説明

LTE変換基地局

【課題】 設置に関する制限が少なく、かつLTE方式の不感地帯であっても通信が可能となるLTE変換基地局を提供する。
【解決手段】 LTE変換基地局504は、LTE端末505〜507と無線通信を行うLTE基地局機能部504−3と、3G方式の基地局と無線通信を行う3G端末機能部504−1と、LTE基地局機能部504−3と3G端末機能部504−1との間に介在してLTE方式と3G方式とのプロトコル変換を行うプロトコル変換部504−2とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LTE方式と別方式との変換が可能なLTE変換基地局に関するものである。
【背景技術】
【0002】
第3世代と呼ばれる通信方式のうち、W−CDMA(Wideband Code division Multiple Access)方式が2001年から日本で商用サービスが開始されている。また、下りリンク(個別データチャネル、個別制御チャネル)にパケット伝送用のチャネル(High Speed-Downlink Shared Channel:HS−DSCH)を追加することにより、下りリンクを用いたデータ送信の更なる高速化を実現するHSDPA(High Speed Down Link Packet Access)のサービスが開始されている。さらに、上り方向のデータ送信をより高速化するためHSUPA(High Speed Up Link Packet Access)方式についてもサービスが開始されている。W−CDMAは、移動体通信システムの規格化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)により定められた通信方式であり、リリース10版の規格書がとりまとめられている。
【0003】
また、3GPPにおいて、W−CDMAとは別の通信方式として、無線区間についてはロングタームエボリューション(Long Term Evolution:LTE)、コアネットワーク(単にネットワークとも称する)を含めたシステム全体構成については、システムアーキテクチャエボリューション(System Architecture Evolution:SAE)と称される新たな通信方式が検討されている。この通信方式は3.9G(3.9 Generation)システムとも呼ばれる。
【0004】
LTEでは、アクセス方式、無線のチャネル構成やプロトコルが、現在のW−CDMA(HSDPA/HSUPA)とは全く異なるものになる。例えば、アクセス方式は、W−CDMAが符号分割多元接続(Code Division Multiple Access)を用いているのに対して、LTEは下り方向はOFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)、上り方向はSC−FDMA(Single Career Frequency Division Multiple Access)を用いる。また、帯域幅は、W−CDMAが5MHzであるのに対し、LTEでは1.4MHz,3MHz,5MHz,10MHz,15MHz,20MHzの中で基地局毎に選択可能となっている。また、LTEでは、W−CDMAのように回線交換を含まず、パケット通信方式のみになる。
【0005】
LTEは、W−CDMAのコアネットワーク(General Packet Radio Service:GPRS)とは異なる新たなコアネットワークを用いて通信システムが構成されるため、W−CDMA網とは別の独立した無線アクセス網として定義される。したがって、W−CDMAの通信システムと区別するため、LTEの通信システムでは、移動端末(User Equipment:UE)と通信を行う基地局(Base station)はeNB(E-UTRAN NodeB)と称され、複数の基地局と制御データやユーザデータのやり取りを行う基地局制御装置(Radio Network Controller)は、EPC(Evolved Packet Core)またはaGW(Access Gateway)と称される。このLTEの通信システムでは、ユニキャスト(Unicast)サービスとE-MBMSサービス(Evolved Multimedia Broadcast Multicast Service)とが提供される。E−MBMSサービスとは、放送型マルチメディアサービスであり、単にMBMSと称される場合もある。複数の移動端末に対してニュースや天気予報、モバイル放送などの大容量放送コンテンツが送信される。これを1対多(Point to Multipoint)サービスともいう。
【0006】
3GPPでの、LTEシステムにおける全体的なアーキテクチャ(Architecture)に関する現在の決定事項が、非特許文献1(4章)に記載されている。全体的なアーキテクチャについて図1を用いて説明する。図1は、LTE方式の通信システムの構成を示す説明図である。図1において、移動端末101に対する制御プロトコル、例えばRRC(Radio Resource Control)と、ユーザプレイン、例えばPDCP(Packet Data Convergence Protocol)、RLC(Radio Link Control)、MAC(Medium Access Control)、PHY(Physical layer)とが基地局102で終端するならば、E−UTRAN(Evolved Universal Terrestrial Radio Access)は1つあるいは複数の基地局102によって構成される。
【0007】
基地局102は、MME(Mobility Management Entity)103から通知されるページング信号(Paging Signaling、ページングメッセージ(paging messages)とも称される)のスケジューリング(Scheduling)および送信を行う。基地局102は、X2インタフェースにより、互いに接続される。また基地局102は、S1インタフェースによりEPC(Evolved Packet Core)に接続される。より明確には、基地局102は、S1_MMEインタフェースによりMME(Mobility Management Entity)103に接続され、S1_UインタフェースによりS−GW(Serving Gateway)104に接続される。
【0008】
MME103は、複数あるいは単数の基地局102へのページング信号の分配を行う。また、MME103は待受け状態(Idle State)のモビリティ制御(Mobility control)を行う。MME103は、移動端末が待ち受け状態および、アクティブ状態(Active State)の際に、トラッキングエリア(Tracking Area)リストの管理を行う。
【0009】
S−GW104は、ひとつまたは複数の基地局102とユーザデータの送受信を行う。S−GW104は、基地局間のハンドオーバの際、ローカルな移動性のアンカーポイント(Mobility Anchor Point)となる。EPCには、さらにP−GW(PDN Gateway)が存在し、ユーザ毎のパケットフィルタリングやUE−IDアドレスの割当などを行う。
【0010】
移動端末101と基地局102との間の制御プロトコルRRCは、報知(Broadcast)、ページング(paging)、RRC接続マネージメント(RRC connection management)などを行う。RRCにおける基地局と移動端末の状態として、RRC_Idle、RRC_CONNECTEDがある。RRC_IDLEでは、PLMN(Public Land Mobile Network)選択、システム情報(System Information:SI)の報知、ページング(paging)、セル再選択(cell re-selection)、モビリティ等が行われる。RRC_CONNECTEDでは、移動端末はRRC接続(connection)を有し、ネットワークとのデータの送受信を行うことができ、また、ハンドオーバ(Handover:HO)、隣接セル(Neighbour cell)のメジャメント等が行われる。
【0011】
3GPPにおいて、Home−NodeB(Home−NB;HNB)、Home−eNodeB(Home−eNB;HeNB)と称される基地局が検討されている。UTRANにおけるHNB、またはE-UTRANにおけるHeNBは、例えば家庭、法人、商業用のアクセスサービス向けの基地局である。
【0012】
図2は、現在3GPPにおいて議論されているLTE方式の移動体通信システムの全体的な構成を示すブロック図である。現在3GPPにおいては、CSG(Closed Subscriber Group)セル(E−UTRANのHome−eNodeB(Home−eNB;HeNB)、UTRANのHome−NB(HNB))と、non−CSGセル(E−UTRANのeNodeB(eNB)、UTRANのNodeB(NB)、GERANのBSS)とを含めたシステムの全体的な構成が検討されており、E−UTRANについては、図2のような構成が提案されている(非特許文献1 4.6.1章参照)。
【0013】
図2について説明する。移動端末装置(以下「移動端末」または「UE」という)71は、基地局装置(以下「基地局」という)22と無線通信可能であり、無線通信で信号の送受信を行う。移動端末装置は、通信端末装置に相当する。基地局22は、マクロセルであるeNB22−1と、ローカルノードであるHome−eNB22−2とに分類される。eNB22−1は、大規模基地局装置に相当し、移動端末(UE)21と通信可能な範囲であるカバレッジとして、比較的大きい大規模カバレッジを有する。Home−eNB22−2は、小規模基地局装置に相当し、カバレッジとして、比較的小さい小規模カバレッジを有する。
【0014】
eNB22−1は、MME、あるいはS−GW、あるいはMMEおよびS−GWを含むMME/S−GW部(以下「MME部」という場合がある)23とS1インタフェースにより接続され、eNB22−1とMME部23との間で制御情報が通信される。ひとつのeNB22−1に対して、複数のMME部23が接続されてもよい。eNB22−1間は、X2インタフェースにより接続され、eNB22−1間で制御情報が通信される。
【0015】
Home−eNB22−2は、MME部23とS1インタフェースにより接続され、Home−eNB22−2とMME部23との間で制御情報が通信される。ひとつのMME部23に対して、複数のHome−eNB22−2が接続される。あるいは、Home−eNB22−2は、HeNBGW(Home-eNB GateWay)24を介してMME部23と接続される。Home−eNB22−2とHeNBGW24とは、S1インタフェースにより接続され、HeNBGW24とMME部23とはS1インタフェースを介して接続される。ひとつまたは複数のHome−eNB22−2がひとつのHeNBGW24と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。HeNBGW24は、ひとつまたは複数のMME部23と接続され、S1インタフェースを通して情報が通信される。MME部23およびHeNBGW24は、上位ノード装置に相当し、基地局であるeNB22−1およびHome−eNB22−2と、移動端末(UE)21との接続を制御する。
【0016】
さらに現在3GPPでは、以下のような構成が検討されている。Home−eNB22−2間のX2インタフェースはサポートされる。すなわち、Home−eNB22−2間は、X2インタフェースにより接続され、Home−eNB22−2間で制御情報が通信される。MME部23からは、HeNBGW24はHome−eNB22−2として見える。Home−eNB22−2からは、HeNBGW24はMME部23として見える。Home−eNB22−2が、HeNBGW24を介してMME部23に接続される場合および直接MME部23に接続される場合のいずれの場合も、Home−eNB22−2とMME部23との間のインタフェースは、S1インタフェースで同じである。HeNBGW24は、複数のMME部23にまたがるような、Home−eNB22−2へのモビリティ、あるいはHome−eNB22−2からのモビリティはサポートしない。Home−eNB22−2は、唯一のセルをサポートする。
【0017】
近年、第3世代と呼ばれる通信規格がITU(国際電気通信連合)においてIMT−2000として採用されている。その方式の1つであるW−CDMA(FDD)(Wideband-Code Division Multiple Access: Frequency Division Duplex)については、2001年から日本において商用サービスが開始されている。W−CDMA(FDD)方式は、最大2Mbps(Mega bit per sec)程度の通信速度を実現することを当初の目的としており、規格化団体3GPP(3rd. Generation Partnership Project)において、1999年にまとめられた規格のバージョンであるリリース1999(ないしはバージョン3.x.x)版が最初の仕様(バージョン)として決定されている。
【0018】
図3は、W−CDMA方式の移動体通信システムを説明する説明図である。図3において、移動体通信システム301は、移動局(UE)302、基地局(NodeB)303、基地局制御装置(RNC)304から構成される。移動局302と基地局303は無線で、基地局303と基地局制御装置304は有線で通信を行なう。移動局302と基地局303は、共通パイロットチャネル(CPICH)305、上りリンクのDPCCH306、下りリンクのDPCCH307、上りリンクのDPDCH308、下りリンクのDPDCH309、上りリンクのHS−DPCCH310、下りリンクのHS−PDSCH311を使用する。HS-PDSCH311はHS-SCCHとペアで送信される。基地局制御装置304は、移動局302と外部ネットワーク312との通信を介在する。3GPP規格においては、基地局303と基地局制御装置304をUTRAN(Universal Terrestrial Radio Access Network)と称する。
【0019】
3GPPにおいて、マシンタイプコミュニケーション(Machine Type Communication:MTC)技術の検討が進められている(非特許文献2参照)。MTC用のデバイス(MTC Device:MTCD)の数は、膨大であることが予想されている。MTCサービスでは、多数のMTCDから、あるいは多数のMTCDへ同時にデータを通信する状況が生じる。これによって、コアネットワーク(Core Network)において混雑状態が生じるという問題が発生する。
【0020】
MTCは、従来の人対人(Human to Human:H2H)の通信と異なり、機械対機械(Machine to Machine:M2M)の通信である。すなわち、ヒューマンインタラクション(Human Interaction)、つまり人と人とのやり取りを必要としない。MTC技術を用いたサービス(以下「MTCサービス」という)の応用例として、ガス、電力、水道などのメータリング(Metering)、すなわち計測や、輸送管理および発注管理(Tracking&Tracing)などがある。MTCサービスの特徴として、MTC用のデバイス(MTC Device:MTCD)の数が膨大であることがある。一例として、1つのセルの傘下に3万台以上のMTCDが存在することが想定されている。
【0021】
3GPPでは、MTCのアーキテクチャが検討されている(非特許文献2参照)。図4は、3GPPで検討されているMTCのアーキテクチャの一例を示す図である。LTEおよびLTE−Aの通信システムだけでなく、WCDMAの通信システムでもMTCサービスのサポートが検討されている。
【0022】
図4において、MTCD401〜404と、NB/eNB1305との間は、Uuインタフェース411〜414で接続されている。SGSN/MME(Serving GPRS Support Node/ Mobility Management Entity)406は、NB/eNB405とIuPS/S1インタフェース415で接続されている。図示していないが、NBとSGSNとの間には、無線ネットワーク制御装置(Radio Network Controller:RNC)が存在している。NBとRNCとの間は、Iubインタフェースで接続され、RNCはIuPSインタフェースを介してSGSNに接続される。
【0023】
HLR/HSS(Home Location Register/Home Subscriber Server)407は、Gr/S6aインタフェース416を介して、SGSN/MME406と接続される。通信オペレータ領域417には、NB/eNB405、SGSN/MME406、およびHLR/HSS407などが含まれる。
【0024】
MTCサーバ408は、通信オペレータ領域1317に含まれる。MTCサービスを行うMTCユーザ409は、アプリケーションプログラムインタフェース(Application Program Interface:API)410を介して、MTCサーバ408と接続される。MTCサーバ408が通信オペレータ領域417のいずれのノードに接続されるかについては、3GPPにおいて現在検討中である。
【0025】
MTCサービス用の情報は、MTCユーザ409によって、MTCサーバ408から、通信オペレータ領域417のノードであるNB/eNB405、SGSN/MME406、HLR/HSS407を用いて、MTCD401〜404へ通知される。逆にMTCD401〜404からの情報は、通信オペレータ領域417のノードであるNB/eNB405、SGSN/MME406、HLR/HSS407を用いて、MTCサーバ408へ通知され、MTCユーザ409によって該情報が利用される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0026】
【非特許文献1】3GPP TS36.300 V10.1.0 4章、4.6.1章
【非特許文献2】3GPP TS22.368 V10.2.0
【非特許文献3】3GPP R3−100315
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
コアネットワークとLTE方式の基地局(特に小型基地局(HeNB))との間の通信では有線通信が用いられていることから、基地局を設置する際にはそのことによる制限が課せられる。また、LTE方式が普及するまでの間は、LTE方式にのみ対応した移動端末(UE)にとっての不感地帯が多いものと想定される。
【0028】
本発明の目的は、設置に関する制限が少なく、かつLTE方式の不感地帯であっても通信が可能となるLTE変換基地局を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、LTE端末と無線通信を行うLTE基地局機能部と、
LTE方式と異なる別方式の基地局と無線通信を行う別方式端末機能部と、
前記LTE基地局機能部と前記別方式端末機能部との間に介在して、LTE方式と前記別方式とのプロトコル変換を行うプロトコル変換部とを備えたことを特徴とするLTE変換基地局である。
【発明の効果】
【0030】
以上のように本発明によれば、別方式端末機能部が別方式の基地局と通信するインタフェースとなるため、設置に関する制限を少なくすることができ、かつLTE基地局機能部がLTE端末と通信するインタフェースとなるため、LTE方式の不感地帯であっても通信を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】LTE方式の通信システムの構成を示す説明図である。
【図2】HeNBを含むLTE方式の通信システムの構成を示す説明図である。
【図3】W−CDMA方式の移動体通信システムの構成を示す説明図である。
【図4】MTCのアーキテクチャの一例を示す説明図である。
【図5】実施の形態1における通信システムのアーキテクチャを示す図である。
【図6】実施の形態2における通信システムのアーキテクチャを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
実施の形態1.
実施の形態1で解決する課題について、以下に説明する。LTE−UEがHeNBを通じてコアネットワークへの接続を行う場合、LTE−UEがHeNBとLTE通信を行い、さらにHeNBがコアネットワークと有線通信を行うことによって、接続が行われている。このときHeNBとコアネットワーク間には有線回線が必要であり、その終端装置はどこにでも設置できるわけではないという問題がある。また、LTEのマクロセル基地局はLTEが普及するまでは数が少なく、不感地帯が発生する可能性が想定される。
【0033】
一般にLTEの不感地帯を補うための対策として、UEをLTEと3Gに対応させることが考えられている。しかし、UEをLTEと3Gに対応させたデュアル機とした場合には、UE毎にデュアル機としての機能が必要となり、小型化が望まれるUEの構造が複雑化・大型化してしまうという問題がある。
【0034】
実施の形態1での解決策を以下に示す。解決策として内部にLTE方式と3G方式のプロトコル変換機能を持つLTE変換基地局を用いることで、LTE−UEから3Gマクロセル基地局を通じてコアネットワークへの接続を行う。LTE変換基地局としては、例えば3G−UEの機能を有するLTEフェムトセルを使用することが可能である。LTEフェムトセルは、LTEシステムにおけるHeNBとも称される。3G−UEとは、第3世代の通信方式に対応した移動端末である。第3世代の通信方式の具体例としては、W−CDMAなどがある。
【0035】
図5は、実施の形態1における通信システムのアーキテクチャを示す図である。LTE変換基地局504は、HeNBとしての機能、すなわちLTE基地局としての機能を有するLTE基地局機能部504−3を持ち、LTE−UE505〜507との間でLTE方式の無線通信を行うことが可能である。また、LTE変換基地局504は、3G−UEとしての機能を有する3G端末機能部504−1を持ち、3Gマクロセル基地局503との間で3G方式の無線通信を行うことが可能である。さらに、LTE変換基地局504は、3G方式とLTE方式との間のプロトコル変換を行うプロトコル変換部504−2を持ち、3G方式とLTE方式の変換が可能である。
【0036】
次に、実施の形態1に関する動作を説明する。LTE−UE505〜507とコアネットワーク501とが下り通信を行うときには、コアネットワーク501から3Gネットワーク502を介して3Gマクロセル基地局503に送信されてきた信号は、3G方式の無線通信によってLTE変換基地局504に送信される。続いて、3G方式で受信された信号は、LTE変換基地局504内のプロトコル変換部504−2において3GからLTE方式へのプロトコル変換を受け、LTE基地局機能部504−3に送られる。最後に、LTE変換基地局504の圏内にあるLTE−UE505〜507にLTE方式の無線通信にて送信される。
【0037】
LTE−UE505〜507とコアネットワーク501とが上り通信を行うときには、LTE変換基地局504の圏内において、LTE−UE505〜507がLTE変換基地局504にLTE方式により無線送信を行う。次に、LTE変換基地局504内のプロトコル変換部504−2によって、LTE方式から3G方式へのプロトコル変換が行われる。続いて、LTE変換基地局504の3G端末機能部504−1から3Gマクロセル基地局503に3G通信による無線送信が行われる。更に、3Gネットワーク502を介して、3Gマクロセル基地局503からコアネットワーク501まで信号が送信される。
【0038】
このように、上り及び下りともに、LTE−UE505〜507とコアネットワーク501との間における接続が可能となる。
【0039】
3G端末機能部504−1として、MTCを適用してもよい。
【0040】
以上の実施の形態1によって、以下の効果を得ることができる。LTE−UEが3Gマクロセル基地局を通じてコアネットワークへ接続することが可能となり、LTE−UEをLTE圏内だけでなく、LTE圏外かつ3G圏内でも利用可能となる。さらに3G圏内であれば有線回線がない場所でもHeNBを設置することが可能である。
【0041】
また、LTE変換基地局504では、LTE方式と3G方式とを変換できるため、UEをLTE方式と3G方式との両方に対応させる必要がなくなり、小型化が望まれるUEの簡素化が可能である。
【0042】
実施の形態2.
実施の形態2で解決する課題について、以下に説明する。LTE−UEがHeNBを通じてコアネットワークへの接続を行う場合、LTE−UEがHeNBとLTE通信を行い、さらにHeNBがコアネットワークと有線通信を行うことによって、接続が行われている。このときHeNBとコアネットワークとの間には有線回線が必要であり、海上等においてはLTE−UEを利用することができない。また、非常時においては、有線回線の利用が不能となり、マクロセル基地局も回線の混雑により繋がらないことが想定される。
【0043】
実施の形態2での解決策について以下に示す。この解決策として、3Gよりも広大なカバーエリアを持つ衛星移動体通信を通じてコアネットワークへの接続を行う。また、衛星移動体通信網との間で通信を行うために、HeNBに衛星通信UEとしての機能を持たせたLTE変換基地局を用いることによってLTE−UEと衛星移動体通信網との通信を可能とする。
【0044】
図6は、実施の形態2における通信システムのアーキテクチャを示す図である。通信システムは、コアネットワーク501、衛星局601、LTE変換基地局604およびLTE−UE(LTE端末)505〜507を含んで構成される。コアネットワーク501とLTE−UE505〜507は、図5と同じものである。衛星局601は、地球の周りを周回する軌道上に配置され、地上のコアネットワーク501との間で通信を行うとともに、同じく地上のLTE変換基地局604との間で通信を行う。LTE変換基地局604は、衛星通信端末機能部604−1、プロトコル変換部604−2およびLTE基地局機能部604−3を有する。衛星通信端末機能部604−1は、衛星通信方式の端末の機能を有し、衛星局601との間で衛星通信方式の通信を行う。プロトコル変換部604−2は、衛星通信端末機能部604−1とLTE基地局機能部604−3との間に介在し、衛星通信方式とLTE方式とのプロトコル変換を行う。LTE基地局機能部604−3は、LTE−UEとの間でLTE方式の無線通信を行う。
【0045】
次に、実施の形態2に関する動作を説明する。LTE−UE505〜507がコアネットワーク501と通信を行うとき、LTE−UE505〜507とLTE変換基地局604が通信を行う。次に、LTE変換基地局604内部のプロトコル変換部604−2によってLTE方式と3G方式とのプロトコル変換を行う。3G方式に変換された信号は、LTE変換基地局604と衛星局601との間で通信を行い、コアネットワーク501への接続を行う。
【0046】
以上の実施の形態2によって、以下の効果を得ることができる。衛星移動体通信網は広大なカバーエリアを持ち、海上等の3Gマクロセル基地局がカバーしていないエリアにおいても、電源さえ確保すれば通信が可能となる。同様に、災害時で有線通信が断絶したり、マクロセル基地局が混雑した時においても、充分なスループットでLTE−UEを利用することが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
501 コアネットワーク
502 3Gネットワーク
503 3Gマクロセル基地局
504,604 LTE変換基地局
504−1 3G−UE機能部
504−2,604−2 プロトコル変換部
504−3,604−3 LTE基地局機能部
505〜507 LTE−UE
601 衛星局
604−1 衛星通信UE機能部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LTE端末と無線通信を行うLTE基地局機能部と、
LTE方式と異なる別方式の基地局と無線通信を行う別方式端末機能部と、
前記LTE基地局機能部と前記別方式端末機能部との間に介在して、LTE方式と前記別方式とのプロトコル変換を行うプロトコル変換部とを備えたことを特徴とするLTE変換基地局。
【請求項2】
前記別方式は、3G方式であることを特徴とするLTE変換基地局。
【請求項3】
前記別方式は、衛星移動体通信方式であることを特徴とするLTE変換基地局。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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