LED照明装置
【課題】側方への照射光を簡単な機構で実現できるLED照明装置を提供する。
【解決手段】LED照明装置1が、複数のLED発光素子10が搭載される基板4と、前記基板が固定される底面と、該底面から伸びた側壁面とを有し、当該底面の対向面が開放面をなすフレーム20と、前記LED発光素子から放出された光を通過する第1の開口窓部20hを有し、前記フレームに対して前記開放面側から取り付けられる化粧カバー6と、前記第1の開口窓部を覆うように前記化粧カバーに固定され、前記LED発光素子から放出された光の一部を透過させ、一部を反射または散乱する第1の透光性プレート5と、前記側壁面の少なくとも一つに設けられ、前記第1の透光性プレートから反射または散乱された光を外部に通過させる第2の開口窓部とを備える。
【解決手段】LED照明装置1が、複数のLED発光素子10が搭載される基板4と、前記基板が固定される底面と、該底面から伸びた側壁面とを有し、当該底面の対向面が開放面をなすフレーム20と、前記LED発光素子から放出された光を通過する第1の開口窓部20hを有し、前記フレームに対して前記開放面側から取り付けられる化粧カバー6と、前記第1の開口窓部を覆うように前記化粧カバーに固定され、前記LED発光素子から放出された光の一部を透過させ、一部を反射または散乱する第1の透光性プレート5と、前記側壁面の少なくとも一つに設けられ、前記第1の透光性プレートから反射または散乱された光を外部に通過させる第2の開口窓部とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のLED発光素子により照明を行うLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置として、例えば蛍光灯の場合、蛍光管のほぼ全周にわたって光を照射することが可能であるため、部屋の照明として、床面のみならず、設置面である天井面や、側方の壁面を照らすのにも適している。例えば特許文献1には、照明装置の側面に透光用開口を設けることで、蛍光管から出射された光を側方に照射するように構成されたものが記載されている(図1参照)。
【0003】
その一方、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いたLED照明灯が種々提案されており、省エネルギーの観点から鉄道車両においても採用が検討されつつある。LEDは、蛍光灯に比べて、消費電力が低く、長寿命であるため、照明器具として最近注目されているが、一般に、指向性が高いため、LED素子単体では、側方への照射光が期待できない。
【0004】
特許文献2には、基板上にLED素子を実装してなる照明器具を複数個用意し、これらを透光性チューブ内にそれぞれ向きを変えて設置することにより、側方への照射光を得るようにした照明装置が記載されている(図15参照)。
【0005】
また、特許文献3には、それぞれ複数のLED素子が搭載された2つの基板を用意し、これらを直線状の管の内部に対向配置させることにより、管のほぼ全周から照射光を得るようにした照明装置が記載されている(図2、図3参照)。さらに、特許文献3には、管の内部に反射面を設け、LED素子からの出射光をこの反射面で反射させることにより、側方への照射光を得るようにした構成についても記載されている(図4ないし図7参照)。
【0006】
さらに、特許文献4には、発光素子列を備え、棚板の下面又は下部に取り付け可能な棚構造の照明装置であって、棚板の下面又は下部に取り付け可能なフレームと、このフレーム内に装着可能な発光素子列と、前記フレームの前方域、上方域及び下方域のうち少なくとも1つの領域に形成された透光部とを備えており、前記発光素子列からの発光で前記透光部を照明可能である棚構造の照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−273385号公報
【特許文献2】特開2002−197901号公報
【特許文献3】特表2011−508380号公報
【特許文献4】特開2010−251294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
車両、特に鉄道車両は長尺で客室内の全長にわたり所定の照度で均等に照明するために、客室用主照明装置として、複数の照明装置、一般的には長尺の蛍光灯、が車両の天井に長手方向に連続して設けられている。客室内を均等に照明するために、照明装置からの光の照明は、主発光面として発光させることに加えて、側方への配光も必要とされる場合が多い。
【0009】
しかしながら、蛍光灯を前提とした特許文献1に記載の装置を、そのままLED照明灯を用いた客室用の主照明装置に適用することは困難である。
【0010】
また、上記特許文献2に記載のLED照明灯は、各々別々の基板に面実装された複数のLED素子を用意して、これらを透光性チューブの内部に組み付ける必要があり、装置全体の構成が複雑である。また、特許文献3に記載のLED照明灯は、複数のLED素子がそれぞれ実装された2つの基板を用意して、これらを管の内部に組み付ける必要がある。また、管の内部に新たに反射面を設ける必要があり、同様に、装置全体の構成が複雑になる。
【0011】
なお、LED素子から出射された光を側方に配光させるために、LED素子の前方にレンズを配設して、LED素子からの出射光を側方に屈折させることも考えられるが、照明装置が多数のLED素子から構成されている場合には、各LED素子にレンズが必要になるので、同様に、装置全体が複雑化する。特許文献4に記載の棚構造の照明装置も、出射光を側方に屈折させるために、発光素子列からの光を側方の透光部に向けるための配向部材(反射部材)を各LED素子に対応してフレーム内に設置する必要があり、フレーム内の構成が複雑になる。
【0012】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、主発光面及び側方への配光が簡単な機構で実現できる、LED照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、LED発光素子が搭載される基板と、前記基板が固定される底面と該底面から伸びた側壁面とを有し、当該底面の対向面が開放面をなすフレームと、前記LED発光素子から放出された光が通過する第1の開口窓部を有し、前記フレームに対して前記開放面側から取り付けられる化粧カバーと、前記第1の開口部を覆うように前記化粧カバーに固定され、前記LED発光素子から放出された光の一部を透過させ、一部を反射あるいは散乱させる第1の透光性プレートと、前記側壁面の少なくとも一つに設けられ、前記第1の透光性プレートから反射された光を外部に通過させる第2の開口窓部とを用いてLED照明装置を構成することにより上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、前記各先行技術文献に記載のような複雑な機構、例えば、LED発光素子が実装された複数の基板を透光性チューブ内で異なる向きに配設したり、または、複数のLED発光素子が搭載された2つの基板を管の内部で対向配置させたり、あるいは、管の内部に新たに反射面を設けたりといった付加的な機構無しに、照明装置本体の主発光面及び側方への配光が可能なLED照明装置を実現することができる。
また、装置全体の構造が簡素化されるため、非常に薄いLED照明装置を実現することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本発明の実施例1に係る、LED照明装置の背面図である。
【図1B】実施例1のLED照明装置の右側面図である。
【図1C】実施例1のLED照明装置の正面図である。
【図1D】本発明の適用例として、LED照明装置を搭載した1両編成の鉄道車両を示す模式図である。
【図1E】図1Dの鉄道車両の略縦断面図である。
【図2A】図1Bに示すLED照明装置のII−II線断面を、フレームと化粧カバーが分離された状態で示した図である。
【図2B】図1Bに示すLED照明装置のII−II線断面図である。
【図3】図1Bに示すLED照明装置の長手方向端部(V部分)の一部断面の詳細図である。
【図4】LED発光素子を搭載する基板の正面図である。
【図5】LED照明装置に搭載される複数の基板間の電気的な接続関係を説明する図である。
【図6】図1Bに示すLED照明装置のVI−VI線断面図である。
【図7】実施例1のLED発光素子から出射される光の光路について説明するための模式図である。
【図8】化粧カバーの側縁部の効果について説明するための模式図である。
【図9】LED照明装置の長手方向端部の変形例に関する一部断面の詳細図である。
【図10】本発明の実施例2に係る、LED照明装置の化粧カバーの延設部の構成及び効果について説明するための模式図である。
【図11】本発明の実施例2の変形例に係る、LED照明装置の化粧カバーの延設部の構成及び効果について説明するための模式図である。
【図12】本発明の実施例3に係る、LED照明装置の断面図である。
【図13A】本発明の実施例4に係る、LED照明装置の断面図である。
【図13B】実施例4の変形例に係る、LED照明装置の断面図である。
【図14】本発明の実施例5に係る、電源ユニット一体型のLED照明装置の取付態様の一例を示す図である。
【図15】実施例5の変形例に係る、電源ユニット一体型のLED照明装置の取付態様の他の例を示す図である。
【図16】実施例5の変形例に係る、電源ユニット一体型のLED照明装置の取付態様の他の例を示す図である。
【図17】実施例5の変形例に係る、電源ユニット一体型のLED照明装置の取付態様の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のLED照明装置の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の実施例1に係るLED照明装置について説明する。
図1A、図1Bおよび図1Cには、本実施例のLED照明装置1の背面図、側面図および正面図をそれぞれ示す。図1Aは、本実施例のLED照明装置1を上方(背面2A側)からみた背面図、図1Bは、同右側面図、図1Cは、LED照明装置1を主発光面側から見た外観図を示す。図1A〜図1Cに示すLED照明装置1は、長手方向(図1左右方向)に延設された照明装置本体2と、その背面に設置されたLED電源ユニット3とを備えている。2Aはヒートシンク、23Cは垂設部、23hは第2の開口窓部、5は第1の透光性プレート、6は化粧カバー、6aは開口部に各々対応するが、これらの構造・機能については後述する。
【0018】
本実施例のLED照明装置1は、鉄道車両のような輸送機器や建築物等、種々の機器や設備に設置が可能である。例えば、鉄道車両の場合には、LED電源ユニット3は、電源線31を介して、鉄道車両の車体側の電源供給用の端子台に接続される。この場合、電源として、AC電源およびDC電源のいずれを用いることも可能である。
【0019】
図1Dは、本発明のLED照明装置の適用対象の例として、複数(ここでは5個)のLED照明装置1を備えた1両編成の鉄道車両の模式図である。また、図1Eは、図1Dの鉄道車両の略縦断面図である。鉄道車両80は、架線81から電力を集電する集電装置82を屋根上に備え、この集電装置82によって集電された高電圧の電力が、鉄道車両80の床下に備えられた第2の電源装置83へ送電される。鉄道車両80の床下には、蓄電池または整流装置84及び第1の電源装置85も搭載されている。第2の電源装置83は、高電圧の電力を照明や空調装置等のサービス機器に供給できる低電圧の電力に変換し、整流装置84を経由して第1の電源装置85に電力を供給する。一方、第1の電源装置85は、電源線31を介して鉄道車両80の客室の天井等に装着されたLED照明装置1等のサービス機器に該電力を供給する。蓄電池は、第1の電源装置85と上記サービス機器とを結ぶ電源線31上に配置される場合が多いが、第1の電源装置85と第2の電源装置83の結線上に配置されていても構わない。なお、以下では、第2の電源装置、蓄電池、整流装置及び制御機能付きの第1の電源装置を纏めて、主電源装置と称する。
【0020】
図1Eに示すように、鉄道車両80の客室90内の天井の取付け部88に2列、すなわち、間に空調装置89を挟んで一対のLED照明装置1(1A,1B)が主照明装置として設置されている。なお、91は窓、92は座席を示している。一対のLED照明装置1(1A,1B)は、客室90内の座席92を照射すると共に、客室の左右の窓91の上の天井部近傍を柔らかく照明する、間接照明装置として、機能している。
【0021】
LED照明装置1は、長手方向に複数個、列をなすように順次繋がれ、後で詳細に述べる取り付け態様により、客室90内の天井の取付け部88に、その開口部を下方に向けて設置されている。
【0022】
複数のLED照明装置1は、主電源装置に対して、例えば直列、あるいは並列に接続されている。主電源装置には、LED照明システムを構成する機器として、LED照明装置1の他に、鉄道車両80の客室内の照度を監視する照度センサ86と、編成制御装置87とが接続されている。編成制御装置87は、トンネル位置などの路線情報および鉄道車両80に備えられるLED照明装置1の輝度を制御する調光指令等を処理する。照度センサ86により、鉄道車両80の車外環境の変化、例えば走行時間帯、走行位置、天候等の変化、に伴う客室内の照度の変化を検知し、照度情報として第1の電源装置85へ送る。第1の電源装置85は、路線情報や照度情報に基づき、客室内の照度が所定の範囲になるように、電源線31を介してLED照明装置1に供給する電流もしくは電力を制御する。このようなLED照明システムにより、鉄道車両80の客室内の照度が所望のレベルに維持される。
【0023】
なお、実施例3で後述するように、LED電源ユニット3と照明装置本体2とが分離されている形態もありうる。
【0024】
図2(図2A、及び図2B)に、本実施例のLED照明装置1の、図1BのII−II線断面図を示す。本実施例のLED照明装置1の照明装置本体2は、大まかには、一面が開放面をなす概直方体状のフレーム20と、当該フレーム20に上記の開放面側から被せられる化粧カバー6とを含んで構成されている。分かりやすさを考慮し、図2Aには、化粧カバー6がフレーム20から分離された状態のII−II線断面図を示しているが、実際には、図2Bに示すように、化粧カバー6とフレーム20とは一体に組み合わされて使用される。
【0025】
フレーム20は、ベース部21と、当該ベース部21の左右両端部に設けられた側縁部22、23とを含んで構成される。フレーム20の縦断面はΠ字状であり、照明装置本体2の長手方向(図1A〜図1Cに示す背面図、側面図および正面図の紙面左右方向)に延設されている。このような形状のフレーム20は、例えばアルミ合金の押出加工により成形することができる。
【0026】
フレーム20のLED照明装置1の長手方向端部には、図3に示すようにエンドプレート25が取り付けられており、上述したフレーム20の箱型形状の長手方向端部の壁面をなしている。
【0027】
ベース部21の上記開放面に対向する側はフレーム20の底面をなし、当該底面すなわち取付面に複数のLED発光素子10が実装された基板4が取り付けられる。一例として基板4は矩形の平板からなり、取付面も平坦な面となっている。ベース部21の電源ユニット対向面(基板4の取付面の裏面)には、フレーム長手方向へ形成された一対の凹部を介してヒートシンク2A(凸部)が形成されている。このヒートシンク2Aは、LED発光素子10への通電により発生する熱を外部へ逃がす機能を有する。アルミ自体の熱伝導性が良いため、本実施例では単なる凸部をヒートシンク2Aとして使用しているが、凸部を設けずに熱伝導性の良い金属薄膜や放熱性コーティングをベース部21裏面に設けてヒートシンク2Aとして機能させてもよい。あるいは、凸部の表面に金属薄膜や放熱性コーティングを設けてもよい。
【0028】
側縁部22は、ベース部21の左側側部から左方(図2の左方)に張り出す上側張出部22Aと、その下方(同図下方)に間隔を隔てて配置され、同様に左方に張り出す下側張出部22Bとを有している。上側張出部22Aおよび下側張出部22Bは垂設部22Cにより上下方向(つまり照明装置本体2の厚み方向)に連結されている。下側張出部22Bには、側縁部23側に張り出した内側張出部22Dが設けられている。
【0029】
同様に、側縁部23は、ベース部21の右側側部から右方(図2の右方)に張り出す上側張出部23Aと、その下方に間隔を隔てて配置され、同様に右方に張り出す下側張出部23Bとを有し、上側張出部23Aおよび下側張出部23Bは、垂設部23Cにより上下方向に連結される。また、下側張出部23Bにも、側縁部22側に張り出した内側張出部23Dが設けられている。
【0030】
上述の内側張出部22D、23Dは、フレーム20の長手方向に延在しており、本実施例では、内側張出部22D、23Dによって形成される開口を開放面と称する。また、この開放面の外側(図2Aの紙面下側)には、上記内側張出部22D、23Dの下面と下側張出部22B、23Bの内壁面による凹部22b、23bが各々形成されている。
【0031】
上述の垂設部22C、23Cは、各々、フレーム20の側壁面をなしている。この側壁面(22C、23C)には、図1Bに示すように、照明装置本体の長手方向に沿って間欠的に第2の開口窓部23hが貫通形成されている。第2の開口窓部23hは、照明装置本体2の長手方向に延びる長孔であって、上記長手方向に所定間隔を隔てて複数個設けられている。後述するが、第2の透光性プレート7は締結部材であるネジにより第2の開口窓部23hに固定されている。各第2の開口窓部23hには、第2の透光性プレート7が固定されている。本実施例では、第2の透光性プレート7としては、好ましくは難燃性または耐火性の樹脂製プレート(例えばポリカーボネート板)が用いられている。なお、第2の透光性プレートは原理的には必ずしも必要ではないが、第2の開口窓部23hを塞ぐ機能を奏するためフレーム20内部の防塵効果を有し、LED発光素子10表面への埃の付着による照度劣化を抑制できる。
【0032】
上述した各側縁部22、23における下側張出部22B、23Bは、LED照明装置1の幅方向(図2の紙面左右方向)に間隔を隔てて相対しており、当該間隔により、フレーム20のベース部21と対向する第1の開口窓部20hが形成されている。第1の開口窓部20hは、フレーム20に化粧カバー6を取り付けた際に、第1の透光性プレート5が位置するように形成されている(図2B参照)。
【0033】
次に、化粧カバー6について説明する。化粧カバー6は、フレーム20を下方から覆う部材であって、図1Cに示されるように、外観上は、開口部6aを備え、端部に曲げ加工が施された板状部材である。開口部6aは、長手方向(図2Aまたは図2Bの紙面垂直方向)に延在している。
【0034】
図1BのV部分詳細図である図3に示されるように、化粧カバー6の長手方向端部には、照明装置本体2の背面2Aの側に向かって屈曲しつつ上方に折り曲げられた折曲げ部63が形成されている。折曲げ部63は、照明装置本体2の端部を端面方向から覆っている。また、化粧カバー6の幅方向の端部には、後述する延設部61、62が形成されている。
【0035】
本実施例の場合、図2Aに示されるように、化粧カバー6にはネジ穴29が設けられており、フレーム20の各下側張出部22B、23Bおよび内側張出部22D、23Dの下面にパッキン24のような緩衝部材を介して、締結部材28(例えばネジやボルト・ナットなど)により、フレーム20に対して脱着可能に固定される。
【0036】
本実施例のLED照明装置1は、構造が簡単であるため厚みが非常に薄く、更に開放面および第1の開口窓部20hと基板4とが平行若しくは大凡平行な位置関係にあるため(つまり、基板4が箱形状のフレーム20の底面に固定されているため)、化粧カバー6を取り外せば基板4に直ぐにアクセス可能である。従って、化粧カバー6をフレーム20に完全に固定せず、化粧カバー6を脱着可能に構成することにより、基板4へのアクセス性が著しく向上し、LED発光素子10の破損・故障時における基板4の交換作業等、装置のメンテナンス性が向上する。無論、化粧カバー6をフレーム20に完全に固定しても、照明装置の側方配光は可能であるが、メンテナンス性の観点からは、化粧カバー6は、フレーム20に対して脱着可能であった方が好ましい。
【0037】
開口部6aの裏面(フレーム20との対向面側)には、第1の透光性プレート5が設けられている。本実施例では、化粧カバー6を構成する板状部材のうち、開口部6aの周囲の部分を開口縁部60と称するが、第1の透光性プレート5はパッキン24により開口縁部60の裏面側に固定されている。第1の透光性プレート5をフレーム20側に固定する構成も実現可能であるが、装置のメンテナンス性を考慮すると、第1の透光性プレート5を化粧カバー6側に固定し、化粧カバー6と一体でフレーム20から脱着できる方が好ましい。
【0038】
また、化粧カバー6をフレーム20に取り付けた場合、図2Bに示されるように、パッキン24は凹部22b、23b内に収納される。つまり、第1の透光性プレート5の外周縁部は、内側張出部22D、23Dと開口縁部60により、パッキン24を介して挟持されることになり、開口縁部60は、第1の透光性プレート5の外周縁部を保持する保持部として機能する。開口部6aと同様、第1の透光性プレート5は、長手方向(図2の紙面垂直方向)に延在している。
【0039】
第1の透光性プレート5は、LED発光素子10から放出された光を照明装置本体2の下側に導き、かつ側方に反射または散乱させる機能を有する部材であり、好ましくは平板状のガラス板(例えば強化ガラス板)が用いられる。化粧カバー6が開放面を塞ぐように箱状のフレームに固定されることにより、第1の透光性プレート5が平坦な発光面を構成する。鉄道車両の場合、スキー板や楽器といった長尺の手荷物を車内に持ち込む乗客が存在する。従って、蛍光灯のような発光面に凹凸がある照明装置に比べて、発光面が平坦な照明装置の方が長尺の手荷物が引っ掛かりにくくなる。また、凹凸が無い分、床面から天井までの高さが高くなるため、上記の手荷物が当たりにくくなる。よって、発光面を平坦に構成する方が、発光面に凹凸のある場合に比べて照明装置の破損の確率を低くすることができる。
【0040】
第1の透光性プレート5の内面(図2上側面)には、LED発光素子10から放出された光の一部を透過し、一部を反射または散乱させる拡散シート(図示せず)が設けられており、この拡散シートによって、LED発光素子10からの出射光を拡散して側方を照射することができる。また、拡散シートが設けられていることにより、第1の透光性プレート5の破損時に第1の透光性プレート5の飛散を防止できるようになっている。
【0041】
拡散シートとしては、偏光性を有するシートを採用してもよい。この場合には、拡散シートの縦横の向きを変えて第1の透光性プレート5に装着することにより、LED発光素子10からの出射光が第1の透光性プレート5に入射して拡散したときに、第1の透光性プレート5の発光面の見え方が変化する。例えば、第1の透光性プレート5が長手方向に直線状に発光して発光面が冷陰極管のように見えたり、あるいは第1の透光性プレート5が長手方向と直交する幅方向に縞模様に発光して発光面が立体的に見えたりするようになる。
【0042】
なお本実施例では、第1の透光性プレート5の反射・散乱機能を実現するため拡散シートを用いたが、ガラス繊維やポリカーボネート製の部材を用いれば、拡散シートを使用せずとも第1の透光性プレート5を作製することができる。ただし、ガラス板と拡散シートの組み合わせの方が光の損失が少なく、より照度の高い照明装置を実現することができる。
【0043】
また、第1の透光性プレート5や第2の透光性プレート7を色つきの透光性部材で構成してもよい。この場合、第1の透光性プレート5や第2の透光性プレート7を透過して外部へ照射される光に色が付くことになるが、色付きの第1の透光性プレートまたは第2の透光性プレートを有する複数のLED照明装置を並べて配置し、更にこれら複数のLED照明装置間で透光性プレートの色を変えることにより、カクテル照明のような効果を生むことができる。鉄道車両以外に適用した場合であってもこの効果が奏されることは言うまでもない。
【0044】
本実施例の化粧カバー6には、図2に示すように、開口縁部60からそれぞれ両側方に延設された延設部61、62が設けられている。本実施例のLED照明装置1の場合、両側面の一方のみが発光する片面発光タイプの灯具であるため、延設部61,62の形状が異なっており、すなわち、延設部61,62の形状が左右非対称である。延設部61は、照明装置本体2の背面2Aの側に向かって屈曲しつつ上方に立ち上がるとともに、フレーム20の側縁部22の上側張出部22Aまで延びる立壁部を形成しており、フレーム20の側縁部22を側方から覆っている。これは、延設部61が設けられた側からの発光が不要であるためである。延設部62は、照明装置本体2の背面2Aの側に向かって上方に湾曲しつつ傾斜する傾斜部を形成している。なお、延設部62の機能・作用については後述する。
【0045】
図4は、基板4上にLED発光素子10が実装された様子を示す模式図である。基板4の実装面には、基板4の長手方向(同図左右方向)に沿って配設された多数のLED発光素子10が搭載されている。この基板4は、絶縁シート(図示せず)を介して、ベース部21上に固定されている。
【0046】
本実施例のLED照明装置1においては、1台のフレーム20上に複数の基板が載置される。例えば、本実施例では、1個のLED照明装置1の構成要素の1つである照明装置本体2に取り付けられる基板4は、図5に示したように、複数枚、例えば4枚の基板4A、4B、4C、4Dから構成されている(各基板4A〜4Dの実装面には、それぞれ多数のLED発光素子10が搭載されているが図示は省略した)。このように、本実施例のLED照明装置1は、LED発光素子を搭載する基板4が複数枚の基板に分割されて照明装置本体2に実装されているため、LED発光素子が破損・故障した場合の装置メンテナンスが容易である。つまり、全てのLED発光素子を1枚の基板に実装した場合、一部故障の場合であっても基板全てを交換する必要が生じるが、本実施例のLED照明装置1では、LED発光素子が複数枚の基板に分割されて装置に搭載されているため、LED発光素子全体を交換する必要が無い。
【0047】
図5に、一対のコネクタ(オス型コネクタ及びメス型コネクタ)を用いた複数枚の基板の電気的な接続関係を模式図で示す。各基板4A〜4Dの角部には、オス型コネクタ40が設けられており、隣り合う各基板は、相対する各オス型コネクタ40に嵌合する中継用のメス型コネクタ41により電気的に接続されている。また、基板4A、4Dの残りのオス型コネクタ40には、短絡用のメス型コネクタ41’が嵌合している。基板4Bの残りのオス型コネクタ40に嵌合するメス型コネクタ41”は、端子台30を介してLED電源ユニット3に接続されている。図5の例では、基板4Aと4B、基板4Cと4D各々直列に、電源ユニット3に接続されている。このような一対のコネクタを用い複数枚の基板を接続して構成された1つの基板4が、各LED照明装置1の照明装置本体2に実装されている。
【0048】
次に、本実施例のLED照明装置1の動作について、図6および図7を用いて説明する。図6は、図1BのVI−VI線断面図を示し、図7はLED発光素子10から出射された光の光路を示す模式図である。
【0049】
LED発光素子10から出射された光は、ベース部21と対向する第1の透光性プレート5に入射する。第1の開口窓部20h(換言すると第1の透光性プレート5)と基板4とが平行若しくは大凡平行な位置関係にあるため、各LED発光素子10から出射された光のうち第2の開口窓部23hに直接到達する光以外は、直下の第1の透光性プレート5に入射し、下方に透過したのち、照明装置本体2の外部に直接光として照射される。直接光の光路の一例を図6、図7中に実線で示した。また、LED発光素子10からの出射光の一部は、第1の透光性プレート5で反射(全反射または一部反射)した後、垂設部23Cの第2の透光性プレート7を透過して第2の開口窓部23hの側方に間接光として照射される。間接光の光路は図6、図7中に一点鎖線で示した。このとき、第1の透光性プレート5の内面に拡散シートが装着されている場合には、第1の透光性プレート5の全面を主発光面として発光させることができるばかりでなく、当該拡散シートによる拡散光が第2の透光性プレート7を透過して側方に照射されるようになる。
【0050】
このように、第1の透光性プレート5での反射および(または)散乱を利用することで、簡易な構成で、照明装置の側方照射を実現することができる。
【0051】
次に、図8を用いて、化粧カバー6の延設部62およびフレーム20の上側張出部23Aの機能について説明する。図8は、LED発光素子10から出射された光の光路を示す模式図であり、実線が直接光の光路、一点鎖線が間接光の光路を、二点鎖線が別の間接光の光路を示す。点線は、第2の透光性プレート7の中心を示す。LED発光素子10からの出射光のうち一部は、例えば、図8の実線で示す光路を通って、第1の透光性プレート5を透過し、照明装置の下面を照射する。
【0052】
本実施例の場合、化粧カバー6の外側は上側に反った曲面部によって構成される延設部62をなしている。図8中の一点鎖線で示されるように、LED発光素子10からの出射光の一部は、第2の透光性プレート7を直接透過した後、延設部62の内面で反射され、側方上部(図8中の点線よりも紙面上側)を照射する。また一方、図8中の二点鎖線で示されるように、LED発光素子10からの出射光の一部は、第1の透光性プレート5裏面の拡散シートで反射した後、上側張出部23Aの内面で反射され、照明装置の側方下部(図8中の点線よりも紙面下側)を照射するようになる。
【0053】
以上のように、化粧カバー6の幅方向の端部領域に上側に湾曲した延設部62を設け、かつフレーム20に上側張出部23Aを設けることにより、照明装置の側方を上側から下側までむらなく照射することができるようになる。
【0054】
この効果は、特に鉄道車両に本実施例のLED照明装置1を取り付けた場合に大きく、車両の天井側面や側広告等を従来の照明装置よりも明るく照射することが可能となる。
【0055】
例えば、図1Eに示した一対のLED照明装置1のうち、左側のLED照明装置1Aは左側に延設部62があり、右側のLED照明装置1Bは右側に延設部62がある。これにより、延設部62からの光が車両の天井側面や側広告等を明るく照射する効果がある。
【0056】
このとき、延設部62の内面は、反射光量を増やすために、白色に塗装されている方が好ましい。この場合には、化粧カバー6の延設部62での反射を利用することで、照明装置本体2の側方から照射されるようになっているので、装置全体の構造を簡略化できる。
【0057】
また、以上の説明では、LED発光素子10からの出射光を照明装置本体2の側部からのみ側方へ照射するようにした例を示したが、図9に示すように、照明装置本体2の長手方向の端部に装着したエンドプレート25に第3の開口窓部25aを貫通形成し、当該開口窓部25aに第3の透光性プレート8を装着することにより、LED発光素子10からの出射光を第3の透光性プレート8を透過させて、第3の開口窓部25aから端部方向に照射するようにしてもよい。
【0058】
本実施例によれば、装置全体の構造が簡素化され、付加的な複雑な機構無しに、主発光面として発光すると共に、照明装置本体の側方への配光が可能なLED照明装置を実現することができる。
また、装置全体の構造が簡素化されるため、非常に薄いLED照明装置を実現することも可能となる。
【実施例2】
【0059】
本実施例では、化粧カバー6の延設部62の変形例について説明する。実施例1では、図2あるいは図6に示すような湾曲形状の延設部62について説明したが、図10に示すように、化粧カバー6の開口縁部60に対して屈曲しつつ直線状に交差するものであってもよい。この場合においても、図8の場合と同様の光路が形成される。
あるいは、図11の変形例に示すように、化粧カバー6の延設部62は、湾曲形状や屈曲形状を有することなく、単に開口縁部60の延長線上に延設されたものであっても良い。この場合においても、LED発光素子10からの出射光を側方に照射させることが可能である。
本実施例によれば、側方への配光を行うための延設部の構造、ひいては装置全体の構造が簡素化され、非常に薄いLED照明装置を実現することが可能となる。
【実施例3】
【0060】
実施例1、2では、LED照明装置の2つの側面のうち、片側のみが発光する片面発光タイプのLED照明装置の構成について説明したが、本実施例では、LED照明装置の両側面が発光する両面発光タイプ、かつLED電源ユニットが照明装置本体とは分離された形態のLED照明装置について説明する。
図12に、図1BのVI−VI線断面図に相当する、本実施例のLED照明装置1の断面図を示す。ここで、本実施例のLED照明装置1の外観図は、側面図は図1Bとほぼ同様であるが、LED電源ユニットが分離されており、更に両面発光タイプのため、背面図と正面図は図1Aないし図1Cに示される態様とは若干異なる。
【0061】
本実施例では、フレーム20の側縁部22,23の両垂設部22C,23Cに第2の開口窓部23hを貫通形成して、当該開口窓部に第2の透光性プレート7を装着する。また、化粧カバー6の延設部61、62の両者を、照明装置本体2の背面2A側に向かって湾曲しつつ傾斜する傾斜部として形成する。更に、側縁部22,23の両者に上側張出部22A、23Aを各々設ける。これにより、照明装置の両側の側方を上側から下側までむらなく照射することが可能となる。
【0062】
本実施例のLED照明装置1は延設部61,62の形状が左右対称なので、例えば鉄道車両80の客室90用の空調装置が鉄道車両80の床下に設置され、ダクトを介して客室90内の空調がなされるタイプに適している。すなわち、本実施例のLED照明装置1は客室90内の天井の中央に取り付けることもできる。換言すると、本実施例のLED照明装置1は天井面等の設置位置に制約がない。
【0063】
また、本実施例では、LED電源ユニット3は照明装置本体2から分離されているため、照明装置本体2を軽量化でき、照明装置本体2の天井面への取付作業の負担を軽減できる。また、LED電源ユニット3を照明装置本体2とは離れた外部、例えば鉄道車両の床下に配置することができるため、車両の重心を下げるといった効果も期待できる。なお、実施例1で説明した片面発光型のLED照明装置においても、電源ユニットを分離した構成を採用できることは言うまでもない。
【実施例4】
【0064】
本実施例では、笠(ディフューザー)を備えた笠付き灯具の実施例について説明する。実施例1から3で説明したLED照明装置は、従来のLED照明装置よりも側方を明るく照明できるという特徴を有するが、場合によっては、側方照明はさほど重要ではなく、LED発光素子から出射された光を照明装置の下側に配光したい場合がある。
【0065】
図13Aに、本実施例のLED照明装置1の断面図を示す。LED発光素子10は基板4に実装され、基板4はフレーム20の底面にネジ止めされている。化粧カバー6の開口部6aの裏面には第1の透光性プレート5が固定され、更に、化粧カバー6はパッキン24(緩衝部材)と図示しない締結部材を介してフレーム20に固定されている。フレーム20の側壁には第2の開口窓部23hが形成されているが、本実施例の場合、第2の透光性プレート7は、フレーム20の側壁面外側と化粧カバー6の側壁面内側の両方に固定されている。ディフューザー70(笠部材)は、取付部71を介してフレーム20およびLED電源ユニット3に固定されている。
【0066】
LED発光素子10からの出射光のうち、主発光面から照射される光は、例えば図13Aの実線で示した光路を通り、第1の透光性プレート5を透過して照明装置下面を照射する。一方、図13Aの一点鎖線で示された間接光の場合、第2の透光性プレート7を透過するが、ディフューザー70の内壁面(紙面下向き面)で反射され、LED照明装置1の下部に導かれる。同様に、光路が第2の開口窓部23hを通る直接光であっても、図13Aの二点鎖線で示されるように、ディフューザー70の内壁面(紙面下向き面)で反射され、LED照明装置1の下部に導かれる。
【0067】
従って、図13Aに示す実施例の場合、LED発光素子10から出射される光は、全て照明装置の下方の照明に寄与するため、実施例1から3で説明したLED照明装置に比べて、照明装置下部を特に明るく照明することができる。本実施例のLED照明装置1は延設部の形状が左右対称なので、例えば鉄道車両80の客室90内の天井の取付け部に取り付ける際は、天井の中央に取り付けることも可能であり、その設置位置に制約がない。
【0068】
図13Bに、実施例4の変形例を示す。図13Bに示す例の場合、第2の開口窓部23hの下端がディフューザー70の下端よりも下に位置しているため、第2の開口窓部23hを通過する光の一部はディフューザー70で反射されず、直接光として第2の開口窓部23hを通って、LED照明装置1の側方に照射される。従って図13Bの実施例により、主としてLED照明装置1の下方を照明したいが、ある程度側方にも配光したい場合に好適なLED照明装置を実現することができる。なお、側方への配光度合いは、図13Bに図示した長さd(第2の開口窓部23hの下端位置とディフューザー70の下端位置との差)を調節することにより調整できることは明らかである。
【実施例5】
【0069】
本実施例では、図14ないし図17を用いて、電源ユニット付きLED照明装置の取付方法の各態様について説明する。ここでは、鉄道車両に本発明のLED照明装置を取り付ける場合の取付方法について説明する。実施例1から4で説明したLED照明装置1は、フレーム20の各側縁部22、23の各張出部22A、23Aまたは22B、23Bを用いて取付面に取り付けられる。図14ないし図17において、図1から図13に示された参照番号と同一の番号は、同一または相当部分を意味する。また、図14ないし図17では、LED照明装置1を概略図で示しており、照明装置本体2の基板、LED発光素子、第1、第2の透光性プレート、化粧カバー等は、図示を省略している。
【0070】
図14に示す取付態様は、鉄道車両の天井の天板16に貫通孔16aを形成し、LED電源ユニット3を当該貫通孔16aを介して天井の裏側に配置した例である。このとき、フレーム20の各側縁部22、23における各上側張出部22A、23Aが、これらを上下に挿通する取付ネジ15(締結部材)により天板16に取り付けられている。
【0071】
図15に示す取付態様は、天井に形成された凹部16bを利用して、当該凹部16b内にLED電源ユニット3を配置した例である。この場合、フレーム20の各上側張出部22A、23Aには、横断面略Π字状の取付金具17の下端が取付ネジ15により取り付けられている。取付金具17は、凹部16b内に配置されるとともに、取付ネジ18により、凹部16b内の天板16Aに取り付けられている。
【0072】
図14および図15に示す取付態様では、照明装置本体2を天板16の下方に配置した例を示したが、図16に示すものでは、フレーム20の各上側張出部22A、23Aが天井の裏側に配置されており、各上側張出部22A、23Aの下面は、取付ネジ15により、天板16の上面に取り付けられている。すなわち、この場合には、照明装置本体2の一部が天板16の上方に配置されている。
【0073】
図17に示す取付態様は、LED照明装置全体を天井の裏側に配置した例であり、LED照明装置1が天井に埋め込まれている。このとき、フレーム20の各側縁部22、23における各下側張出部22B、23Bの下面は、取付ネジ15(締結部材)により、天板16の上面に取り付けられている。この場合には、LED照明装置1の側方から光を照射する必要がないので、第2の透光性プレートは不要となる。図17に示す取付態様の場合、天井面に凹凸が無くなるため、外観上、天井面がすっきりして見えるという効果がある。
【0074】
このように、LED照明装置1の取付けの際には、フレーム20の左右両側縁部22、23において上下方向に間隔を隔てた各張出部22A、22Bおよび23A、23Bを利用することにより、LED照明装置1の取付面への取付け作業が容易に行えるようになるとともに、種々の取付方法が可能になる。
【0075】
また、本実施例で説明した取付態様では、側縁部の張出部を介して、照明装置本体が取付面に取り付けられるようになっている。この場合には、張出部がベース部の側部から側方に張り出して設けられているので、この張出部を利用することにより、照明装置本体の取付面への取付け作業が容易に行えるようになる。また、各張出部が垂設部を挟んで照明装置本体の厚み方向に間隔を隔てて配置されているので、照明装置本体の厚み方向の2個所の位置で取付面に対する取付けを行える。
【0076】
なお、LED電源ユニット3を照明装置本体2の背面2Aに設置したことにより、照明装置本体2を取付面(例えば天井面)に据え付ける際には、電源ユニット3を取付面側の例えば端子台に接続する作業が容易になるとともに、電源ユニット単体のメンテナンス作業が容易になるという効果を奏する。
【0077】
以上、実施例5では、鉄道車両に本発明のLED照明装置を取り付ける場合の取付方法について説明したが、本発明のLED照明装置は、ビル等の建物内の照明や住宅の室内用の照明等にも適用可能である。
本発明は、側方への照射光を簡単な機構で実現できるLED照明装置に好適である。
【符号の説明】
【0078】
1: LED照明装置
2: 照明装置本体
2A: ヒートシンク
20h: 第1の開口窓部
21: ベース部
22: 側縁部
22A、22B: 張出部
22C: 垂設部
23: 側縁部
23A、23B: 張出部
23C: 垂設部
23h: 第2の開口窓部
25a: 第3の開口窓部
3: LED電源ユニット
31: 電源線
4: 基板
4A〜4D: 基板
5: 第1の透光性プレート
6: 化粧カバー
60: 開口縁部
61、62: 延設部
7: 第2の透光性プレート
10: LED発光素子
80: 鉄道車両
88: 天井の取付け部
90: 客室。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のLED発光素子により照明を行うLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明装置として、例えば蛍光灯の場合、蛍光管のほぼ全周にわたって光を照射することが可能であるため、部屋の照明として、床面のみならず、設置面である天井面や、側方の壁面を照らすのにも適している。例えば特許文献1には、照明装置の側面に透光用開口を設けることで、蛍光管から出射された光を側方に照射するように構成されたものが記載されている(図1参照)。
【0003】
その一方、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いたLED照明灯が種々提案されており、省エネルギーの観点から鉄道車両においても採用が検討されつつある。LEDは、蛍光灯に比べて、消費電力が低く、長寿命であるため、照明器具として最近注目されているが、一般に、指向性が高いため、LED素子単体では、側方への照射光が期待できない。
【0004】
特許文献2には、基板上にLED素子を実装してなる照明器具を複数個用意し、これらを透光性チューブ内にそれぞれ向きを変えて設置することにより、側方への照射光を得るようにした照明装置が記載されている(図15参照)。
【0005】
また、特許文献3には、それぞれ複数のLED素子が搭載された2つの基板を用意し、これらを直線状の管の内部に対向配置させることにより、管のほぼ全周から照射光を得るようにした照明装置が記載されている(図2、図3参照)。さらに、特許文献3には、管の内部に反射面を設け、LED素子からの出射光をこの反射面で反射させることにより、側方への照射光を得るようにした構成についても記載されている(図4ないし図7参照)。
【0006】
さらに、特許文献4には、発光素子列を備え、棚板の下面又は下部に取り付け可能な棚構造の照明装置であって、棚板の下面又は下部に取り付け可能なフレームと、このフレーム内に装着可能な発光素子列と、前記フレームの前方域、上方域及び下方域のうち少なくとも1つの領域に形成された透光部とを備えており、前記発光素子列からの発光で前記透光部を照明可能である棚構造の照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−273385号公報
【特許文献2】特開2002−197901号公報
【特許文献3】特表2011−508380号公報
【特許文献4】特開2010−251294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
車両、特に鉄道車両は長尺で客室内の全長にわたり所定の照度で均等に照明するために、客室用主照明装置として、複数の照明装置、一般的には長尺の蛍光灯、が車両の天井に長手方向に連続して設けられている。客室内を均等に照明するために、照明装置からの光の照明は、主発光面として発光させることに加えて、側方への配光も必要とされる場合が多い。
【0009】
しかしながら、蛍光灯を前提とした特許文献1に記載の装置を、そのままLED照明灯を用いた客室用の主照明装置に適用することは困難である。
【0010】
また、上記特許文献2に記載のLED照明灯は、各々別々の基板に面実装された複数のLED素子を用意して、これらを透光性チューブの内部に組み付ける必要があり、装置全体の構成が複雑である。また、特許文献3に記載のLED照明灯は、複数のLED素子がそれぞれ実装された2つの基板を用意して、これらを管の内部に組み付ける必要がある。また、管の内部に新たに反射面を設ける必要があり、同様に、装置全体の構成が複雑になる。
【0011】
なお、LED素子から出射された光を側方に配光させるために、LED素子の前方にレンズを配設して、LED素子からの出射光を側方に屈折させることも考えられるが、照明装置が多数のLED素子から構成されている場合には、各LED素子にレンズが必要になるので、同様に、装置全体が複雑化する。特許文献4に記載の棚構造の照明装置も、出射光を側方に屈折させるために、発光素子列からの光を側方の透光部に向けるための配向部材(反射部材)を各LED素子に対応してフレーム内に設置する必要があり、フレーム内の構成が複雑になる。
【0012】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、主発光面及び側方への配光が簡単な機構で実現できる、LED照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、LED発光素子が搭載される基板と、前記基板が固定される底面と該底面から伸びた側壁面とを有し、当該底面の対向面が開放面をなすフレームと、前記LED発光素子から放出された光が通過する第1の開口窓部を有し、前記フレームに対して前記開放面側から取り付けられる化粧カバーと、前記第1の開口部を覆うように前記化粧カバーに固定され、前記LED発光素子から放出された光の一部を透過させ、一部を反射あるいは散乱させる第1の透光性プレートと、前記側壁面の少なくとも一つに設けられ、前記第1の透光性プレートから反射された光を外部に通過させる第2の開口窓部とを用いてLED照明装置を構成することにより上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、前記各先行技術文献に記載のような複雑な機構、例えば、LED発光素子が実装された複数の基板を透光性チューブ内で異なる向きに配設したり、または、複数のLED発光素子が搭載された2つの基板を管の内部で対向配置させたり、あるいは、管の内部に新たに反射面を設けたりといった付加的な機構無しに、照明装置本体の主発光面及び側方への配光が可能なLED照明装置を実現することができる。
また、装置全体の構造が簡素化されるため、非常に薄いLED照明装置を実現することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1A】本発明の実施例1に係る、LED照明装置の背面図である。
【図1B】実施例1のLED照明装置の右側面図である。
【図1C】実施例1のLED照明装置の正面図である。
【図1D】本発明の適用例として、LED照明装置を搭載した1両編成の鉄道車両を示す模式図である。
【図1E】図1Dの鉄道車両の略縦断面図である。
【図2A】図1Bに示すLED照明装置のII−II線断面を、フレームと化粧カバーが分離された状態で示した図である。
【図2B】図1Bに示すLED照明装置のII−II線断面図である。
【図3】図1Bに示すLED照明装置の長手方向端部(V部分)の一部断面の詳細図である。
【図4】LED発光素子を搭載する基板の正面図である。
【図5】LED照明装置に搭載される複数の基板間の電気的な接続関係を説明する図である。
【図6】図1Bに示すLED照明装置のVI−VI線断面図である。
【図7】実施例1のLED発光素子から出射される光の光路について説明するための模式図である。
【図8】化粧カバーの側縁部の効果について説明するための模式図である。
【図9】LED照明装置の長手方向端部の変形例に関する一部断面の詳細図である。
【図10】本発明の実施例2に係る、LED照明装置の化粧カバーの延設部の構成及び効果について説明するための模式図である。
【図11】本発明の実施例2の変形例に係る、LED照明装置の化粧カバーの延設部の構成及び効果について説明するための模式図である。
【図12】本発明の実施例3に係る、LED照明装置の断面図である。
【図13A】本発明の実施例4に係る、LED照明装置の断面図である。
【図13B】実施例4の変形例に係る、LED照明装置の断面図である。
【図14】本発明の実施例5に係る、電源ユニット一体型のLED照明装置の取付態様の一例を示す図である。
【図15】実施例5の変形例に係る、電源ユニット一体型のLED照明装置の取付態様の他の例を示す図である。
【図16】実施例5の変形例に係る、電源ユニット一体型のLED照明装置の取付態様の他の例を示す図である。
【図17】実施例5の変形例に係る、電源ユニット一体型のLED照明装置の取付態様の他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明のLED照明装置の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
以下、本発明の実施例1に係るLED照明装置について説明する。
図1A、図1Bおよび図1Cには、本実施例のLED照明装置1の背面図、側面図および正面図をそれぞれ示す。図1Aは、本実施例のLED照明装置1を上方(背面2A側)からみた背面図、図1Bは、同右側面図、図1Cは、LED照明装置1を主発光面側から見た外観図を示す。図1A〜図1Cに示すLED照明装置1は、長手方向(図1左右方向)に延設された照明装置本体2と、その背面に設置されたLED電源ユニット3とを備えている。2Aはヒートシンク、23Cは垂設部、23hは第2の開口窓部、5は第1の透光性プレート、6は化粧カバー、6aは開口部に各々対応するが、これらの構造・機能については後述する。
【0018】
本実施例のLED照明装置1は、鉄道車両のような輸送機器や建築物等、種々の機器や設備に設置が可能である。例えば、鉄道車両の場合には、LED電源ユニット3は、電源線31を介して、鉄道車両の車体側の電源供給用の端子台に接続される。この場合、電源として、AC電源およびDC電源のいずれを用いることも可能である。
【0019】
図1Dは、本発明のLED照明装置の適用対象の例として、複数(ここでは5個)のLED照明装置1を備えた1両編成の鉄道車両の模式図である。また、図1Eは、図1Dの鉄道車両の略縦断面図である。鉄道車両80は、架線81から電力を集電する集電装置82を屋根上に備え、この集電装置82によって集電された高電圧の電力が、鉄道車両80の床下に備えられた第2の電源装置83へ送電される。鉄道車両80の床下には、蓄電池または整流装置84及び第1の電源装置85も搭載されている。第2の電源装置83は、高電圧の電力を照明や空調装置等のサービス機器に供給できる低電圧の電力に変換し、整流装置84を経由して第1の電源装置85に電力を供給する。一方、第1の電源装置85は、電源線31を介して鉄道車両80の客室の天井等に装着されたLED照明装置1等のサービス機器に該電力を供給する。蓄電池は、第1の電源装置85と上記サービス機器とを結ぶ電源線31上に配置される場合が多いが、第1の電源装置85と第2の電源装置83の結線上に配置されていても構わない。なお、以下では、第2の電源装置、蓄電池、整流装置及び制御機能付きの第1の電源装置を纏めて、主電源装置と称する。
【0020】
図1Eに示すように、鉄道車両80の客室90内の天井の取付け部88に2列、すなわち、間に空調装置89を挟んで一対のLED照明装置1(1A,1B)が主照明装置として設置されている。なお、91は窓、92は座席を示している。一対のLED照明装置1(1A,1B)は、客室90内の座席92を照射すると共に、客室の左右の窓91の上の天井部近傍を柔らかく照明する、間接照明装置として、機能している。
【0021】
LED照明装置1は、長手方向に複数個、列をなすように順次繋がれ、後で詳細に述べる取り付け態様により、客室90内の天井の取付け部88に、その開口部を下方に向けて設置されている。
【0022】
複数のLED照明装置1は、主電源装置に対して、例えば直列、あるいは並列に接続されている。主電源装置には、LED照明システムを構成する機器として、LED照明装置1の他に、鉄道車両80の客室内の照度を監視する照度センサ86と、編成制御装置87とが接続されている。編成制御装置87は、トンネル位置などの路線情報および鉄道車両80に備えられるLED照明装置1の輝度を制御する調光指令等を処理する。照度センサ86により、鉄道車両80の車外環境の変化、例えば走行時間帯、走行位置、天候等の変化、に伴う客室内の照度の変化を検知し、照度情報として第1の電源装置85へ送る。第1の電源装置85は、路線情報や照度情報に基づき、客室内の照度が所定の範囲になるように、電源線31を介してLED照明装置1に供給する電流もしくは電力を制御する。このようなLED照明システムにより、鉄道車両80の客室内の照度が所望のレベルに維持される。
【0023】
なお、実施例3で後述するように、LED電源ユニット3と照明装置本体2とが分離されている形態もありうる。
【0024】
図2(図2A、及び図2B)に、本実施例のLED照明装置1の、図1BのII−II線断面図を示す。本実施例のLED照明装置1の照明装置本体2は、大まかには、一面が開放面をなす概直方体状のフレーム20と、当該フレーム20に上記の開放面側から被せられる化粧カバー6とを含んで構成されている。分かりやすさを考慮し、図2Aには、化粧カバー6がフレーム20から分離された状態のII−II線断面図を示しているが、実際には、図2Bに示すように、化粧カバー6とフレーム20とは一体に組み合わされて使用される。
【0025】
フレーム20は、ベース部21と、当該ベース部21の左右両端部に設けられた側縁部22、23とを含んで構成される。フレーム20の縦断面はΠ字状であり、照明装置本体2の長手方向(図1A〜図1Cに示す背面図、側面図および正面図の紙面左右方向)に延設されている。このような形状のフレーム20は、例えばアルミ合金の押出加工により成形することができる。
【0026】
フレーム20のLED照明装置1の長手方向端部には、図3に示すようにエンドプレート25が取り付けられており、上述したフレーム20の箱型形状の長手方向端部の壁面をなしている。
【0027】
ベース部21の上記開放面に対向する側はフレーム20の底面をなし、当該底面すなわち取付面に複数のLED発光素子10が実装された基板4が取り付けられる。一例として基板4は矩形の平板からなり、取付面も平坦な面となっている。ベース部21の電源ユニット対向面(基板4の取付面の裏面)には、フレーム長手方向へ形成された一対の凹部を介してヒートシンク2A(凸部)が形成されている。このヒートシンク2Aは、LED発光素子10への通電により発生する熱を外部へ逃がす機能を有する。アルミ自体の熱伝導性が良いため、本実施例では単なる凸部をヒートシンク2Aとして使用しているが、凸部を設けずに熱伝導性の良い金属薄膜や放熱性コーティングをベース部21裏面に設けてヒートシンク2Aとして機能させてもよい。あるいは、凸部の表面に金属薄膜や放熱性コーティングを設けてもよい。
【0028】
側縁部22は、ベース部21の左側側部から左方(図2の左方)に張り出す上側張出部22Aと、その下方(同図下方)に間隔を隔てて配置され、同様に左方に張り出す下側張出部22Bとを有している。上側張出部22Aおよび下側張出部22Bは垂設部22Cにより上下方向(つまり照明装置本体2の厚み方向)に連結されている。下側張出部22Bには、側縁部23側に張り出した内側張出部22Dが設けられている。
【0029】
同様に、側縁部23は、ベース部21の右側側部から右方(図2の右方)に張り出す上側張出部23Aと、その下方に間隔を隔てて配置され、同様に右方に張り出す下側張出部23Bとを有し、上側張出部23Aおよび下側張出部23Bは、垂設部23Cにより上下方向に連結される。また、下側張出部23Bにも、側縁部22側に張り出した内側張出部23Dが設けられている。
【0030】
上述の内側張出部22D、23Dは、フレーム20の長手方向に延在しており、本実施例では、内側張出部22D、23Dによって形成される開口を開放面と称する。また、この開放面の外側(図2Aの紙面下側)には、上記内側張出部22D、23Dの下面と下側張出部22B、23Bの内壁面による凹部22b、23bが各々形成されている。
【0031】
上述の垂設部22C、23Cは、各々、フレーム20の側壁面をなしている。この側壁面(22C、23C)には、図1Bに示すように、照明装置本体の長手方向に沿って間欠的に第2の開口窓部23hが貫通形成されている。第2の開口窓部23hは、照明装置本体2の長手方向に延びる長孔であって、上記長手方向に所定間隔を隔てて複数個設けられている。後述するが、第2の透光性プレート7は締結部材であるネジにより第2の開口窓部23hに固定されている。各第2の開口窓部23hには、第2の透光性プレート7が固定されている。本実施例では、第2の透光性プレート7としては、好ましくは難燃性または耐火性の樹脂製プレート(例えばポリカーボネート板)が用いられている。なお、第2の透光性プレートは原理的には必ずしも必要ではないが、第2の開口窓部23hを塞ぐ機能を奏するためフレーム20内部の防塵効果を有し、LED発光素子10表面への埃の付着による照度劣化を抑制できる。
【0032】
上述した各側縁部22、23における下側張出部22B、23Bは、LED照明装置1の幅方向(図2の紙面左右方向)に間隔を隔てて相対しており、当該間隔により、フレーム20のベース部21と対向する第1の開口窓部20hが形成されている。第1の開口窓部20hは、フレーム20に化粧カバー6を取り付けた際に、第1の透光性プレート5が位置するように形成されている(図2B参照)。
【0033】
次に、化粧カバー6について説明する。化粧カバー6は、フレーム20を下方から覆う部材であって、図1Cに示されるように、外観上は、開口部6aを備え、端部に曲げ加工が施された板状部材である。開口部6aは、長手方向(図2Aまたは図2Bの紙面垂直方向)に延在している。
【0034】
図1BのV部分詳細図である図3に示されるように、化粧カバー6の長手方向端部には、照明装置本体2の背面2Aの側に向かって屈曲しつつ上方に折り曲げられた折曲げ部63が形成されている。折曲げ部63は、照明装置本体2の端部を端面方向から覆っている。また、化粧カバー6の幅方向の端部には、後述する延設部61、62が形成されている。
【0035】
本実施例の場合、図2Aに示されるように、化粧カバー6にはネジ穴29が設けられており、フレーム20の各下側張出部22B、23Bおよび内側張出部22D、23Dの下面にパッキン24のような緩衝部材を介して、締結部材28(例えばネジやボルト・ナットなど)により、フレーム20に対して脱着可能に固定される。
【0036】
本実施例のLED照明装置1は、構造が簡単であるため厚みが非常に薄く、更に開放面および第1の開口窓部20hと基板4とが平行若しくは大凡平行な位置関係にあるため(つまり、基板4が箱形状のフレーム20の底面に固定されているため)、化粧カバー6を取り外せば基板4に直ぐにアクセス可能である。従って、化粧カバー6をフレーム20に完全に固定せず、化粧カバー6を脱着可能に構成することにより、基板4へのアクセス性が著しく向上し、LED発光素子10の破損・故障時における基板4の交換作業等、装置のメンテナンス性が向上する。無論、化粧カバー6をフレーム20に完全に固定しても、照明装置の側方配光は可能であるが、メンテナンス性の観点からは、化粧カバー6は、フレーム20に対して脱着可能であった方が好ましい。
【0037】
開口部6aの裏面(フレーム20との対向面側)には、第1の透光性プレート5が設けられている。本実施例では、化粧カバー6を構成する板状部材のうち、開口部6aの周囲の部分を開口縁部60と称するが、第1の透光性プレート5はパッキン24により開口縁部60の裏面側に固定されている。第1の透光性プレート5をフレーム20側に固定する構成も実現可能であるが、装置のメンテナンス性を考慮すると、第1の透光性プレート5を化粧カバー6側に固定し、化粧カバー6と一体でフレーム20から脱着できる方が好ましい。
【0038】
また、化粧カバー6をフレーム20に取り付けた場合、図2Bに示されるように、パッキン24は凹部22b、23b内に収納される。つまり、第1の透光性プレート5の外周縁部は、内側張出部22D、23Dと開口縁部60により、パッキン24を介して挟持されることになり、開口縁部60は、第1の透光性プレート5の外周縁部を保持する保持部として機能する。開口部6aと同様、第1の透光性プレート5は、長手方向(図2の紙面垂直方向)に延在している。
【0039】
第1の透光性プレート5は、LED発光素子10から放出された光を照明装置本体2の下側に導き、かつ側方に反射または散乱させる機能を有する部材であり、好ましくは平板状のガラス板(例えば強化ガラス板)が用いられる。化粧カバー6が開放面を塞ぐように箱状のフレームに固定されることにより、第1の透光性プレート5が平坦な発光面を構成する。鉄道車両の場合、スキー板や楽器といった長尺の手荷物を車内に持ち込む乗客が存在する。従って、蛍光灯のような発光面に凹凸がある照明装置に比べて、発光面が平坦な照明装置の方が長尺の手荷物が引っ掛かりにくくなる。また、凹凸が無い分、床面から天井までの高さが高くなるため、上記の手荷物が当たりにくくなる。よって、発光面を平坦に構成する方が、発光面に凹凸のある場合に比べて照明装置の破損の確率を低くすることができる。
【0040】
第1の透光性プレート5の内面(図2上側面)には、LED発光素子10から放出された光の一部を透過し、一部を反射または散乱させる拡散シート(図示せず)が設けられており、この拡散シートによって、LED発光素子10からの出射光を拡散して側方を照射することができる。また、拡散シートが設けられていることにより、第1の透光性プレート5の破損時に第1の透光性プレート5の飛散を防止できるようになっている。
【0041】
拡散シートとしては、偏光性を有するシートを採用してもよい。この場合には、拡散シートの縦横の向きを変えて第1の透光性プレート5に装着することにより、LED発光素子10からの出射光が第1の透光性プレート5に入射して拡散したときに、第1の透光性プレート5の発光面の見え方が変化する。例えば、第1の透光性プレート5が長手方向に直線状に発光して発光面が冷陰極管のように見えたり、あるいは第1の透光性プレート5が長手方向と直交する幅方向に縞模様に発光して発光面が立体的に見えたりするようになる。
【0042】
なお本実施例では、第1の透光性プレート5の反射・散乱機能を実現するため拡散シートを用いたが、ガラス繊維やポリカーボネート製の部材を用いれば、拡散シートを使用せずとも第1の透光性プレート5を作製することができる。ただし、ガラス板と拡散シートの組み合わせの方が光の損失が少なく、より照度の高い照明装置を実現することができる。
【0043】
また、第1の透光性プレート5や第2の透光性プレート7を色つきの透光性部材で構成してもよい。この場合、第1の透光性プレート5や第2の透光性プレート7を透過して外部へ照射される光に色が付くことになるが、色付きの第1の透光性プレートまたは第2の透光性プレートを有する複数のLED照明装置を並べて配置し、更にこれら複数のLED照明装置間で透光性プレートの色を変えることにより、カクテル照明のような効果を生むことができる。鉄道車両以外に適用した場合であってもこの効果が奏されることは言うまでもない。
【0044】
本実施例の化粧カバー6には、図2に示すように、開口縁部60からそれぞれ両側方に延設された延設部61、62が設けられている。本実施例のLED照明装置1の場合、両側面の一方のみが発光する片面発光タイプの灯具であるため、延設部61,62の形状が異なっており、すなわち、延設部61,62の形状が左右非対称である。延設部61は、照明装置本体2の背面2Aの側に向かって屈曲しつつ上方に立ち上がるとともに、フレーム20の側縁部22の上側張出部22Aまで延びる立壁部を形成しており、フレーム20の側縁部22を側方から覆っている。これは、延設部61が設けられた側からの発光が不要であるためである。延設部62は、照明装置本体2の背面2Aの側に向かって上方に湾曲しつつ傾斜する傾斜部を形成している。なお、延設部62の機能・作用については後述する。
【0045】
図4は、基板4上にLED発光素子10が実装された様子を示す模式図である。基板4の実装面には、基板4の長手方向(同図左右方向)に沿って配設された多数のLED発光素子10が搭載されている。この基板4は、絶縁シート(図示せず)を介して、ベース部21上に固定されている。
【0046】
本実施例のLED照明装置1においては、1台のフレーム20上に複数の基板が載置される。例えば、本実施例では、1個のLED照明装置1の構成要素の1つである照明装置本体2に取り付けられる基板4は、図5に示したように、複数枚、例えば4枚の基板4A、4B、4C、4Dから構成されている(各基板4A〜4Dの実装面には、それぞれ多数のLED発光素子10が搭載されているが図示は省略した)。このように、本実施例のLED照明装置1は、LED発光素子を搭載する基板4が複数枚の基板に分割されて照明装置本体2に実装されているため、LED発光素子が破損・故障した場合の装置メンテナンスが容易である。つまり、全てのLED発光素子を1枚の基板に実装した場合、一部故障の場合であっても基板全てを交換する必要が生じるが、本実施例のLED照明装置1では、LED発光素子が複数枚の基板に分割されて装置に搭載されているため、LED発光素子全体を交換する必要が無い。
【0047】
図5に、一対のコネクタ(オス型コネクタ及びメス型コネクタ)を用いた複数枚の基板の電気的な接続関係を模式図で示す。各基板4A〜4Dの角部には、オス型コネクタ40が設けられており、隣り合う各基板は、相対する各オス型コネクタ40に嵌合する中継用のメス型コネクタ41により電気的に接続されている。また、基板4A、4Dの残りのオス型コネクタ40には、短絡用のメス型コネクタ41’が嵌合している。基板4Bの残りのオス型コネクタ40に嵌合するメス型コネクタ41”は、端子台30を介してLED電源ユニット3に接続されている。図5の例では、基板4Aと4B、基板4Cと4D各々直列に、電源ユニット3に接続されている。このような一対のコネクタを用い複数枚の基板を接続して構成された1つの基板4が、各LED照明装置1の照明装置本体2に実装されている。
【0048】
次に、本実施例のLED照明装置1の動作について、図6および図7を用いて説明する。図6は、図1BのVI−VI線断面図を示し、図7はLED発光素子10から出射された光の光路を示す模式図である。
【0049】
LED発光素子10から出射された光は、ベース部21と対向する第1の透光性プレート5に入射する。第1の開口窓部20h(換言すると第1の透光性プレート5)と基板4とが平行若しくは大凡平行な位置関係にあるため、各LED発光素子10から出射された光のうち第2の開口窓部23hに直接到達する光以外は、直下の第1の透光性プレート5に入射し、下方に透過したのち、照明装置本体2の外部に直接光として照射される。直接光の光路の一例を図6、図7中に実線で示した。また、LED発光素子10からの出射光の一部は、第1の透光性プレート5で反射(全反射または一部反射)した後、垂設部23Cの第2の透光性プレート7を透過して第2の開口窓部23hの側方に間接光として照射される。間接光の光路は図6、図7中に一点鎖線で示した。このとき、第1の透光性プレート5の内面に拡散シートが装着されている場合には、第1の透光性プレート5の全面を主発光面として発光させることができるばかりでなく、当該拡散シートによる拡散光が第2の透光性プレート7を透過して側方に照射されるようになる。
【0050】
このように、第1の透光性プレート5での反射および(または)散乱を利用することで、簡易な構成で、照明装置の側方照射を実現することができる。
【0051】
次に、図8を用いて、化粧カバー6の延設部62およびフレーム20の上側張出部23Aの機能について説明する。図8は、LED発光素子10から出射された光の光路を示す模式図であり、実線が直接光の光路、一点鎖線が間接光の光路を、二点鎖線が別の間接光の光路を示す。点線は、第2の透光性プレート7の中心を示す。LED発光素子10からの出射光のうち一部は、例えば、図8の実線で示す光路を通って、第1の透光性プレート5を透過し、照明装置の下面を照射する。
【0052】
本実施例の場合、化粧カバー6の外側は上側に反った曲面部によって構成される延設部62をなしている。図8中の一点鎖線で示されるように、LED発光素子10からの出射光の一部は、第2の透光性プレート7を直接透過した後、延設部62の内面で反射され、側方上部(図8中の点線よりも紙面上側)を照射する。また一方、図8中の二点鎖線で示されるように、LED発光素子10からの出射光の一部は、第1の透光性プレート5裏面の拡散シートで反射した後、上側張出部23Aの内面で反射され、照明装置の側方下部(図8中の点線よりも紙面下側)を照射するようになる。
【0053】
以上のように、化粧カバー6の幅方向の端部領域に上側に湾曲した延設部62を設け、かつフレーム20に上側張出部23Aを設けることにより、照明装置の側方を上側から下側までむらなく照射することができるようになる。
【0054】
この効果は、特に鉄道車両に本実施例のLED照明装置1を取り付けた場合に大きく、車両の天井側面や側広告等を従来の照明装置よりも明るく照射することが可能となる。
【0055】
例えば、図1Eに示した一対のLED照明装置1のうち、左側のLED照明装置1Aは左側に延設部62があり、右側のLED照明装置1Bは右側に延設部62がある。これにより、延設部62からの光が車両の天井側面や側広告等を明るく照射する効果がある。
【0056】
このとき、延設部62の内面は、反射光量を増やすために、白色に塗装されている方が好ましい。この場合には、化粧カバー6の延設部62での反射を利用することで、照明装置本体2の側方から照射されるようになっているので、装置全体の構造を簡略化できる。
【0057】
また、以上の説明では、LED発光素子10からの出射光を照明装置本体2の側部からのみ側方へ照射するようにした例を示したが、図9に示すように、照明装置本体2の長手方向の端部に装着したエンドプレート25に第3の開口窓部25aを貫通形成し、当該開口窓部25aに第3の透光性プレート8を装着することにより、LED発光素子10からの出射光を第3の透光性プレート8を透過させて、第3の開口窓部25aから端部方向に照射するようにしてもよい。
【0058】
本実施例によれば、装置全体の構造が簡素化され、付加的な複雑な機構無しに、主発光面として発光すると共に、照明装置本体の側方への配光が可能なLED照明装置を実現することができる。
また、装置全体の構造が簡素化されるため、非常に薄いLED照明装置を実現することも可能となる。
【実施例2】
【0059】
本実施例では、化粧カバー6の延設部62の変形例について説明する。実施例1では、図2あるいは図6に示すような湾曲形状の延設部62について説明したが、図10に示すように、化粧カバー6の開口縁部60に対して屈曲しつつ直線状に交差するものであってもよい。この場合においても、図8の場合と同様の光路が形成される。
あるいは、図11の変形例に示すように、化粧カバー6の延設部62は、湾曲形状や屈曲形状を有することなく、単に開口縁部60の延長線上に延設されたものであっても良い。この場合においても、LED発光素子10からの出射光を側方に照射させることが可能である。
本実施例によれば、側方への配光を行うための延設部の構造、ひいては装置全体の構造が簡素化され、非常に薄いLED照明装置を実現することが可能となる。
【実施例3】
【0060】
実施例1、2では、LED照明装置の2つの側面のうち、片側のみが発光する片面発光タイプのLED照明装置の構成について説明したが、本実施例では、LED照明装置の両側面が発光する両面発光タイプ、かつLED電源ユニットが照明装置本体とは分離された形態のLED照明装置について説明する。
図12に、図1BのVI−VI線断面図に相当する、本実施例のLED照明装置1の断面図を示す。ここで、本実施例のLED照明装置1の外観図は、側面図は図1Bとほぼ同様であるが、LED電源ユニットが分離されており、更に両面発光タイプのため、背面図と正面図は図1Aないし図1Cに示される態様とは若干異なる。
【0061】
本実施例では、フレーム20の側縁部22,23の両垂設部22C,23Cに第2の開口窓部23hを貫通形成して、当該開口窓部に第2の透光性プレート7を装着する。また、化粧カバー6の延設部61、62の両者を、照明装置本体2の背面2A側に向かって湾曲しつつ傾斜する傾斜部として形成する。更に、側縁部22,23の両者に上側張出部22A、23Aを各々設ける。これにより、照明装置の両側の側方を上側から下側までむらなく照射することが可能となる。
【0062】
本実施例のLED照明装置1は延設部61,62の形状が左右対称なので、例えば鉄道車両80の客室90用の空調装置が鉄道車両80の床下に設置され、ダクトを介して客室90内の空調がなされるタイプに適している。すなわち、本実施例のLED照明装置1は客室90内の天井の中央に取り付けることもできる。換言すると、本実施例のLED照明装置1は天井面等の設置位置に制約がない。
【0063】
また、本実施例では、LED電源ユニット3は照明装置本体2から分離されているため、照明装置本体2を軽量化でき、照明装置本体2の天井面への取付作業の負担を軽減できる。また、LED電源ユニット3を照明装置本体2とは離れた外部、例えば鉄道車両の床下に配置することができるため、車両の重心を下げるといった効果も期待できる。なお、実施例1で説明した片面発光型のLED照明装置においても、電源ユニットを分離した構成を採用できることは言うまでもない。
【実施例4】
【0064】
本実施例では、笠(ディフューザー)を備えた笠付き灯具の実施例について説明する。実施例1から3で説明したLED照明装置は、従来のLED照明装置よりも側方を明るく照明できるという特徴を有するが、場合によっては、側方照明はさほど重要ではなく、LED発光素子から出射された光を照明装置の下側に配光したい場合がある。
【0065】
図13Aに、本実施例のLED照明装置1の断面図を示す。LED発光素子10は基板4に実装され、基板4はフレーム20の底面にネジ止めされている。化粧カバー6の開口部6aの裏面には第1の透光性プレート5が固定され、更に、化粧カバー6はパッキン24(緩衝部材)と図示しない締結部材を介してフレーム20に固定されている。フレーム20の側壁には第2の開口窓部23hが形成されているが、本実施例の場合、第2の透光性プレート7は、フレーム20の側壁面外側と化粧カバー6の側壁面内側の両方に固定されている。ディフューザー70(笠部材)は、取付部71を介してフレーム20およびLED電源ユニット3に固定されている。
【0066】
LED発光素子10からの出射光のうち、主発光面から照射される光は、例えば図13Aの実線で示した光路を通り、第1の透光性プレート5を透過して照明装置下面を照射する。一方、図13Aの一点鎖線で示された間接光の場合、第2の透光性プレート7を透過するが、ディフューザー70の内壁面(紙面下向き面)で反射され、LED照明装置1の下部に導かれる。同様に、光路が第2の開口窓部23hを通る直接光であっても、図13Aの二点鎖線で示されるように、ディフューザー70の内壁面(紙面下向き面)で反射され、LED照明装置1の下部に導かれる。
【0067】
従って、図13Aに示す実施例の場合、LED発光素子10から出射される光は、全て照明装置の下方の照明に寄与するため、実施例1から3で説明したLED照明装置に比べて、照明装置下部を特に明るく照明することができる。本実施例のLED照明装置1は延設部の形状が左右対称なので、例えば鉄道車両80の客室90内の天井の取付け部に取り付ける際は、天井の中央に取り付けることも可能であり、その設置位置に制約がない。
【0068】
図13Bに、実施例4の変形例を示す。図13Bに示す例の場合、第2の開口窓部23hの下端がディフューザー70の下端よりも下に位置しているため、第2の開口窓部23hを通過する光の一部はディフューザー70で反射されず、直接光として第2の開口窓部23hを通って、LED照明装置1の側方に照射される。従って図13Bの実施例により、主としてLED照明装置1の下方を照明したいが、ある程度側方にも配光したい場合に好適なLED照明装置を実現することができる。なお、側方への配光度合いは、図13Bに図示した長さd(第2の開口窓部23hの下端位置とディフューザー70の下端位置との差)を調節することにより調整できることは明らかである。
【実施例5】
【0069】
本実施例では、図14ないし図17を用いて、電源ユニット付きLED照明装置の取付方法の各態様について説明する。ここでは、鉄道車両に本発明のLED照明装置を取り付ける場合の取付方法について説明する。実施例1から4で説明したLED照明装置1は、フレーム20の各側縁部22、23の各張出部22A、23Aまたは22B、23Bを用いて取付面に取り付けられる。図14ないし図17において、図1から図13に示された参照番号と同一の番号は、同一または相当部分を意味する。また、図14ないし図17では、LED照明装置1を概略図で示しており、照明装置本体2の基板、LED発光素子、第1、第2の透光性プレート、化粧カバー等は、図示を省略している。
【0070】
図14に示す取付態様は、鉄道車両の天井の天板16に貫通孔16aを形成し、LED電源ユニット3を当該貫通孔16aを介して天井の裏側に配置した例である。このとき、フレーム20の各側縁部22、23における各上側張出部22A、23Aが、これらを上下に挿通する取付ネジ15(締結部材)により天板16に取り付けられている。
【0071】
図15に示す取付態様は、天井に形成された凹部16bを利用して、当該凹部16b内にLED電源ユニット3を配置した例である。この場合、フレーム20の各上側張出部22A、23Aには、横断面略Π字状の取付金具17の下端が取付ネジ15により取り付けられている。取付金具17は、凹部16b内に配置されるとともに、取付ネジ18により、凹部16b内の天板16Aに取り付けられている。
【0072】
図14および図15に示す取付態様では、照明装置本体2を天板16の下方に配置した例を示したが、図16に示すものでは、フレーム20の各上側張出部22A、23Aが天井の裏側に配置されており、各上側張出部22A、23Aの下面は、取付ネジ15により、天板16の上面に取り付けられている。すなわち、この場合には、照明装置本体2の一部が天板16の上方に配置されている。
【0073】
図17に示す取付態様は、LED照明装置全体を天井の裏側に配置した例であり、LED照明装置1が天井に埋め込まれている。このとき、フレーム20の各側縁部22、23における各下側張出部22B、23Bの下面は、取付ネジ15(締結部材)により、天板16の上面に取り付けられている。この場合には、LED照明装置1の側方から光を照射する必要がないので、第2の透光性プレートは不要となる。図17に示す取付態様の場合、天井面に凹凸が無くなるため、外観上、天井面がすっきりして見えるという効果がある。
【0074】
このように、LED照明装置1の取付けの際には、フレーム20の左右両側縁部22、23において上下方向に間隔を隔てた各張出部22A、22Bおよび23A、23Bを利用することにより、LED照明装置1の取付面への取付け作業が容易に行えるようになるとともに、種々の取付方法が可能になる。
【0075】
また、本実施例で説明した取付態様では、側縁部の張出部を介して、照明装置本体が取付面に取り付けられるようになっている。この場合には、張出部がベース部の側部から側方に張り出して設けられているので、この張出部を利用することにより、照明装置本体の取付面への取付け作業が容易に行えるようになる。また、各張出部が垂設部を挟んで照明装置本体の厚み方向に間隔を隔てて配置されているので、照明装置本体の厚み方向の2個所の位置で取付面に対する取付けを行える。
【0076】
なお、LED電源ユニット3を照明装置本体2の背面2Aに設置したことにより、照明装置本体2を取付面(例えば天井面)に据え付ける際には、電源ユニット3を取付面側の例えば端子台に接続する作業が容易になるとともに、電源ユニット単体のメンテナンス作業が容易になるという効果を奏する。
【0077】
以上、実施例5では、鉄道車両に本発明のLED照明装置を取り付ける場合の取付方法について説明したが、本発明のLED照明装置は、ビル等の建物内の照明や住宅の室内用の照明等にも適用可能である。
本発明は、側方への照射光を簡単な機構で実現できるLED照明装置に好適である。
【符号の説明】
【0078】
1: LED照明装置
2: 照明装置本体
2A: ヒートシンク
20h: 第1の開口窓部
21: ベース部
22: 側縁部
22A、22B: 張出部
22C: 垂設部
23: 側縁部
23A、23B: 張出部
23C: 垂設部
23h: 第2の開口窓部
25a: 第3の開口窓部
3: LED電源ユニット
31: 電源線
4: 基板
4A〜4D: 基板
5: 第1の透光性プレート
6: 化粧カバー
60: 開口縁部
61、62: 延設部
7: 第2の透光性プレート
10: LED発光素子
80: 鉄道車両
88: 天井の取付け部
90: 客室。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED発光素子が搭載される基板と、
前記基板が固定される底面と、該底面から伸びた側壁面とを有し、当該底面の対向面が開放面をなすフレームと、
前記LED発光素子から放出された光が通過する第1の開口窓部を有し、前記フレームに対して前記開放面側から取り付けられる化粧カバーと、
前記第1の開口窓部を覆うように前記化粧カバーに固定され、前記LED発光素子から放出された光の一部を透過させ、一部を反射あるいは散乱させる第1の透光性プレートと、
前記側壁面の少なくとも一つに設けられ、前記第1の透光性プレートから反射された光を外部に通過させる第2の開口窓部とを備えることを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記化粧カバーが前記開放面を塞ぐように前記フレームに固定されることにより、前記第1の透光性プレートが平坦な発光面を構成することを特徴とするLED照明装置。
【請求項3】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記第1の透光性プレートは、
ガラス板と、当該ガラス板を透過する光量を調節する拡散シートとを備えることを特徴とするLED照明装置。
【請求項4】
請求項3に記載のLED照明装置において、
前記拡散シートに替えて、偏光シートを備えることを特徴とするLED照明装置。
【請求項5】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記第2の開口窓部に設けられた第2の透光性プレートを備えることを特徴とするLED照明装置。
【請求項6】
請求項5に記載のLED照明装置において、
前記第2の透光性プレートが色付き透光プレートであることを特徴とするLED照明装置。
【請求項7】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記第2の開口窓部が、前記側壁面のうち前記フレームの長手方向に延びる2つの側壁面のいずれか一方に形成されていることを特徴とするLED照明装置。
【請求項8】
請求項7に記載のLED照明装置において、
前記第2の開口窓部が、さらに前記2つの側壁面の両方に形成されていることを特徴とするLED照明装置。
【請求項9】
請求項7に記載のLED照明装置において、
前記フレームの長手方向端部の側壁面に設けられた第3の開口窓部を備えることを特徴とするLED照明装置。
【請求項10】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記化粧カバーの前記第2の開口窓部側端部が曲面であることを特徴とするLED照明装置。
【請求項11】
請求項10に記載のLED照明装置において、
前記曲面の前記第2の開口窓部側の面が光を反射する色に塗装されていることを特徴とするLED照明装置。
【請求項12】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記フレームの側壁面のうち当該フレームの長手方向に延びる2つの側壁面に、LED照明装置を所定の取付面に固定する締結部材が配置される張出部を備えることを特徴とするLED照明装置。
【請求項13】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記フレームの底面側から前記開放面側に反った笠部材を備えたことを特徴とするLED照明装置。
【請求項14】
請求項13に記載のLED照明装置において、
前記フレームの底面を上側、前記開放面側を下側として、前記第2の開口窓部の少なくとも下端が前記笠部材の下端よりも下側に配置されることを特徴とするLED照明装置。
【請求項15】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記基板の取付面の裏面側に形成されたヒートシンクを備えることを特徴とするLED照明装置。
【請求項16】
請求項15に記載のLED照明装置において、
前記ヒートシンクは、前記裏面側に設けられた2つの長手方向溝により形成される凸部であることを特徴とするLED照明装置。
【請求項1】
LED発光素子が搭載される基板と、
前記基板が固定される底面と、該底面から伸びた側壁面とを有し、当該底面の対向面が開放面をなすフレームと、
前記LED発光素子から放出された光が通過する第1の開口窓部を有し、前記フレームに対して前記開放面側から取り付けられる化粧カバーと、
前記第1の開口窓部を覆うように前記化粧カバーに固定され、前記LED発光素子から放出された光の一部を透過させ、一部を反射あるいは散乱させる第1の透光性プレートと、
前記側壁面の少なくとも一つに設けられ、前記第1の透光性プレートから反射された光を外部に通過させる第2の開口窓部とを備えることを特徴とするLED照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記化粧カバーが前記開放面を塞ぐように前記フレームに固定されることにより、前記第1の透光性プレートが平坦な発光面を構成することを特徴とするLED照明装置。
【請求項3】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記第1の透光性プレートは、
ガラス板と、当該ガラス板を透過する光量を調節する拡散シートとを備えることを特徴とするLED照明装置。
【請求項4】
請求項3に記載のLED照明装置において、
前記拡散シートに替えて、偏光シートを備えることを特徴とするLED照明装置。
【請求項5】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記第2の開口窓部に設けられた第2の透光性プレートを備えることを特徴とするLED照明装置。
【請求項6】
請求項5に記載のLED照明装置において、
前記第2の透光性プレートが色付き透光プレートであることを特徴とするLED照明装置。
【請求項7】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記第2の開口窓部が、前記側壁面のうち前記フレームの長手方向に延びる2つの側壁面のいずれか一方に形成されていることを特徴とするLED照明装置。
【請求項8】
請求項7に記載のLED照明装置において、
前記第2の開口窓部が、さらに前記2つの側壁面の両方に形成されていることを特徴とするLED照明装置。
【請求項9】
請求項7に記載のLED照明装置において、
前記フレームの長手方向端部の側壁面に設けられた第3の開口窓部を備えることを特徴とするLED照明装置。
【請求項10】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記化粧カバーの前記第2の開口窓部側端部が曲面であることを特徴とするLED照明装置。
【請求項11】
請求項10に記載のLED照明装置において、
前記曲面の前記第2の開口窓部側の面が光を反射する色に塗装されていることを特徴とするLED照明装置。
【請求項12】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記フレームの側壁面のうち当該フレームの長手方向に延びる2つの側壁面に、LED照明装置を所定の取付面に固定する締結部材が配置される張出部を備えることを特徴とするLED照明装置。
【請求項13】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記フレームの底面側から前記開放面側に反った笠部材を備えたことを特徴とするLED照明装置。
【請求項14】
請求項13に記載のLED照明装置において、
前記フレームの底面を上側、前記開放面側を下側として、前記第2の開口窓部の少なくとも下端が前記笠部材の下端よりも下側に配置されることを特徴とするLED照明装置。
【請求項15】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記基板の取付面の裏面側に形成されたヒートシンクを備えることを特徴とするLED照明装置。
【請求項16】
請求項15に記載のLED照明装置において、
前記ヒートシンクは、前記裏面側に設けられた2つの長手方向溝により形成される凸部であることを特徴とするLED照明装置。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−41820(P2013−41820A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−159249(P2012−159249)
【出願日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(390010973)日立交通テクノロジー株式会社 (20)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(390010973)日立交通テクノロジー株式会社 (20)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】
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