説明

Li2O−Al2O3−SiO2系結晶化ガラス

【課題】 溶融温度が変動しても、着色状態の変化がないLiO−Al−SiO系結晶化ガラスを提供する。
【解決手段】 V 0.01〜0.2質量%、SnO 0.1〜0.5質量%含有し、As及びSbを実質的に含有せず、主結晶としてβ−石英固溶体を析出してなるLiO−Al−SiO系結晶化ガラスであって、MnO及び/又はCeOを含有し、(MnO+CeO)/SnOが質量基準で0.2〜1.2であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、IH、ハロゲンヒーター等を熱源とする調理器のトッププレートに使用されるV着色されたLiO−Al−SiO系結晶化ガラスに関し、特に、清澄剤としてSnOを使用したV着色LiO−Al−SiO系結晶化ガラスに関するものである。
【背景技術】
【0002】
IH、ハロゲンヒーター等を熱源とする調理器のトッププレートには、破損し難いこと(機械的強度及び耐熱衝撃性が高いこと)、外観が美しいこと、腐食し難いこと、化学耐久性が高いこと)、熱線である赤外線の透過率が高いこと等が要求される。このため、β−石英固溶体(LiO−Al−nSiO(n≧2))を主結晶として析出し、Vで着色されたLiO−Al−SiO系結晶化ガラスが広く使用されている。
【0003】
主結晶としてβ−石英固溶体を析出するLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、析出したβ−石英固溶体によって極めて低い膨張を有しており、耐熱衝撃性に優れた結晶化ガラスとして知られている。またβ−石英固溶体の結晶粒径が微小であることから可視光線(及び赤外線)に対して透明である。それゆえ、そのままトッププレートとして使用すると、調理器内部が透けて見えてしまい、美観が得られない。そこで、トッププレートとして用いられる結晶化ガラスには、可視光に吸収域を有するVを着色剤としてガラスに添加し、可視光の透過率を低くすることが行われている。
【0004】
LiO−Al−SiO系結晶化ガラスを工業的に生産するには、調合したガラス原料をガラス溶融炉に投入して、溶融、清澄を行った後、ガラス融液を成形装置に供給し、ロールアウト法、フロート法等の方法で、板状に成形し切断した後、結晶化する方法が採用されている。この系のガラスは、粘性が高く、1500〜1600℃以上の高温で溶融することが必要であるため、従来は清澄剤としてAsが用いられてきた。ところがAsは毒性が強く環境上有害であることから、近年ではその使用が避けられており、代わりにSnOが清澄剤として用いられるようになってきている(例えば特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−100299号公報
【特許文献2】特開平11−100230号公報
【特許文献3】特表2004−523446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
を含有するLiO−Al−SiO系結晶化ガラスに清澄剤としてSnOを添加すると、SnOがVの発色効率を強める働きをする。これはSnOの酸化還元作用によりVの価数が低価数側にシフトするためであると考えられる。このSnOの酸化還元状態は溶融温度によって変化する。例えば溶融温度が上昇するとSnOの状態は還元側へと変化する。
【0007】
ところで通常のガラス製造プロセスでは、操業中に溶融条件を調整するのが常であり、その一環として溶融温度を変化させることがある。その結果、SnOの酸化還元状態の変化に伴ってVの着色状態が変動し、結晶化ガラスの色調が安定しなくなる、という問題が生じ易い。
【0008】
本発明の目的は、溶融温度が変動しても、着色状態の変化がないLiO−Al−SiO系結晶化ガラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、種々の調査を行った結果、ある割合でSnOと、MnOやCeOを共存させることにより、溶融温度が変動してもこれらの成分がSnOを酸化して、SnOの酸化還元状態を一定にできることを見いだし、本発明として提案するものである。
【0010】
即ち、本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、V 0.01〜0.2質量%、SnO 0.1〜0.5質量%含有し、As及びSbを実質的に含有せず、主結晶としてβ−石英固溶体を析出してなるLiO−Al−SiO系結晶化ガラスであって、MnO及び/又はCeOを含有し、(MnO+CeO)/SnOが質量基準で0.2〜1.2であることを特徴とする。本発明において「LiO−Al−SiO系結晶化ガラス」とは、LiO、Al及びSiOを含有し、LiO−Al−SiO系の結晶をガラスマトリックス中から析出させたガラスを意味する。「As及びSbを実質的に含有せず」とは、これらの成分の含有量が各々0.05質量%以下であることを意味する。
【0011】
本発明においては、MnO+CeOが0.03〜0.5質量%であることが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、溶融条件の変動による着色の変動を抑制することが容易になる。
【0013】
本発明においては、酸化物基準の質量%で、SiO 50〜80%、Al 12〜30%、LiO 1〜6%、MgO 0〜5%、ZnO 0〜10%、BaO 0〜8%、NaO 0〜5%、KO 0〜10%、TiO 0〜8%、ZrO 0〜7%、P 0〜10%、V 0.01〜0.2%、MnO 0〜0.5%、CeO 0〜0.5%、SnO 0.1〜0.5%含有し、(MnO+CeO)/SnOが質量基準で0.2〜1.2であることが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、調理器用トッププレートとして要求される種々の特性を満足する結晶化ガラスを容易に得ることができる。
【0015】
本発明においては、MnO及びCeOの何れか一方のみを含有することが好ましい。
【0016】
MnO及びCeOの両方を添加した場合、MnOとCeOの間で酸化還元反応が起こり易く、SnOの酸化還元状態を安定化させる効果が小さくなるが、上記構成であればこのような懸念が生じなくなる。
【0017】
本発明においては、Feの含有量が1000ppm以下であることが好ましい。
【0018】
Feは、SnOやVの酸化還元状態に影響を与え得る成分であるが、上記構成によれば、この影響が無視できるレベルとなる。
【0019】
本発明においては、調理器のトッププレートとして使用されることが好ましい。
【0020】
上記構成によれば、本発明の効果を的確に享受できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、MnOやCeOの働きによってSnOの酸化還元状態を安定化させることができることから、Vの発色状態が溶融温度の変動に影響され難い。よって結晶化ガラスの色調が安定する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、主結晶としてβ−石英固溶体を析出している。それゆえ熱膨張係数が−10〜10×10−7/℃、特に−5〜5×10−7/℃程度と極めて低い。それゆえ耐熱衝撃性に優れている。またβ−石英固溶体の結晶粒径は10〜100nm程度であり、可視光線の波長より小さい。このため可視光及び赤外光に透明な結晶化ガラスである。さらにガラスマトリックス中に微細な結晶が多数析出していることから、高い機械的強度を有する。
【0023】
本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、着色剤としてVを0.01〜0.2質量%含有する。Vは赤外域での吸収が殆どないものの、可視域に吸収帯がある。よってVを含有させた本発明の結晶化ガラスは、赤褐色の外観を呈し、しかも赤外線を透過するという性質を有している。このため、調理器内部を隠蔽して美しい外観を得ることができ、しかも赤外光の透過率が高く、効率良く加熱することができる。またトッププレート直下に設けられるLED等インジケーターの光を透過させることができる。Vの含有量が少ないと上記した効果を得ることができず、多すぎると色調が濃くなりすぎて、調理器のトッププレートとして使用した場合にLED等インジケーターの光を認識しづらくなる。Vの含有量の好ましい範囲は0.01〜0.15質量%、特に0.02〜0.1質量%である。
【0024】
本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、SnO 0.1〜0.5質量%含有し、As及びSbを実質的に含有しない結晶化ガラスである。
【0025】
SnOは、AsやSbの代替清澄剤として機能する。またVの発色を強める効果がある。SnOの含有量が少ないと上記した効果を得ることができず、多すぎるとVの発色が強くなりすぎて、調理器のトッププレートとして使用した場合にLED等インジケーターの光を認識しづらくなる。SnOの含有量の好ましい範囲は0.2〜0.4質量%である。
【0026】
本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、MnO及び/又はCeOを含有し、(MnO+CeO)/SnOが質量基準で0.2〜1.2である。
【0027】
MnOやCeOは、SnOを酸化する働きがあり、これによって溶融温度の変動によるSnOの酸化還元状態の変化を一定にする効果がある。なお既述の通り、MnOとCeOは、併用するよりも単独で使用することが望ましい。
【0028】
SnOの酸化還元状態を一定に保つには、MnOとCeOの合量と、SnOの含有量が一定の比率であることが必要である。そこで本発明においては、(MnO+CeO)/SnOの値が質量基準で0.2〜1.2となるように調整している。(MnO+CeO)/SnOの値が小さすぎるとSnOの酸化還元状態を一定に保つ効果が小さくなり、色調の安定化が困難になる。一方(MnO+CeO)/SnOの値が大きすぎると、必要以上にSnOを酸化してしまい、かえって色調が変動する。またMnOやCeOがVの酸化還元状態に直接関与し易くなり、溶融温度の変動に対する色調の変化が複雑となり、色調変動の制御が極めて困難になる。(MnO+CeO)/SnOの値の好ましい範囲は0.3〜1.1、特に0.3〜1.0である。
【0029】
本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスにおいては、Feの含有量を1000ppm以下に限定することが好ましい。Feの含有量が多すぎると、SnOやVの酸化還元状態に悪影響を与えるおそれがある。また赤外線透過率が低下する。Feの含有量の好適な範囲は700ppm以下、特に500ppm以下である。
【0030】
本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスにおいて、好適なガラス組成は酸化物基準の質量%で、SiO 50〜80%、Al 12〜30%、LiO 1〜6%、MgO 0〜5%、ZnO 0〜10%、BaO 0〜8%、NaO 0〜5%、KO 0〜10%、TiO 0〜8%、ZrO 0〜7%、P 0〜10%、V 0.01〜0.2%、MnO 0〜0.5%、CeO 0〜0.5%、SnO 0.1〜0.5%含有し、(MnO+CeO)/SnOが質量基準で0.2〜1.2である。各成分の組成範囲を上記のように限定した理由を以下に述べる。なおSnO、V及び(MnO+CeO)/SnOについては、既述の通りであり、ここでの説明は割愛する。また以降の記載において特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味する。
【0031】
SiOは、ガラスの骨格を形成すると共に、析出結晶の主要構成成分でもある。SiOの含有量が少なすぎると熱膨張係数が大きくなりすぎる。一方、SiOの含有量が多すぎるとガラスの高温粘度が高くなり、ガラスの溶融や成形が困難になる。SiO含有量の好適な範囲は52〜77%、特に55〜72である。
【0032】
Alはガラスの骨格を形成すると共に、析出結晶の構成成分でもある。Alの含有量が少なすぎると化学耐久性が悪化し、またガラスが失透しやすくなる。一方、Alの含有量が多すぎると、ガラスの高温粘度が高くなり、ガラスの溶融や成形が困難になる。Al含有量の好適な範囲は13〜28%、特に16〜24%である。
【0033】
LiOは、結晶構成成分であり、結晶性に大きな影響を与えると共に、ガラスの粘性を低下させる働きがある。LiOの含有量が少なすぎると、ガラスの結晶性が弱くなり、熱膨張係数が大きくなりすぎる。また結晶物が白濁しやすくなる。一方、LiOの含有量が多すぎると結晶性が強くなりすぎ、ガラスが失透したり、準安定なβ‐石英固溶体が得られなくなって透明結晶化ガラスを得ることができなくなる。LiO含有量の好適な範囲は1.2〜5.5%、特に2.5〜5.0%である。
【0034】
MgOの含有量が多すぎると結晶性が強くなり、析出結晶量が多くなりすぎる。MgOの好適な範囲は0〜4.5%、特に0〜2%である。
【0035】
ZnOの含有量が多すぎると結晶性が強くなり、析出結晶量が多くなりすぎる。ZnOの好適な範囲は0〜8%、特に0〜3%である。
【0036】
またMgOとZnOの合量は0〜10%、特に0〜8%であることが好ましい。これらの成分の合量が多すぎると結晶物の着色が強くなりやすい。
【0037】
BaOの含有量が多すぎると結晶の析出が阻害されるために十分な結晶量が得られず、熱膨張係数が大きくなりすぎる。さらに結晶物が白濁しやすくなる。BaOの好適な範囲は0.3〜7%、特に0.5〜3%である。
【0038】
NaOの含有量が多すぎると結晶性が弱くなって十分な結晶量が得られず、また熱膨張係数が大きくなりすぎる。NaOの好適な範囲は0〜4%、特に0〜1.5%である。
【0039】
Oの含有量が多すぎると結晶性が弱くなって十分な結晶量が得られず、また熱膨張係数が大きくなりすぎる。さらに結晶物が白濁しやすくなる。KOの好適な範囲は0〜8%、特に0〜2%である。
【0040】
またNaOとKOの合量は0〜12%、特に0〜3.5%であることが好ましい。これらの成分の合量が多すぎると熱膨張係数が大きくなりやすい。また結晶物が白濁しやすくなる。
【0041】
TiOは結晶化時の核形成剤である。TiOの含有量が多すぎると不純物着色が著しくなる。TiOの含有量の好適な範囲は0.3〜7%、特に0.5〜5%である。
【0042】
ZrOも結晶化時の核形成剤である。ZrOが多すぎるとガラス溶融が困難になると共に、ガラスの失透性が強くなる。ZrOの好適な範囲は0.5〜6%、特に0.5〜3%である。
【0043】
またTiOとZrOの合量は0.5%以上であることが好ましい。これらの成分の合量が少なすぎると結晶の析出が不十分となって、所望の特性を得ることが困難になる。
【0044】
は、分相を促進させて、結晶の析出を促がす成分である。含有量が多すぎるとガラスマトリックスの粘度が低下する。Pの好適な範囲は0〜5%、特に0〜3%である。
【0045】
MnO及びCeOは、SnOを酸化してSnOの酸化還元状態を安定化させる成分である。これらの成分の含有量が多いと必要以上にSnOを酸化してしまい、かえって色調が変動する。またMnOやCeOがVの酸化還元状態に直接関与し易くなり、溶融温度の変動に対する色調の変化が複雑となり、色調変動の制御が極めて困難になる。MnO及びCeOの含有量の好適な範囲は、各々0.03〜0.4%、特に各々0.05〜0.4%である。
【0046】
またSnOによる清澄を補助するためにClを0〜2%含有させることができる。ただしClの含有量が多すぎると化学耐久性が劣化してしまい好ましくない。Clの好適な範囲は0〜1%である。
【0047】
さらにガラス特性が損なわれない限り、種々の成分を添加可能である。例えばY、La、Nd等を添加しても良い。なお既述の通り、本発明においてはAsやSbは実質的に含有しない。
【0048】
次に本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスを製造する方法を以下に説明する。
【0049】
まず上記組成範囲となるように、炭酸リチウム、珪砂、珪石、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム等のガラス原料,及び必要に応じてガラスカレットを調合し、混合してバッチを調製する。ガラス組成範囲及びその限定理由は既述の通りであり、ここでの説明は割愛する。なお安価なリチウム原料としてスポジュウメンが知られているが、不純物としてFeが多く含まれていることが多いため、この原料を使用する場合はその量を制限して用いることが望ましい。またZrOを含有させる場合には、Feが多く含まれる原料が多いため、Fe含有量が0.5質量%以下である珪酸ジルコニウムや高純度のZrOを使用することが望ましい。
【0050】
次にバッチを溶融設備に投入し、最高温度1600〜1800℃の条件で溶融、清澄する。なお溶融の最高温度が上記範囲を外れると、MnOやCeOによってSnOの酸化還元状態を安定化させることが難しくなるおそれがある。
【0051】
次いで得られたガラス融液をロールアウト法、フロート法等の方法で板状に成形し、所定の長さに切断する。
【0052】
続いて、成形した結晶性ガラスを、ローラーハースキルン等の熱処理炉に投入し、核形成のために550〜800℃で0.5〜5時間保持し、さらに820〜920℃で0.1〜2時間熱処理して、β−石英固溶体を主結晶として析出させる。このようにして本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスを得ることができる。
【0053】
その後、必要に応じて研磨、絵付け等を施し、調理器用トッププレート等の用途に供する。
【実施例】
【0054】
以下、実施例に基づいて本発明を説明する。
【0055】
表1は本発明の実施例(No.1〜5)及び比較例(No.6〜8)を示している。
【0056】
【表1】

【0057】
【表2】

【0058】
試料No.1〜8は次のようにして作製した。まず表1のガラス組成となるように各原料を酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩等の形態で調合し、均一に混合した。得られた原料バッチを白金ルツボに投入し電気炉に入れた。次いで電気炉内で、1600℃で20時間溶融した後、引き続き1600℃で4時間溶融したもの(溶融条件1)と、更に1700℃に昇温して4時間溶融したもの(溶融条件2)とを、金属ロールで板状に成形した。成形後、更に徐冷炉を用いて室温まで冷却(冷却速度100℃/時間)することにより結晶性ガラスからなる試料を得た。
【0059】
次に得られた結晶性ガラス試料を熱処理炉に投入し、780℃で3時間熱処理して核形成を行った後、870℃で1時間熱処理して結晶化させた。得られた結晶化ガラス試料について、X線回折にて析出結晶を同定したところ、何れの試料もβ−石英固溶体が主結晶として析出していた。
【0060】
次に各試料の吸光度を求めた。結果を表1に示す。なお表中の吸光度比は、(溶融条件2の試料の吸光度)/(溶融条件1の試料の吸光度)の値であり、ここでは溶融温度の変化に対する色の変化の指標として用いた。吸光度比が1から離れるほど、溶融温度の変化に対して色が変化し易いことを意味する。
【0061】
その結果、本発明の実施例である試料No.1〜5は、吸光度比が1±0.05以内であり、溶融温度が変動しても色調が安定していることが確認された。
【0062】
なお吸光度は次のようにして求めた。ます肉厚3mmに鏡面研磨した結晶化ガラス板について、分光光度計を用いて波長700nmでの透過率を求めた。次に得られた透過率得を用いて、下記の式から吸光度を求めた。なおVの含有量が同じであれば、吸光度の比を見ることで、Vの吸収係数の変化率が分かるため、同一基準で比較することができる。
【0063】
吸光度=−log(透過率/100)
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明のLiO−Al−SiO系結晶化ガラスは、IH、ハロゲンヒーター等を熱源とする調理器用トッププレートとして好適である。またガスバーナーを加熱源とする調理器のトッププレートにも使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.01〜0.2質量%、SnO 0.1〜0.5質量%含有し、As及びSbを実質的に含有せず、主結晶としてβ−石英固溶体を析出してなるLiO−Al−SiO系結晶化ガラスであって、MnO及び/又はCeOを含有し、(MnO+CeO)/SnOが質量基準で0.2〜1.2であることを特徴とするLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項2】
MnO+CeOが0.03〜0.5質量%であることを特徴とする請求項1に記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項3】
酸化物基準の質量%で、SiO 50〜80%、Al 12〜30%、LiO 1〜6%、MgO 0〜5%、ZnO 0〜10%、BaO 0〜8%、NaO 0〜5%、KO 0〜10%、TiO 0〜8%、ZrO 0〜7%、P 0〜10%、V 0.01〜0.2%、MnO 0〜0.5%、CeO 0〜0.5%、SnO 0.1〜0.5%含有し、(MnO+CeO)/SnOが質量基準で0.2〜1.2であることを特徴とする請求項1又は2に記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項4】
MnO及びCeOの何れか一方のみを含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項5】
Feの含有量が1000ppm以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。
【請求項6】
調理器のトッププレートとして使用されることを特徴とする請求項1〜5の何れかのLiO−Al−SiO系結晶化ガラス。


【公開番号】特開2013−87022(P2013−87022A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229902(P2011−229902)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】