説明

LEDドライバモジュール及びこれを用いたLED電球

【課題】出力平滑コンデンサの低耐圧化(延いては大容量化)を実現する。
【解決手段】LEDドライバモジュール10は、交流電源が接続される入力端子LP1及びLP2と、入力端子LP1及びLP2に接続されて後段の回路部を保護する保護部11と、入力端子LP1及びLP2から保護部11を介して入力される交流電圧を整流する整流部12と、整流部12の出力からノイズ成分を除去するフィルタ部13と、フィルタ部13の出力から所望の直流電圧を生成するDC/DC変換部14と、DC/DC変換部14の出力を平滑してLED駆動電圧を生成する出力平滑部15と、LEDモジュールが接続される出力端子LP3及びLP4と、を有し、出力平滑部15は、出力端子LP3にLEDモジュールが接続されていないときには出力端子LP3と絶縁されており、出力端子LP3にLEDモジュールが接続されたときに出力端子LP3と電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED[light emitting diode]ドライバモジュール、及び、これを用いたLED電球に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、省電力で長寿命のLED電球が急速に普及し始めている。
【0003】
なお、上記に関連する従来技術の一例としては、特許文献1や特許文献2を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−198489号公報
【特許文献2】特開2011−159637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、小型(例えばE17形)のLED電球に組み込まれるLEDドライバモジュールは、LED電球に収容可能な小面積のプリント回路基板上に、多数の素子を搭載しなければならない。そのため、出力平滑コンデンサの素子サイズは非常に制限されており、出力平滑コンデンサの耐圧性能を高めると十分な平滑性能(静電容量)を得ることができなくなり、逆に、出力平滑コンデンサの平滑性能(静電容量)を高めると十分な耐圧性能を得ることができなくなる、というトレードオフの関係に陥っていた。
【0006】
本発明は、本願の発明者により見出された上記の問題点に鑑み、出力平滑コンデンサの低耐圧化(大容量化)を実現することが可能なLEDドライバモジュール、及び、これを用いたLED電球を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した目的を達成するために、本発明に係るLEDドライバモジュールは、交流電源を接続するための入力端子と、前記入力端子に接続されて後段の回路部を保護する保護部と、前記入力端子から前記保護部を介して入力される交流電圧を整流する整流部と、前記整流部の出力からノイズ成分を除去するフィルタ部と、前記フィルタ部の出力から所望の直流電圧を生成するDC/DC変換部と、前記DC/DC変換部の出力を平滑してLED駆動電圧を生成する出力平滑部と、負荷であるLEDモジュールを接続するための出力端子と、を有し、前記出力平滑部は、前記出力端子に前記LEDモジュールが接続されていないときには前記出力端子と絶縁されており、前記出力端子に前記LEDモジュールが接続されたときに前記出力端子と電気的に接続される構成(第1の構成)とされている。
【0008】
なお、第1の構成から成るLEDドライバモジュールにおいて、前記出力平滑部は、前記DC/DC変換部の出力端と前記出力端子との間を電気的に接続する第1配線と、前記出力端子の近傍で前記第1配線と近接するように敷設された第2配線と、前記第2配線に接続された出力平滑コンデンサと、を含む構成(第2の構成)にするとよい。
【0009】
また、上記第2の構成から成るLEDドライバモジュールにおいて、前記第1配線と前記第2配線は、前記出力端子に負荷接続用配線を固着するための導電部材を介して互いに電気的に接続される構成(第3の構成)にするとよい。
【0010】
また、上記第3の構成から成るLEDドライバモジュールにおいて、前記第1配線と前記第2配線は、所定の間隔を空けつつ前記負荷接続用配線の延伸方向に沿って敷設されている構成(第4の構成)にするとよい。
【0011】
また、上記第4の構成から成るLEDドライバモジュールにおいて、前記間隔は、前記導電部材が付着される領域よりも狭い構成(第5の構成)にするとよい。
【0012】
また、上記第3の構成から成るLEDドライバモジュールにおいて、前記第1配線と前記第2配線は、前記負荷接続用配線の延伸方向に交差して敷設されている構成(第6の構成)にするとよい。
【0013】
また、上記第6の構成から成るLEDドライバモジュールにおいて、前記第1配線と前記第2配線は、互いの櫛歯が交互に噛み合う形状にパターニングされている構成(第7の構成)にするとよい。
【0014】
また、上記第7の構成から成るLEDドライバモジュールにおいて、第1軸方向に延びる前記負荷接続用配線は、第2軸方向に沿って各々の櫛歯が並ぶ前記第1配線及び前記第2配線に対して交差するように接続されている構成(第8の構成)にするとよい。
【0015】
また、上記第3〜第8いずれかの構成から成るLEDドライバモジュールにて、前記出力端子は、プリント回路基板を貫通するビアであり、前記負荷接続用配線は、前記プリント回路基板の第1面側から前記出力端子を介して前記プリント回路基板の第2面側に貫通する形で挿入され、前記プリント回路基板の第2面側に敷設された前記第1配線及び前記第2配線と前記導電部材を介して電気的に接続される構成(第9の構成)にするとよい。
【0016】
また、上記第9の構成から成るLEDドライバモジュールにおいて、前記プリント回路基板は、少なくとも前記導電部材が付着される領域を除いて保護層により被覆されている構成(第10の構成)にするとよい。
【0017】
また、上記第2〜第10いずれかの構成から成るLEDドライバモジュールにおいて、前記出力平滑部は、前記出力平滑コンデンサと並列に接続された抵抗を含む構成(第11の構成)にするとよい。
【0018】
また、本発明に係るLED電球は、上記第1〜第11いずれかの構成から成るLEDドライバモジュールと、前記LEDドライバモジュールからLED駆動電圧が供給されるLEDモジュールと、前記LEDドライバモジュール及び前記LEDモジュールが搭載されるケースと、前記LEDモジュールを覆う透光性カバーとを有する構成(第12の構成)とされている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、出力平滑コンデンサの低耐圧化(大容量化)を実現することが可能なLEDドライバモジュール、及び、これを用いたLED電球を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】LED電球1の一構成例を示すブロック図
【図2】LED電球1の構造を模式的に示す正面透視図
【図3】LEDドライバモジュール10の第1構成例を示す回路図
【図4】第1構成例の出力電流波形を示すタイムチャート
【図5】LEDドライバモジュール10の第2構成例を示す回路図
【図6】第2構成例の出力電流波形を示すタイムチャート
【図7】プリント回路基板PCB1の表面図
【図8A】プリント回路基板PCB1の裏面図(単純近接型)
【図8B】プリント回路基板PCB1の裏面図(櫛歯型)
【図9A】ワイヤWのスルーホール実装例を示す模式図(単純近接型)
【図9B】ワイヤWのスルーホール実装例を示す模式図(櫛歯型)
【発明を実施するための形態】
【0021】
<全体構成>
図1はLED電球1の一構成例を示すブロック図である。本構成例のLED電球1は、LEDドライバモジュール10と、LEDモジュール20と、を有する。
【0022】
LEDモジュール20は、昼光色(色温度5000K程度)や電球色(色温度3000K程度)の光を発するLED電球1の光源であり、直列ないしは並列に接続された複数のLED素子を含む。
【0023】
LEDドライバモジュール10は、商用交流電源2から入力される交流電圧(例えばAC100V±10%)を直流のLED駆動電圧(例えばDC32V)に変換してLEDモジュール20に供給する。LEDドライバモジュール10は、入力端子LP1及びLP2と、保護部11と、整流部12と、フィルタ部13と、DC/DC変換部14と、出力平滑部15と、出力端子LP3及びLP4と、をプリント回路基板上に有する。
【0024】
入力端子LP1は、商用交流電源2のライブ端子(L)が接続されるビア(メッキ穴)である。入力端子LP2は、商用交流電源2のニュートラル端子(N)が接続されるビア(メッキ穴)である。
【0025】
保護部11は、入力端子LP1及びLP2に接続されて過電流や過電圧から後段の回路部を保護する。
【0026】
整流部12は、入力端子LP1及びLP2から保護部11を介して入力される交流電圧を整流する。
【0027】
フィルタ部13は、整流部12の出力からノイズ成分を除去する。
【0028】
DC/DC変換部14は、フィルタ部13の出力を降圧することによって所望の直流電圧を生成する。その際、DC/DC変換部14は、LEDモジュール20に流れる出力電流を一定値(例えば120mA)に維持する定電流制御を行う。
【0029】
出力平滑部15は、DC/DC変換部14の出力を平滑して先述のLED駆動電圧を生成する。
【0030】
出力端子LP3は、LEDモジュール20のアノード端子(A)が接続されるビア(メッキ穴)である。出力端子LP4は、LEDモジュール20のカソード端子(C)が接続されるビア(メッキ穴)である。
【0031】
図2は、LED電球1の構造を模式的に示す正面透視図である。図2で示したように、LED電球1は、LEDドライバモジュール10と、LEDドライバモジュール10から直流のLED駆動電圧が供給されるLEDモジュール20と、LEDドライバモジュール10及びLEDモジュール20が搭載されるケース30と、LEDモジュール20を覆う透光性カバー40と、を有する。なお、LED電球1としては、例えば、E17形のクリプトン球やハロゲン球を代替することが可能な小型のLED電球を挙げることができる。
【0032】
<LEDドライバモジュール>
[第1構成例]
図3は、LEDドライバモジュール10の第1構成例を示す回路図である。第1構成例のLEDドライバモジュール10は、npn型バイポーラトランジスタQ1及びQ2と、抵抗R1〜R5と、コンデンサC1〜C5と、ダイオードD1及びD2と、トランスTR1(コイルL1及びL2)と、ダイオードブリッジDB1と、フューズF1と、バリスタVR1と、を有する。
【0033】
フューズF1の第1端は、入力端子LP1に接続されている。ヒューズF1の第2端はバリスタVR1の第1端に接続されている。バリスタVR1の第2端は、入力端子LP2に接続されている。フューズF1及びバリスタVR1は、保護部11を形成する。
【0034】
ダイオードブリッジDB1の第1入力端は、ヒューズF1の第2端に接続されている。ダイオードブリッジDB1の第2入力端は、入力端子LP2に接続されている。ダイオードブリッジDB1は、整流部12を形成する。
【0035】
コンデンサC1の第1端はダイオードブリッジDB1の第1出力端に接続されている。コンデンサC1の第2端は、出力端子LP4に接続されている。抵抗R1の第1端は、ダイオードブリッジDB1の第2出力端に接続されている。抵抗R1の第2端は、出力端子LP4に接続されている。コンデンサC1及び抵抗R4は、フィルタ部13を形成する。
【0036】
トランジスタQ1のコレクタは、ダイオードブリッジDB1の第1出力端と抵抗R2の第1端に接続されている。トランジスタQ1のエミッタは、抵抗R4の第1端とダイオードD1のアノードに接続されている。トランジスタQ1のベースは、トランジスタQ2のコレクタ、抵抗R2の第2端、及び、コンデンサC2の第1端に接続されている。トランジスタQ2のベースは、ダイオードD1のカソードとコンデンサC3の第1端に接続されている。トランジスタQ2のエミッタは、抵抗R4の第2端とコンデンサC3の第2端に接続されている。コンデンサC2の第2端は、抵抗R3の第1端に接続されている。抵抗R3の第2端は、コイルL2の第1端に接続されている。コイルL2の第2端は、コイルL1の第1端、抵抗R4の第2端、及び、ダイオードD2のカソードに接続されている。コイルL1の第2端は、出力端子LP3に接続されている。ダイオードD2のアノードは出力端子LP4に接続されている。トランジスタQ1及びQ2、抵抗R2〜R4、コンデンサC2及びC3、並びに、トランスTR1(コイルL1及びL2)は、DC/DC変換部14を形成する。
【0037】
コンデンサC4の第1端と抵抗R5の第1端は、出力端子LP3に接続されている。コンデンサC4の第2端は、コンデンサC5の第1端に接続されている。コンデンサC5の第2端と抵抗R5の第2端は、出力端子LP4に接続されている。コンデンサC4及びC5と抵抗R5は、出力平滑部15を形成する。特に、コンデンサC4及びC5は、出力平滑コンデンサとして機能する。また、抵抗R5は、LED電球1と商用交流電源2との間にホタルスイッチ(LED電球1の点消灯を切り替える手段として壁面等に設けられ、LED電球1の消灯時に点灯し、LED電球1の点灯時に消灯する小型の発光部を備えたスイッチ)が接続されている場合において、ホタルスイッチの点灯時(LED電球1の消灯時)に流れる微弱な出力電流をLEDモジュール20に流さないためのバイパス経路として機能する。
【0038】
また、LEDドライバモジュール10は、テスト時にプローブを当接するためのパッドPD1〜PD14を有する。パッドPD1は、入力端子LP1に接続されている。パッドPD2は、入力端子LP2に接続されている。パッドPD3は、ダイオードブリッジDB1の第1入力端に接続されている。パッドPD4は、ダイオードブリッジDB1の第1出力端に接続されている。パッドPD5は、トランジスタQ1のベースに接続されている。パッドPD6は、コンデンサC2の第2端に接続されている。パッドPD7は、トランジスタQ1のエミッタに接続されている。パッドPD8は、トランジスタQ2のベースに接続されている。パッドPD9は、トランジスタQ2のエミッタに接続されている。パッドPD10は、出力端子LP4に接続されている。パッドPD11は、コイルL2の第1端に接続されている。パッドPD12は、ダイオードブリッジDB1の第2出力端に接続されている。パッドPD13は、コンデンサC4の第2端に接続されている。パッドDP14は、出力端子LP3に接続されている。
【0039】
次に、上記構成から成るDC/DC変換部14の動作について説明する。ダイオードブリッジDB1から抵抗R1を介してトランジスタQ1のベースに電流が流れると、トランジスタQ1がオンとなり、抵抗R4及びコイルL1を介して出力端子LP3に向けた出力電流が流れる。コイルL1に出力電流が流れると、コイルL1と電磁結合されたコイルL2に起電力が誘起されて、トランジスタQ1のベース電流が引き抜かれる。その結果、トランジスタQ1がオフとなる。このとき、コイルL1には、それまで流れていた出力電流を維持するように起電力が働くので、ダイオードD6を介して出力端子LP4から出力端子LP3に出力電流が還流される。以後も、所定の周波数(10〜100kHz)で上記の動作が繰り返される。このような動作により、DC/DC変換部14では、別途のクロック信号を要することなく、自励式の降圧動作が実現されている。
【0040】
また、抵抗R4に流れる出力電流が大きくなり、抵抗R4の両端電圧がトランジスタQ2のオンスレッショルド電圧を上回ると、トランジスタQ2がオンとなり、トランジスタQ1のベースに流れていた電流がトランジスタQ2を介する経路で引き抜かれる。その結果、トランジスタQ1がオフとなり、抵抗R4に流れていた出力電流が遮断される。このような動作により、DC/DC変換部14では、LEDモジュール20に流れる出力電流を一定値(例えば120mA)に維持する定電流制御が実現されている。
【0041】
このように、第1構成例のLEDドライバモジュール10であれば、僅かな素子数で、商用交流電源2から入力される交流電圧を直流のLED駆動電圧に変換してLEDモジュール20に供給することができる。
【0042】
ところで、LED電球1の安全性を高めるために、第1構成例のLEDドライバモジュール10では、交流電圧のピーク値(141V)が降圧されることなく出力平滑部15に印加され得る状態(例えば、LEDドライバモジュール10にLEDモジュール20が接続されていない負荷オープン状態)を想定して、出力平滑部15を形成する素子の耐圧を高めておく必要がある。
【0043】
具体的な構成として、第1構成例のLEDドライバモジュール10では、出力端子LP3と出力端子LP4との間に、100V耐圧のコンデンサC4及びC5を2段直列に接続することにより、出力平滑部15全体として200V耐圧が実現されている。
【0044】
しかしながら、高耐圧のコンデンサC4及びC5は、大容量化と小型化を両立させることが難しく、小面積のプリント回路基板上における占有可能面積を鑑みると、コンデンサC4及びC5としては、いずれも小容量(1.0μF程度)の素子を用いざるを得ない。その結果、第1構成例のLEDドライバモジュール10では、出力平滑部15の平滑能力(静電容量)を十分に高めることができないという課題があった。
【0045】
図4は、第1構成例の出力電流波形を示すタイムチャートである。本図で示したように第1構成例のLEDドライバモジュール10では、DC/DC変換部14の定電流制御に起因して10〜100kHzの周波数で出力電流に微小なリップル成分が重畳するほか、整流部12の全波整流動作に起因して100〜120Hzの周波数で出力電流に大きなドロップが生じる。特に、500Hz未満の周波数で出力電流が目標値の5%以下まで周期的に低下する状態が続くと、LED電球1のチラつきとして使用者に知覚されてしまう。
【0046】
なお、出力電流のドロップを解消するためには、出力平滑部15の平滑能力を高めるほか、バレイフィル(valley-fill)回路や昇圧回路を追加することも考えられるが、いずれも回路規模の不要な増大を招くので、小型のLED電球1に組み込まれるLEDドライバモジュール10への採用は困難である。
【0047】
[第2構成例]
図5は、LEDドライバモジュール10の第2構成例を示す回路図である。第2構成例のLEDドライバモジュール10は、第1構成例とほぼ同様の構成であり、先述の課題を克服するために出力平滑部15の構成に工夫が凝らされている。そこで、第1構成例と同様の構成要素については、図3と同一の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、第2構成例の特徴部分についてのみ重点的な説明を行う。
【0048】
第2構成例のLEDドライバモジュール10において、出力平滑部15は、DC/DC変換部14の出力端(コイルL1の第2端)と出力端子LP3との間を電気的に接続する配線Xと、出力端子LP3の近傍で配線Xと近接するように敷設された配線Yと、配線Yと出力端子LP4との間に並列に接続されたコンデンサC6及びC7と、コンデンサC6及びC7と並列に接続された抵抗R6と、を含む。
【0049】
なお、配線Yは、出力端子LP3にLEDモジュール20のアノード端子が接続されていないときには電位的に浮いた状態(フローティング状態)とされており、出力端子LP3にLEDモジュール20のアノード端子が接続されたときに、配線X(延いては出力端子LP3)と導通される。
【0050】
すなわち、出力平滑部15は、出力端子LP3にLEDモジュール20のアノード端子が接続されていないときには出力端子LP3と絶縁されており、出力端子LP3にLEDモジュール20のアノード端子が接続されたときに出力端子LP3と電気的に接続される構成とされている。
【0051】
このような構成とすることにより、LEDドライバモジュール10の負荷オープン時にはコンデンサC6及びC7に何ら電圧が印加されない状態となる。従って、第1構成例よりも低耐圧(例えば耐圧50V)で大容量(例えば4.7μF)のコンデンサC6及びC7を2つ並列に接続することにより、出力平滑部15全体の平滑能力(静電容量)を高めることができるので、回路規模やコストの不要な増大を招くことなく、整流部12の全波整流動作に起因する出力電流のドロップを抑制することが可能となる(図6を参照)。
【0052】
なお、LEDドライバモジュール10にLEDモジュール20が接続されているときには、出力端子LP3に最高でも32Vまでしか印加されないので、出力平滑部15の耐圧不足が生じることはない。
【0053】
図7は、LEDドライバモジュール10を形成するプリント回路基板PCB1の表面図であり、図8A及び図8Bは、それぞれ、プリント回路基板PCB1の裏面図(単純近接型及び櫛歯型)である。各図中のハッチング部分はプリント配線を示しており、破線部分はプリント回路基板PCB1上に搭載される素子を示している。なお、プリント回路基板PCB1の表面と裏面に各々敷設されたプリント配線は、プリント回路基板PCB1を貫通するビア(メッキ穴)を介して必要な個所で互いに導通されている。プリント回路基板PCB1は、小型(例えばE17形)のLED電球1に収容可能なサイズ(例えば、幅14.8mm×高さ29.0mm×厚さ7mm未満)に設計されている。
【0054】
配線Xと配線Yは、図8Aで示したように、出力端子LP3の近傍で単純に近接するように敷設してもよいし、或いは、図8Bで示したように、互いの櫛歯が交互に噛み合う形状にパターニングしてもよい。
【0055】
入力端子LP1及びLP2、並びに、出力端子LP3及びLP4は、いずれもビア(メッキ穴)であり、それぞれにワイヤWがスルーホール実装される。
【0056】
図9A及び図9Bは、それぞれ、出力端子LP3に対するワイヤW(負荷接続用配線の一例)のスルーホール実装例を示す模式図(単純近接型及び櫛歯型)である。出力端子LP3にLEDモジュール20のアノード端子を接続する際には、プリント回路基板PCB1の表面側から出力端子LP3を介して裏面側に貫通する形でワイヤWのリード部分が挿入され、そのリード部分が半田Zで配線X及びYと電気的に接続される。配線Xと配線Yは、互いに近接して敷設されているので、一度の半田付けによってワイヤWのリード部分と配線X及びYとの導通を確立することが可能であり、作業工程が増えることはない。
【0057】
具体例の一つとして、図9Aでは、配線Xと配線Yが所定の間隔(半田Zが付着される領域よりも狭い)を空けつつワイヤWの伸びるa軸方向(紙面上下方向)に沿って敷設されている。
【0058】
また、図9Bでは、b軸方向(紙面左右方向)に沿って各々の櫛歯が並ぶ配線X及びYに対してa軸方向(紙面上下方向)に延びるワイヤWが交差するように接続されている。すなわち、図9Bでは、a軸方向に延びるワイヤWとb軸方向に延びる配線X及びYの櫛歯とが互いに交差(直交)している。なお、配線X及びYを櫛歯状にパターニングすることなく、配線X及びY自体をワイヤWの伸びるa軸方向に交差して敷設しても構わない。
【0059】
また、プリント回路基板PCB1の表面は、少なくとも半田付け領域(例えば図9A及び図9Bの破線Zで描写された領域)を除いて、プリント配線の腐食や汚染などを防止するための保護層によって被覆されている。
【0060】
また、半田Zは、出力端子LP3にワイヤWを固着するための導電部材の一例であり、作業工程によっては他の導電部材(銀ペーストなど)を用いることも可能である。
【0061】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、LED電球の実用化に際して利用することが可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 LED電球
2 商用交流電源
10 LEDドライバモジュール
11 保護部
12 整流部
13 フィルタ部
14 DC/DC変換部
15 出力平滑部
20 LEDモジュール
30 ケース
40 透光カバー
LP1、LP2 入力端子
LP3、LP4 出力端子
Q1、Q2 npn型バイポーラトランジスタ
R1〜R6 抵抗
C1〜C7 コンデンサ
D1、D2 ダイオード
TR1 トランス
L1、L2 コイル
DB1 ダイオードブリッジ
F1 フューズ
VR1 バリスタ
PD1〜PD15 パッド
PCB1 プリント回路基板
X、Y 配線
Z 半田(導電部材)
W ワイヤ(負荷接続用配線)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交流電源が接続される入力端子と、
前記入力端子に接続されて後段の回路部を保護する保護部と、
前記入力端子から前記保護部を介して入力される交流電圧を整流する整流部と、
前記整流部の出力からノイズ成分を除去するフィルタ部と、
前記フィルタ部の出力から所望の直流電圧を生成するDC/DC変換部と、
前記DC/DC変換部の出力を平滑してLED駆動電圧を生成する出力平滑部と、
負荷であるLEDモジュールが接続される出力端子と、
を有し、
前記出力平滑部は、前記出力端子に前記LEDモジュールが接続されていないときには前記出力端子と絶縁されており、前記出力端子に前記LEDモジュールが接続されたときに前記出力端子と電気的に接続されることを特徴とするLEDドライバモジュール。
【請求項2】
前記出力平滑部は、
前記DC/DC変換部の出力端と前記出力端子との間を電気的に接続する第1配線と、
前記出力端子の近傍で前記第1配線と近接するように敷設された第2配線と、
前記第2配線に接続された出力平滑コンデンサと、
を含むことを特徴とする請求項1に記載のLEDドライバモジュール。
【請求項3】
前記第1配線と前記第2配線は、前記出力端子に負荷接続用配線を固着するための導電部材を介して互いに電気的に接続されることを特徴とする請求項2に記載のLEDドライバモジュール。
【請求項4】
前記第1配線と前記第2配線は、所定の間隔を空けつつ前記負荷接続用配線の延伸方向に沿って敷設されていることを特徴とする請求項3に記載のLEDドライバモジュール。
【請求項5】
前記間隔は、前記導電部材が付着される領域よりも狭いことを特徴とする請求項4に記載のLEDドライバモジュール。
【請求項6】
前記第1配線と前記第2配線は、前記負荷接続用配線の延伸方向に交差して敷設されていることを特徴とする請求項3に記載のLEDドライバモジュール。
【請求項7】
前記第1配線と前記第2配線は、互いの櫛歯が交互に噛み合う形状にパターニングされていることを特徴とする請求項6に記載のLEDドライバモジュール。
【請求項8】
第1軸方向に延びる前記負荷接続用配線は、第2軸方向に沿って各々の櫛歯が並ぶ前記第1配線及び前記第2配線に対して交差するように接続されていることを特徴とする請求項7に記載のLEDドライバモジュール。
【請求項9】
前記出力端子は、プリント回路基板を貫通するビアであり、前記負荷接続用配線は、前記プリント回路基板の第1面側から前記出力端子を介して前記プリント回路基板の第2面側に貫通する形で挿入され、前記プリント回路基板の第2面側に敷設された前記第1配線及び前記第2配線と前記導電部材を介して電気的に接続されることを特徴とする請求項3〜請求項8のいずれか一項に記載のLEDドライバモジュール。
【請求項10】
前記プリント回路基板は、少なくとも前記導電部材が付着される領域を除いて保護層により被覆されていることを特徴とする請求項9に記載のLEDドライバモジュール。
【請求項11】
前記出力平滑部は、前記出力平滑コンデンサと並列に接続された抵抗を含むことを特徴とする請求項2〜請求項10のいずれか一項に記載のLEDドライバモジュール。
【請求項12】
請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載のLEDドライバモジュールと、
前記LEDドライバモジュールからLED駆動電圧が供給されるLEDモジュールと、
前記LEDドライバモジュール及び前記LEDモジュールが搭載されるケースと、
前記LEDモジュールを覆う透光性カバーと、
を有することを特徴とするLED電球。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【公開番号】特開2013−114826(P2013−114826A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258419(P2011−258419)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】