説明

MAG、マルチキャスト高速ハンドオーバシステム及びマルチキャスト高速ハンドオーバ方法

【課題】マルチキャストハンドオーバ時のハンドオーバ遅延とデータ損失を減少し、かつネットワークリソースの無駄やモバイルアクセスゲートウェイとネットワークへの負荷を増加させない、モバイルアクセスゲートウェイ、マルチキャスト高速ハンドオーバシステム及びマルチキャスト高速ハンドオーバ方法を提供する。
【解決手段】モバイルアクセスゲートウェイは、移動端末がハンドオーバしようとすることを検知してから、ハンドオーバ開始メッセージを構成するようにHIメッセージ構成部を制御するとともに、ネットワークインターフェースを呼び出してハンドオーバ開始メッセージを送信し、ハンドオーバ開始メッセージを受信してから、当該ハンドオーバ開始メッセージを処理するようにHIメッセージ処理部を制御し、ハンドオーバ確認メッセージを受信してから、当該ハンドオーバ確認メッセージを処理するようにHAckメッセージ処理部を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマルチキャスト高速ハンドオーバを実現するためのモバイルアクセスゲートウェイ、マルチキャスト高速ハンドオーバシステム及びマルチキャスト高速ハンドオーバ方法に関し、特にプロキシモバイルIPv6システムにおいて、マルチキャストハンドオーバ時のハンドオーバ遅延とデータ損失を減少し、かつネットワークリソースの無駄やモバイルアクセスゲートウェイとネットワークへの負荷を増加させない、マルチキャスト高速ハンドオーバを実現するためのモバイルアクセスゲートウェイ、マルチキャスト高速ハンドオーバシステム及びマルチキャスト高速ハンドオーバ方に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マルチキャスト(multicast)技術は通信分野において幅広く応用されつつある。IP技術においては、IPマルチキャスト技術によるデータ伝送により、最小のコストで1つの送信ノードから複数の受信ノードへの送信を実現し、これによりネットワークの帯域幅を大幅に節約し、ネットワークの負荷を軽減することができる。
【0003】
例えば、マルチキャスト技術はプロキシモバイルIPv6(Proxy Mobile IPv6、即ちPMIPv6(RFC5213))プロトコルに幅広く応用されている。以下に、プロキシモバイルIPv6プロトコル及びプロキシモバイルIPv6プロトコルにおけるマルチキャストの応用について具体的に紹介する。
【0004】
プロキシモバイルIPv6はモバイルネットワーク管理プロトコルであり、当該プロトコルでは、移動端末が移動関連のいかなるシグナリングの送信に関与しなくても、IP移動を実現できる。ネットワーク側が移動端末のIP移動を管理する。ネットワークにおけるあるモバイルプロキシが移動端末の代わりにホームエージェントに移動シグナリングを送信し、移動端末の移動を管理する。プロキシモバイルIPv6プロトコルは3GPP、3GPP2、WiMAXなど複数の広域無線ネットワーク、及びローカル無線ネットワークに用いられる。
【0005】
しかし、プロキシモバイルIPv6プロトコルにはマルチキャスト及びマルチキャストハンドオーバを如何にサポートするかについての説明がない。プロキシモバイルIPv6プロトコルにおいて、ローカルモビリティアンカー(Local Mobility Anchor(LMA))とモバイルアクセスゲートウェイ(Mobile Access Gateway(MAG))はそれぞれの移動端末のために、双方向のトンネルを確立して、データを転送し、マルチキャストデータも当該双方向トンネルにより転送できる。しかし、大量の移動端末が同じマルチキャストに加入する場合、それぞれの移動端末のために、同じマルチキャストデータをコピーして、ユニキャストによりMAGに送信するので、ネットワークリソースが著しく無駄になり、かつMAGにより、マルチキャストグループからデータを受信する移動端末が異なるMAGまたはLMAが管轄するエリア間で移動する場合、移動端末の移動先MAGが当該マルチキャストグループに加入する前に、当該移動端末は当該マルチキャストグループからマルチキャストデータを受信できない時間帯が発生する。これは明らかにマルチキャストハンドオーバの遅延とマルチキャストデータのロスを生じることになる。これはモバイル通信の品質が益々高く求められている今日に、解決しなければならない技術問題である。
【0006】
例えば、プロキシモバイルIPv6プロトコルにおいて移動端末がハンドオーバする時のマルチキャストハンドオーバ遅延とマルチキャストデータ損失の問題を解決するために、プロキシモバイルIPv6プロトコルのマルチキャスト高速ハンドオーバドラフト(draft−hui−multimob−fast−handover−00)には、高速ハンドオーバメカニズムが提案されている。当該高速ハンドオーバメカニズムにおいて、移動端末は旧MAGを介してマルチキャストグループからデータを受信し、当該移動端末は旧MAGが管轄するエリアから新MAGが管轄するエリアに移動する場合、旧MAGと新MAGの間にトンネルを確立して、マルチキャストデータを転送する。これにより、移動端末が新MAGのネットワークにハンドオーバして接続した後、新MAGが当該マルチキャストグループに加入する前に、当該トンネルにより、当該マルチキャストグループのマルチキャストデータを継続的に受信することができるので、プロキシモバイルIPv6プロトコルにおいて移動端末がハンドオーバする時のマルチキャストハンドオーバの遅延とマルチキャストデータのロス問題は軽減される。
【0007】
しかし、上述の高速ハンドオーバメカニズムには以下のような技術問題がある。
【0008】
(1)移動端末が旧MAGから新MAGにハンドオーバする時に、移動端末のハンドオーバ先の新MAGがすでに当該移動端末が受信しているマルチキャストグループに加入している場合、旧MAGと新MAGとの間にマルチキャストデータ転送のためのトンネルを確立しなくても、当該移動端末が新MAGにハンドオーバしてから、直接新MAGを介して当該マルチキャストグループのマルチキャストデータを受信することができる。ただし、上記の高速ハンドオーバメカニズムでは、この状況でも、やはり旧MAGと新MAGとの間に、マルチキャストデータ転送のためのトンネルを確立する必要があるので、明らかにネットワークリソースの無駄が生じ、モバイルアクセスゲートウェイとネットワークへの負荷が増加することになる。
【0009】
(2)同じマルチキャストグループからマルチキャストデータを受信する大量の移動端末が同時に旧MAGから新MAGにハンドオーバする時に、上記の高速ハンドオーバメカニズムにより、旧MAGと新MAGとの間に大量のトンネルを確立する必要がある。これらのトンネルは上記の移動端末のために、同じマルチキャストグループの同じマルチキャストデータを転送する。この状態では、明らかにネットワークリソースの大量の無駄が生じ、モバイルアクセスゲートウェイとネットワークへの負荷が大いに増加することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上述の技術問題の解決を目的とし、マルチキャストハンドオーバ時のハンドオーバ遅延とデータ損失を減少し、かつネットワークリソースの無駄やモバイルアクセスゲートウェイとネットワークへの負荷を増加させない、マルチキャスト高速ハンドオーバを実現するためのモバイルアクセスゲートウェイ、マルチキャスト高速ハンドオーバシステム及びマルチキャスト高速ハンドオーバ方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係わる一の技術案は、モバイルアクセスゲートウェイであって、ネットワークに接続し、ネットワークを介して他のモバイルアクセスゲートウェイ及び移動端末と通信を行うネットワークインターフェースと、受信したハンドオーバ開始メッセージを処理するHIメッセージ処理部と、受信したハンドオーバ確認メッセージを処理するHAckメッセージ処理部と、ハンドオーバ開始メッセージを構成するHIメッセージ構成部と、移動端末がハンドオーバしようとすることを検知してから、ハンドオーバ開始メッセージを構成するように前記HIメッセージ構成部を制御するとともに、前記ネットワークインターフェースを呼び出してハンドオーバ開始メッセージを送信し、ハンドオーバ開始メッセージを受信してから、当該ハンドオーバ開始メッセージを処理するように前記HIメッセージ処理部を制御し、ハンドオーバ確認メッセージを受信してから、当該ハンドオーバ確認メッセージを処理するように前記HAckメッセージ処理部を制御する制御部と、を含むことを特徴とする。
【0012】
本発明に係わる他の技術案は、ネットワークに接続し、ネットワークを介して他のモバイルアクセスゲートウェイ及び移動端末と通信を行うモバイルアクセスゲートウェイであって、ハンドオーバ開始メッセージとハンドオーバ確認メッセージを送受信するネットワークインターフェースと、受信したハンドオーバ開始メッセージを処理するHIメッセージ処理部と、受信したハンドオーバ確認メッセージを処理するHAckメッセージ処理部と、ハンドオーバ開始メッセージを構成するHIメッセージ構成部と、(a)前記移動端末が本モバイルアクセスゲートウェイから前記他のモバイルアクセスゲートウェイへハンドオーバしようとすることを検知してから、ハンドオーバ開始メッセージを構成するように前記HIメッセージ構成部を制御するとともに、前記ネットワークインターフェースを呼び出して前記他のモバイルアクセスゲートウェイに前記ハンドオーバ開始メッセージを送信し、(b)前記ネットワークインターフェースがハンドオーバ開始メッセージを受信してから、当該ハンドオーバ開始メッセージを処理するように前記HIメッセージ処理部を制御するとともに、前記ネットワークインターフェースを呼び出して、応答として、マルチキャストデータ転送のためのトンネルの確立が必要か否かを通知するハンドオーバ確認メッセージを送信し、(c)前記ネットワークインターフェースがハンドオーバ確認メッセージを受信してから、当該ハンドオーバ確認メッセージを処理するように前記HAckメッセージ処理部を制御し、必要なときだけ、マルチキャストデータ転送のためのトンネルを確立する制御部と、を含むことを特徴とする。
【0013】
本発明に係わる他の技術案は、マルチキャスト高速ハンドオーバシステムであって、複数の移動端末のホームエージェントであるローカルモビリティアンカーに接続するコアネットワークと、複数の移動端末にアクセスし、移動端末のIPモバイルを管理するモバイルアクセスゲートウェイと、モバイルアクセスゲートウェイを介してネットワークに接続し、モバイルIPの関連シグナリングの送信に関与しない移動端末と、を含み、前記モバイルアクセスゲートウェイには、ネットワークに接続し、ネットワークを介して他のモバイルアクセスゲートウェイ及び移動端末と通信を行うネットワークインターフェースと、受信したハンドオーバ開始メッセージを処理するHIメッセージ処理部と、受信したハンドオーバ確認メッセージを処理するHAckメッセージ処理部と、ハンドオーバ開始メッセージを構成するHIメッセージ構成部と、移動端末がハンドオーバしようとすることを検知してから、ハンドオーバ開始メッセージを構成するように前記HIメッセージ構成部を制御するとともに、前記ネットワークインターフェースを呼び出してハンドオーバ開始メッセージを送信し、ハンドオーバ開始メッセージを受信してから、当該ハンドオーバ開始メッセージを処理するようにHIメッセージ処理部を制御し、ハンドオーバ確認メッセージを受信してから、当該ハンドオーバ確認メッセージを処理するようにHAckメッセージ処理部を制御する制御部と、を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明に係わる他の技術案は、コアネットワーク、ローカルモビリティアンカー、モバイルアクセスゲートウェイ及び移動端末を含むプロキシモバイルシステムに使われるマルチキャスト高速ハンドオーバ方法であって、他のモバイルアクセスゲートウェイから送信されたハンドオーバ開始メッセージを受信した場合、モバイルアクセスゲートウェイは自分が当該ハンドオーバ開始メッセージに含まれるマルチキャストグループに加入済みか否かをチェックするステップと、当該モバイルアクセスゲートウェイが当該マルチキャストグループに加入済みの場合は、前記他のモバイルアクセスゲートウェイに、マルチキャストデータ転送のためのトンネル確立の必要がないことを通知するハンドオーバ確認メッセージを送信するステップと、当該モバイルアクセスゲートウェイが当該マルチキャストグループに未加入の場合は、当該マルチキャストグループへの加入申請を行うステップと、モバイルアクセスゲートウェイが加入申請後、当該マルチキャストグループへの加入に成功した場合は、前記他のモバイルアクセスゲートウェイに、マルチキャストデータ転送のためのトンネル確立の必要がないことを通知するハンドオーバ確認メッセージを送信するステップと、当該モバイルアクセスゲートウェイが加入申請後、当該マルチキャストグループに加入できなかった場合は、前記他のモバイルアクセスゲートウェイに、マルチキャストデータ転送のためのトンネル確立を申請するハンドオーバ確認メッセージを送信するステップと、を含むことを特徴とする。
【0015】
本発明のモバイルアクセスゲートウェイ、マルチキャスト高速ハンドオーバシステム及びマルチキャスト高速ハンドオーバ方法によれば、プロキシモバイルIPv6ネットワークなどのIP技術を利用するネットワークにおいて、元のモバイルアクセスゲートウェイが新しいモバイルアクセスゲートウェイのネットワークにハンドオーバしようとする移動端末を検知してから、元のモバイルアクセスゲートウェイは新しいモバイルアクセスゲートウェイに、移動端末が受信しているマルチキャストグループの情報を含むハンドオーバ開始メッセージを送信する。新しいモバイルアクセスゲートウェイはハンドオーバ開始メッセージを受信してから、自分が前記マルチキャストグループに加入済みか否かをチェックする。前記マルチキャストグループに加入済みの場合は、元のモバイルアクセスゲートウェイに、当該マルチキャストグループのマルチキャストデータ転送のためのトンネル確立の必要がないことを通知するハンドオーバ確認メッセージを返信する。新しいモバイルアクセスゲートウェイが当該マルチキャストグループに未加入の場合は、直ちに当該マルチキャストグループへの加入を申請する。新しいモバイルアクセスゲートウェイが当該マルチキャストグループへの加入に成功した場合は、元のモバイルアクセスゲートウェイに、当該マルチキャストグループのマルチキャストデータ転送のためのトンネル確立の必要がない旨のメッセージを返信し、加入できなかった場合は、元のモバイルアクセスゲートウェイに、当該マルチキャストグループのマルチキャストデータ転送のためのトンネル確立の必要がある旨のメッセージを返信する。このようにして、移動端末が新しいモバイルアクセスゲートウェイのネットワークにハンドオーバしてから、引き続き、新しいモバイルアクセスゲートウェイから当該マルチキャストグループのマルチキャストデータを受信することができる。
【発明の効果】
【0016】
よって、移動端末がモバイルアクセスゲートウェイの間でハンドオーバする時に、または大量の移動端末が同時にある元のモバイルアクセスゲートウェイからある新しいモバイルアクセスゲートウェイにハンドオーバする時に、マルチキャストデータ転送のためのトンネルを余分に確立することがなく、IP技術によるマルチキャストの高速ハンドオーバを実現し、同時に、マルチキャストハンドオーバ時のハンドオーバ遅延とデータ損失を減少し、かつネットワークリソースの無駄やモバイルアクセスゲートウェイ及びネットワークへの負荷を増加させないことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係わるマルチキャスト高速ハンドオーバシステムのシステム配置図である。
【図2A】実施形態に係わるMAGの構造図である。
【図2B】実施形態に係わるマルチキャストアドレスデータベース151を示す図である。
【図2C】実施形態に係わるマルチキャストアドレスデータベース151の記録例1を示す図である。
【図2D】実施形態に係わるマルチキャストアドレスデータベース151の記録例2を示す略図である。
【図3A】実施形態に係わるハンドオーバ開始メッセージM100のフォーマットを示す図である。
【図3B】実施形態に係わるハンドオーバ確認メッセージM200のフォーマットを示す図である。
【図4】実施形態に係わるマルチキャスト高速ハンドオーバのシグナリングフローチャートである。
【図5】実施形態に係わるマルチキャスト高速ハンドオーバにおける旧MAGの動作フローチャートである。
【図6】実施形態に係わるマルチキャスト高速ハンドオーバにおける新MAGの動作フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図を用いて、本発明の具体的な実施形態について説明する。以下の実施形態は本発明の内容を説明するための例であって、本発明を限定するものではない。
【0019】
図1は本発明の実施形態のマルチキャスト高速ハンドオーバシステムのシステム配置図である。図1に示したように、当該マルチキャスト高速ハンドオーバシステムは複数のMAG(モバイルアクセスゲートウェイ)11〜14、LMA(ローカルモビリティアンカー)2、コアネットワーク3、移動端末4及び基地局5を含む。そのうち、MAG11〜14、LMA2、移動端末4及び基地局5の定義はプロキシモバイルIPv6プロトコルと同じである。LMA2は移動端末のホームエージェントであり、コアネットワーク3を介してお互いに接続する。それぞれのLMA2は移動端末のIPモバイルを管理し、移動端末の代わりに移動関連のシグナリングを送信する複数のMAG1に下りアクセスする。それぞれのMAG1はモバイルIPの関連シグナリングの送信に関与しない複数の移動端末4に下りアクセスする。
【0020】
本実施形態では、MAGに対して改良が行われた。以下、MAGについて詳細に説明を行う。説明においてそれぞれのMAG11〜14の構造は同じである。
【0021】
MAGはネットワークに接続し、ネットワークを介して他のMAG及び移動端末と通信を行う。図2Aは実施形態に係わるMAGの構造図である。図2Aに示したように、MAGはネットワークインターフェース10、記憶部15、HIメッセージ構成部16、HIメッセージ処理部18、HAckメッセージ処理部14、制御部20及びバス22を含む。以下にMAG11の各構造の詳細状況について具体的に説明する。
(ネットワークインターフェース10)
【0022】
ネットワークインターフェース10はネットワークを接続するもので、ネットワークを介して、他のMAG及び移動端末と通信を行う。ネットワークインターフェース10はハンドオーバメッセージ受信モジュール101とハンドオーバメッセージ送信モジュール103を含む。ハンドオーバメッセージ受信モジュール101はハンドオーバ開始(Handover Initiate(HI))メッセージとハンドオーバ確認(Handover Acknowledge(HAck))メッセージを受信し、ハンドオーバメッセージ送信モジュール103はハンドオーバ開始メッセージとハンドオーバ確認メッセージを送信する。ハンドオーバ開始メッセージとハンドオーバ確認メッセージの詳細については、後で説明する。
(記憶部15)
【0023】
記憶部15はMAGの加入済みのマルチキャストグループのアドレスを記憶する。具体的にいうと、記憶部15はマルチキャストアドレスデータベース151を含む。図2Bは実施形態に係わるマルチキャストアドレスデータベース151を示す図である。図2Bに示したように、マルチキャストアドレスデータベース151はマルチキャストアドレス記録リスト1511を含み、例えば公知のデータベースにより実現される。マルチキャストアドレス記録リスト1511はシーケンス番号15111フィールド、マルチキャストアドレス15113フィールド、有効期間15115フィールドを含むマルチキャストアドレス記録を示す。シーケンス番号15111フィールドはマルチキャストアドレス記録データベースに記録する当該マルチキャストアドレスのシーケンス番号を示す。マルチキャストアドレス15113フィールドはMAGの加入済みのマルチキャストグループのアドレスを示す。有効期間15115フィールドは当該マルチキャストアドレス記録の有効期間を示し、有効期間の値が0より大きい場合は、当該記録が有効であることを示し、それ以外の場合は当該記録が無効であることを示す。
【0024】
以下、マルチキャストアドレスデータベース151の記録例について説明する。図2Cは実施形態に係わるマルチキャストアドレスデータベース151の記録例1を示す。記録例1において、MAGはマルチキャストグループ224.0.1.1とマルチキャストグループ224.0.1.2に加入済みである。図2Dは実施形態に係わるマルチキャストアドレスデータベース151の記録例2を示す。記録例2において、MAGはマルチキャストグループ224.0.1.1に加入済みである。
(HIメッセージ構成部16)
【0025】
図2Aに戻って、引き続きMAG11の具体的な構造について説明する。HIメッセージ構成部16はハンドオーバ開始(HI)メッセージを構成する。ハンドオーバ開始メッセージには、少なくともハンドオーバしようとする移動端末4が受信しているマルチキャストグループの情報を含む。図3Aは実施形態に係わるハンドオーバ開始メッセージM100のフォーマットを示す。ハンドオーバ開始メッセージM100は送信元アドレスM101フィールド、宛先アドレスM102フィールド、種別M104フィールド、長さM106フィールド及びマルチキャストアドレスM108フィールドを含む。そのうち、送信元アドレスM101フィールドは当該ハンドオーバ開始メッセージを送信するMAGアドレスを示す。宛先アドレスM102フィールドは当該ハンドオーバ開始メッセージの送信先のMAGアドレスを示す。種別M104フィールドは当該メッセージがハンドオーバ開始メッセージであることを指定する。長さM106フィールドは当該メッセージの長さを示す。マルチキャストアドレスM108フィールドはハンドオーバしようとする移動端末4が受信しているマルチキャストグループのアドレスを示す。
(HIメッセージ処理部18)
【0026】
図2Aに戻って、引き続きMAGの具体的な構造について説明する。HIメッセージ処理部18は受信したハンドオーバ開始メッセージを処理する。具体的にいうと、HIメッセージ処理部18にはマルチキャストチェックモジュール181、マルチキャスト追加モジュール183及びHAckメッセージ構成モジュール185を含む。
【0027】
マルチキャストチェックモジュール181は本MAGがハンドオーバ開始メッセージに含まれるマルチキャストグループに加入済みか否かをチェックする。マルチキャスト追加モジュール183はハンドオーバ開始メッセージに含まれるマルチキャストグループへの本MAGの加入申請を行う。HAckメッセージ構成モジュール185はハンドオーバ確認(HAck)メッセージを構成する。
【0028】
ハンドオーバ確認メッセージには、少なくともマルチキャストデータ転送のためのトンネルの確立が必要か否かを示すトンネルフラグを含む。図3Bは実施形態に係わるハンドオーバ確認メッセージM200のフォーマットを示す。ハンドオーバ確認メッセージM200には送信元アドレスM201フィールド、宛先アドレスM202フィールド、種別M204フィールド、長さM206フィールド、マルチキャストアドレスM208フィールド、マルチキャストフラグM210フィールド及びトンネルフラグM212フィールドを含む。そのうち、送信元アドレスM201フィールドは当該ハンドオーバ確認メッセージを送信するMAGアドレスを示す。宛先アドレスM202フィールドはハンドオーバ確認メッセージの送信先のMAGアドレスを示す。種別M204フィールドは当該メッセージがハンドオーバ確認メッセージであることを指定する。長さM206フィールドは当該メッセージの長さを示す。マルチキャストアドレスM208フィールドは受信したハンドオーバM100にあるマルチキャストアドレスM108をコピーする。マルチキャストフラグM210フィールドはMAGがマルチキャストアドレスM208に示すマルチキャストグループに加入済みか否かを示す。トンネルフラグM212フィールドはマルチキャストデータ転送のためのトンネル確立の必要があるか否かを示し、トンネル確立の必要ありを示すトンネルフラグとトンネル確立の必要なしを示すトンネルフラグに分けられる。
(HAckメッセージ処理部14)
【0029】
図2Aに戻って、引き続きMAGの具体的な構造について説明する。HAckメッセージ処理部14は受信したハンドオーバ確認メッセージを処理する。具体的にいうと、HAckメッセージ処理部14にはトンネル確立モジュール141を含む。受信したハンドオーバ確認メッセージM200にあるトンネルフラグM212フィールドがマルチキャストデータ転送のためのトンネル確立の必要があることを示す場合、HAckメッセージ処理部14はトンネル確立部141を呼び出して、本MAGと当該ハンドオーバ確認メッセージの送信元MAGとの間にトンネルを確立し、当該ハンドオーバ確認メッセージM200にあるマルチキャストアドレスM208フィールドが示すマルチキャストグループのマルチキャストデータを転送する。
(制御部20)
【0030】
制御部20は制御MAGの全体動作を制御する。即ち、本MAGに接続している移動端末4がハンドオーバしようとすることを検知してから、制御部20は、当該ハンドオーバ開始メッセージを構成するようにHIメッセージ構成部16を制御するとともに、ネットワークインターフェース10を呼び出してハンドオーバ開始メッセージを送信する。ハンドオーバ開始メッセージを受信してから、制御部20は、当該ハンドオーバ開始メッセージを処理するようにHIメッセージ処理部を制御する。ハンドオーバ確認メッセージを受信してから、制御部20は、当該ハンドオーバ確認メッセージを処理するようにHAckメッセージ処理部14を制御する。
(バス22)
【0031】
バス22はMAGの上記各構造間のデータを転送するものであり、公知の様々な方法で実現できるので、ここでは特に説明しないことにする。
【0032】
以下、図に基づいて、上記マルチキャスト高速ハンドオーバシステムにより実現するマルチキャスト高速ハンドオーバの具体的な流れについて説明する。図4は実施形態に係わるマルチキャスト高速ハンドオーバのシグナリング流れ図である。図4に示したように、移動端末4が図1に示すように旧MAG12から新MAG13にハンドオーバする時に、そのマルチキャストハンドオーバのシグナリング流れは以下の通りである。
【0033】
S101:移動端末4は旧MAG12からマルチキャストデータを受信する。
【0034】
S102:移動端末4は自分が新MAG13ネットワークに移動しようとすることを検知した場合、旧MAG12にトリガメッセージを送信する。当該トリガメッセージには移動端末4の移動先の新MAG13のアドレス情報を含む。
【0035】
S103:旧MAG12は移動端末4からトリガメッセージを受信してから、新MAG13にハンドオーバ開始メッセージを送信する。当該ハンドオーバ開始メッセージには、少なくとも、移動端末4が受信しているマルチキャストグループの情報を含み、図3Aに示したハンドオーバ開始メッセージM100のフォーマットを採用することができる。
【0036】
S104:新MAG13は旧MAG12からハンドオーバ開始メッセージを受信してから、自分が当該ハンドオーバ開始メッセージにあるマルチキャストグループに加入済みか否かをチェックする。新MAG13は自分が当該マルチキャストグループに未加入であることを検出した場合、当該マルチキャストグループへの加入を申請する。
【0037】
S105:新MAG13は旧MAG12にハンドオーバ確認メッセージを送信し、上記マルチキャストグループに加入済みか否かにより、旧MAG12に、旧MAG12と新MAG13との間に当該マルチキャストグループのマルチキャストデータ送信のためのトンネル確立の必要があるか否かを通知する。即ち、新MAG13が当該マルチキャストグループに加入済みの場合は、旧MAG12にトンネル確立の必要なしのトンネルフラグを含むハンドオーバ確認メッセージを送信する。新MAG13が申請後も当該マルチキャストグループに加入できない場合は、旧MAG12にトンネル確立の必要ありのトンネルフラグを含むハンドオーバ確認メッセージを送信する。
【0038】
S106:移動端末4が新MAG13のネットワークにハンドオーバしてから、MAG13からマルチキャストデータを受信する。
【0039】
以上のように、上記のマルチキャスト高速ハンドオーバプロセスにより、移動端末がモバイルアクセスゲートウェイの間でハンドオーバする時に、または大量の移動端末が同時にある元のモバイルアクセスゲートウェイからある新しいモバイルアクセスゲートウェイにハンドオーバする時に、マルチキャストデータ送信のためのトンネルを余分に確立せずに、IP技術によるマルチキャスト高速ハンドオーバを実現し、同時にマルチキャストハンドオーバ時のハンドオーバ遅延とデータ損失を減少し、かつネットワークリソースの無駄やモバイルアクセスゲートウェイとネットワークへの負荷を増加させないことができる。
【0040】
以下、図に基づいて、上記マルチキャスト高速ハンドオーバプロセスにおける旧MAG12と新MAG13のそれぞれの動作の流れについて詳細に説明する。
【0041】
図5は実施形態に係わるマルチキャスト高速ハンドオーバにおける旧MAG12の動作フローチャートである。図5に示したように、旧MAG12が上記マルチキャスト高速ハンドオーバプロセスにおける動作の流れは以下の通りである。
【0042】
F101:旧MAG12は今回のマルチキャストハンドオーバプロセスにおける動作を開始する。ここでは、移動端末4が旧MAG12を通して、マルチキャストグループアドレス224.0.1.2からマルチキャストデータを受信していると仮定する。
【0043】
F102:旧MAG12は移動端末4からトリガメッセージを受信する。当該トリガメッセージには、移動端末4の自分が旧MAG12から新MAG13にハンドオーバしようとすることを検知したことを示す新MAG13のアドレス情報を含む。
【0044】
F103:旧MAG12がトリガメッセージを受信してから、制御部20は、ハンドオーバ開始(HI)メッセージを構成するようにHIメッセージ構成部16(図2Aを参照)を制御する。当該ハンドオーバ開始メッセージには、少なくとも移動端末4が受信しているマルチキャストグループの情報を含む。例えば、当該ハンドオーバ開始メッセージが図3Aに示したハンドオーバ開始メッセージM100を使う場合、そのうちのマルチキャストアドレスM108フィールドにマルチキャストアドレス224.0.1.2を書き込む。それから、制御部20はネットワークインターフェース10(ハンドオーバメッセージ送信モジュール103)を呼び出して、新MAG13に上記ハンドオーバ開始メッセージを送信する。
【0045】
F104:旧MAG12は新MAG13にハンドオーバ開始メッセージを送信してから、ネットワークインターフェース10(ハンドオーバメッセージ受信モジュール101)により、メッセージモニタリングループを行い、受信する情報をモニタリングする。
【0046】
F105:旧MAG12において、ネットワークインターフェース10(ハンドオーバメッセージ受信モジュール101)が新MAG13からのハンドオーバ確認メッセージを受信した場合、制御部20は、ハンドオーバ確認メッセージを処理するようにHAckメッセージ処理部14を制御する。
【0047】
F106:新MAG13からのハンドオーバ確認メッセージを受信してから、HAckメッセージ処理部14は新MAG13からのハンドオーバ確認メッセージを確認し、旧MAG12と新MAG13との間にマルチキャストデータ転送のためのトンネル確立の必要があるか否かを判断する。例えば、ハンドオーバ確認メッセージが図3Bに示したハンドオーバ確認メッセージM200を使う場合、HAckメッセージ処理部14はトンネルフラグM212フィールドに基づいて、トンネル確立の必要があるか否かを判断する。
【0048】
F107:HAckメッセージ処理部14がトンネル確立の必要があると判断した場合、HAckメッセージ処理部14はトンネル確立モジュール141を呼び出して、旧MAG12と新MAG13との間にマルチキャストデータ転送のためのトンネルを確立する。例えば、トンネルフラグM212フィールドがトンネル確立の必要ありのフラグである場合は、HAckメッセージ処理部14がトンネル確立モジュール141を呼び出して、旧MAG12と新MAG13との間にマルチキャストアドレス224.0.1.2からのマルチキャストデータ転送のためのトンネルを確立する。
【0049】
F108:HAckメッセージ処理部14がトンネル確立の必要がないと判断した場合は、例えば、トンネルフラグM212フィールドがトンネル確立の必要なしのトンネルフラグである場合、当該トンネルを確立しないことにする。
【0050】
F109:旧MAG12は今回のマルチキャスト高速ハンドオーバにおける動作を終了する。
【0051】
図6は実施形態に係わるマルチ高速ハンドオーバにおける新MAG13の動作フローチャートである。図6に示したように、上記マルチキャスト高速ハンドオーバプロセスにおける新MAG13の動作の流れは以下の通りである。
【0052】
H101:新MAG13は今回のマルチキャストハンドオーバプロセスにおける動作を開始する。
【0053】
H102:新MAG13はネットワークインターフェース10(ハンドオーバメッセージ受信モジュール101)により、メッセージモニタリングループを行い、受信するメッセージをモニタリングする。
【0054】
H103:新MAG13において、ネットワークインターフェース10(ハンドオーバメッセージ受信モジュール101)が旧MAG12からのハンドオーバ開始メッセージを受信した場合、制御部20は、ハンドオーバ開始メッセージを処理するようにHIメッセージ処理部18を制御する。上述のように、当該ハンドオーバ開始メッセージには移動端末4が受信しているマルチキャストグループのアドレス224.0.1.2を含む。
【0055】
H104:まず、HIメッセージ処理部18はマルチキャストチェックモジュール181を呼び出して、新MAG13が当該ハンドオーバ開始メッセージに含まれるマルチキャストグループに加入済みか否かをチェックする。具体的にいうと、マルチキャストチェックモジュール181が記憶部15にあるマルチキャストアドレスデータベース151をチェックし、新MAG13の加入済みのマルチキャストグループの情報を調べて、新MAG13がハンドオーバ開始メッセージにあるマルチキャストグループに加入済みか否かを判断する。
【0056】
H105:新MAG13のマルチキャストアドレスデータベース151にあるマルチキャストアドレス記録リスト1511が図2C(記録例1)に示すように、即ち、新MAG13は移動端末4が受信しているマルチキャストグループアドレス224.0.1.2にすでに加入済みである場合、新MAG13の動作は直接H108に移る。新MAG13のマルチキャストアドレスデータベース151にあるマルチキャストアドレス記録リスト1511が図2D(記録例2)に示すように、即ち、新MAG13は移動端末4が受信しているマルチキャストグループアドレス224.0.1.2に加入していない場合、新MAG13の動作はH106に移る。
【0057】
H106:移動端末4が受信しているマルチキャストグループに新MAG13が加入していない場合、HIメッセージ処理部18はマルチキャスト追加モジュール183を呼び出して、移動端末4が受信しているマルチキャストグループ(マルチキャストアドレス224.0.1.2)への新MAG13の加入を申請する。
【0058】
H107:マルチキャスト追加モジュール183が申請してから、新MAG13が当該マルチキャストグループへの加入に成功した場合は、ステップH108に移る。申請してからも、新MAG13が当該マルチキャストグループに加入できなかった場合は、ステップH109に移る。
【0059】
H108:新MAG13が移動端末4の受信しているマルチキャストグループ(マルチキャストアドレス224.0.1.2)に加入したので、HIメッセージ処理部18はHAckメッセージ構成モジュール185を呼び出して、ハンドオーバ確認メッセージを構成する。当該ハンドオーバ確認メッセージには、少なくともトンネル確立の必要なしのトンネルフラグを含む。例えば、ハンドオーバ確認メッセージが図3Bに示したハンドオーバ確認メッセージM200を使う場合、トンネルフラグM212フィールドにトンネル確立の必要なしのトンネルフラグを書き込む。よって、旧MAG12に、旧MAG12と新MAG13との間に、マルチキャストグループ224.0.1.2からのマルチキャストデータ転送のためのトンネルを確立する必要がないことを通知する。
【0060】
H109:新MAG13が移動端末4の受信しているマルチキャストグループ(マルチキャストアドレス224.0.1.2)に加入できないので、HIメッセージ処理部18はHAckメッセージ構成モジュール185を呼び出して、ハンドオーバ確認メッセージを構成する。当該ハンドオーバ確認メッセージには、少なくともトンネル確立の必要ありのフラグを含む。例えば、ハンドオーバ確認メッセージが図3Bに示したハンドオーバ確認メッセージM200を使う場合、トンネルフラグM212フィールドにトンネル確立の必要ありのトンネルフラグを書き込む。よって、旧MAG12に、旧MAG12と新MAG13との間に、マルチキャストグループ224.0.1.2からのマルチキャストデータ転送のためのトンネルを確立する必要があることを通知する。
【0061】
H110:新MAG13は今回のマルチ高速ハンドオーバにおける動作を終了する。
【0062】
上述のように、上記のモバイルアクセスゲートウェイの動作フローチャートにより、移動端末がモバイルアクセスゲートウェイの間でハンドオーバする時に、または大量の移動端末が同時にある元のモバイルアクセスゲートウェイからある新しいモバイルアクセスゲートウェイにハンドオーバする時に、マルチキャストデータ転送のためのトンネルを余分に確立せずに、IP技術によるマルチキャストの高速ハンドオーバを実現し、同時にマルチキャストハンドオーバ時のハンドオーバ遅延とデータ損失を減少し、かつネットワークリソースの無駄やモバイルアクセスゲートウェイ及びネットワークへの負荷を増加させないことができる。
【0063】
以上、本発明に係わる実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定するものではなく、本発明の実質範囲内に各種の変形と拡張、または構成構造に対する削除や組合せを行うことができる。
【0064】
例えば、本発明に係わるMAGの各構造部分は各種の汎用コンピュータまたは専用コンピュータにより実現できるし、集積回路技術によるチップでも実現できる。また、MAGの各構造部分は一つのまとまった部分としても実現できるし、それぞれ別々の複数の部分としても実現できる。
【0065】
また、実施形態において、移動端末がMAGの間でハンドオーバする時、移動端末自身がトリガメッセージを送信して、MAGが当該トリガメッセージにより、移動端末のハンドオーバを検知することを説明したが、本発明はそれに限定するものではない。当該トリガメッセージは当該移動端末と通信を行なう基地局により送信することもできるし、またはMAGもその他の公知技術により、移動端末のハンドオーバを検知することができる。
【0066】
さらに、実施例形態において、IPv6プロトコルにおける応用例を説明したが、本発明はIPv6プロトコルに限定するものではなく、IPv4等各種IP技術にも適応できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続し、ネットワークを介して他のモバイルアクセスゲートウェイ及び移動端末と通信を行うネットワークインターフェースと、
受信したハンドオーバ開始メッセージを処理するHIメッセージ処理部と、
受信したハンドオーバ確認メッセージを処理するHAckメッセージ処理部と、
ハンドオーバ開始メッセージを構成するHIメッセージ構成部と、
移動端末がハンドオーバしようとすること検知してから、ハンドオーバ開始メッセージを構成するように前記HIメッセージ構成部を制御するとともに、前記ネットワークインターフェースを呼び出して、ハンドオーバ開始メッセージを送信し、ハンドオーバ開始メッセージを受信してから、当該ハンドオーバ開始メッセージを処理するように前記HIメッセージ処理部を制御し、ハンドオーバ確認メッセージを受信してから、当該ハンドオーバ確認メッセージを処理するように前記HAckメッセージ処理部を制御する制御部と、
を含むことを特徴とするモバイルアクセスゲートウェイ。
【請求項2】
請求項1に記載のモバイルアクセスゲートウェイであって、
移動端末または当該移動端末と通信を行なう基地局から送信されたトリガメッセージを受信してから、前記制御部は、ハンドオーバ開始メッセージを構成するように前記HIメッセージ構成部を制御することを特徴とするモバイルアクセスゲートウェイ。
【請求項3】
請求項1に記載のモバイルアクセスゲートウェイであって、
前記ネットワークインターフェースは、
受信したハンドオーバ開始メッセージとハンドオーバ確認メッセージを受信するハンドオーバメッセージ受信モジュールと、
ハンドオーバ開始メッセージとハンドオーバ確認メッセージを送信するハンドオーバメッセージ送信モジュールと、
を有することを特徴とするモバイルアクセスゲートウェイ。
【請求項4】
請求項3に記載のモバイルアクセスゲートウェイであって、
前記ハンドオーバ開始メッセージには、少なくともハンドオーバしようとする移動端末が受信しているマルチキャストグループの情報を含むことを特徴とするモバイルアクセスゲートウェイ。
【請求項5】
請求項4に記載のモバイルアクセスゲートウェイであって、
前記HIメッセージ処理部は
本モバイルアクセスゲートウェイがハンドオーバ開始メッセージに含まれるマルチキャストグループに加入済みか否かをチェックするマルチキャストチェックモジュールと、
本モバイルアクセスゲートウェイのハンドオーバ開始メッセージに含まれるマルチキャストグループへの加入申請を行うマルチキャスト追加モジュールと
少なくともマルチキャストデータ転送のためのトンネルを確立する必要があるか否かを示すトンネルフラグ、即ち、トンネル確立の必要ありのトンネルフラグまたはトンネル確立の必要なしのフラグを有するハンドオーバ確認メッセージを構成するハンドオーバ確認メッセージ構成部と、
を含むことを特徴とするモバイルアクセスゲートウェイ。
【請求項6】
請求項5に記載のモバイルアクセスゲートウェイであって、
前記ハンドオーバ確認メッセージには、前記マルチキャストグループの情報、及び本モバイルアクセスゲートウェイが当該マルチキャストグループに加入済みか否かを示すマルチキャストフラグを含むことを特徴とするモバイルアクセスゲートウェイ。
【請求項7】
請求項5に記載のモバイルアクセスゲートウェイであって、
前記ハンドオーバメッセージ受信モジュールがハンドオーバ開始メッセージを受信してから、前記HIメッセージ処理部が前記マルチキャストチェックモジュールを呼び出して、本モバイルアクセスゲートウェイが当該ハンドオーバ開始メッセージに含まれるマルチキャストグループに加入済みか否かをチェックし、
本モバイルアクセスゲートウェイが当該マルチキャストグループに加入済みの場合、前記HIメッセージ処理部は前記HAckメッセージ構成モジュールを呼び出して、少なくともトンネル確立の必要なしのトンネルフラグを含むハンドオーバ確認メッセージを構成し、
本モバイルアクセスゲートウェイが当該マルチキャストグループに未加入の場合、前記HIメッセージ処理部は前記マルチキャスト追加モジュールを呼び出して、本モバイルアクセスゲートウェイの当該マルチキャストグループへの加入申請を行い、
申請後、本モバイルアクセスゲートウェイの当該マルチキャストグループへの加入が成功した場合、HIメッセージ処理部は前記HAckメッセージ構成モジュールを呼び出して、少なくともトンネル確立の必要なしのトンネルフラグを含むハンドオーバ確認メッセージを構成し、
申請後も、本モバイルアクセスゲートウェイの当該マルチキャストグループに加入できなかった場合、前記HIメッセージ処理部は前記HAckメッセージ構成モジュールを呼び出して、少なくともトンネル確立の必要ありのトンネルフラグを含むハンドオーバ確認メッセージを構成することを特徴とするモバイルアクセスゲートウェイ。
【請求項8】
請求項7に記載のモバイルアクセスゲートウェイであって、
前記HAckメッセージ処理部にはマルチキャストデータ転送のためのトンネルを確立するトンネル確立モジュールを含むことを特徴とするモバイルアクセスゲートウェイ。
【請求項9】
請求項8に記載のモバイルアクセスゲートウェイであって、
前記HAckメッセージ処理部は前記ハンドオーバメッセージ受信モジュールにより受信したハンドオーバ確認メッセージを解析し、
ハンドオーバ確認メッセージにトンネル確立の必要ありのトンネルフラグが含まれた場合、前記HAckメッセージ処理部は前記トンネル確立モジュールを呼び出して、移動端末のために、マルチキャストデータ転送のためのトンネルを確立し、
ハンドオーバ確認メッセージにトンネル確立の必要なしのトンネルフラグが含まれた場合、前記HAckメッセージ処理部はマルチキャストデータ転送のためのトンネルを確立しないことを特徴とするモバイルアクセスゲートウェイ。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれかに記載のモバイルアクセスゲートウェイであって、
前記マルチキャストデータ転送のためのトンネルは、前記移動端末がハンドオーバする前に属するモバイルアクセスゲートウェイと前記移動端末がハンドオーバしようとするモバイルアクセスゲートウェイとの間のトンネルであることを特徴とするモバイルアクセスゲートウェイ。
【請求項11】
ネットワークに接続し、ネットワークを介して他のモバイルアクセスゲートウェイ及び移動端末と通信を行うモバイルアクセスゲートウェイであって、
ハンドオーバ開始メッセージとハンドオーバ確認メッセージを送受信するネットワークインターフェースと、
受信したハンドオーバ開始メッセージを処理するHIメッセージ処理部と、
受信したハンドオーバ確認メッセージを処理するHAckメッセージ処理部と、
ハンドオーバ開始メッセージを構成するHIメッセージ構成部と、
(a)前記移動端末が本モバイルアクセスゲートウェイから前記その他のモバイルアクセスゲートウェイへハンドオーバしようとすることを検知してから、ハンドオーバ開始メッセージを構成するように前記HIメッセージ構成部を制御するとともに、前記ネットワークインターフェースを呼び出して、前記他のモバイルアクセスゲートウェイに前記ハンドオーバ開始メッセージを送信し、(b)前記ネットワークインターフェースがハンドオーバ開始メッセージを受信してから、当該ハンドオーバ開始メッセージを処理するように前記HIメッセージ処理部を制御するとともに、前記ネットワークインターフェースを呼び出して、応答として、マルチキャストデータ転送のためのトンネルの確立が必要か否かを通知するハンドオーバ確認メッセージを送信し、(c)前記ネットワークインターフェースがハンドオーバ確認メッセージを受信してから、当該ハンドオーバ確認メッセージを処理するように前記HAckメッセージ処理部を制御し、必要なときだけ、マルチキャストデータ転送のためのトンネルを確立する制御部と、
を含むことを特徴とするモバイルアクセスゲートウェイ。
【請求項12】
マルチキャスト高速ハンドオーバシステムであって、
複数の移動端末のホームエージェントであるローカルモビリティアンカーに接続するコアネットワークと、
複数の移動端末にアクセスし、移動端末のIPモバイルを管理するモバイルアクセスゲートウェイと、
モバイルアクセスゲートウェイを介してネットワークに接続し、モバイルIPの関連シグナリングの送信に関与しない移動端末と、を含み、
前記モバイルアクセスゲートウェイには、
ネットワークに接続し、ネットワークを介して他のモバイルアクセスゲートウェイ及び移動端末と通信を行うネットワークインターフェースと、
受信したハンドオーバ開始メッセージを処理するHIメッセージ処理部と、
受信したハンドオーバ確認メッセージを処理するHAckメッセージ処理部と、
ハンドオーバ開始メッセージを構成するHIメッセージ構成部と、
移動端末がハンドオーバしようとすることを検知してから、ハンドオーバ開始メッセージを構成するように前記HIメッセージ構成部を制御するとともに、前記ネットワークインターフェースを呼び出して、ハンドオーバ開始メッセージを送信し、ハンドオーバ開始メッセージを受信してから、当該ハンドオーバ開始メッセージを処理するようにHIメッセージ処理部を制御し、ハンドオーバ確認メッセージを受信してから、当該ハンドオーバ確認メッセージを処理するようにHAckメッセージ処理部を制御する制御部と、
を含むことを特徴とするマルチキャスト高速ハンドオーバシステム。
【請求項13】
コアネットワーク、ローカルモビリティアンカー、モバイルアクセスゲートウェイ及び移動端末のプロキシモバイルシステムに使われるマルチキャスト高速ハンドオーバ方法であって、
他のモバイルアクセスゲートウェイからのハンドオーバ開始メッセージを受信した場合、モバイルアクセスゲートウェイは自分が当該ハンドオーバ開始メッセージに含まれるマルチキャストグループに加入済みか否かをチェックするステップと、
当該モバイルアクセスゲートウェイが当該マルチキャストグループに加入済みの場合は、前記他のモバイルアクセスゲートウェイに、マルチキャストデータ転送のためのトンネル確立の必要がないことを通知するハンドオーバ確認メッセージを送信するステップと、
当該モバイルアクセスゲートウェイが当該マルチキャストグループに未加入の場合は、当該マルチキャストグループへの加入申請を行うステップと、
当該モバイルアクセスゲートウェイが加入申請後、当該マルチキャストグループへの加入に成功した場合は、前記他のモバイルアクセスゲートウェイに、マルチキャストデータ転送のためのトンネル確立の必要がないことを通知するハンドオーバ確認メッセージを送信するステップと、
モバイルアクセスゲートウェイが加入申請後、当該マルチキャストグループに加入できなかった場合は、前記他のモバイルアクセスゲートウェイに、マルチキャストデータ転送のためのトンネル確立を申請するハンドオーバ確認メッセージを送信するステップと、
を含むことを特徴とするマルチキャスト高速ハンドオーバ方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−50086(P2012−50086A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183733(P2011−183733)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】