説明

LCD適用のための拡散板、その製造方法およびその使用

本発明は、ポリメチルメタクリレートマトリックス、光散乱ポリメチルメタクリレート層の質量に対して0.5〜59.5質量%の球状散乱粒子(A)(平均粒径V50 0.1〜40μm、屈折率 ポリメチルメタクリレートマトリックスに対し0.02〜0.2の範囲の値で相違)および光散乱ポリメチルメタクリレート層の質量に対して0.5〜59.5質量%の球状粒子(B)(平均粒径V50 10〜150μm、屈折率 ポリメチルメタクリレートマトリックスに対し0〜0.2の範囲の値で相違)を含有するLCD適用のための拡散板に関し、この場合、(A)および(B)の全濃度は、光散乱ポリメチルメタクリレート層(質量)に対して1〜60質量%であり、かつ(A)および(B)は、異なる平均粒径V50を有し、その際、拡散板の透過率は20〜70%および散乱力は0.3よりも大きく、ポリメチルメタクリレート層Rの平均表面粗さの二乗と、(B)の粒径の三乗との比 R/DPBが、0.0002〜0.1300μm−1であることを特徴とする、LCD適用のための拡散板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1種の光散乱ポリメチルメタクリレート層を含有するLCD適用のための拡散板、その拡散板の製造方法およびその使用に関する。
【0002】
液晶技術をベースとするモニターは、以前から知られている。これらLCDs(液晶ディスプレイ)はしばしばコンピュータ上のディスプレイ媒体として使用される。近年になって、この技術の供給開始が、テレビ装置においても始まっている。さらにLCDsは、自動車、航空機および船舶におけるナビゲーション情報を含むグラフ表示に使用される。したがって、これらのモニター上には広範囲の要求がされる。多くのLCDsの共通する特徴はイルミネーションユニットであり、この場合、これらは、極性フィルムを有する実際のLCDセルの後ろに取り付けられる。イルミネーションユニットとLCDセルとの間においては、しばしば、LCDセルを均一に横断するディスプレイに必要とされる光を分散させる拡散板が使用される。
【0003】
この目的のために適した、粒子混合物を含有するシートについてはよく知られている。たとえば、JP4−134440では、種々の屈折率を有する粒子を包含するリアプロジェクションスクリーンが記載されている。これは、良好な色あいの再現を生じる。
【0004】
さらに、JP8−198976、JP5−51480およびJP2000−296580では、たとえば光学的適用に使用することができるこの型のシートが記載されている。
【0005】
散乱媒体を有する前記シートは、原則として拡散板として使用することができる。しかしながら、公知シートはバランスのとれた性能プロフィールを有するものではなかった。
【0006】
たとえば、散乱媒体を備えた公知シートによって達成した明度分布は、しばしば十分なものではない。
【0007】
さらに多くのシートは、かなり高い黄色度を有し、この場合、これらは、変色を生じうるものである。さらに、多くの拡散板は、過度に高いかまたは過度に低い透過率、および過度の曇り度を有する。
【0008】
さらに、多くのよく知られた衝撃変性拡散板は、温度依存の光学的性質、たとえば、散乱力または半輝度角(halved-intensity angle)または黄色度を有する。温度依存性は、多くの適用においてたいして問題とならない場合もありうる。しかしながら、本発明は、自動車のダッシュボードが激しい温度変化を受けるという事実を考慮するものである。高い温度によって、特に明らかな不均一性を生じる。拡散板はこれらの激しい変化にかかわらず、性質の最大の均一性を提供するものでなければならない。
【0009】
多くの拡散板はさらに、引掻に対して高い感受性を有する。この性質は取り付け後に、あまり問題とはならない場合もある。しかしながら、増加した予防尺度は、視覚的ディスプレイスクリーンのアセンブリ中で得られ、引掻を排除することができる。可視的引掻は、結果としてLCDセル上に拡散した光において不均一性を生じる。
【0010】
技術水準およびそこで示された事柄を考慮して、本発明の対象は、特にバランスのとれた性質プロフィールを生じうるLCD適用のための拡散板を提供することである。特に、拡散板は、高い発光効率とともに、高レベルの散乱作用を可能にするものである。
【0011】
さらに拡散板は、特にニュートラルな、色ずれのない散乱光を生じさせることができるものでなければならない。LCDセルにより生じた色については、温度変化に基づいてわずかな変化のみを生じる。
【0012】
本発明の他の対象は、LCD適用のための拡散板を提供することから成り、この場合、これは特に均一な明度分布を有するものである。
【0013】
さらに拡散板は、最大の安定性を有するものでなければならない。プラスチック板上の引掻は目につかないまたはわずかでなければならない。特に損傷は、拡散板を提供するモニターの明度分布上の効果において、全くないかまたはわずかでなければならない。
【0014】
本発明に基づく他の対象は、LCD適用のための拡散板を提供するものであり、この場合、これは、特に簡単な製造が可能である。したがって、特に拡散板は押出成形によって製造すべきである。
【0015】
本発明の他の対象は、拡散板を提供するものであり、この場合、これらの性状プロフィールはわずかにのみ温度感受性である。この結果により、たとえば自動車において使用することができるLCDsを提供する。
【0016】
本発明の他の対象は、大きさおよび形状を、簡単に要求に適合することができる拡散板を提供するものである。したがって、拡散板の工作において、極めて廉価な方法、たとえばレーザー切断システムを使用することが可能である。
【0017】
本発明の他の対象は、高い耐久性、特にUV照射または天候に対する高い耐性を有する拡散板を提供することから成る。
【0018】
請求項1に記載の拡散板は、これらの目的を達成したものである。さらに他の対象についても、特に明記されているものではないが、ここで示された内容の結果として明確または必要不可欠なものである。本発明による拡散板の有用な改質化は、請求項1の従属請求項により保護される。
【0019】
請求項24は、本発明の基礎をなす、拡散板を製造するための方法に関する。
【0020】
驚くべきことに、LCD適用のための拡散板は、少なくとも1種の光散乱ポリメチルメタクリレート層を有し、この場合、この層は、ポリメチルメタクリレートマトリックス、光散乱ポリメチルメタクリレート層の質量に対して0.5〜59.5質量%の球状の散乱粒子(A)、その際、平均粒径(median size)V50は、0.1〜40μmの範囲を有し、かつ、屈折率は、ポリメチルメタクリレートマトリックスの屈折率に対し0.02〜0.2の範囲の値で相違するものであり、および、光散乱ポリメチルメタクリレート層の質量に対して0.5〜59.5質量%の球状粒子(B)、その際、平均粒径V50は10〜150μmの範囲を有し、かつ、屈折率は、ポリメチルメタクリレートマトリックスの屈折率に対し0〜0.2の範囲の値で相違するものである、を含有し、この場合、球状散乱粒子(A)および粒子(B)の全濃度は、光散乱ポリメチルメタクリレート層の質量に対して1〜60質量%の範囲であり、かつ球状散乱粒子(A)および球状粒子(B)は、異なる平均粒径V50を有し、その際、拡散板の透過率は20〜70%であり、かつ、その散乱力は0.2よりも大きく、かつ極めて良好なバランスのとれた性状プロフィールが、ポリメチルメタクリレート層Rの平均表面粗さの二乗と、球状粒子(B)の粒径の三乗との比 R/DPBが、0.0002〜0.1300μm−1である場合に、提供可能である。
【0021】
以下の特別な利点は、特に、本発明による尺度によって達成される:
−本発明による拡散板は、明度分布を損なうか、および/または引掻に対する敏感性の任意の結果を有することなく、個々の要求に対して適合することができる。
−本発明の拡散板は、高い透過率および良好な散乱力を有していてもよい。
−本発明による拡散板上の画像の再現は、特に色の正確性を備えた画像を供給するLCDsを与えることができる。
−本発明により適用された拡散板は、特に均一な明度分布を有する。
−さらに本発明の拡散板は、高い機械的安定性を有する。ここで存在しうる引掻は、シート上でLCDセルによって生じた画像において何ら影響を与えないかまたはあったとしてもわずかである。
−本発明の拡散板は、さらに特に高いレベルの温度変化に暴露されるLCDs中で使用することができる。この温度変化は、明度分布、拡散板の透過率または引掻力上でわずかにのみ影響する。
−さらに本発明の拡散板は、特に簡単な方法で製造することができる。拡散板は特に押出成形によって製造することができる。
−本発明による拡散板は、天候、特にUV照射に対して高い耐性を有する。
−拡散板の大きさおよび形状を、要求に適合させることができる。
【0022】
本発明による拡散板の光散乱性ポリメチルメタクリレート層は、光散乱ポリメチルメタクリレート層に対して1〜60質量%、特に3〜55質量%および好ましくは6〜48質量%の球状散乱粒子(A)および球状粒子(B)を含有する。
【0023】
散乱粒子(A)および粒子(B)は球状である。本発明の目的のために、用語「球状」は、粒子が好ましくは球状の形状を有するものであるが、製造方法の結果として、これがさらに任意の他の形状を有していてもよいか、あるいは、粒子の形状が、理想的な球状の形状から逸脱していてもよいことは、当業者に自明である。
【0024】
したがって、用語「球状」は、粒子の最も長い寸法と、最も短い寸法との比が4以下、好ましくは2以下であり、その際、これらそれぞれの寸法は、粒子の重心により測定されるものである。粒子の数に基づいて、少なくとも70%の粒子、特に好ましくは少なくとも90%も粒子が球状である。
【0025】
散乱粒子(A)の平均粒径V50は、0.1〜40μm、好ましくは0.5〜30μm、特に好ましくは1〜15μmの範囲である。
【0026】
光散乱PMMA層は、光散乱ポリメチルメタクリレート層の質量に対して0.5〜59.5質量%、好ましくは1〜20質量%および特に好ましくは1.5〜10質量%の球状散乱粒子(A)を含有する。
【0027】
この型の粒子は、当業者に公知であり、かつ市販されているものであってもよい。特にこれは、プラスチック粒子であり、かつさらには、無機材料を包含する粒子であってもよい。
【0028】
本発明により使用されてもよい散乱粒子に特別な制限はないが、光の屈折が、散乱粒子(A)とマトリックスプラスチックとの間の界面において生じるものである。
【0029】
散乱粒子(A)の屈折率が測定される場合には、20℃で、ナトリウムDライン(589nm)に関して測定された屈折率nは、マトリックスプラスチックの屈折率nとは、0.02〜0.2単位で相違する。
【0030】
球状散乱粒子(A)は、好ましくは、架橋ポリスチレン、ポリシリコーンおよび/または架橋ポリ(メト)アクリレートを包含する。
【0031】
散乱剤として使用される好ましいプラスチック粒子の一つの群は、シリコーンを含有する。たとえば、この型の粒子は、オルガノトリアルコキシシランおよび/またはテトラアルコキシシランの加水分解および重縮合によって得られ、この場合、これらは、式
Si(ORおよびSi(OR
[式中、Rは、たとえば置換または非置換のアルキル基、アルケニル基またはフェニル基であり、かつ加水分解可能なアルコキシ基の基Rはアルキル基、たとえばメチル、エチルまたはブチルであるか、あるいは、アルコキシ−置換された炭化水素基、たとえば2−メトキシエチルまたは2−エトキシエチルである]によって示される。オルガノトリアルコキシシランの例はメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチル−n−プロポキシシラン、メチルトリイソプロポキシシランおよびメチルトリス(2−メトキシエトキシ)シランである。
【0032】
前記シラン化合物、および球状のシリコーン粒子を製造するための方法は、当業者に公知であり、かつEP1116741、JP63−077940およびJP2000−186148に記載されている。
【0033】
シリコーンを含有し、かつ特に好ましくは本発明において使用される散乱剤は、GE Bayer Siliconesから、商標TOSPEARL(R)120およびTOSPEARL(R)3120として得ることが可能である。
【0034】
好ましいプラスチック粒子の他の群の構造は:
b1)置換基として芳香族基を有するモノマー25〜99.9質量部、たとえばスチレン、α−メチルスチレン、環置換スチレン、フェニル(メト)アクリレート、ベンジル(メト)アクリレート、2−フェニルエチル(メト)アクリレート、3−フェニルプロピル(メト)アクリレートまたはビニルベンゾエートであり;さらに
b2)脂肪族エステル基中に1〜12個の炭素原子を有するアクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル0〜60質量部、この場合、これらは、モノマーb1)と共重合可能であり、かつたとえば以下のものが挙げられる:メチル(メト)アクリレート、エチル(メト)アクリレート、n−プロピル(メト)アクリレート、イソプロピル(メト)アクリレート、n−ブチル(メト)アクリレート、イソブチル(メト)アクリレート、tert−ブチル(メト)アクリレート、シクロヘキシル(メト)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキシル(メト)アクリレート、2−エチルヘキシル(メト)アクリレート、ノルボルニル(メト)アクリレートまたはイソボルニル(メト)アクリレートであり;
b3)ラジカル経路によって、b1)および適切である場合にはb2)と、共重合可能な少なくとも2個のエチレン性不飽和基を有する架橋性コモノマー0.1〜15質量部、たとえばジビニルベンゼン、グリコールジ(メト)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メト)アクリレート、アリル(メト)アクリレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルスクシネート、ペンタエリトリットテトラ(メト)アクリレートまたはトリメチロールプロパントリ(メト)アクリレートであり、その際、コモノマーb1)、b2)およびb3)は全部で100質量部である。
【0035】
プラスチック粒子から製造される混合物は、特に好ましくは少なくとも80質量%のスチレンおよび少なくとも0.5質量%のジビニルベンゼンを含有する。
【0036】
架橋されたプラスチック粒子の製造は当業者に公知である。たとえば、散乱粒子は、乳濁重合によって製造され、この場合、これらはたとえば、EP−A342283またはEP−A269324に記載されており、かつ特に好ましくは有機相重合を介して、たとえばドイツ特許出願P4327464.1に記載されている。この重合技術によって、特に狭い粒度分布が生じるか、あるいは、いいかえれば、平均粒子直径と粒子直径との、特に小さい偏差が生じる。
【0037】
少なくとも200℃、特に少なくとも250℃までの耐熱性を有するプラスチック粒子を使用することが特に好ましいが、これに制限されるものではない。用語「耐熱性」は、ここで、粒子が任意の本質的な熱分解を生じないことを意味する。熱分解は、プラスチック材料を使用できないものとする望ましくない変色を生じる。
【0038】
特に好ましい粒子は、特に、商標(R)Techpolymer SBX−6、(R)Techpolymer SBX−8および(R)Techpolymer SBX−12(Sekisui)である。
【0039】
散乱粒子(A)を製造することができる無機材料は、同様に、水酸化アルミニウム、珪酸カリウムアルミニウム(マイカ)、珪酸アルミニウム(カオリン)、硫酸バリウム(BaSO)、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウム(滑石)である、特に好ましくはBaSOである。
【0040】
前記散乱粒子において、好ましくは無機材料を含む粒子である。
【0041】
前記散乱粒子(A)は、別個にかまたは2種またはそれ以上の型の混合物の形で使用することができる。
【0042】
光散乱PMMA層は、光散乱ポリメチルメタクリレート層の質量に対して、0.5〜59.5質量%、好ましくは5〜40質量%および特に好ましくは8〜25質量%の球状粒子(B)を含有する。
【0043】
本発明による使用されるべき粒子(B)は、平均粒径V50を10〜150μm、好ましくは15〜70μmおよび特に好ましくは30〜50μmの範囲で有するものである。粒子の屈折率が測定される場合には、20℃で、ナトリウムDライン(589nm)に対して測定された屈折率nは、マトリックスプラスチックの屈折率nと、0〜0.2単位で相違する。
【0044】
粒子(B)は、同様に商業的に入手可能である。これらの粒子を製造する材料は、散乱粒子(A)を製造するものと同様である。好ましくはここではプラスチック粒子を使用する。
【0045】
球状粒子(B)は好ましくは架橋ポリスチレン、ポリシリコーンおよび/または架橋ポリ(メト)アクリレートを含有する。
【0046】
前記粒子(B)は、別個にかまたは2種またはそれ以上の型の混合物の形で使用することができる。
【0047】
散乱粒子(A)と粒子(B)との質量平均粒径の比は、好ましくは1:100〜10:1、さらに好ましくは1:50〜7.5:1、殊に好ましくは1:25〜5:1および特に好ましくは1:10〜3:1である。
【0048】
散乱粒子(A)と粒子(B)との平均粒径V50の差は、好ましくは少なくとも5μm、特に少なくとも10μmであり、その際、粒子(B)は、散乱粒子(A)よりも大きい。
【0049】
レーザー吸光法は、粒径、さらには粒度分布を測定するために使用することができる。ここで、Galay−CIS(L.O.T. GmbH)を使用することができ、粒度測定、さらには粒度分布についての試験方法は、使用書に記載されている。
【0050】
X線沈降写真(sedigraph)を、無機粒子の大きさを測定するために使用することができる。MICROSCANII装置(Qantachrome)は、この目的のために使用することができる。MICROSCANII装置は、0.1〜300μmの測定幅を有する懸濁液中の粉末の粒度分布を測定するための自動測定装置である。MICROSCANII装置の測定原理は、X線検出を含む沈降反応である。これに関して、粒子は、組み込まれたホースポンプを用いてか、あるいは、超音波処理によって、液体中で均一に分散される。粒径は、粒子密度および分散液を関数として、液体の粘度および粒子が沈澱する時点での粘度をストークスの法則により測定する。
【0051】
粒径V50は、質量平均のメジアンであり、その際、粒子の50質量%に関する値は、この値と同一であるかまたはこれよりも小さく、かつ、粒子の50質量%に関してはこの値と同一であるかまたはこれによりも大きい。
【0052】
本発明の特別な態様によって、これらの粒子はプラスチックマトリックス中で均一な分布を有するが、その際、粒子の顕著な凝集または凝塊はみられない。均一な分布は、プラスチックマトリックスの範囲内の粒子の濃度が本質的に一定であることを意味する。
【0053】
光散乱層は、球状粒子と共にポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む、プラスチックマトリックスを包含する。光散乱ポリメチルメタクリレート層は、好ましくは、光散乱層の質量に対して、少なくとも30質量%、および好ましくは少なくとも40質量%、特に好ましくは少なくとも50質量%のポリメチルメタクリレートを含有する。
【0054】
ポリメチルメタクリレートは、一般には、メチルメタクリレートを含有する混合物のラジカル重合を介して得られる。これらの混合物は一般に、モノマーの質量に対して少なくとも40質量%、好ましくは少なくとも60質量%および特に好ましくは少なくとも80質量%のメチルメタクリレートを含有する。
【0055】
これと一緒に、ポリメチルメタクリレートを製造するためのこれらの混合物は、他の(メト)アクリレートを含有していてもよく、この場合、これらは、メチルメタクリレートと一緒に共重合可能である。用語「(メト)アクリレート」は、メタクリレートおよびアクリレートを含有し、かつさらにはこれら2種の混合物を包含する。
【0056】
これらのモノマーはよく知られている。これらは、飽和アルコールから誘導された(メト)アクリレート、たとえばメチルアクリレート、エチル(メト)アクリレート、プロピル(メト)アクリレート、n−ブチル(メト)アクリレート、tert−ブチル(メト)アクリレート、ペンチル(メト)アクリレートおよび2−エチルヘキシル(メト)アクリレートを含み;
不飽和アルコールから誘導された(メト)アクリレート、たとえば、オレイル(メト)アクリレート、2−プロピニル(メト)アクリレート、アリル(メト)アクリレート、ビニル(メト)アクリレートを含み;
アリル(メト)アクリレート、たとえばベンジル(メト)アクリレートまたはフェニル(メト)アクリレートであり、この場合、それぞれ、アリール基は非置換であるか、あるいは、4個までの置換基を有しており;
シクロアルキル(メト)アクリレート、たとえば3−ビニルシクロヘキシル(メト)アクリレート、ボルニル(メト)アクリレートを含み;
ヒドロキシアルキル(メト)アクリレート、たとえば3−ヒドロキシプロピル(メト)アクリレート、3,4−ジヒドロキシブチル(メト)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メト)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メト)アクリレートを含み;
グリコールジ(メト)アクリレート、たとえば1,4−ブタンジオール(メト)アクリレート、
エーテルアルコールの(メト)アクリレート、たとえばテトラヒドロフルフリル(メト)アクリレート、ビニルオキシエトキシエチル(メト)アクリレートを含み;
(メト)アクリル酸のアミドおよびニトリル、たとえばN−(3−ジメチルアミノプロピル)(メト)アクリルアミド、N−(ジエチルホスホノ)(メト)アクリルアミドを含み、1−メタクリロイルアミド−2−メチル−2−プロパノール;
硫黄含有メタクリレート、たとえばエチル−スルフィニルエチル(メト)アクリレート、
4−チオシアネートブチル(メト)アクリレート、
エチルスルホニルエチル(メト)アクリレート、チオシアネートメチル(メト)アクリレート、
メチルスルフィニルメチル(メト)アクリレート、
ビス((メト)アクリロイルオキシエチル)スルフィドを含み;
多官能価(メト)アクリレート、たとえばトリメチロイルプロパントリ(メト)アクリレートを含む。
【0057】
前記(メト)アクリレートに加えて、重合すべき組成物はさらに、メチルメタクリレートおよび前記(メト)アクリレートと共重合可能な他の不飽和モノマーを含有していてもよい。
【0058】
これらは1−アルケン、たとえば1−ヘキセン、1−ヘプテンであり;分枝アルケン、たとえばビニルシクロヘキサン、3,3−ジ−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ジイソブチレン、4−メチル−1−ペンテンを含み;
アクリロニトリル;ビニルエステル、たとえば酢酸ビニルを含み;スチレン、側鎖でアルキル置換基を有する置換スチレン、たとえばα−メチルスチレンおよびα−エチルスチレン、環上でアルキル置換基を有する置換されたスチレン、たとえばビニルトルエンおよびp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、たとえばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレンおよびテトラブロモスチレンを含み;
ヘテロ環式ビニル化合物、たとえば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニル−ピリミジン、ビニルピペリジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニル−カルバゾール、4−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニル−ピロリドン、N−ビニルピロリドン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾールおよび水素化ビニルチオアゾール、ビニルオキサゾールおよび水素化ビニルオキサゾールを含み;
ビニルおよびイソプレニルエーテル;
マレイン酸誘導体、たとえばマレイン酸無水物、メチルマレイン酸無水物、マレイン酸イミド、メチルマレイン酸イミドを含み;かつ、ジエン、たとえばジビニルベンゼンを含む。
【0059】
これらコモノマーの使用される一般的な量は、モノマーの質量に対して0〜60質量%、好ましくは0〜40質量%および特に好ましくは0〜20質量%であり、かつこれらの化合物は、別個にかまたは混合物の形で使用することができる。
【0060】
重合は一般には公知のラジカル開始剤を用いて開始される。好ましい開始剤は、特に、当業者に公知のアゾ開始剤、たとえばAIBNおよび1,1−アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル、およびさらにはペルオキシ化合物、たとえばメチルエチルケトンペルオキシド、アセチルアセトンペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、tert−ブチル−ペル−2−エチルヘキサノエート、ケトンペルオキシド、メチルイソブチルケトンペルオキシド、シクトヘキサノンペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカルボネート、2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルペルオキシ)−2,5−ジメチルヘキサン、tert−ブチル2−エチルペルオキシヘキサノエート、tert−ブチル3,5,5−トリメチルペルオキシヘキサノエート、ジクミルペルオキシド、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、クミルヒドロペルオキシド、tert−ブチルヒドロペルオキシド、ビス(4−tert−ブチルシクロヘキシル)ペルオキシジカルボネート、前記化合物の互いの2種またはそれ以上の混合物およびさらには前記化合物と、挙げられてはいないが、同様にラジカルを形成する能力を有する化合物との混合物である。
【0061】
これらの化合物にしばしば使用される量は、モノマーの質量に対して0.01〜10質量%、好ましくは0.5〜3質量%である。
【0062】
ここで種々のポリ(メト)アクリレートが使用されてもよく、この場合、これらは、たとえばその分子量またはそのモノマー構造において異なる。
【0063】
さらに光散乱層のマトリックスは、他のポリマーを、その性質を改質化するために含有していてもよい。これは特に、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネートおよびポリ塩化ビニルである。これらのポリマーは別個にか、あるいは、混合物の形で使用されてもよく、かつさらにここで、前記ポリマーから誘導されるコポリマーを使用することも可能である。
【0064】
本発明によりマトリックスポリマーとして使用されるべきホモ−および/またはコポリマーの質量平均分子量Mは、広範囲で可変であってもよく、この場合、モル質量は通常は、意図される用途および成形体組成物の加工様式に適合させる。しかしながら、一般には20000〜1000000g/モル、好ましくは50000〜500000g/モルおよび特に好ましくは80000〜300000g/モルであるが、これに制限されるものではない。
【0065】
本発明の特別な実施態様において、光散乱ポリメチルメタクリレート層のマトリックスは、光散乱層のマトリックスの質量に対して少なくとも70質量%、好ましくは少なくとも80質量%および特に好ましくは少なくとも90質量%のポリメチルメタクリレートを含有する。
【0066】
本発明の特別な一つの実施態様において、光散乱層のマトリックスのポリ(メト)アクリレートは、ナトリウムDライン(589nm)に対して、かつ20℃で、1.46〜1.54の範囲の屈折率を有する。
【0067】
光散乱層を製造するための成形体組成物は、任意の型の常用の添加剤を含有していてもよい。これらは、静電防止剤、抗酸化剤、離型剤、耐燃剤、滑剤、染料、流れ改善剤、充填剤、光安定化剤、UV吸収剤および有機リン化合物、たとえばホスフィットまたはホスホネート、顔料、耐候剤および可塑化剤である。しかしながら、添加剤の量は、意図する用途に関して制限される。たとえば、ポリメチルメタクリレート層の光散乱特性のみならず、その透過性も、添加剤によって過度に損なわれることがないようにすべきである。特に、その光学的性質が温度依存的である場合の、添加剤の添加量は極めて少量にすべきである。衝撃変性の拡散板中に存在する量は、たとえば、EP−A0113924、EP−A0522351、EP−A0465049およびEP−A0683028に記載されており、したがって、極めて少量にのみすべきである。拡散板中の衝撃変性剤の量は、好ましくは最大20質量%、さらに好ましくは10質量%および特に好ましくは4質量%に制限すべきである。本発明の一つの特別な実施態様によれは、本発明の拡散板は、好ましくは衝撃変性剤を包含しないものである。
【0068】
プラスチックマトリックスを製造するための特に好ましい成形体組成物は、Roehm GmbH & Co. KGから商業的に入手可能である。
【0069】
光散乱ポリメチルメタクリレート層の厚さは、一般には1〜100mm、好ましくは1〜10mmおよび特に好ましくは2〜5mmである。
【0070】
本発明の一つの特別な実施態様によれば、球状散乱粒子(A)の濃度CPA、光散乱ポリメチルメタクリレート層の厚さd、および球状散乱粒子(A)DPAの粒径は、球状散乱粒子(A)の濃度CPAと光散乱ポリメチルメタクリレート層の厚さdとの積と、球状散乱粒子(A)の粒径の三乗との比CPA/DPAが、好ましくは0.0001〜0.5質量%mm/μm、特に好ましくは0.0025〜0.3質量%mm/μmであるように選択される。
【0071】
使用された散乱媒体が、本発明による好ましい実施態様によればその粒径V50が6〜30μmである粒子を含み、球状散乱粒子(A)CPAの濃度と光散乱ポリメチルメタクリレート層の厚さとの積と、球状散乱粒子(A)の粒径の三乗との比CPA/DPAは、好ましくは0.0015〜0.09質量%mm/μm、特に好ましくは0.0025〜0.06質量%mm/μmであり、かつ特に好ましくは0.005〜0.04質量%mm/μmである。
【0072】
使用された散乱媒体が、V50が0.1〜5μmの範囲の無機粒子を含有する場合には、その後に本発明による一つの実施態様によれば、球状散乱粒子(A)CPAの濃度と光散乱ポリメチルメタクリレート層の厚さとの積と、球状散乱粒子(A)の粒径の三乗との比CPA/DPAは、好ましくは0.015〜0.5質量%mm/μm、特に好ましくは0.025〜0.3質量%mm/μmである。
【0073】
球状粒子(B)の濃度CPB、光散乱ポリメチルメタクリレート層の厚さdおよび球状粒子(B)DPBの粒径は、球状粒子(B)CPBの濃度と光散乱ポリメチルメタクリレート層の厚さとの積と、球状粒子(B)の粒径の三乗との比CPB/DPBが、好ましくは0.000005〜0.04質量%mm/μm、特に好ましくは0.00005〜0.02質量%mm/μmであるように選択される。
【0074】
ポリメチルメタクリレート層Rの平均の表面粗さの二乗と、球状粒子(B)の粒径の三乗との比R/DPBは、好ましくは0.0002μm−1〜0.1300μm−1、好ましくは0.0009μm−1〜0.0900μm−1、特に0.0006μm−1−〜0.0800μm−1および好ましくは0.0008μm−1〜0.0400μm−1の範囲であってもよい。
【0075】
本発明の拡散板の特に好ましい実施態様によれば、球状散乱粒子(A)CPAの濃度と、光散乱ポリメチルメタクリレート層の厚さdとの比CPA/dは、0.2〜20質量%/mm、特に0.5/10質量%/mである。
【0076】
本発明の拡散板の一つの特に好ましい実施態様によれば、球状粒子(B)の濃度CPBと、光散乱ポリメチルメタクリレート層の厚さdとの比CPB/dは、2.5質量%mm以上であり、特に好ましくは4質量%/mm以上である。
【0077】
光散乱ポリメチルメタクリレート層の厚さdと、球状散乱粒子の粒径DPAとの比d/DPAは、好ましくは5〜1500、さらに好ましくは10〜1000および特に好ましくは100〜600であるが、これに制限されることはない。
【0078】
光散乱ポリメチルメタクリレート層の光沢度R85゜は、好ましくは60以下、さらに好ましくは40以下および特に好ましくは30以下である。
【0079】
本発明の拡散板、特に光散乱ポリメチルメタクリレート層は、特に高い引掻耐性を有する。本発明の特別な態様によれば、多くとも0.4N、好ましくは多くとも0.7Nおよび特に好ましくは多くとも1.0Nの応力を用いて、シート上に与えた引掻は、視覚的に検出可能なものではないが、これに制限されるものでもない。
【0080】
引掻耐性は、DIN53799およびDIN EN438に対して、損傷表面の視覚的評価によって測定することができ、その際、損傷は、種々の応力を用いて、表面上にダイアモンドによって与えられる。
【0081】
本発明の一つの好ましい実施態様によれば、シートの平均表面粗さRは、好ましくは5〜50μm、好ましくは5〜25μm、さらに好ましくは6〜35μmおよび特に好ましくは6〜30μmの範囲である。
【0082】
平均表面粗さRは、DIN4768に対して、Talysurf 50 試験器(Taylor Hobson)を用いて測定され、その際、Rは、粗さプロフィールの範囲内の、5個の連続する別個の測定位置からの、別個の粗さの深さの平均値である。
【0083】
拡散板の表面粗さRは、一般には粒子(B)の選択の結果である。この値はさらに、製造方法の性質に依存する種々のパラメータを変更することによって左右されてもよい。
【0084】
これらは、成形工程中の溶融温度であり、その際、高い溶融温度は粗い表面を生じる。しかしながら、ここで考慮すべき要因は、溶融温度が、成形体組成物の正確な構造に依存することである。溶融温度は一般には150〜300℃、好ましくは200〜290℃である。これらの温度は、押出ダイからの搬出口における溶融の物の温度に基づく。
【0085】
表面粗さはさらに、シートをポリッシングするために使用されるローラー間におけるギャップによって影響を受ける。たとえば、ポリッシングスタックが、3種のローラーを、L型配置で包含する場合には、この場合、成形体組成物は、押出ダイからローラー1とローラー2との間のギャップおよび60〜180℃で包囲されたローラー2に導かれ、ローラー2とローラー3との間のギャップは、表面をポリッシングする。ローラー2とローラー3との間のギャップを、拡散板の厚さに調節する場合には、シート表面上の散乱粒子をプレスしてマトリックスにし、表面をさらにポリッシングさせることができる。より粗い表面を達成するために、このギャップは、一般には、製造すべき拡散板の厚さよりも幾分か大きいように調整し、その際、適切な値はしばしば、拡散板の厚さよりも0.1〜2mm、好ましくは0.1〜1.5mm上廻るが、これに制限されるものではない。表面粗さは、さらに、粒径およびシートの厚さにより影響され、その際、その依存性は実施例に示すとおりである。
【0086】
光散乱層は、公知方法を介して製造することができ、その際、熱可塑性成形工程が好ましい。粒子を添加した後に、光散乱層は、前記成形体組成物から、通常の熱可塑性の成形方法を介して製造することができる。
【0087】
本発明の特別な実施態様によれば、二軸スクリュー押出機を押出成形または散乱ビーズを含有する成形体組成物のペレットを製造するために使用される。これらの方法において、プラスチック粒子を、好ましくは、押出機中で溶融物にする。これにより、透過率の特に高いシートを形成する溶融物を得ることが可能である。
【0088】
拡散板は、ここでは2段階工程を介して製造され、この場合、これらの工程は、二軸スクリュー押出機中で、本発明による側面供給物の化合をし、かつ中間造粒した後に、一軸スクリュー押出機中で、フィルムまたはシートの押出を実施するものである。二軸スクリュー押出機を介して得られたペレットは、散乱ビーズの特に高い割合を有するものが供給され、その際、種々の散乱ビーズ量を含む拡散板が、散乱ビーズ不含の成形体組成物とのブレンドによって簡単に製造することができる。
【0089】
さらに、球状プラスチック粒子を溶融物に化合する単一工程による方法の実施は、記載のように、二軸スクリュー押出機中でおこなわれ、その際、適切である場合には、下流に圧力増加ユニット(たとえば溶融ポンプ)を有し、この場合、これは、その後すぐに押出ダイを介して、シート状製品に押し出す。驚くべきことに、前記手段によって、特に低い黄色度を有する拡散板を得ることができる。
【0090】
さらに拡散板は、射出成形によって得られてよく、この場合には、しかしながら、工程パラメータまたは射出金型の選択は、本発明の範囲内での表面粗さを生じる程度におこなわれる。
【0091】
マトリックスと散乱粒子との化合は、好ましくは、二軸スクリュー押出機を介しておこなわれ、かつ実際のシート押出機は、一軸押出機も使用することができるが、この場合、これに制限されるものではない。
【0092】
本発明の拡散板の透過率は、30〜70%の範囲、好ましくは40〜70%および特に好ましくは40〜65%の範囲である。
【0093】
拡散板の黄色度は、好ましくは12以下であり、特に10以下であるが、この場合、これに制限されるものではない。
【0094】
本発明の拡散板の一つの好ましい実施態様は、15゜以上の半輝度角、特に25゜以上の半輝度角を有する。
【0095】
本発明の拡散板の散乱力は、0.3以上、好ましくは0.45以上および特に好ましくは0.6以上である。
【0096】
本発明の好ましい実施態様によれば、本発明の拡散板の表面は、反射光下でマットな外観を有する。DIN67530に関して反射率計を用いての光沢度測定は、特徴付けのために使用することができる。85゜の角度でのシートの光沢度は、好ましくは60を下廻り、特に好ましくは40を下廻り、かつさらに好ましくは30を下廻る。
【0097】
本発明の拡散板の大きさおよび形状にはなんら制限はない。しかしながら、拡散板の形状は、一般には、長方形の平板であり、それというのもLCDsは通常この型の形状を有するためである。
【0098】
本発明の好ましい実施態様によれば、拡散板は、DIN EN ISO 4892、パート2−実験室用光源への暴露法:キノセンアーク源、に関して、高い耐候性を有する。
【0099】
本発明による拡散板は、一般には天候に対する高い耐性を有する。したがって、好ましい拡散板のDIN53387(キノテスト)に対する耐侯性は、少なくとも5000時間である。
【0100】
ISO527−2に対する成形体の弾性率は、好ましくは少なくとも1500MPa、特に好ましくは少なくとも2000MPaであるが、この場合、これに制限されるものではない。
【0101】
本発明の好ましい実施態様によれば、好ましい拡散板は、少なくとも60℃、特に少なくとも70℃の長期間の運転温度を有する。長時間の運転温度は、特に、拡散板が製造された材料に依存する。長時間の運転温度は、何時間もの後であっても、拡散板が変形することがないことを示す。
【0102】
同時に、これらの板は、好ましくは熱膨張性の低い効率を有し、したがって、少なくとも20℃、特に少なくとも40℃の加熱時に、多くとも0.55%、特に多くとも0.3%の長手方向での膨張を生じる。
【0103】
本発明による拡散板は、他の光学的適用、たとえばリアプロジェクションスクリーンに使用することができる。
【0104】
実施例および比較例は、以下のように、本発明をより詳細に説明するのに用いられるが、この場合、これに制限されるものではない。
【0105】
実施例
A)試験方法
平均粗さRは、DIN4768に対して、Taylor Hobson Talysurf 50試験器を用いて測定した。
【0106】
透過率τD65/2゜は、DIN5036に対して、Perkin Elmer Lambda 19試験器を用いて測定した。
【0107】
黄色度τD65/10゜は、DIN6167に対して、Perkin Elmer Lambda 19試験器を用いて測定した。
【0108】
R85゜光沢度は、85゜でDIN67530に対して、実験室用屈折率測定器(Dr.Lange)を用いて測定した。
【0109】
散乱力および半輝度角を、DIN5036に対して、GO−T−1500LMTゴニオメーター試験ユニットを用いて測定した。
【0110】
B)プラスチック粒子の製造
プラスチック粒子B1)
球状プラスチック粒子を製造するために、水酸化アルミニウム−ピカリング(Pickering)−安定化剤を使用して、実際の重合開始前に、直接的に硫酸アルミニウムおよびソーダ溶液から沈澱させることにより製造した。この目的のために、Al(SO 16g、錯化剤(Trilon A)0.032gおよび乳化剤0.16g(Bayer AG からの乳化剤K30;C15パラフィンスルホネートのナトリウム塩)を、最初に、滅菌水0.8l中に溶解した。1N炭酸ナトリウム溶液を、その後に約40゜の温度で、水に溶解された硫酸アルミニウムに、撹拌しながら添加し、その際、得られたpHは、5〜5.5の範囲であった。この方法は、水中の安定化剤のコロイド状分散液を生じた。
【0111】
安定化剤の沈澱後に、水相を、ガラスビーカーに移した。メチルメタクリレート110g、ベンジルメタクリレート80g、アリルメタクリレート10g、ジラウリルペルオキシド4gおよびtert−ブチル2−エチルペルヘキサノエート0.4gを、ビーカー中に添加した。この混合物を、分散器によって、15分に亘って7000rpmで分散させた(UltraTurrax S50N-G45MF. Janke and Kunkel, Saufen)。
【0112】
引き続いて、これを剪断下に置き、反応混合物を反応器に装填し、この場合、これらの反応器は、適切な反応温度80℃に予め加熱し、かつ撹拌しながら(600rpm)、約80℃で(重合温度)、45分に亘って(重合時間)重合させた。その後に、後反応相を約85℃で、内部温度で1時間に亘って置いた。45℃に冷却した後に、安定化剤を、50%濃度の硫酸を添加することによって、水溶性硫酸アルミニウムに変換させた。このビーズを、濾過により後処理し、得られた懸濁液を、市販のテキスタイルフィルターに通し、かつ50℃で24時間に亘って加熱キャビネット中で乾燥させた。
【0113】
粒度分布は、レーザー吸光により試験した。粒子の平均粒径V50は18.6μmであった。ビーズは球状をしており、繊維は検出されなかった。凝塊は生じなかった。得られた粒子は、プラスチック粒子B1として以下呼称する。
【0114】
プラスチック粒子B2)
DE3528165 C2によるプラスチック粒子を製造し、その際、粒子の構造は、本質的に前記プラスチック粒子B1)のものと同様であった。
【0115】
粒度分布をレーザー吸光により試験した。粒子の平均粒径V50は40.5μmであった。ビーズは球状をしており、その際、繊維は検出されなかった。凝塊は生じなかった。得られた粒子は、以下プラスチック粒子B2と呼称する。
【0116】
C)例1〜6
種々の拡散板を、押出成形により製造した。この目的のために、最初に、プラスチック粒子B1、プラスチック粒子B2、約8.4μmのV50を有するスチレンをベースとするプラスチック粒子、この場合、これらは、商標、(R)Techpolymer SBX−8(Sekisui)として商業的に入手可能なもの、およびBaSO粒子、この場合、これらのd50(sed.)平均粒径の値は約5μmであり、この場合、これらは、P63硫酸バリウムVELVOLUX M(Sachtleben)として入手可能なものである、からの種々の散乱ビーズを含有する化合物ならびにPMMA成形体組成物(Roehm GmbH&Co.KG)(メチルメタクリレート97質量%およびメチルアクリレート3質量%のコポリマー)を押出成形し、プラスチックシートとした。ここで成形体組成物は、TinuvinP(UV安定化剤、Cibaから入手可能)0.05質量%を含有していた。BREYER(直径60mm)押出機を使用した。押出ダイからの搬出口における溶融温度は、一般には270℃であった。ポリッシングスタックは、一般には、最大表面粗さを達成するよう設定した。
【0117】
第1表は、ポリメチルメタクリレートマトリックス中の粒子の割合およびシートの厚さを示す。
【0118】
【表1】

【0119】
【表2】

【0120】
得られた拡散板は、前記試験方法によって試験され、得られた試験結果については第2表に示す。
【0121】
【表3】

【0122】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリメチルメタクリレートマトリックス、光散乱ポリメチルメタクリレート層の質量に対して0.5〜59.5質量%の球状の散乱粒子(A)、その際、平均粒径V50は、0.1〜40μmの範囲を有し、かつ、屈折率は、ポリメチルメタクリレートマトリックスの屈折率に対し0.02〜0.2の範囲の値で相違するものであり、および、光散乱ポリメチルメタクリレート層の質量に対して0.5〜59.5質量%の球状粒子(B)、その際、平均粒径V50は、10〜150μmの範囲を有し、かつ、屈折率は、ポリメチルメタクリレートマトリックスの屈折率に対し0〜0.2の範囲の値で相違するものである、を含有し、この場合、球状散乱粒子(A)および粒子(B)の全濃度は、光散乱ポリメチルメタクリレート層の質量に対して1〜60質量%の範囲であり、かつ球状散乱粒子(A)および球状粒子(B)は、異なる平均径V50を有し、その際、拡散板の透過率は20〜70%であり、かつその散乱力は0.3よりも大きい、少なくとも1種の光散乱ポリメチルメタクリレート層を含有するLCD適用のための拡散板において、ポリメチルメタクリレート層Rの平均表面粗さの二乗と、球状粒子(B)の粒径の三乗との比 R/DPBが、0.0002〜0.1300μm−1であることを特徴とする、LCD適用のための拡散板。
【請求項2】
ポリメチルメタクリレート層Rの平均表面粗さの二乗と、球状粒子(B)の粒径の三乗との比 R/DPBが、0.0009〜0.0900μm−1である、請求項1に記載の拡散板。
【請求項3】
粒子(B)CPBの濃度と、光散乱ポリメチルメタクリレート層の厚さdとの比CPB/dが、2.5質量%/mm以上である、請求項1または2に記載の拡散板。
【請求項4】
光散乱ポリメチルメタクリレート層の光沢度R85゜が40以下である、請求項1から3までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項5】
比CPA/DPAが0.0025〜0.3質量%mm/μmである、請求項1から4までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項6】
比CPB/DPBが0.00005〜0.02質量%mm/μmである、請求項1から5までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項7】
光散乱ポリメチルメタクリレート層が1〜10mmの厚さである、請求項1から6までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項8】
球状粒子(B)が架橋ポリスチレン、ポリシリコーンおよび/または架橋ポリ(メト)アクリレートを含む、請求項1から7までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項9】
散乱粒子(A)がBaCOを含有する、請求項1から8までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項10】
光散乱ポリメチルメタクリレート層が、ナトリウムDライン(589nm)で測定した、20℃での屈折率1.46〜1.54を有する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項11】
板の平均表面粗さRが、6〜30μmである、請求項1から10までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項12】
球状粒子(B)の平均粒径V50が、散乱粒子(A)の平均粒径よりも少なくとも5μm大きい、請求項1から11までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項13】
球状散乱粒子(A)の平均粒径V50が、2〜15μmである、請求項1から12までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項14】
球状粒子(B)の平均粒径V50が、15〜70μmである、請求項1から13までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項15】
多くとも0.7Nの応力を使用してシート上に与えた引掻が、視覚的に検出できない、請求項1から14までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項16】
シートの長時間の運転温度が少なくとも60℃である、請求項1から15までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項17】
シートの弾性率が少なくとも2000MPaである、請求項1から16までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項18】
少なくとも20℃での加熱による、シートの長手方向での熱膨張率が多くとも5%である、請求項1から17までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項19】
DIN53387に対するシートの耐侯性が少なくとも5000時間である、請求項1から18までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項20】
シートの透過率が40〜65%の範囲である、請求項1から19までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項21】
シートの黄色度が12以下である、請求項1から20までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項22】
シートの半輝度が15゜以上である、請求項1から21までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項23】
シートの散乱力が0.45以上である、請求項1から22までのいずれか1項に記載の拡散板。
【請求項24】
ポリメチルメタクリレート、球状散乱粒子(A)および球状粒子(B)を含有する成形体組成物を押出成形する、請求項1から23に記載の拡散板の製造方法。
【請求項25】
光学的適用のための、請求項1から23までのいずれか1項に記載の拡散板の使用。
【請求項26】
リアプロジェクションスクリーンとしての、請求項25に記載の使用。

【公表番号】特表2007−501425(P2007−501425A)
【公表日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−522241(P2006−522241)
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【国際出願番号】PCT/EP2004/005058
【国際公開番号】WO2005/022245
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(390009128)レーム ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト (293)
【氏名又は名称原語表記】Roehm GmbH & Co.KG
【住所又は居所原語表記】Kirschenallee,D−64293 Darmstadt,Germany
【Fターム(参考)】