説明

LKKTETおよび/またはLKKTNT組成物および組織の悪化、傷害または損傷を処置または予防するための方法

医薬用、眼科用または化粧用複合薬または方法に、アミノ酸配列LKKTETまたはLKKTNT、その保存的バリアント、あるいはLKKTETもしくはLKKTNTペプチドまたはその保存的バリアントの産生を刺激する刺激性薬剤を含むペプチド薬剤が使用され、さらに、第4級アンモニウム塩が使用され、ここで、該薬剤および該塩は、被験体に別々または一緒に投与され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
関連出願の相互参照
本出願は、2005年6月17日に出願された米国特許仮出願第60/691,261号および2006年2月28日に出願された米国特許仮出願第60/776,947号の利益を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、LKKTETおよび/またはLKKTNT組成物および方法の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
背景技術の記載
サイモシンβ4は、最初は、インビトロでの内皮細胞の遊走および分化中に上方調節されるタンパク質として同定された。サイモシンβ4は、当初は胸腺から単離され、さまざまな組織において同定される43アミノ酸で4.9kDaの遍在ポリペプチドである。いくつかの役割、例えば、内皮細胞の分化および遊走、T細胞分化、アクチン隔離、血管新生および創傷治癒における役割が、このタンパク質に起因している。
【0004】
多くのTβ4アイソフォームが同定されており、Tβ4の既知のアミノ酸配列と約70%もしくは約75%もしくは約80%またはそれ以上の相同性を有する。かかるアイソフォームとしては、例えば、Tβ4ala、Tβ9、Tβ10、Tβ11、Tβ12、Tβ13、Tβ14およびTβ15が挙げられる。Tβ4と同様、Tβ10およびTβ15アイソフォームは、アクチンを隔離することが示されている。Tβ4、Tβ10およびTβ15ならびにこれらの他のアイソフォームは、アクチン隔離または結合の媒介に関与していると思われるアミノ酸配列LKKTETまたはLKKTNTを共有する。特定の理論に拘束されることを望まないが、本明細書に記載のペプチド薬剤の活性は、少なくとも一部は、かかる薬剤の抗炎症活性によるものであり得る。また、Tβ4はアクチン重合をモジュレートし得る(例えば、β−サイモシンは、遊離G−アクチンを隔離することによりF−アクチンを解重合させるようである)。Tβ4がアクチン重合をモジュレートする能力は、そのLKKTETまたはLKKTNT配列によってアクチンに結合またはアクチンを隔離する能力によるものであり得る。
【0005】
当該技術分野において、LKKTETおよび/またはLKKTNT組成物ならびに方法の必要性が依然として存在する。
【0006】
発明の概要
一実施形態によれば、被験体の皮膚組織への投与のための組成物は、アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤、その保存的バリアント、あるいは前記組織内でLKKTETもしくはLKKTNTペプチドまたはその保存的バリアントの産生を刺激する刺激性薬剤を含み、該組成物は、第4級アンモニウム塩および前記被験体の皮膚組織への適用のための局所的担体をさらに含む。
【0007】
別の実施形態によれば、医薬用、眼科用または化粧用複合薬(combination)が、アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤、その保存的バリアント、あるいはLKKTETもしくはLKKTNTペプチドまたはその保存的バリ
アントの産生を刺激する刺激性薬剤を含み、該複合薬は第4級アンモニウム塩をさらに含み、ここで、前記薬剤および前記塩は被験体に別々または一緒に投与され得る。
【0008】
さらなる実施形態によれば、被験体への第4級アンモニウム塩の投与に起因する組織の悪化、傷害または損傷を処置、予防、抑制または低減するための処置方法は、前記第4級アンモニウム塩を前記被験体に投与すること、および前記被験体に、アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤、その保存的バリアント、あるいは前記組織においてLKKTETもしくはLKKTNTペプチドまたはその保存的バリアントの産生を刺激する刺激性薬剤を投与することを含む。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の詳細な説明
種々の目的で被験体に投与される多くの組成物は、被験体に傷害を引き起こし得る1種類以上の成分を含有する。
【0010】
例えば、塩化ベンザルコニウム(BAK)などの保存剤は、多くの眼科用および化粧用製品中に存在するが、該製品を投与すると、表面過敏および/または傷害を引き起こし得る。症状としては、発赤および不快感が挙げられ得る。
【0011】
BAKなどの第4級アンモニウム塩を含有する点眼剤の常用に伴い、眼表面の過敏およびアポトーシスという重大な問題が増えてきている。患者は、多くの場合、発赤および一般的な目の不快感などの症状を発現する。本発明によるペプチド薬剤、例えばサイモシンβ4(Tβ4)などは、BAKなどの第4級アンモニウム塩が被験体に投与され、目の組織と接触する場合において、目の組織に対する損傷または傷害を処置または予防するために使用され得る。
【0012】
本発明が適用可能であり得る第4級アンモニウム塩の例としては、BAK、セトリミド、塩化ベンゾキソニウムなどが挙げられる。
【0013】
一実施形態によれば、ペプチド薬剤は、BAKなどの第4級アンモニウム塩とともに同じ製剤の一部として、例えば、BAKまたは他の第4級アンモニウム塩を含有する製剤に対する添加剤として投与される。BAKなどの第4級アンモニウム塩は、多くの眼用溶液(例えば、緑内障点眼剤など)に保存剤として一般に使用されている成分である。
【0014】
別の実施形態において、ペプチド薬剤は、BAKなどの第4級アンモニウム塩の投与前、および/またはBAKなどの第4級アンモニウム塩の投与中、および/またはBAKなどの第4級アンモニウム塩の投与後に投与され得る。
【0015】
一実施形態によれば、本発明は、角膜上皮の目の組織に対する損傷の予防、例えば、かかる目の組織の細胞のアポトーシスの予防に特に有用である。例えば、本発明は、抗緑内障点眼剤または他の点眼剤用のアジュバントとして利用され得る。
【0016】
一態様によれば、眼科的に許容され得る組成物は、アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤またはその保存的バリアントを含むものである。
【0017】
別の態様によれば、目の組織の処置方法は、前記目の組織に、アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤またはその保存的バリアントを含有する眼科的に許容され得る組成物を局所的に投与することを含む。
【0018】
一実施形態において、本発明は、目の組織を、本明細書に記載のペプチド薬剤を含有する組成物の有効量と接触させることにより処置する方法を提供する。直接投与の例としては、例えば、本明細書に記載のペプチド薬剤を含む液剤、ローション剤、膏薬、ゲル剤、クリーム剤、ペースト剤、スプレー剤、懸濁液、分散液、ヒドロゲル剤、軟膏、オイル剤またはフォーム剤を直接適用によって組織と接触させることが挙げられる。
【0019】
特定の理論に拘束されることは望まないが、アクチン隔離性ペプチド、例えば、サイモシンβ4(Tβ4またはTB4)およびアミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むアクチン隔離性ペプチドもしくは該ペプチド断片またはその保存的バリアントを含む他の薬剤は、健常な目の組織を発達させる。
【0020】
サイモシンβ4は、最初は、インビトロでの内皮細胞の遊走および分化中に上方調節されるタンパク質として同定された。サイモシンβ4は、当初胸腺から単離され、さまざまな組織において同定される43アミノ酸で4.9kDaの遍在ポリペプチドである。いくつかの役割、例えば、内皮細胞の分化および遊走、T細胞分化、アクチン隔離、血管新生および創傷治癒における役割が、このタンパク質に起因している。
【0021】
一実施形態によれば、本発明は、好ましくは、サイモシンβ4および/またはTβ4アイソフォーム、アナログもしくは誘導体、例えば、KLKKTET、LKKTETQ、酸化Tβ4、Tβ4スルホキシド、Tβ4のN末端バリアントならびにTβ4のC末端バリアントに適用可能である。
【0022】
一実施形態によれば、本発明に従って使用され得る組成物は、ペプチド薬剤、例えば、サイモシンβ4(Tβ4)および/またはTβ4アイソフォーム、アナログもしくは誘導体(Tβ4の酸化形態、例えば、Tβ4スルホキシドを含む)、Tβ4のN末端バリアントおよびTβ4のC末端バリアント、ならびにアミノ酸配列LKKTETを含むか、実質的に該配列からなるポリペプチドまたはペプチド断片およびその保存的バリアントを含む。国際出願番号PCT/US99/17282(引用により本明細書に組み込まれる)には、Tβ4のアイソフォーム(本発明に従って有用であり得る)ならびにアミノ酸配列LKKTETまたはLKKTNTおよびその保存的バリアントが開示されており、これらは、本発明で利用され得る。国際出願番号PCT/GB99/00833(WO99/49883)(引用により本明細書に組み込まれる)には、酸化サイモシンβ4が開示されており、これは、本発明に従って利用され得る。本発明は、以下、主にTβ4およびTβ4アイソフォームに関して記載するが、以下の記載は、アミノ酸配列LKKTETまたはLKKTNT、LKKTETまたはLKKTNTを含むか、または実質的にそれからなるペプチドおよび断片、その保存的バリアントおよび/またはTβ4アイソフォーム、アナログもしくは誘導体(例えば、酸化Tβ4)、Tβ4のN末端バリアントおよびTβ4のC末端バリアントに等しく適用可能であることが意図されることを理解されたい。
【0023】
一実施形態によれば、本発明による組成物は、毎日、隔日、隔週、隔月などで、投与1日あたり単回適用または反復適用、例えば、投与1日あたり2、3、4回またはそれ以上の適用などで投与され得る。
【0024】
多くのTβ4アイソフォームが同定されており、Tβ4の既知のアミノ酸配列と約70%もしくは約75%もしくは約80%またはそれ以上の相同性を有する。かかるアイソフォームとしては、例えば、Tβ4ala、Tβ9、Tβ10、Tβ11、Tβ12、Tβ13、Tβ14およびTβ15が挙げられる。Tβ4と同様、Tβ10およびTβ15アイソフォームは、アクチンを隔離することが示されている。Tβ4、Tβ10およびTβ15ならびにこれらの他のアイソフォームは、アクチン隔離または結合の媒介に関与していると思われるアミノ酸配列LKKTETまたはLKKTNTを共有する。Tβ4は抗炎
症性活性を有し、また、アクチン重合をモジュレートし得る(例えば、β−サイモシンは、遊離G−アクチンを隔離することによりF−アクチンを解重合させるようである)。Tβ4がアクチン重合をモジュレートする能力は、そのLKKTETまたはLKKTNT配列によってアクチンに結合またはアクチンを隔離する能力によるものであり得る。したがって、Tβ4と同様、抗炎症性である、および/またはアクチンに結合もしくはこれを隔離する、あるいはアクチン重合をモジュレートする他のタンパク質、例えば、アミノ酸配列LKKTETを有するTβ4アイソフォームは、本明細書に記載のように、おそらく、単独またはTβ4との組合せで有効である。
【0025】
したがって、具体的には、既知のTβ4アイソフォーム、例えば、Tβ4ala、Tβ9、Tβ10、Tβ11、Tβ12、Tβ13、Tβ14およびTβ15など、ならびにまだ同定されていないTβ4アイソフォームが、本発明の方法において有用であることが想定される。そのため、Tβ4アイソフォームは、本発明の方法、例えば、被験体において実施される方法に有用である。したがって、本発明はさらに、Tβ4、ならびにTβ4アイソフォームTβ4ala、Tβ9、Tβ10、Tβ11、Tβ12、Tβ13、Tβ14およびTβ15、ならびに眼科的に許容され得る担体を含む組成物を提供する。
【0026】
また、例えば、抗炎症活性および/またはアクチンの隔離もしくは結合能を有する、あるいはアクチンを動員し得るかアクチン重合をモジュレートし得る(適切な隔離、結合、動員もしくは重合アッセイにおいて示されるか、またはアクチン結合を媒介するアミノ酸配列、例えば、LKKTETまたはLKKTNTなどの存在によって同定される)他の薬剤またはタンパク質は、同様に本発明の方法において使用され得る。かかるタンパク質としては、例えば、ゲルソリン、ビタミンD結合タンパク質(DBP)、プロフィリン、コフィリン、デパクチン、DnアーゼI、ビリン(vilin)、フラグミン、セベリン、キャッピングタンパク質、β−アクチニンおよびアクメンチンが挙げられ得る。かかる方法は被験体において実施されるものを含むため、本発明は、さらに、本明細書に記載のようなゲルソリン、ビタミンD結合タンパク質(DBP)、プロフィリン、コフィリン、デパクチン、DnアーゼI、ビリン、フラグミン、セベリン、キャッピングタンパク質、β−アクチニンおよびアクメンチンを含む医薬用組成物を提供する。したがって、本発明は、アミノ酸配列LKKTETまたはLKKTNTを含むポリペプチドおよびその保存的バリアントの使用を含む。
【0027】
本発明で用いる場合、用語「保存的バリアント」またはその文法的異型は、ある1つのアミノ酸残基と別の生物学的に類似する残基との置き換えを表す。保存的バリエーションの例としては、疎水性残基(例えば、イソロイシン、バリン、ロイシンまたはメチオニンなど)と別のものとの置き換え、極性残基と別のものとの置き換え(例えば、リシンのアルギニンでの置換、アスパラギン酸のグルタミン酸での置換、またはアスパラギンのグルタミンでの置換など)が挙げられる。
【0028】
一実施形態によれば、本発明による組成物は点眼剤製剤である。
一実施形態によれば、本発明における使用のための組成物は、本明細書に記載のペプチド薬剤を、1mlあたり約0.001〜1000マイクログラム(mcg/ml)、より好ましくは約0.1〜100mcg/ml、最も好ましくは約1〜10mcg/mlの範囲内の濃度で含有する。特に好ましい実施形態では、ペプチド薬剤はTβ4である。
【0029】
一実施形態によれば、本発明は、目の組織がBAKなどの第4級アンモニウム塩と接触することに起因する目の組織に対する損傷または傷害を処置または予防するために、約0.0001〜1重量%の範囲内、好ましくは約0.001〜0.1重量%の範囲内、より好ましくは約0.002〜0.05重量%の範囲内の濃度で有用である。一実施形態において、第4級アンモニウム塩は約0.005〜0.02重量%の濃度である。
【0030】
一実施形態によれば、本発明はまた、本明細書に記載のペプチド薬剤を眼科的に許容され得る担体中に含む医薬用組成物を含む。かかる担体としては、例えば、本明細書において上記したものが挙げられる。
【0031】
一実施形態によれば、処置を提供する実際の投薬量または試薬、製剤または組成物は、多くの要素、例えば、被験体の体格および健康状態に依存し得る。しかしながら、当業者は、PCT/US99/17282(前掲)およびそれに引用された参考文献に開示された、臨床的投薬量を決定するための方法および手法を示す教示を利用して、使用するのに適切な投薬量を決定することができよう。
【0032】
一実施形態によれば、本明細書に記載のペプチド薬剤を用いるか、または該薬剤を含有する方法および組成物は、眼科的に許容され得る無毒性の賦形剤または担体と混合することにより組成物に製剤化され得る。
【0033】
一実施形態によれば、活性化合物を含有する該局所製剤はまた、眼科の当業者が慣用的な基準を用いて選択することができる生理学的に適合性の賦形剤を含有するものであり得る。賦形剤は、既知の眼科用賦形剤から選択され得、限定されないが、生理食塩水溶液、水ポリエーテル(ポリエチレングリコールなど)、ポリビニル(ポリビニルアルコールおよびポビドンなど)、セルロース誘導体(メチルセルロースおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、石油派生物(鉱油および白色ワセリンなど)、動物性脂肪(ラノリンなど)、アクリル酸のポリマー(カルボキシポリメチレンゲルなど)、植物性脂肪(ピーナツ油など)および多糖類(デキストランなど)、ならびにグリコサミノグリカン(ヒアルロン酸ナトリウムなど)および塩(塩化ナトリウムや塩化カリウムなど)が挙げられる。
【0034】
一実施形態によれば、眼科用組成物は、特に、液剤、懸濁液、軟膏、ゲル剤またはフォーム剤の形態で、目に対して局所的に好都合に適用される。
【0035】
一実施形態によれば、対応する眼科用組成物には、当業者に知られた慣用的な医薬的に許容され得る賦形剤および添加剤、例えば、以下に記載する型のもの、特に、担体、安定剤、可溶化剤、張度向上剤、緩衝液物質、保存剤、増粘剤、錯化剤および他の賦形剤が使用される。かかる添加剤および賦形剤の例は、米国特許第5,134,124号および同第4,906,613号を見るとよい。かかる組成物は、それ自体既知の様式、例えば、活性成分を対応する賦形剤および/または添加剤と混合し、対応する眼科用組成物を形成することにより調製される。活性成分は、好ましくは点眼剤の形態で投与され、活性成分は、例えば担体に慣用的に溶解させる。この溶液は、適切な場合は、所望のpHに調整および/または緩衝化し、適切な場合は、安定剤、可溶化剤または張度向上剤を添加する。適切な場合は、保存剤および/または他の賦形剤を眼科用組成物に添加する。
【0036】
本発明に従って使用される担体は、典型的には、局所的投与または全般的な投与に適したものであり、例えば、水、水と水混和性溶媒(C〜Cアルカノールなど)の混合物、0.5〜5重量%のヒドロキシエチルセルロースを含有する植物油または鉱油、オレイン酸エチル、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドンおよび眼科使用のための他の無毒性の水溶性ポリマー、例えば、セルロース誘導体(メチルセルロースなど)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースのアルカリ金属塩、アクリレートまたはメタクリレート(ポリアクリル酸の塩もしくはアクリル酸エチルなど)、ポリアクリルアミド、天然産物、例えば、ゼラチン、アルギネート、ペクチン、トラガカント、カラヤゴム、キサンタンガム、カラギーナン、寒天およびアカシア
など、デンプン誘導体(酢酸デンプンおよびヒドロキシプロピルデンプンなど)、また、他の合成生成物、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、好ましくは、架橋ポリアクリル酸(中性Carbopolなど)または該ポリマーの混合物である。好ましい担体は、水、セルロース誘導体(メチルセルロースなど)、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースのアルカリ金属塩、中性Carbopol、またはその混合物である。
【0037】
一実施形態によれば、本発明の眼科用組成物に使用される可溶化剤は、例えば、チロキサポール、脂肪酸グリセロールポリ低級アルキレングリコールエステル、脂肪酸ポリ低級アルキレングリコールエステル、ポリエチレングリコール、グリセロールエーテルまたはこれらの化合物の混合物である。添加量は、典型的には、活性成分を可溶化するのに充分なものである。例えば、可溶化剤の濃度は、活性成分の濃度の0.1〜5000倍である。低級アルキレンは、7個(を含む)までのC原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキレンを意味する。例は、メチレン、エチレン、1,3−プロピレン、1,2−プロピレン、1,5−ペンチレン、2,5−ヘキシレンまたは1,7−へプチレンである。低級アルキレンは、好ましくは、4個(を含む)までのC原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキレンである。
【0038】
緩衝液物質の例は、酢酸塩、アスコルビン塩、ホウ酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩およびTRIS(トロメタミン)緩衝液である。トロメタミンおよびホウ酸塩緩衝液は、好ましい緩衝液である。緩衝液物質の添加量は、例えば、生理学的に忍容できるpH範囲を確保および維持するのに必要な量である。そのpH範囲は、典型的には、5〜9、好ましくは6〜8.2、より好ましくは6.8〜8.1の範囲である。
【0039】
張度向上剤は、例えば、イオン化合物、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化物(例えば、CaCl、KBr、KCl、LiCl、NaBr、NaClまたはホウ酸など)である。非イオン性張度向上剤は、例えば、尿素、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコールまたはデキストロースである。例えば、ほぼ50〜1000mOsmol、好ましくは100〜400mOsmol、より好ましくは200〜400mOsmol、さらにより好ましくは280〜350mOsmolの重量オスモル濃度を既製の眼科用組成物に付与するのに充分な張度向上剤が添加される。
【0040】
保存剤の例は、第4級アンモニウム塩(例えば、セトリミド、塩化ベンザルコニウムもしくは塩化ベンゾキソニウムなど)、チオサリチル酸のアルキル水銀塩(例えば、チメロサール、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀もしくはホウ酸フェニル水銀など)、パラベン(例えば、メチルパラベンもしくはプロピルパラベンなど)、アルコール(例えば、クロロブタノール、ベンジルアルコールもしくはフェニルエタノールなど)、グアニジン誘導体(例えば、クロロヘキシジンもしくはポリヘキサメチレンビグアニドなど)、またはソルビン酸などである。好ましい保存剤は、セトリミド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゾキソニウムおよびパラベンである。適切な場合は、使用中、細菌および真菌によって引き起こされる二次汚染に対する保護を確実にするのに充分な量の保存剤が眼科用組成物に添加される。
【0041】
一実施形態によれば、眼科用組成物は、無毒性の賦形剤、例えば、乳化剤、湿潤剤または充填剤など、例えば、200、300、400および600で表示されるポリエチレングリコール、または1000、1500、4000、6000および10000で表示さ
れるCarbowaxなどをさらに含むものであり得る。所望により使用され得る他の賦形剤を以下に挙げるが、それらは、可能な賦形剤の範囲をなんら限定することを意図しない。賦形剤は、特に、錯化剤(EDTA二ナトリウムもしくはEDTAなど)、抗酸化剤(アスコルビン酸、アセチルシステイン、システイン、亜硫酸水素ナトリウム、ブチル−ヒドロキシアニソール、ブチル−ヒドロキシ−トルエンもしくは酢酸α−トコフェロールなど);安定剤(シクロデキストリン、チオ尿素、チオソルビトール、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムもしくはモノチオグリセロールなど);または他の賦形剤、例えば、ラウリン酸ソルビトールエステル、トリエタノールアミンオレエートもしくはパルミチン酸エステルなどである。好ましい賦形剤は、EDTA二ナトリウムなどの錯化剤、およびシクロデキストリンなどの安定剤である。添加される賦形剤の量および型は、具体的な要件に従い、一般的に、約0.0001〜約90重量%の範囲である。シクロデキストリンは数個のグルコース単位で構成されており、該単位は、グルコース1つあたり3個の遊離ヒドロキシ基を有する。一実施形態によるシクロデキストリンの使用量は、好ましくは、0.01〜20重量%、より好ましくは0.1〜15重量%、さらにより好ましくは1〜10重量%の範囲であり得る。
【0042】
一実施形態によれば、本発明はまた、治療有効量の本明細書に記載のペプチド薬剤、担体、可溶化剤および別の治療的に有効な医薬用薬剤(これは、例えば、抗生物質、抗アレルギー剤、麻酔剤、別の消炎剤、コルチコステロイド、眼内圧を低下させるのに適した薬剤、または別の薬物であり得る)を含む眼科用組成物に関する。
【0043】
pH(水素イオン濃度)
一実施形態によれば、本発明の製剤のpHは、できるだけ涙液層のものに近いのがよい。涙の生理学的pHは、ほぼ7.4±0.2である。したがって、安楽性、忍容性および安全性の観点から、これは、眼科用調製物の最適pHであり得る。
【0044】
涙液分泌およびまばたきの刺激により、pH値の減少が引き起こされる。まぶたを長時間開けたままにすると、涙液層が、周囲空気中のCOの分圧との平衡によってアルカリ化され、9より大きいpH値となる。pHの減少および増加はともに、有害な結果を伴わずに起こる。したがって、本発明製剤をほぼ7.4前後のpHで製剤化すると、pH範囲にいくらかの許容度が存在する。
【0045】
また、製剤を目に投与すると、これは、涙液の流れを刺激する。涙液は、小容量の添加物質を速やかに希釈および緩衝化することができ、これは、目が、ある特定の製剤によってもたらされるかなり広いpH範囲に耐え得ることを示す。
【0046】
したがって、眼科用製剤はpH約3.5〜11.5の範囲内であり得る。しかしながら、眼科用製剤は、いくぶんより狭い3.5〜9、好ましくは4.5〜8、最も好ましくはpH5.5〜7.8のpH範囲を示すものであり得る。最も好ましいpH範囲は、本発明の組成物の可溶性、化学的安定性および治療活性に都合がよく、有用で角膜損傷を予防するには比較的狭い範囲である。
【0047】
緩衝液系
一実施形態によれば、緩衝液系は、弱酸または弱塩基およびその共役塩で構成される。該系内の成分の緩衝能は、酸または塩基の添加、ならびに温度、圧力、容量(volume)、酸化還元電位、体液および涙という外部影響への曝露にもかかわらず、pHが実質的に一定に維持されるような様式で作用する。緩衝能は、程度な貯蔵期間中(すなわち、保存条件下で)、製品のpHの変化(すなわち、pHドリフト)に耐えるのに充分大きい方がよいが、本発明の眼科用製剤の緩衝能は、目への投与時、製品の生理学的pHへの速やかな再調整を可能にするのに充分低いのがよい。一実施形態によれば、眼科用製品のた
めの緩衝能は、0.05〜1.0の範囲内であるのがよい。ある特定の本発明の組成物に対する好ましい緩衝能および最も好ましい緩衝能は、それぞれ、0.02〜0.2および0.01〜0.1の範囲である。緩衝能は、下記式:
β = ΔB/ΔpH
(式中、βは緩衝能であり、ΔBは、1リットルの緩衝液溶液のpHを変化させる強酸/強塩基に相当するグラムであり、ΔpHは、強酸/強塩基の添加によって引き起こされる変化である)
によって求められる。
【0048】
一実施形態によれば、適切な緩衝液系は、以下の酸:酢酸;アスコルビン酸;ホウ酸;炭酸;リン酸;クエン酸;グルコン酸;乳酸;およびプロピオン酸のナトリウム塩であり得る。炭酸またはプロピオン酸のカルシウム塩は、リン酸のカリウム塩と同様に、適切な緩衝液系を形成する。Tris緩衝液(トロメタミン)は、静脈内にて、代謝性アシドーシスの補正のためのアルカリ化薬として使用され、本発明における使用に好ましい緩衝液の一例である。他の好ましい緩衝液は、酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩およびホウ酸塩である。ある特定の場合において、タンパク質のアミノ酸残基のプロトン供与体およびプロトン受容体基を含む緩衝液系は、酸−塩基またはアミン−塩基緩衝液に好ましいものであり得る。
【0049】
緩衝液物質の具体的な使用量は種々であり、本発明の組成物の安定性に適したpH環境を維持するため、および生理学的に忍容できるpH範囲を確実にし、維持するために必要と思われる量に依存する。
【0050】
等張化剤
本明細書に挙げたもののうち、その目的は、本発明の眼科用組成物の張度を、自然な涙の張度からほぼ生理学的張度(例えば、0.9%生理食塩水)に調整することである。例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、デキストロースおよび/またはマンニトールが、本発明のペプチド薬剤製剤に添加され得る。等張化剤の量は、添加される具体的な薬剤に依存して様々に異なる。一般に、ある特定の本発明の組成物は、最終組成物が眼科的に許容され得る重量オスモル濃度、好ましくは150〜450mOsm、最も好ましくは250〜350mOsmを有するのに充分な量の等張化剤を有する。
【0051】
好ましい等張化剤は、ナトリウム塩およびカリウム塩、特に塩化ナトリウムおよび塩化カリウムである。最も好ましい等張化剤は塩化ナトリウムである。
【0052】
滑沢剤/粘滑剤/粘度向上剤
一実施形態によれば、目を沈静化する、表面張力を低下させる、およびそれを含めなければ疎水性である上皮の角膜表面の湿潤性(接触)を改善する、涙の稠度に近づける化合物を含め得る。かかる化合物はまた、本発明の組成物の粘度を増大させ、本発明の製剤が目に長時間残留するのを可能にし、したがって、より長時間、その治療活性を発揮するか、または所望の標的に達するための吸収されるペプチド薬剤をもたらすものであり得る。
【0053】
眼科用製剤における好適な粘度向上剤およびある特定の本発明の組成物に使用されるその濃度範囲としては、限定されないが、(a)単量体ポリオール、例えば、チロキサポール(0.1〜1%)、グリセロール(0.2〜1%)、プロピレングリコール(0.2〜1%)、エチレングリコール(0.2〜1%)など;(b)高分子ポリオール、例えば、ポリエチレングリコール(例えば、PEG 300、PEG 400)(0.2〜1%)など;(c)セルロース誘導体(セルロース類のポリマー)、例えば、ヒドロキシエチルセルロース(0.2〜2.5%)、ヒプロメロース(0.2〜2.5%)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(0.2〜2.5%)、メチルセルロース(0.2〜2.5%)
、カルボキシメチルセルロースナトリウム(0.2〜2.5%)、ヒドロキシルプロピルセルロース(0.2〜2.5%)など;(d)デキストラン、例えば、デキストラン70(別の高分子粘滑剤と使用する場合は、0.1%)など;(e)水溶性タンパク質、例えば、ゼラチン(0.01%)など;(f)ビニルポリマー、例えば、ポリビニルアルコール(0.1〜4%)、ポリビニルピロリジン(pyrollidine)(0.1〜4%)など;(g)他のポリオール、例えば、ポリソルベート80(0.2〜1%)、ポビドン(0.1〜2%)など;(h)カルボマー、例えば、カルボマー934P、カルボマー941、カルボマー940およびカルボマー974Pなど、ならびに(i)多糖類/グリコサミノグリカン、例えば、ヒアルロナン(ヒアルロン酸/ヒアルロン酸塩)(0.1〜3%)、コンドロイチン硫酸(0.1〜3%)が挙げられる。
【0054】
2種類以上の粘度向上剤が本発明の組成物に、担体(ビヒクル)の粘度を増大させるために添加され得る。本発明のペプチド薬剤製剤の担体における好ましい向上剤は、カルボキシメチルセルロースである。
【0055】
粘度
粘度は、応力が負荷されたとき、物質が流動する、または形態変化することに対する内部抵抗を示す。物質(溶液、半粘性ゲル、懸濁液、油性の軟膏および軟膏ゲル(粘性のゲル)の粘度は、ポイズ単位で示される。単位センチポイズ(「cp」または複数形「cps」)は0.01ポイズに等しく、最も多くの場合、医薬適用において使用される。粘度を増大させるために使用される化合物は、種々の等級で、例えば、15cps、100cpsなどなどで入手可能である。該等級の数字は、向上剤の固定割合の水溶液を作製した場合にもたらされる粘度を示す。一般的に、溶液は1%または2%であるが、ある特定の向上剤では4%もの高さになることがあり得る。粘度は、20または25℃で測定される。
【0056】
眼科用溶液における好適な粘度は25〜50センチポイズ(cps)である。該所望の粘度をもたらすのに必要とされる向上剤の実際の濃度は、向上剤の等級に依存する。例えば、メチルセルロース25cpsが使用される場合、1%溶液が、25cpsの粘度をもたらす。メチルセルロース4000cpsが使用される場合、0.25%溶液が所望の粘度をもたらす。標準的基準により、パーセント溶液および成分の等級によってもたらされる粘度の表が示されている。
【0057】
一実施形態によれば、本発明の製剤は、>1〜100,000センチポイズ(cps)またはそれ以上の粘度を示す。本発明の軟膏組成物(油性または粘性のゲル)は、100,000cpsより大きい粘度等級を有し得る。これは、眼科用軟膏が、目的の使用領域から流動して失われないように留置させる場合、高粘度であることが意図されるためである。適用後、経時的に、結膜嚢内または目の表面上の温度により、このような軟膏が堆積された場所では、これらの軟膏の「融解」および流動の開始が引き起こされる。
【0058】
種々の本発明の製剤の型の好ましい粘度範囲を以下の表に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
還元剤/抗酸化剤/酸素隔離剤
ある特定の本発明の組成物は、酸化によって分解される可能性を有する。そのため、本発明の組成物の製造、制御およびパッケージング中の工程は、(1)酸素を窒素または高密度不活性ガス(例えば、アルゴンなど)で置き換えること、(2)酸化の影響が最小限となるように還元剤を添加すること、(3)デコイ分子の導入によって、酸化されやすい本発明の組成物を保護することを含み得る。
【0061】
眼科用製剤に0.1%またはそれ以上の濃度まで使用され得る一般的な抗酸化(還元)剤は、亜硫酸ナトリウム、チオ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸水素ナトリウムおよびチオ尿素である。亜硫酸塩は、特定の人にアレルギー型の反応を引き起こし得る。そのため、この型の抗酸化剤を受ける患者には、該抗酸化剤を含有する本発明の組成物で処置する前に、この起こり得る反応について問診するのがよい。本発明の組成物と適合性である他の有用な抗酸化剤は、アスコルビン酸、EDTA/エデト酸2ナトリウム、酢酸、クエン酸、グルタチオンおよびアセチルシステインである。これらの薬剤はまた、安定剤とみなされ得る。
【0062】
デコイ分子または酸素隔離性保護剤は、安定剤として本発明の製剤に、本発明の製剤に対する酸化の影響を最小限にするために添加され得る。分子デコイは、本発明の製剤と少なくとも同じ被酸化能を有するものでなければならない。メチオニンを含有する本発明の組成物に対するかかるデコイの一例は、アミノ酸メチオニンそれ自体である。アミノ酸メチオニンを含有する本発明の組成物に添加される遊離メチオニンは、メチオニルスルホキシドに酸化される過程において、酸素に関して競合し得る。遊離の酸素消費剤は、本発明の組成物/ペプチド中の他の酸素反応性アミノ酸が酸化されるのを抑制するものである。ある特定の本発明の組成物の目的のため、限定されないが、遊離酸素消費剤はメチオニンである。
【0063】
眼科用軟膏/油性エモリエント基剤
眼科用軟膏は、懸濁液よりも、および確実に溶液よりも長時間、活性薬剤を目と接触した状態に維持する傾向にある。ほとんどの軟膏は、涙液によって容易に除去されないため、視界を不鮮明にする傾向にある。したがって、軟膏は、一般的に、日中に使用される点眼剤の補助療法として夜間に使用される。
【0064】
本発明の組成物の油性軟膏基剤は、鉱油、ワセリンおよびラノリン(すべて、体温に近い融点を有する)の混合物である。本発明の化合物の場合、該組成物は、鉱油、ワセリンまたはラノリンを含むものであり得る。一実施形態によれば、好ましい組成物は、ワセリン、鉱油およびラノリンの組合せを含むものであり得る。最も好ましい組成物は、白色ワセリン、鉱油およびラノリン(無水)を含有する軟膏複合薬である。
【0065】
アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤またはその保存的バリアントを少量の精製水または0.9%生理食塩水に溶解し、溶解させる。この水溶液を無水ラノリンに組み込み、次いで、「液状」ラノリン(10%まで)を、残りの軟膏/油性のエモリエント基剤成分、鉱油(30%まで)および白色ワセリン(60%まで)と混合する。
【0066】
眼科用軟膏チューブは、典型的には小型で、ほぼ1〜5グラム、好ましくは3.5グラムの軟膏が収容され、投与目的のためのインチ単位またはその端数単位で測られた細い帯状の軟膏の押し出しを可能にする細いゲージチップが取り付けられている。
【0067】
保存剤
無菌であることは、あらゆる眼科用製剤に対する絶対的な要件である。汚染された製剤により目の感染症がもたらされ得、これは、特に、微生物緑膿菌が関与する場合は、最終的に失明が引き起こされ得る。したがって、本明細書に記載の眼科用製剤は、液剤、ゲル剤、懸濁剤および軟膏の本発明の組成物に対して無菌を確実にする独自の手法を用いて調製されなければならない。滅菌製剤は、滅菌容器内にパッケージングされなければならない。ほとんどの局所的眼科用製品は、典型的には、反復投与形態でパッケージングされる。そのため、保存剤は、使用中、他の様式で(otherwise)滅菌された製品の微生物汚染を抑制することが必要とされる。好適な保存剤としては、第4級アンモニウム化合物(塩)、例えば、塩化ベンザルコニウム(0.001〜0.02%)、塩化ベンゼトニウム、塩化セタルコニウム、セトリミド、臭化ベンゾドデシニウムおよび塩化ベンゾキソニウムなど;チオサリチル酸のアルキル水銀塩、例えば、チメロサール(0.001〜0.005%)など;パラベン、例えば、メチルパラベンおよびプロピルパラベンなど;キレート化剤、例えば、エデト酸2ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム;他の薬剤、例えば、クロロブタノール、ホウ酸、ソルビン酸、フェニルエタノール(0.25%);Purite(登録商標)二酸化塩素;Polyquad(登録商標)ポリクアテミウム−1(0.001%);ならびにAldox(登録商標)ミリスタミド(myristamido)プロピルジエチルアミン(0.005%);または当業者に既知の他の薬剤が挙げられる。
【0068】
かかる保存剤は、使用時に細菌、糸状菌および真菌によって引き起こされる二次的な微生物汚染に対する防御を確実にするため、典型的には0.001%〜1.0%(w/v)のレベルで使用される。
【0069】
以下の選択された保存剤(現在、眼科用製剤における使用が承認されている)の最大濃度を、以下の表に示す。
【0070】
【表2】

【0071】
適切な保存剤の選択は、選択した本発明の組成物におけるその抗菌作用の有効性に基づく。本発明の製剤における使用に好ましい保存剤は、メチルパラベン(0.080%〜1%)とプロピルパラベン(0.016%〜0.024%)の組合せ、塩化ベンザルコニウム(BAK)(0.005%〜0.02%、ここで、0.01%w/vが最も好ましい)、BAKとEDTAの組合せ(0.01〜0.5%)であり、これらは、一緒に使用すると、相乗効果を有する。
【0072】
本発明の単位投薬組成物は、滅菌されるが、保存されない。かかる組成物は、たいてい保存剤を含有しない。そのため、このような組成物は再使用され得ず、いったん開封されたら、廃棄しなければならない。
【0073】
増量剤/安定化剤
増量剤/安定化剤(1種類または複数種)は、長期保存中、本発明の組成物を構成する滑沢剤またはエモリエントまたはビヒクル向上剤の水和状態を維持するのに好都合であり得る。これらの物質のポリマー鎖内またはポリマー鎖間では会合が起こると思われ、これは、経時的に、これらの鎖の水和状態の低下に有利となる。このような会合は、該ポリマー鎖内または該ポリマー鎖間の水素結合の形態であり得、本発明の眼科用製剤/組成物の粘度および質感の変化として顕現され得る。また、凍結乾燥用充填剤(これは、主として糖類である)も応力保護剤とみなされ得、凍結乾燥サイクル中、化合物を保護する。この水和状態の低減を大きく減速または解消する薬剤は、一つの類型の安定化剤または水和向上剤、0.2〜5重量%の濃度のポリオールである。かかるポリオールの代表例は、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、スクロース、関連糖類などである。最も好ましい安定化剤は、0.2%〜5重量%の範囲の濃度の吸湿性のマンニトールである。
【0074】
さらに、50mMのアミノ酸安定剤、例えば、アラニン(Ala)、リシン(Lys)、グリシン(Gly)およびグルタミン酸(Glu)などを、配列LKKTETもしくはLKKTNTを含む製剤化されたペプチド薬剤またはその保存的バリアントに組み込むと、凍結乾燥後に再構成した水溶液からの回収が改善された。好ましいアミノ酸安定剤はアルギニンおよびグリシンであるが、最も好ましい50mMアミノ酸はグリシンである。
【0075】
本発明のペプチド投与
例示的な局所的送達(界面活性効果のため)
アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤またはその保存的バリアントは、目の表面に、例えば、
1.角膜上皮の創傷(限定されないが、化学薬品によるやけど、再発性角膜びらん、外科手術中の上皮の剥離、角膜伸展(resurfacing)術、レーザー角膜内切削形成術(LASIK)によって引き起こされる);
2.角膜上皮の菲薄化(第4級アンモニウム塩、例えば、BAKなどによって引き起こされる);
3.眼の炎症(単独またはコルチコステロイドとの組合せで)(例えば、結膜炎、眼瞼炎、角膜炎、ブドウ膜炎、強膜炎、網膜炎、視神経炎および側頭動脈炎を処置するため);4.微生物感染(単独または抗菌剤、抗真菌剤もしくは抗ウイルス剤との組合せまたは抗菌剤および抗炎症剤両方との組合せで);
5.ドライアイ症候群(眼球乾燥症);
6.充血[目を白くするための、単独または眼用鬱血除去薬(結膜のアドレナリン作用性血管収縮薬との組合せで)、例えば、エフェドリン、ナファゾリン、フェニレフリン、テトラヒドロゾリンなど、および抗ヒスタミン薬、例えば、マレイン酸フェニラミンなど];
7.眼内圧(IOP)の上昇および緑内障;ならびに
8.外傷もしくは外科手術後または種々の目の過敏障害における炎症状態または過敏状態を処置するための局所効果のために投与される。
【0076】
局所用の本発明のペプチド薬剤は、液剤、懸濁剤、ゲル剤および軟膏として製剤化される。本発明のペプチド薬剤製剤は、直接、またはコラーゲンスポンジ、挿入物などによって間接的に投与され得る。どの眼科用製品(例えば、局所的眼科用製剤)も、目の微生物汚染を抑制するため、その最終の容器内で無菌でなくてはならない。1回以上の使用のための反復投与容器内にパッケージングされる場合、いったん容器が開封されたら無菌を維持するために、保存剤が製剤に添加される。眼科用製剤は、製剤のpH、緩衝能、粘度および張度が注意深く制御されることが必要とされる。好ましいpH範囲、緩衝液、粘度および張度は本明細書に記載してある。
【0077】
例示的な製剤:点眼薬用の局所的液剤
局所的に適用される本発明のペプチド製剤は1ミリリットルあたり、アミノ酸配列LKKTETまたはLKKTNTを含む以下のペプチド薬剤または保存的バリアントを、以下に示すとおりに含有する。
【0078】
約0.001〜1,000mg/ml、好ましくは約0.01mg/ml〜600mg/mlの範囲の濃度のペプチド、より好ましくは約0.1mg/ml〜60mg/mlの濃度のペプチド、最も好ましくは、約1mg/ml〜6mg/mlの濃度のペプチド。
【0079】
好ましい担体/ビヒクル:20mMクエン酸ナトリウム;50mMグリシン;3%スクロース;PHを調整するためのNaOHまたはHCl;精製水、USP。
【0080】
例示的な製剤:点眼薬用の局所的懸濁剤
アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤を含有する眼科用懸濁液に関して、目に対する刺激を最小限にするため、粒子は10ミクロン未満の大きさでなければならない。未溶解の固形粒子は結膜に付着する傾向があり得る。薬物が吸収されるにつれて、これらの粒子は溶解されて、吸収薬物を補充する。この貯蔵または貯留効果により、液剤と比べ、懸濁剤の接触時間および作用持続時間が増大する。
【0081】
局所的に適用される本発明のペプチド製剤は1ミリリットルあたり、アミノ酸配列LKKTETまたはLKKTNTを含む以下のペプチド薬剤または保存的バリアントを、以下に示すとおりに含有する。
【0082】
約0.001〜1,000mg/ml、好ましくは約0.01mg/ml〜600mg/mlの範囲の濃度のペプチド、より好ましくは約0.1mg/ml〜60mg/mlの濃度のペプチド、最も好ましくは約1mg/ml〜6mg/mlの濃度のペプチド。
【0083】
好ましい担体/ビヒクル:ポリ(ラクチド−コ−グリコリド)PLGAミクロスフィア内へのペプチドカプセル封入;20mMクエン酸ナトリウム;50mMグリシン;3%スクロース;PHを調整するためのNaOHまたはHCl;精製水、USP。
【0084】
例示的な製剤:点眼薬用の局所的ゲル剤
局所的に適用される本発明のペプチド製剤は1ミリリットルあたり、アミノ酸配列LKKTETまたはLKKTNTを含む以下のペプチド薬剤または保存的バリアントを、以下に示すとおりに含有する。
【0085】
約0.001〜1,000mg/ml、好ましくは約0.01mg/ml〜600mg/mlの濃度のペプチド、より好ましくは約0.1mg/ml〜60mg/mlの濃度のペプチド、最も好ましくは約1mg/ml〜6mg/mlの濃度のペプチド。
【0086】
好ましい担体/ビヒクル:カルボキシメチルセルロースナトリウム(0.5〜1%);二塩基性ナトリウムリン酸塩;塩化ナトリウム;プロピレングリコール;メチルパラベン;プロピルパラベン;PHを調整するためのNaOH/HCl;精製水、USP。
【0087】
例示的な製剤:局所的軟膏
局所的に適用される本発明のペプチド製剤は1ミリリットルあたり、アミノ酸配列LKKTETまたはLKKTNTを含む以下のペプチド薬剤または保存的バリアントを、以下に示すとおりに含有する。
【0088】
約0.001〜1,000mg/ml、好ましくは約0.01mg/ml〜600mg/mlの濃度のペプチド、より好ましくは、約0.1mg/ml〜60mg/mlの濃度
のペプチド、最も好ましくは約1mg/ml〜6mg/mlの濃度のペプチド。
【0089】
好ましい担体/ビヒクル(1):カルボキシメチルセルロースナトリウム(2.5%);二塩基性ナトリウムリン酸塩;プロピレングリコール;メチルパラベン;プロピルパラベン;塩化ナトリウム;PHを調整するためのNaOH/HCl;精製水。
【0090】
好ましい担体/ビヒクル(2):「液状」ラノリン(10%);鉱油(30%)および白色ワセリン(60%)。
【0091】
ステロイド用量減量効果のための例示的な局所的送達
コルチコステロイドは、さまざまな誘発物質に対する炎症応答を抑制する。
・デキサメタゾン眼科用懸濁液(0.1%);デキサメタゾン眼科用軟膏(0.05%);およびリン酸デキサメタゾンナトリウム眼科用液剤(0.1%)
・フルオロメトロン眼科用軟膏(0.1%);フルオロメトロン眼科用懸濁剤(0.25〜1%);および酢酸フルオロメトロン眼科用懸濁剤(0.1%)
・ロトプレドノール(lotoprednol)エタボネート(0.5%)
・メドリゾン眼科用懸濁剤(1%)
・酢酸プレドニゾロン眼科用懸濁剤(0.12〜1%)およびリン酸プレドニゾロンナトリウム眼科用液剤(0.125〜1%)
・リメキソロン眼科用懸濁剤(1%)
しかしながら、これらの薬剤は眼内圧(IOP)を上昇させ得、易罹患性の個体では、緑内障を誘発し得、視神経に対する損傷、視力および視界の欠陥、ならびに後嚢下白内障形成を伴う。白内障形成は、高用量で長期使用の場合に、より起こりやすい合併症である。一部のコルチコステロイド、例えば、酢酸フルオロメトロン、メドリゾンおよびロトプレドノールなどは、他のものほどIOPの上昇を引き起こさない。また、長期使用によっても宿主の免疫応答が抑制され得、したがって、眼用組織から遊離した真菌およびウイルスによる眼の二次感染の確立が補助され得る。局所的コルチコステロイドは、創傷治癒を遅延または減速させることが知られている。
【0092】
アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含む本発明のペプチド薬剤または保存的バリアントを含有する局所的に適用される点眼剤または軟膏を投与し、誘発物質に対する炎症応答を抑制することは、ステロイド用量減量の潜在性を有する。
【0093】
例示的な眼内用薬物送達−結膜/強膜点眼
局所的な結膜への侵入経路は、前眼部内への薬物の浸透に重要な役割を果たす。さらにまた、局所的に適用される薬物は、結膜から強膜に到達することが示されている。強膜を通して輸送または拡散される潜在性は、この組織の利用可能な表面積が大きいことにあり、その水和度、低細胞性および浸透性は高く、これらは年齢とともに有意に低下しない。そのため、本発明の組成物には、この非侵襲的な投与経路によって後眼部への進路が見出され得ることが考えられ得る。データにより、強膜は、アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤またはその保存的バリアントよりもずっと大きい大分子量化合物(約150kD)でさえ、容易に浸透可能であることが示されている。局所的に適用されるネパフェナクが、VEGFの産生を減少させることにより脈絡膜および網膜の血管新生を抑制し、インスリン(5.8kD)などの大分子量ペプチドが、局所的投与後に網膜および視神経内に蓄積され得るという最近の知見により、局所的に適用される本発明の組成物は、すべて<150kDの分子量を有するが、結膜浸透により後眼部に達し得るだけでなく、治療的であり得ることが示される。上記のアミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤または保存的バリアントの局所的液剤、懸濁剤、ゲル剤または軟膏は、局所的な結膜および強膜適用に好適な製剤である。
【0094】
さらに、アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤またはその保存的バリアントの本発明の組成物の注射による結膜下投与は、深刻な眼の炎症および眼感染症、例えばブドウ膜炎および眼内炎など、ならびに緑内障を処置するための本発明の組成物に感受性の抗炎症性および抗菌性レジメンの送達に有用である。
【0095】
好ましい注射用製剤:アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤または保存的バリアントは1mlあたり:
約0.001〜1,000mg/ml、好ましくは約0.01mg/ml〜600mg/mlの濃度のペプチド、より好ましくは、約0.1mg/ml〜60mg/mlの濃度のペプチド、最も好ましくは約1mg/ml〜6mg/mlの濃度のペプチドを含有する。
【0096】
好ましい担体/ビヒクル:20mMクエン酸ナトリウム;50mMグリシン;3%スクロース;PHを調整するためのNaOHまたはHCl;注射用水、USP。
【0097】
例示的な眼内用薬物送達−経角膜的点眼
局所適用される薬物は、疎水性角膜を通して眼内環境内に浸透する。しかしながら、経角膜的輸送では、用量の10分の1〜10分の3しか目の内部に浸透せず、薬物の大部分は表層上皮層に封じ込まれたままで留まるため、最も有効なプロセスではない。角膜を通過する本発明のペプチド組成物の受動拡散は、その可溶性、分子量およびイオン化度によって大きく影響される。正味負の電荷および相対的に高い分子量を有するため、本発明のペプチド薬剤は、局所的に適用される薬物として製剤化されると、そのままの角膜に浸透するのは困難であることがわかる。これは、角膜内の上皮細胞間に局在する孔が、約500以下の分子量の小分子のみの傍細胞性浸透を許容するという事実によって裏付けられる。しかしながら、そのままの角膜上皮が例えば侵食によって破壊されるか、または上皮細胞間の密着結合部を開放する物質または浸透剤に曝露された場合、本発明の組成物は、より効率的に眼内空間内へと角膜を通過する。
【0098】
上記のアミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤または保存的バリアントの局所的液剤、ゲル剤または軟膏は、経角膜的点眼に好適な製剤である。
【0099】
例示的な眼内用薬物送達−眼周囲用注射剤
本発明のペプチド薬剤の眼周囲用注射製剤は、眼の炎症が局所的点眼剤単独では応答性がない場合、および炎症状態、例えば、前部ブドウ膜炎、後部ブドウ膜炎、眼内炎および視神経炎において使用される。ペプチド薬剤は、結膜直下またはテノン嚢の下方の空間内に注射される。ここでは、より多くの吸収が起こり、そのため、より多くの薬物が所望の部位に利用可能となる。眼周囲用注射は局所的療法に付加的であるが、簡便性を欠き、第一線の処置とみなせるほどに充分耐容性ではない。
【0100】
好ましい注射用製剤:アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤または保存的バリアントは1mlあたり、
約0.001〜1,000mg/ml、好ましくは約0.01mg/ml〜600mg/mlの濃度のペプチド、より好ましくは約0.1mg/ml〜60mg/mlの濃度のペプチド、最も好ましくは約1mg/ml〜6mg/mlの濃度のペプチドを含有する。
【0101】
好ましい担体/ビヒクル:20mMクエン酸ナトリウム;50mMグリシン;3%スクロース;pHを調整するためのNaOHまたはHCl;注射用水、USP。
【0102】
例示的な眼内用薬物送達−硝子体内/眼房水内(intraaqueous)投与
経角膜的、経結膜的および経強膜的輸送の代替法として、眼内組織への本発明のペプチ
ド薬剤の送達は、硝子体腔または眼房(aqueous cavitiy)内への注射によってなされ得る。硝子体液はヒドロゲル(水、ヒアルロン酸およびコラーゲン)で構成され、網膜とレンズ間の腔を満たしており、一方、眼房水は、レンズと虹彩間の腔を満たす水様性液である。液剤として製剤化された本発明のペプチド薬剤の硝子体内注射または眼房水内注射により、ペプチド薬剤への眼内組織の直接的な曝露が可能になる。硝子体から速やかに排除され得る本発明の薬剤を眼内に継続的に存在させることは、眼内炎、レンズに対する損傷、網膜剥離のリスクを増大させる反復注射を必要とし得、耐容性が不充分であり得る。この障害を未然に防ぐため、本発明のペプチド薬剤を、リン脂質膜、すなわち、リポソーム、生分解性ミクロスフィア、ナノ粒子または生分解性ラクトン系ポリマー(L−ラクチド、グリコリド、カプロラクトン、ジオキサノン、環状カーボネートおよびその誘導体の重縮合によって構成されるポリエステルが挙げられる)内にカプセル封入させ得る。ポリラクチドおよびポリグリコリド(それぞれ、ポリ(乳酸)PLAおよびポリ(グリコール酸)PGAとしても知られる)、ならびに特にそのコポリマーであるポリ(ラクチド−コ−グリコリド)PLGAが最も研究された生分解性ポリマーであり、これらもまた、本発明のペプチド薬剤のための担体として適用され得る。さらに、ペプチド−ポリマー結合、例えば、LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤またはその保存的バリアントと、合成および天然ポリマー(例えば、ポリエチレングリコール(PEG)およびデキストラン(例えば、シクロデキストラン)など)との共有結合などにより、薬物動態プロフィールの改善が可能になり、本発明のペプチドクリアランスの低減がもたらされる。
【0103】
本発明のペプチド薬剤の硝子体内投与または眼房水内投与は、眼の炎症、眼感染(細菌、真菌またはウイルスの)および緑内障の目の治療において、流出経路の細胞内のF−アクチン構造を制御することにより適応され得る(Read ATら,Exp Eye Res,2006 Jun:82(6):974−85)。
【0104】
好ましい注射用製剤:アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤または保存的バリアントは1mlあたり:
約0.001〜1,000mg/mlの濃度のペプチド、好ましくは約0.01mg/ml〜600mg/mlの濃度のペプチド、より好ましくは約0.1mg/ml〜60mg/mlの濃度のペプチド、最も好ましくは約1mg/ml〜6mg/mlの濃度のペプチドを含有する。
【0105】
好ましい担体/ビヒクル(1):20mMクエン酸ナトリウム;50mMグリシン;3%スクロース;pHを調整するためのNaOHまたはHCl;注射用水、USP。
【0106】
好ましい担体/ビヒクル(2):PLGAミクロスフィア内にペプチドカプセル封入;20mMクエン酸ナトリウム;50mMグリシン;3%スクロース;pHを調整するためのNaOHまたはHCl;注射用水、USP。
【実施例】
【0107】
例示的な製剤投薬:
局所的液剤および懸濁剤:
1回の投与あたり1滴および投与と投与の間は少なくとも5分間が推奨される。目に1滴点眼直後は、涙嚢に1〜2分間圧力を負荷し、この経路による薬物減損速度を低減させる。注射可能な投薬:27〜30ゲージニードル(0.5インチ長)を使用。
【0108】
一実施形態による組成物は、凍結乾燥された形態、または凍結乾燥され得る形態であり得、アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤、その保存的バリアント、あるいはLKKTETもしくはLKKTNTペプチドまたはその保存的バリア
ントの産生を刺激する刺激性薬剤を含み、該組成物は、少なくとも1種類のアミノ酸安定化剤をさらに含む。該組成物は、アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤、その保存的バリアント、あるいはLKKTETもしくはLKKTNTペプチドまたはその保存的バリアントの産生を刺激する刺激性薬剤、および凍結乾燥充填剤またはアミノ酸安定化剤の少なくとも一方を含むものであり得、前記組成物は凍結乾燥形態である。該組成物は、水性媒体中で該組成物のpHを所望の生理学的に許容され得るpHレベルに調整することができ、前記水性媒体中で緩衝液を、前記所望のpHに実質的に維持することができる酸性または塩基性pH調整剤の少なくとも一方をさらに含むものであり得る。アミノ酸安定化剤は、アラニン、リシン、グリシンまたはグルタミン酸の少なくとも1つを含むものであり得る。アミノ酸安定化剤は、少なくとも1種類の50mMのアミノ酸安定剤を含むものであり得る。アミノ酸安定化剤は、50mMのグリシンを含むものであり得る。該組成物は、炭水化物、糖アルコール、単糖類、二糖類および多糖類、ポリオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、スクロースまたはデキストロースの少なくとも1種類を含む充填剤をさらに含むものであり得る。pH調整剤は、NaOHまたはHClの少なくとも一方を含むものであり得る。緩衝液は、酢酸、アスコルビン酸、ホウ酸、炭酸、リン酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸もしくはプロピオン酸の少なくとも1種類のナトリウム塩、炭酸もしくはプロピオン酸のカルシウム塩、リン酸のカリウム塩の少なくとも1種類を含むもの、Tris緩衝液、酢酸塩、リン酸塩、クエン酸塩またはホウ酸塩緩衝液であり得る。緩衝液はクエン酸ナトリウムであり得る。緩衝液は、約0.05〜1.0の緩衝能を有するものであり得る。緩衝液は、約0.02〜0.2または約0.01〜0.1の緩衝能を有するものであり得る。所望のpHレベルは、約3.5〜11.5、約3.5〜9、約4.5〜8または約5.0〜7.8の範囲内であり得る。所望のpHレベルは約5.5であり得る。ペプチド薬剤は、アミノ酸配列KLKKTET、アミノ酸配列LKKTETQ、Tβ4、Tβ4のN末端バリアント、Tβ4のC末端バリアントまたはTβ4のアイソフォームを含むものであり得る。該組成物は水性媒体をさらに含むものであり得、ここで、前記ペプチド薬剤は前記水性媒体中に約0.001〜1,000mg/mlの範囲内の濃度で存在させる。該組成物は、少なくとも1種類のステロイドをさらに含むものであり得る。
【0109】
別の実施形態による組成物は、被験体の皮膚組織投与のためのものであり、アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤、その保存的バリアント、あるいは前記組織内で、LKKTETもしくはLKKTNTペプチドまたはその保存的バリアントの産生を刺激する刺激性薬剤を含み、該組成物は、第4級アンモニウム塩および前記被験体の皮膚組織への適用のための局所的担体をさらに含む。ペプチド薬剤は、アミノ酸配列LKKTET、アミノ酸配列LKKTETQ、Tβ4、Tβ4のN末端バリアントまたはTβ4のアイソフォームを含むものであり得る。第4級アンモニウム塩は塩化ベンザルコニウムを含むものであり得る。ペプチド薬剤は、約0.001〜1,000mg/mlの濃度であり得、前記第4級アンモニウム塩は前記組成物中に、約0.001〜1重量%で存在させ得る。該組成物は、液剤、ゲル剤、クリーム剤、ペースト剤、ローション剤、スプレー剤、懸濁剤、分散剤、膏薬、ヒドロゲル剤、軟膏またはフォーム剤の製剤の形態であり得る。該組成物は化粧用製剤であり得る。
【0110】
別の実施形態による医薬用または化粧用複合薬は、アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤、その保存的バリアント、あるいはLKKTETもしくはLKKTNTペプチドまたはその保存的バリアントの産生を刺激する刺激性薬剤を含み、該複合薬は第4級アンモニウム塩をさらに含み、ここで、前記薬剤および前記塩は被験体に別々または一緒に投与され得る。ペプチド薬剤は、アミノ酸配列LKKTET、アミノ酸配列LKKTETQ、Tβ4、Tβ4のN末端バリアントまたはTβ4のアイソフォームを含むものであり得る。第4級アンモニウム塩は塩化ベンザルコニウムであり得る。該複合薬は、前記ペプチド薬剤を約0.001〜1,000mg/mlの濃度で含む医薬
用、眼科用または化粧用組成物を含むものであり得、前記第4級アンモニウム塩は前記組成物中に、約0.0001〜1重量%で存在させ得る。該複合薬は、眼科的に許容され得る担体をさらに含んでいてもよい眼科用組成物を含むものであり得る。該組成物は、点眼剤組成物を構成するものであり得る。
【0111】
さらなる実施形態によれば、被験体への第4級アンモニウム塩の投与に起因する組織の悪化、傷害または損傷を処置、予防、抑制または低減するための処置方法は、前記第4級アンモニウム塩を前記被験体に投与すること、および前記被験体にアミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤、その保存的バリアント、あるいは前記組織において、LKKTETもしくはLKKTNTペプチドまたはその保存的バリアントの産生を刺激する刺激性薬剤を投与することを含む。該薬剤は前記被験体に、前記第4級アンモニウム塩の前記投与の前、同時または後に投与され得る。該薬剤および前記塩は、組成物として同時に投与され得る。該組成物は、眼科的に許容され得る担体をさらに含むものであり得る。該組成物は、点眼剤組成物を構成するものであり得る。該組成物は、化粧用として許容され得る担体を含むものであり得る。該組成物は、液剤、ゲル剤、クリーム剤、ペースト剤、ローション剤、スプレー剤、懸濁剤、分散剤、膏薬、ヒドロゲル剤、軟膏またはフォーム剤の製剤の形態であり得る。ペプチド薬剤は、アミノ酸配列KLKKTET、アミノ酸配列LKKTETQ、Tβ4、Tβ4のN末端バリアント、Tβ4のC末端バリアントまたはTβ4のアイソフォームを含むものであり得る。第4級アンモニウム塩は塩化ベンザルコニウムを含むものであり得る。ペプチド薬剤は前記組成物中に約0.001〜1,000mg/mlの範囲内の濃度で含まれ得、前記第4級アンモニウム塩は前記組成物中に、約0.0001〜1重量%の範囲内で存在させ得る。
【0112】
またさらなる実施形態による組成物は、アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤、その保存的バリアント、あるいはLKKTETまたはLKKTNTペプチドまたはその保存的バリアントの産生を刺激する刺激性薬剤、ならびに眼科的に許容され得る担体、抗菌的に有効な保存剤、前記組成物に眼科的に許容され得る張度を提供するための等張化剤、快適性向上剤、該組成物のpHを所望の眼科的に許容され得るpHレベルに調整することができる酸性または塩基性pH調整剤の少なくとも一方、および前記所望のpHレベルに実質的に維持する緩衝液を含む。該組成物は、抗酸化剤または酸素隔離剤の少なくとも一方をさらに含むものであり得る。抗酸化剤または酸素隔離剤は、亜硫酸ナトリウム、チオ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、チオ尿素、アスコルビン酸、EDTA/エデト酸2ナトリウム、酢酸、クエン酸、グルタチオン、アセチルシステインまたはメチオニンの少なくとも1種類を含むものであり得る。抗酸化剤または酸素隔離剤は前記組成物中に、約0.0001〜1.0重量%の範囲内の濃度であり得る。抗菌的に有効な保存剤は、第4級アンモニウム化合物、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化セタルコニウム、セトリミド、臭化ベンゾドデシニウム、塩化ベンゾキソニウム、チオサリチル酸のアルキル水銀塩、チメロサール、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、ホウ酸フェニル水銀、パラベン、メチルパラベン、プロピルパラベン、キレート化剤、エデト酸2ナトリウム、グルコン酸ナトリウム、プロピオン酸ナトリウム、アルコール、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエタノール、グアニジン誘導体、クロロヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアニド、ソルビン酸、ホウ酸、二酸化塩素、ポリクアテミウムまたはミリスタミドプロピルジエチルアミンの少なくとも1種類を含むものであり得る。保存剤は前記組成物中に、約0.0001〜5.0%(w/v)の範囲内の濃度で存在させ得る。該組成物は、少なくとも1種類の眼科的に許容され得る安定化剤をさらに含むものであり得る。安定化剤は、ポリオール、マンニトール、ソルビトール、グリセロール、スクロース、アミノ酸安定剤、アラニン(Ala)、リシン(Lys)、グリシン(Gly)またはグルタミン酸(Glu)
の少なくとも1種類を含むものであり得る。安定化剤は前記組成物中に、約0.01〜10重量%の範囲内の濃度で存在させ得る。等張化剤は、イオン化合物、アルカリ金属ハ
ロゲン化物、アルカリ土類金属ハロゲン化物、CaCl2、KBr、KCl、LiCl、NaBr、NaCl、ホウ酸、非イオン化合物、尿素、グリセロール、ソルビトール、マンニトール、プロピレングリコール、またはデキストロースの少なくとも1種類を含むものであり得る。該組成物は、約50〜1000mOsmolの範囲内の重量オスモル濃度を有するものであり得る。該調整剤は、NaOHまたはHCLの少なくとも1種類を含むものであり得る。緩衝液は、酢酸のナトリウム塩、アスコルビン酸のナトリウム塩、ホウ酸のナトリウム塩、炭酸のナトリウム塩、リン酸のナトリウム塩、クエン酸のナトリウム塩、グルコン酸のナトリウム塩、乳酸のナトリウム塩、プロピオン酸のナトリウム塩、炭酸のカルシウム塩、プロピオン酸のカルシウム塩、リン酸のカリウム塩の少なくとも1種類を含むもの、Tris緩衝液、酢酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液またはホウ酸塩緩衝液であり得る。所望のpHレベルは約3.5〜11.5の範囲内であり得、緩衝液は、約0.05〜1.0の緩衝能を有するものであり得る。ペプチド薬剤は、アミノ酸配列KLKKTET、アミノ酸配列LKKTETQ、Tβ4、Tβ4のN末端バリアント、Tβ4のC末端バリアントまたはTβ4のアイソフォームを含むものであり得る。該組成物は水性媒体をさらに含むものであり得、ここで、前記ペプチド薬剤は前記水性媒体中に、約0.001〜1,000mg/mlの範囲内の濃度で存在させる。該組成物は、液剤、ゲル剤、クリーム剤、ペースト剤、ローション剤、スプレー剤、懸濁液、分散液、膏薬、ヒドロゲル剤、軟膏またはフォーム剤の製剤の形態であり得る。該組成物は、点眼剤組成物を構成するものであり得る。ペプチド薬剤は前記組成物中に、リン脂質膜、リポソーム、ミクロスフィア、ナノ粒子もしくは生分解性ポリマーの少なくとも1種類でカプセル封入して、またはペプチド−ポリマー結合体として存在させ得る。
【0113】
実施例
43アミノ酸分子のサイモシンβ4(Tβ)は、眼用創傷治癒を促進し、眼の炎症を低減し、角膜上皮に対して抗アポトーシス効果を有する。この試験では、塩化ベンザルコニウム(BAK)に曝露された培養ヒト角膜上皮細胞の生存に対するTβ4の効果を調べた。
【0114】
ほぼ80%コンフルエンスのヒト角膜上皮細胞を、0%、0.001%、0.01%または0.1%BAKで15分間処理した。培養培地中で回復の3時間および24時間後、細胞増殖を、比色BrdU取込みアッセイを用いて測定した。アポトーシスは、比色アネキシン系細胞死アッセイを用いて測定した。試験を1mcg/mlのTβの存在下で繰り返し、インビトロ投薬は、いくつかの公表された試験において有効であることが示された。Tbがアポトーシスを抑制する能力をさらに評価するため、角膜上皮細胞を0.01%BAK±Tβで5日間にわたって処理した。
【0115】
使用したすべてのBAK濃度で、3時間および24時間の回復時間の対照と比べて角膜上皮細胞増殖が阻害され、アポトーシスが増大した。3時間および24時間の時点で、TβはBAKの有害効果を無効にせず;細胞増殖はTbによって促進されず、アポトーシスは抑制されなかった。しかしながら、より長期間(2〜5日間)の培養では、Tβ処理により、BAKに引き起こされた上皮細胞アポトーシスが有意に抑制された。また、Tβ処理細胞は、培地単独で5日間培養したものと比べ、アポトーシスの減少を示した。
【0116】
多くの市販の眼用溶液に使用されている保存剤であるBAKは、培養状態で角膜上皮細胞アポトーシスを誘発し、これは、長期曝露が角膜の健康に対して有害であることを示す。ここに報告した試験は、TβがBAKの有害なアポトーシス促進効果を解消できることを示す。多くのBAK含有点眼剤は、典型的には長期間使用されるため、Tβは、この保存剤を含有する溶液に対する有用な添加剤であることが示される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被験体の皮膚組織への投与のための組成物であって、アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤、その保存的バリアント、あるいは前記組織内でLKKTETもしくはLKKTNTペプチドまたはその保存的バリアントの産生を刺激する刺激性薬剤を含み、第4級アンモニウム塩および前記被験体の皮膚組織への適用のための局所的担体をさらに含む組成物。
【請求項2】
前記ペプチド薬剤が、アミノ酸配列LKKTET、アミノ酸配列LKKTETQ、Tβ4、Tβ4のN末端バリアントまたはTβ4のアイソフォームを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記第4級アンモニウム塩が塩化ベンザルコニウムを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記ペプチド薬剤が約0.001〜1,000mg/mlの濃度であり、前記第4級アンモニウム塩が前記組成物中に約0.001〜1重量%の範囲内で存在する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、液剤、ゲル剤、クリーム剤、ペースト剤、ローション剤、スプレー剤、懸濁液、分散液、膏薬、ヒドロゲル剤、軟膏またはフォーム剤の製剤の形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が化粧用製剤である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤、その保存的バリアント、あるいはLKKTETもしくはLKKTNTペプチドまたはその保存的バリアントの産生を刺激する刺激性薬剤を含み、第4級アンモニウム塩をさらに含み、前記薬剤および前記塩が被験体に別々または一緒に投与され得る、医薬用または化粧用複合薬。
【請求項8】
前記ペプチド薬剤が、アミノ酸配列LKKTET、アミノ酸配列LKKTETQ、Tβ4、Tβ4のN末端バリアントまたはTβ4のアイソフォームを含む、請求項7に記載の複合薬。
【請求項9】
前記第4級アンモニウム塩が塩化ベンザルコニウムである、請求項7に記載の複合薬。
【請求項10】
約0.001〜1,000mg/mlの濃度の前記ペプチド薬剤を含む医薬用、眼科用または化粧用組成物を含み、前記第4級アンモニウム塩が前記組成物中に約0.0001〜1重量%で存在する、請求項7に記載の複合薬。
【請求項11】
眼科的に許容され得る担体をさらに含む眼科用組成物を含む、請求項7に記載の複合薬。
【請求項12】
前記組成物が点眼剤組成物を含む、請求項11に記載の複合薬。
【請求項13】
被験体への第4級アンモニウム塩の投与に起因する組織の悪化、傷害または損傷を処置、予防、抑制または低減するための処置方法であって、前記第4級アンモニウム塩を前記被験体に投与すること、および前記被験体に、アミノ酸配列LKKTETもしくはLKKTNTを含むペプチド薬剤、その保存的バリアント、あるいは前記組織においてLKKTETもしくはLKKTNTペプチドまたはその保存的バリアントの産生を刺激する刺激性薬剤を投与することを含む、方法。
【請求項14】
前記薬剤が前記被験体に、前記第4級アンモニウム塩の前記投与の前、同時または後に投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記薬剤が前記塩と同時に投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記薬剤および前記塩が組成物として同時に投与される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物が眼科的に許容され得る担体をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記組成物が点眼剤組成物を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記組成物が化粧用として許容され得る担体をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記組成物が、液剤、ゲル剤、クリーム剤、ペースト剤、ローション剤、スプレー剤、懸濁液、分散液、膏薬、ヒドロゲル剤、軟膏またはフォーム剤の製剤の形態である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ペプチド薬剤が、アミノ酸配列KLKKTET、アミノ酸配列LKKTETQ、Tβ4、Tβ4のN末端バリアント、Tβ4のC末端バリアントまたはTβ4のアイソフォームを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項22】
前記第4級アミノ塩が塩化ベンザルコニウムを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項23】
前記ペプチド薬剤が前記組成物中に約0.001〜1,000mg/mlの範囲内の濃度で含まれ、前記第4級アンモニウム塩が前記組成物中に約0.0001〜1重量%の範囲内で存在する、請求項16に記載の方法。

【公表番号】特表2008−543877(P2008−543877A)
【公表日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−517206(P2008−517206)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/023758
【国際公開番号】WO2006/138707
【国際公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【出願人】(503334769)リジェナークス・バイオファーマスーティカルズ・インコーポレイテッド (16)
【Fターム(参考)】