説明

LNGサテライト設備

【課題】 屋外の据え付け場所において、短期間で正確にかつ安全に設置するのに適したLNGサテライト設備を提供する。
【解決手段】 本発明のLNGサテライト設備Xは、液化天然ガスを貯蔵する貯槽ユニット1と、液化天然ガスを気化する気化ユニット3と、配管ユニット2と、を備える。配管ユニット2は、下段部23Aおよび上段部23Bを有する2段式の架台23と、下段部23Aに配置され、貯槽ユニット1から気化ユニット3に液化天然ガスを移送するLNG用配管21と、上段部23Bに配置され、気化ユニット3から導出されるガスを通すガス用配管22と、を有する。貯槽ユニット1、気化ユニット3、および配管ユニット2は、所定の据え付け場所に設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化天然ガス(LNG)を蒸発気化させてガス状で需要者に供給するガス供給設備に関する。
【背景技術】
【0002】
液化天然ガス(LNG)を液状でタンクに蓄え、気化器などで蒸発気化させてガス状にして供給することは各産業分野で重要な工業的手法として用いられている。LNGの利用に際しては、例えばタンカーなどからLNGを受入基地に受け入れて貯蔵し、気化器で気化させた後にLNG利用設備に供給される(例えば、特許文献1を参照)。また、LNGの供給態様としては、受入基地から小分けしてタンクローリなどにより輸送されたLNGを液状で貯槽に蓄え、気化器で蒸発気化させてガス状にして需要者に供給されるLNGサテライト設備が知られている(例えば、特許文献2を参照)。LNGサテライト設備は、LNGを重油、灯油やプロパンに代わる燃料として都市部から離れた地方に供給するための拠点として、近年その需要が増している。LNGサテライト設備は、例えば1時間当たり数百キログラムから数トンのLNGを蒸発気化させることができる容量を有しており、LNG受入基地から離れた遠隔地において、重油、灯油やプロパンに代わる燃料ガスの供給設備としての役割を担おうとしている。
【0003】
天然ガスが外部に漏れると、空気と混合して爆発などの火災を引き起こす虞がある。このため、LNGサテライト設備の設置に際しては、貯槽から気化器にLNGを移送する配管や、気化器から供給される天然ガスを通す配管などは、例えば、据え付け現場において慎重に位置合わせしつつ溶接により接続されていた。具体的には、貯槽および気化器が設置された後に配管を接続するが、配管には緊急遮断弁やガス圧力調整弁、安全弁、手動弁などの機器を適宜取り付ける必要があった。ここで、ガスの漏洩防止の観点から、配管およびこれに取り付けられる機器の高さ方向や水平方向の位置合わせを、配管溶接時に精度よく行うことが要求されていた。しかしながら、据え付け現場での溶接作業は、一般に屋外での作業となり、また天候の影響を受け得るので、多大な労力と時間を要していた。また、組立後の耐圧検査、気密検査なども天候の影響をうけるなど屋外で実施することには制約があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−318499号公報
【特許文献2】特開2011−145043号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような事情の下で考え出されたものであって、屋外の据え付け場所において、短期間で正確にかつ安全に設置するのに適したLNGサテライト設備を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によって提供されるLNGサテライト設備は、液化天然ガスを貯蔵する貯槽ユニットと、液化天然ガスを気化する気化ユニットと、配管ユニットと、を備える。配管ユニットは、下段部および上段部を有する2段式の架台を備えており、上記下段部には上記貯槽ユニットから上記気化ユニットに液化天然ガスを移送するLNG用配管が配置され、上記上段部には上記気化ユニットから導出されるガスを通すガス用配管が配置されている。上記貯槽ユニット、上記気化ユニット、および上記配管ユニットは、所定の据え付け場所に設置される。
【0007】
好ましくは、上記貯槽ユニットは、液化天然ガスを貯蔵するための貯槽と、端部が上記LNG用配管の一端部に接続され、上記貯槽内の液化天然ガスを上記貯槽の外部に導出するLNG導出配管と、を備え、上記気化ユニットは、液化天然ガスを気化するための気化器と、端部が上記LNG用配管の他端部に接続され、上記気化器内に液化天然ガスを導入するためのLNG導入配管と、端部が上記ガス用配管に接続され、上記気化器を経て気化されたガスを上記気化器の外部に導出するガス導出配管と、を備える。
【0008】
好ましくは、上記貯槽ユニット、上記気化ユニット、および上記配管ユニットは、前もって組み立てられた状態で据え付け場所に搬送され、接続する配管どうしが互いにフランジ接続される。
【0009】
好ましくは、上記貯槽ユニット、上記気化ユニット、および上記配管ユニットのうち少なくともいずれか1つは、当該ユニットの据え付け場所において互いに離間して埋設される複数の基礎ボルトに対応する2箇所以上の基礎ボルト基準位置と、当該ユニットにおいて他のユニットとの接続用の配管を取り付けるための接続用配管基準位置と、を規定する型材を用いて、上記基礎ボルト基準位置および上記接続用配管基準位置の位置決めを組み立て時に行う。
【0010】
好ましくは、上記配管ユニットにおける配管は、支持体を介して上記架台に支持されており、上記支持体は、上記配管の高さ方向および水平方向の位置を調整する位置調整機構を有する。
【0011】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るLNGサテライト設備の一例を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係るLNGサテライト設備の一例を示す側面図である。
【図3】図2に示すLNGサテライト設備の要部斜視図である。
【図4】図2に示すLNGサテライト設備を、図3とは異なる方向から見た要部斜視図である。
【図5】型材の一例を示す側面図である。
【図6】図5に示す型材の正面図である。
【図7】図5に示す型材の平面図である。
【図8】図5に示す型材の分解図である。
【図9】型材の使用方法を説明するための側面図である。
【図10】型材の使用方法を説明するための正面図である。
【図11】図10のXI−XI矢視図である。
【図12】支持体の一例を示す斜視図である。
【図13】図12に示す支持体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
【0014】
図1〜図4は、本発明の実施形態に係るLNGサテライト設備を示している。
【0015】
図1および図2に示すように、本実施形態のLNGサテライト設備Xは、液化天然ガス(LNG)を貯蔵する貯槽ユニット1と、LNGを気化する気化ユニット3と、配管ユニット2とを備えて構成されており、屋外の据え付け場所に設置固定されたものである。
【0016】
貯槽ユニット1は、LNGを受け入れるLNG受入配管11と、LNGを貯蔵するための貯槽12と、貯槽12内のLNGを外部に導出するLNG導出配管13とを備える。LNG受入配管11およびLNG導出配管13には、手動弁14,15が設けられている。貯槽ユニット1においては、例えばタンクローリによって輸送されたLNGがLNG受入配管11を通じて貯槽12内に導入される。貯槽12は、外壁が2重になっており、当該2つの壁の間には断熱材が充填されるとともに真空に減圧されて、外気からの侵入熱を遮断する構造になっている。この貯槽12内にはLNGが最低−161.5℃の温度で貯蔵されている。貯槽12の寸法の一例を挙げると、600kg/hの気化能力を有するLNGサテライト設備Xの場合では、外径が3.2m、高さが11.5m程度である。貯槽12から導出されたLNGは、LNG導出配管13および手動弁15を通じて配管ユニット2に送られる。LNG導出配管13の端部(フランジ13a)は、後述の配管ユニット2におけるLNG用配管21の上流側の端部(フランジ21a)に対してフランジ接続されている。この接続部分についての詳細は後述する。
【0017】
貯槽ユニット1の据え付けに際しては、例えばコンクリートに埋設された基礎ボルトを用いて行う。図2に示すように、貯槽12の下部には据え付け用の複数の脚12aが設けられており、これら脚12aの下端が、互いに離間して埋設された複数の基礎ボルト(図示略)に固定される。
【0018】
配管ユニット2は、貯槽ユニット1からのLNGを気化ユニット3に移送するためのLNG用配管21と、気化ユニット3から導出されるガス状の天然ガスを通すガス用配管22とを備えて構成されている。LNG用配管21には、安全弁211、緊急遮断弁212、および手動弁213が設けられている。詳細は後述するが、気化ユニット3を経て蒸発気化した天然ガスの温度が所定温度に満たない場合、緊急遮断弁212が閉止して、気化ユニット3へのLNGの導入を停止するようになっている。
【0019】
ガス用配管22には、安全弁221、手動弁222、温度計223、および流量計226が設けられている。また、ガス用配管22は、温度計223の下流側において分岐して2つのラインが並列とされた部分を有し、それぞれのラインには、弁224a,224b(224c,224d)およびガス圧力調整弁225a(225b)が設けられている。これら2つのラインのいずれか一方は予備ラインとされており、弁224a〜224dは、ガスを通流させるラインを切り換えるために用いられる。
【0020】
本実施形態において、配管ユニット2は、例えば図2〜図4によく表れているように、下段部23Aおよび上段部23Bを有する2段式の架台23を備えており、上記したLNG用配管21およびガス用配管22は、架台23に組み込まれている。より詳細には、LNG用配管21は、架台23の下段部23Aに配置され、ガス用配管22は架台23の上段部23Bに配置されている。なお、ガス用配管22において、ガス圧力調整弁225a,225bを含む2つのラインは、上下に離間して平行に配列されている。
【0021】
架台23の下段部23Aと上段部23Bの間には、板材231が設けられている。ガス用配管22の点検整備時等には、作業者は、板材231上に載って、ガス用配管22およびこれに付属するガス圧力調整弁225a,225b等に対する作業を行うことが可能である。
【0022】
LNG用配管21の下流側の端部(フランジ21b)は、後述の気化ユニット3のLNG導入配管32の端部(フランジ32a)にフランジ接続されている。ガス用配管22の上流側の部分および下流側の部分は、それぞれ、板材231に形成された孔231aを貫通して下段部23A側に引き回されている。ガス用配管22の上流側の端部(フランジ22a)は、後述の気化ユニット3のガス導出配管33の端部(フランジ33a)にフランジ接続され、ガス用配管22の下流側の端部(フランジ22b)は、ガス供給先の配管(図示略)にフランジ接続されている。
【0023】
配管ユニット2の据え付けに際しては、例えばホールインアンカーを用いて行う。配管ユニット2をコンクリート上に載置し、この配管ユニット2の架台23が、コンクリートに打ち込んだ複数のホールインアンカー(図示略)によって固定される。
【0024】
図1に示すように、気化ユニット3は、LNGを蒸発気化するための気化器31と、LNG導入配管32と、ガス導出配管33とを備えて構成されている。気化器31は、底板311と、シェル状のハウジング312と、コイル状に巻かれた伝熱管313と、熱媒導入配管314と、熱媒オーバーフロー管315と、熱媒オーバーフロー管315に通じる熱媒導出配管316とを備えて構成されている。底板311とハウジング312との間には適宜のシール材(図示略)が介装されており、ハウジング312の内部の密閉状態が保たれるようになっている。
【0025】
伝熱管313は、ハウジング312の内部において底板311からコイル状に上方に延びた後、下方に折り返して底板311まで到達している。伝熱管313の上流側の端部は、LNG導入配管32に通じており、伝熱管313の下流側の端部は、ガス導出配管33に通じている。貯槽ユニット1から移送されたLNGは、LNG導入配管32を介して伝熱管313内に導入される。
【0026】
熱媒導入配管314および熱媒導出配管316には、手動弁317,318が設けられており、熱媒導入配管314を通じて、例えば熱媒としての温水がハウジング312内に導入される。温水の温度は、例えば60℃程度とされる。伝熱管313の周囲は温水で満たされており、伝熱管313内のLNGは、熱媒である温水による加熱を受けて昇温し、蒸発気化されてガス状態(天然ガス)となる。蒸発気化した天然ガスは、ガス導出配管33を通じて配管ユニット2側に供給される。このとき、天然ガスの温度は、0℃程度となる。一方、ハウジング312内の温水は、ハウジング312内でLNGにより冷却されて降温した後、熱媒オーバーフロー管315の上端からその内部に流れ込み、熱媒導出配管316を通じて外部に導出される。なお、本実施形態では、伝熱管313、熱媒導入配管314、熱媒オーバーフロー管315、および熱媒導出配管316は、底板311に固定されている。かかる構成によれば、覆いとなっているハウジング312を底板311から取り外すだけで伝熱管313を内蔵した全ての構成物が直接点検整備できる。
【0027】
気化ユニット3において蒸発気化された天然ガスは、配管ユニット2のガス用配管22に導入される。ガス用配管22内を天然ガスが通過する際に、当該天然ガスの温度が温度計223によって測定される。この測定温度に応じて、LNG用配管21に設けられた緊急遮断弁212の開閉が決定される。ここで、天然ガスの温度が、例えば0℃以上に上昇していない場合には、気化器31での熱媒による加熱が充分でないことから緊急遮断弁212を閉止し、気化ユニット3へのLNGの導入を停止する。そして、ガス用配管22内を流れる天然ガスは、2つの分岐ラインのいずれかを通過し、ガス圧力調整弁225a,225bのいずれかによって所望の圧力に調整されたうえで、供給先へ送られる。供給先へ供給されるガス量は、流量計226によって測定管理される。
【0028】
気化ユニット3の据え付けに際しては、例えばコンクリートに埋設された基礎ボルトを用いて行う。図2〜図4に示すように、気化器31の下部には据え付け用の脚319が設けられており、これら脚319の下端が、互いに離間して埋設された複数の基礎ボルト(図示略)によって固定される。
【0029】
上記した貯槽ユニット1、配管ユニット2、および気化ユニット3は、それぞれ製作工場内で前もって組み立てられており、ユニット化された状態で据え付け場所まで搬送される。貯槽ユニット1の組み立ては、例えば、以下の手順によって行われる。
【0030】
本実施形態では、貯槽ユニット1の組み立ては、型材を用いて行う。型材は、貯槽ユニット1の製作に際しては、据え付け場所における貯槽ユニット1固定用の複数の基礎ボルトに対応する2箇所以上の基礎ボルト基準位置と、配管ユニット2との接続用のLNG導出配管13を取り付けるための接続用配管基準位置とを規定するためのものである。
【0031】
図5〜図7は、そのような型材の一例を示す。本実施形態において、型材4は、チャンネル部材や鋼板などの鋼材を溶接やボルト締結などの手法によって適宜連結したものであり、第1型材部41、第2型材部42、および第3型材部43を備えている。第1型材部41は、長手状のチャンネル部材の両端において、貯槽ユニット1の基礎ボルト基準位置を規定する2つの孔41aを有する。第2型材部42は、金属プレートからなり、厚み方向の両側に凹溝42a,42bが形成されている。凹溝42aは、接続用配管基準位置を規定するものであり、LNG導出配管13のフランジ13aと同程度のサイズとされ、当該フランジ13aを嵌入可能となっている。凹溝42bは、配管ユニット2のLNG用配管21のフランジ21aと同程度のサイズとされ、当該フランジを嵌入可能となっている。第3型材部43は、配管ユニット2の架台23の2箇所における高さ位置を規定するものであり、上下方向に所定の長さを有する。上記第1ないし第3型材部41,42,43は、たとえばボルト締結によって連結されており、図8に示すように、互いに分解可能となっている。
【0032】
貯槽ユニット1を製作する際には、上記構成の型材4を用いて、基礎ボルト基準位置および接続用配管基準位置の位置決めを行う。具体的には、図11によく表れているように、貯槽12に設けられる4本の脚12aのうち、2本の脚12aの下端プレートにおける基礎ボルト取付孔12bを、型材4の孔41aを基準に位置合わせしつつ形成する。貯槽12に対するLNG導出配管13の取り付け作業は、図9および図10に表れているように、型材4の凹溝42aにLNG導出配管13のフランジ13aを嵌入させ、位置合わせしつつ行う。このようにして、貯槽ユニット1の組み立て時に、基礎ボルト取付孔12b(基礎ボルト基準位置)およびLNG導出配管13(接続配管用基準位置)の位置決めを行う。なお、型材4を用いた製作工場内での貯槽ユニット1の組み立て作業は、高さの高い貯槽12を横倒しにした姿勢で行うことができる。また、貯槽ユニット1の組み立てに際しては、型材4の第1および第2型材部41,42だけを用いて行うことができる。
【0033】
配管ユニット2を組み立てる際には、型材4を用いて、LNG用配管21の貯槽ユニット1側の接続フランジ21aの位置決めを行う(図9および図10参照)。これにより、架台23から所定の距離だけ離れた位置(高さ方向位置および水平方向位置)にLNG用配管21のフランジ21aが所定の姿勢で組み付けられる。
【0034】
配管ユニット2におけるLNG用配管21およびガス用配管22の適所は、例えば図12に示される支持体24を介して架台23に支持されている。支持体24は、架台23に固定される固定金具241と、この固定金具241に連結される支持部材242と、支持部材242に取りつけられるUボルト243とを備える。図13に示すように、固定金具241には、一対のボルト孔241aが上下に離間して形成されている。支持部材242の下部には、上記一対のボルト孔241aに対応する一対の長孔242aが上下に延びて形成されており、支持部材242は、対応するボルト孔241aおよび長孔242aに共通して挿通させられたボルト244によって固定金具241に連結されている。これにより、支持部材242は、固定金具241に対して一定範囲で高さ方向の位置を変更可能となっている。
【0035】
支持部材242の上部には、Uボルト243の一対のねじ部243aに対応する一対の長孔242bが、一対のねじ部243aが並ぶ方向に延びて形成されている。これにより、Uボルト243は、支持部材242に対して一定範囲で水平方向の位置を変更可能となっている。そして、LNG用配管21(ガス用配管22)は、上記構成の支持部材242およびUボルト243の間に挟まれて固定される。したがって、配管ユニット2に組み込まれたLNG用配管21(ガス用配管22)については、固定金具241に対する支持部材242の取付位置と、支持部材242に対するUボルト243の取付位置とをそれぞれ変更することにより、高さ方向および水平方向の位置を調整することができる。このような構成の支持体24は、LNG用配管21およびガス用配管22の高さ方向および水平方向の位置を調整する位置調整機構として機能する。なお、図12および図13以外の図面においては、支持体24の記載を省略している。
【0036】
一方、上記した型材4は、貯槽ユニット1の据え付け場所において、基礎ボルトの取り付け位置を規定するために用いられる。例えば図9〜図11を参照すると理解されるように、型材4を用いて基礎ボルト(図示略)の取り付け位置を決定し、その後コンクリートを打設することにより、基礎ボルトは、位置決めされた状態でコンクリートに埋設される。
【0037】
なお、詳細な図示説明は省略するが、気化ユニット3を組み立てる際には、気化ユニット用の型材(上記の型材4とは異なる)を用いる。この気化ユニット用の型材は、据え付け場所における気化ユニット3固定用の複数の基礎ボルトに対応する2箇所以上の基礎ボルト基準位置と、配管ユニット2との接続用のLNG導入配管32を取り付けるための接続用配管基準位置とを規定するためのものである。
【0038】
本実施形態のLNGサテライト設備Xにおいて、貯槽ユニット1、配管ユニット2、および気化ユニット3は、製作工場内で前もってユニット化された状態にて、屋外の据え付け場所まで搬送され、設置固定される。このため、LNGサテライト設備Xに必要なほぼすべての配管が、3つのユニット1,2,3内で前もって組み立てられており、配管類の耐圧試験、気密試験等を製作工場内で済ませることができる。したがって、現地での貯槽ユニット1、配管ユニット2、および気化ユニット3の据え付け時には、配管ユニット2の所定の配管を貯槽ユニット1と気化ユニット3とにフランジ接続するだけでよく、短期間で容易にLNGサテライト設備Xを設置することができる。また、本実施形態によれば、据え付け現場では溶接作業が不要であるので、LNGサテライト設備Xの据え付けに際して天候の影響を受け難い。このことは、LNGサテライト設備Xの設置期間を短縮するうえで好ましい。
【0039】
配管ユニット2において、LNG用配管21およびガス用配管22は、2段式の架台23に組み込まれている。このため、配管ユニット2として必要な配管およびそれに付属する機器(例えば、安全弁211,221、緊急遮断弁212、ガス圧力調整弁225a,225bなど)は、架台23によって形成された立体空間に効率よく配置することが可能であり、その結果、配管ユニット2の設置面積を小さくすることができる。このことは、LNGサテライト設備Xのコンパクト化に資する。
【0040】
配管ユニット2において、架台23の下段部23Aと上段部23Bとの間には板材231が設けられており、LNG用配管21は、下段部23Aに配置されている。LNG用配管21は、高圧ガス保安法による検査対象の配管であり、管理・検査基準が決められている。本実施形態では、LNG用配管21を下段部23Aに配置することによって、このLNG用配管21の上方にある板材231が屋根のような役割を果たし、例えば積雪があってもその荷重がLNG用配管21に作用することはない。また、下段部23Aに配置されたLNG用配管21は、上方に位置する板材231によって日光や風雨に直接晒されにくく、劣化防止の観点においても好ましい。
【0041】
上記のような型材4を据え付け場所で事前に用いることにより、貯槽ユニット1の現地での据え付け時には、貯槽ユニット1を据え付け場所に直接仮配置することなく、2箇所以上の基礎ボルトの位置およびLNG導出配管13の位置が正確に規定される。これにより、貯槽ユニット1を所望の位置(高さ方向位置および水平方向位置)に正確に設置することができる。
【0042】
貯槽ユニット1に隣接する配管ユニット2については、上記の型材4を用いることにより、現地での据え付け時には、架台23の高さ位置がほぼ正確に規定される。そして、図10に示すように、基礎コンクリートの上面と架台23との隙間に薄板25を差し込んで架台23の高さ調整を行うことにより、配管ユニット2の高さ位置を正確に決めることができる。
【0043】
また、図9および図11から理解されるように、LNG導出配管13およびLNG用配管21のフランジ位置を規定するための凹溝42a,42bを有する型材4を用いて貯槽ユニット1および配管ユニット2を組み立てたため、据え付け場所において、LNG導出配管13のフランジ13aの位置とLNG用配管21のフランジ21aの位置とは、ほぼ合致する。これにより、貯槽ユニット1と配管ユニット2との現地での接続を簡単に精度よく行うことが可能となる。
【0044】
図12および図13を参照して上述したように、配管ユニット2におけるLNG用配管21およびガス用配管22は、高さ方向および水平方向の位置調整が可能とされている。これにより、配管ユニット2と貯槽ユニット1との現地での接続、あるいは配管ユニット2と気化ユニット3との現地での接続の際に、配管位置の微調整を行うことができ、これらユニット1,2,3の相互間を適切かつ迅速に接続することができる。
【0045】
以上、本発明の具体的な実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の思想から逸脱しない範囲内で種々な変更が可能である。本発明に係るLNGサテライト設備の各部の具体的な構成については、上記実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0046】
X LNGサテライト設備
1 貯槽ユニット
12 貯槽
13 LNG導出配管
2 配管ユニット
21 LNG用配管
22 ガス用配管
23 架台
23A 下段部
23B 上段部
24 支持体
3 気化ユニット
31 気化器
32 LNG導入配管
33 ガス導出配管
4 型材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化天然ガスを貯蔵する貯槽ユニットと、
液化天然ガスを気化する気化ユニットと、
下段部および上段部を有する2段式の架台、上記下段部に配置され、上記貯槽ユニットから上記気化ユニットに液化天然ガスを移送するLNG用配管、および、上記上段部に配置され、上記気化ユニットから導出されるガスを通すガス用配管、を有する配管ユニットと、を備え、
上記貯槽ユニット、上記気化ユニット、および上記配管ユニットが所定の据え付け場所に設置される、LNGサテライト設備。
【請求項2】
上記貯槽ユニットは、液化天然ガスを貯蔵するための貯槽と、端部が上記LNG用配管の一端部に接続され、上記貯槽内の液化天然ガスを上記貯槽の外部に導出するLNG導出配管と、を備え、
上記気化ユニットは、液化天然ガスを気化するための気化器と、端部が上記LNG用配管の他端部に接続され、上記気化器内に液化天然ガスを導入するためのLNG導入配管と、端部が上記ガス用配管に接続され、上記気化器を経て気化されたガスを上記気化器の外部に導出するガス導出配管と、を備える、請求項1に記載のLNGサテライト設備。
【請求項3】
上記貯槽ユニット、上記気化ユニット、および上記配管ユニットは、前もって組み立てられた状態で据え付け場所に搬送され、接続する配管どうしが互いにフランジ接続される、請求項2に記載のLNGサテライト設備。
【請求項4】
上記貯槽ユニット、上記気化ユニット、および上記配管ユニットのうち少なくともいずれか1つは、当該ユニットの据え付け場所において互いに離間して埋設される複数の基礎ボルトに対応する2箇所以上の基礎ボルト基準位置と、当該ユニットにおいて他のユニットとの接続用の配管を取り付けるための接続用配管基準位置と、を規定する型材を用いて、上記基礎ボルト基準位置および上記接続用配管基準位置の位置決めを組み立て時に行う、請求項3に記載のLNGサテライト設備。
【請求項5】
上記配管ユニットにおける配管は、支持体を介して上記架台に支持されており、
上記支持体は、上記配管の高さ方向および水平方向の位置を調整する位置調整機構を有する、請求項1ないし4のいずれかに記載のLNGサテライト設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−92184(P2013−92184A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233784(P2011−233784)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000195661)住友精化株式会社 (352)
【Fターム(参考)】