説明

LED照明装置

【課題】 小型のLED照明装置に好適な水冷式の放熱機構を備えたLED照明装置を提供する。
【解決手段】 LED4と、LED4に熱的に接続された放熱チャンバ58と、冷媒液が貯められる第1及び第2チャンバ22,24と、第1及び第2チャンバを22,24相互に連通する連通流路26と、連通流路26に配設され、第1チャンバ22から第2チャンバ24への冷媒液の流れを阻止する逆止弁28と、第1チャンバ22内に圧縮空気を供給するための圧縮空気供給手段30と、第1チャンバ22の冷媒液を放熱チャンバ58に送給するための第1冷媒液送給流路38と、放熱チャンバ58からの冷媒液を第2チャンバ24に送給するための第2冷媒液送給流路46と、を備える。第2チャンバ24の内部は大気と連通され、開閉弁36により第1チャンバ22の内部と大気との連通及び遮断が切り替えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを光源とするLED照明装置に関し、より詳しくは、LEDの熱を冷媒液により放熱させる水冷式のLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDを光源とするLED照明装置では、LEDの発光に伴って熱が発生し、LEDの温度が上昇するに従ってその発光効率が低下する。このような発光効率の低下を防止するためには、LEDの熱を放熱させる必要があり、その放熱方式としては、冷却風によりLEDの熱を放熱させる空冷式と、LEDの近傍に配設したパイプ等に冷媒液を流すことによってLEDの熱を放熱させる水冷式とが存在する。一般に、水冷式は空冷式よりも放熱効率が高いことが知られている。
【0003】
特許文献1には、水冷式によりLEDの熱を放熱させるLED照明装置が開示されている。この従来のLED照明装置の放熱機構は、LEDを通して冷媒液を循環させるための第1循環流路と、第1循環流路に配設された第1循環ポンプと、冷却水を供給するための冷却水供給源と、冷却水供給源からの冷却水を循環させるための第2循環流路と、第2循環流路に配設された第2循環ポンプと、第1循環流路を流れる冷媒液と第2循環流路を流れる冷却水との間で熱交換を行うための熱交換器と、を備えている。第1及び第2循環ポンプは、例えばエンペラー式やピストン式の揚水ポンプ等から構成されている。熱交換器における熱交換によって冷却された冷媒液が第1循環流路を流れることにより、LEDの熱が放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−291995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述のような従来のLED照明装置では、第1及び第2循環ポンプや熱交換器、冷却水供給源等の構成部品によって放熱機構が大型化してしまうため、装置全体が大型化してしまい、小型のLED照明装置(例えば、紫外線照射装置など)には上述した従来の放熱機構を採用することは難しいという問題があった。
【0006】
また、小型のLED照明装置では、LEDを通して冷媒液を循環させるための第1循環流路は比較的小径(例えば1〜2mm程度)且つ長尺(例えば100〜200cm程度)となるため、上述した従来の放熱機構による第1循環ポンプでは、その吐出力をこのような小径且つ長尺の第1循環流路に効率良く作用させることが難しいという問題があった。これを解決するには、第1循環ポンプの吐出容量を増大させる方法が考えられるが、このような方法では、第1循環ポンプが大型化して装置全体が大型化してしまい、また、第1循環ポンプの吐出力が第1循環流路以外の部位に分散してしまうため、例えば第1循環ポンプと第1循環流路の接続部等の強度を高めなければならず、装置が大がかりなものになってしまう。また、第1循環流路内の圧力が高まると、第1循環ポンプが自らの吐出力を受けて停止してしまうおそれがある。
【0007】
本発明の目的は、小型のLED照明装置に好適な水冷式の放熱機構を備えたLED照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載のLED照明装置では、光源手段と、前記光源手段を冷却するための冷媒液を供給するための冷媒液供給手段と、前記冷媒液供給手段からの冷媒液を前記光源手段を通して循環させるための冷媒液循環手段と、を備え、
前記光源手段は、LEDと、前記LEDの熱を放熱させるための放熱流路と、を有し、前記冷媒液供給手段は、冷媒液が貯められる第1及び第2チャンバと、前記第1及び第2チャンバを相互に連通する連通流路と、前記連通流路に配設され、前記第1チャンバから前記第2チャンバへの冷媒液の流れを阻止する逆止弁と、前記第1チャンバに圧縮空気を供給するための圧縮空気供給手段と、前記第1チャンバの内部と大気との連通及び遮断を切り替えるための開閉弁と、を有し、前記冷媒液循環手段は、前記第1チャンバの冷媒液を前記放熱流路に送給するための第1冷媒液送給流路と、前記放熱流路からの冷媒液を前記第2チャンバに送給するための第2冷媒液送給流路と、を有し、前記第2チャンバの内部は大気と連通されるように構成されており、
前記開閉弁が閉状態に保持されると、前記第1チャンバの内部は大気と遮断され、前記第1チャンバに供給された圧縮空気の圧力によって、前記第1チャンバの冷媒液が前記第1冷媒液送給流路を通して前記放熱流路に送給されるとともに、前記放熱流路からの冷媒液が前記第2冷媒液送給流路を通して前記第2チャンバに送給され、また、前記開閉弁が開状態に保持されると、前記第1チャンバの内部は大気と連通され、前記第2チャンバの冷媒液が前記連通流路を通して前記第1チャンバに流入されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載のLED照明装置では、前記第2チャンバは前記第1チャンバの上方に配設されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項3に記載のLED照明装置では、光源手段と、前記光源手段を冷却するための冷媒液を供給するための冷媒液供給手段と、前記冷媒液供給手段からの冷媒液を前記光源手段を通して循環させるための冷媒液循環手段と、を備え、
前記光源手段は、LEDと、前記LEDの熱を放熱させるための放熱流路と、を有し、前記冷媒液供給手段は、冷媒液が貯められる第1及び第2チャンバと、前記第1及び第2チャンバに圧縮空気を供給するための圧縮空気供給手段と、前記第1チャンバの内部と大気との連通及び遮断並びに前記第2チャンバの内部と大気との連通及び遮断をそれぞれ切り替えるための切替手段と、を有し、前記冷媒液循環手段は、前記第1チャンバの内部と前記放熱流路とを連通する第1冷媒液送給流路と、前記第2チャンバの内部と前記放熱流路とを連通する第2冷媒液送給流路と、を有しており、
前記切替手段により前記第1チャンバの内部が大気と遮断され且つ前記第2チャンバの内部が大気と連通された状態で、前記圧縮空気供給手段からの圧縮空気が前記第1チャンバに供給されると、前記第1チャンバの冷媒液が前記第1冷媒液送給流路、前記放熱流路及び前記第2冷媒液送給流路を通して前記第2チャンバに送給され、また、前記切替手段により前記第1チャンバの内部が大気と連通され且つ前記第2チャンバの内部が大気と遮断された状態で、前記圧縮空気供給手段からの圧縮空気が前記第2チャンバに供給されると、前記第2チャンバの冷媒液が前記第2冷媒液送給流路、前記放熱流路及び前記第1冷媒液送給流路を通して前記第1チャンバに送給されることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項4に記載のLED照明装置では、前記切替手段は、前記第1チャンバの内部が大気と連通される状態及び前記第1チャンバの内部が前記圧縮空気供給手段と連通される状態に切り替えられる第1三方弁と、前記第2チャンバの内部が大気と連通される状態及び前記第2チャンバの内部が前記圧縮空気供給手段と連通される状態に切り替えられる第2三方弁と、を有しており、
前記第1三方弁により前記第1チャンバの内部が前記圧縮空気供給手段と連通され且つ前記第2三方弁により前記第2チャンバの内部が大気と連通された状態で、前記圧縮空気供給手段からの圧縮空気が前記第1チャンバに供給されると、前記第1チャンバの冷媒液が前記第1冷媒液送給流路、前記放熱流路及び前記第2冷媒液送給流路を通して前記第2チャンバに送給され、また、前記第1三方弁により前記第1チャンバの内部が大気と連通され且つ前記第2三方弁により前記第2チャンバの内部が前記圧縮空気供給手段と連通された状態で、前記圧縮空気供給手段からの圧縮空気が前記第2チャンバに供給されると、前記第2チャンバの冷媒液が前記第2冷媒液送給流路、前記放熱流路及び前記第1冷媒液送給流路を通して前記第1チャンバに送給されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項5に記載のLED照明装置では、前記切替手段は、前記第1チャンバの内部が大気と連通される開状態及び前記第1チャンバの内部が大気と遮断される閉状態に保持される第1開閉弁と、前記第2チャンバの内部が大気と連通される開状態及び前記第2チャンバの内部が大気と遮断される閉状態に保持される第2開閉弁と、を有し、前記圧縮空気供給手段は、前記第1チャンバに圧縮空気を供給する第1圧縮空気供給手段と、前記第2チャンバに圧縮空気を供給する第2圧縮空気供給手段と、を有しており、
前記第1開閉弁が閉状態に保持され且つ前記第2開閉弁が開状態に保持された状態で、前記第1圧縮空気供給手段からの圧縮空気が前記第1チャンバに供給されると、前記第1チャンバの冷媒液が前記第1冷媒液送給流路、前記放熱流路及び前記第2冷媒液送給流路を通して前記第2チャンバに送給され、また、前記第1開閉弁が開状態に保持され且つ前記第2開閉弁が閉状態に保持された状態で、前記第2圧縮空気供給手段からの圧縮空気が前記第2チャンバに供給されると、前記第2チャンバの冷媒液が前記第2冷媒液送給流路、前記放熱流路及び前記第1冷媒液送給流路を通して前記第1チャンバに送給されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項6に記載のLED照明装置では、前記光源手段を収容するためのヘッド部と、前記冷媒液供給手段を収容するためのコントロールボックス部と、前記冷媒液循環手段を収容するためのケーブル部と、を更に備え、
前記光源手段の前記LEDは、紫外線を照射するUVLEDであり、前記コントロールボックス部には、前記LEDを点灯制御するための電源制御部が更に収容され、前記ケーブル部には、前記ヘッド部の前記LEDと前記コントロールボックス部の前記電源制御部とを電気的に接続するための電力ケーブルが更に収容されることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項7に記載のLED照明装置では、前記放熱流路は放熱チャンバから構成され、前記ヘッド部には、前記LEDが取り付けられる取付基板が更に収容され、前記取付基板は、前記放熱チャンバの一側面を規定し、前記ヘッド部は、前記放熱チャンバの残りの側面を規定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載のLED照明装置によれば、相互に連通された第1及び第2チャンバが設けられ、第1チャンバの内部は開閉弁によって大気との連通及び遮断が切り替えられ、第2チャンバの内部は大気と連通されている。開閉弁によって第1チャンバの内部が大気と遮断されると、第1チャンバに供給された圧縮空気の圧力によって、第1チャンバの冷媒液が第1冷媒液送給流路を通して放熱流路に送給されるとともに、放熱流路からの冷媒液が第2冷媒液送給流路を通して第2チャンバに送給される。このような構成であるので、従来のようにエンペラー式やピストン式の揚水ポンプ等を用いることなく冷媒液を循環させることができ、LED照明装置の放熱機構を小型化することができる。それ故に、小型のLED照明装置に好適な水冷式の放熱機構を備えたLED照明装置を提供することができる。また、第1チャンバに供給された圧縮空気の圧力によって、第1チャンバの冷媒液が第1冷媒液送給流路に押し出されて循環されるので、第1及び第2冷媒液送給流路が比較的小径(例えば1〜2mm程度)且つ長尺(例えば100〜200cm程度)であっても、冷媒液を第1及び第2冷媒液送給流路にスムーズに循環させることができる。また、第1チャンバに供給される圧縮空気の圧力の大きさは、少なくとも第1チャンバの冷媒液を第1冷媒液送給流路に押し出すことのできる程度の大きさでよいため、装置全体をコンパクトなものにすることができる。
【0016】
また、本発明の請求項2に記載のLED照明装置によれば、第2チャンバは第1チャンバの上方に配設されているので、第1チャンバ内の冷媒液と第2チャンバ内の冷媒液との間に重力差が生じるようになる。これにより、開閉弁が開状態に保持された際に、第2チャンバの冷媒液を連通流路を通して第1チャンバに効率良く流入させることができる。
【0017】
また、本発明の請求項3に記載のLED照明装置によれば、冷媒液供給手段は、第1及び第2チャンバと、第1及び第2チャンバに圧縮空気を供給するための圧縮空気供給手段と、第1チャンバの内部と大気との連通及び遮断並びに第2チャンバの内部と大気との連通及び遮断をそれぞれ切り替えるための切替手段と、を有している。切替手段により第1チャンバ(第2チャンバ)の内部が大気と遮断され且つ第2チャンバ(第1チャンバ)の内部が大気と連通された状態で、圧縮空気供給手段からの圧縮空気が第1チャンバ(第2チャンバ)に供給されると、第1チャンバ(第2チャンバ)の冷媒液が第1冷媒液送給流路(第2冷媒液送給流路)、放熱流路及び第2冷媒液送給流路(第1冷媒液送給流路)を通して第2チャンバ(第1チャンバ)に送給される。このような構成であるので、従来のようにエンペラー式やピストン式の揚水ポンプ等を用いることなく冷媒液を循環させることができ、LED照明装置の放熱機構を小型化することができる。それ故に、小型のLED照明装置に好適な水冷式の放熱機構を備えたLED照明装置を提供することができる。また、第1チャンバ(第2チャンバ)に供給された圧縮空気の圧力によって、第1チャンバ(第2チャンバ)の冷媒液が第1冷媒液送給流路(第2冷媒液送給流路)に押し出されて循環されるので、第1及び第2冷媒液送給流路が比較的小径(例えば1〜2mm程度)且つ長尺(例えば100〜200cm程度)であっても、冷媒液を第1及び第2冷媒液送給流路にスムーズに循環させることができる。また、第1チャンバ(第2チャンバ)に供給される圧縮空気の圧力の大きさは、少なくとも第1チャンバ(第2チャンバ)の冷媒液を第1冷媒液送給流路(第2冷媒液送給流路)に押し出すことのできる程度の大きさでよいため、装置全体をコンパクトなものにすることができる。
【0018】
また、本発明の請求項4に記載のLED照明装置によれば、切替手段は、第1チャンバの内部が大気と連通される状態及び第1チャンバの内部が圧縮空気供給手段と連通される状態に切り替えられる第1三方弁と、第2チャンバの内部が大気と連通される状態及び第2チャンバの内部が圧縮空気供給手段と連通される状態に切り替えられる第2三方弁と、を有している。これら第1及び第2三方弁をそれぞれ所要の通りに切り替えることによって、第1チャンバの冷媒液が第1冷媒液送給流路、放熱流路及び第2冷媒液送給流路を通して第2チャンバに送給される第1の冷媒液循環状態と、第2チャンバの冷媒液が第2冷媒液送給流路、放熱流路及び第1冷媒液送給流路を通して第1チャンバに送給される第2の冷媒液循環状態とにスムーズに切り替えることができる。また、第1及び第2チャンバに圧縮空気を供給するための圧縮空気供給手段は1つでよいので、部品点数の削減及びLED照明装置の小型化を図ることができる。
【0019】
また、本発明の請求項5に記載のLED照明装置によれば、切替手段は、第1チャンバの内部が大気と連通される開状態及び第1チャンバの内部が大気と遮断される閉状態に保持される第1開閉弁と、第2チャンバの内部が大気と連通される開状態及び第2チャンバの内部が大気と遮断される閉状態に保持される第2開閉弁と、を有している。また、圧縮空気供給手段は、第1チャンバに圧縮空気を供給する第1圧縮空気供給手段と、第2チャンバに圧縮空気を供給する第2圧縮空気供給手段と、を有している。これら第1及び第2開閉弁をそれぞれ所要の通りに開閉することによって、第1チャンバの冷媒液が第1冷媒液送給流路、放熱流路及び第2冷媒液送給流路を通して第2チャンバに送給される第1の冷媒液循環状態と、第2チャンバの冷媒液が第2冷媒液送給流路、放熱流路及び第1冷媒液送給流路を通して第1チャンバに送給される第2の冷媒液循環状態とにスムーズに切り替えることができる。
【0020】
また、本発明の請求項6に記載のLED照明装置によれば、ヘッド部には光源手段が収容され、コントロールボックス部には冷媒液供給手段及び電源制御部が収容され、またケーブル部には冷媒液循環手段及び電力ケーブルが収容される。従って、このような紫外線照射装置としての構成を有するLED照明装置において、冷媒液供給手段及び冷媒液循環手段をコンパクトに収容することができ、装置全体をコンパクトなものとすることができる。
【0021】
また、本発明の請求項7に記載のLED照明装置によれば、UVLEDが熱的に取り付けられる取付基板は、放熱流路としての放熱チャンバの一側面を規定し、ヘッド部は、放熱チャンバの残りの側面を規定するので、放熱チャンバをコンパクトに構成することができるとともに、LEDの熱を取付基板を介して放熱チャンバ内の冷媒液に効率良く伝達させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態によるLED照明装置を示す斜視図である。
【図2】図1のLED照明装置の放熱機構を簡略的に示す断面図である。
【図3】図2のヘッド部を拡大して示す断面図である。
【図4】図2の開閉弁の開閉制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2の実施形態によるLED照明装置の放熱機構を簡略的に示す断面図である。
【図6】図5の第1及び第2三方弁の切替制御の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施形態によるLED照明装置の放熱機構を簡略的に示す断面図である。
【図8】図7の第1及び第2開閉弁の開閉制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明に従うLED照明装置の種々の実施形態について説明する。
[第1の実施形態]
まず、図1〜図4を参照して、第1の実施形態のLED照明装置について説明する。図1は、本発明の第1の実施形態によるLED照明装置を示す斜視図であり、図2は、図1のLED照明装置の放熱機構を簡略的に示す断面図であり、図3は、図2のヘッド部を拡大して示す断面図であり、図4は、図2の開閉弁の開閉制御の流れを示すフローチャートである。
【0024】
図1〜図3を参照して、本実施形態のLED照明装置2は、ワーク(図示せず)に対して紫外線をスポット状に照射するスポット型の紫外線照射装置から構成されており、この紫外線照射装置は、例えば紫外線硬化型樹脂の硬化や紫外線インクの乾燥、紫外線塗料の乾燥等に用いられる。このLED照明装置2は、LED4が収容されるヘッド部6と、LED4を点灯制御するための電源制御部(図示せず)が収容されるコントロールボックス部8と、ヘッド部6のLED4とコントロールボックス部8の電源制御部とを電気的に接続するための電力ケーブル10が収容されるケーブル部12と、を備えている。
【0025】
コントロールボックス部8の前面パネル14には、電源制御部等を所要の通りに駆動制御するための複数の操作スイッチ16と、所定の数値等をデジタル表示するための表示器18と、第1及び第2チャンバ22,24(後述する)における冷却水(冷媒液を構成する)の流れを外部より確認するための表示パネル20とが設けられている。また、ケーブル部12は細長いパイプ状に形成され、ケーブル部12の一端部はヘッド部6に接続され、その他端部はコントロールボックス部8の前面パネル14に接続されている。操作スイッチ16を操作すると電源制御部が駆動され、電源制御部からの駆動電力が電力ケーブル10を介してヘッド部6のLED4に供給されてLED4が点灯される。
【0026】
本実施形態のLED照明装置2では、ヘッド部6のLED4の熱を放熱させるための水冷式の放熱機構を備えており、以下、この放熱機構の構成について説明する。コントロールボックス部8の内部には、第1チャンバ22及び第2チャンバ24が配設されており、第2チャンバ24は、第1チャンバ22の上方に配設されている。第1チャンバ22及び第2チャンバ24の内部にはそれぞれ、冷却水を貯めるための貯め空間25,27が形成されている。第1チャンバ22と第2チャンバ24とは連通流路26を介して連通され、この連通流路26には、第2チャンバ24から第1チャンバ22への冷却水の流れを許容するとともに第1チャンバ22から第2チャンバ24への冷却水の流れを阻止する逆止弁28が配設されている。
【0027】
第1チャンバ22には、圧縮空気を供給するためのコンプレッサ30(圧縮空気供給手段を構成する)が圧縮空気供給管32を介して接続されている。また、第1チャンバ22には、その内部と大気とを連通するための第1大気連通管34が接続され、この第1大気連通管34には開閉弁36が配設されている。なお、第1大気連通管34には、外部からの塵埃等が第1チャンバ22内に侵入するのを防止するためのフィルタ(図示せず)を設けるのが好ましい。また、第1チャンバ22には、第1チャンバ22内の冷却水をヘッド部6に送給するための第1冷却水送給管38(第1冷媒液送給流路を構成する)の一端部が接続されている。この第1冷却水送給管38は可撓性を有するチューブなどから構成され、その直径D1は例えば1〜2mm程度、その長さは例えば100〜200cm程度に構成されている。第1チャンバ22の外側面には放熱フィン40が設けられ、コントロールボックス部8の内部には、この放熱フィン40に冷却風を送るための送風ファン42が配設されている。送風ファン42からの冷却風が放熱フィン40に作用することにより、第1チャンバ22内の冷却水の熱が第1チャンバ22を介して放熱フィン40に伝達され、放熱フィン40より大気中に放熱される。なお、第1チャンバ22及び放熱フィン40は、熱伝導性を有する金属(例えばアルミニウム)から形成される。
【0028】
第2チャンバ24には第2大気連通管44が接続され、第2チャンバ24の内部は、この第2大気連通管44を通して大気と常時連通されている。なお、第2大気連通管44には、外部からの塵埃等が第2チャンバ24内に侵入するのを防止するためのフィルタ(図示せず)を設けるのが好ましい。また、第2チャンバ24には、ヘッド部6からの冷却水を第2チャンバ24内に送給するための第2冷却水送給管46(第2冷媒液送給流路を構成する)の一端部が接続されている。この第2冷却水送給管46は可撓性を有するチューブなどから構成され、その直径D2は例えば1〜2mm程度、その長さは例えば100〜200cm程度に構成されている。
【0029】
コントロールボックス部8の内部には、開閉制御部(図示せず)及びタイマ(図示せず)が設けられている。タイマは、LED4の点灯開始時から第1の時間(例えば70秒)が経過するのを計測し、次いで、第1の時間の経過時から第2の時間(例えば10秒)が更に経過するのを計測し、その後、第2の時間の経過時から第1の時間が更に経過するのを計測し、このように第1の時間及び第2の時間の経過を交互に繰り返し計測する。開閉制御部は、タイマの計測時間に基づいて、開閉弁36を開閉制御する。即ち、開閉制御部は、LED4の点灯開始時又は第2の時間の経過時から第1の時間が経過するまでの間は、開閉弁36を閉状態に保持し、また第1の時間の経過時から第2の時間が経過するまでの間は、開閉弁36を開状態に保持する。開閉弁36が閉状態に保持されると、第1チャンバ22の内部は大気と遮断され、また開閉弁36が開状態に保持されると、第1チャンバ22の内部は大気と連通される。
【0030】
ヘッド部6は、LED4を支持するための円筒状の第1ヘッド本体部48と、集光レンズ50を支持するための円筒状の第2ヘッド本体部52と、を備え、第1及び第2ヘッド本体部48,52は相互に連結されている。
【0031】
第1ヘッド本体部48の一端部には開口部54が設けられ、その他端部は閉塞されている。第1ヘッド本体部48の開口部54には、LED4が実装された取付基板56が取り付けられている。LED4は、紫外線を照射するUVLEDから構成され、また取付基板56は、熱伝導性を有する金属(例えばアルミニウム)から形成されている。取付基板56の実装面には、第1ヘッド本体部48を貫通して延びる電力ケーブル10の一端部が電気的に接続されており、これによりLED4とコントロールボックス部8の電源制御部とが電力ケーブル10を介して電気的に接続される。また、取付基板56及び第1ヘッド本体部48によって放熱チャンバ58(放熱流路を構成する)が規定されており、取付基板56により放熱チャンバ58の一側面が規定され、第1ヘッド本体部48により放熱チャンバ58の残りの側面が規定されている。これにより、LED4は、放熱チャンバ58と熱的に接続されるようになる。放熱チャンバ58の内部には、冷却水が貯められる放熱空間59が形成されている。取付基板56と第1ヘッド本体部48の開口部54との間には、例えばOリングなどのシール部材60が介在されている。放熱チャンバ58の内部には、第1及び第2冷却水送給管38,46の各他端部が第1ヘッド本体部48の他端部を貫通して延びている。
【0032】
第1ヘッド本体部48の他端部には、ケーブル部12の一端部が接続されている。このケーブル部12は可撓性を有するチューブから構成され、その内部には、電力ケーブル10、第1冷却水送給管38及び第2冷却水送給管46が収容されている。
【0033】
また、第2ヘッド本体部52の両端部は開口されており、その一端部には、LED4からの紫外線を集光するための集光レンズ50が取り付けられている。第2ヘッド本体部52の他端部は、第1ヘッド本体部48の一端部に連結されている。
【0034】
なお、本実施形態のLED照明装置2において、LED4及び放熱チャンバ58は光源手段62を構成し、第1及び第2冷却水送給管38,46は冷媒液循環手段64を構成し、また第1チャンバ22、第2チャンバ24、連通流路26、逆止弁28、コンプレッサ30及び開閉弁36は冷媒液供給手段66を構成する。
【0035】
次に、図4をも参照して、本実施形態のLED照明装置2におけるLED4の熱の放熱について説明する。操作スイッチ16を操作すると(ステップS1)、LED4が点灯され(ステップS2)、タイマによる第1の時間及び第2の時間の計測が開始される(ステップS3)。また、コンプレッサ30及び送風ファン42がそれぞれ作動される(ステップS4)。LED4からの紫外線は集光レンズ50により集光され、例えば紫外線硬化型樹脂などのワーク(図示せず)に向けて照射される。コンプレッサ30からの圧縮空気は、圧縮空気供給管32を通して第1チャンバ22内に供給され、また、送風ファン42からの冷却風は、第1チャンバ22の放熱フィン40に向けて送られる。
【0036】
開閉制御部は開閉弁36を閉状態に保持し(ステップS5)、第1チャンバ22の内部は大気と遮断される。これにより、第1チャンバ22内に供給された圧縮空気の圧力により、第1チャンバ22内の冷却水が第1冷却水送給管38を通してヘッド部6の放熱チャンバ58に送給される。このようにして放熱チャンバ58に冷却水が貯められ、LED4の熱が取付基板56を介して放熱チャンバ58内の冷却水に伝達されることにより、LED4の熱が放熱される。
【0037】
LED4の熱を吸熱した放熱チャンバ58内の冷却水は、第2冷却水送給管46を通して第2チャンバ24内に送給される。このようにして、第1チャンバ22からの冷却水は、第1冷却水送給管38、放熱チャンバ58及び第2冷却水送給管46を通して第2チャンバ24に送給され、これにより冷却水は放熱チャンバ58を通して循環されるようになる(ステップS6)。このように冷却水が放熱チャンバ58を通して循環されることにより、第1チャンバ22内の冷却水の水位が低下するとともに、第2チャンバ24内の冷却水の水位が上昇する。なお、第1チャンバ22内の圧力は大気圧よりも高く、第2チャンバ24内の圧力は大気圧と等しく、この圧力差によって、第2チャンバ24内の冷却水が連通流路26を通して第1チャンバ22に流入するのが阻止される。
【0038】
LED4の点灯開始時から第1の時間(例えば70秒)が経過すると、ステップS7からステップS8に進み、開閉制御部は開閉弁36を開状態に保持する。これにより、第1チャンバ22の内部が大気と連通されるので、第1チャンバ22内の圧力及び第2チャンバ24内の圧力がともに大気圧と等しくなり、第2チャンバ24内の冷却水が連通流路26を通して第1チャンバ22内に流入するようになる。このとき、第1チャンバ22内の冷却水は第1冷却水送給管38を通して放熱チャンバ58に送給されず、冷却水の放熱チャンバ58を通しての循環は停止される(ステップS9)。なお、第2チャンバ24から第1チャンバ22に流入した冷却水の熱は、放熱フィン40より大気中に放熱される。
【0039】
その後、第1の時間の経過時から第2の時間(例えば10秒)が経過すると、ステップS10からステップS5に戻り、上述したステップS5〜ステップS10が繰り返し行われる。以上のようにして、第1の時間の間は、冷却水が放熱チャンバ58を通して循環され、第2の時間の間は、冷却水の放熱チャンバ58を通しての循環が停止される。このように、放熱チャンバ58を通しての冷却水の循環及び循環停止が交互に繰り返されることにより、LED4の熱が放熱される。
【0040】
本実施形態のLED照明装置2では、従来のようにエンペラー式やピストン式の揚水ポンプ等を用いることなく冷却水を循環させることができるので、放熱機構を小型化することができる。これにより、小型のLED照明装置2に好適な水冷式の放熱機構を備えたLED照明装置2を提供することができる。また、第1チャンバ22に供給された圧縮空気の圧力によって、第1チャンバ22内の冷却水が第1冷却水送給管38に押し出されて循環されるので、第1及び第2冷却水送給管38,46が比較的小径且つ長尺であっても、冷却水を第1及び第2冷却水送給管38,46を通してスムーズに循環させることができる。また、第1チャンバ22に供給される圧縮空気の圧力は、少なくとも第1チャンバ22の冷却水を第1冷却水送給管38に押し出すことのできる程度の大きさでよいため、コンプレッサ30の容量を小さく抑えることができ、LED照明装置2全体をコンパクトなものにすることができる。
【0041】
なお、本実施形態では、第2チャンバ24を第1チャンバ22の上方に配設するように構成したが、例えば第1及び第2チャンバ22,24を横方向に並べて配設してもよく、その配置は適宜設定することができる。
[第2の実施形態]
次に、図5及び図6を参照して、第2の実施形態のLED照明装置について説明する。図5は、本発明の第2の実施形態によるLED照明装置の放熱機構を簡略的に示す断面図であり、図6は、図5の第1及び第2三方弁の切替制御の流れを示すフローチャートである。なお、以下に示す各実施形態において、上記第1の実施形態と実質上同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0042】
図5を参照して、本実施形態のLED照明装置2Aでは、第1及び第2三方弁68,70(切替手段を構成する)が設けられている。なお、上記第1の実施形態のように、第1チャンバ22Aと第2チャンバ22Aとを相互に連通する連通流路は設けられていない。第1三方弁68は3つのポート、即ち、第1ポート72、第2ポート74及び第3ポート76を有している。第1三方弁68の第1ポート72は圧縮空気供給管78を介してコンプレッサ80(圧縮空気供給手段を構成する)と連通され、第2ポート74は第1大気連通管82を介して大気と連通され、第3ポート76は第1接続管84を介して第1チャンバ22Aの内部に連通されている。また、第2三方弁70は3つのポート、即ち、第1ポート86、第2ポート88及び第3ポート90を有している。第2三方弁70の第1ポート86は圧縮空気供給管78を介してコンプレッサ80と連通され、第2ポート88は第2大気連通管92を介して大気と連通され、第3ポート90は第2接続管94を介して第2チャンバ24Aの内部に連通されている。この第1三方弁68(第2三方弁70)は、第1ポート72(86)と第3ポート76(90)とを連通させ且つ第2ポート74(88)を閉じる第1切替状態と、第2ポート74(88)と第3ポート76(90)とを連通させ且つ第1ポート72(86)を閉じる第2切替状態とに切替自在に構成されている。第1三方弁68(第2三方弁70)が第1切替状態に保持されると、第1チャンバ22A(第2チャンバ24A)の内部は、大気と遮断されるとともにコンプレッサ80と連通される。また、第1三方弁68(第2三方弁70)が第2切替状態に保持されると、第1チャンバ22A(第2チャンバ24A)の内部は、大気と連通されるとともにコンプレッサ80と遮断される。
【0043】
なお、本実施形態のLED照明装置2Aにおいて、第1チャンバ22A、第2チャンバ24A、第1三方弁68、第2三方弁70及びコンプレッサ80は冷媒液供給手段66Aを構成する。
【0044】
コントロールボックス部8の内部には切替制御部(図示せず)及びタイマ(図示せず)が設けられている。タイマは、コンプレッサ80の作動開始時から第1の時間(例えば60秒)が経過するのを計測し、次いで、第1の時間の経過時から第2の時間(例えば60秒)が更に経過するのを計測し、その後、第2の時間の経過時から第1の時間が更に経過するのを計測し、このように第1の時間及び第2の時間の経過を交互に繰り返し計測する。切替制御部は、タイマの計測時間に基づいて第1及び第2三方弁68,70を切替制御する。即ち、切替制御部は、コンプレッサ80の作動開始時(又は第2の時間の経過時)から第1の時間が経過するまでの間は、第1三方弁68を第1切替状態に保持するとともに第2三方弁70を第2切替状態に保持し、また第1の時間の経過時から第2の時間が経過するまでの間は、第1三方弁68を第2切替状態に保持するととともに第2三方弁70を第1切替状態に保持する。
【0045】
また、ヘッド部6Aの放熱チャンバ58の一側部には、放熱チャンバ58内の冷却水の温度を検知する温度検知センサ96が埋設されている。切替制御部は、温度検知センサ96の検知温度に基づいて、コンプレッサ80を作動制御する。即ち、切替制御部は、温度検知センサ96の検知温度が所定温度(例えば60℃)を超えるとコンプレッサ80を作動させ、温度検知センサ96の検知温度が上記所定温度よりも低下するとコンプレッサ80を作動停止させる。
【0046】
次に、図6をも参照して、本実施形態のLED照明装置2AにおけるLED4の熱の放熱について説明する。操作スイッチ(図示せず)を操作すると(ステップS21)、LED4が点灯される(ステップS22)。このようにLED4が点灯すると、LED4の熱によって放熱チャンバ58内の冷却水の温度が上昇する。温度検知センサ96の検知温度が上記所定温度を超えると、ステップS23からステップS24に進み、コンプレッサ80及び送風ファン42がそれぞれ作動され、タイマによる第1の時間及び第2の時間の計測が開始される(ステップS25)。
【0047】
コンプレッサ80の作動開始時から第1の時間が経過するまでの間は、切替制御部は、第1三方弁68を第1切替状態に保持するとともに第2三方弁70を第2切替状態に保持する(ステップS26)。これにより、第1チャンバ22Aの内部は大気と遮断され、第2チャンバ24Aの内部は大気と連通される。コンプレッサ80からの圧縮空気は、圧縮空気供給管78を通して第1チャンバ22A内に供給され、第1チャンバ22Aの内部の圧力が第2チャンバ24Aの内部の圧力よりも大きくなる。この圧力差により、第1チャンバ22A内の冷却水が第1冷却水送給管38を通してヘッド部6Aの放熱チャンバ58に送給される。LED4の熱を吸熱した放熱チャンバ58内の冷却水は、第2冷却水送給管46を通して第2チャンバ24A内に送給される。このようにして、第1チャンバ22Aからの冷却水は、第1冷却水送給管38、放熱チャンバ58及び第2冷却水送給管46を通して第2チャンバ24Aに送給される(第1の冷却水循環状態)(ステップS27)。
【0048】
コンプレッサ80の作動開始時から第1の時間が経過すると、ステップS28からステップS29に進み、切替制御部は、第1三方弁68を第2切替状態に保持するとともに第2三方弁70を第1切替状態に保持する。これにより、第2チャンバ24Aの内部は大気と遮断され、第1チャンバ22Aの内部は大気と連通される。コンプレッサ80からの圧縮空気は、圧縮空気供給管78を通して第2チャンバ24A内に供給され、第2チャンバ24Aの内部の圧力が第1チャンバ22Aの内部の圧力よりも大きくなる。この圧力差により、第2チャンバ24A内の冷却水が第2冷却水送給管46を通してヘッド部6Aの放熱チャンバ58に送給される。LED4の熱を吸熱した放熱チャンバ58内の冷却水は、第1冷却水送給管38を通して第1チャンバ22A内に送給される(第2の冷却水循環状態)。
【0049】
その後、第1の時間の経過時から第2の時間が経過すると、ステップS31からステップS32に進む。温度検知センサ96の検知温度が上記所定温度より低下しているときには、ステップS32からステップS33に進み、コンプレッサ80及び送風ファン42がそれぞれ作動停止され、タイマの計測が停止される(ステップS34)。これにより、冷却水の循環が停止される(ステップS35)。その後、ステップS23に戻り、上述したステップS23〜ステップS35が繰り返し行われる。以上のようにして、第1の時間の間は、冷却水が第1冷却水送給管38、放熱チャンバ58及び第2冷却水送給管46を通して所定方向(図5において白色の矢印で示す方向)に循環され、第2の時間の間は、冷却水が第2冷却水送給管、放熱チャンバ58及び第1冷却水送給管38を通して上記所定方向と反対方向(図5において黒色の矢印で示す方向)に循環される。
[第3の実施形態]
次に、図7及び図8を参照して、第3の実施形態のLED照明装置について説明する。図7は、本発明の第3の実施形態によるLED照明装置の放熱機構を簡略的に示す断面図であり、図8は、図7の第1及び第2開閉弁の開閉制御の流れを示すフローチャートである。
【0050】
図7を参照して、本実施形態のLED照明装置2Bは、ワーク(図示せず)に対して紫外線をライン状に照射するライン型の紫外線照射装置から構成されている。ヘッド部6Bは開口部98を有するヘッド本体部100を備え、この開口部98には、複数のLED4からの紫外線を集光するためのプレート状の集光レンズ102が取り付けられている。ヘッド本体部100の内部には放熱ブロック104が配設され、この放熱ブロック104は熱伝導性を有する金属(例えばアルミニウム等)から形成されている。放熱ブロック104の内部には、放熱管106(放熱流路を構成する)が略U字状に折り返された状態で埋設されている。放熱管106の両端部はそれぞれ、ヘッド本体部100の一側部を貫通して、第1及び第2冷却水送給管38,46の各他端部に接続されている。放熱ブロック104の一側面には、複数のLED4が実装された取付基板108が取り付けられている。LED4は、紫外線を照射するUVLEDから構成され、取付基板108の実装面に所定の間隔を置いてライン状に配置されている。取付基板108は、熱伝導性を有する金属(例えばアルミニウム等)から形成されている。取付基板108の実装面には、ヘッド本体部100を貫通して延びる電力ケーブル(図示せず)の一端部が電気的に接続されており、これにより複数のLED4とコントロールボックス部8の電源制御部(図示せず)とが電力ケーブルを介して電気的に接続される。
【0051】
第1チャンバ22Bには、圧縮空気を供給するための第1コンプレッサ110(第1圧縮空気供給手段を構成する)が第1圧縮空気供給管112を介して接続されている。第1チャンバ22Bには、その内部と大気とを連通するための第1大気連通管114が接続され、この第1大気連通管114には第1開閉弁116(切替手段を構成する)が配設されている。第1開閉弁116が閉状態に保持されると、第1チャンバ22Bの内部は大気と遮断され、また第1開閉弁116が開状態に保持されると、第1チャンバ22Bの内部は大気と連通される。また、第1チャンバ22Bの内部には、第1チャンバ22B内の冷却水の水位を検知する水位検知センサ118が配設されている。第1チャンバ22Bの外側面には、ペルチェ素子120を介して放熱フィン40Bが設けられている。
【0052】
第2チャンバ24Bには、圧縮空気を供給するための第2コンプレッサ122(第2圧縮空気供給手段を構成する)が第2圧縮空気供給管124を介して接続されている。第2チャンバ24Bには、その内部と大気とを連通するための第2大気連通管126が接続され、この第2大気連通管126には第2開閉弁128(切替手段を構成する)が配設されている。第2開閉弁128が閉状態に保持されると、第2チャンバ24Bの内部は大気と遮断され、また第2開閉弁128が開状態に保持されると、第2チャンバ24Bの内部は大気と連通される。
【0053】
なお、本実施形態のLED照明装置2Bにおいて、LED4及び放熱管106は光源手段62Bを構成し、第1チャンバ22B、第2チャンバ24B、第1開閉弁116、第2開閉弁128、第1コンプレッサ110及び第2コンプレッサ122は冷媒液供給手段66Bを構成する。
【0054】
コントロールボックス部8の内部には開閉制御部(図示せず)が設けられている。開閉制御部は、水位検知センサ118の検知温度に基づいて、第1及び第2開閉弁116,128をそれぞれ開閉制御するとともに、第1及び第2コンプレッサ110,122をそれぞれ作動制御する。即ち、水位検知センサ118により冷却水の水位が所定水位を超えていることが検知されると、開閉制御部は、第1コンプレッサ110を作動させるとともに第2コンプレッサ122を作動停止させ、また、第1開閉弁116を閉状態に保持するとともに第2開閉弁128を開状態に保持する。また、水位検知センサ118により冷却水の水位が上記所定水位よりも低下していることが検知されると、開閉制御部は、第1コンプレッサ110を作動停止させるとともに第2コンプレッサ122を作動させ、また、第1開閉弁116を開状態に保持するとともに第2開閉弁128を閉状態に保持する。
【0055】
次に、図8をも参照して、本実施形態のLED照明装置2BにおけるLED4の熱の放熱について説明する。操作スイッチ(図示せず)を操作すると(ステップS41)、LED4が点灯される(ステップS42)。第1チャンバ22B内の冷却水の水位が上記所定水位を超えているときには、ステップS43からステップS44に進み、開閉制御部は、水位検知センサ118からの検知信号に基づいて、第1コンプレッサ110を作動させるとともに第2コンプレッサ122を作動停止させ(ステップS44)、また、第1開閉弁116を閉状態に保持するとともに第2開閉弁128を開状態に保持する(ステップS45)。これにより、第1チャンバ22Bの内部は大気と遮断され、第2チャンバ24Bの内部は大気と連通される。第1コンプレッサ110からの圧縮空気は、第1圧縮空気供給管112を通して第1チャンバ22B内に供給され、第1チャンバ22Bの内部の圧力が第2チャンバ24Bの内部の圧力よりも大きくなる。この圧力差により、第1チャンバ22B内の冷却水は、第1冷却水送給管38、ヘッド部6Bの放熱管106及び第2冷却水送給管46を通して第2チャンバ24Bに送給される(第1の冷却水循環状態)(ステップS46)。
【0056】
このように冷却水が循環されることにより、第1チャンバ22B内の冷却水の水位が低下するとともに、第2チャンバ24B内の冷却水の水位が上昇する。第1チャンバ22B内の冷却水の水位が上記所定水位よりも低下すると、ステップS47からステップS48に進み、開閉制御部は、第1コンプレッサ110を作動停止させるとともに第2コンプレッサ122を作動させ(ステップS48)、また、第1開閉弁116を開状態に保持するとともに第2開閉弁128を閉状態に保持する(ステップS49)。これにより、第1チャンバ22Bの内部は大気と連通され、第2チャンバ24Bの内部は大気と遮断される。第2コンプレッサ122からの圧縮空気は、第2圧縮空気供給管124を通して第2チャンバ24B内に供給され、第2チャンバ24Bの内部の圧力が第1チャンバ22Bの内部の圧力よりも大きくなる。この圧力差により、第2チャンバ24B内の冷却水は、第2冷却水送給管46、ヘッド部6Bの放熱管106及び第1冷却水送給管38を通して第1チャンバ22Bに送給される(第2の冷却水循環状態)(ステップS50)。その後、ステップS43に戻り、上述したステップS43〜ステップS50が繰り返し行われる。なお、ステップS42において、冷却水の水位が上記所定の水位よりも低下しているときには、ステップS43からステップS48に進む。
【0057】
以上のようにして、第1チャンバ22B内の冷却水の水位が上記所定水位を超えている間は、冷却水が第1冷却水送給管38、放熱管106及び第2冷却水送給管46を通して所定方向(図7において白色の矢印で示す方向)に循環され、また第1チャンバ22B内の冷却水の水位が上記所定水位よりも低下している間は、冷却水が第2冷却水送給管46、放熱管106及び第1冷却水送給管38を通して上記所定方向と反対方向(図5において黒色の矢印で示す方向)に循環される。このようにして冷却水が放熱管106を流れることにより、LED4の熱が取付基板108及び放熱ブロック104を介して放熱管106内の冷却水に伝達され、LED4の熱が放熱される。
【0058】
以上、本発明に従うLED照明装置の種々の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0059】
上記第1及び第2の実施形態では、第1ヘッド本体部48の開口部54に取付基板56を取り付けるように構成したが、この取付基板56の実装面と反対側の面に、熱伝導性を有する金属(例えばアルミニウム)から形成された放熱基板を取り付けるように構成してもよい。このように構成した場合には、放熱チャンバ58の一側面は、取付基板56及び放熱基板によって規定され、LED4の熱は、取付基板56及び放熱基板を介して放熱チャンバ58内の冷却水に伝達されるようになる。
【0060】
また、上記第1及び第2の実施形態のLED照明装置2,2Aをスポット型の紫外線照射装置から構成し、上記第3の実施形態のLED照明装置2Bをライン型の紫外線照射装置から構成したが、上記第1及び第2の実施形態のLED照明装置2,2Aをライン型の紫外線照射装置から構成し、上記第3の実施形態のLED照明装置2Bをスポット型の紫外線照射装置から構成してもよい。なお、上記各実施形態では、LED照明装置2(2A)(2B)を紫外線照射装置に適用する場合について説明したが、これに限られず、例えば画像処理検査用照明装置などのLED4を光源とする種々の照明装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
2,2A,2B LED照明装置
4 LED
6,6A,6B ヘッド部
8 コントロールボックス部
10 電力ケーブル
12 ケーブル部
22,22A,22B 第1チャンバ
24,24A,24B 第2チャンバ
26 連通流路
28 逆止弁
30,80 コンプレッサ
36 開閉弁
38 第1冷却水送給管
46 第2冷却水送給管
56 取付基板
58 放熱チャンバ
62,62B 光源手段
64 冷媒液循環手段
66,66A,66B 冷媒液供給手段
68 第1三方弁
70 第2三方弁
106 放熱管
110 第1コンプレッサ
116 第1開閉弁
122 第2コンプレッサ
128 第2開閉弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源手段と、前記光源手段を冷却するための冷媒液を供給するための冷媒液供給手段と、前記冷媒液供給手段からの冷媒液を前記光源手段を通して循環させるための冷媒液循環手段と、を備え、
前記光源手段は、LEDと、前記LEDの熱を放熱させるための放熱流路と、を有し、前記冷媒液供給手段は、冷媒液が貯められる第1及び第2チャンバと、前記第1及び第2チャンバを相互に連通する連通流路と、前記連通流路に配設され、前記第1チャンバから前記第2チャンバへの冷媒液の流れを阻止する逆止弁と、前記第1チャンバに圧縮空気を供給するための圧縮空気供給手段と、前記第1チャンバの内部と大気との連通及び遮断を切り替えるための開閉弁と、を有し、前記冷媒液循環手段は、前記第1チャンバの冷媒液を前記放熱流路に送給するための第1冷媒液送給流路と、前記放熱流路からの冷媒液を前記第2チャンバに送給するための第2冷媒液送給流路と、を有し、前記第2チャンバの内部は大気と連通されるように構成されており、
前記開閉弁が閉状態に保持されると、前記第1チャンバの内部は大気と遮断され、前記第1チャンバに供給された圧縮空気の圧力によって、前記第1チャンバの冷媒液が前記第1冷媒液送給流路を通して前記放熱流路に送給されるとともに、前記放熱流路からの冷媒液が前記第2冷媒液送給流路を通して前記第2チャンバに送給され、また、前記開閉弁が開状態に保持されると、前記第1チャンバの内部は大気と連通され、前記第2チャンバの冷媒液が前記連通流路を通して前記第1チャンバに流入されることを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
前記第2チャンバは前記第1チャンバの上方に配設されていることを特徴とする請求項1に記載のLED照明装置。
【請求項3】
光源手段と、前記光源手段を冷却するための冷媒液を供給するための冷媒液供給手段と、前記冷媒液供給手段からの冷媒液を前記光源手段を通して循環させるための冷媒液循環手段と、を備え、
前記光源手段は、LEDと、前記LEDの熱を放熱させるための放熱流路と、を有し、前記冷媒液供給手段は、冷媒液が貯められる第1及び第2チャンバと、前記第1及び第2チャンバに圧縮空気を供給するための圧縮空気供給手段と、前記第1チャンバの内部と大気との連通及び遮断並びに前記第2チャンバの内部と大気との連通及び遮断をそれぞれ切り替えるための切替手段と、を有し、前記冷媒液循環手段は、前記第1チャンバの内部と前記放熱流路とを連通する第1冷媒液送給流路と、前記第2チャンバの内部と前記放熱流路とを連通する第2冷媒液送給流路と、を有しており、
前記切替手段により前記第1チャンバの内部が大気と遮断され且つ前記第2チャンバの内部が大気と連通された状態で、前記圧縮空気供給手段からの圧縮空気が前記第1チャンバに供給されると、前記第1チャンバの冷媒液が前記第1冷媒液送給流路、前記放熱流路及び前記第2冷媒液送給流路を通して前記第2チャンバに送給され、また、前記切替手段により前記第1チャンバの内部が大気と連通され且つ前記第2チャンバの内部が大気と遮断された状態で、前記圧縮空気供給手段からの圧縮空気が前記第2チャンバに供給されると、前記第2チャンバの冷媒液が前記第2冷媒液送給流路、前記放熱流路及び前記第1冷媒液送給流路を通して前記第1チャンバに送給されることを特徴とするLED照明装置。
【請求項4】
前記切替手段は、前記第1チャンバの内部が大気と連通される状態及び前記第1チャンバの内部が前記圧縮空気供給手段と連通される状態に切り替えられる第1三方弁と、前記第2チャンバの内部が大気と連通される状態及び前記第2チャンバの内部が前記圧縮空気供給手段と連通される状態に切り替えられる第2三方弁と、を有しており、
前記第1三方弁により前記第1チャンバの内部が前記圧縮空気供給手段と連通され且つ前記第2三方弁により前記第2チャンバの内部が大気と連通された状態で、前記圧縮空気供給手段からの圧縮空気が前記第1チャンバに供給されると、前記第1チャンバの冷媒液が前記第1冷媒液送給流路、前記放熱流路及び前記第2冷媒液送給流路を通して前記第2チャンバに送給され、また、前記第1三方弁により前記第1チャンバの内部が大気と連通され且つ前記第2三方弁により前記第2チャンバの内部が前記圧縮空気供給手段と連通された状態で、前記圧縮空気供給手段からの圧縮空気が前記第2チャンバに供給されると、前記第2チャンバの冷媒液が前記第2冷媒液送給流路、前記放熱流路及び前記第1冷媒液送給流路を通して前記第1チャンバに送給されることを特徴とする請求項3に記載のLED照明装置。
【請求項5】
前記切替手段は、前記第1チャンバの内部が大気と連通される開状態及び前記第1チャンバの内部が大気と遮断される閉状態に保持される第1開閉弁と、前記第2チャンバの内部が大気と連通される開状態及び前記第2チャンバの内部が大気と遮断される閉状態に保持される第2開閉弁と、を有し、前記圧縮空気供給手段は、前記第1チャンバに圧縮空気を供給する第1圧縮空気供給手段と、前記第2チャンバに圧縮空気を供給する第2圧縮空気供給手段と、を有しており、
前記第1開閉弁が閉状態に保持され且つ前記第2開閉弁が開状態に保持された状態で、前記第1圧縮空気供給手段からの圧縮空気が前記第1チャンバに供給されると、前記第1チャンバの冷媒液が前記第1冷媒液送給流路、前記放熱流路及び前記第2冷媒液送給流路を通して前記第2チャンバに送給され、また、前記第1開閉弁が開状態に保持され且つ前記第2開閉弁が閉状態に保持された状態で、前記第2圧縮空気供給手段からの圧縮空気が前記第2チャンバに供給されると、前記第2チャンバの冷媒液が前記第2冷媒液送給流路、前記放熱流路及び前記第1冷媒液送給流路を通して前記第1チャンバに送給されることを特徴とする請求項3に記載のLED照明装置。
【請求項6】
前記光源手段を収容するためのヘッド部と、前記冷媒液供給手段を収容するためのコントロールボックス部と、前記冷媒液循環手段を収容するためのケーブル部と、を更に備え、
前記光源手段の前記LEDは、紫外線を照射するUVLEDであり、前記コントロールボックス部には、前記LEDを点灯制御するための電源制御部が更に収容され、前記ケーブル部には、前記ヘッド部の前記LEDと前記コントロールボックス部の前記電源制御部とを電気的に接続するための電力ケーブルが更に収容されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のLED照明装置。
【請求項7】
前記放熱流路は放熱チャンバから構成され、前記ヘッド部には、前記LEDが取り付けられる取付基板が更に収容され、前記取付基板は、前記放熱チャンバの一側面を規定し、前記ヘッド部は、前記放熱チャンバの残りの側面を規定することを特徴とする請求項6に記載のLED照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−23012(P2012−23012A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265982(P2010−265982)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(502231904)株式会社仲久 (4)
【Fターム(参考)】