説明

LED照明装置

【課題】簡単な構成で熱抵抗を低く抑えることができ、LED素子から発生した熱を効率良く放熱させることが可能なLED照明装置を提供する。
【解決手段】取り付け板部16Aの剛性は高さのある壁部1622により確保され、取り付け板部16Aに作用する冷却用作動液28の飽和蒸気圧に対して、また、冷却用作動液28の注入時における真空状態あるいは真空に近い減圧状態に対して、取り付け板部16Aが変形することなく耐えることが可能となる。したがって、取り付け板部16Aの剛性が壁部1622で確保されていることから、凹部1610の底面1610Aをなす壁部1620を薄くでき、LED素子14から発生する熱を冷却用作動液28へ効果的に伝導し、LED素子14を効果的に冷却する上で極めて有利となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(Light Emitting Diode;発光ダイオード)を用いた照明装置、特にヒートシンクを組み込んだ照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDを用いた照明装置は、昨今の省エネルギー化の課題に応える解決策の一つとして普及してきている。LEDは、低消費電力であることに加えて長寿命であるという特性を持っているため、世界中で関連技術が研究されており、進化の非常に早い半導体であるといえる。
以前は表示ランプ等の低消費電力の製品に限られていたが、高出力のLED素子の開発に伴い、近年はこれを活用した高出力の照明装置も出現してきた。LED照明装置の照明効果は非常に高く、蛍光灯を超えるものも存在する。また、LED光は直線に照射されるために、全光束値に比して照度値が高く、強い光線を発する。また、最適な条件で使用すれば、6万時間を超える寿命も期待できるとされている。
このように、LEDを用いた照明装置には利点も多いが、高出力のLEDは熱の発生量が非常に大きくなるため、それに伴う課題が生じる。たとえば、LED素子の劣化を防ぐために、LED素子から発生する熱を効率的に放散させる必要がある。
したがって、照明用のLED素子が実装された基板と、それを固定する台座、また、LEDから発生した熱を移動させるヒートパイプや放熱フィン等からなるヒートシンクを備えた構造のLED照明装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−267435号公報
【特許文献2】特開2009−64661号公報
【特許文献3】特開2006−210537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように従来のLED照明装置は、LED素子が実装された基板を固定する台座やヒートパイプ、放熱フィンといった様々な構成要素を必要としているため、複雑な構造であった。
また、LED素子から発生した熱を効率良く放散させるには、ヒートパイプとこれに接する構成要素との密着度が高いことが好ましいが、実際にはそれぞれの素材や形状の違い等の要因により、高い密着度を持って構成することは難しい。
また、ヒートパイプと各構成要素との素材の違い等の原因によって、ヒートシンクの熱抵抗を低く抑えることも難しかった。近年の高出力のLED照明装置に対応させるためには、LED素子用のヒートシンクの熱抵抗を従来よりも低く抑え、LED素子から発生する熱を現状よりも効率的に放散させることが望まれていた。
この発明は以上の点を鑑みてなされたものであり、熱抵抗を従来よりも低く抑えて、さらにLED素子から発生した熱を効率的に放熱させることが可能なLED照明装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した目的を達成するために、本発明のLED照明装置は、複数のLED素子が実装された基板とこの基板を支持する支持部材とを有する照明部と、前記支持部材を支持し冷却する冷却部とを備えたLED照明装置であって、前記支持部材は、その厚さ方向の一方の面が前記基板が取着される取り付け面とされ、厚さ方向の他方の面が背面とされる取り付け板部を有し、前記冷却部は、長さを有しその長手方向の端部が開放された冷却筒と、前記冷却筒の開放された端部が前記背面で閉塞されることで形成され前記冷却筒の長手方向を鉛直方向に向けると鉛直方向に沿って延在する内部空間と、前記内部空間に封入された冷却用作動液とを備え、前記取り付け板部の厚さ方向から見て、前記内部空間内に位置する前記背面の内側に前記実装された複数のLED素子が位置し、前記内部空間内に位置する前記背面の全域に、前記取り付け面側に窪み互いに切り離された多数の凹部がハニカム状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
LED照明装置の動作時にLED素子から発生した熱は、基板を経て取り付け面から取り付け板部に伝導され、取り付け板部から冷却用作動液に伝導される。
熱が冷却用作動液に伝導されると、冷却用作動液は容易に蒸発し気化し、気化した冷却用作動液28の熱が冷却筒22に伝導され外部に放熱される。
このようにして、内部空間の上部で凝縮熱が放出されることにより、冷却用作動液は冷却されて液化し、重力によって再び取り付け板部上に戻され、この冷却用作動液の循環が連続して行われる。
本発明では、取り付け板部の剛性は、隣り合う凹部間に位置する高さのある壁部により確保され、冷却用作動液の飽和蒸気圧に対して、また、冷却用作動液の注入時における真空状態あるいは真空に近い減圧状態に対して、取り付け板部が変形することなく耐えることが可能となる。したがって、取り付け板部の剛性が隣り合う凹部間に位置する高さのある壁部で確保されていることから、凹部の底面をなす壁部を薄くできる。
本発明では、取り付け板部の厚さ方向から見て、内部空間内に位置する背面の内側に全てのLED素子が位置しており、しかも、凹部の底面をなす壁部は薄い。
したがって、全てのLED素子から発生する熱を、凹部の底面をなす薄い壁部を介して冷却用作動液へ効果的に伝導し、全てのLED素子を効果的に冷却する上で極めて有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態のLED照明装置を、照明部の側から見た斜視図である。
【図2】実施の形態のLED照明装置を、支持部の側から見た斜視図である。
【図3】実施の形態のLED照明装置の断面正面図であり、図1のX―X線断面に相当している。
【図4】中間接続部材に取り付ける前の状態の照明部の平面図である。
【図5】取り付け板部の拡大断面図である。
【図6】実施の形態のLED照明装置を、照明部の側から見た断面斜視図である。
【図7】実施の形態のLED照明装置の平面図である。
【図8】実施の形態の変形例のLED照明装置の断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
図1〜図3からも理解できるように、実施の形態のLED照明装置2は、照明部10と、この照明部10を支持する冷却部20とを備え、冷却部20の内部空間Sに封入された冷却用作動液28の蒸発熱により照明部10の複数のLED素子14を冷却するものである。
図1〜図6に示す実施の形態のLED照明装置2は、LED照射光が鉛直下側に照射されるような向きに支持されて使用されるものである。
LED照明装置2は、例えば、使用箇所がトンネルであれば、トンネル内の上壁や側壁に配置され、使用箇所が建物であれば、天井や壁面に配置され、その際に、フックなどの従来公知の様々な取り付け具が冷却部20あるいは照明部10に設けられるが、図面では省略している。
【0009】
照明部10は、基板12、LED素子14、支持部材16を含んで構成されている。
本実施の形態では基板12は円形を呈し、この基板12に複数のLED素子14が実装されている。
支持部材16は、取り付け板部16Aとリフレクタ16Bとを含んで構成されている。
取り付け板部16Aは円形を呈し、図5に示すように、取り付け板部16Aの厚さ方向の一方の面は、基板12が取着される取り付け面1602とされ、厚さ方向の他方の面は背面1604とされる。
取り付け板部16Aは、この取り付け板部16Aを水平にした状態で、取り付け面1602により基板12を鉛直上側から支持し、基板12に実装した複数のLED素子14を鉛直下方に向ける。
リフレクタ16Bは、基板12の周囲を覆うように、取り付け板部16Aの周囲に設けられている。
リフレクタ16Bは、LED素子14からの照射光を反射して集光し、所望の照射量の光を照射する。
【0010】
本実施の形態では、内部空間S内に位置する取り付け板部16Aの背面1604の全域に、取り付け面1602側に窪み互いに切り離された多数の凹部1610がハニカム状に形成されている。言い換えると、多数の凹部1610が互いに近接した状態で形成されている。
本実施の形態では、凹部1610は断面が円形である。
したがって、図5に示すように、取り付け板部16Aは、多数の凹部1610の底面1610Aと取り付け面1602との間に位置する壁部1620と、取り付け面1602と背面1604とにわたって延在し隣り合う凹部1610間に位置する壁部1622とを有している。
凹部1610は、底面1610Aと、底面1610Aの周囲から起立し背面1604に接続される側面1610Bとを有している。
さらに、本実施の形態では、底面1610Aと側面1610Bとの境の箇所は凹状の湾曲面1610Cで接続されている。
また、複数のLED素子14は、それぞれ凹部1610の軸心CLの延長上に位置する基板12の箇所に、LED素子14の中心が位置するように配置されている。
【0011】
このように構成することで、取り付け板部16Aの剛性は高さのある壁部1622により確保され、取り付け板部16Aに作用する冷却用作動液28の飽和蒸気圧に対して、また、冷却用作動液28の注入時における真空状態あるいは真空に近い減圧状態に対して、取り付け板部16Aが変形することなく耐えることが可能となる。
したがって、取り付け板部16Aの剛性が壁部1622で確保されていることから、凹部1610の底面1610Aをなす壁部1620を薄くでき、LED素子14から発生する熱を冷却用作動液28へ効果的に伝導し、LED素子14を効果的に冷却する上で極めて有利となる。
この場合、図5に示すように、複数のLED素子14を、それぞれ凹部1610の軸心CLの延長上に位置する基板12の箇所に配置すると、LED素子14から発生する熱は厚さの薄い壁部1620を経て冷却用作動液28へ伝導されるため、LED素子14を効果的に冷却する上でより有利となる。
さらに、複数のLED素子14を、それぞれ凹部1610の軸心CLの延長上に、LED素子14の中心が位置するように配置すると、LED素子14から発生する熱の大半が厚さの薄い壁部1620を経て冷却用作動液28へ伝導されるため、LED素子14を効果的に冷却する上でより一層有利となる。
また、図5に示すように、底面1610Aと側面1610Bとの境の箇所に、凹状の湾曲面1610Cを設けると、冷却用作動液28の飽和蒸気圧が取り付け板部16Aに作用した際に、底面1610Aと側面1610Bとの境の箇所での応力集中を緩和でき、取り付け板部16Aの耐久性を高める上で有利となる。
なお、LED素子14の配置の如何によっては、強度的に耐えられる限りにおいて、隣り合う幾つかの凹部1610が連通する場合も生じる。
【0012】
冷却部20は支持部材16を支持するとともに、LED照明装置2の動作時に、LED素子14から発生した熱を移動させて放散させる。したがって冷却部20はヒートパイプ機能を有するヒートシンクを兼ねる。
冷却部20は、冷却筒22、放熱フィン24、内部空間S、冷却用作動液28を含んで構成されている。
冷却筒22は、円筒状を呈し、その長手方向の一方の端部が開放され、この開放された端部は、取り付け板部16Aの背面1604で閉塞されている。
冷却筒22の長手方向の他方の端部には、栓状の封止部22Aが設けられている。
放熱フィン24は、冷却筒22を全長にわたって延在しており、冷却筒22の外周面に周方向に間隔をおいて設けられ、冷却筒22と一体に設けられている。
【0013】
本実施の形態では、冷却筒22は、冷却筒22の長手方向の端部に取着され取り付け板部16Aを支持する中空の中間接続部材26を含んで構成されている。
この実施の形態のLED照明装置2のように、照明部10の径が冷却筒22の径よりも大きい場合には、すなわち複数のLED素子14が配置される領域が、冷却筒22の内部空間をその長手方向と直交する面で切断した断面積よりも大きい場合には、中間接続部材26を備えることにより、照明部10と冷却部20とを互いに強固に連結する上で有利となる。
中間接続部材26は中空状で、冷却筒22の端部に取着される基部と、基部から次第に拡径する傾斜部とを有している。
したがって、内部空間Sは、冷却筒22の内部で区画される均一断面で直線状に延在する円柱空間部S1と、中間接続部材26の内側に形成され円柱空間部S1の長手方向の端部に接続し円柱空間部S1から離れるに至るにつれて次第に断面積が増加する傾斜空間部S2とを有している。
また、支持部材16を支持する冷却部20の箇所は、円柱空間部S1から離れた側の傾斜空間部S2を形成する中間接続部材26の端部となり、背面1604で閉塞される冷却筒22の開放された端部は、円柱空間部S1から離れた側の傾斜空間部S2の端部となる。
【0014】
また、図3、図4に示すように、中間接続部材26を備えることにより、取り付け板部16Aの厚さ方向から見て、内部空間S内に位置する背面1604の内側に、実装された複数のLED素子14が位置するように、取り付け板部16Aは設けられ、冷却用作動液28の蒸発熱により全てのLED素子を効率良く冷却するようにしている。
なお、本実施の形態のLED照明装置2では、図7に示すように、冷却筒22の軸方向から見て放熱フィン24を含む冷却部20が、支持部材16を含む照明部10内に収まる構造としてある。具体的には、放熱フィン24を含む冷却部20の径W1を、支持部材16の径W2以下の大きさに設定している。
すなわち、平面視した状態で複数の放熱フィン24を含む冷却部20の輪郭は、照明部10の輪郭の内側に収まるように配置されている。
【0015】
なお、冷却筒22、中間接続部材26、支持部材16は、熱伝導性が高い材料で形成され、また、冷却用作動液28の注入時の真空状態に耐え、また、使用時には冷却用作動液28の飽和蒸気圧に耐えられる材料で形成される。例えば、熱伝導性が高く軽量なアルミニウム等が好適である。また、ダイカスト法等で製造するとコストダウンを図る上で有利となる。
また、冷却筒22への封止部22Aの取り付け、冷却筒22と中間接続部材26との取り付け、中間接続部材26と支持部材16との取り付けには溶接が用いられ、長期にわたりそれら部材間に隙間がない状態が保持され、LED照明装置2の耐久性が高められている。なお、図3において符号30は溶接箇所を示している。
【0016】
冷却用作動液28は、LED素子14の発光時の熱を受け取った時、容易に気化して放散させ、熱の移動を効率よく行わせる。したがって冷却部20はヒートパイプ機能を有するヒートシンクを兼ねる。
冷却用作動液28は、冷却筒22の長手方向を鉛直方向に向けた状態で、取り付け板部16Aの背面1604の全域が冷却用作動液28中に常時浸漬される量で封入されている。すなわち、内部空間Sの下部には冷却用作動液28による液体部28Aが常時存在し、その液面が、取り付け板部16Aの背面1604の全域の上方に常時位置する量で冷却用作動液28が封入されている。
冷却用作動液28として、例えば、水やアルコール等の液体や、シリコン油のような絶縁性が高く不燃性の液体など、従来公知の様々な液体が使用可能である。
冷却用作動液28に用いる液体にもよるが、内部空間Sの容積の15%程度の体積量の冷却用作動液28を封入すると、取り付け板部16Aの背面1604の全域が冷却用作動液28中に常時浸漬される。例えば、冷却用作動液28は円柱空間部S1の下端まで封入される。
冷却用作動液28の内部空間Sへの注入は、内部空間Sを真空状態あるいは真空に近い減圧状態にして封止部22Aの孔22Bから行い、注入後、孔22Bは溶接により隙間が無い状態で閉塞される。
【0017】
次に、動作について説明する。
LED照明装置2の動作時にLED素子14から発生した熱は、基板12を経て取り付け面1602から取り付け板部16Aに伝導され、取り付け板部16Aから液体部28Aの冷却用作動液28に伝導される。
熱が冷却用作動液28に伝導されると、冷却用作動液28は容易に蒸発し気化する。そして、気化した冷却用作動液28は、内部空間S内で上昇し、また、気化した冷却用作動液28の熱が冷却筒22を経て放熱フィン24に伝導され、放熱フィン24から外部に放熱される。
このようにして、内部空間Sの上部で凝縮熱が放出されることにより、冷却用作動液28は冷却されて液化し、重力によって再び取り付け板部16A上の液体部28Aに戻され、この冷却用作動液28の循環が連続して行われる。
【0018】
本実施の形態では、冷却部20自体が、LED素子14から発生した熱を移動させて放熱させる、ヒートパイプとして機能する、ヒートシンクとして働く構造となっている。
そのため、従来のLED照明装置2と比較して非常に簡易な構造でありながら、それゆえに熱抵抗が高くなる心配もなく、LED素子14から発生した熱を効率的に放散させることが可能となる。
【0019】
また、本実施の形態では、取り付け板部16Aの厚さ方向から見て、内部空間S内に位置する背面1604の内側に全てのLED素子14が位置しており、しかも、凹部1610の底面1610Aをなす壁部1620は薄い。
したがって、全てのLED素子14から発生する熱を冷却用作動液28へ効果的に伝導し、全てのLED素子14を効果的に冷却する上で極めて有利となる。
また、複数のLED素子14は、それぞれ凹部1610の軸心CLの延長上に位置する基板12の箇所に配置されているので、LED素子14から発生する熱は厚さの薄い壁部1620を経て冷却用作動液28へ伝導されるため、LED素子14を効果的に冷却する上でより有利となる。
この場合、複数のLED素子14を、それぞれ凹部1610の軸心CLの延長上に、LED素子14の中心が位置するように配置すると、LED素子14から発生する熱の大半が厚さの薄い壁部1620を経て冷却用作動液28へ伝導されるため、LED素子14を効果的に冷却する上でより一層有利となる。
【0020】
また、平面視した状態で複数の放熱フィン24を含む冷却部20の輪郭は、照明部10の輪郭の内側に収まるように配置されているので、LED照明装置2の取り扱いにおいて便利となる。
例えば、放熱フィン24が照明部10の外側に大きくはみ出す構造でないため、放熱フィン24が破損しにくく、劣化等の心配が少ない。
また、照明部10の大きさに合わせて、たとえば冷却部20を覆う部材等の設計も容易に行うことができる。
また、LED照明装置2の出荷時や収納時等にも、照明部10の大きさに合わせた適切な緩衝材で覆うのみで、放熱フィン24が傷つく心配もなく、積載したり収納したりすることができる。
【0021】
次に、図8を参照して本実施の形態の変形例について説明する。
なお、前記実施の形態と同様な箇所、部材には同一の符号を付して説明する。
前記実施の形態では、冷却筒22の長手方向を鉛直方向に向けた状態で、取り付け板部16Aの背面1604が鉛直上方に向けられ、取り付け面1602およびLED素子14が鉛直下方に向けられていたのに対し、この変形例では、冷却筒22の長手方向を鉛直方向に向けた状態で、背面1604および取り付け面1602ならびにLED素子14が鉛直方向に対して斜めに向けられる点が異なっている。
この変形例でも照明部10は、基板12、LED素子14、支持部材16を含んで構成され、冷却部20は、冷却筒22、放熱フィン24、中間接続部材26、内部空間S、冷却用作動液28を含んで構成されている。
照明部10の構成および冷却筒22と放熱フィン24の構成は前記実施の形態と同様であり、中間接続部材26の構成が前記実施の形態と異なっている。
【0022】
この変形例のLED照明装置2のように、冷却筒22を鉛直方向に向けた状態で、例えば、鉛直方向と交差する方向である水平方向を照明する場合に、中間接続部材26を用いると、照明部10と冷却部20とを互いに強固に連結する上で有利となる。
冷却筒22は中間接続部材26を含んで構成され、中間接続部材26は中空状で、冷却筒22の端部に取着される基部と、基部に接続し基部の軸心に対して軸心が直交する側部とを有し、この側部の端部に、支持部材16が取着されている。
したがって、冷却部20は、長さを有しその長手方向の端部(この変形例では前記側部の端部)が開放された冷却筒22と、冷却筒22の開放された端部が取り付け板部16Aの背面1604で閉塞されることで形成され冷却筒22の長手方向を鉛直方向に向けると鉛直方向に沿って延在する内部空間Sと、内部空間Sに封入された冷却用作動液28とを備える。
また、内部空間Sは、冷却筒22の内部で区画される均一断面で直線状に延在する円柱空間部S1と、中間接続部材26の内側に形成され円柱空間部S1の長手方向の端部に接続し軸心を円柱空間部S1に対して直交させた下部空間部S3とを有している。
冷却用作動液28は、冷却筒22の長手方向を鉛直方向に向けた状態で、取り付け板部16Aの背面1604の全域が冷却用作動液28中に常時浸漬される量で封入され、例えば、冷却用作動液28は円柱空間部S1の下端まで封入される。
【0023】
この変形例でも、取り付け板部16Aの厚さ方向から見て、内部空間S内に位置する背面1604の内側に実装された複数のLED素子14が位置し、内部空間S内に位置する取り付け板部16Aの背面1604の全域に、取り付け面1602側に窪み互いに切り離された多数の凹部1610がハニカム状に形成されている。
したがって、この変形例によっても、LED素子14から発生する熱を、凹部1610の底面1610Aをなす薄い壁部1620により冷却用作動液28へ効果的に伝導し、LED素子14を効果的に冷却する上で極めて有利となるなど前記実施の形態と同様な効果が奏される。
【0024】
本発明は上述の実施の形態に限定されないことは明らかである。
たとえば、実施の形態のLED照明装置2においては特に図示していないが、LED素子14は、これを囲うような部材により保護する構成を取っても良い。たとえば、電球等に通常使用される半透明の保護部材で囲うことも可能である。保護部材を用いることにより、発光部の保護や照明光の強弱の調節等を行うことが可能であり、目的に応じて使用するものとする。
【0025】
また、実施の形態のLED照明装置2は、冷却部20を円筒状の冷却筒22と放熱フィン24とで構成した例を示したが、冷却用作動液28が重力により循環可能な構造であれば、冷却部20の形状は実施の形態のものに限定されることはなく、目的に応じた形状の支持部を採択することが可能である。
また、基板12は円板状であるものとしたが、基板12の形状も、また、照明部10全体の形状も、実施の形態のものに限定されることはない。
また、実施の形態のLED照明装置2では、吊り下げ型の照明装置の例を示したが、天井に埋め込むタイプのいわゆるダウンライト型の照明装置等、その他の照明に適用することができる。
【符号の説明】
【0026】
2……LED照明装置、10……照明部、12……基板、14……LED素子、16……支持部材、16A……取り付け板部、1602……取り付け板部、1604……背面、1610……凹部、16B……リフレクタ、20……冷却部、22……冷却筒、24……放熱フィン、S……内部空間、28……冷却用作動液。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のLED素子が実装された基板とこの基板を支持する支持部材とを有する照明部と、
前記支持部材を支持し冷却する冷却部とを備えたLED照明装置であって、
前記支持部材は、その厚さ方向の一方の面が前記基板が取着される取り付け面とされ、厚さ方向の他方の面が背面とされる取り付け板部を有し、
前記冷却部は、長さを有しその長手方向の端部が開放された冷却筒と、前記冷却筒の開放された端部が前記背面で閉塞されることで形成され前記冷却筒の長手方向を鉛直方向に向けると鉛直方向に沿って延在する内部空間と、前記内部空間に封入された冷却用作動液とを備え、
前記取り付け板部の厚さ方向から見て、前記内部空間内に位置する前記背面の内側に前記実装された複数のLED素子が位置し、
前記内部空間内に位置する前記背面の全域に、前記取り付け面側に窪み互いに切り離された多数の凹部がハニカム状に形成されている、
ことを特徴とするLED照明蔵置。
【請求項2】
前記複数のLED素子は、それぞれ前記凹部の軸心の延長上に位置する前記基板の箇所に配置されている、
ことを特徴とする請求項1記載のLED照明蔵置。
【請求項3】
前記複数のLED素子は、それぞれ前記凹部の軸心の延長上に、前記LED素子の中心が位置するように配置されている、
ことを特徴とする請求項2記載のLED照明蔵置。
【請求項4】
前記凹部は、前記底面と、前記底面の周囲から起立し前記背面に接続される側面とを有し、
前記底面と前記側面との境の箇所は凹状の湾曲面で接続されている、
ことを特徴とする請求項1乃至3に何れか1項記載のLED照明蔵置。
【請求項5】
前記複数のLED素子が配置される領域は、前記冷却筒の内部空間をその長手方向と直交する面で切断した断面積よりも大きく、
前記冷却筒は、前記冷却筒の長手方向の端部に取着され前記支持部材を支持する中空の中間接続部材を含んで構成され、
前記内部空間は、前記冷却筒の内部で区画される均一断面で直線状に延在する円柱空間部と、前記中間接続部材の内側に形成され前記円柱空間部の長手方向の端部に接続し前記円柱空間部から離れるに至るにつれて次第に断面積が増加する傾斜空間部とを有し、
前記支持部材を支持する冷却部の箇所は、前記円柱空間部から離れた側の前記傾斜空間部を形成する前記中間接続部材の端部であり、
前記背面で閉塞される前記冷却筒の開放された端部は、前記円柱空間部から離れた側の前記傾斜空間部の端部である、
ことを特徴とする請求項1乃至4に何れか1項記載のLED照明装置。
【請求項6】
前記冷却筒の長手方向を鉛直方向に向けた状態で、前記背面は鉛直上方に向けられ、前記取り付け面および前記LED素子は、鉛直下方に向けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至5に何れか1項記載のLED照明蔵置。
【請求項7】
前記冷却筒の長手方向を鉛直方向に向けた状態で、前記背面および取り付け面ならびに前記LED素子は鉛直方向に対して斜めに向けられる、
ことを特徴とする請求項1乃至5に何れか1項記載のLED照明蔵置。
【請求項8】
前記照明部は、前記取り付け板部の周囲に設けられたリフレクタを含んで構成され、
前記冷却部は、前記冷却筒の外周面に突設された複数のフィンを含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1乃至7に何れか1項記載のLED照明蔵置。
【請求項9】
前記照明部は、前記支持部材の周囲に設けられたリフレクタを含んで構成され、
前記冷却部は、前記冷却筒の外周面に突設された複数のフィンを含んで構成され、
平面視した状態で前記複数のフィンを含む前記冷却部の輪郭は、前記照明部の輪郭の内側に収まるように配置されていることを特徴とする請求項6記載のLED照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−69453(P2013−69453A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−205587(P2011−205587)
【出願日】平成23年9月21日(2011.9.21)
【出願人】(302060926)株式会社フジタ (285)
【出願人】(399088418)株式会社高環境エンジニアリング (4)
【出願人】(511183135)SOLECO株式会社 (1)
【Fターム(参考)】