説明

MEMS静電チャックの製造方法

本発明は、多極静電チャック用のクランププレートを形成する方法を提供する。この方法は、半導体プラットフォーム上に第1電気導電層を形成し、互いに電気的に分離される第1電気導電層の複数の部分を形成する段階を含む。第1電気導電層上に第1電気絶縁層が形成され、この第1電気絶縁層の頂部表面がこの表面から第1距離だけ伸びるMEMSの複数の突起を有する。複数の電極が更に、第1電気導電層の複数の部分のそれぞれに電気接続され、複数の電極間に印加される電圧がクランププレートに静電力を誘導するように使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、半導体処理システムに関し、より特定すると、基板を固定し、更に、これに関連した熱エネルギーを伝達するための多極MEMS静電チャックの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウエハの処理は、現代のマイクロエレクトロニクス素子の製造において、日常のことである。このような処理は、低圧力で実行されるプラズマ処理及びイオン注入を含んでおり、ここで、RF波またはマイクロ波のプラズマ、あるいは高出力の粒子ビームがウエハに供給され、処理中、ウエハは高温度となる。しかし、このような高温度(たとえば、通常の注入に対する100℃を越え、他の処理に対して400℃までの温度)は、ウエハに有害な影響を与える。
【0003】
多くの処理に対して、ウエハの温度を、イオン注入において100℃以下または、一般的に、400℃以下の所定の温度以下に維持する限り、正確な温度制御は必要とされない。しかし、イオン注入における現在の趨勢は、高出力のシリアル注入機に向けられており、ここでは、熱伝達係数(HTC)が次式 HTC>200mW/cm2Cを満足する冷却が一般的に必要とされる。これらの或いは他のいくつかの注入動作において、正確な温度制御が、一般的に必要とされ、また、温度制御が±5%以内である必要がある。
【0004】
高度の注入およびウエハ処理作業において、正確な温度制御が一般的に必要とされる。HTCは、300mmウエハにわたって均一であり、たとえば、1%以内に維持する必要がある。このような処理は、たとえば、500mW/cm2Cと同程度に高いHTC値を有する。本発明が指向する要求もこのように高い性能に合致している。
【0005】
半導体処理におけるウエハの温度制御は、ある時間の間、利用される複数の静電チャック(ESC)を有する。一般的な単一極のESCは、図1に示されており、ここで、ESC10は、静電気によってウエハ20を保持する。ウエハ20は、絶縁層40によって電極30から分離される。電圧(たとえば、a+として図示される。)は、電源50によって電極30に印加される。電極に印加された電圧は、静電界(たとえば、a"-")ウエハ20に生じ、このウエハ20上に等しくかつ反対の電荷を誘導する。ウエハ20上に作用する静電界は、ウエハとESC10との間に静電力を生じる。その結果、静電力は、絶縁層40に対してウエハ20を保持する。
【0006】
複数のESCを用いるときのウエハ20の冷却は、ウエハと絶縁層40の接触表面60との間の接触伝導率によって与えることができる。ここで、絶縁層は、水冷により冷却することができる。従来、ウエハ20の冷却は、一般的に、ESCに印加される電圧に応じて増加する。しかし、かなり高い電圧は、ウエハ上に有害な影響(たとえば、粒子発生原因となる)を与え、故障率の増加とともに、高価な電源及び電力消費をもたらすことになる。
【0007】
真空環境において、従来の他のESCは、ウエハ20と絶縁層40との間に冷却ガスを用いる。この場合、絶縁層40の接触面60は、複数の突出部(図示略)を有して、冷却ガスを残す領域を形成する。セラミック層は、一般的に機械加工により突出部が形成され、この突出部は、ビードブラスト処理により形成される。しかし、セラミックからなる絶縁層40を加工することは、いくつかの欠点として、精度と、ウエハ処理中にセラミック層によって起こる帯電微粒子の問題を生じさせる。
【0008】
さらに、従来の機械加工方法を用いてチャック表面の平坦度(即ち、表面のうねりを制御すること)を300mmの加工物にわたって5ミクロン以下にすることは、一般的に非常に難しい。たとえば、ウエハを従来のチャック表面(例えば、セラミックチャック表面)に接触させると、ウエハ20は、チャック表面の回りにあるチャック表面60に接触しない、すなわち、チャック接触表面とウエハ20との間にギャップ(図示略)が存在する。このギャップは、一般的に、チャック表面の機械加工によって生じるチャック接触表面60のうねりにより5ミクロンの範囲内にある。さらに、チャックとウエハ表面との間のギャップ幅は、通常のチャック表面のうねりによって変化する。このギャップは、ウエハ全体にわたり均一ではなく、クランプ状態によって変化する。
【0009】
クランプ電極30とウエハ20との間の絶縁層40の厚さは、局部的なクランプ力に影響を与える。これにより、ウエハ全体を温度的に均一に密着させる。従来の制御方法は、この寸法に対する制御が低いものである。絶縁層40における非均一性およびクランプ10とウエハ20との間の物理的なギャップによって、クランプ圧力における空間的な変動が大きくなり、正確な温度制御が難しくなる。従来のモデル及び測定において、平均的なギャップ幅は、チャック表面及びクランプ条件により2〜10ミクロンの範囲で変化する。この比較的大きくかつ制御できないギャップ幅は、ウエハ全体にわたり、より低い冷却能力と、温度の不均一性をもたらす。
【0010】
更に、従来のESCの電極への電気接続を形成することは一般的に難しいことがわかっている。従来、導線は、電力の中心部分より下側に半田付けされる。このような半田付けは、ウエハ間の熱伝導の均一性を乱す欠点となる。
【0011】
それゆえ、処理中、容易に調整できる均一な熱伝達係数を与えるとともに、ウエハの冷却と加熱の両方において、より高い熱の伝達を与える、改良された静電チャックを製造する方法が必要とされている。さらに、ウエハ処理中に粒子の汚染をかなり抑えるように動作可能なクランプ表面を与える静電チャックを必要としている。
【特許文献1】米国特許出願番号10/642,939
【特許文献2】米国特許出願番号10/657,449
【特許文献3】米国特許出願番号10/683,679
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の基本的ないくつかの構成を理解するために、単純化した本発明の要約を以下に示す。この要約は、本発明の拡張的な概要を示すものではない。これは、本発明の重要な要素を識別しかつ正確に概説するものでもない。この目的は、後に記載する詳細な説明の序文として、本発明のいくつかの概念を単純化した形で示すことにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、一般的に、半導体基板を加熱または冷却するために、静電チャック用のクランププレートを形成する方法を指向している。この方法は、半導体プラットフォーム上に第1電気伝導層を形成することを含む。ここで、第1電気伝導層は、互いに電気的に分離した複数の部分からなる。この第1電気伝導層上には、第1電気絶縁層が形成され、第1電気絶縁層は、この頂部表面から第1距離だけ伸びる複数のMEMS突起を含む。複数の極が第1電気伝導層の複数の部分にそれぞれ電気接続され、ここで、複数の突起上にあるウエハとクランププレートとの間に静電力を導くために、所定の電圧が、複数の極間に印加される。保護層が、例えば、複数の突起上にさらに形成されている。
【0014】
本発明の1つの例示的な構成によれば、半導体プラットフォームの底部表面上に、第2電気伝導層が形成され、この第2電気伝導層は、第1電気伝導層の複数の部分のそれぞれに電気接続された複数の部分を含んでいる。第1電気伝導層および第2電気伝導層は、例えば、同時に形成される。半導体プラットフォームの頂部表面と底部表面の間に、複数の垂直な電気接続部が形成される、これにより、第1電気伝導層と第2電気伝導層を電気接続する。例えば、複数の垂直な電気接続部は、半導体プラットフォームを介して形成された複数のビアス(通路)または半導体プラットフォームの側壁上に形成された複数の側壁電気接続部を含む。
【0015】
本発明の1つの例示的な構成によれば、1つ以上のガス分配溝が、第1電気絶縁層の頂部表面、第1電気伝導層、および半導体プラットフォームに形成される。また、1つ以上のガス分配孔は、第1電気伝導層、半導体プラットフォーム、および第2電気伝導層を貫通して形成される。ここで、1つ以上のガス分配溝と1つ以上のガス分配孔は、流体連通する。1つ以上のガス分配溝は、例えば、複数の突起を形成した後で形成される。
【0016】
前述の及びこれに関連した目的を達成するために、本発明は、以下に詳細に記載されかつ特許請求の範囲に特に示された特徴を含んでいる。以下の記載及び添付の図面は、本発明の例示的な実施形態を詳細に示している。しかし、これらの実施形態は、本発明の原理を用いる種々の方法の一部を示しているにすぎない。本発明の他の目的、利点及び新規な特徴は、図面を参照して、本発明の詳細な記載から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、いくつかの革新的な特徴を有する多極静電チャック(ESC)およびこれに関連するクランププレートを形成するための方法を指向する。特に、本発明の静電チャックは、ウエハ基板を均一に冷却する能力を増大させる。したがって、本発明は、図面に関連して以下で説明され、ここで同一の参照符号は、全体を通して同一の部材に対して使用される。これらの構成上の記載は、単に説明的なもので、これらの構成によって限定されるものではない。以下の記載において、説明の目的、多くの特定の詳細は、本発明の完全な理解を提供するために設けられたものである。しかし、当業者であれば、本発明は、これらの特定物でなくても実施できることが明らかであろう。
【0018】
本発明は、多極静電チャック(ESC)を介して従来例の問題点を克服するものであり、この静電チャックは、基板(たとえば、シリコンウエハ)と、多極静電チャック(ESC)に関連する半導体クランププレートとの間で非常に空間的に均一な熱伝達係数を示す。
【0019】
このHTCを得るための1つの方法は、基板とクランププレートとの間の熱接触伝導を利用することである。クランププレートに加えられる電圧は、基板とクランププレートとの間の接触力の大きさを決定する。しかし、HTCの均一性は、一般的に接触圧の均一性による。均一なHTCを維持する1つの方法は、均一なクランプ表面を設けることである。しかし、クランプ表面は、基板に対して大きな接触面積を有しており、基板間に大きな接触圧を必要とする。それゆえ、高いHTCを得るためにESCの電極対間に印加すべき大きな電圧差を必要とする。本発明に従ってクランプ表面の一部分を取り除くことにより、単位面積当たりの接触圧力を増加させながら印加電圧を減少することができる。
【0020】
例えば、クランププレート表面の面積を取り除くために、残存する部分に複数の突起を形成し、この部分に基板が載置される。本発明の1つの構成によれば、クランププレートの接触表面積と基板の表面積との面積比は、最適化され、複数の突起を介して最大の熱伝達が起こり、基板に対する応力を最小化することができる。
【0021】
更に、複数の突起のそれぞれの間にギャップが形成され、この一例において、複数の突起は、実際的な寸法に制限され、ギャップは、背面の微粒子に基づくと考えられる。例えば、ギャップの深さよりも大きな粒子があると、基板を複数の突起に接触できないようにするので、これにより、信頼性を欠くことになる。一般的なESCにおいて見られる多くの粒子は、1ミクロン以下であり、ギャップ深さに対する下側限界は、1ミクロン以下となる。さらに、基板における応力を最小化するために、ギャップの幅(例えば、突起間の距離)を、ほぼ基板の厚さに等しくする。
【0022】
均一なHTCを得るための別の方法は、背面側ガスの冷却を用いることである。このようなガスのウエハとESCとの間のガス伝導は、分子の自由領域内に維持される。例えば、ESCとウエハとの間のギャップは、(たとえば、冷却ガスの平均自由行程)λmfpよりもかなり小さくなっている。このような場合、ギャップがλmfpよりもかなり小さいならば、冷却ガスのHTCは、ギャップに無関係である。従って、できる限り小さいギャップを作ることが望ましい。
【0023】
一般的なESCのクランプ力によって許容される圧力範囲(数100トルにまで上げることができる)では、ガスの平均自由行程は、1ミクロンのオーダーである。これは、ガスの導電が、全体的に分子自由領域内だけではなくて、分子自由領域と粘性領域との間の転移領域において作動することを意味する。この結果、ギャップに関してHTCが適度に変動することがある。たとえば、200トルで、例示的な冷却ガスのHTCは、約500mW/cm2Cであり、ギャップが100%変動(たとえば、ギャップの範囲が1ミクロンから2ミクロン)すると、HTCは、約20%の変動を生じる。それゆえ、ウエハ間に1%範囲の所望温度に保つために、本発明の1つの構成に従って、ギャップ幅の均一性は、5%に等しいかそれ以下とすべきである。
【0024】
ギャップの均一性に加えて背面冷却ガスを処理するとき、HTCの均一性は、一般的に圧力の均一性に従属する。一般的にウエハの周辺部での冷却ガスの漏れによって、ガスが流れ、そこに圧力勾配を生じさせる。この問題は、ガスの流れ領域をウエハ周辺部とその近く及びガス分配溝の部分に制限することによって改善される。表面構造に沿ってガス分配溝を設けようとする企ては、放電の可能性を避けるとともに、製造を容易にかつ信頼性を与えるような均一なギャップを与えることができる。
【0025】
本発明によって改善されるもう1つの企ては、多極のESCを可能にして、この表面の制御が行えるようにすることである。単一極のクランプ(たとえば、ESC全体を1つの電極とする)は、ウエハがプラズマに晒されかつ導電路がウエハとアースとの間で作られるような応用に用いることができる。しかし、ウエハは、プラズマに対して一定に接触しているわけではない場合、少なくとも2つの電極が必要となり、各電極は、反対の極性を有し、これにより、ウエハは、ウエハを介して電気接続することなく仮想的なアースに接続された状態となる。こうして、多極静電チャックが形成され、このチャックは、正確な表面制御とともに、電源に接続された多極電極を包含することになる。
【0026】
図面を参照すると、本発明の図2は、本発明の1つの構成に従う多極ESC100の断面図を示す。このESCは、そこに存在する基板105を支持しかつ処理する(例えば、基板を加熱または冷却)ように作動可能である。基板105は、たとえば、直径Dと底部表面107によって特徴付けられ、この底部表面は、第1表面領域(図示略)を有する。図2の静電チャック100は、巨視的に単純化して図示されていることに注目すべきである。しかし、続く図(例えば、図10,11及び他の図)には、より詳細に静電チャック100の例示的な拡大図が提供されている。
【0027】
本発明の図2に示す静電チャック100は、基板105の底部表面107に関連しかつ底部表面の反対側に配置された頂部表面115を有するほぼ平坦なクランププレート110を含む。クランププレート110は、たとえば、半導体プラットフォーム120を含み、このプラットフォーム内に、第1電気伝導層125が半導体プラットフォームの頂部表面127上に形成されている。第1電気伝導層125は、複数の部分130から構成され、この部分は、後述するように、互いに電気的に絶縁された多極ESC100の複数の極131を形成する。半導体プラットフォーム120は、たとえば、シリコンウエハ等の半導体基板132を含み、この上に第1電気伝導層125の複数の部分130が形成され、複数の部分130間に絶縁領域134を形成している。絶縁領域134は、第1電気伝導層125の複数の部分130と互いに電気的に絶縁されている。複数の部分130に印加される電圧により、クランププレート110と基板105との間に静電力を発生させることができる。
【0028】
本発明の例示的な構成によれば、クランププレート110は、以下で説明するように、半導体リソグラフィック技術を用いて形成される。ここで、絶縁領域134は、たとえば、第1電気伝導層125の形成中、一般的にマスクされる。半導体プラットフォーム120は、たとえば、単一の半導体基板132を構成することもでき、代わりに半導体プラットフォームは、分離した半導体基板132(たとえば、破線133で示された)のモザイクを含んでいる。ここで、第1電気伝導層125は、半導体基板のモザイク上に形成される。分離した半導体基板132のモザイクは、たとえば、分離した半導体基板を統合して半導体プラットフォーム120を形成し、連続した半導体プラットフォームを形成する。このようなモザイクは、標準シリコンウエハよりも大きい径を必要とする静電チャックに対して利点を有する。ここで、いくつかの半導体基板は、より大きな半導体プラットフォーム120を形成するために、一体に統合することができる。
【0029】
本発明の別の構成が図12に示されており、この半導体プラットフォーム120は、いくつかの半導体基板132から形成された複数の別個のセグメント135を構成することができる。第1電気伝導層125の複数の部分は、個々のセグメント135上に個別に形成される。たとえば、複数のセグメント135は、セラミックスペーサ137等の絶縁性材料によって互いに分離されている。ここで、第1電気伝導層125の複数の部分130は、互いに電気絶縁されている。
【0030】
図3は、図2のクランププレート110の部分を示す一部断面図を示し、本発明のいくつかの例示的構成では、より詳細に説明される。この図は、必ずしもスケール寸法が正確ではなく、説明の目的のために与えられていることに注目してほしい。本発明の1つの例示的な構成によれば、クランププレート110は、図2に示す第1電気伝導層の頂部表面から外側に伸びる複数の電気絶縁性突起140(ここで、クランププレート110の頂部表面117から外側に伸びる)を含んでいる。
【0031】
図3を再び見ると、複数の突起140は、第1電気伝導層125上に形成され、そして、クランププレート110の頂部表面117から第1距離D1だけ伸びている。従って、複数の突起140は、その間に複数のギャップ145を形成し、たとえば、複数の突起は、第2距離D2だけ互いから離れている。これにより、複数のギャップの幅を形成する。第2距離D2は、クランプされるべき基板(図示略)の厚さよりも短い。これにより、クランプ中の基板の機械的変形が、後で詳細に論じられるように、かなりの減少する。たとえば、第2距離D2は、約100ミクロン未満である。
【0032】
本発明の別の例示的な構成によれば、複数の突起140が超小型電気機械部品構造(MEMS)(microelectromechanical structure)からなる。たとえば、半導体プラットフォーム120は、MEMS微細構造を形成するのに利用されるシリコン等の材料から構成され、複数の突起140は、プラットフォーム上に形成される二酸化けい素(SiO2)からなる。MEMS微細構造は、堅固に制御されかつクランププレート110の頂部表面117に安定した寸法を維持する。また、複数の突起140は、クランププレート間の頂部表面から一定の第1距離D1だけ伸びている。たとえば、図4は、円筒または矩形状の複数のアイランド147を含み、このアイランドは、クランププレート110の頂部表面117上に形成される。複数の突起140は、図2に示すように、基板105の底部表面107に接触するように使用でき、これにより、突起接触面積を形成する。好ましくは、突起接触面積比(AR)は、基板105の底部表面領域の全体の約10%程度である。たとえば、図3の複数のアイランド147は、約10ミクロンまたはそれ以下の直径を有し、そして、互いに約25〜100ミクロンだけ離れている。
【0033】
クランププレート110の頂部表面117から伸びる複数の突起140は、図示するように均一の形状で整列配置されているが、複数の突起の配列、及び形状または突起の順序は、どのような形式でもよく、このような変更は、本発明の範囲内であると考えられる。
【0034】
再び図2に戻ると、半導体プラットフォームの頂部表面127及び複数の突起140は、更に、窒化けい素(Si34)層等の保護被膜148をプラットフォーム上に形成することもできる。図3に示すように、この保護被膜148は、図3に示すように、低い放射率を有し、クランププレート115の方の基板(図示略)から放射される熱は、基板の加熱中、保護被膜から反射される。別の例によれば、保護被膜148は、クランププレート110と基板(図示略)との間に、硬くかつ不活性の中間界面149を与える。この保護被膜は、クランププレートの劣化による汚染物質の可能性を減少させる。また別の例によれば、保護被膜148は、基板(図示略)がクランププレート110と基板との間の中間界面149上を横方向にスライドさせることができる。ここで、この保護被膜は、複数の突起140にほぼ一致し、これにより、1つ以上の鋭いエッジ146Aを丸くすることができる。
【0035】
図5は、例示的な突起140を示し、保護被膜148が複数の突起140に適合し、かつ丸くなった1つ以上の鋭いエッジ146Aを有する。これにより、突起は、丸くなった、1つ以上のエッジ146Bを形成する。リソグラフィー技術により理解できるように、このような丸みは、説明したよりもより大きな効果を有することが可能である。例えば、1つ以上の丸くなったエッジ146Bは、クランププレート110に対して、基板105の熱運動(熱の膨張または圧縮)の間、有利なスライド特性を与える。
たとえば、突起に対する基板105の熱の運動158は、突起140によって基板105上に力Fを作り出すことができる。この力Fは、少なくとも部分的に、突起140の形状によって変化する。たとえば、図3に示すように、鋭いエッジ156は、より大きな力Fを作り出すように見え、基板105は、突起140の鋭いエッジで横方向への動きが拘束される。力Fが基板の降伏強さを超えると、基板105にストレスによる破壊が生じる。これにより、基板に対して電位の変動と基板の損傷の1つまたは両方を生じさせることになる。
【0036】
一方、図5の丸いエッジ146Bは、丸いエッジを越えて力Fが広がることにより、基板105上の力Fを制限する。基板105上の力Fを制限することによって、基板105をクランププレート110に対してより自由に膨張または圧縮させることができる。これにより、突起140の位置で横方向の動きを拘束する。
【0037】
本発明の別の例示的な構成に従う図3を再び参照すると、複数の突起140は、クランププレートの頂部表面117から図2のクランププレートの頂部表面117から基板105の底部表面107までの第1距離D1を維持するように使用できる。ここで、複数の突起を介しての接触伝導率は、クランププレート間で均一である。これは、複数の突起の表面あらさを確実に制御することにより達成される。例えば、図4で再び説明するように、100オングストローム以下の表面あらさ161(例えば、表面仕上げ)は、MEMSベースの半導体処理を介して複数の突起140の各々に対して達成可能である。この場合、このような表面仕上げによる接触伝導率は、従来の機械加工された表面に比べて十分に高められる。
【0038】
図6のグラフは、例示的なMEMSベースの静電チャックに対する接触熱伝達係数を示している。曲線163A〜163Dは、それぞれ基板105とMEMSベースの図2に示す複数の突起との間の接触圧力が0.5、1、2及び5気圧における平均HTCsを示している。図から明らかなように、HTCは、低ARにおいて急速に増加し、最大に達し、そして、ARが100%に到達するに従って次第に減少する。図6からのデータを用いて、本発明の発明者は、MEMSベースの突起140に対して最適なARを決定することができることを評価する。好ましくは、ARは、約0.5未満であり、特に、約0.02〜0.2の範囲内が好ましい、例えば、約0.1(10%)のARは、0.5〜1.0気圧の範囲の接触圧に対して最適化される。現在及びこれから予想される半導体製造処理に対して、HTCは、低電圧作業を可能にしながら、約3000mW/cm-2-1までの範囲に熱伝達の要求条件が高くなり、これにより、最適ARを約0.2以下の範囲に定める。
【0039】
本発明の別の例示的な構成に従う図3を再び参照すると、第1距離D1は、複数のギャップ145内の冷却ガス(図示略)の流れを可能にするように作動させることができる。ここで、静電チャック100は、冷却ガスの自由分子行程における熱伝達を介して基板からクランププレートに熱を移動するように操作可能である。たとえば、自由分子領域内で熱伝導が可能にするために、第1距離D1は、5ミクロン以下である。好ましくは、クランププレート110の頂部表面117から基板105の底部表面107までの第1距離D1は、約1ミクロンまたはそれ以下である。
【0040】
上記現象は、接触HTCのグラフと種々の接触領域比率に対するウエハストレスを図示する図7に関連してより理解できる。たとえば、低領域の接触比率(たとえば、約0.05またはそれ以下のAR)で、接触HTC(グラフ159A)は、突起及びウエハ間の小さな接触領域によって小さくなる。1つの例では、低接触HTCは、熱伝達が、(図2のクランププレート110と基板105との間の)熱伝達またはガス残留によって行われることが望ましい。このように小さな領域比率は、基板上のストレス(図6のグラフ159B)が、特に高い静電チャック圧力において望ましくない程度高くなる。接触領域比率が増加する(例えば、全ての突起の突起接触領域が、全体のウエハ領域より大きな割合となる)と、接触HTCは増加し始め、最大値に到達し、そして、再び減少する。増加した領域により起こるトレードオフをもたらし、そして、突起上の単位面積当たりの接触圧力を減少させる。この範囲(約0.05から約0.3のARの間)において、接触HTCは、比較的高く、これにより、接触HTCがパッシブ型であり、ガス伝導のHTCをターンオフ(例えば、圧力における変化によってターンオフ)することができないので、より難しくまたはより少なく制御された、ESCと基板との間に存在するガスの圧力制御を介してESCの冷却の切換えを行う。より高い接触面積比率、例えば、約0.4またはそれ以上のARにおいて、ストレスは、無視することができ、接触HTCは、冷却の活性/非活性が冷却ガスの背圧によって主に指示されるように再び低くなる。
【0041】
一般的に、2つの本体間の距離を横切る、冷却ガスの熱伝達係数(HTC)の振る舞いは、3つの動作領域の1つ、即ち、粘性領域、自由分子領域、および転移領域のいずれかに適合する。粘性領域では、熱伝達係数(HTC)は、ギャップ距離及び冷却ガスの熱伝導率に依存するが、冷却ガス圧力(以降において、背面側ガス圧力ともいう。)には無関係である。自由分子領域では、HTCは、平面側ガス圧力及び冷却ガスの分子重量に依存するが、ギャップ距離には無関係である。この自由分子領域は、数ミクロン(たとえば、約3〜5ミクロン)以下の距離(たとえば、第1距離D1)に確定する。更に、変移領域は、粘性領域と分子領域との間のスムーズな補間によって特徴づけられる。
【0042】
自由分子領域内のガスを介する熱の伝導は、本発明によって規定するように、いくつかのユニークな利点を提供する。たとえば、冷却ガスの平均自由行程におけるギャップ(第1距離D1)を維持することにより、ウエハを横切る冷却操作は、ギャップ距離に無関係であり、その代わり、背面側圧力に依存する。これにより、ギャップ(ウエハの変形または微粒子)内の僅かな変動にもかかわらず、ウエハ間の空間を均一に冷却することを導く。さらに、ギャップ距離が小さいので、これに関連した容積もまた小さい。これにより、ウエハの冷却操作が非常に早く背面側圧力を変更することによって効果を発揮できる。このようにして、本発明は、一旦スパイクアニール(spike anneal)温度に到達すると、ウエハを迅速に冷却することが可能になる。
【0043】
図8は、1ミクロン及び2ミクロンの第1距離D1で、窒素に対するHTC対背面側ガス圧力の振る舞いを示すグラフである。HTCが背面側ガス圧力によく依存する自由分子領域では、第1距離D1が、1ミクロンかあるいは冷却ガスの平均自由行程(MFP)以下であるとき、0トル〜約250トルの範囲における本発明の実施形態でのガス圧力を見ることができる。また、HTCが、主として第1距離D1に依存する粘性領域では、約250トルより高い背面側ガスに対して、あるいは第1距離D1が冷却ガス(現在の図面では図示されていない)の平均自由行程(MFP)より大きい場合に見ることができる。これらの2つの領域間で、変移領域を見ることができる。
【0044】
図8は、さらに、自由分子領域において、冷却ガスHTCは、背面側ガス圧力を調整することによって主として制御され得ることを示しているが、第1距離D1がより高い圧力において、HTCの役割を果たす。たとえば、2ミクロンと1ミクロンの第1距離D1が比較され、冷却ガスの熱伝導率は、約250〜270トルで、自由分子領域から粘性領域に移動し始める。それゆえ、大気圧力からほぼ真空圧力(たとえば、20トル以下)まで圧力が変化するとき、第1距離D1の均一性が関係する。しかし、ほぼ真空及び約250トルの範囲の圧力を制御することにより、HTCは、ギャップ距離におけるわずかな変動に無関係に背面側圧力によって主として制御することができる。それゆえ、ウエハを横切る冷却が均一に維持される。
【0045】
本発明の別の例示的な構成によれば、図9に示すように、クランププレート110は、1つ以上のガス分配溝150を含んでいる。このガス分配溝は、冷却ガス(図示略)が溝を通って流れることができるように適合しており、冷却ガス(背面側圧力)の圧力調整は、迅速に達成することができる。図10に示すように、ガス分配150は、クランププレート110内に第3距離D3だけ伸びている。各ガス分配溝は、クランププレートに関連した図2の複数のギャップ145の少なくとも1つと交差する。第3距離D3は、たとえば、約100ミクロン以下であり、このガス分配溝150内の冷却ガスの流れは、粘性領域に適合する。さらに、ガス分配溝(ギャップに比較して)のかなり大きい第3距離D3は、一般的にクランププレート110から冷却ガスを送り出すために非常に早い応答を可能にしている。
【0046】
ガス分配溝150は、更に、クランププレート110の頂部表面117とほぼ同一平面上に幅Wを有する。ガス分配溝150の幅Wは、好ましくは100ミクロン以下であり、また、クランププレート110上にある基板105の厚さ(図示略)の熱伝導が、上述したと同様の理由で、基板の底部表面107を横切ってほぼ均一となる。別の例示的な構成によれば、各ガス分配溝105の各幅は、第3距離D3にほぼ等しい。
【0047】
かなり大きなガス分配溝(たとえば、突起140間のギャップ145に比較して)を有することによって、与えられた圧力に対する自由分子領域における流速よりも約50倍大きい粘性領域の中において、ガスの流れが起こる。ガス分配溝150を通って流れる冷却ガスの早い流速は、基板の冷却に対して早いターンオン動作を容易にする。それにも拘らず、分配溝の全表面積は、複数のギャップ145において、ウエハに対する冷却ガスの接触面積に比較して非常に小さい。この点において、図10は、分配溝150間のギャップの数は、ほぼ適合しているが、寸法(説明の目的に適合する。)を一致させたものではない。たとえば、分配溝の距離151は、約1cm以下であり、また突起140は、約10ミクロンまたはそれ以下の直径を有し、約90個以上の突起を分配溝間に存在させることができる。
【0048】
従って、複数のガス分配溝150が設けられ、複数のガス分配溝は、クランププレート110から冷却ガスを送り出すための応答時間をかなり減少できるように作動可能である。たとえば、図9に示すように、複数のガス分配溝150は、クランププレート110の中央の外側に放射状に配置されており、この複数のガス分配溝は、パターン化され、その結果、複数のガス分配溝は、クランププレートの頂部表面117上に、どの位置も、複数のガス分配溝の少なくとも1つから約5mm以内に配置されている。好ましくは、分配溝間の距離151は、約1cm以下である。複数のガス分配溝150は、放射状に延びる溝として図示されているが、これらの分配溝は、多数の形式で形作ることができることを理解すべきである。数を変更したり、またこのような変更は、本発明の範囲の範囲内にあると考えられる。さらに、図11の例に示すように、分配溝150の深さD3は、種々の突起140間の距離D2とほぼ同一である。
【0049】
冷却ガスは、たとえば、酸素、水素、ヘリウム、アルゴン、窒素等の熱伝導性ガスの1つまたは複数を含んでいる。この冷却ガスは、図2の静電チャック100を含む処理室(図示略)等の環境(図示略)に供給される。それゆえ、冷却ガスは、静電チャック100を介して、環境(たとえば、処理室(図示略)内から)から送り出される。また、適当なポンプ(図示略)を用いて吐き出される。本発明の他の例示的な構成によれば、図9を参照して、複数の突起の1つは、基板105と同軸配置されているリング153を含んでいるリング153の直径DRは、たとえば、図2に示した基板105の直径Dよりも僅かに小さい。このリングは、基板の内側部分154とクランププレート115を取り囲むように作動できる。内側部分と環境155との間にシールを形成する。再び図9に戻ると、別の例に従って、周辺ガス分配溝156がリング153内にあり、この周辺ガス分配溝156は、複数の分配溝150に連結される。
【0050】
本発明の別の例によれば、図2に示すような例示の静電チャック100は、ベースプレートオ160を更に含み、基板105とクランププレート110から熱エネルギーを移動するために使用できる。このベースプレート160は、たとえば、クランププレート110の底部表面117に関連した頂部表面162によって特徴付けられる。ベースプレート160の頂部表面162は、たとえば、クランププレート110の底部表面117に対面し、このベースプレートとクランププレートは、互いに熱的に連結される。ベースプレート160は、たとえば、金属等の良好な熱伝導率を与える材料で構成される。例示的なベースプレート160の金属は、良好な熱伝導率を有するアルミニウム、銅、あるいは他の金属合金であり、代わりに、ベースプレート160は、たとえば、アモルファスシリコン(a-Si)または炭化けい素(SiC)等のクランププレート110の熱伝導率と同様な熱伝導率を有する材料から構成される。
【0051】
本発明の他の例示的な構成によれば、クランププレート110は、更に第2電気伝導層165を含み、この第2電気伝導層は、更に、互いに電気的に分離された複数の部分167を有する。この複数の部分167は、第1電気伝導層125の複数の部分130のぞれぞれと電気的に接続されている。複数の部分167は、たとえば、半導体プラットフォーム120の底部表面168とベースプレート160の頂部表面162との間に存在する。1つの実施形態では、半導体プラットフォーム120の頂部表面127上の第1電気伝導層125の形成中に、第2電気伝導層165の複数の部分167が、半導体プラットフォーム120の底部表面168上に形成される。
【0052】
本発明の別の更に例示的な構成によれば、第2電気伝導層165は、更に、電気伝導性の複数の垂直連結部170を含む。この垂直連結部170は、たとえば、第1電気伝導層125及び第2電気伝導層145を電気的に接続する。複数の電極175が、更に、第2電気伝導層165に電気接続され、複数の垂直連結部170を介して複数の電極に第1電気伝導層125を電気接続する。複数の垂直連結部170は、たとえば、半導体プラットフォーム120に関連した複数の通路180を含んでいる。複数の通路は、半導体プラットフォームの頂部表面127から底部表面168に伸びている。それゆえ、複数の通路180は、第1電気伝導層125の各部分130を第2電気伝導層165のそれぞれの部分167に電気接続する。第1電気伝導層125および第2電気伝導層165の各部分130及び167は、たとえば、1つ以上の通路180(たとえば、部分130Aは、1つ以上の通路180Aを介して部分167Aに電気接続される。)によって、それぞれ電気接続される。図12に示すように、たとえば、複数の通路180は、クランププレート110が熱的にかつ電気的にバランスされるように、半導体プラットフォーム120の回りに向けられる。
【0053】
別の実施形態に従って、図13は、別のESC100を示し、複数の垂直連結部170が半導体プラットフォーム120の側壁185に連結され、そこに複数の側壁連結部188を形成している。第1電気伝導層125の各部分130は、たとえば、各々の側壁連結部188に電気接続され、各側壁連結部は、各々の電極175に電気接続される。たとえば、各電極175の各々は、ばね付勢された側壁接点電極190を含み、これらの接点電極は、ばね力(図示略)によってそれぞれの側壁連結部188に機械的に押圧されている。さらに、側壁連結部への接点電極の物理的結合(たとえば、ろう付けまたはエポキシ結合)は、必要ではない。
【0054】
本発明の別の例示的な構成によれば、図14に示すように、ベースプレート160は、その上に形成される第1電気絶縁層192及び第3電気伝導層194を含んでいる。第1電気絶縁層192(たとえば、酸化物)がベースプレート160と第3電気伝導層194との間にある。第3電気伝導層194は、たとえば、更に、第1電気伝導層125および第2電気伝導層165のそれぞれの複数の部分130及び167に連結される複数の部分195を含む。第3電気導電層194の各部分195は、第2電気伝導層の各部分167と電気接続される。第3電気伝導層194の複数の部分195は、互いに電気的に絶縁され、ESC100の複数の極を電気的に絶縁させる。たとえば、第3電気伝導層194は、ベースプレート160(第1電気絶縁層192上に)の側壁196及び頂部表面197に沿って設けられ、複数の電極175は、ベースプレートの側壁において、第3電気伝導層に電気接続される。代わりに、第3電気伝導層194は、ベースプレート160の底部表面198上に形成することもできる。複数の電極175は、ベースプレートの底部表面(図示略)で、第3電気伝導層に電気接続することができる。
【0055】
第3電気伝導層194は、たとえば、ベースプレート160をクランププレート110に結合でき、ベースプレートは、クランププレートに熱的に結合され、そして、第2電気伝導層165に電気接続することができる。ベースプレート160をクランププレート110の底部表面117に結合する1つの例示的な方法は、ろう付け(brazing)によって達成され、クランププレートの底部表面117を金属で覆い(たとえば、第2電気導電層165によって)、そして、ベースプレートの頂部表面162に真空ろう付けされる。たとえば、第3電気伝導層194は、ベースプレート160の頂部表面162上に形成され、第2、第3電気伝導層165,194は、一緒に真空ろう付けされる。第2、第3電気伝導層165,194は、たとえば、タングステンシリサイド、タングステン、またはチタン、の1つまたは複数から構成される。しかし、いずれの電気伝導材料も、本発明の範囲内に入ると考えられる。
【0056】
本発明の別の例示的な構成によれば、再び図13を参照すると、電気絶縁性の中間プレート199が、ベースプレート160とクランププレート110の間にある。この中間プレート199は、たとえば、アルミニウム窒化物の絶縁体ウエハを含んでいる。この中間プレートは、ベースプレート160からクランププレート110を電気的に絶縁し、適切な温度コンダクタンスを与える。さらに、中間プレート199は、ベースプレート160とクランププレート110に真空ろう付けすることができる。
【0057】
図2に戻ると、ベースプレート160は、たとえば、更に、1つ以上の第1流体導管200を含み、この第1流体導管は、水等の冷却流体(図示略)をこの導管内に流すことができ、ベースプレートは、冷却流体によって冷却される。図17Qに図示されるように、ベースプレート450は、電気的伝導性を有し、さらに、複数の電極448を含む。これらの電極は、後述するように、第2電気伝導層430の複数の部分の各々に電気接続される。
【0058】
再び、図12において、本発明の別の例示的な構成によれば、複数のリフトピン210は、クランププレート110に連結されて作動する。複数のリフトピン210は、クランププレート110に近接する処理位置(図示略)とクランププレート上の載置位置(図示略)(たとえばクランププレートから約1〜2mm上方の)との間で基板105を垂直に転換するように作動できる。リフトピン210は、たとえば、水晶、炭化けい素、またはセラミック材料から構成され、処理中にリフトピンからの基板105への汚染を最小化する。
【0059】
本発明のさらに別の例示的な構成によれば、静電チャック100は、更に、温度センサ215を含み、この温度センサは、図2の基板に関連した1つ以上の温度Tを測定するために使用することができる。たとえば、図12の温度センサは、パイロメータをからなり、このパイロメータは、基板(図示略)の温度Tを測定し、クランププレート110の頂部表面117に設けた開口220を介して基板(図示略)の温度Tを測定する。温度センサ215は、たとえば、最小容積のキャビティを有するパイロメータを構成し、その開口220を介してパイロメータが基板105の温度Tを測定するが、その開口は、小さい。開口の容積を小さくすることは、有益であり、これにより背面側圧力を迅速に変更することができる。代わりに、温度センサ215は、光学式パイロメータからなり、クランププレート110に挿入される光ファイバーロッド(図示略)を用いる。この結果、光ファイバーロッドは、最小容積のキャビティを占有する。
【0060】
図15において、静電チャック100及びこれに関連するシステム230のブロック図が、本発明のいくつかの構成に従って図示されている。本発明の1つの例示的な構成によれば、静電チャック100を制御するためのシステム230は、電源240に連結されて作動可能なコントローラ235を含んでいる。このコントローラ235は、電源240を制御することによってESC100の電極131に供給される電圧Vを制御するように動作可能である。この電圧は、電圧によって誘導される静電力により基板105に与えられるクランプ力の大きさに比例する。一例として、コントローラ235は、更に、電圧Vを上昇または減少することにより、静電力及びクランプ力をそれぞれ上げ下げして、ESC100の接触HTCの値をさらに制御することができる。さらに、図3に示すように、複数の突起140と基板105との間の良好な熱接触伝導を与えながら、約1ミクロンの第1距離D1を用いて、電圧Vは、半導体プラットフォームに関連したブレークダウン電圧(たとえば、約100V〜150V未満の電圧)以下に維持することができる。
【0061】
上述したように、図15の静電チャック100に印加される電圧Vを制御することは、クランププレートを介しての熱伝導の大きさを有利に制御することである。例えば、約0.10(10%)の面積比を用いる場合、低電圧(例えば、20V未満)をESC100に印加することができ、約100トルより小さい低接触圧力を、基板105とクランププレート110との間で維持することが可能である。この低接触圧力において、基板105は、クランプ、即ち、固定され続け、最小量の熱エネルギーが、基板と静電チャック100との間に伝達される。このチャックの熱的部分は、実質的にオフされている。より大きな電圧V(例えば、100V)がESCに印加されると、基板105とクランププレート110との間の接触圧は、増加(例えば、約1〜2気圧に増加される)し、これにより、基板105とクランププレート110の間のHTCを急速に増加させる(例えば、約500mW/cm2Cの増加)。そして、基板の加熱または冷却のために、チャックの熱的部分を「オン状態」に効果的に切換える。更に、他の実施形態によれば、図3の第1距離D1を約1ミクロンにすることは有益であり、これにより、基板105とクランププレート110との間の熱抵抗が最小化され、これによって熱損失の影響を減少させる。しかし、第1距離D1に対する他の値は、本発明の範囲内に入るものと考えられることに注目すべきである。
【0062】
この例におけるコントローラ235は、ESC100に印加する電圧Vを迅速に制御することによって接触圧を制御する。これにより、ESCが迅速に切り換わる状態(例えば、加熱状態から冷却状態に)を可能にする。コントローラ235は、例えば、ESCに関連した温度センサ245からの温度データTをウエハにフィードバックさせるために使用することができる。ここで、電圧供給源240は、閉ループフィードバック装置において制御することができる。代わりに、コントローラ235は、所定の温度に達したとき、基板105とESC100との間のHTCを制限するように作動可能である。
【0063】
本発明の別の例示的な構成によれば、図15のシステム230は、更に、1つ以上のバルブ250を含み、このバルブは、基板105とESCとの間のガスの熱的コンダクタンスのための種々のモードにおける静電チャック100を通過する冷却ガス260を供給する1つ以上の真空ポンプ255を選択的に作動可能にする。1つ以上のバルブ250は、例えば、急速作動ソレノイド弁またはポペット弁等の1つ以上の自動弁(例えば、弁250A)を含んでいる。1つの例では、1つ以上の自動弁は、約20ms以下の応答時間を有する。このような急速応答時間は、静電チャック100に印加される真空が急速に供給できるので、有利である。
【0064】
本発明の別の例示的な構成によれば、コントローラ235は、1つ以上の真空ポンプ
255A−255B、ガス供給源265、電源240、及び1つ以上のバルブ255A−250Cに連結されて作動できる。本発明の例において、静電チャック100に加えられる真空を有効に制御して、冷却ガスを介した熱伝導量を制御する。たとえば、約250トル以下の低い圧力で、かつ5ミクロン以下の図3に示すギャップ距離D1で、HTCは、主にガス圧力によって指示される。それゆえ、背面側圧力を制御するバルブ250Aは、静電チャック100の状態を迅速に変化させることができる(たとえば、加熱状態から冷却状態に)。コントローラ235は、1つ以上の自動弁250を制御して、基板105と静電チャック100との間のガス圧力を制御するのに使用することができる。
【0065】
本発明は、半導体仕様の多極静電チャックを形成するための方法に向けられている。例示的な方法は、ここで一連の動作または事象として、説明かつ記載されているように、本発明は、このような動作または事象の説明される順序によって制限されるものではなく、いくつかのステップは、本発明に従って、ここで記載されかつ示されたものと異なる順序および/または他のステップを同時に実行することができる。さらに、図示されたステップでなくても、本発明に従う方法論に包含させることもできる。更に、この方法は、ここで記載しかつ説明したシステムと関連させることができるとともに、ここで説明されていない他のシステムと関連させることも可能である。
【0066】
図16を参照すると、MEMSベースの多極静電チャック用のクランププレートを形成する方法300が図示されており、ここで、クランププレートは、半導体プラットフォームから構成される。動作301から開始すると、第1電気伝導層が、半導体プラットフォーム上に形成される。ここで、第1電気伝導層は、互いに電気的に分離された複数の部分からなる。第1電気伝導層は、例えば、半導体プラットフォームの頂部表面上に形成され、そして、動作302において、第1電気絶縁層がその上に形成される。第1電気絶縁層は、例えば、複数のMEMSの突起を有する頂部表面を含み、上述したように、突起は、この頂部表面から第1距離だけ伸びている。動作303において、複数の電極が第1電気伝導層の複数の部分にそれぞれ電気接続されている。ここで、複数の電極間に印加される電圧は、複数の突起上に存在する基板とクランププレートとの間に静電力を導くように動作し、ESCに対して基板の位置を維持する。
【0067】
図17に図示されるように、図16の方法300は、更に、本発明の1つの例示的な構成に従って図示されている。この方法は、更に、図18A〜18Sを参照して説明される。
図17の動作305から始めて、例えば、酸化物が、シリコン半導体プラットフォーム等の半導体基板上に形成される。図18Aに図示するように、酸化物層402は、半導体基板410(たとえば、両面仕上げされた300mmシリコンウエハ上に成長された2ミクロンのSiO2層)の前面404、背面406、および側壁408上に形成される。図17の動作310では、伝導層(例えば、ポリフィルム)が、基板上に形成される。図18Bに図示するように、たとえば、伝導層412は、約1ミクロンのドープしたポリシリコンフィルムからなり、基板410の前面404、背面406及び側壁408上に形成される。図17の動作315において、酸化物層は、図18Cに図示するように、基板410の背面406に形成される。酸化物414は、たとえば、SiO2層の2ミクロン蒸着を含み、この酸化物414は、基板410の側壁408を部分的に覆うとともに、基板410の背面406を覆う。
【0068】
図17を参照すると、動作320は、複数の接触穴と選択的なガス穴を形成するためにレジスト層をパターン化する。図18Dは、レジスト416を示し、このレジストは、基板410の背面406上にパターン化される。また、このレジストは、接触穴418およびガス穴420を形成する。接触穴418およびガス穴420の数は、単純化して図中に示されているが、多数の接触穴およびガス穴を形成することもできる。代わりに、ガス穴を形成しないことも可能であり、この場合、ESCは、上述したように、接触伝導率の応用として用いられる。接触穴418は、たとえば、前面接触部(図18Dには示されていない)に形成して使用することができる。図17の動作325において、接触穴およびガス穴がパターン化したレジストをマスクとして用いてエッチングされ、そして、この結果が図18Eに示されている。ここで、酸化物層402,414及びポリフィルム412が、基板410にエッチングされ、更に、接触穴418およびガス穴420が形成される。レジストは、その後取り除かれ、そして、図17の動作330において、接触穴およびガス穴が、更に、たとえば、酸化物層414をハードマスクとして用いて基板にエッチングされる。このハードマスクは、基板をエッチングする過程で取り除かれる。図18Fは、動作330の結果を示し、基板410がエッチングされ、さらに、エッチング停止用としてポリフィルム412を用いて、酸化物層402,414がエッチングされる。酸化物層402,414は、たとえば、湿式エッチングまたは反応性イオンエッチング(RIE)処理を用いてエッチングすることもできる。
【0069】
図17の動作335は、基板上の伝導層の蒸着を示す。図18Gは、動作335の結果を示し、伝導層422が、基板410上に蒸着される(たとえば、化学蒸着法「CVD」でWSi2を1ミクロン)。接触穴418およびガス穴420の内部と同様に、基板の前面404、背面406、側壁408にも伝導層が蒸着される。図17の動作335において形成される伝導層422は、例えば、図2、図13、および図14に示すように、第1電気伝導層125、第2電気伝導層165、または第3電気伝導層194の1つまたは複数を含むこともできる。
【0070】
図17の動作340において、フォトレジストは、伝導層の前面エッジを取り除くために、基板の前面上にパターン化される。動作340で形成されるこのフォトレジストは、後述するように、第1電気伝導層の複数の部分を形成するために用いられる。図18Hは、基板410の前面404上に形成されるフォトレジスト424を図示する。ここで、前面エッジ426は、フォトレジストによって覆われない。選択的に、絶縁領域427が形成され、この絶縁領域は、第1電気伝導層(図示略)の複数の部分(図示略)を形成するために用いることができる。図17の動作345において、伝導層422及びポリフィルム412が、レジストをマスクとして用いてエッチングされる。図18Iは、動作345を実行した結果を示し、前面エッジ426がエッチングされ、伝導層422及びポリフィルム412が、前面エッジ426に沿って取り除かれる。本発明の1つの例示的な構成によれば、第2電気伝導層430からの第1電気伝導層428は、ポリフィルム412および伝導層422を含み、第1電気伝導層と第2電気伝導層は、動作345において、互いに電気的分離される。図18Jは、フォトレジストが取り除かれた後の第1電気伝導層428と第2電気伝導層430を図示し、更に、絶縁領域427は、第1電気伝導層の複数の部分431を電気的に絶縁する。
【0071】
図17の動作350は、基板の前面上に前面酸化物を形成する動作を図示する。図18Kは、基板410の前面404上に形成される酸化物層432を図示する。ここで、前面酸化物は、第1電気伝導層428を覆い、さらに、前面エッジ426を覆う。図16の動作302に図示されている第1電気絶縁層は、例えば、図18Kの前面酸化物432を含む。図17の動作355において、複数のMEMSベースの突起が前面酸化物層に形成される。図18L−図18Mは、複数の突起の形成を図示する。図18Lにおいて、フォトレジスト434が、前面酸化物層432上に蒸着されかつパターン化される。そして、前面酸化物層は、その後、エッチングされ、図18Mの複数の突起436が、フォトレジスト434を取り除いた後に形成される。図17に再び戻ると、動作360は、基板上への保護層の蒸着を図示している。図18Nにおいて、保護層438は、基板410上に形成され、この基板の前面404、背面406、及び側壁408は、領域418,420内で保護層によって覆われる。保護層438は、たとえば、約0.1ミクロンの窒化物(たとえば、窒化けい素Si34)からなり、この窒化物は、次に続く動作において、エッチング停止用として用いることができる。
【0072】
本発明の別の例示的な構成によれば、図17の動作365において、1つ以上のガス分配溝がマスクされ、さらに基板内でエッチングされる。しかし、ESCを介しての接触伝導率が所望のものであると、ガス分配溝を形成する必要がなく、後述するように、ESCは、同S375を実行するようにしてもよい。しかし、ガス伝導率が所望のものであるとき、動作365が実行される。図18Oは、基板410の前面404上に形成されたマスク440のパターン化を図示している。ここでは、基板上に、ガス分配溝442が形成される。ガス分配溝442は、説明的なものであり、断面図には、1つの分配溝のみしか示されていない。しかし、1つ以上のガス分配溝を形成することもできる。例えば、図9に戻ると、複数の突起の1つは、リング153からなり、周辺ガス分配溝156がリング153内に存在する。
【0073】
1つの例によれば、図18Oに戻ると、BSG等の比較的厚いハードマスク440が基板の前面404上に形成される。ここで、ハードマスクは、容易にエッチングされ、このエッチングは、更に、保護層438およびガス分配溝442内の酸化物層402に対して選択される。図18Pは、動作365を実行した結果を示し、ガス分配溝442は、基板410にエッチング(例えば、さらに、基板は僅かにエッチングされる)される。図17の動作370において、別の保護層が、ESCの動作中、新しく形成されたガス分配溝を保護するために基板上に形成される。図18Qは、動作370を実行した結果を示し、保護層444が、頂部面404、背面406、側壁406、接触穴418、ガス穴420、およびガス分配溝442を覆う。この保護層444は、例えば、0.2ミクロン厚の窒化ケイ素からなる。
【0074】
再び、図17において、動作375は、基板の背面上の保護層のエッチングを示している。図18Rは、動作375を実行した結果を示し、ここで、保護層444は、基板410の平面406から取り除かれる。このような保護層444の除去は、第2電気伝導層430への電気接続を可能にする。図17の動作380において、第2電気伝導層は、マスクされ、第2電気伝導層の複数の部分を電気的に分離するためにエッチングされ、静電チャックの電極を形成する。図18Sは、基板410の背面406上にマスク446を形成することを示している。図18Tは、第2電気伝導層430及びポリフィルム412のエッチングによる結果を図示する。ここで、複数の電極448は、互いに電気的絶縁されている。
【0075】
図17の動作385では、ベースプレートが基板の背面上に形成され、このベースプレートは、静電チャックからの熱の伝達を行うために使用できる。図18Uは、動作385の結果を示し、ベースプレート450は、基板410の背面406上に形成される。たとえば、ベースプレートは、アルミニウムからなり、ポリフィルム412を保護するためにリングマスク(図示略)を介して背面406上で脱水される。代わりに、ろう付けによって、アモルファスシリコンからなるベースプレート450を第2電気伝導層430に電気接続することもできる。このベースプレートは、更に、図14に示すように、酸化物層192およびその上に形成される第3電気伝導層194を含み、この第3電気伝導層は、更に、この層の複数の部分を電気的に分離するためにさらにエッチングされる。
【0076】
図19に示すように、図16の方法300は、本発明の別の例示的な構成に従って更に説明される。ここでは、図19の方法500が図20A〜20Iに関連して説明される。
図19の動作505が開始されると、たとえば、酸化物が、シリコンプラットフォーム等の半導体基板上に形成される。図20Aに示すように、酸化物層602は、例えば、半導体プラットフォームまたは基板610(たとえば、両面仕上げされた300mmシリコンウエハ上に成長された2ミクロンのSiO2層)の前面604、背面606、および側壁608上に形成される。図19の動作510では、基板がマスクされ、この中に、マスクされた領域のいずれかの面上にチャックの電極領域を形成する。例えば、半導体プラットフォームがテーパー形状となり、あるいは、チャックの電極を形成するためにマスクされる。動作515では、第1電気伝導層(例えば、0.1ミクロンのTiフィルム)が、基板上に形成される。例えば、図20Bに示すように、第1電気伝導層612が、基板610の前面604、背面606、および側壁608上に形成される(例えば、CVDまたはPVDによって)。ここで、マスクされた領域614は、2つ以上の電極領域616A、616Bを電気的に分離する。
【0077】
再び、図19において、動作520は、図20Cで更に図示するように、基板上に保護層を形成することを含んでいる。この保護層618は、例えば、窒化物層からなり、基板の前面604、背面606、および側壁608上に形成される(LPCVDによって形成された500Å厚さのSi34)。図19の動作525では、第1電気絶縁層が、半導体プラットフォーム上に形成され、動作525の実行結果が、図20Dに示されている。第1電気伝導層は、例えば、酸化物620の2ミクロン蒸着(例えば、1ミクロンのSiO2層を2回実行したPETEOS)からなる。この酸化物620は、さらに、基板610の前面604、背面606、および側壁608上を覆う。図19の動作530は、更に、基板上にフォトレジストのパターン化を行い、複数の突起領域が形成される。たとえば、図20Eは、フォトレジスト622が基板610の前面604および側壁608上にパターン化され、複数の突起領域624が形成される。基板610の背面606は、例えば、レジスト622のパターン化において露出したまま残る。
【0078】
図19の動作535は、第1電気絶縁層のエッチングを示し、複数の突起が形成される。動作535において、例えば、第1電気絶縁層は、基板の背面から取り除かれる。図20Fは、酸化層620をエッチング(例えば、湿式エッチング)によって形成された複数の突起626を示す。ここで、保護層618は、エッチング停止用として用いられる。基板610の背面606は、更にエッチングされ、その結果、基板の背面から酸化物620を取り除く。図19の動作540において、別の保護層が基板上に形成される。図20Gは、基板610の前面604、背面606、および側壁608上に形成される(LPCVDによって形成された500Å厚さのSi34)保護層628を示している。
【0079】
図19の動作545では、基板の前面および側壁のエッジが、露出した基板の背面を残してマスクされる。図20Hは、露出した背面を残して、基板610の前面604と側壁608を覆うマスク630を示している。保護層628,618は、図19の動作550においてエッチング(例えば、プラズマエッチング)される。そして、図20Iは、その結果を示し、保護層628,618は、基板610の背面606上の第1電気伝導層612から取り除かれる。再び図19に戻ると、ベースプレートは、動作555において基板の背面上に形成される。そして、図21は、基板610の背面606上にベースプレート632を形成する例示的な結果を示す。ベースプレート632は、第1電気伝導層612を介して2つ以上の電極領域616A、616Bに電気的に接続される。例えば、ベースプレート632は、アモルファスシリコンのベース636上に形成される導電材料634を含む。この導電材料は、上述したように同様の方法で第1電気伝導層612に真空ろう付けされ、互いに電気的に絶縁された複数の部分からなる。
【0080】
本発明を或る用途及び実施に対して図示して説明してきたが、この明細書と添付された図面とを読んで理解すると他の同業者にも同等の変更や修正ができるものと認識することができる。特に上述の構成要素(アセンブリ、装置、回路、システム等)によって実行される種々の機能に関して、そのような構成要素を説明するために使用される用語(「手段」に対する参照を含めて)は、他に表示されていなければ、たとえ開示された構成に構造的に同等でなくても本発明のここで図示された例示的実施形態においてその機能を果たすものであれば、説明された構成要素の特定された機能を実行する(即ち、機能的に同等である)いずれかの構成要素に相当するものと意図されている。
【0081】
更に、本発明の特定の特徴が幾つかの実施形態のただ一つに対して開示されてきたが、そのような特徴は、いずれかの或る又は特定の用途にとって望ましくかつ有利な他の実施形態における一つ以上の特徴と組み合わされ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】従来例の静電チャックの一部断面図である。
【図2】本発明の例示的な構成の1つである静電チャックの一部断面図である。
【図3】本発明の構成に従う複数の突起を有する例示的なクランププレートの一部断面図である。
【図4】本発明の構成に従う複数の突起を含む例示的なクランププレートの平面図である。
【図5】本発明の構成に従う例示的な突起の部分断面図である。
【図6】本発明の構成に従う面積比に対する例示的なクランププレート上の接触熱伝達係数及びストレスを説明するためのグラフである。
【図7】本発明の構成に従う例示的なクランププレートの面積比に対する接触熱伝達係数を示すグラフである。
【図8】本発明の一実施形態に従う、分子および粘性領域内のガスの例示的な接触熱伝達係数を示すグラフである。
【図9】本発明の一実施形態に従う複数のガス分配溝を構成する例示的なクランププレートの平面図である。
【図10】ガス分配溝を示す例示的なクランププレートの一部断面図である。
【図11】本発明の構成に従う溝深さと突起距離との間の例示的な関係を示す例示的なクランププレートの単純化した一部断面図である。
【図12】本発明の1つの構成に従う複数の通路を含む例示的なクランププレートの平面図である。
【図13】本発明の別の例示的な構成に従う静電チャックの一部断面図である。
【図14】本発明のさらに別の例示的な構成に従う静電チャックの一部断面図である。
【図15】本発明の構成に従う例示的な静電チャックのシステム構成のブロック図である。
【図16】本発明に従う半導体ベースの静電チャックを形成するための例示的な方法を示すフローチャート図である。
【図17】本発明の別の例示的な構成に従う半導体ベースの静電チャックを形成するための例示的な方法を示すフローチャート図である。
【図18】図18A〜18Uは、本発明に従う図17の方法によって形成される単純化した静電チャックの各一部断面図である。
【図19】本発明の別の例示的な構成に従う半導体ベースの正殿チャックを形成するための例示的な方法を示すフローチャート図である。
【図20】図20A〜20Iは、本発明に従う図19の方法によって形成される単純化した静電チャックの各一部断面図である。
【図21】本発明の1つの構成に従って形成された例示的な単純化した静電チャックの各一部断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多極静電チャック用のクランププレートを形成する方法であって、
半導体プラットフォーム上に第1電気伝導層を形成するとともに、この第1電気伝導層の複数の部分を互いに電気的に分離するように形成する段階と、
前記第1電気伝導層上に、第1距離だけ伸びる複数のMEMS突起を有する頂部表面を含む第1電気絶縁層を形成する段階と、
前記第1電気伝導層の複数の部分にそれぞれ電気接続される複数の極を形成する段階とを含み、
前記複数の極間に印加される電圧が、前記クランププレートに静電力を誘導するように作動可能であることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記第1電気伝導層を形成する段階は、前記半導体プラットフォーム上にポリシリコン層を形成するステップを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記第1電気伝導層を形成する段階は、さらに、ポリシリコン層上に金属層を形成するステップを含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項4】
第1電気伝導層は、半導体プラットフォームの頂部表面上に形成され、さらに、前記半導体プラットフォームの底部表面上に第2電気伝導層を形成するステップを含み、前記第2電気伝導層の複数の部分は、電気的に互いに絶縁されていることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記第1電気伝導層および第2電気伝導層は、同時に形成されることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項6】
前記第1電気伝導層の複数の部分を前記第2電気伝導層の複数の部分に電気接続する複数の垂直な電気接続部を形成するステップをさらに含むことを特徴とする請求項2記載の方法。
【請求項7】
前記複数の垂直な電気接続部を形成するステップは、前記半導体プラットフォームの側壁上に複数の側壁接点を形成し、該複数の側壁接点は、互いに電気的に分離されかつ前記第1電気導電層および第2電気伝導層の複数の部分のそれぞれに電気接続することを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記複数の側壁接点は、半導体プラットフォーム上に導電材料の蒸着で構成されることを特徴とする請求項7記載の方法。
【請求項9】
前記複数の側壁接点は、ポリシリコン、タングステンシリサイド、タングステン、またはチタンの1つまたはそれ以上を蒸着することを特徴とする請求項8記載の方法。
【請求項10】
前記第1電気伝導層、第2電気伝導層、および複数の側壁接点の形成は、ほぼ同時に形成されることを特徴とする請求項6記載の方法。
【請求項11】
前記第2電気伝導層を形成する段階は、タングステンシリサイド、タングステン、またはチタンの1つまたはそれ以上を蒸着することからなる請求項4記載の方法。
【請求項12】
前記第2電気伝導層上にベースプレートを形成するステップをさらに含み、前記ベースプレートは、前記半導体プラットフォームを介して基板から前記ベースプレートに熱エネルギーを伝達するように作動可能であることを特徴とする請求項4記載の方法。
【請求項13】
前記ベースプレートを形成するステップは、互いに電気的に分離した複数の部分を有する第3電気伝導層を形成することを含み、前記第3電気伝導層の複数の部分のそれぞれに第3電気伝導層の複数の部分を電気接続することを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記複数の極を形成する段階は、前記第3電気伝導層の複数の部分に複数の電極を接着することを含んでいる請求項13記載の方法。
【請求項15】
前記ベースプレートは、アモルファスシリコンプレートからなり、このプレートは、その上に酸化物層を形成し、前記第3電気伝導層が前記酸化物層上に形成されていることを特徴とする請求項13記載の方法。
【請求項16】
前記第3電気伝導層を形成する段階は、タングステンシリサイド、タングステン、またはチタンの1つまたはそれ以上を蒸着することからなる請求項13記載の方法。
【請求項17】
前記ベースプレートを形成するステップは、前記第2電気伝導層の複数の部分上に1つ以上の金属を蒸着することを含んでいる請求項12記載の方法。
【請求項18】
前記ベースプレートを形成するステップは、前記第2電気伝導層に前記ベースプレートを真空ろう付けすることを含んでいる請求項12記載の方法。
【請求項19】
前記ベースプレートを形成するステップは、前記ベースプレートおよび第2電気伝導層との間に電気伝導性エポキシを付加することを含んでいる請求項12記載の方法。
【請求項20】
前記ベースプレートを貫通する1つ以上の流体導管を形成するステップをさらに含み、冷却流体がベースプレートを介して冷却流体が流れるように作動可能であることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項21】
前記ベースプレート内に熱源を形成するステップをさらに含み、前記熱源は、クランププレートを選択的に加熱するように作動可能であることを特徴とする請求項12記載の方法。
【請求項22】
前記第1電気伝導層を形成する段階は、タングステンシリサイド、タングステン、またはチタンの1つまたはそれ以上を蒸着することからなる請求項1記載の方法。
【請求項23】
前記半導体プラットフォームは、シリコン基板からなることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項24】
前記第1電気伝導層は、二酸化けい素からなることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項25】
前記第1電気絶縁層、前記第1電気伝導層および前記半導体プラットフォームに、1つ以上のガス分配溝を形成するステップをさらに含み、ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項26】
前記1つ以上のガス分配溝を形成するステップは、前記第1電気絶縁層、前記第1電気伝導層、および半導体プラットフォームをエッチングするステップを含むことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項27】
前記半導体プラットフォーム、前記第1電気伝導層、および前記第1電気絶縁層を貫通する1つ以上のガス分配穴を形成するステップをさらに含み、前記1つ以上のガス分配穴の少なくとも1つは、前記1つ以上のガス分配溝の少なくとも1つを貫通して形成されることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記1つ以上のガス分配穴を形成するステップは、前記第1電気絶縁層、前記第1電気伝導層、および半導体プラットフォームを反応性イオンエッチングすることからなる請求項27記載の方法。
【請求項29】
前記複数のMEMS突起を形成するステップは、
半導体基板の頂部表面上に複数の谷部を形成するためのマスクを前記第1電気絶縁層上に形成し、
前記複数の谷部間内に前記第1電気絶縁層をエッチングし、
前記マスクを取り除き、前記谷部間に前記複数のMEMS突起を形成する、各ステップを含んでいることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項30】
前記第1電気絶縁層をエッチングするステップは、エッチング停止用として前記第1電気伝導層を用いることを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記第1電気絶縁層を半導体プラットフォーム上に形成した後、この半導体プラットフォーム上に保護層をさらに形成し、前記保護層をエッチング停止用として用いて前記第1電気絶縁層をエッチングすることを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項32】
前記保護層を形成するステップは、前記第1電気伝導層および半導体プラットフォーム上に窒化層を蒸着するステップを含んでいることを特徴とする請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記半導体プラットフォームの底部表面上の前記保護層を取り除くステップをさらに含むことを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項34】
前記第1電気伝導層を形成するステップは、前記半導体基板上にポリシリコンを形成するステップを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項35】
前記複数のMEMS突起は、基板がこれらの突起に接触できるように形成されて、突起接触領域を形成し、基板の表面領域に対する突起接触領域の比が、約0.02〜0.2の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項36】
前記基板の表面領域に対する前記突起接触領域の比が約0.10であることを特徴とする請求項35記載の方法。
【請求項37】
第1距離が約1ミクロンであることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項38】
クランププレートを貫通する温度センサ穴を形成し、温度センサを前記温度センサ穴内に挿入するステップをさらに含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項39】
前記半導体プラットフォームは、複数の半導体セグメントのモザイクからなることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項40】
複数の前記半導体セグメントのモザイクは、ドーパントされたシリコンから構成されることを特徴とする請求項39記載の方法。
【請求項41】
前記複数の半導体セグメント上に前記第1電気伝導層を形成するステップは、前記第1電気伝導層を前記複数の半導体セグメント上に形成し、前記第1電気伝導層の複数の部分のそれぞれが、1つ以上の前記複数の半導体セグメント上に形成されることを特徴とする請求項39記載の方法。
【請求項42】
前記複数の半導体セグメント上に形成された前記第1電気伝導層の複数の部分のそれぞれの間に、電気絶縁体を挿入するステップをさらに含むことを特徴とする請求項39記載の方法。
【請求項43】
前記電気絶縁体は、セラミックスペーサからなることを特徴とする請求項42記載の方法。
【請求項44】
前記第1電気絶縁体層が前記半導体プラットフォーム上に形成した後に、前記半導体プラットフォーム上に保護層を形成するステップを含むことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項45】
前記保護層を形成するステップは、前記第1電気伝導層および半導体プラットフォーム上に窒化層を蒸着するステップを含んでいることを特徴とする請求項25記載の方法。
【請求項46】
前記半導体プラットフォームの底部表面上の前記保護層を取り除くステップをさらに含むことを特徴とする請求項44記載の方法。
【請求項47】
前記第1電気伝導層を形成するステップは、電気伝導材料の化学蒸着からなることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項48】
前記第1電気伝導層を形成するステップは、タングステンシリサイドの化学蒸着からなることを特徴とする請求項47記載の方法。
【請求項49】
前記半導体プラットフォームは、このプラットフォーム上に形成された酸化物を有するシリコン基板からなることを特徴とする請求項1記載の方法。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図18C】
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【図18D】
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【図18E】
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【図18F】
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【図18G】
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【図18H】
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【図18I】
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【図18J】
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【図18K】
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【図18L】
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【図18M】
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【図18N】
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【図18O】
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【図18P】
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【図18Q】
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【図18R】
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【図18S】
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【図18T】
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【図18U】
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【図19】
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【図20A】
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【図20B】
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【図20C】
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【図20D】
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【図20E】
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【図20F】
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【図20G】
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【図20H】
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【図20I】
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【図21】
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【公表番号】特表2007−510310(P2007−510310A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538273(P2006−538273)
【出願日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【国際出願番号】PCT/US2004/035891
【国際公開番号】WO2005/045921
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(500266634)アクセリス テクノロジーズ インコーポレーテッド (101)
【Fターム(参考)】