LEDランプにおける遠心分離力を用いる蛍光体の分配
【課題】本発明は、発光ダイオードおよび該ダイオードからの一次放射光を吸収し変更するために蛍光体が用いられるダイオードランプを提供する。
【解決手段】未硬化の硬化性液体樹脂と蛍光体とを混合するステップと、該未硬化樹脂をLEDチップ上に分注するステップと、該チップと該混合物とを遠心分離し、該蛍光体粒子を該未硬化樹脂内の該LEDチップに対して所望の位置に位置決めするステップとを包含する、LEDランプを製造する方法。該方法は、前記蛍光体粒子が前記所望の位置に留まっている間に、前記樹脂を硬化させるステップをさらに包含し得る。前記チップと前記混合物とを遠心分離するステップは、該チップと該混合物とを遠心分離機内で遠心分離するステップを含み得る。
【解決手段】未硬化の硬化性液体樹脂と蛍光体とを混合するステップと、該未硬化樹脂をLEDチップ上に分注するステップと、該チップと該混合物とを遠心分離し、該蛍光体粒子を該未硬化樹脂内の該LEDチップに対して所望の位置に位置決めするステップとを包含する、LEDランプを製造する方法。該方法は、前記蛍光体粒子が前記所望の位置に留まっている間に、前記樹脂を硬化させるステップをさらに包含し得る。前記チップと前記混合物とを遠心分離するステップは、該チップと該混合物とを遠心分離機内で遠心分離するステップを含み得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードからの一次放射光を吸収し変更するために蛍光体が用いられる、発光ダイオードおよびダイオードランプに関する。特に、本発明は、蛍光体を含む封止材パッケージとともに用いられる、電磁スペクトルの青色、紫色、および紫外(UV)部分を放射する発光ダイオードに関する。該蛍光体は、ダイオードから放射される光の周波数を強い黄色成分を有する光に下方周波数変換(down−convert)して、混合された白色光の出力を産生する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、適切な半導体材料における電子と正孔との再結合現象を促進することにより、印加された電流を光に変換するフォトニック半導体デバイスの一種である。次いで、この再結合現象において放射された一部または全てのエネルギは、光子を産生する。
【0003】
発光ダイオードは、その他の半導体デバイスの多くの有利な特性を共有する。これらの特性は、概して、ロバストな物理特性、長寿命、高信頼性を含んでおり、特定の材料によっては低コストである。
【0004】
当該産業分野において一般的で周知である多くの用語が、本明細書中に用いられる。しかしながら、これらの用語は、当該産業分野において用いられる場合、その意味において、しばしば非公式に混合される。したがって、これらの用語は、本明細書中で可能な限り正確に用いられるが、それぞれの場合において、用語の意味は、文脈において明確にされる。
【0005】
したがって、用語「ダイオード」または「チップ」は一般に、逆の導電型の2つの半導体部分(p型およびn型)を最小限含み、さらにある形態のオーム性接触を含んでおり、もたらされるp−n接合にそれらのオーム性接触を介して電流が印加される構造を示す。
【0006】
用語「ランプ」は、適切な電気的接触および潜在的にレンズと組み合わされて、個別デバイスを形成する発光ダイオードを示すために用いられ、該個別デバイスは、電気回路または照明器具あるいはその両方に付加されるか、または含まれ得る。
【0007】
本明細書中で用いられる用語「パッケージ」は、一般に、ダイオードに一定の物理的保護を提供して光出力を光学的に方向付けし得るレンズに加えて、半導体チップを適切な物理的および電気的構造(しばしば、これを介して電流が印加される金属の小片のような単純なもの)上に配置することを示す。レンズは、しばしば透明なポリマーで形成され、この同一のポリマーがダイオードの封止材を形成する場合がある。本発明において、パッケージは、その内にダイオードが置かれる、しばしば金属またはポリマーで形成される反射性構造を含んでいる。一般に、レンズおよび電気的接触を付加すると、ランプが形成される。
【0008】
発光ダイオードおよびダイオードランプの構造および動作に関する適切な参考文献には、非特許文献1および非特許文献2を含む。
【0009】
LEDから放射される色は、主としてLEDが形成される材料によって規定される。ヒ化ガリウム(GaAs)およびリン化ガリウム(Gap)で形成されるダイオードは、可視スペクトルのより低いエネルギ部分(赤色および黄色)で光子を放射する傾向にある。炭化ケイ素(SiC)およびIII族窒化物(例えば、AlGaN、InGaN、AlInGaN)等の材料は、より大きなバンドギャップを有し、したがって可視スペクトルの緑色、青色、紫色部分ならびに電磁スペクトルの紫外部に現れる、より大きなエネルギを有する光子を生成し得る。特に、III族窒化物は、直接遷移の(direct)バンドギャップを有し、したがってSiC等の間接遷移の(indirect)バンドギャップ半導体よりも、より効率的に光を生成し得る。
【0010】
本願において、用語「白色光」は、一般的な意味で用いられる。色の生成および人間の目による色知覚に精通する者であれば、周波数の特定の混合が、正確な意味において「白色」と規定され得ることを認識するであろう。本明細書中に記載されるいくつかのダイオードは、こうした正確な出力を産生し得るが、用語「白色」は、本明細書中でややより広義に用いられ、異なる個人および検出器が、例えば、黄色または青色にわずかに色づいていると知覚する光を含む。
【0011】
青色LEDの利用可能性が飛躍的に増大したことにより、青色の光子を下方周波数変換する黄色発光蛍光体の使用も同様に増加してきた。特に、ダイオードから放射される青色光および蛍光体から放射される黄色光は、白色光を生成し得る。次いで、固態光源(solid−state source)からの白色光の有用性は、これら固態光源を多くの用途、とりわけ照明およびカラーディスプレイの照明(しばしばバックライト)を含む用途に組み込む能力を提供する。そのようなデバイス(例えば、平型のコンピュータ画面、携帯端末(PDA)およびセル式電話)において、青色LEDおよび黄色蛍光体は白色光を産生し、この白色光は次いで、色ピクセルを照明するためになんらかの様態で分配される。そのような色ピクセルは、しばしば液晶要素、色フィルタおよび偏光子によって形成され、バックライトを含むユニット全体は、概して液晶ディスプレイ(「LCD」)と呼ばれる。
【0012】
代表的な蛍光体には、セリウムをドープしたYAG(イットリウムアルミニウムガーネット)等の鉱物を含む。そのような蛍光体は、一般に小粒子として製造されることから、蛍光体は、小粒子としてダイオードチップ上または近傍に物理的に分散されなければならない。同様に、封止材は、一般にポリマー樹脂であることから、一般に液体の初期形状をとり、ある時点で所望の形状(例えば、レンズ用)に鋳造すなわち成形され、次いで固体形状に硬化されなければならない。
【0013】
したがって、蛍光体をチップに対して位置決めするいくつかの基本的な組み合わせが存在する。まず、蛍光体は、チップ上に広げられ、その後、封止材が液体として加えられ、次いで硬化することが可能とされ得る。これは、概念的に興味を引くものであるが、常に封止材を加える前に、チップを正確に覆うように鉱物蛍光体を加えることは、困難なプロセスである。結果として、その相対的な複雑性は、全体的は生産速度を低下させ、同時に全体的なコストを増加させ得る。
【0014】
理論的に、チップが封止され、次いで樹脂の外側に樹脂コーティングが加えられ得るが、多くの場合、これは所望されない光学的結果をもたらし、封止材が蛍光体を保護することをも阻むことがある。
【0015】
蛍光体を組み込むための多くの従来技術は、蛍光体を樹脂と混合し、次いで樹脂と蛍光体の混合物をチップに適用する。樹脂は次いで、その内に分散された蛍光体とともに硬化することが可能となる。
【0016】
この技術は、いくつかの難題を提示する。まず、蛍光体の量が、チップ(例えば、青色発光)と蛍光体の完全に飽和度に達した色(例えば、黄色)との間の色度点(color point)を制御する。青色チップ、黄色蛍光体の組み合わせに対して、一貫した白色の色相の産生のために必要とされるバランスは、封止材内で用いられる蛍光体と、チップ上およびその周辺に分注(dispense)される蛍光体および封止材(樹脂)の量とを制御することによって達成される。
【0017】
さらに困難な問題として、封止材内におけるダイオードチップに対する蛍光体の配置は、ランプの外部出力の明るさまたは色の均一性に影響を及ぼすことがある。蛍光体の所望されない配置が、外部出力の所望されないパターンを産生し、その出力は、種々の色合いの白の間で空間的に変化する。
【0018】
概して、蛍光体を可能な限りチップに近づけて位置決めすることは、最も望ましい出力を産生する。
【0019】
これらおよびその他の要因により、樹脂と封止材と蛍光体との混合物は、それ自体が適切なサイズであり、チップおよび硬化した封止材に対して適切な幾何学的関係にある、適切な量の蛍光体粒子を含まなければならない。しかしながら、未硬化樹脂は液体であるため、その粘度は蛍光体が混合する様態に影響を与える。樹脂の粘度が低すぎる場合、蛍光体粒子はパッケージ内に分注される前に封止材内で着定してしまい、これはもたらされる色出力に所望されない変動を引き起こす。あるいは、樹脂の粘度が高すぎると、蛍光体粒子は封止材内で懸濁したままとなり、チップの近傍に着定することができない。
【0020】
こうした困難に対処するために、ほとんどの従来技術は、重力の影響下において、蛍光体が封止材内に着定し得る範囲内に、未硬化樹脂の粘度を維持することを試みる。これは、蛍光体が着定する間の好ましい粘度を維持するための温度の制御とともに、樹脂が硬化する時間の長さ(「作業時間」)の制御を必要とする(蛍光体は、樹脂が硬化する前に所望された位置に到達しなければならない)。例えば、室温(25°C)において、代表的な2液型シリコン樹脂(例えば、Dow CorningからのSR−7010)は、150°Cにおいて通常約1分で硬化し、粘度は、室温において約3時間で(各液のそれぞれの開始点、約20000ミリパスカルおよび約7000ミリパスカルから)2倍となる。
【0021】
極端な例示として、蛍光体粒子のサイズが極めて細かく、樹脂の粘度が非常に高い場合、蛍光体は、所望された様態において着定も堆積もせず、懸濁したままとなる傾向がある。あるいは、粒子が大きすぎ、樹脂の粘度が低すぎる場合、蛍光体は、ランプのパッケージ内に分注され得る前に簡単に樹脂の底に沈む。これらおよびその他の要因に基づいて、樹脂、蛍光体および他の変数の選択は、しばしば妥協されることになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Sze、「PHYSICS OF SEMICONDUCTOR DEVICES」、第2版、(1981年)
【非特許文献2】Schubert、「LIGHT−EMITTING DIODES」、Cambridge University Press、(2003年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
したがって、蛍光体と樹脂の混合物によって提示される困難および複雑性は、ダイオードパッケージ技術の効率およびコストにおいて、対応する困難を作り出して提示する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
(概要)
一局面において、本発明は、未硬化の硬化性液体樹脂と蛍光体とを混合するステップと、該未硬化の混合物をLEDチップ上に分注するステップと、該チップおよび該混合物を遠心分離し、蛍光体粒子を未硬化樹脂内に着定または堆積させるステップと、蛍光体粒子が所望の位置またはその近傍で分散状態に留まっている間に、樹脂を硬化させるステップとを包含する、LEDランプを製造する方法である。
【0025】
別の局面において、本発明は、発光ダイオードランプを製造する装置である。該装置は、少なくとも1つのアーム、アームの外端に隣接して位置決めされるカップ、カップ内のLEDチップ、および複数の蛍光体粒子を有する未硬化の硬化性レジデント(resident)のカップ内の混合物を有する遠心分離機を含む。
【0026】
また別の局面において、本発明は、未硬化のポリシロキサン樹脂と、可視スペクトルの青色部分からの周波数によって励起される場合に、主にスペクトルの黄色部分で放射する蛍光体とを混合するステップと、該未硬化の混合物と、III族窒化物材料系から形成され、可視スペクトルの青色部分においてリフレクタカップ内に放射するLEDチップとを配置するステップと、リフレクタと該混合物とを遠心分離して、蛍光体粒子を未硬化のポリシロキサン樹脂内に着定または堆積させるステップと、蛍光体粒子が所望の位置またはその近傍で分散状態に留まっている間に、樹脂を硬化させるステップとを包含する、LEDランプを製造する方法である。
【0027】
したがって、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
未硬化の硬化性液体樹脂と蛍光体とを混合するステップと、
該未硬化樹脂をLEDチップ上に分注するステップと、
該チップと該混合物とを遠心分離し、該蛍光体粒子を該未硬化樹脂内の該LEDチップに対して所望の位置に位置決めするステップと
を包含する、LEDランプを製造する方法。
(項目2)
上記蛍光体粒子が上記所望の位置に留まっている間に、上記樹脂を硬化させるステップをさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記チップと上記混合物とを遠心分離する上記ステップは、該チップと該混合物とを遠心分離機内で遠心分離するステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
上記樹脂を、可視スペクトルの青色部分の周波数を可視スペクトルの黄色部分の周波数に下方周波数変換する蛍光体と混合するステップを包含する、項目1に記載の方法。
(項目5)
上記樹脂を、可視スペクトルの緑色部分および赤色部分で放射する蛍光体の群から選択される蛍光体と混合するステップを包含する、項目1に記載の方法。
(項目6)
上記樹脂を、可視スペクトルの異なる部分で放射する蛍光体の混合物と混合するステップを包含する、項目1に記載の方法。
(項目7)
上記樹脂を、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)蛍光体と混合するステップを包含する、項目1に記載の方法。
(項目8)
上記可視スペクトルの青色部分で放射するLEDチップを、上記混合した樹脂および蛍光体とともにカップ内に配置するステップを包含する、項目1に記載の方法。
(項目9)
ポリシロキサン樹脂を、上記蛍光体と混合するステップを包含する、項目1に記載の方法。
(項目10)
上記遠心分離するステップの後に、上記ランプにレンズを付加するステップを包含する、項目1に記載の方法。
(項目11)
遠心分離機内に上記カップを配置するステップと、
その後、上記チップを該カップ内に配置するステップと、
その後、上記混合物を該チップとともに該カップ内に配置するステップと、
その後、該カップおよびその内容物を遠心分離して、上記蛍光体を分配するステップと
を包含する、項目1に記載の方法。
(項目12)
上記チップを上記カップ内に配置するステップと、
その後、該カップを遠心分離機内に配置するステップと、
その後、上記混合物を該カップ内に配置するステップと、
その後、該カップおよびその内容物を遠心分離して、上記蛍光体を分配するステップと
を包含する、項目1に記載の方法。
(項目13)
上記未硬化樹脂を、III族窒化物材料系から選択される能動部分を有するLEDチップ上に分注するステップを包含する、項目1に記載の方法。
(項目14)
発光ダイオードランプを製造するための装置であって、該装置は、
少なくとも1つのアームを有する遠心分離機と、
該アームの外端に隣接して位置決めされるカップと、
該カップ内のLEDチップと、
該カップ内の、複数の蛍光体粒子を有する未硬化の硬化性レジデントの混合物と
を備える、装置。
(項目15)
上記アームは、上記遠心分離機内で回転する、項目14に記載の装置。
(項目16)
未硬化のポリシロキサン樹脂と、可視スペクトルの青色部分からの周波数によって励起される場合に、主にスペクトルの黄色部分で放射する蛍光体とを混合するステップと、
該未硬化の混合物と、III族窒化物材料系から形成され該可視スペクトルの青色部分でリフレクタ内に放射するLEDチップとを配置するステップと、
該リフレクタと該混合物とを遠心分離して、該未硬化のポリシロキサン樹脂内の該LEDチップに隣接して該蛍光体粒子を配置するステップと、
該蛍光体粒子が該LEDチップに隣接して位置決めされたところに留まっている間に、該樹脂を硬化させるステップと
を包含する、項目1に記載の方法。
(項目17)
上記ポリシロキサン樹脂と上記蛍光体とを混合するステップであって、該蛍光体は、該樹脂の重量に基づいて約1パーセントと50パーセントとの間の量で存在する、ステップを包含する、項目16に記載の方法。
(項目18)
粒子あたり約0.001ミクロンと20ミクロンとの間の平均粒度で蛍光体粒子を混合するステップを包含する、項目16に記載の方法。
(項目19)
上記蛍光体粒子を、約10ミリパスカル秒と100,000ミリパスカル秒との間の開始粘度を有するポリシロキサン樹脂と混合するステップを包含する、項目16に記載の方法。
(項目20)
無機溶剤等の比較的揮発性の液体と混合され得る、蛍光体を混合するステップと、
LEDチップ上に該混合物を分注するステップと、
該混合物を遠心分離して、該蛍光体粒子を揮発性の液体内の該チップに隣接して配置するステップと、
該揮発性の液体を除去して、該蛍光体を該チップ上の適切な位置に配置するステップと
を包含する、LEDランプを製造する方法。
【0028】
(摘要)
LEDランプの製造方法を開示する。該方法は、未硬化の硬化性液体樹脂と蛍光体とを混合するステップと、未硬化樹脂をLEDチップ上に分注するステップと、チップと混合物とを遠心分離し、蛍光体粒子を未硬化樹脂内に分散させるステップと、蛍光体粒子が分散状態に留まっている間に、樹脂を硬化させるステップとを含む。
【0029】
本発明の、上述および他の目的および利点、ならびに同一のことが達成される方法は、添付の図面と合わせた下記の詳細な説明に基づいてより明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の方法を用いて製造されるタイプの発光ダイオードランプの斜視図である。
【図2】図2は、本発明に従う、別の発光ダイオードランプの断面図である。
【図3】図3は、本発明に従う、別のランプの概略図である。
【図4】図4は、本発明に従う、別のランプの別の断面概略図である。
【図5】図5は、本発明の方法において有用な遠心分離機の部分的平面図である。
【図6】図6は、封止材内における、ccx色度座標対蛍光体の割合のグラフである。
【図7】図7は、本発明に従う、48個のデバイスの出力の棒グラフである。
【図8】図8は、図7と同一のデバイスのCIE色度図からのx座標およびy座標のグラフである。
【図9】図9は、出力を得るために2つの蛍光体が混合される、CIE色度図からのx座標およびy座標のグラフである。
【図10】図10は、波長(ナノメータ)ならびにCIExおよびy色度座標で示される、CIE色度図の複製である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(詳細な説明)
本発明は、発光ダイオード(LED)ランプを製造する方法である。該方法は、未硬化の硬化性液体樹脂と蛍光体とを混合するステップと、該未硬化の混合物をLEDチップ上に分注するステップと、該チップと該混合物とを遠心分離して(または別様に遠心力を与えて)、未硬化樹脂内の蛍光体粒子を配置するステップと、次いで蛍光体粒子がダイオードの所望の表面上またはその近傍に位置決めされている間に、樹脂を硬化させるステップとを含む。
【0032】
本明細書中で用いられる語句「未硬化の硬化性液体樹脂」は、一般に、架橋結合していない(例えば、熱硬化性の樹脂)、または温度に基づいて固化していない(熱可塑性樹脂)ポリマー樹脂を示す。したがって、未硬化樹脂は、室温において液体であり、熱、あるいは時間または(ある場合においては)紫外線の影響下で架橋する場合がある。別の場合、未硬化樹脂は、高められた温度において液体であり、室温に近い温度で固化する。
【0033】
樹脂(しばしば「封止材」と呼ばれる)は、本発明の目的に適しており、LEDチップまたはランプの他の要素の動作を別様に干渉しない、任意の材料であり得る。用語「樹脂」は、広義で用いられ、本パッケージが形成され得る任意のポリマー、コポリマーまたは合成物を示す。これらの材料は、一般に当業者に周知されており、詳細に検討される必要はない。
【0034】
LEDチップがスペクトルのより高いエネルギ部分(例えば、青色、紫色、および紫外)で放射する場合に、封止材は、その周波数で放射される光子に対する反応がより低いか、または不活性でなければならない。したがって、ポリシロキサン(「シリコーン」)樹脂は、封止材に特に適している傾向がある。概して、用語、ポリシロキサンは、−(−Si−O−)n−(一般に、有機側鎖基)のバックボーン上に構成される任意のポリマーを示す。ポリシロキサン樹脂は、ポリカーボネートまたはポリエステル樹脂(特定の情況において、これらは両方とも許容され得る)等の別様に機能的に類似の材料の光安定性と比べて、比較的高い周波数の放射に対して、より優れた安定性を提供する。ポリシロキサン樹脂はまた、高い光学的透明度を有し、好適に弾性的であり、いくつかの別のポリマーに比べて温度サイクリング(cycling)の影響を受けない。ポリシロキサン樹脂は、界面損失を減少させ、ランプの外部出力を増強するために用いられ得る因子である、屈折率(1.40〜1.58)の範囲で調合され得る。ポリシロキサン樹脂の粘度は、約7000〜20,000ミリパスカル秒の間の範囲であり得、本発明は、10未満から100,000ミリパスカル秒までの粘度を有する樹脂(または他の液体)を用いて実施され得る。
【0035】
上述のように、用語、LEDチップは、所望の周波数を放射する基本的な半導体構造を示す。背景技術に記載したように、発光ダイオードの該構造および動作は、当業者によって周知されており、本明細書中で詳細に検討する必要はない。しかしながら、例示的な構造は、一般にIII族窒化物材料系から形成され、市販の例は、例えば、本発明の譲受人であるCree,Inc.のXLAMP(登録商標)XR−Eの名称にて入手可能である。境界は、ある程度任意であるが、青色光は、440〜470ナノメータの範囲に属する傾向があり、したがって青色発光のXLAMP(登録商標)XR−Eチップは一般に、約450ナノメータと465ナノメータとの間の主波長を有する。他の例示的なチップは、スペクトルの他の部分(例えば、赤色および緑色)で放射し、本発明はそれらにも適用可能である。
【0036】
蛍光体粒子は、所与のチップの放射を産生または増強し、特定の用途に適合するか、または該用途を強化するように選択される。多くの場合、蛍光体は、可視スペクトルの青色部分の周波数を、可視スペクトルの黄色部分の周波数へと下方周波数変換を行う材料から選択される。ここでまた、当業者は、蛍光体が、スペクトルの黄色部分に限って放射する必要はないけれども、黄色部分における主放射は、有用であるということを認識するであろう。なぜならダイオードチップからの青色光と、蛍光体からの黄色周波数との組み合わせが、所望の白色光を産生するからである。再び、境界は、ある程度任意であるが、黄色周波数は、概して550〜600ナノメータの範囲であり、570ナノメータが代表的である。他の実施形態において、赤色発光、緑色発光、およびある場合においては、さらに青色発光の蛍光体が付加されて、「より暖色系」の白色を産生するか、またはより高い演色評価数(CRI)を達成し得る。
【0037】
蛍光体の性質および量により、チップおよび蛍光体の組み合わせは、約5000Kと10,000Kとの間の色温度を有する「寒色系白色(cool white)」、または「無彩色白色(neutral white)」(3700〜5000K)、「暖色系白色(warm white)」(2600〜3700K)の光を産生し得る。用語「色温度」は、周知の意味において用いられ、理論上の「黒体」が熱せられて同一の視覚色を産生し得る温度を表す。
【0038】
本発明の目的に最も有用な蛍光体の1つは、一般にセリウムでドープされたイットリウムアルミニウムガーネット(「YAG」)である。黄色領域において放射する他のガーネット構造は、当該分野で周知である(例えば、米国特許第6,669,866号)。白色光はまた、赤色、青色、および緑色蛍光体との組み合わせで、スペクトルの近紫外部分で放射するLEDを用いて産生され得る。例えば、ユーロピウムでドープされた硫化ストロンチウムガリウム(SrGa2S4:Eu)は、スペクトルの緑色部分で放射するが、一方、セリウムでドープされた酸化ガドリニウムアルミニウム(Gd3Al5O12:Ce)は、約470ナノメータの周波数で励起され、スペクトルの橙色部分(約525〜620nm)で放射する。銅でドープされた硫化亜鉛もまた、スペクトルの緑色部分で放射する。ユーロピウムでドープされたニトリドシリケートは、スペクトルの黄色から赤色部分で放射し得る(例えば、米国特許第6,649,946号)。
【0039】
したがって、本明細書中で、本発明は、主として青色LED、黄色発光蛍光体および白色LEDランプに関して記載されているが、本発明は、本発明による蛍光体の位置決めによって強化される、あらゆるチップおよび蛍光体の組み合わせに適用されることが理解されよう。
【0040】
本発明の好適な実施形態において、蛍光体粒子のサイズは、過度の実験を伴わずに当業者によって選択され得るが、一般に粒子あたり約0.001ミクロン〜20ミクロンの範囲である。所望される場合、封止材はまた、散乱材料を含み得、その性質および機能は、当該分野において周知である。関連する説明は、同一人に譲渡された米国特許出願公開第20040012027号、パラグラフ101および102に説明されている。
【0041】
任意の所与の混合物に用いられる蛍光体の量は、所与のダイオードおよびその所望の出力に対して所望されるように、当業者によって選択され得る。一般に、蛍光体は、樹脂の重量に基づき、約1重量パーセントと50重量パーセントとの間の量で存在するが、より高いか、またはより低い割合も用いられ得る。
【0042】
遠心分離機法を利用するため、未硬化の樹脂混合物および蛍光体は、一般にカップ内に配置される。用語、カップは、本明細書中で、チップ、樹脂、および混合された蛍光体に適したサイズの任意の容器を説明するために広義で用いられる。多くの状況において、カップは、本願の図に示すように、もたらされるランプのリフレクタ部分である。広義において、カップ(または類似物)とは、蓋のない、ボウル型の器であり、発光ダイオード用のカップは、このような形状をとり得る。しかしながら、他の形状のリフレクタ(例えば、長方形の断面、または他の立体幾何学形状)はそれでも、本願の文脈におけるカップとして機能する。あるいは、最終のランプ構造においてリフレクタとしての役割を果たさないカップは、遠心分離のステップおよび硬化のステップの間、一時的に用いられ得、次いで廃棄されるか、または蛍光体の堆積のために用いられる固定具の一部とされ得る。
【0043】
樹脂の混合物および蛍光体がダイオードチップとともにカップ内に位置決めされる場合に、これらは、所望の量の遠心力を適用するように制御され得ると仮定すれば、任意の適切な遠心分離機デバイスに位置決めされ得る。ある場合においては、空のカップが遠心分離機内に配置され得、その後チップが付加され、その後混合物が加えられ得る。他の状況において、チップがカップ内に配置され、次いでこのカップが遠心分離機内に配置され得、その後混合物がカップ内に配置され得る。また他の状況において、チップおよび混合物は、カップが遠心分離機内に配置される前に、その全てがカップに付加され得る。いずれの場合でも、遠心分離機の速度(一般に、毎分回転数(rpm)で表される)および遠心分離の時間は、蛍光体粒子のサイズおよび密度、ならびに液体樹脂の粘度に基づいて、蛍光体の配置を制御するために用いられ得る。
【0044】
市販の遠心分離機は、本プロセスに完全に適している。例えば、生物学的懸濁を分離するために有用な遠心分離機は、本発明の目的に非常に適している。実施例は、実験室の技術分野における当業者に周知されており、この目的のために広範に用いられている、ALLEGRA(登録商標)X−12卓上遠心分離機を擁するBeckman Coulter等の企業から入手可能な多くのものを含む(Beckman Coulter,Inc.、4300 N.Harbor Boulevard、P.O.Box 3100、Fullerton、CA 92834−3100、米国)。この遠心分離機は、固定角度(fixed angle)型ロータ付きで10,200rpm、および図5に示すタイプの揺動バケツ(swinging bucket)型ロータ付きで3,750rpmの最大速度を有する。
【0045】
公式な詳説として、運動の法則に精通したものであれば、「遠心力」が、時に「擬似力」と呼ばれることを理解するであろう。なぜなら、回転する物体を回転の中心に対して定位置に保持しながら、向心力に対抗して円形経路を移動する物体の運動量の組み合わせを示すからである。同様に、名詞として用いられる場合、用語「遠心分離機」は、異なる密度の物質を分離することか、水分を除去することか、または重力の作用をシミュレートすることに対して遠心力を用いる機械を規定する。動詞として用いられる場合、用語「遠心分離する」は、液体から、または液体中の異なる層から固体を分離することか、あるいは重力の作用を別様にシミュレートし、増大するために遠心力を適用する行為を規定する。
【0046】
本発明は、蛍光体の位置決めおよび硬化の単一のステップに限定されない。別の実施形態において、蛍光体は、複数の表面上に堆積し得る。本実施形態において、蛍光体は、まず、遠心分離するステップを用いて第1の表面上に堆積し、次いで樹脂が硬化した後、本デバイスが回され、樹脂の付加的な分注か、または異なる混合物および蛍光体が分注され、遠心分離され、硬化され得る。
【0047】
同一の方法で、所望に応じて、本発明の遠心分離するステップは、他の従来の製造ステップとともに用いられ得る。したがって、樹脂および蛍光体の混合物の一部分は、遠心分離の利点なしにチップ上に位置決めされ得、遠心分離される間に硬化されることを可能とし、硬化するステップは、従来のステップの前または後に、別個に行われる。
【0048】
また別の、特に極めて小さいサイズの蛍光体粒子に有用な実施形態において、蛍光体は、有機溶剤(例えば、イソプロピルアルコールまたは水)等の、より揮発性の高い、粘性の低い液体と混合され得る。遠心分離するステップは、次いで有機溶剤内において蛍光体粒子をチップに隣接して位置決めするために用いられ得、その後、溶剤は、チップ上の定位置に蛍光体を残して蒸発することが可能とされる。封止材またはレンズは、次いで付加され得る。
【0049】
図1〜図4は、本発明によって作成され得るダイオードの例示である。図1は、10で広く示される、上述のCree XLAMP(登録商標)ダイオードに類似のLEDランプを斜視図で示す。ダイオード10は、LEDチップ11(図2〜図4)を含み、該LEDチップ11は、上述のように、可視スペクトルのより高いエネルギ部分か、または近紫外部分で放射し、一般にIII族窒化物材料系で形成される。チップ11は、図示される実施形態において、ランプ10のリフレクタとしての役割をも果たす、カップ12内に設置される。
【0050】
裸眼では個々の粒子として可視であるとは限らない蛍光体は、ランプ10のレンズ14の下の点線部分13によって、図1に概略的に図示される。図1に図示される蛍光体13の位置は、蛍光体13が遠心力の影響下で、回転の中心から最も遠い表面で着定することを考慮して、概略であると理解されたい。図示される実施形態において、蛍光体13は、チップ表面上またはパッケージのフロア(floor)に位置決めされる。
【0051】
リフレクタ12は、電気的接触16および17をも含む、取り付け基材15に固定される。
【0052】
図2は、30であきらかに示される、5ミリメーターの名称でしばしば販売される、弾丸型ランプの情況における本発明を例示する。ランプは、チップ11を含み、蛍光体粒子は、小さい丸13として図示される。概略的ではあるが、図2は、チップ13上の蛍光体およびリフレクタ32のフロア31上の所望の位置をより正確に示す。リフレクタ32は、ランプ30全体のための電極のうちの1つを形成し、ワイヤ33は、ダイオードチップ11を第2の電極34に接続する。リフレクタ32によって形成されるカップ内における封止材35の位置は、点線36によって示される。背景技術で記載したように、レンズ37の材料は、封止材35用の材料と同一であり得るか、またはランプ30の特定の目的または用途により、異なる材料であり得る。
【0053】
図3は、本発明によって形成されるダイオードランプ10の別の概略断面図である。図3は、カップ(リフレクタ)12部分を断面で図示する。遠心分離後の蛍光体の位置は、小さい丸13で示される。図3が図示するように、本方法は、適切なウェル20を満たす十分な樹脂および蛍光体を付加することを含み、該ウェル20は、ウォール21およびウォール22ならびにチップ11を保持するカップ12の部分のフロア23によって規定される。
【0054】
しかしながら、過分の樹脂は望ましくない。なぜならリフレクタの他の部分を、所望されない、潜在的に無駄な様態で満たすことになるからである。図3は、平面の上面24を有する樹脂を示す。この表面は、メニスカスを形成するように下方に硬化し得るが、あらゆる過分は溢出してしまうことから、注ぎ過ぎないように注意が必要である。蛍光体および樹脂の混合物を、部分的に満たすまで、または完全に満たすまで分注するが、いずれの場合においてもウェル20の容積を超えないようにすることは、樹脂および蛍光体の混合物が、遠心力を適用されたときに溢出するのを防ぐ。ダイオードが遠心分離された後、付加的な樹脂(または異なる樹脂、または予備成形)が加えられて、上面24の上に断面で図示されるレンズ14を形成し得る。
【0055】
レンズの形状は、ダイオードの最終用途に基づいて所望または必要とされるように選択されるか、または設計され得、パッケージまたはレンズを作成するために用いられる方法等のその他の要因によって影響される場合がある。
【0056】
図4は、25で広く示される側面型(side view)ダイオード(側面取り付け、サイドルッカー(sidelooker)、表面実装型デバイス(「SMD」))の概略断面図である。ダイオードチップは11で、蛍光体粒子は13で再び示される。本実施形態において、リフレクタパッケージ18は、しばしば白色ポリマーによって形成される。上面の方向から見た場合、パッケージ18は円形、長方形、または正方形の形状であり得る。25で示されるようなSMDは、しばしばライトディフューザに隣接するか、または同様の方向に位置決めされることから、封止材19は、平面、略平面、または凹形の形状を有し、図1〜図3に図示される球状レンズを含まない。図4に示すように、ダイオード11は、電極26の1つに直接位置決めされ得るか、またはワイヤ28およびワイヤ29を用いて、電極26および電極27に接続され得る。
【0057】
図5は、上述のタイプの遠心分離機の部分の平面図である。ロータ40は回転中心を規定し、一般にモータ(図示せず)によって駆動される。ロータ40から延在する4つのアーム41および図示される実施形態は、4つのトレイ43が、44で概略的に図示されるピンを用いて取り付けられ得る、それぞれの位置を規定するL型延在部42を含む。回転の方向は、矢印「R」によって示される。遠心分離機が停止している場合に、ダイオードは、トレイ43内の正方形45に配置され得る(または、あらかじめ装填されたトレイがピン44に取り付けられ得る)。特に、トレイ43は、遠心分離されるダイオードのサイズや形状に合った、正方形または他の適切な構造で設計され得る。
【0058】
トレイ43は、アーム41、アーム42上で軸回転することから、遠心分離機がトレイ43とともに水平位置で停止している間、トレイ43は、ダイオードとともに装填され得る。遠心分離機が回転して、回転速度が上昇するときに、トレイ43がピン44上で軸回転することにより、より高速で、トレイは、遠心分離機が減速または停止すると戻る水平位置ではなく、アーム41に対して部分的にまたは完全に垂直に配向される。
【0059】
アーム、ピン44、トレイ43の設計は、遠心分離される特定のダイオードに基づくものであり、当該分野に精通した当業者の技術の範囲内であると理解されよう。
【0060】
図6〜図9は、本発明によるダイオードの性能的な局面を説明する。図6は、3つの異なる重量割合で樹脂と混合される単一の蛍光体を示す。3つのダイオードが製造され、蛍光体のそれぞれの選択された重量割合において、本発明によって遠心分離された。好ましいccx座標0.318が、目標として選択され、そのような出力を産生するために必要な蛍光体の適切な割合が、線形回帰によって計算された。本実施例において、線形回帰は、6.33重量パーセントの蛍光体が、所望の色座標を産生することを示した。
【0061】
しかしながら、蛍光体の重量パーセントに加え、蛍光体の種類、特定のパッケージ、チップの具体的な出力、封止材、および他の関連する要因に基づき、産生される特定の色座標は異なるということを、当業者であれば認識するであろう。
【0062】
図6、図7および図8によって示される実験から収集された情報を用いて、一方は6.36重量パーセントの蛍光体、他方は6.35重量パーセントにおいて、本発明によって2つの別個のロットで形成された48個のデバイスの色座標出力を示した。図7は、ダイオード間で極めて一貫した出力を産生したことを示し、図8で示されるダイオードは、中央値でccx座標0.3185を有したことを示す。
【0063】
図9は、2つの混合された蛍光体(赤色および黄色)の割合が暖色系白色を得るように調整された別個の実験による結果を示す、CIE色度図の一部を示す。種々のビン(bin)のレタリングは、本発明の観点から任意であるが、特定のダイオードやダイオード群によって産生される白色光の異なる色合いを識別するために、商業的に用いられる。
【0064】
図10は、対比を目的として含まれており、波長(ナノメータ)およびCIExおよびy色座標、ならびに色温度線で示される、CIE色度図の一複製を表す。CIE色度図は、多くの供給者から入手可能であり、当業者に周知である。さらなる背景の説明は、Schubert、supraのSection11.4〜11.8から入手可能である。白色光、または白色光に近い色調は、(x,y)=(0.3,0.3)座標の近くに存在することは、概して認識される。
【0065】
図面および明細書には、本発明の好ましい実施形態が記載されており、特定の用語が用いられたが、これらは一般的および説明的な意味においてのみ用いられるものであり、特許請求の範囲に規定される本発明の範囲の限定を意図するものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオードからの一次放射光を吸収し変更するために蛍光体が用いられる、発光ダイオードおよびダイオードランプに関する。特に、本発明は、蛍光体を含む封止材パッケージとともに用いられる、電磁スペクトルの青色、紫色、および紫外(UV)部分を放射する発光ダイオードに関する。該蛍光体は、ダイオードから放射される光の周波数を強い黄色成分を有する光に下方周波数変換(down−convert)して、混合された白色光の出力を産生する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED)は、適切な半導体材料における電子と正孔との再結合現象を促進することにより、印加された電流を光に変換するフォトニック半導体デバイスの一種である。次いで、この再結合現象において放射された一部または全てのエネルギは、光子を産生する。
【0003】
発光ダイオードは、その他の半導体デバイスの多くの有利な特性を共有する。これらの特性は、概して、ロバストな物理特性、長寿命、高信頼性を含んでおり、特定の材料によっては低コストである。
【0004】
当該産業分野において一般的で周知である多くの用語が、本明細書中に用いられる。しかしながら、これらの用語は、当該産業分野において用いられる場合、その意味において、しばしば非公式に混合される。したがって、これらの用語は、本明細書中で可能な限り正確に用いられるが、それぞれの場合において、用語の意味は、文脈において明確にされる。
【0005】
したがって、用語「ダイオード」または「チップ」は一般に、逆の導電型の2つの半導体部分(p型およびn型)を最小限含み、さらにある形態のオーム性接触を含んでおり、もたらされるp−n接合にそれらのオーム性接触を介して電流が印加される構造を示す。
【0006】
用語「ランプ」は、適切な電気的接触および潜在的にレンズと組み合わされて、個別デバイスを形成する発光ダイオードを示すために用いられ、該個別デバイスは、電気回路または照明器具あるいはその両方に付加されるか、または含まれ得る。
【0007】
本明細書中で用いられる用語「パッケージ」は、一般に、ダイオードに一定の物理的保護を提供して光出力を光学的に方向付けし得るレンズに加えて、半導体チップを適切な物理的および電気的構造(しばしば、これを介して電流が印加される金属の小片のような単純なもの)上に配置することを示す。レンズは、しばしば透明なポリマーで形成され、この同一のポリマーがダイオードの封止材を形成する場合がある。本発明において、パッケージは、その内にダイオードが置かれる、しばしば金属またはポリマーで形成される反射性構造を含んでいる。一般に、レンズおよび電気的接触を付加すると、ランプが形成される。
【0008】
発光ダイオードおよびダイオードランプの構造および動作に関する適切な参考文献には、非特許文献1および非特許文献2を含む。
【0009】
LEDから放射される色は、主としてLEDが形成される材料によって規定される。ヒ化ガリウム(GaAs)およびリン化ガリウム(Gap)で形成されるダイオードは、可視スペクトルのより低いエネルギ部分(赤色および黄色)で光子を放射する傾向にある。炭化ケイ素(SiC)およびIII族窒化物(例えば、AlGaN、InGaN、AlInGaN)等の材料は、より大きなバンドギャップを有し、したがって可視スペクトルの緑色、青色、紫色部分ならびに電磁スペクトルの紫外部に現れる、より大きなエネルギを有する光子を生成し得る。特に、III族窒化物は、直接遷移の(direct)バンドギャップを有し、したがってSiC等の間接遷移の(indirect)バンドギャップ半導体よりも、より効率的に光を生成し得る。
【0010】
本願において、用語「白色光」は、一般的な意味で用いられる。色の生成および人間の目による色知覚に精通する者であれば、周波数の特定の混合が、正確な意味において「白色」と規定され得ることを認識するであろう。本明細書中に記載されるいくつかのダイオードは、こうした正確な出力を産生し得るが、用語「白色」は、本明細書中でややより広義に用いられ、異なる個人および検出器が、例えば、黄色または青色にわずかに色づいていると知覚する光を含む。
【0011】
青色LEDの利用可能性が飛躍的に増大したことにより、青色の光子を下方周波数変換する黄色発光蛍光体の使用も同様に増加してきた。特に、ダイオードから放射される青色光および蛍光体から放射される黄色光は、白色光を生成し得る。次いで、固態光源(solid−state source)からの白色光の有用性は、これら固態光源を多くの用途、とりわけ照明およびカラーディスプレイの照明(しばしばバックライト)を含む用途に組み込む能力を提供する。そのようなデバイス(例えば、平型のコンピュータ画面、携帯端末(PDA)およびセル式電話)において、青色LEDおよび黄色蛍光体は白色光を産生し、この白色光は次いで、色ピクセルを照明するためになんらかの様態で分配される。そのような色ピクセルは、しばしば液晶要素、色フィルタおよび偏光子によって形成され、バックライトを含むユニット全体は、概して液晶ディスプレイ(「LCD」)と呼ばれる。
【0012】
代表的な蛍光体には、セリウムをドープしたYAG(イットリウムアルミニウムガーネット)等の鉱物を含む。そのような蛍光体は、一般に小粒子として製造されることから、蛍光体は、小粒子としてダイオードチップ上または近傍に物理的に分散されなければならない。同様に、封止材は、一般にポリマー樹脂であることから、一般に液体の初期形状をとり、ある時点で所望の形状(例えば、レンズ用)に鋳造すなわち成形され、次いで固体形状に硬化されなければならない。
【0013】
したがって、蛍光体をチップに対して位置決めするいくつかの基本的な組み合わせが存在する。まず、蛍光体は、チップ上に広げられ、その後、封止材が液体として加えられ、次いで硬化することが可能とされ得る。これは、概念的に興味を引くものであるが、常に封止材を加える前に、チップを正確に覆うように鉱物蛍光体を加えることは、困難なプロセスである。結果として、その相対的な複雑性は、全体的は生産速度を低下させ、同時に全体的なコストを増加させ得る。
【0014】
理論的に、チップが封止され、次いで樹脂の外側に樹脂コーティングが加えられ得るが、多くの場合、これは所望されない光学的結果をもたらし、封止材が蛍光体を保護することをも阻むことがある。
【0015】
蛍光体を組み込むための多くの従来技術は、蛍光体を樹脂と混合し、次いで樹脂と蛍光体の混合物をチップに適用する。樹脂は次いで、その内に分散された蛍光体とともに硬化することが可能となる。
【0016】
この技術は、いくつかの難題を提示する。まず、蛍光体の量が、チップ(例えば、青色発光)と蛍光体の完全に飽和度に達した色(例えば、黄色)との間の色度点(color point)を制御する。青色チップ、黄色蛍光体の組み合わせに対して、一貫した白色の色相の産生のために必要とされるバランスは、封止材内で用いられる蛍光体と、チップ上およびその周辺に分注(dispense)される蛍光体および封止材(樹脂)の量とを制御することによって達成される。
【0017】
さらに困難な問題として、封止材内におけるダイオードチップに対する蛍光体の配置は、ランプの外部出力の明るさまたは色の均一性に影響を及ぼすことがある。蛍光体の所望されない配置が、外部出力の所望されないパターンを産生し、その出力は、種々の色合いの白の間で空間的に変化する。
【0018】
概して、蛍光体を可能な限りチップに近づけて位置決めすることは、最も望ましい出力を産生する。
【0019】
これらおよびその他の要因により、樹脂と封止材と蛍光体との混合物は、それ自体が適切なサイズであり、チップおよび硬化した封止材に対して適切な幾何学的関係にある、適切な量の蛍光体粒子を含まなければならない。しかしながら、未硬化樹脂は液体であるため、その粘度は蛍光体が混合する様態に影響を与える。樹脂の粘度が低すぎる場合、蛍光体粒子はパッケージ内に分注される前に封止材内で着定してしまい、これはもたらされる色出力に所望されない変動を引き起こす。あるいは、樹脂の粘度が高すぎると、蛍光体粒子は封止材内で懸濁したままとなり、チップの近傍に着定することができない。
【0020】
こうした困難に対処するために、ほとんどの従来技術は、重力の影響下において、蛍光体が封止材内に着定し得る範囲内に、未硬化樹脂の粘度を維持することを試みる。これは、蛍光体が着定する間の好ましい粘度を維持するための温度の制御とともに、樹脂が硬化する時間の長さ(「作業時間」)の制御を必要とする(蛍光体は、樹脂が硬化する前に所望された位置に到達しなければならない)。例えば、室温(25°C)において、代表的な2液型シリコン樹脂(例えば、Dow CorningからのSR−7010)は、150°Cにおいて通常約1分で硬化し、粘度は、室温において約3時間で(各液のそれぞれの開始点、約20000ミリパスカルおよび約7000ミリパスカルから)2倍となる。
【0021】
極端な例示として、蛍光体粒子のサイズが極めて細かく、樹脂の粘度が非常に高い場合、蛍光体は、所望された様態において着定も堆積もせず、懸濁したままとなる傾向がある。あるいは、粒子が大きすぎ、樹脂の粘度が低すぎる場合、蛍光体は、ランプのパッケージ内に分注され得る前に簡単に樹脂の底に沈む。これらおよびその他の要因に基づいて、樹脂、蛍光体および他の変数の選択は、しばしば妥協されることになる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0022】
【非特許文献1】Sze、「PHYSICS OF SEMICONDUCTOR DEVICES」、第2版、(1981年)
【非特許文献2】Schubert、「LIGHT−EMITTING DIODES」、Cambridge University Press、(2003年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
したがって、蛍光体と樹脂の混合物によって提示される困難および複雑性は、ダイオードパッケージ技術の効率およびコストにおいて、対応する困難を作り出して提示する。
【課題を解決するための手段】
【0024】
(概要)
一局面において、本発明は、未硬化の硬化性液体樹脂と蛍光体とを混合するステップと、該未硬化の混合物をLEDチップ上に分注するステップと、該チップおよび該混合物を遠心分離し、蛍光体粒子を未硬化樹脂内に着定または堆積させるステップと、蛍光体粒子が所望の位置またはその近傍で分散状態に留まっている間に、樹脂を硬化させるステップとを包含する、LEDランプを製造する方法である。
【0025】
別の局面において、本発明は、発光ダイオードランプを製造する装置である。該装置は、少なくとも1つのアーム、アームの外端に隣接して位置決めされるカップ、カップ内のLEDチップ、および複数の蛍光体粒子を有する未硬化の硬化性レジデント(resident)のカップ内の混合物を有する遠心分離機を含む。
【0026】
また別の局面において、本発明は、未硬化のポリシロキサン樹脂と、可視スペクトルの青色部分からの周波数によって励起される場合に、主にスペクトルの黄色部分で放射する蛍光体とを混合するステップと、該未硬化の混合物と、III族窒化物材料系から形成され、可視スペクトルの青色部分においてリフレクタカップ内に放射するLEDチップとを配置するステップと、リフレクタと該混合物とを遠心分離して、蛍光体粒子を未硬化のポリシロキサン樹脂内に着定または堆積させるステップと、蛍光体粒子が所望の位置またはその近傍で分散状態に留まっている間に、樹脂を硬化させるステップとを包含する、LEDランプを製造する方法である。
【0027】
したがって、本発明は、以下の項目を提供する。
(項目1)
未硬化の硬化性液体樹脂と蛍光体とを混合するステップと、
該未硬化樹脂をLEDチップ上に分注するステップと、
該チップと該混合物とを遠心分離し、該蛍光体粒子を該未硬化樹脂内の該LEDチップに対して所望の位置に位置決めするステップと
を包含する、LEDランプを製造する方法。
(項目2)
上記蛍光体粒子が上記所望の位置に留まっている間に、上記樹脂を硬化させるステップをさらに包含する、項目1に記載の方法。
(項目3)
上記チップと上記混合物とを遠心分離する上記ステップは、該チップと該混合物とを遠心分離機内で遠心分離するステップを含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
上記樹脂を、可視スペクトルの青色部分の周波数を可視スペクトルの黄色部分の周波数に下方周波数変換する蛍光体と混合するステップを包含する、項目1に記載の方法。
(項目5)
上記樹脂を、可視スペクトルの緑色部分および赤色部分で放射する蛍光体の群から選択される蛍光体と混合するステップを包含する、項目1に記載の方法。
(項目6)
上記樹脂を、可視スペクトルの異なる部分で放射する蛍光体の混合物と混合するステップを包含する、項目1に記載の方法。
(項目7)
上記樹脂を、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)蛍光体と混合するステップを包含する、項目1に記載の方法。
(項目8)
上記可視スペクトルの青色部分で放射するLEDチップを、上記混合した樹脂および蛍光体とともにカップ内に配置するステップを包含する、項目1に記載の方法。
(項目9)
ポリシロキサン樹脂を、上記蛍光体と混合するステップを包含する、項目1に記載の方法。
(項目10)
上記遠心分離するステップの後に、上記ランプにレンズを付加するステップを包含する、項目1に記載の方法。
(項目11)
遠心分離機内に上記カップを配置するステップと、
その後、上記チップを該カップ内に配置するステップと、
その後、上記混合物を該チップとともに該カップ内に配置するステップと、
その後、該カップおよびその内容物を遠心分離して、上記蛍光体を分配するステップと
を包含する、項目1に記載の方法。
(項目12)
上記チップを上記カップ内に配置するステップと、
その後、該カップを遠心分離機内に配置するステップと、
その後、上記混合物を該カップ内に配置するステップと、
その後、該カップおよびその内容物を遠心分離して、上記蛍光体を分配するステップと
を包含する、項目1に記載の方法。
(項目13)
上記未硬化樹脂を、III族窒化物材料系から選択される能動部分を有するLEDチップ上に分注するステップを包含する、項目1に記載の方法。
(項目14)
発光ダイオードランプを製造するための装置であって、該装置は、
少なくとも1つのアームを有する遠心分離機と、
該アームの外端に隣接して位置決めされるカップと、
該カップ内のLEDチップと、
該カップ内の、複数の蛍光体粒子を有する未硬化の硬化性レジデントの混合物と
を備える、装置。
(項目15)
上記アームは、上記遠心分離機内で回転する、項目14に記載の装置。
(項目16)
未硬化のポリシロキサン樹脂と、可視スペクトルの青色部分からの周波数によって励起される場合に、主にスペクトルの黄色部分で放射する蛍光体とを混合するステップと、
該未硬化の混合物と、III族窒化物材料系から形成され該可視スペクトルの青色部分でリフレクタ内に放射するLEDチップとを配置するステップと、
該リフレクタと該混合物とを遠心分離して、該未硬化のポリシロキサン樹脂内の該LEDチップに隣接して該蛍光体粒子を配置するステップと、
該蛍光体粒子が該LEDチップに隣接して位置決めされたところに留まっている間に、該樹脂を硬化させるステップと
を包含する、項目1に記載の方法。
(項目17)
上記ポリシロキサン樹脂と上記蛍光体とを混合するステップであって、該蛍光体は、該樹脂の重量に基づいて約1パーセントと50パーセントとの間の量で存在する、ステップを包含する、項目16に記載の方法。
(項目18)
粒子あたり約0.001ミクロンと20ミクロンとの間の平均粒度で蛍光体粒子を混合するステップを包含する、項目16に記載の方法。
(項目19)
上記蛍光体粒子を、約10ミリパスカル秒と100,000ミリパスカル秒との間の開始粘度を有するポリシロキサン樹脂と混合するステップを包含する、項目16に記載の方法。
(項目20)
無機溶剤等の比較的揮発性の液体と混合され得る、蛍光体を混合するステップと、
LEDチップ上に該混合物を分注するステップと、
該混合物を遠心分離して、該蛍光体粒子を揮発性の液体内の該チップに隣接して配置するステップと、
該揮発性の液体を除去して、該蛍光体を該チップ上の適切な位置に配置するステップと
を包含する、LEDランプを製造する方法。
【0028】
(摘要)
LEDランプの製造方法を開示する。該方法は、未硬化の硬化性液体樹脂と蛍光体とを混合するステップと、未硬化樹脂をLEDチップ上に分注するステップと、チップと混合物とを遠心分離し、蛍光体粒子を未硬化樹脂内に分散させるステップと、蛍光体粒子が分散状態に留まっている間に、樹脂を硬化させるステップとを含む。
【0029】
本発明の、上述および他の目的および利点、ならびに同一のことが達成される方法は、添付の図面と合わせた下記の詳細な説明に基づいてより明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の方法を用いて製造されるタイプの発光ダイオードランプの斜視図である。
【図2】図2は、本発明に従う、別の発光ダイオードランプの断面図である。
【図3】図3は、本発明に従う、別のランプの概略図である。
【図4】図4は、本発明に従う、別のランプの別の断面概略図である。
【図5】図5は、本発明の方法において有用な遠心分離機の部分的平面図である。
【図6】図6は、封止材内における、ccx色度座標対蛍光体の割合のグラフである。
【図7】図7は、本発明に従う、48個のデバイスの出力の棒グラフである。
【図8】図8は、図7と同一のデバイスのCIE色度図からのx座標およびy座標のグラフである。
【図9】図9は、出力を得るために2つの蛍光体が混合される、CIE色度図からのx座標およびy座標のグラフである。
【図10】図10は、波長(ナノメータ)ならびにCIExおよびy色度座標で示される、CIE色度図の複製である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(詳細な説明)
本発明は、発光ダイオード(LED)ランプを製造する方法である。該方法は、未硬化の硬化性液体樹脂と蛍光体とを混合するステップと、該未硬化の混合物をLEDチップ上に分注するステップと、該チップと該混合物とを遠心分離して(または別様に遠心力を与えて)、未硬化樹脂内の蛍光体粒子を配置するステップと、次いで蛍光体粒子がダイオードの所望の表面上またはその近傍に位置決めされている間に、樹脂を硬化させるステップとを含む。
【0032】
本明細書中で用いられる語句「未硬化の硬化性液体樹脂」は、一般に、架橋結合していない(例えば、熱硬化性の樹脂)、または温度に基づいて固化していない(熱可塑性樹脂)ポリマー樹脂を示す。したがって、未硬化樹脂は、室温において液体であり、熱、あるいは時間または(ある場合においては)紫外線の影響下で架橋する場合がある。別の場合、未硬化樹脂は、高められた温度において液体であり、室温に近い温度で固化する。
【0033】
樹脂(しばしば「封止材」と呼ばれる)は、本発明の目的に適しており、LEDチップまたはランプの他の要素の動作を別様に干渉しない、任意の材料であり得る。用語「樹脂」は、広義で用いられ、本パッケージが形成され得る任意のポリマー、コポリマーまたは合成物を示す。これらの材料は、一般に当業者に周知されており、詳細に検討される必要はない。
【0034】
LEDチップがスペクトルのより高いエネルギ部分(例えば、青色、紫色、および紫外)で放射する場合に、封止材は、その周波数で放射される光子に対する反応がより低いか、または不活性でなければならない。したがって、ポリシロキサン(「シリコーン」)樹脂は、封止材に特に適している傾向がある。概して、用語、ポリシロキサンは、−(−Si−O−)n−(一般に、有機側鎖基)のバックボーン上に構成される任意のポリマーを示す。ポリシロキサン樹脂は、ポリカーボネートまたはポリエステル樹脂(特定の情況において、これらは両方とも許容され得る)等の別様に機能的に類似の材料の光安定性と比べて、比較的高い周波数の放射に対して、より優れた安定性を提供する。ポリシロキサン樹脂はまた、高い光学的透明度を有し、好適に弾性的であり、いくつかの別のポリマーに比べて温度サイクリング(cycling)の影響を受けない。ポリシロキサン樹脂は、界面損失を減少させ、ランプの外部出力を増強するために用いられ得る因子である、屈折率(1.40〜1.58)の範囲で調合され得る。ポリシロキサン樹脂の粘度は、約7000〜20,000ミリパスカル秒の間の範囲であり得、本発明は、10未満から100,000ミリパスカル秒までの粘度を有する樹脂(または他の液体)を用いて実施され得る。
【0035】
上述のように、用語、LEDチップは、所望の周波数を放射する基本的な半導体構造を示す。背景技術に記載したように、発光ダイオードの該構造および動作は、当業者によって周知されており、本明細書中で詳細に検討する必要はない。しかしながら、例示的な構造は、一般にIII族窒化物材料系から形成され、市販の例は、例えば、本発明の譲受人であるCree,Inc.のXLAMP(登録商標)XR−Eの名称にて入手可能である。境界は、ある程度任意であるが、青色光は、440〜470ナノメータの範囲に属する傾向があり、したがって青色発光のXLAMP(登録商標)XR−Eチップは一般に、約450ナノメータと465ナノメータとの間の主波長を有する。他の例示的なチップは、スペクトルの他の部分(例えば、赤色および緑色)で放射し、本発明はそれらにも適用可能である。
【0036】
蛍光体粒子は、所与のチップの放射を産生または増強し、特定の用途に適合するか、または該用途を強化するように選択される。多くの場合、蛍光体は、可視スペクトルの青色部分の周波数を、可視スペクトルの黄色部分の周波数へと下方周波数変換を行う材料から選択される。ここでまた、当業者は、蛍光体が、スペクトルの黄色部分に限って放射する必要はないけれども、黄色部分における主放射は、有用であるということを認識するであろう。なぜならダイオードチップからの青色光と、蛍光体からの黄色周波数との組み合わせが、所望の白色光を産生するからである。再び、境界は、ある程度任意であるが、黄色周波数は、概して550〜600ナノメータの範囲であり、570ナノメータが代表的である。他の実施形態において、赤色発光、緑色発光、およびある場合においては、さらに青色発光の蛍光体が付加されて、「より暖色系」の白色を産生するか、またはより高い演色評価数(CRI)を達成し得る。
【0037】
蛍光体の性質および量により、チップおよび蛍光体の組み合わせは、約5000Kと10,000Kとの間の色温度を有する「寒色系白色(cool white)」、または「無彩色白色(neutral white)」(3700〜5000K)、「暖色系白色(warm white)」(2600〜3700K)の光を産生し得る。用語「色温度」は、周知の意味において用いられ、理論上の「黒体」が熱せられて同一の視覚色を産生し得る温度を表す。
【0038】
本発明の目的に最も有用な蛍光体の1つは、一般にセリウムでドープされたイットリウムアルミニウムガーネット(「YAG」)である。黄色領域において放射する他のガーネット構造は、当該分野で周知である(例えば、米国特許第6,669,866号)。白色光はまた、赤色、青色、および緑色蛍光体との組み合わせで、スペクトルの近紫外部分で放射するLEDを用いて産生され得る。例えば、ユーロピウムでドープされた硫化ストロンチウムガリウム(SrGa2S4:Eu)は、スペクトルの緑色部分で放射するが、一方、セリウムでドープされた酸化ガドリニウムアルミニウム(Gd3Al5O12:Ce)は、約470ナノメータの周波数で励起され、スペクトルの橙色部分(約525〜620nm)で放射する。銅でドープされた硫化亜鉛もまた、スペクトルの緑色部分で放射する。ユーロピウムでドープされたニトリドシリケートは、スペクトルの黄色から赤色部分で放射し得る(例えば、米国特許第6,649,946号)。
【0039】
したがって、本明細書中で、本発明は、主として青色LED、黄色発光蛍光体および白色LEDランプに関して記載されているが、本発明は、本発明による蛍光体の位置決めによって強化される、あらゆるチップおよび蛍光体の組み合わせに適用されることが理解されよう。
【0040】
本発明の好適な実施形態において、蛍光体粒子のサイズは、過度の実験を伴わずに当業者によって選択され得るが、一般に粒子あたり約0.001ミクロン〜20ミクロンの範囲である。所望される場合、封止材はまた、散乱材料を含み得、その性質および機能は、当該分野において周知である。関連する説明は、同一人に譲渡された米国特許出願公開第20040012027号、パラグラフ101および102に説明されている。
【0041】
任意の所与の混合物に用いられる蛍光体の量は、所与のダイオードおよびその所望の出力に対して所望されるように、当業者によって選択され得る。一般に、蛍光体は、樹脂の重量に基づき、約1重量パーセントと50重量パーセントとの間の量で存在するが、より高いか、またはより低い割合も用いられ得る。
【0042】
遠心分離機法を利用するため、未硬化の樹脂混合物および蛍光体は、一般にカップ内に配置される。用語、カップは、本明細書中で、チップ、樹脂、および混合された蛍光体に適したサイズの任意の容器を説明するために広義で用いられる。多くの状況において、カップは、本願の図に示すように、もたらされるランプのリフレクタ部分である。広義において、カップ(または類似物)とは、蓋のない、ボウル型の器であり、発光ダイオード用のカップは、このような形状をとり得る。しかしながら、他の形状のリフレクタ(例えば、長方形の断面、または他の立体幾何学形状)はそれでも、本願の文脈におけるカップとして機能する。あるいは、最終のランプ構造においてリフレクタとしての役割を果たさないカップは、遠心分離のステップおよび硬化のステップの間、一時的に用いられ得、次いで廃棄されるか、または蛍光体の堆積のために用いられる固定具の一部とされ得る。
【0043】
樹脂の混合物および蛍光体がダイオードチップとともにカップ内に位置決めされる場合に、これらは、所望の量の遠心力を適用するように制御され得ると仮定すれば、任意の適切な遠心分離機デバイスに位置決めされ得る。ある場合においては、空のカップが遠心分離機内に配置され得、その後チップが付加され、その後混合物が加えられ得る。他の状況において、チップがカップ内に配置され、次いでこのカップが遠心分離機内に配置され得、その後混合物がカップ内に配置され得る。また他の状況において、チップおよび混合物は、カップが遠心分離機内に配置される前に、その全てがカップに付加され得る。いずれの場合でも、遠心分離機の速度(一般に、毎分回転数(rpm)で表される)および遠心分離の時間は、蛍光体粒子のサイズおよび密度、ならびに液体樹脂の粘度に基づいて、蛍光体の配置を制御するために用いられ得る。
【0044】
市販の遠心分離機は、本プロセスに完全に適している。例えば、生物学的懸濁を分離するために有用な遠心分離機は、本発明の目的に非常に適している。実施例は、実験室の技術分野における当業者に周知されており、この目的のために広範に用いられている、ALLEGRA(登録商標)X−12卓上遠心分離機を擁するBeckman Coulter等の企業から入手可能な多くのものを含む(Beckman Coulter,Inc.、4300 N.Harbor Boulevard、P.O.Box 3100、Fullerton、CA 92834−3100、米国)。この遠心分離機は、固定角度(fixed angle)型ロータ付きで10,200rpm、および図5に示すタイプの揺動バケツ(swinging bucket)型ロータ付きで3,750rpmの最大速度を有する。
【0045】
公式な詳説として、運動の法則に精通したものであれば、「遠心力」が、時に「擬似力」と呼ばれることを理解するであろう。なぜなら、回転する物体を回転の中心に対して定位置に保持しながら、向心力に対抗して円形経路を移動する物体の運動量の組み合わせを示すからである。同様に、名詞として用いられる場合、用語「遠心分離機」は、異なる密度の物質を分離することか、水分を除去することか、または重力の作用をシミュレートすることに対して遠心力を用いる機械を規定する。動詞として用いられる場合、用語「遠心分離する」は、液体から、または液体中の異なる層から固体を分離することか、あるいは重力の作用を別様にシミュレートし、増大するために遠心力を適用する行為を規定する。
【0046】
本発明は、蛍光体の位置決めおよび硬化の単一のステップに限定されない。別の実施形態において、蛍光体は、複数の表面上に堆積し得る。本実施形態において、蛍光体は、まず、遠心分離するステップを用いて第1の表面上に堆積し、次いで樹脂が硬化した後、本デバイスが回され、樹脂の付加的な分注か、または異なる混合物および蛍光体が分注され、遠心分離され、硬化され得る。
【0047】
同一の方法で、所望に応じて、本発明の遠心分離するステップは、他の従来の製造ステップとともに用いられ得る。したがって、樹脂および蛍光体の混合物の一部分は、遠心分離の利点なしにチップ上に位置決めされ得、遠心分離される間に硬化されることを可能とし、硬化するステップは、従来のステップの前または後に、別個に行われる。
【0048】
また別の、特に極めて小さいサイズの蛍光体粒子に有用な実施形態において、蛍光体は、有機溶剤(例えば、イソプロピルアルコールまたは水)等の、より揮発性の高い、粘性の低い液体と混合され得る。遠心分離するステップは、次いで有機溶剤内において蛍光体粒子をチップに隣接して位置決めするために用いられ得、その後、溶剤は、チップ上の定位置に蛍光体を残して蒸発することが可能とされる。封止材またはレンズは、次いで付加され得る。
【0049】
図1〜図4は、本発明によって作成され得るダイオードの例示である。図1は、10で広く示される、上述のCree XLAMP(登録商標)ダイオードに類似のLEDランプを斜視図で示す。ダイオード10は、LEDチップ11(図2〜図4)を含み、該LEDチップ11は、上述のように、可視スペクトルのより高いエネルギ部分か、または近紫外部分で放射し、一般にIII族窒化物材料系で形成される。チップ11は、図示される実施形態において、ランプ10のリフレクタとしての役割をも果たす、カップ12内に設置される。
【0050】
裸眼では個々の粒子として可視であるとは限らない蛍光体は、ランプ10のレンズ14の下の点線部分13によって、図1に概略的に図示される。図1に図示される蛍光体13の位置は、蛍光体13が遠心力の影響下で、回転の中心から最も遠い表面で着定することを考慮して、概略であると理解されたい。図示される実施形態において、蛍光体13は、チップ表面上またはパッケージのフロア(floor)に位置決めされる。
【0051】
リフレクタ12は、電気的接触16および17をも含む、取り付け基材15に固定される。
【0052】
図2は、30であきらかに示される、5ミリメーターの名称でしばしば販売される、弾丸型ランプの情況における本発明を例示する。ランプは、チップ11を含み、蛍光体粒子は、小さい丸13として図示される。概略的ではあるが、図2は、チップ13上の蛍光体およびリフレクタ32のフロア31上の所望の位置をより正確に示す。リフレクタ32は、ランプ30全体のための電極のうちの1つを形成し、ワイヤ33は、ダイオードチップ11を第2の電極34に接続する。リフレクタ32によって形成されるカップ内における封止材35の位置は、点線36によって示される。背景技術で記載したように、レンズ37の材料は、封止材35用の材料と同一であり得るか、またはランプ30の特定の目的または用途により、異なる材料であり得る。
【0053】
図3は、本発明によって形成されるダイオードランプ10の別の概略断面図である。図3は、カップ(リフレクタ)12部分を断面で図示する。遠心分離後の蛍光体の位置は、小さい丸13で示される。図3が図示するように、本方法は、適切なウェル20を満たす十分な樹脂および蛍光体を付加することを含み、該ウェル20は、ウォール21およびウォール22ならびにチップ11を保持するカップ12の部分のフロア23によって規定される。
【0054】
しかしながら、過分の樹脂は望ましくない。なぜならリフレクタの他の部分を、所望されない、潜在的に無駄な様態で満たすことになるからである。図3は、平面の上面24を有する樹脂を示す。この表面は、メニスカスを形成するように下方に硬化し得るが、あらゆる過分は溢出してしまうことから、注ぎ過ぎないように注意が必要である。蛍光体および樹脂の混合物を、部分的に満たすまで、または完全に満たすまで分注するが、いずれの場合においてもウェル20の容積を超えないようにすることは、樹脂および蛍光体の混合物が、遠心力を適用されたときに溢出するのを防ぐ。ダイオードが遠心分離された後、付加的な樹脂(または異なる樹脂、または予備成形)が加えられて、上面24の上に断面で図示されるレンズ14を形成し得る。
【0055】
レンズの形状は、ダイオードの最終用途に基づいて所望または必要とされるように選択されるか、または設計され得、パッケージまたはレンズを作成するために用いられる方法等のその他の要因によって影響される場合がある。
【0056】
図4は、25で広く示される側面型(side view)ダイオード(側面取り付け、サイドルッカー(sidelooker)、表面実装型デバイス(「SMD」))の概略断面図である。ダイオードチップは11で、蛍光体粒子は13で再び示される。本実施形態において、リフレクタパッケージ18は、しばしば白色ポリマーによって形成される。上面の方向から見た場合、パッケージ18は円形、長方形、または正方形の形状であり得る。25で示されるようなSMDは、しばしばライトディフューザに隣接するか、または同様の方向に位置決めされることから、封止材19は、平面、略平面、または凹形の形状を有し、図1〜図3に図示される球状レンズを含まない。図4に示すように、ダイオード11は、電極26の1つに直接位置決めされ得るか、またはワイヤ28およびワイヤ29を用いて、電極26および電極27に接続され得る。
【0057】
図5は、上述のタイプの遠心分離機の部分の平面図である。ロータ40は回転中心を規定し、一般にモータ(図示せず)によって駆動される。ロータ40から延在する4つのアーム41および図示される実施形態は、4つのトレイ43が、44で概略的に図示されるピンを用いて取り付けられ得る、それぞれの位置を規定するL型延在部42を含む。回転の方向は、矢印「R」によって示される。遠心分離機が停止している場合に、ダイオードは、トレイ43内の正方形45に配置され得る(または、あらかじめ装填されたトレイがピン44に取り付けられ得る)。特に、トレイ43は、遠心分離されるダイオードのサイズや形状に合った、正方形または他の適切な構造で設計され得る。
【0058】
トレイ43は、アーム41、アーム42上で軸回転することから、遠心分離機がトレイ43とともに水平位置で停止している間、トレイ43は、ダイオードとともに装填され得る。遠心分離機が回転して、回転速度が上昇するときに、トレイ43がピン44上で軸回転することにより、より高速で、トレイは、遠心分離機が減速または停止すると戻る水平位置ではなく、アーム41に対して部分的にまたは完全に垂直に配向される。
【0059】
アーム、ピン44、トレイ43の設計は、遠心分離される特定のダイオードに基づくものであり、当該分野に精通した当業者の技術の範囲内であると理解されよう。
【0060】
図6〜図9は、本発明によるダイオードの性能的な局面を説明する。図6は、3つの異なる重量割合で樹脂と混合される単一の蛍光体を示す。3つのダイオードが製造され、蛍光体のそれぞれの選択された重量割合において、本発明によって遠心分離された。好ましいccx座標0.318が、目標として選択され、そのような出力を産生するために必要な蛍光体の適切な割合が、線形回帰によって計算された。本実施例において、線形回帰は、6.33重量パーセントの蛍光体が、所望の色座標を産生することを示した。
【0061】
しかしながら、蛍光体の重量パーセントに加え、蛍光体の種類、特定のパッケージ、チップの具体的な出力、封止材、および他の関連する要因に基づき、産生される特定の色座標は異なるということを、当業者であれば認識するであろう。
【0062】
図6、図7および図8によって示される実験から収集された情報を用いて、一方は6.36重量パーセントの蛍光体、他方は6.35重量パーセントにおいて、本発明によって2つの別個のロットで形成された48個のデバイスの色座標出力を示した。図7は、ダイオード間で極めて一貫した出力を産生したことを示し、図8で示されるダイオードは、中央値でccx座標0.3185を有したことを示す。
【0063】
図9は、2つの混合された蛍光体(赤色および黄色)の割合が暖色系白色を得るように調整された別個の実験による結果を示す、CIE色度図の一部を示す。種々のビン(bin)のレタリングは、本発明の観点から任意であるが、特定のダイオードやダイオード群によって産生される白色光の異なる色合いを識別するために、商業的に用いられる。
【0064】
図10は、対比を目的として含まれており、波長(ナノメータ)およびCIExおよびy色座標、ならびに色温度線で示される、CIE色度図の一複製を表す。CIE色度図は、多くの供給者から入手可能であり、当業者に周知である。さらなる背景の説明は、Schubert、supraのSection11.4〜11.8から入手可能である。白色光、または白色光に近い色調は、(x,y)=(0.3,0.3)座標の近くに存在することは、概して認識される。
【0065】
図面および明細書には、本発明の好ましい実施形態が記載されており、特定の用語が用いられたが、これらは一般的および説明的な意味においてのみ用いられるものであり、特許請求の範囲に規定される本発明の範囲の限定を意図するものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
未硬化の硬化性液体樹脂と蛍光体とを混合するステップと、
該未硬化樹脂をLEDチップ上に分注するステップと、
該チップと該混合物とを遠心分離し、該蛍光体粒子を該未硬化樹脂内の該LEDチップに対して所望の位置に位置決めするステップと
を包含する、LEDランプを製造する方法。
【請求項2】
前記蛍光体粒子が前記所望の位置に留まっている間に、前記樹脂を硬化させるステップをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チップと前記混合物とを遠心分離する前記ステップは、該チップと該混合物とを遠心分離機内で遠心分離するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記樹脂を、可視スペクトルの青色部分の周波数を可視スペクトルの黄色部分の周波数に下方周波数変換する蛍光体と混合するステップを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記樹脂を、可視スペクトルの緑色部分および赤色部分で放射する蛍光体の群から選択される蛍光体と混合するステップを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記樹脂を、可視スペクトルの異なる部分で放射する蛍光体の混合物と混合するステップを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記樹脂を、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)蛍光体と混合するステップを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記可視スペクトルの青色部分で放射するLEDチップを、前記混合した樹脂および蛍光体とともにカップ内に配置するステップを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ポリシロキサン樹脂を、前記蛍光体と混合するステップを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記遠心分離するステップの後に、前記ランプにレンズを付加するステップを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
遠心分離機内に前記カップを配置するステップと、
その後、前記チップを該カップ内に配置するステップと、
その後、前記混合物を該チップとともに該カップ内に配置するステップと、
その後、該カップおよびその内容物を遠心分離して、前記蛍光体を分配するステップと
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記チップを前記カップ内に配置するステップと、
その後、該カップを遠心分離機内に配置するステップと、
その後、前記混合物を該カップ内に配置するステップと、
その後、該カップおよびその内容物を遠心分離して、前記蛍光体を分配するステップと
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記未硬化樹脂を、III族窒化物材料系から選択される能動部分を有するLEDチップ上に分注するステップを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
発光ダイオードランプを製造するための装置であって、該装置は、
少なくとも1つのアームを有する遠心分離機と、
該アームの外端に隣接して位置決めされるカップと、
該カップ内のLEDチップと、
該カップ内の、複数の蛍光体粒子を有する未硬化の硬化性レジデントの混合物と
を備える、装置。
【請求項15】
前記アームは、前記遠心分離機内で回転する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
未硬化のポリシロキサン樹脂と、可視スペクトルの青色部分からの周波数によって励起される場合に、主にスペクトルの黄色部分で放射する蛍光体とを混合するステップと、
該未硬化の混合物と、III族窒化物材料系から形成され該可視スペクトルの青色部分でリフレクタ内に放射するLEDチップとを配置するステップと、
該リフレクタと該混合物とを遠心分離して、該未硬化のポリシロキサン樹脂内の該LEDチップに隣接して該蛍光体粒子を配置するステップと、
該蛍光体粒子が該LEDチップに隣接して位置決めされたところに留まっている間に、該樹脂を硬化させるステップと
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリシロキサン樹脂と前記蛍光体とを混合するステップであって、該蛍光体は、該樹脂の重量に基づいて約1パーセントと50パーセントとの間の量で存在する、ステップを包含する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
粒子あたり約0.001ミクロンと20ミクロンとの間の平均粒度で蛍光体粒子を混合するステップを包含する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記蛍光体粒子を、約10ミリパスカル秒と100,000ミリパスカル秒との間の開始粘度を有するポリシロキサン樹脂と混合するステップを包含する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
無機溶剤等の比較的揮発性の液体と混合され得る、蛍光体を混合するステップと、
LEDチップ上に該混合物を分注するステップと、
該混合物を遠心分離して、該蛍光体粒子を揮発性の液体内の該チップに隣接して配置するステップと、
該揮発性の液体を除去して、該蛍光体を該チップ上の適切な位置に配置するステップと
を包含する、LEDランプを製造する方法。
【請求項1】
未硬化の硬化性液体樹脂と蛍光体とを混合するステップと、
該未硬化樹脂をLEDチップ上に分注するステップと、
該チップと該混合物とを遠心分離し、該蛍光体粒子を該未硬化樹脂内の該LEDチップに対して所望の位置に位置決めするステップと
を包含する、LEDランプを製造する方法。
【請求項2】
前記蛍光体粒子が前記所望の位置に留まっている間に、前記樹脂を硬化させるステップをさらに包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記チップと前記混合物とを遠心分離する前記ステップは、該チップと該混合物とを遠心分離機内で遠心分離するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記樹脂を、可視スペクトルの青色部分の周波数を可視スペクトルの黄色部分の周波数に下方周波数変換する蛍光体と混合するステップを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記樹脂を、可視スペクトルの緑色部分および赤色部分で放射する蛍光体の群から選択される蛍光体と混合するステップを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記樹脂を、可視スペクトルの異なる部分で放射する蛍光体の混合物と混合するステップを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記樹脂を、イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)蛍光体と混合するステップを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記可視スペクトルの青色部分で放射するLEDチップを、前記混合した樹脂および蛍光体とともにカップ内に配置するステップを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ポリシロキサン樹脂を、前記蛍光体と混合するステップを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記遠心分離するステップの後に、前記ランプにレンズを付加するステップを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
遠心分離機内に前記カップを配置するステップと、
その後、前記チップを該カップ内に配置するステップと、
その後、前記混合物を該チップとともに該カップ内に配置するステップと、
その後、該カップおよびその内容物を遠心分離して、前記蛍光体を分配するステップと
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記チップを前記カップ内に配置するステップと、
その後、該カップを遠心分離機内に配置するステップと、
その後、前記混合物を該カップ内に配置するステップと、
その後、該カップおよびその内容物を遠心分離して、前記蛍光体を分配するステップと
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記未硬化樹脂を、III族窒化物材料系から選択される能動部分を有するLEDチップ上に分注するステップを包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
発光ダイオードランプを製造するための装置であって、該装置は、
少なくとも1つのアームを有する遠心分離機と、
該アームの外端に隣接して位置決めされるカップと、
該カップ内のLEDチップと、
該カップ内の、複数の蛍光体粒子を有する未硬化の硬化性レジデントの混合物と
を備える、装置。
【請求項15】
前記アームは、前記遠心分離機内で回転する、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
未硬化のポリシロキサン樹脂と、可視スペクトルの青色部分からの周波数によって励起される場合に、主にスペクトルの黄色部分で放射する蛍光体とを混合するステップと、
該未硬化の混合物と、III族窒化物材料系から形成され該可視スペクトルの青色部分でリフレクタ内に放射するLEDチップとを配置するステップと、
該リフレクタと該混合物とを遠心分離して、該未硬化のポリシロキサン樹脂内の該LEDチップに隣接して該蛍光体粒子を配置するステップと、
該蛍光体粒子が該LEDチップに隣接して位置決めされたところに留まっている間に、該樹脂を硬化させるステップと
を包含する、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリシロキサン樹脂と前記蛍光体とを混合するステップであって、該蛍光体は、該樹脂の重量に基づいて約1パーセントと50パーセントとの間の量で存在する、ステップを包含する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
粒子あたり約0.001ミクロンと20ミクロンとの間の平均粒度で蛍光体粒子を混合するステップを包含する、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記蛍光体粒子を、約10ミリパスカル秒と100,000ミリパスカル秒との間の開始粘度を有するポリシロキサン樹脂と混合するステップを包含する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
無機溶剤等の比較的揮発性の液体と混合され得る、蛍光体を混合するステップと、
LEDチップ上に該混合物を分注するステップと、
該混合物を遠心分離して、該蛍光体粒子を揮発性の液体内の該チップに隣接して配置するステップと、
該揮発性の液体を除去して、該蛍光体を該チップ上の適切な位置に配置するステップと
を包含する、LEDランプを製造する方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2009−147343(P2009−147343A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−317576(P2008−317576)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(506078378)クリー, インコーポレイティッド (26)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−317576(P2008−317576)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(506078378)クリー, インコーポレイティッド (26)
【Fターム(参考)】
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