説明

MANSの構造に基づくムチン過剰分泌抑制剤及び使用方法

24個未満のアミノ酸を含むペプチドが提供される。前記ペプチドは、(a)標準配列ペプチド1の4から23個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列;(b)(a)で定義される配列と実質的に同一のアミノ酸配列;及び(c)(a)で定義されるアミノ酸の変異型、から成る群より選択されるアミノ酸配列を有する。また、非ミリストイル化MANSペプチドも提供される。また、ペプチドを使用する様々な方法も提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にペプチドを含む組成物及びこれらの使用のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粘液は、ゲルを形成することができる生体液である。水及び様々な細胞からの分泌産物を含む、成分の混合物である。粘液糖タンパク質又は上皮糖タンパク質とも称されるムチンは、粘液の主要成分であり、N及びO結合によってペプチドコアに連結された数多くのオリゴ糖側鎖によって特徴付けられる複合糖質である。ムチン(粘液の糖タンパク質成分)の過剰分泌は、喘息、慢性気管支炎及び嚢胞性線維症(CF)を含むいくつかの呼吸器系疾患で起こり、これらの疾患を有する患者における死亡の危険因子である。
【0003】
気道において、ムチンは、胚上皮の杯細胞から及び粘膜下腺の粘液細胞から気道表面に放出される。気道内の表面液(粘液)の総量は、粘液の清掃率(上皮再吸収、蒸発、毛様体輸送及び咳輸送による)と合わせた粘液分泌の割合の結果、すなわち粘液分泌率と粘液清掃率の差の結果である。「正常」条件下では、粘液の分泌率と清掃率は、液体の薄い表面層だけが気管気管支樹を覆うように均衡を保っている。粘液の過剰分泌は(粘液清掃率の同時上昇を伴わない場合)、正常な状態に比べて粘液の量の正味の上昇を生じさせ、気道粘液の蓄積を導き、気流閉塞及び吸入した微粒子及び微生物の停留増加をもたらし得る。
【0004】
粘液の過剰分泌は、ヒト及び非ヒト動物の両方において多数の気道炎症性疾患の病因に寄与する。粘液分泌増加は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び慢性気管支炎のような慢性疾患状態において;嚢胞性線維症のような遺伝疾患において;アレルギー状態(アトピー、アレルギー性炎症)において:気管支拡張症において;及び肺炎、鼻炎、インフルエンザ及び普通の風邪のような多くの急性、感染性呼吸器系疾患において認められる。
【0005】
これらの呼吸器系疾患の多くにおいて粘液の過剰分泌に付随するのは、気道内の炎症細胞の存在の増加である。これらの細胞は、これらの細胞から放出される炎症伝達物質によって為される組織損傷と破壊を通してこれらの疾患の病理学に大きく寄与する。この慢性炎症によるこのような破壊の一例は、好中球から放出される伝達物質(すなわちミエロペルオキシダーゼ)が気道上皮組織の剥離を誘導する、嚢胞性線維症患者において起こる。
【0006】
哺乳動物の気道は、気道上皮(杯)細胞及び粘膜下腺によって生産され、分泌される粘液の薄い層で裏打ちされている。喘息、COPD、慢性気管支炎及び嚢胞性線維症のような疾患では、粘液の過剰分泌は一般的な病変である。過剰の粘液は、閉塞、感染に対する感受性、さらには気道壁と隣接組織の破壊に寄与し得る。粘液の主要成分は、分泌細胞(すなわち杯細胞と粘液細胞)によって合成され、細胞質膜結合顆粒内に貯蔵されるムチン糖タンパク質である。ムチンは、気道、胃腸管及び女性生殖管におけるものを含む、上皮細胞によって分泌される糖タンパク質のファミリーである。ムチンは粘液の粘弾性の原因であり、少なくとも8個のムチン遺伝子が知られている。米国特許出願第10/180,753号(特許公開第U.S.2003/0013652号)参照。ムチンの過剰分泌及び/又は粘液細胞過形成によって引き起こされる粘液線毛損傷は、慢性感染、気流閉塞及び時として死亡を促進する気道粘液栓形成を導く。慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、気管支拡張症、喘息、嚢胞性線維症及び細菌感染のような多くの気道疾患がムチンの過剰産生によって特徴付けられる。米国特許出願第10/180,753号(特許公開第U.S.2003/0013652号)参照。適切な刺激時に、ムチン顆粒は、顆粒が細胞の周辺部へと移動するエキソサイトーシス過程によって放出され、細胞周辺部で顆粒の膜が血漿膜と融合して、内容物を管腔に分泌する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この過程の明らかな病態生理学的重要性にもかかわらず、細胞表面での刺激をムチン顆粒放出に結びつける細胞内シグナル伝達機構は最近になって初めて解明された。Liら、Journal of Biological Chemistry,276:40982−40990(2001)参照。ミリストイル化された、アラニンに富むCキナーゼ基質(MARCKS)タンパク質は、ヒト気管支上皮細胞による粘液分泌のために必要であると考えられる。MARCKSは、種々の部位で、分泌顆粒膜及びアクチン細胞骨格に結合して、収縮性細胞骨格とムチン顆粒の間の物理的結合として役目をし、分泌顆粒を細胞膜上の結合部位へと導く上で役割を有し得るという仮説が立てられた。Singerら、「A MARCKS−related peptide blocks mucus hypersecretion in a mouse model of asthma」,Nature Medicine,10:193−196(2004)参照。MANSペプチド(myr−ペプチド1)は、通常はMARCKSタンパク質と略される、「ミリストイル化されたアラニンに富むCキナーゼ基質」と呼ばれるタンパク質のミリストイル化されたN末端の24アミノ酸配列である。MARCKSの24アミノ酸フラグメント、ミリストイル化N末端配列(MANS)ペプチドは、インビトロでムチンの放出を抑制することが示され、また、喘息のマウスモデルにおいて粘液の過剰分泌をブロックすることも示された。Liら及びSingerら、前出参照。
【0008】
脂質二重層を通って膜を横切るペプチドのトランスロケーションを促進するミリストイル化の重要性は公知である。最近の試験は、ミリストイル化ペプチドと比較して、非ミリストイル化ペプチドが細胞膜を通過しないことを示すことによってこの重要性を明らかにした。A.Harishchandranら、「Interaction of a Pseudosubstrate Peptide of Protein Kinase C and its Myristoylated Form with Lipid Vesicles.Only the Myristoylated Form Translocates into Lipid Bilayer.,」Biochem.Biopys.Acta,1713:73−82(2005)参照。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、24個未満のアミノ酸から成り、(a)MANSペプチドとしても知られる、ペプチド1と定義される標準アミノ酸配列の4から23個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列、及び(b)(a)で定義される配列と実質的に同一のアミノ酸配列から成る群より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドが提供される。このペプチドの1以上のアミノ酸は場合により独立して化学修飾されており、このペプチドは、ムチン抑制量で哺乳動物に投与されたときムチン抑制作用を有する。
【0010】
もう1つの態様では、24個未満のアミノ酸から成り、(a)ペプチド1と定義される標準アミノ酸配列の4から23個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列;及び(b)(a)で定義される配列と実質的に同一のアミノ酸配列、から成る群より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドが提供される。このペプチドのN末端及びC末端アミノ酸は、場合により独立して化学修飾されている。このペプチドは、ムチン抑制量で哺乳動物に投与されたときムチン抑制作用を有し、等濃度で投与されたとき、MANSペプチドよりも大きい哺乳動物へのムチン抑制作用を有する。
【0011】
さらなる態様では、24個未満のアミノ酸から成り、(a)ペプチド1と定義される標準アミノ酸配列の4から23個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列;及び(b)(a)で定義される配列と実質的に同一のアミノ酸配列、から成る群より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドが提供される。このペプチドのN末端及びC末端アミノ酸は、場合により独立して化学修飾されている。このペプチドは、MANSペプチドよりも大きい水溶解度を有し、ムチン抑制量で哺乳動物に投与されたときムチン抑制作用を有する。
【0012】
さらにもう1つの態様では、哺乳動物においてムチンの過剰分泌を抑制する方法が提供される。この方法は、ムチンの分泌を抑制するペプチドのムチン抑制量を哺乳動物に投与することを含む。このペプチドは、24個未満のアミノ酸から成り、(a)ペプチド1と定義される標準アミノ酸配列の4から23個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列;及び(b)(a)で定義される配列と実質的に同一のアミノ酸配列、から成る群より選択されるアミノ酸配列を有する。このペプチドの1以上のアミノ酸は、場合により独立して化学修飾されている。
【0013】
さらなる態様では、哺乳動物においてムチンの過剰分泌を抑制する方法が提供される。この方法は、ムチンの分泌を抑制するペプチドのムチン抑制量を哺乳動物に投与することを含む。このペプチドは、24個未満のアミノ酸から成り、(a)ペプチド1と定義される標準アミノ酸配列の4から23個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列;及び(b)(a)で定義される配列と実質的に同一のアミノ酸配列、から成る群より選択されるアミノ酸配列を有する。このペプチドのN末端及びC末端アミノ酸は、場合により独立して化学修飾されており、このペプチドは、等濃度で投与されたとき、MANSペプチドよりも大きい哺乳動物へのムチン抑制作用を有する。
【0014】
さらなる態様では、哺乳動物においてムチンの過剰分泌を抑制する方法が提供される。この方法は、ムチンの分泌を抑制するペプチドのムチン抑制量を哺乳動物に投与することを含む。このペプチドは、24個未満のアミノ酸から成り、(a)ペプチド1と定義される標準アミノ酸配列の4から23個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列;及び(b)(a)で定義される配列と実質的に同一のアミノ酸配列、から成る群より選択されるアミノ酸配列を有する。このペプチドのN末端及びC末端アミノ酸は、場合により独立して化学修飾されており、このペプチドは、MANSペプチドよりも大きい水溶解度を有する。
【0015】
もう1つの態様では、24個未満のアミノ酸から成り、ペプチド1と定義される標準アミノ酸配列の4から23個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列の変異型から成るアミノ酸配列を有するペプチドが提供される。このペプチドのN末端及びC末端アミノ酸は、場合により化学修飾されている。このペプチドは、ムチン抑制量で哺乳動物に投与されたとき、ムチン抑制作用を有し、MANSペプチドよりも大きい水溶解度を有し、等濃度で投与されたとき、MANSペプチドよりも大きい哺乳動物へのムチン抑制作用を有する。
【0016】
本発明のペプチドは、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)及び慢性気管支炎のような慢性疾患状態において;嚢胞性線維症のような遺伝疾患において;アレルギー状態(アトピー、アレルギー性炎症)において:気管支拡張症において;及び肺炎、鼻炎、インフルエンザ及び普通の風邪のような多くの急性、感染性呼吸器系疾患において見られるような、ムチンの過剰分泌が示される疾患の治療及び疾患症状の治療において、ムチンの過剰分泌を低減する及び/又はムチンの過剰分泌を抑制する(すなわち正常レベルに又は正常レベル未満に低下させる)ために有用である。
【0017】
さらなる実施形態では、(a)配列、GAQFSKTAAKGEAAAERPGEAAVA(配列番号1)を有するアミノ酸配列;及び(b)(a)で定義される配列と実質的に同一のアミノ酸配列、から成る群より選択される配列から成るペプチドであって、前記ペプチドのN末端アミノ酸がミリストイル化されておらず、及び前記ペプチドのC末端アミノ酸が場合により独立して化学修飾されており、ムチン過剰分泌抑制量で哺乳動物に投与されたときムチンの過剰分泌抑制作用を有するペプチドが提供される。このペプチドは、肺疾患における粘液過剰分泌を治療するために有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、哺乳動物におけるムチン過剰分泌の抑制(すなわちムチン放出の抑制)及びムチン産生の抑制(時として粘液分泌の抑制と称される)を含む、様々な用途のための方法及び組成物に関する。しかしながら、本発明をさらに詳細に説明する前に、以下の用語を最初に定義する。
【0019】
定義:
「ムチン抑制作用」、「ムチン抑制活性」又は「ムチン分泌を抑制する」は、ムチン分泌(すなわちムチン放出)の量の低下を意味し、必ずしもムチン分泌の完全な停止を意味しない。ムチン抑制作用を有する組成物の投与は、このような組成物の不在下で起こる又は予想されるムチン分泌と比較して、ムチン分泌の低下を生じさせる。1つの態様では、ムチン分泌の低下の量は、正常レベルを上回って分泌される又は過剰分泌される量の約5%から、分泌の正常レベルを上回って分泌される又は過剰分泌される量の約100%までであり得る。もう1つの態様では、ムチン分泌の低下の量は、正常レベルを上回って分泌される又は過剰分泌される量の約5%から(すなわち正常レベルを上回って分泌される量の約5%から)、分泌の正常レベルで分泌される量の約50%のような、分泌の正常レベルを下回る量までであり得る。
【0020】
「粘液抑制作用」、「粘液抑制活性」又は「粘液産生を抑制する」は、粘液産生の量の低下を意味し、必ずしも粘液産生の完全な停止を意味しない。粘液抑制作用を有する組成物の投与は、このような組成物の不在下で起こる又は予想される粘液産生と比較して、粘液産生の低下を生じさせる。
【0021】
組成物の「ムチン抑制量」は、正常レベルを上回って過剰分泌されるムチンの量の約5%から約100%までムチン分泌を低下させる量のような、組成物の不在下で起こるムチン分泌と比較してムチン分泌(すなわちムチン放出)を低減する又は抑制する量である。
【0022】
組成物の「粘液抑制量」は、組成物の不在下で起こる粘液産生と比較して粘液産生を低減する又は抑制する量である。
【0023】
標準ペプチドGAQFSKTAAKGEAAAERPGEAAVA(配列番号1)において、標準ペプチドのN末端位置で、Gが1位であり;1位のGに隣接するのは2位のAであり;2位のAに隣接するのは3位のQであり;3位のQに隣接するのは4位のFであり;4位のFに隣接するのは5位のSであり;5位のSに隣接するのは6位のKであり;6位のKに隣接するのは7位のTであり;7位のTに隣接するのは8位のAであり;8位のAに隣接するのは9位のAであり;9位のAに隣接するのは10位のKであり;10位のKに隣接するのは11位のGであり;11位のGに隣接するのは12位のEであり;12位のEに隣接するのは13位のAであり;13位のAに隣接するのは14位のAであり;14位のAに隣接するのは15位のAであり;15位のAに隣接するのは16位のEであり;16位のEに隣接するのは17位のRであり;17位のRに隣接するのは18位のPであり;18位のPに隣接するのは19位のGであり;19位のGに隣接するのは20位のEであり;20位のEに隣接するのは21位のAであり;21位のAに隣接するのは22位のAであり;22位のAに隣接するのは23位のVであり;23位のVに隣接するのは24位のAであり、24位は標準ペプチドのC末端位置である。
【0024】
標準ペプチドの「変異型」又は標準ペプチドの4から23アミノ酸セグメントの変異型は、それぞれ標準ペプチド又は標準ペプチドセグメントのアミノ酸配列内の少なくとも1つのアミノ酸位置において、それぞれ標準ペプチドのアミノ酸配列又は標準ペプチドのセグメントのアミノ酸配列と異なるが、ムチン又は粘液抑制活性を保持し、この活性が、典型的には標準ペプチド又はセグメントの活性のそれぞれ0.1から10倍、好ましくは標準ペプチド又はセグメントの活性のそれぞれ0.2から6倍、より好ましくは標準ペプチド又はセグメントの活性のそれぞれ0.3から5倍である、アミノ酸配列を有するペプチドである。標準アミノ酸配列の「変異型」又は標準アミノ酸配列の4から23アミノ酸セグメントの変異型は、それぞれ標準アミノ酸配列又は標準アミノ酸配列のセグメントと少なくとも1個のアミノ酸によって異なるが、標準アミノ酸配列によってコードされる、ペプチド又はセグメントのムチン又は粘液抑制活性をそれぞれ保持し、この活性が、典型的には標準配列のペプチド又はセグメントの活性のそれぞれ0.1から10倍、好ましくは標準配列のペプチド又はセグメントの活性のそれぞれ0.2から6倍、より好ましくは標準配列のペプチド又はセグメントの活性のそれぞれ0.3から5倍である、ペプチドのアミノ酸配列を有する。置換変異型ペプチド又は置換変異型アミノ酸配列は、標準アミノ酸配列内の1以上のアミノ酸置換によって標準ペプチド又は標準アミノ酸配列と異なり得る;欠失変異型ペプチド又は欠失変異型アミノ酸配列は、標準アミノ酸配列内の1以上のアミノ酸欠失によって標準ペプチド又は標準アミノ酸配列と異なり得る;及び付加変異型ペプチド又は付加変異型アミノ酸配列は、標準配列内の1以上のアミノ酸の付加によって標準ペプチド配列又は標準アミノ酸配列と異なり得る。変異型ペプチド又は変異型アミノ酸配列は、標準配列内の1以上のアミノ酸の置換(例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7又は8個のアミノ酸の置換)から生じてもよく、又は標準配列内の1以上のアミノ酸の欠失(例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7又は8個のアミノ酸の欠失)から生じてもよく、又は標準配列内の1以上のアミノ酸の付加(例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7又は8個のアミノ酸の付加)から生じてもよく、又は任意の順序でのこれらの組合せから生じてもよい。置換変異型の4から23アミノ酸ペプチドセグメント又は置換変異型の4から23アミノ酸セグメント配列は、標準アミノ酸セグメント配列内の1以上のアミノ酸置換によって標準4から23アミノ酸ペプチドセグメント又は標準4から23アミノ酸セグメント配列と異なり得る;欠失変異型の4から23アミノ酸ペプチドセグメント又は4から22アミノ酸の欠失変異型アミノ酸セグメント配列は、標準アミノ酸セグメント配列内の1以上のアミノ酸欠失によって5から23標準ペプチドセグメント又は5から23アミノ酸の標準アミノ酸セグメント配列と異なり得る;及び4から23アミノ酸の付加変異型ペプチド又は4から23アミノ酸の付加変異型アミノ酸配列は、標準配列内の1以上のアミノ酸付加によって4から22アミノ酸の標準ペプチド配列又は4から22アミノ酸の標準アミノ酸配列と異なり得る。4から23アミノ酸の変異型ペプチド又は4から23アミノ酸の変異型アミノ酸配列は、標準アミノ酸配列の4から23アミノ酸セグメント内の1以上のアミノ酸の置換(例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7又は8個のアミノ酸の置換)から生じてもよく、又はそれぞれより大きな標準アミノ酸配列内の1以上のアミノ酸の欠失(例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7又は8個のアミノ酸の欠失)から生じ得るか、又はそれぞれより小さな標準アミノ酸配列内の1以上のアミノ酸の付加(例えば少なくとも1、2、3、4、5、6、7又は8個のアミノ酸の付加)から生じてもよく、又はこれらの組合せから生じてもよい。好ましくは、変異型ペプチド又はアミノ酸配列は、10個未満のアミノ酸置換、欠失及び/又は付加によって;より好ましくは8個未満のアミノ酸置換、欠失及び/又は付加によって;さらに一層好ましくは6個未満のアミノ酸置換、欠失及び/又は付加によって;及びさらに一層好ましくは5個未満のアミノ酸置換、欠失及び/又は付加によって;及び尚一層好ましくは4個未満のアミノ酸置換、欠失及び/又は付加によって、それぞれ標準ペプチドと又は標準ペプチドのセグメントと又は標準アミノ酸配列と又は標準アミノ酸配列のセグメントと異なる。最も好ましくは、変異型アミノ酸配列は、1又は2又は3個のアミノ酸によって標準ペプチド又はセグメントのアミノ酸配列と異なる。
【0025】
「配列同一性」は、2個のペプチドのアミノ酸配列に関して、同一アミノ酸を有する位置の数を、2個の配列の短い方の配列内のアミノ酸の数で除した数を意味する。
【0026】
「実質的に同一」は、2個のペプチドのアミノ酸配列の比較又は2個のペプチドセグメント(例えば標準ペプチドアミノ酸配列のセグメント)のアミノ酸配列の比較に関して、ペプチド又はペプチドのセグメントのアミノ酸配列が少なくとも75%の配列同一性、好ましくは少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性、最も好ましくは少なくとも95%の配列同一性を有することを意味する。
【0027】
ここで使用する「ペプチド」という用語は、ペプチド並びにペプチドの医薬的に許容される塩を含む。
【0028】
ここで使用する、「単離」ペプチドは、天然でこれに付随する細胞成分(例えば核酸及び他のペプチド)から、精製、組換え合成又は化学合成によって分離された又は実質的に分離された天然に生じるペプチドを意味し、同様に、細胞成分、生物学的物質、化学的前駆体又は他の化学物質から精製された又は実質的に精製された、非天然に生じる組換え合成又は化学合成ペプチドを包含する。
【0029】
以下の3文字及び1文字アミノ酸略語を本文全体を通して使用する。アラニン:(Ala)A;アルギニン:(Arg)R;アスパラギン:(Asn)N;アスパラギン酸:(Asp)D;システイン:(Cys)C;グルタミン:(Gln)Q;グルタミン酸:(Glu)E;グリシン:(Gly)G;ヒスチジン:(His)H;イソロイシン:(Ile)I;ロイシン:(Leu)L;リシン:(Lys)K;メチオニン:(Met)M;フェニルアラニン:(Phe)F;プロリン:(Pro)P;セリン:(Ser)S;トレオニン:(Thr)T;トリプトファン:(Trp)W;チロシン:(Tyr)Y;バリン:(Val)V。ここで有用なアミノ酸の付加的な3文字記号は、括弧内の、ヒドロキシプロリンについての(Hyp)、ノルロイシンについての(Nle)、オルニチンについての(Orn)、ピログルタミン酸についての(Pyr)及びサルコシンについての(Sar)を含む。慣例により、ペプチドのアミノ末端(又はN末端)は、ペプチドの記述されるアミノ酸配列の左端に表記され、カルボキシ末端(又はC末端)は、記述されるアミノ酸配列の右端に表記される。ペプチドのアミノ酸配列は、ペプチド内のペプチドアミド結合によって共有結合されているアミノ酸を表わすために1文字記号で表記され得る。
【0030】
表IXは、1文字略語形式でのアミノ酸配列のリストとそれぞれの対応するペプチド番号及び配列番号を含む。標準ペプチドアミノ酸配列をペプチド1として列挙する。標準アミノ酸配列の4から23個の隣接アミノ酸のアミノ酸配列を有する本発明のペプチドのアミノ酸配列は、ペプチド232としてMANSペプチドのアミノ酸を含むランダムN末端配列(RNS)のアミノ酸配列と共に、ペプチド2から231として列挙される。ここで述べる本発明のペプチドのアミノ酸配列の代表的変異型のアミノ酸配列も、ペプチド233から245及び247から251として列挙される。列挙されるこの変異型ペプチドは、ペプチドの限定群であることを意図されず、本発明の変異型ペプチドの代表的な例としての役割を果たすためだけに提示されるものである。また、本発明のペプチドの代表的逆アミノ酸配列及び代表的ランダムアミノ酸配列も提示される。表中の逆及びランダムアミノ酸配列は、本発明を代表することを意図されない。
【0031】
表IXに列挙されるペプチドのアミノ酸配列は化学修飾されていてもよい。例えば表IXに列挙されるペプチドのアミノ酸配列が、カルボン酸とアミドを形成するようにN末端アミンで化学修飾される場合、生じるペプチドは、時としてここでは、ハイフンによってペプチド番号に連結される、接頭辞としてのカルボン酸の識別名の組合せによって称される。例えば一例としてペプチド79に関して、N末端ミリストイル化ペプチド79は、時としてここでは「ミリストイル化−ペプチド79」又は「myr−ペプチド79」と称され得る;N末端アセチル化ペプチド79は、時としてここでは「アセチル−ペプチド79」又は「Ac−ペプチド79」と称され得る。ペプチド79の環状型は、「環状−ペプチド79」又は「cyc−ペプチド79」と称され得る。また、例えば表IXに列挙されるペプチドのアミノ酸配列がC末端カルボキシル基で、例えばアンモニアのようなアミンによってC末端アミドを形成するように化学修飾される場合、生じるペプチドは、時としてここでは、ハイフンによってペプチド番号に連結される、接尾辞としてのアミン残基の識別名の組合せによって称される。それ故、例えばペプチド79のC末端アミドは、時として「ペプチド−NH」と称され得る。ペプチド(例えばペプチド79)のN末端アミンが、例えばミリストイル基によって化学修飾され、及びC末端カルボキシル基が、例えば上記のごとくアミドを形成するようにアンモニア基によって化学修飾される場合、生じるペプチドは、接頭辞及び接尾辞の両表記法を用いて、時として「myr−ペプチド79−NH」と称され得る。
【0032】
本発明は、MANSペプチド(すなわちMANSペプチドはミリストイル−ペプチド1であり、MANSペプチドの標準24アミノ酸配列がペプチド1である)のアミノ酸に関連するアミノ酸配列を備えた24個未満のアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドを含む。本発明のペプチドは、24個未満のアミノ酸を含むアミノ酸配列から成り、8から14個、10から12個、9から14個、9から13個、10から13個、10から14個、少なくとも9個、少なくとも10個等のアミノ酸から成り得る。ペプチドは、典型的には直鎖であるが、環状ペプチドでもよい。加えて、ペプチドは単離ペプチドでもよい。
【0033】
標準24アミノ酸配列、ペプチド1に関して、標準アミノ酸配列の23個の隣接アミノ酸のセグメントは、時としてここでは23量体と称される。同じように、標準配列の22個の隣接アミノ酸のセグメントは、時としてここでは22量体と称される;21個のアミノ酸配列は21量体;20個のアミノ酸配列は20量体;19個のアミノ酸配列は19量体;18個のアミノ酸配列は18量体;17個のアミノ酸配列は17量体;16個のアミノ酸配列は16量体;15個のアミノ酸配列は15量体;14個のアミノ酸配列は14量体;13個のアミノ酸配列は13量体;12個のアミノ酸配列は12量体;11個のアミノ酸配列は11量体;10個のアミノ酸配列は10量体;9個のアミノ酸配列は9量体;8個のアミノ酸配列は8量体;7個のアミノ酸配列は7量体;6個のアミノ酸配列は6量体;5個のアミノ酸配列は5量体;4個のアミノ酸配列は4量体と称される。1つの態様では、それ自体ペプチドである(時としてここではHN−ペプチド−COOHと表示される)、これらの「4から23量体」アミノ酸配列のいずれかは、例えば化学修飾によって、独立して化学的に修飾されてもよく、前記化学修飾は、(i)例えばC1又は好ましくはC2(酢酸)−C22カルボン酸などによる、N末端アミン基(HN−ペプチド−)でのアミド形成;(ii)例えばアンモニア又はC1−C22第一級又は第二級アミンなどによる、C末端カルボキシル基(−ペプチド−COOH)でのアミド形成;及び(iii)これらの組合せ、から成る群より選択され得る。
【0034】
ペプチドは、(a)標準配列、ペプチド1の4から23個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列;(b)(a)で定義されるアミノ酸配列と実質的に類似の配列;及び(c)(a)で定義されるアミノ酸配列の変異型、から成る群より選択されるアミノ酸配列を有し、前記変異型は、置換変異型、欠失変異型、付加変異型及びこれらの組合せから成る群より選択される。一部の実施形態では、ペプチドは、(a)標準配列、ペプチド1の8から14個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列;(b)(a)で定義される配列と実質的に同一のアミノ酸配列;及び(c)(a)で定義されるアミノ酸配列の変異型、から成る群より選択されるアミノ酸配列を有し、前記変異型は、置換変異型、欠失変異型、付加変異型及びこれらの組合せから成る群より選択される。さらに他の実施形態では、ペプチドは、(a)標準配列、ペプチド1の10から12個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列;(b)(a)で定義される配列と実質的に同一のアミノ酸配列;及び(c)(a)で定義されるアミノ酸配列の変異型、から成る群より選択されるアミノ酸配列を有し、前記変異型は、置換変異型、欠失変異型、付加変異型及びこれらの組合せから成る群より選択される。さらなる実施形態では、ペプチドは、標準配列、ペプチド1の少なくとも9個、少なくとも10個、9から14個、9から13個、10から13個、10から14個等の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列;これと実質的に同一のアミノ酸配列;又はこの変異型を有し、前記変異型は、置換変異型、欠失変異型、付加変異型及びこれらの組合せから成る群より選択される。以下でさらに説明するように、ペプチドのアミノ酸の1以上(例えばN末端及び/又はC末端アミノ酸)は、場合により独立して化学修飾されていてもよい;一部の実施形態では、ペプチドの1以上のアミノ酸が化学修飾され、他の実施形態では、ペプチドのアミノ酸のいずれも化学修飾されない。1つの態様では、好ましい修飾は、ペプチド又はペプチドセグメントのN末端アミノ酸のアミン(HN−)基で起こり得る(前記アミン基は、N末端位置ではなくペプチド配列の内部に存在する場合はペプチドアミド結合を形成する)。もう1つの態様では、好ましい修飾は、ペプチド又はペプチドセグメントのC末端アミノ酸のカルボキシ(−COOH)基で起こり得る(前記カルボキシ基は、C末端位置ではなくペプチド配列の内部に存在する場合はペプチドアミド結合を形成する)。もう1つの態様では、好ましい修飾は、N末端アミン(HN−)基とC末端カルボキシ(−COOH)基の両方で起こり得る。
【0035】
一部の実施形態では、ペプチドのアミノ酸配列は、標準配列ペプチド1のN末端アミノ酸から始まる。例えばペプチドは、(a)標準配列ペプチド1の4から23個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列、但し、アミノ酸配列は標準配列のN末端アミノ酸から始まる(すなわちペプチド2、ペプチド4、ペプチド7、ペプチド11、ペプチド16、ペプチド22、ペプチド29、ペプチド37、ペプチド46、ペプチド56、ペプチド67、ペプチド79、ペプチド92、ペプチド106、ペプチド121、ペプチド137、ペプチド154、ペプチド172、ペプチド191、またはペプチド211);(b)(a)で定義されるアミノ酸配列と実質的に類似の配列;及び(c)(a)で定義されるアミノ酸配列の変異型、から成る群より選択されるアミノ酸配列を有し得る。
【0036】
他の実施形態では、ペプチドのアミノ酸配列は標準配列ペプチド1のC末端アミノ酸で終了する。例えばペプチドは、(a)標準配列ペプチド1の4から23個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列、但し、アミノ酸配列は標準配列のC末端アミノ酸で終了する(すなわちペプチド3、ペプチド6、ペプチド10、ペプチド15、ペプチド21、ペプチド28、ペプチド36、ペプチド45、ペプチド55、ペプチド66、ペプチド78、ペプチド91、ペプチド105、ペプチド120、ペプチド136、ペプチド153、ペプチド171、ペプチド190、ペプチド210、またはペプチド231);(b)(a)で定義されるアミノ酸配列と実質的に類似の配列;及び(c)(a)で定義されるアミノ酸配列の変異型、から成る群より選択されるアミノ酸配列を有し得る。
【0037】
他の実施形態では、ペプチドのアミノ酸配列は、標準配列ペプチド1のN末端アミノ酸で始まらず、標準配列ペプチド1の2位のアミノ酸から21位のアミノ酸までで始まる。例えばペプチドは、(a)標準配列ペプチド1の4から23個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列、但し、アミノ酸配列は標準配列の2位から21位までの任意のアミノ酸で始まる。これらのペプチドは、4から23個の隣接アミノ酸の長さであり得、標準配列(ペプチド1)の中央のペプチドであり得る;(b)(a)で定義されるアミノ酸配列と実質的に類似の配列;及び(c)(a)で定義されるアミノ酸配列の変異型、から成る群より選択されるアミノ酸配列を有し得る。これらのペプチドを表IXに開示する。
【0038】
哺乳動物においてムチン過剰分泌を抑制するために本発明において有用であり、哺乳動物においてムチン過剰分泌の量を低減するために有用であり、及びムチン過剰分泌の抑制の方法及びムチン過剰分泌の低減の方法において有用であるペプチドアミノ酸配列は、本発明の単離ペプチドのアミノ酸配列及び場合によりN末端及び/又はC末端で化学修飾された基を含むペプチドのアミノ酸配列を含み、前記ペプチドアミノ酸配列は、23量体(すなわち23個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド2;及びペプチド3;22量体(すなわち22個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド4;ペプチド5;及びペプチド6;21量体(すなわち21個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド7;ペプチド8;ペプチド9;及びペプチド10;20量体(すなわち20個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド11;ペプチド12;ペプチド13;ペプチド14;及びペプチド15;19量体(すなわち19個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド16;ペプチド17;ペプチド18;ペプチド19;ペプチド20;及びペプチド21;18量体(すなわち18個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド22;ペプチド23;ペプチド25;ペプチド26;ペプチド27;及びペプチド28;17量体(すなわち17個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド29;ペプチド30;ペプチド31;ペプチド32;ペプチド33;ペプチド34;ペプチド35;及びペプチド36;16量体(すなわち16個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド37;ペプチド38;ペプチド39;ペプチド40;ペプチド41;ペプチド42;ペプチド43;ペプチド44;及びペプチド45;15量体(すなわち15個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド46;ペプチド47;ペプチド48;ペプチド49;ペプチド50;ペプチド51;ペプチド52;ペプチド53;ペプチド54;及びペプチド55;14量体(すなわち14個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド56;ペプチド57;ペプチド58;ペプチド59;ペプチド60;ペプチド61;ペプチド62;ペプチド63;ペプチド64;ペプチド65;及びペプチド66;13量体(すなわち13個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド67;ペプチド68;ペプチド69;ペプチド70;ペプチド71;ペプチド72;ペプチド73;ペプチド74;ペプチド75;ペプチド76;ペプチド77;及びペプチド78;12量体(すなわち12個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド79;ペプチド80;ペプチド81;ペプチド82;ペプチド83;ペプチド84;ペプチド85;ペプチド86;ペプチド87;ペプチド88;ペプチド89;ペプチド90;及びペプチド91;11量体(すなわち11個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド92;ペプチド93;ペプチド94;ペプチド95;ペプチド96;ペプチド97;ペプチド98;ペプチド99;ペプチド100;ペプチド101;ペプチド102;ペプチド103;ペプチド104;及びペプチド105;10量体(すなわち10個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド106;ペプチド107;ペプチド108;ペプチド109;ペプチド110;ペプチド111;ペプチド112;ペプチド113;ペプチド114;ペプチド115;ペプチド116;ペプチド117;ペプチド118;ペプチド119;及びペプチド120;9量体(すなわち9個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド121;ペプチド122;ペプチド123;ペプチド124;ペプチド125;ペプチド126;ペプチド127;ペプチド128;ペプチド129;ペプチド130;ペプチド131;ペプチド132;ペプチド133;ペプチド134;ペプチド135;及びペプチド136;8量体(すなわち8のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド137;ペプチド138;ペプチド139;ペプチド140;ペプチド141;ペプチド142;ペプチド143;ペプチド144;ペプチド145;ペプチド146;ペプチド147;ペプチド148;ペプチド149;ペプチド150;ペプチド151;ペプチド152;及びペプチド153;7量体(すなわち7個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド154;ペプチド155;ペプチド156;ペプチド157;ペプチド158;ペプチド159;ペプチド160;ペプチド161;ペプチド162;ペプチド163;ペプチド164;ペプチド165;ペプチド166;ペプチド167;ペプチド168;ペプチド169;ペプチド170;及びペプチド171;6量体(すなわち6個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド172;ペプチド173;ペプチド174;ペプチド175;ペプチド176;ペプチド177;ペプチド178;ペプチド179;ペプチド180;ペプチド181;ペプチド182;ペプチド183;ペプチド184;ペプチド185;ペプチド186;ペプチド187;ペプチド188;ペプチド189;及びペプチド190;5量体(すなわち5個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド191;ペプチド192;ペプチド193;ペプチド194;ペプチド195;ペプチド196;ペプチド197;ペプチド198;ペプチド199;ペプチド200;ペプチド201;ペプチド202;ペプチド203;ペプチド204;ペプチド205;ペプチド206;ペプチド207;ペプチド208;ペプチド209;及びペプチド210;及び4量体(すなわち4個のアミノ酸配列を有するペプチド):ペプチド211;ペプチド212;ペプチド213;ペプチド214;ペプチド215;ペプチド216;ペプチド217;ペプチド218;ペプチド219;ペプチド220;ペプチド221;ペプチド222;ペプチド223;ペプチド224;ペプチド225;ペプチド226;ペプチド227;ペプチド228;ペプチド229;ペプチド230;及びペプチド231から成る群より選択される。
【0039】
本発明の単離ペプチド及びN末端及び/又はC末端で化学修飾されたペプチドの好ましいアミノ酸配列は、23量体:ペプチド2;及びペプチド3;22量体:ペプチド4;ペプチド5;及びペプチド6;21量体:ペプチド7;ペプチド8;ペプチド9;及びペプチド10;20量体:ペプチド11;ペプチド12;ペプチド13;ペプチド14;及びペプチド15;19量体:ペプチド16;ペプチド17;ペプチド18;ペプチド19;ペプチド20;及びペプチド21;18量体:ペプチド22;ペプチド23;ペプチド25;ペプチド26;ペプチド27;及びペプチド28;17量体:ペプチド29;ペプチド30;ペプチド31;ペプチド32;ペプチド33;ペプチド34;ペプチド35;及びペプチド36;16量体:ペプチド37;ペプチド38;ペプチド39;ペプチド40;ペプチド41;ペプチド42;ペプチド43;ペプチド44;及びペプチド45;15量体:ペプチド46;ペプチド47;ペプチド48;ペプチド49;ペプチド50;ペプチド51;ペプチド52;ペプチド53;及びペプチド54;14量体:ペプチド56;ペプチド57;ペプチド58;ペプチド59;ペプチド60;ペプチド61;ペプチド62;ペプチド63;及びペプチド64;13量体:ペプチド67;ペプチド68;ペプチド69;ペプチド70;ペプチド71;ペプチド72;ペプチド73;ペプチド74;及びペプチド75;12量体:ペプチド79;ペプチド80;ペプチド81;ペプチド82;ペプチド83;ペプチド84;ペプチド85;ペプチド86;及びペプチド87;11量体:ペプチド92;ペプチド93;ペプチド94;ペプチド95;ペプチド96;ペプチド97;ペプチド98;ペプチド99;及びペプチド100;10量体:ペプチド106;ペプチド107;ペプチド108;ペプチド109;ペプチド110;ペプチド111;ペプチド112;ペプチド113;及びペプチド114;9量体:ペプチド122;ペプチド123;ペプチド124;ペプチド125;ペプチド126;ペプチド127;ペプチド128;及びペプチド129;8量体:ペプチド139;ペプチド140;ペプチド141;ペプチド142;ペプチド143;ペプチド144;及びペプチド145;7量体:ペプチド157;ペプチド158;ペプチド159;ペプチド160;ペプチド161;及びペプチド162;6量体:ペプチド176;ペプチド177;ペプチド178;ペプチド179;ペプチド及び180;5量体:ペプチド196;ペプチド197;ペプチド198;及びペプチド199;4量体:ペプチド217;及びペプチド219;から成る群より選択される。
【0040】
本発明の単離ペプチド及びN末端及び/又はC末端で化学修飾されたペプチドのより好ましいアミノ酸配列は、23量体:ペプチド2;及びペプチド3;及びペプチド3;22量体:ペプチド4;ペプチド5;及びペプチド6;21量体:ペプチド7;ペプチド8;ペプチド9;及びペプチド10;20量体:ペプチド11;ペプチド12;ペプチド13;ペプチド14;及びペプチド15;19量体:ペプチド16;ペプチド17;ペプチド18;ペプチド19;ペプチド20;及びペプチド21;18量体:ペプチド22;ペプチド23;ペプチド25;ペプチド26;ペプチド27;及びペプチド28;17量体:ペプチド29;ペプチド30;ペプチド31;ペプチド32;ペプチド33;ペプチド34;ペプチド35;及びペプチド36;16量体:ペプチド37;ペプチド38;ペプチド39;ペプチド40;ペプチド41;ペプチド42;ペプチド43;ペプチド44;及びペプチド45;15量体:ペプチド46;ペプチド47;ペプチド48;ペプチド49;ペプチド50;ペプチド51;ペプチド52;ペプチド53;及びペプチド54;14量体:ペプチド56;ペプチド57;ペプチド58;ペプチド59;ペプチド60;ペプチド61;ペプチド62;ペプチド63;及びペプチド64;13量体:ペプチド67;ペプチド68;ペプチド69;ペプチド70;ペプチド71;ペプチド72;ペプチド73;ペプチド74;ペプチド80;ペプチド81;ペプチド82;ペプチド83;ペプチド84;ペプチド85;ペプチド86;及びペプチド87;11量体:ペプチド92;ペプチド93;ペプチド94;ペプチド95;ペプチド96;ペプチド97;ペプチド98;ペプチド99;及びペプチド100;10量体:ペプチド106;ペプチド108;ペプチド109;ペプチド110;ペプチド111;ペプチド112;ペプチド113;及びペプチド114;9量体:ペプチド124;ペプチド125;ペプチド126;ペプチド127;ペプチド128;及びペプチド129;8量体:ペプチド141;ペプチド142;ペプチド143;ペプチド144;及びペプチド145;7量体:ペプチド159;ペプチド160;ペプチド161;及びペプチド162;6量体:ペプチド178;ペプチド179;及びペプチド180;5量体:ペプチド198;及びペプチド199;4量体:ペプチド219から成る群より選択される。
【0041】
さらに他の実施形態では、ペプチドのアミノ酸配列は、標準配列ペプチド1のペプチド219におけるように隣接残基A、K、G及びEを含む。例えばペプチドは、(a)標準配列ペプチド1の4から23個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列、但し、ペプチドのアミノ酸配列は、標準ペプチド、ペプチド1のペプチド219におけるように隣接残基A、K、G及びEを含む(例えばペプチド219、ペプチド45、ペプチド79、ペプチド67、ペプチド80等);(b)(a)で定義されるアミノ酸配列と実質的に類似の配列;及び(c)(a)で定義されるアミノ酸配列の変異型、から成る群より選択されるアミノ酸配列を有し得る。
【0042】
標準ペプチドアミノ酸配列、ペプチド1のアミノ酸配列AKGEを含むペプチドセグメントの例は、(a)23量体:ペプチド2;及びペプチド3;22量体:ペプチド4;ペプチド5;及びペプチド6;11量体:ペプチド7;ペプチド8;ペプチド9;及びペプチド10;20量体:ペプチド11;ペプチド12;ペプチド13;ペプチド14;及びペプチド15;19量体:ペプチド16;ペプチド17;ペプチド18;ペプチド19;ペプチド20;及びペプチド21;18量体:ペプチド22;ペプチド23;ペプチド24;ペプチド25;ペプチド26;ペプチド27;及びペプチド28;17量体:ペプチド29;ペプチド30;ペプチド31;ペプチド32;ペプチド33;ペプチド34;ペプチド35;及びペプチド36;16量体:ペプチド37;ペプチド38;ペプチド39;ペプチド40;ペプチド41;ペプチド42;ペプチド43;ペプチド44;及びペプチド45;15量体:ペプチド46;ペプチド47;ペプチド48;ペプチド49;ペプチド50;ペプチド51;ペプチド52;ペプチド53;及びペプチド54;14量体:ペプチド56;ペプチド57;ペプチド58;ペプチド59;ペプチド60;ペプチド61;ペプチド62;ペプチド63;及びペプチド64;13量体:ペプチド67;ペプチド68;ペプチド69;ペプチド70;ペプチド71;ペプチド72;ペプチド73;ペプチド74;及びペプチド75;12量体:ペプチド79;ペプチド80;ペプチド81;ペプチド82;ペプチド83;ペプチド84;ペプチド85;ペプチド86;及びペプチド87;11量体:ペプチド93;ペプチド94;ペプチド95;ペプチド96;ペプチド97;ペプチド98;ペプチド99;及びペプチド100;10量体:ペプチド108;ペプチド109;ペプチド110;ペプチド111;ペプチド112;ペプチド113;及びペプチド114;9量体:ペプチド124;ペプチド125;ペプチド126;ペプチド127;ペプチド128;及びペプチド129;8量体:ペプチド141;ペプチド142;ペプチド143;ペプチド144;及びペプチド145;7量体:ペプチド159;ペプチド160;ペプチド161;及びペプチド162;6量体:ペプチド178;ペプチド179;及びペプチド180;5量体:ペプチド198;及びペプチド199;及び4量体:ペプチド219;(b)(a)で定義されるアミノ酸配列と実質的に類似の配列;及び(c)(a)で定義されるアミノ酸配列の変異型、を含み、前記変異型は、置換変異型、欠失変異型、付加変異型及びこれらの組合せから成る群より選択され、前記セグメントは、4から23個の隣接アミノ酸を含む又は4から23個の隣接アミノ酸から成る。
【0043】
もう1つの実施形態では、好ましいペプチド配列は、(a)標準配列、ペプチド1の10から23個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列;(b)(a)で定義されるアミノ酸配列と実質的に類似の配列;及び(c)(a)で定義されるアミノ酸配列の変異型、から成る群より選択されるアミノ酸配列を有し、前記変異型は、置換変異型、欠失変異型、付加変異型及びこれらの組合せから成る群より選択され、好ましいアミノ酸配列は、23量体:ペプチド2;22量体: ペプチド4;21量体: ペプチド7;20量体: ペプチド11;19量体: ペプチド16;18量体: ペプチド22;17量体: ペプチド29;16量体: ペプチド37;15量体: ペプチド46;14量体: ペプチド56;13量体: ペプチド67;12量体: ペプチド79;11量体: ペプチド92;10量体: ペプチド106を含む。
【0044】
さらなる実施形態では、ペプチドのアミノ酸配列は、標準配列ペプチド1のN末端アミノ酸から始まり、標準配列ペプチドのペプチド219におけるように隣接残基A、K、G及びEを含み、一方他の実施形態では、ペプチドのアミノ酸配列は、標準配列ペプチド1のC末端アミノ酸で終了し、標準配列ペプチドのペプチド219におけるように隣接残基A、K、G及びEを含む。
【0045】
ペプチドは、標準アミノ酸配列に関して1以上のアミノ酸欠失、置換及び/又は付加を含んでもよい。好ましくは、置換は保存的アミノ酸置換でもあり得、又は置換は非保存的アミノ酸置換であり得る。一部の実施形態では、標準アミノ酸配列と実質的に同一である又は標準アミノ酸配列の変異型であるアミノ酸配列を有するペプチドを含む、ペプチドは、標準アミノ酸配列の対応する隣接アミノ酸と比較して欠失又は付加を有さないが、保存的又は非保存的置換を有し得る。本発明のペプチドにおいて標準アミノ酸配列に施し得るアミノ酸置換は、以下を含むが、これらに限定されない:アラニン(A)はリシン(K)、バリン(V)、ロイシン(L)又はイソロイシン(I)で置換され得る;グルタミン酸(E)はアスパラギン酸(D)で置換され得る;グリシン(G)はプロリン(P)で置換され得る;リシン(K)はアルギニン(R)、グルタミン(Q)又はアスパラギン(N)で置換され得る;フェニルアラニン(F)はロイシン(L)、バリン(V)、イソロイシン(I)又はアラニン(A)で置換され得る;プロリン(P)はグリシン(G)で置換され得る;グルタミン(Q)はグルタミン酸(E)又はアスパラギン(N)で置換され得る;アルギニン(R)はリシン(K)、グルタミン(Q)又はアスパラギン(N)で置換され得る;セリン(S)はトレオニンで置換され得る;トレオニン(T)はセリン(S)で置換され得る;及びバリン(V)はロイシン(L)、イソロイシン(I)、メチオニン(M)、フェニルアラニン(F)、アラニン(A)又はノルロイシン(Nle)で置換され得る。例えば本発明のペプチドにおいて標準アミノ酸配列に施し得る置換は、フェニルアラニン(F)をアラニン(A)で(例えば標準アミノ酸配列のアミノ酸位置4において)、グルタミン(Q)をグルタミン酸(E)で(例えば標準アミノ酸配列のアミノ酸位置3において)、アラニン(A)をリシン(K)で(例えば標準アミノ酸配列のアミノ酸位置2及び/又は8において)、及び/又はトレオニン(T)をセリン(S)で(例えば標準アミノ酸配列のアミノ酸位置7において)置換することを含む。
【0046】
標準アミノ酸配列に関して本発明のペプチド(非修飾ペプチド並びに、例えばアミド形成などによるN末端及び/又はC末端修飾によって化学修飾されているペプチドを含む)のアミノ酸配列内に置換が含まれるとき、好ましくはペプチドのアミノ酸配列と標準アミノ酸配列の間に少なくとも80%の配列同一性が存在する。5から23個のアミノ酸を有し、標準アミノ酸配列に関して1個のアミノ酸置換を含むペプチドは、標準アミノ酸配列と約80%から約96%(すなわち約95.7%)の配列同一性を有する。10から23個のアミノ酸を有し、標準アミノ酸配列に関して1個のアミノ酸置換を含むペプチドは、標準アミノ酸配列と約90%から約96%(すなわち約95.7%)の配列同一性を有する。20から23個のアミノ酸を有し、標準アミノ酸配列に関して1個のアミノ酸置換を含むペプチドは、標準アミノ酸配列と約95%から約96%(すなわち約95.7%)の配列同一性を有する。10から23個のアミノ酸を有し、標準アミノ酸配列に関して2個のアミノ酸置換を含むペプチドは、標準アミノ酸配列と約80%から約92%(すなわち約91.3%)の配列同一性を有する。16から23個のアミノ酸を有し、標準アミノ酸配列に関して2個のアミノ酸置換を含むペプチドは、標準アミノ酸配列と約87.5%から約92%(すなわち約91.3%)の配列同一性を有する。20から23個のアミノ酸を有し、標準アミノ酸配列に関して2個のアミノ酸置換を含むペプチドは、標準アミノ酸配列と約90%から約92%(すなわち約91.3%)の配列同一性を有する。15から23個のアミノ酸を有し、標準アミノ酸配列に関して3個のアミノ酸置換を含むペプチドは、標準アミノ酸配列と約80%から約87%の配列同一性を有する。20から23個のアミノ酸を有し、標準アミノ酸配列に関して3個のアミノ酸置換を含むペプチドは、標準アミノ酸配列と約85%から約87%の配列同一性を有する。20から23個のアミノ酸を有し、標準アミノ酸配列に関して4個のアミノ酸置換を含むペプチドは、標準アミノ酸配列と約80%から約83%(すなわち約82.6%)の配列同一性を有する。
【0047】
本発明のペプチドにおいて、標準ペプチド(24量体である)の隣接アミノ酸に関して、標準24アミノ酸配列から選択される隣接23アミノ酸配列(23量体)内の1個のアミノ酸の置換は、23量体が同一性を有する標準ペプチド内のアミノ酸セグメントと95.65%(又は約96%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを提供する。同じように、前記23量体内の2、3、4及び5個のアミノ酸の置換は、標準ペプチドアミノ酸配列とそれぞれ91.30%(又は約91%)、86.96%(又は約87%)、82.61%(又は約83%)及び78.27%(又は約78%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを提供する。同じように、22量体内の1、2、3、4及び5個のアミノ酸の置換は、標準ペプチドアミノ酸配列とそれぞれ95.45%(又は約95%)、90.91%(又は約91%)、86.36%(又は約86%)、81.82%(又は約82%)及び77.27%(又は約77%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを提供する。同じように、21量体内の1、2、3、4及び5個のアミノ酸の置換は、標準ペプチドアミノ酸配列とそれぞれ95.24%(又は約95%)、90.48%(又は約91%)、85.71%(又は約86%)、80.95%(又は約81%)及び76.19%(又は約76%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを提供する。同じように、20量体内の1、2、3、4及び5個のアミノ酸の置換は、標準ペプチドアミノ酸配列とそれぞれ95.00%(95%)、90.00%(90%)、85.00%(85%)、80.00%(80%)及び75.00%(75%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを提供する。同じように、19量体内の1、2、3及び4個のアミノ酸の置換は、標準ペプチドアミノ酸配列とそれぞれ94.74%(約95%)、89.47%(約89%)、84.21%(約84%)及び78.95%(約79%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを提供する。同じように、18量体内の1、2、3及び4個のアミノ酸の置換は、標準ペプチドアミノ酸配列とそれぞれ94.44%(約94%)、88.89%(約89%)、83.33%(約83%)及び77.78%(約78%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを提供する。同じように、17量体内の1、2、3及び4個のアミノ酸の置換は、標準ペプチドアミノ酸配列とそれぞれ94.12%(約94%)、88.23%(約88%)、82.35%(約82%)及び76.47%(約76%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを提供する。同じように、16量体内の1、2、3及び4個のアミノ酸の置換は、標準ペプチドアミノ酸配列とそれぞれ93.75%(約94%)、87.50%(約88%)、81.25%(約81%)及び75.00%(75%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを提供する。同じように、15量体内の1、2及び3個のアミノ酸の置換は、標準ペプチドアミノ酸配列とそれぞれ93.33%(約93%)、86.67%(約87%)及び80.00%(80%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを提供する。同じように、14量体内の1、2及び3個のアミノ酸の置換は、標準ペプチドアミノ酸配列とそれぞれ92.86%(約93%)、85.71%(約86%)及び78.57%(79%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを提供する。同じように、13量体内の1、2及び3個のアミノ酸の置換は、標準ペプチドアミノ酸配列とそれぞれ92.31%(約92%)、84.62%(約85%)及び76.92%(約77%))の配列同一性を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを提供する。同じように、12量体内の1、2及び3個のアミノ酸の置換は、標準ペプチドアミノ酸配列とそれぞれ91.67%(約92%)、83.33%(約83%)及び75.00%(75%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを提供する。同じように、11量体内の1及び2個のアミノ酸の置換は、標準ペプチドアミノ酸配列とそれぞれ90.91%(約91%)及び81.82%(約82%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを提供する。同じように、10量体内の1及び2個のアミノ酸の置換は、標準ペプチドアミノ酸配列とそれぞれ90.00%(90%)及び80.00%(80%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを提供する。同じように、9量体内の1及び2個のアミノ酸の置換は、標準ペプチドアミノ酸配列とそれぞれ88.89%(約89%)及び77.78%(約78%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを提供する。同じように、8量体内の1及び2個のアミノ酸の置換は、標準ペプチドアミノ酸配列とそれぞれ87.50%(約88%)及び75.00%(75%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを提供する。同じように、7量体、6量体、5量体及び4量体内の1個のアミノ酸の置換は、標準ペプチドとそれぞれ85.71%(約86%)、83.33%(約83.3%)、80.00%(80%)及び75.00%(75%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を備えたペプチドを提供する。本発明の好ましいアミノ酸配列は、標準配列内のアミノ酸配列と80%以上の配列同一性、より好ましくは標準配列内のアミノ酸配列と81%から96%の配列同一性、及びより好ましくは標準配列内のアミノ酸配列と80%から96%の配列同一性を有する。好ましいアミノ酸配列は、場合により、アミド結合によってC−C22直鎖脂肪族カルボン酸部分、より好ましくはC−C16直鎖脂肪族カルボン酸部分、最も好ましくはC又はC16直鎖脂肪族カルボン酸部分に末端ペプチドアミノ基でN末端化学結合することができ、及び場合により、アミド結合によってアンモニアのようなアミン又はC1−C16直鎖脂肪族第一級アミンのような第一級又は第二級アミンに末端ペプチドカルボキシル基でC末端化学結合することができる。
【0048】
12量体であるペプチド79の置換変異型の例は、例えばペプチド79の3位のQがペプチド238内でEによって置換された、ペプチド238;ペプチド79の2位のAがペプチド233内でKによって置換された、ペプチド233;ペプチド79の8位のAがペプチド234内でKによって置換された、ペプチド234;ペプチド79の2位と8位のAがペプチド235内でKによって置換された、ペプチド235;ペプチド79の4位のFがペプチド237内でAによって置換された、ペプチド237;ペプチド79の10位のKがペプチド239内でAによって置換された、ペプチド239;ペプチド79の11位のGがペプチド240内でAによって置換された、ペプチド240;及びペプチド79の12位のEがペプチド241内でAによって置換された、ペプチド241を含む。
【0049】
10量体であるペプチド106の置換変異型の例は、例えばペプチド106の4位のFがペプチド236内でAによって置換された、ペプチド236;ペプチド106の1位のGがペプチド242内でAによって置換された、ペプチド242;ペプチド106の3位のQがペプチド243内でAによって置換された、ペプチド243;ペプチド106の5位のSがペプチド244内でAによって置換された、ペプチド244;ペプチド106の6位のKがペプチド245内でAによって置換された、ペプチド245;ペプチド106の7位のTがペプチド247内でAによって置換された、ペプチド247;ペプチド106の10位のKがペプチド248内でAによって置換された、ペプチド248;ペプチド106の6位と10位のKがペプチド249内でどちらも各々Aによって置換された、ペプチド249を含む。
【0050】
8量体であるペプチド137の置換変異型の例は、例えばペプチド137の4位のFがペプチド250内でAによって置換された、ペプチド250を含む。
【0051】
4量体であるペプチド219の置換変異型の例は、例えばペプチド219の2位のKがペプチド251内でAによって置換された、ペプチド251を含む。
【0052】
ここで述べるような置換変異型ペプチドは、単離ペプチドの形態又は、例えばここで述べるミリストイルアミド、アセチルアミド等のようなN末端アミド、及び例えばアンモニアで形成されるアミドのようなC末端アミド、及びN末端アミドとC末端アミドの両方のような、化学修飾ペプチドの形態であり得る。
【0053】
標準アミノ酸配列に関して本発明のペプチドのアミノ酸配列内に欠失が含まれるとき、好ましくはペプチドのアミノ酸配列と標準アミノ酸配列の間に少なくとも80%の配列同一性が存在する。5から23個のアミノ酸を有し、標準ペプチドに関して1個のアミノ酸欠失を含むペプチドは、標準アミノ酸配列と約80%から約96%(すなわち約95.7%)の配列同一性を有する。10から23個のアミノ酸を有し、標準ペプチドに関して1個のアミノ酸欠失を含むペプチドは、標準アミノ酸配列と約90%から約96%(すなわち約95.7%)の配列同一性を有する。20から23個のアミノ酸を有し、標準ペプチドに関して1個のアミノ酸欠失を含むペプチドは、標準アミノ酸配列と95%から約96%(すなわち約95.7%)の配列同一性を有する。10から23個のアミノ酸を有し、標準ペプチドに関して2個のアミノ酸欠失を含むペプチドは、標準アミノ酸配列と約80%から約92%(すなわち約91.3%)の配列同一性を有する。16から23個のアミノ酸を有し、標準ペプチドに関して2個のアミノ酸欠失を含むペプチドは、標準アミノ酸配列と約87.5%から約92%(すなわち約91.3%)の配列同一性を有する。20から23個のアミノ酸を有し、標準ペプチドに関して2個のアミノ酸置換を含むペプチドは、標準アミノ酸配列と約90%から約92%(すなわち約91.3%)の配列同一性を有する。15から23個のアミノ酸を有し、標準ペプチドに関して3個のアミノ酸欠失を含むペプチドは、標準アミノ酸配列と約80%から約87%の配列同一性を有する。20から23個のアミノ酸を有し、標準ペプチドに関して3個のアミノ酸欠失を含むペプチドは、標準アミノ酸配列と約85%から約87%の配列同一性を有する。20から23個のアミノ酸を有し、標準ペプチドに関して4個のアミノ酸欠失を含むペプチドは、標準アミノ酸配列と約80%から約83%(すなわち約82.6%)の配列同一性を有する。
【0054】
上述したように、ペプチドのアミノ酸の1以上はまた、化学修飾されていてもよい。当技術分野で公知のいかなるアミノ酸修飾も、当技術分野で公知の何らかの方法を用いてペプチドのアミノ酸に対して施され得る。
【0055】
一部の実施形態では、N末端及び/又はC末端アミノ酸は修飾されていてもよい。例えばペプチドのN末端アミノ酸は、N末端アミノ(HN−)基でアルキル化、アミド化又はアシル化され得、及び例えばペプチドのC末端アミノ酸は、C末端カルボキシル(−COOH)基でアミド化又はエステル化され得る。例えばN末端アミノ基は、アセチル基(すなわちCH−C(=O)−又はミリストイル基を含む、アミドを形成するために何らかのアシル又は脂肪アシル基を含むようにアシル化によって修飾され得る。一部の実施形態では、N末端アミノ基は、式−C(O)R[式中、Rは1から15個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル基である]を有するアシル基を含むように修飾され得るか、又は式−C(O)R[式中、Rは1から15個の炭素原子を有する直鎖アルキル基である]を有するアシル基を含むように修飾され得る。ペプチドのC末端アミノ酸も化学修飾され得る。例えばC末端アミノ酸のC末端カルボキシル基は、ヒドロキシル基の代わりにアミノ基を含むように化学修飾(すなわちアミド化)され得る。一部の実施形態では、N末端及び/又はC末端アミノ酸は化学修飾されていない。
【0056】
ペプチドは、
(i)C−C24脂肪族(飽和又は場合により不飽和)カルボン酸(例えば酢酸、プロパン酸、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸(ミリスチン酸)、ヘキサデカン酸、9−ヘキサデセン酸、オクタデカン酸、9−オクタデセン酸、11−オクタデセン酸、9,12−オクタデカジエン酸、9,12,15−オクタデカトリエン酸、6,9,12−オクタデカトリエン酸、エイコサン酸、9−エイコセン酸、5,8,11,14−エイコサテトラエン酸、5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸、ドコサン酸、13−ドコセン酸、4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸、テトラコサン酸等とのN末端アミド);
(ii)トリフルオロ酢酸;
(iii)安息香酸;及び
(iv)脂肪族アルキルスルホンアミドを形成するC−C24脂肪族アルキルスルホン酸[但し、スルホン酸のC−C24脂肪族アルキル炭素鎖構造は、上述した脂肪族アルキルカルボン酸における脂肪族アルキルカルボン酸鎖の構造に類似する]
から成る群より選択される酸とN−末端アミドを形成するようにN末端アミノ酸のアミノ基でアシル化され得る。例えばペプチドは、(C−C23)−アルキル−C(O)OHと表わされるカルボン酸基を用いて、カルボン酸基の活性化による脱水結合を通して(C−C23)−アルキル−C(O)−NH−ペプチドと表わされるアミドを形成するようにアシル化され得る。同じように、スルホンアミドは、スルホン酸種((C−C23)−アルキル−S(O)−X[式中、Xはハロゲン又はOCH又は他の適合性脱離基である]と表わされる)を、(C−C23)−アルキル−S(O)−NH−ペプチドと表わされるスルホンアミドを形成するようにN末端アミノ基と反応させることによって形成され得る。
【0057】
もう1つの例として、N末端アミノ酸のN末端アミノ基は、C−C24脂肪族アルキル基でアルキル化され得る[但し、脂肪族アルキル基の構造は上述したとおりである]。アルキル化は、例えば脂肪族アルキルハロゲン化物又は脂肪族アルキルスルホン酸エステル(メシレート、トシレート等)を用いて、好ましくは第一級アルキルハロゲン化物又は第一級アルキルスルホン酸エステルを用いて実施され得る。N末端アミノ酸はまた、アミド結合によってペプチドの末端アミノ基に共有結合している、アセチル基(すなわち−C(O)CH)、ミリストイル基、ブタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、9−ヘキサデセノイル基、オクタデカノイル基、9−オクタデセノイル基、11−オクタデセノイル基、9,12−オクタデカジエノイル基、9,12,15−オクタデカトリエノイル基、6,9,12−オクタデカトリエノイル基、エイコサノイル基、9−エイコセノイル基、5,8,11,14−エイコサテトラエノイル基、5,8,11,14,17−エイコサペンタエノイル基、ドコサノイル基、13−ドコセノイル基、4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエノイル基、テトラコサノイル基を含む、アミドとして何らかのアシル又は脂肪族アシル脂肪アシル基を含むように末端アミノで修飾され得る。
【0058】
ペプチドのC末端アミノ酸のC末端カルボン酸基も化学修飾され得る。例えばC末端アミノ酸は、アンモニアのアミド;C−C24脂肪族アルキルアミン、好ましくは直鎖脂肪族アルキルアミンのアミド;ヒドロキシル置換C−C24脂肪族アルキルアミンのアミド;直鎖2−(C−C24脂肪族アルキル)オキシエチルアミン基のアミド;及びω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ)−エチルアミン基(ω−メトキシ−PEG−α−アミン基又はω−メトキシ−(ポリエチレングリコール)アミン基とも称される)[式中、nは0から10である]のアミドのようなアミド基を形成する、ペプチドのC末端カルボン酸基とアミンの反応によって化学修飾され得る。ペプチドのC末端アミノ酸のC末端カルボン酸基はまた、C−C24脂肪族アルキルアルコールのエステル及び2−(ω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ))−エタノール基[式中、nは0から10である]のエステルから成る群より選択されるエステルの形態であり得る。
【0059】
式、ペプチド−C(O)OHによって表わされ得る、ペプチド上のC末端カルボン酸基はまた、好ましくはペプチド内の他の何らかの反応基が、ベンジルエステル、t−ブチルエステル、フェニルエステル等のような、ペプチド合成、特にペプチド固相合成の技術分野において周知の合成化学的に適合性の保護基によって保護されている間に、カルボン酸ハロゲン化物、カルボン酸無水物、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ペンタフルオロフェニル(OPfp)エステル、3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−4−オキソ−ベンゾ−トリアゾン(ODhbt)エステル等のような活性化形態に変換されることによってアミド化され得る。生じるペプチドアミドは、式、ペプチド−C(O)−NR(アミドはペプチドのC末端に位置する)[式中、R及びRは、水素;上述したメチル、エチル、ブチル、イソブチル、シクロプロピルメチル、ヘキシル、ドデシル、テトラデシル等のようなC−C24アルキルから成る群より独立して選択される]によって表わされ得る。
【0060】
C末端アミノ酸のC末端カルボン酸はまた、2−ヒドロキシエチルアミン、4−ヒドロキシブチルアミン及び12−ヒドロキシドデシルアミン等のようなヒドロキシル置換C−C24脂肪族アルキルアミン(ヒドロキシル基はアミンの窒素原子ではなく炭素原子に結合している)のアミドに変換され得る。
【0061】
C末端カルボン酸はまた、ヒドロキシル基が、上述したようにC−C24脂肪族カルボン酸とエステルを形成するようにアシル化され得る、ヒドロキシル置換C−C24脂肪族アルキルアミンのアミドに変換され得る。好ましくは、式、ペプチド−C(O)Rによって表わされるペプチドのC末端のペプチドアミドにおいて、Rは水素であり、Rは、水素、C−C24アルキル及びヒドロキシル置換C−C24アルキルから成る群より選択される。
【0062】
C末端アミノ酸のC末端カルボン酸は、直鎖2−(C−C24脂肪族アルキル)オキシエチルアミンのアミドに変換され得る。このようなアミドは、例えば直鎖C−C24脂肪族アルキルエタノールを与える、2−クロロエタノールを含むジグリム中のハロゲン化カリウムと直鎖C−C24脂肪族アルコールの反応によって製造でき、前記直鎖C−C24脂肪族アルキルエタノールをアルデヒドに酸化し、次にアミンへと還元的アミノ化することによって(例えばアンモニアを用いて)、又はハロゲン化アルキルに変換し(例えば塩化チオニルを用いて)、次にアンモニアのようなアミンで処理することによって、アミンに変換することができる。
【0063】
C末端アミノ酸のC末端カルボン酸はまた、対応するω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ)−エタノールから、例えば上述したようなアルコールのアミンへの変換によって製造することができる、ω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ)−エチルアミン[式中、nは0から10である]のアミドに変換し得る。
【0064】
もう1つの実施形態では、C末端カルボキシルは、式、ペプチド−C(O)−NR[式中、Rは水素であり、Rは、直鎖2−(C−C24脂肪族アルキル)オキシエチル基[式中、C−C24脂肪族アルキル部分は上述したとおりであり、メトキシエチル(すなわちCHO−CHCH−)、2−ドデシルオキシエチル等のような基を含む]であるか;又はRは水素であり、Rは、ω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ)−エチル基[式中、ポリ(エチレンオキシ)部分のnは、2−メトキシエチル(すなわちCHO−CHCH−)、ω−メトキシエトキシエチル(すなわちCHO−CHCHO−CHCH−)からCHO−(CHCHO)10−CHCH−)までのように、0から10である]である]によって表わされるアミドに変換され得る。
【0065】
ペプチドのC末端アミノ酸のC末端カルボン酸基はまた、上述したようなアルコールの脂肪族アルキル部分、C−C24脂肪族アルキルアルコールのエステルの形態であり得る。ペプチドのC末端アミノ酸のC末端カルボン酸基はまた、酸化エチレンの化学量論量[化学量論量はnの大きさに依存する]とナトリウム2−メトキシエタノレートとしての2−メトキシエタノールの反応から製造できる、2−(ω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ))−エタノール基[式中、nは0から10である]のエステルの形態であり得る。
【0066】
ペプチドのアミノ酸の側鎖も化学修飾され得る。例えばフェニルアラニン又はチロシン内のフェニル基は、以下から成る群より選択される置換基で置換され得る。
【0067】
メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、シクロプロピル、2−メチルシクロプロピル、シクロヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコサニル、ドコサニル、テトラコサニル、9−ヘキサデセニル、9−オクタデセニル、11−オクタデセニル、9,12−オクタデカジエニル、9,12,15−オクタデカトリエニル、6,9,12−オクタデカトリエニル、9−エイコセニル、5,8,11,14−エイコサテトラエニル、5,8,11,14,17−エイコサペンタエニル、13−ドコセニル及び4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエニルのようなC−C24脂肪族アルキル基(すなわち直鎖又は分枝、及び/又は飽和又は不飽和、及び/又は環状基を含む);
不飽和の部位から離れた少なくとも1個の炭素原子においてヒドロキシル基で置換されたC−C24脂肪族アルキル基[前記ヒドロキシル基の例は、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシドデシル等を含む];
酢酸、ブタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸ヘキサデカン酸、9−ヘキサデセン酸、オクタデカン酸、9−オクタデセン酸、11−オクタデセン酸、9,12−オクタデカジエン酸、9,12,15−オクタデカトリエン酸、6,9,12−オクタデカトリエン酸、エイコサン酸、9−エイコセン酸、5,8,11,14−エイコサテトラエン酸、5,8,11,14,17−エイコサペンタエン酸、ドコサン酸、13−ドコセン酸、4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエン酸、テトラコサン酸等のような酸、コハク酸のようなジカルボン酸、又は乳酸のようなヒドロキシ酸のC−C24脂肪族カルボキシル基でエステル化されているヒドロキシル基で置換されたC−C24アルキル基[但し、前記エステル置換基の炭素原子の総数は3から25である];
フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードのようなハロゲン;ニトロ;NH、メチルアミノ、ジメチルアミノのようなアミノ;トリフルオロメチル;カルボキシル(−COOH);
メトキシ、エトキシ、プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、ブチルオキシ、イソブチルオキシ、シクロプロピルオキシ、2−メトキシシクロプロピルオキシ、シクロヘキシルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、ヘキサデシルオキシ、オクタデシルオキシ、エイコサニルオキシ、ドコサニルオキシ、テトラコサニルオキシ、9−ヘキサデセニルオキシ、9−オクタデセニルオキシ、11−オクタデセニルオキシ、9,12−オクタデカジエニルオキシ、9,12,15−オクタデカトリエニルオキシ、6,9,12−オクタデカトリエニルオキシ、9−エイコセニルオキシ、5,8,11,14−エイコサテトラエニルオキシ、5,8,11,14,17−エイコサペンタエニルオキシ、13−ドコセニルオキシ及び4,7,10,13,16,19−ドコサヘキサエニルオキシのようなC−C24アルコキシ(チロシンのアルキル化によって形成され得るような);及び
2−ヒドロキシエチルオキシのようなC−C24ヒドロキシアルキルオキシ及び上述したようなカルボン酸又はトリフルオロ酢酸とのこのエステル。
【0068】
セリンヒドロキシル基は、
上述したようなC−C24脂肪族カルボン酸基;
トリフルオロ酢酸基;及び
安息香酸基
から成る群より選択される置換基でエステル化され得る。
【0069】
リシン内のεアミノ基は、例えば上述したようなC−C24脂肪族カルボン酸基(例えば酸塩化物、無水物、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、ペンタフルオロフェニル(OPfp)エステル、3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−4−オキソ−ベンゾ−トリアゾン(ODhbt)エステル等のようなカルボン酸の化学的活性化形態とアミンの反応による)、又は安息香酸基、又はアミノ酸基とのアミド形成によって、化学修飾され得る。加えて、リシン内のεアミノ基は、1又は2個のC−C脂肪族アルキル基でのアルキル化によって化学修飾され得る。
【0070】
グルタミン酸内のカルボン酸基は、アンモニア;メチルアミンを含むC−C24第一級脂肪族アルキルアミン(このアルキル部分は上述したとおりである);又はアミノ酸のアミノ基のようなアミンとのアミドの形成によって修飾され得る。
【0071】
グルタミン酸内のカルボン酸基は、上述したようなC−C24脂肪族ヒドロキシアルキル基とのエステル、好ましくは上述したメタノール、エタノール、プロパン−1−オール、n−ドデカノール等のようなC−C24脂肪族アルキルの第一級アルコールとのエステルの形成によって修飾され得る。
【0072】
本発明のペプチドは、ムチン及び/又は粘液抑制量で哺乳動物に投与されたとき、ムチン抑制作用及び/又は粘液抑制作用を有する。前記ペプチドはまた、(1)等濃度で投与されたときMANSペプチドよりも大きな哺乳動物におけるムチン抑制作用、(2)等濃度で投与されたときMANSペプチドよりも大きな哺乳動物における粘液抑制作用、及び/又は(3)MANSペプチドよりも大きな水溶解度を有し得る。
【0073】
MARCKSペプチド及びMANSペプチドは各々、アミド結合によってN末端アミノ酸でアミンに連結されたミリストイル基を含む。しかし、ここで開示するように、本発明のペプチドのムチン過剰分泌抑制作用は、ペプチド配列のN末端アミノ酸におけるミリストイル基の存在によるのではない。実際に、N末端化学修飾を含まない本発明のある種のペプチドは、ムチン過剰分泌抑制活性を示すことが認められる。N末端アミドとしてのアセチル基のような、ミリストイル以外の基によるN末端化学修飾を含む本発明のある種のペプチドも、ムチン過剰分泌抑制活性を示すことが認められる。実際に、MANSペプチド(非ミリスチル化)のN末端アセチル化型は、本発明の方法においてムチン過剰分泌抑制活性を示すことができる。加えて、MANSペプチドアミノ酸配列を含むアミノ酸のペプチド配列及びここで述べるようなこの変異型は、本発明の方法においてムチン過剰分泌抑制活性を示すことができる。
【0074】
1つの態様では、本発明は、哺乳動物においてムチンの過剰分泌を抑制する方法であって、ムチンの過剰分泌を抑制するペプチドのムチン過剰分泌抑制量を哺乳動物に投与することを含み、前記ペプチドが、(a)配列GAQFSKTAAKGEAAAERPGEAAVA(配列番号1)を有するアミノ酸配列;及び(b)(a)で定義される配列と実質的に同一のアミノ酸配列;から成る群より選択されるアミノ酸配列を有し、前記ペプチドのN末端アミノ酸がミリストイル化されておらず、及び前記ペプチドのC末端アミノ酸が、場合により独立して化学修飾されており、前記ペプチドが、ムチン過剰分泌抑制量で哺乳動物に投与されたときムチンの過剰分泌抑制作用を有する、前記方法を提供する。1つの実施形態では、このペプチドのN末端アミノ酸は、好ましくはアセチル化されている。もう1つの実施形態では、ペプチドは、(a)等濃度で哺乳動物に投与されたとき、N末端アミノ酸がミリストイル化されている配列番号1で示されるペプチドよりも大きな哺乳動物へのムチン過剰分泌抑制作用又は(b)同じ液体中の等濃度で、N末端アミノ酸がミリストイル化されている配列番号1で示されるペプチドよりも大きな水溶解度、の性質の少なくとも1つを示す。
【0075】
一部の実施形態では、N末端アミノ基は、式、−C(O)R[式中、Rは1から15個の炭素原子を有する直鎖又は分枝アルキル基である]を有するアシル基を含むように修飾され得るか、又は式、−C(O)R[式中、Rは1から15個の炭素原子を有する直鎖アルキル基である]を有するアシル基を含むように修飾され得る。ペプチドのC末端アミノ酸も化学修飾され得る。例えばC末端アミノ酸のC末端カルボキシル基は、ヒドロキシル基の代わりにアミノ基を含むように化学修飾(すなわちアミド化)され得る。一部の実施形態では、N末端及び/又はC末端アミノ酸は化学修飾されていない。
【0076】
一部の実施形態では、本発明のペプチドは、ヒト血漿におけるよりもヒト気管支肺胞洗浄液(BALF)においてより長い半減期を有し得る、及びまた、ヒト血漿におけるよりもヒト粘液において(例えば嚢胞性線維症を有する被験者からの粘液において)より長い半減期を有し得る。
【0077】
本発明のペプチドは、哺乳動物においてムチン分泌及び/又は粘液産生を抑制する方法、哺乳動物においてムチン及び/又は粘液の過剰分泌を治療する方法、及び哺乳動物においてムチン及び/又は粘液の過剰分泌を生じさせる肺疾患(例えば喘息、慢性気管支炎、COPD及び嚢胞性線維症のような)を治療する方法において使用し得る。ペプチドによる治療に適すると考えられる状態は、炎症性、ウイルス性又は細菌性気道疾患(例えば喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、普通の風邪、鼻炎、急性又は慢性気管支炎、肺炎及びケンネルコフ)、アレルギー状態(例えばアトピー、アレルギー性炎症)、気管支拡張症、気腫、気管支喘息及びある種の遺伝的状態(例えば嚢胞性線維症)を含むが、これらに限定されない。ペプチドはまた、この内容全体が参照してここに組み込まれる、米国特許出願第10/180,753号(特許公開第U.S.2003/0013652号)及び同第09/256,154号及び国際出願第PCT/US00/05050号(国際公開広報第WO00/50062号)に述べられている状態及び疾患の治療のため並びにこれらに述べられている方法のために適すると考えられる。
【0078】
疾患に関連するムチン過剰分泌に加えて、ムチン過剰分泌という用語はまた、ATP誘導性のムチン過剰分泌並びに分泌促進物質誘導性のムチン過剰分泌及び刺激性ムチン過剰分泌も包含する。
【0079】
好ましい実施形態では、本発明は、標準アミノ酸配列、ペプチド1の4から23個の隣接アミノ酸のアミノ酸配列を有するムチン過剰分泌抑制ペプチドを提供し、前記ムチン過剰分泌抑制ペプチドは、
(a)ここで述べるペプチド2、及びペプチド3、ペプチド4、ペプチド5、ペプチド6、ペプチド7、ペプチド8、ペプチド9、ペプチド10、ペプチド11、ペプチド12、ペプチド13、ペプチド14、ペプチド15、ペプチド16、ペプチド17、ペプチド18、ペプチド19、ペプチド20、ペプチド21、ペプチド22、ペプチド23、ペプチド24、ペプチド25、ペプチド26、ペプチド27、ペプチド28、ペプチド29、ペプチド30、ペプチド31、ペプチド32、ペプチド33、ペプチド34、ペプチド35、ペプチド36、ペプチド37、ペプチド38、ペプチド39、ペプチド40、ペプチド41、ペプチド42、ペプチド43、ペプチド44、ペプチド45、ペプチド46、ペプチド47、ペプチド48、ペプチド49、ペプチド50、ペプチド51、ペプチド52、ペプチド53、ペプチド54、ペプチド56、ペプチド57、ペプチド58、ペプチド59、ペプチド60、ペプチド61、ペプチド62、ペプチド63、ペプチド64、ペプチド67、ペプチド68、ペプチド69、ペプチド70、ペプチド71、ペプチド72、ペプチド73、ペプチド74、ペプチド75、ペプチド79、ペプチド80、ペプチド81、ペプチド82、ペプチド83、ペプチド84、ペプチド85、ペプチド86、ペプチド87、ペプチド92、ペプチド93、ペプチド94、ペプチド95、ペプチド96、ペプチド97、ペプチド98、ペプチド99、ペプチド100、ペプチド106、ペプチド107、ペプチド108、ペプチド109、ペプチド110、ペプチド111、ペプチド112、ペプチド113、ペプチド114、ペプチド122、ペプチド123、ペプチド124、ペプチド125、ペプチド126、ペプチド127、ペプチド128、ペプチド129、ペプチド139、ペプチド140、ペプチド141、ペプチド142、ペプチド143、ペプチド144、ペプチド145、ペプチド157、ペプチド158、ペプチド159、ペプチド160、ペプチド161、ペプチド162、ペプチド176、ペプチド177、ペプチド178、ペプチド179、ペプチド180、ペプチド196;ペプチド197;ペプチド198;ペプチド199;ペプチド216;ペプチド217、及びペプチド219から成る群;及び
(b)(a)で定義される配列と80%から96%の配列同一性を有するアミノ酸配列
から選択され、
但し、ムチン過剰分泌抑制ペプチドアミノ酸配列のN末端アミノ酸のアミンは、場合により、アミド結合によってミリスチン酸及び酢酸から成る群より選択されるカルボン酸に共有結合されており;及び
ムチン過剰分泌抑制ペプチドアミノ酸配列のC末端アミノ酸のカルボキシルは、場合により、アミド結合によってアンモニアに共有結合されている。
【0080】
ペプチドは、局所的又は全身的に投与され得(例えば本発明のペプチドと医薬的に許容される担体を含有する医薬組成物の形態で)、粘液及び/又はムチンを生産する身体の部分を含む、哺乳動物の身体のいずれかの部分に(例えば好ましくは気道、鼻腔、口腔、気管、肺、胃腸管、眼、生殖管等に)投与され得る。ペプチドは、局所投与、非経口投与、経直腸投与、経肺投与、経鼻投与、吸入、ガス注入及び経口投与を含むがこれらに限定されない、様々な方法で投与され得る。経肺投与は、例えばエアロゾル投与器、ネブライザ、乾燥粉末吸入器、定量吸入器等によって達成され得る。
【0081】
ペプチドは、何らかの医薬的に有効な投与経路に適する医薬製剤として調製され、投与され得る。本発明のペプチド(又はこの医薬製剤)は、経口使用(例えば錠剤、ロゼンジ、硬又は軟カプセル、水性又は油性懸濁液、乳剤、分散性粉末又は顆粒、シロップ又はエリキシルとして)、局所使用(例えばクリーム、軟膏、ゲル、又は水性又は油性溶液又は懸濁液として)、吸入による投与(例えば微細分割粉末又は液体エアロゾルとして)、ガス注入による投与(例えば微細分割粉末として)又は非経口投与(例えば静脈内、皮下又は筋肉内投与のための無菌水性又は油性溶液として、又は経直腸投与のための坐薬として)に適する形態であり得る。
【0082】
ペプチドは、ペプチドを含むエアロゾルを生成することを含む、何らかの適切な方法によって哺乳動物の気道に投与され得る。このようなエアロゾルは、固体又は液体であり得、水ベースであり得る。このようなエアロゾルの適切な大きさの粒子は、当技術分野で公知の様々な方法で生産され得る。このようなエアロゾルの粒子は、典型的には50μm未満の大きさ、好ましくは約0.1μm−約10μmの範囲内の大きさ、より好ましくは約1μm−約10μmの範囲内の大きさ、さらに一層好ましくは約2−約7μmの範囲内の大きさであり、好ましくは約2−約7μmである。
【0083】
ペプチド(又はペプチドの医薬製剤)の経鼻投与は、例えばペプチドの水性溶液又は懸濁液の噴霧適用によって、又は例えば場合により緩衝されていてもよい、医薬的に許容される、好ましくは無菌の塩類(NaCl)溶液の形態で、点滴注入器又はピペットからのような滴又は小滴としてのペプチドの水性溶液又は懸濁液の適用によって、達成され得る。水溶液の滅菌は、例えば、場合により防腐剤、抗酸化剤、緩衝塩、張度調整剤等のような医薬的に許容される添加物の存在下で、ペプチドを含む水溶液の滅菌ろ過によって達成され得る。ペプチドを含む水性懸濁液の滅菌は、例えば、懸濁物質が0.2μmより小さい粒径であるとき、例えばミセルを含む懸濁液、リン脂質安定化リポソームのようなリポソーム又は0.2μmフィルターを通過できる同様の粒子であるときは、照射又は滅菌ろ過によって達成され得る。本発明のペプチドの治療有効量の水溶液(例えば等張食塩水又は高張食塩水、及び場合によりペプチドと化学反応しない糖)は、例えば滅菌ろ過によって滅菌することができ、ペプチドの治療有効量を含むアリコートとして滅菌バイアルに収められ、乾燥粉末を形成するように凍結乾燥されて、好ましくは不活性大気又はガスの存在下で、滅菌栓又は蓋を用いて密封され得る。使用前に、乾燥粉末は、哺乳動物の気道にエアロゾルとして投与できる単回用量として等張液を形成するのに十分な水を添加して再水和することができる。
【0084】
哺乳動物に投与されるペプチド又はこの医薬製剤の量は、特定ペプチド、哺乳動物の種類、哺乳動物の疾病の程度、哺乳動物の体重及び哺乳動物の年齢を含むが、これらに限定されない多くの因子に依存して異なり得る。加えて、ペプチドで治療される哺乳動物においてムチン分泌/粘液産生のある程度のレベル(例えば正常又は基線レベル)を維持することが望ましいと考えられる。1つの実施形態では、ヒトが、治療を必要とする好ましい哺乳動物であり、投与されるペプチドの量は、単回又は多回用量で投与されてムチン過剰分泌を抑制するのに十分である。本発明のペプチドの単回用量は、0.1mg−約30mg/kg体重、好ましくは約0.1mg−約15mg/kg体重、より好ましくは約0.1mg−約7.5mg/kg体重の範囲であり得る。投与の回数及び治療の期間は、治療に対する被験者の応答に依存する。単回投与の量、投与の回数及び治療の期間に関する調整は、症状及びこれらの症状の重症度に依存して医療提供者によって決定され得る。
【0085】
1つの実施形態では、単離ペプチドは24個未満のアミノ酸から成り、(a)標準配列ペプチド1の4から23個の隣接アミノ酸(又は他の実施形態では、8から14個の隣接アミノ酸又は10から12個の隣接アミノ酸)を有するアミノ酸配列、但し、アミノ酸配列は標準配列のN末端アミノ酸から始まる;(b)(a)で定義されるアミノ酸配列と実質的に類似の配列;(c)標準配列ペプチド1の4から23個の隣接アミノ酸(又は他の実施形態では、8から14個の隣接アミノ酸又は10から12個の隣接アミノ酸)を有するアミノ酸配列、但し、アミノ酸配列は標準配列のC末端アミノ酸で終了する;及び(d)(c)で定義されるアミノ酸配列と実質的に類似の配列、から成る群より選択されるアミノ酸配列を有する。N末端アミノ酸のN末端アミノ基及び/又はC末端アミノ酸のC末端カルボキシル基は、場合により以下のように化学修飾され得る。
【0086】
(1)ペプチドのN末端アミノ酸のN末端アミン基は、場合により、
−C24脂肪族カルボン酸のアミド、
トリフルオロ酢酸のアミド、
安息香酸のアミド、及び
−C24脂肪族アルキルスルホン酸のアミド
から成る群より選択されるアミドの形態であるか;又は
ペプチドのN末端アミノ酸のN末端アミン基は、場合により、
−C24脂肪族アルキル基、
直鎖2−(C−C24脂肪族アルキル)オキシエチル基、
ω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ)−エチル基[式中、nは0から10である]
から成る群より選択される基でアルキル化されており;及び
(2)ペプチドのC末端アミノ酸のC末端カルボン酸基は、場合により、
アンモニアのアミド、
−C24脂肪族アルキルアミンのアミド、
ヒドロキシル置換C−C24脂肪族アルキルアミンのアミド、
直鎖2−(C−C24脂肪族アルキル)オキシエチルアミン基のアミド、及び
ω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ)−エチルアミン基[式中、nは0から10である]のアミド
から成る群より選択されるアミドの形態であるか;又は
ペプチドのC末端アミノ酸のC末端カルボン酸基は、場合により、
−C24脂肪族アルキルアルコールのエステル、
2−(ω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ))−エタノール基[式中、nは0から10である]のエステル
から成る群より選択されるエステルの形態である。
ペプチドは、ムチン抑制量で哺乳動物に投与されたとき、ムチン放出抑制作用を有する。ペプチドはまた、等濃度で投与されたとき、MANSペプチドよりも大きい哺乳動物へのムチン抑制作用及び/又はMANSペプチドよりも大きい水溶解度を有し得る。
【0087】
もう1つの実施形態では、単離ペプチドは24個未満のアミノ酸から成り、標準配列ペプチド1の4から23個の隣接アミノ酸(又は他の実施形態では、8から14個の隣接アミノ酸又は10から12個の隣接アミノ酸)を有するアミノ酸配列の変異型から成るアミノ酸配列を有し、但し、前記アミノ酸配列は、標準配列のN末端アミノ酸から始まるか又は標準配列のC末端アミノ酸で終了する。N末端アミノ酸のN末端アミノ基及び/又はC末端アミノ酸のC末端カルボキシル基は、場合により以下のように化学修飾され得る。
【0088】
(1)ペプチドのN末端アミノ酸のN末端アミン基は、場合により、
−C24脂肪族カルボン酸のアミド、
トリフルオロ酢酸のアミド、
安息香酸のアミド、及び
−C24脂肪族アルキルスルホン酸のアミド
から成る群より選択されるアミドの形態であるか;又は
ペプチドのN末端アミノ酸のN末端アミン基は、場合により、
−C24脂肪族アルキル基、
直鎖2−(C−C24脂肪族アルキル)オキシエチル基、
ω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ)−エチル基[式中、nは0から10である]
から成る群より選択される基でアルキル化されており;及び
(2)ペプチドのC末端アミノ酸のC末端カルボン酸基は、場合により、
アンモニアのアミド、
−C24脂肪族アルキルアミンのアミド、
ヒドロキシル置換C−C24脂肪族アルキルアミンのアミド、
直鎖2−(C−C24脂肪族アルキル)オキシエチルアミン基のアミド、及び
ω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ)−エチルアミン基[式中、nは0から10である]のアミド
から成る群より選択されるアミドの形態であるか;又は
ペプチドのC末端アミノ酸のC末端カルボン酸基は、場合により、
−C24脂肪族アルキルアルコールのエステル、
2−(ω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ))−エタノール基[式中、nは0から10である]のエステル
から成る群より選択されるエステルの形態である。
ペプチドは、ムチン抑制量で哺乳動物に投与されたとき、ムチン抑制作用を有する。ペプチドはまた、等濃度で投与されたとき、MANSペプチドよりも大きい哺乳動物へのムチン抑制作用を有し、及び/又はMANSペプチドよりも大きい水溶解度を有する。
【0089】
さらなる実施形態では、哺乳動物においてムチン過剰分泌を抑制する方法は、ムチンの分泌を抑制する単離ペプチドのムチン抑制量を哺乳動物に投与することを含む。単離ペプチドは24個未満のアミノ酸から成り、(a)標準配列ペプチド1の4から23個の隣接アミノ酸(又は他の実施形態では、8から14個の隣接アミノ酸又は10から12個の隣接アミノ酸)を有するアミノ酸配列、但し、アミノ酸配列は標準配列のN末端アミノ酸から始まる;(b)(a)で定義されるアミノ酸配列と実質的に類似の配列;(c)標準配列ペプチド1の4から23個の隣接アミノ酸(又は他の実施形態では、8から14個の隣接アミノ酸又は10から12個の隣接アミノ酸)を有するアミノ酸配列、但し、アミノ酸配列は標準配列のC末端アミノ酸で終了する;及び(d)(c)で定義されるアミノ酸配列と実質的に類似の配列、から成る群より選択されるアミノ酸配列を有する。N末端アミノ酸のN末端アミノ基及び/又はC末端アミノ酸のC末端カルボキシル基は、場合により以下のように化学修飾され得る。
【0090】
(1)ペプチドのN末端アミノ酸のN末端アミン基は、場合により、
−C24脂肪族カルボン酸のアミド、トリフルオロ酢酸のアミド、
安息香酸のアミド、及びC−C24脂肪族アルキルスルホン酸のアミド
から成る群より選択されるアミドの形態であるか;又は
ペプチドのN末端アミノ酸のN末端アミン基は、場合により、
−C24脂肪族アルキル基、直鎖2−(C−C24脂肪族アルキル)オキシエチル基、
ω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ)−エチル基[式中、nは0から10である]
から成る群より選択される基でアルキル化されており;及び
(2)ペプチドのC末端アミノ酸のC末端カルボン酸基は、場合により、
アンモニアのアミド、C−C24脂肪族アルキルアミンのアミド、
ヒドロキシル置換C−C24脂肪族アルキルアミンのアミド、
直鎖2−(C−C24脂肪族アルキル)オキシエチルアミン基のアミド、及び
ω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ)−エチルアミン基[式中、nは0から10である]のアミド
から成る群より選択されるアミドの形態であるか;又は
ペプチドのC末端アミノ酸のC末端カルボン酸基は、場合により、
−C24脂肪族アルキルアルコールのエステル、
2−(ω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ))−エタノール基[式中、nは0から10である]のエステル
から成る群より選択されるエステルの形態である。
【0091】
ペプチドは、等濃度で投与されたとき、MANSペプチドよりも大きい哺乳動物へのムチン抑制作用及び/又はMANSペプチドよりも大きい水溶解度を有し得る。
【0092】
本発明のペプチドは、例えばフルオレニルメチルオキシカルボニル(FMoc)化学とCS−Bio Peptide Synthesizerのような適切なペプチド合成装置を使用する、又はtert−ブトキシカルボニル(Boc)化学とABI 430A Peptide Synthesizerのような適切なペプチド合成装置を使用するような、固相ペプチド合成を含む何らかの適切な方法によって製造し得る。FMoc又はBoc合成における使用に適する保護アミノ酸は、例えばEMD Biosciences,San Diego CAのユニットであるCalbiochemから市販されている。固相ペプチド合成では、N−α−保護アミノ酸として所望ペプチドのC末端カルボキシル基をポリマー支持体に共有結合する。次にN−α−アミノ保護基を除去し、2番目のN−α−保護アミノ酸を、樹脂に連結されたアミノ酸の脱保護N−α−アミンへのアミド結合の形成によって結合アミノ酸にカップリングする。これらの工程を、所望配列が得られるまで所望ペプチド配列のそれぞれの保護アミノ酸に関して反復する。合成の終了時に、ペプチドを遊離させるためにC末端アミノ酸とポリマー支持体の間の結合を開裂する。ペプチドはHPLCによって単離し、精製することができる。有用なHPLC精製法は、イオン交換クロマトグラフィー及び逆相クロマトグラフィーを含む。固体形態の単離ペプチドを与えるためにペプチドの溶液を蒸発させる又は凍結乾燥することができる。メチオニン、システイン、トリプトファン残基のような酸化性基を含むペプチドは、好ましくは無酸素雰囲気中に保持し、溶液又は懸濁液中で製剤し、保存するときは、無酸素溶媒中で使用する。
【0093】
合成の間の樹脂結合ペプチドのアミン末端への活性化エステルのカップリングは、例えば4倍過剰のような過剰のアミノ酸とベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−ジメチルアミノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、及び6倍過剰のような過剰のN,N−ジイソプロピルエチルアミンを用いて実施することができる。Fmoc合成からのペプチドは、20℃で4時間のトリフルオロ酢酸/チオアニソール/トリイソプロピルシラン/メタノール(例えば90:5:2.5:2.5、vol/vol/vol/volの比率で)で樹脂から開裂され、Boc合成からのペプチドは、例えば4℃で1時間のHF/アニソール(9:1、vol/vol)で樹脂から開裂される。
【0094】
Fmocペプチド戦略では、最初のFmocアミノ酸を酸不安定リンカーによって不溶性支持体樹脂に結合する。Fmocの脱保護は、ピペリジンのような塩基でのアミノ酸の処理によって実施される。2番目のFmocアミノ酸は、前活性化種又はインサイチュー活性化を利用してカップリングする(カップリング反応は、DCC、HBTU、TBTU、BOP、BOP−Cl等のようなペプチド化学において公知の活性化試薬を用いてインサイチューで実施できる)。所望ペプチドを合成した後、樹脂結合ペプチドを、例えばチオール化合物、フェノール及び水のような捕捉剤の存在下にトリフルオロ酢酸(TFA)又はTMSBrのような弱酸での酸分解開裂によって脱保護し、固体支持体から分離する。1つの態様では、側鎖官能基の脱保護及び樹脂からの開裂の前に、ペプチドの末端アミン基を、カルボン酸のアミドを形成するようにペプチド結合の形成と同様にしてカルボン酸(例えば脂肪族カルボン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸等)、例えばペンタフルオロエステルのような脂肪族カルボン酸の活性化形態などの脂肪族カルボン酸種で、又はペプチドのN末端にスルホンアミドを形成するように脂肪族スルホン酸種(塩化スルホニルのような)で処理することができる。あるいはN末端アミンは、例えば、脂肪族カルボン酸の還元(例えば水素化アルミニウムリチウムによる)によって入手できる脂肪族アルコールと、対応する塩化スルホニル及びピリジンのような塩基との反応によって得られる脂肪族アルキル化剤(例えば脂肪族メシレート又はトシレート)でアルキル化することができる。もう1つの態様では、残りをLアミノ酸として有する対応するDアミノ酸(例えば4個までのDアミノ酸)を、場合により上述したように化学修飾できる本発明のペプチドを提供するためのペプチド合成手順において使用することができる。もう1つの態様では、所望ペプチドアミノ酸配列が、例えば固相合成によって形成され、側鎖保護基が、樹脂からペプチドを遊離するためのエステル開裂工程に耐えるように選択されているとき、ペプチドのC末端に遊離カルボン酸を有する側鎖保護ペプチドが形成される。C末端カルボン酸は、活性エステル(例えばペンタフルオロフェニルエステル)に変換し、アミド(ペプチド−C(O)−NHと表わされる)を形成するようにアンモニアなどのアミンで、又はペプチドの脂肪族アミドを形成するように上述した脂肪族アミンで処理することができ、残存する保護基は、本発明の所望ペプチドを与えるために除去することができる。加えて、C末端カルボン酸エステルは、C末端カルボン酸と脂肪族アルコールから、カルボジイミド試薬の使用などの脱水カップリングによって形成することができる。アスパラギン酸及びグルタミン酸のような酸官能基含有アミノ酸は、上記方法と同様にしてアミド及びエステルに変換することができ、リシン内のイプシロンアミン基は、末端アミノ基に関する化学について上述したようにアミド及び脂肪族アミンに変換することができる。
【0095】
本発明のペプチドのFMoc固相合成において有用な保護アミノ酸の例は、以下の非限定的な例を含む:N−α−Fmoc−L−アラニンペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−N−α−(2−Fmoc−オキシ−4−メトキシベンジル)−アラニンペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−グリシンペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−N−α−(2−Fmoc−オキシ−4−メトキシベンジル)−グリシンペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−L−グルタミン酸g−2−フェニルイソプロピルエステル;N−α−Fmoc−L−グルタミン酸α−4−{N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3−メチルブチル]−アミノ}ベンジルエステル;N−α−Fmoc−L−グルタミン酸γ−4−{N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3−メチルブチル]−アミノ}ベンジルエステル;N−α−Fmoc−L−グルタミン酸α−アリルエステル;N−α−Fmoc−L−グルタミン酸g−ベンジルエステル;N−α−Fmoc−L−グルタミン酸α−t−ブチルエステル;N−α−Fmoc−L−グルタミン酸γ−t−ブチルエステル;N−α−Fmoc−L−グルタミン酸γ−t−ブチルエステルペンタフルオロフェニルエステル;N−α,ε−ジ−Fmoc−L−リシンペンタフルオロフェニルエステル;N−α,ε−ジ−Fmoc−L−リシン;N−α−1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキス−1−イリデン)エチル−N−ε−Fmoc−L−リシン;N−α−Fmoc−L−リシン;N−α−Fmoc−N−α−(2−Fmoc−オキシ−4−メトキシベンジル)−N−ε−t−ブトキシカルボニル−L−リシン;N−α−Fmoc−N−ε−1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキス−1−イリデン)−3−メチルブチル−L−リシン;N−α−Fmoc−N−ε−1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキス−1−イリデン)エチル−L−リシン;N−α−Fmoc−N−ε−2−クロロ−CBZ−L−リシン;N−α−Fmoc−N−ε−4−メチルトリチル−L−リシン;N−α−Fmoc−N−ε−アセチル−L−リシン;N−α−Fmoc−N−ε−ベンジルオキシカルボニル−L−リシン;N−α−Fmoc−N−ε−t−Boc−L−リシン;N−α−Fmoc−N−ε−t−Boc−L−リシンペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−N−ε−トリフルオロアセチル−L−リシン;N−α−Fmoc−4−クロロ−L−フェニルアラニン;N−α−Fmoc−4−シアノ−L−フェニルアラニン;N−α−Fmoc−4−フルオロ−L−フェニルアラニン;N−α−Fmoc−4−ニトロ−L−フェニルアラニン;N−α−Fmoc−L−フェニルアラニン;N−α−Fmoc−L−フェニルアラニンペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−N−α−(2−Fmoc−オキシ−4−メトキシベンジル)−フェニルアラニン;N−α−Fmoc−N−α−メチル−L−フェニルアラニン;N−α−Fmoc−L−プロリンペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−γ−(4,4’−ジメトキシベンズヒドリル)−L−グルタミン;N−α−Fmoc−γ−トリチル−L−グルタミンペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−L−グルタミン;N−α−Fmoc−L−グルタミンペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−N−γ−トリチル−L−グルタミン;N−α−Fmoc−N−(4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル)−L−アルギニンN−メトキシ−N−メチルアミド;N−α−Fmoc−N−2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル−L−アルギニン;N−α−Fmoc−N−4−メトキシ−2,3,6−トリメチルベンゼンスルホニル−L−アルギニンペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−N−ニトロ−L−アルギニン;N−α−Fmoc−N−トシル−L−アルギニン;N−α−Fmoc−O−(2−アセトアミド−2−デオキシ−3,4,6−トリ−O−アセチル−α−D−ガラクトピラノシル)−L−セリン;N−α−Fmoc−L−セリン;N−α−Fmoc−O−ベンジル−L−ホスホセリン;N−α−Fmoc−O−ベンジル−L−セリン;N−α−Fmoc−O−t−ブチル−L−セリン;N−α−Fmoc−O−t−ブチル−L−セリンN−ヒドロキシスクシンイミド;N−α−Fmoc−O−トリチル−L−セリン;N−α−Fmoc−L−トレオニン;N−α−Fmoc−O−ベンジル−L−ホスホトレオニン;N−α−Fmoc−O−ベンジル−L−トレオニン;N−α−Fmoc−O−t−ブチル−L−トレオニン;N−α−Fmoc−O−トリチル−L−トレオニン;N−α−Fmoc−O−(2−アセトアミド−2−デオキシ−3,4,6−トリ−O−アセチル−α−D−ガラクトピラノシル)−L−トレオニン;N−α−Fmoc−L−バリン;N−α−Fmoc−L−バリンペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−N−α−(2−Fmoc−オキシ−4−メトキシベンジル)−バリン;N−α−Fmoc−N−α−(2−Fmoc−オキシ−4−メトキシベンジル)−バリンペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−N−α−メチル−L−バリン;N−α−Fmoc−O−(ビス−ジメチルアミノ−ホスホノ)−L−チロシン;N−α−Fmoc−L−チロシン;N−α−Fmoc−O−2,6−ジクロロベンジル−L−チロシン;N−α−Fmoc−O−2−ブロモ−CBZ−L−チロシン;N−α−Fmoc−O−2−クロロトリチル−L−チロシン;N−α−Fmoc−O−ベンジル−L−ホスホチロシン;N−α−Fmoc−O−メチル−L−チロシン;N−α−Fmoc−O−ホスホノ−L−チロシン;N−α−Fmoc−O−t−ブチル−L−チロシン;N−α−Fmoc−O−t−ブチル−L−チロシンペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−L−アスパラギン酸β−1−アダマンチルエステル;N−α−Fmoc−L−アスパラギン酸β−2−アダマンチルエステル;N−α−Fmoc−L−アスパラギン酸β−2−フェニルイソプロピルエステル;N−α−Fmoc−L−アスパラギン酸β−4−{N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3−メチルブチル]−アミノ}ベンジルエステル;N−α−Fmoc−L−アスパラギン酸α−4−{N−[1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)−3−メチルブチル]−アミノ}ベンジルエステル;N−α−Fmoc−L−アスパラギン酸α−アリルエステル;N−α−Fmoc−L−アスパラギン酸β−ベンジルエステル;N−α−Fmoc−L−アスパラギン酸α−t−ブチルエステル;N−α−Fmoc−L−アスパラギン酸β−t−ブチルエステル;N−α−Fmoc−L−アスパラギン酸β−t−ブチルエステルペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−L−アスパラギン酸β−2−アダマンチルエステルペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−L−ロイシン;N−α−Fmoc−L−ロイシンペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−N−α−(2−Fmoc−オキシ−4−メトキシベンジル)−ロイシン;N−α−Fmoc−N−α−(2−Fmoc−オキシ−4−メトキシベンジル)−ロイシンペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−N−α−メチル−L−ロイシン;N−α−Fmoc−L−イソロイシン;N−α−Fmoc−L−イソロイシンペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−N−α−メチル−L−イソロイシン;N−α−Fmoc−β−2,4,6−トリメトキシベンジル−L−アスパラギン;N−α−Fmoc−β−トリチル−L−アスパラギンペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−L−アスパラギン;N−α−Fmoc−L−アスパラギンペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−N−β−(3,4,6−トリ−O−アセチル−2−(アセチルアミノ)−デオキシ−2−β−グルコピラノシル)−L−アスパラギン;N−α−Fmoc−N−β−トリチル−L−アスパラギン;N−α−Fmoc−N−イム−メチルトリチル−L−ヒスチジン;N−α−Fmoc−N−イム−t−Boc−L−ヒスチジンシクロヘキシルアンモニウム塩;N−α−Fmoc−N−イム−トシル−L−ヒスチジン;N−α−Fmoc−N−イム−トリチル−L−ヒスチジン;N−α−Fmoc−S−アセトアミドメチル−L−システイン;N−α−Fmoc−S−アセトアミドメチル−L−システインペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−S−ベンジル−L−システイン;N−α−Fmoc−S−p−メトキシベンジル−L−システイン;N−α−Fmoc−S−p−メトキシトリチル−L−システイン;N−α−Fmoc−S−t−ブチル−L−システイン;N−α−Fmoc−S−t−ブチル−L−システインペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−S−t−ブチルチオ−L−システイン;N−α−Fmoc−S−t−ブチルチオ−L−システインペンタフルオロフェニルエステル;N−α−Fmoc−S−トリチル−L−システイン;N−α−Fmoc−S−トリチル−L−システインペンタフルオロフェニルエステル。ペプチドの固相合成における使用のためのこれらや他のアミノ酸試薬は、例えばCalbiochem Corporationから市販されている。脂肪族カルボン酸も、Sigma−Aldrich Chemical Companyから入手可能である。
【0096】
ペプチドはまた、第一Bocアミノ酸をHF開裂性リンカーによって不溶性支持体樹脂に結合する、Boc戦略を用いた固相合成によっても生産し得る。Boc基の除去による脱保護は、TFAによるBoc−アミノ酸の処理によって実施される。次に前活性化種又はインサイチュー活性化を利用して2番目のBocアミノ酸を結合する。所望ペプチドが合成された後、樹脂結合ペプチドを脱保護し、HF、TFMSOTf又はTMSOTfのような強酸を用いた開裂によって固体支持体から分離する。開裂の間に生成されるカルボカチオンからペプチドを保護するためにチオール化合物のような添加物を添加する。以下の保護基はHF開裂と適合性である。Arg(Mts);Cys(4−MeOBzl);His(Z);Arg(Tos);Glu(OBzl);Lys(Cl−Z);Asp(OBzl);Glu(OcHex);Ser(Bzl);Asp(OcHex);His(Bom);Thr(Bzl);Cys(Acm);His(Dnp);Trp(CHO);Cys(4−MeBzl);His(Tos);Tyr(Br−Z);Asp(OtBu);His(Trt)。以下の保護基はTFMSOTf開裂と適合性である。Arg(Mts);His(Bom);Met(O);Asp(OBzl);His(Dnp);Ser(Bzl);Cys(Acm);His(Tos);Thr(Bzl);Cys(4−MeBzl);His(Z);Trp(CHO);Glu(OBzl);Lys(Cl−Z);Tyr(Br−Z)。以下の保護基はTMSOTf開裂と適合性である。Arg(Mts);Glu(OcHex);Trp(CHO);Arg(Mbs);His(Bom);Trp(Mts);Asp(OBzl);Lys(Cl−Z);Tyr(Br−Z);Asp(OcHex);Met(O);Tyr(Bzl);Cys(Acm);Ser(Bzl);Tyr(Cl−Bzl);His(Bom);Thr(Bzl)。ペプチドアミド結合を形成するためのアミノ酸カルボン酸とアミンのカップリングは、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、t−ブチルメチル−及びt−ブチルエチル−カルボジイミド;BOP;PyBroP;PyBOP;HBTU;TBTU;及びHATUのようなカルボジイミドを用いたBoc戦略で達成でき、前記試薬は全て活性化のために塩基を必要とし、対称無水物の形成によって作用する。あるいは、クロロギ酸イソブチル又はイソプロピル及び置換ホスフィン塩化物をN−α−保護アミノ酸又はN−カルボキシ無水物(NCA)又はLeuchs無水物と反応させることによって製造される、カルボン酸−カーボネート又はカルボン酸−ホスフィン混合無水物試薬が使用できる。Fmoc化学に関しては、N末端アミン及びC末端カルボン酸基が上記で概説した合成戦略に従って化学修飾できる。
【実施例】
【0097】
本発明を、非限定的であることを意図される以下の説明実施例によってさらに説明する。これらの実施例は、本出願において開示するペプチドを代表する特定ペプチドの試験からの結果を提供する。ペプチドは、試験ペプチドのペプチド番号によって指示される、アミノ酸配列のそれぞれ左側と右側のN末端アミノ酸のN末端アミノ基及び/又はC末端アミノ酸のC末端カルボキシル基への修飾と共に列挙される。表IXは、ペプチド配列への鍵を含む。Myr及びAcは、それぞれのペプチドアミノ酸配列内のN末端アミノ酸にアミド結合で共有結合している、それぞれミリストイル及びアセチルの略語であり;−NHは、ペプチドアミノ酸配列のC末端に共有結合しているアンモニアのアミドを表わす。
【0098】
(実施例1A)
喘息のマウスモデルにおける試験ペプチドの相対的効果
I.プロトコール及び方法
MANSペプチド及びこれに関連する他の試験ペプチドがインビボでマウス気道におけるムチンの過剰分泌を抑制するかどうかを調べるための実験を設計した。これらの試験で使用したアレルギー性炎症及び喘息のオボアルブミン感作マウスモデルは、Singerら(2004)、前出によって記述された。陰性対照として、N末端ミリストイル基及びMANSペプチドと同じアミノ酸を含むがランダムな順序に配列された(すなわちランダムN末端配列、RNS、ミリストイル−ペプチド232)対照ペプチドを、提案する活性ペプチドと共に試験した。6から8週齢のBP2マウスを、オボアルブミン1μgにより週に1回の間隔で2回、皮下経路で免疫した。感作の14日後、動物を、72時間後に顕著な杯細胞過形成を生じさせるエアロゾル化オボアルブミンに暴露した。72時間目の時点で、微細なエアロゾルを90秒間提供するBuxcoシステムネブライザを使用して分泌促進物質、メタコリン(60mM)を送達した。分泌促進物質による攻撃誘発の15分前に、3つの異なる濃度(10μM、100μM又は140μM)の試験ペプチド50μLを気管内経路によって投与した。RNSペプチドは最高用量レベル(140μM溶液50μL)でのみ試験した。MANS並びにRNSペプチドは、120mM酢酸ナトリウム、pH7に易溶性であった。これらの実験において使用した様々な対照を以下の表Iにまとめる。各々の実験を各時点につき6匹のマウスで実施し、実験の各々のセットを3回反復した。系統ごとの変動を調べるため、上記実験を同様のプロトコールの下にBalb/Cマウスにおいて反復した。120mM酢酸ナトリウムで処置したマウスにおいて、刺激したときと刺激しなかったときのムチン分泌はどちらも食塩水対照と同じであった。メタコリン攻撃誘発後、動物を犠牲死させ、分泌されたムチンの分析のため各群につき6匹の動物で気管支肺胞洗浄(BAL)を実施した。
【0099】
表Iは実験についての一般的プロトコールを示す。
【0100】
【表1】

【0101】
II.BAL液の分析
マウスを頸部脱臼によって犠牲死させ、その後速やかに気管を露出させて、小さな切開を通してカニューレを挿入した。気管支肺胞洗浄(BAL)液を、PMSF(5mM)、EDTA(5mM)及びDTT(5mM)を含むPBS0.5ml、次いで3×1mlで収集した。BAL液を、分析を実施する前に短時間の遠心分離によって無細胞分画と細胞分画に分離した。無細胞上清を、マウスムチンと反応することが示された抗ムチン抗体を使用するELISA方法によってムチンの存在に関して分析した。詳細には、分泌されたムチンの炭水化物部分を認識するマウス抗MUC5AC抗体をこれらのアッセイにおいて使用した。各々のBAL試料から生じたデータを、ブラッドフォードアッセイによって測定された総タンパク質に基準化した。ムチン含量は、抗ムチン抗体で得られた数値から非免疫対照抗体で得られた数値を差し引いた値で表わした。全てのELISAデータを、一方向ANOVAを用いて統計的に検討した。実験データは、p<0.05であるとき対照と有意に異なるとみなされた。
【0102】
以下の表II、III、IV、V及びVIは、Balb/Cマウス及びBP2マウスにおけるムチン分泌への様々なペプチドの作用を要約している。表IIに示すように、様々な試験ペプチド100μMで、ムチン分泌は対照(すなわちペプチドなし)の8%から56%であった。
【0103】
【表2】

【0104】
【表3】

【0105】
【表4】

【0106】
【表5】

【0107】
喘息のマウスモデルにおいて試験ペプチドの作用期間を測定するための実験を設計した。方法1Aで述べたように、Balb/Cマウスをオボアルブミンで免疫した。14日後、動物をエアロゾル化オボアルブミンで攻撃誘発した。72時間後、分泌促進物質、メタコリンをエアロゾル投与によって送達した。メタコリン攻撃誘発の30分前、60分前又は120分前に、試験ペプチド(100M溶液50L)を気管内経路によって投与した。動物を犠牲死させ、分泌されたムチンの分析のためにBALを実施した。この実験の結果を表VIに示す。
【0108】
【表6】

【0109】
マウス肺においてムチンを定量的に測定する選択的マウス試験モデル及び方法は、本発明のペプチドの活性を評価するために有用である。この方法は、Evansら(Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.Vol.31,pp 382−394,2004)によって記述されている。簡単に述べると、雌性マウス(5から8週齢、各々20から25g)を、生理食塩水中にミョウバン塩2.2mg及びオボアルブミン20μgを含む溶液100μLの腹腔内(i.p.)注射により週に1回4週間にわたって感作する。最後のi.p.注射の7日後、生理食塩水中に溶解したオボアルブミンの2.5%溶液の30分間にわたるエアロゾル投与によってマウスを攻撃誘発する。エアロゾルはAeroMist CA−209圧縮空気ネブライザ(CIS−US,Inc.,Bedford,MA)で生成する。
【0110】
オボアルブミン攻撃誘発の3日後、試験ペプチド50μLを、10μLのアリコートとして2から3分かけてマウスの各々の外鼻孔内に送達する。15分後、マウスをエアロゾル化100mM ATP溶液で5分間にわたって処置する。20分後、マウスをケタミン、キシラジン及びアセプロマジンの混合物のi.p.注射によって麻酔し、肺組織から血液を清掃するために右心室を通して肺を食塩水で灌流する。深麻酔下で、20ゲージの鈍端カニューレを用いて動物を気管切開し、腹部大動脈による瀉血によって犠牲死させる。固定液(0.1Mリン酸緩衝液、pH7中4%パラホルムアルデヒド)を10から15cm圧で気管内に注入し、肺をインサイチューで30分間固定して、胸腔から取り出し、4℃で一晩固定する。肺をパラフィンに包埋し、6μm切片に切断する。
【0111】
ムチンの蛍光標識のために、過ヨウ素酸蛍光シッフ(PAFS)染色手順を用いて組織を染色する。組織を最初に1%過ヨウ素酸中で酸化し(10分間)、洗浄して、アクリブラビン蛍光シッフ試薬(0.5%アクリフラビンHCl、w/v、1%メタ重亜硫酸ナトリウムw/v、0.01N HCl)で20分間処理し、二重脱イオン水中で洗浄して、酸アルコール(70%エタノール中0.1N HCl)中で2×5分間洗浄する。スライドガラスを段階的エタノール溶液中で脱水し、暗所で空気乾燥させる。ひとたび乾燥すれば、PAFS染色スライドガラスをカナダバルサム封入剤(50%カナダバルサム樹脂、50%サリチル酸メチル;Fisher Chemicals)で覆ってカバーガラスを載せる。
【0112】
ムチンの定量のため、PAFS染色スライドガラスを40x対物レンズの下で検査する。軸となる気管支から10視野の画像を捕獲し、MagnaFire2.1(Optronics)を用いてカメラの設定条件を管理する。二元励起フィルター(dual excitation filter)(500nm及び573nmピーク)を用いて標本を励起し、531nm(緑色)及び627nm(赤色)でピークを有する二元発光フィルターを用いて標本を観察することによってPAFS画像化を実施する。各々の視野について、最初にカメラで赤色獲得チャネル(590ms暴露)だけを用いて画像を生成する。同じ画像を、次に、カメラで赤色と緑色(590ms赤色、450ms緑色)の両方のチャネルを用いて再捕獲した。形態計測分析のために、次にImagePro Plusを用いてムチン染色容積密度との蛍光強度を測定する。気道上皮におけるムチン染色の容積密度は立体的に算定される。簡単に述べると、染色の表面積対上皮の総表面積の比を、総上皮表面積、規定膜長及び幾何学的定数4/πの積である、周囲長測定値で除する。結果として、データは、細胞内ムチン含量の容積/規定膜の表面積として提示される。ムチン分泌は総上皮含量の分数で表わされる。
【0113】
(実施例1B)
杯細胞化生及び気道閉塞を有するマウスモデルにおけるムチン過剰分泌へのエアロゾル化Ac−ペプチド106のペプチド投与の作用
喘息のマウスモデルにおけるムチン過剰分泌へのエアロゾル化Ac−ペプチド106の効果を2つの濃度で測定した。簡単に述べると、5から8週齢のBALB/cマウスを、実施例1Aで上述したように週に1回3週間にわたってオボアルブミンで免疫した。28日目に、エアロゾル化した生理食塩水中2.5%オボアルブミンで30分間マウスを攻撃誘発した。オボアルブミン攻撃誘発の3日後、マウスの各々の群(n=2)に、10mM又は30mMのAc−ペプチド106のエアロゾル化等張液をAeroMist CA−209ネブライザで1時間投与した。エアロゾル粒子の空気動力学的中央粒子径は1.49μm(0.4から4.7μmの範囲)であった。Ac−ペプチド106のこれらの濃度とこの粒径を考慮して、Ac−ペプチド106の算定肺沈着はそれぞれ0.38mg/kg体重及び1.1mg/kg体重であった。
【0114】
Ac−ペプチド106投与の直後に、分泌促進物質、アデノシン三リン酸(ATP)(食塩水中100mM)を5分間エアロゾル投与した。マウスを犠牲死させ、20分以内に肺を採取した。肺を食塩水で洗い、パラホルムアルデヒドで固定して、パラフィンに包埋し、切片にした。切片を、Evansら(Am.J.Respir.Cell Mol.Biol.Vol.31,pp 382−394,2004)の方法に従って定量的免疫組織化学により、ムチンの存在に関して定量的に分析した。結果は、Ac−ペプチド106が、それぞれ0.38及び1.1mg/kg体重で、ATP誘導性ムチン過剰分泌の30から67%の阻害剤として有効であったことを示す。
【0115】
(実施例2)
半生理食塩水中の試験ペプチドの定性的溶解度の評価
様々な試験ペプチド(各々1から5mg)を個別の2mLスクリューキャップ付きガラスバイアルにおいて正確に検量し、半生理食塩水、pH6.5 25μLのアリコートを25℃、常圧で添加した。溶解度を視覚的に評価した。試験ペプチドが食塩水の最初のアリコートで完全に溶解する場合は、この溶解度を算定し、算定量以上と表わした。それ故、試験ペプチド3.5mgが0.5N食塩水の最初の25μLアリコートで直ちに溶解する場合、この溶解度は>140mg/mLと称される。同様に、試験ペプチド1.7mgが0.5N食塩水1.7mL中に溶解しない場合、この溶解度は<1.0mg/mLと称される。様々な試験ペプチドの溶解度の評価の結果を表VIIに列挙する。
【0116】
半生理食塩水中の様々なペプチドの溶解度はまた、以下の2つの半定量的方法、方法1及び方法2の1つによって測定することができる。方法1は、半生理食塩水中の溶解度が約10mg/mL未満であるペプチドに使用でき、方法2は、約30mg/mL以上で半生理食塩水に可溶性であるペプチドに使用できる。
【0117】
方法1
各々のペプチドを1mg/mLの濃度でジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解する。0.2mg/mL溶液を得るためにこの溶液のアリコートを半生理食塩水で5倍希釈する。0.2mg/mLペプチド溶液を、C18/5ミクロンのカラムを用いたHPLC分析に供する。溶出緩衝液は、水中0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)(緩衝液A)及び100%アセトニトリル中0.1%TFA(緩衝液B)から成る。ペプチドを約20分間で5%Bから45%Bの勾配によって溶出する。各ペプチドピークについての曲線下面積(AUC)をこのようにして決定することができる。このAUC値を、飽和溶液の上清中の各対応ペプチドの濃度を決定するための標準(AUC−Std)として使用することができる。
【0118】
各ペプチドの飽和溶液は、ペプチドの十分な量を、混濁懸濁液が得られるまで半生理食塩水1mLに添加することによって調製できる。混濁懸濁液を、次に、10,000×gで約10分間遠心分離する。その後上清をHPLCに供する。上清を、HPLC分析の前に、必要に応じて半生理食塩水でさらに希釈する。この分析から得られるAUC(AUC−Sat)を、以下の式によって飽和溶液中のペプチドの濃度を決定するために使用する。
【0119】
飽和溶液中のペプチドの濃度=AUC−Std×0.2/AUC−Sat。
【0120】
方法2
この方法は、半生理食塩水中のペプチド溶解度の推定値を与えることができる。この方法は、半生理食塩水1mLに溶解するためにペプチドの検量された量(「xx」mgと表わされる)を添加することから成る。結果は、>xxmg/mLと提示され、xxは半生理食塩水に添加されたペプチドの量である。
【0121】
【表7】


【0122】
(実施例3)
生物学的液体中の試験ペプチドの溶解度
ヒト血漿、ヒトBALF及びCF患者粘液中の様々な試験ペプチドを、生物学的液体中でのタンパク質分解に対する試験ペプチドの感受性を調べるために分析した。加えて、試験ペプチドの半減期を調べるために、濃度減衰を示す試料に関して一次動態分析を実施した。試料を受領日当日に分析するか又は−20℃で保存してこの2日後以内に分析した。
【0123】
1.生物学的液体の収集と処理
A.ヒト血漿:
新鮮ヒト血液試料をクエン酸緩衝vacuutrainersに収集した(EDTA又はヘパリンの不在下で)。赤血球(RBC)を4000×g、4℃で10分間の血液の遠心分離によって除去した。次に血漿アリコート(0.9mL)を、pH7.0の75mM酢酸ナトリウム緩衝液中の試験ペプチドの0.5mg/mL溶液0.1mLでスパイクし、37℃に維持した水浴中でインキュベートした。10μLの2つのアリコートを5、15、30、60及び180分の間隔で採取し、アセトニトリル50%+0.2%ギ酸を含む水50%から成る溶液990μLで直ちに「クエンチング」した。その後試料を液体クロマトグラフィー−質量分析(LCMS)に供した。
【0124】
B.ヒトBAL液:
COPD患者から採集したBALFの試料を入手し、凍結した。BALF試料を解凍し、一緒に混合して、10,000×g、4から8℃で10分間遠心分離した。上清(0.9mL)を、pH7.0の75mM酢酸ナトリウム緩衝液中のペプチドの0.5mg/mL溶液0.1mLでスパイクし、上述したように処理して、分析した。
【0125】
C.ヒトCF粘液:
CF患者からの凍結粘液(痰)を解凍し、ガラス製組織粉砕機を用いて75mM酢酸ナトリウム緩衝液、pH7.0 2容量と混合して、10,000×g、4から8℃で10分間遠心分離した。ペレットを酢酸緩衝液1容に再懸濁し、遠心分離した。2つの上清を一緒にし、以下のように使用した。上清(450μL)を、pH7.0の75mM酢酸ナトリウム緩衝液中のペプチドの0.5mg/mL溶液50μLでスパイクし、上述したように処理して、分析した。
【0126】
II.濃度分析
LC/MS/MS(MDS/SCIEX、API4000型)を用いて全ての試料を分析した。クロマトグラフィーはPhenomenex Luna C18カラムを用いて実施し、一方質量分析は正イオンエレクトロスプレーイオン化法を用いて実施した。
【0127】
A.ヒト血漿及びBALF中のペプチド、Ac−ペプチド79−NH、ペプチド106−NH、Ac−ペプチド106の分析及びヒト血漿及びヒトCF粘液中のペプチド、myr−ペプチド106、ペプチド106、ペプチド106−NH、Ac−ペプチド106及びcyc−ペプチド106(環状ペプチド)の分析
0.100μg/mL、1.00μg/mL、10.0μg/mL及び75μg/mLの濃度で分析した、ペプチド、myr−ペプチド106、ペプチド106、ペプチド106−NH、ペプチド106及び環状ペプチド、cyc−ペプチド106についての検量標準を除き、ヒト粘液中の各々のペプチドについて検量標準を0.100μg/mL、1.00μg/mL、10.0μg/mL及び100μg/mLの濃度でLCMSによって分析した。標準は、0.2%ギ酸を含む50/50水/アセトニトリル混合物中の1%ヒトBALF、血漿又は粘液において調製した。標準の各々のセットに関する機器応答値は、1/(濃度)線形最小二乗直線を用いて適合させた。試料濃度はこの直線の勾配と切片を用いて算定した。検量範囲の外側の濃度は、検量曲線を外挿することによって決定した。
【0128】
B.ヒト血漿及びBALF中のペプチド、myr−ペプチド234−NH、myr−ペプチド234、ペプチド106及びmyr−ペプチド106の分析
2つの検量標準を、各々のペプチドについて50μg/mLの濃度で分析した。標準の各々のセットに関する機器応答値は、非加重線形最小二乗直線を用いて0の切片を通して適合させた。試料濃度はこの直線の勾配と切片を用いて算定した。
【0129】
C.ヒト血漿及びBALF中のペプチド、ペプチド237、myr−ペプチド106−NH、myr−ペプチド236及びmyr−ペプチド236−NHの分析
血漿中のペプチド濃度の分析については、2つの検量標準を、各々のペプチドについて25μg/mL及び50μg/mLの濃度で分析した。標準の各々のセットに関する機器応答値は、非加重線形最小二乗直線を用いて0の切片を通して適合させた。試料濃度はこの直線の勾配と切片を用いて算定した。検量範囲の外側の濃度は、検量曲線を外挿することによって決定した。
【0130】
BALF試料中のペプチド濃度の分析については、BALF、水、アセトニトリル及びギ酸の混合物中で調製した1つの50μg/mLの検量標準を各試料セットに関して分析した。
【0131】
III.動態プロフィール
濃度の著しい減衰を示した全ての試料について、Watsonソフトウエアプログラムを用いて一次動態プロフィールを測定した。Watsonは、Cmax(最大濃度)、切片、速度定数、勾配及びT1/2(半減期)のようなパラメータを測定するために対数変換データを最小二乗直線と適合させる。生じる動態パラメータは、実際の濃度値ではなく線形適合に基づいた。
【0132】
溶液中の0時点での検量標準は動態プロフィールの一部として含めなかった。しかし、本当の一次動態は、濃度変化を時間の関数として正確に表わすために0時点のデータ点を含むことを必要としない。
【0133】
ヒト血漿(血漿t1/2)、ヒトBALF(BALFt1/2)及びヒトCF粘液(粘液t1/2)、中の試験ペプチドの半減期を表VIIIに列挙する。
【0134】
【表8】

【0135】
ペプチド、myr−ペプチド236は、ミリストイル−ペプチド236である。実験で使用した他の全てのペプチドは上記に述べられている。
【0136】
(実施例4)
霊長動物の上気道における粘液分泌へのMANSペプチドの効果
この実験の目的は、MANSペプチドが健康な成体アカゲザルの上気道における粘液分泌を抑制する能力を測定することであった。使用した試験は、鼻分泌作用の評価のための標準方法であり、非ヒト霊長動物は、典型的にはヒトにおける作用と良好な相関を提供する。
【0137】
方法
鼻炎の既往歴のない合計17匹の健康な若齢成体雄性アカゲザルを実験のために使用した。いずれのサルも試験前又は試験後に鼻炎を有していなかった。いずれの処置前にも、各々のサルの鼻粘液分泌をこの左外鼻孔において測定した。この数値を100%粘液分泌とみなす。次にサルを無作為に以下の4つの群に分けた:
第1群:生理食塩水、対照(n=3);
第2群:酢酸ナトリウム、溶媒対照(n=4);
第3群:RNSペプチド、陰性対照(n=5);及び
第4群:MANSペプチド、試験ペプチド(n=5)。
【0138】
処置の前に17匹の動物全ての左外鼻孔に食塩水を入れた。右外鼻孔は、食塩水、酢酸ナトリウム、RNSペプチド又はMANSペプチドのいずれか2.0mLで処置した。それ故、各動物はそれ自体の内部対照を有していた。試験物質による処置の1時間後に各動物の両方の外鼻孔で鼻洗浄を実施した。全ての洗浄液を直ちに−80℃で冷凍し、ELISAによって粘液含量に関して分析した。
【0139】
A.試験物質:
生理食塩水、フィルター滅菌;酢酸ナトリウム、150μM、フィルター滅菌;RNSペプチド−150μMフィルター滅菌酢酸ナトリウム中の140μM溶液及びMANSペプチド−150μMフィルター滅菌酢酸ナトリウム中の140μM溶液。
【0140】
B.試験動物:
アカゲザル;動物数:17;性別:全て健康な雄性;年齢:3から4歳;体重:4から7kg、平均5.03kg;馴化期間:7日間;識別方法:5桁のID番号による固有の入れ墨。経歴:全ての動物が、この試験の12から24ヶ月前に髄膜炎に対する免疫についてのワクチン試験に使用された。また、全動物が乳児期の間麻疹と破傷風に対する定期予防接種を受けた。
【0141】
C.動物の管理:
飼育:条件は、「実験動物の管理と使用に関する指針」に基づく、標準操作手順に従った。食餌:標準アカゲザル飼料を毎日与えた。水:自由に摂取できる都市用水を、自動給水システムを通して与えた。収容施設:動物を、動物番号、試験コード、性別、動物コードを指示するカードによって識別される承認済みステンレス鋼ケージに個別に収容した。環境:室温を毎日観測した。室内の温度範囲は、20から26℃の範囲内であった。毎日観測した部屋の湿度範囲は40から70%であった。明暗周期は自動タイマーを用いて管理した(明12時間、暗12時間)。人員:関与する要員は適切な資格を有し、霊長動物に関して訓練された。
【0142】
結果
結果は、RNSペプチド、酢酸ナトリウム緩衝液又は生理食塩水は粘液分泌にいかなる作用も及ぼさなかったのに対し、MANSペプチドでは粘液分泌がほとんど75%抑制されたというデータを提供する。
【0143】
(実施例5)
ヒト気管支上皮細胞における分泌ムチンの定量のための組織培養法
HBE1は、空気/液体界面で培養したときムチンを分泌することができる乳頭腫ウイルス形質転換ヒト気管支上皮細胞系である。HBE1細胞を先に述べられているように(Liら、J.Biol.Chem.,volume 276,pp40982−40990,2001)空気/液体界面で培養した。簡単に述べると、HBE1細胞を、ラット尾コラーゲンI型(Collaborative Biomedical,Bedford,MA)で薄く被覆した12穴のTranswell clear culture inserts(Costar,Cambridge,MA)に細胞の適切な数を接種することによって空気/液体界面で培養した。細胞を、最初に、加湿した95%空気、5%CO環境においてほぼ集密まで5から7日間、培地で液内培養した。この時点で、先端培地を除去し、基底の横方向に(basalaterally)細胞を供給することによって空気/液体界面を創造した。培地をその後毎日新しくした。細胞を完全に分化させるためにさらに14日間培養した。細胞の先端表面に蓄積したムチンを、リン酸食塩水、pH7.2で洗浄することによって取り除いた。基線ムチン分泌を収集するため、細胞を培地単独と共に30分間インキュベートし、先端培地中の分泌ムチンを収集して、ELISAによって定量した。ムチン分泌促進物質によって誘導されるムチン過剰分泌を測定するため、0.5μM酢酸ミリスチン酸ホルボール(PMA)を含む培地に30分間暴露して、ムチンを収集し、ELISAによって定量した。試験ペプチドによるPMA誘導のムチン過剰分泌の抑制を測定するため、細胞を、試験ペプチド20又は25μMを含む培地と共に15分間プレインキュベートし、その後0.5μM PMAと共に30分間インキュベートした。6個のウエルを各試験ペプチド及び各対照のために使用した。先端培地中の分泌ムチンを収集し、アルカリホスファターゼ複合ムチン(MUC5A)特異的抗体(Zymed Laboratories,San Francisco,CA)を用いてサンドイッチELISA法によって定量した。
【0144】
0.5μM PMAによるHBE1細胞の処理は、ムチン分泌の20%上昇を生じさせた。このPMA誘導のムチン分泌上昇は、25μM MANSペプチド又は25μM Ac−ペプチドNo.106での前処理によって100%ブロックされた。25μM Ac−ペプチドNo.106は、PMA誘導のムチン分泌を100%抑制しただけでなく、ムチン分泌を非刺激培地対照より20%低いレベルまで抑制した。Ac−ペプチドNo.251は、PMA誘導のムチン分泌上昇に対して最も小さい6%の抑制作用を有していた。
【0145】
表IXは、本発明のペプチド及びこれらのそれぞれのアミノ酸配列及び対応する配列番号のリストを含む。
【0146】
【表9】





【0147】
本発明を、この特定実施形態を参照しながら詳細に説明したが、本発明の精神と範囲から逸脱することなく様々な変更及び修正を施し得ることは当業者には明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物においてムチンの過剰分泌を抑制する方法であって、ムチンの過剰分泌を抑制するペプチドのムチン過剰分泌抑制量を哺乳動物に投与することを含み、前記ペプチドが24個未満のアミノ酸から成り、
(a)標準配列GAQFSKTAAKGEAAAERPGEAAVA(配列番号1)の4から23個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列;及び
(b)(a)で定義される配列と実質的に同一のアミノ酸配列;
から成る群より選択されるアミノ酸配列を有し、前記ペプチドの1以上のアミノ酸が場合により独立して化学修飾されている、方法。
【請求項2】
ペプチドのアミノ酸配列が標準配列のN末端アミノ酸で始まる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ペプチドのアミノ酸配列が、標準配列の2位のアミノ酸から21位のアミノ酸で始まる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ペプチドのアミノ酸配列が、標準配列の隣接残基A、K、G及びE(配列番号219)を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ペプチドのアミノ酸配列が標準配列のC末端アミノ酸で終了する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ペプチドのアミノ酸配列が、標準配列の8から14個の隣接アミノ酸又は前記標準配列と実質的に同一のアミノ酸配列から成る、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
ペプチドのアミノ酸配列が、標準配列の10から12個の隣接アミノ酸又は前記標準配列と実質的に同一のアミノ酸配列から成る、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ペプチドのN末端アミノ酸が、N末端アミノ基でアルキル化、アミド化又はアシル化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
ペプチドのN末端アミノ酸がN末端アミノ基でミリストイル化されている、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ペプチドのN末端アミノ酸がN末端アミノ基でアセチル化されている、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
ペプチドのN末端アミノ酸がN末端アミノ基でミリストイル化されていない、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
ペプチドが、アセチル−ペプチド106、ペプチド106及びペプチド106−NHから成る群より選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
ペプチドが、ペプチド15、ペプチド45、ペプチド91及びペプチド153から成る群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項14】
ペプチドが、ペプチド79、ペプチド233、ペプチド234、myr−ペプチド234−NH及びペプチド235から成る群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項15】
ペプチドがアセチル−ペプチド219である、請求項4に記載の方法。
【請求項16】
哺乳動物がヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
哺乳動物におけるムチンの過剰分泌が、哺乳動物における肺疾患によって引き起こされる、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
肺疾患が、喘息、慢性気管支炎、COPD及び嚢胞性線維症から成る群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
ペプチドが、(a)等濃度で哺乳動物に投与されたとき、標準配列で示されるペプチドよりも大きな哺乳動物へのムチン過剰分泌抑制作用又は(b)同じ液体中の等濃度で標準配列で示されるペプチドよりも大きな水溶解度、の性質の少なくとも1つを示す、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
哺乳動物においてムチンの過剰分泌を抑制する方法であって、ムチンの過剰分泌を抑制するペプチドのムチン過剰分泌抑制量を哺乳動物に投与することを含み、前記ペプチドが、
(a)配列GAQFSKTAAKGEAAAERPGEAAVA(配列番号1)を有するアミノ酸配列;及び
(b)(a)で定義される配列と実質的に同一のアミノ酸配列;
から成る群より選択されるアミノ酸配列を有し、前記ペプチドのN末端アミノ酸がミリストイル化されておらず、場合により独立して化学修飾されていてもよく、及び前記ペプチドのC末端アミノ酸が、場合により独立して化学修飾されており、
前記ペプチドが、ムチン過剰分泌抑制量で哺乳動物に投与されたときムチンの過剰分泌抑制作用を有する、方法。
【請求項21】
ペプチドのN末端アミノ酸がアセチル化されている、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
ペプチドが、(a)等濃度で哺乳動物に投与されたとき、N末端アミノ酸がミリストイル化されている配列番号1で示されるペプチドよりも大きな哺乳動物へのムチン過剰分泌抑制作用又は(b)同じ液体中の等濃度で、N末端アミノ酸がミリストイル化されている配列番号1で示されるペプチドよりも大きな水溶解度、の性質の少なくとも1つを示す、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
23個未満のアミノ酸から成り、
(a)標準配列GAQFSKTAAKGEAAAERPGEAAVA(配列番号1)の4から23個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列;及び
(b)(a)で定義される配列と実質的に同一のアミノ酸配列;
から成る群より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドであって、
前記ペプチドのN末端アミノ酸がアセチル化されており、及び前記ペプチドのC末端アミノ酸が場合により独立して化学修飾されており、
ムチン過剰分泌抑制量で哺乳動物に投与されたとき、ムチン過剰分泌抑制作用を有する、ペプチド。
【請求項24】
ペプチドのC末端アミノ酸がC末端カルボキシル基でアミド化又はエステル化されている、請求項23に記載のペプチド。
【請求項25】
C末端アミノ酸がC末端カルボキシル基において、アンモニア、C1−C24脂肪族アルキルアミン、ヒドロキシル置換C2−C24脂肪族アルキルアミン、直鎖2−(C1−C24脂肪族アルキル)オキシエチルアミン基又はω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ)n−エチル基[式中、nは0から10である]でアミド化されている、請求項23に記載のペプチド。
【請求項26】
C末端アミノ酸がC末端カルボキシル基において、C1−C24脂肪族アルキルアルコール又は2−(ω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ)n)−エタノール基[式中、nは0から10である]でエステル化されている、請求項23に記載のペプチド。
【請求項27】
ペプチドが、アセチル−ペプチド106及びアセチルペプチド219から成る群より選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
ペプチドが、(a)等濃度で哺乳動物に投与されたとき、N末端アミノ酸がミリストイル化されている配列番号1で示されるペプチドよりも大きな哺乳動物へのムチン過剰分泌抑制作用又は(b)同じ液体中の等濃度で、N末端アミノ酸がミリストイル化されている配列番号1で示されるペプチドよりも大きな水溶解度、の性質の少なくとも1つを示す、請求項23に記載のペプチド。
【請求項29】
24個未満のアミノ酸から成り、
(a)標準配列GAQFSKTAAKGEAAAERPGEAAVA(配列番号1)の4から23個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列;
から成る群より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドであって、
AがKで置換される;F、K、G、Q、S、T及び/又はEがAで置換される;又はQがEで置換される、少なくとも1個のアミノ酸置換を含み、
前記ペプチドのN末端及びC末端アミノ酸が場合により独立して化学修飾されており、及び
ムチン過剰分泌抑制量で哺乳動物に投与されたとき、ムチン過剰分泌抑制作用を有する、ペプチド。
【請求項30】
N末端アミノ酸がN末端アミンにおいて、C1−C24脂肪族アルキル基、直鎖2−(C1−C24脂肪族アルキル)オキシエチル基又はω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ)n−エチル基[式中、nは0から10である]でアルキル化されている、請求項29に記載のペプチド。
【請求項31】
N末端アミノ酸がN末端アミンにおいて、C2−C24脂肪族カルボン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸又はC1−C24脂肪族アルキルスルホン酸でアミド化されている、請求項29に記載のペプチド。
【請求項32】
ペプチドのC末端アミノ酸がC末端カルボキシル基でアミド化又はエステル化されている、請求項29に記載のペプチド。
【請求項33】
C末端アミノ酸がC末端カルボキシル基において、アンモニア、C1−C24脂肪族アルキルアミン、ヒドロキシル置換C2−C24脂肪族アルキルアミン、直鎖2−(C1−C24脂肪族アルキル)オキシエチルアミン基又はω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ)n−エチル基[式中、nは0から10である]でアミド化されている、請求項29に記載のペプチド。
【請求項34】
C末端アミノ酸がC末端カルボキシル基において、C1−C24脂肪族アルキルアルコール又は2−(ω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ)n)−エタノール基[式中、nは0から10である]でエステル化されている、請求項29に記載のペプチド。
【請求項35】
ペプチドが、(a)等濃度で哺乳動物に投与されたとき、N末端アミノ酸がミリストイル化されている配列番号1で示されるペプチドよりも大きな哺乳動物へのムチン過剰分泌抑制作用又は(b)同じ液体中の等濃度で、N末端アミノ酸がミリストイル化されている配列番号1で示されるペプチドよりも大きな水溶解度、の性質の少なくとも1つを示す、請求項29に記載のペプチド。
【請求項36】
ペプチドが、ペプチド233から245及びペプチド247から251から成る群より選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項37】
24個未満のアミノ酸から成り、
(a)標準配列GAQFSKTAAKGEAAAERPGEAAVA(配列番号1)の4から23個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列;及び
(b)(a)で定義される配列と実質的に同一のアミノ酸配列;
から成る群より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドであって、
前記ペプチドのN末端配列が前記標準配列の2位から21位で始まり、及び
前記ペプチドのN末端及びC末端アミノ酸が場合により独立して化学修飾されており、及び
ムチン過剰分泌抑制量で哺乳動物に投与されたとき、ムチン過剰分泌抑制作用を有する、ペプチド。
【請求項38】
N末端アミノ基が、C1−C24脂肪族アルキル基、直鎖2−(C1−C24脂肪族アルキル)オキシエチル基又はω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ)n−エチル基[式中、nは0から10である]でアルキル化されている、請求項37に記載のペプチド。
【請求項39】
N末端アミノ基が、C2−C24脂肪族カルボン酸、トリフルオロ酢酸、安息香酸又はC1−C24脂肪族アルキルスルホン酸でアミド化されている、請求項37に記載のペプチド。
【請求項40】
ペプチドのC末端アミノ酸がC末端カルボキシル基でアミド化又はエステル化されている、請求項37に記載のペプチド。
【請求項41】
C末端カルボキシル基が、アンモニア、C1−C24脂肪族アルキルアミン、ヒドロキシル置換C2−C24脂肪族アルキルアミン、直鎖2−(C1−C24脂肪族アルキル)オキシエチルアミン基又はω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ)n−エチル基[式中、nは0から10である]でアミド化されている、請求項37に記載のペプチド。
【請求項42】
C末端カルボキシル基が、C1−C24脂肪族アルキルアルコール又は2−(ω−メトキシ−ポリ(エチレンオキシ)n)−エタノール基[式中、nは0から10である]でエステル化されている、請求項37に記載のペプチド。
【請求項43】
ペプチドが、(a)等濃度で哺乳動物に投与されたとき、N末端アミノ酸がミリストイル化されている配列番号1で示されるペプチドよりも大きな哺乳動物へのムチン過剰分泌抑制作用又は(b)同じ液体中の等濃度で、N末端アミノ酸がミリストイル化されている配列番号1で示されるペプチドよりも大きな水溶解度、の性質の少なくとも1つを示す、請求項37に記載のペプチド。
【請求項44】
17個未満のアミノ酸から成り、
(a)標準配列GAQFSKTAAKGEAAAERPGEAAVA(配列番号1)の4から16個の隣接アミノ酸を有するアミノ酸配列;及び
(b)(a)で定義される配列と実質的に同一のアミノ酸配列;
から成る群より選択されるアミノ酸配列を有するペプチドであって、
前記ペプチドのN末端及びC末端アミノ酸が場合により独立して化学修飾されており、及び前記ペプチドのN末端アミノ酸がミリストイル化されておらず、
ムチン過剰分泌抑制量で哺乳動物に投与されたとき、ムチン過剰分泌抑制作用を有する、ペプチド。
【請求項45】
ペプチドのアミノ酸配列が標準配列のN末端アミノ酸で始まる、請求項44に記載のペプチド。
【請求項46】
ペプチドのアミノ酸配列が、標準配列の残基AKGE(配列番号219)を含む、請求項44に記載のペプチド。
【請求項47】
ペプチドのアミノ酸配列が標準配列のC末端アミノ酸で終了する、請求項44に記載のペプチド。
【請求項48】
ペプチドのアミノ酸配列が、標準配列の8から14個の隣接アミノ酸又は前記標準配列と実質的に同一のアミノ酸配列から成る、請求項44に記載のペプチド。
【請求項49】
ペプチドのアミノ酸配列が、標準配列の10から12個の隣接アミノ酸又は前記標準配列と実質的に同一のアミノ酸配列から成る、請求項44に記載のペプチド。
【請求項50】
ペプチドのN末端アミノ酸がN末端アミノ基でアセチル化されている、請求項44に記載のペプチド。
【請求項51】
(a)配列GAQFSKTAAKGEAAAERPGEAAVA(配列番号1)を有するアミノ酸配列;及び
(b)(a)で定義される配列と実質的に同一のアミノ酸配列;
から成る群より選択される配列から成るペプチドであって、
前記ペプチドのN末端アミノ酸がミリストイル化されておらず、及び前記ペプチドのC末端アミノ酸が場合により独立して化学修飾されており、
ムチン過剰分泌抑制量で哺乳動物に投与されたとき、ムチン過剰分泌抑制作用を有する、ペプチド。
【請求項52】
ペプチドのN末端アミノ酸がアセチル化されている、請求項51に記載のペプチド。
【請求項53】
ペプチドが、(a)等濃度で哺乳動物に投与されたとき、N末端アミノ酸がミリストイル化されている配列番号1で示されるペプチドよりも大きな哺乳動物へのムチン過剰分泌抑制作用又は(b)同じ液体中の等濃度で、N末端アミノ酸がミリストイル化されている配列番号1で示されるペプチドよりも大きな水溶解度、の性質の少なくとも1つを示す、請求項51に記載のペプチド。
【請求項54】
請求項23から53のいずれか1項に記載のペプチド及び場合により、医薬的に許容される担体及び/又は希釈剤を含有する医薬組成物。
【請求項55】
哺乳動物における肺疾患によって引き起こされる哺乳動物でのムチン過剰分泌の治療のための医薬組成物を調製するための、請求項23から53のいずれか1項に記載のペプチドの使用。

【公表番号】特表2008−528500(P2008−528500A)
【公表日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−552286(P2007−552286)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2006/002032
【国際公開番号】WO2006/078899
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(507244046)バイオマーク・フアーマシユーテイカルズ・リミテツド (3)
【Fターム(参考)】