説明

MC4作動薬としてのジアゼピンおよびジアゾカン化合物

本発明は、式(I)(式中、R、R、R、R、Lおよびnは、本明細書で定義されている通りである)の化合物に関する。これらの化合物は、MC4作動薬として有用である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジアゼパンおよびジアゾカン化合物、それらの化合物を含む医薬組成物、および治療法におけるそれらの使用に関する。上述の化合物は、メラノコルチン4(MC4またはMCR4)受容体において作動薬としての機能を果たす。
【背景技術】
【0002】
メラノコルチンは、メラノコルチン受容体ファミリーのGタンパク質共役受容体(GPCR)に結合し、それを活性化するプロオピオメラノコルチン(POMC)から生じるペプチドである。メラノコルチンは、性機能および性行動、食物摂取ならびに代謝を包含する多様な数の生理学的プロセスを調節する。クローン化されている5種のメラノコルチン受容体、MCR1、MCR2、MCR3、MCR4、MCR5があり、様々な組織において発現される。MCR1は、メラノサイトおよびメラノーマ細胞において特異的に発現され、MCR2は、ACTH受容体であって副腎組織において発現され、MCR3は、脳および大脳辺縁系において主に発現され、MCR4は、脳および脊髄において広く発現され、MCR5は、脳ならびに皮膚、脂肪組織、骨格筋、およびリンパ系組織を包含する多くの末梢組織において発現される。MCR3は、性機能、食物摂取および熱産生の制御に関与している可能性がある。
【0003】
MCR4は、視床下部、海馬、および視床において主として発現されるGタンパク質共役7回膜貫通型受容体である(Gantzら 1993 J Biol Chem 268:15174〜15179)。この受容体は、体重の中枢性調節に関係しており、MCR4は、プロオピオメラノコルチンから生じ、アグーチ遺伝子関連タンパク質(AGRP)により不活性化されるα−メラノサイト刺激ホルモン(MSH)により活性化される。α−MSHは、体重減少を誘発するが、アグーチタンパク質の異所性発現は、アグーチマウスにおいて肥満症をもたらす(Fanら 1993 Nature 385:165〜168;Luら 1994 Nature 371:799〜802)。体重調節におけるMCR4の役割についてのさらなる証拠は、マウスにおけるノックアウトモデル(Huszarら 1997 Cell 88:131〜141)とヒトにおけるハプロ不全変異(Vaisseら 1998 Nat Genet 20:113〜114;Yeoら 1998 Nat Genet 20:111〜112;Hinneyら 1999 J Clin Endocrinol Metab 84:1483〜1486)の両方から得られている。MCR4ノックアウトマウスにおいて、体重の増加は、5週齢まで認められた。15週齢まで、ホモ接合変異体の雌は、平均して、それらの野生型同腹仔の2倍も重かったが、ホモ接合変異体の雄は、野生型対照より約50%重かった。MCR4ノックアウトについてのマウスヘテロ接合体は、野生型およびホモ接合変異体同腹仔において見られる体重増加の中間的な体重増加を示し、体重調節に対するMCR4除去の遺伝子量効果を立証した。ホモ接合変異体の食物摂取は、野生型同胞における食物摂取と比較して約50%増加した(Huszarら 1997 Cell 88:131〜141)。[Am.J.Hum.Genet.、65:1501〜1507、1999から]。MCR4活性化は、齧歯類において陰茎勃起を誘発することが明らかとなっており、MCR4不活性化は、肥満症を引き起こすことが明らかになっている(Hadley、1999、Ann NY Acad Sci.、885:1〜21、Wikbergら 2000、Pharmacol Res.、42(5)、393〜420に概説されている)。
【0004】
ChakiおよびNakazatoは、Drug Of The Future、2004、29(10):1065〜1074において、MC4受容体において作用するリガンドについての潜在的な治療的用途に言及している。ジアゼピン誘導体は、WO95/00497、WO97/17973、WO98/07692、WO98/20001、WO2006/040192およびEP1867639で報告されている。FXaの阻害薬は、WO98/54164で報告されている。骨欠損状態を治療するために有用な化合物は、WO99/42107で報告されている。H3受容体の拮抗薬は、WO02/072570で報告されている。PPARの調節薬は、US2005/0234046で報告されている。
【0005】
本発明の化合物は、
− 性的欲求低下障害、性的興奮障害、女性におけるオルガスム障害および/または性交疼痛障害、男性勃起機能障害を包含する男性および女性の性機能障害、
− 肥満症(食欲を減退させること、代謝率を高めること、食物摂取を減少させることまたは炭水化物渇望を減少させることによる)、および
− 糖尿病(耐糖能を高めることおよび/またはインスリン抵抗性を低下させることによる)
を包含するMC4受容体の活性化に応答する疾患、障害または状態を治療するのに有用である。
【0006】
本発明の化合物は、高血圧症、高脂血症、変形性関節症、癌、胆嚢疾患、睡眠時無呼吸、鬱病、不安症、衝動、神経症、不眠症/睡眠障害、薬物乱用、疼痛、発熱、炎症、免疫調節、関節リウマチ、皮膚の日焼け、座瘡および他の皮膚障害、アルツハイマー病の治療を包含する神経保護および認識および記憶促進、下部尿路機能障害(尿失禁−過活動膀胱、日中頻度の増加、夜間頻尿、尿意切迫、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁および混合性尿失禁を包含する尿失禁(尿の不随意漏出がある任意の状態)、関連尿失禁を伴う過活動膀胱、遺尿症、夜尿症、持続的尿失禁、性交中の失禁などの状況的尿失禁、ならびに良性前立腺過形成(BPH)に関係する下部尿路症状(LUTS)を包含する)の治療、ならびに先述の特許出願で述べられている任意の他の適応症を包含するがそれらに限定されないさらなる疾患、障害または状態を治療するのに潜在的に有用である。
【0007】
本発明の化合物は、女性性機能障害、男性勃起機能障害、肥満症、糖尿病、および下部尿路機能障害の状態を治療するために特に適している。
【0008】
本明細書において使用されるような「治療すること」、「治療する」、または「治療」という用語は、予防と管理の両方、すなわち、指示された状態の予防的、および姑息的治療を包含することが意図されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明のMCR4作動薬化合物についての望ましい特性は、本明細書で後に詳述されるような望ましいMCR4作動薬効力;本明細書で後に詳述されるようなMCR1、および/またはMCR5、および/またはMCR3と対比したMCR4作動作用についての選択性;望ましいMC4R作動薬効力とMCR1、および/またはMCR5、および/またはMCR3と対比したMCR4についての選択性の両方;物理的安定性などの良好な生物薬剤学的特性;溶解性;経口バイオアベイラビリティー;適切な代謝安定性を包含する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態によれば、本発明は、式(I)
【0011】
【化1】

(式中、n、R、R、R、LおよびRは、詳細な説明において本明細書で下記に定義されている通りである)の化合物に関する。
【0012】
本発明の別の実施形態は、式(I)の化合物を含む医薬組成物に関する。一態様において、組成物は、治療有効量の式(I)の化合物を含む。別の態様において、組成物は、1つまたは複数の追加の医薬剤(例えば、本明細書で以下に記載されているもの)を含み得る。
【0013】
本発明のさらに別の実施形態は、MC4作動作用が有益であろう障害(疾患および/または状態を包含する)を治療するための方法であって、そのような治療を必要としている対象に、治療有効量の式(I)の化合物(またはその医薬組成物)を投与することを含む方法に関する。一態様において、障害は、女性性機能障害(FSD)、男性勃起機能障害(MED)、または肥満症である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、式(I)
【0015】
【化2】

の化合物、または薬学的に許容できるその塩、溶媒和物(水和物を包含する)、およびプロドラッグに関し、式中
nは、0または1であり、
は、−(C〜C)アルキル、またはHetであり、
は、フェニルまたはピリジルであり、前記フェニルまたはピリジルは、ハロ、CN、−(C〜C)アルキルおよび−(C〜C)アルコキシから独立して選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよく、−(C〜C)アルキルおよび−(C〜C)アルコキシ基は、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよく、
は、フェニルまたはピリジルであり、前記フェニルまたはピリジルは、ハロ、CN、−(C〜C)アルキルおよび−(C〜C)アルコキシから独立して選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよく、−(C〜C)アルキルおよび−(C〜C)アルコキシ基は、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよく、
Lは、−CO−であり、Rは、−(C〜C)アルキル、−(C〜C)アルコキシ、−(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキル(C〜C)アルコキシ、−NH、−NH(C〜C)アルキル、−N[(C〜C)アルキル]またはHetであり、−(C〜C)アルキル基は、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよく、−(C〜C)シクロアルキル基は、1〜3個のフッ素原子または−(C〜C)アルキル基で置換されていてもよいか、
Lは、−SO−であり、Rは、−(C〜C)アルキル、−(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキル(C〜C)アルコキシ、−NH、−NH(C〜C)アルキル、−N[(C〜C)アルキル]またはHetであるかのいずれかであり、
Hetは、
(i)1または2個のN原子を含有する6員環(環は、芳香族であるか、環内に2個の二重結合および=O置換基を含有するかのいずれかであり、環は、ハロ、CN、および−(C〜C)アルキルから独立して選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよい)、
(ii)1〜3個のさらなるN原子を含有する5員芳香族環に、ピロリジン環との連結に対して、3,4位において縮合している1または2個のN原子を含有する6員芳香族環、または
(iii)テトラヒドロピラニルであり、
Hetは、
(i)1または2個のN原子およびさらなる任意選択のO原子、S原子またはN原子を含有する5員芳香族環、
(ii)1個のN原子を含有する4〜6員飽和環、または
(iii)1個のO原子およびさらなる任意選択のN原子を含有する6員飽和環である。
【0016】
「アルキル」という用語は、指定数の炭素原子を含有する直鎖または分枝鎖の飽和脂肪族炭化水素ラジカルを指す。アルキルラジカルの例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルを包含する。
【0017】
「アルコキシ」という用語は、ラジカルORを指し、Rは、上で定義されているアルキルである。
【0018】
「ハロ」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を指す。
【0019】
「シクロアルキル」という用語は、指定数の炭素原子を含有する単環式脂肪族アルキル基を指す。シクロアルキルラジカルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルを包含する。
【0020】
「1または2個のN原子を含有する6員環(環は、芳香族であるか、環内に2個の二重結合および=O置換基を含有するかのいずれかである)」の例は、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジンおよびピリダジノンを包含する。
【0021】
「1〜3個のさらなるN原子を含有する5員芳香族環に、ピロリジン環との連結に対して、3,4位において縮合している1または2個のN原子を含有する6員芳香族環」の例は、イミダゾ[1,2−b]ピリダジンおよび[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジンを包含する。
【0022】
「1または2個のN原子およびさらなる任意選択のO原子、S原子またはN原子を含有する5員芳香族環」の例は、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、トリアゾール、オキサジアゾールおよびチアジアゾールを包含する。
【0023】
「1個のN原子を含有する4〜6員飽和環」の例は、アゼチジン、ピロリジン、ピペリジンおよびピペラジンを包含する。
【0024】
「1個のO原子およびさらなる任意選択のN原子を含有する6員飽和環」の例は、テトラヒドロピランおよびモルホリンを包含する。
【0025】
一実施形態において、nは、1である。
【0026】
一実施形態において、Rは、−(C〜C)アルキルである。さらなる実施形態において、Rは、t−ブチルである。
【0027】
一実施形態において、Rは、Hetであり、Hetは、(i)1または2個のN原子を含有する6員環(環は、芳香族であるか、環内に2個の二重結合および=O置換基を含有するかのいずれかであり、環は、ハロ、CN、および−(C〜C)アルキルから選択される置換基により置換されていてもよい)、または(ii)1または2個のさらなるN原子を含有する5員芳香族環に、ピロリジン環との連結に対して、3,4位において縮合している1または2個のN原子を含有する6員芳香族環である。
【0028】
さらなる実施形態において、Rは、Hetであり、Hetは、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリダジン−3−イル、6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル、6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル、6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−イル、2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−4−イル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−6−イルまたは6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イルであり、−(C〜C)アルキル、ハロおよびCNから独立して選択される1または2個の置換基により置換されていてもよい。
【0029】
なおさらなる実施形態において、Rは、Hetであり、Hetは、6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル、1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル、または[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−6−イルである。
【0030】
一実施形態において、Rは、フェニルまたはピリジルであり、前記フェニルまたはピリジルは、ハロ、CN、−(C〜C)アルキルおよび−(C〜C)アルコキシから独立して選択される1または2個の置換基により置換されていてもよい。さらなる実施形態において、Rは、2,4−ジフルオロフェニル、2−フルオロ−4−メトキシフェニル、4−シアノフェニルまたは5−クロロピリド−2−イルである。
【0031】
一実施形態において、Rは、ハロおよび(C〜C)アルコキシから独立して選択される1または2個の置換基により置換されていてもよいフェニルである。さらなる実施形態において、Rは、4−クロロフェニルである。
【0032】
一実施形態において、Lは、−CO−であり、Rは、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい−(C〜C)アルキル、−(C〜C)アルコキシ、1または2個のフッ素原子または−(C〜C)アルキル基で置換されていてもよい−(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキル(C〜C)アルコキシ、−NH(C〜C)アルキル、−N[(C〜C)アルキル]またはHetであり、Hetは、2個のN原子を含有する5員芳香族環または1個のO原子およびさらなる任意選択のN原子を含有する6員飽和環である。
【0033】
さらなる実施形態において、Lは、−CO−であり、Rは、−(C〜C)アルキルまたは−(C〜C)アルコキシであり、−(C〜C)アルキル基は、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい。
【0034】
本発明は、式(I)の化合物の定義と一致している、本明細書で上に記載されている本発明の特定の実施形態のすべての組合せを包含することが理解されるべきである。
【0035】
本発明の代表的化合物は、6−[(3S,4R)−3−{[5S−(4−クロロフェニル)−4−(3,3,3−トリフルオロプロパノイル)−1,4−ジアゾカン−1−イル]カルボニル}−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)ピロリジン−1−イル]−2−メチルピリダジン−3(2H)−オン;
6−[(3S,4R)−3−{[5S−(4−クロロフェニル)−4−イソブチリル−1,4−ジアゾカン−1−イル]カルボニル}−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−2−メチルピリダジン−3(2H)−オン;
6−[(3S,4S)−3−{[5S−(4−クロロフェニル)−4−イソブチリル−1,4−ジアゾカン−1−イル]カルボニル}−4−(5−クロロピリジン−2−イル)ピロリジン−1−イル]−2−メチルピリダジン−3(2H)−オン;
メチル8−(4−クロロフェニル)−4−{[(3S,4R)−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)−1−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレート;
メチル8S−(4−クロロフェニル)−4−{[(3S,4R)−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)−1−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレート;
メチル8R−(4−クロロフェニル)−4−{[(3S,4R)−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)−1−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレート;
メチル8R−(4−クロロフェニル)−4−{[(3S,4R)−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)−1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレート;
6−[(3S,4R)−3−{[4−アセチル−5S−(4−クロロフェニル)−1,4−ジアゾカン−1−イル]カルボニル}−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリダジン−3(2H)−オン;
メチル8S−(4−クロロフェニル)−4−{[(3S,4S)−4−(5−クロロピリジン−2−イル)−1−(6−シアノピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレート;
1−{[(3S,4S)−1−tert−ブチル−4−(5−クロロピリジン−2−イル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−5S−(4−クロロフェニル)−4−イソブチリル−1,4−ジアゾカン;
6−[(3S,4S)−3−{[4−アセチル−5S−(4−クロロフェニル)−1,4−ジアゾカン−1−イル]カルボニル}−4−(5−クロロピリジン−2−イル)ピロリジン−1−イル][1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン;
メチル8S−(4−クロロフェニル)−4−{[(3S,4R)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)−1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレートまたは薬学的に許容できるそれらの塩、溶媒和物(水和物を包含する)、およびプロドラッグを包含する。
【0036】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩は、それらの酸付加塩および塩基塩を包含する。
【0037】
適当な酸付加塩は、無毒性塩を形成する酸から形成される。例は、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチレート(naphthylate)、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩およびキシノホエート(xinofoate)塩を包含する。
【0038】
適当な塩基塩は、無毒性塩を形成する塩基から形成される。例は、アルミニウム塩、アルギニン塩、ベンザチン塩、カルシウム塩、コリン塩、ジエチルアミン塩、ジオラミン塩、グリシン塩、リシン塩、マグネシウム塩、メグルミン塩、オラミン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、トロメタミン塩および亜鉛塩を包含する。
【0039】
酸および塩基のヘミ塩、例えば、ヘミ硫酸塩およびヘミカルシウム塩も形成することができる。
【0040】
適当な塩の総説については、参照により本明細書に組み込まれているStahlおよびWermuthによるHandbook of Phamaceutical Salts:Properties,Selection,and Use(Wiley−VCH、2002)を参照されたい。
【0041】
本発明の化合物は、完全な非晶性から完全な結晶性までの一連の固体状態で存在し得る。「非晶性の」という用語は、その材料が、分子レベルで長距離秩序を欠き、温度に応じて、固体または液体の物理的特性を示し得る状態を指す。典型的には、そのような材料は、特有のX線回折パターンを与えず、固体の特性を示すものの、より正式には液体として記述される。加熱すると、典型的には二次の状態変化(「ガラス転移」)を特徴とする固体特性から液体特性への変化が起きる。
【0042】
「結晶性の」という用語は、その材料が、分子レベルで規則的な秩序のある内部構造を有し、ピークが明確な特有のX線回折パターンを与える固相を指す。そのような材料は、十分に加熱された場合に、液体の特性も示すが、固体から液体への変化は、通常は一次の相変化(「融点」)を特徴とする。
【0043】
本発明の化合物は、非溶媒和形態および溶媒和形態でも存在し得る。「溶媒和物」という用語は、本明細書において、本発明の化合物および1種または複数の薬学的に許容できる溶媒分子、例えばエタノールを含む分子複合体について記載するために使用される。「水和物」という用語は、前記溶媒が水である場合に用いられる。
【0044】
有機水和物について現在受け入れられている分類システムは、孤立部位(isolated site)、チャネル、または金属イオン配位水和物を定義するものであり、参照により本明細書に組み込まれているK.R.MorrisによるPolymorphism in Pharmaceutical Solids(H.G.Brittain編、Marcel Dekker、1995)を参照されたい。孤立部位水和物は、水分子が、介在する有機分子によって互いとの直接的接触から隔離されている水和物である。チャネル水和物において、水分子は、それらが他の水分子に隣接している格子チャネル中に位置する。金属イオン配位水和物において、水分子は、金属イオンに結合している。
【0045】
溶媒または水が強固に結合している場合には、複合体は、湿度とは無関係に明確な化学量論を有するであろう。しかしながら、チャネル溶媒和物および吸湿性化合物におけるように、溶媒または水が弱く結合している場合には、水/溶媒含有量は、湿度および乾燥条件に左右されるであろう。そのような場合には、非化学量論が通常であろう。
【0046】
薬物および少なくとも1種の他の成分が化学量論的または非化学量論的な量で存在する多成分複合体(塩および溶媒和物以外)も本発明の範囲内に包含される。このタイプの複合体は、クラスレート(薬物−ホスト包接複合体)および共結晶を包含する。後者は、典型的には、非共有結合性相互作用を介して結合しているが、中性分子と塩の複合体でもあり得る中性分子成分の結晶性複合体として定義される。共結晶は、融解結晶化により、溶媒からの再結晶により、または成分を一緒に物理的に粉砕することにより調製することができ、参照により本明細書に組み込まれているO.AlmarssonおよびM.J.ZaworotkoによるChem Commun、17、1889〜1896(2004)を参照されたい。多成分複合体の一般的な総説については、参照により本明細書に組み込まれているHaleblianによるJ Pharm Sci、64(8)、1269〜1288(1975年8月)を参照されたい。
【0047】
本発明の化合物は、適当な条件にさらされた場合に、中間状態(中間相または液晶)で存在することもある。中間状態は、真の結晶性状態と真の液体状態(融液か溶液のいずれか)の中間である。温度変化の結果として起こる液晶性(mesomorphism)は、「サーモトロピックな」と称され、水または別の溶媒などの第2の成分の添加に起因する液晶性は、「リオトロピックな」と称される。リオトロピックな中間相を形成する潜在力を有している化合物は、「両親媒性の」と称され、イオン性(−COONa、−COO、または−SONaなど)または非イオン性(−N(CHなど)極性頭部基を有する分子からなる。詳細な情報については、参照により本明細書に組み込まれているN.H.HartshorneおよびA.StuartによるCrystals and the Polarizing Microscope、第4版(Edward Arnold、1970)を参照されたい。
【0048】
本明細書では以後、式(I)の化合物へのすべての言及は、それらの塩、溶媒和物、多成分複合体および液晶、ならびにそれらの塩の溶媒和物、多成分複合体および液晶への言及を包含する。
【0049】
本発明の化合物は、それらのすべての多形体および晶癖、本明細書で後に定義されるそれらのプロドラッグおよび異性体(光学異性体、幾何異性体および互変異性体を包含する)ならびに同位体標識された式(I)の化合物を含む本明細書で前に定義された式(I)の化合物を包含する。
【0050】
示すように、式(I)の化合物のいわゆる「プロドラッグ」も、本発明の範囲内にある。すなわち、それら自体が薬理学的活性をほとんど、またはまったく有していないことがある式(I)の化合物のある特定の誘導体は、体内または体表に投与された場合、例えば加水分解切断により、望ましい活性を有する式(I)の化合物に変換することができる。そのような誘導体は、「プロドラッグ」と呼ばれる。プロドラッグの使用に関するさらなる情報は、参照により本明細書に組み込まれているPro−drugs as Novel Delivery Systems、第14巻、ACS Symposium Series(T.HiguchiおよびW.Stella)およびBioreversible Carriers in Drug Design、Pergamon Press、1987(E.B.Roche編、American Pharmaceutical Association)中に見いだすことができる。
【0051】
本発明によるプロドラッグは、例えば、式(I)の化合物中に存在する適切な官能基を、例えば、参照により本明細書に組み込まれているH.BundgaardによるDesign of Prodrugs(Elsevier、1985)に記載されているような「プロモイエティ(pro−moiety)」として当業者に知られているある特定の部分で置き換えることにより製造することができる。
【0052】
さらに、ある特定の式(I)の化合物は、それら自体で他の式(I)の化合物のプロドラッグとしての役割を果たすことができる。
【0053】
式(I)の化合物は、不斉炭素原子を有していてもよい。本発明の化合物における不斉炭素との結合は、本明細書において、実線(
【0054】
【化3】

)、実線の楔形(
【0055】
【化4】

)、または破線の楔形(
【0056】
【化5】

)を使用して描かれることがある。不斉炭素原子との結合を描くための実線の使用は、その炭素原子におけるすべての可能な立体異性体が包含されることを示すことを意味する。不斉炭素原子との結合を描くための実線または破線のいずれかの楔形の使用は、示されている立体異性体のみが包含されることを意味すると示すことを意味する。式(I)の化合物は、2個以上の不斉炭素原子を含有することが可能である。それらの化合物において、不斉炭素原子との結合を描くための実線の使用は、すべての可能な立体異性体が包含されることを意味すると示すことを意味する。式(I)の化合物が、アルケニルまたはアルケニレン基を含有する場合、幾何シス/トランス(または、Z/E)異性体が可能である。構造異性体が、低いエネルギー障壁を介して相互変換可能である場合、互変異性(tautomeric isomerism)(「互変異性(tautomerism)」)が生じることがある。これは、例えば、イミノ、ケト、またはオキシム基を含有する式(I)の化合物におけるプロトン互変異性、または芳香族部分を含有する化合物におけるいわゆる原子価互変異性の形態をとることがある。したがって、単一の化合物が、2種以上のタイプの異性を示し得ることになる。互変異性関係を図示するための例として、例えば、「Het」基が以下に示される通りである化合物について、下記の「ケト」と「エノール」互変異性体の両方が、式(I)の化合物についての「Het」の範囲内に包含される。
【0057】
【化6】

【0058】
2種以上のタイプの異性を示す化合物、およびそれらの1つまたは複数の混合物を包含する式(I)の化合物のすべての立体異性体、幾何異性体および互変異性形態は、本発明の範囲内に包含される。対イオンが光学活性、例えば、d−乳酸塩もしくはl−リシンであるか、またはラセミ、例えば、dl−酒石酸塩もしくはdl−アルギニンである酸付加塩または塩基塩も包含される。
【0059】
シス/トランス異性体は、当業者によく知られている従来技法、例えば、クロマトグラフィーおよび分別結晶化により分離することができる。
【0060】
個々の鏡像異性体を調製/分離するための従来技法は、適当な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または、例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ体(または、塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割を包含する。
【0061】
あるいは、ラセミ体(またはラセミ前駆体)を、適当な光学活性化合物、例えばアルコールと、または、式(I)の化合物が酸性もしくは塩基性部分を含有する場合には、1−フェニルエチルアミンもしくは酒石酸などの塩基もしくは酸と反応させることができる。得られるジアステレオマー混合物は、クロマトグラフィーおよび/または分別結晶化により分離することができ、ジアステレオ異性体の一方または双方は、当業者によく知られている手段により対応する純粋な1つまたは複数の鏡像異性体に変換することができる。
【0062】
本発明のキラル化合物(および、そのキラル前駆体)は、イソプロパノール0〜50体積%、典型的には、2%〜20%を含有し、アルキルアミン0〜5体積%を含有してもよい炭化水素、典型的には、ヘプタンまたはヘキサンからなる移動相による不斉樹脂上のクロマトグラフィー、典型的には、HPLCを使用し、鏡像異性的に富化された形態で得ることができる。溶出液を濃縮すると、富化された混合物が得られる。移動相の絶対組成は、選択されるキラル固定相(不斉樹脂)によって決まるであろう。
【0063】
立体異性の集合体は、当業者に知られている従来技法により分離することができ、例えば、参照により本明細書に組み込まれているE.L.ElielおよびS.H.WilenによるStereochemistry of Organic Compounds(Wiley、New York、1994)を参照されたい。
【0064】
本発明は、1個または複数の原子が、同じ原子番号であるが、自然において優位を占める原子質量または質量数と異なる原子質量または質量数を有する原子により置き換えられているすべての薬学的に許容できる同位体標識された式(I)の化合物を包含する。
【0065】
本発明の化合物中に含めるのに適している同位体の例は、HおよびHなどの水素、11C、13Cおよび14Cなどの炭素、36Clなどの塩素、18Fなどのフッ素、123Iおよび125Iなどのヨウ素、13Nおよび15Nなどの窒素、15O、17Oおよび18Oなどの酸素、32Pなどのリン、ならびに35Sなどの硫黄の同位体を包含する。
【0066】
実施例および調製例で述べられている経路を包含する以下の経路は、式(I)の化合物を合成するための方法を図示している。当業者は、本発明の化合物、およびそれらの中間体が、本明細書に具体的に記載されている方法以外の方法により、例えば、本明細書に記載されている方法の変法により、例えば、当技術分野において知られている方法により製造することができることを理解するであろう。合成、官能基相互変換、保護基の使用などの適当な指針は、例えば、RC Larockによる「Comprehensive Organic Transformations」、VCH Publishers Inc.(1989);J.MarchによるAdvanced Organic Chemistry」、Wiley Interscience(1985);S Warrenによる「Designing Organic Synthesis」、Wiley Interscience(1978);S Warrenによる「Organic Synthesis−The Disconnection Approach」、Wiley Interscience(1982);RK MackieおよびDM Smithによる「Guidebook to Organic Synthesis」、Longman(1982);TW GreeneおよびPGM Wutsによる「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley and Sons,Inc.(1999);およびPJ,Kocienskiによる「Protecting Groups」、Georg Thieme Verlag(1994)である。
【0067】
下記の一般的な合成法において、別段の規定がない限り、置換基R、R、R、RおよびLは、上の式(I)の化合物に関連して上で定義されている通りである。
【0068】
スキーム1は、アシル化剤(III)による中間体(II)のアシル化を介する式(I)の化合物の調製を図示している。
【0069】
【化7】

【0070】
典型的条件は、室温において適切な溶媒中で塩基と共に一般式(II)のジアゼパンまたはジアゾカンおよび一般式(III)のアシル化剤の溶液を撹拌するものである。適当なアシル化剤(III)は、カルボン酸塩化物、塩化スルホニル、塩化カルバモイルおよびクロロホルメートを包含し、市販されているか、文献先例を参照して当業者によく知られており、適当な塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンまたはジメチルアミノピリジンを包含し、適当な溶媒は、ジクロロメタン(DCM)、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)または酢酸エチル(EtOAc)を包含する。
【0071】
スキーム2は、ペプチドカップリング試薬(IV)を使用するジアゼパンおよびジアゾカン中間体(II)からのLがカルボニルである特定の一般式(I)の化合物の代替調製を図示している。
【0072】
【化8】

【0073】
典型的条件は、ジクロロメタン(DCM)中で1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩(EDCI)またはそのメチオジド塩、さらに、トリエチルアミンおよび1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(HOBt)と一緒に一般式(II)のジアゼパンまたはジアゾカンおよび一般式(IV)のカルボン酸の溶液を撹拌するものである。一般式(IV)のカルボン酸は、市販されているか、文献先例を参照して当業者によく知られているであろう。さらなる代替の適当な手順は、必要ならば、適当な塩基および/または添加物を加え、適当なペプチドカップリング試薬と一緒に不活性溶媒中で一般式(II)の中間化合物および一般式(IV)の酸の溶液を撹拌することである。適当なペプチドカップリング試薬は、ヘキサフルオロリン酸O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム(HBTU)、テトラフルオロホウ酸2−{1H−ベンゾトリアゾール−1−イル}−1,1,1,3−テトラメチルウロニウム(TBTU)、ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム(HATU)、塩化2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム(DIC)、1−プロピルホスホン酸環状無水物(T3P)またはポリマー担持向山試薬を包含し、適当な塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリンまたはジメチルアミノピリジンを包含する。任意の適当な不活性溶媒を上に述べられている溶媒の代わりに使用することができ、不活性溶媒は、カルボン酸も一級および二級アミンも含有しない溶媒を意味する。カップリング試薬の各々少なくとも1当量を使用するべきであり、過剰な一方または両方のいずれかを、望ましい場合に使用することができる。
【0074】
スキーム3は、スキーム2に記載されているような、ペプチドカップリング試薬を使用する官能基化された一般式(V)のジアゼパンおよびジアゾカンおよび一般式(VI)のピロリジン酸から一般式(I)の化合物を調製するための代替経路を図示している。
【0075】
【化9】

【0076】
スキーム4は、保護基戦略を介する、RがHetである一般式(I)の化合物を調製するためのさらなる代替経路を図示している。
【0077】
【化10】

【0078】
PGは、適当な窒素保護基である。
【0079】
PGは、LRか、PGに直交する別の窒素保護基のいずれかである。
【0080】
スキーム4において、一般式(VII)のジアゼパンおよびジアゾカン中間体ならびに一般式(VIII)の保護されたピロリジン酸中間体を、スキーム2および3で前に記載されているような標準的ペプチドカップリング方法を使用してカップリングさせると、直交保護を含有する一般式(IX)のカップリングした中間体が得られる。窒素保護基PGおよびPGを、標準的脱保護戦略を使用して区別的に除去すると、一般式(X)の中間体(PGの脱保護により)か一般式(XII)の中間体(PGの脱保護により)のいずれかを得ることができる。任意の適当な窒素保護基を使用することができる(「Protecting Groups in Organic Synthesis」第3版 T.W.GreeneおよびP.G.Wuts、Wiley−Interscience、1999に記載されているように)。本明細書で使用するのに適している一般的な窒素保護基(PG)は、ジクロロメタンまたは1,4−ジオキサンなどの有機溶媒中でトリフルオロ酢酸または塩化水素などの酸による処理により容易に除去されるtert−ブトキシカルボニル(t−Boc);適当な触媒の存在下での水素化により、またはクロロギ酸1−クロロエチル(ACE−Cl)による処理と、続くメタノリシスにより容易に除去されるベンジル;またはACE−Clおよびメタノリシスにより容易に除去されるt−ブチルを包含する。
【0081】
基(R=上で述べられているHet)は、例えば、Zが適当な脱離基である式「Het−Z」のヘテロ芳香族前駆体から、適当な脱離基の置換(「ヘチレーション(hetylation)」により導入することができる。適当な脱離基は、ハロゲンを包含する。ある特定の場合において、場合により1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジイルビスジフェニルホスフィンなどのホスフィンリガンドと組み合わせて、遷移金属触媒(例えば、パラジウム、銅)が、必要なカップリング生成物を得るために必要とされることがある。
【0082】
スキーム4によれば、一般式(X)の中間体を「ヘチレーション」し、一般式(XI)の中間体を得ることができ、PGの脱保護、次いで、スキーム1および2に記載されている方法に従うRLによる露出したNH官能基のキャッピングによって一般式(I)の化合物へとさらに仕上げることができる。あるいは、一般式(XII)の中間体を、スキーム1および2に記載されている方法に従ってRLでキャッピングし、次いで、PGの脱保護およびそれに続く上に記載されている「ヘチレーション」によって一般式(I)の化合物へと仕上げることができる。
【0083】
あるいは、Rが所与のHet基である一般式(I)の化合物を、Rが異なるHet基である一般式(I)の他の化合物に変換することができる。例えば:
【0084】
i)Hetが、クロロなどの適当な脱離基Zまたはメトキシを含有する式(Ia)の化合物を、スキーム5に示されるように、酸性条件下か塩基性条件下のいずれかでの加水分解により式(Ib)の化合物に変換することができる。酸性条件が好ましく、還流温度における酢酸による式(Ia)の化合物の処理が特に好ましい。あるいは、Zがクロロである式(Ia)の化合物を、式Y−Oのアルコキシドと反応させ、ZがOYである式(Ia)の中間体を得ることができる。次いで、それに続いて加水分解すると、式(Ib)の化合物が得られる。適当な基Yは、メチルまたはベンジルを包含することがある。
【0085】
【化11】

【0086】
ii)Hetが、スキーム6に示されている通りであり、RがHである式(Ic)の化合物を、適切な溶媒中での塩基およびアルキル化剤による処理により、Rがアルキルである式(Id)の化合物に変換することができる。適当な塩基は、水素化ナトリウム、リチウムジイソプロピルアミドおよびナトリウムヘキサメチルジシラジドを包含し、適当なアルキル化剤は、ヨウ化メチル、トシル酸メチル、硫酸ジメチルおよびヨウ化エチルを包含し、適当な溶媒は、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミドおよびN−メチル−2−ピロリジノンを包含する。リチウム塩(例えば、臭化リチウム)などの任意選択の添加物も、反応混合物中に存在することがある。
【0087】
【化12】

【0088】
一般式(VI)および(VIII)のピロリジン酸は、スキーム7に示されているような様々な知られている文献方法を使用し、それぞれ一般式(XIV)および(XV)の前駆体エステルの脱エステル化により調製することができる。
【0089】
【化13】

【0090】
好ましい方法は、適当な共溶媒中での適当な金属水酸化物の水溶液を使用する一般式(XIV)および(XV)のエステルの塩基性加水分解を含む。適当な金属水酸化物は、アルカリ金属(例えば、Li、NaまたはK)またはアルカリ土類金属(例えば、CaまたはBa)から生じるものを包含し、適当な共溶媒は、THF、ジオキサンなどの水混和性有機溶媒およびヒドロキシ溶媒(例えば、メタノールおよびエタノール)を包含する。一般式(XIV)および(XV)のエステルの脱エステル化についての別の好ましい方法は、アセトニトリルまたはトルエンなどの適当な溶媒中でのカリウムトリメチルシラノレートによる処理による。
【0091】
スキーム8は、トランス桂皮酸誘導体(XVI)から一般式(XV)の新規ピロリジンエステル中間体を調製するための経路を図示している。
【0092】
【化14】

【0093】
PGは、tert−ブチルまたはベンジルなどの適当な保護基である。
【0094】
Xcは、キラル補助基である。
【0095】
桂皮酸(XVI)は、市販されているか、文献先例を参照して当業者によく知られているかのいずれかである。桂皮酸(XVI)を、スキーム2に記載されている標準的ペプチドカップリング試薬を使用して文献で知られている様々なキラル補助基(Xc)とカップリングさせて、一般式(XVII)のホモキラルな桂皮酸誘導体を得ることができる。市販されているオキサゾリジノンキラル補助基が、これに関しては好ましい。中間体(XVII)は、一般式(XX)のアゾメチンイリド(ylid)前駆体との[3+2]環化付加を受け、主にまたは排他的にトランス立体化学を有する一般式(XVIII)のラセミピロリジンを与える。この反応は、ジクロロメタンまたはトルエンまたはテトラヒドロフランなどの不活性溶媒および(1)TFAなどの酸触媒、(2)フッ化銀などの脱シリル化剤、(3)加熱のうちの1つまたは複数による活性化を必要とする。一般式(XVIII)のラセミ化合物を、クロマトグラフィーまたは分別結晶化などの標準的方法により分割し、一般式(XIX)のホモキラルな中間体を得ることができる。一般式(XIX)の中間体に含有されるキラル補助基Xcを、文献に先例のある方法を使用して切断すると、一般式(XV)のピロリジンエステルが得られる。特に、オキサゾリジノンキラル補助基は、メタノール中のサマリウムトリフレートなどのルイス酸で脱保護することができる。
【0096】
一般式(XIV)のピロリジンエステルは、スキーム4に記載されている脱保護および「ヘチレーション」戦略により一般式(XV)のピロリジンエステルから調製することができる。
【0097】
スキーム9は、一般式(VI)のピロリジン酸とのカップリングによる一般式(XXI)のジアゼパンおよびジアゾカン中間体からの一般式(II)の中間体の調製を図示している。
【0098】
【化15】

【0099】
一般式(XXI)のジアゼパンおよびジアゾカン中間体を、スキーム2に記載されているペプチドカップリング条件下で前述の一般式(VI)のピロリジン酸と位置選択的にカップリングさせ、一般式(II)の中間体を得ることができる。
【0100】
スキーム10は、PGが、ベンジルまたはt−ブトキシカルボニルなどの窒素保護基である一般式(XXII)の中間体からの一般式(XXIII)の化合物の調製を図示している。
【0101】
【化16】

【0102】
一般式(XXIII)の化合物は、アシル化(スキーム1に記載されている通り)により、またはペプチドカップリング試薬(スキーム2に記載されている通り)を使用することにより調製することができる。調製例13に例示されている一般式(XXI)の化合物の位置選択的モノ保護または調製例2に例示されているより直接的な組立てを包含するがそれらに限定されない、一般式(XXII)の前駆体を調製するために利用可能ないくつかの方法がある。
【0103】
上に記載されている式(II)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(IX)、(XI)、(XII)、(XIII)、(XIV)、(XV)、(XXI)、(XXII)および(XXIII)の中間化合物は、本発明のさらなる実施形態に相当する。
【0104】
本発明のキラル化合物(および、そのキラル前駆体)は、イソプロパノール0〜50体積%、典型的には、2〜20体積%を含有し、アルキルアミン0〜5体積%を含有してもよい炭化水素、典型的には、ヘプタンまたはヘキサンからなる移動相による不斉樹脂上のクロマトグラフィー、典型的には、HPLCを使用し、鏡像異性的に富化された形態で得ることができる。溶出液を濃縮すると、富化された混合物が得られる。移動相の絶対組成は、選択されるキラル固定相(不斉樹脂)によって決まるであろう。
【0105】
当業者は、本明細書で前に議論されているように、窒素または酸基を保護することに加え、式(I)の化合物の合成中の様々な時に、適当な保護基で、例えば、ヒドロキシ基などのさらなる基を保護し、次いで、保護基を除去することが必要である場合があることを理解するであろう。任意の特定の基を脱保護するための方法は、保護基によって決まるであろう。保護/脱保護方法論の例については、参照により本明細書に組み込まれている「Protective groups in Organic synthesis」、TW GreeneおよびPGM Wutzを参照されたい。例えば、ヒドロキシ基が、メチルエーテルとして保護されている場合、脱保護条件は、例えば、48%水性HBr中で還流することを含むか、ジクロロメタン中でボラントリブロマイド(borane tribromide)と共に撹拌することによる。あるいは、ヒドロキシ基が、ベンジルエーテルとして保護されている場合、脱保護条件は、例えば、水素雰囲気下でのパラジウム触媒による水素化を含む。
【0106】
前述の方法において使用される上の反応および新規出発材料の調製のすべては、従来通りであり、それらを実行または調製するための適切な反応条件ならびに望ましい生成物を単離するための手順は、文献先例ならびに本明細書における実施例および調製例を参照して当業者によく知られているであろう。
【0107】
式(I)の化合物の薬学的に許容できる塩は、必要に応じて式(I)の化合物および望ましい酸の溶液を一緒に混ぜることにより容易に調製することができる。塩は、溶液から沈殿させて濾過により集めるか、溶媒の蒸発により回収することができる。
【0108】
薬学的に許容できる式(I)の化合物の塩は、3つの方法、すなわち、
(i)式(I)の化合物を望ましい酸と反応させること、
(ii)望ましい酸を使用し、式(I)の化合物の適当な前駆体から酸もしくは塩基に不安定な保護基を除去するか、適当な環状前駆体、例えば、ラクトンもしくはラクタムを開環すること、または
(iii)適切な酸との反応によって、または適当なイオン交換カラムによって、式(I)の化合物の1つの塩を別の塩に変換すること
のうちの1つまたは複数により調製することができる。
【0109】
3つの反応はすべて、典型的には、溶液中で行われる。得られる塩は、沈殿させて濾過により集めるか、溶媒の蒸発により回収することができる。得られる塩におけるイオン化の程度は、完全なイオン化からほとんどイオン化していない程度までと様々であってよい。
【0110】
本発明の式(I)の化合物は、様々な疾患状態の治療においてMCR4作動薬としての有用性を有する。前記MCR4作動薬は、約400nMより低い、より好ましくは、200nMより低い、さらにより好ましくは、約100nMより低い、より好ましくは、約50nMよりさらに低い、EC50として表されるMC4受容体における機能的効力を示すことが好ましく、MCR4機能的効力の前記EC50測定は、国際特許出願WO2005/077935に記載されているプロトコルEを使用して行うことができる。
【0111】
併用療法
本発明の式(I)の化合物またはそれらの塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは、性機能障害、下部尿路障害、肥満症および/または糖尿病などの対象とする状態を治療するための1つまたは複数の追加医薬剤と組み合わせて有用に送達することができる。さらに、本発明の式(I)の化合物またはそれらの塩、溶媒和物もしくはプロドラッグは、一部の場合に、嘔吐を軽減するための補助的な有効活性剤と組み合わせて有用に送達することができる。本発明の組合せにおいて使用することができる一部の適当な医薬剤は、
1)阻害薬または中性エンドペプチダーゼなどの、ナトリウム利尿因子、特に、心房性ナトリウム利尿因子(心房性ナトリウム利尿ペプチドとしても知られている)、B型およびC型ナトリウム利尿因子の作用を調節する化合物、特に、WO02/02513、WO02/03995、WO02/079143およびEP−A−1258474に記載され特許請求されている化合物、特に、WO02/079143の実施例22の化合物(2S)−2{[1−{3−4(−クロロフェニル)プロピル]アミノ}カルボニル)−シクロペンチル]メチル}−4−メトキシブタン酸、
2)エナラプリルなどのアンジオテンシン変換酵素を阻害する化合物、ならびにアンジオテンシン変換酵素とオマパトリラトなどの中性エンドペプチダーゼの組合せ阻害薬、
3)L−アルギニンなどのNO−シンターゼの基質、
4)スタチン(例えば、アトルバスタチン/Lipitor(商標))およびフィブレート(例えば、フェノフィブラート)などのコレステロール降下薬、
5)エストロゲン受容体調節薬および/またはエストロゲン作動薬および/またはエストロゲン拮抗薬、好ましくは、ラロキシフェンまたはラソフォキシフェン(その調製がWO96/21656に詳述されている(−)−シス−6−フェニル−5−[4−(2−ピロリジン−1−イル−エトキシ)−フェニル]−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−オール、および薬学的に許容できるその塩)、
6)PDE阻害薬、より詳細には、PDE2、3、4、5、7または8阻害薬、好ましくは、PDE2またはPDE5阻害薬、最も好ましくは、PDE5阻害薬(本明細書の以下を参照)(前記阻害薬は、100nM未満のそれぞれの酵素に対するIC50を有することが好ましい(ただし、PDE3および4阻害薬は、男性勃起機能障害を治療するために、陰茎へ局所的に、または陰茎への注射によってのみ投与される))、
7)より詳細には、血管作用性小腸タンパク質(VIP)受容体サブタイプVPAC1、VPACまたはPACAP(下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド)のうちの1種または複数、VIP受容体作動薬もしくはVIP類似体(例えば、Ro−125−1553)またはVIP断片のうちの1種または複数、α−アドレナリン受容体拮抗薬とVIPの組合せ(例えば、インビコルプ(Invicorp)、アビプタジル)のうちの1種または複数により仲介されるVIP、VIPミメティック、VIP類似体、
8)セロトニン受容体の作動薬、拮抗薬または調節薬、より詳細には、WO−09902159、WO−00002550および/またはWO−00028993に記載されているものを包含する5HT1A(VML 670[WO02/074288]およびフリバンセリン[WO2003/0104980]を包含する)、5HT2A、5HT2C、5HT3および/または5HT6受容体の作動薬、拮抗薬または調節薬、
9)テストステロン補充薬(デヒドロアンドロステンジオンを包含する)、テストステロン(例えば、Tostrelle(商標)、LibiGel(商標))、ジヒドロテストステロンまたはテストステロンインプラント、
10)選択的アンドロゲン受容体調節薬、例えば、LGD−2226、
11)エストロゲン、エストロゲンおよびメドロキシプロゲステロンもしくはメドロキシプロゲステロンアセテート(MPA)(すなわち、組合せとして)、またはエストロゲンおよびメチルテストステロンホルモン補充療法薬(例えば、HRT、特に、プレマリン、セネスチン、エストロフェミナール(Oestrofeminal)、エクイン(Equin)、エストレース、エストロフェム、エレステソロ(Elleste Solo)、エストリング、エストラデルム(Eastraderm)TTS、エストラデルムマトリックス、デルメストリル(Dermestril)、プリンフェーゼ、プレンプロ、プレンパク(Prempak)、プレミク(Premique)、エストラテスト、エストラテストHS、チボロン)、
12)ブプロピオン、GW−320659などの、ノルアドレナリン、ドーパミンおよび/またはセロトニンのトランスポーターの調節薬、
13)オキシトシン/バソプレシン受容体の作動薬または調節薬、好ましくは、選択的なオキシトシンの作動薬または調節薬、
14)ドーパミン受容体の作動薬または調節薬、好ましくは、D3またはD4の選択的な作動薬または調節薬、例えば、アポモルフィン、ならびに
15)抗嘔吐薬、例えば、5−HT拮抗薬またはニューロキニン1(NK−1)拮抗薬
を包含する。
【0112】
適当な5−HT拮抗薬は、グラニセトロン、オンダンセトロン、トロピセトロン、ラモセトロン、パロンセトロン(palonsetron)、インジセトロン、ドラセトロン、アロセトロンおよびアザセトロンを包含するが、それらに限定されるものではない。
【0113】
適当なNK−1拮抗薬は、アプレピタント、カソピタント、エズロピタント、シラピタント(cilapitant)、ネツピタント、ベスチピタント、ボホピタントおよび2−(R)−(1−(R)−3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル)エトキシ−4−(5−(ジメチルアミノ)メチル−1,2,3−トリアゾール−4−イル)メチル−3−(S)−(4−フルオロフェニル)モルホリンを包含するが、それらに限定されるものではない。例えば、国際特許出願公開番号WO2006/049933を参照されたい。
【0114】
下部尿路機能障害を治療するための本発明の化合物の使用に特に関連して、他の薬剤との組合せは、
・トルテロジンなどのムスカリン性アセチルコリン受容体拮抗薬、
・αアドレナリン作動性受容体拮抗薬、特に、α1アドレナリン作動性受容体拮抗薬またはα2アドレナリン作動性受容体拮抗薬、
・αアドレナリン作動性受容体の作動薬または部分作動薬、特に、α1アドレナリン作動性受容体の作動薬もしくは部分作動薬、またはα2アドレナリン作動性受容体の作動薬もしくは部分作動薬、
・5HT2C作動薬(WO2004/096196を参照)、
・セロトニンおよびノルアドレナリン再取込み阻害薬(SNRI)、
・そのラセミ形態か(S,S)鏡像異性形態のいずれかの、レボキセチンなどのノルアドレナリン再取込み阻害薬(NRI)、
・カプサイシンなどのバニロイド受容体(VR)拮抗薬、
・ガバペンチンまたはプレガバリンなどのα2δリガンド、
・β3アドレナリン作動性受容体作動薬、
・5HT1a受容体拮抗薬または5HT1a受容体逆作動薬、
・プロスタノイド受容体拮抗薬、例えば、EP1受容体拮抗薬
を包含するが、それらに限定されるものではない。
【0115】
肥満症および関連障害の治療における式(I)の化合物の使用に関して、化合物は、他の抗肥満薬と併せて有用である可能性もある。適当な抗肥満薬は、カンナビノイド1(CB−1)受容体拮抗薬(リモナバントなど)、アポリポタンパク質B分泌/ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質(アポB/MTP)阻害薬(特に、エジパタピド(edipatapide)またはジルロタピド(dirlotapide)などの腸選択的MTP阻害薬)、11β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1(11β−HSD1型)阻害薬、ペプチドYY3−36およびその類似体、コレシストキニンA(CCK−A)作動薬、モノアミン再取込み阻害薬(シブトラミンなど)、交感神経興奮作用薬、βアドレナリン作動性受容体作動薬、ドーパミン受容体作動薬(ブロモクリプチンなど)、メラノサイト刺激ホルモン受容体類似体、5HT2c受容体作動薬、メラニン凝集ホルモン拮抗薬、レプチン(OBタンパク質)、レプチン類似体、レプチン受容体作動薬、ガラニン拮抗薬、リパーゼ阻害薬(テトラヒドロリプスタチン、すなわちオルリスタットなど)、食欲抑制薬(ボンベシン作動薬など)、ニューロペプチドY受容体拮抗薬(特に、NPY−5受容体拮抗薬)、甲状腺ホルモン様薬、デヒドロエピアンドロステロンまたはその類似体、グルココルチコイド受容体の作動薬または拮抗薬、オレキシン受容体拮抗薬、グルカゴン様ペプチド−1受容体作動薬、毛様体神経栄養因子(Regeneron Pharmaceuticals,Inc.、Tarrytown、NYおよびProcter & Gamble Company、Cincinnati、OHから入手可能なAxokine(商標)など)、ヒトアグーチ関連タンパク(AGRP)阻害薬、グレリン受容体拮抗薬、ヒスタミン3受容体の拮抗薬または逆作動薬、ニューロメディンU受容体作動薬などを包含する。本明細書で以下に示される好ましい薬剤を包含する他の抗肥満薬は、よく知られているか、当業者にとって、本開示に照らして容易に明らかであろう。本発明の化合物は、血漿コレステロールレベルを下げるように働く天然に存在する化合物と組み合わせて投与することもできる。そのような天然に存在する化合物は、栄養補助食品と一般的に呼ばれ、例えば、ニンニク抽出物、フーディア(Hoodia)植物抽出物、およびナイアシンを包含する。CB−1拮抗薬、腸選択的MTP阻害薬、オルリスタット、シブトラミン、ブロモクリプチン、エフェドリン、レプチン、ペプチドYY3−36およびその類似体、ならびにプソイドエフェドリンからなる群より選択される抗肥満薬が特に好ましい。肥満および関連状態を治療するための本発明の化合物および併用療法は、運動および賢明な食事と併せて投与されることが好ましい。好ましいCB−1拮抗薬は、米国特許第5,624,941号に記載されているリモナバント(Sanofi−Synthelaboから入手可能な商品名Acomplia(商標)でも知られているSR141716A)、ならびに米国特許第5,747,524号、第6,432,984号および第6,518,264号;米国特許公開番号US2004/0092520、US2004/0157839、US2004/0214855、およびUS2004/0214838;2004年10月22日出願の米国特許出願番号第10/971599号;およびPCT特許公開番号WO02/076949、WO03/075660、WO04/048317、WO04/013120、およびWO04/012671に記載されている化合物を包含する。好ましい腸選択的MTP阻害薬は、米国特許第6,720,351号に記載されているジルロタピド;米国特許第5,521,186号および第5,929,075号に記載されている4−(4−(4−(4−((2−((4−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−3−イルチオ)メチル)−2−(4−クロロフェニル)−1,3−ジオキソラン−4−イル)メトキシ)フェニル)ピペラジン−1−イル)フェニル)−2−sec−ブチル−2H−1,2,4−トリアゾール−3(4H)−オン(R103757);および米国特許第6,265,431号に記載されているインプリタピド(BAY13−9952)を包含する。本発明の組合せ、医薬組成物、および方法において使用するための他の代表的抗肥満薬は、当業者に知られている方法を使用して調製することができ、例えば;シブトラミンは、米国特許第4,929,629号に記載されているように調製することができ;ブロモクリプチンは、米国特許第3,752,814号および第3,752,888号に記載されているように調製することができ;オルリスタットは、米国特許第5,274,143号;第5,420,305号;第5,540,917号;第5,643,874号に記載されているように調製することができ;PYY3−36(類似体を包含する)は、米国公開番号2002/0141985およびWO03/027637に記載されているように調製することができる。
【0116】
本明細書における1つの好ましい群は、本発明の化合物とPDE5阻害薬;NEP阻害薬;D3またはD4選択的作動薬または調節薬;エストロゲン受容体調節薬および/またはエストロゲン作動薬および/またはエストロゲン拮抗薬;テストステロン補充薬、テストステロンまたはテストステロンインプラント;エストロゲン、エストロゲンおよびメドロキシプロゲステロンもしくはメドロキシプロゲステロンアセテート(MPA)、またはエストロゲンおよびメチルテストステロンホルモン補充療法薬から選択される1つまたは複数の追加の治療薬の組合せである。
【0117】
MEDを治療するための好ましい組合せは、本発明の化合物と1つまたは複数のPDE5阻害薬および/またはNEP阻害薬の組合せである。
【0118】
FSDを治療するための好ましい組合せは、本発明の化合物とPDE5阻害薬、ならびに/または5HT1a受容体拮抗薬、ならびに/またはNEP阻害薬、ならびに/またはD3もしくはD4選択的作動薬もしくは調節薬、ならびに/またはエストロゲン受容体調節薬、エストロゲン作動薬、エストロゲン拮抗薬、ならびに/またはテストステロン補充薬、テストステロン、テストステロンインプラント、ならびに/またはエストロゲン、エストロゲンおよびメドロキシプロゲステロンもしくはメドロキシプロゲステロンアセテート(MPA)、エストロゲンおよびメチルテストステロンホルモン補充療法薬の組合せである。
【0119】
MEDまたはFSDを治療するためのそのような組合せ製品について特に好ましいPDE5阻害薬は、5−[2−エトキシ−5−(4−メチル−1−ピペラジニルスルホニル)フェニル]−1−メチル−3−n−プロピル−1,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン(シルデナフィル、特に、クエン酸塩として存在する)、
(6R,12aR)−2,3,6,7,12,12a−ヘキサヒドロ−2−メチル−6−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−ピラジノ[2’,1’:6,1]ピリド[3,4−b]インドール−1,4−ジオン(IC−351またはタダラフィル)、
2−[2−エトキシ−5−(4−エチル−ピペラジン−1−イル−1−スルホニル)−フェニル]−5−メチル−7−プロピル−3H−イミダゾ[5,1−f][1,2,4]トリアジン−4−オン(バルデナフィル)、
5−(5−アセチル−2−ブトキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−エチル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、
5−(5−アセチル−2−プロポキシ−3−ピリジニル)−3−エチル−2−(1−イソプロピル−3−アゼチジニル)−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、
5−[2−エトキシ−5−(4−エチルピペラジン−1−イルスルホニル)ピリジン−3−イル]−3−エチル−2−[2−メトキシエチル]−2,6−ジヒドロ−7H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−7−オン、
4−[(3−クロロ−4−メトキシベンジル)アミノ]−2−[(2S)−2−(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−イル]−N−(ピリミジン−2−イルメチル)ピリミジン−5−カルボキサミド(アバナフィル)、
3−(1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−6,7−ジヒドロ−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−N−[2−(1−メチルピロリジン−2−イル)エチル]−4−プロポキシベンゼンスルホンアミド(ウデナフィル)、
7−(3−ブロモ−4−メトキシ−ベンジル)−1−エチル−8−(2−ヒドロキシ−シクロペンチルアミノ)−3−(2−ヒドロキシ−エチル)−3,7−ジヒドロ−プリン−2,6−ジオン(ダサンタフィル)、
および薬学的に許容できるそれらの塩である。
【0120】
MEDまたはFSDを治療するためのそのような組合せ製品について特に好ましいNEP阻害薬は、WO02/079143に例示されている化合物である。
【0121】
本発明者らは、本発明に従って使用することができる特許および特許出願に含有される化合物への本明細書における相互参照により、特許請求の範囲(特に、請求項1の)および具体的な実施例に定義されている治療的に活性な化合物を意味する(それらはすべて、参照により本明細書に組み込まれる)。
【0122】
活性薬の組合せが投与される場合、それらは、同一であっても異なっていてもよい製剤で、同時に、別個に、または順次に投与することができる。
【0123】
生物学的アッセイ
メラノコルチン受容体作動薬活性;選択性
メラノコルチン受容体1型および3型(MC1およびMC3)に対する化合物のインビトロ作動薬効力(EC50)の測定
作動薬によるメラノコルチン(MC)受容体の活性化は、第2のメッセンジャーシグナル伝達分子、アデノシン3’,5’環状一リン酸(cAMP)を合成する細胞内アデニル酸シクラーゼ酵素の活性化をもたらす。組換え型のMC1およびMC3細胞系を試験化合物で処理した後のcAMPレベルの変化を測定し、MC1およびMC3の効力推定値(EC50)を下記の通り計算した。
【0124】
それぞれ、ヒトMC1またはMC3受容体をコードする完全長cDNAが安定にトランスフェクトされたヒト胚腎臓(HEK)細胞系またはチャイニーズハムスター卵巣細胞系を、標準的な分子生物学的方法を使用して確立した。試験化合物を、4mMにてジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解した。典型的には50uMから出発して、試験化合物の11点の半対数単位で増加する連続希釈物を、リン酸緩衝溶液(PBS)、2.5%DMSOおよび0.05%プルロニックF−127界面活性剤からなる緩衝液中で調製した。80〜90%の集密度にある新たに培養した細胞を収集し、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)に再懸濁した。細胞(MC3については10,000個、MC1については20,000個)を、384ウェルアッセイプレート中の試験化合物連続希釈物に加え、37℃にて1時間にわたってインキュベートした。次いで、各ウェルにおける相対的なcAMP濃度を、GE Healthcare/Amersham Biosciences UKからDiscoverx cAMP IIキットとしてキット形態で購入したβ−ガラクトシダーゼ酵素断片相補法を使用して測定した。MC1の場合には、アッセイのために細胞を再懸濁している時に、3−イソブチル−1−メチルキサンチン(IBMX)を750μMの濃度でDMEM中に包含していた。各アッセイウェルから取得した蛍光読取り値を、最大効果を与えることが立証されているαメラノサイト刺激ホルモンの濃度に相当する最大対照ウェルと比較して効果パーセントに変換した。シグモイド曲線を、SIGHTSと呼ばれる特別注文のソフトウェアアプリケーションを使用してlog10阻害薬濃度対効果パーセントのプロットにフィットさせ、EC50推定値を、そのソフトウェアにより、シグモイド用量反応曲線の下部漸近線と上部漸近線の中間の効果を与える試験化合物の濃度として決定した。各実験は、アッセイの一貫性を追跡し、異なる実験で得られるEC50推定値間の公正な比較を可能にするために標準として使用されるαメラノサイト刺激ホルモンについてのEC50測定を包含していた。
【0125】
MC5およびMC4 EC50活性は、US2005/0176772(28〜30ページ)における、それぞれアッセイプロトコルDおよびEにより記載されているように決定した。
【0126】
MC4受容体におけるNle4、D−Phe7−α−MSH阻害
Nle4、D−Phe7−α−MSHは、メラノサイト刺激ホルモン(MSH)の安定な類似体であり、MC4受容体(MC4R)の作動薬である。化合物を、[125I]Nle4、D−Phe7−α−MSHに対する競合結合アッセイを使用し、MC4Rを発現する細胞由来の膜にNle4、D−Phe7−α−MSHが結合するのを阻害するそれらの能力について評価することができる。
【0127】
MCR4を発現する細胞をホモジナイズし、膜断片を分画遠心法により単離した。CHO−CRE MC4R細胞膜を、2時間にわたってPVT−PEI−WGA SPA Beads A型とカップリングさせ、5分間1000RPMにて遠心機にかけ、ビーズ300ug/ml(ウェル当たり膜0.15ug、ビーズ15ug)の濃度まで懸濁させた。ビーズ/膜ミックスを、ウェル当たり緩衝液(25mM HEPES、1mM MgCl、2.5mM CaCl、1%Pluronic F68、完全EDTAプロテアーゼ阻害薬1錠/50ml pH7)50μlの総体積で、二つ組で、0.06nM[125I]Nle4、D−Phe7−α−MSHおよび11段階の半対数濃度の競合物質リガンドと共にインキュベートした。非特異的結合は、100nM SHU9119を含めることにより決定した。反応を、ビーズ/膜の添加により開始させ、プレートを、12時間(最初の1時間はプレートシェーカー上で)にわたって室温にてインキュベートし、その後、存在する放射能の量を、Wallacプレートカウンターを使用して決定した。Ki値は、適切なソフトウェアを使用してデータ解析により決定した。
【0128】
MC3受容体におけるNle4、D−Phe7−α−MSH阻害
Nle4、D−Phe7−α−MSHは、メラノサイト刺激ホルモン(MSH)の安定な類似体であり、MC3受容体(MC3R)の作動薬である。化合物を、[125I]Nle4、D−Phe7−α−MSHに対する競合結合アッセイを使用し、MC3Rを発現する細胞由来の膜にNle4、D−Phe7−α−MSHが結合するのを阻害するそれらの能力について評価することができる。
【0129】
MC3Rを発現する細胞をホモジナイズし、膜断片を分画遠心法により単離した。CHO−CRE MC3R細胞膜を、2時間にわたってPVT−PEI−WGA SPA Beads A型とカップリングさせ、5分間1000RPMにて遠心機にかけ、ビーズ800ug/ml(ウェル当たり膜1.2ug、ビーズ40ug)の最終アッセイ濃度まで懸濁させた。ビーズ/膜ミックスを、ウェル当たり緩衝液(25mM HEPES、1mM MgCl、2.5mM CaCl、1%Pluronic F68、完全EDTAプロテアーゼ阻害薬1錠/50ml pH7)50μlの総体積で、二つ組で、0.06nM[125I]Nle4、D−Phe7−α−MSHおよび11段階の半対数濃度の競合物質リガンドと共にインキュベートした。非特異的結合は、100nM SHU9119を含めることにより決定した。反応を、ビーズ/膜の添加により開始させ、プレートを、12時間(最初の1時間はプレートシェーカー上で)にわたって室温にてインキュベートし、その後、存在する放射能の量を、Wallacプレートカウンターを使用して決定した。Ki値は、適切なソフトウェアを使用してデータ解析により決定した。
【0130】
高密度薬物間相互作用(DDI)3μMカクテルスクリーン
薬物相互作用は、ある物質が別の薬物の活性に影響を及ぼす、すなわち、効果が増加または減少するか、それらが一緒に、どちらもそれだけでは生じない新たな効果を生じる状況である。薬物相互作用は、様々なプロセスの結果であり得るが、比較的一般的なものは、一方の薬物が、それを代謝するシトクロムP450を阻害することにより他方の薬物の薬物動態に影響を及ぼす場合である。それらの現象の重要性のため、新規化学物質(NCE)についてのDDI潜在性の評価は、創薬プロセスにおける早い段階で重要と見なされる。
【0131】
ヒト肝ミクロソーム(HLM)におけるDDIカクテルスクリーンは、全自動で実行され、スクリーンの目標は、4種の主要なシトクロムP450酵素、1A2、2D6、2C9および3A4に対する新規化学物質(NCE;3Mにて試験される)のDDI潜在性の一点評価を提供することである。
【0132】
P450 DDIの基質カクテルアプローチは、アイソフォーム特異的な臨床薬物プローブと一緒にヒト肝ミクロソームを利用し、単一のインキュベーションにおけるP450 1A2、2C9、2D6および3A4活性の阻害の同時測定を可能にする。これは、LC−MS/MSによる代謝産物の同時検出と共にハイスループットで実行される。この方法は、標準化合物を使用して十分に試験および評価されている。使用されるプローブ基質を以下の表に示す。
【0133】
【表1】

【0134】
各基質の代謝産物の出現を、3μMの濃度にてNCE(試験化合物/阻害薬)の存在下および非存在下で経時的に測定する。化合物を、百分率値としてそれらの阻害能力について評価し、下記のスキームを使用して解釈する。次いで、これらのデータを、他の測定と併せて使用し、NCEの適合性を評価し、化合物の設計および進歩に役立てる。
【0135】
【表2】

【0136】
インビトロ代謝率決定(ヒト肝ミクロソーム(HLM);ラット肝ミクロソーム(RLM)アッセイ)
多くの薬物は、シトクロムP450モノオキシゲナーゼ系により代謝される。この酵素は、肝臓に高濃度で見いだされ、肝細胞の小胞体に結合している。この酵素系は、肝ミクロソーム画分の調製により半精製状態で得ることができる。そのような系で化合物のインビトロ半減期を決定することは、代謝安定性の有用な指標を提供する。
【0137】
材料および試薬
すべての試薬は、ANALARグレードである。
1.200mMリン酸緩衝液(Sigma)−1Mリン酸緩衝液pH7.4 100mlを、MilliQ水400mlで溶解する。必要ならば、pHを、濃オルトリン酸でpH7.4に調整し、毎月作製し、冷蔵保存(2〜8℃)するべきである。
2.0.1M MgCl2.6HO(BDH)−2.032gを、MilliQ水100mlに溶解し、冷蔵保存(2〜8℃)する。
3.0.02M NADP(Sigma)−15.3mgを、MilliQ水1000μlに溶解し、次いで、さらなる使用のために冷蔵保存(2〜8℃)する。
4.0.1M D−Lイソクエン酸(Sigma)−129mgを、MilliQ水5mlに溶解し、次いで、さらなる使用のために冷蔵保存(2〜8℃)する。
5.イソクエン酸デヒドロゲナーゼ、Type IV(Sigma)−冷蔵保存(2〜8℃)する。
6.メタノール、エタノールなどの混和性有機溶媒または水中の基質のストック溶液(約1mg/ml)、冷蔵保存(2〜8℃)する。
7.50mM p−ニトロアニソール(PNA)(Aldrich)−7.65mgを、メタノール1mlに溶解し、使用の準備ができるまで冷蔵保存(2〜8℃)する。
8.50μM p−ニトロフェノール(PNP)(Sigma)−0.69mgを、水100mlに溶解し、冷蔵保存(2〜8℃)する。
9.20%トリクロロ酢酸(TCA)(BDH)−20gを、MilliQ水100mlに溶解し、琥珀色のガラス器中で作製し、室温にて保存する。
10.10M水酸化ナトリウム(BDH)−40gを、MilliQ水100mlに溶解し(この反応は発熱性であることから、この溶液を調製する場合には注意するべきである)、「セーフブレイク(safebreak)」ガラス器中で作製し、室温にて保存する。
11.−80℃にて保存される肝ミクロソームまたはSupermixミクロソームは、使用の直前に解凍し、氷上に保ち、分注するべきである。
12.MilliQ水。
13.約37℃のインキュベーションにおける温度となるように設定されるサーモスタット制御の振盪水浴。
14.インキュベーションを終了させるための試薬(典型的には、有機溶媒、酸または塩基)。
【0138】
肝ミクロソームおよびSupermixミクロソームを使用するインビトロ率決定のための方法論
以下に概説される方法は、1.5mlの総インキュベーション体積に対するものである。
1.下記の混合物を、試験管中で調製する:
【0139】
【表3】

2.室温にてミクロソームを解凍し、インキュベーション1ml当たり0.5nmolのシトクロムP450最終濃度を得るのに十分なミクロソームを加え、例えば、1.5mlインキュベーションについては、添加されることになるミクロソームの体積は:
【0140】
【数1】

である。
3.1.425mlの総インキュベーション体積を得るのに十分なMilliQ水を加える。
4.インキュベーションミックス237.5μlを取り出し、PNA陽性対照用の試験管に入れる。PNA溶液2.5μlを加え、回転混合し(whirlimix)、サーモスタット制御の振盪水浴中のラックに管を差し込む。
5.無基質対照用に100μlを取り出し、試験管に分注する。サーモスタット制御の振盪水浴中のラックに試験管を入れる。
6.インキュベーションに基質を加える。基質は、1μMの初期濃度とするべきである。残りの1.162.5mlインキュベーションにおいて必要とされる基質の体積は、下記の通り計算される:
【0141】
【数2】

(注)添加される有機溶媒の体積は、総インキュベーション体積の0.1%を超えるべきではない。
7.インキュベーションミックス100μlを無補因子対照用の試験管中に取り出す。回転混合し、サーモスタット制御の振盪水浴中のラックに差し込む。
8.インキュベーションミックスを含有する試験管、また、陽性対照試験管および無補因子試験管を、約5分間37℃に設定されたサーモスタット制御の振盪水浴中でプレインキュベートする。
9.NADPを加えて反応を開始させ(各1.162.5mlインキュベーションミックスに75μl、陽性対照試験管に12.5μl、無基質試験管に5μl)、直ちに最初の時点を採取する。PNA陽性対照、無補因子対照および無基質試験管を、合計インキュベーション時間にわたってインキュベートする。
10.0〜60分の9個の異なるサンプリングポイント(通常は、0、3、5、10、15、20、30、45および60分)までアリコート100μlを取り出し、反応を終了させる。より長いインキュベーション時間を使用することができるが、120分後には、ミクロソームが変質する。反応は、有機溶媒、酸または塩基の添加により終了させることができる。インキュベーションプロセスが終わったら、無補因子および無基質対照を同じように、すなわち、同じ試薬で終了させる。
11.PNA陽性対照手順:
最終サンプルが採取された後、陽性対照を取り出し、この管に20%TCA1mlを加える。50μMにてPNP標準250μlを含有する試験管も調製し、20%TCA1mlを加える。両試験管を回転混合し、約5分間放置し、タンパク質を沈殿させる。
両試験管を、3500rpmに設定された機器で約5分間遠心分離する。上清1mlを取り出し、清浄な試験管に入れ、残りを廃棄する。
上清に10M NaOH1mlを加え、回転混合し、約5分間放置する。400nmにて蒸留水で分光光度計をブランク測定し、次いで、蒸留水に対するPNP標準の吸光度を測定する。ミクロソームの4−ニトロアニソールO−デメチラーゼ活性は、下記の通り計算される:
結果の計算
サンプル吸光度×標準におけるPNPのnmole(すなわち、12.5nmole)/PNP標準吸光度×60×0.125=nmole/分/nmol P450
インキュベーションによる活性値は、インキュベーションが妥当であるためには、使用されるバッチの平均値の85%以上でなければならない。この基準が満たされない場合、インキュベーションを繰り返さなければならない。
11.サンプル(無補因子および無基質対照を包含する)を、基質に特異的なアッセイにより分析し、消失動態を決定する。
【0142】
データの解析
上に記載されている手順を使用して得られるデータは、基質のインビトロ固有クリアランス(Clint)の観点から定量化することができる。基質濃度がKm未満である場合には、代謝は、一次であり、経時的な基質消失の対数線形プロットを与えるはずである。
【0143】
基質のインビトロ半減期は、相対基質濃度(例えば、薬物/内部標準比)の尺度の自然対数(ln)を時間に対してプロットし、最良適合線をこのデータにフィットさせることにより決定することができる。この線の勾配は、基質消失についての一次速度定数(k)であり、回帰分析により決定される。この速度定数を、下記の式に従って半減期に変換することができる。
【0144】
【数3】

【0145】
あるいは、速度定数を、下記の式に従って固有クリアランス(Clint)に変換することができる:
Clint(μl/分/mg)=(k/インキュベーションにおけるタンパク質濃度(mg/ml))1000
【0146】
投与方法
薬学的使用を意図した本発明の化合物は、結晶性または非晶性製品として投与することができる。本発明の化合物は、沈殿、結晶化、凍結乾燥、噴霧乾燥、または蒸発乾燥などの方法により、例えば、固体プラグ剤(solid plug)、散剤、またはフィルム剤として得ることができる。この目的には、マイクロ波または高周波乾燥を使用することができる。
【0147】
本発明の化合物は、単独で、または1種もしくは複数の本発明の他の化合物と組み合わせて、または1種もしくは複数の他の薬物と組み合わせて(または、それらの任意の組合せとして)投与することができる。一般的に、本発明の化合物は、1種または複数の薬学的に許容できる賦形剤と共に製剤として投与されるはずである。「賦形剤」という用語は、本明細書において、本発明の1種または複数の化合物以外の任意の成分について記載するのに使用される。賦形剤の選択は、特定の投与様式、溶解度および安定性に対する賦形剤の影響、ならびに剤形の性質などの要素によって大きく左右されるであろう。
【0148】
本発明の化合物を送達するのに適している医薬組成物およびそれらを調製するための方法は、当業者には容易に明らかであろう。そのような組成物およびそれらを調製するための方法は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第19版(Mack Publishing Company、1995)中に見いだすことができる。
【0149】
したがって、本発明は、式(I)の化合物および薬学的に許容できる希釈剤または担体を含む医薬組成物を提供する。
【0150】
有効な用量の本発明の化合物を哺乳動物、特にヒトへ提供するために、任意の適当な投与経路を用いることができる。例えば、経口(口腔内および舌下投与を包含する)、直腸、局所、非経口、眼、肺、鼻などを用いることができる。剤形は、錠剤、トローチ剤、分散剤、懸濁剤、液剤、カプセル剤、クリーム剤、軟膏剤、エアゾール剤などを包含する。式(I)の化合物は、経口的にまたは鼻腔内に投与されることが好ましい。
【0151】
用いられる活性成分の有効な用量は、用いられる特定の化合物、投与の様式、治療されることになる哺乳動物の特性(例えば、体重)、治療されている状態および治療されている状態の重症度によって異なることがある。そのような用量は、当業者が容易に確認することができる。
【0152】
性機能障害の治療の場合、本発明の化合物は、好ましくは経口で単一投与量として、または鼻内スプレーとして、体重1kg当たり約0.001ミリグラム(mg)〜約1000mg、好ましくは、約0.001mg〜約500mg、より好ましくは、約0.001mg〜約100mg、より好ましくは、約0.001mg〜約50mg、特に約0.002mg〜約25mgの投与量範囲で与えられる。例えば、経口投与は、約0.1mg〜約1000mgの1日総投与量を必要とすることがあるが、静脈内投与量は、約0.001mg〜約100mgを必要とするに過ぎないことがある。1日総投与量は、単一投与量または分割投与量で投与することができ、医師の判断で、本明細書に示される典型的な範囲から外れることがある。
【0153】
糖尿病および/または高血糖症と併せて、または単独で、肥満症を治療する場合、一般的に、満足のいく結果は、本発明の化合物が、好ましくは、単一投与量もしくは1日当たり2〜6回の分割投与量か、持続放出形態で与えられる、動物体重1kg当たり約0.0001mg〜約1000mg、好ましくは、約0.001mg〜約500mg、より好ましくは、約0.005mg〜約100mg、特に、約0.005mg〜約50mgの1日総投与量で投与される場合に得られる。70kgの成人したヒトの場合、1日総投与量は、一般的に、約0.7mg〜約3500mgであろう。この用量レジメンは、最適な治療応答を提供するために調整することができる。
【0154】
糖尿病および/または高血糖症、ならびに式Iの化合物が有用である他の疾患または障害を治療する場合、一般的に、満足のいく結果は、本発明の化合物が、好ましくは、単一投与量もしくは1日当たり2〜6回の分割投与量か、持続放出形態で与えられる、動物体重1kg当たり約0.001mg〜約100mgの1日用量で投与される場合に得られる。70kgの成人したヒトの場合、1日総投与量は、一般的に、約0.07mg〜約350mgであろう。この用量レジメンは、最適な治療応答を提供するために調整することができる。
【0155】
これらの用量は、約65kg〜70kgの体重を有する平均的なヒト対象に基づいている。医師は、乳児、高齢者および肥満者などの、体重がこの範囲から外れている対象に対する投与量を容易に決定することができるであろう。
【0156】
本発明の化合物は、経口で投与することができる。経口投与は、化合物が胃腸管に入るように嚥下すること、および/または、化合物が口から直接血流に入る口腔、舌もしくは舌下投与を含み得る。
【0157】
経口投与に適している製剤は、錠剤;多粒子剤もしくはナノ粒子剤、液剤、または散剤を含有する軟質または硬質カプセル剤;ロゼンジ剤(液体入りを包含する);咀嚼剤(chew);ゲル剤;速分散性剤形;フィルム剤;膣坐剤;噴霧剤;および口腔/粘膜付着性パッチ剤などの固形、半固形および液体系を包含する。
【0158】
液体製剤は、懸濁剤、溶液剤、シロップ剤およびエリキシル剤を包含する。そのような製剤は、軟質または硬質カプセル剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製の)における充填剤として用いることができ、典型的には、担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適当な油、ならびに1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤は、例えばサシェから、固形物の再構成により調製することもできる。
【0159】
本発明の化合物は、LiangおよびChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents、11(6)、981〜986(2001)に記載されている剤形などの速溶解性、速崩壊性剤形においても使用することができる。
【0160】
錠剤剤形の場合、投与量に応じて、薬物は、剤形の1重量%〜80重量%、より典型的には、剤形の5重量%〜60重量%を占めることができる。薬物の他に、錠剤は、一般的に、崩壊剤を含有する。崩壊剤の例は、デンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶性セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、アルファ化デンプンおよびアルギン酸ナトリウムを包含する。一般的に、崩壊剤は、剤形の1重量%〜25重量%、好ましくは、5重量%〜20重量%を占めるものとする。
【0161】
一般的に、錠剤製剤に凝集性を付与するために結合剤が使用される。適当な結合剤は、微結晶性セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成ゴム、ポリビニルピロリドン、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロースならびにヒドロキシプロピルメチルセルロースを包含する。錠剤は、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水など)、マンニトール、キシリトール、ブドウ糖、スクロース、ソルビトール、微結晶性セルロース、デンプンおよび二塩基性リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤を含有することもある。
【0162】
また、錠剤は、ラウリル硫酸ナトリウムおよびポリソルベート80などの界面活性剤、ならびに二酸化ケイ素およびタルクなどの流動促進剤を含んでいてもよい。存在する場合、界面活性剤は、錠剤の0.2重量%〜5重量%を占め、流動促進剤は、錠剤の0.2重量%〜1重量%を占めることがある。
【0163】
また、錠剤は、一般的に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、およびステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物などの滑沢剤を含有する。滑沢剤は、一般的に、錠剤の0.25重量%〜10重量%、好ましくは、0.5重量%〜3重量%を占める。
【0164】
他の考えられる成分は、抗酸化剤、着色剤、矯味剤、保存剤および味覚マスキング剤を包含する。
【0165】
例示的錠剤は、薬物約80%まで、結合剤約10重量%〜約90重量%、希釈剤約0重量%〜約85重量%、崩壊剤約2重量%〜約10重量%、および滑沢剤約0.25重量%〜約10重量%を含有する。
【0166】
錠剤ブレンドを直接、またはローラーにより圧縮し、錠剤を成形することができる。あるいは、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部を、打錠前に湿式、乾式、もしくは融解式造粒するか、融解式凝結させるか、または押し出すことができる。最終製剤は、1つまたは複数の層を含み、コーティングされていてもされていなくてもよく、カプセル化されてもよい。
【0167】
錠剤の製剤化は、H.LiebermanおよびL.LachmanによるPharmaceutical Dosage Forms:Tablets、第1巻(Marcel Dekker、New York、1980)中で論じられている。
【0168】
ヒトまたは動物使用のための可食経口フィルム剤は、典型的には、速溶解性であるか、粘膜付着性であってよい柔軟な水溶性または水膨潤性の薄膜剤形であり、典型的には、式(I)の化合物、フィルム形成ポリマー、結合剤、溶媒、湿潤剤、可塑剤、安定剤または乳化剤、粘度調整剤および溶媒を含む。製剤の一部の構成成分は、2つ以上の機能を果たすことがある。
【0169】
式(I)の化合物は、水溶性または不溶性であってよい。水溶性化合物は、典型的には、溶質の1重量%〜80重量%、より典型的には、20重量%〜50重量%を占める。難溶性化合物は、組成物の大部分、典型的には、溶質の88重量%までを占めてもよい。あるいは、式(I)の化合物は、多粒子ビーズの形態であってよい。
【0170】
フィルム形成ポリマーは、天然多糖、タンパク質、または合成親水コロイドから選択することができ、典型的には、0.01〜99重量%の範囲、より典型的には、30〜80重量%の範囲で存在する。
【0171】
他の考えられる成分は、抗酸化剤、着色剤、香味料および調味料、保存剤、唾液刺激剤、冷却剤、共溶媒(油を包含する)、緩和剤、充填剤、消泡剤、界面活性剤および味覚マスキング剤を包含する。
【0172】
本発明によるフィルム剤は、典型的には、剥離可能な裏打用の支持体または紙の上にコーティングされた薄い水性フィルムを蒸発乾燥させることにより調製される。これは、乾燥炉またはトンネル乾燥機、典型的には、複合コーター乾燥機中で、または凍結乾燥もしくは真空吸引により行うことができる。
【0173】
経口投与のための固形製剤は、即時放出および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出を包含する。
【0174】
本発明の目的に適している調節放出製剤については、米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散剤ならびに浸透および被覆粒子剤などの他の適当な放出技術の詳細は、VermaらによるPharmaceutical Technology On−line、25(2)、1〜14(2001)中に見いだすことができる。制御放出を実現するためのチューインガムの使用については、WO00/35298に記載されている。
【0175】
本発明の化合物は、血流中、筋肉中、または内臓中に直接投与することもできる。非経口投与に適している手段は、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、滑膜内および皮下を包含する。非経口投与に適している装置は、針(極微針を包含する)注射器、無針注射器および注入技法を包含する。
【0176】
非経口製剤は、典型的には、塩、炭水化物および緩衝剤(3〜9のpHが好ましい)などの賦形剤を含有してもよい水溶液であるが、一部の用途については、滅菌非水溶液として、または乾燥形態として製剤化し、滅菌した発熱物質を含まない水などの適当なビヒクルと併せて使用することがより適当である。
【0177】
無菌条件下、例えば、凍結乾燥による非経口製剤の調製は、当業者によく知られている標準的製薬技法を使用して容易に行うことができる。
【0178】
非経口液剤の調製において使用される式(I)の化合物の溶解性は、溶解性促進剤の組入れなどの適切な製剤技法の使用により高めることができる。
【0179】
非経口投与のための製剤は、即時放出および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出を包含する。すなわち、本発明の化合物は、懸濁液として、または活性化合物の調節放出を提供する埋込型デポー剤として投与するための固形、半固形、もしくはチキソトロピックな液体として製剤化することができる。そのような製剤の例は、薬物をコーティングしたステントならびに薬物を充填したdl−乳酸/グリコール酸共重合体(poly(dl−lactic−coglycolic)acid)(PGLA)ミクロスフェアを含む半固形物および懸濁剤を包含する。
【0180】
本発明の化合物は、皮膚または粘膜へ局所的に、すなわち、皮膚(皮内)投与または経皮投与することもできる。この目的にとって典型的な製剤は、ゲル剤、ヒドロゲル剤、ローション剤、溶液剤、クリーム剤、軟膏剤、散布剤、包帯剤、フォーム剤、フィルム剤、皮膚用パッチ剤、ウエハー剤、インプラント剤、スポンジ剤、ファイバー剤、絆創膏剤およびマイクロエマルジョン剤を包含する。リポソーム剤も使用することができる。典型的な担体は、アルコール、水、鉱油、流動ワセリン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコールを包含する。透過促進剤を組み入れることができる。例えば、FinninおよびMorganによるJ Pharm Sci、88(10)、955〜958(1999年10月)を参照されたい。
【0181】
局所投与の他の手段は、エレクトロポレーション、イオントフォレーシス、フォノフォレーシス、ソノフォレーシスおよび極微針または無針(例えば、Powderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達を包含する。
【0182】
局所投与のための製剤は、即時放出および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出を包含する。
【0183】
また、本発明の化合物は、鼻腔内に、または吸入により、典型的には、乾燥粉末インヘイラーから乾燥粉末(単独で、例えば、ラクトースとの乾燥ブレンドにおける混合物として、または、例えば、ホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合された混合成分粒子として)の形態で、または1,1,1,2−テトラフルオロエタンもしくは1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適当な噴射剤の使用の有無に関わらず加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは、細かい霧を発生するための電気流体力学を用いるアトマイザー)、もしくはネブライザーからエアゾールスプレーとして、または点鼻薬として投与することができる。鼻腔内使用の場合、粉末は、生体接着剤、例えば、キトサンまたはシクロデキストリンを含むことができる。
【0184】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、例えば、エタノール、水性エタノール、または活性物質の分散、可溶化、もしくは延長放出のための適当な代替試剤、溶媒としての1種または複数の噴射剤およびソルビタントリオレエート、オレイン酸、またはオリゴ乳酸などの任意選択の界面活性剤を含む本発明の1種または複数の化合物の溶液または懸濁液を含有する。
【0185】
乾燥粉末または懸濁液製剤における使用に先立って、薬物製品は、吸入による送達に適しているサイズ(典型的には、5ミクロン未満)まで微粉化される。これは、スパイラルジェットミリング、流動床ジェットミリング、ナノ粒子を形成するための超臨界流体プロセシング、高圧均質化、または噴霧乾燥などの任意の適切な粉砕方法により行うことができる。
【0186】
インヘイラーまたはインサフレーターにおいて使用するためのカプセル剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製)、ブリスター剤およびカートリッジ剤は、本発明の化合物、ラクトースまたはデンプンなどの適当な粉末基剤およびl−ロイシン、マンニトール、またはステアリン酸マグネシウムなどの性能調節剤の粉末ミックスを含有するように製剤化することができる。ラクトースは、無水または一水和物の形態であってよく、後者であることが好ましい。他の適当な賦形剤は、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロースおよびトレハロースを包含する。
【0187】
細かい霧を発生するための電気流体力学を用いるアトマイザーにおいて使用するのに適している溶液製剤は、1動作につき本発明の化合物1μg〜20mgを含有することができ、動作容積は、1μlから100μlまでと様々であってよい。典型的な製剤は、式(I)の化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノールおよび塩化ナトリウムを含むことができる。プロピレングリコールの代わりに使用することができる代替溶媒は、グリセロールおよびポリエチレングリコールを包含する。
【0188】
吸入/鼻腔内投与を意図した本発明の製剤には、メントールおよびレボメントールなどの適当な香料、またはサッカリンもしくはサッカリンナトリウムなどの甘味料を添加することができる。
【0189】
吸入/鼻腔内投与のための製剤は、即時放出および/または、例えば、PGLAを使用する調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出を包含する。
【0190】
乾燥粉末インヘイラーおよびエアゾール剤の場合、用量単位は、一定量を送達するバルブにより決定される。本発明による単位は、典型的には、式(I)の化合物0.001mg〜10mgを含有する一定投与量または「パフ」を投与するように構成される。1日総投与量は、典型的には、単一投与量で、またはより一般的には1日を通して分割投与量として投与することができる0.001mg〜40mgの範囲にあるであろう。
【0191】
本発明の化合物は、例えば、坐薬、ペッサリー、または浣腸の形態で直腸または膣に投与することができる。カカオ脂は、伝統的な坐薬基剤であるが、必要に応じて様々な代替物を使用することができる。
【0192】
直腸/膣投与のための製剤は、即時放出および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出を包含する。
【0193】
本発明の化合物は、典型的には、等張性のpH調整した滅菌食塩水中の微粉末化された懸濁液または溶液の点滴剤の形態で、眼または耳に直接投与することもできる。眼および耳投与に適している他の製剤は、軟膏剤、ゲル剤、生分解性(例えば、吸収性ゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えば、シリコーン)インプラント剤、ウエハー剤、レンズ剤およびニオソームまたはリポソームなどの微粒子または小胞系を包含する。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸、セルロースポリマー、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖ポリマー、例えば、ゲラン(gelan)ガムなどのポリマーを、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤と一緒に組み入れることができる。そのような製剤は、イオントフォレーシスにより送達することもできる。
【0194】
眼/耳投与のための製剤は、即時放出および/または調節放出であるように製剤化することができる。調節放出製剤は、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的放出およびプログラム放出を包含する。
【0195】
本発明の化合物は、シクロデキストリンおよび適当なその誘導体またはポリエチレングリコール含有ポリマーなどの可溶性高分子と混ぜ合わせ、前述の投与様式のうちのいずれかにおいて使用するために、それらの溶解性、溶出速度、味覚マスキング、バイオアベイラビリティーおよび/または安定性を改善することができる。
【0196】
例えば、薬物シクロデキストリン複合体は、大部分の剤形および投与経路にとって一般的に有用であることが判明している。包接複合体と非包接複合体の両方を使用することができる。薬物との直接複合体化の代替法として、シクロデキストリンを、補助添加剤、すなわち担体、希釈剤、または可溶化剤として使用することができる。これらの目的のためにα−、β−およびγ−シクロデキストリンが最も一般的に使用され、その例は、国際特許出願第WO91/11172号、第WO94/02518号および第WO98/55148号中に見いだすことができる。
【0197】
例えば、特定の疾患または状態を治療する目的で、活性化合物の組合せを投与することが望ましいことがあるため、そのうちの少なくとも1つは本発明による化合物を含有する2つ以上の医薬組成物を、組成物の同時投与に適しているキットの形態で都合良く組み合わせることは、本発明の範囲内にある。
【0198】
したがって、本発明のキットは、そのうちの少なくとも1つは本発明による式(I)の化合物を含有する2つ以上の別々の医薬組成物および容器、分割ボトル、または分割ホイルパケットなどの前記組成物を別々に保持するための手段を含む。そのようなキットの例は、錠剤、カプセル剤などの包装に使用されるよく知られているブリスターパックである。
【0199】
本発明のキットは、異なる剤形を、例えば、経口および非経口で投与するのに、異なる投与間隔で別々の組成物を投与するのに、またはお互いに対して別々の組成物を用量設定するのに特に適している。コンプライアンスを補助するため、キットは、典型的には、投与説明書を含み、いわゆる記憶補助を提供することができる。
【0200】
本発明は、下記の略語および定義が使用される下記の非限定的な実施例により例示される:
AP3 自動精製
APCI 大気圧化学イオン化
Arbocel(登録商標) 濾過剤
br ブロードな
Celite(登録商標) 濾過剤
δ 化学シフト
d 二重線
dd 二重の二重線
DCM ジクロロメタン
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
EDCI 1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミド塩酸塩
EI エレクトロスプレーイオン化
EtOAc 酢酸エチル
h 時間
HATU ヘキサフルオロリン酸O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム
HBTU ヘキサフルオロリン酸2−{1H−ベンゾトリアゾール−1−イル}−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム
LRMS 低分解能質量スペクトル
m 多重線
m/z 質量:電荷比(質量スペクトルピーク)
min 分
NMR 核磁気共鳴
Prep 調製
RT 室温
s 一重線
TBTU テトラフルオロホウ酸2−{1H−ベンゾトリアゾール−1−イル}−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム
THF テトラヒドロフラン
t 三重線
【実施例】
【0201】
実施例1〜57は、スキーム1に従って調製した。
【0202】
(実施例1)
6−[(3S,4R)−3−{[4−アセチル−5−(4−メトキシフェニル)−1,4−ジアゾカン−1−イル]カルボニル}−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリダジン−3−カルボニトリル
【0203】
【化17】

DCM(5mL)中の調製例77の化合物(45mg、0.084mmol)の溶液に、ピリジン(27.3μL、0.338mmol)および塩化アセチル(12μL、0.169mmol)を加えた。反応混合物を、16時間にわたって室温にて撹拌した。出発材料が依然として存在したため、さらなるピリジン(13.65μL、0.169mmol)および塩化アセチル(6μL、0.084mmol)を加え、撹拌をさらに16時間にわたって続けた。反応物を真空中で濃縮し、次いで、EtOAc(20mL)で希釈し、5%クエン酸水溶液(20ml)で洗浄した。有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。ジクロロメタン:メタノール(100:0〜95:5〜90:10)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、黄色の泡としてエピマーの混合物として表題化合物43mg(89%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CD3OD) δ 1.2-2.2 (4H, br, m), 2.2
(3H, s), 3.0-4.5 (11H, m), 5.1 (m, 1H), 6.7-7.2 (7H, m), 7.7 (1H, m), 7.9 (1H,
m).
LRMS: m/z APCI+ 575 [MH+].
【0204】
(実施例2〜38)
これらの化合物は、適切なカルボン酸塩化物および表に列挙されているような適切な前駆体から出発して実施例1の方法により調製した。
【0205】
【表4−1】

【0206】
【表4−2】

【0207】
【表4−3】

【0208】
【表4−4】

【0209】
【表4−5】

【0210】
【表4−6】

【0211】
【表4−7】

【0212】
(実施例39)
6−[(3R,4S)−3−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−{[4−(メチルスルホニル)−5−フェニル−1,4−ジアゾカン−1−イル]カルボニル}ピロリジン−1−イル]ニコチノニトリル
【0213】
【化18】

DCM(5mL)中の調製例73の化合物(25mg、0.05mmol)の溶液に、トリエチルアミン(28μL、0.2mmol)および塩化メタンスルホニル(8μL、0.1mmol)を加えた。反応混合物を、72時間にわたって室温にて撹拌した。出発材料が依然として存在したため、触媒のDMAP(2mg)を加え、撹拌をさらに16時間にわたって続けた。反応物を、DCM(10mL)で希釈し、水(10ml)で洗浄した。有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。ジクロロメタン:メタノール(100:0〜95:5)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、白色の固体として表題化合物16mg(55%)が得られた。表題化合物は、単一のエピマーであるが、5−フェニル置換点における絶対立体配置は不明である。
1H NMR
(400 MHz, CD3OD) δ 1.2-2.2 (4H, br, m), 2.34
(3H, s), 2.39 (3H, s), 3.07 (1H, m),3.4-4.4 (12H, m), 6.61 (1H, t), 6.93 (2H,
m), 7.09 (1H, d), 7.35 (4H, m), 7.5 (1H, m), 7.73 (1H, m), 8.39 (1H, d). LRMS:
APCI+ m/z 580 [MH+].
【0214】
(実施例40〜43)
これらの化合物は、塩化メタンスルホニルおよび表に列挙されているような適切な前駆体を使用して実施例39の方法により調製した。
【0215】
【表5−1】

【0216】
【表5−2】

【0217】
(実施例44)
4−{[(3S,4R)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−8S−(4−クロロフェニル)−N,N−ジエチル−1,4−ジアゾカン−1−カルボキサミド
【0218】
【化19】

ピリジン(1mL)中の調製例70の化合物(40mg、0.082mmol)の溶液に、DMAP(50mg、0.41mmol)、および塩化ジエチルカルバモイル(0.103μL、0.82mmol)を加えた。反応混合物を、2時間にわたって120℃にてマイクロ波オーブン中で撹拌し、次いで、16時間かけて室温まで冷却した。反応物を、5%クエン酸溶液(10mL)を加えることにより希釈し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を、5%クエン酸溶液(10mL)、炭酸水素ナトリウム溶液(10ml)および食塩水(10ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮すると、粗残渣が得られ、AP3(rf2.68)により精製すると、表題化合物(15mg=31%収率)が得られた。LRMS: APCI+ m/z 589[MH+].
【0219】
(実施例45〜46)
これらの化合物は、適切な市販されている塩化カルバモイルおよび表に列挙されているような適切な前駆体を使用して実施例44の方法により調製した。
【0220】
【表6】

【0221】
(実施例47)
メチル8S−(4−クロロフェニル)−4−{[(3S,4S)−4−(5−クロロピリジン−2−イル)−1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレート
【0222】
【化20】

DCM(5mL)中の調製例82の化合物(40mg、0.074mmol)の溶液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(51μL、0.296mmol)およびクロロギ酸エチル(17μL、0.222mmol)を加えた。反応混合物を、16時間にわたって室温にて撹拌した。反応物を、炭酸カリウム溶液(10mL)を加えることにより希釈し、DCM(2×3mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。酢酸エチル:メタノール:0.88アンモニア(98:2:0.2から80:20:3までのグラジエント)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、黄色の泡として表題化合物37mg(83%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CD3OD) δ 1.10-1.30 (1H, m),
1.40-1.60 (1H, m), 1.70-1.80 (1H, m), 1.95-2.05 (1H, m), 2.10-2.25 (1H, m),
2.70-3.05 (2H, m), 3.35-4.10 (15H, m), 5.00-5.20 (1H, dd), 6.80-6.90 (1H, m),
6.95-7.05 (2H, m), 7.10-7.40 (4H, m), 7.60-7.70 (1H, m), 8.00-8.10 (1H, s).
LRMS: EI+ m/z 599 [MH+].
【0223】
(実施例48〜57)
これらの化合物は、適切な市販されているクロロホルメートおよび表に列挙されているような適切な前駆体を使用して実施例47の方法により調製した。
【0224】
【表7−1】

【0225】
【表7−2】

【0226】
【表7−3】

【0227】
実施例58〜65は、スキーム2に従って調製した。
【0228】
(実施例58)
6−[(3S,4R)−3−[5S−(4−クロロフェニル)−4−(3,3,3−トリフルオロプロパノイル)−1,4−ジアゾカン−1−イル]カルボニル}−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリダジン−3−カルボニトリル
【0229】
【化21】

DCM(1mL)中の調製例81の化合物(15mg、0.028mmol)の溶液に、トリエチルアミン(31μL、0.224mmol)、3,3,3−トリフルオロプロピオン酸(9mg、0.068mmol)およびHATU(32mg、0.084mmol)を加えた。反応混合物を、16時間にわたって室温にて撹拌した。反応物を、炭酸水素ナトリウム溶液(2mL)を加えることにより希釈し、DCM(2mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。AP3により精製すると、表題化合物3mg(17%)が得られた。AP3 Rf=3.5。LRMS: EI+ m/z 647[MH+].
【0230】
(実施例59)
1−{[(3S,4R)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−5S−(4−クロロフェニル)−4−(テトラヒドロ−2H−ピラン−4−イルカルボニル)−1,4−ジアゾカン
【0231】
【化22】

DCM(10mL)中の調製例70の化合物(30mg、0.061mmol)の溶液に、トリエチルアミン(43μL、0.43mmol)、塩化2−クロロ−1,3−ジメチルイミダゾリニウム(21mg、0.122mmol)およびテトラヒドロ−2H−ピラン−4−カルボン酸(40mg、0.31mmol)を加えた。反応混合物を、48時間にわたって室温にて撹拌した。反応物を、炭酸水素ナトリウム溶液(2mL)を加えることにより希釈し、分配された有機抽出物を真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。AP3により精製すると、表題化合物15mg(41%収率)が得られた(rf3.43)。LRMS: APCI+ m/z 602[MH+].
【0232】
(実施例60)
1−{[(3S,4R)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−5S−(4−クロロフェニル)−4−(1−メチルシクロプロピルカルボニル)−1,4−ジアゾカン
【0233】
【化23】

この化合物は、適切なカルボン酸および調製例70の化合物を使用して実施例59の方法により調製した。AP3により精製すると、表題化合物16.69mgが得られた(rf3.66)。LRMS: APCI+ m/z 572[MH+].
【0234】
(実施例61)
1−{[(3S,4R)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−5S−4−クロロフェニル)−4−[(3,3−ジフルオロシクロブチル)カルボニル]−1,4−ジアゾカン
【0235】
【化24】

DCM(10mL)中の調製例70の化合物(30mg、0.061mmol)の溶液に、トリエチルアミン(34μL、0.25mmol)、PS向山試薬(144mg、0.122mmol)および3,3−ジフルオロシクロブタンカルボン酸(8mg、0.061mmol)を加えた。反応混合物を、24時間にわたって室温にて撹拌した。反応物を濾過し、濾液を真空中で濃縮した。残渣を、炭酸水素ナトリウム溶液(15mL)を加えることにより希釈し、EtOAc(3×15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を真空中で濃縮すると、粗残渣が得られ、AP3(rf2.74)により精製すると、表題化合物1.6mg(4%収率)が得られた。LRMS: APCI+ m/z 608[MH+].
【0236】
(実施例62〜65)
これらの化合物は、適切なカルボン酸および表に列挙されているような前駆体を使用して実施例61の方法により調製した。
【0237】
【表8−1】

【0238】
【表8−2】

【0239】
実施例66〜105は、スキーム3に従って調製した。
【0240】
(実施例66)
メチル(8S−4−クロロフェニル)−4−{[(3S,4R)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)−1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレート
【0241】
【化25】

DCM(6mL)中の調製例60の化合物(200mg、0.470mmol)の懸濁液に、トリエチルアミン(197μL、1.41mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(83mg、0.542mmol)およびEDCI(113mg、0.589mmol)を加えた。反応混合物を、30分間室温にて撹拌した。次いで、調製例15aの化合物を加え、反応混合物を、16時間にわたって室温にて撹拌した。反応物を真空中で濃縮し、残渣を、EtOAc(20mL)とクエン酸溶液(10mL)の間で分配した。有機層を分離し、炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(純粋なジクロロメタンから95:5:0.5までのグラジエント)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、黄色の泡として表題化合物234mg(83%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CD3OD) δ 0.95-1.10 (1H, m),
1.45-1.60 (1H, m), 1.65-1.75 (1H, m), 1.90-2.05 (1H, m), 2.10-2.25 (1H, m),
2.35-2.50 (1H, m), 2.85-3.05 (1H, m), 3.30-4.10 (15H, m), 4.95-5.15 (1H, dd),
7.10-7.35 (4H, m), 6.95-7.05 (4H, m), 7.40-7.50 (1H, m). LRMS: EI+
m/z 600 [MH+].
【0242】
(実施例67〜97)
これらの化合物は、表に列挙されているような適切なカルボン酸および前駆体を使用して実施例66の方法により調製した。
【0243】
【表9−1】

【0244】
【表9−2】

【0245】
【表9−3】

【0246】
【表9−4】

【0247】
【表9−5】

【0248】
【表9−6】

【0249】
(実施例98)
メチル8S−(4−クロロフェニル)−4−{[(3S,4S)−4−(5−クロロピリジン−2−イル)−1−(6−シアノピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレート
【0250】
【化26】

DCM(3mL)中の調製例65の化合物(24mg、0.075mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(79μL、0.46mmol)、HBTU(47mg、0.13mmol)および調製例15aの化合物(40mg、0.13mmol)を加えた。反応混合物を、24時間にわたって室温にて撹拌し、次いで、炭酸水素ナトリウム溶液(2mL)を加えることにより希釈した。分離した有機抽出物を真空中で濃縮すると、粗残渣が得られ、AP3(rf3.67)により精製すると、表題化合物42mg(64%収率)が得られた。LRMS: APCI+ m/z 594[MH+].
【0251】
(実施例99〜105)
これらの化合物は、表に列挙されているような適切な前駆体から出発して実施例98の方法により調製した。
【0252】
【表10】

【0253】
(実施例104)
1−{[(3S,4R)−1−tert−ブチル−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−4−ブチリル−5−フェニル−1,4−ジアゾカン
【0254】
【化27】

ジメチルアセトアミド(1.25mL)中の調製例100の化合物(24mg、0.075mmol)の溶液に、トリエチルアミン(42μL、0.30mmol)、TBTU(24mg、0.075mmol)および調製例21の化合物(12mg、0.050mmol)を加えた。反応混合物を、24時間にわたって60℃にて振盪させた。反応混合物を真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。AP3(rf3.68)により精製すると、エピマーの混合物として表題化合物7mg(27%収率)が得られた。LRMS: APCI+ m/z 526[MH+].
【0255】
実施例105〜108は、スキーム4に従って調製した。
【0256】
(実施例105)
6−[(3S,4R)−3−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(メチルスルホニル)−1,4−ジアゾカン−1−イル]カルボニル}−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリダジン−3−カルボニトリル
【0257】
【化28】

アセトニトリル(10mL)中の調製例92の化合物(30mg、0.057mmol)の溶液に、3−クロロ−6−シアノピリダジン(12mg、0.086mmol)およびN,N−ジイソプロピルエチルアミン(40μL、0.23mmol)を加えた。反応混合物を、3時間にわたって還流状態で撹拌した。反応物を真空中で濃縮し、残渣を、炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)を加えることにより希釈し、EtOAc(3×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水(15mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(95:5:0.5)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、白色の固体としてエピマーの混合物として表題化合物25mg(78%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CD3OD) δ 1.19-2.47 (10H, m),
2.87-4.49 (12H, m), 4.80-4.85 (1H, m), 6.52-6.69 (3H, m), 6.92-6.94 (2H, m),
7.09-7.37 (3H, m), 7.42-7.47 (1H, m). LRMS: APCI+ m/z 627 [MH+].
【0258】
(実施例106)
メチル8−(4−クロロフェニル)−4−{[(3S,4S)−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)−1−(6−シアノピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレート
【0259】
【化29】

この化合物は、実施例105の方法によるが、3−クロロ−6−シアノピリダジンおよび調製例93の化合物から出発して調製した。LRMS: APCI+ m/z 607[MH+].
【0260】
(実施例107)
メチル8−(4−クロロフェニル)−4−{[(3S,4R)−1−(6−クロロピリダジン−3−イル)−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレート
【0261】
【化30】

ジメチルスルホキシド(2mL)中の調製例93の化合物(65mg、0.13mmol)の溶液に、3,6−ジクロロピリダジン(58mg、0.39mmol)、フッ化セシウム(20mg、0.13mmol)およびトリエチルアミン(54μL、0.39mmol)を加えた。反応混合物を、24時間にわたって還流状態で撹拌し、次いで、40時間かけて室温まで冷却した。反応物を炭酸水素ナトリウム溶液(30mL)で希釈し、ジエチルエーテル(4×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水(3×25mL)で洗浄し、真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(98:2:0.2)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、灰色がかった白色の泡としてエピマーの混合物として表題化合物73mg(92%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CD3OD) δ 0.92-2.33 (5H, m),
2.56-3.76 (14H, m), 3.85-4.36 (3H, m), 4.85-5.20 (1H, m), 6.40-6.64 (3H, m),
6.77-6.89 (1H, m), 6.99-7.25 (5H, m). LRMS: APCI+ m/z 616 [MH+].
【0262】
(実施例108)
[5−(4−クロロフェニル)−4−(メチルスルホニル)−1,4−ジアゾカン−1−イル]−[(3S,4R)−1−(6−クロロ−ピリダジン−3−イル)−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)−ピロリジン−3−イル]−メタノン
【0263】
【化31】

この化合物は、実施例107の方法によるが、3,6−ジクロロピリダジンおよび調製例92の化合物から出発して調製した。LRMS: APCI+ m/z 636[MH+].
【0264】
(実施例109〜110)
これらの化合物は、3,6−ジクロロピリダジンおよび表に列挙されているような適切な前駆体を使用して実施例107の方法により調製した。
【0265】
【表11】

【0266】
実施例111〜114は、スキーム5に従って調製した。
【0267】
(実施例111)
6−[(3S,4R)−3−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(メチルスルホニル)−1,4−ジアゾカン−1−イル]カルボニル}−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリダジン−3(2H)−オン
【0268】
【化32】

実施例108の化合物(100mg、0.157mmol)を酢酸(5mL)に溶解する。得られた溶液を完全に脱気し、一晩にわたって窒素下に還流状態で撹拌した。反応物を真空中で濃縮し、残渣を、炭酸水素ナトリウム溶液(25mL)を加えることにより希釈し、EtOAc(3×25mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を炭酸水素ナトリウム溶液(30mL)、食塩水(30mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(92.5:7.5:0.75)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、灰色がかった白色の泡としてエピマーの混合物として表題化合物90mg(93%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CD3OD) δ 1.09-2.53 (8H, m),
2.91-3.23 (1H, m), 3.34-4.38 (14H, m), 6.60-6.77 (2H, m), 6.83-7.09 (2H, m),
7.26-7.40 (5H, m). LRMS: APCI+ m/z 618 [MH+].
【0269】
(実施例112〜114)
これらの化合物は、表に列挙されているような適切な前駆体から出発して実施例111の方法により調製した。
【0270】
【表12】

【0271】
実施例115〜119は、スキーム6に従って調製した。
【0272】
(実施例115)
6−[(3S,4R)−3−{[5−(4−クロロフェニル)−4−(メチルスルホニル)−1,4−ジアゾカン−1−イル]カルボニル}−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)ピロリジン−1−イル]−2−メチルピリダジン−3(2H)−オン
【0273】
【化33】

DMF(2mL)中の実施例111の化合物(45mg、0.073mmol)の溶液に、臭化リチウム(7.6mg、0.087mmol)、およびナトリウムヘキサメチルジシラジド(16mg、0.087mmol)を加えた。反応混合物を30分間室温にて撹拌した。ヨウ化メチル(5.4μL、0.087mmol)を加え、得られた溶液を24時間にわたって室温にて撹拌した。反応物を真空中で濃縮し、残渣を、炭酸水素ナトリウム溶液(20mL)を加えることにより希釈し、酢酸エチル(4×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を食塩水(20mL)で洗浄し、真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(95:5:0.55)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、泡としてエピマーの混合物として表題化合物46mg(59%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CD3OD) δ 1.09-1.34 (2H, m),
1.43-2.53 (6H, m), 2.85-3.23 (1H, m), 3.34-4.38 (17H, m), 6.60-6.76 (2H, m),
6.87-6.91 (1H, m), 7.01-7.09 (2H, m), 7.24-7.40 (5H, m). LRMS: APCI+
m/z 632 [MH+].
【0274】
(実施例116〜119)
これらの化合物は、表に列挙されているような適切な前駆体から出発して実施例121の方法により調製した。
【0275】
【表13】

【0276】
調製例
調製例1:3−クロロ−1−(2,4−ジフルオロフェニル)プロパン−1−オン
【0277】
【化34】

1,3−ジフルオロベンゼン(21mL)中の塩化アルミニウム(III)(11.70g、88.0mmol)の撹拌した混合物に、室温にて、塩化3−クロロプロピオニル(4.0mL、41.9mmol)を加えた。反応混合物を6時間にわたって60℃にて撹拌した。混合物を室温まで冷却し、氷/2M水性塩酸混合物(100mL)に注いだ。激しく撹拌した後、混合物をDCM(2×75ml)で抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮すると、オレンジ色の油として粗表題化合物8.68g(定量的収率)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CDCl3) δ 3.35-3.45 (2H, t),
3.80-3.90 (2H, t), 6.80-6.90 (1H, m), 6.90-7.00 (1H, m), 7.90-8.00 (1H, m).
【0278】
調製例2:(±)−1−ベンジル−5−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,4−ジアゼパン
【0279】
【化35】

4−メチル−ペンタン−2−オン(50mL)中のN−ベンジルエチレンジアミン(2.50g、16.64mmol)の溶液を、3時間にわたってDean−Stark条件下に還流状態で撹拌させた。溶液を室温まで冷却し、それに、トリエチルアミン(3.48mL、25.0mmol)および調製例1の化合物(3.75g、18.3mmol)を加えた。反応混合物を16時間にわたって60℃にて撹拌した。混合物を室温まで冷却し、真空中で濃縮した。残渣を、プロパン−2−オールと水の混合物(50mL、95:5)に溶解し、16時間にわたって室温にて撹拌した。水素化ホウ素ナトリウム(1.50g、39.65mmol)を加え、反応混合物を16時間にわたって室温にて撹拌させた。反応物を、水(100mL)を加えることにより希釈し、プロパン−2−オールを真空中で除去した。水性混合物をDCM(3×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。酢酸エチル:メタノール:0.88アンモニア(98:2:0.2から80:20:3までのグラジエント)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、黄色の油としてラセミ表題化合物2.28g(45%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CDCl3) δ 1.85-1.95 (1H, m),
2.00-2.10 (1H, m), 2.60-2.75 (2H, m), 2.75-2.90 (2H, m), 2.95-3.05 (1H, m),
3.10-3.20 (1H, m), 3.68 (2H, s), 4.25-4.35 (1H, m), 6.70-6.80 (1H, m),
6.80-6.90 (1H, m), 7.20-7.40 (5H, m), 7.40-7.50 (1H, m). LRMS: APCI+
m/z 303 [MH+].
【0280】
調製例3:(±)−1−ベンジル−5−(4−クロロフェニル)−1,4−ジアゼパン
【0281】
【化36】

この化合物は、N−ベンジルエチレンジアミンから出発する調製例2の方法によるが、市販されている3−クロロ−1−(4−クロロフェニル)プロパン−1−オンを使用して調製した。LRMS: APCI+ m/z 300[MH+].
【0282】
調製例4:(±)−5−(2,4−ジフルオロフェニル)−1,4−ジアゼパン
【0283】
【化37】

エタノール(20mL)中の調製例2の化合物(220mg、0.728mmol)の溶液に、炭素上20%水酸化パラジウム(II)触媒(102mg、0.146mmol)およびギ酸アンモニウム(229mg、3.64mmol)を加えた。反応混合物を3時間にわたって75℃にて撹拌した。溶液を室温まで冷却し、触媒を、Arbocel(登録商標)を使用して窒素下に濾去した。触媒をさらなるエタノール15mlで洗浄し、合わせた濾液を真空中で濃縮すると、無色の油として粗(ラセミ)表題化合物172mg(定量的収率)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CD3OD) δ 1.85-1.95 (1H, m),
2.00-2.10 (1H, m), 2.85-3.05 (4H, m), 3.05-3.15 (2H, m), 4.10-4.20 (1H, m),
6.85-6.95 (2H, m), 7.40-7.50 (1H, m). LRMS: APCI+ m/z 213 [MH+].
【0284】
調製例5:(±)−{7a−(4−クロロフェニル)ヘキサヒドロ−5H−ピロロ[1,2−a]イミダゾール−5−オン}
【0285】
【化38】

キシレン(250mL)中の3−(4−クロロベンゾイル)プロピオン酸(40g、190mmol)の溶液に、エチレンジアミン(22.6g、376mmol)、および12M塩酸(0.500mL、6mmol)を加えた。反応混合物を、12時間にわたってDean−Stark下に還流状態で撹拌し、室温まで冷却した。固体を濾過により除去し、キシレンで洗浄すると、粗残渣が得られた。これをDCM(400ml)に溶解し、濾過した。濾液を真空中で濃縮すると、ベージュ色の固体としてラセミ表題化合物36.6g(62%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CD3Cl) δ 2.22-2.35 (2H, m),
2.49-2.56 (1H, m), 2.78-2.95 (3H, m), 3.27-3.34 (1H, m), 3.68-3.77 (1H, m),
7.32-7.35 (2H, m), 7.42-7.46 (7.42-7.46 (2H, m). LRMS: APCI+ m/z 237
[MH+].
【0286】
調製例6:(±)−[5−(4−クロロフェニル)−1,4−ジアゾカン]
【0287】
【化39】

水素化リチウムアルミニウム(3.21g、84.5mmol)を、調製例5の化合物(5.00g、21.1mmol)を含有するフラスコに加え、ジエチルエーテル(120ml)を加えた。反応混合物を30分間室温にて、次いで、72時間にわたって還流状態で撹拌した。反応物を氷浴中で冷却し、水(3.2ml)、2M水酸化ナトリウム溶液(3.2ml)および水(9.6ml)を加えることによりクエンチした。反応混合物をCelite(登録商標)に通して濾過し、ジエチルエーテル(25ml)で洗浄した。濾液を真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。ジクロロメタン:メタノール:0.88アンモニア(75:25:2.5)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、無色の油としてラセミ表題化合物2.3g(45%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CD3Cl) δ 1.56-1.83 (3H, m),
1.96-2.04 (1H, m), 2.74-3.10 (6H, m), 3.84-3.88 (1H, m), 7.26-7.31 (4H, m).
LRMS: APCI+ m/z 225 [MH+].
【0288】
調製例7〜11
これらの化合物は、エチレンジアミンおよび調製例5で使用されたものと類似した市販されているプロピオン酸から出発して調製例5および6の方法により調製した。各化合物は、ラセミ体として得られた。
【0289】
【表14】

【0290】
調製例12:(S)および(R)−5−(4−クロロフェニル)−1,4−ジアゾカン
【0291】
【化40】

調製例6のラセミ化合物12gのキラル分割は、初めに、ヘプタン:イソプロパノール:ジエチルアミン(80:20:0.1)で溶出する50050mm id Chiralcel OD−Hカラム上のカラムクロマトグラフィーにより達成された。これにより、99.4%eeで無色の油として第1溶出鏡像異性体(調製例12a)5.74g(理論の96%)および95.5%eeで無色の油として第2溶出鏡像異性体(調製例12b)5.13g(理論の86%)が得られた。分析の目的で、Chiral OD−H 250×4.6カラムは、1ml/分にて、それぞれ6.10および8.68分の保持時間で2つの鏡像異性体を溶出する。各々は、同一のプロトンNMRスペクトルを示した:1H NMR (400 MHz, CD3Cl) δ 1.56-1.83 (3H, m), 1.96-2.04 (1H, m), 2.74-3.10 (6H, m), 3.84-3.88
(1H, m), 7.26-7.31 (4H, m). LRMS: APCI+ m/z 225 [MH+].
【0292】
あるいは、調製例6のラセミ化合物のキラル酸との塩形成は、その後に絶対立体化学の解明を可能にするという利点と併せ、単一のジアステレオ異性の塩12cの分別結晶化を可能にした。
【0293】
【化41】

すなわち、調製例6のラセミ化合物5.0gを、tert−ブチルメチルエーテル(150mL)に溶解し、溶液を、57℃まで加熱し、次いで、溶媒75mlを大気圧にて蒸発させた。エタノール45mlを加え、溶液のさらなる65mlを蒸発させた。45℃まで冷却し、ジ−p−トルオイル−L−酒石酸8.2gを一度に入れ、懸濁液を45℃まで再加熱し、溶液を3時間かけて20℃まで冷却させた後、さらに13時間にわたって顆粒化させた。濾過すると、白色の固体としてジ−p−トルオイル−L−酒石酸塩12c(8.5g)が得られ、メタノール中10%v/v水から繰り返し再結晶すると、98%eeより高い材料が得られた。絶対立体配置は、X線結晶学により示されるように、ジアゾカンS鏡像異性体であった。「遊離塩基の」12cのキラルHPLC分析は、これが、鏡像異性体12aに相当することを示した。
【0294】
調製例13:(±)−tert−ブチル5−(4−クロロフェニル)−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレート
【0295】
【化42】

トリエチルアミン(0.285mL、2.05mmol)を、THF(10mL)中の調製例6の化合物(460mg、2.05mmol)の溶液に加え、ジ−t−ブチルジカーボネート(536mg、2.46mmol)を加え、得られた溶液を16時間にわたって室温にて撹拌した。反応物を真空中で濃縮し、残渣を、炭酸水素ナトリウム溶液(10mL)を加えることにより希釈し、EtOAc(4×20mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。EtOAcを使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、無色の油としてラセミ表題化合物419mg(63%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CDCl3) δ 1.47-1.49 (9H, m),
1.54-1.70 (2H, m), 1.74-1.81 (1H, m), 1.87-1.98 (1H, m), 2.85-2.94 (1H, m),
2.97-3.12 (2H, m), 3.29-3.51 (1H, m), 3.59-3.69 (1H, m), 3.72-3.80 (1H, m),
3.82-3.96 (1H, m), 7.23-7.28 (4H, m). LRMS: EI+ m/z 325 [MH+].
【0296】
鏡像異性体13aおよび13bは、それぞれ調製例12aおよび12bの化合物から出発して同様に調製した。
【0297】
【化43】

【0298】
調製例14:(±)−1−tert−ブチル4−メチル5−(4−クロロフェニル)−1,4−ジアゾカン−1,4−ジカルボキシレート
【0299】
【化44】

ピリジン(15mL)中の調製例13の化合物(469mg、1.44mmol)の撹拌した溶液に、トリエチルアミン(805μL、5.77mmol)、クロロギ酸メチル(781μL、10.12mmol)およびDMAP(352mg、2.88mmol)を加えた。反応物を16時間にわたって60℃にて撹拌した。反応物を室温まで冷却し、炭酸カリウム溶液(10mL)を加えることによりクエンチした。反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を水(15mL)で希釈した。水性混合物をDCM(3×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。ペンタン:酢酸エチル(3:1から純粋なEtOAcまでのグラジエント)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、無色の油としてラセミ表題化合物322mg(58%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CDCl3) δ 1.35-1.50 (9H, s), 1.55-1.65
(1H, m), 1.80-1.95 (2H, m), 2.05-2.30 (1H, m), 2.85-3.15 (3H, m), 3.40-3.50
(1H, m), 3.55-3.65 (1H, m), 3.65-3.80 (3H, m), 3.90-4.00 (1H, m), 5.00-5.35
(1H, m), 7.05-7.30 (4H, m).LRMS: APCI+ m/z 283 [M - Boc + H]+.
【0300】
鏡像異性体14aおよび14bは、それぞれ調製例13aおよび13bの化合物から出発して同様に調製した。
【0301】
【化45】

【0302】
調製例15:(±)−メチル8−(4−クロロフェニル)−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレート
【0303】
【化46】

DCM(5mL)中の調製例14の化合物(322mg、0.841mmol)の撹拌した溶液に、1,4−ジオキサン中4M塩化水素(5mL)を加えた。反応物を16時間にわたって室温にて撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮し、残渣を炭酸カリウム溶液(15mL)で希釈した。水性混合物をDCM(3×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を真空中で濃縮すると、黄色の油としてラセミ表題化合物230mg(97%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CDCl3) δ 1.75-2.05 (2H, m),
2.25-2.40 (1H, m), 2.65-2.85 (2H, m), 2.95-3.05 (2H, m), 3.05-3.25 (2H, m),
3.40-3.50 (1H, m), 3.65-3.75 (3H, m), 5.05-5.30 (1H, dd), 7.10-7.30 (4H,
m).LRMS: APCI+ m/z 283 [MH+].
【0304】
鏡像異性体15aおよび15bは、それぞれ調製例14aおよび14bの化合物から出発して同様に調製した。
【0305】
【化47】

【0306】
調製例16:(±)−tert−ブチル5−(4−クロロフェニル)−4−(メチルスルホニル)−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレート
【0307】
【化48】

DMAP(2.67g、21.9mmol)を、ピリジン(20mL)中の調製例13の化合物(2.37g、7.30mmol)の溶液に加え、塩化メタンスルホニル(1.69mL、21.9mmol)を加え、得られた溶液を3時間にわたって50℃にて撹拌した。反応物を真空中で濃縮し、残渣を、10%クエン酸溶液(50mL)を加えることにより希釈し、EtOAc(4×50mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を10%クエン酸溶液(50ml)、食塩水(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。ペンタン:酢酸エチル(1:1)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、無色の油としてラセミ表題化合物1.69g(58%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CDCl3) δ 1.47-1.49 (9H, m),
1.70-1.77 (2H, m), 1.98-2.06 (1H, m), 2.12-2.30 (1H, m), 2.40-2.43 (3H, m),
3.11-3.30 (1H, m), 3.34-3.46 (2H, m), 3.52-3.60 (1H, m), 3.73-3.89 (1H, m),
4.07-4.15 (1H, m), 4.91-4.98 (1H, m), 7.22-7.26 (2H, m), 7.31-7.35 (2H, m).
LRMS: APCI+ m/z 403 [MH+].
【0308】
調製例17:(±)−8−(4−クロロフェニル)−1−(メチルスルホニル)−1,4−ジアゾカン塩酸塩
【0309】
【化49】

ジオキサン中4M HCl(20mL、80mmol)を、調製例16の化合物(1.69g、4.19mmol)に加え、得られた溶液を16時間にわたって室温にて撹拌した。反応物を真空中で濃縮すると、灰色がかった白色の固体としてラセミ表題化合物1.42g(100%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CDCl3) δ 1.92-2.12 (2H, m),
2.22-2.43 (4H, m), 2.86-3.01 (1H, m), 3.36-3.80 (5H, m), 4.14-4.26 (1H, m),
4.49-5.07 (1H, m), 7.30-7.39 (4H, m). LRMS: APCI+ m/z 303 [MH+].
【0310】
調製例17a〜26
これらの化合物は、表に列挙されているような適切な前駆体から出発し、調製例13〜17の方法により調製した。
【0311】
【表15−1】

【0312】
【表15−2】

【0313】
【表15−3】

【0314】
調製例27:(4S)−4−ベンジル−3−[(2E)−3−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)プロプ−2−エノイル]−1,3−オキサゾリジン−2−オン
【0315】
【化50】

DCM(100mL)中の市販されている2−フルオロ−4−メトキシ桂皮酸(16.5g、84.1mmol)の溶液に、4℃にて、DMF(0.1mL)を加え、続いて、DCM(50mL)中の塩化オキサリル(14.8mL、170mmol)の溶液を滴下添加した。反応混合物を3時間かけて室温まで温めた。反応物を真空中で濃縮し、DCM(2×100mL)と共沸させると、粗中間酸塩化物が得られた。酸塩化物をDCM(50mL)に溶解し、DCM(100mL)中の(s)−(−)−4−ベンジル−2−オキサゾリジノン(14.3g、80.7mmol)、塩化リチウム(17.8g、421mmol)およびトリエチルアミン(58.8mL、421mmol)の氷冷した溶液に滴下添加した。反応物を16時間にわたって室温にて撹拌し、次いで、水(100mL)を加えることにより希釈し、Arbocel(登録商標)に通して濾過した。濾液を分配し、水相をDCM(2×100mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。この残渣を、ジエチルエーテル(150mL)中でトリチュレートした。濾過すると、ベージュ色の固体として表題化合物20g(67%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CDCl3) δ 2.82-2.88 (1H, m),
3.36-3.40 (1H, m), 3.84 (3H, s), 4.18-4.27 (2H, m), 4.77-4.83 (1H, m),
6.63-6.67 (1H, m), 6.72-6.76 (1H, m), 7.23-7.37 (5H, m), 7.60-7.64 (1H, m),
7.84-7.88 (1H, m), 8.01-8.05 (1H, m). LRMS: APCI+ m/z 356 [MH+].
【0316】
調製例28:(4S)−4−ベンジル−3−[(2E)−3−(2−シアノフェニル)プロプ−2−エノイル]−1,3−オキサゾリジン−2−オン
【0317】
【化51】

この化合物は、調製例27の方法によるが、市販されている4−シアノ桂皮酸から出発して調製した。LRMS: APCI+ m/z 333[MH+].
【0318】
調製例29:(4S)−4−ベンジル−3−{[(3S,4R)−1−ベンジル−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−1,3−オキサゾリジン−2−オン
【0319】
【化52】

DCM(200mL)中の調製例27(20g、56.3mmol)の溶液に、5℃にて、トリフルオロ酢酸(0.347mL、67.5mmol)を加え、続いて、市販されているN−(メトキシメチル)−N−(トリメチルシリルメチル)ベンジルアミン(16g、67.5mmol)を滴下添加した。反応混合物を64時間にわたって室温にて撹拌し、次いで、炭酸水素ナトリウム溶液(100mL)を加えることにより希釈した。有機抽出物を真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。酢酸エチル:ジクロロメタン(1:1)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、油としておよび示される単一のジアステレオ異性体として表題化合物12g(43%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CDCl3) δ 2.70-2.89 (3H, m),
3.12-3.28 (3H, m), 3.59-3.80 (5H, m), 4.09-4.26 (3H, m), 4.29-4.39 (1H, m),
4.64-4.72 (1H, m), 6.56-6.62 (1H, m), 6.65-6.70 (1H, m), 7.10-7.15 (2H, m),
7.21-7.40 (9H, m). LRMS: APCI+ m/z 489 [MH+].
【0320】
調製例30〜32
これらの化合物は、表に列挙されているような1つまたは複数の適切な前駆体を使用して調製例29の方法により調製した。各化合物は、単一のジアステレオ異性体として得られた。
【0321】
【表16】

【0322】
調製例33:メチル(3S,4R)−1−ベンジル−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−カルボキシレート
【0323】
【化53】

無水メタノール(100mL)中の調製例29の化合物(12.00g、24.56mmol)の撹拌した溶液に、トリフルオロメタンスルホン酸サマリウム(III)(1.17g、1.96mmol)を室温にて少量ずつ加えた。反応物を、室温にて16時間にわたって窒素下に撹拌させた。反応混合物を真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。ペンタン:酢酸エチル(4:1から1:1までのグラジエント)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、淡黄色の油として単一の鏡像異性体として表題化合物6.50g(77%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, d6-DMSO) δ 2.55-2.65 (1H, m),
2.90-3.05 (3H, m), 3.10-3.20 (1H, m), 3.60-3.65 (4H, m), 3.70-3.85 (5H, m),
6.60-6.65 (1H, d), 6.70-6.75 (1H, d), 7.20-7.40 (6H, m). LRMS: APCI+
m/z 344 [MH]+.
【0324】
調製例34〜36
これらの化合物は、表に列挙されているような前駆体を使用して調製例33の方法により調製した。各化合物は、単一の鏡像異性体として得られた。
【0325】
【表17−1】

【0326】
【表17−2】

【0327】
調製例37:メチル(3S,4R)−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−カルボキシレート
【0328】
【化54】

メタノール(20mL)中の調製例33の化合物(1.8g、5.2mmol)の溶液に、炭素上20%水酸化パラジウム(180mg)、および1−メチル−1,4−シクロヘキサジエン(2.94mL、26.2mmol)を加えた。反応混合物を、2.5時間にわたって還流状態で撹拌し、次いで、室温まで冷却した。反応物をArbocel(登録商標)で濾過し、メタノールで洗浄した。濾液を真空中で濃縮すると、無色の油として表題化合物1.30g(98%収率)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CD3OD) δ 2.83-2.89 (1H, m),
3.09-3.15 (1H, m), 3.20-3.25 (1H, m), 3.29-3.37 (2H, m), 3.59-3.66 (1H, m),
3.64 (3H, s), 3.77 (3H, s), 6.64-6.72 (2H, m), 7.20-7.24 (1H, m).LRMS: APCI+
m/z 254 [MH+].
【0329】
調製例38:メチル(3S,4S)−4−(5−クロロピリジン−2−イル)−1−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−6−イルピロリジン−3−カルボキシレート
【0330】
【化55】

n−ブタノール(20mL)中の調製例104の化合物(970mg、3.50mmol)の溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(2.44mL、14.0mmol)と、続いて、6−クロロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン(811mg、5.25mmol)を加えた。得られた溶液を2時間にわたって120℃まで加熱した。反応混合物を真空中で濃縮した。残渣を、食塩水(30mL)とEtOAc(50mL)の間で分配した。有機抽出物を硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。ジクロロメタン:メタノール(95:5)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、油状の固体として単一の鏡像異性体として表題化合物1.53g(100%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CH3OD) δ 3.65 (3H, s), 3.67-3.84
(3H, m), 3.93-4.00 (1H, m), 4.03-4.10 (2H, m), 7.07-7.11 (1H, m), 7.37-7.42
(1H, m), 7.75-7.80 (1H, m), 7.86-7.91 (1H, m), 8.49-8.52 (1H, m), 8.95 (1H, s).
LRMS: APCI+ m/z 359 [MH+].
【0331】
調製例39:メチル(3S,4S)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)−1−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−6−イルピロリジン−3−カルボキシレート
【0332】
【化56】

この化合物は、同じクロロ−ヘテロ環および調製例105の化合物から出発し、調製例38の方法により調製した。LRMS: APCI+ m/z 360[MH+].
【0333】
調製例40〜43
これらの化合物は、市販されている3−クロロ−6−シアノピリダジンおよび表に列挙されているような適切な前駆体から出発して実施例105の方法により調製した。各化合物は、単一の鏡像異性体として得られた。
【0334】
【表18】

【0335】
調製例44〜45
これらの化合物は、市販されている3,6−ジクロロピリダジンおよび表に列挙されているような適切な前駆体から出発して実施例107の方法により調製した。各化合物は、単一の鏡像異性体として得られた。
【0336】
【表19】

【0337】
調製例46〜47
これらの化合物は、それぞれ調製例44および45の化合物を酢酸中で還流することにより実施例111の方法により調製した。各化合物は、単一の鏡像異性体として得られた。
【0338】
【表20】

【0339】
調製例48:メチル(3S,4R)−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)−1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−カルボキシレート
【0340】
【化57】

この化合物は、調製例46の化合物を使用して実施例115の方法により単一の鏡像異性体として調製した。LRMS: APCI+ m/z 362[MH+].
【0341】
調製例49:メチル(3S,4R)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)−1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−カルボキシレート
【0342】
【化58】

脱気したトルエン(500mL)中の調製例105の化合物(25.27g、82mmol)および6−クロロ−2−メチルピリダジン−3(2H)−オン{Helvetica Chimica Acta;(1954)、37、837〜48}(12.0g、83.0mmol)の撹拌した懸濁液に、室温にて、炭酸セシウム(111g、339mmol)および(9,9−ジメチル−9H−キサンテン−4,5−ジイル)−ビス[ジフェニルホスフィン](6.23g、10.8mmol)を加えた。反応混合物を窒素で2回パージした。二酢酸パラジウム(II)(813mg、3.62mmol)を加え、反応物を16時間にわたって115℃にて窒素下に撹拌した。反応混合物を減圧下で濾過し、残渣をトルエン20mlで洗浄した。濾液を真空中で濃縮すると、粗生成物残渣が得られた。ヘプタン:酢酸エチル(7:3から純粋なEtOAcまでEtOAc:MeOH、95:5までのグラジエント)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、黄色の油として表題化合物23.85g(83%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CDCl3) δ 3.30-3.40 (1H, m),
3.40-3.50 (1H, m), 3.62 (3H, s), 3.67 (3H, s), 3.62-3.70 (1H, m), 3.75-3.90
(2H, m), 3.90-4.00 (1H, m), 6.75-6.95 (4H, m), 7.15-7.25 (1H, m). LRMS: APCI+
m/z 350 [MH]+.
【0343】
調製例50:メチル(3S,4R)−4−(5−クロロピリジン−2−イル)−1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−カルボキシレート
【0344】
【化59】

この化合物は、同じクロロ−ヘテロ環および調製例104の化合物を使用して調製例49の方法により単一の鏡像異性体として調製した。LRMS: APCI+ m/z 348[MH+].
【0345】
調製例51:メチル(3S,4R)−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)−1−ピリダジン−3−イルピロリジン−3−カルボキシレート
【0346】
【化60】

メタノール(5mL)中の調製例44の化合物(407mg、1.11mmol)の撹拌した懸濁液に、炭素上20%水酸化パラジウム(II)触媒(27mg、0.189mmol)および1−メチル−1,4−シクロヘキサジエン(438μL、3.89mmol)を加えた。反応混合物を、3時間にわたって還流状態で窒素下に撹拌し、次いで、16時間かけて室温まで冷却させた。触媒を、Arbocel(登録商標)を使用して窒素下に濾去した。触媒を、さらなるメタノール10mlで洗浄し、合わせた濾液を真空中で濃縮すると、無色の油として粗生成物438mg(定量的収率)が得られ、調製例63のエステル加水分解に直接使用した。
1H NMR
(400 MHz, CDCl3) δ 3.45-3.55 (3H, m), 3.68
(3H, s), 3.77 (3H, s), 3.90-4.05 (2H, m), 4.05-4.25 (1H, m), 6.60-6.70 (2H, m),
7.05-7.15 (1H, t), 7.20-7.25 (1H, m), 7.75-7.80 (1H, m), 8.60-8.65 (1H, d).
LRMS: EI+ m/z 332 [MH+].
【0347】
調製例52:(3S,4R)−1−(6−シアノピリダジン−3−イル)−4−(2,4−ジフルオロ)ピロリジン−3−カルボン酸
【0348】
【化61】

1,4−ジオキサン(100mL)および水(50mL)中の調製例41の化合物(3.82g、11.1mmol)の撹拌した溶液に、5℃にて、1M水酸化ナトリウム水溶液(9,98mL、9.98mmol)を滴下添加した。反応物を、室温にて16時間にわたって撹拌させ、次いで、2M水性塩酸(4.99mL、9.98mmol)で中和し、真空中で濃縮した。粗生成物残渣を、トルエン(3×50mL)と共沸させると、1当量の塩化ナトリウム副生物を含有するクリーム色の固体として表題化合物3.97g(92%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, d6-DMSO) δ 3.40-3.50 (2H, m),
3.65-3.80 (1H, m), 3.85-4.20 (3H, m), 7.00-7.10 (2H, m), 7.15-7.25 (1H, m),
7.45-7.55 (1H, m), 7.80-7.85 (1H, d). LRMS: APCI+ m/z 331 [MH]+.
【0349】
調製例53〜65
これらの化合物は、表に列挙されているような適切な前駆体から出発して調製例52の方法により調製した。各化合物は、単一の鏡像異性体として得られた。
【0350】
【表21−1】

【0351】
【表21−2】

【0352】
調製例66:6−[(3S,4R)−3−{[5S−(4−クロロフェニル)−1,4−ジアゾカン−1−イル]カルボニル}−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−2−メチルピリダジン−3(2H)−オン
【0353】
【化62】

DCM(15mL)中の調製例60の化合物(200mg、0.473mmol)の懸濁液に、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(328μL、1.89mmol)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール一水和物(83mg、0.544mmol)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドメチオジド(176mg、0.591mmol)を加えた。反応混合物を、30分間室温にて撹拌した。次いで、調製例12aの化合物を加え、反応混合物を16時間にわたって室温にて撹拌した。反応物を、炭酸カリウム溶液(20mL)を加えることにより希釈し、DCM(2×5mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。酢酸エチル:メタノール:0.88アンモニア(98:2:0.2から90:10:1までのグラジエント)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、クリーム色の泡として表題化合物221mg(86%)が得られた。
1H NMR
(400 MHz, CD3OD) δ 1.30-1.40 (1H, m), 1.45-1.60
(1H, m), 1.65-1.80 (1H, m), 1.80-1.90 (1H, m), 2.70-2.90 (2H, m), 2.95-3.15
(1H, m), 3.40-3.60 (4H, m), 3.64 (3H, s), 3.65-3.75 (1H, m), 3.80-4.00 (4H, m),
4.05-4.25 (1H, m), 6.85-7.00 (3H, m), 7.10-7.20 (2H, m), 7.20-7.30 (3H, m),
7.40-7.55 (1H, m).LRMS: EI+ m/z 542 [MH+].
【0354】
調製例67〜71
これらの化合物は、表に列挙されているような適切な前駆体を使用し、調製例66の方法により調製した。
【0355】
【表22】

【0356】
調製例72〜85
これらの化合物は、表に列挙されているような適切な前駆体を使用して調製例66の方法により調製した。場合によって、単一のエピマー(アスタリスクによりマークされている)を、製造された初めのエピマー混合物から順相クロマトグラフィーにより単離した。
【0357】
【表23−1】

【0358】
【表23−2】

【0359】
調製例86〜91
これらの化合物は、表に列挙されているような適切な前駆体を使用して実施例98の方法により調製した。
【0360】
【表24】

【0361】
調製例92:5−(4−クロロフェニル)−1−{[(3S,4R)−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−4−(メチルスルホニル)−1,4−ジアゾカン
【0362】
【化63】

ジエチルイソプロピルエチルアミン(0.298mL、1.71mmol)を、DCM(10mL)中の調製例83の化合物(239mg、0.389mmol)の溶液に加えた。クロロギ酸1−クロロエチル(0.340mL、3.12mmol)を加え、溶液を20時間にわたって還流状態で撹拌した。反応物を真空中で濃縮し、残渣を、10%クエン酸溶液(10mL)を加えることにより希釈し、DCM(3×15mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を真空中で濃縮し、残渣をメタノール(10mL)に溶解し、2時間にわたって還流状態で撹拌した。反応混合物を真空中で濃縮すると、粗残渣が得られた。ジクロロメタン:メタノール:0.880アンモニア(90:10:1)を使用するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより精製すると、褐色の油として表題化合物270mg(100%)が得られた(2種のエピマーの混合物として)。
1H NMR
(400 MHz, CD3OD) δ 1.32-1.67 (2H, m),
2.37-2.50 (3H, m), 2.81-3.25 (2H, m), 3.27-3.31 (3H, m), 3.32-3.94 (12H, m),
4.76-4.87 (1H, m), 6.53-6.72 (2H, m), 6.94-6.99 (1H, m), 7.11-7.16 (1H, m),
7.19-7.36 (3H, m). LRMS: APCI+ m/z 524 [MH+].
【0363】
調製例93〜97
これらの化合物は、表に列挙されているような適切な前駆体を使用して調製例92の方法により調製した。
【0364】
【表25−1】

【0365】
【表25−2】

【0366】
調製例98〜108
これらの化合物は、表に列挙されているような特許文献に記載されている。
【0367】
【表26−1】

【0368】
【表26−2】

【0369】
生物学的データ
本発明の代表的な化合物についてのデータを以下に示す。
【0370】
【表27−1】

【0371】
【表27−2】

【0372】
【表27−3】

【0373】
【表27−4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

の化合物、または薬学的に許容できるその塩および溶媒和物(式中、
nは、0または1であり、
は、−(C〜C)アルキル、またはHetであり、
は、フェニルまたはピリジルであり、前記フェニルまたはピリジルは、ハロ、CN、−(C〜C)アルキルおよび−(C〜C)アルコキシから独立して選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよく、−(C〜C)アルキルおよび−(C〜C)アルコキシ基は、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよく、
は、フェニルまたはピリジルであり、前記フェニルまたはピリジルは、ハロ、CN、−(C〜C)アルキルおよび−(C〜C)アルコキシから独立して選択される1〜3個の置換基により置換されていてもよく、−(C〜C)アルキルおよび−(C〜C)アルコキシ基は、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよく、
Lは、−CO−であり、Rは、−(C〜C)アルキル、−(C〜C)アルコキシ、−(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキル(C〜C)アルコキシ、−NH、−NH(C〜C)アルキル、−N[(C〜C)アルキル]またはHetであり、−(C〜C)アルキル基は、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよく、−(C〜C)シクロアルキル基は、1〜3個のフッ素原子または−(C〜C)アルキル基で置換されていてもよいか、または
Lは、−SO−であり、Rは、−(C〜C)アルキル、−(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキル(C〜C)アルコキシ、−NH、−NH(C〜C)アルキル、−N[(C〜C)アルキル]またはHetであるかのいずれかであり、
Hetは、
(i)1または2個のN原子を含有する6員環(環は、芳香族であるか、環内に2個の二重結合および=O置換基を含有するかのいずれかであり、環は、ハロ、CN、および−(C〜C)アルキルから独立して選択される1〜3個の置換基で置換されていてもよい)、
(ii)1〜3個のさらなるN原子を含有する5員芳香族環に、ピロリジン環との連結に対して、3,4位において縮合している1または2個のN原子を含有する6員芳香族環、または
(iii)テトラヒドロピラニルであり、
Hetは、
(i)1または2個のN原子およびさらなる任意選択のO原子、S原子またはN原子を含有する5員芳香族環、
(ii)1個のN原子を含有する4〜6員飽和環、または
(iii)1個のO原子およびさらなる任意選択のN原子を含有する6員飽和環である)。
【請求項2】
が、−(C〜C)アルキルである、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩および溶媒和物。
【請求項3】
が、Hetであり、Hetが、
(i)1または2個のN原子を含有する6員環(環は、芳香族であるか、環内に2個の二重結合および=O置換基を含有するかのいずれかであり、環は、ハロ、CN、および−(C〜C)アルキルから選択される置換基により置換されていてもよい)、または
(ii)1または2個のさらなるN原子を含有する5員芳香族環に、ピロリジン環との連結に対して、3,4位において縮合している1または2個のN原子を含有する6員芳香族環である、請求項1に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩および溶媒和物。
【請求項4】
が、Hetであり、Hetが、ピリジン−2−イル、ピリジン−3−イル、ピリダジン−3−イル、6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル、6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−3−イル、2−オキソ−1,2−ジヒドロピリミジン−4−イル、6−オキソ−1,6−ジヒドロピリミジン−4−イル、2−オキソ−1,2−ジヒドロピリジン−4−イル、[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−6−イルまたは6−オキソ−1,6−ジヒドロピリジン−2−イルであり、−(C〜C)アルキル、ハロおよびCNから独立して選択される1または2個の置換基により置換されていてもよい、請求項3に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩および溶媒和物。
【請求項5】
が、Hetであり、Hetが、6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル、1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル、または[1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−6−イルである、請求項4に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩および溶媒和物。
【請求項6】
が、フェニルまたはピリジルであり、前記フェニルまたはピリジルが、ハロ、CN、−(C〜C)アルキルおよび−(C〜C)アルコキシから独立して選択される1または2個の置換基により置換されていてもよい、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩および溶媒和物。
【請求項7】
が、ハロおよび(C〜C)アルコキシから独立して選択される1または2個の置換基により置換されていてもよいフェニルである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩および溶媒和物。
【請求項8】
Lが、−CO−であり、Rが、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい−(C〜C)アルキル、−(C〜C)アルコキシ、1または2個のフッ素原子または−(C〜C)アルキル基で置換されていてもよい−(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキル(C〜C)シクロアルキル、−(C〜C)アルキル(C〜C)アルコキシ、−NH(C〜C)アルキル、−N[(C〜C)アルキル]またはHetであり、Hetが、2個のN原子を含有する5員芳香族環または1個のO原子およびさらなる任意選択のN原子を含有する6員飽和環である、請求項1から7のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩および溶媒和物。
【請求項9】
Lが、−CO−であり、Rが、−(C〜C)アルキルまたは−(C〜C)アルコキシであり、−(C〜C)アルキル基が、1〜3個のフッ素原子で置換されていてもよい、請求項8に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩および溶媒和物。
【請求項10】
nが、1である、請求項1から9のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩および溶媒和物。
【請求項11】
6−[(3S,4R)−3−{[5S−(4−クロロフェニル)−4−(3,3,3−トリフルオロプロパノイル)−1,4−ジアゾカン−1−イル]カルボニル}−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)ピロリジン−1−イル]−2−メチルピリダジン−3(2H)−オン;
6−[(3S,4R)−3−{[5S−(4−クロロフェニル)−4−イソブチリル−1,4−ジアゾカン−1−イル]カルボニル}−4−(2,4−ジフルオロフェニル)ピロリジン−1−イル]−2−メチルピリダジン−3(2H)−オン;
6−[(3S,4S)−3−{[5S−(4−クロロフェニル)−4−イソブチリル−1,4−ジアゾカン−1−イル]カルボニル}−4−(5−クロロピリジン−2−イル)ピロリジン−1−イル]−2−メチルピリダジン−3(2H)−オン;
メチル8−(4−クロロフェニル)−4−{[(3S,4R)−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)−1−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレート;
メチル8S−(4−クロロフェニル)−4−{[(3S,4R)−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)−1−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレート;
メチル8R−(4−クロロフェニル)−4−{[(3S,4R)−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)−1−(6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレート;
メチル8R−(4−クロロフェニル)−4−{[(3S,4R)−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)−1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレート;
6−[(3S,4R)−3−{[4−アセチル−5S−(4−クロロフェニル)−1,4−ジアゾカン−1−イル]カルボニル}−4−(2−フルオロ−4−メトキシフェニル)ピロリジン−1−イル]ピリダジン−3(2H)−オン;
メチル8S−(4−クロロフェニル)−4−{[(3S,4S)−4−(5−クロロピリジン−2−イル)−1−(6−シアノピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレート;
1−{[(3S,4S)−1−tert−ブチル−4−(5−クロロピリジン−2−イル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−5S−(4−クロロフェニル)−4−イソブチリル−1,4−ジアゾカン;
6−[(3S,4S)−3−{[4−アセチル−5S−(4−クロロフェニル)−1,4−ジアゾカン−1−イル]カルボニル}−4−(5−クロロピリジン−2−イル)ピロリジン−1−イル][1,2,4]トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン;
メチル8S−(4−クロロフェニル)−4−{[(3S,4R)−4−(2,4−ジフルオロフェニル)−1−(1−メチル−6−オキソ−1,6−ジヒドロピリダジン−3−イル)ピロリジン−3−イル]カルボニル}−1,4−ジアゾカン−1−カルボキシレートから選択される化合物、および薬学的に許容できるその塩および溶媒和物。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物、および薬学的に許容できる希釈剤、担体または補助剤を含む医薬組成物。
【請求項13】
医薬品として使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項14】
男性または女性の性機能障害、肥満症、糖尿病または泌尿器状態の治療に使用するための、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物。
【請求項15】
MC4受容体の作動作用が有益であろう障害を治療する医薬品の製造における、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、または薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物の使用。
【請求項16】
前記障害が、男性または女性の性機能障害、肥満症、糖尿病または泌尿器状態である、請求項16に記載の使用。
【請求項17】
MC4受容体の作動作用が有益であろう障害を治療する方法であって、それを必要としている対象に、治療有効量の請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物、塩または溶媒和物を投与することを含む方法。
【請求項18】
障害が、男性または女性の性機能障害、肥満症、糖尿病または泌尿器状態である、請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2011−529959(P2011−529959A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521666(P2011−521666)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際出願番号】PCT/IB2009/053317
【国際公開番号】WO2010/015972
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(597014501)ファイザー・リミテッド (107)
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
【住所又は居所原語表記】Ramsgate Road, Sandwich, Kent, England
【Fターム(参考)】