説明

LED電球

【課題】 調光コントローラによって発熱電球の輝度を調光できるようにした発光システムにおいて白熱電球と互換できるようにしたLED電球を提供する。
【解決手段】 白熱電球のソケットに取付け可能な口金が設けられた電球(32)と、電球に内蔵されたベース基板(33)と、口金(31)から入力され調光コントローラによって位相制御又は電圧制御された交流電圧を整流する整流回路(14,20)と、整流された電圧を平滑化する平滑回路(15,21)と、平滑化された電圧を入力とし、設定電流に応じたデューティー比の電圧を出力する一方、平滑化された入力電圧に応じて設定電流の大きさを調整する機能を有するスイッチング回路(16)と、電球に内蔵され、出力電圧が印加されてLEDに設定電流が通電されることによって、口金から入力され調光コントローラによって位相制御又は電圧制御された交流電圧に対応した輝度に発光するLED回路(17)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はLED電球に関し、例えば調光コントローラによって発熱電球の輝度を調光できるようにした発光システムにおいて調光機能を維持したまま、白熱電球と互換できるようにしたLED電球に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の発光システムでは蛍光灯や白熱電球を光源に使用したものが一般的であった。また、かかる発光システムでは電源電圧の位相を制御しあるいは電圧を制御することによって調光を行う方法が採用されている。
【0003】
最近、高輝度LED、例えば高輝度の白色LEDが実用化されたことを契機とし、従来の蛍光灯や白熱電球に代えてLEDを光源に採用することが実用化されている(特許文献1)。
【0004】
この種のLED照明器具ではLEDへのパルス状印加電圧をデューティー比を制御することによって調光を行う方式が採用されていた(特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】特開2007−145114号公報
【特許文献2】特表2005−524960号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の白熱電球用の調光回路は電源電圧の位相又は電圧を制御することによって調光を行うようにしていたので、既存の発熱電球をそのままLED電球に交換すると、調光ができず、これがLED電球の普及の障害になっていた。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑み、調光コントローラによって発熱電球の輝度を調光できるようにした発光システムにおいて調光機能を維持したまま、白熱電球と互換できるようにしたLED電球を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、本発明に係るLED電球は、調光コントローラによる電源の位相制御又は電圧制御によって白熱電球の輝度を調光し得るようにした発光システムにおける上記白熱電球と互換可能なLED電球であって、上記白熱電球のソケットに取付け可能な口金が設けられた電球と、該電球に内蔵された取付け基板と、該ベース基板に搭載され、上記口金から入力され上記調光コントローラによって位相制御又は電圧制御された交流電圧を整流する整流回路と、上記ベース基板に搭載され、上記整流された電圧を平滑化する平滑回路と、上記ベース基板に搭載され、上記平滑化された電圧を入力とし、設定電流に応じたデューティー比の電圧を出力する一方、上記平滑化された入力電圧に応じて設定電流の大きさを調整する機能を有するスイッチング回路と、上記電球に内蔵され、上記スイッチング回路の出力電圧が印加されてLEDに設定電流が通電されることによって、上記口金から入力され上記調光コントローラによって位相制御又は電圧制御された交流電圧に対応した輝度に発光するLED回路と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
本発明の1つの特徴は調光コントローラによって位相制御又は電圧制御された入力電圧の大きさに応じて出力電圧のデューティー比を任意に変更し得る機能を有するスイッチング回路を用いるようにした点にある。
【0010】
これにより、調光コントローラにて白熱電球を調光できるようにした発光システムにおける白熱電球とLED電球とに互換性を与えることができる結果、既存の白熱電球を用いた発光システムを変更することなく、白熱電球をLED電球に容易に交換することができ、しかも既存の調光コントローラによってLED電球の輝度を調光できる。
【0011】
スイッチング回路は、可変抵抗の両端電圧に応じてLED電流を設定し、平滑化された入力電圧に応じて可変抵抗の両端電圧を調整するように構成されることができる。
【0012】
具体的には、口金から入力され調光コントローラによって位相制御又は電圧制御された交流電圧を整流する第2の整流回路と、整流された電圧を平滑化する第2の平滑回路と、平滑化された入力電圧の大きさを検出する電源電圧検出器とを備え、スイッチング回路は、電源電圧検出器の出力を受けて可変抵抗の両端電圧を調整するように構成することができる。
【0013】
また、スイッチング回路は、検知されたLED通電電流をフィードバック信号として受け、LED電流が設定電流となるように出力のデューティー比をフィードバック制御するように構成するのがよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を図面に示す具体例に基づいて詳細に説明する。図1ないし図3は本発明に係るLED電球の好ましい実施形態を示す。図1において、LED電球30は電球32の後端に口金31を備え、電球32内にはベース基板33とLEDユニット34が内蔵され、ベース基板33には後述のノイズフィルター回路13、整流回路14、20、平滑回路15、21、PWMスイッチング回路16、電源電圧検出器22及び電流検出器18が搭載され、又LEDユニット34には後述のLED回路17が搭載されている。
【0015】
図2において、10はAC商用電源、11はトライアック又はサイリスタを用いて構成され、可変抵抗の抵抗値を調整することによって電源電圧の位相制御又は電圧制御を行う調光コントローラ、12はLED電球30の入力端子(口金31)、13は入力端子12の入力交流電圧からノイズをカットするノイズフィルター回路、14は入力交流電圧を整流する整流回路、15は整流された電圧を平滑化する平滑回路である。
【0016】
16は平滑化された電圧を入力とし、可変抵抗16Aの両端電圧の大きさに応じてLEDの通電電流を設定し、設定電流に応じたデューティー比の電圧を出力するPWMスイッチング回路、17は複数のLEDを直列に接続して構成され、PWMスイッチング回路16の出力電圧が印加されてLEDを発光させるLED回路、18はLED回路18の通電電流を検出し、PWMスイッチング回路16にフィードバック信号として出力する電流検出器である。
【0017】
20はノイズフィルター回路14からの入力交流電圧を整流する第2の整流回路、21は整流された電圧を平滑化する第2の平滑回路、22は可変抵抗を有し、平滑された電圧からPWMスイッチング回路16の入力電圧の大きさを検出する電源電圧検出器である。
【0018】
PWMスイッチング回路16は平滑化された入力電圧の大きさに応じて可変抵抗16Aの両端電圧を調整するようになっている。
【0019】
また、PWMスイッチング回路16は、電流検出器18で検知されたLED通電電流をフィードバック信号として受け、LED通電電流が設定電流となるように出力のデューティー比をフィードバック制御するようになっている。
【0020】
調光コントローラ11を操作し、電源電圧10の位相制御又は電圧制御を行うと、制御された交流電圧が入力端子12に加えられ、ノイズフィルター回路13でノイズがカットされ、整流回路14で整流され、平滑回路15で平滑された後、PWMスイッチング回路16に入力される。
【0021】
PWMスイッチング回路16は可変抵抗16Aで設定された電流となるようなデューティー比の電圧をLED回路17に出力し、LED回路17のLEDが発光し、LED通電電流は電流検出器18で検出され、PWMスイッチング回路16にフィードバック信号として出力され、PWMスイッチング回路16はLED通電電流が設定電流となるようにデューティー比を制御する。
【0022】
他方、ノイズカットされた電圧は第2の整流回路20で整流され、第2の平滑回路21で平滑された後、電源電圧検出器22で平滑化された電圧の大きさが検出され、PWMスイッチング回路16に入力される。
【0023】
PWMスイッチング回路16は図3に示されるように、平滑化された電圧の大きさに応じて可変抵抗16Aの両端電圧を可変制御し、この可変制御された電圧に対応する設定電流となるように、出力電圧のデューティー比を変更制御するので、LEDの発光輝度が調光されることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係るLED電球の好ましい実施形態を示す全体構成図である。
【図2】上記実施形態における回路構成を示す図である。
【図3】上記実施形態における電圧とLED電流の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
10 AC商用電源
11 調光コントローラ
14、20 整流回路
15、21 平滑回路
16 PWMスイッチング回路
17 LED回路
18 電流検出器
22 電源電圧検出器
30 LED電球
31 口金
32 電球
33 ベース基板
34 LEDユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調光コントローラによる電源の位相制御又は電圧制御によって白熱電球の輝度を調光し得るようにした発光システムにおける上記白熱電球と互換可能なLED電球であって、
上記白熱電球のソケットに取付け可能な口金が設けられた電球と、
該電球に内蔵された取付け基板と、
該ベース基板に搭載され、上記口金から入力され上記調光コントローラによって位相制御又は電圧制御された交流電圧を整流する整流回路と、
上記ベース基板に搭載され、上記整流された電圧を平滑化する平滑回路と、
上記ベース基板に搭載され、上記平滑化された電圧を入力とし、設定電流に応じたデューティー比の電圧を出力する一方、上記平滑化された入力電圧に応じて設定電流の大きさを調整する機能を有するスイッチング回路と、
上記電球に内蔵され、上記スイッチング回路の出力電圧が印加されてLEDに設定電流が通電されることによって、上記口金から入力され上記調光コントローラによって位相制御又は電圧制御された交流電圧に対応した輝度に発光するLED回路と、
を備えたことを特徴とするLED電球。
【請求項2】
上記スイッチング回路は、可変抵抗の両端電圧に応じてLED電流を設定する一方、上記平滑化された入力電圧の大きさに応じて可変抵抗の両端電圧を調整するようになっている請求項1記載のLED電球。
【請求項3】
上記口金から入力され上記調光コントローラによって位相制御又は電圧制御された交流電圧を整流する第2の整流回路と、上記整流された電圧を平滑化する第2の平滑回路と、上記平滑化された入力電圧の大きさを検出する電源電圧検出器とを備え、
上記スイッチング回路は、電源電圧検出器の出力を受けて可変抵抗の両端電圧を調整するようになっている請求項2記載のLED電球。
【請求項4】
上記スイッチング回路は、検知された上記LED通電電流をフィードバック信号として受け、上記LED電流が設定電流となるように出力のデューティー比をフィードバック制御するようになっている請求項1ないし3のいずれかに記載のLED電球。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−33863(P2010−33863A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−194349(P2008−194349)
【出願日】平成20年7月29日(2008.7.29)
【出願人】(591051162)新光電装株式会社 (10)
【Fターム(参考)】