説明

LNG再ガス化設備における高エタン回収率の構成および方法

LNGは、LNG供給の冷凍容量が使用されて還流デューティを脱メタン装置に提供し、脱メタン装置オーバヘッド生成物の気相をさらに凝縮するように想定されたプラントおよび方法で処理される。このようなプラントにおいて、脱メタン装置は底部生成物を脱エタン装置に提供し、脱メタン装置側面抽出は脱エタン装置オーバヘッド生成物に冷凍提供し、エタン生成物と脱エタン装置還流を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2006年5月23日に出願された本出願人による同時係属中の米国仮特許出願第60/808091号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明の分野は、ガス処理であり、特に、これが液化天然ガスの再ガス化ならびに/またはC2およびC3と成分との回収に関係するときのガス処理である。
【背景技術】
【0003】
北米の天然ガス資源が枯渇している中で、効率の悪い石油および石炭火力発電所を、主として効率が良くよりクリーンな燃焼天然ガスの複合サイクル発電所で置き換えることによって天然ガスの消費量は増加している。さらに、国内天然ガスの枯渇は天然ガス液(NGL)生産の減少をもたらし、したがって、液化天然ガス(LNG)の輸入が北米において不可欠であると考えられている。
【0004】
多くの外国のLNG輸出および液化プラントにおいて、極低温液化交換器におけるワックス形成を回避するために、ペンタン、ヘキサン、および比較的重質な炭化水素の除去が必要とされる。しかし、エタンおよびLPG成分(C2、およびC3/C4+)は、典型的には、除去されずにメタン成分とともに液化され、かなり高い総発熱量を有するLNGとなる。大西洋、太平洋、および中東におけるいくつものLNG輸出プラントからのLNGの例示的な発熱量が図1に示される。発熱量が高いことは非メタン成分の割合が高いことを示しており、このようなLNGに関する化学組成(メタン、エタン、プロパン、ブタン、および比較的重質な成分)が図2に示される。
【0005】
多くの輸入LNGにおいて、エタンの含有量は、典型的には、約4%〜約12%の範囲にあり、プロパンおよび比較的重質な炭化水素の含有量は約3%〜約6%の範囲にある。しかし、少なくとも一部のLNGにおいて(図2参照)、著しく高いエタン、プロパン、および比較的重質な炭化水素が見られる。したがって、LNGの輸入は、産業用需要を満たすための、受入基地において抽出され得るエタン、プロパン、および比較的重質な炭化水素の魅力的な代替LNGを提供するものである。しかし、NGL(すなわち、C2、C3、およびそれ以上)の除去に関する知られているプロセスの多くはLNGにおける冷凍容量(refrigeraton content)を有効に利用しておらず、このようなプロセスのエタンおよびプロパンの回収率は比較的低い。たとえば、一部のプロセスは、フラッシュドラムでLNGを蒸発させ、低圧で動作する脱メタン装置でLNGを取り出すことによって稼動するが(このとき、フラッシュ蒸気および/または脱メタン装置オーバヘッドはパイプライン圧力まで圧縮される)、他のプロセスにおいて、脱メタン装置蒸気は、圧縮力をある程度まで低減する冷却液として入口LNGを使用して再凝縮され得るように中間圧まで圧縮される。McCartneyに付与された米国特許第6,564,579号には、例示的な再ガス化のプロセスおよび構成が記載されている。あいにく、このような知られているプロセスは、典型的には、50%のエタン回収用と50%〜80%のプロパン回収用に設計されている。さらに、パイプライン圧力を満たし、あるいは再凝縮用の中間圧を実現する蒸気圧縮は、エネルギー効率が悪く高価であることが多い。
【0006】
LNG処理用の著しく効果的なプラントと方法が出願番号PCT/US05/22880(WO2006/004723)を有する本出願人による同時係属中の国際特許出願に記載されており、これは参照により本明細書に組み込まれる。ここでは、供給交換器におけるLNG冷凍容量を利用することによって比較的高い分離効率が実現される。このようなプラントにおいて、脱メタン装置オーバヘッドはLNG冷熱を使用して部分的に凝縮され、気相と液相に分離され、液相は脱メタン装置還流として使用され、気相はLNG冷熱を使用して液化される。パイプライン圧力までポンピングされると、液化された気相は蒸発される。ただし、このような構成は、実質的に改良されたエネルギー効率を提供して比較的高いエタン回収率を可能にするものの、典型的には、エタン回収率はなお80%に制限される。したがって、特に、輸入LNGに高いエタン含有量が存在し、かつさらに高いエタン回収率が望まれる場合、このようなプラントは典型的には適していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
その結果として、LNG再ガス化とNGL回収に関する多数のプロセスと構成が当技術分野において既知であるが、そのほとんどに1つまたは複数の欠点がある。なかでも、知られているNGL回収プロセスの多くは、エネルギー効率が悪く一般に低いNGL回収レベルを有する蒸気圧縮を必要とする。さらに、知られているプロセスは、95%以上の純度の高いメタンを生産するが、高いNGL回収率(たとえば、90%以上のエタンおよび99%以上のプロパン)にも適していない。それゆえ、LNG再ガス化設備におけるNGL回収にはやはり改良された構成と方法を提供する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、エタンおよびプロパンが高いエネルギー効率と非常に高い収量で回収されるLNGを処理する構成と方法を対象とする。典型的な構成において、エタン回収率は少なくとも90%であり、さらに典型的には95%であり残留ガスの再圧縮を必要としない。このようなプラントにおけるプロパンプラスの回収率は、典型的に99%以上である。いくつかあるパラメータの中でも、このような高い効率と収量は、脱エタン装置オーバヘッドと脱メタン装置還流を冷却する供給交換器と側部リボイラー/側面抽出におけるLNGの冷凍容量の有効利用によるものである。
【0009】
本発明の主題の一態様において、LNG処理プラントは、脱メタン装置が脱エタン装置に底部生成物を提供するように還流脱エタン装置に流体的に結合された還流脱メタン装置を有する。このとき、熱交換回路が脱メタン装置に結合され、脱メタン装置の側面抽出を使用して脱エタン装置オーバヘッド生成物を凝縮し、これによって脱エタン装置への還流とエタン液を提供するように構成される。供給交換器が、還流脱メタン装置に流体的に結合され、さらに、脱メタン装置オーバヘッド生成物と、脱メタン装置オーバヘッド生成物の蒸気部分を液化するのに十分な量の脱エタン装置オーバヘッド生成物の蒸気部分に冷凍を提供するように構成される。
【0010】
別の視点から見ると、LNGの処理方法は、したがって、還流脱メタン装置から還流脱エタン装置に底部生成物を提供するステップを含み、熱交換回路の脱メタン装置の側面抽出を使用して脱エタン装置オーバヘッド生成物を凝縮し、これによって脱エタン装置への還流およびエタン液を形成するさらなるステップを含む。さらに別のステップにおいて、冷凍は、脱メタン装置オーバヘッド生成物への供給交換器と、脱メタン装置オーバヘッド生成物の蒸気部分を液化するのに十分な量の脱メタン装置オーバヘッド生成物の蒸気部分とに提供される。
【0011】
最も好ましくは、熱交換回路は冷凍容量を脱エタン装置オーバヘッド生成物に提供し、これによって脱エタン装置オーバヘッド生成物を液化する脱メタン装置側部リボイラーを備える。このような構成において、サージドラムが典型的に液化脱エタン装置オーバヘッド生成物を受け入れるように構成され、さらに典型的に、液化された脱エタン装置オーバヘッド生成物の少なくとも一部を還流として脱エタン装置に提供するように構成される。あるいは、熱交換回路は、脱エタン装置頂部に一体型コイル(integral coil)をさらに備えてもよく、コイルは脱メタン装置から側面抽出を受け入れ、これによって冷凍容量を脱エタン装置オーバヘッド生成物に提供し、したがって、脱エタン装置オーバヘッド生成物を液化する。熱交換回路は、回路の特性とは関係なく、脱エタン装置オーバヘッド温度が−25°F〜−35°Fであるように構成されることが好ましい。
【0012】
脱エタン装置に関して、脱エタン装置は80psig〜150psig(約0.55MPa〜約1.03MPa)の圧力および/または−25°F〜−35°Fのオーバヘッド温度で動作するように構成されることが好ましい。多くのプラントにおいて、脱メタン装置オーバヘッド生成物を蒸気部分と液体部分に分離する分離装置が含まれ、分離装置は、液体部分が脱メタン装置の還流として脱メタン装置に供給されるように脱メタン装置に流体的に結合される。典型的には、ポンプは供給交換器に流体的に結合されて、脱メタン装置オーバヘッド生成物の液化された蒸気部分をパイプライン圧力までポンピングし、供給交換器と熱交換回路は少なくとも95%のエタン回収率と少なくとも99%のメタン純度を可能にするように構成される。
【0013】
本発明の様々な目的、特徴、態様、および利点は、本発明の好ましい実施形態についての以下の詳細な説明からさらに明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】大西洋、太平洋、および中東における様々な輸出プラントからのLNGの発熱量の略図である。
【図2】図1の供給元からのLNGの化学組成の略図である。
【図3】本発明の主題によるLNG処理プラントの例示的な略図である。
【図4】図3の供給ガス交換器と脱エタン装置還流交換器の複合曲線を示すグラフである。
【図5】本発明の主題による他のLNG処理プラントの例示的な略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、エタンの約95%とプロパンの約99%とがLNG(典型的に輸入LNG)から回収され、99%以上のメタンを有する処理されたLNGを生産するLNG処理の構成と方法を対象とする。このように生成されて処理されたLNGは、この後、販売ガスパイプラインに向けてさらに加圧されて再ガス化される。好ましくは、LNGの処理は、冷却にLNG冷熱を使用して還流脱メタン装置で行なわれる。処理は、脱エタン装置を還流する脱メタン装置側部リボイラーデューティを使用する還流脱エタン装置をさらに含むことが好ましい。
【0016】
したがって、LNGは、冷凍容量の極低温部(すなわち、−250°F〜−140°F)を輸入LNGに最大限に利用する方法で処理され得ることを認識されたい。さらに具体的には、本発明者は、LNG流が所望の圧力までポンピングされた後に脱メタン装置における還流冷却と脱メタン装置還流ドラム蒸気の再液化の両方を供給するために使用され得る一方で、脱メタン装置側部リボイラーが脱エタン装置に還流を供給するために採用されること発見している。最も典型的には、別の視点から見ると、ポンピングされたLNG流は、脱メタン装置で処理され、これによって、ポンピングされたLNGによって冷却される流れを形成する。このような構成は、輸入LNGから少なくとも95%のエタンと少なくとも99%のプロパンを生成物として回収する間に、メタン純度が99%の処理された希薄LNGを供給し得る。
【0017】
さらに具体的には、図3の例示的なプラントをさらに参照すると、プラントへのLNGの流量は天然ガスの2,000MMscfdに等しい。表1に示される典型的なガス組成(別段の指示がない限り、表内のすべての数字はモル分率として表わされる)を有する濃縮LNG流1は、約80〜100psia(約0.55〜約0.69MPa)以上の圧力と約−250°Fの温度で貯蔵タンクまたは蒸気再凝縮器(または他の適当なLNG源)から提供される。流れ1は、LNGポンプ51によって、適当な圧力、典型的には約300〜350psig(約2.07〜約2.41MPa)から約750psig(約5.17MPa)(パワーを発生する構成(power−producing configuration)が採用される場合は、最大1500psig(約10.34MPa)までのさらに高い圧力、およびときには1500psig(約10.34MPa)以上が採用されてもよい)の圧力までポンピングされて流れ2を形成し、流れ2は、加熱されて、脱メタン装置オーバヘッド流4と還流ドラム蒸気流10との熱交換によって交換器52において部分的に蒸発される。約−125°F〜−145°Fの交換器出口流3は、脱メタン装置57の上部に供給される。脱メタン装置57は、メタン純度が典型的に97%〜99%の希薄オーバヘッド蒸気4を生成し、エタンの95%とプロパン含有量の99%以上を輸入LNGから回収する。
【表1】

【0018】
脱メタン装置57は、典型的に450psig〜550psig(約3.10MPa〜約3.79MPa)で動作する。圧力は、輸入LNG組成にしたがって調整され、一般に、輸入LNGの発熱量とともに上昇して供給チラー52における温度ピンチを回避する(図4参照)。側部リボイラー58は、脱メタン装置の下部から側面流18を取り出し、脱エタン装置オーバヘッド流16を使用して加熱された流れ19を形成することによって、脱エタン装置61に還流冷却を提供するために使用されることに特に留意されたい。脱メタン装置底部の組成は、底部リボイラー59を使用して、約80°F〜120°Fで、流れ5の温度によって制御される。したがって、想定された構成の多くの態様において、脱メタン装置底部温度の設定点は、輸入LNGのエタンとプロパンの含有量とともに増加して95%のエタン回収率と99%のプロパン回収率を実現することになり、その間に底部生成物における低メタン含有量(典型的に1%以下)を維持することを特に理解されたい。脱メタン装置底部生成物5は、バルブ60を使用して約100〜250psig(約0.689〜約1.72MPa)に圧力低下されて、流れ15を形成し、脱エタン装置61の中間部に入る。
【0019】
脱メタン装置側部リボイラー冷却によって、脱エタン装置は約200psig〜約300psig(約1.38MPa〜約2.07MPa)、さらに好ましくは100psig〜200psig(約0.689MPa〜約1.38MPa)、最も好ましくは約80psig〜150psig(約0.551MPa〜約1.03MPa)(たとえば、約100psig(約0.689MPa)で)の圧力の圧力で動作し得るし、この値は従来の脱エタン装置の動作(典型的には約350psig(約2.41MPa))よりも著しく低いことを理解されたい。エタンとプロパンの相対揮発度は低圧において増加して分離を容易にするので、低圧はエネルギーコスト面から有利である。脱メタン装置側部リボイラー(約−50°F〜−80°F)を使用すると、脱エタン装置オーバヘッド温度は、約−40°F〜−20°F、さらに典型的には−30°F±5°Fまで低下され得るし、この値によって、脱エタンの動作圧力は典型的に100psig(約0.689MPa)まで低下し得る。分留効率は低圧において良くなるので、脱エタン装置圧力が低下すると、必然的に分留トレイとリボイラーデューティが少なくて済む。
【0020】
脱エタン装置オーバヘッド流61は、脱メタン装置の側部リボイラー58からの冷凍放出(refrigeration release)を利用して約−30°F〜−10°Fで典型的に完全に凝縮される。脱エタン装置オーバヘッドの凝縮流17は、サージドラム63に蓄えられる。部分(流れ20)は、脱エタン装置還流として流れ21を形成する還流ポンプ64によってポンピングされる。もう1つの部分(流れ7)は、液化エタン生成物として抽出される。また、脱エタン装置61は、リボイラー62(たとえば、熱源としてグリコール伝熱システムを使用して)によって供給される熱を用いて底部生成物の流れ8を生成する。
【0021】
典型的に圧力が約350psig〜550psig(約2.41MPa〜約3.79MPa)で温度が約−125°F〜−145°Fにある脱メタン装置のオーバヘッド4は、約−130°F〜−145°Fの温度の交換器52で部分的に凝縮される。このように生成される2段階の流れ9は、この後、分離装置53で95%以上のメタンを含有する液体流11と99%以上のメタンを含有する希薄蒸気流10とに分離される。液体流11は還流ポンプ54によってポンピングされ、低温希薄還流12として脱メタン装置57の最上部に戻される。分離装置蒸気流10は、さらに冷却されて交換器52で凝縮され、流れ6を形成する。
【0022】
オーバヘッド交換器52は、2つの機能を提供し、すなわち、エタンとプロパンの高い回収率を実現するとともに、分離装置の蒸気を液体がポンピング(蒸気圧縮ではなく)され得る液体に凝縮するために脱メタン装置に還流を提供し、したがって、エネルギー消費、資本、および運転コストを実質的に削減することを特に認識されたい。典型的に約−130°F〜約−145°Fの温度にある希薄液体流6は、パイプラインの伝達圧力に対して、必要に応じて、約1000psig〜1500psig(約6.891MPa〜約10.34MPa)までポンプ55でポンピングされる。加圧された希薄LNG流れ13は、気化器56でさらに加熱されて、約50°F、またはパイプライン要件を満たすのに必要な他の温度の流れ14を形成する。交換器59、62、および56用の適当な熱源は、すべての知られている熱源(たとえば、加熱炉、海水交換器などの直接熱源、またはグリコール伝熱システムなどの間接熱源)を含むことに留意されたい。主要なプロセスの流れの典型的なガス組成、流動温度、および圧力が表1に示されている。当然ではあるが、他の供給組成の場合は熱および物質収支がわずかに異なるはずであることを理解されたい。ただし、ガス組成が大幅に変更された場合でも本発明の主題の構成および/または利点は依然として変らないことに留意されたい。
【0023】
分留プロセスが高効率であることは、図4に描かれるような、供給ガス交換器52と脱エタン装置還流交換器58の複合曲線において理解され得る。放熱曲線と熱源曲線は、還流を発生する際に脱メタン装置オーバヘッドの凝縮で生じる温度ピンチと非常によく一致していることに留意されたい(このピンチを回避することによって、脱メタン装置の圧力は典型的に450psig〜650psig(約3.10MPa〜約4.50MPa)に調整されなければならないことになる)。このプロセスでは、LNGによる50%以上の冷却デューティが脱メタン装置還流ドラムオーバヘッド蒸気からの残留ガスの再液化において使用される。
【0024】
あるいは、脱メタン装置側部リボイラー58は、図5の第2の例示的なプラントの概略図に示されるように、脱エタン装置61の最上部に一体型コイルとして構成され得る。この構成において、流れ18は脱メタン装置57の下部から取り出され、ポンプ70によってポンピングされて脱エタン装置オーバヘッドカラムの最上部に一体化されている還流交換器58内を冷却する流れ16を提供する。加熱された流れ19は脱メタン装置に戻される。この流れは内部の還流21を提供し、エタン生成物は流れ7としてオーバヘッド系から取り出される。プラントの前部は図3の構成と同じであり、図5の部品の残りの符号に関して、図5の同種の部品は図3と同じ符号を有することに留意されたい。
【0025】
したがって、本発明の主題の好ましい態様において、LNG処理プラントは、熱交換器を通過する輸入LNGの冷凍容量の少なくとも一部が脱メタン装置還流に冷凍を提供し、さらに、脱メタン装置還流ドラムオーバヘッド生成物に凝縮冷凍を提供するように構成される熱交換器を有する。最も典型的には、交換器を通過するLNGは300psig〜600psig(約2.07MPa〜約4.13MPa)の圧力を有する。凝縮された脱メタン装置還流ドラムオーバヘッドを販売ガスパイプラインのガス圧力までポンピングする交換器には、ポンプがさらに結合されてもよい。好ましい吸収装置供給圧力は約450psig〜750psig(約3.10MPa〜約5.17MPa)であるが、分離圧力は好ましくは約400psig〜600psig(約2.76MPa〜約4.13MPa)であり、販売ガス供給圧力は好ましくは約700psig〜1300psig(約4.82MPa〜約8.96MPa)またはこれ以上である。したがって、本発明者らは、LNGが提供されて吸収装置供給圧力までポンピングされるLNGの処理方法を想定している。95%以上のエタン回収率が望ましい、特別に想定されたエタン回収プラントにおいて、脱メタン装置底部は脱エタン装置カラムでさらに処理されてC2オーバヘッド液体とC3+底部生成物を生成し得る。この場合、脱エタン装置オーバヘッド還流デューティは、外部還流システムまたは一体型還流交換器の脱メタン装置の側部リボイラーデューティによって供給され得る。
【0026】
したがって、本発明の主題に係る構成を用いて多くの利点が実現される可能性があることを認識されたい。特に、想定された構成は、輸入LNGから95%以上のエタンと99%以上のプロパンを回収することができ、99%以上のメタンを含有する処理されたLNGを生成し得ることを理解されたい。このプロセスは、様々な組成と熱容量を有する輸入LNGの処理を可能とし、さらに、北米市場やその他の排ガス重視市場向けパイプラインガスとLNG輸送燃料に使用され得る99%メタンの天然ガスを生成する。さらに、想定された構成は、高純度のLPG液体燃料、ガソリン混合用のブタンプラス、および石油化学原料としてまたは複合サイクル発電所のエネルギー源としてのエタンを生成することになる。
【0027】
さらに適当な想定と構成が2005年6月27日に出願された出願番号PCT/US05/22880(WO2006/004723として公開された)の本出願人による同時係属中の国際特許出願に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。たとえば、電力が圧縮供給ガスから抽出されなければならない場合、供給の液体部分は、ポンプで加圧され加熱されて、電力を生成するためにタービン内でさらに膨張される加熱圧縮液を形成する構成が想定される。このように膨張された流れは、この後、前述と同様に脱メタン装置に供給される。
【0028】
したがって、LNG処理および再ガス化の構成と方法の具体的な実施形態および用途が開示されてきた。しかし、当然のことながら、既に説明されたもののほかにも本明細書の発明概念から逸脱することのないさらに多くの変更形態が可能であることは当業者には明らかであろう。したがって、本発明の主題は、特許請求の範囲の趣旨においてのみ限定されるべきである。さらに、明細書と特許請求の範囲の両方を解釈する際には、すべての表現は文脈にしたがって可能な限り広い意味に解釈されるべきである。特に、「備える」および「備えている」という表現は、要素、部品、またはステップに非限定的に言及しており、言及された要素、部品、またはステップが存在し、または利用され、あるいは明示的に言及されない他の要素、部品またはステップと組み合わせられてもよいことを示しているものと解釈されたい。さらに、参照により本明細書に組み込まれた参照元の表現の定義または使用が本明細書で提供された表現の定義と一致していないかまたは相反している場合は、本明細書で提供された表現の定義が適用され、参照元の表現の定義は適用されない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LNG処理プラントであって、
還流脱メタン装置が底部生成物を還流脱エタン装置に提供するように、前記脱エタン装置に流体的に結合される前記脱メタン装置と、
前記脱メタン装置に結合され、前記脱メタン装置の側面抽出を使用して脱エタン装置オーバヘッド生成物を凝縮し、これによって還流を前記脱エタン装置とエタン液に提供するように構成される前記脱メタン装置に結合される熱交換回路と、
前記還流脱メタン装置に流体的に結合され、脱メタン装置オーバヘッド生成物と、前記脱メタン装置オーバヘッド生成物の蒸気部分を液化するのに十分な量の前記脱メタン装置オーバヘッド生成物の前記蒸気部分とに、冷凍を提供するようにさらに構成される供給交換器と、
を備える、LNG処理プラント。
【請求項2】
前記熱交換回路が冷凍容量を前記脱エタン装置オーバヘッド生成物に提供し、これによって前記脱エタン装置オーバヘッド生成物を液化する脱メタン装置側部リボイラーを備える、請求項1に記載のLNG処理プラント。
【請求項3】
前記液化された脱エタン装置オーバヘッド生成物を受け入れるように構成され、前記液化された脱エタン装置オーバヘッド生成物の少なくとも一部を還流として前記脱エタン装置に提供するようにさらに構成されたサージドラムをさらに備える、請求項2に記載のLNG処理プラント。
【請求項4】
前記熱交換回路が一体型コイルを前記脱エタン装置頂部に備え、前記コイルは前記脱メタン装置から側面抽出を受け入れ、これによって冷凍容量を前記脱エタン装置オーバヘッド生成物に提供し、これによって前記脱エタン装置オーバヘッド生成物を液化するように構成される、請求項1に記載のLNG処理プラント。
【請求項5】
前記熱交換回路が前記脱エタン装置オーバヘッド温度が−25°F〜−35°Fであるように構成される、請求項1に記載のLNG処理プラント。
【請求項6】
前記脱エタン装置が80psig〜150psig(0.55MPa〜1.03MPa)の圧力で動作するように構成される、請求項1に記載のLNG処理プラント。
【請求項7】
分離装置が前記脱メタン装置オーバヘッド生成物を前記蒸気部分と液体部分に分離し、前記分離装置は前記液体部分が脱メタン装置還流として前記脱メタン装置に供給されるように前記脱メタン装置に流体的に結合される、請求項1に記載のLNG処理プラント。
【請求項8】
前記脱メタン装置オーバヘッド生成物の前記液化された蒸気部分をパイプライン圧力までポンピングする前記供給交換器に流体的に結合されたポンプをさらに備える、請求項1に記載のLNG処理プラント。
【請求項9】
前記供給交換器と前記熱交換回路は少なくとも95%のエタン回収と少なくとも99%のメタン純度を可能にするように構成される、請求項1に記載のLNG処理プラント。
【請求項10】
LNGを300psig〜1500psig(2.07MPa〜10.34MPa)の圧力で前記供給交換器にポンピングするポンプをさらに備える、請求項1に記載のLNG処理プラント。
【請求項11】
LNGの処理方法であって、
還流脱メタン装置から還流脱エタン装置に底部生成物を提供するステップと、
脱エタン装置オーバヘッド生成物を凝縮し、これによって前記脱エタン装置とエタン液への還流を形成するために熱交換回路で前記脱メタン装置の側面抽出を使用するステップと、
LNG供給交換器において、脱メタン装置オーバヘッド生成物と、前記脱メタン装置オーバヘッド生成物の蒸気部分を液化するのに十分な量の前記脱メタン装置オーバヘッド生成物の前記蒸気部分とに、冷凍を提供するステップと、
を備える、方法。
【請求項12】
前記熱交換回路が冷凍容量を前記脱エタン装置オーバヘッド生成物に提供し、これによって前記脱エタン装置オーバヘッド生成物を液化する脱メタン装置側部リボイラーを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記液化された脱エタン装置オーバヘッド生成物の一部分が前記還流として前記脱エタン装置に供給される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記熱交換回路が前記脱エタン装置頂部に一体型コイルを備え、前記コイルは前記脱メタン装置から側面抽出を受け入れ、これによって冷凍容量を前記脱エタン装置オーバヘッド生成物に提供し、これによって前記脱エタン装置オーバヘッド生成物を液化する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記脱エタン装置が−25°F〜−35°Fのオーバヘッド温度で動作される、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記脱エタン装置が80psig〜150psig(0.55MPa〜1.03MPa)の圧力で動作される、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記脱メタン装置オーバヘッド生成物を前記蒸気部分と液体部分に分離し、前記液体部分を脱メタン装置還流として前記脱メタン装置に供給するステップをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記脱メタン装置オーバヘッド生成物の前記液化された蒸気部分をパイプライン圧力までポンピングするステップをさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記供給交換器と前記熱交換回路は少なくとも95%のエタン回収と少なくとも99%のメタン純度を可能にするように構成される、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
LNGを300psig〜1500psig(2.07MPa〜10.34MPa)の圧力で前記供給交換器にポンピングするステップをさらに備える、請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−538372(P2009−538372A)
【公表日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512143(P2009−512143)
【出願日】平成19年5月23日(2007.5.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/012376
【国際公開番号】WO2007/139876
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(506354434)フルオー・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (35)