LEDチップによる白色光発生のためのフルスペクトル蛍光体混合物
【課題】光源によって放射された放射光の変換のための蛍光体混合物を提供する。
【解決手段】所定の色調整温度(CCT)に対して演色評価数(CRI)を最適化するために特定のスペクトル範囲内で発光する四つ又はそれよりも多い蛍光体を含む蛍光体混合物を含む発光装置。この配合物は、400〜500nmの放射ピークを有する青色蛍光体、500〜575nmの放射ピークを有する緑色蛍光体、575〜615nmの放射ピークを有する橙色蛍光体、及び615〜680nmの放射ピークを有する深紅蛍光体から選択された少なくとも四つの蛍光体を含むことになる。好ましい配合物を使用して、約2500から8000KのCCTで95よりも大きい一般CRI値(Ra)を有する光源が製造される。
【解決手段】所定の色調整温度(CCT)に対して演色評価数(CRI)を最適化するために特定のスペクトル範囲内で発光する四つ又はそれよりも多い蛍光体を含む蛍光体混合物を含む発光装置。この配合物は、400〜500nmの放射ピークを有する青色蛍光体、500〜575nmの放射ピークを有する緑色蛍光体、575〜615nmの放射ピークを有する橙色蛍光体、及び615〜680nmの放射ピークを有する深紅蛍光体から選択された少なくとも四つの蛍光体を含むことになる。好ましい配合物を使用して、約2500から8000KのCCTで95よりも大きい一般CRI値(Ra)を有する光源が製造される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の例示的な実施形態は、光源によって放射された放射光の変換のための蛍光体混合物に関する(ここで「蛍光体」という用語は英語の「phosphor」の訳語であり、一般にはいわゆる燐光も含まれる)。これらには、一般的な照明目的のためにLED発生紫外線(UV)、紫色放射光、又は青色放射光の白色光への変換に関連した具体的用途が見出されている。しかしながら本発明は、UV、紫色、及び/又は青色レーザ、並びに他の光源から白色光への放射光の変換にも適用することができる。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、白熱ランプのような他の光源に代わるものとして使用されることが多い半導体発光体である。これらは、表示ランプ、警告ランプ、及び指示ランプとして、又は有色光が望ましい他の用途において非常に有用である。LEDによって生成される光の色は、その製造において用いられる半導体材料の種類に依存する。
【0003】
発光ダイオード及びレーザ(共に本明細書では一般的にLEDと呼ぶ)を含む有色半導体発光装置は、窒化ガリウム(GaN)のようなIII−V族化合物から生成されてきた。LEDを形成するためには、一般に、炭化珪素又はサファイアのような基板上に化合物の層をエピタキシャル法で堆積させ、様々なn及びp型ドーパントでドープして発光効率等の特性を改善することができる。GaNベースのLEDに関しては、光は、一般的に電磁波スペクトルのUV領域及び/又は青色領域で放射される。ごく最近まで、LEDは、それ自身が生成する光の固有の色のために、明るい白色光を必要とする照明用途には不適であった。
【0004】
近年、LEDから放射された光を照明目的で有用な光に変換する技術が開発されてきた。これに関して、LEDを蛍光体層でコーティングする技術が知られている。蛍光体は、電磁波スペクトルの一部分の放射エネルギを吸収し、電磁波スペクトルの別の部分のエネルギを放射するルミネッセンス材料である。一つの重要な部類の蛍光体は、化学的に純度が非常に高くて組成が制御された結晶性無機化合物であり、それらを効率的なルミネッセンス材料に変換するために少量の他の元素(「活性剤」と呼ぶ)が添加されてきた。活性剤及びホスト無機化合物の適正な組合せを用いて、発光色を制御することができる。最も有用で公知の蛍光体は、可視領域外の電磁放射光による励起に応答して電磁波スペクトルの可視領域の放射光を放射する。
【0005】
LEDによって発生した放射光により励起される蛍光体を間に挿入することにより、例えば可視スペクトル領域で異なる波長の光を発生させることができる。有色LEDは、玩具、指示ランプ、及び他の装置において使用されることが多い。製造業者は、所望の色及びより高い光度を生成するために、このようなLEDで使用される新しい有色蛍光体を絶えず探している。
【0006】
有色LEDに加え、LEDで発生した光及び蛍光体から発生した光を組み合わせて白色光を生成することができる。最も一般的な白色LEDは、青色光を発するGaInNチップを基本とするものである。青色発光チップは、青色放射光の一部を補色、例えば、黄緑放射光に変換する蛍光体でコーティングされる。蛍光体とLEDチップからの光の総量により、対応する色座標(x及びy)及び相関色温度(CCT)を有する色ポイントが得られ、そのスペクトル分布により、演色評価数(CRI)で測定される演色機能が得られる。
【0007】
CRIは、一般的に、通常は一般演色評価数と呼ばれRaと省略される8つの標準色サンプル(R1-8)の平均値として定義されるが、国際的には14個の標準色サンプルが指定されており、より広いCRI(R1-14)をそれらの平均値として計算することができる。特に、強い赤の演色の尺度になるR9値は、ある一定の範囲の用途、特に医療関連分野において非常に重要である。
【0008】
一つの公知の白色発光装置には、セリウムでドープしたイットリウムアルミニウムガーネットY3Al5O12:Ce3+(YAG)のような蛍光体と組み合わせた青色領域(約440nmから約480nm)にピーク波長を有する青色発光LEDが含まれている。蛍光体は、LEDから放射された放射光の一部分を吸収してそれを黄緑光に変換する。LEDによって放射された青色光の残りは、蛍光体を透過して蛍光体によって放射された黄色光と混合され、見る人には青色と黄色光を混合したものが白色光として知覚される。
【0009】
上述の青色LED−YAG蛍光体装置は、一般に、可変色温度範囲が約4000Kから8000Kで約70〜82の一般演色評価数(Ra)を有する白色光を生成する。YAG蛍光体と赤色蛍光体の配合物(Cas:Eu2+)を使用する最近の市販のLEDは、Raが約90で4000Kよりも小さい色温度をもたらす。このようなLEDは一部の用途に適するが、多くのユーザは、更に高いRaを有する光源、すなわち、95〜100の値を有する白熱ランプと類似の光源を望んでいる。
【0010】
UV放射チップと、UV放射光を可視光に変換するように設計された赤色、緑色、及び青色放射蛍光体を含む蛍光体混合物とを利用する白色LEDも存在する。それらのスペクトルは、ギャップ(スペクトル強度が実質的にゼロ)又はR9CRI値を大きく低下するスペクトルの深紅領域、特に650nm付近の大きな欠点のいずれかを有する傾向がある。
【0011】
従って、フルスペクトル(400と700nmの間にギャップがなく、すなわち、放射が約ゼロのスペクトル強度を有する場所がないと定義される)と、Ra、R1-14、及びR9に対する高い値とにより新しいLEDベースのソリューションを開発することが望ましいと考えられる。本発明は、上述の問題及びその他を克服する新たに改良された蛍光体混合物及びその形成方法を提供する。
【発明の開示】
【0012】
第1の態様では、約250nmから約450nmにピークを有する放射光を放射する半導体光源と、約615と680nmの間にピーク放射を有する赤色放射蛍光体、約575と615nmの間にピーク放射を有する橙色放射蛍光体、約500と575nmの間にピーク放射を有する緑色放射蛍光体、約400と500nmの間にピーク放射を有する青色放射蛍光体、及び得られる光スペクトル内のあらゆる残りのギャップを埋めるのに必要な付加的な蛍光体を含み、半導体光源に放射結合した蛍光体材料とを含み、400と700nmの間のフルスペクトルを有する、白色光を放射するための照明装置が提供される。
【0013】
第2の態様では、約250nmから約450nmにピークを有する放射光を放射し、95よりも大きい一般CRI指数(Ra)を有する光源と、約615と680nmの間にピーク放射を有する赤色放射蛍光体、約575と615nmの間にピーク放射を有する橙色放射蛍光体、約500と575nmの間にピーク放射を有する緑色放射蛍光体、及び約400と500nmの間にピーク放射を有する青色放射蛍光体を含み、光源に放射結合した蛍光体材料とを含む、白色光を放射するための照明装置が提供される。
【0014】
第3の態様では、約250nmから約450nmにピークを有する放射光を放射する光源と、約575と615nmの間にピーク放射を有する橙色放射蛍光体、約400と500nmの間にピーク放射を有する青色放射蛍光体、約615と680の間にピーク放射を有する赤色放射蛍光体、及び(Ca、Sr、Ba)Al2O4:Eu2+、(Ca、Sr、Ba、Zn)2SiO4:Eu2+、及びその配合物から成る群から選択された緑色放射蛍光体を含み、光源に放射結合した蛍光体材料とを含む、白色光を放射するための照明装置が提供される。
【0015】
第4の態様では、(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+と、少なくとも三つの付加的な蛍光体、すなわち、約575と615nmの間にピーク放射を有する橙色放射蛍光体、約500と575nmの間にピーク放射を有する緑色放射蛍光体、及び約400と500nmの間にピーク放射を有する青色放射蛍光体とを含む蛍光体混合物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
新規の蛍光体混合物、並びに、LED及び他の光源におけるその用途について説明する。発生した可視光の色は、蛍光体材料の特定の成分に依存する。本明細書で使用される時、特記のない限り、「蛍光体」という用語は、単一の蛍光体化合物、並びに二つ又はそれよりも多い蛍光体の配合物の両方を含むものとする。
【0017】
明るい白色光を生成するLEDランプは、光源としてのLEDに望ましい品質を付与するのに有用であるとされた。従って、本発明の一実施形態では、白色光をもたらすために、ルミネッセンス材料である蛍光体による変換材料配合物(蛍光体混合物)で被覆したLEDチップを開示する。個々の蛍光体及び個々の蛍光体を含む蛍光体混合物は、特定の波長の放射光、例えば近UV又は可視光LEDによって放射されるような約250から450nmの放射光を異なる波長の可視光に変換する。蛍光体材料(及び、可視光を放射する場合はLEDチップ)によってもたらされる可視光は、高い強度及び輝度を有する明るい白色光を含む。
【0018】
図1を参照する。図1には、本発明の一つの好ましい構造による例示的な発光アセンブリ、すなわちランプ10が示されている。発光アセンブリ10には、半導体によるUV光又は可視光の放射光源、すなわち発光ダイオード(LED)チップ12及びこれに電気的に接続されたリード14などを含んでいる。リード14は、より太いリードフレーム16によって支持された薄いワイヤとすることもできるし、自立電極とすることもでき、あるいはまたリードフレームを省略することもできる。リード14は、電流をLEDチップ12に供給して、放射光を放射させる。
【0019】
このランプは、その放射光が蛍光体上に向けられた時に白色光を生成できる可視光又はUV光の任意の半導体光源を含むことができる。本発明におけるLEDチップの好ましい発光は、開示する実施形態における蛍光体の特性に依存するが、その波長は、例えば250〜450nmの領域とすることができる。しかしながら、一つの好ましい実施形態では、LEDの発光は、近UVから藍色領域にあり、約350から約430nmの範囲のピーク波長を有するものである。通常、半導体光源は様々な不純物でドープされたLEDを含む。従って、LEDは、適切な任意のIII−V族、II−VI族、又はIV−IV族の半導体層をベースとする半導体ダイオードであって、約250から450nmの発光波長を有するものから構成することができる。
【0020】
好ましくは、LEDを、GaN、ZnSe、又はSiCを含む少なくとも一つの半導体層からなるものとする。例えば、LEDを、約250nmよりも大きく約450nmよりも小さなピーク発光波長を有する式IniGajAlkN(ただし、0≦i、0≦j、0≦k、及びi+j+k=1)で表される窒化化合物半導体を含むものとすることができる。このようなLED半導体は、当該技術分野において既に知られている。ここでは便宜上、放射光源がLEDであるとして説明する。しかし、本明細書ではこの用語を、例えば半導体レーザダイオードを含む、全ての半導体放射光源を含むものとして使用する。
【0021】
本明細書で説明する本発明の例示的な構造の一般的な説明は無機LEDをベースとする光源に関するものであるが、特記しない限りLEDチップの代わりに有機発光構造又は他の放射光発光源を使用することができ、また、LEDチップ又は半導体への言及はすべて、任意の適切な発光光源を表している。
【0022】
LEDチップ12は、LEDチップ及び封入材料20を封入するシェル18内に封入することができる。シェル18の材質は、例えば、ガラス又はプラスチックとすることができる。LED12は、封入材料20の実質的に中央に位置することが好ましい。封入材料20は、エポキシ、プラスチック、低温ガラス、ポリマー、熱可塑性又は熱硬化性の材料、樹脂、又は当業技術で公知の他の種類のLED封入材料であることが望ましい。封入材料20は、任意にスピンオンガラス又は何らかの他の高屈折率材料とすることもできる。封入材料20は、好ましくは、シリコーンのようなエポキシ又はポリマー材料とする。シェル18及び封入材料20の両方は、好ましくは、LEDチップ12及び蛍光体材料22によって生成された光の波長に対して透明又は実質的に光学透過性とする(以下で説明する)。代替実施形態では、ランプ10を、外側シェル18なしで封入材料を含むだけのものとしてもよい。LEDチップ12は、例えば、リードフレーム16、自立電極、シェル18の底部、又はシェル又はリードフレームに取り付けられた台座(図示せず)によって支持することができる。
【0023】
この照明装置の構造体は、LEDチップ12に放射的に結合した蛍光体材料22を含んでいる。「放射的に結合した」とは、一方からの放射光が他方に伝達されるよう要素が互いに連携していることを意味する。好ましい実施形態では、蛍光体材料22は、以下で詳述するように、四つ又はそれよりも多い蛍光体の混合物である。
【0024】
この蛍光体材料22は、任意の適切な方法でLED12上に堆積される。例えば、蛍光体の水をベースとする懸濁液を形成し、蛍光体層としてLED表面に付加することができる。このような方法の一つにおいては、蛍光体粒子が不規則に懸濁しているシリコーンスラリがLEDの回りに置かれる。この方法は、単に蛍光体材料22及びLED12の可能な位置を例示するものに過ぎない。すなわち、蛍光体材料22は、蛍光体懸濁液をLEDチップ12の上にコーティングして乾燥させることにより、LEDチップ12の発光面の上又は直接発光面上にコーティングしてもよい。シェル18及び封入材料20の両方は、光24を上述の要素を透過させるように透明であるべきである。一実施形態においては、蛍光体材料の平均粒径を、約1から約10ミクロンとすることができる。ただし、これは限定的なものではない。
【0025】
図2は、本発明の好ましい態様による装置の第2の好ましい構造を示している。図2の実施形態の構造は、蛍光体材料122がLEDチップ112上に直接に形成されるのではなく封入材料120内に散在している点を除き、図1のものと類似している。蛍光体材料(粉末の形態で)は、封入材料120の単一領域内に又はより好ましくは封入材料の全容積を通して散在させることができる。LEDチップ112によって放射された放射光126は、蛍光体材料122によって放射された光と混合し、混合光は、白色光124として現われる。蛍光体を封入材料120内で散在させる場合、蛍光体粉末をポリマー前駆物質に加えてLEDチップ112の回りに充填することができ、その後、ポリマー前駆物質を硬化させて蛍光体材料を固化することができる。トランスファー・ローディングのような他の公知の蛍光体散布方法を使用することもできる。
【0026】
図3は、本発明の好ましい態様に基づいた装置の第3の好ましい構造を示している。図3に示す実施形態の構造体は、蛍光体材料222がLEDチップ212の上に形成されるのではなくシェル218の表面にコーティングされる点を除き、図1のものと類似している。蛍光体材料は、シェル218の内面にコーティングすることが望ましいが、必要に応じて、蛍光体をシェルの外面にコーティングすることもできる。蛍光体材料222は、シェルの表面全体にコーティングしてもよいし、シェルの表面の上部部分のみにコーティングしてもよい。LEDチップ212によって放射された放射光226は、蛍光体材料222によって放射された光と混ざり合い、白色光224として見える。勿論、図1から図3までの構造体を組み合わせることができ、蛍光体は、いずれか二つの位置又は全ての三つの位置、又はシェルから分離して又はLED内に一体化するなどの他のあらゆる適切な位置に配置することができる。
【0027】
上述のいずれの構造体においても、ランプ10が、封入材料に埋め込んだ多数の散乱粒子(図示せず)を含んでいてもよい。散乱粒子は、例えば、アルミニウム粉末のようなAl2O3粒子又はTiO2粒子を含むことができる。散乱粒子は、LEDチップから放射されたコヒーレント光を、好ましくは無視することができる吸収量で実質的に散乱する。
【0028】
図4に第4の好ましい構造として示すように、LEDチップ412を反射カップ430に取り付けることもできる。カップ430は、アルミナ、チタニアといった材料で作るか又はこれらでコーティングするか、当該技術分野で知られている他の誘電体粉末などの反射材料で作るか又はこれらを用いてコーティングすることができる。好ましい反射材料としてAl2O3が挙げられる。図4の実施形態の構造体の残りは、先の図のいずれかと同じであり、二つのリード416、LEDチップ412を第2のリードと電気的に接続する導電ワイヤ432、及び封入材料420を含む。
【0029】
一実施形態において、本発明によって上述のLED光において蛍光体材料22に使用することができる蛍光体混合物が提供され、この蛍光体材料は、赤色放射蛍光体、橙色放射蛍光体、緑色放射蛍光体、及び青色放射蛍光体の配合物とされる。
【0030】
蛍光体材料22で使用される個々の蛍光体の具体的な量は、望ましい色温度に依存することになる。蛍光体混合物における各蛍光体の相対量を、スペクトル重みとして表現することができる。スペクトル重みは、装置の全発光スペクトルのうち各蛍光体が寄与する分の相対量である。個々の蛍光体の全体のスペクトル重みとLED光源からの残りの発光のすべてに基づくスペクトル重み量の合計は、100%となる。好ましい実施形態では、配合物における上述の蛍光体の各々は、大体1%〜75%のスペクトル重みを有することになる。
【0031】
赤色放射蛍光体として適切なものとして、約615nmと680nmの間、より好ましくは、約625nmと660nmの間に最大値を有する発光帯域を有するものがある。具体的には、適切な赤色放射蛍光体としては、3.5MgO*0.5MgF2*GeO2:Mn4+(MFG)及び/又は(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+、Mn2+(SASI赤色)がある。(Sr、Ba、Mg)4Si2O8:Eu2+、Mn2+の励起スペクトル及び発光スペクトルを図5に示す。
【0032】
橙色放射蛍光体として適切なものとして、約575nmと615nmの間、より好ましくは、約580nmと610nmの間に最大値を有する発光帯域を有するものがある。具体的には、適切な橙色放射蛍光体調製物としては、(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+、Mn2+(HALO)及び/又は(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)2P2O7:Eu2+、Mn2+(SPP)がある。
【0033】
緑色放射蛍光体として適切なのものとして、約500nmと575nmの間、より好ましくは、490nmと560nmの間、より好ましくは、約515nmと545nmの間に最大値を有する発光帯域を有するものがある。具体的には、適切な緑色光蛍光体として、(Ca、Sr、Ba)Al2O4:Eu2+、(Ca、Sr、Ba、Zn)2SiO4:Eu2+、及び/又はその混合物から成る群から選択することができる。SrAl2O3:Eu2+の励起スペクトル及び発光スペクトルを図6に示す。
【0034】
青色放射蛍光体として適切なものとして、約400nmと500nmの間、より好ましくは、440nmと460nmの間に最大値を有する発光帯域を有するものがある。具体的には、適切な青色放射蛍光体として、(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+(SECA)、及びxを約1と5の間の整数、yを約5と25の間の整数として(Ca、Sr、Ba)MgxALyO(1+x+1.5y):Eu2+(BAM)、及びその混合物から成る群から選択することができる。
【0035】
蛍光体混合物において、配合物の発光スペクトルのギャップを埋めるために広範囲の組合せで他の蛍光体を、必要に応じて利用することができる。ギャップを埋めるのに適切な蛍光体としては、例えば、Sr4Al14O25:Eu2+、(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+、(Ba、Ca、Sr)2MgAl16O27:Eu2+、Mn2+、及びその混合物を含めることができる。
【0036】
赤色、橙色、緑色、青色、又は「ギャップ充填」蛍光体の先の適切な例のいずれかの代わりに十分に類似の発光スペクトルを有する他の蛍光体は、このような代用物の化学調製物が上述の例で列挙したものと大きく異なる場合があるとしても、それらを使用できることは当業者によって認識されるだろう。
【0037】
更に、フルスペクトルの実現のために必要であれば、LED光の一部を放射させて装置の光スペクトルに寄与させることもできる。LED放射の量は、工業用青色チップベースの白色LEDに対して日常的に行われているように、蛍光体層の光密度を変えることによって調整することができる。あるいはまた、以下で更に説明するように適切なフィルタ又は顔料を使用することによって調整することもできる。
【0038】
好ましくは、上述の蛍光体混合物を利用することによって、2500から8000KのCCT範囲にわたって400と700nmの間で得られるフルスペクトルの発光を有する照明装置が実現される。「フルスペクトル」とは、本明細書では、特定の波長領域内にいかなるギャップ(すなわち、スペクトル強度が本質的にゼロの場所)もないものとして定義される。
【0039】
他の好ましい実施形態では、蛍光体材料としては、(Mg、Sr、Ba、Zn)2P2O7:Eu2+、Mn2+;(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、OH):Eu2+、Mn2+;3.5MgO*0.5MgF2*GeO2:Mn4+;Sr4Al14O24:Eu2+;(Sr、Ba、Ca)5(PO4)3(Cl、OH):Eu2+;(Ca、Sr、Ba)Al2O4:Eu2+;(Ca、Sr、Ba、Zn)2SiO4:Eu2+;(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+、Mn2+;及びxを約1と5の間の整数、yを約5と25の間の整数として(Ca、Sr、Ba)MgxAlyO(1+x+1.5y):Eu2+から成る群から選択された四つの蛍光体がある。各蛍光体にドープされる活性剤の量は、一般的に、0.001から50モルパーセント、好ましくは、約0.01から30%で変動することになる。
【0040】
上述の蛍光体は、例えば、基本的な酸化物、炭酸塩、及び/又は水酸化物を出発材料として組み合わせることにより、蛍光体生成の公知の半導体反応工程を用いて生成することができる。他の出発物質としては、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、又はシュウ酸塩を含むことができる。一般的な工程においては、乾式又は湿式の配合工程を通じて出発物質を組み合わせ、空気中又は例えば900から1600℃の還元性雰囲気の下で燃焼させる。
【0041】
混合段階の前又は混合段階中に溶剤を混合物に添加することができる。この溶剤は、NH4Clか又はテルビウム、アルミニウム、ガリウム、及びインジウムから成る群から選択された少なくとも一つの金属のフッ化物のようないずれかの従来からの他の溶剤とすることができる。混合物の全重量の約20重量%未満、好ましくは約10重量%未満の溶剤量が浸食の目的に適切である。
【0042】
出発物質は、限定はされないが、高速配合装置又はリボン配合装置内で撹拌又は配合することを含むいずれかの機械的方法によって互いに混合させることができる。出発物質は、ボウルミル、ハンマーミル、又はジェットミル内で互いに組み合わせて微紛化することができる。混合は、特に出発物質の混合物がその後の沈殿のために溶液にされる時には、湿式粉砕によって実行することができる。混合物が湿っている場合、それは、混合物の全てを最終物質に変換するのに十分な時間にわたって約900℃から約1700℃、好ましくは、約900℃から約1500℃の温度で還元性雰囲気の下で燃焼させる前に、最初に乾燥させることができる。
【0043】
燃焼は、好ましくは、良好な気体−固体接触を促進させるための撹拌又は混合作用を用いてバッチ式又は連続工程で行うことができる。燃焼時間は、燃焼させる混合物の量、燃焼機器を通って導かれる気体の速度、及び燃焼機器内の気体−固体接触の質に依存する。典型的には、約10時間までの燃焼時間が適切である。還元性雰囲気は、窒素、アルゴン、又はその組合せのような不活性ガスで希釈した水素、一酸化炭素、又はその組合せのような還元ガスを選択的に含むことが一般的である。あるいはまた、混合物を含むるつぼを高純度炭素粒子を含む第2の閉鎖るつぼに詰め込み、炭素粒子が空気中に存在する酸素と反応し、それによって還元性雰囲気をもたらすための一酸化炭素を発生するように空気中で燃焼させることができる。
【0044】
一実施形態では、これらの化合物を配合して硝酸溶液中に溶解させることができる。酸性溶液の強度は、酸素含有化合物を迅速に溶解させるように選択し、この選択は、当業者の技量内である。その後、水酸化アンモニウムを区分的に酸性溶液に加える。メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、又はトリプロパノールアミンのような有機塩基を水素化アンモニウムの代わりに使用することができる。
【0045】
沈殿物は、濾過し、脱イオン水で洗浄して乾燥させることができる。乾燥した沈殿物をボウルミル処理するか又は他の方法で完全に配合し、その後、出発物質の実質的に完全な脱水を保証するのに十分な時間にわたって約400℃から1600℃で空気中で焼成する。この焼成は、一定の温度で行うことができる。代替的に、焼成温度を、焼成継続の間に周囲温度から最終温度まで上げてそこで保持することもできる。焼成された材料は、同様に、焼成された材料の全てを望ましい蛍光体化合物に変換するために、H2、CO、又はこれらの気体の一つと不活性ガスとの混合物のような還元性雰囲気か又はココナッツ木炭と出発物質の分解生成物との間の反応によって発生した雰囲気の下で1000〜1600℃の温度で十分な時間にわたって燃かれる。
【0046】
顔料又はフィルタを蛍光体材料に添加することが望ましい場合がある。蛍光体層22はまた、0から約5重量%(蛍光体の総重量に基づく)までの顔料又は250nmと450nmの間の波長を有するUV放射光を吸収することができる他のUV吸収材料を含むことができる。
【0047】
適切な顔料又はフィルタには、250nmと450nmの間で発生される放射光を吸収することができる当業技術で公知のいずれも含まれる。このような顔料としては、例えば、チタン酸ニッケル又はジルコン酸プラセオジミウムがある。顔料は、250nmから450nmの範囲で発生する放射光の10%から100%を濾過するのに有効な量で使用される。
【0048】
各蛍光体に対して適切なスペクトル重みを割り当てることにより、特に白色ランプに対して色空間の関連部分を網羅するスペクトル配合物を作成することができる。この特定の実施例を以下に示す。様々な望ましいCCT、CRI、及び色ポイントに対して、配合物に含めるべき各蛍光体の適切な量を判断することができる。すなわち、ほとんどあらゆるCCT又は色ポイントを対応する高いCRIと共に生成するように蛍光体混合物をカスタマイズすることができる。図示の実施例は、各蛍光体の代表的なスペクトルに対するものである。勿論、各蛍光体の色は、その正確な組成(例えば、BAM蛍光体内のBa、Ca、Sr、並びにEuの相対量)に依存することになり、この組成は、蛍光体の色をそれが例えば青色ではなくて緑色と言い換えなければならない程度まで変更することができるものである。更に、「SASI赤色」及び「HALO」のような一部の蛍光体は、共活性体(この場合はEu2+)から二次的青色ピークを放射することができ、これは、配合物(SECA又はBAM)内の青色蛍光体からの発光に寄与することになる。しかし、このような変動によって必要になる同じか又は類似の特性の照明装置を生成するためにスペクトル重みの変化を判断することは重要ではなく、実験計画法(DOE)又は他の戦略のような様々な方法を用いて当業者により達成することができるものである。
【0049】
本発明、特に第2の実施形態で説明した配合物を用いると、一般的照明に関連する色温度の範囲全体(2500Kから8000K)にわたって95よりも大きい一般CRI(Ra)値を有するランプを提供することができる。一部の配合物では、CRI値は、一般CRI値(Ra)及び平均CRI値(R1-14)の両方に対して理論最大値100に近づく。更に、これらの配合物のR9値は、同様に90を超えて理論最大値に近づく可能性がある。
【実施例】
【0050】
上述の実施形態による蛍光体混合物を使用する様々な光源について説明する。実施された二つの異なる実験の結果を、それぞれ図7及び図8の表に示す。図7の実験で使用した蛍光体は、赤色として3.5MgO*0.5MgF2*GeO2:Mn4+(MFG)、橙色としてCa5(PO4)3Cl:Eu2+、Mn2+(HALO)、緑色としてSrAl2O4:Eu2+、及び青色として(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3Cl:Eu2+(SECA)である。図8の実験で使用した蛍光体は、3.5MgO*0.5MgF2*GeO2:Mn4+(MFG);Ca5(PO4)3Cl:Eu2+、Mn2+(HALO);SrAl2O4:Eu2+;Sr2P2O7:Eu2+、Mn2+(SPP);Sr4Al14O24:Eu2+(SAE);(Sr、Ba、Ca)5(PO4)3Cl:Eu2+(SECA);及び(Sr、Ba、Mg)4Si2O8:Eu2+、Mn2+(SASI赤色)である。
【0051】
スペクトル重みに基づく各蛍光体の具体的な量(パーセントで示す)をUV放射のスペクトルへの寄与と共に表に示している。これらの蛍光体のCIE色度図上の予測色座標(x及びy)を、これらの配合物の光度(lm/W)、CRI値(R1−R14、Ra)、及び調整色温度(CCT)と共に計算した。その結果を表に示してある。
【0052】
図8の4000K配合物(配合物3)の計算発光スペクトルを図9に示している。更に、図10では、図8の光源の発光が色ポイントのある一定の範囲を通じてCIE色度図上の黒体軌跡と実質的に合致していることが分る。
【0053】
図7の配合物の各々の計算発光スペクトルを、図11a〜11hに見ることができる。更に、図12では、これらの蛍光体混合物の発光が色ポイントのある一定の範囲を通じてCIE色度図上の黒体軌跡と実質的に合致していることが分る。蛍光体の色ポイントは、x及びy軸上の黒体軌跡の約±0.01以内、より好ましくは約±0.002以内にあることが望ましい。すなわち、上述の蛍光体混合物の使用は、有用なCCT範囲を通じて基準発光体によって達成されるものに近づく極めて高いCRI値を有する光源の生成を可能にし、それによってほとんど全ての用途においてそのような発光体をLEDと交換することを可能にする。
【0054】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明した。明らかに、以上の詳細説明を読んで理解すると、他の者には修正及び変更が想起されるであろう。本発明は、全てのこのような修正及び変更をそれらが特許請求の範囲又はその均等物の範囲に該当する限り含むように解釈されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態による照明装置の概略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態による照明装置の概略断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態による照明装置の概略断面図である。
【図4】本発明の第4の実施形態による照明装置の切取側面斜視図である。
【図5】(Sr、Ba、Mg)4Si2O8:Eu2+、Mn2+の発光及び吸収スペクトルを示す図である。
【図6】SrAl2O4:Eu2+の発光及び吸収スペクトルを示す図である。
【図7】本発明の一実施形態のよるいくつかの蛍光体混合物の関連特性を示す表である。
【図8】本発明の別の実施形態によるいくつかの蛍光体混合物の関連特性を示す表である。
【図9】図7の一つの調製による4000KのCCTを有する一つの蛍光体混合物の発光スペクトルを示す図である。
【図10】CIE色度図上の黒体軌跡に比較した図7の配合物の色ポイントを示すグラフである。
【図11a】図8の実施形態による異なるCCTを有するいくつかの蛍光体混合物の発光スペクトルの一つを示す図である。
【図11b】図8の実施形態による異なるCCTを有するいくつかの蛍光体混合物の発光スペクトルの一つを示す図である。
【図11c】図8の実施形態による異なるCCTを有するいくつかの蛍光体混合物の発光スペクトルの一つを示す図である。
【図11d】図8の実施形態による異なるCCTを有するいくつかの蛍光体混合物の発光スペクトルの一つを示す図である。
【図11e】図8の実施形態による異なるCCTを有するいくつかの蛍光体混合物の発光スペクトルの一つを示す図である。
【図11f】図8の実施形態による異なるCCTを有するいくつかの蛍光体混合物の発光スペクトルの一つを示す図である。
【図11g】図8の実施形態による異なるCCTを有するいくつかの蛍光体混合物の発光スペクトルの一つを示す図である。
【図11h】図8の実施形態による異なるCCTを有するいくつかの蛍光体混合物の発光スペクトルの一つを示す図である。
【図12】CIE色度図上の黒体軌跡に比較した図8の配合物の色ポイントを示すグラフである。
【符号の説明】
【0056】
10 発光アセンブリ
12 LEDチップ
14 リード
16 リードフレーム
【技術分野】
【0001】
本発明の例示的な実施形態は、光源によって放射された放射光の変換のための蛍光体混合物に関する(ここで「蛍光体」という用語は英語の「phosphor」の訳語であり、一般にはいわゆる燐光も含まれる)。これらには、一般的な照明目的のためにLED発生紫外線(UV)、紫色放射光、又は青色放射光の白色光への変換に関連した具体的用途が見出されている。しかしながら本発明は、UV、紫色、及び/又は青色レーザ、並びに他の光源から白色光への放射光の変換にも適用することができる。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、白熱ランプのような他の光源に代わるものとして使用されることが多い半導体発光体である。これらは、表示ランプ、警告ランプ、及び指示ランプとして、又は有色光が望ましい他の用途において非常に有用である。LEDによって生成される光の色は、その製造において用いられる半導体材料の種類に依存する。
【0003】
発光ダイオード及びレーザ(共に本明細書では一般的にLEDと呼ぶ)を含む有色半導体発光装置は、窒化ガリウム(GaN)のようなIII−V族化合物から生成されてきた。LEDを形成するためには、一般に、炭化珪素又はサファイアのような基板上に化合物の層をエピタキシャル法で堆積させ、様々なn及びp型ドーパントでドープして発光効率等の特性を改善することができる。GaNベースのLEDに関しては、光は、一般的に電磁波スペクトルのUV領域及び/又は青色領域で放射される。ごく最近まで、LEDは、それ自身が生成する光の固有の色のために、明るい白色光を必要とする照明用途には不適であった。
【0004】
近年、LEDから放射された光を照明目的で有用な光に変換する技術が開発されてきた。これに関して、LEDを蛍光体層でコーティングする技術が知られている。蛍光体は、電磁波スペクトルの一部分の放射エネルギを吸収し、電磁波スペクトルの別の部分のエネルギを放射するルミネッセンス材料である。一つの重要な部類の蛍光体は、化学的に純度が非常に高くて組成が制御された結晶性無機化合物であり、それらを効率的なルミネッセンス材料に変換するために少量の他の元素(「活性剤」と呼ぶ)が添加されてきた。活性剤及びホスト無機化合物の適正な組合せを用いて、発光色を制御することができる。最も有用で公知の蛍光体は、可視領域外の電磁放射光による励起に応答して電磁波スペクトルの可視領域の放射光を放射する。
【0005】
LEDによって発生した放射光により励起される蛍光体を間に挿入することにより、例えば可視スペクトル領域で異なる波長の光を発生させることができる。有色LEDは、玩具、指示ランプ、及び他の装置において使用されることが多い。製造業者は、所望の色及びより高い光度を生成するために、このようなLEDで使用される新しい有色蛍光体を絶えず探している。
【0006】
有色LEDに加え、LEDで発生した光及び蛍光体から発生した光を組み合わせて白色光を生成することができる。最も一般的な白色LEDは、青色光を発するGaInNチップを基本とするものである。青色発光チップは、青色放射光の一部を補色、例えば、黄緑放射光に変換する蛍光体でコーティングされる。蛍光体とLEDチップからの光の総量により、対応する色座標(x及びy)及び相関色温度(CCT)を有する色ポイントが得られ、そのスペクトル分布により、演色評価数(CRI)で測定される演色機能が得られる。
【0007】
CRIは、一般的に、通常は一般演色評価数と呼ばれRaと省略される8つの標準色サンプル(R1-8)の平均値として定義されるが、国際的には14個の標準色サンプルが指定されており、より広いCRI(R1-14)をそれらの平均値として計算することができる。特に、強い赤の演色の尺度になるR9値は、ある一定の範囲の用途、特に医療関連分野において非常に重要である。
【0008】
一つの公知の白色発光装置には、セリウムでドープしたイットリウムアルミニウムガーネットY3Al5O12:Ce3+(YAG)のような蛍光体と組み合わせた青色領域(約440nmから約480nm)にピーク波長を有する青色発光LEDが含まれている。蛍光体は、LEDから放射された放射光の一部分を吸収してそれを黄緑光に変換する。LEDによって放射された青色光の残りは、蛍光体を透過して蛍光体によって放射された黄色光と混合され、見る人には青色と黄色光を混合したものが白色光として知覚される。
【0009】
上述の青色LED−YAG蛍光体装置は、一般に、可変色温度範囲が約4000Kから8000Kで約70〜82の一般演色評価数(Ra)を有する白色光を生成する。YAG蛍光体と赤色蛍光体の配合物(Cas:Eu2+)を使用する最近の市販のLEDは、Raが約90で4000Kよりも小さい色温度をもたらす。このようなLEDは一部の用途に適するが、多くのユーザは、更に高いRaを有する光源、すなわち、95〜100の値を有する白熱ランプと類似の光源を望んでいる。
【0010】
UV放射チップと、UV放射光を可視光に変換するように設計された赤色、緑色、及び青色放射蛍光体を含む蛍光体混合物とを利用する白色LEDも存在する。それらのスペクトルは、ギャップ(スペクトル強度が実質的にゼロ)又はR9CRI値を大きく低下するスペクトルの深紅領域、特に650nm付近の大きな欠点のいずれかを有する傾向がある。
【0011】
従って、フルスペクトル(400と700nmの間にギャップがなく、すなわち、放射が約ゼロのスペクトル強度を有する場所がないと定義される)と、Ra、R1-14、及びR9に対する高い値とにより新しいLEDベースのソリューションを開発することが望ましいと考えられる。本発明は、上述の問題及びその他を克服する新たに改良された蛍光体混合物及びその形成方法を提供する。
【発明の開示】
【0012】
第1の態様では、約250nmから約450nmにピークを有する放射光を放射する半導体光源と、約615と680nmの間にピーク放射を有する赤色放射蛍光体、約575と615nmの間にピーク放射を有する橙色放射蛍光体、約500と575nmの間にピーク放射を有する緑色放射蛍光体、約400と500nmの間にピーク放射を有する青色放射蛍光体、及び得られる光スペクトル内のあらゆる残りのギャップを埋めるのに必要な付加的な蛍光体を含み、半導体光源に放射結合した蛍光体材料とを含み、400と700nmの間のフルスペクトルを有する、白色光を放射するための照明装置が提供される。
【0013】
第2の態様では、約250nmから約450nmにピークを有する放射光を放射し、95よりも大きい一般CRI指数(Ra)を有する光源と、約615と680nmの間にピーク放射を有する赤色放射蛍光体、約575と615nmの間にピーク放射を有する橙色放射蛍光体、約500と575nmの間にピーク放射を有する緑色放射蛍光体、及び約400と500nmの間にピーク放射を有する青色放射蛍光体を含み、光源に放射結合した蛍光体材料とを含む、白色光を放射するための照明装置が提供される。
【0014】
第3の態様では、約250nmから約450nmにピークを有する放射光を放射する光源と、約575と615nmの間にピーク放射を有する橙色放射蛍光体、約400と500nmの間にピーク放射を有する青色放射蛍光体、約615と680の間にピーク放射を有する赤色放射蛍光体、及び(Ca、Sr、Ba)Al2O4:Eu2+、(Ca、Sr、Ba、Zn)2SiO4:Eu2+、及びその配合物から成る群から選択された緑色放射蛍光体を含み、光源に放射結合した蛍光体材料とを含む、白色光を放射するための照明装置が提供される。
【0015】
第4の態様では、(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+と、少なくとも三つの付加的な蛍光体、すなわち、約575と615nmの間にピーク放射を有する橙色放射蛍光体、約500と575nmの間にピーク放射を有する緑色放射蛍光体、及び約400と500nmの間にピーク放射を有する青色放射蛍光体とを含む蛍光体混合物が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
新規の蛍光体混合物、並びに、LED及び他の光源におけるその用途について説明する。発生した可視光の色は、蛍光体材料の特定の成分に依存する。本明細書で使用される時、特記のない限り、「蛍光体」という用語は、単一の蛍光体化合物、並びに二つ又はそれよりも多い蛍光体の配合物の両方を含むものとする。
【0017】
明るい白色光を生成するLEDランプは、光源としてのLEDに望ましい品質を付与するのに有用であるとされた。従って、本発明の一実施形態では、白色光をもたらすために、ルミネッセンス材料である蛍光体による変換材料配合物(蛍光体混合物)で被覆したLEDチップを開示する。個々の蛍光体及び個々の蛍光体を含む蛍光体混合物は、特定の波長の放射光、例えば近UV又は可視光LEDによって放射されるような約250から450nmの放射光を異なる波長の可視光に変換する。蛍光体材料(及び、可視光を放射する場合はLEDチップ)によってもたらされる可視光は、高い強度及び輝度を有する明るい白色光を含む。
【0018】
図1を参照する。図1には、本発明の一つの好ましい構造による例示的な発光アセンブリ、すなわちランプ10が示されている。発光アセンブリ10には、半導体によるUV光又は可視光の放射光源、すなわち発光ダイオード(LED)チップ12及びこれに電気的に接続されたリード14などを含んでいる。リード14は、より太いリードフレーム16によって支持された薄いワイヤとすることもできるし、自立電極とすることもでき、あるいはまたリードフレームを省略することもできる。リード14は、電流をLEDチップ12に供給して、放射光を放射させる。
【0019】
このランプは、その放射光が蛍光体上に向けられた時に白色光を生成できる可視光又はUV光の任意の半導体光源を含むことができる。本発明におけるLEDチップの好ましい発光は、開示する実施形態における蛍光体の特性に依存するが、その波長は、例えば250〜450nmの領域とすることができる。しかしながら、一つの好ましい実施形態では、LEDの発光は、近UVから藍色領域にあり、約350から約430nmの範囲のピーク波長を有するものである。通常、半導体光源は様々な不純物でドープされたLEDを含む。従って、LEDは、適切な任意のIII−V族、II−VI族、又はIV−IV族の半導体層をベースとする半導体ダイオードであって、約250から450nmの発光波長を有するものから構成することができる。
【0020】
好ましくは、LEDを、GaN、ZnSe、又はSiCを含む少なくとも一つの半導体層からなるものとする。例えば、LEDを、約250nmよりも大きく約450nmよりも小さなピーク発光波長を有する式IniGajAlkN(ただし、0≦i、0≦j、0≦k、及びi+j+k=1)で表される窒化化合物半導体を含むものとすることができる。このようなLED半導体は、当該技術分野において既に知られている。ここでは便宜上、放射光源がLEDであるとして説明する。しかし、本明細書ではこの用語を、例えば半導体レーザダイオードを含む、全ての半導体放射光源を含むものとして使用する。
【0021】
本明細書で説明する本発明の例示的な構造の一般的な説明は無機LEDをベースとする光源に関するものであるが、特記しない限りLEDチップの代わりに有機発光構造又は他の放射光発光源を使用することができ、また、LEDチップ又は半導体への言及はすべて、任意の適切な発光光源を表している。
【0022】
LEDチップ12は、LEDチップ及び封入材料20を封入するシェル18内に封入することができる。シェル18の材質は、例えば、ガラス又はプラスチックとすることができる。LED12は、封入材料20の実質的に中央に位置することが好ましい。封入材料20は、エポキシ、プラスチック、低温ガラス、ポリマー、熱可塑性又は熱硬化性の材料、樹脂、又は当業技術で公知の他の種類のLED封入材料であることが望ましい。封入材料20は、任意にスピンオンガラス又は何らかの他の高屈折率材料とすることもできる。封入材料20は、好ましくは、シリコーンのようなエポキシ又はポリマー材料とする。シェル18及び封入材料20の両方は、好ましくは、LEDチップ12及び蛍光体材料22によって生成された光の波長に対して透明又は実質的に光学透過性とする(以下で説明する)。代替実施形態では、ランプ10を、外側シェル18なしで封入材料を含むだけのものとしてもよい。LEDチップ12は、例えば、リードフレーム16、自立電極、シェル18の底部、又はシェル又はリードフレームに取り付けられた台座(図示せず)によって支持することができる。
【0023】
この照明装置の構造体は、LEDチップ12に放射的に結合した蛍光体材料22を含んでいる。「放射的に結合した」とは、一方からの放射光が他方に伝達されるよう要素が互いに連携していることを意味する。好ましい実施形態では、蛍光体材料22は、以下で詳述するように、四つ又はそれよりも多い蛍光体の混合物である。
【0024】
この蛍光体材料22は、任意の適切な方法でLED12上に堆積される。例えば、蛍光体の水をベースとする懸濁液を形成し、蛍光体層としてLED表面に付加することができる。このような方法の一つにおいては、蛍光体粒子が不規則に懸濁しているシリコーンスラリがLEDの回りに置かれる。この方法は、単に蛍光体材料22及びLED12の可能な位置を例示するものに過ぎない。すなわち、蛍光体材料22は、蛍光体懸濁液をLEDチップ12の上にコーティングして乾燥させることにより、LEDチップ12の発光面の上又は直接発光面上にコーティングしてもよい。シェル18及び封入材料20の両方は、光24を上述の要素を透過させるように透明であるべきである。一実施形態においては、蛍光体材料の平均粒径を、約1から約10ミクロンとすることができる。ただし、これは限定的なものではない。
【0025】
図2は、本発明の好ましい態様による装置の第2の好ましい構造を示している。図2の実施形態の構造は、蛍光体材料122がLEDチップ112上に直接に形成されるのではなく封入材料120内に散在している点を除き、図1のものと類似している。蛍光体材料(粉末の形態で)は、封入材料120の単一領域内に又はより好ましくは封入材料の全容積を通して散在させることができる。LEDチップ112によって放射された放射光126は、蛍光体材料122によって放射された光と混合し、混合光は、白色光124として現われる。蛍光体を封入材料120内で散在させる場合、蛍光体粉末をポリマー前駆物質に加えてLEDチップ112の回りに充填することができ、その後、ポリマー前駆物質を硬化させて蛍光体材料を固化することができる。トランスファー・ローディングのような他の公知の蛍光体散布方法を使用することもできる。
【0026】
図3は、本発明の好ましい態様に基づいた装置の第3の好ましい構造を示している。図3に示す実施形態の構造体は、蛍光体材料222がLEDチップ212の上に形成されるのではなくシェル218の表面にコーティングされる点を除き、図1のものと類似している。蛍光体材料は、シェル218の内面にコーティングすることが望ましいが、必要に応じて、蛍光体をシェルの外面にコーティングすることもできる。蛍光体材料222は、シェルの表面全体にコーティングしてもよいし、シェルの表面の上部部分のみにコーティングしてもよい。LEDチップ212によって放射された放射光226は、蛍光体材料222によって放射された光と混ざり合い、白色光224として見える。勿論、図1から図3までの構造体を組み合わせることができ、蛍光体は、いずれか二つの位置又は全ての三つの位置、又はシェルから分離して又はLED内に一体化するなどの他のあらゆる適切な位置に配置することができる。
【0027】
上述のいずれの構造体においても、ランプ10が、封入材料に埋め込んだ多数の散乱粒子(図示せず)を含んでいてもよい。散乱粒子は、例えば、アルミニウム粉末のようなAl2O3粒子又はTiO2粒子を含むことができる。散乱粒子は、LEDチップから放射されたコヒーレント光を、好ましくは無視することができる吸収量で実質的に散乱する。
【0028】
図4に第4の好ましい構造として示すように、LEDチップ412を反射カップ430に取り付けることもできる。カップ430は、アルミナ、チタニアといった材料で作るか又はこれらでコーティングするか、当該技術分野で知られている他の誘電体粉末などの反射材料で作るか又はこれらを用いてコーティングすることができる。好ましい反射材料としてAl2O3が挙げられる。図4の実施形態の構造体の残りは、先の図のいずれかと同じであり、二つのリード416、LEDチップ412を第2のリードと電気的に接続する導電ワイヤ432、及び封入材料420を含む。
【0029】
一実施形態において、本発明によって上述のLED光において蛍光体材料22に使用することができる蛍光体混合物が提供され、この蛍光体材料は、赤色放射蛍光体、橙色放射蛍光体、緑色放射蛍光体、及び青色放射蛍光体の配合物とされる。
【0030】
蛍光体材料22で使用される個々の蛍光体の具体的な量は、望ましい色温度に依存することになる。蛍光体混合物における各蛍光体の相対量を、スペクトル重みとして表現することができる。スペクトル重みは、装置の全発光スペクトルのうち各蛍光体が寄与する分の相対量である。個々の蛍光体の全体のスペクトル重みとLED光源からの残りの発光のすべてに基づくスペクトル重み量の合計は、100%となる。好ましい実施形態では、配合物における上述の蛍光体の各々は、大体1%〜75%のスペクトル重みを有することになる。
【0031】
赤色放射蛍光体として適切なものとして、約615nmと680nmの間、より好ましくは、約625nmと660nmの間に最大値を有する発光帯域を有するものがある。具体的には、適切な赤色放射蛍光体としては、3.5MgO*0.5MgF2*GeO2:Mn4+(MFG)及び/又は(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+、Mn2+(SASI赤色)がある。(Sr、Ba、Mg)4Si2O8:Eu2+、Mn2+の励起スペクトル及び発光スペクトルを図5に示す。
【0032】
橙色放射蛍光体として適切なものとして、約575nmと615nmの間、より好ましくは、約580nmと610nmの間に最大値を有する発光帯域を有するものがある。具体的には、適切な橙色放射蛍光体調製物としては、(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+、Mn2+(HALO)及び/又は(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)2P2O7:Eu2+、Mn2+(SPP)がある。
【0033】
緑色放射蛍光体として適切なのものとして、約500nmと575nmの間、より好ましくは、490nmと560nmの間、より好ましくは、約515nmと545nmの間に最大値を有する発光帯域を有するものがある。具体的には、適切な緑色光蛍光体として、(Ca、Sr、Ba)Al2O4:Eu2+、(Ca、Sr、Ba、Zn)2SiO4:Eu2+、及び/又はその混合物から成る群から選択することができる。SrAl2O3:Eu2+の励起スペクトル及び発光スペクトルを図6に示す。
【0034】
青色放射蛍光体として適切なものとして、約400nmと500nmの間、より好ましくは、440nmと460nmの間に最大値を有する発光帯域を有するものがある。具体的には、適切な青色放射蛍光体として、(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+(SECA)、及びxを約1と5の間の整数、yを約5と25の間の整数として(Ca、Sr、Ba)MgxALyO(1+x+1.5y):Eu2+(BAM)、及びその混合物から成る群から選択することができる。
【0035】
蛍光体混合物において、配合物の発光スペクトルのギャップを埋めるために広範囲の組合せで他の蛍光体を、必要に応じて利用することができる。ギャップを埋めるのに適切な蛍光体としては、例えば、Sr4Al14O25:Eu2+、(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+、(Ba、Ca、Sr)2MgAl16O27:Eu2+、Mn2+、及びその混合物を含めることができる。
【0036】
赤色、橙色、緑色、青色、又は「ギャップ充填」蛍光体の先の適切な例のいずれかの代わりに十分に類似の発光スペクトルを有する他の蛍光体は、このような代用物の化学調製物が上述の例で列挙したものと大きく異なる場合があるとしても、それらを使用できることは当業者によって認識されるだろう。
【0037】
更に、フルスペクトルの実現のために必要であれば、LED光の一部を放射させて装置の光スペクトルに寄与させることもできる。LED放射の量は、工業用青色チップベースの白色LEDに対して日常的に行われているように、蛍光体層の光密度を変えることによって調整することができる。あるいはまた、以下で更に説明するように適切なフィルタ又は顔料を使用することによって調整することもできる。
【0038】
好ましくは、上述の蛍光体混合物を利用することによって、2500から8000KのCCT範囲にわたって400と700nmの間で得られるフルスペクトルの発光を有する照明装置が実現される。「フルスペクトル」とは、本明細書では、特定の波長領域内にいかなるギャップ(すなわち、スペクトル強度が本質的にゼロの場所)もないものとして定義される。
【0039】
他の好ましい実施形態では、蛍光体材料としては、(Mg、Sr、Ba、Zn)2P2O7:Eu2+、Mn2+;(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、OH):Eu2+、Mn2+;3.5MgO*0.5MgF2*GeO2:Mn4+;Sr4Al14O24:Eu2+;(Sr、Ba、Ca)5(PO4)3(Cl、OH):Eu2+;(Ca、Sr、Ba)Al2O4:Eu2+;(Ca、Sr、Ba、Zn)2SiO4:Eu2+;(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+、Mn2+;及びxを約1と5の間の整数、yを約5と25の間の整数として(Ca、Sr、Ba)MgxAlyO(1+x+1.5y):Eu2+から成る群から選択された四つの蛍光体がある。各蛍光体にドープされる活性剤の量は、一般的に、0.001から50モルパーセント、好ましくは、約0.01から30%で変動することになる。
【0040】
上述の蛍光体は、例えば、基本的な酸化物、炭酸塩、及び/又は水酸化物を出発材料として組み合わせることにより、蛍光体生成の公知の半導体反応工程を用いて生成することができる。他の出発物質としては、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、又はシュウ酸塩を含むことができる。一般的な工程においては、乾式又は湿式の配合工程を通じて出発物質を組み合わせ、空気中又は例えば900から1600℃の還元性雰囲気の下で燃焼させる。
【0041】
混合段階の前又は混合段階中に溶剤を混合物に添加することができる。この溶剤は、NH4Clか又はテルビウム、アルミニウム、ガリウム、及びインジウムから成る群から選択された少なくとも一つの金属のフッ化物のようないずれかの従来からの他の溶剤とすることができる。混合物の全重量の約20重量%未満、好ましくは約10重量%未満の溶剤量が浸食の目的に適切である。
【0042】
出発物質は、限定はされないが、高速配合装置又はリボン配合装置内で撹拌又は配合することを含むいずれかの機械的方法によって互いに混合させることができる。出発物質は、ボウルミル、ハンマーミル、又はジェットミル内で互いに組み合わせて微紛化することができる。混合は、特に出発物質の混合物がその後の沈殿のために溶液にされる時には、湿式粉砕によって実行することができる。混合物が湿っている場合、それは、混合物の全てを最終物質に変換するのに十分な時間にわたって約900℃から約1700℃、好ましくは、約900℃から約1500℃の温度で還元性雰囲気の下で燃焼させる前に、最初に乾燥させることができる。
【0043】
燃焼は、好ましくは、良好な気体−固体接触を促進させるための撹拌又は混合作用を用いてバッチ式又は連続工程で行うことができる。燃焼時間は、燃焼させる混合物の量、燃焼機器を通って導かれる気体の速度、及び燃焼機器内の気体−固体接触の質に依存する。典型的には、約10時間までの燃焼時間が適切である。還元性雰囲気は、窒素、アルゴン、又はその組合せのような不活性ガスで希釈した水素、一酸化炭素、又はその組合せのような還元ガスを選択的に含むことが一般的である。あるいはまた、混合物を含むるつぼを高純度炭素粒子を含む第2の閉鎖るつぼに詰め込み、炭素粒子が空気中に存在する酸素と反応し、それによって還元性雰囲気をもたらすための一酸化炭素を発生するように空気中で燃焼させることができる。
【0044】
一実施形態では、これらの化合物を配合して硝酸溶液中に溶解させることができる。酸性溶液の強度は、酸素含有化合物を迅速に溶解させるように選択し、この選択は、当業者の技量内である。その後、水酸化アンモニウムを区分的に酸性溶液に加える。メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、又はトリプロパノールアミンのような有機塩基を水素化アンモニウムの代わりに使用することができる。
【0045】
沈殿物は、濾過し、脱イオン水で洗浄して乾燥させることができる。乾燥した沈殿物をボウルミル処理するか又は他の方法で完全に配合し、その後、出発物質の実質的に完全な脱水を保証するのに十分な時間にわたって約400℃から1600℃で空気中で焼成する。この焼成は、一定の温度で行うことができる。代替的に、焼成温度を、焼成継続の間に周囲温度から最終温度まで上げてそこで保持することもできる。焼成された材料は、同様に、焼成された材料の全てを望ましい蛍光体化合物に変換するために、H2、CO、又はこれらの気体の一つと不活性ガスとの混合物のような還元性雰囲気か又はココナッツ木炭と出発物質の分解生成物との間の反応によって発生した雰囲気の下で1000〜1600℃の温度で十分な時間にわたって燃かれる。
【0046】
顔料又はフィルタを蛍光体材料に添加することが望ましい場合がある。蛍光体層22はまた、0から約5重量%(蛍光体の総重量に基づく)までの顔料又は250nmと450nmの間の波長を有するUV放射光を吸収することができる他のUV吸収材料を含むことができる。
【0047】
適切な顔料又はフィルタには、250nmと450nmの間で発生される放射光を吸収することができる当業技術で公知のいずれも含まれる。このような顔料としては、例えば、チタン酸ニッケル又はジルコン酸プラセオジミウムがある。顔料は、250nmから450nmの範囲で発生する放射光の10%から100%を濾過するのに有効な量で使用される。
【0048】
各蛍光体に対して適切なスペクトル重みを割り当てることにより、特に白色ランプに対して色空間の関連部分を網羅するスペクトル配合物を作成することができる。この特定の実施例を以下に示す。様々な望ましいCCT、CRI、及び色ポイントに対して、配合物に含めるべき各蛍光体の適切な量を判断することができる。すなわち、ほとんどあらゆるCCT又は色ポイントを対応する高いCRIと共に生成するように蛍光体混合物をカスタマイズすることができる。図示の実施例は、各蛍光体の代表的なスペクトルに対するものである。勿論、各蛍光体の色は、その正確な組成(例えば、BAM蛍光体内のBa、Ca、Sr、並びにEuの相対量)に依存することになり、この組成は、蛍光体の色をそれが例えば青色ではなくて緑色と言い換えなければならない程度まで変更することができるものである。更に、「SASI赤色」及び「HALO」のような一部の蛍光体は、共活性体(この場合はEu2+)から二次的青色ピークを放射することができ、これは、配合物(SECA又はBAM)内の青色蛍光体からの発光に寄与することになる。しかし、このような変動によって必要になる同じか又は類似の特性の照明装置を生成するためにスペクトル重みの変化を判断することは重要ではなく、実験計画法(DOE)又は他の戦略のような様々な方法を用いて当業者により達成することができるものである。
【0049】
本発明、特に第2の実施形態で説明した配合物を用いると、一般的照明に関連する色温度の範囲全体(2500Kから8000K)にわたって95よりも大きい一般CRI(Ra)値を有するランプを提供することができる。一部の配合物では、CRI値は、一般CRI値(Ra)及び平均CRI値(R1-14)の両方に対して理論最大値100に近づく。更に、これらの配合物のR9値は、同様に90を超えて理論最大値に近づく可能性がある。
【実施例】
【0050】
上述の実施形態による蛍光体混合物を使用する様々な光源について説明する。実施された二つの異なる実験の結果を、それぞれ図7及び図8の表に示す。図7の実験で使用した蛍光体は、赤色として3.5MgO*0.5MgF2*GeO2:Mn4+(MFG)、橙色としてCa5(PO4)3Cl:Eu2+、Mn2+(HALO)、緑色としてSrAl2O4:Eu2+、及び青色として(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3Cl:Eu2+(SECA)である。図8の実験で使用した蛍光体は、3.5MgO*0.5MgF2*GeO2:Mn4+(MFG);Ca5(PO4)3Cl:Eu2+、Mn2+(HALO);SrAl2O4:Eu2+;Sr2P2O7:Eu2+、Mn2+(SPP);Sr4Al14O24:Eu2+(SAE);(Sr、Ba、Ca)5(PO4)3Cl:Eu2+(SECA);及び(Sr、Ba、Mg)4Si2O8:Eu2+、Mn2+(SASI赤色)である。
【0051】
スペクトル重みに基づく各蛍光体の具体的な量(パーセントで示す)をUV放射のスペクトルへの寄与と共に表に示している。これらの蛍光体のCIE色度図上の予測色座標(x及びy)を、これらの配合物の光度(lm/W)、CRI値(R1−R14、Ra)、及び調整色温度(CCT)と共に計算した。その結果を表に示してある。
【0052】
図8の4000K配合物(配合物3)の計算発光スペクトルを図9に示している。更に、図10では、図8の光源の発光が色ポイントのある一定の範囲を通じてCIE色度図上の黒体軌跡と実質的に合致していることが分る。
【0053】
図7の配合物の各々の計算発光スペクトルを、図11a〜11hに見ることができる。更に、図12では、これらの蛍光体混合物の発光が色ポイントのある一定の範囲を通じてCIE色度図上の黒体軌跡と実質的に合致していることが分る。蛍光体の色ポイントは、x及びy軸上の黒体軌跡の約±0.01以内、より好ましくは約±0.002以内にあることが望ましい。すなわち、上述の蛍光体混合物の使用は、有用なCCT範囲を通じて基準発光体によって達成されるものに近づく極めて高いCRI値を有する光源の生成を可能にし、それによってほとんど全ての用途においてそのような発光体をLEDと交換することを可能にする。
【0054】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明した。明らかに、以上の詳細説明を読んで理解すると、他の者には修正及び変更が想起されるであろう。本発明は、全てのこのような修正及び変更をそれらが特許請求の範囲又はその均等物の範囲に該当する限り含むように解釈されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態による照明装置の概略断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態による照明装置の概略断面図である。
【図3】本発明の第3の実施形態による照明装置の概略断面図である。
【図4】本発明の第4の実施形態による照明装置の切取側面斜視図である。
【図5】(Sr、Ba、Mg)4Si2O8:Eu2+、Mn2+の発光及び吸収スペクトルを示す図である。
【図6】SrAl2O4:Eu2+の発光及び吸収スペクトルを示す図である。
【図7】本発明の一実施形態のよるいくつかの蛍光体混合物の関連特性を示す表である。
【図8】本発明の別の実施形態によるいくつかの蛍光体混合物の関連特性を示す表である。
【図9】図7の一つの調製による4000KのCCTを有する一つの蛍光体混合物の発光スペクトルを示す図である。
【図10】CIE色度図上の黒体軌跡に比較した図7の配合物の色ポイントを示すグラフである。
【図11a】図8の実施形態による異なるCCTを有するいくつかの蛍光体混合物の発光スペクトルの一つを示す図である。
【図11b】図8の実施形態による異なるCCTを有するいくつかの蛍光体混合物の発光スペクトルの一つを示す図である。
【図11c】図8の実施形態による異なるCCTを有するいくつかの蛍光体混合物の発光スペクトルの一つを示す図である。
【図11d】図8の実施形態による異なるCCTを有するいくつかの蛍光体混合物の発光スペクトルの一つを示す図である。
【図11e】図8の実施形態による異なるCCTを有するいくつかの蛍光体混合物の発光スペクトルの一つを示す図である。
【図11f】図8の実施形態による異なるCCTを有するいくつかの蛍光体混合物の発光スペクトルの一つを示す図である。
【図11g】図8の実施形態による異なるCCTを有するいくつかの蛍光体混合物の発光スペクトルの一つを示す図である。
【図11h】図8の実施形態による異なるCCTを有するいくつかの蛍光体混合物の発光スペクトルの一つを示す図である。
【図12】CIE色度図上の黒体軌跡に比較した図8の配合物の色ポイントを示すグラフである。
【符号の説明】
【0056】
10 発光アセンブリ
12 LEDチップ
14 リード
16 リードフレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色光を放射するための照明装置であって、
約250nmから約450nmで放射光を放射する半導体光源と、
約615と680nmの間にピーク放射を有する赤色放射蛍光体と、約575と615nmの間にピーク放射を有する橙色放射蛍光体と、約500と575nmの間にピーク放射を有する緑色放射蛍光体と、約400と500nmの間にピーク放射を有する青色放射蛍光体と、一つ又はそれよりも多い付加的なギャップ充填蛍光体とを含み、前記光源に放射結合した蛍光体材料と、
を含み、
400と700nmの間のフルスペクトルを有する、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記光源は、LED及び有機発光構造体の一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記光源を取り囲む封入材料を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記蛍光体材料は、前記封入材料に分散されていることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
反射カップを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
顔料、フィルタ、又は250nmと450nmの間で発生した放射光を吸収することができる他の吸収体を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記赤色蛍光体は、(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+、Mn2+及び3.5MgO*0.5MgF2*GeO2:Mn4+の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項8】
前記緑色蛍光体は、(Ca、Sr、Ba)Al2O4:Eu2+及び(Ca、Sr、Ba、Zn)2SiO4:Eu2+の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項9】
前記青色蛍光体は、(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+及び(Ca、Sr、Ba)MgxAlyO(1+x+1.5y):Eu2+の少なくとも一方を含み、ここで、xは、約1と5の間の整数であり、yは、約5と25の間の整数であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項10】
前記橙色蛍光体は、(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)2P2O7:Eu2+、Mn2+及び(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+、Mn2+の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項11】
前記ギャップ充填蛍光体は、Sr4Al14O25:Eu2+;(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+;(Ba、Ca、Sr)2MgAl16O27:Eu2+、Mn2+;及びそれらの混合物のうちの一つ又はそれよりも多くから選択されることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項12】
前記青色蛍光体は、約1から45%のスペクトル重みで存在し、前記緑色蛍光体は、約15から60%のスペクトル重みで存在し、前記赤色蛍光体は、約5から55%のスペクトル重みで存在し、前記橙色蛍光体は、約20から75%のスペクトル重みで存在することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項13】
90よりも大きい一般CRI(Ra)を有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項14】
90よりも大きい平均CRI(R1−R14)を有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項15】
80よりも大きいCRI(R9)を有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項16】
前記蛍光体材料の色ポイントは、CIE色度図の黒体軌跡上か又は実質的に黒体軌跡上にあることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項17】
約2500から8000KのCCTを有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項18】
白色光を放射するための照明装置であって、
約250から約450nmで放射光を放射する光源と、
約500と575nmの間にピーク放射を有する緑色放射蛍光体と、約615と680nmの間にピーク放射を有する赤色放射蛍光体と、約575と615nmの間にピーク放射を有する橙色放射蛍光体と、約400と500nmの間にピーク放射を有する青色放射蛍光体とを含み、前記光源に放射結合した蛍光体材料と、
を含み、
95よりも大きい一般CRI(Ra)を有する、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項19】
前記光源は、LED及び有機発光構造体の一方を含むことを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項20】
前記光源を取り囲む封入材料を更に含むことを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項21】
前記蛍光体材料は、前記封入材料に分散されていることを特徴とする請求項20に記載の照明装置。
【請求項22】
反射カップを更に含むことを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項23】
顔料、フィルタ、又は250nmと450nmの間で発生した放射光を吸収することができる他の吸収体を更に含むことを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項24】
前記赤色蛍光体は、(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+、Mn2+及び3.5MgO*0.5MgF2*GeO2:Mn4+の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項25】
前記緑色蛍光体は、(Ca、Sr、Ba)Al2O4:Eu2+及び(Ca、Sr、Ba、Zn)2SiO4:Eu2+の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項26】
前記青色蛍光体は、(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+及び(Ca、Sr、Ba)MgxAlyO(1+x+1.5y):Eu2+の少なくとも一方を含み、ここで、xは、約1と5の間の整数であり、yは、約5と25の間の整数であることを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項27】
前記橙色蛍光体は、(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)2P2O7:Eu2+、Mn2+及び(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+、Mn2+の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項28】
Sr4Al14O25:Eu2+;(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+;(Ba、Ca、Sr)2MgAl16O27:Eu2+、Mn2+;及びそれらの混合物から成る群から選択された一つ又はそれよりも多い付加的な蛍光体を更に含むことを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項29】
95よりも大きい平均CRI(R1−R14)を有することを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項30】
90よりも大きいCRI(R9)を有することを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項31】
前記蛍光体材料の色ポイントは、CIE色度図の黒体軌跡上か又は実質的に黒体軌跡上にあることを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項32】
約2500から8000KのCCTを有することを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項33】
白色光を放射するための照明装置であって、
約250から約450nmで放射光を放射する光源と、
約575と615nmの間にピーク放射を有する橙色放射蛍光体と、約400と500nmの間にピーク放射を有する青色放射蛍光体と、約615と680nmの間にピーク放射を有する赤色放射蛍光体と、(Ca、Sr、Ba)Al2O4:Eu2+及び(Ca、Sr、Ba、Zn)2SiO4:Eu2+の少なくとも一方を含む緑色放射蛍光体とを含み、前記光源に放射結合した蛍光体材料と、
を含むことを特徴とする照明装置。
【請求項34】
前記青色蛍光体は、(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+及び(Ca、Sr、Ba)MgxAlyO(1+x+1.5y):Eu2+の少なくとも一方を含み、ここで、xは、約1と5の間の整数であり、yは、約5と25の間の整数であることを特徴とする請求項33に記載の照明装置。
【請求項35】
前記橙色蛍光体は、(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)2P2O7:Eu2+、Mn2+及び(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+、Mn2+の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項33に記載の照明装置。
【請求項36】
Sr4Al14O25:Eu2+;(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+;(Ba、Ca、Sr)2MgAl16O27:Eu2+、Mn2+;及びそれらの混合物から成る群から選択された一つ又はそれよりも多い付加的な蛍光体を更に含むことを特徴とする請求項33に記載の照明装置。
【請求項37】
90よりも大きい平均CRI(R1−R14)を有することを特徴とする請求項33に記載の照明装置。
【請求項38】
90よりも大きい一般CRI(Ra)を有することを特徴とする請求項33に記載の照明装置。
【請求項39】
80よりも大きいCRI(R9)を有することを特徴とする請求項33に記載の照明装置。
【請求項40】
顔料、フィルタ、又は250nmと450nmの間で発生した放射光を吸収することができる他の吸収体を更に含むことを特徴とする請求項33に記載の照明装置。
【請求項41】
(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+、Mn2+と、
少なくとも三つの付加的な蛍光体、すなわち、約575と615nmの間にピーク放射を有する橙色放射蛍光体、約500と575nmの間にピーク放射を有する緑色放射蛍光体、及び約400と500nmの間にピーク放射を有する青色放射蛍光体と、
を含むことを特徴とする蛍光体混合物。
【請求項42】
前記蛍光体材料は、250〜450nmで放射する光源によって放射された放射光を吸収し、該光源からの該放射光と組み合わされた時に白色光を生成する放射光を放射することができることを特徴とする請求項41に記載の蛍光体混合物。
【請求項43】
前記橙色蛍光体は、(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)2P2O7:Eu2+、Mn2+及び(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+、Mn2+の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項41に記載の蛍光体混合物。
【請求項44】
前記青色蛍光体は、(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+及び(Ca、Sr、Ba)MgxAlyO(1+x+1.5y):Eu2+の少なくとも一方を含み、ここで、xは、約1と5の間の整数であり、yは、約5と25の間の整数であることを特徴とする請求項41に記載の蛍光体混合物。
【請求項45】
照明装置が、90よりも大きい一般CRI(Ra)を有することを特徴とする請求項41に記載の蛍光体混合物。
【請求項46】
照明装置が、90よりも大きい平均CRI(R1−R14)を有することを特徴とする請求項41に記載の蛍光体混合物。
【請求項47】
照明装置が、80よりも大きいCRI(R9)を有することを特徴とする請求項41に記載の蛍光体混合物。
【請求項48】
前記蛍光体材料の色ポイントは、CIE色度図の黒体軌跡上か又は実質的に黒体軌跡上にあることを特徴とする請求項41に記載の蛍光体混合物。
【請求項49】
照明装置が、約2500から8000KのCCTを有することを特徴とする請求項41に記載の蛍光体混合物。
【請求項1】
白色光を放射するための照明装置であって、
約250nmから約450nmで放射光を放射する半導体光源と、
約615と680nmの間にピーク放射を有する赤色放射蛍光体と、約575と615nmの間にピーク放射を有する橙色放射蛍光体と、約500と575nmの間にピーク放射を有する緑色放射蛍光体と、約400と500nmの間にピーク放射を有する青色放射蛍光体と、一つ又はそれよりも多い付加的なギャップ充填蛍光体とを含み、前記光源に放射結合した蛍光体材料と、
を含み、
400と700nmの間のフルスペクトルを有する、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項2】
前記光源は、LED及び有機発光構造体の一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記光源を取り囲む封入材料を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記蛍光体材料は、前記封入材料に分散されていることを特徴とする請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
反射カップを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項6】
顔料、フィルタ、又は250nmと450nmの間で発生した放射光を吸収することができる他の吸収体を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項7】
前記赤色蛍光体は、(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+、Mn2+及び3.5MgO*0.5MgF2*GeO2:Mn4+の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項8】
前記緑色蛍光体は、(Ca、Sr、Ba)Al2O4:Eu2+及び(Ca、Sr、Ba、Zn)2SiO4:Eu2+の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項9】
前記青色蛍光体は、(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+及び(Ca、Sr、Ba)MgxAlyO(1+x+1.5y):Eu2+の少なくとも一方を含み、ここで、xは、約1と5の間の整数であり、yは、約5と25の間の整数であることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項10】
前記橙色蛍光体は、(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)2P2O7:Eu2+、Mn2+及び(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+、Mn2+の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項11】
前記ギャップ充填蛍光体は、Sr4Al14O25:Eu2+;(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+;(Ba、Ca、Sr)2MgAl16O27:Eu2+、Mn2+;及びそれらの混合物のうちの一つ又はそれよりも多くから選択されることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項12】
前記青色蛍光体は、約1から45%のスペクトル重みで存在し、前記緑色蛍光体は、約15から60%のスペクトル重みで存在し、前記赤色蛍光体は、約5から55%のスペクトル重みで存在し、前記橙色蛍光体は、約20から75%のスペクトル重みで存在することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項13】
90よりも大きい一般CRI(Ra)を有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項14】
90よりも大きい平均CRI(R1−R14)を有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項15】
80よりも大きいCRI(R9)を有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項16】
前記蛍光体材料の色ポイントは、CIE色度図の黒体軌跡上か又は実質的に黒体軌跡上にあることを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項17】
約2500から8000KのCCTを有することを特徴とする請求項1に記載の照明装置。
【請求項18】
白色光を放射するための照明装置であって、
約250から約450nmで放射光を放射する光源と、
約500と575nmの間にピーク放射を有する緑色放射蛍光体と、約615と680nmの間にピーク放射を有する赤色放射蛍光体と、約575と615nmの間にピーク放射を有する橙色放射蛍光体と、約400と500nmの間にピーク放射を有する青色放射蛍光体とを含み、前記光源に放射結合した蛍光体材料と、
を含み、
95よりも大きい一般CRI(Ra)を有する、
ことを特徴とする照明装置。
【請求項19】
前記光源は、LED及び有機発光構造体の一方を含むことを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項20】
前記光源を取り囲む封入材料を更に含むことを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項21】
前記蛍光体材料は、前記封入材料に分散されていることを特徴とする請求項20に記載の照明装置。
【請求項22】
反射カップを更に含むことを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項23】
顔料、フィルタ、又は250nmと450nmの間で発生した放射光を吸収することができる他の吸収体を更に含むことを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項24】
前記赤色蛍光体は、(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+、Mn2+及び3.5MgO*0.5MgF2*GeO2:Mn4+の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項25】
前記緑色蛍光体は、(Ca、Sr、Ba)Al2O4:Eu2+及び(Ca、Sr、Ba、Zn)2SiO4:Eu2+の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項26】
前記青色蛍光体は、(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+及び(Ca、Sr、Ba)MgxAlyO(1+x+1.5y):Eu2+の少なくとも一方を含み、ここで、xは、約1と5の間の整数であり、yは、約5と25の間の整数であることを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項27】
前記橙色蛍光体は、(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)2P2O7:Eu2+、Mn2+及び(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+、Mn2+の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項28】
Sr4Al14O25:Eu2+;(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+;(Ba、Ca、Sr)2MgAl16O27:Eu2+、Mn2+;及びそれらの混合物から成る群から選択された一つ又はそれよりも多い付加的な蛍光体を更に含むことを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項29】
95よりも大きい平均CRI(R1−R14)を有することを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項30】
90よりも大きいCRI(R9)を有することを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項31】
前記蛍光体材料の色ポイントは、CIE色度図の黒体軌跡上か又は実質的に黒体軌跡上にあることを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項32】
約2500から8000KのCCTを有することを特徴とする請求項18に記載の照明装置。
【請求項33】
白色光を放射するための照明装置であって、
約250から約450nmで放射光を放射する光源と、
約575と615nmの間にピーク放射を有する橙色放射蛍光体と、約400と500nmの間にピーク放射を有する青色放射蛍光体と、約615と680nmの間にピーク放射を有する赤色放射蛍光体と、(Ca、Sr、Ba)Al2O4:Eu2+及び(Ca、Sr、Ba、Zn)2SiO4:Eu2+の少なくとも一方を含む緑色放射蛍光体とを含み、前記光源に放射結合した蛍光体材料と、
を含むことを特徴とする照明装置。
【請求項34】
前記青色蛍光体は、(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+及び(Ca、Sr、Ba)MgxAlyO(1+x+1.5y):Eu2+の少なくとも一方を含み、ここで、xは、約1と5の間の整数であり、yは、約5と25の間の整数であることを特徴とする請求項33に記載の照明装置。
【請求項35】
前記橙色蛍光体は、(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)2P2O7:Eu2+、Mn2+及び(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+、Mn2+の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項33に記載の照明装置。
【請求項36】
Sr4Al14O25:Eu2+;(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+;(Ba、Ca、Sr)2MgAl16O27:Eu2+、Mn2+;及びそれらの混合物から成る群から選択された一つ又はそれよりも多い付加的な蛍光体を更に含むことを特徴とする請求項33に記載の照明装置。
【請求項37】
90よりも大きい平均CRI(R1−R14)を有することを特徴とする請求項33に記載の照明装置。
【請求項38】
90よりも大きい一般CRI(Ra)を有することを特徴とする請求項33に記載の照明装置。
【請求項39】
80よりも大きいCRI(R9)を有することを特徴とする請求項33に記載の照明装置。
【請求項40】
顔料、フィルタ、又は250nmと450nmの間で発生した放射光を吸収することができる他の吸収体を更に含むことを特徴とする請求項33に記載の照明装置。
【請求項41】
(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)4Si2O8:Eu2+、Mn2+と、
少なくとも三つの付加的な蛍光体、すなわち、約575と615nmの間にピーク放射を有する橙色放射蛍光体、約500と575nmの間にピーク放射を有する緑色放射蛍光体、及び約400と500nmの間にピーク放射を有する青色放射蛍光体と、
を含むことを特徴とする蛍光体混合物。
【請求項42】
前記蛍光体材料は、250〜450nmで放射する光源によって放射された放射光を吸収し、該光源からの該放射光と組み合わされた時に白色光を生成する放射光を放射することができることを特徴とする請求項41に記載の蛍光体混合物。
【請求項43】
前記橙色蛍光体は、(Mg、Ca、Sr、Ba、Zn)2P2O7:Eu2+、Mn2+及び(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+、Mn2+の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項41に記載の蛍光体混合物。
【請求項44】
前記青色蛍光体は、(Ca、Sr、Ba)5(PO4)3(F、Cl、Br、OH):Eu2+及び(Ca、Sr、Ba)MgxAlyO(1+x+1.5y):Eu2+の少なくとも一方を含み、ここで、xは、約1と5の間の整数であり、yは、約5と25の間の整数であることを特徴とする請求項41に記載の蛍光体混合物。
【請求項45】
照明装置が、90よりも大きい一般CRI(Ra)を有することを特徴とする請求項41に記載の蛍光体混合物。
【請求項46】
照明装置が、90よりも大きい平均CRI(R1−R14)を有することを特徴とする請求項41に記載の蛍光体混合物。
【請求項47】
照明装置が、80よりも大きいCRI(R9)を有することを特徴とする請求項41に記載の蛍光体混合物。
【請求項48】
前記蛍光体材料の色ポイントは、CIE色度図の黒体軌跡上か又は実質的に黒体軌跡上にあることを特徴とする請求項41に記載の蛍光体混合物。
【請求項49】
照明装置が、約2500から8000KのCCTを有することを特徴とする請求項41に記載の蛍光体混合物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11d】
【図11e】
【図11f】
【図11g】
【図11h】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11d】
【図11e】
【図11f】
【図11g】
【図11h】
【図12】
【公表番号】特表2007−524726(P2007−524726A)
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−517566(P2006−517566)
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/020086
【国際公開番号】WO2005/004202
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(503399964)ゲルコアー リミテッド ライアビリティ カンパニー (32)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月23日(2004.6.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/020086
【国際公開番号】WO2005/004202
【国際公開日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(503399964)ゲルコアー リミテッド ライアビリティ カンパニー (32)
【Fターム(参考)】
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