説明

L−DOPAエチルエステル含有分散性組成物

本発明は治療上有効な量のL−DOPAエチルエステル、治療上有効な量のデカルボキシラーゼ阻害剤、増量剤、崩壊剤、および滑沢剤を含んでなる分散性医薬組成物に関する。また、本発明は本明細書に記載される医薬組成物を製造する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は1998年11月10日に出願された米国仮出願第60/107,893号の優先権を主張するものである。上記出願の内容は、参照により本願の開示内容の一部とする。
【0002】
本願を通じ、種々の参照文献が、著者および十分な引用によって確認される。これらの刊行物の開示内容は、本発明が属する技術の水準ををより十分に記載するために、その全体を参照により本願の開示内容の一部とする。
【0003】
発明の背景 発明の分野 本発明は、高度に精製され、安定で、非吸湿性で、結晶性のL-DOPAエチルエステル(LDEE)組成物の医薬組成物に関する。L-DOPAエチルエステルはパーキンソン病および関連適応症を患う患者を治療するための新規な有効成分である。
【0004】
先行技術の説明 本発明は、L-DOPAエチルエステルの分散性経口投与製剤を提供し、患者において治療活性の迅速な徴候をもたらす、新規なL-DOPAエチルエステル製剤に関する。
【0005】
L-DOPAはレボドパとも呼ばれており(The Merck Index 12版 (1996))、カルビドパまたはベンセラジドと併せて、今もパーキンソン病(PD)の最も有効な治療の1つである。かかる治療の開始後5年以内に、治療された患者の約50%で身体に障害を引き起こす運動変動が現れる(Wooten GF (1988). Ann Neurol. 24: 363-365)。この障害は、突発的かつ予期しないレボドパ治療の効力の喪失の任意の期間として現れ、時間とともに悪化し、「オン−オフ」現象と呼ばれている。
【0006】
いくつかの研究により、運動変動は血漿レボドパのレベルに直接的に関連することが示唆されている(Wooten GF 同上)。種々の観察結果はこの論点を支持しており、例えば、年配の人、特にPD(血漿欠乏症)の患者では胃排出が不安定であり、あまりにも遅すぎてレボドパで血漿欠乏を「用量の最後」に補うことができないことも多い(Bozeman Tら, (1990), Am J Gastroenterol 85: 1264およびKurlan Rら, (1988) Neurology 38: 419-421)。この作用は、レボドパ自身の低い水溶性と胃での粒状物質の通常の停留と合わせると、レボドパの摂取用量の消化(GI)管から血漿への移動速度をさらに低下させると予測される(Kelly KA (1981).Motility of the stomach and gastroduodenal junction, in Johnson LR,編, Physiology of the Gastrointestinal Tract, Raven Press, New York, 393-410頁)。ほとんどいかなる薬剤に関しても、低吸収速度と高排除速度(血漿半減期が約1時間であるレボドパの場合のような)の組み合わせ薬物動力学は、有効な治療範囲以下の血漿薬剤レベルにつながり、従って治療が効果的でなくなる。
【0007】
この状態を治療するために種々の処置が求められてきた。レボドパのスラリーの十二指腸管をとおる直接点滴が「オフ」状態からの迅速な解放を与える場合もある(Kurlan Rら, (1986) Ann, Neurol. 20: 262-265およびCedarbaumら, (1990) Neurology 40: 887-995)。もう1つのアプローチでは、レボドパの希釈水溶液の経口投与が有効であると考えられた(Kurth MCら, (1993). Neurology 43: 1036-1039)。これらの方法はいずれも、緊急に要される場合に自己治療を可能にするほど十分に実用的ではない。迅速な軽減が必要な場合には、レボドパ錠剤を接種する前に砕いてGI管でのその崩壊に必要とされる時間を最小にするというより一般的な手順が患者に推奨されている。この手順の効力はまだ証明されていない。
【0008】
有効物質の一定で連続的な溶解を可能にする医薬組成物を提供する努力においては、米国特許第4,259,314号(Lowey,1981)が含水率が1%未満の、80-95%のヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)と5-20%のヒドロキシプロピルセルロース(HPC)との混合物中に有効な薬剤を含んでなる組成物を開示している。そこで記載される製剤は特に吸湿性の治療薬とともに用いられると記載されている。
【0009】
米国特許第5,354,885号(Milman,1994)は溶液形態のL-DOPAエチルエステル、すなわち医薬上の使用に好適な実質的に遊離のL-DOPAを含有する組成物を開示している。そこで記載されるL-DOPAエチルエステルは経口または非経口経路で送達されようともレボドパのプロドラッグとして作用すると示されている。
【0010】
既存の組成物は満足のいくレベルの治療を維持するのに十分持続するレベルのL-DOPAエチルエステルを提供するわけではないので、かかる治療を必要とする患者に対するL-DOPAエチルエステルのバイオアベイラビリティーを高める医薬組成物が必要である。
【0011】
L-DOPAエチルエステルを迅速に溶解させる安定な固体製剤を分散性錠剤製剤として開発することがさらに必要であるが、これはその他の投与方法が一連の制限および欠点を示すからである。カプセル剤の使用は、単回用量のみが可能であるので、用量に影響を及ぼす。カプセル剤を半分に切断することは不可能である。
【0012】
他方、溶液形態での投与は以下に要約される一連の欠点を生じさせる。
【0013】
(1)有効成分の用量に、通常は正確でない計量装置の使用が必要である;
(2)含まれる容量のためにパーキンソン病患者にとって取り扱いのしやすさや輸送の容易さが限られたものとなり;従って、治療が完了せず、結果として治療の効力の損失をともなう、ある種のリスクがある;
(3)冷蔵が必要であり、溶液は1年を超えると安定でない;かつ (4)カルビドパを含む、ヒトが用いるための溶液を製造することは可溶性や安定性の問題のために困難である。
【0014】
本発明は、その投与を容易にする、さらなる問題をともなわない糖尿病患者への投与、および治療の効力の増強などの問題を克服するためにL-DOPAのプロドラッグを提供する。
【0015】
錠剤製剤の開発は本経口分散性製剤の有効成分すなわち、L-DOPAエチルエステルおよびカルビドパの特有の性質から起こるいくつかの予期しない問題を呈した。
【0016】
第1に、L-DOPAエチルエステルは室温で安定でなく、冷蔵下(2-8℃)で保存されるが、一方で最終分散性錠剤製剤は患者、薬剤師および医師にとって室温で保存するのに最適なように適宜設計されるべきである。
【0017】
第2に、カルビドパは7.5%の水分を含む。L-DOPAエチルエステルは水分に対して非常に不安定でありかなり容易に加水分解を受けるので、この製剤はすべての有効成分の直接混合または直接造粒とそれに次ぐ経口錠剤製剤への打錠を含んでなる標準的な方法に従って製造することはできない。L-DOPAエチルエステルが水分に対して非常に不安定であることに関してさらに考慮すべき問題は製剤に混合するための賦形剤の選択である。賦形剤は含水率が低いことが必要であり、そうでなければL-DOPAエチルエステルは加水分解を受ける。
【0018】
第3に、有効成分L-DOPAエチルエステルおよびカルビドパは種々の賦形剤に対して非常に反応性である。多数の標準的な処方にとり通常は代用可能ないくつかの賦形剤を本製剤に用いることができず、それらの選択には多数の賦形剤の徹底的な予備製剤スクリーニングが必要であった。
【0019】
本発明は消化管における錠剤崩壊に必要な時間を最小にする新規な医薬製剤を提供することによって上記の問題を解決する。それにより、L-DOPAエチルエステル、カルビドパ、微晶質セルロース、デンプンおよびステアリン酸マグネシウムを含んでなる本発明の組成物はL-DOPAエチルエステルの放出を向上させ、さらに取り込み効率を向上させた。
【0020】
発明の概要 本発明は治療上有効な量のL-DOPAエチルエステル、治療上有効な量のデカルボキシラーゼ阻害剤、増量剤、崩壊剤、および滑沢剤を含んでなる分散性医薬組成物に関する。
【0021】
さらに、本発明は (a)治療上有効な量のL-DOPAエチルエステル、医薬上許容される量の増量剤、および医薬上許容される量の崩壊剤を混合してL-DOPAエチルエステル混合物を形成し;
(b)治療上有効な量のデカルボキシラーゼ阻害剤、医薬上許容される量の崩壊剤、および医薬上許容される量の増量剤を含んでなるデカルボキシラーゼ阻害剤混合物を造粒し;
(c)工程(a)のL-DOPAエチルエステル混合物と工程(b)のデカルボキシラーゼ阻害剤混合物を医薬上許容される量の増量剤、医薬上許容される量の崩壊剤、および滑沢剤と混合し;さらに (d)工程(c)の混合物を打錠して分散製錠剤とする工程を含んでなる分散性組成物、好ましくは錠剤組成物を製造する方法を提供する。
【0022】
本発明はまた本明細書に開示される特定の方法によって製造されるL-DOPAエチルエステルおよびカルビドパなどのデカルボキシラーゼ阻害剤を含んでなる分散性組成物、好ましくは錠剤組成物も示す。
【0023】
本発明は治療上有効な量のL-DOPAエチルエステル、治療上有効な量のデカルボキシラーゼ阻害剤、増量剤、崩壊剤、および滑沢剤を含んでなる治療上有効な量の医薬組成物を患者に投与することを含んでなる、パーキンソン病およびその他の関連適応症を患う患者を治療する方法をさらに提供する。
【0024】
詳細な説明 本発明は治療上有効な量のL-DOPAエチルエステル、デカルボキシラーゼ阻害剤、増量剤、崩壊剤、および滑沢剤を含んでなる、分散性医薬組成物を提供する。
【0025】
本発明の1つの実施態様では、分散性医薬組成物、好ましくは錠剤組成物は、分散性組成物の総重量に対して、25ないし50重量%の間のL-DOPAエチルエステル量、3.0ないし10重量%の間のデカルボキシラーゼ阻害剤量、35ないし50重量%の間の増量剤量、3.0ないし10重量%の間の崩壊剤量、および0.50ないし6.0重量%の間の滑沢剤量を含んでなる。
【0026】
本発明の特定の実施態様では、デカルボキシラーゼ阻害剤はカルビドパまたはベンセラジドである。
【0027】
本発明のもう1つの特定の実施態様では、デカルボキシラーゼ阻害剤はカルビドパである。
【0028】
本発明の特定の実施態様では、カルビドパは5.0ないし10.0%の間の含水率を有する。
【0029】
本発明のもう1つの特定の実施態様では、カルビドパは7.5%の含水率を有する。
【0030】
本発明の1つの実施態様では、増量剤はコーンスターチ、グルコース、種々の天然ゴム類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微晶質セルロース、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムカオリン、塩化ナトリウム、粉末セルロース、スクロース、マンニトールおよびデンプンからなる群より選択される。
【0031】
本発明の特定の実施態様では、増量剤は微晶質セルロースである。
【0032】
本発明の1つの実施態様では、微晶質セルロースは5.0%までの含水率を有する。
【0033】
本発明のもう1つの実施態様では、微晶質セルロースは1.5%までの含水率を有する。
【0034】
本発明の1つの実施態様では、崩壊剤はカオリン、デンプン、粉末糖、グリコール酸ナトリウムデンプン、クロスカーメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、微晶質セルロースおよびアルギン酸ナトリウムからなる群より選択される。
【0035】
本発明の特定の実施態様では、崩壊剤はアルファーデンプン(pregelatinized starch)である。
【0036】
本発明の1つの実施態様では、デンプンは14%までの含水率を有する。
【0037】
本発明のもう1つの実施態様では、デンプンは12%までの含水率を有する。
【0038】
本発明のもう1つの実施態様では、デンプンは7%までの含水率を有する。
【0039】
本発明のさらなる実施態様では、デンプンは5%までの含水率を有する。
【0040】
本発明の1つの実施態様では、滑沢剤の量は分散性組成物の総重量に対して0.05ないし3.0重量%の間である。
【0041】
本発明の1つの実施態様では、滑沢剤はタルク、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、硬化(hydrogenated)ひまし油、硬化(hydrogenated)大豆油、およびポリエチレングリコールからなる群より選択される。
【0042】
本発明の特定の実施態様では、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0043】
本発明の1つの実施態様では、組成物は賦形剤をさらに含んでなる。
【0044】
本発明のもう1つの実施態様では、賦形剤はソルビトール、グルコース、キシリトール、およびマンニトールからなる群より選択される結合剤である。
【0045】
本発明のさらなる実施態様では、結合剤はキシリトールまたはマンニトールである。
【0046】
本発明の特定の実施態様では、結合剤はマンニトールである。
【0047】
本発明の1つの実施態様では、組成物は酸化防止剤をさらに含んでなる。
【0048】
本発明のもう1つの実施態様では、酸化防止剤はトコフェラル、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムからなる群より選択される。
【0049】
本発明の特定の実施態様では、酸化防止剤はメタ重亜硫酸ナトリウムである。
【0050】
本発明の1つの実施態様では、分散性医薬組成物、好ましくは錠剤組成物は、分散性組成物の総重量に対して、L-DOPAエチルエステルを25ないし50重量%の間の量で、カルビドパを3.0ないし10重量%の間の量で、微晶質セルロースを35ないし60重量%の間の量で、デンプンを3.0ないし10重量%の間の量で、ステアリン酸マグネシウムを0.50ないし3.0重量%の間の量で、マンニトールを0.0ないし5.0重量%の間の量で、およびメタ重亜硫酸ナトリウムを0.0ないし1.0重量%の間の量で含んでなる。
【0051】
本発明のもう1つの実施態様では、分散性医薬組成物、好ましくは錠剤組成物は、350ないし600mgの間の分散性組成物に対して、L-DOPAエチルエステルを100ないし300mgの間の量で、カルビドパを25ないし30mgの間の量で、微晶質セルロースを150ないし250mgの間の量で、デンプンを15ないし35mgの間の量で、ステアリン酸マグネシウムを0ないし10mgの間の量で、マンニトールを0ないし15mgの間の量で、およびメタ重亜硫酸ナトリウムを0ないし10mgの間の量で含んでなる。
【0052】
本発明のもう1つの実施態様では、微晶質セルロースは、 (a)含水率が5%までの第1の微晶質セルロース、および (b)含水率が1.5%までの第2の微晶質セルロースを含んでなり、かつ、デンプンは、 (c)含水率が12%までの第1のデンプン、および (d)含水率が5%までの第2のデンプンを含んでなる。
【0053】
本発明のさらなる実施態様では、分散性医薬組成物、好ましくは錠剤組成物は、分散性組成物の総重量に対して、含水率が5%までの微晶質セルロースを10ないし25重量%の間の量で、含水率が1.5%までの微晶質セルロースを20ないし40重量%の間の量で、含水率が12%までのデンプンを1ないし5重量%の間の量で、および含水率が5%までのデンプンを1ないし5重量%の間の量で含んでなる。
【0054】
本発明のなおさらなる実施態様では、分散性医薬組成物、好ましくは錠剤組成物は、350ないし600mgの間の分散性組成物に対して、含水率が5%までの微晶質セルロースを75ないし85mgの間の量で、含水率が1.5%までの微晶質セルロースを100ないし200mgの間の量で、含水率が12%までのデンプンを5ないし20mgの間の量で、および含水率が5%までのデンプンを3ないし25mgの間の量で含んでなる。
【0055】
本発明の1つの実施態様では、分散性医薬組成物、好ましくは錠剤組成物は、分散性組成物の総重量に対して、L-DOPAエチルエステルを29ないし48重量%の間の量で、カルビドパを4.5ないし7.2重量%の間の量で、微晶質セルロースを38ないし56重量%の間の量で、デンプンを4.7ないし8.3重量%の間の量で、ステアリン酸マグネシウムを0.69ないし2.1重量%の間の量で、マンニトールを0.0ないし2.7重量%の間の量で、およびメタ重亜硫酸ナトリウムを0.0ないし0.84重量%の間の量で含んでなる。
【0056】
本発明のなおさらなる実施態様では、分散性医薬組成物、好ましくは錠剤組成物は、376ないし390mgの間の分散性組成物に対して、L-DOPAエチルエステルを114ないし285mgの間の量で、カルビドパを25ないし30mgの間の量で、微晶質セルロースを200ないし230mgの間の量で、デンプンを20ないし32mgの間の量で、ステアリン酸マグネシウムを2.6ないし12.0mgの間の量で、マンニトールを0.0ないし10mgの間の量で、およびメタ重亜硫酸ナトリウムを0.0ないし2.0mgの間の量で含んでなる。
【0057】
本発明のさらなる実施態様では、分散性医薬組成物、好ましくは錠剤組成物は、分散性組成物の総重量に対して、含水率が5%までの微晶質セルロースを19ないし22重量%の間の量で、含水率が1.5%までの微晶質セルロースを30ないし36重量%の間の量で、含水率が12%までのデンプンを2.0ないし4.5重量%の間の量で、および含水率が5%までのデンプンを1.0ないし4.5重量%の間の量で含んでなる。
【0058】
本発明の更にもう1つの実施態様では、分散性医薬組成物、好ましくは錠剤組成物は、376ないし384mgの間の分散性組成物に対して、含水率が5%までの微晶質セルロースを79ないし80mgの間の量で、含水率が1.5%までの微晶質セルロースを120ないし135mgの間の量で、含水率が12%までのデンプンを8ないし17mgの間の量で、および含水率が5%までのデンプンを4ないし17mgの間の量で含んでなる。
【0059】
本発明の1つの実施態様では、分散性医薬組成物、好ましくは錠剤組成物は、分散性組成物の総重量に対して、L-DOPAエチルエステルを30重量%の量で、カルビドパを7.0重量%の量で、微晶質セルロースを56重量%の量で、デンプンを5.4重量%の量で、およびステアリン酸マグネシウムを2.1重量%の量で含んでなる。
【0060】
本発明の好ましい実施態様では、分散性医薬組成物、好ましくは錠剤組成物は、384mgの分散性医薬組成物に対して、L-DOPAエチルエステルを114mgの量で、カルビドパを27mgの量で、微晶質セルロースを214mgの量で、デンプンを21mgの量で、およびステアリン酸マグネシウムを8.0mgの量で含んでなる。
【0061】
本発明のもう1つの実施態様では、分散性医薬組成物、好ましくは錠剤組成物は、分散性組成物の総重量に対して、含水率が5%までの微晶質セルロースを21重量%の量で、含水率が1.5%までの微晶質セルロースを35重量%の量で、含水率が12%までのデンプンを4.4重量%の量で、および含水率が5%までのデンプンを1.0重量%の量で含んでなる。
【0062】
本発明の更にもう1つの実施態様では、分散性医薬組成物、好ましくは錠剤組成物は、384mgの分散性組成物に対して、含水率が5%までの微晶質セルロースを79mgの量で、含水率が1.5%までの微晶質セルロースを135mgの量で、含水率が12%までのデンプンを17mgの量で、および含水率が5%までのデンプンを4mgの量で含んでなる。
【0063】
本発明の特定の実施態様では、組成物、好ましくは錠剤組成物は、2.5%ないし3.5%の間の含水率を有する。
【0064】
本発明はまた、分散性組成物、好ましくは錠剤組成物を製造する方法であって、 (a)治療上有効な量のL-DOPAエチルエステル、医薬上許容される量の増量剤、および医薬上許容される量の崩壊剤を混合してL-DOPAエチルエステル混合物を形成し;
(b)治療上有効な量のデカルボキシラーゼ阻害剤、医薬上許容される量の崩壊剤、および医薬上許容される量の増量剤を含んでなるデカルボキシラーゼ阻害剤混合物を造粒し;
(c)工程(a)のL-DOPAエチルエステル混合物と工程(b)のデカルボキシラーゼ阻害剤混合物を医薬上許容される量の増量剤、医薬上許容される量の崩壊剤、および滑沢剤と混合し;さらに (d)工程(c)の混合物を打錠して分散性錠剤組成物とする工程を含んでなる方法を提供する。
【0065】
本発明の1つの実施態様では、工程(c)における混合は、まず工程(a)のL-DOPAエチルエステル混合物と工程(b)のデカルボキシラーゼ阻害剤混合物とを混合し、次いで増量剤、崩壊剤、および滑沢剤を加えることによって行われる。工程(c)における混合は造粒後にL-DOPAエチルエステルを加えることによって行われる。
【0066】
本発明の1つの実施態様では、分散性組成物の総重量に対して、L-DOPAエチルエステルの量は25ないし50重量%の間であり、デカルボキシラーゼ阻害剤の量は3.0ないし10重量%の間であり、増量剤の量は35ないし60重量%の間であり、崩壊剤の量は3.0ないし10重量%の間であり、滑沢剤の量は0.5ないし3.0重量%の間である。
【0067】
本発明の特定の実施態様では、デカルボキシラーゼ阻害剤はカルビドパまたはベンゼラジドである。
【0068】
本発明のさらなる特定の実施態様では、デカルボキシラーゼ阻害剤はカルビドパである。
【0069】
本発明の1つの実施態様では、工程(a)、(b)、および(c)の増量剤はコーンスターチ、グルコース、種々の天然ゴム類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微晶質セルロース、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムカオリン、塩化ナトリウム、粉末セルロース、スクロース、マンニトールおよびデンプンからなる群より選択される。
【0070】
本発明のもう1つの実施態様では、工程(a)、(b)、および(c)の増量剤は微晶質セルロースである。
【0071】
本発明のもう1つの実施態様では、工程(a)の微晶質セルロースは5%以下の含水率を有する。
【0072】
本発明のさらなる実施態様では、工程(b)および(c)の微晶質セルロースは1.5%以下の含水率を有する。
【0073】
本発明の1つの実施態様では、工程(a)、(b)、および(c)の崩壊剤はカオリン、デンプン、粉末糖、グリコール酸ナトリウムデンプン、クロスカーメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、微晶質セルロースおよびアルギン酸ナトリウムからなる群より選択される。
【0074】
本発明のもう1つの実施態様では、工程(a)、(b)、および(c)の崩壊剤はアルファーデンプンである。
【0075】
本発明の1つの実施態様では、工程(c)の滑沢剤はタルク、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、硬化ひまし油、硬化大豆油およびポリエチレングリコールからなる群より選択される。
【0076】
本発明の特定の実施態様では、工程(c)の滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。
【0077】
本発明の1つの実施態様では、工程(a)のL-DOPAエチルエステル混合物および工程(b)のカルビドパ混合物は賦形剤をさらに含んでなる。
【0078】
本発明のもう1つの実施態様では、工程(a)および(b)の賦形剤はソルビトール、グルコース、キシリトール、およびマンニトールからなる群より選択される結合剤である。
【0079】
本発明の特定の実施態様では、工程(a)および(b)の賦形剤はマンニトールである。
【0080】
本発明の1つの実施態様では、工程(a)のL-DOPAエチルエステル混合物は酸化防止剤をさらに含んでなる。
【0081】
本発明のもう1つの実施態様では、工程(a)の酸化防止剤はトコフェラル、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムからなる群より選択される。
【0082】
本発明の特定の実施態様では、工程(a)の酸化防止剤はメタ重亜硫酸ナトリウムである。
【0083】
本発明はさらに、分散性錠剤組成物、好ましくは分散性錠剤を製造する方法であって、 (a)治療上有効な量のL-DOPAエチルエステル、医薬上許容される量の微晶質セルロース、および医薬上許容される量のデンプンを混合してL-DOPAエチルエステル混合物を形成し;
(b)治療上有効な量のカルビドパ、医薬上許容される量のデンプン、および医薬上許容される量の微晶質セルロースを含んでなるデカルボキシラーゼ阻害剤混合物を造粒し;
(c)工程(a)のL-DOPAエチルエステル混合物と工程(b)のカルビドパ混合物を医薬上許容される量の微晶質セルロース、医薬上許容される量のデンプン、およびステアリン酸マグネシウムと混合し;さらに (d)工程(c)の混合物を打錠して分散性錠剤組成物とする工程を含んでなる方法を提供する。
【0084】
本発明の1つの実施態様では、分散性医薬組成物、好ましくは分散性錠剤組成物の総重量に対して、L-DOPAエチルエステルの量は25ないし50重量%の間であり、カルビドパの量は3.0ないし10重量%の間であり、微晶質セルロースの量は35ないし60重量%の間であり、デンプンの量は3.0ないし10重量%の間であり、ステアリン酸マグネシウムの量は0.5ないし2.5重量%の間であって、0.0ないし5.0重量%の間の量の賦形剤、および0.0ないし2.5重量%の間の量の酸化防止剤をさらに含んでなる。
【0085】
本発明のさらなる実施態様では、賦形剤はソルビトール、グルコース、キシリトール、およびマンニトールからなる群より選択される結合剤であり、かつ、酸化防止剤はトコフェラル、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムからなる群より選択される。
【0086】
本発明のもう1つの実施態様では、分散性医薬組成物、好ましくは分散性錠剤組成物の総重量に対して、L-DOPAエチルエステルの量は29ないし48重量%の間であり、カルビドパの量は4.5ないし7.2重量%の間であり、微晶質セルロースの量は38ないし56重量%の間であり、デンプンの量は4.7ないし8.3重量%の間であり、ステアリン酸マグネシウムの量は0.69ないし2.1重量%の間であり、マンニトールの量は0.0ないし2.7重量%の間であり、およびメタ重亜硫酸ナトリウムの量は0.0ないし0.84重量%の間である。
【0087】
本発明のさらなる実施態様では、分散性医薬組成物、好ましくは分散性錠剤組成物の総重量に対して、L-DOPAエチルエステルの量は30重量%であり、カルビドパの量は7.0重量%であり、微晶質セルロースの量は56重量%であり、デンプンの量は5.4重量%であり、ステアリン酸マグネシウムの量は2.1重量%である。
【0088】
本発明は、 (a)治療上有効な量のL-DOPAエチルエステル、医薬上許容される量の増量剤、および医薬上許容される量の崩壊剤を混合してL-DOPAエチルエステル混合物を形成し;
(b)治療上有効な量のデカルボキシラーゼ阻害剤、医薬上許容される量の崩壊剤、および医薬上許容される量の増量剤を含んでなるデカルボキシラーゼ阻害剤混合物を造粒し;
(c)工程(a)のL-DOPAエチルエステル混合物と工程(b)のデカボキシラーゼ阻害剤混合物を医薬上許容される量の増量剤、医薬上許容される量の崩壊剤、および滑沢剤と混合し;さらに (d)工程(c)の混合物を打錠して分散性錠剤組成物とする工程を含んでなる方法によって製造された医薬組成物、好ましくは分散性錠剤組成物を提供する。
【0089】
本発明はまた、 (a)治療上有効な量のL-DOPAエチルエステル、医薬上許容される量の微晶質セルロース、および医薬上許容される量のデンプンを混合してL-DOPAエチルエステル混合物を形成し;
(b)治療上有効な量のカルビドパ、医薬上許容される量のデンプン、および医薬上許容される量の微晶質セルロースを含んでなるデカルボキシラーゼ阻害剤混合物を造粒し;
(c)工程(a)のL-DOPAエチルエステル混合物と工程(b)のカルビドパ混合物を医薬上許容される量の微晶質セルロース、医薬上許容される量のデンプン、およびステアリン酸マグネシウムと混合し;さらに (d)工程(c)の混合物を打錠して分散性錠剤組成物とする工程を含んでなる方法によって製造された医薬組成物、好ましくは分散性錠剤組成物を提供する。
【0090】
本発明の1つの実施態様では、L-DOPAエチルエステルは少なくとも97%の純度の医薬上許容される結晶性、非吸湿性L-DOPAエチルエステル由来のL-DOPAエチルエステルであり、1重量%未満のL-DOPAを含み、40℃にて1ヶ月後にL-DOPAエチルエステルの量が4%未満まで減少することを特徴とする。
【0091】
本発明はパーキンソン病およびその他の関連適応症を患う患者を治療する方法であって、患者に治療上有効な量の本発明の医薬組成物を投与することを含んでなる方法を提供する。
【0092】
本発明はまた、治療上有効な量のL-DOPAエチルエステル、治療上有効な量のデカルボキシラーゼ阻害剤、増量剤、崩壊剤、および滑沢剤を含んでなる治療上有効な量の医薬組成物を患者に投与することを含んでなる、パーキンソン病およびその他の関連適応症を患う患者を治療する方法を提供する。
【0093】
本発明のさらなる実施態様では、上記の組成物はいずれも錠剤である。
【0094】
本発明の組成物において用いられるL-DOPAエチルエステルは好ましくは米国特許第5,354,885号に記載されるものであり(その内容は引用することにより本明細書の一部とされる)、そこに記載される方法に従って製造される。好ましいL-DOPAエチルエステルは高度に精製され、安定で非吸湿性で、かつ、結晶性である。治療上有効な量のL-DOPAエチルエステルは好ましくはレボドパの10ないし1,000ミリグラム相当であり、より好ましくは、治療上有効な量のL-DOPAエチルエステルはレボドパの50ないし250ミリグラム相当である。
【0095】
組成物が打錠される条件は組成物の最終的な特性に影響を及ぼす。組成物の、分散性錠剤などの分散性経口投与形への打錠についての技術は当技術分野では公知である。例えば、分散性錠剤製造に関する米国特許第3,885,026号および欧州特許第0 522 128 B1号ならびに製剤に関する一般的手引きに関しては米国特許第4,680,323号参照(なお、最新技術をより十分に記載するために、これらの内容は引用することにより本明細書の一部とされる)。
【0096】
最終産物は安定剤、保存剤、着色剤または結合剤などのその他のアジュバントをさらに含んでもよく、従って、本発明は特に請求されるアジュバントに限定されるものではない。
【0097】
上記のように、本発明に記載されるL-DOPAエチルエステルおよびカルビドパの分散性錠剤などの分散性製剤は文献に開示されていない。L−DOPAエチルエステル組成物は極めて安定で、非吸湿性であり、その結果L-DOPAエチルエステル含量は40℃にて6ヶ月のインキュベーション後に有効成分の少なくとも97重量%が残存する。さらに、L-DOPAエチルエステルは遊離塩基として組成物中に存在してもよい。
【0098】
本発明は新規のものなので、製剤はいくつかの予期しない実験上の問題を示したが、これらは本明細書に開示されるようにうまく克服された。安定な分散性錠剤を形成するためにはL-DOPAエチルエステルおよびカルビドパを含む錠剤製剤のための種々の賦形剤の選択にこれらの有効成分の特性を考慮に入れなければならない。
【0099】
本発明は以下の実験の詳細からより理解されよう。しかしながら、当業者ならば以下の請求の範囲においてより十分に記載されるように、論じられた特定の方法および結果は本発明の単に例示的なものであることが容易に分かるであろう。
【0100】
実験の詳細 I.L-DOPAエチルエステルの割合および錠剤製剤の成分に関する実験 製剤に関する概説 最初に、製剤を2種の顆粒:L-DOPAエチルエステル顆粒およびカルビドパ顆粒の混合物として処方したが、これはカルビドパが7-8%の水分を含み、一方、L-DOPAエチルエステルが水分に対して不安定であるためである。
【0101】
【表1−1】


【0102】
L-DOPAエチルエステルおよびカルビドパの製剤を製造する一般的手順は以下のように記載することができる。2種の異なる組成物AおよびBを個別に製造し、有効成分L-DOPAエチルエステルおよびカルビドパそれぞれを処方するために用いた。各々の場合において、増量剤組成物は混合ボウル中で所望の割合の成分を混合することによって製造した。混合物を十分攪拌し一定の稠度を得た。所望の量のカルビドパを増量剤組成物Aに加え、混合物を造粒した。所望の量のL-DOPAエチルエステルを増量剤組成物Bに加え、混合物を製剤Iにのみ造粒した。製剤II、III、IVおよびVを製造する方法に関しては、カルビドパ混合物のみを造粒した。
【0103】
組成物AおよびBの混合物および/または顆粒を別の増量剤組成物、組成物Cとともに混合し、当技術分野で公知の標準的な条件下における標準的な装置での標準的な技術に従って分散性錠剤に処方した。着色剤、甘味剤およびその他の製剤添加剤は、有効成分L-DOPAエチルエステルおよびカルビドパの上記で論じた特有の特性を考慮しながら、所望により標準的な工業実施に従う処方の適当な段階で加えることができる。
【0104】
組成物A、BおよびCの成分を以下に列挙する: 組成物A(カルビドパ顆粒)
27mgのカルビドパUSP80mgの含水率が≦5%である微晶質セルロース8mgの含水率が≦12%であるデンプン8mgのマンニトールUSP/NF(任意)
組成物B(L-DOPAエチルエステル顆粒または混合物)
114mgのL-DOPAエチルエステル20mgの含水率が≦1.5%である微晶質セルロース(総微晶質セルロースの16.66%)
2mgのメタ重亜硫酸ナトリウム(任意)
2mgの含水率が≦5%であるデンプン(総デンプンの11.76%)
2mgのマンニトールUSP/NF(任意)
組成物C(最終混合物)
組成物Aの顆粒および組成物Bの顆粒/混合物を100mgの含水率が≦1.5%である微晶質セルロース(総微晶質セルロースの83.34%)
15mgの含水率が≦5%であるデンプン(総デンプンの88.24%)
3.8mgのステアリン酸マグネシウムと混合する。
【0105】
本発明はL-DOPAエチルエステルおよびカルビドパ製剤の5つの実施例を記載する。分散性錠剤は以下の医薬製剤から製造した。
【0106】
【表1−2】


【0107】
【表1−3】


【0108】
【表1−4】


【0109】
上記の製剤に関しては酸化防止剤(メタ重亜硫酸ナトリウム)および結合剤(マンニトール)は所望による。また、デンプンおよび微晶質セルロースの使用は上記の特定の含水率に限定されるものではない。しかしながら、水分が12%を越えるデンプンなどの高水分賦形剤は、錠剤の安定性に影響を及ぼすのであまり好ましくない。製剤IIIはまた、含水率が5%までの微晶質セルロースを用いて処方した。製剤に用いてよい別の滑沢剤としてはステアリルフマル酸ナトリウムがある。錠剤組成物中のステアリルフマル酸ナトリウムで調べた最適パーセンテージは2.0ないし5.0%の間であった。
【0110】
製剤Iは分散性錠剤製剤の組成物の2種の試みを示し、これではL-DOPAエチルエステルおよびカルビドパはそれぞれ114mgおよび27mgで存在する。錠剤の医薬上の特性および安定性の向上を追求して、製造手順を単純化し、かつ、賦形剤を排除した。
【0111】
製造手順を単純化するために、L-DOPAエチルエステルの造粒を排除した。製剤Iは5つの実施例のうちで、錠剤の処方においてカルビドパ混合物とL-DOPAエチルエステル混合物の双方を造粒する唯一の製剤である。製剤IIないしVでは、カルビドパ混合物のみを錠剤の処方において造粒する。実験の結果は製剤IIおよびIIIの製法はより容易で、それほど不経済でなく、それほど費用もかからず、かつ有効成分が不安定となる可能性が小さいことを示している。錠剤の安定性を向上させるために、製剤Iのマンニトールを製剤IIおよびIIIから排除した。
【0112】
製剤IIに対して賦形剤を変更せずに、かつ、同様の崩壊時間を保持しながら製剤を改良するためのさらなる実験により製剤IIIを得た。製剤IIとIIIの間の相違はデンプン(含水率≦5%)の量に関する微晶質セルロース(含水率≦1.5%)の量である。
【0113】
製剤IVでは製剤IIIから錠剤をさらに改良したが、これは製剤IVがアレルギー性反応または炎症を引き起こすことが知られているメタ重亜硫酸ナトリウムを全く含まないことにある。安定性結果は製剤IVは酸化防止剤を含まずに安定であるということを示す。
【0114】
最後に、製剤Vは製剤IVより多い量のステアリン酸マグネシウムを含む。滑沢剤の増加によって速い機械速度での打錠が可能となる。また、この滑沢剤の増加は崩壊または溶解時間を変更しなかった。製剤Vは、製剤V中のステアリン酸マグネシウム(滑沢剤)の量がより多く、従って、この処方に従って製造した錠剤はあまり崩壊しないので、製剤IVよりも好ましい。
【0115】
25℃/60%RHおよび40℃/75%RHにおける製剤I(バッチAおよびバッチB)の安定性報告はRRT=0.6でピークを示し、これはLDEEとマンニトールの間の相互作用の結果であることが分かった。製剤II、III、IVおよびVはマンニトールを含まないのでこのピークは現れない。
【0116】
本錠剤の安定性報告により成功した分散性錠剤の処方が確認される。製造後の錠剤の含水率は2.5ないし3.5%である。崩壊は1分以内に起こり、かつ、90%を越える錠剤溶解が5分のうちに起こる。
【0117】
FMC社によって製造されたAvicel(登録商標)PH101、Avicel(登録商標)PH102およびAvicel(登録商標)PH112などの増量剤は微晶質セルロース結合剤であり、これらを錠剤製剤の実験に用いた。上記の3種の異なる種類の微晶質セルロース結合剤は含水率が異なる。Avicel(登録商標)PH101およびAvicel(登録商標)PH102は双方とも5%未満またはそれに等しい含水率である高含水率微晶質セルロース結合剤である。Avicel(登録商標)PH112は1.5%未満またはそれに等しい含水率である低含水率微晶質セルロース結合剤である。
【0118】
Colorcon Limitedによって製造されたデンプン1500およびデンプン1500LMなどの崩壊剤はアルファーデンプンであり、これらも錠剤製剤の実験に用いた。上記の2種の異なる種類のアルファーデンプンは含水率が異なる。デンプン1500は12-14%未満またはそれに等しい含水率である通常含水率アルファーデンプンである。デンプン1500LMは5-7%未満またはそれに等しい含水率である低含水率アルファーデンプンである。
【0119】
I.L-DOPAエチルエステル/カルビドパ分散性錠剤の溶解試験 方法 L-DOPAエチルエステルおよびカルビドパ分散性錠剤の溶解を室温にて水中で、患者へのこれらの錠剤の投与をシミュレートするよう意図された以下の方法に従って測定した。推奨される使用は錠剤(384mg)を数秒間約100mlの水中に置き、渦巻きを起こすか、または攪拌しながら溶解することである。懸濁液は30分以内に服用しなければならない。
【0120】
測定を自動化するために、USP 6ポット溶解装置を用いる。6個の錠剤各々を室温(23±2℃)で200mlの容器中の100mlの精製水に溶解する。これはUSP溶解装置で用いられ得る最小容量である。溶液を200rpmで回転するパドルで攪拌するが、これは溶液がカップ内でティースプーンで攪拌される場合に引き起こる乱れをシミュレートするものである。攪拌の5分後、サンプルを各容器から回収し、UV検出を用いる逆相高速液体クロマトグラフィーによって分析する。
【0121】
具体的にはこの実験では、L-DOPAエチルエステルまたはカルビドパの量は100Åの孔サイズを有する3μの直径の球形シリカ粒子をベースとする10cmのC18カラム用いることによって測定する。溶出溶媒はアセトニトリルの勾配とイオン対形成試薬を含むリン酸バッファー含んでなる(pH2.7で)。検出技術は280nm、すなわちL-DOPAエチルエステルおよびカルビドパ双方の最大吸収の波長での紫外線吸収である。
【0122】
この試験によりこの投与形からのL-DOPAエチルエステルおよびカルビドパ双方の溶解に関する重要な情報が提供され、これは安定性研究の際、少なくとも製剤の開発段階の際に用いられるはずである。
【0123】
錠剤の溶解を調べる実験の結果が以下の表2に示されている。
【0124】
【表2】


【0125】
III.進行したパーキンソン病患者における薬物動力学研究 目的 長期にわたるレボドパ治療後に重大な変動を示したパーキンソン病患者における4種の異なる治療の単回用量投与: 1. カルビドパ錠剤をともなうL-DOPAエチルエステル経口溶液 2.L-DOPAエチルエステル/カルビドパ分散性錠剤(水に溶解した)
3.L-DOPAエチルエステル/カルビドパ分散性錠剤(全体を飲み込んだ)
4.レボドパ/カルビドパ標準錠剤の後にレボドパおよびカルビドパの薬物動力学プロフィールを比較すること。
【0126】
研究計画 これは4種の治療の薬物動力学プロフィールを比較するための薬物動力学的、非盲検、無作為の、4者のクロスオーバー研究であった。
【0127】
各々の患者は無作為に割り付け、一連の4種の治療の施した。各々の患者は4種の治療の彼の/彼女の一連を2週間以内に完了するはずであり、これでは一日あたり一回の治療のみが可能であり、かつ、治療の間に48時間の間隔が必須とした。
【0128】
29人の患者が試験に加わり、上記の4種の治療の各々を受けた。朝の服用分のみを(これは本来はレボドパ/カルビドパ標準錠剤であった)、4種の治療日の各々において4種の治療オプションの1種で置き換えた。
【0129】
各患者は彼の/彼女自身のレボドパ/カルビドパ用量計画を継続した。従って、置き換えた朝の試験薬剤用量は各患者の個々のレボドパ/カルビドパ用量と等価とした。
【0130】
薬物動力学評価はレボドパ、カルビドパ、およびL-DOPAエチルエステルの血漿レベルを測定することによって実施した。すべての患者について4種の治療日の各々においてこの評価を施した。投与の前、その後5、15、30、45、60、90、120および240分に血液サンプルを採取した。さらに、各薬剤投与に続いて、薬剤が作用する、または患者が動けるようになる時間、例えば、「オンになる時間」を記録した。
【0131】
毎通院時に、患者を副作用、バイタルサイン、および併用薬に関して評価した。臨床的実験室評価を最初および最後の通院時に実施した。
【0132】
集団 患者は少なくとも1年の長期にわたるレボドパ/カルビドパ治療に続き重大な応答(オン/オフ)変動をともなうパーキンソン病を有していると診断されなければならなかった。疾病の重篤度はヘーンおよびヤールのステージングに従って決定しなければならない(オフの際は2〜5期)。応答変動をともなう患者がL-DOPAエチルエステルの使用の標的集団である。
【0133】
PK評価: 評価はレボドパ、カルビドパおよびL-DOPAエチルエステルの血漿レベル測定、および各々の用量が最大血液レベル濃度(Tmax)に到達する時間を基にした。
【0134】
研究の結果は以下の表3に要約されている。
【0135】
【表3】


【0136】
IV.溶液中(4℃)、錠剤(25℃/60%RH)、および錠剤(40℃75%RH)中でのL-DOPAエチルエステル分解 LDEE経口溶液(4℃)中の、および2種の環境条件のLDEEおよびカルビドパ分散性錠剤中の(25℃/60%RHおよび40℃/75%RHでの)L-DOPAエチルエステル(LDEE)分解の比較をサンプル中のL-DOPAのレベルの変化を6ヶ月の期間にわたって測定することによって実施した。L-DOPAはL-DOPAエチルエステルの主たる分解産物である。L-DOPAのレベルの上昇はLDEEの分解を示す。
【0137】
サンプル中のLDEE濃度のパーセントとして表されるL-DOPAのレベルの経時変化をLDEEおよびカルビドパ分散性錠剤(アルミニウムブリスターに充填された製剤V)、およびLDEE経口溶液(PETボトルに充填された)において測定した。溶液の組成は(1mlあたり)57.1mgのLDEE、1.2mgのメチルパラベン、1.6mgのサッカリンナトリウム、0.1mgのエデト酸二ナトリウムおよびチェリー風味であった。溶液はLDEEの安定性が最大であるpH4.0までHClで酸性化した。溶液は冷蔵(4℃)に維持し、他方、錠剤は室温(25℃かつ60%相対湿度)に、または促進安定性条件(40℃かつ75%相対湿度)に維持した。結果は以下の表4および図4に示されている:
【表4】


【0138】
錠剤中のL-DOPA濃度の上昇は、錠剤が高温(化学反応を促進する)で維持されても溶液中よりもかなり遅かった。
【0139】
結論として、結果は分散性錠剤の製剤は溶液中よりもかなりよいLDEEの安定性をもたらすということを示す。この安定性により冷蔵ではなく室温での錠剤の保存が可能となり、このことは患者にとってより便利である。
【図面の簡単な説明】
【図1A】 製剤IのL-DOPAエチルエステルおよびカルビドパ分散性錠剤114mg/25mgの製造手順。L-DOPAエチルエステルの造粒。
【図1B】 製剤IのL-DOPAエチルエステルおよびカルビドパ分散性錠剤114mg/25mgの製造手順。カルビドパの造粒。
【図1C】 製剤IのL-DOPAエチルエステルおよびカルビドパ分散性錠剤114mg/25mgの製造手順。錠剤製剤のためのL-DOPAエチルエステル顆粒およびカルビドパ顆粒の混合。
【図2】 製剤IIおよびIIIのL-DOPAエチルエステルおよびカルビドパ分散性錠剤114mg/25mgの製造手順。
【図3】 製剤IVおよびVのL-DOPAエチルエステルおよびカルビドパ分散性錠剤114mg/25mgの製造手順。
【図4】 6ヶ月の期間にわたるL-DOPAレベルの変化の測定による溶液(4℃)、錠剤(25℃/60%RH)、および錠剤(40%/75%RH)におけるL-DOPAエチルエステル分解の比較。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 治療上有効な量のL-DOPAエチルエステル、デカルボキシラーゼ阻害剤、増量剤、崩壊剤、および滑沢剤を含んでなる、分散性医薬組成物。
【請求項2】 分散性医薬組成物の総重量に対して、L-DOPAエチルエステルの量が25ないし50重量%の間であり、デカルボキシラーゼ阻害剤の量が3.0ないし10重量%の間であり、増量剤の量が35ないし50重量%の間であり、崩壊剤の量が3.0ないし10重量%の間であり、かつ、滑沢剤の量が0.50ないし6.0重量%の間である、請求項1に記載の分散性医薬組成物。
【請求項3】 デカルボキシラーゼ阻害剤がカルビドパまたはベンセラジドである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】 デカルボキシラーゼ阻害剤がカルビドパである、請求項3に記載の組成物。
【請求項5】 カルビドパが5.0ないし10.0%の間の含水率を有する、請求項4に記載の組成物。
【請求項6】 カルビドパが7.5%の含水率を有する、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】 増量剤がコーンスターチ、グルコース、種々の天然ゴム類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微晶質セルロース、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムカオリン、塩化ナトリウム、粉末セルロース、スクロース、マンニトールおよびデンプンからなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項8】 増量剤が微晶質セルロースである、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】 微晶質セルロースが5.0%までの含水率を有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】 微晶質セルロースが1.5%までの含水率を有する、請求項8に記載の組成物。
【請求項11】 崩壊剤がカオリン、デンプン、粉末糖、グリコール酸ナトリウムデンプン、クロスカーメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、微晶質セルロースおよびアルギン酸ナトリウムからなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項12】 崩壊剤がアルファーデンプンである、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】 デンプンが14%までの含水率を有する、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】 デンプンが12%までの含水率を有する、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】 デンプンが7%までの含水率を有する、請求項12に記載の組成物。
【請求項16】 デンプンが5%までの含水率を有する、請求項12に記載の組成物。
【請求項17】 滑沢剤がタルク、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、硬化ひまし油、硬化大豆油、およびポリエチレングリコールからなる群より選択される、請求項2に記載の組成物。
【請求項18】 滑沢剤がステアリン酸マグネシウムである、請求項17に記載の組成物。
【請求項19】 組成物が賦形剤をさらに含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】 賦形剤がソルビトール、グルコース、キシリトール、およびマンニトールからなる群より選択される結合剤である、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】 結合剤がキシリトールまたはマンニトールである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】 結合剤がマンニトールである、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】 組成物が酸化防止剤をさらに含んでなる、請求項1に記載の組成物。
【請求項24】 酸化防止剤がトコフェラル、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムからなる群より選択される、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】 酸化防止剤がメタ重亜硫酸ナトリウムである、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】 分散性医薬組成物の総重量に対して、25ないし50重量%の間の量のL-DOPAエチルエステル、3.0ないし10重量%の間の量のカルビドパ、35ないし60重量%の間の量の微晶質セルロース、3.0ないし10重量%の間の量のデンプン、0.50ないし3.0重量%の間の量のステアリン酸マグネシウム、0.0ないし5.0重量%の間の量のマンニトール、および0.0ないし1.0重量%の間の量のメタ重亜硫酸ナトリウムを含んでなる、分散性医薬組成物。
【請求項27】 350ないし600mgの間の分散性医薬組成物に対して100ないし300mgの間の量のL-DOPAエチルエステル、25ないし30mgの間の量のカルビドパ、150ないし250mgの間の量の微晶質セルロース、15ないし35mgの間の量のデンプン、0ないし10mgの間の量のステアリン酸マグネシウム、0ないし15mgの間の量のマンニトール、および0ないし10mgの間の量のメタ重亜硫酸ナトリウムを含んでなる、分散性医薬組成物。
【請求項28】 微晶質セルロースが、 (a)含水率が5%までの第1の微晶質セルロース、および (b)含水率が1.5%までの第2の微晶質セルロースを含んでなり、かつ、デンプンが、 (c)含水率が12%までの第1のデンプン、および (d)含水率が5%までの第2のデンプンを含んでなる、請求項26に記載の分散性医薬組成物。
【請求項29】 分散性医薬組成物の総重量に対して、含水率が5%までの微晶質セルロースを10ないし25重量%の間の量で、含水率が1.5%までの微晶質セルロースを20ないし40重量%の間の量で、含水率が12%までのデンプンを1ないし5重量%の間の量で、および含水率が5%までのデンプンを1ないし5重量%の間の量で含んでなる、請求項28に記載の分散性医薬組成物。
【請求項30】 微晶質セルロースが、 (a)含水率が5%までの第1の微晶質セルロース、および (b)含水率が1.5%までの第2の微晶質セルロースを含んでなり、かつ、デンプンが、 (c)含水率が12%までの第1のデンプン、および (d)含水率が5%までの第2のデンプンを含んでなる、請求項27に記載の分散性医薬組成物。
【請求項31】 350ないし600mgの間の分散性医薬組成物に対して含水率が5%までの微晶質セルロースを75ないし85mgの間の量で、含水率が1.5%までの微晶質セルロースを100ないし200mgの間の量で、含水率が12%までのデンプンを5ないし20mgの間の量で、および含水率が5%までのデンプンを3ないし25mgの間の量で含んでなる、請求項30に記載の分散性医薬組成物。
【請求項32】 分散性医薬組成物の総重量に対して、L-DOPAエチルエステルを29ないし48重量%の間の量で、カルビドパを4.5ないし7.2重量%の間の量で、微晶質セルロースを38ないし56重量%の間の量で、デンプンを4.7ないし8.3重量%の間の量で、ステアリン酸マグネシウムを0.69ないし2.1重量%の間の量で、マンニトールを0.0ないし2.7重量%の間の量で、およびメタ重亜硫酸ナトリウムを0.0ないし0.84重量%の間の量で含んでなる、請求項26に記載の分散性医薬組成物。
【請求項33】 376ないし390mgの間の分散性医薬組成物に対してL-DOPAエチルエステルを114ないし285mgの間の量で、カルビドパを25ないし30mgの間の量で、微晶質セルロースを200ないし230mgの間の量で、デンプンを20ないし32mgの間の量で、ステアリン酸マグネシウムを2.6ないし10.0mgの間の量で、マンニトールを0ないし10mgの間の量で、およびメタ重亜硫酸ナトリウムを0.0ないし2.0mgの間の量で含んでなる、請求項27に記載の分散性医薬組成物。
【請求項34】 微晶質セルロースが、 (a)含水率が5%までの第1の微晶質セルロース、および (b)含水率が1.5%までの第2の微晶質セルロースを含んでなり、かつ、デンプンが、 (c)含水率が12%までの第1のデンプン、および (d)含水率が5%までの第2のデンプンを含んでなる、請求項32に記載の分散性医薬組成物。
【請求項35】 分散性医薬組成物の総重量に対して、含水率が5%までの微晶質セルロースを19ないし22重量%の間の量で、含水率が1.5%までの微晶質セルロースを25ないし36重量%の間の量で、含水率が12%までのデンプンを2.0ないし4.5重量%の間の量で、および含水率が5%までのデンプンを1.0ないし4.5重量%の間の量で含んでなる、請求項34に記載の分散性医薬組成物。
【請求項36】 微晶質セルロースが、 (a)含水率が5%までの第1の微晶質セルロース、および (b)含水率が1.5%までの第2の微晶質セルロースを含んでなり、かつ、デンプンが、 (c)含水率が12%までの第1のデンプン、および (d)含水率が5%までの第2のデンプンを含んでなる、請求項33に記載の分散性医薬組成物。
【請求項37】 376ないし384mgの間の分散性医薬組成物に対して含水率が5%までの微晶質セルロースの量が79ないし80mgの間であり、含水率が1.5%までの微晶質セルロースの量が120ないし135mgの間であり、含水率が12%までのデンプンの量が8ないし17mgの間であり、および含水率が5%までのデンプンの量が4ないし17mgの間である、請求項36に記載の分散性医薬組成物。
【請求項38】 分散性医薬組成物の総重量に対して、L-DOPAエチルエステルを30重量%の量で、カルビドパを7.0重量%の量で、微晶質セルロースを56重量%の量で、デンプンを5.4重量%の量で、およびステアリン酸マグネシウムを2.1重量%の量で含んでなる、請求項32に記載の分散性医薬組成物。
【請求項39】 384mgの分散性医薬組成物に対してL-DOPAエチルエステルを114mgの量で、カルビドパを27mgの量で、微晶質セルロースを214mgの量で、デンプンを21mgの量で、およびステアリン酸マグネシウムを8.0mgの量で含んでなる、請求項33に記載の分散性医薬組成物。
【請求項40】 微晶質セルロースが、 (a)含水率が5%までの第1の微晶質セルロース、および (b)含水率が1.5%までの第2の微晶質セルロースを含んでなり、かつ、デンプンが、 (c)含水率が12%までの第1のデンプン、および (d)含水率が5%までの第2のデンプンを含んでなる、請求項38に記載の分散性医薬組成物。
【請求項41】 分散性医薬組成物の総重量に対して、含水率が5%までの微晶質セルロースを21重量%の量で、含水率が1.5%までの微晶質セルロースを35重量%の量で、含水率が12%までのデンプンを4.4重量%の量で、および含水率が5%までのデンプンを1.0重量%の量で含んでなる、請求項40に記載の分散性医薬組成物。
【請求項42】 微晶質セルロースが、 (a)含水率が5%までの第1の微晶質セルロース、および (b)含水率が1.5%までの第2の微晶質セルロースを含んでなり、かつ、デンプンが、 (c)含水率が12%までの第1のデンプン、および (d)含水率が5%までの第2のデンプンを含んでなる、請求項39に記載の分散性医薬組成物。
【請求項43】 384mgの分散性医薬組成物に対して含水率が5%までの微晶質セルロースの量が79mg量であり、含水率が1.5%までの微晶質セルロースの量が135mgであり、含水率が12%までのデンプンの量が17mgであり、および含水率が5%までのデンプンの量が4mgである、請求項42に記載の分散性医薬組成物。
【請求項44】 2.5%ないし3.5%の間の含水率を有する、請求項2に記載の組成物。
【請求項45】 分散性錠剤組成物を製造する方法であって、 (a)L-DOPAエチルエステル、増量剤、および崩壊剤を混合してL-DOPAエチルエステル混合物を形成し;
(b)デカルボキシラーゼ阻害剤、崩壊剤、および増量剤を含んでなるデカルボキシラーゼ阻害剤混合物を造粒し;
(c)工程(a)のL-DOPAエチルエステル混合物と工程(b)のデカルボキシラーゼ阻害剤混合物を増量剤、崩壊剤、および滑沢剤と混合し;さらに (d)工程(c)の混合物を打錠して分散性錠剤組成物とする工程を含んでなる方法。
【請求項46】 工程(c)における混合が、まず工程(a)のL-DOPAエチルエステル混合物と工程(b)のデカルボキシラーゼ阻害剤混合物とを混合し、次いで増量剤、崩壊剤、および滑沢剤を加えることによって行われる、請求項45に記載の方法。
【請求項47】 分散性組成物の総重量に対して、L-DOPAエチルエステルの量が25ないし50重量%の間であり、デカルボキシラーゼ阻害剤の量が3.0ないし10重量%の間であり、増量剤の量が35ないし60重量%の間であり、崩壊剤の量が3.0ないし10重量%の間であり、滑沢剤の量が0.5ないし3.0重量%の間である、請求項45に記載の方法。
【請求項48】 デカルボキシラーゼ阻害剤がカルビドパまたはベンゼラジドである、請求項45に記載の方法。
【請求項49】 デカルボキシラーゼ阻害剤がカルビドパである、請求項48に記載の方法。
【請求項50】 工程(a)、(b)、および(c)の増量剤がコーンスターチ、グルコース、種々の天然ゴム類、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、微晶質セルロース、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウムカオリン、塩化ナトリウム、粉末セルロース、スクロース、マンニトールおよびデンプンからなる群より選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項51】 工程(a)、(b)、および(c)の増量剤が微晶質セルロースである、請求項50に記載の方法。
【請求項52】 工程(a)の微晶質セルロースが5%以下の含水率を有する、請求項51に記載の方法。
【請求項53】 工程(b)および(c)の微晶質セルロースが1.5%以下の含水率を有する、請求項51に記載の方法。
【請求項54】 工程(a)、(b)、および(c)の崩壊剤がカオリン、デンプン、粉末糖、グリコール酸ナトリウムデンプン、クロスカーメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、微晶質セルロースおよびアルギン酸ナトリウムからなる群より選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項55】 工程(a)、(b)、および(c)の崩壊剤がアルファーデンプンである、請求項54に記載の方法。
【請求項56】 工程(c)の滑沢剤がタルク、ステアリルフマル酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、硬化ひまし油、硬化大豆油およびポリエチレングリコールからなる群より選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項57】 工程(c)の滑沢剤がステアリン酸マグネシウムである、請求項56に記載の方法。
【請求項58】 工程(a)のL-DOPAエチルエステル混合物および工程(b)のカルビドパ混合物が賦形剤をさらに含んでなる、請求項45に記載の方法。
【請求項59】 工程(a)および(b)の賦形剤がソルビトール、グルコース、キシリトール、およびマンニトールからなる群より選択される結合剤である、請求項58に記載の方法。
【請求項60】 工程(a)および(b)の賦形剤がマンニトールである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】 工程(a)のL-DOPAエチルエステル混合物が酸化防止剤をさらに含んでなる、請求項45に記載の方法。
【請求項62】 工程(a)の酸化防止剤がトコフェラル、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムからなる群より選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】 工程(a)の酸化防止剤がメタ重亜硫酸ナトリウムである、請求項62に記載の方法。
【請求項64】 分散性錠剤組成物を製造する方法であって、 (a)L-DOPAエチルエステル、微晶質セルロース、およびデンプンを混合してL-DOPAエチルエステル混合物を形成し;
(b)カルビドパ、デンプン、および微晶質セルロースを含んでなるデカルボキシラーゼ阻害剤混合物を造粒し;
(c)工程(a)のL-DOPAエチルエステル混合物と工程(b)のカルビドパ混合物を微晶質セルロース、デンプン、およびステアリン酸マグネシウムと混合し;さらに (d)工程(c)の混合物を打錠して分散性錠剤組成物とする工程を含んでなる方法。
【請求項65】 分散性錠剤組成物の総重量に対して、L-DOPAエチルエステルの量が25ないし50重量%の間であり、カルビドパの量が3.0ないし10重量%の間であり、微晶質セルロースの量が35ないし60重量%の間であり、デンプンの量が3.0ないし10重量%の間であり、ステアリン酸マグネシウムの量が0.5ないし3.0重量%の間であって、0.0ないし5.0重量%の間の量の賦形剤、および0.0ないし2.5重量%の間の量の酸化防止剤をさらに含んでなる、請求項64に記載の方法。
【請求項66】 賦形剤がソルビトール、グルコース、キシリトール、およびマンニトールからなる群より選択される結合剤であり、かつ、酸化防止剤がトコフェラル、メタ重亜硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシトルエン、ブチル化ヒドロキシアニソール、アスコルビン酸およびアスコルビン酸ナトリウムからなる群より選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】 分散性錠剤組成物の総重量に対して、L-DOPAエチルエステルの量が29ないし48重量%の間であり、カルビドパの量が4.5ないし7.2重量%の間であり、微晶質セルロースの量が38ないし56重量%の間であり、デンプンの量が4.7ないし8.3重量%の間であり、ステアリン酸マグネシウムの量が0.69ないし2.1重量%の間であり、マンニトールの量が0.0ないし2.7重量%の間であり、およびメタ重亜硫酸ナトリウムの量が0.0ないし0.84重量%の間である、請求項66に記載の方法。
【請求項68】 分散性錠剤組成物の総重量に対して、L-DOPAエチルエステルの量が30重量%であり、カルビドパの量が7.0重量%であり、微晶質セルロースの量が56重量%であり、デンプンの量が5.4重量%であり、ステアリン酸マグネシウムの量が2.1重量%である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】 請求項45に記載の方法によって製造される分散性組成物。
【請求項70】 L-DOPAエチルエステルが少なくとも97%の純度の医薬上許容される結晶性、非吸湿性L-DOPAエチルエステル由来のL-DOPAエチルエステルであり、1重量%未満のL-DOPAを含み、40℃にて1ヶ月後にL-DOPAエチルエステルの量が4%未満まで減少する、請求項2に記載の組成物。
【請求項71】 パーキンソン病およびその他の関連適応症を患う患者を治療する方法であって、患者に治療上有効な量の請求項2に記載の医薬組成物を投与することを含んでなる方法。
【請求項72】 組成物が錠剤である、請求項1に記載の組成物。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2002−529407(P2002−529407A)
【公表日】平成14年9月10日(2002.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−580614(P2000−580614)
【出願日】平成11年11月10日(1999.11.10)
【国際出願番号】PCT/US99/26546
【国際公開番号】WO00/27385
【国際公開日】平成12年5月18日(2000.5.18)
【出願人】
【氏名又は名称】テバ ファーマシューティカル インダストリーズ リミティド
【Fターム(参考)】