説明

LCD制御システム

【課題】DSPから出力したクロック信号と画像データで、LCDモジュールを確実に動作させる方法を提供する
【解決手段】LCDモジュールと、該LCDモジュールに対して出力するクロック信号及び画像データを生成するDSPと、クロック信号を低い周波数のクロック信号に変換するクロック分周回路とを有し、前記DSPは、出力するクロック信号が前記LCDモジュールを動作させる条件に合わない場合、前記LCDモジュールが動作するクロックの周波数に対する前記クロック信号の倍数に合わせた倍率で画像データの横方向の幅を拡張させるように、水平方向の画素を増やした出力画像データを生成すると共に、クロック信号を前記クロック分周回路により前記LCDモジュールを動作させる条件に合うように変換し、該変換したクロック信号と前記出力画像データとを前記LCDモジュールに出力することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LCD制御システムに関し、特にLCDを最新のDSPを用いて制御する際の制御方式に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のLCD制御システムは、周波数の高いクロック信号で動作する第1のモードと、周波数の低いクロック信号で動作する第2のモードがあり、LCDパネルに静止画や低速動画等を表示させる場合には、第1のモードの状態で外部メモリからLCDコントローラに画像データを入力し、それから低速モードに切り替えてLCDコントローラからLCDモジュールに画像データを入力してLCDモジュールに画像を表示させるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−121699号公報(段落「0036」−段落「0055」、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、いずれのモードにおいてもクロック信号の周波数はLCDモジュールの動作に対応するものであり、LCDモジュールを動作させる周波数と異なる周波数を出力するDSPをLCDコントローラとして用いてLCDモジュールを動作させる方式について言及しているものではない。
【0005】
一般にLCD制御システムによる制御方式は、LCDコントローラが出力する周波数が、LCDモジュールの動作条件を満たす周波数でないとLCDモジュールを動作させることができないため、近年使用される映像の処理に特化したDSPを従来のLCDコントローラの代わりに使おうとしても、LCDモジュールを動作させる周波数の条件に合わないと使うことができないという問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するための手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために、LCDモジュールと、該LCDモジュールに対して出力するクロック信号及び画像データを生成するDSPと、クロック信号を低い周波数のクロック信号に変換するクロック分周回路とを有し、前記DSPは、出力するクロック信号が前記LCDモジュールを動作させる条件に合わない場合、前記LCDモジュールが動作するクロックの周波数に対する前記クロック信号の倍数に合わせた倍率で画像データの横方向の幅を拡張させるように、水平方向の画素を増やした出力画像データを生成すると共に、クロック信号を前記クロック分周回路により前記LCDモジュールを動作させる条件に合うように変換し、該変換したクロック信号と前記出力画像データとを前記LCDモジュールに出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
これにより、本発明は、最新のDSPを用いてLCDモジュールを動作させることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】実施例1のLCD制御システムを示すブロック図
【図2】実施例1における画像データを表示させるマッピング例を示す説明図
【図3】生成された出力画像データ例を示す説明図
【図4】LCDモジュールに表示する水平方向の1ラインのタイミングチャート
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、図面を参照して本発明によるLCD制御システムの実施例について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は実施例1のLCD制御システムを示すブロック図である。
図1において、1はLCD制御システムであり、本システムを搭載する図示しない装置のCPUから受け取った画像データに基づく映像をLCD(Liquid Crystal Display)に表示させるための制御を行う。
【0011】
2はDSP(Digital Signal Processor)であり、デジタル信号を処理するプロセッサであって、後述するLCDモジュール5を制御するLCDコントローラを内蔵すると共に、内部メモリ2aを備えその内部メモリ2aに記憶されたプログラムに従って画像のデータを演算、加工し、その加工された画像のデータや水平同期信号、クロック信号を出力する機能を有する。
なお、本実施例におけるDSP2は、6.25MHz〜75MHzの範囲でクロック周波数を出力する。
【0012】
3は半導体メモリとしてのSDRAM(Synchronous DRAM)であり、DSP2と接続する外部メモリであって、本発明のLCD制御システム1を搭載する図示しない装置に入力された画像のデータを記憶する。
なお、3を半導体メモリとしてSDRAMとしたが、これに限るものではなくSDRAM以外のメモリシステムであっても利用可能であることはいうまでも無い。
【0013】
4はクロック分周回路であり、入力されたクロック信号を分割し、高い周波数のクロック信号を低い周波数に変換し、例えば10MHzのクロック信号が入力されれば、5MHzのクロック信号に変換する。
【0014】
5はLCDモジュールであり、接続ケーブル6aによってクロック分周回路4を経由してDSP2と接続し、さらに接続ケーブル6bによってDSP2と直接接続する。
LCDモジュール5は、DSP2から出力された画像のデータが接続ケーブル6bを介して入力され、DSP2から出力されたクロック信号が接続ケーブル6a、クロック分周回路4を介して入力され、その入力された画像のデータに応じた映像を表示する。
【0015】
なお、LCDモジュール5は図示しない水平カウンタを備えており、その水平カウンタにより水平同期信号の電圧レベルを認識し、映像の表示開始のタイミングを計る機能を有している。
LCDモジュール5に画像を表示させるマッピング処理について説明する。
【0016】
ここで、図2は実施例1における画像データを表示させるマッピング例を示す説明図でり、LCDモジュール5の画素を図2に示すように、横方向においての1ラインが15個の画素で、かつそのラインが所定数n列並んでいるものと仮定する。このときの横方向に並ぶ15個の画素を1〜9、A〜Fの識別子によって区別する。
【0017】
そして、LCDモジュール5は、受け付けた画像データに基づく映像を表示させるとき、図2の左上の1番を第1ラインの先頭画素とし、この1番から右へ向かって順番に画像データに基づく色彩を表示し第1ラインの最終画素であるF番まで表示する。
そして第1ラインの表示が終わると、第2ライン以降の表示についても上記と同様の方法にて行い、最終ラインである第nラインの表示を終えることで映像表示が完了する。
【0018】
上述した構成の作用について説明する。
本実施例において、LCD制御システム1を搭載する図示しない装置のCPUは、画像データをLCD制御システム1のSDRAM3に記憶する。DSP2は、SDRAM3から画像データを読み出し、読み出した画像データをもとに出力画像データを生成する。
また、本実施例ではDSP2から出力される出力画像データの画像周波数と、クロック周波数は共に10MHzであるのに対し、LCDモジュール5が対応する周波数が5MHzであるものとする。
【0019】
ここで、図3は生成された出力画像データ例を示す説明図である。
DSP2が生成した出力画像データは、図2に示すような映像を表示させる画像データに対しては、図3に示すように1ラインにおける各画素1〜Fに表示させるデータを2倍に増やし、その増やしたデータを基となったデータに隣接させ、つまり図2に示すように左から1、1、2、2…E、E、F、Fの順番に並べ、これを各ラインで行っていく。
【0020】
このようにして生成された出力画像データは、基となった画像データに対して横方向にのみ2倍に間延びした映像を表示させる横2倍拡張データとなる。
DSP2は、水平同期信号を接続ケーブル6bを介してLCDモジュール5に送信し、LCDモジュール5から水平同期信号の電圧レベルが最大値Hになったことを伝える信号を受信したとき、生成した出力画像データを接続ケーブル6bを介してLCDモジュール5に送信すると共に、クロック信号を接続ケーブル6a、クロック分周回路4を介してLCDモジュール5に送信する。
【0021】
ここで、図4はLCDモジュールに表示する水平方向の1ラインのタイミングチャートであり、横軸は時間を示したものである。
図4において、DSP出力クロックをDSP2から出力されるクロック信号とし、DSP出力データをDSP2から出力される出力画像データとし、LCD入力クロックをLCDモジュール5に入力されるクロック信号とし、LCD入力データをLCDモジュール5に入力される画像のデータとして示している。
【0022】
LCDモジュール5は、クロック信号の周波数に合わせて出力画像データに従う各画素のデータを順に出力して映像を構成していく。
このとき、クロック信号がクロック分周回路4によって周波数が10MHzの半分の5MHzとなるので、5MHzのクロック信号に同期して出力画像データに基づく映像が構成される。
【0023】
DSP2は、出力画像データに従う各画素のデータを10MHzの周波数に合わせて出力するが、クロック信号がクロック分周回路4を介することで5MHzになり、5MHzとなったクロック信号に合わせたタイミングでLCDモジュール5側が出力画像データを受け付けていくようになる。
【0024】
そのため、LCDモジュール5が動作するクロックに対する2倍のクロックでDSP2から出力画像データが送られてくるが、LCDモジュール5はその内の1つ分のデータしか受け付けることができないので、結果図4のLCD入力データで示す1〜Fまでが順番に入力されていくデータとなり、DSP2が図示しないCPUから受け取った元の画像データと同じデータが入力されることになる。
【0025】
以上説明したように、本実施例では、クロック条件の異なるDSPとLCDモジュールに対して、横に2倍に拡張したデータを生成し、LCDモジュールの2倍のクロックでDSPからデータを2クロック分連続して出力することでLCDモジュールに適合するクロック条件でデータを入力可能になり、画像を表示することが可能になるという効果が得られる。
【符号の説明】
【0026】
1 LCD制御システム
2 DSP
2a 内部メモリ
3 SDRAM
4 クロック分周回路
5 LCDモジュール
6a、6b 接続ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LCDモジュールと、該LCDモジュールに対して出力するクロック信号及び画像データを生成するDSPと、クロック信号を低い周波数のクロック信号に変換するクロック分周回路とを有し、
前記DSPは、出力するクロック信号が前記LCDモジュールを動作させる条件に合わない場合、前記LCDモジュールが動作するクロックの周波数に対する前記クロック信号の倍数に合わせた倍率で画像データの横方向の幅を拡張させるように、水平方向の画素を増やした出力画像データを生成すると共に、クロック信号を前記クロック分周回路により前記LCDモジュールを動作させる条件に合うように変換し、該変換したクロック信号と前記出力画像データとを前記LCDモジュールに出力することを特徴とするLCD制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載のLCD制御システムにおいて、
前記DSPが出力するクロック信号の周波数が10MHzであって、前記LCDモジュールが5MHzの条件で動作する場合に、前記DSPは画像データの横方向の幅を2倍に拡張させた出力画像データを生成し、クロック信号を前記クロック分周回路によって10MHzから5MHzに変換することを特徴とするLCD制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−63462(P2012−63462A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206122(P2010−206122)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】