LED発光制御装置
【課題】LEDの発光制御において、より自然に近いゆらぎ(例えば、ろうそくの炎のゆらぎ)を持った発光を実現することができるLED発光制御装置を提供する。
【解決手段】光の輝度を表すデジタルデータを保持する輝度データ保持手段110と、前記デジタルデータを順次読み出す輝度データ読出手段と、読み取ったデジタルデータに対し、マイクロコンピュータ上で動作するプログラムにより、ΔΣ処理を行うΔΣ処理手段120と、前記ΔΣ処理手段120により復調されたデータから、高周波ノイズを除去する高周波ノイズ除去手段と、高周波ノイズを除去したデータに基づいてLEDを発光させるLED発光手段とを備える。
【解決手段】光の輝度を表すデジタルデータを保持する輝度データ保持手段110と、前記デジタルデータを順次読み出す輝度データ読出手段と、読み取ったデジタルデータに対し、マイクロコンピュータ上で動作するプログラムにより、ΔΣ処理を行うΔΣ処理手段120と、前記ΔΣ処理手段120により復調されたデータから、高周波ノイズを除去する高周波ノイズ除去手段と、高周波ノイズを除去したデータに基づいてLEDを発光させるLED発光手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)発光制御装置に関し、特に、従来のLED発光制御では実現できなかった、例えばろうそくの光など、自然発光を再現することが可能なLED発光制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED(発光ダイオード)は、長寿命、かつ省電力が可能であることから、白熱電球に替わる照明のほか、例えば液晶ディスプレイのバックライトなど、種々の用途に活用されるようになってきている。一般的に、LEDの明るさの制御(調光)には、PWM(パルス幅変調)方式が用いられる。もっとも、PWM制御は、人間の視覚の残像を利用した調光方法であって、オンデューティとなる時間が短くなると、明るさの制御ではなく、LEDの点滅が目立つようになるため、係る場合にはアナログ信号による調光に切り替える技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−210537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、依然としてPWM制御を行う部分が存在するため、輝度が急劇に変化する部分があるような場合(例えば、ろうそくの炎のゆらぎ)に、それを自然に再現するような発光は実現することが難しい。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであって、LEDの発光制御において、より自然に近いゆらぎ(例えば、ろうそくの炎のゆらぎ)を持った発光を実現することができるLED発光制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題点を解決するために、本発明に係るLED発光制御装置は、光の輝度を表すデジタルデータを保持する輝度データ保持手段と、前記デジタルデータを順次読み出す輝度データ読出手段と、読み取ったデジタルデータに対し、マイクロコンピュータ上で動作するプログラムにより、ΔΣ処理を行うΔΣ処理手段と、前記ΔΣ処理手段により復調されたデータから、高周波ノイズを除去する高周波ノイズ除去手段と、高周波ノイズを除去したデータに基づいてLEDを発光させるLED発光手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
前記高周波ノイズ除去手段は、2次のLPFから構成される構成とすることができる。さらに、自然光から、前記輝度を表すデジタルデータを生成する輝度データ生成手段を備える構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るLED発光制御装置によると、例えばろうそくの光などの自然光をLEDで再現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態におけるLED発光制御装置の全体概略構成の一例について説明するための図である。
【図2】本実施の形態において、輝度データを取得する方法について説明するための図である。
【図3】ΔΣ処理部120を含むマイクロコンピュータ100の処理内容の一例について説明するためのフローチャートである。
【図4】メイン処理の具体的な内容の一例について説明するためのフローチャートである。
【図5】自然光の一例としてのろうそくの明かりから得られた輝度データの電圧を示す図である。
【図6】本実施の形態のLED発光制御装置において再現した光の電圧を示す図である。
【図7】両者を重ね合わせた様子を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態におけるLED発光制御装置の全体概略構成の一例について説明するための図である。
【0011】
本実施の形態のLED発光制御は、主にはマイクロコンピュータ100上で動作するコンピュータプログラムにより実現される。マイクロコンピュータ100としては、具体的には、マイクロチップ社のPIC16F88を用いることができ、いわゆるPICマイコンは、他のハイスペックのCPUなどと比較して廉価であるから、コスト面では有利であるが、本願により保護され得る範囲が、PICマイコンに限定されることはない。
【0012】
電源供給部200としては、例えば12Vの電池を用いたり、商用電源をACアダプタで直流電源に変換した電源を用いたりすることができ、マイクロコンピュータ100の動作のための電源や、LED300a〜300dの駆動電源を供給する。
【0013】
電源供給部200は、電源スイッチ210を含んでおり、電源スイッチ210をオンとすれば、電源が供給され、マイクロコンピュータ100に格納されたプログラムが動作する。電圧調整部220は、例えば3端子レギュレータを含み、電源供給部200の電源の電圧を適切な値に調整する。
【0014】
マイクロコンピュータ100は、輝度データ保持部110、ΔΣ処理部120、輝度データ出力部を含む。輝度データ保持部110には、LEDを発光させるための輝度データ(デジタルデータ)が保持される。図2は、本実施の形態において、輝度データを取得する方法について説明するための図である。
【0015】
例えば、ろうそく600(ろうそくに限定されないことは勿論である。)のような自然の光源からの光をフォトトランジスタ710(フォトダイオードでも構わない。)で受光し、A/Dコンバータ720でAD変換し、デジタルデータとして、輝度データ保持部110に保持する。輝度データ保持部110は、マイクロコンピュータ100内部のメモリであっても良いし、外部メモリ等であっても良い。
【0016】
PIC16F88は、10ビットのA/Dコンバータ機能を備えているので、これを利用して、ろうそく600等の自然の光から得られた輝度データ(デジタルデータ)をメモリに記憶する構成とすることができるが、A/Dコンバータはマイクロコンピュータ内部のものでなく、外付けとしても良い。例えば、本実施の形態では、フォトトランジスタ710の電圧変化をデジタルオシロスコープ(レクロイ社製 WJ312)でデータを採取している。
【0017】
この際のサンプリング周期は、10−4(秒)すなわち0.1ミリ秒で10kHzサンプリングとしている。本実施の形態では、自然の光の急峻な変化を再現すべく、高周波のサンプリングで受光データを輝度データ保持部110に取り込むようにしているが、この取り込みタイミングは、上記に限定されない。
【0018】
図1に戻り、得られた輝度データのLED300a〜300dでの再現について説明する。なお、LEDの個数、色(波長)などについて、限定されることはない。
【0019】
本実施の形態では、輝度データ保持部110に格納された輝度データに対し、ΔΣ処理部120により、ソフトウェア的にΔΣ処理を行う。出力電圧に合わせて、パルス密度を変化させる変調方法をΔΣ変調と呼んでいる。ΔΣ変調されたパルスを、ローパスフィルタ(LPF)を通して、アナログ信号に復調する。
【0020】
本実施の形態では、マイクロコンピュータの機能を用いて、輝度データ保持部110に保持されたデジタルデータをLED発光制御に適した形式に変換する。図3は、ΔΣ処理部120を含むマイクロコンピュータ100の処理内容の一例について説明するためのフローチャートである。
【0021】
マイクロコンピュータ100への電源供給が開始されると、まず、初期設定がなされる(S101)。初期設定では、マイクロコンピュータ100内のメモリ領域の初期化等の処理が実行される。
【0022】
次に、タイマ割込み設定を行う(S102)。ここで設定しているタイマ割込みタイミングは、例えば16.8μ秒とすることができるが、これに限定されず、輝度データ保持部110に保持された輝度データのサンプリングタイミングなどに合わせて割込みタイミングを任意に設定することができる。
【0023】
タイマ割込みのタイミングが到来すれば(S103:Yes)、メイン処理(S104)へと進む。図4は、メイン処理の具体的な内容の一例について説明するためのフローチャートである。
【0024】
メイン処理では、輝度データ保持部110に保持された輝度データ(デジタルデータ)を読み込む(S201)。この場合の読み込みは、輝度データ8ビットをタイマ割り込み時間ごとに行われる。
【0025】
次に、カウンタ値が255を超えているかを判定する(S202)。カウンタとしては、マイクロコンピュータ100内部に備えられたカウンタを用いることができる。カウンタ値が255を超えていない場合(S202:No)、マイクロコンピュータ100の出力ポートを0に設定する。従って、ポートから電圧は出力されない(S203)。カウンタ値が255を超えていた場合(S202:Yes)、マイクロコンピュータ100の出力ポートを1に設定し、マイクロコンピュータの出力ポートから5Vの電圧は出力する(S204)。
【0026】
5Vの電圧が出力された場合、カウンタ値から255を減算する(S205)。そして、カウンタ値に輝度データ(0若しくは1)を加算する(S206)。割込み回数が255回を超えているか否かを判定し(S207)、割込み回数が255回を超えている場合(S207:Yes)、次の輝度データ(0若しくは1)を読み込む(S208)。
【0027】
以上のような処理により、適宜、マイクロコンピュータ100の出力ポートから5Vの電圧が出力される。もっとも、例えば、ろうそく600の光のようなアナログ信号の滑らかさを再現するためには、高い周波数でサンプリングする必要があり、ΔΣ処理部120の出力には、多くの量子化ノイズを含んでしまう。そこで、本実施の形態では、LPFを2次形とした。
【0028】
本実施の形態の1次LPFは、抵抗510、キャパシタ520で構成し、例えば抵抗510の抵抗値を4kオームと大きく、キャパシタ520の容量を0.1μファラッドと小さくして、時定数0.4*10−3とし、2次LPFは、抵抗530、キャパシタ540で構成し、例えば抵抗530の抵抗値を1kオームと小さく、キャパシタ540の容量を2.2μファラッドと大きくして、時定数2.2*10−3とした。抵抗値、コンデンサの容量値は、これに限定されるわけではない。
【0029】
一般に、LEDの輝度は、入力電圧にリニアではないため、トランジスタ410によるLEDの駆動には、ベースのバイアス電流を適切な値に調整するため、本実施の形態では、可変抵抗420で調整している。
【0030】
図5は、自然光の一例としてのろうそくの明かりから得られた輝度データの電圧、図6は、本実施の形態のLED発光制御装置において再現した光の電圧を示す図である。また、図7は、両者を重ね合わせた様子を示す拡大図である。
【0031】
以上に説明したように、本実施の形態のLED発光制御装置により、自然光を再現することが可能であることが明らかとなった。なお、上記の説明では、ろうそく600などからの自然の光を輝度データに変換し、LEDで再現する場合について説明したが、輝度データは、必ずしも、自然の光源から取得されたものでなくてもよい。即ち、輝度データを別途作成することにより、任意のLED発光制御を実現することができる。一般にLEDの発光は電流値とリニアではないが、本実施の形態のLED発光制御では、リニアの発光制御を実現することができる。
【0032】
また、上記実施形態のように、マイクロコンピュータ100を用いて、LED発光制御を行うことにより、低コストで実現することができる。さらに、LEDの滑らかな調光が可能であるから、照明、イルミネーションとして用いる場合や、液晶バックライトに極めて好適である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、例えば、LEDの発光制御に適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
100 マイクロコンピュータ
110 輝度データ保持部
120 ΔΣ処理部
130 輝度データ出力部
200 電源供給部
210 電源スイッチ
220 電圧調整部
300a〜300d LED(発光ダイオード)
410 トランジスタ
420 可変抵抗
510、530 抵抗素子
620、640 容量素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED(発光ダイオード)発光制御装置に関し、特に、従来のLED発光制御では実現できなかった、例えばろうそくの光など、自然発光を再現することが可能なLED発光制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LED(発光ダイオード)は、長寿命、かつ省電力が可能であることから、白熱電球に替わる照明のほか、例えば液晶ディスプレイのバックライトなど、種々の用途に活用されるようになってきている。一般的に、LEDの明るさの制御(調光)には、PWM(パルス幅変調)方式が用いられる。もっとも、PWM制御は、人間の視覚の残像を利用した調光方法であって、オンデューティとなる時間が短くなると、明るさの制御ではなく、LEDの点滅が目立つようになるため、係る場合にはアナログ信号による調光に切り替える技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−210537号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術では、依然としてPWM制御を行う部分が存在するため、輝度が急劇に変化する部分があるような場合(例えば、ろうそくの炎のゆらぎ)に、それを自然に再現するような発光は実現することが難しい。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであって、LEDの発光制御において、より自然に近いゆらぎ(例えば、ろうそくの炎のゆらぎ)を持った発光を実現することができるLED発光制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の問題点を解決するために、本発明に係るLED発光制御装置は、光の輝度を表すデジタルデータを保持する輝度データ保持手段と、前記デジタルデータを順次読み出す輝度データ読出手段と、読み取ったデジタルデータに対し、マイクロコンピュータ上で動作するプログラムにより、ΔΣ処理を行うΔΣ処理手段と、前記ΔΣ処理手段により復調されたデータから、高周波ノイズを除去する高周波ノイズ除去手段と、高周波ノイズを除去したデータに基づいてLEDを発光させるLED発光手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
前記高周波ノイズ除去手段は、2次のLPFから構成される構成とすることができる。さらに、自然光から、前記輝度を表すデジタルデータを生成する輝度データ生成手段を備える構成とすることもできる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るLED発光制御装置によると、例えばろうそくの光などの自然光をLEDで再現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施の形態におけるLED発光制御装置の全体概略構成の一例について説明するための図である。
【図2】本実施の形態において、輝度データを取得する方法について説明するための図である。
【図3】ΔΣ処理部120を含むマイクロコンピュータ100の処理内容の一例について説明するためのフローチャートである。
【図4】メイン処理の具体的な内容の一例について説明するためのフローチャートである。
【図5】自然光の一例としてのろうそくの明かりから得られた輝度データの電圧を示す図である。
【図6】本実施の形態のLED発光制御装置において再現した光の電圧を示す図である。
【図7】両者を重ね合わせた様子を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施の形態におけるLED発光制御装置の全体概略構成の一例について説明するための図である。
【0011】
本実施の形態のLED発光制御は、主にはマイクロコンピュータ100上で動作するコンピュータプログラムにより実現される。マイクロコンピュータ100としては、具体的には、マイクロチップ社のPIC16F88を用いることができ、いわゆるPICマイコンは、他のハイスペックのCPUなどと比較して廉価であるから、コスト面では有利であるが、本願により保護され得る範囲が、PICマイコンに限定されることはない。
【0012】
電源供給部200としては、例えば12Vの電池を用いたり、商用電源をACアダプタで直流電源に変換した電源を用いたりすることができ、マイクロコンピュータ100の動作のための電源や、LED300a〜300dの駆動電源を供給する。
【0013】
電源供給部200は、電源スイッチ210を含んでおり、電源スイッチ210をオンとすれば、電源が供給され、マイクロコンピュータ100に格納されたプログラムが動作する。電圧調整部220は、例えば3端子レギュレータを含み、電源供給部200の電源の電圧を適切な値に調整する。
【0014】
マイクロコンピュータ100は、輝度データ保持部110、ΔΣ処理部120、輝度データ出力部を含む。輝度データ保持部110には、LEDを発光させるための輝度データ(デジタルデータ)が保持される。図2は、本実施の形態において、輝度データを取得する方法について説明するための図である。
【0015】
例えば、ろうそく600(ろうそくに限定されないことは勿論である。)のような自然の光源からの光をフォトトランジスタ710(フォトダイオードでも構わない。)で受光し、A/Dコンバータ720でAD変換し、デジタルデータとして、輝度データ保持部110に保持する。輝度データ保持部110は、マイクロコンピュータ100内部のメモリであっても良いし、外部メモリ等であっても良い。
【0016】
PIC16F88は、10ビットのA/Dコンバータ機能を備えているので、これを利用して、ろうそく600等の自然の光から得られた輝度データ(デジタルデータ)をメモリに記憶する構成とすることができるが、A/Dコンバータはマイクロコンピュータ内部のものでなく、外付けとしても良い。例えば、本実施の形態では、フォトトランジスタ710の電圧変化をデジタルオシロスコープ(レクロイ社製 WJ312)でデータを採取している。
【0017】
この際のサンプリング周期は、10−4(秒)すなわち0.1ミリ秒で10kHzサンプリングとしている。本実施の形態では、自然の光の急峻な変化を再現すべく、高周波のサンプリングで受光データを輝度データ保持部110に取り込むようにしているが、この取り込みタイミングは、上記に限定されない。
【0018】
図1に戻り、得られた輝度データのLED300a〜300dでの再現について説明する。なお、LEDの個数、色(波長)などについて、限定されることはない。
【0019】
本実施の形態では、輝度データ保持部110に格納された輝度データに対し、ΔΣ処理部120により、ソフトウェア的にΔΣ処理を行う。出力電圧に合わせて、パルス密度を変化させる変調方法をΔΣ変調と呼んでいる。ΔΣ変調されたパルスを、ローパスフィルタ(LPF)を通して、アナログ信号に復調する。
【0020】
本実施の形態では、マイクロコンピュータの機能を用いて、輝度データ保持部110に保持されたデジタルデータをLED発光制御に適した形式に変換する。図3は、ΔΣ処理部120を含むマイクロコンピュータ100の処理内容の一例について説明するためのフローチャートである。
【0021】
マイクロコンピュータ100への電源供給が開始されると、まず、初期設定がなされる(S101)。初期設定では、マイクロコンピュータ100内のメモリ領域の初期化等の処理が実行される。
【0022】
次に、タイマ割込み設定を行う(S102)。ここで設定しているタイマ割込みタイミングは、例えば16.8μ秒とすることができるが、これに限定されず、輝度データ保持部110に保持された輝度データのサンプリングタイミングなどに合わせて割込みタイミングを任意に設定することができる。
【0023】
タイマ割込みのタイミングが到来すれば(S103:Yes)、メイン処理(S104)へと進む。図4は、メイン処理の具体的な内容の一例について説明するためのフローチャートである。
【0024】
メイン処理では、輝度データ保持部110に保持された輝度データ(デジタルデータ)を読み込む(S201)。この場合の読み込みは、輝度データ8ビットをタイマ割り込み時間ごとに行われる。
【0025】
次に、カウンタ値が255を超えているかを判定する(S202)。カウンタとしては、マイクロコンピュータ100内部に備えられたカウンタを用いることができる。カウンタ値が255を超えていない場合(S202:No)、マイクロコンピュータ100の出力ポートを0に設定する。従って、ポートから電圧は出力されない(S203)。カウンタ値が255を超えていた場合(S202:Yes)、マイクロコンピュータ100の出力ポートを1に設定し、マイクロコンピュータの出力ポートから5Vの電圧は出力する(S204)。
【0026】
5Vの電圧が出力された場合、カウンタ値から255を減算する(S205)。そして、カウンタ値に輝度データ(0若しくは1)を加算する(S206)。割込み回数が255回を超えているか否かを判定し(S207)、割込み回数が255回を超えている場合(S207:Yes)、次の輝度データ(0若しくは1)を読み込む(S208)。
【0027】
以上のような処理により、適宜、マイクロコンピュータ100の出力ポートから5Vの電圧が出力される。もっとも、例えば、ろうそく600の光のようなアナログ信号の滑らかさを再現するためには、高い周波数でサンプリングする必要があり、ΔΣ処理部120の出力には、多くの量子化ノイズを含んでしまう。そこで、本実施の形態では、LPFを2次形とした。
【0028】
本実施の形態の1次LPFは、抵抗510、キャパシタ520で構成し、例えば抵抗510の抵抗値を4kオームと大きく、キャパシタ520の容量を0.1μファラッドと小さくして、時定数0.4*10−3とし、2次LPFは、抵抗530、キャパシタ540で構成し、例えば抵抗530の抵抗値を1kオームと小さく、キャパシタ540の容量を2.2μファラッドと大きくして、時定数2.2*10−3とした。抵抗値、コンデンサの容量値は、これに限定されるわけではない。
【0029】
一般に、LEDの輝度は、入力電圧にリニアではないため、トランジスタ410によるLEDの駆動には、ベースのバイアス電流を適切な値に調整するため、本実施の形態では、可変抵抗420で調整している。
【0030】
図5は、自然光の一例としてのろうそくの明かりから得られた輝度データの電圧、図6は、本実施の形態のLED発光制御装置において再現した光の電圧を示す図である。また、図7は、両者を重ね合わせた様子を示す拡大図である。
【0031】
以上に説明したように、本実施の形態のLED発光制御装置により、自然光を再現することが可能であることが明らかとなった。なお、上記の説明では、ろうそく600などからの自然の光を輝度データに変換し、LEDで再現する場合について説明したが、輝度データは、必ずしも、自然の光源から取得されたものでなくてもよい。即ち、輝度データを別途作成することにより、任意のLED発光制御を実現することができる。一般にLEDの発光は電流値とリニアではないが、本実施の形態のLED発光制御では、リニアの発光制御を実現することができる。
【0032】
また、上記実施形態のように、マイクロコンピュータ100を用いて、LED発光制御を行うことにより、低コストで実現することができる。さらに、LEDの滑らかな調光が可能であるから、照明、イルミネーションとして用いる場合や、液晶バックライトに極めて好適である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、例えば、LEDの発光制御に適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
100 マイクロコンピュータ
110 輝度データ保持部
120 ΔΣ処理部
130 輝度データ出力部
200 電源供給部
210 電源スイッチ
220 電圧調整部
300a〜300d LED(発光ダイオード)
410 トランジスタ
420 可変抵抗
510、530 抵抗素子
620、640 容量素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の輝度を表すデジタルデータを保持する輝度データ保持手段と、
前記デジタルデータを順次読み出す輝度データ読出手段と、
読み取ったデジタルデータに対し、マイクロコンピュータ上で動作するプログラムにより、ΔΣ処理を行うΔΣ処理手段と、
前記ΔΣ処理手段により復調されたデータから、高周波ノイズを除去する高周波ノイズ除去手段と、
高周波ノイズを除去したデータに基づいてLEDを発光させるLED発光手段とを備える
ことを特徴とするLED発光制御装置。
【請求項2】
前記高周波ノイズ除去手段は、
2次のLPFから構成される
ことを特徴とする請求項1に記載のLED発光制御装置。
【請求項3】
さらに、
自然光から、前記輝度を表すデジタルデータを生成する輝度データ生成手段を備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のLED発光制御装置。
【請求項1】
光の輝度を表すデジタルデータを保持する輝度データ保持手段と、
前記デジタルデータを順次読み出す輝度データ読出手段と、
読み取ったデジタルデータに対し、マイクロコンピュータ上で動作するプログラムにより、ΔΣ処理を行うΔΣ処理手段と、
前記ΔΣ処理手段により復調されたデータから、高周波ノイズを除去する高周波ノイズ除去手段と、
高周波ノイズを除去したデータに基づいてLEDを発光させるLED発光手段とを備える
ことを特徴とするLED発光制御装置。
【請求項2】
前記高周波ノイズ除去手段は、
2次のLPFから構成される
ことを特徴とする請求項1に記載のLED発光制御装置。
【請求項3】
さらに、
自然光から、前記輝度を表すデジタルデータを生成する輝度データ生成手段を備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のLED発光制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2012−212550(P2012−212550A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−77479(P2011−77479)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(504237050)独立行政法人国立高等専門学校機構 (656)
【Fターム(参考)】
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