説明

LED用試験装置

【課題】固定時に負圧で生じる変形を発生させないでフリップチップLEDの測定を行う。
【解決手段】フリップチップLED用試験装置3は、透明な基板30、スペーサ部材32、柔軟で透明な支持台34、及び真空発生機36を含む。スペーサ部材は透明な基板の第一表面300上に形成される。柔軟で透明な基板の支持台は、閉空間S1が柔軟で透明な支持台、スペーサ部材、及び透明な基板の第一表面により形成されるように、スペーサ部材へ取り外し可能に組み込まれる。真空発生機は閉空間から空気を吸い出すため、閉空間へ接続され、次に透明な基板の一部は第一表面に張り付き、フリップチップLEDを配置するための試験領域340を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLED用試験装置、特にフリップチップLEDを測定することができ、同時に測定誤差を減らすことができる試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
照明システムは科学的および技術的達成において、積極的な進歩をしただけでなく、文明の一里塚にもなった。産業革命の後、人類は生産強化のため都市生活を始めた。このため、照明のニーズはより必要である。フィラメントランプ、管状蛍光灯、小型電光管、及び強力放電灯などのよく知られ、一般的に使用される多くの照明装置がある。しかし、上記照明装置にはエネルギー変換効率が低いという共通した欠点が存在する。従って、より効率的な照明の開発は世界のエネルギー不足を解決するのに役立つ。
【0003】
光放射ダイオード(LED)は半導体光源である。LEDは多くの装置で表示灯として使用され、他の照明にも使用が増加している。最近、LEDの製造コストの削減と輝度の増加により、照明システムの照明効率を改善することが期待される。更に、LEDは、低エネルギー消費、長寿命、改良された堅牢性、小型化、高速スイッチング、及び耐久性と信頼性の向上など、白熱光源に対して多くの利点を示す。従って、LEDは近年、より人気になり、将来主要なトレンドになるであろう。
【0004】
今までのところ、LEDチップには3つの主な種類、即ち水平型、垂直型及びフリップチップが存在する。水平型の電極は光放射層上に構築され、電極により光放射面積が減少し、照明効率を低下させる。同様に、垂直型は同様の問題を有する。しかし、フリップチップは、電極と光放射層が夫々基板の2つの反対面上に構築されるので、前の2つとは異なる。換言すると、電極は光放射層には影響せず、従ってフリップチップLEDは比較的高い照明効率を有する。
【0005】
LEDチップを実用に供する前に、適正検査が必要である。試験工程中、LEDチップのウェハーは試験装置の支持台上に配置され、プローブモジュールが電極に接触する場合、LEDは光を放射する。次に光検出器は、更に、光信号を電気信号に変換し、同時にプローブモジュールはLEDの電気的特性を測定することができる。一般にプローブモジュールは、通常固定され、支持台はプローブモジュールとの接触のためLED位置を制御することができる。従ってLEDを固定し、LEDの滑りによるオフセットエラーを回避するために、支持台とLEDの間に接着テープ又は接着剤が必要である。
【0006】
フリップチップLEDの電極と光放射層は異なる面にあるため、水平型と垂直型の試験装置は適用できない。従って、フリップチップLED用の新型の試験装置を設計することが必要である。図1Aを参照されたい。図1Aは従来技術によるフリップチップLED用試験装置の支持台1を図示する概略図である。図1Aに示すように、支持台1は基板10と支持部材12からなり、基板と支持部材は高光伝達材料から作られ、更に、基板10と支持部材12は閉空間を形成する。更に、抽出装置14は閉空間から空気を吸い出すことができる。支持部材12は多くの換気孔120を含み、抽出装置14が閉空間から空気を吸い出す場合、それらの換気孔120を通して負圧を発生させ、支持部材12の透明な支持台16を固定させる。その場合、フリップチップLED2は、接着テープ又は他の接着剤を使用して透明な支持台16上に固定することができる。従って、フリップチップLED2により放射された光は透明な支持台16、支持部材12及び基板10を貫通することができ、次に光検出器により検出することができる。
【0007】
しかし、上記試験装置のように、換気孔120は試験結果に影響を与える。図1Bを参照されたい。図1Bは図1Aによる支持部材上に固定されたフリップチップLEDを図示する概略図である。図1Bに示すように、換気孔120近辺の透明な支持台16の位置は、負圧で生じる変形を発生させ、更にそれがフリップチップLED2の曲がりを起こす。フリップチップLED2の曲がりにより、試験結果は測定エラーで不正確になる。従って、換気孔120近辺のフリップチップLED2は換気孔120から離して再度試験しなければならない。同時に多くの換気孔120は、透明な支持台16の支持部材12上での固定を維持するため、支持部材12上に広く分布させるべきである。換言すると、上記フリップチップLED用試験装置は、フリップチップLEDの更なる改良のため、非常に多くの資源消費を発生させる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
従って、本発明の範囲は、フリップチップLEDを測定することができ、かつ同時に従来技術の問題を改善することができる新型の試験装置を提供することである。
【0009】
本発明の実施例によると、LED用試験装置は、透明基板、スペーサ部材、柔軟で透明な支持台、及び真空発生機からなる。透明な基板は第一表面を含み、スペーサ部材は透明な基板の第一表面上に構築される。柔軟で透明な基板は、閉空間が柔軟で透明な基板、スペーサ部材、及び、透明な基板の第一表面により形成されるように、スペーサ部材に取り外し可能に組み込まれる。真空発生機は閉空間から空気を吸い出すための閉空間へ接続される。
【0010】
本発明の実施例において、真空発生機が閉空間から空気を吸い出す場合、柔軟で透明な支持台には圧力による変形が発生する。次に、柔軟で透明な支持台の中心部は透明な基板の第一表面に張り付き、フリップチップLEDを配置するための試験領域を形成する。
【0011】
本発明の他の多くの利点と特徴は、詳細説明と付属図面により更に理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1A】従来技術によるフリップチップLED用試験装置の支持台を図示する概略図である。
【図1B】図1Aによる支持部材上に固定されたフリップチップLEDを図示する概略図である。
【図2】本発明によるLED用試験装置の実施例を図示する断面図である。
【図3】図2によるLED用試験装置の閉空間から空気を吸い出す真空発生機を図示する断面図である。
【図4】本発明によるフリップチップLED測定用試験装置の別の実施例を図示する断面図である。
【図5】本発明によるLED用試験装置の別の実施例を図示する断面図である。
【0013】
理解を促進するため、図に共通な同一要素を指すことが可能な場合、同一参照番号が使用される。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は新型の試験装置について開示する。より詳細には、本発明はフリップチップLEDを測定することができ、かつ同時に従来技術の問題を改善することができる試験装置について開示する。図2を参照されたい。図2は本発明によるLED3用試験装置の実施例を図示する断面図である。図2に示すように、LED3用試験装置は、透明な基板30、スペーサ部材32、柔軟で透明な支持台34、及び真空発生機36からなる。実際、透明な基板は光透過性の高いガラス基板でよい。
【0015】
実施例で、スペーサ部材32は透明な基板30の第一表面300上に構築され、第一表面300上のある領域を包囲する。柔軟で透明な支持台34はスペーサ部材32へ取り外し可能に組み込まれる。それは柔軟で透明な支持台34とスペーサ部材32との間が密着するように、接続部へ力を加えることができる。例えば、スペーサ部材32への力が透明な支持台34とスペーサ部材32の接続部へ加えられる場合、密着状態は強く押すことにより形成される。従って、柔軟で透明な支持台34はスペーサ部材32と密着し、スペーサ部材32は第一表面300の領域上を密封することができ、その結果、閉空間S1は柔軟で透明な支持台34、スペーサ部材32、及び第一表面300により形成される。
【0016】
スペーサ部材32を横断する空気通路360を有する真空発生機36は、閉空間S1から空気を吸い出すための閉空間S1へ接続される。閉空間S1は密封されるため、空気が閉空間S1から吸い出される場合、負圧の発生が可能となる。更に、柔軟性を備える柔軟で透明な支持台34は圧力により変形を発生させ、閉空間S1方向へ凹む。
【0017】
図3を参照されたい。図3はLED3用試験装置の閉空間S1から空気を吸い出す真空発生機36を図示する断面図である。図3に示すように、真空発生機36が閉空間S1から空気を吸い出す場合、柔軟で透明な支持台34の中心部は凹み、閉空間S1へ張り付き、試験領域340を形成する。試験領域340はLEDの配置において、より詳細にはフリップチップLEDを配置するために使用することができる。実際、フリップチップLEDはスコッチテープや透明ジェルにより試験領域上へ固定することができる。明瞭化のため、スコッチテープや透明ジェルは図3には示していない。
【0018】
実用化において、柔軟で透明な支持台の変形は最初に試験されるべきで、このため試験領域を画定することができる。フリップチップLED用試験工程の間に、LEDチップウェハは、最初にスコッチテープ又は透明ジェルにより試験領域へ固定され、次に真空発生機は、試験領域が透明な基板へ張り付くまで閉空間から空気を吸い出す。次に試験のため、負圧をしっかりと保持する。
【0019】
図4を参照されたい。図4は本発明によるフリップチップLED5へ適用されたLED4用試験装置の別の実施例を図示する断面図である。図4に示すように、LED4用試験装置は透明な基板40、スペーサ部材42、柔軟で透明な支持台44、真空発生機46、プローブモジュール480、及び光検出器482からなる。ここでは透明な基板40、スペーサ部材42、柔軟で透明な支持台44、及び真空発生機46は、先に述べた実施例の構成要素に対応し、このように構成要素はこれ以上複数にする必要はない。
【0020】
実施例において、プローブモジュール480は、試験領域上に配置されたフリップチップLED5のP−N接合と接触するため、柔軟で透明な支持台44の一側上に構築される。次に、プローブモジュール480はフリップチップLED5のP−N接合用の試験電力を提供することができる。フリップチップLED5が試験電力を提供される場合、光が光放射層から放射され、柔軟で透明な支持台44と透明な基板40を貫通する。次に光は透明な基板40の一側上に構築された光検出器482により検出することができる。
【0021】
更に、フリップチップLED5は柔軟で透明な支持台44の試験領域340上に構築され、試験領域340は、真空発生機46が閉空間S2から空気を吸い出す場合、透明な基板40の第一表面400に張り付く。従って、光は妨げられることなく、フリップチップLED5の光放射層から直接放射することができ、同時に屈折や全反射の発生を回避させることができる。従来技術と比較して、LED用試験装置の実施例はこれらの換気孔により、試験結果を不正確にはしない。
【0022】
実際、先に述べた実施例の構成要素はプロセスコントロールシステムへ結合することができる。プロセスコントロールシステムは真空発生機と透明な基板を制御することができる。それにより、プローブモジュールはフリップチップLEDの試験電力を提供するため、フリップチップLEDのP−N接合と接触することができ、同時にフリップチップLEDの電気的特性を測定することができる。更に、フリップチップLEDの照明特性を光検出器により測定することができる。
【0023】
先に述べた実施例で、柔軟で透明な支持台又はスペーサ部材の形状と寸法は実際のニーズに従って調整することができる。例えば、ウェハーを試験領域上に完全に配置させるため、柔軟で透明な支持台及び異なる寸法のスペーサ部材は様々なウェハーのLED用に設計されるべきである。更に、柔軟で透明な支持台及び異なる寸法のスペーサ部材は試験領域の形状に応じて設計することができる。
【0024】
図5を参照されたい。図5は本発明によるLED6用試験装置の別の実施例を図示する断面図である。図5に示すように、LED6用試験装置は透明な基板60、スペーサ部材62、柔軟で透明な支持台64、及び真空発生機66からなる。先に述べた実施例と異なり、閉空間S3から空気を吸い出すための真空発生機66の空気通路660は、透明な基板60を越えて、この実施例での閉空間S3へ接続される。注目すべきは、先に述べた実施例の構成要素とこの実施例の構成要素は、概ね同じであり、従って構成要素はこれ以上複雑化する必要はない。
【0025】
この実施例で、柔軟で透明な支持台64の中心部は、閉空間S3から発生する負圧により、透明な基板60の第一表面600に張り付けられるべきである。閉空間S3の負圧をしっかりと保持し、試験領域640が平坦でなくなるのを回避させるため、空気通路660の開口は図5に示すようにスペーサ部材62近辺に構築することができる。
【0026】
上記によると、本発明はフリップチップLED用試験装置を提供することであり、その真空吸引システムを利用して、柔軟で透明な支持台を透明な基板へ張り付かせる。従来技術と比較して、本発明は試験の不正確な結果を防止することができる。換言すると、本発明はフリップチップLEDの照明特性をより効率的に検査することができ、資源消費を削減することができる。
【0027】
上記例と説明で、本発明の特徴と精神は希望的によく記述されるだろう。本装置の多くの修正と変更を本発明の教示を維持しつつ行ってもよいことを当事者は直ちに観察するだろう。従って、上記開示は付属の請求項の範囲によってのみ限定されると解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0028】
1:支持台
10:基板
12:支持部材
14:抽出装置
16:透明な支持台
32、42、62:スペーサ部材
34、44、64:柔軟で透明な支持台
40、60:透明な基板
46、66:真空発生機
120:換気孔
300、400、600:第一表面
340、640:試験領域
360、660:空気通路
480:プローブモジュール
482:光検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表面を有する透明な基板と、
前記透明な基板の第1表面上に構築されるスペーサ部材と、
前記柔軟で透明な支持台、前記スペーサ部材、及び前記透明な基板の第1面により閉空間を形成するための前記スペーサ部材に取り外し可能に組み込まれる柔軟で透明な支持台と、前記閉空間から空気を吸い出すための前記閉空間に接続される真空発生機と、からなり、
前記透明な基板が前記スペーサ部材へ組み込まれ、前記真空発生機が前記閉空間から空気を吸い出す場合、前記透明な基板の一部が前記第1表面に張り付き、前記フリップチップLEDを配置するための試験領域を形成することを特徴とするフリップチップ用試験装置。
【請求項2】
前記透明な基板を通して光を受けるための光検出器からさらになる、請求項1に記載の試験装置。
【請求項3】
前記試験領域上に配置される前記フリップチップLEDのP−N接合と接触し、前記P−N接合に試験電力を提供するためのプローブモジュールからさらになる、請求項1に記載の試験装置。
【請求項4】
前記プローブモジュールが前記試験領域上に配置される前記フリップチップLEDのP−N接合に接触し、前記P−N接合に試験電力を提供する場合、前記フリップチップLEDは前記柔軟で透明な支持台の試験領域を通して光を放射し、前記透明な基板は前記試験電力に対応することを特徴とする、請求項3に記載の試験装置。
【請求項5】
前記透明な基板はガラス基板であることを特徴とする、請求項1に記載の試験装置。
【請求項6】
前記真空発生機は前記閉空間から空気を吸い出すための空気通路からなり、前記空気通路は前記スペーサ部材を通して前記閉空間へ接続されることを特徴とする、請求項1に記載の試験装置。
【請求項7】
前記真空発生機は前記閉空間から空気を吸い出すための空気通路からなり、前記空気通路は前記透明な基板を通して前記閉空間へ接続されることを特徴とする、請求項1に記載の試験装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−24860(P2013−24860A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−267167(P2011−267167)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【出願人】(510035679)クロマ エーティーイー インコーポレイテッド (5)
【氏名又は名称原語表記】CHROMA ATE INC.
【Fターム(参考)】