説明

LED用レンズの取付構造

【課題】 LEDから発光された光の隣接するレンズへの漏れを防止するとともに、取付けの作業性を向上させる。
【解決手段】 ロアーケース3に搭載されたプリント基板10に実装されたLED14から発光された光をロアーケース4の外部に導出するLED用レンズ25がロアーケース3に取り付けられている。LED用レンズ25は、複数の導光体26と、複数の導光体26間を連結する連結体27と、レンズ部28とによって構成されている。LED用レンズ25は、導光体26が第1溝31aに係入され、連結体27が第2溝に係入されることにより、ロアーケース3に仮保持される。そして、LED用レンズ25は、アッパーケース4をロアーケース3に結合することにより、第1規制部33aによってロアーケース3に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDから発光された光を導出するLED用レンズの取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のLED用レンズの取付構造としては、レンズ嵌合用リブが設けられた上ケースと、プリント基板が取り付けられる下ケースと、連結部材によって所定の間隔をおいて連結されたLED用レンズとを備え、上端をレンズ嵌合用リブに嵌合させたLED用レンズの下端をプリント基板の上面に当接させ、この状態でプリント基板を下ケースにねじ止めすることにより、LED用レンズを上ケースと下ケースとで挟持するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−286568号公報(段落〔0009〕〜〔0011〕、図1〜図13)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなLED用レンズの取付構造においては、上ケースに設けられたレンズ嵌合用リブは、レンズの上端部の一部を覆うだけものであり、隣接するLED間を遮断するものではないから、LEDから直接発光された光が隣のレンズ側に漏れるのを防止することはできないという問題があった。また、LED用レンズの取付けに当たっては、上端を上ケースのレンズ嵌合用リブに嵌合させ、下端をプリント基板に当接させることによりレンズを保持した状態で、当該プリント基板を下ケースのボスにねじ止めするため作業性が悪いという問題もあった。
【0005】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、LEDから発光された光の隣接するレンズへの漏れを防止するとともに、取付けの作業性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、上方が開口され側壁に複数のレンズ孔が設けられたロアーケースと、このロアーケースの開口を覆うアッパーケースと、複数のLEDが実装され前記ロアーケースに支持されるプリント基板と、前記各LEDから発光された光を個々に導光する複数の導光体、この導光体間を連結する連結体、前記レンズ孔から露呈されるレンズ部が一体に形成されたLED用レンズとを備えたLED用レンズの取付構造において、前記ロアーケースに、前記複数の導光体間に位置付けられ前記プリント基板まで延設され当該プリント基板の表面に当接する複数の光遮蔽片を一体に設けたものである。
【0007】
本発明は、前記発明において、前記ロアーケースに、前記各導光体が係入され前記LED用レンズの左右方向の移動を規制する第1溝が形成された第1リブを設け、前記光遮蔽片に、前記連結体が係入され前記LED用レンズの前後方向の移動を規制する第2溝を設け、前記アッパーケースに、前記連結体に当接し、前記LED用レンズの前記第1溝および第2溝からの抜けを規制する規制部が設けられた第2リブを前記レンズ孔に対応させて設けたものである。
【0008】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記ロアーケースに、前記プリント基板を支承する支承用ボスを設け、前記アッパーケースに、前記プリント基板の表面に当接する当接用ボスを設け、前記プリント基板の一端側を前記光遮蔽片の下方に挿入した状態で、前記ロアーケースと前記アッパーケースとを結合することにより、当該プリント基板の他端側を前記支承用ボスと前記当接用ボスとで挟持するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光遮蔽片をプリント基板まで延設し、下面をプリント基板の表面に当接させたことにより、プリント基板に実装されたLEDから発光された光が隣接したLED用レンズに漏れるようなことがない。
【0010】
前記発明のうちの一つの発明によれば、LED用レンズのレンズ部をロアーケースのレンズ孔に嵌合させ、導光体を第1溝に係入し、連結体を第2溝に係入することにより、LED用レンズがロアーケースに仮保持される。この状態で、ロアーケースとアッパケースとを結合する作業によって、同時にLED用レンズをロアーケースに取り付けることができるから取付けの作業性が向上する。
【0011】
前記発明のうちの一つの発明によれば、光遮蔽片の下方にプリント基板の一端側を挿入することにより、プリント基板が光遮蔽片と支承用ボスとによってロアーケースに仮保持され、この状態で、ロアーケースとアッパケースとを結合する作業によって、同時にプリント基板をロアーケースに取り付けることができるから取付けの作業性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るLED用レンズの取付構造を実施した電子機器を分解して示す斜視図である。
【図2】本発明に係るLED用レンズの取付構造を実施した電子機器のアッパーケースを裏返した状態の斜視図である。
【図3】本発明に係るLED用レンズの取付構造を実施した電子機器のロアーケースにプリント基板とLED用レンズを実装した状態の斜視図である。
【図4】本発明に係るLED用レンズの取付構造を実施した電子機器の一部を破断して示す平面図である。
【図5】図4におけるV-V 線断面図である。
【図6】図4におけるVI-VI 線断面図である。
【図7】図4におけるVII-VII 線断面図である。
【図8】図4におけるVIII-VIII 線断面図である。
【図9】同図(A)は本発明に係るLED用レンズの平面図、同図(B)は同図(A)におけるIX(B)矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図9に基づいて説明する。
【0014】
図1に全体を符号1で示す電子機器の筺体は、上方が開口され開口部2を有するロアーケース3と、このロアーケース3の開口部2を覆うようにロアーケース3に取り付けられるアッパーケース4とを備える。ロアーケース3は、底板5とこの底板5の外周縁から立設された囲い壁6とによって形成されており、この囲い壁6の一部を構成する矢印A方向側の側壁7の両端の上部には、一対のフック掛け部8,8が設けられている。また、側壁7には、後述するLED用レンズ25のレンズ部28がロアーケース3の内側から嵌合されて外部に露呈される複数のレンズ孔9が矢印C−D方向に等間隔おいて設けられている。ロアーケース3の底板5の矢印A方向側の端部には、プリント基板10を支承する支承用ボス11A(図7参照)が立設されている。
【0015】
また、ロアーケース3の底板5の矢印B方向側の端部には、プリント基板10を支承し上部に小径部11bが形成された支承用ボス11B(図8参照)が立設されている。さらに、ロアーケース3の底板5には、これら支承用ボス11A,11Bに支承されるプリント基板10の幅方向(矢印C−D方向)の移動を規制する規制片12、結合用ボス13が一体に立設されている。プリント基板10の矢印A方向の端部には、複数のLED14が矢印C−D方向に等間隔おいて実装されている。
【0016】
アッパーケース4は、図2に示すように上板15とこの上板15の外周縁から立設された囲い壁16とによって下方が開口された開口部17が形成されており、上板15の矢印A方向側の両端部には前記フック掛け部8,8に掛けられるフック部18,18が立設されている。また、このアッパーケース4の上板15の矢印B方向の端部には、ねじ21が挿通される孔が設けられたボス19,19および前記支承用ボス11Bに支承されたプリント基板10の表面に当接する当接用ボス20,20が立設されている。
【0017】
このように構成されていることにより、このアッパーケース4のフック部18をロアーケース3のフック掛け部8に掛け、このフック掛け部8を回動中心として回動させることにより互いの囲い壁6,16の開口端を対接させる。次いで、図1に示すようにアッパーケース4のボス19に挿通させたねじ21をロアーケース3の結合用ボス13に螺合させることにより、互いの開口部2,17が閉塞されるように両ケース3,4が結合され、電子機器1の筺体が形成される。
【0018】
図9に全体を符号25で示すLED用レンズは、LED14から発光された光を一端の光導入面26aから導入し、導入された光を全反射させながら導光させ他端の導出面26bから導出する側面視逆L字状で断面が矩形状に形成された複数の導光体26と、これら複数の導光体26を等間隔おいて一列に配置するように連結する細長い角柱状に形成された連結体27と、前記導光体26の導出面26bに接合されレンズ孔9から外部に露呈されるレンズ部28とによって一体に形成されている。
【0019】
ロアーケース3の側壁7の内側には、図1に示すようにプリント基板10に実装され互いに隣接するLED14間に位置する光遮蔽片30が側壁7と直交する方向に複数個突設されており、この光遮蔽片30の下面は、図7に示すようにロアーケース3に搭載されたプリント基板10の表面まで延設され当該プリント基板10の表面に当接する当接面30aを形成している。また、この光遮蔽片30の上部には、LED用レンズ25の連結体27が係入される上方が開口した第2溝30bが設けられている。したがって、連結体27が第2溝30bに係入されると、LED用レンズ25は、前後方向(矢印A−B方向)の移動が規制される。
【0020】
ロアーケース3の底板5の側壁7に近接した部位には、各光遮蔽片30間を連結するように第1リブ31が側壁7と平行に立設されている。この第1リブ31の上部には、LED用レンズ25の各導光体26が係入される上方が開口した第1溝31aが、各レンズ孔9に対応して複数個設けられている。したがって、各導光体26が第1溝31aに係入されると、LED用レンズ25は、左右方向(矢印C−D方向)の移動が規制される。
【0021】
アッパーケース4の上板15の裏面であって矢印A方向の端部には、各レンズ孔9に対応して(各第1溝31aに対応して)第2リブ33が、囲い壁16と直交する方向に突設するように矢印C−D方向に等間隔おいて立設されている。この第2リブ33の下部には、図6に示すように第1溝31aに導光体26が係入され、かつ図7に示すように第2溝30bに連結体27が係入されたLED用レンズ25の連結体27の上部に係合し、LED用レンズ25の上方への移動(導光体26の第1溝31aからの抜けおよび連結体27の第2溝30bからの抜け)を規制する第1規制部33aが設けられている。
【0022】
また、この第2リブ33の下部には、図6に示すように第1溝31aに導光体26が係入され、かつ図7に示すように第2溝30bに連結体27が係入されたLED用レンズ25の連結体27の後部(矢印B方向端部)に係合し、LED用レンズ25の後方への移動を規制する第2規制部33bが第1規制部33aに連設されている。
【0023】
次に、このように構成された電子機器1において、プリント基板10およびLED用レンズ25の組付け方法について説明する。先ず、LED14が実装されたプリント基板10を水平状態から傾斜させ、矢印A方向側の端部を斜め上方から光遮蔽片30の当接面30aの下方に差し入れ、図7に示すように水平状態とすることにより、プリント基板10の矢印A方向側の端部を支承用ボス11Aに載置する。同時に、プリント基板10の矢印B方向側の端部を、図8に示すように支承用ボス11Bの小径部11bにプリント基板10に設けた孔10aを嵌入させた状態で、支承用ボス11Bに支承する。この状態で、プリント基板10は、光遮蔽片30および支承用ボス11A,11Bによってロアーケース3に位置決めされて仮保持される。
【0024】
次に、LED用レンズ25を、図1に示すように導光体26の光導入面26aが下方を指向するように把持し、ロアーケース3の開口部2からロアーケース3内に差し入れる。次いで、各レンズ部28をレンズ孔9のそれぞれに嵌合させるとともに、各導光体26を第1リブ31の第1溝31aに係入させ、連結体27を光遮蔽片30の第2溝30bに係入させることにより、LED用レンズ25をロアーケース3に仮保持する。
【0025】
この状態で、アッパーケース4のフック部18をロアーケース3のフック掛け部8に掛け、このフック掛け部8を回動中心としてアッパーケース4を回動させることにより、両ケース3,4の互いの囲い壁6,16の開口端を対接させる。次いで、図1に示すようにアッパーケース4のボス19に挿通させたねじ21をロアーケース3の結合用ボス13に螺合させることにより、互いの開口部2,17が閉塞されて両ケース3,4が結合され、電子機器1の筺体が形成される。
【0026】
両ケース3,4が結合されることにより、図8に示すようにプリント基板10の矢印B方向側の端部が支承用ボス11Bと当接用ボス20とに挟持され、プリント基板10はロアーケース3の所定の位置に取り付けられる。このように、予め、プリント基板10をロアーケース3に仮保持させて状態とし、しかる後、両ケース3,4の結合作業と同時にロアーケース3に取付けるようにしたことにより作業性が向上する。
【0027】
また、両ケース3,4が結合されることにより、図6に示すように第2リブ33の第1期生部33aがLED用レンズ25の連結体27の上部に係合するため、LED用レンズ25の上方への移動(導光体26の第1溝31aからの抜けおよび連結体27の第2溝30bからの抜け)を規制されて、LED用レンズ25がロアーケースに取り付けられる。このように、予め、LED用レンズ25が第1溝31aおよび第2溝30bに仮保持された状態とし、しかる後、両ケース3,4の結合作業と同時にロアーケース3に取付けるようにしたことにより作業性が向上する。
【0028】
また、両ケース3,4を結合すると、光遮蔽片30の当接面30aがプリント基板10の表面に当接するから、図7に示すようにこの光遮蔽片30によってLED用レンズ25の互いに隣接する導光体26間が遮蔽されるため、プリント基板10に実装されたLED14から発光された光が隣接したLED用レンズ25に漏れるようなことがない。
【符号の説明】
【0029】
3…ロアーケース、4…アッパーケース、7…側壁、10…プリント基板、11A,11B…支承用ボス、14…LED、20…当接用ボス、25…LED用レンズ、26…導光体、27…連結体、28…レンズ部、30…光遮蔽片、30a…当接面、30b…第2溝、31…第1リブ、31a…第1溝、33…第2リブ、33a…第1規制部、33b…第2規制部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口され側壁に複数のレンズ孔が設けられたロアーケースと、このロアーケースの開口を覆うアッパーケースと、複数のLEDが実装され前記ロアーケースに支持されるプリント基板と、前記各LEDから発光された光を個々に導光する複数の導光体、この導光体間を連結する連結体、前記レンズ孔から露呈されるレンズ部が一体に形成されたLED用レンズとを備えたLED用レンズの取付構造において、
前記ロアーケースに、前記複数の導光体間に位置付けられ前記プリント基板まで延設され当該プリント基板の表面に当接する複数の光遮蔽片を一体に設けたことを特徴とするLED用レンズの取付構造。
【請求項2】
前記ロアーケースに、前記各導光体が係入され前記LED用レンズの左右方向の移動を規制する第1溝が形成された第1リブを設け、
前記光遮蔽片に、前記連結体が係入され前記LED用レンズの前後方向の移動を規制する第2溝を設け、
前記アッパーケースに、前記連結体に当接し、前記LED用レンズの前記第1溝および第2溝からの抜けを規制する規制部が設けられた第2リブを前記レンズ孔に対応させて設けたことを特徴とする請求項1記載のLED用レンズの取付構造。
【請求項3】
前記ロアーケースに、前記プリント基板を支承する支承用ボスを設け、
前記アッパーケースに、前記プリント基板の表面に当接する当接用ボスを設け、
前記プリント基板の一端側を前記光遮蔽片の下方に挿入した状態で、前記ロアーケースと前記アッパーケースとを結合することにより、当該プリント基板の他端側を前記支承用ボスと前記当接用ボスとで挟持することを特徴とする請求項1または2記載のLED用レンズの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−230998(P2012−230998A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98054(P2011−98054)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【出願人】(399040405)東日本電信電話株式会社 (286)
【出願人】(399041158)西日本電信電話株式会社 (215)
【Fターム(参考)】