説明

MEMSデバイスの製造方法、MEMSデバイスおよび接合マザー基板

【課題】チップ部の可動電極と封止部の固定電極とを同電位とする共有導通配線の、陽極接合後における専用工程としての断線処理を省くことができるMEMSデバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】可動電極8を有するチップ部2Aをマトリクス状に複数個形成したウェーハ20と、固定電極7を有する封止部3Aをマトリクス状に複数個形成した封止ガラス30と、を重ね合わせて陽極接合する接合工程と、陽極接合したウェーハ20および封止ガラス30をスクライブライン40に沿ってダイシングし、チップ部2Aと封止部3Aとを陽極接合して成る複数個のMEMSデバイス1を得るダイシング工程と、を備え、スクライブライン40のライン幅W内には、チップ部2Aの単位で、可動電極8と固定電極7とを導通する複数の共有導通配線16が、パターン形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として可動電極を有するシリコン基板に、固定電極を有する封止用のガラス基板を陽極接合して成る、加速度センサや角速度センサ等のMEMS(micro electro mechanical system)デバイスの製造方法、MEMSデバイスおよび接合マザー基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のMEMSデバイスの製造方法として、シリコン板(可動側の検出用電極)の上下に、それぞれ固定側の検出用電極を形成したガラス板を陽極接合した静電型加速度センサが知られている(特許文献1参照)。
この製造方法では、陰極側に検出用電極に導通する治工具板を用い、或いはガラス板に検出用電極に導通する導通部をパターン形成して、検出用電極とシリコン板(検出用電極)とを導通状態としておいて、シリコン板とガラス板との陽極接合を行うようにしている。これにより、検出電極とシリコン板とが同電位となるため、陽極接合に際しシリコン板とガラス板との間に高電圧を印加しても、両者間に静電引力が生ずることがなく、両者の貼り付きが防止される。
【特許文献1】特開2003−344446号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
このような従来のMEMSデバイスの製造方法では、陽極接合における検出用電極のシリコン板への貼り付きを防止することができるものの、治工具板と治工具板を着脱する作業とを要し、或いは接合後に導通部を切断(断線)する処理が必要になっていた。特に、上記の加速度センサが、ウェーハ上に多数作り込まれたれた状態で、全ての加速度センサの導通部を的確に断線することは、装置構造の複雑化や工程の増加を招く問題があった。
【0004】
本発明は、チップ部の可動電極と封止部の固定電極とを同電位とする共有導通配線の、陽極接合後における専用工程としての断線処理を省くことができるMEMSデバイスの製造方法、MEMSデバイスおよび接合マザー基板を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のMEMSデバイスの製造方法は、可動電極を有するチップ部をマトリクス状に複数個形成したウェーハと、各チップ部を封止すると共に可動電極に対面する固定電極を有する封止部をマトリクス状に複数個形成した封止ガラスと、を重ね合わせて陽極接合する接合工程と、陽極接合したウェーハおよび封止ガラスをスクライブラインに沿ってダイシングし、チップ部と封止部とを陽極接合して成る複数個のMEMSデバイスを得るダイシング工程と、を備え、スクライブラインのライン幅内には、チップ部の単位で、可動電極と固定電極とを導通する複数の共有導通配線が、パターン形成されていることを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、スクライブラインのライン幅内に、可動電極と固定電極とを導通する共有導通配線が形成されているため、接合工程において、チップ部の可動電極と封止部の固定電極とを同電位とすることができ、直流の高電圧を印加する陽極接合において、可動電極と固定電極との間に静電引力が生ずることがなく、両者の貼り付きを有効に防止することができる。また、共有導通配線がスクライブラインのライン幅内にパターン形成されているため、ダイシング工程において、共有導通配線が切削除去されてしまうため、共有導通配線の切断処理を専用工程とすることなく、共有導通配線を断線することができる。
【0007】
この場合、各共有導通配線は、スクライブラインと平行に形成され、チップ部およびスクライブラインの境界線と共有導通配線のチップ部側のアウトラインとの間の寸法が、ライン幅からダイシング幅を徐算した寸法より大きいことが好ましい。
【0008】
この構成によれば、ダイシング精度に起因して、スクライブラインの中心線に対しオフセットした状態でダイシングが行われても、スクライブラインからダイシング位置がはみ出さない限り、共有導通配線を確実に切削除去することができる。
【0009】
上記の製造方法において、各チップ部には、接合工程において固定電極に導通する接続端子がパターン形成され、 且つ各チップ部とスクライブライン内とに亘って、接続端子と共有導通配線とを導通する個別配線がパターン形成されていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、共有導通配線に至る個別配線を、接続端子から延長するようにパターン形成するようにしているため、この部分の配線パターンを単純化することができ、スクライブライン内に形成する共有導通配線と共に共有導通配線廻りの配線を簡単にパターン形成することができる。
【0011】
また、各共有導通配線は、個別配線との接続部を屈曲部分として蛇行状にパターン形成されていることが好ましい。
この場合、チップ部およびスクライブラインの境界線と屈曲部分のチップ部側のアウトラインとの間の寸法が、ダイシング幅より小さいことがより好ましい。
【0012】
この構成によれば、ダイシング精度に起因して、スクライブラインの中心線に対しオフセットした状態でダイシングが行われても、共有導通配線と個別配線とを確実に断線することができる。
【0013】
一方、任意の1のチップ部の共有導通配線と、これに隣接するチップ部の共有導通配線と、が兼用の前記共有導通配線としてパターン形成されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、共有導通配線廻りの配線パターンを、より一層単純化することができる。
【0015】
また、本発明のMEMSデバイスは、上記したMEMSデバイスの製造方法により製造したことを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、高歩留りでMEMSデバイスを生産することができる。
【0017】
本発明の接合マザー基板は、スクライブラインに沿ったダイシングにより、複数個のMEMSデバイスを得るために、可動電極を有するチップ部をマトリクス状に複数個形成したウェーハと、各チップ部を封止すると共に可動電極に対面する固定電極を有する封止部をマトリクス状に複数個形成した封止ガラスと、を重ね合わせて陽極接合した接合マザー基板であって、スクライブラインのライン幅内には、チップ部の単位で、可動電極と固定電極とを導通する複数の共有導通配線が、パターン形成されていることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、スクライブラインのライン幅内に、可動電極と固定電極とを導通する共有導通配線が形成されているため、陽極接合において、チップ部の可動電極と封止部の固定電極とを同電位とすることができ、直流の高電圧を印加する陽極接合において、可動電極と固定電極との間に静電引力が生ずることがなく、両者の貼り付きを有効に防止することができる。また、共有導通配線がスクライブラインのライン幅内にパターン形成されているため、ダイシングにおいて、共有導通配線が切削除去されてしまうため、共有導通配線の切断処理を専用工程とすることなく、共有導通配線を断線することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、スクライブラインのライン幅内に、可動電極と固定電極とを導通する共有導通配線が形成されているため、陽極接合に際し、チップ部の可動電極と封止部の固定電極との貼り付きを防止することができると共に、陽極接合後に、共有導通配線の切断処理を専用工程とすることなく、これを断線することができる。したがって、製造装置を追加することなく、MEMSデバイスの歩留り、ひいては生産性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、添付図面を参照して、本発明の一実施形態に係るMEMSデバイスである回転振動型ジャイロおよびその製造方法について説明する。この回転振動型ジャイロは、シリコン等を材料として微細加工技術により製造される2軸の角速度センサであり、平面内において正逆の往復回転振動により駆動する。そして、実施形態のものは、1mm角程度にパッケージングされ製品化されるようになっている。以下の説明では、先ず回転振動型ジャイロについて説明し、その後、回転振動型ジャイロの製造方法について説明する。
【0021】
図1は回転振動型ジャイロの模式図であり、同図に示すように、回転振動型ジャイロ1は、上面に駆動部5および検出部6を作り込んだシリコン基板2と、下面に固定検出電極(固定電極)7をパターン形成した封止用のガラス基板3と、を陽極接合して構成されている。駆動部5は、駆動錘5aと駆動錘5aの外側に配設した駆動電極5bとを有し、駆動電極5bに交流電圧を印加することで、駆動錘5aがZ軸回りに回転振動(駆動)する。駆動部5と検出錘を主体とする検出部6とは連結ばね9で連結されており、検出部6は、図示では省略したが、アンカーおよび支持ばねを介してシリコン基板2上に揺動自在に支持されている。回転振動する駆動錘5aがX軸回りの角速度を受けると、検出部6は、発生するコリオリ力により駆動錘5aと共にY軸を中心にシーソー様に振動する。同様に、回転振動する駆動錘5aがY軸回りの角速度を受けると、検出部6は、発生するコリオリ力により駆動錘5aと共にX軸を中心にシーソー様に振動する。なお、検出部6は、導電性の部材で構成され、上記の固定検出電極7に対向する可動検出電極(可動電極)8は検出部6の一部(上面)で構成されている。
【0022】
ガラス基板3の下面に形成した固定検出電極7は、検出部6の上面全体で構成した可動検出電極8に対面しており、X軸方向およびY軸方向にそれぞれ2分割された計4つの分割検出電極7aで構成されている。この場合、Y軸を中心にシーソー様に振動する検出部6のX軸回りの角速度は、Y軸を中心に線対称に位置する2組の分割検出電極7aがこれを検出し、X軸を中心にシーソー様に振動する検出部6のY軸回りの角速度は、X軸を中心に線対称に位置する2組の分割検出電極7aがこれを検出する。コリオリ力によりY軸を中心に検出部6がシーソー様に振動すると、検出部6で構成された可動検出電極8とY軸を中心に線対称に位置する2組の分割検出電極7aとの間の静電容量が変化し、この変化に基づいてX軸回りの角速度が検出される。同様に、コリオリ力によりX軸を中心に検出部6がシーソー様に振動すると、検出部6で構成された可動検出電極8とX軸を中心に線対称に位置する2組の分割検出電極7aとの間の静電容量が変化し、この変化に基づいてY軸回りの角速度が検出される。
【0023】
また、図2に示すように、ガラス基板3には、4つの分割検出電極7aと共に、この4つの分割検出電極7aにそれぞれ接続される計4本のリード配線14がパターン形成されている。4本のリード配線14は、ガラス基板3の一方の短辺側に延びており、その各端部において、ガラス基板3をシリコン基板2に陽極接合したときに、後述するシリコン基板2のボンディングパッド15に導通(接続)するようになっている。
【0024】
一方、図1に示すように、シリコン基板2には、その一方の短辺側に、4本のリード配線14を介して4つの分割検出電極7aが接続される計4つ(複数)のボンディングパッド(接続端子)15と、可動検出電極8に配線されたボンディングパッド19と、ボンディングパッド15およびボンディングパッド19に接続された単一の共有導通配線16と、各ボンディングパッド15およびボンディングパッド19と共有導通配線16とを接続する5つ(複数)の個別配線17と、がパターン形成されている。但し、共有導通配線16と4つの個別配線17とは、シリコン基板2とガラス基板3の陽極接合の際に用いる暫定的なものであり、製品としてチップ化された回転振動型ジャイロ1には、共有導通配線16は取り除かれている(詳細は、後述する。)。4つのボンディングパッド15およびボンディングパッド19は、ガラス基板3に形成した5つのコンタクトホール18に導通しており、4つの分割検出電極7aからの検出信号を、このコンタクトホール18から外部(検出回路)に取り出すようになっている。また、図1(b)に示すように、4つのボンディングパッド15および4つの個別配線17と、シリコン基板2との間には絶縁膜13が形成されている(但し、共有導通配線16とシリコン基板2との間には、絶縁膜13は無い)。
【0025】
共有導通配線16は、シリコン基板2とガラス基板3との陽極接合時に、可動検出電極8と固定検出電極7との貼り付きを防止すべく、これらを導通させておくためのものであり、後述するウェーハ20(接合マザー基板50)のスクライブライン40にパターン形成され、シリコン基板2にガラス基板3を陽極接合した後、ダイシングにより取り除かれる(断線)。すなわち、図3に示すように、ガラス基板2を接合する前のウェーハ20には、回転振動型ジャイロ1の基本構造部分がチップ部2Aとして複数形成されると共に、このチップ部2Aを単位として、スクライブライン40上に複数の共有導通配線16がパターン形成されている(詳細は後述する)。
【0026】
次に、図4を参照して、上記の回転振動型ジャイロ1の製造方法について説明する。この製造方法は、いわゆる半導体の微細加工技術に準拠するものであり、上記のシリコン基板2の母材となるウェーハ20と、上記のガラス基板3の母材となる封止ガラス30と、を陽極接合により貼り合せ(接合工程)、ダイシングする(ダイシング工程)ことにより、チップ化した複数(多数)の回転振動型ジャイロ1を得るようになっている。ウェーハ20の上面には、可動検出電極8と成る検出部6や駆動部5等の回転振動型ジャイロ1の基本構造部分が作り込まれた複数のチップ部2Aがマトリクス状に形成されている。一方、封止ガラス30の下面には、複数のチップ部2Aに対応し、固定検出電極7等がパターン形成された複数の封止部3Aがマトリクス状に形成されている。
【0027】
また、図3および図5に示すように、ウェーハ20の上面には、スクライブライン40上に位置して、各チップ部2Aの単位で上記の共有導通配線16が複数パターン形成されている。隣接するチップ部2A同士の間隙は、一定のライン幅を有するスクライブライン40となっており、共有導通配線16は、このスクライブライン40のライン幅W内に納まる幅を有して、パターン形成されている。具体的には、スクライブライン40のライン幅Wに対し、ダイシングブレード60により除去(分断)されるダイシング幅Dが狭く設定されており、さらに共有導通配線16の幅は、このダイシング幅Dより狭く形成されている。また、図5に示すように、チップ部2Aとスクライブライン40との境界から共有導通配線16のアウトラインまでの距離Lが、L>W−Dとなるように形成することがより好ましい。このようにすれば、ダイシング位置がスクライブライン40から外れない限り、共有導通配線16を確実に断線することができる。一方、各ボンディングパッド15から延びる4つの個別配線17は、チップ部2Aからスクライブライン40に亘って延び、共有導通配線16と略同幅でこれに直角に接続されている。
【0028】
図4に示すように、接合工程では、ウェーハ(シリコン基板2)20と封止ガラス(ガラス基板3)30とを位置合わせし、且つウェーハ20を陽極に封止ガラス30を陰極に接続した状態で、真空中の数百℃の温度下で数百ボルトの直流電圧を印加して、陽極接合を実施する(図4(b)参照)。これにより、ウェーハ20と封止ガラス30とを陽極接合した接合マザー基板50が形成される。
【0029】
続くダイシング工程では、この接合マザー基板50をX軸方向およびY軸方向に移動させながらダイシングブレード60を回転させて、接合マザー基板50をスクライブライン40に沿っていったん短冊状に分断し、さらに接合マザー基板50を90°θ回転させた後、同様の動作を行って、こんどは接合マザー基板50をマトリクス状に分断する(図4(c)参照)。これにより、チップ部2Aと封止部3Aとから成る複数の回転振動型ジャイロ1が得られる。また、接合マザー基板50に対し、ダイシングブレード60によりダイシングを行うと、スクライブライン40上に形成されている上記の共有導通配線16は、接合マザー基板50のスクライブライン40上の部位と共に切削除去される。これにより、共有導通配線16は断線され、可動検出電極8と固定検出電極7との導通が解かれる。
【0030】
次に、共有導通配線16のパターン形成における他の実施形態について説明する。図6に示す第2実施形態では、共有導通配線16Aが、複数の個別配線17との接続部を屈曲部分として蛇行状にパターン形成されている。この場合、共有導通配線16Aは、ダイシングの予定幅(ダイシング幅D)内に納まるように屈曲させてもよいが、同図のように、ダイシングの予定幅からはみ出すように形成してもよい(但し、スクライブライン40のライン幅W内には、納まっている。)。具体的には、チップ部2Aとスクライブライン40との境界から屈曲部分のアウトラインまでの距離L(L1およびL2)が、L<Dとなるように形成することがより好ましい。このようにすれば、ダイシングの位置が予定の位置からずれても共有導通配線16Aを確実に断線することができる。
【0031】
また、図7に示す第3実施形態では、短辺が隣接する2つのチップ部2A,2Aにおいて、兼用(共用)の共有導通配線16Bがパターン形成されている。すなわち、2つのチップ部2A,2Aにおいて、隣接する短辺部分に上記の4つのボンディングパッド15と4つの個別配線17とが向き合うように形成され、これら各4つ2組の個別配線17が、中間に設けた単一の共有導通配線16Bに接続されている。この場合の共有導通配線16は、スクライブライン40の中心線と同一中心線となるように形成されることが好ましい。このようにすれば、共有導通配線16Bのパターン形成の数を半減することができる。
【0032】
さらに、図8に示す第4実施形態では、第2実施形態の共有導通配線16Aと第3実施形態の共有導通配線16Bとを合成した形態の、共有導通配線16Cがパターン形成されている。各4つ2組の個別配線17が、中間に設けた単一の共有導通配線16Cに接続されると共に、この共有導通配線16Cが、複数の個別配線17との接続部を屈曲部分として蛇行状にパターン形成されている。このようにすれば、共有導通配線16Cを確実に断線することができる共に、共有導通配線16Cのパターン形成の数を半減することができる。
【0033】
以上のように、これらの実施形態によれば、スクライブライン40のライン幅W内に、可動検出電極8と固定検出電極7とを導通する共有導通配線16,16A,16B,16Cが形成されているため、陽極接合に際し、チップ部2Aの可動検出電極8と封止部3Aの固定検出電極7との貼り付きを防止することができると共に、陽極接合後に、共有導通配線16,16A,16B,16Cをダイシング工程により断線することができる。したがって、製造装置の変更を要することなく、回転振動型ジャイロ1の歩留り、ひいては生産性を向上させることができる。
【0034】
なお、本実施形態では、回転振動型ジャイロ(角速度センサ)1を例に説明したが、本発明は、可動電極を有するシリコン基板に固定電極を有するガラス基板を陽極接合する各種のMEMSデバイスに適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施形態の回転振動型ジャイロを模式的に表した平面図(a)および断面図(b)である。
【図2】実施形態の回転振動型ジャイロの接合前の断面図(a)および接合後の断面図(b)である。
【図3】複数のチップ部を作り込んだウェーハの部分平面図である。
【図4】回転振動型ジャイロの製造方法を表した説明図である。
【図5】第1実施形態に係る共有導通配線回りの拡大平面図である。
【図6】第2実施形態に係る共有導通配線回りの拡大平面図である。
【図7】第3実施形態に係る共有導通配線回りの拡大平面図である。
【図8】第4実施形態に係る共有導通配線回りの拡大平面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 回転振動型ジャイロ 2 シリコン基板
2A チップ部 3 ガラス基板
3A 封止部 5 駆動部
6 検出部 7 固定検出電極
8 可動検出電極 15 ボンディングパッド
16 共有導通配線 16A 共有導通配線
16B 共有導通配線 16C 共有導通配線
17 個別配線 18 コンタクトホール
19 ボンディングパッド(可動検出電極用) 20 ウェーハ
30 封止ガラス 40 スクライブライン
50 接合マザー基板 60 ダイシングブレード
W ライン幅 D ダイシング幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可動電極を有するチップ部をマトリクス状に複数個形成したウェーハと、前記各チップ部を封止すると共に前記可動電極に対面する固定電極を有する封止部をマトリクス状に複数個形成した封止ガラスと、を重ね合わせて陽極接合する接合工程と、
陽極接合した前記ウェーハおよび前記封止ガラスをスクライブラインに沿ってダイシングし、前記チップ部と前記封止部とを陽極接合して成る複数個のMEMSデバイスを得るダイシング工程と、を備え、
前記スクライブラインのライン幅内には、前記チップ部の単位で、前記可動電極と前記固定電極とを導通する複数の共有導通配線が、パターン形成されていることを特徴とするMEMSデバイスの製造方法。
【請求項2】
前記各共有導通配線は、前記スクライブラインと平行に形成され、
前記チップ部および前記スクライブラインの境界線と前記共有導通配線の前記チップ部側のアウトラインとの間の寸法が、前記ライン幅からダイシング幅を徐算した寸法より大きいことを特徴とする請求項1に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項3】
前記各チップ部には、前記接合工程において前記固定電極に導通する接続端子がパターン形成され、
且つ前記各チップ部と前記スクライブライン内とに亘って、前記接続端子と前記共有導通配線とを導通する個別配線がパターン形成されていることを特徴とする請求項1に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項4】
前記各共有導通配線は、前記個別配線との接続部を屈曲部分として蛇行状にパターン形成されていることを特徴とする請求項3に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項5】
前記各共有導通配線は、前記個別配線との接続部を屈曲部分として蛇行状にパターン形成され、
前記チップ部および前記スクライブラインの境界線と前記屈曲部分の前記チップ部側のアウトラインとの間の寸法が、ダイシング幅より小さいことを特徴とする請求項3に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項6】
任意の1の前記チップ部の前記共有導通配線と、これに隣接する前記チップ部の前記共有導通配線と、が兼用の前記共有導通配線としてパターン形成されていることを特徴とする請求項1に記載のMEMSデバイスの製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載のMEMSデバイスの製造方法により製造したことを特徴とするMEMSデバイス。
【請求項8】
スクライブラインに沿ったダイシングにより、複数個のMEMSデバイスを得るために、
可動電極を有するチップ部をマトリクス状に複数個形成したウェーハと、前記各チップ部を封止すると共に前記可動電極に対面する固定電極を有する封止部をマトリクス状に複数個形成した封止ガラスと、を重ね合わせて陽極接合した接合マザー基板であって、
前記スクライブラインのライン幅内には、前記チップ部の単位で、前記可動電極と前記固定電極とを導通する複数の共有導通配線が、パターン形成されていることを特徴とする接合マザー基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−145264(P2010−145264A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323371(P2008−323371)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【出願人】(503213291)パイオニア・マイクロ・テクノロジー株式会社 (25)
【Fターム(参考)】