説明

LNGタンク用警報装置

【課題】警報が頻発することを防止したLNGタンク用警報装置を提供する。
【解決手段】液化天然ガスを貯蔵するLNGタンク5内における液化天然ガスの液位レベルを計測するレベル計10、12と、レベル計10、12の測定結果が、予め設定された基準レベルを越えた場合に警報出力を行う警報接点部20と、警報接点部20の警報出力に基づいて警報を発生する警報器30とを備えたLNGタンク用警報装置1において、警報接点部20と警報器30との間に、警報接点部20が警報出力を行っている状態が特定時間継続した場合に、警報器30に警報出力を供給するタイマーリレー部22を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LNGタンク内に貯蔵される液化天然ガス(LNG)の液位レベルが異常レベルである場合に警報を発生するLNGタンク用警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、LNGタンク内の液化天然ガスの液位レベルを検出するレベル計としては、静電容量式(所謂、C式)レベル計、あるいはフロート式(所謂、D式)レベル計が用いられている。そして、レベル計の測定結果が予め設定した基準レベルを越えた場合に、音声あるいはランプ表示による警報を発生している。具体的には、基準レベルとして、正常範囲の液位レベルにおける下限の液位レベル、この下限の液位レベルよりさらに低い液位レベル、正常範囲の液位レベルにおける上限の液位レベルが設定されている。そして、レベル計の測定結果が、正常範囲の液位レベルにおける下限の液位レベルより低い場合(LNGタンクレベル低)、この下限の液位レベルよりさらに低い場合(LNGタンクレベル異常低)、正常範囲の液位レベルにおける上限の液位レベルより高い場合(LNGタンクレベル高)に警報を発生している。
【0003】
また、従来のこの種の技術としては、特許文献1に記載された技術がある。特許文献1によれば、LNG受入作業中に、異常を来たした場合には、各所に設置された警報装置が作動して、計器室の計測制御システムにおける監視用CRTによって異常を警報するとともに、スピーカーによって音声で警告することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−239289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、大型LNG船によって運搬されたLNGを、LNGタンク(例えば、高さ30,000mmのタンク)に受入れる場合、LNGタンク内のLNGを、LNGタンクレベル低(例えば、2,500mm)及びLNGタンクレベル異常低(例えば、2,000mm)以下、すなわち、基準レベル以下まで払い出さなければならない。このため、LNGタンクレベル低及びLNGタンクレベル異常低の警報が必ず発生する。また、LNGの受入後には、LNGタンクレベル高(27,000mm)の基準レベル以上になる場合がある。このため、LNGタンクレベル高の警報が発生する場合がある。そして、警報が発生した場合には、警報をリセットするといった操作が行われる。
【0006】
しかし、LNGタンクレベル低、LNGタンクレベル異常低、LNGタンクレベル高の警報が発生する際、基準レベルの付近でレベル計の測定結果が上下することによって、警報接点のオン、オフを繰り返し、警報が頻発するという問題点がある。これにより、警報を何回もリセット作業を行う必要が生じるおそれがある。また、音声による警報の場合には、警報が頻発することによって他の警報が聞き取りにくくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような問題点を解決し、警報が頻発することを防止したLNGタンク用警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明は、次に記載する構成を備えている。
【0009】
(1) 液化天然ガスを貯蔵するタンク内における液化天然ガスの液位レベルを計測するレベル計測手段と、当該レベル計測手段の測定結果が、予め設定された基準レベルを越えた場合に警報出力を行う警報出力手段と、当該警報出力手段の警報出力に基づいて警報を発生する警報手段とを備えたLNGタンク用警報装置において、前記警報出力手段と前記警報手段の間に、前記警報出力手段が警報出力を行っている状態が特定時間継続した場合に、前記警報手段に警報出力を供給するタイマーリレーを設けたことを特徴とするLNGタンク用警報装置。
【0010】
(1)によれば、レベル計測手段による測定結果が、予め設定された基準レベル付近で変動して、警報出力手段の警報出力が断続してオン、オフする場合がある。この場合に、タイマーリレーは、警報出力手段がオンになってから特定時間においてオン状態が維持された場合に、特定時間だけ遅れて警報出力を発生し、警報手段に供給する。これにより、警報手段において警報が頻発することが防止できる。
【0011】
(2) (1)において、前記基準レベルは、正常範囲として予め設定された液位レベルの範囲における最低レベル、正常範囲として予め設定された液位レベルの範囲における最高レベル、及び前記最低レベルよりも低く設定された異常レベルを有することを特徴とするLNGタンク用警報装置。
【0012】
(2)によれば、LNGタンクの液位レベルが、最低レベル(LNGタンクレベル低)、異常レベル(LNGタンクレベル異常低)及び最高レベル(LNGタンクレベル高)の場合に警報を発生させることが可能になる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、警報が頻発することを防止したLNGタンク用警報装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態におけるLNGタンク用警報装置の概要を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る警報接点部及びタイマーリレー部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態におけるLNGタンク用警報装置の概要を示す説明図である。LNGタンク用警報装置1は、静電容量式(C式)レベル計10、フロート式(D式)レベル計12、警報接点部20、タイマーリレー部22、及び警報器30によって構成されている。
【0017】
静電容量式レベル計10及びフロート式レベル計12は、LNGタンク5に設けられ、LNGタンク5内に貯蔵されたLNGの液位レベルを計測するものである。静電容量式レベル計10は、フロート式レベル計12に比較して精度のよい測定を行うことが可能である。その一方で、フロート式レベル計12は、被測定物(ここでは、LNG)の電気的な影響を受けないという利点がある。
【0018】
警報接点部20は、静電容量式レベル計10及びフロート式レベル計12の測定結果が基準レベルを越えたか否かに応じてオン、オフする複数の警報接点20a〜20e(図2参照)を備えている。本実施形態においては、基準レベルとして、正常範囲として予め設定された液位レベルの範囲における最低レベルであるLNGタンクレベル低、最高レベルであるLNGタンクレベル高、及び最低レベルよりも低く設定された異常レベルであるLNGタンクレベル異常低の3種類が設定されている。より具体的には、LNGタンク5の高さが30,000mm、液位レベルの正常範囲が2,500mm以上27,000mm以下であり、LNGタンクレベル低は2,500mm、LNGタンクレベル高は27,000mm、LNGタンクレベル異常低は2,000mmに設定されている。そして、警報接点20a〜20e(図2参照)のいずれかがオンになると、警報出力が、タイマーリレー部22に供給される。タイマーリレー部22は、警報接点がオンになった状態が特定時間(本実施形態では、10秒間)維持された場合に、警報出力を行う。すなわち、タイマーリレー部22は、警報接点部20からの警報出力を、特定時間だけ遅延させて出力するものである。
【0019】
警報器30は、タイマーリレー部22から警報出力が供給された場合に、警報を発生する。例えば、スピーカーを用いた音声による警報告知や、表示ランプを用いた視覚による警報告知が行われる。警報器30は制御室40内に設置されている。なお、制御室40内には、別のLNGタンク5に設けられたLNGタンク用警報装置1の警報器30や他の施設の警報器などが設置されており、作業員は、制御室40内の警報器によって、異常発生あるいは異常発生前の状態であること等を知ることができる。
【0020】
図2は、本発明の一実施形態に係る警報接点部20及びタイマーリレー部22の構成を示すブロック図である。警報接点部20は、静電容量式レベル計10に接続される3つの警報接点20a、20b、20cと、フロート式レベル計12に接続される2つの警報接点20d、20eとを備えている。警報接点20a及び警報接点20dは、LNGタンクレベル低の場合、すなわち液位レベルが2,500mmより低くなった場合にオンになる。警報接点20bは、LNGタンクレベル異常低の場合、すなわち液位レベルが2,000mmより低くなった場合にオンになる。警報接点20c及び警報接点20eは、LNGタンクレベル高の場合、すなわち液位レベルが27,000mmより高くなった場合にオンになる。
【0021】
タイマーリレー部22は、5つのタイマーリレー22a〜22eを備えている。ここで、5つのタイマーリレー22a〜22eは全て同じものである。警報接点20aにはタイマーリレー22aが接続されている。同様に、警報接点20bにはタイマーリレー22b、警報接点20cにはタイマーリレー22c、警報接点20dにはタイマーリレー22d、警報接点20eにはタイマーリレー22eが接続されている。
【0022】
次に、動作について説明する。例えば、静電容量式レベル計10が、例えば、2,499mmを計測した場合には、警報接点20aがオンになり、タイマーリレー22aに警報出力が供給される。タイマーリレー22aは、警報出力が10秒間連続して供給された場合に、警報出力を供給する。すなわち、警報接点20aがオンになった時点から10秒遅れてタイマーリレー22aから警報器30に警報出力が供給される。これにより、制御室40の警報器30が作動して、作業員は、LNGタンク5内に貯蔵されたLNGの液位レベルが、LNGタンクレベル低になったことを知ることができる。
【0023】
また、警報接点20aがオンになった時点から10秒経過する前に、静電容量式レベル計10が、例えば、2,501mmを計測した場合には、警報接点20aがオフになり、タイマーリレー22aはリセットされる。このため、リセット後のタイマーリレー22aは、次に警報接点20aがオンになった時点から10秒間連続して供給された場合に、警報出力を供給するようになる。他のタイマーリレー22b〜22eについても同様であり、警報接点20b〜20eがオンになった状態、すなわち警報出力を供給している状態が10秒間連続した場合には、タイマーリレー22b〜22eから警報器30に警報出力が供給される。また、警報接点20b〜20eがオンになってから10秒経過する前にオフになった場合には、タイマーリレー22b〜22eはリセットされる。
【0024】
ここで、LNGタンク5内の液位レベルの変動傾向を調べたところ、液位レベルは急激に変動することがないことが分かった。したがって、静電容量式レベル計10及びフロート式レベル計12の測定結果が、基準レベル付近を上下する状態となる期間は短いと推定可能であることから、タイマーリレー22a〜22eを用いても問題がないことが分かった。また、本実施形態におけるタイマーリレー22の設定は、警報実績におけるオンからオフまでの最大時間が5秒であったことから、裕度5秒を加えた10秒を特定時間として設定している。なお、この設定は一例であって、本発明はこれに限るものではない。すなわち、特定時間(遅延時間)の設定については、LNGタンク内の液位レベルの変動傾向に応じて適宜設定可能である。また、本実施形態においては、タイマーリレー22a〜22eを全て同じとしたが、基準レベルの種類に応じて異なる設定としてもよい。さらに、制御室40によるオペレータ操作によって、タイマーリレー22a〜22eに設定される特定時間を変更することができるように、タイマーリレー22a〜22eの回路を構成してもよい。
【0025】
以上、説明したように、本実施形態によれば、静電容量式レベル計10及びフロート式レベル計12の測定結果が、予め設定された基準レベル付近で変動して、警報接点部20からの警報出力が断続してオン、オフする場合がある。この場合に、タイマーリレー部22は、警報接点部20がオンになって警報出力が供給されている状態が特定時間(例えば、10秒間)維持された場合に、特定時間だけ遅れて警報出力を発生し、警報器30に供給する。これにより、警報接点部20の警報出力が断続してオン、オフしても、警報器30において警報が頻発することが防止できる。
【0026】
また、警報が頻発する場合には、警報をリセットする操作に慣れが生じ、作業員の注意意識が低下するおそれがある。それに対して、本実施形態によれば、警報器30において警報が頻発することが防止できるため、作業員の注意意識の低下を防止することができる。
【0027】
また、警報が頻発する場合には、他の警報と同時に発生することもあり得るため、他の警報を確認しにくくなるおそれがある。それに対して、本実施形態によれば、警報器30において警報が頻発することが防止できるため、他の警報の確認漏れを防止することが可能になる。
【符号の説明】
【0028】
1 タンク用警報装置
5 LNGタンク
10 静電容量式レベル計
12 フロート式レベル計
20 警報接点部
20a、20b、20c、20d、20e 警報接点
22 タイマーリレー部
22a、22b、22c、22d、22e タイマーリレー
30 警報器
40 制御室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化天然ガスを貯蔵するタンク内における液化天然ガスの液位レベルを計測するレベル計測手段と、
当該レベル計測手段の測定結果が、予め設定された基準レベルを越えた場合に警報出力を行う警報出力手段と、
当該警報出力手段の警報出力に基づいて警報を発生する警報手段とを備えたLNGタンク用警報装置において、
前記警報出力手段と前記警報手段の間に、前記警報出力手段が警報出力を行っている状態が特定時間継続した場合に、前記警報手段に警報出力を供給するタイマーリレーを設けたことをLNGタンク用警報装置。
【請求項2】
前記基準レベルは、正常範囲として予め設定された液位レベルの範囲における最低レベル、正常範囲として予め設定された液位レベルの範囲における最高レベル、及び前記最低レベルよりも低く設定された異常レベルを有することを特徴とする請求項1記載のLNGタンク用警報装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−196417(P2011−196417A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−61768(P2010−61768)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】