説明

MEKの二環系阻害剤及びその使用方法

【課題】哺乳類において癌や炎症などの過剰増殖性疾患、及び炎症性病態の治療に有用である医薬の提供。
【解決手段】式(I)の化合物、並びに薬剤として許容できるその塩及びプロドラッグ(式中、R、R、R、R、R、R10、R20、R21、及びR22は、本明細書に定義する通りである)が開示されている。このような化合物は、MEK阻害剤であり、哺乳類において癌や炎症などの過剰増殖性疾患、及び炎症性病態の治療に有用である。哺乳類において過剰増殖性疾患の治療でのこのような化合物の使用方法、及びこのような化合物を含有する薬剤組成物も開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、この参照によりその全体を本明細書に組み込まれる2003年11月19日出願の米国特許仮出願第60/523,270号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、哺乳類において癌や炎症などの過剰増殖性疾患の治療に有用である一連の新規ヘテロ環系化合物に関する。本発明は、哺乳類、特にヒトにおける過剰増殖性疾患の治療でのこのような化合物の使用方法、及びこのような化合物を含有する薬剤組成物にも関する。
【背景技術】
【0003】
成長因子受容体及びタンパク質キナーゼを経由する細胞のシグナル伝達は、細胞成長、増殖、及び分化の重要な制御因子である。正常な細胞成長では、成長因子は、受容体活性化(すなわち、PDGF又はEGFなど)によりMAPキナーゼ経路を活性化する。正常で非制御の細胞成長に関与する最も重要な及び最もよく理解されたMAPキナーゼ経路の1つは、Ras/Rafキナーゼ経路である。活性型のGTP結合型Rasは、Rafキナーゼを活性化し、間接リン酸化する。次いで、Rafは、2つのセリン残基のMEK1及び2をリン酸化する(MEK1の場合S218及びS222、MEK2の場合S222及びS226)(Ahnら、Methods in Enzymology、2001年、332巻、417〜431頁)。次いで、活性化MEKは、その唯一知られている基質である、MAPキナーゼERK1及び2をリン酸化する。MEKによるERKリン酸化は、ERK1の場合Y204及びT202、及びERK2の場合Y185及びT183で起こる(Ahnら、Methods in Enzymology、2001年、332巻、417〜431頁)。リン酸化ERKは二量体化し、次いで核に転位し、そこで蓄積される(Khokhlatchevら、Cell、1998年、93巻、605〜615頁)。核では、ERKは、核移行、シグナル伝達、DNA修復、ヌクレオソームアセンブリ及び転位、並びにmRNAプロセッシング及び翻訳が含まれるがこれらに限定されないいくつかの重要な細胞機能に関与する(Ahnら、Molecular Cell、2000年、6巻、1343〜1354頁)。概して、成長因子で細胞を処置すると、ERK1及び2が活性化され、増殖、及び場合によって分化が起こる(Lewisら、Adv.Cancer Res.、1998年、74巻、49〜139頁)。
【0004】
増殖性疾患では、成長因子受容体、下流シグナリングタンパク質、又はERKキナーゼ経路に関与するタンパク質キナーゼの遺伝的変異及び/又は過剰発現は、非制御の細胞成長、最終的に腫瘍形成を招く。例えば、いくつかの癌は、成長因子を連続産生によりこの経路の連続活性化をもたらす変異を含む。他の変異は、活性化型のGTP結合型Ras複合体の不活性化の欠陥を招き、再びMAPキナーゼ経路の活性化をもたらす恐れがある。変異型の発癌性Rasは、50%の大腸癌、>90%の膵癌、及び他の多くのタイプの癌で見られる(Kohlら、Science、1993年、260巻、1834〜1837頁)。最近では、bRaf変異が、60%を超える悪性黒色腫で同定された(Davies,H.ら、Nature、2002年、417巻、949〜954頁)。bRafにおけるこれらの変異は、常時活性型MAPキナーゼカスケードをもたらす。原発腫瘍標本及び細胞系の研究によっても、膵臓、結腸、肺、卵巣、及び腎臓の癌におけるMAPキナーゼ経路の常時又は過剰活性化が示された(Hoshino,R.ら、Oncogene、1999年、18巻、813〜822頁)。したがって、癌と、遺伝的変異に起因する過剰活性型MAPキナーゼ経路との間に強い相関がある。
【0005】
MAPキナーゼカスケードの構成的又は過剰な活性化は、細胞の成長及び分化において中枢の役割を果たすので、この経路の阻害は、過剰増殖性疾患において有益であると考えられる。MEKは、Ras及びRafの下流であるのでこの経路において重要なプレーヤである。さらに、これは、唯一知られているMEKリン酸化用の基質がMAPキナーゼ、ERK1及び2であるので魅力的な治療標的である。MEKの阻害は、いくつかの研究において治療上潜在的な有益性を有することを示した。例えば、小分子MEK阻害剤は、ヌードマウス異種移植片においてヒト腫瘍成長を抑制し(Sebolt−Leopoldら、Nature−Medicine、1999年、5巻、7号、810〜816頁;Trachetら、AACR、2002年4月6〜10日、ポスター#5426;Tecle,H.、IBC 第2回 International Conference of Protein Kinases、2002年9月9〜10日)、動物において静的アロディニアを遮断し(2001年1月25日公開の国際公開第01/05390号)、急性骨髄性白血病細胞の成長を抑制する(Milellaら、J.Clin.Invest.、2001年、108巻、6号、851〜859頁)ことを示した。
【0006】
小分子MEK阻害剤は、それぞれ参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2003/0232869号、第2004/0116710号、及び第2003/0216460号、並びに米国特許出願第10/654,580号及び第10/929,295号に含めて開示されている。少なくとも15件の追加の特許出願がここ数年で出てきた。例えば:米国特許第5,525,625号;国際公開第98/43960号;国際公開第99/01421号;国際公開第99/01426号;国際公開第00/41505号;国際公開第00/42002号;国際公開第00/42003号;国際公開第00/41994号;国際公開第00/42022号;国際公開第00/42029号;国際公開第00/68201号;国際公開第01/68619号;国際公開第02/06213号;国際公開第03/077914号;及び国際公開第03/077855号を参照のこと。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、過剰増殖性疾患の治療に有用である新規ヘテロ環系化合物、並びに薬剤として許容できるその塩及びプロドラッグを提供する。具体的に、本発明の一態様は、MEK阻害剤として作用する式I〜IIIの化合物に関する。
【0008】
より具体的には、本発明の一実施形態は、式I〜IIIの化合物
【化1】


並びに薬剤として許容されるその塩、プロドラッグ、及び溶媒和物を提供する。
[式中、R、R、R、R、R20、及びR21は独立に、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−SR11、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−NRC(O)OR、−OC(O)R、−NRSO、−SONR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NRC(O)NR、−NRC(NCN)NR、−NR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、−S(O)(C〜Cアルキル)、−S(O)(CR−アリール、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、−O(CR−アリール、−NR(CR−アリール、−O(CR−ヘテロアリール、−NR(CR−ヘテロアリール、−O(CR−ヘテロシクリル、又は−NR(CR−ヘテロシクリルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NRSO、−SONR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NR、−NRC(O)NR、−NRC(NCN)NR、−OR、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール環のいずれかは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アジド、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキル、NR、及びORから独立に選択される1つ又は複数の基でさらに置換されていてもよく、
は、水素、トリフルオロメチル、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキルであり(但し、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール環のいずれかが、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アジド、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキル、NR、及びORから独立に選択される1つ又は複数の基でさらに置換されていてもよく、
式中、式Iでは、R10及びR22は独立に、水素、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−C(O)R、−C(O)OR、−SONR、−C(O)NR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、−S(O)(C〜Cアルキル)、−S(O)(CR−アリール、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NRSO、−SONR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NR、−NRC(O)NR、−NRC(NCN)NR、−OR、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、前記アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキル環のいずれかは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アジド、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキル、NR、及びORから独立に選択される1つ又は複数の基でさらに置換されていてもよく、
式IIでは、R10は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−SR11、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−NRC(O)OR、−OC(O)R、−NRSO、−SONR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NRC(O)NR、−NRC(NCN)NR、−NR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、−S(O)(C〜Cアルキル)、−S(O)(CR−アリール、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、−O(CR)m−アリール、−NR(CR−アリール、−O(CR−ヘテロアリール、−NR(CR−ヘテロアリール、−O(CR−ヘテロシクリル、又は−NR(CR−ヘテロシクリルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NRSO、−SONR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NR、−NRC(O)NR、−NRC(NCN)NR、−OR、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、前記アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキル環のいずれかは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アジド、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキル、NR、及びORから独立に選択される1つ又は複数の基でさらに置換されていてもよく、
23は、水素、トリフルオロメチル、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール環のいずれかは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アジド、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキル、NR、及びORから独立に選択される1つ又は複数の基でさらに置換されていてもよく、
は、水素、トリフルオロメチル、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ホスフェート、又はアミノ酸残基であり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
或いは、R及びRはそれらが結合している原子と一緒になって、4〜10員の炭素環、ヘテロアリール、又はヘテロ環を形成し、前記炭素環、ヘテロアリール、又はヘテロ環のいずれかは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
及びRは独立に、水素又はC〜Cアルキルであり、或いは
及びRはそれらが結合している原子と一緒になって、4〜10員の炭素環、ヘテロアリール、又はヘテロ環を形成し、前記アルキルのいずれか、又は前記炭素環、ヘテロアリール、及びヘテロ環のいずれかは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
は、トリフルオロメチル、C〜C10アルキル、C〜C10シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキルであり、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
11、R12、及びR13は独立に、水素、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、又はアリールアルキルであり、R14は、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、又はアリールアルキルであり、
或いは、R11、R12、R13、又はR14のいずれか2つはそれらが結合している原子と一緒になって、4〜10員の炭素環、ヘテロアリール、又はヘテロ環を形成し、前記アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル炭素環、ヘテロアリール環、又はヘテロ環のいずれかは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
mは、0、1、2、3、4、又は5であり、
nは、1又は2であり、
jは、0、1、又は2である。]
【0009】
別の態様では、本発明は、式I〜IIIの化合物を含むMEK阻害組成物を提供する。
【0010】
本発明は、式I〜IIIの化合物の薬剤として許容できるプロドラッグ、薬剤として活性な代謝物、及び薬剤として許容できる塩も対象とする。式I〜IIIの化合物の作製方法も記述する。
【0011】
別の態様では、本発明は、癌など、MEKによって媒介される疾患又は医学的病態を治療するための本発明の化合物の使用方法を提供する。例えば、本発明は、哺乳類における過剰増殖性障害又は炎症性病態の治療方法であって、前記哺乳類に、前記過剰増殖性障害を治療するのに有効量の式I〜IIIの1つ又は複数の化合物、或いは薬剤として許容できるその塩又はプロドラッグを投与するステップを含む方法を提供する。
【0012】
別の態様では、本発明は、MEKによって媒介される病態の治療又は予防であって、それを必要とするヒト又は動物に、前記MEKによって媒介される病態の治療又は予防するのに有効量の式I〜IIIの化合物、或いは薬剤として許容できるその塩、又はin vivoにおいて開裂可能なプロドラッグを含む薬剤組成物を投与するステップを含む治療又は予防を提供する。
【0013】
本発明の化合物は、さらに、他の知られている治療薬と組み合わせて使用できることが有利である。
【0014】
本発明は、有効量の、式I〜IIIの化合物、或いは薬剤として許容できるそのプロドラッグ、薬剤として活性な代謝物、又は薬剤として許容できる塩から選択される化合物を含む薬剤組成物にも関する。
【0015】
本発明の追加の利点及び新しい特徴は、一部下記の説明に記載されるものであり、当業者には、一部は以下の明細書の検討時に明らかとなり、又は本発明の実施によって知ることができる。本発明の利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘される手段、組合せ、組成物、及び方法によって実現、且つ達成することができる。
【0016】
本明細書に組み込まれ、明細書の一部分をなす添付図面は、本発明の非限定的な実施形態を示し、説明とともに、本発明の原理を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】化合物5〜6の合成のための反応スキームを示す図である。
【図2】化合物6の合成のための反応スキームを示す図である。
【図3】化合物8の合成のための反応スキームを示す図である。
【図4】化合物8の合成のための反応スキームを示す図である。
【図5】化合物11〜12の合成のための反応スキームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
式I〜IIIの本発明の化合物、並びに本発明の薬剤として許容できるその塩及びプロドラッグは、過剰増殖性疾患の治療に有用である。具体的には、本発明の一態様は、MEK阻害剤として働く式I〜IIIの化合物に関する。一般的に、本発明の一実施形態は、一般式Iを有する化合物、
【化2】


並びに薬剤として許容できるその塩、プロドラッグ、及び溶媒和物に関する。
[式中、R、R、R、R、R20、及びR21は独立に、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−SR11、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−NRC(O)OR、−OC(O)R、−NRSO、−SONR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NRC(O)NR、−NRC(NCN)NR、−NR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、−S(O)(C〜Cアルキル)、−S(O)(CR−アリール、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、−O(CR−アリール、−NR(CR−アリール、−O(CR−ヘテロアリール、−NR(CR−ヘテロアリール、−O(CR−ヘテロシクリル、又は−NR(CR−ヘテロシクリルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NRSO、−SONR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、NRC(O)OR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NR、−NRC(O)NR、−NRC(NCN)NR、−OR、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール環のいずれかは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アジド、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキル、NR、及びORから独立に選択される1つ又は複数の基でさらに置換されていてもよく、
は、水素、トリフルオロメチル、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール環のいずれかは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アジド、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキル、NR、及びORから独立に選択される1つ又は複数の基でさらに置換されていてもよく、
10及びR22は独立に、水素、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−C(O)R、−C(O)OR、−SONR、−C(O)NR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、−S(O)(C〜Cアルキル)、−S(O)(CR−アリール、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NRSO、−SONR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NR、−NRC(O)NR、−NRC(NCN)NR、−OR、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、前記アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキル環のいずれかは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アジド、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキル、NR、及びORから独立に選択される1つ又は複数の基でさらに置換されていてもよく、
は、水素、トリフルオロメチル、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ホスフェート、又はアミノ酸残基であり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
或いは、R及びRはそれらが結合している原子と一緒になって、4〜10員の炭素環、ヘテロアリール、又はヘテロ環を形成し、前記炭素環、ヘテロアリール、又はヘテロ環のいずれかは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
及びRは独立に、水素又はC〜Cアルキルであり、或いは
及びRはそれらが結合している原子と一緒になって、4〜10員の炭素環、ヘテロアリール、又はヘテロ環を形成し、前記アルキル、又は前記炭素環、ヘテロアリール、及びヘテロ環のいずれかは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
は、トリフルオロメチル、C〜C10アルキル、C〜C10シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキルであり、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
11、R12、及びR13は独立に、水素、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、又はアリールアルキルであり、R14は、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、又はアリールアルキルであり、
或いは、R11、R12、R13、又はR14のいずれか2つはそれらが結合している原子と一緒になって、4〜10員の炭素環、ヘテロアリール、又はヘテロ環を形成し、前記アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル炭素環、ヘテロアリール環、又はヘテロ環のいずれかは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
mは、0、1、2、3、4、又は5であり、
nは、1又は2であり、
jは、0、1、又は2である。]
【0019】
図1〜2は、一般式Iを有する本発明の化合物の合成の非限定的例を示す。
【0020】
一般式Iの化合物に加えて、本発明には、さらに一般式IIの化合物
【化3】


並びに薬剤として許容されるその塩、プロドラッグ、及び溶媒和物が含まれる。
[式中、R、R、R、R、R10、R20、及びR21は独立に、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−SR11、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−NRC(O)OR、−OC(O)R、−NRSO、−SONR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NRC(O)NR、−NRC(NCN)NR、−NR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、−S(O)(C〜Cアルキル)、−S(O)(CR−アリール、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、−O(CR−アリール、−NR(CR−アリール、−O(CR−ヘテロアリール、−NR(CR−ヘテロアリール、−O(CR−ヘテロシクリル、又は−NR(CR−ヘテロシクリルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NRSO、−SONR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、−NRC(O)OR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NR、−NRC(O)NR、−NRC(NCN)NR、−OR、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、前記アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル又はヘテロシクリルアルキル環のいずれかは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アジド、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキル、NR、及びORから独立に選択される1つ又は複数の基でさらに置換されていてもよく、
は、水素、トリフルオロメチル、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール環のいずれかは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アジド、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキル、NR、及びORから独立に選択される1つ又は複数の基でさらに置換されていてもよく、
は、水素、トリフルオロメチル、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ホスフェート、又はアミノ酸残基であり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
或いは、R及びRはそれらが結合している原子と一緒になって、4〜10員の炭素環、ヘテロアリール、又はヘテロ環を形成し、前記炭素環、ヘテロアリール、又はヘテロ環のいずれかは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
及びRは独立に、水素又はC〜Cアルキルであり、或いは
及びRはそれらが結合している原子と一緒になって、4〜10員の炭素環、ヘテロアリール、又はヘテロ環を形成し、前記アルキル、又は前記炭素環、ヘテロアリール、及びヘテロ環のいずれかが、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
は、トリフルオロメチル、C〜C10アルキル、C〜C10シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキルであり、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
11、R12、及びR13は独立に、水素、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、又はアリールアルキルであり、R14は、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、又はアリールアルキルであり、
或いは、R11、R12、R13、又はR14のいずれか2つはそれらが結合している原子と一緒になって、4〜10員の炭素環、ヘテロアリール、又はヘテロ環を形成し、前記アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル炭素環、ヘテロアリール環、又はヘテロ環のいずれかは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
mは、0、1、2、3、4、又は5であり、
jは、0、1、又は2である。]
【0021】
図3〜4は、一般式IIを有する本発明の化合物の合成の非限定的例を示す。
【0022】
別の実施形態では、本発明は、一般式IIIの化合物
【化4】


並びに薬剤として許容されるその塩、プロドラッグ、及び溶媒和物に関する。
[式中、R、R、R、R、R20、及びR21は独立に、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−SR11、−OR、−C(O)R、−C(O)OR、−NRC(O)OR、−OC(O)R、−NRSO、−SONR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NRC(O)NR、−NRC(NCN)NR、−NR、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、−S(O)(C〜Cアルキル)、−S(O)(CR−アリール、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、−O(CR−アリール、−NR(CR−アリール、−O(CR−ヘテロアリール、−NR(CR−ヘテロアリール、−O(CR−ヘテロシクリル、又は−NR(CR−ヘテロシクリルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NRSO、−SONR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、NRC(O)OR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NR、−NRC(O)NR、−NRC(NCN)NR、−OR、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール環のいずれかは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アジド、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキル、NR、及びORから独立に選択される1つ又は複数の基でさらに置換されていてもよく、
は、水素、トリフルオロメチル、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、OR、NR、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール環のいずれかは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アジド、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキル、NR、及びORから独立に選択される1つ又は複数の基でさらに置換されていてもよく、
23は、水素、トリフルオロメチル、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキルであり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、前記シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、又はヘテロアリール環のいずれかは、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、アジド、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、C〜Cアルキル、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cシクロアルキル、C〜Cヘテロシクロアルキル、NR、及びORから独立に選択される1つ又は複数の基でさらに置換されていてもよく、
は、水素、トリフルオロメチル、C〜C10アルキル、C〜C10アルケニル、C〜C10アルキニル、C〜C10シクロアルキル、C〜C10シクロアルキルアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、ホスフェート、又はアミノ酸残基であり、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
或いは、R及びRはそれらが結合している原子と一緒になって、4〜10員の炭素環、ヘテロアリール、又はヘテロ環を形成し、前記炭素環、ヘテロアリール、又はヘテロ環のいずれかは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
及びRは独立に、水素又はC〜Cアルキルであり、或いは
及びRはそれらが結合している原子と一緒になって、4〜10員の炭素環、ヘテロアリール、又はヘテロ環を形成し、前記アルキルのいずれか、又は前記炭素環、ヘテロアリール、及びヘテロ環のいずれかは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
は、トリフルオロメチル、C〜C10アルキル、C〜C10シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、又はヘテロシクリルアルキルであり、前記アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル部分のいずれかは、オキソ(但し、アリール又はヘテロアリール上で置換しない)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NR11SO14、−SONR1112、−C(O)R11、C(O)OR11、−OC(O)R11、−NR11C(O)OR14、−NR11C(O)R12、−C(O)NR1112、−SR11、−S(O)R14、−SO14、−NR1112、−NR11C(O)NR1213、−NR11C(NCN)NR1213、−OR11、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
11、R12、及びR13は独立に、水素、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、又はアリールアルキルであり、R14は、低級アルキル、低級アルケニル、アリール、又はアリールアルキルであり、
或いは、R11、R12、R13、又はR14のいずれか2つはそれらが結合している原子と一緒になって、4〜10員の炭素環、ヘテロアリール、又はヘテロ環を形成し、前記アルキル、アルケニル、アリール、アリールアルキル炭素環、ヘテロアリール環、又はヘテロ環のいずれかは、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキルから独立に選択される1つ又は複数の基で場合によって置換されており、
mは、0、1、2、3、4、又は5であり、
jは、0、1、又は2である。]
【0023】
図5は、一般式IIIを有する本発明の化合物の合成の非限定的例を示す。
【0024】
本明細書では、「C〜C10アルキル」、「アルキル」、及び「低級アルキル」という用語は、1〜10個の炭素原子を有する直鎖又は分枝状の1価飽和炭化水素基を指す。但し、アルキル基は独立に、下記に記載された1つ又は複数の置換基で場合によって置換されていてもよい。アルキル基の例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル、ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、3−メチルペンチル、ヘプチル、オクチルなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
「C〜C10アルケニル」、「低級アルケニル」、及び「アルケニル」という用語は、2〜10個の炭素原子及び少なくとも1個の二重結合を有する直鎖又は分枝状の1価炭化水素基を指し、エテニル、プロペニル、1−ブタ−3−エニル、l−ペンタ−3−エニル、1−ヘキサ−5−エニルなどが含まれるが、これらに限定されない。但し、アルケニル基は独立に、本明細書に記載する1つ又は複数の置換基で場合によって置換されていてもよく、「シス」及び「トランス」配向、又は或いは「E」及び「Z」配向を有する基が含まれる。
【0026】
「C〜C10アルキニル」、「低級アルキニル」、及び「アルキニル」という用語は、少なくとも1個の三重結合を含む2〜12個の炭素原子の直鎖又は分枝状の1価炭化水素基を指す。例には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチン−2−イルなどが含まれるが、これらに限定されない。このアルキニル基は、本明細書に記載する1つ又は複数の置換基で独立に場合によって置換されていてもよい。
【0027】
「アリル」という用語は、式RC=CHCHRを有する基(式中、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、又は本明細書で定義するような任意の置換基である)を指す。このアリルは、本明細書に記載する1つ又は複数の置換基で独立に場合によって置換されていてもよい。
【0028】
「炭素環」、「カルボシクリル」、「シクロアルキル」、又は「C〜C10シクロアルキル」という用語は、3〜10個の炭素原子を有する飽和又は部分不飽和の環状炭化水素基を指す。「シクロアルキル」という用語には、単環系及び多環系(例えば、二環系及び三環系)シクロアルキル構造が含まれる。この多環系構造には、飽和又は部分不飽和のシクロアルキル若しくはヘテロシクロアルキル環、又はアリール若しくはヘテロアリール環に縮合させた飽和又は部分不飽和のシクロアルキルが場合によって含まれる。シクロアルキル基の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルなどが含まれるが、これらに限定されない。シクロアルキルは、1つ又は複数の置換可能な位置において様々な基で独立に場合によって置換されていてもよい。例えば、このようなシクロアルキル基は、例えばC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ(C〜C)アルキルアミノ、ジ(C〜C)アルキルアミノ、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、アミノ(C〜C)アルキル、モノ(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキル、又はジ(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキルで場合によって置換されていてもよい。
【0029】
「ヘテロアルキル」という用語は、炭素原子の少なくとも1個が、N、O、又はSから選択されるヘテロ原子で置換されており、基が、炭素基又はヘテロ原子基とすることができる(すなわち、ヘテロ原子が、基の途中又は端部に出現することができる)、1〜12個の炭素原子の直鎖又は分枝状の1価飽和炭化水素基を指す。ヘテロアルキル基は、本明細書に記載する1つ又は複数の置換基で独立に場合によって置換されていてもよい。「ヘテロアルキル」という用語は、アルコキシ及びヘテロアルコキシ基を包含する。
【0030】
「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロ環」、又は「ヘテロシクリル」という用語は、少なくとも1個の環原子が、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子が、Cであり、1つ又は複数の環原子が、下記に記載する1つ又は複数の置換基で独立に場合によって置換されていてもよい、3〜8個の環原子の飽和又は部分不飽和の炭素環基を指す。基は、炭素基又はヘテロ原子基とすることができる。この用語には、さらに1つ又は複数の炭素環又はヘテロ環に縮合させたヘテロ環を含む二環及び三環の縮合環系が含まれる。「ヘテロシクロアルキル」には、ヘテロ環基を芳香族環又はヘテロ芳香族環と縮合させた基も含まれる。ヘテロシクロアルキル環の例には、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチオピラニル、ピペリジノ、モルホリノ、チオモルホリノ、チオキサニル、ピペラジニル、ホモピペラジニル、アゼチジニル、オキセタニル、チエタニル、ホモピペリジニル、オキセパニル、チエパニル、オキサゼピニル、ジアゼピニル、チアゼピニル、1,2,3,6−テトラヒドロピリジニル、2−ピロリニル、3−ピロリニル、インドリニル、2H−ピラニル、4H−ピラニル、ジオキサニル、1,3−ジオキソラニル、ピラゾリニル、ジチアニル、ジチオラニル、ジヒドロピラニル、ジヒドロチエニル、ジヒドロフラニル、ピラゾリジニルイミダゾリニル、イミダゾリジニル、3−アザビシクロ[3.1.0]ヘキサニル、3−アザビシクロ[4.1.0]ヘプタニル、アザビシクロ[2.2.2]ヘキサニル、3H−インドリル、及びキノリジニルが含まれるが、これらに限定されない。スピロ部分も、この定義の範囲に包含される。上記に挙げた基から誘導される前述の基は、C−結合又はN−結合が可能な場所でそのように結合することができる。例えば、ピロールから誘導される基は、ピロール−1−イル(N−結合)又はピロール−3−イル(C−結合)とすることができる。さらに、イミダゾールから誘導される基は、イミダゾール−1−イル(N−結合)又はイミダゾール−3−イル(C−結合)とすることができる。2個の環炭素原子がオキソ(=0)部分で置換されたヘテロ環基の一例は、1,1−ジオキソ−チオモルホリニルである。本明細書のヘテロ環基は非置換であり、或いは指定されたように、1つ又は複数の置換可能な位置において様々な基で置換されている。例えば、このようなヘテロ環基は、例えばC〜Cアルキル、C〜Cアルコキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、アミノ、モノ(C〜C)アルキルアミノ、ジ(C〜C)アルキルアミノ、C〜Cアルケニル、C〜Cアルキニル、C〜Cハロアルキル、C〜Cハロアルコキシ、アミノ(C〜C)アルキル、モノ(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキル、又はジ(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキルで場合によって置換されていてもよい。
【0031】
「アリール」という用語は、例えばハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、トリフルオロメチル、アリール、ヘテロアリール、及びヒドロキシで場合によって一、ニ、又は三置換された、単環(例えば、フェニル)、複数の環(例えば、ビフェニル)、又は少なくとも1つが芳香族である複数の縮合環(例えば、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、ナフチル)を有する1価芳香族炭素環基を指す。
【0032】
「ヘテロアリール」という用語は、窒素、酸素、又は硫黄から選択される少なくとも1個、及び最高4個のヘテロ原子を含む5〜10個の原子の縮合環系(そのうちの少なくとも1つが芳香族である)が含まれる5、6、又は7員環の1価芳香族基を指す。ヘテロアリール基の例は、ピリジニル、イミダゾリル、ピリミジニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピラジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、オキサゾリル、イソチアゾリル、ピロリル、キノリニル、イソキノリニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾフラニル、シンノリニル、インダゾリル、インドリジニル、フタラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、イソインドリル、プテリジニル、プリニル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、チアジアゾリル、フラザニル、ベンゾフラザニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キナゾリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、及びフロピリジニルである。スピロ部分も、この定義の範囲に包含される。ヘテロアリール基は、例えばハロゲン、低級アルキル、低級アルコキシ、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、及びヒドロキシで場合によって一、二、又は三置換されている。
【0033】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、臭素、塩素、及びヨウ素を表す。
【0034】
「アリールアルキル」という用語は、(上記に定義された)1つ又は複数のアリール部分で置換された(上記に定義された)アルキル部分を意味する。より好ましいアリールアルキル基は、アリール−C1〜3−アルキルである。例には、ベンジル、フェニルエチルなどが含まれる。
【0035】
「ヘテロアリールアルキル」という用語は、(上記に定義された)ヘテロアリール部分で置換された(上記に定義された)アルキル部分を意味する。より好ましいヘテロアリールアルキル基は、5又は6員のヘテロアリール−C1〜3−アルキルである。例には、オキサゾリルメチル、ピリジルエチルなどが含まれる。
【0036】
「ヘテロシクリルアルキル」という用語は、(上記に定義された)ヘテロシクリル部分で置換された(上記に定義された)アルキル部分を意味する。より好ましいヘテロシクリルアルキル基は、5又は6員のヘテロシクリル−C1〜3−アルキルである。例には、テトラヒドロピラニルメチルが含まれる。
【0037】
「シクロアルキルアルキル」という用語は、(上記に定義された)シクロアルキル部分で置換された(上記に定義された)アルキル部分を意味する。より好ましいヘテロシクリル基は、5又は6員のシクロアルキル−C1〜3−アルキルである。例には、シクロプロピルメチルが含まれる。
【0038】
「Me」という用語は、メチルを意味し、「Et」は、エチルを意味し、「Bu」は、ブチルを意味し、「Ac」は、アセチルを意味する。
【0039】
「アミノ酸残基」という用語には、一般に3文字略号で表記される20個の天然に存在するアミノ酸が含まれるが、これらに限定されず、4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デモシン、イソデモシン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、サーチュリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン、及びメチオニンスルホンも含まれる。
【0040】
一般に、式I〜IIIの化合物の様々な部分又は官能基は、1つ又は複数の置換基によって場合によって置換されていてもよい。本発明の目的に適した置換基の例には、オキソ(但し、オキソ置換基がアリール又はヘテロアリール上でないことを条件とする)、ハロゲン、シアノ、ニトロ、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、アジド、−NRSO、−SONR、−C(O)R、−C(O)OR、−OC(O)R、NRC(O)OR、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NR、−NRC(O)NR、−NRC(NCN)NR、−OR、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、ヘテロシクリル、及びヘテロシクリルアルキル(但し、R、R、R、及びRは、本明細書で定義する通りである)が含まれるが、これらに限定されない。
【0041】
2つ以上の基を連続的に使用して、構造に結合している置換基を定義する場合、最初に指名した基は、終末部と見なされ、最後に指名した基は、当該構造に結合しているものと見なされることを理解されたい。したがって、例えばアリールアルキル基が、アルキル基によって当該構造に結合している。
【0042】
(CRなどの用語を使用する本発明の化合物では、R及びRは、反復のmがそれぞれ1を超えると変わることがある。例えば、mが2である場合、(CRという用語は、−CHCH−、又は−CH(CH)C(CHCH)(CHCHCH)−、又はR及びRの定義の範囲に包含される任意の数の同様の部分に等しいことがある。
【0043】
本発明の化合物は、1つ又は複数の不斉中心を所有することがある。したがって、このような化合物は、個々の(R)又は(S)立体異性体として、又はその混合物として生成される可能性がある。別段の指示のない限り、明細書及び特許請求の範囲における特定の化合物の説明又は指名は、その個々のエナンチオマーの両方、ジアステレオマー混合物、ラセミ、又はその他を含むことを意図している。したがって、本発明は、式I〜IIIのジアステレオマー混合物及び純エナンチオマーを含めて、このような異性体の全ても含む。ジアステレオマー混合物は、その物理化学的な差に基づいて、当業者に知られている方法、例えばクロマトグラフィー又は分別結晶によって個々のジアステレオマーに分別することができる。エナンチオマーは、エナンチオマー混合物を適切な光学活性化合物(例えば、アルコール)との反応によって、ジアステレオマー混合物に変換し、ジアステレオマーを分別し、個々のジアステレオマーを対応する純エナンチオマーに変換する(例えば、加水分解する)ことによって、分別することができる。立体化学の決定及び立体異性体の分別のための方法は、当技術分野でよく知られている(J.Marchの「上級有機化学(Advanced Organic Chemistry)」第4版の第4章の考察(John Wiley and Sons、New York、1992年)を参照のこと)。
【0044】
本発明は、式I〜IIIの化合物を含む薬剤組成物、及び本発明の化合物を投与することによって増殖性障害又は異常細胞成長を治療する方法も包含する。遊離アミノ、アミド、ヒドロキシ、又はカルボン酸基を有する本発明の化合物を、薬剤として許容できるプロドラッグに変換することができる。
【0045】
「薬剤として許容できるプロドラッグ」は、生理的状態下で又は加溶媒分解によって、指定された化合物又はこのような化合物の薬剤として許容できる塩に変換することができる化合物である。プロドラッグには、アミノ酸残基、又は2個以上(例えば、2、3、又は4個)のアミノ酸残基のポリペプチド鎖が、アミド又はエステル結合を介して、本発明の化合物の遊離アミノ、ヒドロキシ、又はカルボン酸基に共有結合している化合物が含まれる。アミノ酸残基には、一般に3文字略号で表記される20個の天然に存在するアミノ酸が含まれるが、これらに限定されず、4−ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デモシン、イソデモシン、3−メチルヒスチジン、ノルバリン、β−アラニン、γ−アミノ酪酸、サーチュリン、ホモシステイン、ホモセリン、オルニチン、及びメチオニンスルホンも含まれる。本発明の好ましい一プロドラッグは、バリン残基に共有結合している式I〜IIIの化合物である。
【0046】
追加のタイプのプロドラッグも包含される。例えば、遊離カルボキシル基を、アミド又はアルキルエステルとして誘導体化することができる。別の例として、Advanced Drug Delivery Reviews、1996年、19巻、115頁に概説されているように、遊離ヒドロキシ基を含む本発明の化合物は、ヒドロキシ基(複数を含む)をリン酸エステル、ヘミスクシネート、ジメチルアミノアセテート、又はホスホリルオキシメチルオキシカルボニルに変換することによって、プロドラッグとして誘導体化することができる。ヒドロキシ基のカルボナートプロドラッグ、スルホン酸エステル及び硫酸エステルがそうであるように、ヒドロキシ及びアミノ基のカルバマートプロドラッグも含まれる。ヒドロキシ基を(アシルオキシ)メチル及び(アシルオキシ)エチルエーテル(但し、アシル基は、エーテル、アミン及びカルボン酸官能基が含まれるがこれらに限定されない基で場合によって置換されたアルキルエステルとすることができ、或いはアシル基は、上記に記載するアミノ酸エステルである)として誘導体化することも包含される。このタイプのプロドラッグは、J.Med.Chem.、1996年、39巻、10頁に記載されている。より特有の例には、アルコール基の水素原子を、(C〜C)アルカノイルオキシメチル、1−((C〜C)アルカノイルオキシ)エチル、1−メチル−l−((C〜C)アルカノイルオキシ)エチル、(C〜C)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C〜C)アルコキシカルボニルアミノメチル、サクシノイル、(C〜C)アルカノイル、α−アミノ(C〜C)アルカノイル、アリールアシル、及びα−アミノアシル又はα−アミノアシル−α−アミノアシル(但し、α−アミノアシル基はそれぞれ、天然に存在するL−アミノ酸から独立に選択される)、P(O)(OH)、−P(O)(O(C〜C)アルキル)、又はグリコシル(炭水化物のヘミアセタール形のヒドロキシル基の除去から得られる基)などの基で置換したものが含まれる。
【0047】
遊離アミンを、アミド、スルホンアミド、又はホスホンアミドとして誘導体化することもできる。これらのプロドラッグ部分はすべて、エーテル、アミン、及びカルボン酸官能基に限定されないがこれを含めて基を組み込むことができる。例えば、プロドラッグは、アミン基の水素原子を、R−カルボニル、RO−カルボニル、NRR’−カルボニル(但し、R及びR’はそれぞれ独立に、(C〜C10)アルキル、(C〜C)シクロアルキル、ベンジルであり、或いはR−カルボニルは、天然α−アミノアシル、又は天然α−アミノアシル−天然α−アミノアシル、−C(OH)C(O)OY(但し、Yは、H、(C〜C)アルキル、又はベンジルである)、−C(OY)Y(但し、Yは、(C〜C)アルキルであり、Yは、(C〜C)アルキル、カルボキシ(C〜C)アルキル、アミノ(C〜C)アルキル、又はモノ−N−若しくはジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノアルキルである)、−C(Y)Y(但し、Yは、H又はメチルであり、Yは、モノ−N−若しくはジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジン−1−イル、又はピロリジン−1−イルである)である)などの基で置換することによって形成することができる。
【0048】
さらに、本発明は、式I〜IIIの化合物の溶媒和物、薬剤として活性な代謝物、及び薬剤として許容できる塩も含む。
【0049】
「溶媒和物」という用語は、分子と1つ又は複数の溶媒分子との凝集物を指す。
【0050】
「薬剤として活性な代謝物」は、指定された化合物又はその塩の体内での代謝によって産生された薬剤として活性な生成物である。化合物の代謝物は、当技術分野で知られているルーチンの技法を使用して同定し、その活性は、本明細書に記載するものなどの試験を使用して決定することができる。
【0051】
化合物のプロドラッグ及び活性代謝物は、当技術分野で知られているルーチンの技法を使用して同定することができる。様々な形のプロドラッグが、当技術分野で知られている。このようなプロドラッグ誘導体の例については、例えばそれぞれ参照により本明細書に具体的に組み込まれる、a)H.Bundgaard編集のDesign of Prodrugs(Elsevier、1985年)、及びK.Widderら編集のMethods in Enzymology、42巻、309〜396頁(Academic Press、1985年);b)Krogsgaard−Larsen及びH.Bundgaard編集のA Textbook of Drug Design and Developmentの第5章、H.Bundgaardの「プロドラッグの設計及び適用(Design and Application of Prodrugs)」、113〜191頁(1991年);c)H.Bundgaard、Advanced Drug Delivery Reviews、8巻、1〜38頁(1992年);d)H.Bundgaardら、Journal of Pharmaceutical Sciences、77巻、285頁(1988年);並びにe)N.Kakeyaら、Chem.Pharm.Bull.、32巻、692頁(1984年)を参照のこと。
【0052】
本明細書では「薬剤として許容できる塩」は、別段の指示のない限り、指定された化合物の遊離酸及び塩基の生物学的有効性を保持し、生物学的に又はその他で望ましくない塩を含む。本発明の化合物は、十分に酸性の基、十分に塩基性の基、又は両方の官能基を所有し、したがっていくつかの無機又は有機塩基、並びに無機及び有機酸のいずれかと反応して、薬剤として許容できる塩を形成することができる。薬剤として許容できる塩の例には、本発明の化合物と鉱物酸又は有機酸又は無機塩基との反応によって調製されるその塩が含まれる。このような塩には、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−ジオン酸塩、ヘキシン−1,6−ジオン酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロメンゾラート、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、及びマンデル酸塩が含まれる。本発明の単独の化合物は、1つを超える酸性又は塩基性部分を含むことがあるので、本発明の化合物は、単独の化合物中にモノ、ジ、又はトリ塩を含むことがあり得る。
【0053】
本発明の化合物が塩基の場合、所望の薬剤として許容できる塩は、当技術分野で利用可能な任意の適切な方法、例えば遊離塩基を、酸性化合物、具体的には塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸、又は酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、グルクロン酸やガラクツロン酸などのピラノシジル酸、クエン酸や酒石酸などのαヒドロキシ酸、アスパラギン酸やグルタミン酸などのアミノ酸、安息香酸やケイ皮酸などの芳香族酸、p−トルエンスルホン酸やエタンスルホン酸などのスルホン酸などの有機酸で処理することによって調製することができる。
【0054】
本発明の化合物が酸性の場合、所望の薬剤として許容できる塩は、任意の適切な方法、例えば遊離酸を無機又は有機の塩基で処理することによって調製することができる。好ましい無機塩は、リチウム、ナトリウム、カリウム、バリウム、及びカルシウムなどのアルカリ及びアルカリ土類金属で形成されるものである。好ましい有機塩基塩には、例えばアンモニウム、ジベンジルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、2−ヒドロキシエチルアンモニウム、ビス(2−ヒドロキシエチル)アンモニウム、フェニルエチルベンジルアミン、ジベンジルエチレンジアミン、及び同様の塩が含まれる。酸性部分の他の塩には、例えばプロカイン、キニーネ及びN−メチルグルソアミンで形成されるそれらの塩、さらにグリシン、オルニチン、ヒスチジン、フェニルグリシン、リジン、及びアルギニンなどの塩基性アミノ酸で形成される塩が含まれ得る。
【0055】
本発明の化合物は、容易に入手可能な、又は当技術分野で知られている方法を使用して合成することができる出発材料を使用して、当技術分野で利用可能な技法を用いて、下記に記載する反応経路及び合成スキームを使用して調製することができる。
【0056】
本発明の化合物の調製の実例を図1〜5に示す。
【0057】
図1は、本発明の式Iの化合物の合成を例示する。2−ブロモ−6−フルオロ安息香酸類似体2は、1−ブロモ−3−フルオロ−ベンゼン類似体1をアミド塩基で脱プロトン化し、続いてTHF、ジエチルエーテル、又はMTBEなど適切な有機溶媒中、−78℃〜周囲温度の温度で、固体又は気体のCOで急冷することによって調製することができる。好ましくは、安息香酸2は、THF中、低温(−20〜−78℃)において、新たに調製されたLDAで脱プロトン化し、続いて固体COで急冷することによって作製することができる。エステル3の調製は、2段階手順で実施する。第1ステップでは、適切なアニリン部分をSAr反応によって組み込むことができる。これは、THFなど適切な有機溶媒中、適切な温度(−78℃〜室温)で、LDA、LiHMDS、NaHMDS、又はKHMDSなどのアミド塩基を使用して行うことができる。SAr付加は、安息香酸2を、THF中の新たに調製されたLDAと適切なアニリンの混合物に、低温(−20〜−78℃)で添加し、反応混合物を放置して室温にまで温めることによって実現することが好ましい。
【0058】
続いて図1に関して、化合物6の合成における次のステップは、フィッシャーのエステル化(MeOH、HSO);MeOH中TMSCHN又はTMSCl反応との反応が含まれるがこれらに限定されない標準方法によって実現することができる標準エステル化である。ケト酸誘導体4の合成は、3段階シーケンスで実施することができる。第1ステップでは、パラジウムによって媒介されたアルキンクロスカップリング反応を使用して、対応するアルキン中間体を生じる。このパラジウムによって媒介されたクロスカップリング反応は、THF、DMF、PhMe、DME、又はMeCNなど適切な有機溶媒中、高温で、臭化物3を、所望のアルキン、Pd(OAc)及びPhP、PdCl(dppf)、Pd(PhP)Cl、Pd(PhP)、Pddba及びPhPなどのパラジウム触媒、CuI、並びにEtN、EtNH、又はi−PrNHなどのアミン塩基で処理することが含まれるがこれらに限定されない標準方法によって実現することができる。より好ましくは、臭化物3及びアルキンを、THF又はDMF中、50〜100℃で、Pd(PhP)Cl、CuI、及びアミン塩基で処理する。第2ステップでは、HSO、TFA、トリフルオロスルホンアミド、FeC1、又はHgSO/HSOが含まれるがこれらに限定されない標準方法によって、中間体アルキンを対応するケトンに加水分解する。第3ステップでは、標準混合水性/有機溶媒系中LiOH又はNaOHを使用して、標準条件下で塩基性加水分解によって、ケト酸4を調製する。ジヒドロ−イソインドール−1−オン5は、ケトンをヒドロキシルアミンで処理し、続いてAcOH中Zn末、又はH及び触媒のPd/C若しくはPtO、又はラネーニッケルが含まれるがこれらに限定されない標準条件下で還元することによって調製することができる。この還元は、高温(50〜85℃)においてAcOH中Zn末で実施することができることが好ましい。誘導体(式中、Rは、ヨード又はブロモである)を調製するためには、この段階で触媒の酸水溶液を用いて又は用いず、DMF中NIS又はNBSが含まれるがこれらに限定されない標準ハロゲン化条件下で、これを実施することができる。置換ジヒドロ−イソインドール−1−オン6を形成するためのジヒドロ−イソインドール−1−オン5のアルキル化は、DMF、MeCN、又はTHFなど適切な有機溶媒中、0〜80℃の温度で、ハロゲン化アルキルなどのアルキル化剤、及びLiH、NaH、又はKCOなどの塩基を使用することによって実施することができる。或いは、置換ジヒドロ−イソインドール−1−オン13は、THF、塩化メチレン、ジクロロエタン、MeCN、又はジオキサンなど適切な有機溶媒中、適切なアミン、及びAcOHを用いた又は用いないNaBH(OAc)、NaBHCN、若しくはNaBHなどの還元剤での処理が含まれるがこれらに限定されない標準還元アミノ化条件下で、ケト酸4から直接調製することができる。
【0059】
図2に、本発明の式Iの化合物の調製を示す。エステル7は、様々な求核試薬及びパラジウム触媒を用いて、パラジウムによって媒介されたクロスカップリング反応によって臭化物3から調製することができる。これらの方法の一部には、BuSnCHR1022、PhMe中Pd(PPh、R1022CHB(OR)、ジオキサン又はTHF/水中Pd(PPh又はPdCl(dppf)及びKCO、R1022CHBFK、i−PrOH/水中PdCl(dppf)及びt−BuNH、R1022CHZnR、ジオキサン中PdCl(dppf)、或いはR1022CH−A1−R、THF中PdCl(dppf)及びCeClが含まれるが、これらに限定されない。これらのクロスカップリング反応はすべて、高温(50〜120℃)で実施される。ジヒドロ−イソインドール−1−オン6は、エステル7の臭素化と、その後に続くアンモニア又は第一級アミンでの処理によって調製することができる。エステル7の臭素化は、適切な有機溶媒中NBSなどの標準条件を使用して実施することができる。ジヒドロ−イソインドール−1−オン6を形成するための環化は、適切な有機溶媒中、周囲温度〜わずかに高温の温度において、アンモニア又は第一級アミンで処理することによって実現することができる。この環化をMeOHやEtOHなどのアルコール溶媒中で実施することが好ましい。誘導体(式中、Rは、ヨード又はブロモである)を調製するためには、この段階で触媒の酸水溶液を用いて又は用いず、DMF中NIS又はNBSが含まれるがこれらに限定されない標準ハロゲン化条件下で、これを実施することができる。
【0060】
図3は、本発明の式IIの化合物の合成を例示する。フタラジン−1−オン8を形成するための環化は、ケトン4を、EtOH、i−PrOH、DMF、DME、又はその混合物など適切な有機溶媒中、周囲温度〜約100℃の温度において、置換又は非置換ヒドラジンで処理することによって実施することができる。誘導体(式中、Rは、ヨード又はブロモである)を調製するためには、この段階で触媒の酸水溶液を用いて又は用いず、DMF中NIS又はNBSが含まれるがこれらに限定されない標準ハロゲン化条件下で、これを実施することができる。
【0061】
図4は、本発明の式IIの化合物の代替調製を示す。アルデヒド9は、2段階手順で、臭化物3から形成することができる。第1ステップでは、臭化物3と、ビニルボロン酸とのSuzuki式のパラジウムによって媒介されたクロスカップリング反応によって、対応するスチレン誘導体が得られる。この反応は、PhMe、DME、DMF、又はTHFなど適切な有機溶媒中、高温において、塩基の存在下で、様々なビニルボロン酸及びパラジウム触媒を用いて実施することができる。trans−2−フェニルボロン酸を、DMEと水の混合物中、60〜105℃の温度で、Pd(PPh及びKCOと共に使用することが好ましい。第2ステップでは、O/MeS、O/PhP、又はOsO/NaIOが含まれるがこれらに限定されない標準酸化条件によって、アルデヒドを調製する。次いで、アルデヒド9を、適切なヒドラジンで処理することによってフタラジン−1−オン8に変換することができる。誘導体(式中、Rは、ヨード又はブロモである)を調製するためには、この段階で触媒の酸水溶液を用いて又は用いず、DMF中NIS又はNBSが含まれるがこれらに限定されない標準ハロゲン化条件下で、これを実施することができる。
【0062】
図5に、本発明の式IIIの化合物の調製を例示する。ヒドラジド10は、パラジウムによって媒介されたクロスカップリング反応によって、臭化物3から調製することができる。これは、臭化物3を、PhMe中、高温において、適切なt−ブチルカルバザート、CsCO及び触媒のPd(dba)/dppfで処理することによって実施することが好ましい。塩化メチレン中TFAや、ジオキサン又はジエチルエーテル中HClなどの標準酸性条件下でのBOC保護基の除去によって、ジヒドロ−インダゾル−3−オン11が生じる。誘導体(式中、Rは、ヨード又はブロモである)を調製するためには、この段階で触媒の酸水溶液を用いて又は用いず、DMF中NIS又はNBSが含まれるがこれらに限定されない標準ハロゲン化条件下で、これを実施することができる。置換ジヒドロ−インダゾル−3−オン12を形成するためのジヒドロインダゾル−3−オン11のアルキル化は、DMF、MeCN、又はTHFなど適切な有機溶媒中、0〜80℃の温度で、ハロゲン化アルキルなどのアルキル化剤、及びLiH、NaH、又はKCOなどの塩基を使用することによって実施することができる。
【0063】
本発明は、治療有効量の本発明の化合物、又は薬剤として許容できるその塩、プロドラッグ、若しくは水和物、及び薬剤として許容できる担体を含む、哺乳類における過剰増殖性障害の治療用の薬剤組成物にも関する。一実施形態では、前記薬剤組成物は、脳腫瘍、肺癌、扁平上皮癌、膀胱癌、胃癌、膵癌、乳癌、頭部癌、頸部癌、腎癌、腎臓癌、卵巣癌、前立腺癌、直腸結腸癌、食道癌、精巣癌、婦人科系の癌、又は甲状腺癌などの癌の治療用である。別の実施形態では、前記薬剤組成物は、皮膚の良性過形成(例えば、乾癬)、再狭窄、又は前立腺(例えば、良性前立腺肥大(BPH))などの非癌性過剰増殖性障害の治療用である。
【0064】
本発明は、治療有効量の本発明の化合物、又は薬剤として許容できるその塩、プロドラッグ、若しくは水和物、及び薬剤として許容できる担体を含む、哺乳類における膵炎又は腎臓疾患(増殖性糸球体腎炎及び糖尿病によって誘発された腎疾患を含めて)の治療、又は痛みの治療用の薬剤組成物にも関する。
【0065】
本発明は、治療有効量の本発明の化合物、又は薬剤として許容できるその塩、プロドラッグ、若しくは水和物、及び薬剤として許容できる担体を含む、哺乳類における芽細胞移植の予防用の薬剤組成物にも関する。
【0066】
本発明は、治療有効量の本発明の化合物、又は薬剤として許容できるその塩、プロドラッグ、若しくは水和物、及び薬剤として許容できる担体を含む、哺乳類における脈管形成又は血管新生に関連した疾患を治療するための薬剤組成物にも関する。一実施形態では、前記薬剤組成物は、腫瘍血管新生;関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患又は他の炎症性病態;乾癬、湿疹、及び強皮症などの皮膚疾患;糖尿病、糖尿病網膜症、未熟児網膜症、加齢黄斑変性、血管腫、神経膠腫、悪性黒色腫、カポジ肉腫、並びに卵巣癌、乳癌、肺癌、膵癌、前立腺癌、結腸癌及び類表皮癌からなる群から選択される疾患の治療用である。
【0067】
本発明は、哺乳類に、治療有効量の本発明の化合物、又は薬剤として許容できるその塩、プロドラッグ、若しくは水和物を投与するステップを含む、哺乳類における過剰増殖性障害の治療方法にも関する。一実施形態では、前記方法は、脳腫瘍、肺癌、扁平上皮癌、膀胱癌、胃癌、膵癌、乳癌、頭部癌、頸部癌、腎癌、腎臓癌、卵巣癌、前立腺癌、直腸結腸癌、食道癌、精巣癌、婦人科系の癌、又は甲状腺癌などの癌治療に関する。別の実施形態では、前記方法は、皮膚の良性過形成(例えば、乾癬)、再狭窄、又は前立腺(例えば、良性前立腺肥大(BPH))などの非癌性過剰増殖性障害の治療に関する。
【0068】
本発明は、哺乳類に、治療有効量の本発明の化合物、又は薬剤として許容できるその塩、プロドラッグ、若しくは水和物を、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、インターカレートする抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調節物質、抗ホルモン剤、血管新生阻害剤、及び抗アンドロゲン剤からなる群から選択される抗腫瘍剤と組み合わせて投与するステップを含む、哺乳類における過剰増殖性障害の治療のための方法にも関する。
【0069】
本発明は、哺乳類に、治療有効量の本発明の化合物、又は薬剤として許容できるその塩、プロドラッグ、若しくは水和物を投与するステップを含む、哺乳類における膵炎又は腎臓疾患の治療方法にも関する。
【0070】
本発明は、哺乳類に、治療有効量の本発明の化合物、又は薬剤として許容できるその塩、プロドラッグ、若しくは水和物を投与するステップを含む、哺乳類における芽細胞移植の予防方法にも関する。
【0071】
本発明は、哺乳類に、治療有効量の本発明の化合物、又は薬剤として許容できるその塩、プロドラッグ、若しくは水和物を投与するステップを含む、哺乳類における脈管形成又は血管新生に関連した疾患の治療方法にも関する。一実施形態では、前記方法は、腫瘍血管新生;関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、炎症性腸疾患などの慢性炎症性疾患;乾癬、湿疹、及び強皮症などの皮膚疾患、糖尿病、糖尿病網膜症、未熟児網膜症、加齢黄斑変性、血管腫、神経膠腫、悪性黒色腫、カポジ肉腫、並びに卵巣癌、乳癌、肺癌、膵癌、前立腺癌、結腸癌及び類表皮癌からなる群から選択される疾患の治療用である。
【0072】
本発明は、治療有効量の本発明の化合物、又は薬剤として許容できるその塩、プロドラッグ、若しくは水和物、及び薬剤として許容できる担体を含む、哺乳類における炎症性疾患、自己免疫疾患、破壊性骨障害、増殖性障害、感染疾患、ウイルス性疾患、線維性疾患、又は神経変性疾患に関連した疾患又は病態を治療するための薬剤組成物にも関する。上記の疾患及び/又は病態の例には、関節リウマチ、アテローム性動脈硬化症、炎症性腸疾患;乾癬、湿疹、及び強皮症などの皮膚疾患;糖尿病、及び糖尿病性合併症、糖尿病網膜症、未熟児網膜症、加齢黄斑変性、血管腫、慢性閉塞性肺疾患、特発性肺線維症;喘息、アレルギー性鼻炎、及びアトピー性皮膚炎を含めてアレルギー応答;腎疾患及び腎不全、多発性嚢胞腎、急性冠症候群、うっ血性心不全、変形性関節症、神経線維腫症、臓器移植拒絶反応、悪液質並びに痛みが含まれるが、これらに限定されない。
【0073】
本発明の方法に従って、本発明の化合物、又は前記化合物の薬剤として許容できる塩、プロドラッグ、及び水和物で治療することができる患者には、例えば乾癬、再狭窄、アテローム性動脈硬化症、BPH、肺癌、骨癌、CMML、膵癌、皮膚癌、頭部及び頸部の癌、皮膚又は眼内悪性黒色腫、子宮癌、卵巣癌、直腸癌、肛門部の癌、胃癌、結腸癌、乳癌、精巣、婦人科系の腫瘍(例えば、子宮肉腫、ファロピウス管癌、子宮内膜癌、子宮頚癌、腟癌、又は外陰癌)、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌(例えば、甲状腺、副甲状腺又は副腎の癌)、軟部組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、慢性又は急性白血病、小児悪性固形腫瘍、リンパ球性リンパ腫、膀胱癌、腎臓又は尿管の癌(例えば、腎細胞癌、腎盂癌)、又は中枢神経系の新生物(例えば、原発性CNSリンパ腫、脊髄腫瘍、脳幹グリオーマ、又は下垂体腺腫)であると診断された患者が含まれる。
【0074】
本発明は、ある量の本発明の化合物、又は薬剤として許容できるその塩、若しくは溶媒和物、若しくはプロドラッグを、ある量の化学療法剤と組み合わせて含み、その量の化合物、塩、溶媒和物、又はプロドラッグ、及び化学療法剤が共に、異常細胞成長を阻害する際に有効である、哺乳類における異常細胞成長を阻害するための薬剤組成物にも関する。多数の化学療法剤が、現在当技術分野で知られている。一実施形態では、化学療法剤は、有糸分裂阻害剤、アルキル化剤、代謝拮抗物質、インターカレートする抗生物質、成長因子阻害剤、細胞周期阻害剤、酵素、トポイソメラーゼ阻害剤、生物学的応答調節物質、抗ホルモン剤、血管新生阻害剤、及び抗アンドロゲン剤からなる群から選択される。
【0075】
本発明は、さらに哺乳類に、ある量の本発明の化合物、又は薬剤として許容できるその塩、若しくは溶媒和物、若しくはプロドラッグを、放射線療法と組み合わせて投与するステップを含み、放射線療法と組み合わせた、その量の化合物、塩、溶媒和物、又はプロドラッグが、哺乳類における異常細胞成長を阻害し、又は過剰増殖性障害を治療する際に有効である、哺乳類における異常細胞成長を阻害し、又は過剰増殖性障害を治療するための方法である。放射線療法を投与するための技法は、当技術分野で知られ、これらの技法は、本明細書に記載する併用療法で使用することができる。この併用療法における本発明の化合物の投与は、本明細書に記載のように決定することができる。
【0076】
本発明の化合物は、異常細胞を、このような細胞を死滅させ、且つ/又はその成長を阻害するための放射線治療に対する感受性を高くすることができると考えられる。したがって、本発明は、さらに哺乳類に、ある量の本発明の化合物、又は薬剤として許容できるその塩、若しくは溶媒和物、若しくはプロドラッグを投与するステップを含み、その量が、異常細胞を放射線治療に感作させる際に有効である、哺乳類における異常細胞を放射線治療に感作させるための方法に関する。本明細書に記載する、このような化合物の有効量を確認するための手段に従って、この方法におけるその量の化合物、塩、又は溶媒和物を決定することができる。
【0077】
本発明は、ある量の本発明の化合物、又は薬剤として許容できるその塩若しくは溶媒和物、そのプロドラッグ、又は同位体標識されたその誘導体、並びにある量の、耐血管新生剤、シグナル伝達阻害剤、及び抗増殖剤から選択される1つ又は複数の物質を含む、哺乳類における異常細胞成長を阻害する方法及び薬剤組成物にも関する。
【0078】
MMP−2(マトリックスメタロプロティナーゼ2)阻害剤、MMP−9(マトリックスメタロプロティナーゼ9)阻害剤、及びCOX−II(シクロオキシゲナーゼII)阻害剤などの耐血管新生剤を、本明細書に記載する本発明の化合物及び薬剤組成物と一緒に使用することができる。有用なCOX−II阻害剤の例には、CELEBREX(商標)(アレコキシブ)、バルデコキシブ、及びロフェコキシブが含まれる。有用なマトリックスメタロプロティナーゼ阻害剤の例は、国際公開第96/33172号、国際公開第96/27583号、欧州特許出願公開第818442号、欧州特許出願公開第1004578号、国際公開第98/07697号、国際公開第98/03516号、国際公開第98/34918号、国際公開第98/34915号、国際公開第98/33768号、国際公開第98/30566号、欧州特許出願公開第606,046号、欧州特許出願公開第931788号、国際公開第90/05719号、国際公開第99/52910号、国際公開第99/52889号、国際公開第99/29667号、国際公開第99/07675号、欧州特許出願公開第945864号、米国特許第5,863,949号、米国特許第5,861,510号、及び欧州特許出願公開第780,386号に記載され、これらのすべては、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。好ましいMMP−2及びMMP−9阻害剤は、MMP−1を阻害する活性をほとんど又は全く有さないものである。他のマトリックスメタロプロテアーゼ(すなわち、MMP−1、MMP−3、MMP−4、MMP−5、MMP−6、MMP−7、MMP−8、MMP−10、MMP−l1、MMP−12、及びMMP−13)に比べて、MMP−2及び/又はMMP−9を選択的に阻害するものがより好ましい。
【0079】
本出願では、「異常細胞成長」及び「過剰増殖性障害」という用語は、互換可能に使用される。
【0080】
本明細書では「異常細胞成長」は、別段の示唆のない限り、正常な制御機構(例えば、接触阻害の損失)から独立している細胞成長を指す。これには、例えば(1)変異チロシンキナーゼの発現、又は受容体チロシンキナーゼの過剰発現によって増殖する腫瘍細胞(腫瘍);(2)異所性チロシンキナーゼ活性化が起こる他の増殖性疾患の良性及び悪性細胞;(3)受容体チロシンキナーゼによって増殖する任意の腫瘍;(4)異所性セリン/トレオニンキナーゼ活性化によって増殖する任意の腫瘍;並びに(5)異所性セリン/テロインキナーゼ活性化が起こる他の増殖性疾患の良性及び悪性細胞の異常成長が含まれる。
【0081】
本明細書では「治療する」という用語は、別段の示唆のない限り、このような用語を適用する障害若しくは病態、又はこのような障害若しくは病態の1つ又は複数の症状を予防し、或いはその進行を逆行、軽減、抑制することを意味する。本明細書では「治療」という用語は、「治療する」を直前で定義するように、別段の示唆のない限り、治療する行為を指す。
【0082】
そのような量に対応する所与の作用物質の量は、特定の化合物、疾患の病態、及びその重症度、治療を必要とする哺乳類のアイデンティティー(例えば、体重)などの要因に応じて変わるが、それにもかかわらず当業者によってルーチンに決定することができる。「治療する」は、ヒトなどの哺乳類において、MEKの活性によって少なくとも一部は影響を受ける疾患の病態の軽減を意味することを意図し、特に哺乳類が、疾患の病態の素因を有することが判明しているが、まだ疾患の病態を発症していると診断されていない場合、哺乳類において起こる疾患の病態を予防すること、疾患の病態を調節且つ/又は抑制すること、及び/又は疾患の病態を軽減することが含まれるが、これらに限定されない。
【0083】
ヒトを含めて哺乳類の治療的処置(予防的治療を含めて)のため式I〜IIIの化合物、又は薬剤として許容できるその塩、若しくはプロドラッグを使用するために、通常は標準的な製薬の慣行に従って薬剤組成物として処方する。本発明のこの態様によれば、式I〜IIIの化合物、又は薬剤として許容できるその塩、若しくはプロドラッグを、上記に定義するように薬剤として許容できる希釈剤又は担体と共に含む薬剤組成物が提供される。
【0084】
本発明に従って薬剤組成物を調製するために、治療又は予防有効量の式I〜IIIの化合物、又は薬剤として許容できるその塩、溶媒和物、代謝物、若しくはプロドラッグ(単独、又は追加の治療薬と併用)を、通常の薬剤配合技法に従って、薬剤として許容できる担体とよく混和して、製剤を生成することが好ましい。担体は、投与、例えば経口又は非経口に望ましい製剤の形に応じて、広範囲の形を有することができる。適切な担体の例には、全ての溶媒、分散媒、アジュバント、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張性吸収遅延剤、甘味料、安定剤(長期貯蔵を促進するため)、乳化剤、結合剤、粘稠化剤、塩、防腐剤、溶媒、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張性吸収遅延剤、矯味剤、並びに特定の治療剤組成物を調製するために必要とすることがある緩衝剤や吸収剤などの雑材料が含まれる。このような媒体及び作用物質を、薬剤として有効な物質とともに使用することは、当技術分野でよく知られている。通常の媒体又は作用物質が、式I〜IIIの化合物と非相溶性である場合を除いて、治療剤組成物及び製剤においてそれを使用することが考えられる。補助有効成分を、本明細書に記載する組成物及び製剤に組み込むこともできる。
【0085】
本発明の組成物は、経口使用(例えば、錠剤、ロゼンジ、硬又は軟カプセル剤、水性若しくは油性懸濁剤、乳剤、分散可能な散剤若しくは顆粒、シロップ剤、又はエリキシル剤として)、局所使用(例えば、クリーム、軟膏、ゲル、又は水性若しくは油性溶剤又は懸濁剤として)、吸入投与(例えば、微細化散剤又は液体エアゾールとして)、吹送投与(例えば、微細化散剤として)、或いは非経口投与(例えば、静脈内、皮下、又は筋肉内投与用の水性若しくは油性無菌溶剤として、或いは直腸投与用の坐剤として)に適した形とすることができる。例えば、経口使用向けの組成物は、例えば1つ又は複数の着色剤、甘味剤、矯味剤、及び/又は防腐剤を含むことができる。
【0086】
錠剤剤形向けの適切な薬剤として許容できる賦形剤には、例えばラクトース、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、又は炭酸カルシウムなどの不活性希釈剤、コーンスターチやアルゲニック酸などの顆粒化剤及び崩壊剤;デンプンなどの結合剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、又はタルクなどの滑沢剤;p−ヒドロキシ安息香酸エチル又はプロピルなどの防腐剤、及びアスコルビン酸などの抗酸化剤が含まれる。錠剤剤形は、コートしなくても、コートしてもよく、いずれの場合も、当技術分野でよく知られている通常のコーティング剤及び手順を使用して、その崩壊性、及びその後の有効成分の消化管吸収を改変し、或いはその安定性及び/又は外観を改善する。
【0087】
経口使用向けの組成物は、有効成分を、不活性固形希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリンと混合させた硬ゼラチンカプセル剤の形、或いは有効成分を、水、又は落花生油、流動パラフィン、若しくはオリーブ油などのオイルと混合させた軟ゼラチンカプセル剤とすることができる。
【0088】
水性懸濁剤は、一般に微粉の形の有効成分を、1つ又は複数の、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニル−ピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴムなどの懸濁化剤;レシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸(例えば、ポリオキシエチレンステアレート)との縮合生成物、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコール、例えばヘプタデカエチレンオキシセタノールとの縮合生成物、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどのヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物、又はエチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトール無水物、例えばポリエチレンソルビタンモノオレエートから誘導された部分エステルとの縮合生成物などの分散剤又は湿潤剤と共に含む。水性懸濁剤は、1つ又は複数の防腐剤(p−ヒドロキシ安息香酸エチル又はプロピルなど)、抗酸化剤(アスコルビン酸など)、着色剤、矯味剤、及び/又は甘味剤(ショ糖、サッカリン、又はアスパルテームなど)を含むこともできる。
【0089】
油性懸濁剤は、有効成分を、植物油(落花生油、オリーブ油、ゴマ油、又はヤシ油など)中、又は鉱物油(流動パラフィンなど)中に懸濁させることによって処方することができる。油性懸濁剤は、蜜ろう、固形パラフィン、又はセチルアルコールなどの粘稠化剤も含むこともできる。上記したものなどの甘味剤、及び矯味剤を添加して、口当たりのよい経口製剤を提供することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加することによって保存することができる。
【0090】
水の添加による水性懸濁剤の調製に適した分散可能な散剤及び顆粒は、一般に有効成分を分散剤又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1つ又は複数の防腐剤と共に含む。適切な分散剤又は湿潤剤、及び懸濁化剤は、すでに上記したものによって例示されている。甘味剤、矯味剤、及び着色剤など追加の賦形剤が存在してもよい。
【0091】
本発明の薬剤組成物は、水中油型乳剤の形とすることもできる。油相は、オリーブ油や落花生油などの植物油、又は例えば流動パラフィンなどの鉱物油、又はこれらの任意の混合物とすることができる。適切な乳化剤は、例えばアラビアゴムやトラガカントゴムなど天然に存在するゴム、大豆、レシチンなど天然に存在するホスファチド、脂肪酸とヘキシトール無水物(例えば、ソルビタンモノオレエート)から誘導されたエステル又は部分エステル、及び前記部分エステルとポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどのエチレンオキシドとの縮合生成物とすることができる。乳剤は、甘味剤、矯味剤、及び防腐剤を含むことができる。
【0092】
シロップ剤及びエリキシル剤は、グリセロール、プロピレン、グリコール、ソルビトール、アスパルテーム、又はショ糖などの甘味剤と共に処方することができ、粘滑剤、防腐剤、矯味剤、及び/又は着色剤を含むこともできる。
【0093】
薬剤組成物は、無菌の注射可能な水性若しくは油性懸濁剤の形とすることもでき、これは、上記した適切な分散剤又は湿潤剤、及び懸濁化剤のうちの1つ又は複数を使用して、知られている手順に従って処方することができる。無菌の注射可能な製剤は、非経口的に許容できる非毒性希釈剤又は溶媒中、無菌の注射可能な溶剤又は懸濁剤、例えば1,3−ブタンジオール中の溶剤とすることもできる。
【0094】
坐剤製剤は、有効成分を、常温で固体であるが直腸温度で液体である適切な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができ、したがって直腸で溶融して、薬物を放出する。適切な賦形剤には、例えばカカオバター及びポリエチレングリコールが含まれる。
【0095】
クリーム、軟膏、ゲル、及び水性若しくは油性溶剤又は懸濁剤などの局所製剤は、一般に有効成分を、当技術分野でよく知られている通常の手順を使用して、局所的に許容できる通常のビヒクル又は希釈剤と共に処方することによって得ることができる。
【0096】
吹送投与向けの組成物は、例えば30μm又はそれよりずっと小さい平均直径の粒子を含む微細化散剤の形とすることができ、散剤それ自体は、有効成分を単独で、又はラクトースなど1つ又は複数の生理的に許容できる担体で希釈させて含む。次いで、吹送用の散剤は、知られている作用物質であるクロモグリク酸ナトリウムの吹送に使用されるなどのターボ吸入装置で使用のため例えば1〜50mgの有効成分を含有して、カプセル中に都合良く保持される。
【0097】
吸入投与向けの組成物は、有効成分を、微細化固体を含むエアゾール、又は液滴として定量供給するように配置された通常の加圧エアゾールの形とすることである。揮発性フッ素化炭化水素や炭化水素など通常のエアゾール噴射材を使用することができ、定量の有効成分を供給するようにエアゾール装置を都合良く配置する。
【0098】
製剤の更なる情報については、参照により本明細書に具体的に組み込まれるComprehensive Medicinal Chemistry(Corwin Hansch;Chairman of Editorial Board、Pergamon Press 1990年)の第5巻の第25.2章を参照のこと。
【0099】
1つ又は複数の賦形剤と組み合わせて、単一投与剤形を生成する本発明の化合物の量は、治療対象者、障害又は病態の重症度、投与速度、化合物の体内動態、及び処方医師の自由裁量に応じて必然的に変わる。しかし、有効投与量は、体重1kgにつき1日約0.001〜約100mgの範囲であり、好ましくは約1〜約35mg/kg/日を単回又は分割投与する。70kgのヒトの場合、これは、約0.05〜7g/日、好ましくは約0.05〜約2.5g/日になるはずである。場合によって、上記の範囲の下限値より低い用量レベルで、十分以上となりことがあるが、別の場合では、さらに多い用量を、いずれの有害な副作用も引き起こすことなく使用することができる。但し、このようなより多い用量は、まず1日の投与としていくつかの小用量に分割する。投与経路及び用法の更なる情報については、参照により本明細書に具体的に組み込まれるComprehensive Medicinal Chemistry(Corwin Harisch;Chairman of Editorial Board、Pergamon Press 1990年)の第5巻の第25.3章を参照のこと。
【0100】
式I〜IIIの化合物の治療又は予防目的の1回投与量は、周知の医薬品の原則によれば、もちろん病態の性質及び重症度、動物又は患者の年齢及び性別、並びに投与経路に応じて変わる。
【0101】
本発明の化合物は、単独で、或いはMEK阻害によって利益を得るはずである疾患状態の治療に使用する他の薬物及び治療剤と組み合わせて使用することができる。このような治療は、本発明の化合物に加えて、通常の外科手術、又は放射線治療、又は化学療法を必要とすることがある。このような化学療法には、以下のカテゴリーの抗腫瘍剤の1つ又は複数が含まれ得る。
【0102】
(i)アルキル化剤(例えば、シスプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、メルファラン、クロランブシル、ブスルファン、及びニトロソウレア);代謝拮抗物質(例えば、5−フルオロウラシル及びテガフールのようなフルオロピリミジン、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シトシンアラビンシド、ヒドロキシウレア、又はN−(5−[N−(3,4−ジヒドロ−2−メチル−4−オキソキナゾリン−6−イルメチル)−N−メチルアミノ]−2−テノイル)−L−グルタミン酸など欧州特許出願公開第239362号に開示される好ましい代謝拮抗物質のうちの1つなどの葉酸代謝拮抗薬);抗腫瘍性抗生物質(例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、ダウノマイシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシン−C、ダクチノマイシン、及びミトラマイシンのようなアントラサイクリン);有糸分裂阻害剤(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、及びビノレルビンのようなビンカアルカロイド、並びにタキソール及びタキソテールのようなタキソイド);並びにトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エプトポシド及びテニポシドのようなエピポドフィロトキシン、アムサクリン、トポテカン、及びカンプテシン)など医療腫瘍学で使用する抗増殖性/抗悪性腫瘍薬、及びその組合せ;
(ii)抗エストロゲン剤(例えば、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、及びイオドキシフェン)、エストロゲン受容体ダウンレギュレーター(例えば、フルベストラトラント)、抗アンドロゲン剤(例えば、ビカルタミド、フルタミド、ニルタミド、酢酸シプロゼロン、及びCasodex(商標)(4’−シアン−3−(4−フルオロフェニルスルホニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル−3’−(トリフルオロメチル)プロピオンアニリド))、LHRHアンタゴニスト又はLHRHアゴニスト(例えば、ゴセレリン、リューポレリン、及びブセレリン)、プロゲストーゲン(例えば、酢酸メゲストロール)、アロマターゼ阻害剤(例えば、アサナストロゾール、レトロゾール、ボラゾール、及びエキセメスタン)、並びにフィナステリドなどの5α−還元酵素阻害剤などの細胞分裂阻害剤;
(iii)癌細胞浸潤を阻害する作用物質(例えば、マリマスタットのようなメタロプロテイナーゼ阻害剤、及びウロキナーゼプラスミノーゲンアクチベーター受容体機能の阻害剤);
(iv)成長因子抗体、成長因子受容体抗体(例えば、抗erbB2抗体トラスツムザブ[Herceptin(商標)]及び抗erbB1抗体セツキシマブ[C225])のような成長因子機能の阻害剤、ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、チロシンキナーゼ阻害剤、及びセリン−トレオニンキナーゼ阻害剤(例えば、N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−メトキシ−6−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(ゲフィチニブ、AZD1839)、N−(3−エチニルフェニル)−6,7−ビス(2−メトキシエトキシ)キナゾリン−4−アミン(エルロチニブ、OSI−774)、及び6−アクリルアミド−N−(3−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(3−モルホリノプロポキシ)キナゾリン−4−アミン(CI 1033)などの上皮成長因子ファミリーチロシンキナーゼの阻害剤)、血小板由来成長因子ファミリーの阻害剤、及び肝細胞成長因子ファミリーの阻害剤;
(v)血管内皮成長因子の作用を阻害するものなどの抗血管新生剤(例えば、抗血管内皮細胞成長因子抗体ベバシズマブ[Avastin(商標)]、国際公開第97/22596号、国際公開第97/30035号、国際公開第97/32856号、及び国際公開第98/13354号で開示されたものなどの化合物)、及び他の機序によって働く化合物(例えば、リノミド、インテグリンαvβ3機能の阻害剤、MMP阻害剤、COX−2阻害剤、及びアンジオスタチン);
(vi)コンブレタスタチンA4、並びに国際公開第99/02166号、国際公開第0/40529号、国際公開第00/41669号、国際公開第01/92224号、国際公開第02/04434号、及び国際公開第02/08213号に開示される化合物などの血管損傷剤;
(vii)アンチセンス療法(例えば、ISIS 2503など上記に挙げた標的を対照とするもの、及び抗rasアンチセンス);
(viii)例えばGVAX(商標)を含めて遺伝子療法手法、異所性p53、又は異所性BRCA1若しくはBRCA2などの異所性遺伝子を置換する手法、シトシンデアミナーゼ、チミジンキナーゼ、又は細菌のニトロレダクターゼ酵素を使用するものなどのGDEPT(遺伝子指向性酵素プロドラッグ療法)手法、及び多剤耐性遺伝子療法など化学療法又は放射線治療に対する患者忍容性を高める手法;
(ix)インターフェロン;並びに
(x)例えばインターロイキン2、インターロイキン4、又は顆粒球−マクロファージコロニー刺激因子などのサイトカインのトランスフェクションなど患者の腫瘍細胞の免疫原性を高めるためのex−vivo及びin−vivo手法、T−細胞アネルギーを低減するための手法、サイトカインをトランスフェクトした樹状細胞などトランスフェクトされた免疫細胞を使用する手法、サイトカインをトランスフェクトした腫瘍細胞系を使用する手法、並びに抗イディオタイプ抗体を使用する手法を含めて、免疫療法手法。
【0103】
このような併用治療は、治療の個々の成分を同時、逐次、又は別々に投与することによって実現することができる。このような組合せ生成物には、本発明の化合物を本明細書の上記した用量範囲内で、且つ他の薬剤として有効な作用物質をその承認された用量範囲内で使用する。
【0104】
本発明のこの態様によれば、本明細書の上記に記載する式I〜IIIの化合物、及び癌の併用治療向けの本明細書の上記に記載する追加の抗腫瘍剤を含む薬剤生成物が提供される。
【0105】
式I〜IIIの化合物は、温血動物(ヒトを含めて)に使用するための治療薬として主に価値があるが、MEKの作用を阻害するのに必要とされる場合にも必ず有用である。したがって、これらは、新しい生物学的試験の開発、及び新しい薬理学的作用物質の探求に使用するための薬理学的標準として有用である。
【0106】
本発明の化合物の活性は、以下の手順によって決定することができる。N末端6Hisタグの構成的活性型MEK−1(2−393)を大腸菌(E.coli)で発現させ、タンパク質を通常の方法で精製する(Ahnら、Science、1994年、265巻、966〜970頁)。大腸菌(E.coli)で発現させ、MEK−1の存在下で通常の方法で精製されたMEK1の活性は、γ−33P−ATPからN末端HisタグのERK2へのγ−33P−ホスフェートの組込みを測定することによって評価する。検定は、96ウェルのポリプロピレンプレートで実施する。インキュベーション混合物(100μL)は、25mM Hepes(pH7.4)、10mM MgC1、5mM β−グリセロールホスフェート、100μM オルトバナジン酸Na、5mM DTT、5nM MEK1、及び1μM ERK2からなる。阻害剤をDMSOに懸濁し、比較を含めて、すべての反応を最終濃度1% DMSOで行う。10μM ATP(0.5μCi γ−33P−ATP/ウェル)を添加することによって反応を開始し、周囲温度で45分間インキュベートする。等容量の25% TCAを添加して、反応を止め、タンパク質を沈殿させる。沈殿したタンパク質をガラス繊維Bフィルタープレート上に捕捉し、過剰の標識ATPをTomtec MACH III ハーベスターを使用して洗い流す。プレートを放置して空気乾燥させた後、30μL/ウェルのPackard Microscint 20を添加し、Packard TopCountを使用してプレートをカウントした。この検定により、本発明の化合物は、50マイクロモル未満のIC50を示した。
【0107】
本発明に包含される本発明の代表的な化合物には、実施例の化合物、及びその薬剤として許容できる酸若しくは塩基付加塩、又はそのプロドラッグが含まれるが、これらに限定されない。下記に提示する実施例は、本発明の具体的な実施形態を例示するためのものであって、本明細書の範囲、又は特許請求の範囲を決して限定するものではない。
【0108】
本出願における、特許を含めたすべての論文及び参考文献の開示内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0109】
本発明を説明するために、以下の実施例が含まれる。しかし、これらの実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明を実施する方法を示唆するためのものにすぎないと理解されるべきである。当業者は、記載された化学反応を、本発明のいくつかの他のMEK阻害剤を調製するように容易に適合させることができ、本発明の化合物を調製するための代替方法は、本発明の範囲内に入ると見なされることがわかるであろう。例えば、本発明による非例示化合物の合成は、当業者に明らかな修正、例えば妨害基を適切に保護し、記載されたもの以外の当技術分野で知られている他の適切な試剤を利用し、且つ/又は反応条件のルーチンの修正を行うことによって成功裡に行うことができる。或いは、本明細書に開示し、又は当技術分野で知られている他の反応は、本発明の他の化合物を調製するための適用性を有すると認められる。
【0110】
下記に記載する実施例では、別段の示唆のない限り、すべての温度を摂氏温度で記載する。試剤は、Aldrich Chemical Company、Lancaster、TCI又はMaybridgeなどの商業供給業者から購入し、別段の示唆のない限り、さらに精製することなく使用した。テトラヒドロフラン(THF)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン、トルエン、ジオキサン、及び1,2−ジフルオロエタンは、AldrichからSureシールビンで購入し、入荷したままで使用した。
【0111】
下記に記載の反応は、一般に陽圧の窒素若しくはアルゴン下で、又は(別段の記述のない限り)無水溶媒中乾燥チューブを用いて行い、反応フラスコに、通常は基質及び試剤を注射器で導入するためのゴム製セプタを取り付けた。ガラス器具は、オーブンで乾燥し、且つ/又は加熱乾燥した。
【0112】
カラムクロマトグラフィーは、シリカゲルカラムを有するBiotageシステム(製造業者:Dyax Corporation)、シリカのSepPakカートリッジ(Waters)で行った。
【0113】
H−NMRスペクトルは、400MHzで作動するVarian機器で記録した。H−NMRスペクトルは、クロロホルムを参照基準(7.25ppm)として使用して、CDC1溶液としてppmで記録)得た。必要に応じて、他のNMR溶媒を使用した。ピークの多重性を報告する場合は、以下の略語を使用する:s(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、m(多重線)、br(ブロード)、dd(二重線の二重線)、dt(三重線の二重線)。カップリング定数は、記載されている場合、ヘルツ(Hz)で報告されている。
【0114】
(実施例1)
【化5】


7−(2−クロロ−4−ヨードフェニルアミノ)−5,6−ジフルオロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン
ステップA:6−ブロモ−2,3,4−トリフルオロ安息香酸の調製:i−PrNH(3.65mL、25.8mmol)のTHF(50mL)溶液に、n−BuLi(10.3mL、25.8mmol、2.50Mヘキサン溶液)を0℃で添加した。15分間撹拌した後、反応混合物を−78℃に冷却した。5−ブロモ−1,2,3−トリフルオロベンゼン(5.00g、23.7mmol)のTHF(5mL)溶液を添加した。得られた混合物を−78℃で2時間撹拌し、新たに粉砕した過剰のドライアイスに注ぎ入れ、30分間撹拌した。この混合物に、10% HCl水溶液を添加して、そのpHを1に調整した。得られた混合物をエーテル(3回)で抽出した。有機層を合わせて、5% NaOH水溶液(2回)で洗浄し、塩基性水層を合わせて、濃HClでpH1に酸性化し、エーテル(2回)で抽出した。有機層を合わせて、水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、所望の生成物(5.06g、84%)を得、さらに精製することなく直接使用した。
【0115】
ステップB:6−ブロモ−2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ安息香酸の調製:0℃のi−PrNH(5.83mL、41.2mmol)のTHF(16mL)溶液に、n−BuLi(16.4mL、41.1mmol、2.5Mヘキサン溶液)を添加した。15分間撹拌した後、反応混合物を−78℃に冷却した。2−クロロアニリン(2.89mL、27.5mmol)を添加した。10分間激しく撹拌した後、6−ブロモ−2,3,4−トリフルオロ安息香酸(3.51g、13.8mmol)のTHF(4mL)の溶液を添加した。反応混合物を室温にまで温め、室温で2時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、水相が酸性になるまで10% HCl水溶液(15mL)で処理し、EtOAcで抽出した。有機層を合わせて、MgSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、粗材料を得、沸騰CHClで3回研和して、所望の生成物(3.18g、64%)を得た。
【0116】
ステップC:6−ブロモ−2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ安息香酸メチルエステルの調製:6−ブロモ−2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ安息香酸(3.18g、8.77mmol)のTHF−MeOH(16mL/5mL)溶液に、TMSCHN(5.30mL、10.6mmol、2Mヘキサン溶液)を室温で添加した。得られた混合物を1時間撹拌し、AcOHを加えて反応を止め、EtOAcで希釈した。有機層を、水、飽和NaHCO(2回)、及び食塩水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、所望の生成物(3.31g、100%)を得、さらに精製することなく直接使用した。
【0117】
ステップD:2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ−6−トリメチルシラニルエチニル−安息香酸メチルエステルの調製:THF(11mL)中6−ブロモ−2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ安息香酸メチルエステル(2.61g、6.93mmol)、TMS−アセチレン(1.18mL、8.32mmol)、Pd(PPhCl(496mg、0.693mmol)、CuI(132mg、0.693mmol)、及びi−PrNH(1.95mL、13.9mmol)の混合物を、室温で16時間撹拌した。反応混合物を真空下で濃縮し、EtOAcで希釈し、飽和NHCl水溶液及び食塩水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、粗材料を得、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(100%ヘキサン〜ヘキサン中1%〜2%EtOAc)で精製して、所望の生成物(2.15g、79%)を得た。
【0118】
ステップE:6−アセチル−2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ安息香酸メチルエステルの調製:アセトン−水(22mL/4mL)中2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ−6−トリメチルシラニルエチニル安息香酸メチルエステル(1.00g、2.54mmol)、HgSO(761mg、2.54mmol)、濃HSO(0.27mL)の混合物を3時間還流した。反応混合物を真空下で濃縮し、EtOAc−THFで希釈し、水及び食塩水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、濃縮して、粗材料を得、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中8%EtOAc)で精製して、所望の生成物(496mg、58%)を得た。
【0119】
ステップF:6−アセチル−2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ安息香酸の調製:6−アセチル−2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ安息香酸メチルエステル(200mg、0.59mmol)のTHF−水(2mL/0.5mL)溶液に、1M LiOH水溶液(1.21mL、1.21mmol)を室温で添加した。反応混合物を30分間撹拌し、1N HCl水溶液でpH1に酸性化し、EtOAcで抽出した。有機層を合わせて、MgSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、所望の酸(166mg、86%)を得、さらに精製することなく直接使用した。
【0120】
ステップG:8−(2−クロロフェニルアミノ)−6.7−ジフルオロ−4−メチルベンゾ[d][1,2]オキサジン−1−オンの調製:6−アセチル−2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ安息香酸(50mg、0.15mmol)及びヒドロキシルアミン塩酸塩(11mg、0.15mmol)のMeOH−HO(1mL/0.5mL)の溶液に、TEA(0.022mL、0.15mmol)を室温で添加した。得られた混合物を、室温で16時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮し、粗材料を得、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(100%CHCl)で精製して、所望の生成物(26.8mg、54%)を得た。
【0121】
ステップH:7−(2−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジフルオロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オンの調製:AcOH(2mL)中8−(2−クロロフェニルアミノ)−6,7−ジフルオロ−4−メチル−ベンゾ[d][1,2]オキサジン−1−オン(26mg、0.079mmol)及びZn(30mg、0.46mmol)の混合溶液を、85℃で1時間加熱した。反応混合物を濾過し、固体を追加のAcOHで洗浄した。ろ液を真空下で濃縮し、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO水溶液及び水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、所望の生成物(18mg、74%)を得、さらに精製することなく直接使用した。
【0122】
ステップI:7−(2−クロロ−4−ヨードフェニルアミノ)−5,6−ジフルオロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オンの調製:7−(2−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジフルオロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン(18mg、0.059mmol)、NIS(17mg、0.074mmol)、及びp−TsOH−HO(24mg、0.12mmol)のTHF−MeOH(1mL/1mL)溶液を、室温で1時間撹拌した。反応混合物を、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO水溶液及び水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮し、粗材料を得、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(100%CHCl〜CHCl中1%MeOH)で精製して、7−(2−クロロ−4−ヨードフェニルアミノ)−5,6−ジフルオロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン(5.4mg、21%)を得た。
【化6】

【0123】
(実施例2)
【化7】


7−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジフルオロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン
DMF(2mL)中7−(2−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジフルオロ−3−メチル−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン(68mg、0.22mmol、実施例1に記載された手順によって調製)及びNBS(46mg、0.26mmol)の混合物を、室温で3時間撹拌した。反応混合物をEtOAcで希釈し、水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、粗材料を得、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(100%ヘキサン〜ヘキサン中25%EtOAc)で精製して、7−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジフルオロ−3−メチル−2,3−ジヒドロイソインドール−1−オン(40mg、47%)を得た。
【化8】

【0124】
(実施例3)
【化9】


8−(2−クロロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6,7−ジフルオロ−4−メチル−2H−フタラジン−1−オン
ステップA:8−(2−クロロフェニルアミノ)−6,7−ジフルオロ−4−メチル−2H−フタラジン−1−オンの調製:6−アセチル−2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ安息香酸(62mg、0.19mmol、実施例1に記載された手順によって調製)及びヒドラジン一水和物(0.031mL、0.63mmol)のTHF(3mL)溶液に、触媒量の1N HCl水溶液(0.15mL、0.15mmol)を室温で添加した。室温で16時間撹拌した後、反応混合物を、EtOAcで希釈し、水(2回)及び食塩水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮して、所望の生成物(53mg、86%)を得、さらに精製することなく直接使用した。
【0125】
ステップB:8−(2−クロロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6,7−ジフルオロ−4−メチル−2H−フタラジン−1−オンの調製:AcOH−THF(2mL/0.5mL)中8−(2−クロロフェニルアミノ)−6,7−ジフルオロ−4−メチル−2H−フタラジン−1−オン(30mg、0.093mmol)及びNIS(24mg、0.11mmol)の混合物を、85℃で3分間加熱し、反応混合物を真空下で濃縮し、水で洗浄した。有機層をMgSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮し、粗材料を得、シリカゲルフラッシュカラムクロマトグラフィー(100%ヘキサン〜ヘキサン中15%EtOAc)で精製して、8−(2−クロロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6,7−ジフルオロ−4−メチル−2H−フタラジン−1−オン(7.7mg、17%)を得た。
【化10】

【0126】
(実施例4)
【化11】


8−(2−クロロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6,7−ジフルオロ−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−フタラジン−1−オン
ステップA:2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ−6−スチリル−安息香酸メチルエステルの調製:Pd(PPh(0.313g、0.271mmol)及びtrans−2−フェニルビニルボロン酸(1.105g、7.468mmol)を、DME(35mL)中6−ブロモ−2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ安息香酸メチルエステル(2.00g、5.31mmol)、及び2.0M KCO水溶液(8mL)の混合物に添加した。反応混合物を、N雰囲気中で、90℃に加熱し、16時間撹拌した。室温に冷却した後、反応混合物を、酢酸エチル及び水で希釈し、層を分別した。有機層を乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して、1.20g(56%)の清浄な所望の生成物を得た。
【0127】
ステップB:2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ−6−ホルミル安息香酸メチルエステルの調製:2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ−6−スチリル安息香酸メチルエステル(1.20g、3.00mmol)、t−BuOH(2.0mL、0.165mmol)中2.5%OsO溶液、及び1:1のTHF/水(30mL)中NMO(0.435g、3.60mmol)の混合物を、1時間撹拌した。過ヨウ素酸ナトリウム(0.963g、4.50mmol)を添加した。1時間後、反応混合物を、酢酸エチル及び水で希釈し、層を分別した。有機層を乾燥(MgSO)し、減圧下で濃縮した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(1:1の塩化メチレン/ヘキサン)で精製して、0.406g(42%)の所望の純生成物を得た。
【0128】
ステップC:8−(2−クロロフェニルアミノ)−6,7−ジフルオロ−2−(2−ヒドロキシエチル)−2H−フタラジン−1−オンの調製:EtOH(10mL)中2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ−6−ホルミル安息香酸メチルエステル(0.400mg、1.228mmol)及び2−ヒドロキシエチルヒドラジン(0.102mL、1.351mmol)の混合物を、N中で16時間加熱還流した。室温に冷却した後、生成した黄色沈殿物をろ過で収集した。黄色固体をEtOHで洗浄し、乾燥して、0.128g(30%)の所望の純生成物を得た。
【0129】
ステップD:8−(2−クロロ−4−ヨードフェニルアミノ)−6,7−ジフルオロ−2−(2−ヒドロキシエチル)−2H−フタラジン−1−オンを、実施例3のステップBに記載された方法によって、8−(2−クロロフェニルアミノ)−6,7−ジフルオロ−2−(2−ヒドロキシエチル)−2H−フタラジン−1−オンから調製した。
【化12】

【0130】
(実施例5)
【化13】


4−(2−クロロ−4−ヨードフェニルアミノ)−5,6−ジフルオロ−1,2−ジヒドロ−インダゾル−3−オン
ステップA:6−(N’−tert−ブトキシカルボニル−ヒドラジノ)−2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ安息香酸メチルエステルの調製:Pd(dba)(4モル%)、t−ブチルカルバザート(4.00当量)、dppf(12モル%)、及びCsCO(1.00当量)を、6−ブロモ−2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ安息香酸メチルエステル(1.00当量)のPhMe溶液に添加する。反応混合物を、N雰囲気中でチャージしてシールしたバイアル中で100℃に加熱し、16時間撹拌する。室温に冷却した後、反応混合物を塩化メチレンで希釈し、濾過する。ろ液を減圧下で濃縮する。さらに精製が必要な場合、生成物を研和又はフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0131】
ステップB:4−(2−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジフルオロ−1,2−ジヒドロインダゾル−3−オンの調製:6−(N’−tert−ブトキシカルボニルヒドラジノ)−2−(2−クロロフェニルアミノ)−3,4−ジフルオロ安息香酸メチルエステル(1.00当量)を、塩化メチレンとTFAの1:1混合物で処理し、2時間撹拌し、反応混合物を減圧下で濃縮し、必要に応じて、生成物を研和又はフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製する。
【0132】
ステップC:4−(2−クロロ−4−ヨードフェニルアミノ)−5,6−ジフルオロ−1,2−ジヒドロ−インダゾル−3−オンを、実施例3のステップBに記載された方法によって4−(2−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジフルオロ−l,2−ジヒドロ−インダゾル−3−オンから調製する。
【0133】
上記の説明は、本発明の原理を例示するものでしかないと考えられる。さらに、多数の修正形態及び変更形態は、当業者に容易に明らかであるので、本発明を上記に記載のようなまさにその構造及び方法に限定することは望ましくない。したがって、適切な修正形態及び等価形態はすべて、特許請求の範囲によって定義されるように本発明の範囲に入るものとみなすことができる。
【0134】
「含む(comprise)」、「含んでいる(comprising)」、「含む(include)」、「含んでいる(including)」、及び「含む(includes)」という用語は、本明細書及び特許請求の範囲で使用される場合、記載された特徴、整数、成分、又はステップの存在を指定することを意図しているが、1つ又は複数の他の特徴、整数、成分、ステップ、若しくはその群の存在又は追加を妨げるものではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分割されたエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物を包含する化合物、及び薬剤として許容できるその塩であって、式Iを有する化合物。
【化1】


[式中、
、R、R、R、R20、及びR21は独立に、水素又はハロゲンであり、
は、水素であり、
10及びR22は独立に、水素又はC〜C10アルキルであり、
nは1である]。
【請求項2】
式IIIを有する、分割されたエナンチオマー、ジアステレオマー、溶媒和物を包含する化合物、及び薬剤として許容できるその塩、並びに薬剤として許容されるその塩、プロドラッグ、及び溶媒和物。
【化2】


[式中、
、R、R、R、R20、及びR21は独立に、水素又はハロゲンであり、
は、水素であり、
23は、水素である]。
【請求項3】
が、水素又はフルオロである請求項1又は2のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項4】
が、ハロゲンであり、Rが、水素であり、Rが、ハロゲンである請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式6の化合物の調製方法
【化3】


[式中、
、R、R、R20、及びR21は独立に、水素又はハロゲンであり、
10、及びR22は、アルキルであり、
は、水素であり、
は、ハロゲンである]であって、
(a)式3の化合物
【化4】


を適切な求核試薬と反応させて、式7の化合物
【化5】


を提供するステップと、
(b)式7の化合物を臭素化剤、次いでアミンと反応させて、式6の化合物を提供するステップとを含む方法。
【請求項6】
7−(2−クロロ−4−ヨードフェニルアミノ)−5,6−ジフルオロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン、
7−(4−ブロモ−2−クロロフェニルアミノ)−5,6−ジフルオロ−3−メチル−2,3−ジヒドロ−イソインドール−1−オン、及び
4−(2−クロロ−4−ヨードフェニルアミノ)−5,6−ジフルオロ−1,2−ジヒドロ−インダゾル−3−オン、から選択される化合物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−92151(P2012−92151A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−29242(P2012−29242)
【出願日】平成24年2月14日(2012.2.14)
【分割の表示】特願2006−541580(P2006−541580)の分割
【原出願日】平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願人】(504344509)アレイ バイオファーマ、インコーポレイテッド (87)
【Fターム(参考)】