説明

Li2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラス

【課題】As、Sbの代替清澄剤としてSnOを用いたLiO−Al−SiO系結晶化ガラスにおいて、FeやTiO等に起因する黄色の着色が少なく、かつ、優れた透明感を有する結晶化ガラスを得る。また、低熱膨張特性および低誘電損失特性を達成しやすい白色のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスを得る。
【解決手段】組成として質量%で、SiO 55〜75%、Al 20.5〜27%、LiO 2%以上、TiO 1.5〜3%、TiO+ZrO 3.8〜5%、SnO 0.1〜0.5%を含有し、3.7≦LiO+0.741MgO+0.367ZnO≦4.5かつSrO+1.847CaO≦0.5の関係を満たすことを特徴とするLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はLiO−Al−SiO系結晶化ガラスに関する。詳細には、例えば石油ストーブ、薪ストーブ等の前面窓等の耐熱用途に好適なLiO−Al−SiO系結晶化ガラスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、石油ストーブ、薪ストーブ等の前面窓、カラーフィルターやイメージセンサー用基板等のハイテク製品用基板、電子部品焼成用セッター、電子レンジ用棚板、電磁調理用トッププレート、防火戸用窓ガラス等の材料として、LiO−Al−SiO系結晶化ガラスが用いられている。例えば特許文献1〜3には、主結晶としてβ−石英固溶体(LiO・Al・nSiO[ただし4>n≧2])やβ−スポジュメン固溶体(LiO・Al・nSiO[ただしn≧4])等のLiO−Al−SiO系結晶を析出してなるLiO−Al−SiO系結晶化ガラスが開示されている。
【0003】
LiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、熱膨張係数が低く、機械的強度も高いため、優れた熱的特性を有している。また結晶化工程において熱処理条件を適宜調整することにより、析出結晶の種類を制御することが可能であり、透明な結晶化ガラス(β−石英固溶体が析出)を容易に作製することができる。
【0004】
ところで、この種の結晶化ガラスを製造する場合、1400℃を超える高温で溶融する必要がある。このため、ガラスバッチに添加される清澄剤には、高温での溶融時に清澄ガスを多量に発生させることができるAsやSbが使用されている。しかしながら、AsやSbは毒性が強く、ガラスの製造工程や廃ガラスの処理時等に環境を汚染する可能性がある。
【0005】
そこで、AsやSbの代替清澄剤として、SnOやClが提案されている(例えば、特許文献4および5参照)。ただし、Clは、ガラス成形時に金型や金属ロールを腐食させやすく、結果として、ガラスの表面品位を劣化させるおそれがある。このような観点から、清澄剤としては、上記問題が生じないSnOを用いることが好ましい。
【0006】
特許文献4および5に記載されているように、SnOはFeやTiO等に起因する着色を強める作用を有するため、透明結晶化ガラスの黄色味が強くなり、外観上問題好ましくないという問題がある。そのため、SnOを用いる際は、不純物成分として混入するFeを低減させるとともに、ガラスバッチにおけるTiOも少なくすることが好ましい。しかしながら、TiOは結晶核成分であるため、TiOを少なくすると、最適焼成温度域が狭くなり、結晶核の生成量が少なくなりやすくなる。結晶核が少ない状態で結晶化が進むと、粗大結晶が多くなることから、結晶化ガラスが白濁して透明感を損ないやすいという問題がある。
【0007】
透明結晶化ガラスの着色を抑制するその他の方法として、FeやTiO等に起因する着色に対して補色の関係にある着色剤を添加して消色する方法がある。特に、LiO−Al−SiO系結晶化ガラスに対しては、Ndが消色に効果的であることが従来から知られている(例えば、特許文献6参照)。したがって、SnOを添加することにより黄色味が強くなった場合でも、Ndを添加することで消色することが可能である。
【0008】
なお、LiO−Al−SiO系結晶化ガラスの製造工程において、適切な熱処理条件で結晶化を行うことでβ−スポジュメン固溶体が析出した白色不透明の結晶化ガラスを得ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特公昭39−21049号公報
【特許文献2】特公昭40−20182号公報
【特許文献3】特開平1−308845号号公報
【特許文献4】特開平11−228180号公報
【特許文献5】特開平11−228181号公報
【特許文献6】米国特許第4093468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
透明結晶化ガラスにおいて、Ndによる消色は、言わば、黄色の着色に対して、Ndによる青色の着色を重ね合わせることにより無彩色にするという技術であるため、結果的に可視域の透過率は低下し、外観が黒ずんだように見え、透明感を損ないやすいという問題がある。
【0011】
また、β−スポジュメン固溶体が析出した白色結晶化ガラスにおいて、熱膨張係数や誘電損失が高くなりやすいという問題もあった。特に、結晶化ガラスの誘電損失が高くなると、例えば電子レンジの棚板等の電磁波を使用する用途の場合に、局部的に温度が高くなって破損の原因となる。
【0012】
したがって、本発明の目的は、As、Sbの代替清澄剤としてSnOを用いたLiO−Al−SiO系結晶化ガラスにおいて、FeやTiO等に起因する黄色の着色が少なく、かつ、優れた透明感を有する結晶化ガラスを得ることである。
【0013】
また、本発明の他の目的は、低熱膨張特性および低誘電損失特性を達成しやすい白色のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、TiOやFe等の成分による着色がSnOにより強められるメカニズムについて調査をした結果、結晶化ガラスにおける各成分の比率を特定の範囲に制限することにより、前記課題を解決することを見出し、本発明として提案するものである。
【0015】
すなわち、本発明は、組成として質量%で、SiO 55〜75%、Al 20.5〜27%、LiO 2%以上、TiO 1.5〜3%、TiO+ZrO 3.8〜5%、SnO 0.1〜0.5%を含有し、3.7≦LiO+0.741MgO+0.367ZnO≦4.5かつSrO+1.847CaO≦0.5の関係を満たすことを特徴とするLiO−Al−SiO系結晶化ガラスに関する。
【0016】
本発明者らは、結晶化ガラスにおける残存ガラス相中のAl量が多くなるほど着色を低減できることを見出した。それには、結晶化前のガラス組成におけるAl量を多くすることが有効であり、具体的にはAl量を20.5%以上と多くすれば、SnOにより強められたTiOやFe等の成分による着色を低減できることを見出した。ただし、結晶化前のガラス組成についてある一定以上のAl量を超えると、超えた分のAlの多くは結晶化時に結晶相に分配されるため、残存ガラス相におけるAl量が増加しにくくなる。したがって、単純に結晶化前のガラス組成中のAl量を多くするだけでは、着色の低減には不十分である。
【0017】
そこで、その他成分についても種々調査したところ、LiO+0.741MgO+0.367ZnOを4.5以下と少なくすれば、結晶化ガラスにおける残存ガラス相中のAl量が多くなりやすく、着色を低減できることがわかった。これは、LiO、MgO、ZnOは、Alとともに結晶相に析出する傾向があるためで、これらの成分の量を少なくすることで、結晶相に分配されるAl量を低減し、ガラス相により多くのAlを分配させることが可能となるためと説明できる。なお、MgOとZnOの係数は、各成分の含有量をLiOモル換算にするためのものである。
【0018】
さらに、着色に関するその他の影響因子として、SrOとCaOも関係することがわかった。前記組成限定と併せて、SrO+1.847CaOを0.5以下と少なくすることにより、より着色の少ない結晶化ガラスを得ることができる。なお、CaOの係数はSrOモル換算にするためのものである。
【0019】
また、結晶の核形成剤であるTiOとZrOの含有量も厳密に制御する必要がある。既述の通り、TiO量が多いほど結晶核が多くなりやすく白濁が生じにくいが、一方で、着色が強くなるという問題がある。また、ZrOも多いほど結晶核が多くなりやすく白濁は生じにくいが、一方で、失透性が強くなり成形工程での製造に問題が生じるおそれがある。そこで、前記Al量やLiO+0.741MgO+0.367ZnO量等を考慮したうえで、適性なTiO量およびTiO+ZrO量の範囲を検討したところ、上記範囲であれば、所望の色調を有し、かつ白濁の低減した透明感の高い結晶化ガラスを得ることが可能となることがわかった。
【0020】
第二に、本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、外観が透明であることを特徴とする。
【0021】
本明細書において、外観が透明であるLiO−Al−SiO系結晶化ガラスを「LiO−Al−SiO系透明結晶化ガラス」ともいう。
【0022】
第三に、本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、主結晶としてβ−石英固溶体を含有することを特徴とする。
【0023】
第四に、本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、MgOを0.1%以上含有すること特徴とする。
【0024】
着色や白濁等の外観に関する特性以外の重要特性として熱膨張特性が挙げられる。耐熱用途で使用される場合には、破損のリスクを低減するため、熱膨張係数は極力0に近いことが好ましい。熱膨張係数と各成分の関係についても種々調査を行ったところ、前記組成範囲において、MgOを0.1%以上含むと、熱膨張係数が0に近づきやすくなることがわかった。
【0025】
第五に、本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、NdおよびCoOを実質的に含有しないことを特徴とする。
【0026】
着色剤であるNdおよびCoOを実質的に含有しないことにより、透明感に優れた結晶化ガラスを得ることが可能となる。なお、「NdおよびCoOを実質的に含有しない」とは、これらの成分を意図的に添加しないことを意味し、具体的には、Ndは100ppm以下、CoOは20ppm以下であることをいう。
【0027】
第六に、本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、Feを30〜300ppm含有することを特徴とする。
【0028】
Feは不純物として混入しやすい着色成分であるが、上記範囲に制限することにより、Feに起因する着色を低減することが可能となる。
【0029】
第七に、本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、3mm厚での透過光の色調が、CIE規格のL表示のb値で4.5以下であることを特徴とする。
【0030】
第八に、本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、厚み1.1mm、波長400nmにおける透過率が82.5%以上であることを特徴とする。
【0031】
第九に、本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、30〜380℃における熱膨張係数が、−2.5×10−7/℃〜2.5×10−7/℃であることを特徴とする。
【0032】
第十に、本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、主結晶としてβ−スポジュメン固溶体を析出してなることを特徴とする。
【0033】
第十一に、本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、外観が白色であることを特徴とする。
【0034】
本明細書において、外観が白色であるLiO−Al−SiO系結晶化ガラスを「LiO−Al−SiO系白色結晶化ガラス」ともいう。
【0035】
第十二に、本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、0.6≦BaO+2.474NaO+1.628KO≦3.3の関係を満たすことを特徴とする。
【0036】
第十三に、本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、質量%で、BaO、NaOおよびKOをそれぞれ0.1%以上含有することを特徴とする。
【0037】
第十四に、本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、30〜750℃での熱膨張係数が、15×10−7/℃以下であることを特徴とする。
【0038】
第十五に、本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、周波数2.45GHzでの誘電損失が48×10−3以下であることを特徴とする。
【0039】
第十六に、本発明は、前記いずれかのLiO−Al−SiO系結晶化ガラスの製造方法であって、最高温度1780℃未満かつ溶解効率1〜6m/(t/day)の条件でガラス溶融を行う工程、溶融ガラスを所定の形状に成形して結晶性ガラスを得る工程、結晶性ガラスに熱処理を施すことにより結晶化させる工程、を含むことを特徴とするLiO−Al−SiO系結晶化ガラスの製造方法に関する。
【0040】
結晶化ガラスの着色の度合いは、ガラス組成以外にも溶融条件にも影響を受ける。特に、SnOを添加した場合、溶融ガラスが還元方向に向かうと着色が強まる傾向がある。これは、Sn4+よりもSn2+の方が着色に与える影響度が大きいためと考えられる。溶融ガラスを、なるべく還元方向に向かわないようにするためには、溶融温度を低くしたり、溶融時間を短くすることが好ましい。溶融時間は、溶融効率(溶融面積/流量)をその指標として採用することができる。そこで、溶融温度および溶融効率を上記範囲に制限することにより、溶融ガラスが還元方向に向かうことを抑制し、着色が低減された結晶化ガラスを得ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、組成として質量%で、SiO 55〜75%、Al 20.5〜27%、LiO 2%以上、TiO 1.5〜3%、TiO+ZrO 3.8〜5%、SnO 0.1〜0.5%を含有し、3.7≦LiO+0.741MgO+0.367ZnO≦4.5かつSrO+1.847CaO≦0.5の関係を満たすことを特徴とする。
【0042】
以下、LiO−Al−SiO系透明結晶化ガラスの場合について、上記のように各成分の含有量を規定した理由を以下に説明する。なお、各成分の含有範囲の説明において、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を示す。
【0043】
SiOはガラスの骨格を形成するとともに、LiO−Al−SiO系結晶を構成する成分である。SiOの含有量は55〜75%、58〜70%、特に60〜68%であることが好ましい。SiOの含有量が55%より少なくなると、熱膨張係数が高くなる傾向にあり、耐熱衝撃性に優れた結晶化ガラスが得られにくくなる。また、化学的耐久性が低下する傾向にある。一方、SiOの含有量が75%より多くなると、ガラスの溶融性が悪化したり、ガラス融液の粘度が大きくなって、清澄しにくくなったりガラスの成形が困難となる傾向がある。
【0044】
Alはガラスの骨格を形成するとともに、LiO−Al−SiO系結晶を構成する成分である。また、既述の通り、結晶化ガラス中の残存ガラス相に存在することで、SnOによるTiOおよびFeの着色の強まりを低減することができる。Alの含有量は、20.5〜27%、21〜25%、特に21.5〜23%であることが好ましい。Alの含有量が20.5%より少なくなると、熱膨張係数が高くなる傾向にあり、耐熱衝撃性に優れた結晶化ガラスが得られにくくなる。また、化学的耐久性が低下する傾向にある。さらに、SnOによるTiOおよびFeの着色の強まりを低減する効果が得られにくくなる。一方、Alの含有量が27%を超えると、ガラスの溶融性が悪化したり、ガラス融液の粘度が大きくなって、清澄しにくくなったりガラスの成形が難しくなる傾向がある。また、ムライトの結晶が析出してガラスが失透する傾向にあり、ガラスが破損しやすくなる。
【0045】
LiOはLiO−Al−SiO系結晶を構成する成分であり、結晶性に大きな影響を与えるとともに、ガラスの粘性を低下させて、ガラス溶融性および成形性を向上させる成分である。LiOの含有量は2%以上、特に2.5%以上であることが好ましい。LiOの含有量が2%より少なくなると、ムライトの結晶が析出してガラスが失透する傾向がある。また、ガラスを結晶化させる際に、LiO−Al−SiO系結晶が析出しにくくなり、耐熱衝撃性に優れた結晶化ガラスを得ることが困難になる。さらに、ガラスの溶融性が悪化したり、ガラス融液の粘度が大きくなって、清澄しにくくなったりガラスの成形が難しくなる傾向がある。一方、LiOの含有量が多すぎると、結晶性が強くなりすぎて、ガラスが失透する傾向にあり、ガラスが破損しやすくなる。よって、LiOの含有量は4.5%以下、特に4%以下であることが好ましい。
【0046】
TiOは結晶化工程で結晶を析出させるための核形成剤となる成分である。TiOの含有量は1.5〜3%、1.6〜2.5%、特に1.7〜2.3%であることが好ましい。TiOの含有量が3%より多くなると、着色が強まる傾向がある。また、ガラスが失透する傾向にあり、破損しやすくなる。一方、TiOの含有量が1.5%より少なくなると、結晶核が十分に形成されず、粗大な結晶が析出して白濁したり、破損したりするおそれがある。
【0047】
本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスにおいて、LiO+0.741MgO+0.367ZnOは3.7〜4.5、3.8〜4.4、特に3.8〜4.2の範囲を満たすことが好ましい。LiO+0.741MgO+0.367ZnOが4.5を超えると、結晶化ガラスにおけるガラス相中のAl量が低減し、Alによる着色抑制の効果が得られにくくなる。一方、LiO+0.741MgO+0.367ZnOが3.7未満になると、結晶化ガラスにおけるLiO−Al−SiO系結晶の粒子径が大きくなって、白濁が生じやすくなる。結果として、結晶化ガラスの透明感が損なわれてしまうおそれがある。
【0048】
なお、MgO、ZnOの各成分の含有量は、上記範囲を満たしていれば特に限定されないが、例えば下記の範囲に制限することが好ましい。
【0049】
MgOはLiO−Al−SiO系結晶に固溶し、LiO−Al−SiO系結晶の熱膨張係数を増加させる効果を有する成分である。MgOの含有量は0〜2%、0.1〜1.5%、0.1〜1.3%、特に0.1〜1.2%であることが好ましい。MgOの含有量が2%より多くなると、結晶性が強くなりすぎて失透する傾向にあり、ガラスが破損しやすくなる。
【0050】
ZnOはMgOと同様に、LiO−Al−SiO系結晶に固溶する成分である。ZnOの含有量は0〜2%、0〜1.5%、特に0.1〜1.2%であることが好ましい。ZnOの含有量が2%より多くなると、結晶性が強くなりすぎるため、緩やかに冷却しながら成形するとガラスが失透する傾向にある。結果として、ガラスが破損しやすくなるため、例えばフロート法での成形が難しくなる。
【0051】
本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスにおいて、SrO+1.847CaOは0.5以下、0.4以下、特に0.2以下の範囲を満たすことが好ましい。SrO+1.847CaOが0.5を超えると、結晶化ガラスの着色の度合いが大きくなり、また白濁も生じやすくなる。
【0052】
なお、SrO、CaOの各成分の含有量は、上記範囲を満たしていれば特に限定されないが、例えば、SrOについては0.5%以下、特に0.3%以下、CaOについては0.2%以下、特に0.1%以下に制限することが好ましい。
【0053】
SnOは清澄剤として働く成分である。SnOの含有量は0.1〜0.5%、0.1〜0.4%、特に0.1〜0.3%であることが好ましい。SnOの含有量が0.1%未満であると、清澄剤としての効果が得られにくくなる。一方、SnOの含有量が0.5%を超えると、TiOやFeの着色が強くなりすぎて、結晶化ガラスが黄色味を帯びやすくなる。また、失透しやすくなる。
【0054】
着色剤であるNdおよびCoOは、結晶化ガラスの透明度を低下させるため、実質的に含有しないことが好ましい。特に、CoOは着色能が非常に強く、微量であっても結晶化ガラスの色調を大きく変化させてしまう。したがって、本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスにおいて、着色剤であるNdおよびCoOは実質的に含有しないことが好ましい。これにより、透明感が高く、一定の色調を有するLiO−Al−SiO系透明結晶化ガラスを得ることが可能となる。また、Ndは希土類であるため原料コストが高くなりやすいが、Ndを実質的に使用しなければ、安価なLiO−Al−SiO系結晶化ガラスを提供しやすくなる。ただし、透明感の高さよりも着色の少なさを優先させる場合には、例えばNdを500ppm程度添加しても構わない。
【0055】
不純物成分として混入してくるFeについても含有量を制限すべきである。Feの含有量は300ppm以下、250ppm以下、特に200ppm以下であることが好ましい。Feについては少なければ少ないほど着色が少なくなるため好ましいが、例えば60ppmを下回るような範囲にするには高純度原料等を使用する必要があり、安価なLiO−Al−SiO系結晶化ガラスを提供することができなくなる。
【0056】
本発明のLiO−Al−SiO系透明結晶化ガラスにおいては、上記成分以外にも、下記の種々の成分を添加することが可能である。
【0057】
ZrOはTiOと同様に、結晶化工程で結晶を析出させるための核形成成分である。ZrOの含有量は0〜3%、0.1〜2.5%、特に0.5〜2.3%であることが好ましい。ZrOの含有量が3%より多くなると、ガラスを溶融する際に失透する傾向にあり、ガラスの成形が難しくなる。
【0058】
なお本発明において、TiO+ZrOの含有量は3.8〜5%に制限され、特に4〜4.5%であることが好ましい。TiO+ZrOの含有量が上記範囲であれば、所望の色調を有し、かつ白濁の低減した透明感の高い結晶化ガラスを得ることが可能となる。
【0059】
はガラス溶融工程においてSiO原料の溶解を促進する成分である。Bの含有量は0〜2%であることが好ましい。Bの含有量が2%を越えると、ガラスの耐熱性が損なわれる傾向がある。
【0060】
はガラスの分相を促進して結晶核の形成を助ける成分である。Pの含有量は0〜3%、0.1〜3%、特に1〜2%であることが好ましい。Pの含有量が3%を超えると、溶融工程においてガラスが分相しやすくなり、所望の組成を有するガラスが得られにくくなるとともに、不透明となる傾向がある。
【0061】
また、ガラスの粘性を低下させて溶融性および成形性を向上させるために、NaO、KO、BaOを合量で0〜2%、特に0.1〜2%添加することが可能である。これらの成分の合量が2%を超えると、失透しやすくなる。
【0062】
なお上記成分のガラス原料としては、主要成分であるLiO、Al、SiOについては、炭酸リチウム、珪砂、珪石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウムが挙げられる。また、安価なLiO原料としてスポジュメンがあるが、一般的にFeが多く含まれていることが多いため使用量を制限して用いる必要がある。その他成分では、ZrO原料にはFeが混入しやすいものが多いため、Fe含有量が0.5%以下である珪酸ジルコニウムや高純度のZrOを用いることが好ましい。
【0063】
本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、3mm厚での透過光の色調が、CIE規格のL表示のb値で4.5以下、特に4以下であることが好ましい。また、400nmの透過率が、1.1mm厚で82.5%以上、特に83%以上であることが好ましい。
【0064】
本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、耐熱用途で使用されるため、熱膨張係数は極力ゼロに近いことが好ましい。具体的には、30〜380℃の温度範囲で−2.5×10−7/℃〜2.5×10−7/℃、特に−1.5×10−7/℃〜1.5×10−7/℃であることが好ましい。熱膨張係数が当該範囲を外れると、破損のリスクが高くなりやすい。
【0065】
本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、例えば、原料バッチに対し、最高温度1780℃未満かつ溶解効率1〜6m/(t/day)の条件でガラス溶融を行う工程、溶融ガラスを所定の形状に成形して結晶性ガラスを得る工程、結晶性ガラスに熱処理を施すことにより結晶化させる工程、を含むことを特徴とするLiO−Al−SiO系透明結晶化ガラスの製造方法により作製することができる。
【0066】
ガラス溶融時の最高温度は1780℃未満、1750℃以下、特に1700℃以下であることが好ましい。ガラス溶融時の最高温度が1780℃以上であると、Sn成分が還元されやすくなり、着色が強まる傾向がある。ガラス溶融時の最高温度の下限は特に限定されないが、十分にガラス反応が進み、均一なガラスが得るため、1600℃以上、特に1650℃以上であることが好ましい。
【0067】
ガラスの溶解効率は1〜6m/(t/day)、特に1.5〜5m/(t/day)であることが好ましい。ガラスの溶解効率が1m/(t/day)未満であると、溶融時間が短くなり、結果として清澄の時間も短くなるため、泡品位に優れたガラスが得られにくくなる。一方、ガラスの溶解効率が6m/(t/day)を超えると、Sn成分が還元されやすくなり、着色が強まる傾向がある。
【0068】
溶融ガラスを所定の形状に成形することにより結晶性ガラスを得ることができる。ここで、成形方法は、目的とする形状に応じて、フロート法、プレス法、ロールアウト法等の種々の成形方法を適用することができる。
【0069】
このようにして作製した結晶性ガラスから、例えば以下のようにして結晶化ガラスを作製する。なお、本発明では、一種の結晶性ガラスに対して、熱処理温度(特に結晶成長段階における熱処理温度)を適宜変更することにより、所望の特性を有する透明結晶化ガラスと白色結晶化ガラスの両者を製造することも可能である。その場合、結晶化工程までの原料調製、溶融、成形等の各工程を一本化できるため、製造コストを抑えることができる。
【0070】
成形したLiO−Al−SiO系結晶性ガラスを、600〜800℃で1〜5時間熱処理して結晶核を形成させた後(結晶核生成段階)、さらに800〜950℃で0.5〜3時間熱処理を行い、主結晶としてLiO−Al−SiO系結晶を析出させることで(結晶成長段階)、LiO−Al−SiO系透明結晶化ガラスとすることができる。
【0071】
なお、結晶成長段階で、1000℃以上、特に1100℃以上の高温で熱処理を行うことにより、β−スポジュメン固溶体結晶を主結晶として析出してなる白色のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスを得ることができる。ただし、結晶成長段階における熱処理温度が高すぎると、結晶の成長速度が速くなって粗大な結晶となりやすい。よって、上限は1150℃以下、特に1145℃以下であることが好ましい。なお、結晶成長段階における熱処理時間は、十分に結晶が成長し、かつ、粗大な結晶とならないように、例えば0.1〜3時間の間で適宜選択される。
【0072】
また、析出する結晶が大きくなるほど、誘電損失が高くなって、例えば電子レンジの棚板等の電磁波を使用する用途の場合に、局部的に温度が高くなって破損の原因となる。結晶粒径を小さくするためには、結晶核生成段階において多くの核を形成させる熱処理条件を設定することが好ましい。具体的には、結晶核生成段階において700〜820℃で熱処理することが好ましい。当該範囲より温度が低いと結晶核が生成しにくく、当該範囲より温度が高いと結晶の成長が始まってしまうおそれがある。核形成の時間は、十分な量の結晶核が生成されれば特に限定されず、例えば1〜5時間の間で適宜選択される。
【0073】
LiO−Al−SiO系白色結晶化ガラスの組成は、特に断りがない限り、既述のLiO−Al−SiO系透明結晶化ガラスと同様の組成を有することが好ましい。
【0074】
LiO−Al−SiO系白色結晶化ガラスにおいて、アルカリやアルカリ土類成分が多いほど熱膨張係数や誘電損失が高くなりやすい。これは、一般的に、アルカリやアルカリ土類成分はガラス中の非架橋酸素を増加させるため、これらの成分を添加すると、ガラス中において、熱エネルギーによる分子の振動が大きくなったり、イオンが移動しやすくなったりするためであると考えられる。したがって、アルカリやアルカリ土類成分の含有量を少なくすることにより、熱膨張係数および誘電損失を低減することができる。ただし、メカニズムの詳細は不明であるが、アルカリやアルカリ土類成分の含有量が少なすぎても、熱膨張係数および誘電損失が高くなりやすい。
【0075】
加えて、アルカリやアルカリ土類成分は溶融促進成分として働き、これらの成分を添加することにより、ガラス中に気泡が残存しにくくなるという効果も奏する。特に、清澄剤としてAsやSbを使用しない場合は、たとえ代替清澄剤としてSnOを添加していたとしても、ガラス中の気泡が多くなりやすいため、アルカリやアルカリ土類成分を添加する効果が大きい。
【0076】
以上に鑑み、LiO−Al−SiO系白色結晶化ガラスにおいて、アルカリやアルカリ土類成分、特に、上記効果に影響を与えやすいBaO、NaO、KOの含有量を調整することが好ましい。具体的には、BaO+2.474NaO+1.628KOは0.6〜3.3、特に1〜3.2であることが好ましい。ここで、NaOおよびKOの係数はBaOモル換算するためのものである。
【0077】
なお、ガラス中におけるイオンの移動しやすさは、混合アルカリ効果によってさらに低減できることがわかった。そこで、BaO、NaOおよびKOの各成分を0.1%以上ずつ含有することにより、ガラス中におけるイオンの移動を抑制する効果がより一層得られやすくなり、低い熱膨張係数および誘電損失を達成しやすくなる。
【0078】
LiO−Al−SiO系白色結晶化ガラスの熱膨張係数は、30〜750℃の範囲で15×10−7/℃以下、特に14×10−7/℃以下であることが好ましい。LiO−Al−SiO系白色結晶化ガラスの熱膨張係数が当該範囲を超えると、耐熱用途で使用した際に破損しやすくなる。なお、熱膨張係数の下限は特に限定されないが、現実的には5×10−7/℃以上、特に10×10−7/℃以上である。
【0079】
LiO−Al−SiO系白色結晶化ガラスの誘電損失は、周波数2.45GHzにおいて48×10−3以下、特に47×10−3以下であることが好ましい。LiO−Al−SiO系白色結晶化ガラスの誘電損失が当該範囲を超えると、例えば電子レンジの棚板等の電磁波を使用する用途の場合に、局所的に温度が高くなって破損しやすくなる。なお、誘電損失の下限は特に限定されないが、現実的には周波数2.45GHzにおいて20×10−3以上、特に30×10−3以上である。
【0080】
本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、切断、研磨、曲げ加工等の後加工を施したり、表面に絵付け等を施しても構わない。
【実施例】
【0081】
以下、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0082】
(実施例1〜7および比較例1〜6)
まず表1に記載の組成を有するガラスとなるように、各原料を酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の形態で調合し、均一に混合した。得られた原料バッチを酸素燃焼による耐火物窯に投入し、溶解効率2.5m/(t/day)、最高温度1680℃となる条件で溶融した。白金スターラーによりガラス融液を攪拌した後、4mmの厚さにロール成形し、さらに徐冷炉を用いて室温まで冷却することにより結晶性ガラスを得た。
【0083】
結晶性ガラスに対して、760〜780℃で3時間熱処理して核形成を行った後、さらに870℃〜890℃で1時間の熱処理を行い結晶化させた。得られた結晶化ガラスについて、色調、透過率、熱膨張係数を測定した。
【0084】
透過光の色調は、肉厚3mmに両面光学研磨した透明結晶化ガラス板について、分光光度系を用いて波長380〜780nmの透過率を測定し、当該透過率からCIE規格のL値を算出することにより評価した。
【0085】
透過率は、1.1mmに両面光学研磨した結晶化ガラス板について、分光光度系を用いて測定した波長400nmでの透過率により評価した。
【0086】
熱膨張係数は、50mm×5mmφの無垢棒に加工したガラス試料を用いて、30〜380℃の温度域で測定した平均線熱膨張係数により評価した。
【0087】
【表1】

【0088】
【表2】

【0089】
表1から明らかなように、実施例の結晶化ガラスはいずれもb値が3.9以下と小さく、また透過率も83%以上と高いことがわかる。それに対して、比較例の結晶化ガラスは、b値が4.6以上と大きかった。また、比較例2、4、5の結晶化ガラスは、透過率も81%以下と低かった。
【0090】
(実施例8)
溶解効率2m/(t/day)、最高温度1820℃で溶解を行った以外は、実施例1と同様にして結晶化ガラスを作製した。得られた結晶化ガラスのb値を測定したところ、実施例1の結晶化ガラスと比較して1程度大きくなり、着色が強くなることがわかった。
【0091】
(実施例9〜14および比較例7〜10)
表3および4は実施例9〜14および比較例7〜10を示している。
【0092】
【表3】

【0093】
【表4】

【0094】
各試料は次のようにして作製した。まず表の組成を有するガラスとなるように、各原料を酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の形態で調合して均一に混合し、原料バッチを調製した。原料バッチを白金坩堝に投入し、電気炉内にて1600℃で18時間溶融し、その後さらに1650℃で2時間溶融した。次いで、白金坩堝から流し出した溶融ガラスを5mmの厚さにロール成型した後、除冷炉内で室温まで冷却し、LiO−Al−SiO系結晶性ガラスを得た。
【0095】
得られたLiO−Al−SiO系結晶性ガラスを、790℃で100分間加熱して核生成した後、1130℃で30分間加熱して結晶成長させることにより、LiO−Al−SiO系白色結晶化ガラスを得た。
【0096】
得られたLiO−Al−SiO系白色結晶化ガラスについて、熱膨張係数、誘電損失を評価した。
【0097】
熱膨張係数は、LiO−Al−SiO系白色結晶化ガラスを50mm×5mmφの無垢棒に加工し、30〜750℃の温度域での平均線熱膨張係数をディラトメーターを用いて測定することにより評価した。
【0098】
誘電損失は空洞共振器(測定周波数2.45GHz、25℃)により求めた。
【0099】
表3および4から明らかなように、実施例9〜14のLiO−Al−SiO系白色結晶化ガラスは、14×10−7以下と低い熱膨張特性および47×10−3以下という低い誘電損失を有していることがわかる。
【0100】
一方、比較例7、8、10のLiO−Al−SiO系白色結晶化ガラスは、熱膨張係数が16×10−7以上と大きくなった。また、比較例7〜9のLiO−Al−SiO系白色結晶化ガラスは、誘電損失が49×10−3以上と大きくなった。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、石油ストーブ、薪ストーブ等の前面窓、カラーフィルターやイメージセンサー用基板等のハイテク製品用基板、電子部品焼成用セッター、電子レンジ用棚板、電磁調理用トッププレート、防火戸用窓ガラス等に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成として質量%で、SiO 55〜75%、Al 20.5〜27%、LiO 2%以上、TiO 1.5〜3%、TiO+ZrO 3.8〜5%、SnO 0.1〜0.5%を含有し、3.7≦LiO+0.741MgO+0.367ZnO≦4.5かつSrO+1.847CaO≦0.5の関係を満たすことを特徴とするLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項2】
外観が透明であることを特徴とする請求項1に記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項3】
主結晶としてβ−石英固溶体を含有することを特徴とする請求項1または2に記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項4】
MgOを0.1%以上含有すること特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項5】
NdおよびCoOを実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項6】
Feを30〜300ppm含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項7】
3mm厚での透過光の色調が、CIE規格のL表示のb値で4.5以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項8】
厚み1.1mm、波長400nmにおける透過率が82.5%以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項9】
30〜380℃における熱膨張係数が、−2.5×10−7/℃〜2.5×10−7/℃であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項10】
主結晶としてβ−スポジュメン固溶体を含有することを特徴とする請求項1に記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項11】
外観が白色であることを特徴とする請求項1または10に記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項12】
0.6≦BaO+2.474NaO+1.628KO≦3.3の関係を満たすことを特徴とする請求項1、10および11のいずれかに記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項13】
質量%で、BaO、NaOおよびKOをそれぞれ0.1%以上含有することを特徴とする請求項1および10〜12のいずれかに記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項14】
30〜750℃での熱膨張係数が、15×10−7/℃以下であることを特徴とする請求項1および10〜13のいずれかに記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項15】
周波数2.45GHzでの誘電損失が48×10−3以下であることを特徴とする請求項1および10〜14のいずれかに記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれかに記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスの製造方法であって、最高温度1780℃未満かつ溶解効率1〜6m/(t/day)の条件でガラス溶融を行う工程、溶融ガラスを所定の形状に成形して結晶性ガラスを得る工程、結晶性ガラスに熱処理を施すことにより結晶化させる工程、を含むことを特徴とするLiO−Al−SiO系結晶化ガラスの製造方法。

【公開番号】特開2012−56829(P2012−56829A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97770(P2011−97770)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】