の存在についてアッセイして、生きた生物においてKIRを有するNK細胞の存在を検出することを含むが、これらに限定されるわけではない。また、このようなアッセイ法および検出方法も本発明の別の態様である。
【0191】
固体支持体に対する本発明の抗体の抱合は、体液などの供与源から、それらの細胞表面上にKIRを有するNK細胞を親和性精製するためのツールとして有用である。この精製法は、本発明のもう一つの別の態様であり、生じる精製されたNK細胞の集団でも同様である。
【0192】
代わりの態様において、本発明の抗体は、単独で、または動物に対するターゲットされた送達のためのもう一つの物質と共に、リポソーム(「免疫リポソーム)に組み込んでもよい。このようなその他の物質には、遺伝子療法のための遺伝子の送達のための核酸もしくはNK細胞における遺伝子を抑制するためのアンチセンスRNA、RNAiもしくはsiRNAの送達のための核酸またはNK細胞のターゲットされた死滅のための毒素もしくは薬物を含む。
【0193】
また、ヒトKIR受容体遺伝子産物上の決定因子に結合する抗体または抗体断片を産生するための上記した方法であって、前記抗体は、NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させることができる方法を、その他の薬剤の単離のために適用することができる。一つの特定の態様において、本発明は:
a)試験薬剤のプールを提供すること;および、
b)二量体化に貢献する条件下(HLA-Cまたはその他のKIR-リガンドを発現する標的細胞の存在下など)でKIRの二量体化を減少させるか、または遮断する試験薬剤を選択すること;
c)NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を中和することができる(b)からのいずれかの薬剤を選択することにより、
NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を中和することができる薬剤を単離するための方法であって、
工程(b)および(c)の順序は、任意に逆転される方法に関する。
【0194】
もう一つの特定の態様において、本発明は:
a)試験薬剤のプールを提供すること;および、
b)HLA-Cに対するKIR結合に貢献する条件下(HLA-Cまたはその他のKIR-リガンドを発現する標的細胞の存在下など)でKIRとHLAとの結合を検出可能におよび/または実質的に減少させないか、または遮断しない試験薬剤を選択すること;
c)(NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を中和することができるb)からのいずれかの薬剤を選択することにより、
NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を中和することができる薬剤を単離するための方法であって、
工程(b)および(c)の順序は、任意に逆転される方法に関する。
【0195】
組成物および投与
また、本発明は、任意の適切な媒体中に、患者における、またはNK細胞を含む生体試料におけるNK細胞細胞障害性を検出可能に増強するために有効な量で、薬剤、たとえば上に記載のような抗体(抗体の断片および誘導体を含む)を含む組成物を提供する。本組成物は、薬学的に許容される担体をさらに含む。
【0196】
本明細書に使用される「生体試料」という用語には、体液(たとえば、血清、リンパもしくは血液)細胞試料または組織試料(たとえば、骨髄)を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0197】
これらの組成物に使用してもよい薬学的に許容される担体には、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、ヒト血清アルブミンなどの血清タンパク質、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、飽和植物性脂肪酸の部分的グリセリド混合物、水、塩または硫酸プロタミンなどの電解質、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイドシリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ポリアクリラート、蝋、ポリエチレン-ポリpキシプロピレン-ブロック重合体、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0198】
本発明の組成物は、患者または生体試料におけるNK細胞の活性を増強する方法に使用してもよい。この方法は、前記組成物を前記患者または生体試料と接触する工程を含む。このような方法は、診断目的および治療目的のために有用である。
【0199】
特定の態様において、本発明は、たとえばKIRの二量体化を減少させるか、または遮断することによって、そのHLA-リガンドに対するKIR結合を減少させることなく、NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させる方法に関する。
【0200】
さらなる態様において、二量体化は、潜在的にその他のKIRと同様に、KIR2DL1、2もしくは3のドメイン1または2と会合する相互作用部位間の相互作用に影響を及ぼす決定因子に対する、または全てのKIRの相同的相互作用部位に対する薬剤の結合によって遮断される。
【0201】
さらなる態様において、本発明は、KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも1つのに対する結合の際に、抗体1-26F117-A3または-A4のVHおよびVL配列と競合する抗体などを含む薬剤を使用してNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させる方法に関する。
【0202】
さらなる態様において、本発明は、抗体1-26F117-A3または-A4のVHおよびVL配列と競合する抗体によって認識されるKIR2DL1および/またはKIR2DL3エピトープに結合する抗体などの薬剤を使用してNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させる方法に関する。
【0203】
生体試料に関して使用するためには、試料(液体または固体)の性質に応じて、抗体組成物を単に試料と混合すること、または直接適用することによって投与することができる。生体試料は、任意の適切な装置(プレート、ポーチ、フラスコ、その他)において抗体と直接接触させてもよい。患者に関して使用するためには、組成物を患者に投与するために製剤化しなければならない。
【0204】
もう一つの本発明の目的は、1mg/mL〜500mg/mLの濃度で存在する抗KIR結合剤を含む医薬品製剤であって、2.0〜10.0のpHを有する前記製剤を提供することである。製剤には、さらに緩衝系、防腐剤、張性薬、キレート薬、安定剤および界面活性物質を含んでいてもよい。本発明の一つの態様において、医薬品製剤は、水性製剤、すなわち水を含む製剤である。このような製剤は、典型的には溶液または懸濁液である。本発明のさらなる態様において、医薬品製剤は、水溶液である。「水性製剤」という用語は、少なくとも50%w/w水を含む製剤として定義される。同様に、「水溶液」という用語は、少なくとも50%w/w水を含む溶液として定義され、「水性懸濁液」という用語は、少なくとも50%w/w水を含む懸濁液として定義される。
【0205】
もう一つの態様において、医薬品製剤は、冷凍乾燥された製剤であり、使用前に医師または患者が溶媒および/または希釈剤をこれに添加する。
【0206】
もう一つの態様において、医薬品製剤は、何ら事前に溶解することなく使用可能な乾燥製剤(たとえば、凍結乾燥されたか、またはスプレー乾燥されたもの)である。
【0207】
さらなる側面において、本発明は、薬剤および緩衝液の水溶液を含む医薬品製剤であって、薬剤が1mg/mL以上の濃度で存在し、かつ約2.0〜約10.0、pHを有する前記製剤に関する。
【0208】
本発明のもう一つの態様において、製剤のpHは、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3、7.4、7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8.0、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9.0、9.1、9.2、9.3、9.4、9.5、9.6、9.7、9.8、9.9および10.0からなる一覧より選択される。
【0209】
本発明のさらなる態様において、緩衝液は、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、シトラート、グリシルグリシン、ヒスチジン、グリシン、リジン、アルギニン、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸ナトリウムおよびトリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン、ビシン、トリシン、リンゴ酸、スクシナート、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、アスパラギン酸またはこれらの混合物からなる群より選択される。これらの具体的緩衝液のそれぞれが、本発明の代わりの態様を構成する。
【0210】
本発明のさらなる態様において、製剤は、薬学的に許容される保存剤をさらに含む。本発明のさらなる態様において、保存剤は、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、p−オキシ安息香酸メチル、プロピルp-ヒドロキシベンゾアート、2-フェノキシエタノール、ブチルp-ヒドロキシベンゾアート、2-フェニルエタノール、ベンジルアルコール、クロロブタノールおよびチオメルサール、ブロノポール、安息香酸、イミド尿素、クロロヘキシジン、デヒドロ酢酸ナトリウム、クロロクレゾール、p−ヒドロオキシ安息香酸エチル、塩化ベンゼトニウム、クロロフェネシン(3p-クロルフェノキシプロパン-1,2-ジオール)またはこれらの混合物からなる群よりから選択される。本発明のさらなる態様において、保存剤は、0.1mg/mL〜20mg/mLの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、保存剤は、0.1mg/mL〜5mg/mLの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、保存剤は、5mg/mL〜10mg/mLの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、保存剤は、10mg/mL〜20mg/mLの濃度で存在する。これらの具体的防腐剤のそれぞれが、本発明の代わりの態様を構成する。医薬組成物における保存剤の使用は、当業者に周知である。便宜のために、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995に対して参照がなされる。
【0211】
本発明のさらなる態様において、製剤は、張性薬をさらに含む。本発明のさらなる態様において、張性薬は、塩(たとえば、塩化ナトリウム)、糖または糖アルコール、アミノ酸(たとえばL-グリシン、L-ヒスチジン、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニン)、アルジトール(たとえば、グリセロール(グリセリン)、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール)ポリエチレングリコール(たとえば、PEG400)またはこれらの混合物からなる群より選択される。たとえばフルクトース、グルコース、マンノース、ソルボース、キシロース、マルトース、乳糖、ショ糖、トレハロース、デキストラン、プルラン、デキストリン、シクロデキストリン、可溶性デンプン、ヒドロキシエチルデンプンおよびカルボキシメチルセルロース-Naを含む、単糖、二糖もしくは多糖体などのいずれかの糖または水溶性グルカンを使用してもよい。一つの態様において、糖添加物は、ショ糖である。糖アルコールは、少なくとも1つの−OH基を有するC4-C8炭化水素として定義され、たとえば、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、ガラクチトール、ズルシトール、キシリトールおよびアラビトールを含む。一つの態様において、糖アルコール添加物は、マンニトールである。前述の糖または糖アルコールは、個々に、または組み合わせて使用してもよい。糖または糖アルコールが液状製剤に可溶性であり、かつ本発明の方法を使用して達成される安定化効果を悪い方向にしない限り、使用量に決まった制限はない。一つの態様において、糖または糖アルコール濃度は、約1mg/mL〜約150mg/mLの間である。本発明のさらなる態様において、張性薬は、1mg/mL〜50mg/mLの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、張性薬は、1mg/mL〜7mg/mLの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、張性薬は、8mg/mL〜24mg/mLの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、張性薬は、25mg/mL〜50mg/mLの濃度で存在する。これらの特異的な張性薬のそれぞれは、本発明の代わりの態様を構成する。医薬組成物における張性薬の使用は、当業者に周知である。便宜のために、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995に対して参照がなされる。
【0212】
本発明のさらなる態様において、製剤は、キレート薬をさらに含む。本発明のさらなる態様において、キレート薬は、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、クエン酸およびアスパラギン酸塩およびこれらの混合物から選択される。本発明のさらなる態様において、キレート薬は、0.1mg/mL〜5mg/mLの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、キレート薬は、0.1mg/mL〜2mg/mLの濃度で存在する。本発明のさらなる態様において、キレート薬は、2mg/mL〜5mg/mLの濃度で存在する。これらの具体的キレート薬のそれぞれが、本発明の代わりの態様を構成する。医薬組成物におけるキレート薬の使用は、当業者に周知である。便宜のために、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995に対して参照がなされる。
【0213】
本発明のさらなる態様において、製剤は、安定剤をさらに含む。医薬組成物における安定剤の使用は、当業者に周知である。便宜のために、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995に対して参照がなされる。
【0214】
より詳細には、本発明の組成物は、治療的に活性な成分には、おそらく液体医薬品製剤の貯蔵の間に凝集体形成を示すポリペプチドを含む安定化された液体医薬組成物である。「凝集体形成」とは、オリゴマーの形成を生じるポリペプチド分子(これは、可溶性のままでもよい)または溶液から沈殿するより大きな可視凝集体間の物理的相互作用を意図する。「貯蔵の間」とは、一旦製造された液体医薬組成物または製剤が被験体に即時に投与されないことを意図する。むしろ、製造後に、液体状態で、凍結状態で、または後で液体状態に再構成するための乾燥形態で、または被験体に対して投与するために適したその他の形態で貯蔵するためにパックされる。「乾燥形態」とは、液体医薬組成物または製剤が凍結乾燥法(すなわち、凍結乾燥;たとえば、Williams and Polli (1984) J. Parenteral Sci. Technol. 38:48-59を参照されたい)、噴霧乾燥(Masters (1991) in Spray-Drying Handbook (5th ed; Longman Scientific and Technical, Essez, U.K.), pp. 491-676; Broadhead et al. (1992) Drug Devel. Ind. Pharm. 18:1169-1206;およびMumenthaler et al. (1994) Pharm. Res. 11:12-20を参照されたい)または空気乾燥(Carpenter and Crowe (1988) Cryobiology 25:459-470; and Roser (1991) Biopharm. 4:47-53を参照されたい)のいずれかによって乾燥されていることが意図される。液体医薬組成物の貯蔵の間のポリペプチドによる凝集体形成は、そのポリペプチドの生物活性に悪影響を与えて、医薬組成物の治療有効性の喪失を生じ得る。さらにまた、凝集体形成は、ポリペプチド含有医薬組成物が注入系を使用して投与されたときに、管、膜、またはポンプの遮断などのその他の問題を生じさせる可能性がある。
【0215】
本発明の医薬組成物は、組成物の貯蔵の間にポリペプチドによる凝集体形成を減少させるために十分なアミノ酸塩基の量をさらに含んでいてもよい。「アミノ酸塩基」とは、任意の所与のアミノ酸が、その遊離塩基形で、またはその塩形態で存在する場合のアミノ酸またはアミノ酸の組み合わせが意図される。アミノ酸の組み合わせが使用される場合、アミノ酸の全てがこれらの遊離塩基形態で存在してもよく、全てがこれらの塩形態で存在してもよく、または一部がこれらの遊離塩基形態で存在し、その他がこれらの塩形態で存在してもよい。一つの態様において、本発明の組成物を製造する際に使用するためのアミノ酸は、アルギニン、リジン、アスパラギン酸およびグルタミン酸などの荷電した側鎖を有するものである。特定のアミノ酸のがその遊離塩基形態またはその塩形態で存在する限り、特定のアミノ酸のいずれかの立体異性体(すなわち、L、Dまたはこれらの混合物)またはこれらの立体異性体の組み合わせ(たとえば、メチオニン、ヒスチジン、イミダゾール、アルギニン、リジン、イソロイシン、アスパラギン酸、トリプトファン、スレオニンおよびこれらの混合物)が本発明の医薬組成物に存在してもよい。一つの態様において、L-立体異性体が使用される。また、本発明の組成物は、これらのアミノ酸の類似体と共に製剤化してもよい。「アミノ酸類似体」とは、本発明の液体医薬組成物の貯蔵の間のポリペプチドによる凝集体形成の減少する所望の効果をもたらす天然に存在するアミノ酸の誘導体を意図する。適切なアルギニン類似体には、たとえばアミノグアニジン、オルニチンおよびN-モノエチル L-アルギニンを含み、適切なメチオニン類似体には、エチオニンおよびブチオニンを含み、適切なシステイン類似体には、S-メチル-Lシステインを含む。その他のアミノ酸と同様に、アミノ酸類似体は、これらの遊離塩基形態またはこれらの塩形態で組成物に組み込まれる。本発明のさらなる態様において、アミノ酸またはアミノ酸類似体は、タンパク質の凝集を妨げるか、または遅延させるために十分な濃度で使用される。
【0216】
本発明のさらなる態様において、メチオニン残基のメチオニンスルホキシドへの酸化を阻害するために、治療薬として作用するポリペプチドがこのような酸化に対して感受性の少なくとも1つのメチオニン残基を含むポリペプチドであるときに、メチオニン(または、その他の硫黄アミノ酸またはアミノ酸類似体)を添加してもよい。「阻害する」とは、ある期間にわたってメチオニンの酸化型種の蓄積を最小にすることを意図する。メチオニン酸化を阻害することにより、その適当な分子形態のポリペプチドのより優れた保持が生じる。メチオニンのいずれの立体異性体(LまたはD)またはこれらの組み合わせを使用することもできる。添加される量は、メチオニンスルホキシドの量が調節媒体に許容されるように、メチオニン残基の酸化を阻害するために十分な量であるべきである。典型的には、これは、組成物が約10%〜約30%のメチオニンスルホキシドのみを含むことを意味する。一般に、これは、メチオニン残基に添加されるメチオニンの比率が10:1〜約100:1などの約1:1〜約1000:1の範囲であるようにメチオニンを添加することによって達成することができる。
【0217】
本発明のさらなる態様において、製剤には、高分子重合体または低分子化合物の群から選択される安定剤をさらに含む。本発明のさらなる態様において、安定剤は、ポリエチレングリコール(たとえばPEG 3350)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、カルボキシ-/ヒドロキシセルロースまたはこれらの誘導体(たとえばHPC、HPC-SL、HPC-LおよびHPMC)シクロデキストリン、モノチオグリセロール、チオグリコール酸および2-メチルチオエタノールとして硫の黄含有物質、並びに種々の塩(たとえば、塩化ナトリウム)から選択される。これらの具体的安定剤のそれぞれが、本発明の代わりの態様を構成する。
【0218】
また、医薬組成物は、その中の治療的に活性なポリペプチドの安定性をさらに増強するさらなる安定剤を含んでいてもよい。本発明に対して特に関心がもたれる安定剤は、ポリペプチドをメチオニン酸化から保護するメチオニンおよびEDTA、並びにポリペプチドを凍結融解または機械的分断と関連する凝集から保護する非イオン性界面活性剤を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0219】
本発明のさらなる態様において、製剤には、界面活性物質をさらに含む。本発明のさらなる態様において、界面活性物質は、洗浄剤、エトキシル化されたヒマシ油、グリセリド、アセチル化されたモノグリセリド、ポリグリコール化されたソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシプロピレン-ポリオキシエチレンブロック重合体(Pluronic(登録商標)、F68、ポロキサマー188および407、Triton X-100などのポロキサマー)、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキル化され、アルコキシル化された誘導体などのポリオキシエチレンおよびポリエチレン誘導体(tween、たとえばTween-20、Tween-40、Tween-80およびBrij-35)、モノグリセリドまたはこれらのエトキシル化誘導体、ジグリセリドまたはこれらのポリオキシエチレン誘導体、アルコール、グリセロール、レクチンおよびリン脂質(たとえば、ホスファチジルセリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、フォスファチジルイノシトール、カルジオリピンおよびスフィンゴミエリン)、リン脂質(例えば、ジパルミトイルホスファチジン酸)およびリゾリン脂質(たとえば、パルミトイルリゾホスファチジル-L-セリンおよびエタノールアミン、コリン、セリンまたはスレオニンの1-アシル-ステーヌ-グリセロ3-リン酸エステル)の誘導体、並びにリゾホスファチジルおよびホスファチジルコリンのアルキル、アルコキシル(アルキルエステル)、アルコキシ(アルキルエーテル)誘導体、たとえばリゾホスファチジルコリンのラウロイルおよびミリストイル誘導体、ジパルミトイルホスファチジルコリンおよび極性頭基の修飾、すなわちコリン、エタノールアミン、ホスファチジン酸、セリン、スレオニン、グリセロール、イノシトール、および正に荷電したDODAC、DOTMA、DCP、BISHOP、リゾホスファチジルセリンおよびリゾホスファチジルスレオニンおよびグリセロリン脂質(例えば、ケファリン)、グリセロ糖脂質(たとえば、ガラクトピラノシド(galactopyransoide))、スフィンゴ糖脂質(例えば、セラミド、ガングリオシド)、ドデシルホスホコリン、雌鶏卵子リゾレシチン、フシジン酸誘導体(たとえば、ナトリウムタウロ-ジヒドロフシダートその他)、長鎖脂肪酸およびこれらの塩C6-C12(たとえば、オレイン酸およびカプリル酸)、アシルカルニチンおよび誘導体、リジン、アルギニンもしくはヒスチジンのNαアシル化誘導体またはリジンもしくはアルギニンの側鎖アシル化誘導体、リジン、アルギニンまたはヒスチジンと中性または酸性アミノ酸とのいずれかの組み合わせを含むジペプチドのNαアシル化誘導体、中性アミノ酸と2つの荷電アミノ酸とのいずれかの組み合わせを含むトリペプチドのNαアシル化誘導体、DSS(ドキュセートナトリウム、CAS登録番号577-11-7])、ドキュセートカルシウム、CAS登録番号[128-49-4])、ドキュセートカリウム,CAS登録番号[7491-09-0])、SDS(ドデシル硫酸ナトリウムまたはドデシル硫酸ナトリウム)、カプリル酸ナトリウム、コール酸またはこれらの誘導体、胆汁酸およびこれらの塩、並びにグリシンまたはタウリン抱合体、ウルソデオキシコール酸、コール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、N-ヘキサデシル-N,N-ジメチル3-アンモニオ-1プロパンスルホナート、陰イオン性(アルキル-アリール-スルホナート)一価の界面活性物質、双性イオン性界面活性物質(たとえばN-アルキル-N,N-ジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホナート、3-コラミド-1-プロピルジメチルアンモニオ-1-プロパンスルホナート、陽イオン性界面活性物質(四級アンモニウム塩基)(たとえば、臭化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム)、非イオン性界面活性物質(たとえば、ドデシルβ-D-グルコピラノシド)、エチレンジアミンに対するプロピレンオキサイドおよびエチレンオキサイドの逐次添加に由来する四官能基性ブロック共重合体であるポロキサミン(たとえば、Tetronicのもの)、から選択されるか、または界面活性物質は、イミダゾリン誘導体またはこれらの混合物の群から選択してもよい。これらの具体的界面活性物質のそれぞれが、本発明の代わりの態様を構成する。
【0220】
医薬組成物における界面活性物質の使用は、当業者に周知である。便宜のために、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 19th edition, 1995に対して参照がなされる。
【0221】
本発明のさらなる態様において、製剤には、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)およびベンズアミジンHClなどのプロテアーゼ阻害剤をさらに含むが、また、その他の市販のプロテアーゼ阻害剤を使用してもよい。プロテアーゼ阻害剤の使用は、プロテアーゼの酵素前駆体を含む医薬組成物において、自己触媒を阻害するために特に有用である。その他の成分が、本発明の医薬品製剤に存在することもできる。このようなさらなる成分には、湿潤剤、乳化剤、抗酸化剤、増量剤、張性調整薬、キレート薬、金属イオン、油性媒体、タンパク質(たとえば、ヒト血清アルブミン、ゼラチンまたはタンパク質)および双性イオン(たとえば、ベタイン、タウリン、アルギニン、グリシン、リジンおよびヒスチジンなどのアミノ酸)を含んでいてもよい。このようなさらなる成分は、もちろん本発明の医薬品製剤の全体の安定性に悪影響を与えるべきではない。
【0222】
本発明に従った薬剤を含む医薬組成物は、このような治療を必要とする患者に対して、いくつかの部位にて、たとえば局所的部位、皮膚および粘膜部位に、吸収を迂回する部位に(たとえば動脈に、静脈に、心臓に投与)、並びに吸収に関与する部位に、たとえば皮膚に、皮下に、筋肉内に、または腹部に投与)投与してもよい。
【0223】
本発明に従った医薬組成物の投与は、このような治療を必要とする患者に対して、いくつかの経路、たとえば舌音、舌下腺、頬側を介して、口に、経口で、胃および小腸に、経鼻で、経肺、たとえば細気管支および肺胞またはこれらの組み合わせを介して、上皮に、真皮に、経皮で、経膣で、直腸で、眼に、たとえば結膜を介して、尿管に、並びに非経口的であってもよい。
【0224】
本発明の組成物は、いくつかの剤形で、たとえば溶液、懸濁液、乳剤、ミクロエマルジョン、多層エマルジョン、泡、膏薬、ペースト、硬膏、軟膏、錠剤、コートされたタブレット、リンス、カプセル、たとえば硬ゼラチンカプセルおよび軟ゼラチンカプセル、坐薬、直腸投与カプセル、液滴、ゲル、スプレー、粉末、エアロゾル、吸入薬、点眼、眼軟膏、眼用リンス、膣ペッサール、膣リング、膣軟膏、注射溶液、インサイチュー変換溶液、たとえばインサイチューでのゲル化、インサイチューでの凝固、インサイチューでの沈殿、インサイチューでの結晶化、輸液およびインプラントとして投与してもよい。
【0225】
本発明の組成物は、さらに化合物の安定性を強化し、生物学的利用能を増大し、溶解度を増大し、有害作用を減少し、当業者に周知の時間治療を達成し、および患者のコンプライアンスを増大し、またはこれらのいずれかの組み合わせのために、たとえば共有結合性、疎水性および静電性相互作用を介して、薬物担体、薬物送達系および高度な薬物送達系にさらに配合し、または付着させてもよい。担体、薬物送達系および高度な薬物送達系の例には、重合体、たとえばセルロースおよび誘導体、多糖体、たとえばデキストランおよび誘導体、デンプンおよび誘導体、ポリ(ビニルアルコール)、アクリラートおよびメタクリルラート重合体、ポリ乳酸およびポリグリコール酸、並びにこれらのブロック共重合体、ポリエチレングリコール、キャリアタンパク質、たとえばアルブミン、ゲル、たとえば熱ゲル化系(thermogelling system)、たとえば当業者に周知のブロック共重合体系、ミセル、リポソーム、微粒子、ナノ粒子、液晶およびこれらの分散、脂質-水系の相挙動の当業者に周知のL2相およびその分散、重合体ミセル、多層エマルジョン、自己エマルジョン、自己マイクロエマルジョン、シクロデキストリンおよびこれらの誘導体、並びにデンドリマーを含むが、これらに限定されるわけではない。
【0226】
本発明の組成物は、たとえば定用量吸入器、乾燥粉末吸入器および噴霧器(全て当業者にとって周知の装置である)を使用する、薬剤の肺の投与のための固体、半固体、粉末および溶液の製剤に有用である。
【0227】
本発明の組成物は、徐放性、持続性、遅延性、抑制性および緩効性薬物送達系の製剤に特に有用である。より具体的には、しかし限定されるわけではないが、組成物は、当業者にとって周知の非経口的徐放性および持続性系の製剤に有用である(両系とも、何倍もの投与数の減少に至る)。さらに好ましくは、皮下投与される徐放性および持続性系である。本発明の範囲を限定することはないが、有用な徐放性系および組成物の例には、ヒドロゲル、油性ゲル、液晶、重合体ミセル、微粒子、ナノ粒子である。
【0228】
本発明の組成物のために有用な徐放性系を産生する方法には、結晶化、凝縮、共結晶化、沈澱、共沈、乳化、分散、高圧ホモジナイゼーション、カプセル化、噴霧乾燥、マイクロカプセル化、コアセルベーション、相分離、微粒子を産生するための溶媒蒸発、抽出法および超臨界流体抽出法を含むがこれらに限定されるわけではない。一般的参照は、Handbook of Pharmaceutical Controlled Release (Wise, D.L., ed. Marcel Dekker, New York, 2000) and Drug and the Pharmaceutical Sciences vol. 99: Protein Formulation and Delivery (MacNally, E.J., ed. Marcel Dekker, New York, 2000)に対してなされる。
【0229】
非経口的投与は、注射器、任意にペン様注射器によって、皮下、筋肉内、腹腔内または静脈内注射によって行われてもよい。あるいは、非経口的投与は、注入ポンプによって行うことができる。さらなる選択肢には、経鼻または経肺スプレーの形態での薬剤の投与のための溶液または懸濁液であってもよい組成物がある。なおさらなる選択肢として、本発明の薬剤を含む医薬組成物も、経皮投与、たとえば針のない注射によって、またはパッチ、任意にイオン泳動パッチから、または経粘膜で、たとえば頬側の投与に適応させることができる。
【0230】
薬剤は、肺の薬物送達のために適したいずれかの既知のタイプの装置を使用して、溶液、懸濁液または乾燥粉末として媒体中の肺経路を経て投与することができる。これらの例には、肺薬物送達のための3つの一般的タイプのエアロゾルを発生するものを含むが、これらに限定されるわけではなく、することで型、およびジェットまたは超音波ネブライザー、定容量吸入器または乾燥粉末吸入器を含んでいてもよい(参照Yu J, Chien YW. Pulmonary drug delivery: Physiologic and mechanistic aspects. Crit Rev Ther Drug Carr Sys 14(4) (1997) 395-453)。
【0231】
標準化された試験方法論に基づいて、粒子の空気力学的直径(da)は、単位密度(1g/cm3)における標準球状粒子の幾何学的に同等の直径として定義される。最も単純な場合には、球状粒子について、daは、以下によって記述されるように、密度比の二乗根の関数として参照直径(d)に関連がある:
【数1】

【0232】
非球状粒子については、この関係に対する修正が生じる(参照、Edwards DA, Ben-Jebria A, Langer R. Recent advances in pulmonary drug delivery using large, porous inhaled particles. J Appl Physiol 84(2) (1998) 379-385)。「MMAD」および「MMEAD」という用語は、当技術分野において十分に記述され、周知である(Edwards DA, Ben-Jebria A, Langer R and represents a measure of the median value of an aerodynamic particle size distribution. Recent advances in pulmonary drug delivery using large, porous inhaled particles. J Appl Physiol 84(2) (1998) 379-385)。質量中央空気力学的径(MMAD)および質量中央有効空気力学的径(MMEAD)は、交換可能に使用され、統計的パラメーターであり、エアロゾル粒子のサイズを、実際の形状、サイズまたは密度から独立して、これらが肺に沈着する可能性に関して経験的に記述する(参照、Edwards DA, Ben-Jebria A, Langer R. Recent advances in pulmonary drug delivery using large, porous inhaled particles. J Appl Physiol 84(2) (1998) 379-385)。MMADは、通常空気中での粒子慣性挙動を測定する機器であるインパクターで行った測定から算出する。
【0233】
さらなる態様において、製剤は、10μm未満、より好ましくは1〜5μmの間、最も好ましくは1〜3μmの間のエアロゾル粒子のMMADを達成するために、噴霧などの既知のいずれかのエアロゾル適用技術によってエアロゾル化することができる。好ましい粒径は、タンパク質が至適に吸収される深在性肺への薬物の送達のために最も有効なサイズに基づく。
【0234】
( Edwards DA, Ben-Jebria A, Langer A, Recent advances in pulmonary drug delivery using large, porous inhaled particles. J Appl Physiol 84(2) (1998) 379-385)。
【0235】
本薬剤を含む経肺製剤の深在性肺沈殿は、任意に、さらに吸入技術の修飾、たとえば:緩徐な吸入流(例えば、30L/分)、呼吸停止および作動のタイミング(しかし、これらに限定されるわけではない)を使用することにより最適化してもよい。
【0236】
「安定化された製剤」という用語は、物理安定性が増大され、化学的安定性が増大され、または物理的および化学的安定性が増大された製剤をいう。
【0237】
本明細書に使用されるタンパク質(たとえば、抗体)製剤の「物理安定度」という用語は、熱-機械的ストレスに対するタンパク質の曝露および/または疎水性表面および界面などの不安定化する界面および表面との相互作用の結果として、タンパク質がタンパク質の生物学的に不活性および/または不溶性凝集体を形成する傾向をいう。水性タンパク質製剤の物理安定性は、適切な容器(たとえば、カートリッジまたはバイアル)に充填された製剤を機械的/物理的ストレス(たとえば、撹拌)に対して種々の温度にて種々の時間曝露した後に目視検査および/または濁度測定によって評価される。製剤の目視検査は、暗い背景において鮮明な焦点をあわせた光の中で行われる。製剤の濁度は、たとえば0〜3のスケールで濁りの程度をランク付けする視覚的スコアによって特徴づけられる(濁度を示さない製剤は、視覚的スコア0に対応し、昼光において視覚的濁度を示す製剤は、視覚的スコア3に対応する)。製剤は、昼光において視覚的濁度を示すときは、タンパク質凝集に関して物理的不安定で分類される。あるいは、製剤の濁度は、当業者に周知の単純な濁度測定によって評価することができる。また、水性タンパク質製剤の物理安定性は、タンパク質の高次構造状態の分光学的薬剤またはプローブを使用することによって評価することができる。プローブは、好ましくは優先してタンパク質の非天然の配座異性体と結合する小分子である。タンパク質構造の小さな分子分光学的プローブの1つの例は、チオフラビン Tである。チオフラビンTは、アミロイド繊維の検出のために広く使用されてきた蛍光色素である。原繊維の存在下において、およびおそらくその他のタンパク質配置でも同様に、チオフラビンTは、原繊維タンパク質形態に結合したときに、約450nmに新たな励起最大を生じさせ、約482nmにおける発光を増強させる。結合していないチオフラビンTは、本質的にその波長において非蛍光性である。
【0238】
その他の小分子も、天然状態から非天然状態へのタンパク質構造の変化のプローブとして使用することができる。たとえば、曝露されたタンパク質の疎水性パッチに対して優先して結合する「疎水性パッチ」によりプローブする。疎水性パッチは、一般にその天然の状態のタンパク質の三次構造内に埋もれているが、タンパク質が折り畳まれないか、または変性され始めると、曝露される。これらの小分子の分光学的プローブの例には、アントラセン、アクリジン、フェナントロリンその他などの芳香族疎水性色素がある。その他の分光学的プローブには、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、メチオニンおよびバリンその他などの疎水性アミノ酸のコバルト金属錯体などの金属-アミノ酸錯体がある。
【0239】
本明細書に使用されるタンパク質製剤の「化学的安定性」という用語は、天然のタンパク質構造と比較して、潜在的により少ない生物学的能力および/または潜在的に免疫原性の増加を伴って化学分解生成物の形成を引き起こすタンパク質構造の化学的共有結合性変化をいう。未変性タンパク質のタイプおよび性質、並びにタンパク質が曝露される環境に応じて、種々の化学分解生成物を形成させることができる。化学分解の除去は、おそらく完全に回避することができず、当業者に周知のように、化学分解生成物の量の増大は、タンパク質製剤の貯蔵および使用の間に見られることが多い。大部分のタンパク質は、グルタミニルまたはアスパラギニル残基の側鎖アミド基が加水分解して遊離カルボン酸を形成する過程である脱アミド化する蛍光がある。その他の分解経路には、2つ以上のタンパク質分子がアミド基転移および/またはジスルフィド相互作用を介して互いに共有結合した高分子量変換生成物の形成を含み、共有結合性に結合した二量体、オリゴマーおよびポリマー分解生成物の形成を引き起こす(Stability of Protein Pharmaceuticals, Ahern. T.J. & Manning M.C., Plenum Press, New York 1992)。(たとえば、メチオニン残基の)酸化は、化学分解のもう一つの変形として述べることができる。タンパク質製剤の化学的安定性は、種々の環境条件に対する曝露後の種々の時点において化学分解生成物の量を測定することによって評価することができる(分解生成物の形成は、たとえば温度を高くすることにより、たいてい促進することができる)。個々の分解生成物の量は、種々のクロマトグラフィー技術(たとえば、SEC-HPLCおよび/またはRP-HPLC)を使用して、分子サイズおよび/または電荷に応じた分解生成物の分離によって決定されることが多い。
【0240】
それ故、上で概説したように、「安定化製剤」は、物理安定度が増加し、化学的安定性が増加し、または物理的および化学的安定性が増加した製剤をいう。一般に、製剤は、耐用年数に達するまで、(推奨された使用および貯蔵条件に従った)使用および貯蔵の間安定でなければならない。
【0241】
本発明の一つの態様において、本発明の薬剤を含む医薬品製剤は、6週以上の使用の間、および3年以上の貯蔵の間安定である。
【0242】
本発明のもう一つの態様において、本発明の薬剤を含む医薬品製剤は、4週以上の使用の間、および3年以上の貯蔵の間安定である。
【0243】
本発明のさらなる態様において、本発明の薬剤を含む医薬品製剤は、4週以上の使用の間、および2年以上の貯蔵の間安定である。
【0244】
本発明のさらなる態様において、本発明の薬剤を含む医薬品製剤は、2週以上の使用の間、および2年以上の貯蔵の間安定である。
【0245】
上述のとおり、本発明の組成物は、たとえば経口的に、非経口的に、吸入スプレーにより、局所的に、直腸に、経鼻で、頬側に、膣に、または移植された貯蔵所を経て投与してもよい。本明細書に使用される「非経口的」という用語には、皮下、筋肉内、関節内、滑液包内、静脈内、胸骨内、髄腔内、肝内、病巣内および頭蓋内注射または注入技術を含む。好ましくは、組成物は、経口的に、腹腔内に、または静脈内に投与される。
【0246】
本発明の組成物の無菌注射用の形態は、水性または油性懸濁液であってもよい。これらの懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁剤を使用する当該技術分野において既知の技術に従って製剤化してもよい。また、無菌注射用製剤は、たとえば1,3-ブタンジオールにおける溶液として、無毒の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌の注射用溶液または懸濁液であってもよい。水、リンゲル液および等張食塩液は、使用してもよい許容される媒体および溶媒の一つである。加えて、無菌の不揮発性油は、従来法で溶媒または懸濁媒として使用されている。この目的のためには、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含むいずれの無刺激の不揮発性油を使用してもよい。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸は、注射剤の製造に有用であり、オリーブ油またはヒマシ油、特にこれらのポリオキシエチル化形態のものなどの天然の薬学的に許容される油でも同様である。また、これらの油剤または懸濁液は、薬学的に許容される剤型を含む乳剤および懸濁液の製剤に一般に使用されるカルボキシメチルセルロースまたは同様の拡散剤などの長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含んでいてもよい。また、その他の一般に使用される界面活性物質、Tween、Spansおよび薬学的に許容される固体、液体またはその他の剤形の製造に一般に使用されるその他の乳化剤または生物学的利用能エンハンサーなどのを製剤のために使用してもよい。
【0247】
本発明の組成物は、カプセル、錠剤、水性懸濁液または溶液を含むが、これらに限定されるわけではない任意の経口的に許容される剤形で経口的に投与してもよい。経口的使用のための錠剤の場合、一般に使用される担体には、乳糖およびコーンスターチを含む。
【0248】
また、ステアリン酸マグネシウムなどの平滑剤も、典型的には添加される。カプセル形態の経口投与について、有用な希釈剤には、乳糖および乾燥コーンスターチを含む。経口的使用のために水性懸濁液が必要にされるときは、活性成分を乳化剤および懸濁剤と組み合わせる。必要に応じて、一定の甘味料、香味料または着色剤も添加してもよい。
【0249】
あるいは、本発明の組成物は、直腸投与のために坐薬の形態で投与してもよい。これらは、室温にて固体であるが、直腸温において液体であり、したがって直腸にて融解して薬物を放出すると考えられる適切な非刺激性賦形剤と薬剤を混合することによって製造することができる。このような材料には、カカオ脂、蜜蝋およびポリエチレングリコールを含む。
【0250】
また、本発明の組成物は、特に治療の標的が、眼、皮膚または下位腸管の疾患を含む局所適用で容易にアクセスできる領域または器官を含むときに、局所的に投与してもよい。適切な局所製剤は、これらの領域または器官のそれぞれために容易に製造される。
【0251】
下位腸管のための局所適用は、肛門座薬製剤(上記のものを参照されたい)で、または適切な浣腸製剤で行うことができる。また、局所的経皮パッチを使用してもよい。
【0252】
局所適用のためには、組成物を1つもしくは複数の担体中に懸濁され、または溶解された活性成分を含む適切な軟膏に製剤化してもよい。本発明の化合物の局所的投与のための担体には、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化蝋および水を含むが、これらに限定されるわけではない。あるいは、組成物は、1つもしくは複数の薬学的に許容される担体に懸濁され、または溶解された活性成分を含む適切なローションまたはクリームに製剤化することができる。適切な担体には、鉱油、ソルビタンモノステアレート、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0253】
眼用使用のためには、組成物を等張性のpHを調整した無菌塩類溶液中の超微粉砕懸濁液として、または好ましくは等張性のpHを調整した無菌塩類溶液中の溶液として、塩化ベンジルアルコニウムなどの保存剤の有無において製剤化してもよい。あるいは、眼の使用のためには、組成物をワセリンなどの軟膏に製剤化してもよい。
【0254】
本発明の組成物は、経鼻エアロゾルまたは吸入法によってまた投与してもよい。このような組成物は、医薬品製剤の技術において周知の技術に従って製造し、ベンジルアルコールまたはその他の適切な防腐剤、生物学的利用能を増強するための吸収プロモーター、過フッ化炭化水素および/またはその他の従来の可溶化剤または分散剤を使用して、塩類溶液中の溶液として製造してもよい。
【0255】
いくつかのモノクローナル抗体は、Rituxan(リツキシマブ)、Herceptin(トラスツズマブ)またはXolair(オマリツマブ(Omalizumab))などの臨床状況において有効なことが示されており、同様の投与処方計画(すなわち、製剤および/または用量および/または投与プロトコル)を本発明の抗体で使用してもよい。投与のためのスケジュールおよび投薬量は、たとえば製造業者の説明書を使用して、これらの製品について既知の方法に従って決定することができる。たとえば、モノクローナル抗体は、100mg(10mL)または500mg(50mL)頓用バイアル中に10mg/mLの濃度にて供給することができる。製品は、9.0mg/mLの塩化ナトリウム、7.35m/mLのクエン酸ナトリウム二水和物、0.7mg/mLのポリソルベート80および注射用滅菌水中にIV投与のために製剤化される。pHは、6.5に調整する。本発明の公差反応KIR抗体のための例示的な適切な用量範囲は、約10mg/m2〜00mg/m2の間であってもよい。しかし、これらのスケジュールは例示的であり、かつ最適なスケジュールおよび処方計画は、抗体の親和性および臨床試験において決定されなければならない抗KIR抗体の耐容性を考慮して適応することができることが認識されるであろう。NK細胞を24時間、48時間、72時間または1週または1月間飽和させる抗KIRの注射の量およびスケジュールは、抗体およびその薬物動態学的パラメーターの親和性を考慮して決定されるであろう。
【0256】
もう一つの態様によれば、本発明の抗体組成物は、抗体が投与されている特定の治療目的に通常利用される薬剤を含む別の治療薬をさらに含んでいてもよい。さらなる治療薬も、通常組成物中に、治療される特定の疾患または状態に対する単独療法においてその薬剤について典型的に使用される量で存在する。このような治療薬には、癌の治療に使用される治療薬、感染症を治療するために使用される治療薬、その他の免疫療法に使用される治療薬、サイトカイン(IL-2、またはIL-15など)、その他の抗体およびその他の抗体の断片を含むが、これらに限定されるわけではない。
【0257】
たとえば、多数の治療薬が癌の治療に利用できる。本発明の抗体組成物および方法は、特定の疾患、特に腫瘍、癌疾患または患者が示すその他の疾患もしくは障害の治療に一般に使用される他のいかなる方法と組み合わせてもよい。特定の治療手段が、それ自体の患者の状態に有害なことが既知でなく、かつ阻害性KIR抗体に基づいた治療に有意に対抗しない限り、本発明とその組み合わせが想定される。
【0258】
固形腫瘍治療に関して、本発明は、外科手術、放射線療法、化学療法、その他などの古典的アプローチと組み合わせて使用してもよい。したがって、本発明は、本発明に従ったKIR抗体を外科手術もしくは放射線療法と同時に、前に、もしくは後に使用されるか併用療法を提供する;または従来の化学療法薬、放射線治療薬もしくは抗血管形成薬と同時に、前に、もしくは後に患者に投与されるか、または免疫毒素もしくは凝固リガンド(coaguligands)がターゲットされる。
【0259】
1つまたは複数の薬剤本発明の組成物と組み合わせてを治療計画に使用したときに、組み合わせた結果が、それぞれの治療が別々に行われるときに観察される相加的効果であることは必要とされない。少なくとも相加的作用が一般に望ましいが、単一の療法の一方を上回って抗癌効果が増大することが利点であろう。また、組み合わせ治療が相乗効果を示すことは特に必要とされないが、これは起こりうるし、有利である。
【0260】
組み合わせ抗癌療法を実施するためには、動物内でこれらの組み合わせた抗癌作用を生じるのに有効な様式で、単に本発明の組成物を別の抗癌剤と組み合わせて患者に投与する。したがって、薬剤は、これらの組み合わせが腫瘍脈管構造内に存在が生じ、これらの組み合わせが腫瘍環境において作用するための有効量で、かつ有効な期間提供される。この目標を達成するために、本発明および抗癌剤の組成物は、単一の組み合わせ組成物で、または同じもしくは異なる投与経路を使用して2つの異なった組成物として、いずれかで同時に患者に投与してもよい。
【0261】
あるいは、本発明の組成物の投与は、たとえば分〜週および月までの範囲の間隔まで、抗癌剤治療に先立っても、または続いてもよい。抗癌剤および本発明の組成物中の活性薬剤は、癌に対して有利な組み合わせ効果を確実に及ぼすであろう。一例として、本発明の抗体は、非ホジキンリンパ腫(NHL)である患者に投与してもよい。このような患者は典型的には、リツキシマブの組み合わせおよびCHOPとして既知の化学療法薬の組み合わせで治療される。したがって、本発明の抗KIR抗体を、治療スケジュールにおける全ての薬剤の投与と組み合わせることより、リツキシマブおよびCHOPで治療を受けているNHL患者を治療するために使用してもよく、この場合、薬剤は、同日に、もしくは異なる日に、より長期の治療間与えられる。
【0262】
その他の抗癌剤を本発明の組成物の投与の前に、同時に、または後に与えてもよい。しかし、抗体の免疫複合体が本発明の抗体組成物に使用されるときは、種々の抗癌剤を同時に、またはその後に投与してもよい。
【0263】
いくつかの状況において、治療のための時間を有意に延長することがさらに望ましいかもしれず、この場合、抗癌剤または抗癌治療のそれぞれの投与と本発明の組成物の投与の間に、数日(2、3、4、5、6または7)、数週(1、2、3、4、5、6、7または8)またはさらに数月(1、2、3、4、5、6、7または8)経過する。これは、外科手術または化学療法などの抗癌治療により腫瘍を実質的に破壊することが意図された環境において有利な可能性があり、本発明の組成物の投与により、微小癌組織の転移または腫瘍再成長を妨げることが意図された。
【0264】
また、本発明の抗KIR薬剤に基づいた組成物または抗癌剤のいずれかの一回投与が利用されるであろうことが想定される。これらの薬剤は、交換可能に代わりの日または週に;または本発明の抗KIR薬剤組成物での治療のサイクル、続く抗癌剤療法のサイクルによって投与してもよい。いずれにしても、組み合わせ療法を使用して腫瘍退縮を達成するためには、投与のための時期にかかわらず、抗腫瘍効果を及ぼすための有効量を組み合わせた両薬剤を送達することが、必要とされることの全てである。
【0265】
外科手術に関して、いかなる外科的介入を本発明と組み合わせて実施してもよい。放射線療法に関して、γ-照射、X線、UV照射、マイクロ波およびさらに電子発光その他などの、局所的に癌細胞内でDNA損傷を誘導するためのあらゆるメカニズムが想定される。また、癌細胞に対する放射性同位元素の直接の送達も想定され、これは、ターゲティング抗体またはその他のターゲティング手段と組み合わせて使用してもよい。
【0266】
その他の側面において、免疫調節性化合物または処方計画を本発明の組成物と組み合わせて、または一部として施してもよい。免疫調節性化合物の好ましい例には、サイトカインを含む。種々のサイトカインをこのような組み合わせアプローチに使用してもよい。本発明によって想定される組み合わせに有用なサイトカインの例には、IL-1α、IL-1β、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-15、IL-21、TGF-β、GM-CDF、M-CSF、G-CSF、TNF-α、TNF-β、LAF、TCGF、BCGF、TRF、BAF、BDG、MP、LIF、OSM、TMF、PDGF、IFN-α、IFN-β、IFN-γを含む。組み合わせ治療に使用されるサイトカインまたは本発明の組成物は、患者の状態およびサイトカインの相対毒性などの臨床指標と一致した標準的処方計画に従って投与される。本発明の組成物と組み合わせて、または一部として投与してもよいその他の免疫調節性化合物には、抗CTLA4抗体または抗CD94/NKG2A抗体(たとえば、公開された米国特許出願第20030095965号を参照されたい)などの抗体を含む(しかし、これらに限定されるわけではない)リンパ球上のその他の阻害性受容体と特異的に結合する抗体を含む。また、または代わりに、当該技術分野において既知であるこれらの分子の変種および誘導体をこのような方法に使用することができ、適切なように本発明の組成物に組み込まれる。
【0267】
ある態様において、HLAを遮断せず、阻害性の、任意に遮断性抗KIR抗体を含本発明のむ治療組成物は、化学療法薬もしくはホルモン療法薬と組み合わせて投与してもよく、または学療法薬もしくはホルモン療法薬をさらに含んでいてもよい。種々のホルモン療法および化学療法薬を本明細書に開示した組み合わ治療法に使用してもよい。例示的に想定される化学療法薬には、アルキル化剤、代謝拮抗剤、細胞障害性の抗生物質、ビンカアルカロイド、たとえばアドリアマイシン、ダクチノマイシン、マイトマイシン、カルミノマイシン(carminomycin)、ダウノマイシン、ドキソルビシン、タモキシフェン、タキソール、タキソテール、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、エトポシド(VP-16)、5-フルオロウラシル(5FU)、シトシンアラビノシド、シクロホスファミド、チオテパ、メトトレキセート、カンプトセシン、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、シスプラチン(CDDP)、アミノプテリン、コンブレタスタチン、並びにこれらの誘導体およびプロドラッグを含むが、これらに限定されるわけではない。
【0268】
ホルモン薬には、たとえばリュープロレリン、ゴセレリン、トリプトレリンおよびブセレリンなどのLHRHアゴニスト;タモキシフェンおよびトレミフェンなどの抗卵胞ホルモン;フルタミド、ニルタミド、シプロテロンおよびビカルタミドなどの抗アンドロゲン;アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾールおよびファドロゾールなどのアロマターゼ阻害薬;並びにメドロキシ、クロルマジノンおよびメゲストロールなどのプロゲスターゲンを含むが、これらに限定されるわけではない。
【0269】
当業者によって理解されるように、化学療法薬の適切な用量は、化学療法学が単独で、またはその他の化学療法学と組み合わせて投与される臨床療法においてすでに使用されているものに近い。たとえば、シスプラチンなどの薬剤およびその他のDNAアルキル化薬を使用してもよい。シスプラチンは、癌を治療するために広く使用されてきており、有効用量は、合計3回の過程について3週ごとに5日間20mg/m2の臨床応用で使用される。シスプラチンは、経口的に吸収されず、したがって、静脈内、皮下、腫瘍内または腹腔内注射を経て送達しなければならない。
【0270】
さらに有用な化学療法薬には、DNA合成、有糸分裂および染色体の分離を妨害する化合物、並びにポリヌクレオチド前駆体の合成および忠実度を崩壊させる薬剤を含む。組み合わせ療法のための多数の例示的化学療法薬は、米国特許第6,524,583号の表Cの一覧表に記載されており、その薬剤および適応症の開示は、参照により具体的に本明細書に援用される。列記されたそれぞれの薬剤は、例示的であり、限定しない。当業者は、"Remington's Pharmaceutical Sciences" 15th Edition, chapter 33, 特にページ624-652に導かれる。治療さる状態に応じて、投薬量の変更が生じる可能性が高い。治療を施す医師であれば、個々の被験体のために適した用量を決定することができるであろう。
【0271】
本発明の組成物は、任意の1つまたは複数の抗血管形成療法と組み合わせて使用してもよく、または抗血管形成薬をさらに含んでいてもよい。このような薬剤の例には、それぞれVEGFまたはVEGF受容体に向けられた中和抗体、アンチセンスRNA、siRNA、RNAi、RNAアプタマーおよびリボザイムを含む(米国特許第6,524,583号、その開示は、参照により本明細書に援用される)。また、国際公開第98/16551号に記載されているような拮抗的特性をもつVEGFの変種を使用してもよく、参照により具体的に本明細書に援用される。組み合わせ療法と組み合わせて有用であるさらに例示的抗血管形成薬は、米国特許第6,524,583号の表Dの一覧表に記載されており、その薬剤および適応症の開示は、参照により具体的に本明細書に援用される。
【0272】
また、本発明の組成物は、アポトーシスを誘導するための方法と組み合わせて使用しても有利であろうし、またはアポトーシス薬を含んでいてもよい。たとえば、アポトーシスまたはプログラム細胞死を阻害する多数の発癌遺伝子が同定されている。このカテゴリーの例示的発癌遺伝子には、bcr-abl、bcl-2(bcl-1、サイクリンD1とは異なり;GenBankアクセッション番号M14745、X06487;米国特許第5,650,491号;および第5,539,094号;それぞれが参照により本明細書に援用される)並びにBcl-x1、Mcl-1、Bak、A1およびA20を含むファミリーメンバーを含むが、これらに限定されるわけではない。BCL-2の過剰発現は、最初にT細胞リンパ腫において発見された。発癌遺伝子BCL-2は、アポトーシス経路のタンパク質であるBaxに結合して不活性化することによって機能する。bcl-2機能の阻害により、Baxの不活性化を防げて、アポトーシス経路を進行させることができる。アポトーシスの増強を示すために、たとえばアンチセンスヌクレオチド配列、RNAi、siRNAまたは小分子化学物質を使用した、このクラスの発癌遺伝子の阻害を本発明に使用することが想定される(米国特許第5,650,491号;第5,539,094号;および第5,583,034号;それぞれが参照により本明細書に援用される)。
【0273】
また、本発明の抗KIR薬剤組成物は、標的細胞、たとえば標的腫瘍細胞の特異的マーカーに向けられたターゲティング部分、たとえば抗体、リガンドまたはこれらの抱合体(「ターゲット薬」)を含む分子を含んでいても、または使用してもよい。一般的にいって、これらの本発明のさらなる態様に使用するためのターゲット薬は、好ましくは腫瘍部位に優先して、または特異的に発現されるアクセス可能な腫瘍抗原を認識する。ターゲティング薬は、一般に腫瘍細胞の表面に発現された成分、表面にアクセスできる成分または表面に局在化した成分と結合する。また、ターゲティング薬は、好ましくは高親和性の特性を示し;また心臓、腎臓、脳、肝臓、骨髄、結腸、乳房、前立腺、甲状腺、胆嚢、肺、副腎、筋肉、神経線維、膵臓、皮膚または人体のその他の生命持続器官もしくは組織から選択される1つまたは複数の組織などの生命持続する正常組織に対して有意なインビボでの副作用を及ぼさない。本明細書に使用される「有意な副作用を及ぼさない」という用語は、化学療法の間に通常遭遇するものなどの、インビボで投与されたときに、ターゲティング薬がごくわずかな、または臨床的に対処可能な副作用のみを生じることをいう。
【0274】
腫瘍の治療において、本発明の組成物は、加えて、補助化合物を含んでもよく、または使用してもよい。補助化合物には、例証として、フェノチアジン、置換されたベンズアミド、抗ヒスタミン剤、ブチロフェノン、副腎皮質ステロイド、ベンゾジアゼピンおよびカンナビノイドなどのセロトニン拮抗薬および療法などの抗催吐薬;ゾレドロン酸およびパミドロン酸などのビスホスホネート;並びにエリスロポエチンおよびG-CSFなどの造血成長因子、たとえばフィルグラスチム、レノグラスチムおよびダルベポエチンを含んでいてもよい。
【0275】
もう一つの態様において、できる限り多くのKIR遺伝子産物の阻害作用を減少させるか、または中和するために、異なるエピトープまたは決定因子を認識する本発明の2つ以上の抗体またはその他の薬剤を単一の組成物中に組み合わせてもよい。本発明の交差反応性阻害性KIR抗体またはこれらの断片もしくは誘導体の組み合わせを含む組成物は、単一の交差反応性抗体によって認識される阻害性KIR遺伝子産物のそれぞれを欠いているか脳性のあるヒト集団が存在する可能性はわずかな割合であるので、より後半に利用することができる。同様に、本発明の抗体組成物は、HLAに対するKIR結合を遮断する1つまたは複数の交差反応性の、または非交差反応性の抗体をさらに含んでいてもよい。このような組み合わせは、再び治療状況においてより広範な有用性をもたらす。したがって、本発明の抗体は、たとえばKIR2DL1、KIR2DLK2、KIR2DL3、KIR3DL1、KIR3DL2およびKIR3DL3の1つまたは複数のHLA結合を遮断するもう一つの抗KIR抗体と組み合わせることができる。
【0276】
また、本発明は、NK細胞活性を、これらの必要な患者において増強する方法であって、前記患者に本発明に従った組成物を投与する工程を含む方法を提供する。本方法は、より具体的には、癌、感染症または免疫不全などのNK細胞による溶解に感受性の細胞を含み、影響を及ぼし、もしくは生じるか、または不十分なNK細胞活性によって生じ、もしくは特徴づけられるNK細胞活性が増大されると有益である疾患を有する患者においてNK細胞活性を増大することに向けられる。
【0277】
より具体的には、本発明の方法および組成物は、種々の癌の治療およびを含むがこれに限定されるわけではないその他の増殖性疾患のために利用される:膀胱、乳房、結腸、腎臓、肝臓、肺、卵巣、前立腺、膵臓、胃、頚部、甲状腺および扁平上皮癌を含む皮膚のものを含む癌腫;白血病、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、有毛細胞リンパ腫およびバーケットリンパ腫を含むリンパ系統の造血性腫瘍;急性および慢性骨髄性白血病、前骨髄球性白血病および骨髄異形成症候群を含む骨髄球系統の造血性腫瘍;線維肉腫および横紋筋肉腫を含む間充織起源の腫瘍;黒色腫、精上皮腫、奇形癌腫、神経芽細胞腫および神経膠腫を含むその他の腫瘍;星細胞腫、神経芽細胞腫、神経膠腫およびシュワン腫を含む中枢および末梢神経系の腫瘍;線維肉腫、横紋筋肉腫および骨肉腫を含む間充織起源の腫瘍;および黒色腫、色素性乾皮症、角化棘細胞腫、精上皮腫、甲状腺濾胞性癌および奇形癌腫を含むその他の腫瘍。
【0278】
本発明に従って治療することができる好ましい障害は、リンパ系統の造血性腫瘍、たとえば以下のものを含む(しかし、これらに限定されるわけではない)T細胞およびB細胞腫瘍を含む:小細胞および大脳様細胞タイプのものを含むT前リンパ球性白血病(T-PLL)などのT細胞障害;好ましくはT細胞タイプの大型顆粒リンパ球白血病(LGL);セザリー症候群(SS);成人型T細胞白血病リンパ腫(ATLL);a/d T-NHL肝脾リンパ腫;末梢/胸腺後T細胞リンパ腫(多形サブタイプおよび免疫芽細胞サブタイプ);血管免疫芽細胞性T細胞リンパ腫;血管中心性(鼻腔)T細胞リンパ腫;未分化(Ki 1+)大細胞リンパ腫;腸管T細胞リンパ腫;Tリンパ芽球性;リンパ腫/白血病(T-Lbly/T-ALL)。
【0279】
また、たとえば狭窄または再狭窄後の血管形成術などの血管における過形成、線維症(特に肺線維症、しかし腎臓線維症などのその他のタイプの線維症も)、血管形成、乾癬、アテローム性動脈硬化症および平滑筋増殖を含むその他の増殖性障害も本発明に従って治療することができる。KIR抗体に基づいた治療を使用して、好ましくは、ウイルス、細菌、原生動物、糸状菌または真菌による感染によって生じるあらゆる感染を含む感染症を治療し、または予防することができる。このようなウイルス感染微生物は、肝炎A型、肝炎B型、C型肝炎、インフルエンザ、水痘、アデノウイルス、単純ヘルペスI型(HSV-1)、単純ヘルペス2型(HSV-2)、牛疫、ライノウイルス、エコーウイルス、ロタウイルス、呼吸器合胞体ウイルス、パピローマウィルス、パピローマウィルス、サイトメガロウイルス、エキノウイルス(echinovirus)、アルボウイルス、ハンタウイルス(huntavirus)、コクサッキーウィルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、風疹ウイルス、ポリオウイルスおよびヒト免疫不全症ウイルスI型または2型(HIV-1、HIV-2)を含むが、これらに限定されるわけではない。細菌は、以下を含むが、これらに限定されるわけではない感染微生物のもう一つの好ましいクラスを構成する:ブドウ球菌(Staphylococcus);S.ピオゲネス(S. pyogenes)を含む連鎖球菌属(Streptococcus);腸球菌(Enterococcl);炭疽菌(Bacillus anthracis)および乳酸桿菌属(Lactobacillus)を含むバシラス属(Bacillus);リステリア属(Listeria);ジフテリア菌(Corynebacterium diphtheriae);膣ガルドネレラ菌(G. vaginalis)を含むガルドネレラ属(Gardnerella);ノカルジア属(Nocardia);ストレプトマイセス属(Streptomyces);サーモアクチノミセス・ブルガリス(Thermoactinomyces vulgaris);トレポネーマ(Treponerna);カンピロバクター属(Camplyobacter)、緑膿菌(P. aeruginosaを含む)シュードモナス属(Pseudomonas);レジオネラ属(Legionella);淋菌(N. gonorrhoeae)およびN.メニンギチデス(N. meningitides)を含むナイセリア属(Neisseria);F.メニンゴセプチカム(F. meningosepticum)およびF.オドラターン(F. odoraturn)を含むフラボバクテリウム属(Flavobacterium);ブルセラ属(Brucella);百日咳菌(B. pertussis)およびボルデテラブロンキセプチカ(B. bronchiseptica)を含むボルデテラ属(Bordetella);大腸菌(E. coli)を含むエシュリヒア属(Escherichia)、クレブシエラ属(Klebsiella);エンテロバクター属(Enterobacter)、S.マルセセンス(S. marcescens)およびS.リクエファシエンス(S. liquefaciens)を含むセラチア属(Serratia);エドバルシエラ属(Edwardsiella);P.ミラビリス(P. mirabilis)およびP.ブルガリス(P. vulgaris)を含むプロテウス属(Proteus);ストレプトバチルス属(Streptobacillus);R.フィケッツフィ(R. fickettsfi)を含むリケッチア科(Rickettsiaceae)、C.プシッタシ(C. psittaci)およびC.トラコルナティス(C. trachornatis)を含むクラミジア属(Chlamydia);結核菌(M. tuberculosis、M.イントラセルラレ(M. intracellulare)、M.フォルイターン(M. folluiturn)、ライ菌(M. laprae)、M.アビウム(M. avium)、M.ボビス(M. bovis)、M.アフリカヌム(M. africanum)、M. カンサシ(M. kansasii)、M.イントラセルラレ(M. intracellulare)およびM.レプレルヌリウム(M. lepraernurium)を含むマイコバクテリウム属(Mycobacterium);およびノカルジア属(Nocardia)。原生動物には、レーシュマニア、コクジディオア属(kokzidioa)およびトリパノソーマ属(trypanosoma)を含んでもよいが、これに限定されるわけではない。生虫には、クラミジア属(chlamydia)およびリケッチア属(rickettsia)を含むが、これに限定されるわけではない。感染症の完全な一覧は、伝染病予防本部(Center for Disease Control:CDC)(ワールド・ワイド・ウェブ(www)アドレスcdc.gov/ncidod/diseases/)にて国立感染症センター(NCID)のウェブサイトに見いだすことができ、この一覧は、参照により本明細書に援用される。前記疾患の全てが、本発明の阻害性、任意に交差反応性のKIR抗体を使用する治療のための候補である。
【0280】
このような方法では、単独で、または放射線療法、化学療法もしくは遺伝子療法などのその他の治療および/または治療薬と組み合わせて、いずれかで本発明の薬剤、たとえば抗体、断片および誘導体を使用してもよい。これらの方法が、治療薬ので後処理を含むときは、これらの薬剤は、単一の剤形として、または別々の複数の剤形として、いずれかで本発明の抗体と共に投与してもよい。別々の剤形として投与されるときは、さらなる薬剤を本発明の抗体の投与より前に、同時に、後に投与してもよい。
【0281】
本発明のさらなる側面および利点は、以下の実験の節に開示されており、これらは、例証としてみなされるべきであり、本出願の範囲を限定しない。
【実施例】
【0282】
実施例1:KIRのドメイン1および2と会合する相互作用部位の同定。
上で論議した一般的アプローチを使用して、KIR2DL1の二量体化に関与する可能性のあるドメインが発見された。
【0283】
本実施例は、そのHLAクラスIリガンドに対するKIRの結合による、KIRを経たネガティブシグナリングの伝達には、リガンド結合で誘導される、隣接したKIR間のドメイン1-ドメイン1およびドメイン2-ドメイン2相互作用を形成させてクラスター形成の促進を引き起こすKIR分子の高次構造の再配向を含む。リガンド結合がKIRを経たシグナリングを引き起こすことは以前に知られていたが、どのように細胞外のKIRの細胞外部分に対するリガンド結合によりKIRの細胞質尾部に伝達して、リガンドが結合する場合にだけシグナリングを引き起こすことができ、リガンド結合がないときには引き起こすことができないかを完全に説明することができるメカニズムは記述されていなかった。KIR分子を二量体化させることができるKIRの部位の発見により、今回この説明を提供することができ、これらの部位をターゲティングすることにより、KIRを経た阻害性シグナリングを妨げるであろう治療薬の開発が可能になる。
【0284】
解析
本実施例では、Fan et al., 1997, Nature vol. 389: 96-100: Domain 1 comprises residues 6-101 of KIR and Domain 2 comprises amino acids residues 105-200に従ったKIRのために残基およびドメイン命名法を使用する。
【0285】
KIR2DL1(1NKR.pdb)の構造およびKIR2DL1(ヒト)、KIR2DL2(ヒト)、KIR2DL3(ヒト)、KIR2DS1(ヒト)、KIR2DS2(ヒト)、KIR2DS3(ヒト)、KIR2DS4(ヒト)、KIR(Q8MK11、アカゲザル)、KIR(Q8MK12、アカゲザル)の整列で保存部位アプローチを使用して、以下の保存部位を同定した:P108、S109、L110、S111、A112、Q113、P114、G115、T125、S127、S129、T159、Q161、A162、D163、S192、L195。
【0286】
タンパク質-タンパク質ドッキングアプローチを使用して、Mitra et al. 2004 (Current Biology vol. 14: 718-724)によって示唆された2 KIR2DL1〜1IM9.pdbからのHLA CW4複合体をH2K二量体上に配置した場合に、どのようにこのKIR-HLA二量体がドメイン1-ドメイン1:R6、D31、V32、M33、F34、E35、D57、G58、V59、V83、T84、H85、S86、Q89およびドメイン2-ドメイン2:S109、L110、S111、A112、Q113、T125、S127、S129、R131、K155、V156、N157、G158、T159、Q161、D163、L195相互作用の両方を介してクラスター増殖することができるかを同定した。
【0287】
結晶パッキングアプローチを使用して、KIR2DS2(1M4K.pdb)のX線構造におけるそれぞれのタンパク質は、6つの相互作用する隣接基を有し、これらのうちの1つが対称ドメイン1-ドメイン1相互作用であり、この場合V32、M33、F34、V83、T84、Q89、L90、S91、A92がもう一つのタンパク質上の同じ残基と相互作用することが同定された。C末端は、膜結合タンパク質と一致した同じ側に向いている。2DS2の配列は、2DL2の相互作用領域と同一であるので、該残基はドッキング結果と一致する。さらに、N末端の位置は、全てのKIR X線構造において未決定であり、これはドメイン1-ドメイン1相互作用を架橋する2つのZn部位によって説明することができ:2つのZn-部位は、E2(A)、H5(A)、D31(A)、H85(B)およびH1(A)、E35(B)、H36(B)、H50(B)である。
【0288】
したがって、本発明者らは、ドメイン1と会合する相互作用部位:H1、E2、H5、R6、D31、V32、M33、F34、E35、H36、H50、D57、G58、V59、V83、T84、H85、S86、Q89、L90、S91、A92およびドメイン2と会合する相互作用部位:P108、S109、L110、S111、A112、Q113、P114、G115、T125、S127、S129、R131、K155、V156、N157、G158、T159、Q161、A162、D163、S192、L195を定義し、これらの残基の1つまたは複数と相互作用するいずれの治療薬も、KIR受容体のシグナリングを減少させるか、または妨げることを主張する。例証のために図1A〜1Cを参照されたい。
【0289】
本明細書で言及したタンパク質データベース(PDB;タンパク質データバンク)は、以下に記述されている。H.M. Berman, J. Westbrook, Z. Feng, G. Gilliland, T.N. Bhat, H. Weissig, I.N. Shindyalov, P.E. Bourne: The Protein Data Bank. Nucleic Acids Research, 28 pp. 235-242 (2000)。
【0290】
PDB識別子は、常に4つの英数字、たとえば1NKRおよび1OM3であり、ときに1NKR.pdbおよび1OM3.pdbとも称される。
【0291】
実施例2:HuKIR1-7F9-Fab’との複合体中のKIR2DL1の結晶構造により、KIR2DL1/KIR2DL1ホモ二量体を明らかにする。
交差反応性抗KIR抗体1-7F9のFab’断片との複合体中のKIR2DL1の結晶構造を解いて、X線結晶学で2.35Å分解能に洗練した。結果から、結晶構造においてKIR2DL1-KIR2DL1二量体界面があることを確認した。
【0292】
材料および方法
細胞外KIR2DL1(配列番号:14のアミノ酸1〜223、残基16はアルギニン(R)であり、残基114はロイシン(L)であり、さらなるN末端メチオニン(M)残基を含む)および1-7F9のヒト抗KIR Fab’(配列番号:24の軽鎖配列と配列番号:25の残基1〜221の重鎖配列をもつ)をわずかに過剰なKIR2DL1と混合して、複合体をゲル濾過カラムで精製した。次いで、複合体を約13.5mg/mLまで濃縮した。結晶は、10%のPEG6000および500mMシトラート緩衝液中で4.2のpHで懸滴技術によって成長させた。結晶を液体N2中で瞬間凍結させて、beam-line BL711I, MAX-lab, Lund, Swedenを使用して2.35Å分解能までの結晶学的データを100Kにて収集した。データをXDSプログラム(Kabsch, J. Appl. Crystallogr. 1993;26:795-800)に取り込んだ。構造決定のために、CCP4セットのMOLREPプログラム(Bailey, Acta Crystallogr. Sect. D-Biol. Crystallogr. 1994;50:760-763)を使用する分子置換およびPDBに寄託された構造1RZJ(Fab part1)および1NKR(KIR)を使用した。位相改善は、ARP/WARPプログラム (Lamzin and Wilson, Acta Crystallogr. Sect. D-Biol. Crystallogr. 1993;49:129-147)行い、X線由来構造モデルに対する手動修正は、QUANTAプログラム(Accelrys Inc., San Diego, CA, USAから入手可能)で行った。洗練は、CCP4セットのREFMAC5コンピュータープログラムで行った。水分子は、ARP/WARPプログラムによって負荷した。モデルは、KIR2DL1の残基6〜114および124〜200、1-7F9軽鎖の1〜212および1-7F9重鎖の143〜224と共に1〜136で構成された。加えて、330個の水分子を配置した。本モデルについてのR-およびR-freeは、それぞれ0.191および0.253であった。
【0293】
結果
対称な「X、Y、Z」および「Y、X、1/3-Z」をもつKIR2DL1間の接触残基は、CCP4セットのCONTACTコンピュータープログラムによって4.0Åのカットオフ距離を使用して同定した。KIRのドメイン2に生じている二量体界面領域は、KIR2DL1(配列番号:14)の以下の残基を含むことが見いだされた:L110、S111、A112、Q113、L114、D193、P194、L195、L196、V197、S198、V199、およびT200)。また、KIR2DL1二量体界面および水素結合に含まれる残基は、図4のKIR2DL1のアミノ酸配列に示してある。二量体界面領域は、CCP4プログラムのAREAIMAOLが665Å2であることによって算出した。結晶のパッキングにおいて、残基115〜123を含むKIR2DL1のループは整っていない。したがって、生物学的に重要な界面残基には、その範囲内の残基も含むことができる。表1は、1-7F9 Fab’VL鎖との複合体におけるKIR2DL1の結晶構造のKIR2DL1-KIR2DL1相互作用を示す。4.0Åのカットオフを使用した。接触は、CCP4セットのCONTACTコンピュータープログラムによって対称カード(X,Y,Z)および(Y,X,1/3-Z)を使用して同定した。最後の列において、「***」は、CONTACTによって算出されるこの接触(距離<3.3Å)にて水素結合の可能性が強いこと示し、「*」は、可能性が弱いこと(距離>3.3Å)を示す。空白は、プログラムが水素結合の可能性がないとみなしたことを示す。水分子は、算出において無視した。
【表1−1】

【表1−2】

【0294】
実施例3:マウス抗KIR抗体の産生
本実施例は、(1)HLA-C結合を妨害せず、(2)NK細胞細胞障害性を増強することができる抗KIR抗体の産生および同定を記述する。
【0295】
免疫化および融合
標準的方法により大腸菌において産生して、インビトロでリフォールディングしたKIR2DL1の完全な細胞外ドメインに対応する20μg可溶性KIR2DL1タンパク質(配列番号:14)で、正常RBFマウスを3回免疫した。マウスを静脈内注射によって20μgの可溶性KIR2DL1追加免疫し、3日後に屠殺した。脾臓を無菌的に除去して、単個細胞浮遊液に分散した。脾細胞およびFOX-NY骨髄腫細胞の融合を電気融合方法によって行った。細胞をマイクロタイタープレートに播種して、73℃、5%のCO2に培養した。選択のためのAATを含む組織培養培地を2週の期間にわたって3回交換した。
【0296】
モノクローナルかつ安定なハイブリドーマを産生するために、限界希釈法を使用して細胞をサブクローニングした。細胞を1細胞/ウェルの密度にて96枚のウェルプレートに播種した。2週後に、それぞれのウェルからの上清を間接的ELISAでスクリーニングして、1-7F9との競合について試験した(下記を参照されたい)。次いで、安定かつモノクローナル株化細胞が得られるまで、陽性ウェルからの細胞をより大きな培養体積に移し、広げて、再びサブクローニングした(親クローンの名前にA1、-A2、-A3、-A4その他を付加することによってサブクローンを同定してある)。次いで、同様の、またはさらなる試験をサブクローンで行い、並びに選択したサブクローンによって産生されるモノクローナル抗体のシーケンシングを行った。
【0297】
ハイブリドーマの一次スクリーニング
KIR2DL1を免疫したRBFマウスに由来するハイブリドーマを、フローサイトメトリーによってKIR2DL1陽性細胞の認識のために上清を試験することによって、KIR2DL1特異的mAbの産生についてスクリーニングした。組織培養上清を1:2希釈のYTS(KIR2DL1陰性)およびYTS-2DL1(KIR2DL1陽性)と共にインキュベートした。氷上で1時間インキュベーション後、細胞をDMEM/2%のFCSで洗浄して、APC縫合ロバ抗マウス二次Ab断片と共に氷上で30’間インキュベートした。PBSでよく洗浄後、生細胞に対するAb結合を、FACSarray(BD Biosciences)を使用して解析した。MAbは、ハイブリドーマ組織培養上清中のマウスmAbがYTS-2DL1に結合するが、YTS細胞に結合しないときに「KIR2DL1陽性」と命名した(図5を参照されたい)。
【0298】
加えて、組織培養上清を、KIR2DL1および-3の細胞外ドメインの認識を試験することによって間接的ELISA-アッセイ法で、KIR2DL1および-3の交差反応性(または「panKIR」)mAbについて試験した。このために、Nunc免疫プレートを0.5μg/mLのヤギ抗マウスIgG-特異的Ab(Caltech, Ca) のPBS溶液でコーティングし、4℃にて一晩インキュベートした。プレートを0.05%のTween-20を含むPBSで15分間ブロックし、PBS/0.05% Tween-20で洗浄した。ハイブリドーマ細胞由来の培養液上清を添加して、プレートを室温で1時間インキュベートした。洗浄液後、可溶性ビオチン化KIR2DL1またはKIR2DL3を1μg/mLの濃度にて添加し、1時間インキュベートした。洗浄後、100μlのストレプトアビジン-HRPO溶液を添加した。さらに1時間のインキュベーション後、プレートを洗浄し、製造業者によって記述されたとおりにTMB-基質 (Kem-EN-Tec)で発色した。450nmの吸光度をELISAリーダーで測定し、これを96ウェルプレートに直接連関させた。
【0299】
一次スクリーニングから、1-26F117と命名したクローンを含む交差反応性mAbを産生するクローンが同定された。これらをBiaCoreアッセイ法、NK-細胞傷害性アッセイ法およびKIR-リガンド結合アッセイ法でさらに試験した(下記を参照されたい)。
【0300】
実施例4:KIR2DL1および-3に対する結合についての1-7F9との競合
選択されたマウス交差反応性のmAbが、ヒトmAb 1-7F9とは異なるエピトープでKIR2DL1および-3に結合したかどうかを決定するために、これらがKIR2DL1および/または-3に対する1-7F9の結合と競合する能力を表面プラスモン共鳴解析によって測定した。これは、Biacore 3000装置(Biacore AB, Uppsala, Sweden)で行った。同量の精製した1-7F9を標準的アミン-カップリングキット(Biacore AB)を使用して、CM5 sensorchip(Biacore AB, Uppsala, Sweden)上の全4つのフローセルに固定した。HBS-EP緩衝液(10mM HEPES、150mM NaCl、3mM EDTA、0.005%のPolysorbat 20(v/v))中の精製した組換えKIR2DL3は、10μg/mLの濃度でフローセル1および3内に10μl/分の流速で1分間注入した。その後、HBS-EP緩衝液中の精製した組換えKIR2DL1は、10μg/mLの濃度の濃度でフローセル2および4に10μl/分の流速で1分間注入した。KIR2DL1およびKIR2DL3の注入後、HBS-EP緩衝液に1:1.5希釈した最初のハイブリドーマ組織培養上清の試料をフローセル1および2に10μl/分の流速で1分間注入した。その後、第2の試料を同様の条件下でフローセル3および4に注入した。RU反応>20とき、試料は結合について陽性と記録した。最後に、10mMグリシン-HCl pH 1.8を30μl/分の流速で15秒間注入することによってセンサー-チップの再生を行った。
【0301】
本アッセイ法において、1-26F117は、KIR2DL1および-3に対する結合について1-7F9と競合しないことが見いだされ、この抗体は、1-7F9のものとは異なったエピトープにてKIR分子に結合することが示した。
【0302】
実施例5:NK細胞障害性アッセイ法
選択した交差反応性mAbがKIRの機能を阻害する能力をNK細胞障害性アッセイ法において試験した。YTS-2DL1細胞を、選択したmAbを産生するハイブリドーマからの組織培養上清と共に1:2希釈して30分間プレインキュベートした。その後、KIR2DL1-リガンドHLA-Cw4を発現する51Cr標識したLCL 721.221-Cw4細胞を6:1のE:T比にて添加した。湿らせた炭酸ガス恒温器内において37℃にて4時間インキュベーション後、組織培養培地への51Crの放出をγ放射線カウンターで測定した。試料中の標的細胞の特異的死滅は、Triton X-100溶解した細胞からの最大の51Cr放出と比較して、組織培養培地で測定される51Crの割合を算出することによって決定した。試料は、3回解析した。
【0303】
参照mAb、1-7F9(20μg/mL)の存在下では、YTS-2DL1は、このアッセイ法において、いずれの抗KIR mAbも存在しない場合の〜5%と比較して、〜24%のLCL 721.221-Cw4細胞を死滅させた。マウス試験mAbは、これらがmAbの非存在下における死滅の少なくとも1.5倍に標的細胞の死滅を誘導することができるときに、すなわちmAbの非存在下での死滅を1に規準化したときに、KIR遮断mAbの存在下における死滅が少なくとも1.5であるときに、KIR遮断と命名した。図6に示したように、抗体1-26F117は、それぞれ1-26F117-A3および1-26F117-A4に対して、YTS-2DL1 3.7-によるLCL 721.221-Cw4細胞の死滅、およびmAbの非存在下のほぼ2倍以上の死滅を誘導した。
【0304】
実施例6:KIR2DL1-Fcリガンド-結合競合アッセイ法
1-26F117-A3および1-26F117-A4などのKIRシグナリング(実施例5で決定したとおり)を遮断した抗KIR mAbがKIRのそのHLA-リガンドに対する結合を妨げることによってNK溶解を誘導することができるかどうかを決定するために、これらのmAbがKIR2DL1とHLA-Cw4との間の相互作用を妨げる能力を測定した。これのために、可溶性KIR2DL1-Fcタンパク質を、ヒトFcをマウスIgG1 Fcと置き換えたことを除き、記述されたとおりに産生した(Wagtmann et al., Immunity 1995;3(6):801-9)。可溶性KIR-Fcは、KIR2DL1によって認識される特異的HLA-Cアロタイプを発現する細胞と結合させて、この結合を、KIR-Fcタンパク質のマウスFc部分に対して特異的な二次蛍光色素抱合Abを使用してフローサイトメトリーによって視覚化することができる。たとえば、KIR2DL1-Fcは、HLA-Cw*0402を形質導入した細胞(LCL 721.221-Cw4トランスフェクタント)に対して結合するが、トランスフェクトしなかったLCL721.221の細胞には結合しない(Litwin et al., J Exp Med. 1993;178:1321-36)。
【0305】
KIR2DL1-Fcを、NK溶解を誘導するために使用したのと同量の1-26F117-A3または1-26F117-A4ハイブリドーマ上清と共に氷上で30’間プレインキュベートした。その後、0.5×104 LCL 721.221-Cw4細胞をDMEM/2% FCS中のインキュベーション混合物に添加し、これを氷上で60’間さらにインキュベートした。DMEM/2% FCS中で洗浄し、反応混合物をマウス-IgG(PE抱合された)に対する二次Ab断片およびヒトIgG(APC抱合された)に対する二次Ab断片の1:1混合物と共にインキュベートした。氷上で30’間インキュベーション後、細胞をPBSで数回洗浄し、KIR2DL1-hFcおよび抗KIR mAbの結合をフローサイトメトリ(FACSarray)によって解析した。
【0306】
このアッセイ法において、mAb 1-26F117-A3および1-26F117-A4は、KIR2DL1-hFcとLCL 721.221-Cw4細胞との間の相互作用を防げなかったことから、1-26F117-A3および-A4は、HLA-リガンドに対するKIR結合を妨げることなくKIRシグナリングを遮断することを示している。これは、1-26F117-A3および1-26F117-A4がLCL 721.221-Cw4細胞に対するKIR2DL1-hFcを経て結合して、FACS ドットプロットにおいて二重陽性染色された細胞を生じたという事実によって強調された(図7Bを参照されたい)。対照として、種々の濃度の既知のmAb DF200で行った同じタイプのアッセイ法では、KIR2DL1-hFcが、LCL 721.221-Cw4細胞に対する結合をDF200用量依存的な様式で防げたが、KIR2DL1-hFcが既知のKIR2DL2特異的mAb GL183と共にプレインキュベートしたときは、妨げなかった(図7A)。
【0307】
KIR2DL1-hFcは、種々の濃度(2〜50μg/mL)の精製した1-26F117と共にプレインキュベートした同様のアッセイ法において、このクローンは、HLA-Cw4に対するKIR2DL1結合を妨げる抗体を産生しなかったことが確認された(図8を参照されたい)。したがって、1-26F117クローンは、KIR-リガンド相互作用に影響を及ぼすことなくKIRシグナリングを遮断する抗体を産生する。
【0308】
実施例7:KIR2DL1-Fcリガンド-結合競合アッセイ法
抗KIR mAb 1-7F9、1-4F1およびDF200gaHLA-CとKIR分子との間の相互作用を遮断する能力を、HLA-Cを発現する細胞に対する可溶性組換え型KIR-Fc融合タンパク質の結合の競合によって評価した。
【0309】
抗KIR mAbがKIR2DL1-FcとHLA-Cw4との間のこの相互作用を妨げることができるかどうかを試験するために、KIR2DL1-Fcタンパク質を抗KIR mAbの濃度を増大してプレインキュベートし、次いでLCL 721.221-Cw4細胞に添加して、4℃にてインキュベートし、洗浄し、APC抱合された抗マウスIgG1 Fcと共にインキュベートし、洗浄して、標準的方法によって、FACScaliburまたはFACScanto(Beckton Dickinson)でのフローサイトメトリーによって解析した。
【0310】
DF200、1-7F9および1-4F1は、HLA-Cw4を発現する細胞に対するKIR2DL1-Fcの結合を防げ、これらのmAbがKIR2DL1とHLA-Cw4との間の相互作用を遮断するを示している。
【0311】
実施例8:ドメイン-1または-2の結合の試験
本実施例は、選択した抗体またはその他の薬剤が、KIRのドメイン1またはドメイン2と結合するかどうかを決定する方法を記述する。
【0312】
抗KIR抗体またはその他の薬剤の、Fc断片に連結されたKIRの細胞外ドメイン2からなる組換え切断型KIRに対する結合を測定した。この構築物は、KIR2DL1-Fcをコードする構築物からドメイン1をコードするヌクレオチドを欠失させ、生じる構築物(KIR2DL1-D2-Fcと命名した)をCOS細胞またはHEK293にトランスフェクトして、無処置のKIR2DL1-Fcについて記述したとおりに(上記実施例6および7、並びにWagtmann et al. 1995を参照されたい)プロテインAでKIR2DL1-D2-Fcタンパク質を精製することによって作製した。
【0313】
精製したKIR2DL1-D2-Fcに対する抗KIR薬剤の結合は、表面プラスモン共鳴解析によって測定する。これは、Biacore 3000装置(Biacore AB, Uppsala, Sweden)で行う。同量の精製したKIR2DL1〜D2-Fcを標準的アミン-カップリングキット(Biacore AB)を使用して、CM5 sensorchip(BiacoreAB Uppsala, Sweden)上の全4つのフローセルに固定する。HBS-EP緩衝液(10mM HEPES、150mM NaCl、3mM EDTA、0.005%のPolysorbat 20(v/v))中の精製した組換KIR2DL1-D2-Fcは、10μg/mLの濃度でフローセル内に10μl/分の流速で1分間注入した。KIR2DL1-D2-Fcの注射後、HBS-EP緩衝液に1:1.5希釈したハイブリドーマ組織培養上清をフローセルに10μl/分の流速で1分間注入した。RU反応>20のとき、試料は結合について陽性と記録した。最後に、10mMグリシン-HCl pH 1.8を30μl/分の流速で15秒間注入することによってセンサー-チップの再生を行った。これにより、KIR2DL1-D2-Fcと結合するハイブリドーマ上清は、KIRのドメイン2と結合するmAbを含むことを示すが、結合しないものは、ドメイン1に結合するか、またはドメイン1およびドメイン2にわたっている複合体エピトープと結合するmAbのいずれかを含むものとして命名される。
【0314】
抗KIR抗体またはその他のKIR-結合剤がドメイン1を結合するかどうかを決定するために、同様のアッセイ法をKIR2DL1-D1-Fc構築物を使用して行うことができる。
【0315】
* * *
本明細書で引用した刊行物、特許出願および特許を含む全ての参照文献は、参照により、あたかもそれぞれの参照文献が個々におよび具体的に参照により援用されたことを示し、かつ本明細書にその全体が記載されたのと同じ範囲で、本明細書に援用される。
【0316】
全ての見出しおよび小見出しは、本明細書において便宜のためのみに使用されており、いかなる形であれ、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0317】
上記のエレメントの、これらの全ての可能性のあるバリエーションのいずれの組み合わせも、本明細書に特に明記しない限り、またはさもなければ明らかに状況によって否定されない限り、定本発明によって包含される。
【0318】
本発明の記述に関連して使用される「ある」および「その」という用語、並びに同様の指示対象は、本明細書に特に明記しない限り、または明らかに状況によって否定されない限り、単数および複数を包含すると解釈される。
【0319】
本明細書における値の範囲の説明は、本明細書に他に示されない限り、単に範囲内に入るそれぞれの別個の値について個々に言及する速記方法として使用することを意図し、それぞれの別個の値は、あたかもそれが本明細書に個々に詳述したかのように明細書に組み込まれる。特に明記しない限り、本明細書に提供される全ての正確な値は、対応する近似値を表す(たとえば、特定の因子または測定に関して提供される全ての正確な例示的値は、対応する近似測定も提供するとみなすることができ、必要に応じて「約」によって修飾される)。
【0320】
本明細書に記述した全ての方法は、他に本明細書に示さない限り、またはさもなければ明らかに状況によって否定されない限り、いずれの適切な順位で行うこともできる。
【0321】
本明細書に提供されるあらゆる、および全ての実施例または例示的語(たとえば、「などの」)は、単に本発明をよりよく解明することのみを意図し、他に主張求されない限り、本発明の範囲に対する限定を与えない。明細書における語は、本発明の実施に必須な任意の主張されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0322】
本明細書における特許文献の引用および援用は、便利のためののみで行われ、このような特許文献の妥当性、特許性および/または執行のいずれの観点も反映しない。
【0323】
要素に関して「含む」、「有する」、「含む」または「含有する」という用語を使用する本明細書の任意の側面または態様の本明細書における記述は、特に明記しない限り、または明らかに状況によって否定されない限り、その特定要素を「からなる」、「本質的になる」または「実質的に含む」本発明の同様の側面または態様についての補助を提供することを意図する(たとえば、本明細書において特定要素を含むと記述された組成物は、特に明記しない限り、または明らかに状況によって否定されない限り、その要素からなる組成物も記述するものとして理解されるべきである。
【0324】
本発明は、本明細書に提示した側面または請求の範囲で詳述した主題の全ての変更態様および均等物を、適用可能な法律によって許容される最大範囲で含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
阻害性ヒトキラーIgG様受容体(KIR)の細胞外部分と結合するか、または相互作用する薬剤であって、前記薬剤は、前記KIRと前記KIRのHLAクラスIリガンドとの間の結合を検出可能に減少することなくNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させる薬剤。
【請求項2】
請求項1の薬剤であって、前記薬剤は、前記KIRのクラスター形成を減少させるか、または遮断することによってNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させる薬剤。
【請求項3】
請求項1および2のいずれか1項に記載の薬剤であって、前記薬剤は、前記KIRの二量体化を減少させるか、または遮断することによってNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させる薬剤。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬剤であって、前記薬剤は、ドメイン1と会合する相互作用部位間の相互作用を減少させるか、または遮断する薬剤。
【請求項5】
請求項4に記載の薬剤であって、前記ドメイン1と会合する相互作用部位は、配列番号:14の残基1〜92の1つに対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を含む薬剤。
【請求項6】
請求項5に記載の薬剤であって、前記ドメイン1と会合する相互作用部位は、H1、E2、H5、R6、D31、V32、M33、F34、E35、H36、H50、D57、G58、V59、V83、T84、H85、S86、Q89、L90、S91またはA92に対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を含む薬剤。
【請求項7】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の薬剤であって、前記薬剤は、ドメイン2と会合する相互作用部位間の相互作用を減少させるか、または遮断する薬剤。
【請求項8】
請求項7に記載の薬剤であって、前記ドメイン2と会合する相互作用部位は、配列番号:14の残基108〜200の1つに対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を含む薬剤。
【請求項9】
請求項8に記載の薬剤であって、前記ドメイン2と会合する相互作用部位は、P108、S109、L110、S111、A112、Q113、P114、L114、G115、T125、S127、S129、R131、K155、V156、N157、G158、T159、Q161、A162、D163、S192、D193、P194、L195、L196、V197、S198、V199またはT200に対応する少なくとも1つのアミノ酸残基を含む薬剤。
【請求項10】
請求項9に記載の薬剤であって、前記KIR2DL1のドメイン2と会合する相互作用部位は、アミノ酸残基L110、S111、A112、Q113、P/L114およびL195を含む薬剤。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の薬剤であって、前記薬剤は、前記KIRファミリーのメンバーのホモ二量体化、ヘテロ二量体化または両方の少なくとも一つを減少させるか、または遮断する薬剤。
【請求項12】
請求項11に記載の薬剤であって、前記薬剤は、KIR2DL1のホモ二量体化を減少させるか、または遮断する薬剤。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の薬剤であって、前記薬剤は、抗体またはこれらの断片である薬剤。
【請求項14】
請求項13に記載の薬剤であって、前記断片は、Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ダイアボディー、単鎖抗体断片および多特異的抗体から選択される薬剤。
【請求項15】
請求項13および14のいずれか1項に記載のであって、前記抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体またはキメラ抗体である薬剤。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか1項に記載の薬剤であって、前記薬剤は、交差反応性KIR結合剤である薬剤。
【請求項17】
請求項16に記載の薬剤であって、前記薬剤は、交差反応性抗KIR抗体またはこれらの断片である薬剤。
【請求項18】
請求項16および17のいずれか1項に記載の薬剤であって、前記薬剤は、KIR2DL1およびKIR2DL3のそれぞれに結合する薬剤。
【請求項19】
請求項16〜18のいずれか1項に記載の薬剤であって、前記薬剤は、KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号:17のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と競合する抗体または抗体断片である薬剤。
【請求項20】
請求項19に記載の薬剤であって、前記薬剤は、配列番号:17のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体または抗体断片である薬剤。
【請求項21】
請求項16〜18のいずれか1項に記載の薬剤であって、前記薬剤は、KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号:21のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と競合する抗体または抗体断片である薬剤。
【請求項22】
請求項21に記載の薬剤であって、前記薬剤は、配列番号:21のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体または抗体断片である薬剤。
【請求項23】
医薬として使用するための、請求項1〜22のいずれか1項に記載の薬剤。
【請求項24】
患者におけるNK細胞細胞障害性を検出可能に増強するために有効な量の請求項1〜23に記載の薬剤と、1つまたは複数の薬学的に許容される担体または希釈剤とを含む医薬組成物。
【請求項25】
免疫調節薬、ホルモン薬、化学療法薬、血管新生阻害薬、アポトーシス薬および阻害性KIR受容体に対するHLA結合を遮断する抗体から選択される治療薬をさらに含む、請求項24に記載の医薬品製剤。
【請求項26】
NK細胞を請求項1〜23に記載の薬剤の有効量と接触させることによってNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少する方法。
【請求項27】
請求項26に記載の方法であって、前記薬剤は、KIRの二量体化を減少させるか、または遮断する方法。
【請求項28】
請求項26および27のいずれか1項に記載の方法であって、前記薬剤は、モノクローナル抗KIR抗体またはこれらの断片である方法。
【請求項29】
請求項26〜28のいずれか1項に記載の方法であって、前記薬剤は、KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号:17のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と競合する方法。
【請求項30】
請求項26〜28のいずれか1項に記載の方法であって、前記薬剤は、KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号:21のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と競合する方法。
【請求項31】
癌、感染症、ウイルス感染または免疫不全の治療のための医薬の製造のための、請求項1〜22のいずれか1項に記載の薬剤の使用。
【請求項32】
請求項31に記載の使用であって、前記医薬が癌を治療するためのものである使用。
【請求項33】
請求項32に記載の使用であって、前記癌は、急性および慢性脊髄性白血病(AMLおよびCML)、急性リンパ性白血病(ALL)、骨髄異形成症候群、非ホジキンリンパ腫(NHL)、多発性骨髄腫、腎細胞癌、悪性黒色腫および結直腸癌から選択される使用。
【請求項34】
請求項31に記載の使用であって、前記ウイルス感染は、ヒト免疫不全症ウイルス(HIV)、C型肝炎ウイルス(HCV)およびエボラウイルスから選択されるウイルスによって生じる使用。
【請求項35】
癌の治療のための方法であって、癌に罹患している被験体に対して請求項1〜22のいずれか1項に記載の薬剤の有効量を投与することを含む方法。
【請求項36】
請求項35に記載の方法であって、前記薬剤は、ヒト抗体、ヒト化抗体もしくはキメラ交差反応性モノクローナル抗KIR抗体またはこれらの断片である方法。
【請求項37】
請求項35および36のいずれか1項に記載の方法であって、前記薬剤は、KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号:17のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と競合する方法。
【請求項38】
請求項35および36のいずれか1項に記載の方法であって、前記薬剤は、KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号21:のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と競合する方法。
【請求項39】
免疫調節薬、ホルモン薬、化学療法薬、血管新生阻害薬、アポトーシス薬および阻害性KIR受容体に対するHLA結合を遮断する抗体から選択される治療薬を投与することをさらに含む、請求項35〜38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
a)候補薬剤のプールを製造することと;
b)前記阻害性KIRの細胞外部分と結合するか、または相互作用するいずれかの候補薬剤を選択することと;および、
c)前記阻害性KIRと前記KIRのHLAクラスIリガンドとの間の結合を減少させることなくNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を中和することができる工程b)からのいずれかの候補薬剤を選択することと、
によってNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を中和することができる薬剤を製造する方法であって、
工程b)およびc)の順序は、任意に逆転される方法。
【請求項41】
交差反応性KIR結合剤を選択する工程をさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
請求項40および41のいずれか1項に記載の方法であって、前記薬剤は、モノクローナル抗体またはこれらの断片である方法。
【請求項43】
以下の工程を含む、NK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を減少させることができる抗体または抗体断片を製造するための方法:
a)ヒト以外の動物を少なくともKIRの細胞外部分を含む免疫原性組成物で免疫することと;
b)前記免疫された動物からKIRに結合する抗体を製造することと;
c)前記阻害性KIRと前記KIRのHLAクラスIリガンドとの間の結合を減少させることなくNK細胞細胞障害性のKIRを媒介した阻害を中和することができる(b)からのいずれかの抗体を選択することと;および、
d)任意に前記抗体の断片を製造すること。
【請求項44】
KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号:17のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と競合する単離された抗体または抗体断片。
【請求項45】
KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号:17のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と同じKIR2DL1エピトープと結合する、請求項44に記載の抗体または抗体断片。
【請求項46】
配列番号:17の残基31〜35に対応するCDR H1領域、配列番号:17の残基50〜66に対応するCDR H2、配列番号:17の残基99〜108に対応するCDR H3;配列番号:18の残基24〜34に対応するCDR L1;配列番号:18の残基50〜56に対応するCDR L2および配列番号:18の残基89〜97に対応するCDR L3を含む、請求項44および45のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片。
【請求項47】
配列番号:17のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む、請求項44〜46のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片。
【請求項48】
KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号:21のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と競合する単離された抗体または抗体断片。
【請求項49】
KIR2DL1およびKIR2DL3の少なくとも一つに結合する際に配列番号:21のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む抗体と同じKIR2DL1エピトープに結合する、請求項48に記載の抗体または抗体断片。
【請求項50】
配列番号:21の残基31〜35に対応するCDR H1領域、配列番号:21の残基50〜66に対応するCDR H2、配列番号:21の残基98〜103に対応するCDR H3;配列番号:18の残基24〜34に対応するCDR L1;配列番号:18の残基50〜56に対応するCDR L2および配列番号:18の残基89〜97に対応するCDR L3を含む、請求項48および49のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片。
【請求項51】
配列番号:21のVH配列と配列番号:18のVL配列とを含む、請求項48〜50のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片。
【請求項52】
請求項44〜51のいずれか1項に記載の抗体または抗体断片をコードするヌクレオチド配列。
【請求項53】
請求項52に記載のヌクレオチド配列を含む発現ベクター。
【請求項54】
請求項53に記載のベクターをトランスフェクトした宿主細胞。
【請求項55】
抗体の発現のために適した条件下で請求項54に記載の宿主細胞を培養することを含む抗体を製造する方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図2−4】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図3−4】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−100320(P2013−100320A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2013−3780(P2013−3780)
【出願日】平成25年1月11日(2013.1.11)
【分割の表示】特願2007−549896(P2007−549896)の分割
【原出願日】平成18年1月6日(2006.1.6)
【出願人】(509091848)ノヴォ ノルディスク アー/エス (42)
【出願人】(505473891)
【Fターム(参考)】