説明

LED照明装置

【課題】構造が簡単で、コンパクトなLED照明装置を提供すること。
【解決手段】略長方形の基板2;該基板の少なくとも一方の面上、長手方向に配設された複数のLED素子20;および該LED素子の光を発散または集光させるレンズ部31を有し、前記基板のLED素子配設側の面全体を覆うカバーレンズ3;を備えたLED照明装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
店舗や住宅等での間接照明、工場等での作業用手元照明には、従来より蛍光管が用いられているが、近年では、小型で消費電力の少ない光源としてLED素子を用いたLED照明装置が注目されており、種々のLED照明装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
しかしながら、LED素子は点状に発光し、複数個で使用され、当該複数のLEDからの光はレンズにより発散または集光させる必要があるため、従来のLED照明装置はレンズやカバー等の部品の点数が比較的多く、また構造が複雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−59332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、構造が簡単で、コンパクトなLED照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、長方形の基板;該基板の少なくとも一方の面上、長手方向に配設された複数のLED素子;および該LED素子の光を発散または集光させるレンズ部を有し、かつ、前記基板のLED素子配設側の面全体を覆うカバーレンズ;を備えたLED照明装置に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のLED照明装置は、カバーレンズがカバー機能とレンズ機能とを兼ね備え、部品点数の低減が可能なため、構造が簡単で、コンパクトである。その結果として、LED照明装置の製造および組み立ての工程が簡略化できる。
カバーレンズを押出成形法で製造することにより、カバーレンズの断面形状の自由度が向上する、カバーレンズの長手方向長さに制限がない、要求性能に合わせて樹脂を選択できる、射出成形法と比較して安価に製造できる、などの利点がある。さらにカバーレンズを共押出成形法で製造することにより、任意の機能層を同時に形成できる。
LED照明装置は、カバーレンズにおける支柱部の溝と基板の短手方向両端とを嵌合により結合させることにより、予めLED素子が配設された基板にカバーレンズをスライドさせて取り付けるだけで製造できるので、製造が容易である。
基板の材料もしくは構造または支柱部の材料を選択するだけで、簡単に、背面からの放熱を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1A】本発明に係るLED照明装置の一例の概略見取り図である。
【図1B】本発明に係るLED照明装置におけるLED素子付き基板の一例の概略見取り図である。
【図2】本発明に係るLED照明装置の一例(基板の変形例)の概略垂直断面図である。
【図3】本発明に係るLED照明装置の一例(カバーレンズの変形例)の概略垂直断面図である。
【図4】本発明に係るLED照明装置の一例(カバーレンズの変形例)の概略垂直断面図である。
【図5A】本発明に係るLED照明装置の一例(カバーレンズの変形例)の概略垂直断面図である。
【図5B】本発明に係るLED照明装置の一例(カバーレンズの変形例)の概略垂直断面図である。
【図5C】本発明に係るLED照明装置の一例(カバーレンズの変形例)の概略垂直断面図である。
【図6】本発明に係るLED照明装置の一例(カバーレンズの変形例)の概略垂直断面図である。
【図7A】本発明に係るLED照明装置の一例(カバーレンズの変形例)の概略垂直断面図である。
【図7B】本発明に係るLED照明装置の一例(カバーレンズの変形例)の概略垂直断面図である。
【図7C】本発明に係るLED照明装置の一例(カバーレンズの変形例)の概略垂直断面図である。
【図8】本発明に係るLED照明装置の一例(支柱部の変形例)の概略垂直断面図である。
【図9】本発明に係るLED照明装置の一例(支柱部の変形例)の概略垂直断面図である。
【図10A】本発明に係るLED照明装置の一例(機能層の形成例)の概略垂直断面図である。
【図10B】本発明に係るLED照明装置の一例(機能層の形成例)の概略垂直断面図である。
【図11】本発明に係るLED照明装置の取付例を示す概略垂直断面図である。
【図12】実施例1で製造したLED照明装置の概略垂直断面図である。
【図13】実施例2で製造したLED照明装置の概略垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係るLED照明装置は、基板、複数のLED素子、およびカバーレンズを備えたものであり、例えば図1Aに示すように、長手方向LDにおいて長尺形状を有するものである。図1Aは本発明に係るLED照明装置の一例の概略見取り図であり、1がLED照明装置、2が基板、20がLED素子、3がカバーレンズを示す。以下、本発明に係るLED照明装置を図面を用いて詳しく説明する。全ての図面中、共通する符号は同様の部材を示すものとする。
【0010】
基板2は略長方形形状を有するものであり、例えば、図1Aおよび図1B中、LDが長手方向を示し、SDが短手方向を示し、TDが厚み方向を示す。基板2の寸法は特に制限されず、必要な明るさに応じて決定されるLED素子の数や用途に応じて適宜決定されればよい。基板2は、アルミニウム、銅等の金属板が、強度面と放熱性の点で最適であるが、熱伝導性樹脂板を用いることもできる。熱伝導性樹脂は、銅粉やアルミ粉などの金属粉や、酸化亜鉛、アルミナ、グラファイト等の熱伝導性フィラーを、後述の透明または半透明の熱可塑性樹脂を含む一般的な熱可塑性樹脂等の合成樹脂に分散させてなり、これを押出成形して基板を作ることができる。金属板の場合、前方へ光を反射させることができ、表面に凹凸をつけると光を拡散することもできる。基板2の厚みは通常、0.4〜3.2mmである。
【0011】
基板2の少なくとも一方の面上には、複数のLED素子20が長手方向LDに配設される。通常は図1Bに示すように、複数のLED素子20は電気回路部21を介して基板2上に配設される。電気回路部21は、電源(図示せず)から配線23を経て印加された電圧をLED素子20に供給して発光させる回路である。電気回路部21は図1Aおよび図1B中、板形状で示されているが、配線23を経て印加された電圧をLED素子20に供給できる限り、その形状は特に制限されるものではない。配線23は通常、電気回路部21の長手方向の両端部に接続される。電源が例えば、交流電源(100V)の場合、通常、電圧は直流変換器(図示せず)と配線23を経て電気回路部21に印加される。
【0012】
基板2は、図2に示すように、裏面にフィン25を設けた基板2を用いると、放熱をより促進することができる。裏面とは、LED素子を配設した面とは反対側の面のことである。フィン25は、基板2の長手方向において連続的に形成される。フィンの構成材料として、基板と同様の材料が例示できる。図2の照明装置は、基板の裏面にフィンを設けたこと以外、図1Aの照明装置と同様である。基板が熱伝導性樹脂からなる場合、フィンを有する基板は後述する押出成形法によって製造できる。
【0013】
LED素子20は図1Aおよび図1B中、基板長手方向LDに一列かつ複数個で所定の間隔にて配設されているが、これに制限されるものではなく、例えば、長手方向LDに複数の列で、かつ複数個で配設されていてもよい。LED素子の長手方向の数、間隔および列の数および間隔は、必要な明るさに応じて適宜決定されればよい。
【0014】
電気回路部21は、LEDに電圧を供給するための配線回路であり、一般的なプリント基板やフレキシブルプリント基板を用いることができる。電気回路部21の厚みは特に制限されず、例えば、0.1〜3mmである。
【0015】
電気回路部21と基板2とは接着剤で固定するか、ネジ等で固定して一体とする。電気回路部21と基板2との間には通常は、電気絶縁層(図示せず)を設けるが、電気回路部21裏面に既に電気絶縁層があれば、さらに電気絶縁層を設ける必要はない。また、放熱促進の観点から、熱を有効に伝導する熱伝導シートを用いてもよい。熱伝導シートとしては、例えば酸化亜鉛、アルミナ、グラファイト等の熱伝導性フィラーを充填したゲルやエラストマーのシートが使用できる。
【0016】
基板2および電気回路部21の長手方向LDの長さは、設置目的や設置場所の必要に応じて適宜決定される。
【0017】
LED素子20とは、点状に発光する発光ダイオード(light emitting diode)であり、市販のものが使用できる。LED素子の市販品として、例えば、表面実装型LED(日亜化学工業社製)、表面実装型LED(豊田合成社製)、チップLED(ローム社製)等が挙げられる。
【0018】
カバーレンズ3は、LED素子20の光を発散または集光させるレンズ部31を有しながらも、基板2のLED素子配設側の面全体を覆うものである。
【0019】
レンズ部31は、カバーレンズ3におけるLED素子20の少なくとも正面部(対向部)において、LED素子側の面および外側の面として、少なくとも一方の面が平面ではない2つの面で構成される。このため、レンズ部31はLED素子20の光を発散または集光させ得る。レンズ部を構成するLED素子側の面および外側の面の両面が平面であると、当該レンズ部はLED素子の光を発散させることも、集光させることもできず、レンズ機能を発揮しないため、別部材としてレンズを使用する必要が生じ、部品点数を低減できない。
【0020】
カバーレンズ3は、具体的には、基板2の長手方向に対する垂直断面形状で表したとき、レンズ部31の両端を支持する2つの支柱部32をさらに有し、当該支柱部32で基板の短手方向両端と結合している。その結果、支柱部32は、基板2の長手方向に対する垂直断面上、レンズ部31の両端を支持しながらも、基板の両端と結合する。カバーレンズ3においてレンズ部31と支柱部32との境界は厳密に規定できるものではなく、ここでは、LED照明装置1を基板2のLED素子20側から見たとき、カバーレンズ3の前面部分をレンズ部31とし、カバーレンズ3において基板2を支持する残りの部分を支柱部32とする。特に図1A中では、便宜上、それらのおおよその境界を破線で示す。本明細書中、垂直断面とは、特記しない限り、基板2の長手方向LDに対する垂直断面を意味するものとする。
【0021】
支柱部32と基板2との結合方法は特に制限されるものではなく、例えば、公知の接着剤により結合する方法を採用してもよいが、LED照明装置の組み立て容易性の観点から、物理的結合方法を採用することが好ましい。物理的結合方法とは、接着剤等の化学薬品を用いることなく、凹部と凸部との嵌合等によって結合を物理的に達成する方法である。具体的には、例えば、支柱部32が、垂直断面形状で表したとき、LED素子20側の面に溝320を有し、当該溝320に基板2の短手方向端部を嵌合させることによって基板2の短手方向両端を支持する。
【0022】
カバーレンズ3はレンズ部31および支柱部32を備えた押出成形体である。基板2の長手方向LDが押出方向であるので、カバーレンズ3は基板の長手方向LDにおいて同じ垂直断面形状を有する。
【0023】
押出成形法とは、カバーレンズ3(レンズ部31および支柱部32)が有する所定の垂直断面形状を押出口として備えたダイから成形材料を押出成形することによって、レンズ部と支柱部とが一体化されて得られる成形方法であり、そのよう方法で形成されたものを押出成形体という。押出成形法でカバーレンズ3を製造することにより、自由な長さの長尺品としてカバーレンズ3を製造できる。
【0024】
レンズ部31および支柱部32を構成する材料は通常、同じ材料であり、詳しくは少なくとも透明または半透明の熱可塑性樹脂を含む。透明または半透明の熱可塑性樹脂の具体例として、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル酸エステル樹脂;ポリカーボネート;アクリルニトリル・スチレン共重合樹脂、ポリスチレン、メチルメタクリレート・スチレン共重合樹脂、透明アクリルニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂等のスチレン系樹脂;シクロオレフィンポリマー、シクロオレフィンコポリマー等のシクロオレフィン系樹脂等を用いることができる。
【0025】
レンズ部31および支柱部32には、上記樹脂以外に、光拡散剤等の添加剤を含有してもよい。
光拡散剤は、透過する光を拡散させ得る材料であり、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無機微粒子、ポリメチルメタアクリル酸エステル、ポリカーボネート、ポリスチレン等の有機微粒子等が挙げられる。光拡散剤の平均一次粒径は0.1〜100μmが好適である。
【0026】
レンズ部31および支柱部32は長手方向LDの長さが基板2等と略同等である。
【0027】
レンズ部31のレンズ形状に応じて、LED素子の光を発散または/および集光させることができる。
例えば、レンズ部31が凹レンズ形状を有する場合、LED素子の光を発散させる。本明細書中、凹レンズ形状とは、レンズ部を垂直断面形状で表したとき、基板短手方向の中央部の厚みが端部よりも薄くなっている形状であって、そのような垂直断面形状が基板の長手方向において維持される形状である。レンズ部31が有する凹レンズ形状の具体例として、例えば、図1A、図3および図4に示す形状が挙げられる。なお、これらの形状もまた所定の垂直断面形状が基板の長手方向において維持される形状である。図3および図4の照明装置1はいずれも、本発明の照明装置の一例の概略断面図であり、カバーレンズ3の形状が異なること以外、図1Aの照明装置1と同様である。
【0028】
図1Aのレンズ部31は、LED素子側の面が凹面であって、外側の面が平面である平凹レンズ形状を有するものである。
図3のレンズ部31は、LED素子側の面が凹面であって、外側の面が凸面であり、中央部が端部よりも厚みが薄い、凹メニスカスレンズ形状を有するものである。
図4のレンズ部31は、LED素子側の面が平面であって、外側の面が凹面である平凹レンズ形状を有するものである。
【0029】
また例えば、レンズ部31が凸レンズ形状を有する場合、LED素子の光を集光させる。本明細書中、凸レンズ形状とは、レンズ部を垂直断面形状で表したとき、基板短手方向の中央部の厚みが端部よりも厚くなっている形状であって、そのような垂直断面形状が基板の長手方向において維持される形状である。レンズ部31が有する凸レンズ形状の具体例として、例えば、図5A、図5Bおよび図5Cに示す形状が挙げられる。なお、これらの形状もまた所定の垂直断面形状が基板の長手方向において維持される形状である。図5A、図5Bおよび図5Cの照明装置1はいずれも、本発明の照明装置の一例の概略断面図であり、カバーレンズ3の形状が異なること以外、図1Aの照明装置1と同様である。
【0030】
図5Aのレンズ部31は、LED素子側の面が平面であって、外側の面が凸面である平凸レンズ形状を有するものである。
図5Bおよび図5Cのレンズ部31は、LED素子側の面が凸面であって、外側の面が平面である平凸レンズ形状を有するものである。
【0031】
特に図5Cに示す平凸レンズ形状のレンズ部31は、LED素子側の凸部311が、垂直断面形状で表したとき、LED素子側に凸の三角形状において、LED素子側の先端に溝部35が形成されてなる形状を有する。このとき、基板2はLED素子20が当該溝部35内に収容されるように配置される。溝部35は、基板の長手方向において連続的に形成される。図5Cに示す照明装置1では、LED素子20からの光が、凸部311の傾斜面310で内部反射するため、絞られた光となって前方に投射される。溝部35の長手方向LDの長さは基板2等の長手方向LDの長さと略同等である。
【0032】
集光機能を有する上記レンズ部形状において厚みを薄くしたフレネルレンズ形状も採用できる。例えば、図6に示す照明装置1は、図5Bのレンズ部31をフレネルレンズ形状にしたこと以外、図5Bの照明装置と同様である。なお、レンズ部31が当該フレネルレンズ形状を有する場合であっても、当該レンズ31は基板の長手方向において同じ断面形状を有する。図6もまた、本発明の照明装置の一例の概略断面図である。
【0033】
LED素子の光を発散および集光させ得るレンズ部31の形状の具体例として、例えば、図7A〜図7Cに示す形状が挙げられる。なお、これらの形状もまた所定の垂直断面形状が基板の長手方向において維持される形状である。図7A〜図7Cの照明装置1はいずれも、本発明の照明装置の一例の概略断面図であり、カバーレンズ3の形状が異なること以外、図1Aの照明装置1と同様である。
【0034】
図7A〜図7Cに示すレンズ部31は、垂直断面形状で表したとき、厚みが基板短手方向で規則的に変化する。これらの図では断面形状を粗く描いているが、形状を細かくすることにより、LED素子の光を拡散した光にする。
図7Aのレンズ部31は、垂直断面形状で表したとき、LED素子側の面が、LED素子側に凸の複数の半円が基板短手方向に連続的に並んだ曲線で表され、かつ外側の面が直線で表される、平面−筏面レンズ形状を有するものである。
図7Bのレンズ部31は、垂直断面形状で表したとき、LED素子側の面が、LED素子側に凸の半円と凹の半円が基板短手方向に交互に並んだ曲線で表され、かつ外側の面が直線で表される、平面−円波形面レンズ形状を有するものである。
図7Cのレンズ部31は、垂直断面形状で表したとき、LED素子側の面が、LED素子側に凸の複数の三角形が基板短手方向に連続的に並んだ折れ線で表され、かつ外側の面が直線で表される、平面−三角波形面レンズ形状を有するものである。
【0035】
支柱部32を、図8に示すように、垂直断面形状で表したとき、基板2の裏面まで伸びた形状とすることによって、LED素子の光を基板2の裏側まで誘導することができる。LED素子20の光がレンズ部31および支柱部32中、内部反射し、基板2の裏面の支柱部まで到達するためである。
【0036】
このとき基板2の基板短手方向長さを比較的短くすることによってLED素子の光を基板の裏側まで有効に到達させることができる。具体的には、垂直断面形状で表したとき、図8に示すように、支柱部32における基板2の短手方向両端との結合部位を、基板2側に突き出た突出部321を有する形状とし、当該突出部321に、基板の短手方向両端との嵌合のための溝320を設ける。これによって、基板2の基板短手方向長さを比較的短くすることができるので、LED素子の光を基板の裏面まで有効に到達させることができる。図8の照明装置1は、支柱部32の形状が異なること以外、図5Aの照明装置と同様である。
【0037】
支柱部32は基板2との接触部分を前記熱伝導性樹脂で形成させることによって、放熱を促進させることができる。例えば、図9において、支柱部32における基板2との接触部分322を熱伝導性樹脂で形成させる。熱伝導性樹脂で形成された接触部分322に後述する光遮蔽層としての機能を持たせることもできる。図9の照明装置1は、支柱部32における基板2との接触部分322を熱伝導性樹脂で形成させたこと以外、図5Aの照明装置と同様である。
【0038】
そのような接触部分322は、当該接触部分322を有する支柱部32およびレンズ部31と同時に、共押出成形法によって製造できる。
共押出成形法とは、材料の異なる部材を同時にかつ一体化して押出成形する方法である。詳しくは異なる材料を別個に溶融・押出すると同時に、それらの溶融物を、所定の垂直断面形状を押出口として備えたダイ内で一体化し、成形する方法である。
【0039】
本発明のLED照明装置1は、カバーレンズ3の外側表面および/または内側表面の一部または全面に機能層を有することができる。詳しくは、レンズ部31および/または支柱部32の外側表面および/または内側表面の一部または全面に機能層を有することができる。例えば、図10AのLED照明装置1において、機能層5は、レンズ部31および支柱部32の外側表面の一部に形成されている。また例えば、図10BのLED照明装置1において、機能層5は、レンズ部31の内側表面の全面と、レンズ部31の外側表面の一部と、支柱部32の外側表面の一部に形成されている。図10Aの照明装置1は、機能層5を設けたこと以外、図5Aの照明装置と同様である。図10Bの照明装置1は、機能層5を設けたこと以外、図1Aの照明装置と同様である。
【0040】
機能層とは、光拡散層(フロスト層)、光遮蔽層、加飾層からなる群から選択される1以上の層であり、形成される面によって適宜選択される。また機能層は2層以上で積層されて形成されてもよい。
【0041】
光拡散層とは、光の拡散を促進する機能を有する樹脂層であり、樹脂中に前記光拡散剤が分散されてなるものである)。光拡散層は、レンズ部31および/または支柱部32の外側表面および/または内側表面の一部または全面に形成できる。光拡散層を設けることにより、LED素子の点状光がぼやけて見えるようになるので、LED照明装置を直視したときの眩しさが低減される他、複数のLEDにより生じる複数の影を分散、軽減されて好ましい。
【0042】
光遮蔽層とは、光を遮蔽する機能を有する樹脂層であり、樹脂中に不透明着色剤が分散されてなるものである。光遮蔽層に含有される着色剤としては、樹脂用の一般的な着色剤が使用できる。光遮蔽層は、レンズ部31および/または支柱部32の外側表面および/または内側表面の一部に形成できる。
【0043】
加飾層とは、LED照明装置の外観性の向上を目的として形成される樹脂層であり、例えば、木目模様等種々の色柄を持った層、単なる着色層等が挙げられる。加飾層は、レンズ部31および/または支柱部32の外側表面の一部または全面に形成される。
【0044】
機能層5は、接着剤等によって貼り付けてもよいが、カバーレンズ3(支柱部32およびレンズ部31)と同時に、共押出成形法によって製造されることが好ましい。共押出成形法によって、カバーレンズ3および当該カバーレンズ3に一体化された機能層5が同時に製造できる。
【0045】
本発明のLED照明装置1の組み立て(製造)および設置は例えば、以下の方法によって達成できる。
まず、LED素子20が配設された基板2を予め目的場所にネジで固定・設置する。次いで、当該基板2の垂直断面における両端部に対してカバーレンズ3の溝320を嵌合させながら、カバーレンズ3をスライド挿入することによって組み立てを達成できる。
【0046】
別法として、取付金具を用いる。まず、取付金具を予め目的場所に固定する。一方で、LED素子20が配設された基板2の垂直断面における両端部に対してカバーレンズ3の溝320を嵌合させながら、カバーレンズ3をスライド挿入することによってLED照明装置1を組み立てる。次いで、固定された取付金具に対して、LED照明装置1をネジで固定・設置する。この場合、図11に示すように、外側に開いた折り返し部51を先端に設けて取付金具50を弾性的に幅方向内側にしなる形状にしておくこと、および支柱部32におけるレンズ部31とは反対側の端部を、垂直断面上、延伸させて当該取付金具50の折り返し部51が引っ掛かる突起部323を設けた形状としておくことにより、LED照明装置1を取付金具の前から弾性的にはめ込み固定することができる。図11の照明装置1は、支柱部32におけるレンズ部31とは反対側の端部を取付金具50の折り返し部51が引っ掛かる形状としたこと以外、図1Aの照明装置と同様である。図11において、取付金具50は基板2と同等の長手方向長さを有さなければならないというわけではなく、照明装置1は長手方向について少なくとも2箇所で取付金具50を用いて固定されればよい。
【0047】
本発明のLED照明装置1の長手方向の端面は、別の端部カバー(図なし)により被うか、照明装置を設置場所に埋め込んで被う。
【0048】
本発明のLED照明装置1は、構造面から幅(基板短手方向SDの長さ)や奥行き(厚み)の小さい照明装置とすることができる。本発明のLED照明装置1は、店舗や住宅の間接照明、工場等の作業用手元照明に有用であり、特に、商品陳列棚の棚下照明、廊下、階段、その他の場所での足下照明、などにも有用である。
【0049】
以上に説明したLED照明装置は、複数のLED素子が基板の一方の面上に配設されたものであるが、複数のLED素子が基板の両方の面上に配設されたものであってもよい。すなわち、本発明は、複数のLED素子が基板の一方の面上に配設され、当該基板のLED素子配設側の一方の面全体をカバーレンズで覆うLED照明装置だけでなく、複数のLED素子が基板の両方の面上に配設され、当該基板の両方の面全体をカバーレンズで覆うLED照明装置も包含するものである。基板の両方の面全体をカバーレンズで覆う場合、カバーレンズは、基板の一方の面を覆うものと、他方の面を覆うものとで、2つのカバーレンズが使用されてもよいし、それらのカバーレンズが一体化されたものが使用されてもよい。
【実施例】
【0050】
(実施例1)
図12に示す垂直断面形状を有するレンズ部31および支柱部32からなるカバーレンズを、共押出成形法により、機能層5とともに一体的に製造した。機能層5はレンズ部31における内側表面の全面に形成した。各部材の構成材料は以下の通りであった。カバーレンズにおける全ての部材の長手方向長さは1000mmであった。
レンズ部31および支柱部32;ポリメチルメタクリレート100重量%。
機能層5;光拡散層;ポリメチルメタクリレート95重量%+シリカ微粒子(平均一次粒径5μm)5重量%。厚み0.5mm。
【0051】
図12に示すように、基板2上に電気回路板21を接着剤で固定し、当該電気回路板の上に複数のLED素子(表面実装型LED;日亜化学工業社製)を一列で配設した。基板2と電気回路板21をエポキシ樹脂接着剤で固定した。LED素子の間隔は15mmであった。各部材の構成材料は以下の通りであった。基板2、電気絶縁層、および電気回路板21の長手方向長さは1000mmであった。
基板2;アルミニウム板。厚み1.5mm。
電気回路板21;厚み0.5mm。電気回路板21の長手方向の両端部に配線(図示せず)を電気的に連結した。
【0052】
カバーレンズ(31,32)の溝320に、LED素子付き基板の両端部を嵌合させながら、カバーレンズ3をスライド挿入して、図12に示すLED照明装置1を得た。電圧を配線間にAC100V電源から直流変換器を経て印加した。LED照明装置1をカバーレンズ3側から観察したところ、LED素子の点状光はぼやけて見えたので、LED照明装置を直視したときの眩しさは全く感じられなかった。
【0053】
(実施例2)
図13に示す垂直断面形状を有するレンズ部31および支柱部32からなるカバーレンズを、共押出成形法により、機能層5とともに一体的に製造した。機能層5は溝35における内側表面の全面に形成した。各部材の構成材料は以下の通りであった。カバーレンズにおける全ての部材の長手方向長さは1000mmであった。
レンズ部31および支柱部32;ポリメチルメタクリレート100重量%。
機能層5;光拡散層;ポリメチルメタクリレート95重量%+シリカ微粒子(平均一次粒径5μm)5重量%。厚み0.5mm。
【0054】
実施例1と同様の方法でLED素子付き基板2を得た。
【0055】
カバーレンズ(31,32)の溝320に、LED素子付き基板の両端部を嵌合させながら、カバーレンズ3をスライド挿入して、図13に示すLED照明装置1を得た。電圧を配線間にAC100V電源から直流変換器を経て印加した。LED照明装置1をカバーレンズ3側から観察したところ、レンズ部は集光機能を有していた。一方で、LED素子の点状光はぼやけて見えたので、LED照明装置を直視したときの眩しさはほとんど感じられなかった。
【符号の説明】
【0056】
1:LED照明装置
2:基板
3:カバーレンズ
5:機能層
20:LED素子
21:電気回路部
23:配線
25:フィン
31:レンズ部
32:支柱部
50:取付金具
51:折り返し部
320:溝
321:突出部
322:支柱部における基板との接触部分
323:突起部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略長方形の基板;
該基板の少なくとも一方の面上、長手方向に配設された複数のLED素子;および
該LED素子の光を発散または集光させるレンズ部を有し、かつ、前記基板のLED素子配設側の面全体を覆うカバーレンズ;
を備えたLED照明装置。
【請求項2】
カバーレンズが、基板の長手方向に対する垂直断面形状で表したとき、レンズ部の両端を支持する2つの支柱部をさらに有し、該支柱部で基板の短手方向両端と結合する請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
支柱部が、基板の長手方向に対する垂直断面形状で表したとき、LED素子側の面に溝を有し、該溝に基板の端部を嵌合させることによって、支柱部と基板の短手方向両端との結合を達成する請求項2に記載のLED照明装置。
【請求項4】
支柱部における基板の短手方向両端との結合部位が、基板の長手方向に対する垂直断面形状で表したとき、基板側に突き出た突出部を有し、該突出部に、基板の短手方向両端との嵌合のための溝を有する請求項3に記載のLED照明装置。
【請求項5】
支柱部における基板との接触部分が熱伝導性樹脂で形成される請求項2〜4のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項6】
カバーレンズが押出成形体である請求項1〜5のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項7】
カバーレンズが少なくとも透明または半透明の熱可塑性樹脂を含む請求項1〜6のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項8】
レンズ部が凹レンズ形状を有する請求項1〜7のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項9】
レンズ部が凸レンズ形状を有する請求項1〜7のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項10】
レンズ部が、LED素子側の面が凸面であって、外側の面が平面である平凸レンズ形状を有し、LED素子側の凸部が、基板の長手方向に対する垂直断面形状で表したとき、LED素子側に凸の三角形状において、LED素子側の先端に溝部が形成されてなる形状を有し、LED素子が該溝部内に収容されるように基板が配置される請求項1〜7のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項11】
レンズ部が、基板の長手方向に対する垂直断面形状で表したとき、LED素子側の面が、LED素子側に凸の複数の半円が基板短手方向に連続的に並んだ曲線で表され、かつ外側の面が直線で表される、平面−筏面レンズ形状を有する請求項1〜7のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項12】
レンズ部が、基板の長手方向に対する垂直断面形状で表したとき、LED素子側の面が、LED素子側に凸の半円と凹の半円が基板短手方向に交互に並んだ曲線で表され、かつ外側の面が直線で表される、平面−円波形面レンズ形状を有する請求項1〜7のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項13】
レンズ部が、基板の長手方向に対する垂直断面形状で表したとき、LED素子側の面が、LED素子側に凸の複数の三角形が基板短手方向に連続的に並んだ折れ線で表され、かつ外側の面が直線で表される、平面−三角波形面レンズ形状を有する請求項1〜7のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項14】
カバーレンズが外側表面および/または内側表面の一部または全面に機能層を有する請求項1〜13のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項15】
機能層が、光拡散層、光遮蔽層、加飾層からなる群から選択される1以上の層である請求項14に記載のLED照明装置。
【請求項16】
機能層が、カバーレンズと同時に、共押出成形法によって製造される請求項14または15に記載のLED照明装置。
【請求項17】
基板が、LED素子を配設した面とは反対側の面にフィンを有する請求項1〜16のいずれかに記載のLED照明装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−119185(P2012−119185A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268398(P2010−268398)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000001096)倉敷紡績株式会社 (296)
【Fターム(参考)】