説明

Listeriaの決定に関するPNAプローブ、プローブセット、方法およびキット

本発明は、微生物のプローブベースの検出、分析および/または定量の分野に関する。より具体的には、本発明は、Listeria属の種々の種の生物の検出、同定および/または列挙のための新規のPNAプローブ、プローブセット、方法およびキットに関する。本発明の新規のPNAプローブは、Listeriaの特異的な検出において特に有用であるプローブ用ヌクレオベース(nucleobase)配列を含み、検出可能な標識を含むか、または自己指標的であり、検出、分析および/または定量において使用され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1.発明の分野)
本発明は、微生物のプローブベースの検出、分析および/または定量の分野に関する。より具体的には、本発明は、Listeria属の種々の種の生物の検出、同定および/または列挙のための新規のPNAプローブ、プローブセット、方法およびキットに関する。
【背景技術】
【0002】
(2.背景技術)
核酸ハイブリダイゼーションは、分子生物学の基本的なプロセスである。プローブベースのアッセイが、核酸の検出、定量および/または分析において有用である。核酸プローブは、長い間、細菌、真菌、ウイルスまたは他の生物に由来する核酸の存在についてサンプルを分析するために使用されており、目的の遺伝学ベースの疾患状態または臨床的状態の試験においてもまた有用である。そうであるにもかかわらず、プローブベースのアッセイは、商業的成功の達成が遅れている。この商業的成功の欠如は、少なくとも部分的には、特異性、感度および信頼性に関連する困難性の結果である。
【0003】
その名にも関わらず、ペプチド核酸(PNA)は、ペプチドでも核酸でもなく、酸でもない。ペプチド核酸(PNA)は、配列特異性を有して核酸(DNAおよびRNA)とハイブリダイズし得る、天然に存在しないポリアミドである(米国特許第5、539、082号およびEgholmら、Nature 365:566−568(1993)を参照のこと)。天然に存在しない分子であるので、非改変のPNAは、ペプチドまたは核酸を分解することが公知である酵素の基質ではないことが公知である。そのため、PNAは、生物学的サンプル中において安定であるはずであり、長い保存期間を有するはずである。イオン強度に非常に依存する核酸ハイブリダイゼーションとは異なり、PNAの核酸とのハイブリダイゼーションは、イオン強度とはかなり独立しており、低いイオン強度である、核酸と核酸とのハイブリダイゼーションに非常に不適切である条件を好む(Egholmら、Nature、567頁)。PNA複合体の安定性および構造に対するイオン強度の影響は、広範囲にわたって調査されている(Tomacら、J.Am.Chem.Soc.118:5544−5552(1996))。配列識別は、DNAを認識するDNAよりも、DNAを認識するPNAにおいてより効率的である(Egholmら、Nature、566頁)。しかし、ハイブリダイゼーションアッセイにおいて、DNAプローブと比較した場合のPNAプローブによる点変異識別の利点は、いくらか配列依存的なことであるようである(Nielsenら、Anti−Cancer Drug Design 8:53−65、(1993)およびWeilerら、Nucl.AcidsRes.25:2792−2799(1997))。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
PNAは、配列特異性を有して核酸とハイブリダイズするが(Egholmら、Nature、567頁を参照のこと)、PNAは、少なくとも部分的には、コスト、可溶度および自己凝集に関連する配列特異的な特性/問題(Bergman、F.、Bannwarth、W.およびTam、S.、Tett.Lett.36:6823−6826(1995)、Haaima、G.、Lohse、A.、Buchardt、O.およびNielsen、P.E.、Angew.Chem.Int.Ed.Engl.35:1939−1942(1996)ならびにLesnik、E.、Hassman、F.、Barbeau、J.、Teng、K.およびWeiler、K.、Nucleosides&Nucleotides 16:1775−1779(1997)433頁1欄28行〜2欄3行を参照のこと)、ならびに複雑なシステム(たとえば、細胞)で発生し得る非特異的な相互作用に関する不確実性(Good、L.ら、Antisense&Nucleic Acid Drug Development 7:431−437(1997)を参照のこと)に起因して、商業的成功の達成が遅れている。しかし、溶解度および自己凝集に関連する問題は、減少または除去されている(Gildeaら,Tett.Lett.39:7255−7258(1998)を参照のこと)。そうであるにもかかわらず、その独特な特性は、PNAが、構造または機能のいずれかにおいて核酸と等価ではないことを明確に実証している。結果的に、PNAプローブは、特に標的配列が複雑なサンプル(例えば、細胞、組織または生物)中に存在する場合に、その性能および最適化について評価をして、それによって、特定の標的核酸配列を特異的かつ信頼できるように検出するために、それらが使用され得るか否かを確認すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の開示)
(1.要旨)
本発明は、サンプル中のListeria細菌を検出、同定および/または定量するために有用である、PNAプローブ、プローブセット、方法およびキットに関する。本発明のPNAプローブ、プローブセット、方法およびキットは、核酸が目的の生物内に存在するか否かについて、その核酸の分析のために使用され得る。従って、本発明は、生物の分析あるいは、目的の生物から抽出されたか、または目的の生物に由来する核酸の分析の両方のために使用され得る。
【0006】
一般的に、本発明は、Listeria細菌の決定のために有用であり得る。本発明のPNAプローブおよびプローブセット中のプローブは、Listeriaの特異的な検出において特に有用であるプローブ用ヌクレオベース配列(nucleobase sequence)を含む。1つの実施形態において、プローブ用ヌクレオベース配列は、Listeria属の生物を決定するために選択される。別の実施形態において、プローブ用ヌクレオベース配列は、Listeria monocytogenesを決定するために選択される。本発明のプローブのための例示的なプローブ用ヌクレオベース配列を、下の表1において列挙する。この表は、Listeria属またはListeria monocytogenesのいずれかを決定するために選択されるように、各配列を同定する。
【0007】
1つの実施形態において、サンプル中のListeriaを決定するための方法は、サンプルを1種類以上のPNAプローブと接触させる工程(適切なプローブは、本明細書に記載されている)を包含する。この方法に従って、次いで、サンプル中のListeriaの存在、非存在および/または量が、検出、同定および/または定量される。プローブ用ヌクレオベース配列に依存して、決定は、Listeria属の生物についてであり得るか、またはListeria monocytogenesの決定のためであり得る。検出、同定および/または定量は、適切なハイブリダイゼーション条件または適切なインサイチュハイブリダイゼーション条件の下での、PNAプローブ(単独または複数)のプローブ用ヌクレオベース配列と標的配列とのハイブリダイゼーションを、サンプル中の標的生物の存在、非存在および/または量と相関付けることにより可能となる。この相関付けは、プローブ/標的配列ハイブリッドの直接的な決定または間接的な決定によって可能となる。
【0008】
なお別の実施形態において、本発明は、サンプル中のListeriaの存在、非存在および/または量を決定するアッセイを実行するために適したキットに関する。本発明のキットは、1種類以上のPNAプローブおよび、アッセイを実行するため、またはそうでなければアッセイの実行を簡単にするために選択される他の試薬、緩衝液または組成物を含む。
【0009】
本発明のPNAプローブ、プローブセット、方法およびキットは、Listeria属の生物または、場合によっては、Listeria monocytogenesについて有用であることが実証されている。さらに、本明細書に記載されるアッセイは、迅速であり(2〜3時間以下)、敏感であり、信頼性があり、そして、1度のアッセイにおいて、表1に列挙した生物の同定ならびに、検出および/または列挙が可能である。
【0010】
本発明のPNAプローブ、プローブセット、方法およびキットは、食品、飲料、水、薬学的製品、個人的ケア製品、日用品および/または環境サンプル中のListeriaの決定のために特に有用であり得る。飲料の分析としては、ソーダ、ボトル入りの水、フルーツジュース、ビール、ワインまたはアルコール性製品が挙げられる。適切なPNAプローブ、プローブセット、方法およびキットは、食品、飲料、水、薬学的製品、個人的ケア製品、日用品を製造または貯蔵するために使用される、原料、装置、製品またはプロセスの分析、あるいは環境サンプルの分析のために特に有用であり得る。
【0011】
さらに、本発明のPNAプローブ、プローブセット、方法およびキットは、臨床的サンプルおよび臨床的環境におけるListeria種の検出のために特に有用であり得る。臨床的サンプルの非限定的な例としては、以下が挙げられる:痰、喉頭に入れた綿棒(laryngeal swab)、胃洗浄液(gastric lavage)、気管支洗浄液(bronchial washing)、生検材料、胃内容物、吐出物、体液(例えば、脊髄の液、胸膜の液、心膜の液、滑膜の液、血液、膿の液、羊膜の液、および尿)、骨髄および組織切片(培養物およびそれらからに由来する継代培養物を含む)。適切なPNAプローブ、プローブセット、方法およびキットはまた、臨床標本の分析、装置、備品、ヒトまたは動物を処置するために使用される製品のために有用である。
【0012】
(2.発明の考察)
(I.定義:)
a.本明細書で使用する場合、「ヌクレオベース」とは、核酸技術またはペプチド核酸技術を利用して、それによって核酸に配列特異的に結合し得るポリマーを生成する者にとって周知である、自然に存在する複素環式部分および自然に存在しない複素環式部分を意味する。適切なヌクレオベースの非限定的な例としては、以下が挙げられる:アデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシル、5−プロピニル−ウラシル、2−チオ−5−プロピニル−ウラシル、5−メチルシトシン、プソイドイソシトシン、2−チオウラシルおよび2−チオチミン、2−アミノプリン、N9−(2−アミノ−6−クロロプリン)、N9−(2、6−ジアミノプリン)、ヒポキサンチン、N9−(7−デアザ−グアニン)、N9−(7−デアザ−8−アザ−グアニン)およびN8−(7−デアザ−8−アザ−アデニン)。適切なヌクレオベースの他の非限定的な例としては、Buchardtらの米国特許第6、357、163号(本明細書において参考として援用される)の図2(A)および2(B)に示されるヌクレオベースが挙げられる。
【0013】
b.本明細書で使用する場合、「ヌクレオベース配列」とは、ヌクレオベース含有サブユニットを含むポリマーの任意のセグメントまたは2つ以上の任意のセグメント集合体を意味する。適切なポリマーの非限定的な例としては、オリゴデオキシヌクレオチド(例えば、DNA)、オリゴリボヌクレオチド(例えば、RNA)、ペプチド核酸(PNA)、PNAキメラ、PNAオリゴマー、核酸アナログおよび/または核酸模倣物が挙げられる。
【0014】
c.本明細書で使用する場合、「標的配列」とは、決定することが求められるポリヌクレオベース鎖のヌクレオベース配列である。標的配列は、Listeria細菌のrRNAのサブ配列であり得る。標的配列はまた、ListeriaのrRNAのcDNAまたはcRNAのサブ配列であり得る。
【0015】
d.本明細書で使用する場合、「ポリヌクレオベース鎖」とは、ヌクレオベースサブユニットを含む完全に一本鎖のポリマー鎖を意味する。
【0016】
e.本明細書で使用する場合、「核酸」とは、ヌクレオベース配列を含有する、ヌクレオチドまたはそのアナログから形成されるバックボーンを有する、ポリマーまたはポリヌクレオベース鎖である。好ましい核酸は、DNAおよびRNAである。いかなる疑いも避けるために、PNAは、核酸模倣物であって、核酸アナログではない。
【0017】
f.本明細書で使用する場合、「ぺプチド核酸」または「PNA」とは、2つ以上のPNAサブユニット(残基)を含む、任意のオリゴマーセグメントまたはポリマーセグメントを意味する。ぺプチド核酸としては、米国特許第5、539、082号、第5、527、675号、第5、623、049号、第5、714、331号、第5、718、262号、第5、736、336号、第5、773、571号、第5、766、855号、第5、786、461号、第5、837、459号、第5、891、625号、第5、972、610号、第5、986、053号、第6、107、470号および第6、357、163号(これらの全てが、本明細書において参考として援用されている)においてペプチド核酸として言及または請求の範囲に記載されている、オリゴマーセグメントまたはポリマーセグメントの内の任意のものが挙げられるが、これらに限定されない。用語「ペプチド核酸」または「PNA」はまた、以下の刊行物に記載されている核酸模倣物の2つ以上のサブユニットを含む、任意のオリゴマーセグメントまたはポリマーセグメントにも適用される:Lagriffoulら、Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters、4:1081−1082(1994);Petersenら、Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters、6:793−796(1996);Diderichsenら、Tett.Lett.37:475−478(1996);Fujiiら、Bioorg.Med.Chem.Lett.7:637−627(1997);Jordanら、Bioorg.Med.Chem.Lett.7:687−690(1997);Krotzら、Tett.Lett.36:6941−6944(1995);Lagriffoulら、Bioorg.Med.Chem.Lett.4:1081−1082(1994);Diederichsen,U.、Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters、7:1743−1746(1997);Loweら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.1、(1997)1:539−546;Loweら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.11:547−554(1997);Loweら、J.Chem.Soc.Perkin Trans.11:555−560(1997);Howarthら、J.Org.Chem.62:5441−5450(1997);Altmann、K−Hら、Bioorganic&Medicinal Chemistry Letters、7:1119−1122(1997);Diederichsen,U.、Bioorganic&Med.Chem.Lett.、8:165−168(1998);Diederichsenら、Angew.Chem.Int.Ed.、37:302−305(1998);Cantinら、Tett.Lett.、38:4211−4214(1997);Ciapettiら、Tetrahedron、53:1167−1176(1997);Lagriffouleら、Chem.Eur.J.、3:912−919(1997);Kumarら、Organic Letters 3(9):1269−1272(2001);およびW096/04000で開示されるShahらのthe Peptide−Based Nucleic Acid Mimics(PENAMS)。
【0018】
特定の実施形態において、「ペプチド核酸」または「PNA」は、以下の式の2つ以上の共有結合したサブユニットを含む、オリゴマーセグメントまたはポリマーセグメントである:
【0019】
【化11】

【0020】
ここで、各Jは、同じかまたは異なり、H、R、OR、SR、NHR、NR、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択される。各Kは、同じかまたは異なり、O、S、NHおよびNRからなる群から選択される。各Rは、同じかまたは異なり、必要に応じて、ヘテロ元素、あるいは置換アリール基または非置換アリール基を含み得る、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基である。各Aは、単結合、式;−(CJ−の基、および式;−(CJC(O)−の基からなる群から選択され、ここで、Jは、上記のように定義され、各sは、1〜5間での全ての数である。各tは、1または2であり、各uは、1または2である。各Lは、同じかまたは異なり、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシル、5−プロピニル−ウラシル、2−チオ−5−プロピニル−ウラシル、5−メチルシトシン、プソイドイソシトシン、2−チオウラシルおよび2−チオチミン、2−アミノプリン、N9−(2−アミノ−6−クロロプリン)、N9−(2、6−ジアミノプリン)、ヒポキサンチン、N9−(7−デアザ−グアニン)、N9−(7−デアザ−8−アザ−グアニン)およびN8−(7−デアザ−8−アザ−アデニン)、他の天然に存在するヌクレオベースアナログまたは他の天然に存在しないヌクレオベースから独立して選択される。
【0021】
特定の他の実施形態において、PNAサブユニットは、N−[2−(アミノエチル)]グリシン骨格のN−α−グリシン窒素と、メチレンカルボニル結合を介して結合している、天然に存在するヌクレオベースまたは天然に存在しないヌクレオベースから成る;これは、現在、ペプチド核酸サブユニットの最も一般的に使用される形態である。
【0022】
g.本明細書で使用する場合、用語「標識」、「レポーター部分」または「検出可能部分」は、交換可能であり、PNAオリゴマーまたは抗体に結合し得るか、あるいは、さもなければレポーターシステムにおいて使用され得る部分であって、それによって、オリゴマーまたは抗体を、装置または方法によって検出可能にする部分をいう。例えば、標識は、(i)検出可能なシグナルを提供するか;(ii)第2の標識と相互作用し、第1の標識または第2の標識によって提供される検出可能なシグナルを改変するか;または、(iii)捕捉機能、すなわち疎水性アフィニティー複合体形成(complexation)、抗体/抗原複合体形成、イオン性複合体形成(complexation)を提供する、任意の標識であり得る。
【0023】
h.本明細書で使用する場合、「配列特異的に」とは、水素結合を介した塩基対形成によるハイブリダイゼーションを意味する。標準的な塩基対形成の非限定的な例としては、アデニン塩基のチミンまたはウラシルとの塩基対形成、またはウラシルおよびグアニンのシトシンとの塩基対形成が挙げられる。塩基対形成モチーフの他の非限定的な例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:5−プロピニル−ウラシル、2−チオ−5−プロピニル−ウラシル、2−チオウラシルまたは2−チオチミンのいずれかとアデニンの塩基対形成;5−メチルシトシンまたはプソイドイソシトシンのいずれかとグアニンの塩基対形成;ヒポキサンチン、N9−(7−デアザ−グアニン)またはN9−(7−デアザ−8−アザ−グアニン)のいずれかとシトシンの塩基対形成;2−アミノプリン、N9−(2−アミノ−6−クロロプリン)またはN9−(2、6−ジアミノプリン)のいずれかとのチミンまたはウラシルの塩基対形成;ならびに任意の他のヌクレオベース配列、例えば、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシル、5−プロピニル−ウラシル、2−チオ−5−プロピニル−ウラシル、5−メチルシトシン、プソイドイソシトシン、2−チオウラシルおよび2−チオチミン、2−アミノプリン、N9−(2−アミノ−6−クロロプリン)、N9−(2、6−ジアミノプリン)、ヒポキサンチン、N9−(7−デアザ−グアニン)またはN9−(7−デアザ−8−アザ−グアニン)のいずれかとのN8−(7−デアザ−8−アザ−アデニン)(ユニバーサル塩基)の塩基対形成(Seelaら、Nucl.Acids、Res.:28(17):3224−3232(2000)を参照のこと)。
【0024】
i.本明細書で使用する場合、用語「キメラ」または「キメラオリゴマー」は、異なるクラスのサブユニットから選択された2つ以上の結合したサブユニットを含むオリゴマーを意味する。例えば、PNA/DNAキメラは、少なくとも1つの2'−デオキシリボ核酸サブユニットと結合した少なくとも2つのPNAサブユニットを含む(PNA/DNAキメラの調製に関する例示的な方法および組成物については、W096/40709を参照のこと)。キメラの例示的な成分サブユニットは、PNAサブユニット、天然に存在するアミノ酸サブユニット、DNAサブユニット、RNAサブユニットおよび、核酸のアナログまたは模倣物のサブユニットからなる群から選択される。
【0025】
j.本明細書で使用する場合、用語「結合ポリマー」とは、リンカーで結合された2つ以上のポリマーセグメントを含むポリマーを意味する。結合されて結合ポリマーを形成し得るポリマーセグメントは、オリゴデオキシヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチド、ペプチド、ポリアミド、ペプチド核酸(PNA)およびキメラからなる群から選択され得る。
【0026】
k.本明細書で使用する場合、用語「固相支持体」または「固相キャリア」とは、その上でオリゴマーが合成されるか、接着されるか、ライゲーションされるか、またはさもなければ固定化される任意の固相材料を意味する。固相支持体は、例えば、「樹脂」、「固相」、「表面」および「支持体」といった用語を含む。固相支持体は、有機ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフルオロエチレン(polyfluoroethylene)、ポリエチレンオキシ、およびポリアクリルアミド、ならびにそれらのコポリマーおよびグラフト(graft))から構成され得る。固相支持体はまた、無機物(例えば、ガラス、シリカ、多孔性ガラス(controlled−pore−glass)(CPG)、または逆相シリカ)であり得る。固相支持体の形状は、ビーズ、球体、粒子、顆粒、ゲル、または表面の形態であり得る。表面は、平面、実質的に平面、または非平面であり得る。固相支持体は、多孔性または非多孔性であり得、膨張特性または非膨張特性を有し得る。固相支持体は、ウェル、くぼみまたは他の容器、管、造作または位置の形態で設計され得る。複数の固相支持体が、試薬のロボットによる送達にとってアドレス可能であるか、または検出手段(レーザー照明によるスキャンおよび共焦点光の収集または屈折光の収集が挙げられる)によってアドレス可能な種々の位置で、アレイ中に配置され得る。
【0027】
l.本明細書で使用する場合、「支持体に結合している」とは、固相支持体上に固定されるか、または固相支持体に固定されることを意味する。固定は、任意の手段(例えば、共有結合、静電気的固定、リガンド/リガンド相互作用を介した結合、表面上での接触または沈着)によって起こり得ることが理解される。
【0028】
(II.一般的に適用可能な対象物)
(PNA合成):
PNAの化学的アセンブリのための方法は、周知である(特許第5、539、082号、同第5、527、675号、同第5、623、049号、同第5、714、331号、同第5、718、262号、同第5、736、336号、同第5、773、571号、同第5、766、855号、同第5、786、461号、同第5、837、459号、同第5、891、625号、同第5、972、610号、同第5、986、053号および同第6、107、470号(これらの全てが、本明細書に参考として援用される)を参照のこと(PerSeptive Biosystems Product Literatureも参照のこと))。PNA合成の方法論についての一般的な参考としては、Nielsenら、Peptide Nucleic Acids;Protocols and Applications、Horizon Scientific Press、Norfolk England(1999)もまた参照してほしい。
【0029】
ペプチド核酸の支持体に結合した自動化化学的アセンブリのための化学薬品および装置が、現在市販されている。標識PNAオリゴマーおよび非標識PNAオリゴマーの両方も同様に、カスタムPNAオリゴマーの販売業者から入手可能である。PNAの化学的アセンブリは、固相ペプチド合成と類似する。固相ペプチド合成では、アセンブリの各サイクルにおいて、オリゴマーは、成長中のポリマーに付加される次のシントンと縮合し得る反応性のアルキルアミノ末端を有する。標準的なペプチド化学を使用するので、天然アミノ酸および非天然アミノ酸をPNAオリゴマー中に慣用的に取り込み得る。PNAはポリアミドであるので、C末端(カルボキシル末端)およびN末端(アミノ末端)を有する。(好ましい方向の)標的配列への逆平行な結合に適したハイブリダイゼーションプローブの設計の目的のために、PNAプローブのプローブ用ヌクレオベース配列のN末端は、同等のDNAオリゴヌクレオチドまたはRNAオリゴヌクレオチドの5’−ヒドロキシル末端と同等のものである。
【0030】
(PNA標識化):
PNAを標識化するための非限定的な方法が、米国特許第6,110,676号、同第6,361,942号、同第6,355,421号(全て本明細書に参考として援用される)、W099/21881、この明細書の実施例の節に記載されているか、またはさもなければPNA合成の分野で周知である。PNAを標識化するための他の非限定的な例が、Nielsenら、Peptide Nucleic Acids;Protocols and Applications、Horizon Scientific Press、Norfolk England(1999)においても考察されている・
(標識):
本発明の実施において使用されるPNAプローブまたは抗体を標識化するために使用され得る検出可能部分(標識)の非限定的な例としては、デキストラン結合体、分岐核酸検出システム、発色団、発蛍光団、スピン標識、放射性同位体、酵素、ハプテン、アクリジニウム(acridinium)エステルまたは、化学発光化合物が挙げられ得る。他の適した標識試薬および好ましい結合方法が、PNA合成、ペプチド合成または核酸合成の分野の当業者によって認識される。
【0031】
ハプテンの非限定的な例としては、5(6)−カルボキシフルオレセイン、2,4−ジニトロフェニル、ジゴキシゲニン、およびビオチンが挙げられる。
【0032】
蛍光色素(発蛍光団)の非限定的な例としては、5(6)−カルボキシフルオロセイン(Flu)、6−((7−アミノ−4−メチルクマリン−3−アセチル)アミノ)ヘキサン酸(Cou)、5(および6)-カルボキシ−X−ローダミン(Rox)、シアニン2(Cy2)染料、シアニン3(Cy3)染料、シアニン3.5(Cy3.5)染料、シアニン5(Cy5)染料、シアニン5.5(Cy5.5)染料、シアニン7(Cy7)染料、シアニン9(Cy9)染料(シアニン染料2、3、3.5、5および5.5は、Amersham、Arlington、Heights,ILからNHSエステルとして入手可能である)、またはAlexa色素シリーズ(MolecularProbes、Eugene、OR)が挙げられる。
【0033】
酵素の非限定的な例としては、ポリメラーゼ(例えば、Taqポリメラーゼ、クレノウPNAポリメラーゼ、T7 DNAポリメラーゼ、シーケネース(Sequenase)、DNAポリメラーゼ1およびphi29ポリメラーゼ)、アルカリホスファターゼ(AP)、セイヨウワサビペルオキシダーゼ(HRP)、ダイズペルオキシダーゼ(SBP)、リボヌクレアーゼおよびプロテアーゼが挙げられる。
【0034】
(エネルギー転移)
1つの実施形態において、PNAオリゴマーは、エネルギー転移セットで標識化され得る。エネルギー転移が、ハイブリダイゼーションを決定するに際して有用であるためには、少なくとも1つのエネルギー転移ドナー部分および少なくとも1つのエネルギー転移アクセプター部分を含むエネルギー転移セットが存在するべきである。しばしば、エネルギー転移セットは、単一のドナー部分および単一のアクセプター部分を含むが、これは限定ではない。エネルギー転移セットは、1つよりも多いドナー部分および/または1つよりも多いアクセプター部分を含み得る。1つ以上のアクセプター部分が、1つ以上のドナー部分から転移するエネルギーを受容するか、またはさもなければ、ドナー部分(1つまたは複数の)からのシグナルをクエンチするように、ドナー部分およびアクセプター部分が作動する。従って、1つの実施形態において、ドナー部分(1つまたは複数)およびアクセプター部分(1つまたは複数)の両方が、発蛍光団である。既に列挙した(適したスペクトル特性を有する)発蛍光団もまた、エネルギー転移アクセプターとして作動し得るが、アクセプター部分はまた、非蛍光クエンチャー部分(例えば、4−((−4−(ジメチルアミノ)フェニル)アゾ)安息香酸(ダブシル(dabcyl)))であり得る。エネルギー転移セットの標識は、オリゴマーの末端で結合され得るか、またはオリゴマー内の部位で結合され得る。例えば、エネルギー転移セットの2つの標識の各々が、オリゴマーの最遠位末端で結合され得る。
【0035】
ドナー部分とアクセプター部分の間のエネルギー転移は、任意のエネルギー転移プロセスを介して(例えば、近接するエネルギー転移セット(1つまたは複数)の部分の衝突を介して、または、非放射性プロセス(例えば、蛍光共鳴エネルギー転移(fluorescence resonance energy transfer)(FRET))を介して)起こり得る。FRETが起こるためには、エネルギー転移セットのドナー部分とアクセプター部分の間のエネルギー転移において、部分が空間的に近接していること、およびドナー(1つまたは複数)の発光スペクトルがアクセプター(1つまたは複数)の吸収スペクトルと実質的に重複していることが必要である(YaronらAnalytical Biochemistry、95:228−235(1979)、特に232ページ第1欄〜234ページ第1欄を参照のこと)。あるいは、衝突媒介性の(放射線を放出しない)エネルギー転移は、ドナー部分(1つまたは複数)の発光スペクトルがアクセプター部分(1つまたは複数)の吸収スペクトルと実質的に重複しているか否かに関わらず、非常に近接したドナー部分とアクセター部分の間で起こり得る(Yaronら、Analytical Biochemistry、95:228−235(1979)特に、229ページ第1欄〜232ページ第1欄を参照のこと)。クエンチングが、ドナー部分とアクセプター部分の直接的な接触によって引き起こされると考えられているので、このプロセスは分子内衝突といわれる(Yaronらを参照のこと)。エネルギー転移はまた、それについての作用機構がまだ記載できないプロセスを介して起こり得る。本出願中のエネルギー転移についての任意の言及は、これらのメカニズムが異なる現象の全てを含むことが理解されるべきである。また、エネルギー転移は、同時に行われる1つよりも多いエネルギー転移プロセスを介して起こり得ること、および検出可能なシグナルの変化が、2つ以上のエネルギー転移プロセスの活性の尺度であり得ることも理解されるべきである。従って、エネルギー転移のメカニズムは、本発明の限定ではない。
【0036】
(自己指標性PNAオリゴマーにおけるエネルギー転移の検出):
エネルギー転移セットで標識化される場合、本発明者らは、そのPNAオリゴマーを自己指標性であるという。1つの実施形態において、自己指標性PNAオリゴマーは、同時継続中であり、出願人が共通である特許出願第USSN09/179、162号(現在は、特許査定となっている)(タイトル:「Methods、Kits And Compositions Pertaining To Linear Beacons」)および現在W099/21881として公開もされている関連PCT出願(これらの両方が、本明細書によって参考として援用される)に記載される様式で標識化され得る。
【0037】
自己指標性オリゴマーと標的配列の間のハイブリッド形成は、エネルギー転移セットの少なくとも1つのメンバーの少なくとも1つの物理的特性を測定することで、モニターされ得る。この物理的特性は、オリゴマーがハイブリダイズしていない状態で存在するときと比較して、ハイブリダイゼーション複合体が形成されているときに検出可能に異なっている。本発明者らは、この現象をオリゴマーの自己指標性特性という。検出可能なシグナルのこの変化は、オリゴマーの標的配列へのハイブリダイゼーションによって引き起こされる、ドナー部分とアクセプター部分の間のエネルギー転移の効率の変化を生じる。
【0038】
例えば、検出手段は、エネルギー転移セットのドナー発蛍光団またはアクセプター発蛍光団の蛍光を測定する工程を含み得る。1つの実施形態において、ドナー発蛍光団の蛍光の測定が、オリゴマーの標的配列へのハイブリダイゼーションを検出、同定または定量するために使用され得るように、エネルギー転移セットは、少なくとも1つのドナー発蛍光団および少なくとも1つの(蛍光性または非蛍光性の)アクセプタークエンチャーを含み得る。例えば、オリゴマーの標的配列へのハイブリダイゼーションが起こった際に、ドナー発蛍光団の蛍光の検出可能な増大が存在し得る。
【0039】
別の実施形態において、少なくとも1つのドナー部分または少なくとも1つのアクセプター部分のいずれか、または両方の蛍光の測定が、オリゴマーの標的配列へのハイブリダイゼーションを検出、同定または定量するために使用され得るように、エネルギー転移セットは、少なくとも1つのドナー発蛍光団および少なくとも1つのアクセプター発蛍光団を含む。
【0040】
自己指標性PNAオリゴマーは、インサイチュウハイブリダイゼーションアッセイにおいて使用され得る。しかし、特定の自己指標性PNAオリゴマーが、リアルタイムまたは最終時点のいずれかでの核酸増幅反応(例えば、PCR)の分析に特によく適している(WO99/21881を参照のこと)。
【0041】
(検出複合体中でのエネルギー転移の検出):
別の実施形態において、米国特許第6、361、942号(タイトル:「Methods、Kits And Compositions Pertaining To Detection Complexes」)(本明細書において参考として援用される)においてより十分に説明されるように、本発明のPNAオリゴマーは、クエンチャー部分によってのみ標識され、検出複合体中の構成成分オリゴマーとして使用され得る。検出複合体が形成される場合、1つの構成成分ポリマーの少なくとも1つのドナー部分が、第2の構成成分ポリマーの少なくとも1つのアクセプター部分に対して、空間的に十分に近接される。セットのドナー部分およびアクセプター部分が空間的に近接して位置しているので、エネルギー転移が、エネルギー転移セットの部分の間で起こる。検出複合体が分離する場合(例えば、検出複合体中の構成成分ポリマーの1つが標的配列とハイブリダイズした場合)、ドナー部分とアクセプター部分は、エネルギー転移セットのドナー部分およびアクセプター部分からの実質的なエネルギー転移を引き起こすために十分に相互作用せず、エネルギー転移セットのドナー部分および/またはアクセプター部分からの検出可能なシグナルにおいて、相関する変化が存在する。結果的に、検出複合体の形成/分解は、エネルギー転移セットの少なくとも1つのメンバーの少なくとも1つの物理的特性を測定することによって決定され得る。この物理的特性は、検出複合体の構成成分ポリマーが独立して存在し、会合していない場合と比較して、複合体が形成されている場合において検出可能に異なっている。
【0042】
(検出可能であり、かつ独立して検出可能な部分/多重分析):
多重ハイブリダイゼーションアッセイが、本発明に従って実行され得る。多重アッセイでは、多数の目的の状態が同時に試験され得る。多重アッセイは、アッセイの間またはアッセイが完了した後で、サンプル成分またはサンプル成分に関するデータを分別する能力に依存する。本発明の好ましい実施形態において、1つ以上の異なる独立して検出可能な部分が、アッセイにおいて使用される2つ以上の異なるプローブを標識化するために使用され得る。独立して検出可能な部分の間の区別および/またはその各々の定量を行う能力によって、ハイブリダイゼーションアッセイを多重化する手段が提供される。なぜなら、異なって(独立して)標識化されたプローブの各々の特定の核酸配列へのハイブリダイゼーションと相関するデータが、サンプル中での検出が求められている各生物の存在、非存在または量と相関付けられ得るためである。結果的には、本発明の多重アッセイは、同じサンプルおよび同じアッセイにおいて、2つ以上の異なる生物(例えば、Listeriaの種)の存在、非存在または量を同時に検出するために使用され得る。例えば、多重アッセイは、各々が、独立して検出可能な発蛍光団、または独立して検出可能な発蛍光団のセットによって標識化されている2つ以上のPNAプローブを使用し得る。
【0043】
(スペーサー/リンカー部分):
一般的に、スペーサーは、大きな標識化試薬がプローブのハイブリダイゼーション特性に対して有する悪影響を最小化するために使用され得る。リンカーは、代表的には、プローブ中の可撓性および不規則性を引き起こすか、さもなければ、プローブまたは構成成分ポリマーの2つ以上のヌクレオベース配列を結合する。本発明のヌクレオベースポリマーのための好ましいスペーサー/リンカー部分は、1種類以上のアミノアルキルカルボン酸(例えば、アミノカプロン酸)、アミノ酸側鎖(例えば、リジンまたはオルニチンの側鎖)、天然アミノ酸(例えば、グリシン)、アミノオキシアルキル酸(例えば、8−アミノ−3、6−ジオキサオクタン酸)、アルキル二価酸(例えば、コハク酸)、アルキルオキシ二価酸(例えば、ジグリコール酸)またはアルキルジアミン(例えば、1、8−ジアミノ−3、6−ジオキサオクタン)からなる。スペーサー/リンカー部分はまた、偶発的に、または意図的にプローブの水溶性を改良するために構築され得る(例えば、Gildeaら、Tett.Lett.39:7255−7258(1998)を参照のこと)。
【0044】
例えば、スペーサー/リンカー部分は、式:−Y−(O−(CW−Z−を有する結合した化合物の1つ以上を含み得る。Y基は、単結合、−(CW−、−C(O)(CW−、−C(S)(CW−および−S(O)(CWからなる群から選択される。Z基は、式NH、NR、S、Oを有する。各Wは、独立して、H、R、−OR、F、Cl、Br、またはIであり、ここで各Rは、−CX、−CXCX、−CXCXCX、−CXCX(CX、および、−C(CXからなる群から独立して選択される。各Xは、独立して、H、F、Cl、Br、またはIである。各mは、独立して、0または1である。各n、oおよびpは、独立して0〜10の整数である。
【0045】
(ハイブリダイゼーション条件/ストリンジェンシー):
ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを与えるか、または制御するために一般に使用される因子として、ホルムアミド(または、他の化学的変性試薬)濃度、塩濃度(すなわち、イオン強度)、ハイブリダイゼーション温度、界面活性剤濃度、pHおよびカオトロープ(chaotrope)の存在または非存在が挙げられることを、核酸ハイブリダイゼーションの分野の当業者は認識する。プローブ/標的の組合わせにとって最適なストリンジェンシーは、しばしば、上述のストリンジェンシー因子のいくつかを固定し、次いで1つのストリンジェンシー因子の変動の効果を決定するという周知の技術によって見出され得る。PNAのハイブリダイゼーションはイオン強度からかなり独立していることを除いて、同じストリンジェンシー因子が調節され得、それによってPNAの核酸へのハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを制御し得る。アッセイの最適なストリンジェンシーは、所望の程度の選別が達成されるまで各ストリンジェンシー因子を試験することによって、実験的に決定され得る。
【0046】
(適切なハイブリダイゼーション条件):
一般的に、核酸の汚染を引き起こすバックグラウンドが、標的配列により密接に関連するほど、ストリンジェンシーは、より慎重に制御されなければならない。ブロッキングプローブもまた、ストリンジェンシー因子の単なる最適化によって可能な限界を越えて選別を改良するための手段として使用され得る。従って、適切なハイブリダイゼーション条件は、その下で、アッセイが正確(アッセイに所望される耐性の範囲内)かつ再現可能な結果を生成するように、所望の程度の選別が達成される条件を含む。慣用的実験および本明細書で提供される開示のみの補助によって、当業者は、本明細書に記載する方法、キットおよび組成物を利用するアッセイを実行するための適切なハイブリダイゼーション条件を容易に決定し得る。適切なインサイチュウハイブリダイゼーション条件は、インサイチュウハイブリダイゼーション手順を実行するために適した条件を含む。従って、適切なハイブリダイゼーション条件または適切なインサイチュハイブリダイゼーション条件が、さらなる慣用的実験を行って、または行うことなく、本明細書において提供される開示を使用して明らかとなる。
【0047】
(ブロッキングプローブ):
ブロッキングプローブは、プローブ用ポリマーのプローブ用ヌクレオベース配列の非標的配列への結合を抑制するために使用され得る、核酸プローブまたは非核酸プローブ(例えば、PNAプローブ)である。好ましいブロッキングプローブは、PNAプローブである(Coullら、WIPO公開番号W098/24933およびUS6、110、676を参照のこと)。代表的には、ブロッキングプローブは、プローブ用ヌクレオベース配列と密接に関連し、好ましくは、それらは、プローブ用ヌクレオベース配列と比較した場合に点変異を含む。ブロッキングプローブは、非標的配列とハイブリダイゼーションし、それによってプローブ用ヌクレオベース配列とその非標的配列の間のハイブリダイゼーションによって形成される複合体よりも熱力学的により安定な複合体を形成することで作動すると考えられる。より安定かつ好ましい複合体の形成によって、プローブ用ヌクレオベース配列とその非標的配列の間でのより不安定な好ましくない複合体の形成が阻止される。従って、ブロッキングプローブは、存在し得、そしてアッセイの性能に干渉し得るPNAプローブの非標的配列への結合を抑制するために、本発明の方法、キットおよび組成物と共に使用され得る。ブロッキングプローブは、単一の点変異の選別において特に有利である。Listeria monocytogenesを決定するためのアッセイにおいて使用され得るブロッキングプローブの非限定的な例は、表1に見出し得る。
【0048】
(プローブ用ヌクレオベース配列):
PNAプローブのプローブ用ヌクレオベース配列は、構築物の特異的配列認識部分である。そのため、プローブ用ヌクレオベース配列は、標的配列と配列特異的にハイブリダイズするように設計されたPNAサブユニットの配列であり、ここで、標的配列の存在、非存在および/または量が、サンプル中のListeriaの存在、非存在および/または量を検出するために使用され得る。結果的に、選択されるアッセイ形式のためにPNAプローブに要求されることを十分に考慮して、PNAプローブのプローブ用ヌクレオベース配列の長さは、一般的には、適切なハイブリダイゼーション条件または適切なインサイチュハイブリダイゼーション条件の下で標的配列と安定な複合体を形成するように、選択される。
【0049】
表1の配列番号1〜31に列挙した、標的生物を検出するために適したプローブ用ヌクレオベース配列は、一般的に(しかし、必ずしもそうではないが)、18以下のPNAサブユニットの長さを有し、ここで、正確なヌクレオベース配列は、表1に列挙したプローブ用ヌクレオベース配列またはその相補体に対して、少なくとも90%の相同性であり得る。PNAプローブは、上記配列に対して100%の相同性であり得るか、または、表1にある正確なヌクレオベース配列を含み得る。プローブ用ヌクレオベース配列は、表1に列挙したヌクレオベース配列と正確に同一であり得る。表1の配列番号1〜31に列挙したプローブ用ヌクレオベース配列の相補体が含まれる。なぜなら、標的配列のコピーを調製するか、または増幅することが可能であり、これらのコピーは、標的配列の相補体であり、従って、表1に列挙したプローブ用ヌクレオベース配列の相補体に結合するためである。有用なプローブ用ヌクレオベース配列を表1に列挙する。これらのプローブ用ヌクレオベース配列は、Listeria属の生物の決定のために特異的であるか、または、場合によってはListeria monocytogenesに対して特異的であることが示されている(表1および実施例に列挙した情報を参照のこと)。
【0050】
本発明のPNAプローブは、一般的に、標的配列に相補的なプローブ用ヌクレオベース配列を有する。あるいは、実質的に相補的なプローブ用ヌクレオベース配列が、使用され得る。なぜなら、プローブと標的配列との間に1つ以上の点変異(塩基のミスマッチ)を有するプローブを利用する場合に、より大きな配列の選別が得られることが実証されているためである(Guoら、Nature Biotechnology 15:331−335(1997)を参照のこと)。
【0051】
本発明は、表1に列挙したプローブ用ヌクレオベース配列中の改変によって、列挙した生物の特異的な検出に適したPNAプローブを提供することを企図する。一般的な改変としては、欠失、挿入およびフレームシフトが挙げられる。本明細書に記載するパラメーター内でのプローブ用ヌクレオベース配列中の改変は、本発明の1つの実施形態であると考えられる。
【0052】
(プローブ複合体):
また別の実施形態において、2つのプローブが、検出することが求められている標的配列とハイブリダイズし、それによって、検出可能なシグナルを生成するように設計される。この設計では、この2つのプローブの凝集したヌクレオベース配列が、標的配列とハイブリダイゼーションするプローブ用ヌクレオベース配列を形成するように、各プローブのプローブ用ヌクレオベース配列は、アッセイにおいて検出することが求められている生物の完全な標的配列とのハイブリダイゼーションに必要とされるヌクレオベース配列の半分またはおよそ半分を含む。非限定的な例として、2つのプローブ用ヌクレオベース配列は、H.Orumらによる米国特許第6,027,893号(タイトル:「Method of identifying a nucleic acid using triple helix formation of adjacently annealed probes」、本明細書で参考として援用される)に記載されるようなアッセイを使用して設計され得る。この方法論を使用して、標的配列にハイブリダイズするプローブは、標識化されても、されなくてもよい。しかし、検出されるのは、隣接するプローブのアニーリングによって形成されるプローブ複合体である。PNAプローブのみからなる同様の組成物が、米国特許第6,287,772号(本明細書で参考として援用される)に記載されている。
【0053】
(III.発明の実施形態):
(a.PNAプローブ):
1つの実施形態において、本発明は、PNAプローブに関する。本発明のPNAプローブは、サンプル中のListeriaの決定に適している。例えば、決定は、サンプル中のListeriaの検出、同定および/または定量であり得る。本発明のPNAプローブ、プローブセット、方法およびキットは、核酸が目的の生物内に存在するか否かに関わらず、その核酸の分析に適している。従って、本発明は、生物の分析か、あるいは目的の生物から抽出されたか、または目的の生物に由来する核酸の分析の両方に適している。従って、標的配列の供給元は、本発明の制限ではない。
【0054】
一般的に、本発明は、Listeria細菌の決定のために有用であり得る。本発明のPNAプローブおよびプローブセット中のプローブは、Listeriaの特異的検出に特に有用であるプローブ用ヌクレオベース配列を含む。1つの実施形態において、プローブ用ヌクレオベース配列は、Listeria属の生物を決定するために選択される。これには、配列番号1〜13が挙げられる。配列番号6および8が、この点について特に有用である。配列番号8は、Listeriaの全ての既知の種を決定し得ることが本出願人らによって知られている唯一のプローブ用ヌクレオベース配列であるので、非常に有用である。別の実施形態において、プローブ用ヌクレオベース配列は、Listeria monocytogenesを決定するために選択される。これには、配列番号14〜31が挙げられる。配列番号5、8、9、および10が、この点について特に有用である。これらの細菌の決定に適しているPNAプローブの一般的特性(例えば、長さ、標識、リンカーなど)は、本明細書に既に記載されている。本発明のプローブの例示的なプローブ用ヌクレオベース配列が、下の表1に列挙されている。表1は、各ヌクレオベース配列が、Listeria属の生物またはListeria monocytogenesを決定するために選択されるか否かを同定する。
【0055】
本発明のPNAプローブは、プローブ用ヌクレオベース配列(本明細書に既に記載)のみを含み得るか、またはさらなる部分を含み得る。さらなる部分の非限定的な例としては、検出可能な部分(標識)、リンカー、スペーサー、天然または非天然のアミノ酸、ペプチド、酵素および/またはPNAの他のサブユニット、DNAまたはRNAが挙げられる。さらなる部分は、アッセイにおいて機能的または非機能的であり得る。しかし、一般的に、さらなる部分は、PNAプローブが使用されるべきアッセイの設計において、機能的であるように選択される。例えば、本発明のPNAプローブは、1つ以上の検出可能な部分で標識化され得るか、または2つ以上の独立して検出可能な部分で標識され得る。独立して検出可能な部分は、独立して検出可能な発蛍光団であり得る。
【0056】
【表1】

【0057】
本発明のプローブは、インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)アッセイおよび蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)アッセイにおいて使用され得る。ISHまたはFISHアッセイに使用される過剰なプローブは、しばしば除去されて、その結果、まだ存在しているが、ハイブリダイズしていないプローブから生じるバックグラウンドのシグナルを越えて、特異的に結合したプローブの検出可能な部分が検出され得る。一般的に、過剰なプローブは、サンプルが一定期間プローブとインキュベートされた後で、洗い流され得る。しかし、特定の型の自己指標性プローブは、ほとんどまたは全く検出可能なバックグラウンドを生成し得ないので、それらは、過剰なプローブがサンプルから完全に除去される(洗い流される)という必要性を排除するために使用され得る。
【0058】
(非標識化非核酸プローブ):
本発明のプローブは、本発明の範囲内で操作可能である検出可能な部分で標識化される必要はない。本発明のプローブが使用される場合、プローブのプローブ用ヌクレオベース配列の標的配列へのハイブリダイゼーションによって形成されるプローブ/標的配列複合体を検出することが可能である。例えば、PNAプローブ用ヌクレオベース配列の標的配列へのハイブリダイゼーションによって形成されるPNA/核酸複合体を、抗体が結合する条件の下で、その複合体と特異的に相互作用する抗体を使用して検出し得る。PNA/核酸複合体に適した抗体およびその調製方法および使用方法についての方法が、WIPO特許出願W095/17430およびUS5,612,458(本明細書で参考として援用される)において記載されている。
【0059】
α−PNA/核酸抗体とPNA/核酸複合体の相互作用によって形成される抗体/PNA/核酸複合体は、いくつかの方法によって検出され得る。例えば、α−PNA/核酸抗体が、検出可能な部分で標識化され得る。適切な検出可能な部分は、本明細書に既に記載されている。従って、検出可能な部分の存在、非存在および/または量が、抗体/PNA/核酸複合体ならびにPNAプローブのプローブ用ヌクレオベース配列によって同定されるべき細菌の存在、非存在および/または量と相関付けられ得る。あるいは、抗体/PNA/核酸複合体は、検出可能な部分で標識化された二次抗体を使用して検出され得る。代表的に、二次抗体は、抗体が結合する条件の下でα−PNA/核酸抗体に特異的に結合する。従って、検出可能な部分の存在、非存在および/または量が、抗体/PNA/核酸複合体ならびにPNAプローブのプローブ用ヌクレオベース配列によって同定されるべき細菌の存在、非存在および/または量と相関付けられ得る。本明細書で使用する場合、抗体という用語には、他の抗体または他の抗体フラグメントと特異的に結合する抗体フラグメントを含む。
【0060】
(表面へのプローブの固定):
本発明の1つ以上のPNAプローブが、必要に応じて、目的の標的生物の標的配列の検出のために、表面に固定され得る。PNAプローブは、UV架橋の周知のプロセスを使用して表面に固定され得る。PNAプローブは、脱保護には適しているが、合成支持体からの切断には適していない様式で表面上に合成され得る(Weiler、J.ら、Hybridization based DNA screening on peptide nucleic acid(PNA) oligomer arrays.、Nucl.Acids Res.、25、14:2792−2799(July1997)を参照のこと)。また別の実施形態において、PNAプローブは、プローブ上の適切な官能基が表面の官能基と反応することによって、表面に共有結合され得る(Lester、A.ら、「PNA Array Technology」:Presented at Biochip Technologies Conference in Annapolis(October1997)を参照のこと)。表面上のPNAプローブは、代表的には、高度に精製されており、規定された化学を使用して結合され、それによって、非特異的な相互作用が最小化または排除されるので、この方法は最も有利である。
【0061】
表面へのプローブの化学的結合のための方法は、一般的に、固定されるべきプローブの求核基(例えば、アミンまたはチオール)、改変されるべき支持体上の求電子基との反応を伴う。あるいは、求核試薬が支持体上に存在し得、求電子試薬(例えば、活性化されたカルボン酸)がプローブ上に存在し得る。ネイティブのPNAは、アミノ末端を有しているので、PNAは、必ずしも、改変され、それによって、PNAが表面へ固定されることを必要としない(Lesterら、ポスター演題「PNA Array Technology」を参照のこと)。
【0062】
表面へのPNAプローブの固定に適した条件は、一般的に、ポリマーの標識化に適した条件と類似する。固定化反応は、本質的に、ポリマーが結合されるべき表面を標識で置換する標識化と同等である。
【0063】
アミノ基、カルボン酸基、イソシアネート、イソチオシアネート、およびマレイミド(malimide)基で誘導された多数の型の表面が、市販されている。適した表面の非限定的な例としては、膜、チップ(例えば、シリコンチップ)、ガラス、多孔性ガラス、ポリスチレン粒子(ビーズ)、シリカおよび金ナノ粒子が挙げられる。
【0064】
(PNAプローブまたはプローブセットのアレイ):
アレイは、2つ以上のプローブが、それぞれ特定の位置に固定されている表面である。固定されるプローブのプローブ用ヌクレオベース配列は、1つ以上の標的生物に由来する核酸を含み得るサンプルを調査するように思慮深く選択され得る。固定される各プローブの位置および組成が既知である場合、アレイは、サンプル中に存在し得る2つ以上の標的生物に由来する核酸の同時に行われる検出、同定および/または定量のために有用であり得る。さらに、PNAプローブのアレイは、各アッセイの後でハイブリダイズした核酸を全て剥ぎ取ることによって再生され得、それによって、同じアレイを用いて多数のサンプルを繰り返し分析する手段が提供される。従って、PNAプローブまたはPNAプローブセットのアレイは、目的の標的生物についてのサンプルの繰り返しのスクリーニングのために有用であり得る。本発明のアレイは、Listeria属または種を代表する少なくとも1つの生物の検出、同定および/または定量に適した少なくとも1つのPNAプローブ(本明細書に記載)を含む。固定されるPNAプローブについての例示的なプローブ用ヌクレオベース配列を表1に列挙する。
【0065】
(b.PNAプローブセット):
別の実施形態において、本発明は、目的のサンプル中のListeriaを決定するために適切なプローブセットに関する。1つの実施形態において、プローブセットは、1種類以上のListeria属の生物および1種類以上のListeria monocytogenesの生物を決定するために適切なプローブを含む。別の実施形態において、プローブセットは、Listeria属の生物を決定するための少なくとも1つのプローブを含む。また別の実施形態において、プローブセットは、Listeria monocytogenesの生物を決定するための少なくとも1つのプローブを含む。
【0066】
これらの細菌の決定のために適切なPNAプローブの一般的でかつ好ましい特徴は、本明細書に既に記載されている。標的の種のための好ましいプローブ用ヌクレオベース配列を表1に列挙する。細菌の特定の型またはグループについて特徴付けられた、セット内にPNAをグループ化することは、本発明の非常に有用な実施形態であり得る。本発明のPNAプローブは、例えば、米国特許第6,280,946号(本明細書で参考として援用され、単一のPNAプローブセットを使用する細菌および酵母の両方についての多重アッセイが記載されている)に記載されるような、別の細菌についてのプローブ、または細菌以外の生物についてのプローブとも組合せられ得る。
【0067】
本発明のプローブセットは、少なくとも1つのPNAプローブを含むが、PNAプローブのみを含む必要はない。例えば、本発明のプローブセットは、プローブセットが本明細書に記載した少なくとも1つのPNAプローブを含む場合に、PNAプローブおよび核酸プローブの混合物を含み得る。1つの実施形態において、セット中のプローブのいくつかは、PNAまたは核酸からなるブロッキングプローブであり得る。ブロッキングプローブとしての使用のために適切なヌクレオベース配列の非限定的な例を、表1に見出し得る。他の実施形態において、プローブセットは、少なくとも1種類のListeria細菌の決定に加えて、Listeria以外の生物を決定するために使用され得る。
【0068】
表1は、Listeria属またはListeria monocytogenesのいずれかの生物を決定するための2つ以上のプローブ用ヌクレオベース配列を列挙する。代替的なプローブ用ヌクレオベース配列が存在する場合、2つ以上のPNAプローブを含むプローブセットを使用して、それによって、Listeria属またはListeria monocytogenesの生物のいずれかまたは両方についてのアッセイにおける検出可能なシグナルを増加させることは、有利であり得る。
【0069】
1つの例示的プローブセットは、Listeriaを決定するために適切なプローブを含み、ここで、セット中のプローブの2つ以上は、
【0070】
【化12】

【0071】
からなる群から選択されるプローブ用ヌクレオベース配列を含む。第2の例示的プローブセットは、Listeria monocytogenesを決定するために適切なプローブを含み得、ここで、セット中のプローブは、
【0072】
【化13】

【0073】
からなる群から選択されるプローブ用ヌクレオベース配列を含む。第3の例示的プローブセットは、Listeria属の生物およびListeria monocytogenesの生物の両方を決定するために適切なプローブを含み得、ここで、セット中のプローブの少なくとも1つは、
【0074】
【化14】

【0075】
からなる群から選択されるプローブ用ヌクレオベース配列を含み、セット中のプローブの少なくとも1つの他のプローブは、
【0076】
【化15】

【0077】
からなる群から選択されるプローブ用ヌクレオベース配列を含む。
【0078】
他の実施形態において、プローブセットは、2つ以上の独立して検出可能なPNAプローブを含み得、ここで、独立して検出可能な各プローブは、サンプル中にある可能性のある異なる生物を決定するために適切であり、少なくとも1つの独立して検出可能なプローブは、Listeria属の生物の決定またはListeria monocytogenesの生物の決定のために適切である。このようなアッセイは、多重アッセイであり、多重化アッセイでは、2つ以上の細菌の各々が、サンプル中に存在するかどうかが決定され、適切な独立して検出が可能なプローブが、上記の細菌の各々を決定するために使用される。
【0079】
(c.方法):
別の実施形態において、本発明は、サンプル中のListeria細菌を決定するために適切な方法に関する。本方法に使用される1つ以上のプローブの性質に依存して、本方法は、Listeria属の生物またはListeria monocytogenesの生物を決定するために使用され得る。これらの細菌を検出するために適切なPNAプローブの一般的かつ好ましい特徴は、本明細書に既に記載されている。例示的なプローブ用ヌクレオベース配列を表1に列挙する。
【0080】
1つの実施形態において、本方法は、サンプルをListeria属を決定するために適切なPNAプローブの1つ以上と接触させる工程を包含し得、ここで、適切なプローブは、本明細書に既に記載されている。本方法に従って、適切なハイブリダイゼーション条件または適切なインサイチュハイブリダイゼーション条件の下での、1つ以上のPNAプローブのプローブ用ヌクレオベース配列と、細菌の標的配列とのハイブリダイゼーションを相関付けることによって、サンプル中のListeriaが決定され得る。この相関付けは、プローブ/標的配列複合体の直接的決定または間接的決定によって可能となる。
【0081】
別の実施形態において、本方法は、サンプルをListeria monocytogenesを決定するために適切なPNAプローブの1つ以上と接触させる工程を包含し得、ここで、適切なプローブは、本明細書に既に記載されている。本方法に従って、適切なハイブリダイゼーション条件または適切なインサイチュハイブリダイゼーション条件の下での、1つ以上のPNAプローブのプローブ用ヌクレオベース配列と細菌の標的配列とのハイブリダイゼーションを相関付けることによって、サンプル中のListeriaが決定され得る。この相関付けは、プローブ/標的配列複合体の直接的決定または間接的決定によって可能となる。
【0082】
特定の他の細菌および/または真核生物(eucarya)を決定するために選択されるプローブセット内へPNAプローブをグループ化することもまた、行われ得る。本方法の実施のために適切な例示的プローブおよびプローブセットは、本明細書に既に記載されている。例えば、酵母の検出を同時に行なうか行わないかを問わず、細菌を決定するための方法は、米国特許第6,280,946号(本明細書に参考として援用される)に既に記載されている。
【0083】
(例示的アッセイ形式):
本発明のプローブ、プローブセット、方法およびキットは、Listeria細菌の検出、同定および/または定量のために使用され得る。インサイチュハイブリダイゼーション(ISH)または蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)は、標的生物の検出、同定および/または定量のためのアッセイ形式として使用され得る。本明細書に含まれる実施例は、表1に列挙されたプローブ用ヌクレオベース配列を含む標識化PNAプローブが、標的細菌の決定について適切な特異的であることを実証する。
【0084】
本明細書に記載したPNAプローブまたはプローブセットあるいはキットで処理された生物は、いくつかの例示的方法によって決定され得る。細胞は、スライド上に固定され得、フィルム、カメラ、スライドスキャナーまたは顕微鏡によって可視化され得る。あるいは、細胞は、固定され得、次いで、フローサイトメーターで分析され得る。スライドスキャナーおよびフローサイトメーターは、目的のサンプル中に存在する標的生物の数を迅速に定量するために特に有用である。
【0085】
(d.キット:)
なお別の実施形態において、本発明は、サンプル中のListeria細菌を決定するアッセイを実行するために適切なキットに関する。Listeriaの検出、同定および/または定量のために適切なPNAプローブの一般的かつ好ましい特徴は、本明細書に既に記載されている。例示的なプローブ用ヌクレオベース配列を表1に列挙する。さらに、キットのPNAプローブまたはPNAプローブセットを使用するために適切な方法が、本明細書に既に記載されている。
【0086】
本発明のキットは、1つ以上のPNAプローブ、および、アッセイを実行するため、またはさもなければアッセイの実行を簡略化するために選択される、他の試薬または組成物を含む。例えば、キットは、PNA−ISHアッセイまたはPNA−FISHアッセイを実行するために有用な緩衝液および/または試薬を含む。他の実施形態において、緩衝液および/または他の試薬は、核酸増幅反応(例えば、PCR反応)を実行するために有用であり得る。
【0087】
プローブセットを含むキットにおいて、セット中の少なくとも2つのプローブの各々は、同じかまたは異なる細菌、あるいは細菌および酵母を検出するために使用される。2つ以上の異なる生物が決定されるべき場合、セット中のプローブは、1つ以上の独立して検出可能な部分で標識され得、その結果、特定の標的生物の各々が、1つのアッセイ(例えば、多重アッセイ)において個々に決定され得る。
【0088】
(e.本発明を使用するための例示的適用):
支持体に結合しているか、溶液中にあるかを問わず、本発明のPNAプローブ、プローブセット、方法およびキットは、食品、飲料、水、薬学的製品、個人的ケア製品、日用品中のListeria細菌の迅速、高感度でかつ信頼性の高い検出のため、または環境サンプルの分析のために特に有用であり得る。飲料の分析としては、ソーダ、ボトル入りの水、フルーツジュース、ビール、ワインまたはアルコール性製品が挙げられ得る。本発明の適切なPNAプローブ、プローブセット、方法およびキットは、食品、飲料、水、薬学的製品、個人的ケア製品、日用品を製造または貯蔵するために使用される、原料、装置、製品またはプロセスの分析、あるいは環境サンプルの分析のために特に有用であり得る。
【0089】
支持体に結合しているか、溶液中にあるかを問わず、本発明のPNAプローブ、プローブセット、方法およびキットは、臨床的サンプルおよび臨床的環境におけるListeria細菌の決定のために有用であり得る。臨床的サンプルの非限定的な例としては、以下が挙げられる:痰、喉頭に入れた綿棒、胃洗浄液、気管支洗浄液、生検材料、胃内容物、吐出物、体液(例えば、脊髄の液、胸膜の液、心膜の液、滑膜の液、血液、膿の液、羊膜の液、および尿)、骨髄および組織切片。適切なPNAプローブ、プローブセット、方法およびキットはまた、ヒトまたは動物を処置するために使用される臨床検体、装置、取り付け器具または製品の分析のために特に有用であり得る。
【実施例】
【0090】
(発明の様式)
本発明は、以下の実施例によって例示されるが、これらの実施例は、いかなる様式でも本発明を限定することを意図しない。
【0091】
全てのPNAオリゴマーは、従来の合成手順および精製手順を使用して調製した。
【0092】
(実施例1.Listeria monocytogenesの検出)
【0093】
【表2】

【0094】
Flu=5(6)-カルボキシフルオレセイン;O=8−アミノ−3、6−ジオキサオクタン酸
(細菌株)
試験した細菌株は、American Type Culture Collection、Manassas、VA(ATCC)、Agricultural Research Service Culture Collection、Peoria、III(NRRL)またはUniversity of Wisconsin−Madison、Department of Bacteriology、Stock Culture Collection(DSCC)から得た。本研究のために使用した全ての細菌培養物は、30℃でTryptic Soy Broth(Difco laboratories、Detroit、MI)中で増殖させた。
【0095】
(サンプル固定)
対数増殖しているListeria monocytogenes、Listeria innocua、Pseudomonas aeruginosaおよびBacillus subtilisの培養物の20mLアリコートを、10,000rpmで5分間の遠心分離によってペレット化し、20mLのPBS(7mM NaHPO;3mM NaHPO;130mM NaCl)で再懸濁し、再度ペレット化して、固定緩衝液(PBS中4%パラホルムアルデヒド)に再懸濁した。再度ペレット化(10,000rpmで5分間の遠心分離)する前に、細菌を室温で60分間インキュベートした。固定溶液を除去した後で、細胞を20mLのPBSに再懸濁し、ペレット化し、そして20mLの50%水性エタノールに再懸濁した。固定した細菌は、インキュベーションの30分後に使用してもよく、または使用されるまで数週間までの間、−20℃で貯蔵してもよい。
【0096】
(ハイブリダイゼーション)
50%水性エタノール中の固定された細胞をボルテックスすることで混合し、10,000rpmで5分間、遠心分離した。次いで、水性エタノールをサンプルから取り除き、ペレットを100μlの滅菌PBSに再懸濁して、10,000rpmで5分間の遠心分離によってペレット化した。ペレットからPBSを取り除き、そして細胞を、適切なプローブをそれぞれ150pmol/mLの濃度で含む100μlのハイブリダイゼーション緩衝液(20mM Tris−HCl(pH9.0);100mM NaCl;0.5%SDS)中に再懸濁した。ハイブリダイゼーションは、55℃で30分間、実行した。
【0097】
次いで、サンプルを10,000rpmで5分間、遠心分離した。ハイブリダイゼーション緩衝液を取り除き、細胞を500μLの滅菌TE−9.0(10mM Tris−HCl(pH9.0);1mM EDTA)に再懸濁した。この溶液を55℃で10分間、立てたままにした。次いで、サンプルを10,000rpmで5分間、遠心分離した。TE−9.0をペレットから取り除いた。このTE−9.0洗浄をさらに2回繰り返した。
【0098】
(可視化)
最後の洗浄の後で、細胞を100μlのTE−9.0に再懸濁した。この細胞懸濁液の2μlのアリコートをガラススライド上に配置し、広げ、乾燥させた。次いで、1〜2μLのVectashield(Vector Laboratories、P/NH−1000)を乾燥した細胞上に堆積し、カバーガラスをスライドに加えて、数滴のマニキュア液を使用してその位置に固定した。
【0099】
次いで、60倍の油浸対物レンズ、10倍の接眼レンズ(合計の倍率は、600倍である)および光フィルター(XF22(緑)、XF34(赤))(Omega Opticalから得た)を備えたNikon蛍光顕微鏡を使用して、細菌を観察した。SPOT CCDカメラおよびソフトウェア(Diagnostic Instruments,Inc.、Sterling Heights、MI(USA)から得た)を使用して、スライドから電子デジタル画像を製作した。
【0100】
(結果)
表3のデータは、試験したプローブの全てが、L.monocytogenesを検出したことを示す。大部分が、系統発生的に関連する株とある程度の交差反応性を示した。将来の計画としては、プローブの特異性を改良するための努力において、上記に列挙したブロッカープローブ配列を用いる、Listeria属のプローブの試験、およびL.monocytogenes特異的プローブの試験が挙げられる。
【0101】
【表3】

【0102】
(実施例2:Listeriaの分析)
(細胞増殖およびハイブリダイゼーションのための固定):
適切な培地中で18〜24時間の間、30℃で(または、Brochothrix spp.については25℃で)増殖させた細胞を、遠心分離(2、000×g、5分)によって採集した。E.rhusiopathiae、G.haemolysans、C.divergens、C.piscicolaおよびL.fermentumを除く全ての株が、Columbia broth中で増殖させられた。E.rhusiopathiaeおよびG.haemolysansは、フィルター滅菌したColumbia broth+5%ウシ血清(Serum Supreme、BioWhittaker)中で増殖させた。残りの株は、MRS broth中で増殖させた。細胞をPBSで一度洗浄し、10%緩衝化ホルマリン(Sigma)またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中の50%無水エタノール溶液のいずれかで固定した。ホルマリン固定について、洗浄された細胞を1ミリリットルの10%緩衝化ホルマリン(Sigma)に再懸濁して、室温で1時間、固定した。細胞を遠心分離(2、000×g、5分)し、固定液を取り除いた。固定した細胞をPBSで再度洗浄し、無水エタノール/RNaseを含まない蒸留水の50:50混合物中に再懸濁し、使用まで−20℃で貯蔵した。エタノールベースの固定について、細胞を上記のように採集し、1度洗浄し、無水エタノールとPBSの50:50混合物に再懸濁し、次いで、貯蔵のために−20℃に配置した。簡便のために、大部分の細胞調製物を前もって作製し、ハイブリダイゼーション実験の1週間前までこの条件下で貯蔵した。
【0103】
(ハイブリダイゼーションおよび顕微鏡検査):
約10の細胞(既に調製した細胞の100μlアリコート)を1度のハイブリダイゼーション反応について使用した。細胞調製物を遠心分離(2、000×g、5分)し、上清を除去した。細胞ペレットを、約100pmol/mlのユニバーサルバクテリアルアルプローブ(BacUni−1)を含む50μlの室温PNAハイブリダイゼーション緩衝液(20mM Tris(pH9.0)、100mM NaCl,0.5%SDS)に再懸濁した。ハイブリダイゼーション反応は、PCR block(DNA Thermal Cycler480、PerkinElmerCetus、Norwalk、CT)上で、0.5ml薄壁PCRチューブ(Corning)中で実行した。PCR機械は、55℃で「ソーク(soak)」するようにプログラムし、各実験のタイミングは、PCR blockが所望のハイブリダイゼーション温度の到達して(代表的には40〜45秒)すぐに始めた。細胞を1時間ハイブリダイズし、次いで、ハイブリダイゼーション温度まで予め加熱した500μlのPNA洗浄溶液(10mM Tris(pH9.0)、1mM EDTA)を各反応に添加した。細胞をさらに10分間洗浄溶液中でインキュベートし、ペレットにし(2、000×g、7分)、500μlの新鮮な、予め加熱した洗浄溶液に再懸濁し、そして、同じ温度でさらに20分間インキュベートした。PNA洗浄緩衝液を添加した時はいつでも、チューブを徹底的にボルテックスした。この2回目の洗浄期間の終了時に、ハイブリダイズした細胞をペレットにし(2、000×g、7分)、少量の残りの上清(約25〜30μl)に再懸濁した。細胞懸濁液(2μl)を清浄な顕微鏡用スライド(Fisher Scientific)上に塗抹し、空気乾燥または70℃に設定したPCR block上での乾燥のいずれかを行った。次いで、細菌の塗抹物をVecta Shieldマウント培地(Vector Labs)上にマウントし、蛍光顕微鏡(Carl Zeiss)で観察した。ハイブリダイゼーションの結果を陽性(「+」)または陰性(「−」)としてスコアをつけた。包括性特性および排他性特性についての結果を以下で表4と5にまとめる。
【0104】
【表4】

【0105】
株はATCC19120と同一である
L.murrayiについての株である
【0106】
【表5】

【0107】
本発明の好ましい実施形態を記載してきたが、ここで、この思想を取り込む他の実施形態が使用され得ることが当業者には明らかとなる。そのため、実施形態は、開示される実施形態に限定されるべきではなく、むしろ本発明の趣旨と範囲によってのみ限定されるべきであると考えられる。
【配列表】











【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプル中のListeriaの検出、同定および/または定量のための、プローブ用ヌクレオベース配列を含むPNAプローブ。
【請求項2】
前記プローブ用ヌクレオベース配列の少なくとも一部が、
【化1】

からなる群から選択されるヌクレオベース配列、またはそれらの相補物に対して少なくとも90%相同である、請求項1に記載のPNAプローブ。
【請求項3】
前記プローブが標識されていない、請求項1に記載のPNAプローブ。
【請求項4】
前記プローブが少なくとも1つの検出可能な部分で標識されている、請求項1に記載のPNAプローブ。
【請求項5】
前記検出可能な単一の部分または複数の部分が、デキストラン結合体、分岐核酸検出システム、発色団、発蛍光団、スピン標識、放射性同位体、酵素、ハプテン、アクリジニウムエステルおよび化学発光化合物からなる群から選択される、請求項4に記載のPNAプローブ。
【請求項6】
前記プローブが少なくとも2つの独立して検出可能な部分で標識されている、請求項1に記載のPNAプローブ。
【請求項7】
前記2つ以上の独立して検出可能な部分が、独立して検出可能な発蛍光団である、請求項6に記載のPNAプローブ。
【請求項8】
前記プローブが支持体に結合している、請求項1に記載のPNAプローブ。
【請求項9】
前記プローブが自己指標性である、請求項1に記載のPNAプローブ。
【請求項10】
インサイチュハイブリダイゼーションが、前記サンプル中のListeriaの1つ以上の生物を決定するために使用される、請求項1に記載のPNAプローブ。
【請求項11】
サンプル中のListeria monocytogenesを検出、同定および/または定量するための、プローブ用ヌクレオベース配列を含むPNAプローブ。
【請求項12】
前記プローブ用ヌクレオベース配列の少なくとも一部が、
【化2】

からなる群から選択されるヌクレオベース配列、またはそれらの相補物に対して少なくとも90%相同である、請求項11に記載のPNAプローブ。
【請求項13】
前記プローブが標識されていない、請求項11に記載のPNAプローブ。
【請求項14】
前記プローブが少なくとも1つの検出可能な部分で標識されている、請求項11に記載のPNAプローブ。
【請求項15】
前記検出可能な単一の部分または複数の部分が、デキストラン結合体、分岐核酸検出システム、発色団、発蛍光団、スピン標識、放射性同位体、酵素、ハプテン、アクリジニウムエステルおよび化学発光化合物からなる群から選択される、請求項14に記載のPNAプローブ。
【請求項16】
前記プローブが少なくとも2つの独立して検出可能な部分で標識されている、請求項11に記載のPNAプローブ
【請求項17】
前記2つ以上の独立して検出可能な部分が、独立して検出可能な発蛍光団である、請求項16に記載のPNAプローブ。
【請求項18】
前記プローブが支持体に結合している、請求項11に記載のPNAプローブ。
【請求項19】
前記プローブが自己指標性である、請求項11に記載のPNAプローブ。
【請求項20】
インサイチュハイブリダイゼーションが、前記サンプル中のListeriaの1つ以上の生物を決定するために使用される、請求項11に記載のPNAプローブ。
【請求項21】
サンプル中のListeriaの検出、同定および/または定量のために適切なPNAプローブセット。
【請求項22】
請求項11に記載のプローブセットであって、ここで、前記セットの少なくとも1つのPNAプローブがプローブ用ヌクレオベース配列を含み、ここで、少なくとも一部が、
【化3】

からなる群から選択されるヌクレオベース配列、またはそれらの相補体に対して、少なくとも90%相同である、プローブセット。
【請求項23】
少なくとも1つのプローブが、Listeria属の1つ以上の生物を決定するために選択され、一方、少なくとも1つの第2のプローブが、Listeria monocytogenesの1つ以上の生物を決定するために選択される、請求項21に記載のプローブセット。
【請求項24】
前記少なくとも2つのプローブが独立して検出可能である、請求項23に記載のプローブセット。
【請求項25】
前記少なくとも2つのプローブが自己指標性である、請求項24に記載のプローブセット。
【請求項26】
Listeria属の生物を決定するためのPNAプローブが、
【化4】

からなる群から選択されるヌクレオベース配列、またはそれらの相補体に対して少なくとも90%相同であるプローブ用ヌクレオベース配列を含む、請求項23に記載のプローブセット。
【請求項27】
Listeria monocytogenesの生物を決定するためのPNAプローブが、
【化5】

からなる群から選択されるヌクレオベース配列、またはそれらの相補体に対して少なくとも90%相同であるプローブ用ヌクレオベース配列を含む、請求項23に記載のプローブセット。
【請求項28】
前記セット中の少なくとも1つのプローブが標識されていない、請求項21、22または23のいずれか1項に記載のプローブセット。
【請求項29】
前記セットの全てのプローブが標識されていない、請求項21、22または23のいずれか1項に記載のプローブセット。
【請求項30】
少なくとも1つのプローブが検出可能な部分で標識されている、請求項21、22、23、26または27のいずれか1項に記載のプローブセット。
【請求項31】
前記セットの全てのプローブが1つ以上の検出可能な部分で標識されている、請求項21、22、23、26または27のいずれか1項に記載のプローブセット。
【請求項32】
前記単一の検出可能な部分または複数の検出可能な部分が、デキストラン結合体、分岐核酸検出システム、発色団、発蛍光団、スピン標識、放射性同位体、酵素、ハプテン、アクリジニウムエステルおよび化学発光化合物からなる群から選択される、請求項30または31のいずれか1項に記載のプローブセット。
【請求項33】
前記セット中の少なくとも1つのプローブが少なくとも2つの独立して検出可能な部分で標識されている、請求項21に記載のプローブセット。
【請求項34】
前記2つ以上の独立して検出可能な部分が独立して検出可能な発蛍光団である、請求項33に記載のプローブセット。
【請求項35】
インサイチュハイブリダイゼーションがサンプル中の1つ以上の生物を検出、同定または定量するために使用される、請求項21に記載のプローブセット。
【請求項36】
前記セット中の2つ以上のプローブが独立して検出可能である、請求項21に記載のプローブセット。
【請求項37】
前記セット中の少なくとも1つのプローブが自己指標性である、請求項21に記載のプローブセット。
【請求項38】
前記セット中の少なくとも1つのプローブが支持体に結合している、請求項21に記載のプローブセット。
【請求項39】
少なくとも1つのブロッキングプローブをさらに含む、請求項21または27のいずれか1項に記載のプローブセット。
【請求項40】
前記1つ以上のブロッキングプローブが、
【化6】

からなる群から選択されるヌクレオベース配列、またはそれらの相補体に対して少なくとも90%相同であるプローブ用ヌクレオベース配列を含む、請求項39に記載のプローブセット。
【請求項41】
サンプル中のListeriaを決定するための方法であって、該方法が以下:
a)該サンプルを1つ以上のPNAプローブに接触させる工程であって、ここで、該1つ以上のPNAプローブが、
【化7】

からなる群から選択されるヌクレオベース配列、またはそれらの相補体に対して少なくとも90%相同であるプローブ用ヌクレオベース配列を有する、工程;および
b)適切なハイブリダイゼーション条件または適切なインサイチュハイブリダイゼーション条件の下での、該PNAプローブのプローブ用ヌクレオベース配列とサンプル中の標的配列とのハイブリダイゼーションを決定し、その結果を該サンプル中のListeriaの存在、不存在または量と相関付ける工程、
を包含する、方法。
【請求項42】
前記PNAプローブの少なくとも1つが標識されていない、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記1つ以上のPNAプローブがすべて標識されている、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
少なくとも1つのPNAプローブが検出可能な部分で標識されている、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
全てのプローブが1つ以上の検出可能な部分で標識されている、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記検出可能な単一の部分または複数の部分が、デキストラン結合体、分岐核酸検出システム、発色団、発蛍光団、スピン標識、放射性同位体、酵素、ハプテン、アクリジニウムエステルおよび化学発光化合物からなる群から選択される、請求項44または45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
少なくとも1つのPNAプローブが少なくとも2つの独立して検出可能な部分で標識されている、請求項41に記載の方法。
【請求項48】
前記2つ以上の独立して検出可能な部分が独立して検出可能な発蛍光団である、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
発蛍光団または酵素と結合したプローブを使用するインサイチュハイブリダイゼーションが、サンプル中のListeriaの生物を決定するために使用される、請求項41に記載の方法。
【請求項50】
少なくとも2つのPNAプローブのセットがアッセイに使用される、請求項41に記載の方法。
【請求項51】
2つ以上のPNAプローブが独立して検出可能である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記セット中の1つ以上のプローブが2つ以上の独立して検出可能な部分で標識されている、請求項41に記載の方法。
【請求項53】
前記2つ以上の独立して検出可能な部分が、独立して検出可能な発蛍光団である、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
少なくとも1つのPNAプローブが自己指標性である、請求項41に記載の方法。
【請求項55】
少なくとも1つのPNAプローブが支持体に結合している、請求項41に記載の方法。
【請求項56】
サンプル中のListeria monocytogenesを決定するための方法であって、該方法が以下:
a)該サンプルを1つ以上のPNAプローブに接触させる工程であって、ここで、該1つ以上のPNAプローブが、
【化8】

からなる群から選択されるヌクレオベース配列、またはそれらの相補体に対して少なくとも90%相同であるプローブ用ヌクレオベース配列を有する、工程;および
b)適切なハイブリダイゼーション条件または適切なインサイチュハイブリダイゼーション条件の下での、該PNAプローブのプローブ用ヌクレオベース配列とサンプル中の標的配列とのハイブリダイゼーションを決定し、その結果をサンプル中のListeria monocytogenesの存在、不存在または量と相関付ける工程、
を包含する、方法。
【請求項57】
前記PNAプローブの少なくとも1つが標識されていない、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記1つ以上のPNAプローブがすべて標識されていない、請求項56に記載の方法。
【請求項59】
少なくとも1つのPNAプローブが1つの検出可能な部分で標識されている、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
セットの全てのプローブが1つ以上の検出可能な部分で標識されている、請求項56に記載の方法。
【請求項61】
前記検出可能な単一の部分または複数の部分が、デキストラン結合体、分岐核酸検出システム、発色団、発蛍光団、スピン標識、放射性同位体、酵素、ハプテン、アクリジニウムエステルおよび化学発光化合物からなる群から選択される、請求項59または60のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
少なくとも1つのPNAプローブが少なくとも2つの独立して検出可能な部分で標識されている、請求項56に記載の方法。
【請求項63】
前記2つ以上の独立して検出可能な部分が独立して検出可能な発蛍光団である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
発蛍光団または酵素と結合したプローブを使用するインサイチュハイブリダイゼーションが、サンプル中のListeriaの生物を決定するために使用される、請求項56に記載の方法。
【請求項65】
少なくとも2つのPNAプローブのセットがアッセイに使用される、請求項56に記載の方法。
【請求項66】
前記2つ以上のPNAプローブが独立して検出可能である、請求項67に記載の方法。
【請求項67】
セット中の1つ以上のプローブが2つ以上の独立して検出可能な部分で標識されている、請求項56に記載の方法。
【請求項68】
前記2つ以上の独立して検出可能な部分が、独立して検出可能な発蛍光団である、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
少なくとも1つのPNAプローブが自己指標性である、請求項56に記載の方法。
【請求項70】
少なくとも1つのPNAプローブが支持体に結合している、請求項56に記載の方法。
【請求項71】
サンプル中のListeriaを決定するアッセイを実行するために適切なキットであって、該キットが以下:
a)1つ以上のPNAプローブであって、ここで、該PNAプローブは、プローブ用ヌクレオベース配列を含み、少なくとも一部が、
【化9】

からなる群から選択されるヌクレオベース配列、またはそれらの相補体に対して、少なくとも90%相同である1つ以上のPNAプローブ;および
b)該アッセイを実行するために必要な他の試薬または組成物、
を含む、キット。
【請求項72】
前記キットの前記プローブが標識されていない、請求項71に記載のキット。
【請求項73】
少なくとも1つのプローブが検出可能な部分で標識されている、請求項71に記載のキット。
【請求項74】
2つ以上のプローブが独立して複数の検出可能な部分で標識されている、請求項71に記載のキット。
【請求項75】
前記複数の独立して検出可能な部分が独立して検出可能な発蛍光団である、請求項74に記載のキット。
【請求項76】
少なくとも1つのプローブが少なくとも2つの独立して検出可能な部分で標識されている、請求項71に記載のキット。
【請求項77】
前記2つ以上の独立して検出可能な部分が独立して検出可能な発蛍光団である、請求項76に記載のキット。
【請求項78】
前記プローブのプローブ用ヌクレオベース配列と目的の生物の核酸とのハイブリダイゼーションが、抗体あるいは抗体フラグメントを使用して検出され、ここで、該抗体または抗体フラグメントは、該PNA/核酸複合体に特異的に結合する、請求項72に記載のキット。
【請求項79】
検出可能な部分で標識された抗体をさらに含む、請求項79に記載のキット。
【請求項80】
前記検出可能な部分が、デキストラン結合体、分岐核酸検出システム、発色団、発蛍光団、スピン標識、放射性同位体、酵素、ハプテン、アクリジニウムエステルおよび化学発光化合物からなる群から選択される、請求項79に記載のキット。
【請求項81】
PNA−ISHアッセイまたはPNA−FISHアッセイを実行するために適切な緩衝液および/または他の試薬をさらに含む、請求項71に記載のキット。
【請求項80】
核酸増幅反応を実行するために適切な緩衝液および/または他の試薬をさらに含む、請求項71に記載のキット。
【請求項81】
少なくとも1つのPNAプローブが自己指標性である、請求項71に記載のキット。
【請求項82】
前記キットが少なくとも1つのブロッキングプローブを含む、請求項71に記載のキット。
【請求項83】
前記ブロッキングプローブの1つ以上が、
【化10】

からなる群から選択されるヌクレオベース配列、またはそれらの相補体に対して少なくとも90%相同であるプローブ用ヌクレオベース配列を含む、請求項82に記載のキット。

【公表番号】特表2006−507798(P2006−507798A)
【公表日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−507516(P2004−507516)
【出願日】平成15年5月13日(2003.5.13)
【国際出願番号】PCT/US2003/014951
【国際公開番号】WO2003/100076
【国際公開日】平成15年12月4日(2003.12.4)
【出願人】(503229742)アプレラ コーポレイション (8)
【出願人】(591057706)ウィスコンシン・アルムニ・リサーチ・ファウンデーション (26)
【氏名又は名称原語表記】WISCONSIN ALUMNI RESEARCH FOUNDATION
【Fターム(参考)】