説明

LED照明装置

【課題】十分な絶縁耐圧を確保し、高い放熱性を有し、ノイズの放射を低減することが可能なLED照明装置を提供する。
【解決手段】
配線基板24は、絶縁性を有する基材24aと、基材24aの上面側の略全面に形成された第1導電パターン24bと、基材24aの下面側の略全面に形成された第2導電パターン24cとを備える。第1導電パターン24bの一部は、3個のLEDを接続する回路配線となり、基材24aの厚さは1mm以上に形成され、第1導電パターン24bとヒートシンク11との沿面距離Lは6mm以上に形成され、第2導電パターン24cはヒートシンク11に接触して電気的に接続され、ヒートシンク11は電源回路基板17のアースに接続され、第1導電パターン24bと第2導電パターン24cとにより寄生容量が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLED照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LEDが搭載された配線基板(LED基板)と電源回路とが筺体内に配置されたLED照明装置として、白熱電球と同一規格の口金を備えたLED電球がある(特許文献1参照)。
また、樹脂基板の両面に形成された銅箔パターンの間に寄生容量(コンデンサ)を形成して外来ノイズを除去する技術が知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−14878号公報
【特許文献2】特開平6−275935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
LED用の電源回路には、チョッパ電源方式とフライバック電源方式があるが、電源効率を考慮するとチョッパ電源方式の方が優れている。
しかし、チョッパ電源方式は、電源回路からLEDまでにノイズが伝搬され易く、LED基板がノイズ放射のアンテナとして作用し、LED基板からノイズが放射されてしまう。
特に、LED電球では、LED基板が光放射方向を向いて配置されているため、光放射方向にノイズが放射されることになり、使用環境に及ぼす影響が大きい(特許文献1の段落[0075][0076]参照)。
【0005】
また、従来より、LED基板には放熱性を高めるために金属基板が採用されているが、LED基板上に形成された回路パターンと、金属基板の基材と、金属基板が取り付けられるヒートシンクとの間の絶縁距離が短いため、チョッパ電源方式を用いる場合には4kV以上の十分な絶縁耐圧を確保することが困難である。
そこで、LED基板として絶縁耐圧を確保し易い樹脂基板を採用することが考えられる。
しかし、樹脂基板は金属基板に比べて放熱性が低いため、LEDが過熱して故障を起こし易いという問題がある。
【0006】
また、金属基板は、金属製の基材の上に薄い絶縁層を介して銅箔パターンが形成されているため、基材と銅箔パターンとの間に形成される寄生容量を大きくできる。
しかし、樹脂基板は、合成樹脂製の厚い基材の両面に銅箔パターンが形成されているため、銅箔パターンの間に形成される寄生容量を大きくすることが困難である。
そのため、樹脂基板では、電源回路からLEDまでに伝搬されたノイズを寄生容量によって除去する効果が得られ難く、ノイズが放射され易いという問題がある。
【0007】
本発明は前記問題を解決するためになされたものであって、その目的は、十分な絶縁耐圧を確保し、高い放熱性を有し、ノイズの放射を低減することが可能なLED照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、下記のように本発明の各局面に想到した。
【0009】
<第1の局面>
第1の局面は、
熱伝導性および導電性の高い材質から成るヒートシンクと、
前記ヒートシンクの内部に配置された電源回路と、
前記ヒートシンクの上面に載置固定された配線基板と、
前記配線基板に搭載され、前記電源回路から直流電源が供給されて点灯される複数個のLEDとを備えたLED照明装置であって、
前記配線基板は、絶縁性を有する基材と、前記基材の上面側の略全面に形成された第1導電パターンと、前記基材の下面側の略全面に形成された第2導電パターンとを備え、
前記第1導電パターンの一部は、前記複数個のLEDを接続する回路配線となり、
前記基材の厚さは1mm以上に形成され、
前記第1導電パターンと前記ヒートシンクとの沿面距離は6mm以上に形成され、
前記第2導電パターンは、前記ヒートシンクに接触して電気的に接続され、
前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとにより寄生容量が形成されているLED照明装置である。
【0010】
第1の局面によれば、基材の厚さが1mm以上に形成され、第1導電パターンとヒートシンクとの沿面距離が6mm以上に形成されているため、4kV以上の十分な絶縁耐圧を確保できる。
また、配線基板はヒートシンクの上面に載置固定され、配線基板の下面に形成された第2導電パターンはヒートシンクに接触しているため、放熱性を高めることができる。
【0011】
そして、第1導電パターンは基材の上面側の略全面に配置形成され、第2導電パターンは基材の下面側の略全面に配置形成され、第1導電パターンと第2導電パターンとにより寄生容量が形成されており、各導電パターンの面積が大きいため、基材の厚さが1mm以上であっても、寄生容量を大きくすることができる。
従って、第1の局面によれば、電源回路からLEDまでに伝搬されたノイズを寄生容量によって確実に吸収することができる。
【0012】
<第2〜第4の局面>
第2の局面は、第1または第2の局面において、
前記第1導電パターンは、前記複数個のLEDが直列接続された回路のプラス側に接続されたプラス側配線パターンと、前記回路のマイナス側に接続されたマイナス側配線パターンと、前記複数個のLED間に接続された中間配線パターンとを備え、
前記プラス側配線パターンの面積が、残りの配線パターンの面積の約10倍以上に設定されているLED照明装置である。
【0013】
第3の局面は、第1または第2の局面において、
前記第1導電パターンは、前記複数個のLEDが直列接続された回路のプラス側に接続されたプラス側配線パターンと、前記回路のマイナス側に接続されたマイナス側配線パターンと、前記複数個のLED間に接続された中間配線パターンとを備え、
前記マイナス側配線パターンの面積が、残りの配線パターンの面積の約10倍以上に設定されているLED照明装置である。
【0014】
第4の局面は、第1または第2の局面において、
前記第1導電パターンは、前記複数個のLEDが直列接続された回路のプラス側に接続されたプラス側配線パターンと、前記回路のマイナス側に接続されたマイナス側配線パターンと、前記複数個のLED間に接続された中間配線パターンと、前記LEDの放熱用電極に接続された放熱用配線パターンとを備え、
前記放熱用配線パターンの面積が、残りの配線パターンの面積の約10倍以上に設定されているLED照明装置である。
【0015】
第2〜第4の局面によれば、前記寄生容量を確実に増大させることが可能になり、第1の局面におけるノイズの除去効果を更に高めることができる。
そして、第4の局面によれば、第2の局面および第3の局面に比べて、放熱用配線パターンの面積が大きく設定されているため、LEDが発生した熱を効率的に放熱することが可能であり、LEDの過熱を抑制して信頼性を向上できる。
【0016】
<第5の局面>
第5の局面は、第1〜4の局面において、前記ヒートシンクは前記電源回路のアースに接続されているLED照明装置である。
第5の局面によれば、寄生容量で吸収したノイズをヒートシンクから電源回路のアースへ逃がすことが可能であり、ノイズの放射を確実に防止できる。
【0017】
<第6の局面>
第6の局面は、第1〜5の局面において、前記電源回路はチョッパ電源方式であるLED照明装置である。
チョッパ電源方式の電源回路は電源効率が優れているため、第5の局面によれば電源効率の高いLED照明装置を実現できる。
そして、チョッパ電源方式には配線基板(LED基板)からノイズが放射され易いという欠点があるが、第1〜第5の局面によればノイズの放射を防止可能であるため、第6の局面ではチョッパ電源方式の欠点を克服することができる。
【0018】
<第7の局面>
第7の局面は、第1〜6の局面において、前記ヒートシンクの下面に取付固定された口金および中心電極を備え、前記口金および中心電極は白熱電球と同一規格であるLED照明装置である。
第7の局面によれば、LED電球型のLED照明装置を実現でき、配線基板(LED基板)が光放射方向を向いて配置されているが、第1〜第4の局面によればノイズの放射を防止可能であるため、配線基板がアンテナとして作用して光放射方向へノイズを放射するのを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明を具体化した一実施形態のLED照明装置10の要部概略構成を示す要部概略縦断面図。
【図2】LED基板24の下面図。
【図3】LED照明装置10が備えたLED基板24の第1実施例の上面図。
【図4】LED基板24の第2実施例の上面図。
【図5】LED基板24の第3実施例の上面図。
【図6】図6(A)はLED25の上面図。図6(B)はLED25の下面図。図6(C)はLED25の概略縦断面図であり、図6(B)に示すX−X矢示断面図。
【図7】LED基板24の従来例の上面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態について図面を参照しながら説明する。 図1に示すように、本実施形態のLED照明装置10は、ヒートシンク11(上面11a、係合凹部11b、収容凹部11c、挿通孔11d)、カバー12、収容部材13(挿通孔13a)、口金14、ベース部材15、中心電極16、電源回路基板17(配線パターン17a)、配線材18〜20、プラス側配線ケーブル21、マイナス側配線ケーブル22、コネクタ23、配線基板24(基材24a、第1導電パターン24b、第2導電パターン24c、挿通孔24d、プラス側配線パターン31、マイナス側配線パターン32、中間配線パターン33、放熱用配線パターン34)、LED25(パッケージ25a、アノード電極25b、カソード電極25c、放熱用電極25d、LEDチップ25e、ボンディングワイヤ25f,25g、封止部材25h)、ツェナーダイオード26などから構成されており、白熱電球に全体の形状が似せられたLED電球である。
尚、図1では、説明を分かり易くするために、LED照明装置10を構成する各部材の寸法形状および配置箇所を誇張して模式的に図示してあり、各部材の寸法形状が実物とは異なっている。
【0021】
ヒートシンク11は、軽量で熱伝導性および導電性の高い材質(例えば、アルミニウム合金などの金属材料、導電性樹脂など)によって一体形成されている。
ヒートシンク11の上面11aは略平坦な円形状に形成され、上面11aの外周縁には円環状の係合凹部11bが穿設され、ヒートシンク11の下面側には略円柱形状の収容凹部11cが穿設されており、上面11aと収容凹部11cを連通する挿通孔11dが貫通形成されている。
尚、ヒートシンク11の外周壁には、複数個の放熱用フィン(図示略)が突設されており、放熱性が高められている。
【0022】
カバー12は、透光性の合成樹脂材料により略半球形状に一体形成されている。
カバー12はヒートシンク11の上面11aを覆うように被着され、カバー12の外周縁部はヒートシンク11の係合凹部11bに嵌合固定されている。
【0023】
収容部材13は、絶縁性の合成樹脂材料により有底略円筒形状に一体形成されている。
収容部材13の底側はヒートシンク11の収容凹部11cに挿入固定されており、収容部材13の底壁に貫通形成された挿通孔13aはヒートシンク11の挿通孔11dと合致して連通している。
収容部材13の開口側はヒートシンク11から突出しており、その収容部材13の突出した部分の外周壁には金属製の口金14が嵌合固定されている。
【0024】
ベース部材15は、絶縁性の合成樹脂材料によって形成されており、収容部材13の開口部を閉塞するように口金14を用いて取付固定されている。
中心電極16は金属材料から成り、ベース部材15の外側中央に取付固定されている。
【0025】
口金14および中心電極16は白熱電球と同一規格であり、口金14を白熱電球用のソケットに取り付けることにより、既存の白熱電球に置換してLED電球であるLED照明装置10を使用することができる。
【0026】
電源回路基板17は、収容部材13内に取付固定されており、LEDを点灯させるための公知のチョッパ電源方式の電源回路が搭載されている。
すなわち、電源回路基板17は、収容部材13を介してヒートシンク11の内部に配置されている。
電源回路基板17は、ヒートシンク11と口金14と中心電極16とのそれぞれに対して、配線材18〜20を用いて電気的に接続されている。
【0027】
尚、LED照明装置10を組み立てる際には、収容部材13内に電源回路基板17を取付固定した後に、ベース部材15が取り付けられた口金14を収容部材13の外周面にねじ込むことにより、収容部材13に対して口金14およびベース部材15を取付固定する。
【0028】
プラス側配線ケーブル21およびマイナス側配線ケーブル22の基端側は、電源回路基板17に電気的に接続されている。
各配線ケーブル21,22の先端側にはコネクタ23が電気的に接続されている。
ヒートシンク11に接続された配線材18と、中心電極16に接続された配線材20と、マイナス側配線ケーブル22とは、電源回路基板17に形成されている配線パターン17aを介して、電源回路基板17のアースに電気的に接続されている。
【0029】
配線基板(LED基板)24は、ヒートシンク11の上面11aに載置固定されている。
配線基板24は樹脂基板であり、絶縁性を有する材料(例えば、合成樹脂材料、セラミックスなど)で形成された略円板形状の基材24aと、基材24aの上面に形成された第1導電パターン24bと、基材24aの下面に形成された第2導電パターン24cとを備えている。
尚、導電パターン24b,24cは、例えば、銅箔パターンや導電性樹脂パターンなどの導電膜によって形成されている。
【0030】
配線基板24には挿通孔24dが貫通形成されており、挿通孔24dはヒートシンク11の挿通孔11dと合致して連通している。
各配線ケーブル21,22およびコネクタ23は、収容部材13の挿通孔13aからヒートシンク11の挿通孔11dを通って配線基板24の挿通孔24dへ挿通されて、配線基板24から上方へ引き出されている。
【0031】
配線基板24の上面側には、複数個(本実施形態では3個)のLED25と、各LED25に対応して設けられたツェナーダイオード26とが搭載されている。
また、第1導電パターン24bには、コネクタ23が電気的に接続されている。
そして、第2導電パターン24cは、ヒートシンク11の上面11aに接触して電気的に接続されている。
【0032】
図2に示すように、第2導電パターン24cは、配線基板24の外周縁と、挿通孔24dの周囲とを除く、配線基板24の下面側の略全面に配置形成(パターニング)されている。
【0033】
<第1実施例>
図3は、配線基板24の第1実施例の上面図である。
3個のLED25は、配線基板24の挿通孔24dを囲むように略均等箇所に配置されている。
3個のツェナーダイオード26は、個々のLED25の近傍に配置されている。
コネクタ23のプラス側端子23aはプラス側配線ケーブル21(図3〜図5では図示略)に接続され、コネクタ23のマイナス側端子23bはマイナス側配線ケーブル22(図3〜図5では図示略)に接続されている。
【0034】
第1導電パターン24bは、プラス側端子23aに接続されたプラス側配線パターン31と、マイナス側端子23bに接続されたマイナス側配線パターン32と、LED25およびツェナーダイオード26の間に接続された中間配線パターン33と、後述するようにLED25の放熱用電極25dに接続された放熱用配線パターン34とから構成されている。
3個のLED25は、各配線パターン31〜33に対して電気的に接続され、各配線パターン31〜33を介して、各端子23a,23b間にて順方向に直列接続されている。すなわち、第1導電パターン24bの一部は3個のLEDを接続する回路配線となる。
【0035】
換言すれば、プラス側配線パターン31は、3個のLED25が直列接続された回路のプラス側(アノード側)に接続されている。
また、マイナス側配線パターン32は、3個のLED25が直列接続された回路のマイナス側(カソード側)に接続されている。
そして、各LED25には、電源回路基板17から各配線ケーブル21,22およびコネクタ23を介して直流電源が供給されて点灯される。
各ツェナーダイオード26はそれぞれ、個々のLED25に並列接続されている。
【0036】
第1導電パターン24bは、基材24aの上面側の略全面に配置形成されている。
そして、第1実施例において、プラス側配線パターン31は、配線基板24の挿通孔24dを囲み、配線基板24の略中央部にまとめて配置形成され、各配線パターン32〜34は分散して配置形成されており、プラス側配線パターン31の面積は、残りの各配線パターン32〜34を合わせた面積の約10倍以上に設定されている。
【0037】
<第2実施例>
図4は、配線基板24の第2実施例の上面図である。
第2実施例において、第1実施例と異なるのは、各配線パターン31,32の配置だけである。
第2実施例において、マイナス側配線パターン32は、配線基板24の挿通孔24dを囲み、配線基板24の略中央部にまとめて配置形成され、各配線パターン31,33,34は分散して配置形成されており、マイナス側配線パターン32の面積は、残りの各配線パターン31,33,34を合わせた面積の約10倍以上に設定されている。
【0038】
<第3実施例>
図5は、配線基板24の第3実施例の上面図である。
放熱用配線パターン34は、配線基板24の挿通孔24dを囲み、配線基板24の略中央部にまとめて配置形成され、各配線パターン32,33は分散して配置形成されており、放熱用配線パターン34の面積は、残りの各配線パターン31〜33を合わせた面積の約10倍以上に設定されている。
【0039】
図6(A)はLED25の上面図であり、図6(B)はLED25の下面図であり、図6(C)はLED25の縦断面図であって図6(B)に示すX−X矢示断面図である。
LED25は、パッケージ25a、アノード電極25b、カソード電極25c、放熱用電極25d、LEDチップ25e、ボンディングワイヤ25f,25g、封止部材25hなどから構成されたチップ部品である。
【0040】
パッケージ25aは合成樹脂製で略直方体状に形成され、パッケージ25aには各電極25b〜25dがインサート成形されており、パッケージ25aの両側端側からアノード電極25bおよびカソード電極25cが突出し、パッケージ25aの下面側から放熱用電極25dが露出している。
パッケージ25a内にはLEDチップ25eが収容されており、LEDチップ25eは放熱用電極25d上に取付固定されて実装され、LEDチップ25eのP型半導体層(図示略)はボンディングワイヤ25fを介してアノード電極25bに接続され、LEDチップ25eのN型半導体層(図示略)はボンディングワイヤ25gを介してアノード電極25cに接続されている。
LEDチップ25eおよびボンディングワイヤ25f,25gは透明な合成樹脂材料から成る封止部材25hによって封止されている。
【0041】
そして、放熱用電極25dは放熱用配線パターン34に接続されているため、LEDチップ25eが発生した熱は放熱用電極25dを介して放熱用配線パターン34へ伝導されて放熱される。
第3実施例では、第1実施例および第2実施例に比べて、放熱用配線パターン34の面積が大きく設定されているため、LED25が発生した熱を効率的に放熱することが可能であり、LED25の過熱を抑制して信頼性を向上できる。
【0042】
[実施形態の作用・効果]
本実施形態のLED照明装置10によれば、以下の作用・効果を得ることができる。
【0043】
[1]配線基板24の基材24aの厚さを1mm以上に形成し、図1に示す第1導電パターン24bとヒートシンク11との沿面距離Lを6mm以上に形成すれば、4kV以上の十分な絶縁耐圧を確保できる。
また、配線基板24はヒートシンク11の上面に載置固定され、配線基板24の下面に形成された第2導電パターン24cはヒートシンク11に接触しているため、放熱性を高めることができる。
【0044】
そして、第1導電パターン24bは基材24aの上面側の略全面に配置形成され、第2導電パターン24cは基材24aの下面側の略全面に配置形成され、第1導電パターン24bと第2導電パターン24cとにより寄生容量が形成されており、各導電パターン24b,24cの面積が大きいため、基材24aの厚さが1mm以上であっても、寄生容量を大きくすることができる。
従って、本実施形態によれば、電源回路基板17からLED25までに伝搬されたノイズを寄生容量によって確実に吸収することができる。
【0045】
加えて、ヒートシンク11は電源回路基板17のアースに接続されているため、寄生容量で吸収したノイズを、図1の矢印αに示すように、ヒートシンク11から電源回路基板17のアースへ逃がすことが可能であり、ノイズの放射を確実に防止できる。
【0046】
[2]図3〜図5に示す第1〜第3実施例のように第1導電パターン24bを配置形成すれば、前記寄生容量を確実に増大させることが可能になり、前記[1]におけるノイズの除去効果を更に高めることができる。
【0047】
図7に示す従来例の配線基板24では、各配線パターン31〜34の全てが細いパターンによって形成されており、従来例の各配線パターン31〜34を合わせた面積は、図3〜図5に示す第1〜第3実施例の各配線パターン31〜34を合わせた面積の約1/6である。
【0048】
図7に示す従来例と、図3〜図5に示す第1〜第3実施例について、ノイズを実測すると、従来例では29.6dB・μV/mであったのに対して、第1〜第3実施例では28.3dB・μV/mであった。
また、ノイズのマージンを実測すると、従来例では0.4dB・μV/mであったのに対して、第1〜第3実施例では1.7dB・μV/mであり、従来例に比べて第1〜第3実施例では1.3dB・μV/mだけ改善された。
尚、ノイズの実測値およびノイズのマージンの実測値は、第1〜第3実施例に違いは無く同じ値であった。
【0049】
[3]電源回路基板17に搭載されている電源回路はチョッパ電源方式であり、チョッパ電源方式の電源回路は電源効率が優れているため、電源効率の高いLED照明装置10を実現できる。
そして、チョッパ電源方式には配線基板24からノイズが放射され易いという欠点があるが、前記[1][2]のようにノイズの放射を防止可能であるため、本実施形態によればチョッパ電源方式の欠点を克服することができる。
【0050】
[4]ヒートシンク11の下方側に取付固定された口金14および中心電極16を備え、口金14および中心電極16は白熱電球と同一規格であるため、LED電球型のLED照明装置10を実現できる。
そして、配線基板24が光放射方向を向いて配置されているが、前記[1][2]のようにノイズの放射を防止可能であるため、配線基板24がアンテナとして作用して光放射方向へノイズを放射するのを確実に防止できる。
【0051】
[5]配線材18を省き、ヒートシンク11を電源回路基板17のアースから電気的に浮かせてもよい。
この場合には、各導電パターン24b,24cによって形成された寄生容量と、ヒートシンク11との容量結合により、寄生容量で吸収したノイズを逃がすことが可能となるため、ノイズの放射を防止できる。
【0052】
本発明は、前記各局面および前記実施形態の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲の記載を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様も本発明に含まれる。本明細書の中で明示した論文、公開特許公報、特許公報などの内容は、その全ての内容を援用によって引用することとする。
【符号の説明】
【0053】
10…LED照明装置
11…ヒートシンク
11a…ヒートシンク11の上面
11b…ヒートシンク11の係合凹部
11c…ヒートシンク11の収容凹部
12…カバー
13…収容部材
14…口金
16…中心電極
17…電源回路基板
18〜20…配線材
21…プラス側配線ケーブル
22…マイナス側配線ケーブル
23…コネクタ
24…配線基板
24a…基材
24b…第1導電パターン
24c…第2導電パターン
25…LED
25d…放熱用電極
31…プラス側配線パターン
32…マイナス側配線パターン
33…中間配線パターン
34…放熱用配線パターン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱伝導性および導電性の高い材質から成るヒートシンクと、
前記ヒートシンクの内部に配置された電源回路と、
前記ヒートシンクの上面に載置固定された配線基板と、
前記配線基板に搭載され、前記電源回路から直流電源が供給されて点灯される複数個のLEDと
を備えたLED照明装置であって、
前記配線基板は、絶縁性を有する基材と、前記基材の上面側の略全面に形成された第1導電パターンと、前記基材の下面側の略全面に形成された第2導電パターンとを備え、
前記第1導電パターンの一部は、前記複数個のLEDを接続する回路配線となり、
前記基材の厚さは1mm以上に形成され、
前記第1導電パターンと前記ヒートシンクとの沿面距離は6mm以上に形成され、
前記第2導電パターンは、前記ヒートシンクに接触して電気的に接続され、
前記第1導電パターンと前記第2導電パターンとにより寄生容量が形成されているLED照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記第1導電パターンは、前記複数個のLEDが直列接続された回路のプラス側に接続されたプラス側配線パターンと、前記回路のマイナス側に接続されたマイナス側配線パターンと、前記複数個のLED間に接続された中間配線パターンとを備え、
前記プラス側配線パターンの面積が、残りの配線パターンの面積の約10倍以上に設定されているLED照明装置。
【請求項3】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記第1導電パターンは、前記複数個のLEDが直列接続された回路のプラス側に接続されたプラス側配線パターンと、前記回路のマイナス側に接続されたマイナス側配線パターンと、前記複数個のLED間に接続された中間配線パターンとを備え、
前記マイナス側配線パターンの面積が、残りの配線パターンの面積の約10倍以上に設定されているLED照明装置。
【請求項4】
請求項1に記載のLED照明装置において、
前記第1導電パターンは、前記複数個のLEDが直列接続された回路のプラス側に接続されたプラス側配線パターンと、前記回路のマイナス側に接続されたマイナス側配線パターンと、前記複数個のLED間に接続された中間配線パターンと、前記LEDの放熱用電極に接続された放熱用配線パターンとを備え、
前記放熱用配線パターンの面積が、残りの配線パターンの面積の約10倍以上に設定されているLED照明装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のLED照明装置において、
前記ヒートシンクは前記電源回路のアースに接続されているLED照明装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のLED照明装置において、
前記電源回路はチョッパ電源方式であるLED照明装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載のLED照明装置において、
前記ヒートシンクの下面に取付固定された口金および中心電極を備え、
前記口金および中心電極は白熱電球と同一規格であるLED照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−69530(P2013−69530A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207064(P2011−207064)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000241463)豊田合成株式会社 (3,467)
【Fターム(参考)】