説明

MGLUR5アンタゴニスト活性を有するアセチレン誘導体

【課題】グルタミン酸作動性シグナル伝達の異常に関連する障害、およびmGluR5により全体的にまたは部分的に介在される神経系障害に使用するための化合物を提供することが本発明の課題である。
【解決手段】本発明は、式(I)


〔式中、
m、n、A、R、R'、R''、R、XおよびYは明細書中で定義したとおりである。〕
で示される化合物、およびそれらの製造を提供することにより課題を解決する。式(I)の化合物は、たとえば神経系障害の処置における医薬として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規アセチレン誘導体、それらの製造、医薬としてのそれらの使用およびそれらを含む医薬組成物に関する。
【発明の開示】
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、遊離塩基または酸付加塩の形態の式I
【化1】

〔式中、
mは、0または1であり、
nは、0または1であり、そして
Aは、ヒドロキシであり、
Xは、水素であり、そして
Yは、水素であるか、または
Aは、XまたはYと一重結合を形成し;
は、水素、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−COOR[式中、Rは(C1−4)アルキルである。]または−COR[式中、Rは水素もしくは(C1−4)アルキルである。]であり、そして
Rは、−COR、−COOR、−CONRまたは−SOであり、ここで、Rは、(C1−4)アルキル、(C3−7)シクロアルキルまたは所望により置換されていてもよいフェニル、2−ピリジルまたは2−チエニルであり、RおよびRは、独立して、水素または(C1−4)アルキルであり、そしてRは、(C1−4)アルキル、(C3−7)シクロアルキルまたは所望により置換されていてもよいフェニルであり、
R'は、水素または(C1−4)アルキルであり、そして
R''は、水素または(C1−4)アルキルであるか、あるいは
R'およびR''は、一体となって−CH−(CH−を形成し、
ここで、pは、0、1または2であり、この場合においてnおよびpの一方は0ではなく、
ただし、mが1であり、nが0であり、Aはヒドロキシであり、XおよびYはともに水素であり、RはCOOEtであり、そしてR'およびR''は一体となって−(CH−を形成する場合、Rは水素、トリフルオロメチルおよびメトキシでないものとする。〕
で示される化合物を提供する。
【0003】
式Iの化合物およびそれらの塩に存在する不斉炭素原子のため、該化合物は、光学活性の形態または光学異性体の混合物の形態、たとえばラセミ混合物の形態で存在し得る。すべての光学異性体およびラセミ混合物を含むそれらの混合物は、本発明の一部である。
【0004】
さらなる態様において、本発明は、式Iの化合物またはそれらの塩の製造方法であって、
a)Aがヒドロキシである式Iの化合物の製造のために、式II
【化2】

〔式中、m、n、R、R'およびR''は上で定義したとおりである。〕
で示される化合物を、式III
【化3】

〔式中、Rは上で定義したとおりである。〕
で示される化合物と反応させる工程、あるいは
b)AがXまたはYとともに一重結合を形成する式Iの化合物の製造のために、Aがヒドロキシである式Iの化合物を脱水する工程、
ならびに、得られる式Iの化合物を遊離塩基または酸付加塩の形態で回収する工程
を含んでなる方法を提供する。
【0005】
工程a)の反応は、常套の方法にしたがって、たとえば実施例1(ステップe)、2(ステップd)、5(ステップb)および8において記載されているように行われ得る。
【0006】
工程b)の脱水反応は、AがXと一重結合を形成する式Iの化合物およびAがYと一重結合を形成する式Iの化合物の混合物をもたらし、続いて、これらは、常套の方法にしたがって、たとえば実施例6、9および10において記載されているように分離される。
【0007】
このようにして得られた式Iの化合物は、常套の方法にしたがって、たとえば実施例1(ステップfおよびg)、4および7において記載されているように、別の式Iの化合物に変換され得る。
【0008】
上記の方法にしたがう反応混合物の後処理、およびかくして得られた化合物の精製は、既知の手順にしたがって行われ得る。
【0009】
酸付加塩は遊離塩基から既知の方法で製造され得、そしてその逆もあり得る。
【0010】
光学的に純粋な式Iの化合物は、対応するラセミ体から周知の手順にしたがって得られ得る。かわって、光学的に純粋な出発物質が使用され得る。
【0011】
式IIおよびIIIの出発物質は、既知であるか、または常套の手順を用いて既知化合物から得られ得る。
【0012】
上記の方法にしたがって得られる式Iの化合物は、慣用的方法で他の式Iの化合物に変換され得る。
【0013】
得られた酸付加塩は、自体公知の方法で他の酸付加塩または遊離塩基に変換され得る。
【0014】
式Iの化合物(それらの酸付加塩を含む)は、また、水和物の形態で得られ得るか、または結晶化に使用された溶媒を含み得る。
【0015】
式Iの化合物およびそれらの医薬上許容される酸付加塩(以後、本発明の剤と称する)は、価値の高い薬理学的特性を示し、したがって医薬として有用である。
【0016】
特に、本発明の剤は、ヒト代謝調節型グルタミン酸レセプター(mGluR)で顕著かつ選択的な調節性、とりわけアンタゴニスト様作用を示す。これは、たとえば、L. P. Daggett et al., Neuropharm. Vol. 34, pages 871-886 (1995), P. J. Flor et al., J. Neurochem. Vol. 67, pages 58-63 (1996) にしたがって細胞内Ca2+濃度のアゴニスト誘導性上昇の阻害の測定のようにさまざまな方法を用いて、またはT. Knoepfel et al., Eur. J. Pharmacol. Vol. 288, pages 389-392 (1994), L. P. Daggett et al., Neuropharm. Vol. 67, pages 58-63 (1996) およびそれらの中で引用された文献に記載されているようにイノシトールリン酸代謝回転のアゴニスト誘導性上昇がどの程度まで阻害されるかの測定により、組換えヒト代謝調節型グルタミン酸レセプター、とりわけたとえばmGluR5のようなそのPLC共役型サブタイプにて、インビトロで測定され得る。ヒトmGluRサブタイプの単離および発現は、米国特許第5,521,297号において記載されている。選択された本発明の剤は、hmGluR5aを発現している組換え細胞において測定されるキスカレート誘導(quisqualate-induced)イノシトールリン酸代謝回転の阻害に関して約1nM〜約50μMのIC50値を示す。
【0017】
したがって、本発明の剤は、グルタミン酸作動性シグナル伝達の異常に関連する障害、およびmGluR5により全体的にまたは部分的に介在される神経系障害の処置に有用である。
【0018】
グルタミン酸作動性シグナル伝達の異常に関連する障害とは、たとえば癲癇、脳虚血、とりわけ急性虚血、目の虚血性疾患、筋スパスム、たとえば局所または全身の痙縮および、特に痙攣または疼痛である。
【0019】
mGluR5により全体的にまたは部分的に介在される神経系障害は、たとえば神経系の急性、傷害性および慢性変性プロセス、たとえばパーキンソン病、老人性痴呆、アルツハイマー病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症および多発性硬化症、精神病、たとえば統合失調症および不安、うつ病、疼痛、そう痒および薬物乱用、たとえばアルコールおよびニコチン乱用およびコカイン使用障害である。
【0020】
上記の障害の処置における本発明の剤の有用性は、以下に示すものを含む標準的試験の範囲内で確認され得る:
【0021】
不安における本発明の活性は、マウスにおけるストレス誘導性高熱のような標準的モデルにおいて実証され得る[cf. A. Lecci et al., Psychopharmacol. 101, 255-261]。約0.1〜約30mg/kg(経口)の用量で、本発明の剤はストレス誘導性発熱を反転(reverse)させる。
【0022】
約4〜約50mg/kg(経口)の用量で、本発明の剤は、フロイント完全アジュバント(FCA)誘導性痛覚過敏の反転を示す[cf. J. Donnerer et al., Neuroscience 49, 693-698 (1992) および C.J. Woolf, Neuroscience 62, 327-331 (1994)]。
【0023】
上記のすべての適応症に関して、適当な用量は、もちろん、たとえば、使用される化合物、宿主、投与様式ならびに処置される病状の性質および重症度に依存して変動する。しかしながら、一般に、動物において満足な結果が約0.5〜約100mg/kg(動物の体重)の1日用量で得られることが示される。比較的大型の動物、たとえばヒトにおいて、指示される1日用量は、1日に4回までの分割用量または徐放形態で簡便に投与される約5〜1500mg、好ましくは約10〜約1000mgの化合物の範囲である。
【0024】
前記にしたがって、本発明は、また、たとえばグルタミン酸作動性シグナル伝達の異常に関連する障害、およびmGluR5により全体的にまたは部分的に介在される神経系障害の処置おいて、医薬として使用するための本発明の剤を提供する。
【0025】
本発明は、また、グルタミン酸作動性シグナル伝達の異常に関連する障害、およびmGluR5により全体的にまたは部分的に介在される神経系障害の処置における、本発明の剤の使用を提供する。
【0026】
さらに、本発明は、グルタミン酸作動性シグナル伝達の異常に関連する障害、およびmGluR5により全体的にまたは部分的に介在される神経系障害の処置のために設計された医薬組成物の製造のための本発明の剤の使用を提供する。
【0027】
さらなる態様において、本発明は、mGluR5により全体的にまたは部分的に介在される障害の処置方法であって、かかる処置を必要とする温血生物に治療上有効量の本発明の剤を投与することを含んでなる方法に関する。
【0028】
さらに、本発明は、少なくとも1つの医薬担体または希釈剤とともに本発明の剤を含んでなる医薬組成物に関する。
【0029】
本発明の医薬組成物は、単独またはかなりの量の医薬上許容される担体とともに薬理学的活性成分の有効量を含んでなる、温血動物(ヒトおよび動物)への経腸、たとえば経鼻、経直腸もしくは経口、または非経腸、たとえば筋肉内もしくは静脈内投与のための組成物である。活性成分の用量は、温血動物の種、体重、年齢、および個々の状態、個々の薬物動態データ、処置されるべき疾患および投与様式に依存する。
【0030】
医薬組成物は、約1%〜約95%、好ましくは約20%〜約90%の活性成分を含んでなる。本発明の医薬組成物は、たとえば、単位投与形態、アンプル、バイアル、坐剤、糖衣錠、錠剤またはカプセル剤の形態であり得る。
【0031】
本発明の剤は、たとえばクリーム剤、ゲル剤などの形態で局所的に、またはたとえばドライパウダーの形態で吸入により投与され得る。
【0032】
本発明の剤を含んでなる組成物の例には、たとえば本発明の剤の固体分散体、水性溶液、たとえば可溶化剤を含有するもの、マイクロエマルションおよび懸濁液が含まれる。組成物は、適当なバッファーにより、たとえば3.5〜9.5の範囲のpHに緩衝化され得る。
【0033】
本発明の医薬組成物は、自体公知の方法で、たとえば常套の溶解、凍結乾燥、混合、造粒または糖衣化プロセスにより製造される。
【0034】
本発明の剤は、単独で、または上記の病状の処置において有効な他の薬剤と組み合わせて投与され得る。
【0035】
疼痛の適用のために、本発明の剤は、鎮痛剤(オピエート)と、またはロフェコキシブ(Rofecoxib)(Vioxx(登録商標))、セレコキシブ(Celecoxib)(Celebrex(登録商標))またはルミラコキシブ(Lumiracoxib)(Prexige(登録商標))のような非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)と組み合わせて使用され得る。
【0036】
ニコチン使用障害(nicotine use disorder)の適用のために、本発明の剤はブプロピオン(bupropione)(Zyban(登録商標))と組み合わせて使用され得る。
【0037】
好適な本発明の剤としては、遊離塩基または医薬上許容される塩の形態の(−)−(3aR,4S,7aR)−4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 メチルエステルが挙げられる。
【0038】
当該化合物は、30nMのIC50濃度でhmGlu5発現細胞においてキスカレート誘導性イノシトールリン酸代謝回転を阻害する。同じ化合物を用いると、0.92±0.09℃のストレス誘導性高熱が、0.1mg/kgで0.56±0.06℃に、1mg/kgで0.42±0.06℃に、そして10mg/kgで0.18±0.05℃に減少した(それぞれの場合においてp<0.001)。
【0039】
下記の非限定的実施例は本発明を説明する。
【実施例】
【0040】
実施例1:(−)−(3aR,4S,7aR)−4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 メチルエステル
【0041】
a) 1Lのテトラヒドロフラン中の1,5,6,7−テトラヒドロ−インドール−4−オン(38.4g、28.1mmol)、ジ−tert−ブチルジカーボネート(66g;302mmol)およびカリウム tert−ブチレート(6g;62.5mmol)を2時間加熱還流する。室温にて冷却後、反応混合物をブライン(1L)に注ぎ、そしてtert−ブチルメチルエーテル(4×500ml)で抽出する。合わせた有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、そして真空中で蒸発させる。51gの黄色がかったオイルを単離し、そしてシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製する(600g;溶離液 ヘキサン/酢酸エチル 8:2 v/v)。白色の結晶として30.5g(92%)の1,5,6,7−テトラヒドロ−インドール−4−オン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステルを単離する(融点84〜86℃)。
【0042】
b) 1Lのメタノール中の1,5,6,7−テトラヒドロ−インドール−4−オン−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(60g;255mmol)および15gの活性炭担持5%Pt(5gずつ3回に分けて添加される;24時間、48、72時間)を、92時間の撹拌下で室温にて水素化する(1bar)。混合物を濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させる。残渣の褐色がかったオイルをシリカゲルのクロマトグラフィーにより精製すると、黄色がかったオイルとして(3aRS,4SR,7aRS)−4−ヒドロキシ−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 tert−ブチルエステルを得る(41.3g;収率=67%)。
【0043】
c) −60℃に冷却したTHF(320ml)中の塩化オキサリル(1.54ml;17.6mmol)の溶液に、THF(32ml)中のDMSO(2.28ml;32mmol)の溶液を撹拌しながら滴下する。5分後、THF(64ml)中の(3aRS,4SR,7aRS)−4−ヒドロキシ−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(3.96g;16.4mmol)の溶液を添加し、そして反応混合物を−60℃にて100分間撹拌する。トリエチルアミン(11.2ml;80mmol)を添加し、そして冷却槽をはずし、そして反応混合物をさらに60分間撹拌する。反応混合物を酢酸エチル(1L)で希釈し、そして飽和NaHCO(150ml)で洗浄する。水相を酢酸エチル(300ml)で抽出する。合わせた有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、そして真空中で蒸発させる。残渣をシリカゲル(150g)のカラムクロマトグラフィーにより精製し、そして所望の化合物を含有するフラクションを回収し、そして真空中で蒸発させると、(3aRS,7aRS)−4−オキソ−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(2.51g;収率=65%)を得る。
【0044】
d1) 4gの(3aRS,7aRS)−4−オキソ−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 tert−ブチルエステルを、200mlのヘキサン−エタノール 80:20(v/v)に溶かす。この溶液を、5cm×50cmのChiralpak ADカラム(Daicel Chemical Industries)にポンプを介して注入する。このクロマトグラフィーは室温にて100ml/分の流速で行われ、そしてUV検出は210nmで行われる。移動相は、ヘキサン−エタノール 80:20(v/v)の混合液からなる。アプライされたクロマトグラフィーの条件下で、(+)−エナンチオマーが11〜18分の間に回収された最初のフラクションから単離され、そして(−)−エナンチオマーは、第二のフラクションから、20〜40分の間に回収される。総計27gのラセミ体の6回のインジェクション後、対応するエナンチオマーを含有するフラクションを合わせると、12.55gの(+)−エナンチオマーおよび12.23gの(−)−エナンチオマーを得、それぞれ、99%および99.9%のエナンチオ純度(enantiomeric purity)である。エナンチオ純度は、分析用Chiralpak ADカラム(0.4×25cm);移動相、ヘキサン−エタノール 90:10(v/v)で測定される。(−)−(3aR,7aR)−4−オキソ−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル([α]=−111.6);− (+)−(3aS,7aS)−4−オキソ−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル([α]=+105.2)。
【0045】
d2a) 代わって、(−)−(3aR,7aR)−4−オキソ−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 tert−ブチルエステルが下記の手順を介して得られ得る:
50mlのTBMEおよび30g(34.8mmol)のビニル酢酸中の11.76g(47.16mmol)の(3aRS,4SR,7aRS)−4−ヒドロキシ−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 tert−ブチルエステルに、0.5gのCandida antarctica(Novozyme 435)由来の固定化リパーゼを添加し、そして混合物を室温にて24時間撹拌する。混合物の濾過後に、溶媒を除去し、そして得られる油性残渣をフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。当該アセテート (3aS,4R,7aS)−4−アセトキシ−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 tert−ブチルエステルは、99%を超える光学純度、47%の収率で単離される(GC、[α]20=+54.6° c=1、MeOH)。回収されたアルコール (3aR,4S,7aR)−4−ヒドロキシ−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 tert−ブチルエステルは、51%収率かつ>95%eeで単離される(GC、[α]20=−41.3° c=1、MeOH)。MPLCでのさらなる精製により、99.5%純度かつ99.5%eeで該アルコールが得られる。
【0046】
d2b) 当該アルコール (3aR,4S,7aR)−4−ヒドロキシ−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 tert−ブチルエステルを、実施例1c)に記載したようにケトンに酸化すると、(−)−(3aR,7aR)−4−オキソ−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 tert−ブチルエステルを得る。
【0047】
e) −20℃に冷却したTHF(168ml)中の1−エチニル−3−メチル−ベンゼン(3.248g;28mmol)の溶液に、ブチルリチウム(17.5ml;28mmol;ヘキサン中1.6M)の溶液を添加する。反応混合物を−20℃にて2時間撹拌し、次いで、THF(70ml)中の(−)−4−オキソ−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(3.346g;14mmol)の溶液を添加し、そして反応混合物を、さらに0〜5℃に撹拌する。2時間後、反応混合物を酢酸エチル(900ml)で希釈し、そして飽和NaHCO(2×90ml)で洗浄する。水相を酢酸エチル(400ml)で抽出する。合わせた有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、そして真空中で乾燥する。残渣をシリカゲル(300g)のカラムクロマトグラフィーにより精製し、そして所望の化合物を含有するフラクションを集め、そして真空中で蒸発させると、(−)−(3aR,4S,7aR)−4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(4.27g;収率=85%)を得る。1H-NMR (400 MHz; DMSO-D6):δ 7.3-7.1 (m, 4H), 5.5 (d, J=5 Hz, 1H), 3.85-3.65 (m, 1H), 3.35-3.25 (m, 1H), 3.25-3.1 (m, 1H), 2.6-2-45 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 1.9-1.4 (m, 7H), 1.36 (s, 9H), 1.13-0.98 (m, 1H)。
【0048】
f) (−)−(3aR,4S,7aR)−4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 tert−ブチルエステル(4.27g;12mmol)を、酢酸エチル(240ml)中の1M HClの溶液に溶かし、そして室温にて6時間撹拌する。加水分解の終了(TLC)後、溶媒を真空中で蒸発させると、(−)−(3aR,4S,7aR)−4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−インドール 塩酸塩(3.39g;収率=93%)を得る。融点=181〜183℃。
【0049】
g) (−)−(3aR,4S,7aR)−4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−インドール 塩酸塩(3.38g;11.6mmol)をCHCl(174ml)中に懸濁させ、トリエチルアミン(3.6ml;25.52mmol)を添加し、そして混合物を5℃に冷却する。クロロ蟻酸メチル(1.2ml;15.08mmol)を滴下する。添加の終了後、冷却槽をはずし、そして溶液を2時間撹拌する。反応混合物をCHCl(250ml)で希釈し、そしてブライン(1×50ml)で洗浄する。水相をCHCl(50ml)で抽出し、合わせた有機相をNaSOで乾燥し、濾過し、そして溶媒を真空中で蒸発させる。残渣を、シリカゲル(240g)、溶離液 トルエン/アセトン 9:1 v/vのカラムクロマトグラフィーにかける。所望の化合物を含有するフラクションを集め、そして真空中で蒸発させると、3.39gの(−)−(3aR,4S,7aR)−4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 メチルエステルを得る(収率=90%)。融点=110〜112℃。[α]=−20.6(c=1、メタノール)。
【0050】
同じ手順にしたがって、下記の化合物が得られる:
【0051】
実施例1a:(−)−(3aR,4S,7aR)−4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 エチルエステル
融点=118〜121℃。
【0052】
実施例1b:(−)−(3aR,4S,7aR)−フラン−2−イル−(4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−インドール−1−イル)−メタノン
融点=195.5〜196.5℃。
【0053】
実施例1c:(±)−(3aRS,4SR,7aRS)−4−(3−クロロフェニルエチニル)−4−ヒドロキシ−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 エチルエステル
1H NMR (400MHz; CDCl3): 1.27 (t, 3H), 1.60-1.80 (m, 4H), 1.88-2.11 (m, 5H), 2.27 (m, 1H), 3.38(m, 1H), 3.54 (m, 1H), 4.10 (m, 2H), 7.22-7.31 (m, 3H), 7.40 (m, 1H)。
【0054】
実施例1d:(±)−(3aRS,4SR,7aRS)−4−(3−フルオロ−フェニルエチニル)−4−ヒドロキシ−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 エチルエステル
HPLC−MS:354(M+Na)。
【0055】
実施例1e:(3aRS,4SR,7aRS)−4−ヒドロキシ−4−フェニルエチニル−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸(S)(テトラヒドロフラン−3−イル)エステル
ES−MS(+):356(M+1)。
【0056】
実施例1f:(3aRS,4SR,7aRS)−4−ヒドロキシ−4−フェニルエチニル−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸(R)(テトラヒドロフラン−3−イル)エステル
ES−MS(+):356(M+1)。
【0057】
実施例1g:(3aRS,4SR,7aRS)−4−ヒドロキシ−4−(3−クロロフェニルエチニル)−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸−(S)(テトラヒドロフラン−3イル)エステル
1H NMR (400MHz; CHCl3): 7.39 (s, 1H), 7.25 (m, 3H), 5.27 (m, 1H), 4.10-3.85 (m, 5H), 3.55 (m, 1H), 3.4 (m, 1H), 2.7 (m, 1H), 2.3 (s, 1H), 2.2-1.9 (m, 6H), 1.8-1.6 (m, 3H), 1.07 (m, 1H)。
【0058】
実施例1h:(±)−(3aRS,4SR,7aRS)−4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 エチルエステル
ES−MS(+):328.2 [M+1]、融点=123〜124℃。
【0059】
実施例1i:(±)−(3aRS,4SR,7aRS)−4−(4−フルオロ−フェニルエチニル)−4−ヒドロキシ−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 エチルエステル
ES−MS(+):332.2、融点=115〜116℃。
【0060】
実施例1j:(±)−(3aRS,4SR,7aRS)−4−(3−クロロフェニルエチニル)−4−ヒドロキシ−1−メタンスルホニル−オクタヒドロ−インドール
NMR (CDCl3): 7.41 (s, 1H), 7.30 (m, 3H), 3.93 (m, 1H), 3.57 (m, 1H), 3.35 (m, 1H), 2.85 (s, 3H), 2.69 (m, 1H), 2.35 (bs, 1H), 2.14 (m, 1H), 2.0 (m, 1H), 1.90 (m, 1H), 1.82-1.65 (m, 4H), 1.35 (m, 1H)。HPLC:1ピーク、99%。
【0061】
実施例2:(±)−(3aRS,7aRS)−4−フェニルエチニル−2,3,3a,6,7,7a−ヘキサヒドロ−インドール−1−カルボン酸 エチルエステルおよび(±)−(RS)−4−フェニルエチニル−2,3,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−インドール−1−カルボン酸 エチルエステル
【0062】
4−ヒドロキシ−4−フェニルエチニル−オクタヒドロ−インドール−1−カルボン酸 エチルエステル(1.0g、3.19mmol)、トリエチルアミン(2.2ml、16mmol)およびオキシ塩化リン(0.877ml、10mmol)の溶液を、40℃で4時間加熱する。暗色の混合物を0℃に冷却し、そして1M水酸化ナトリウム(5ml)で処理し、次いで10%クエン酸水溶液で酸性化する。混合物をジクロロメタンで抽出し、有機抽出液をブラインで洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空中で蒸発させる。残渣を、ヘキサンおよびジエチルエーテル(4:1 v/v)でシリカゲルクロマトグラフィーにかける。最初の生成物を含有するフラクションは、黄色がかったオイルとして(±)−(RS)−4−フェニルエチニル−2,3,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−インドール−1−カルボン酸 エチルエステル(10mg、1%)を与えた。1H-NMR (400 MHz; CDCl3): 7.44 (m, 2H), 7.32 (m, 3H), 4.24-3.97 (m, 3H), 3.8 (m, 1H), 3.25 (m, 1H), 2.93 (m, 1H), 2.56 (m, 1H), 2.28 (m, 2H), 1.90 (m, 1H), 1.60 (m, 2H), 1.28 (t, J=7 Hz, 3H), 1.14 (m, 1H)。ES−MS(+):296.1。2つの生成物の混合物(475mg、50%)の回収後、第三の生成物を含有するフラクションは、黄色がかったオイルとして(±)−(3RS,7aRS)−4−フェニルエチニル−2,3,3a,6,7,7a−ヘキサヒドロ−インドール−1−カルボン酸 エチルエステル(64mg、7%)を与えた。1H-NMR (400 MHz; CDCl3): 7.43 (m, 2H), 7.31 (m, 3H), 6.27 (m, 1H), 4.15 (m, 2H), 4.01-3.83 (m, 1H), 3.46 (m, 2H), 2.82 (m, 1H), 2.37-1.82 (m, 5H), 1.57 (m, 1H), 1.27 (t, J=7 Hz, 3H)。ES−MS(+):296.2。
【0063】
同じ合成手順にしたがって、下記の実施例が行われ得る:
【0064】
実施例2a:(±)−(3RS,7aRS)−2,2,2−トリフルオロ−1−(4−フェニルエチニル−2,3,3a,6,7,7a−ヘキサヒドロ−インドール−1−イル)−エタノン
ES−MS(+):320.3(M+1)、R=0.62(TLC シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル 2:1)。
【0065】
実施例2b:(±)−(RS)−4−m−トリルエチニル−2,3,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−インドール−1−カルボン酸 エチルエステル
ES−MS(+):310.2(M+1)、R=0.55(TLC シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル 2:1)。
【0066】
実施例2c:(±)−(3RS,7aRS)−4−m−トリルエチニル−2,3,3a,6,7,7a−ヘキサヒドロ−インドール−1−カルボン酸 エチルエステル
ES−MS(+):310.2(M+1)、R=0.59(TLC シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル 2:1)。
【0067】
実施例2d:(±)−(3RS,7aRS)−4−(4−クロロ−フェニルエチニル)−2,3,3a,6,7,7a−ヘキサヒドロ−インドール−1−カルボン酸 エチルエステル
ES−MS(+):330.2(M+1)、R=0.56(TLC シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル 2:1)。
【0068】
実施例2e:(±)−(3RS,7aRS)−4−(2−フルオロ−フェニルエチニル)−2,3,3a,6,7,7a−ヘキサヒドロ−インドール−1−カルボン酸 エチルエステル
ES−MS(+):314.2(M+1)、R=0.42(TLC シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル 2:1)。
【0069】
実施例2f:(±)−(3RS,7aRS)−4−(3−フルオロ−フェニルエチニル)−2,3,3a,6,7,7a−ヘキサヒドロ−インドール−1−カルボン酸 エチルエステル
ES−MS(+):314.2(M+1)。
【0070】
実施例2g:(±)−(RS)−4−(3−フルオロ−フェニルエチニル)−2,3,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−インドール−1−カルボン酸 エチルエステル
ES−MS(+):336.2(M+Na)。
【0071】
実施例2h:(±)−(3RS,7aRS)−4−(3−メトキシ−フェニルエチニル)−2,3,3a,6,7,7a−ヘキサヒドロ−インドール−1−カルボン酸 エチルエステル
ES−MS(+):348.2(M+Na)。
【0072】
実施例2i:(±)−(RS)−4−(3−メトキシ−フェニルエチニル)−2,3,5,6,7,7a−ヘキサヒドロ−インドール−1−カルボン酸 エチルエステル
ES−MS(+):348.2(M+Na)。
【0073】
実施例3:(±)−(3aRS,4RS,7aSR)−4−ヒドロキシ−4−フェニルエチニル−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 エチルエステル
【0074】
a) 3.5Lのテトラヒドロフラン中の716gの酢酸 (±)−(3aRS,4RS,7aRS)−2−ベンジル−1,3−ジオキソ−2,3,3a,4,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−4−イルエステル[CAN 153255−27−7、J.Chem.Soc. Perkin Trans I (1993), 1925-1929参照]の溶液を、3.5Lのテトラヒドロフラン中の300gの水素化アルミニウムリチウムに50℃にて滴下する。その後、混合物を1時間加熱還流し、次いで0℃まで冷却する。300mlの水、続いて300mlの15%水酸化ナトリウム水溶液および再び600mlの水を、最大15℃にて添加する。濾過後、約550gのやや褐色がかった、(±)−(3aRS,4SR,7aSR)−2−ベンジル−2,3,3a,4,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−4−オールからなる結晶性オイルを得る。融点 69〜71℃。
【0075】
b) 1020gの(±)−(3aRS,4SR,7aSR)−2−ベンジル−2,3,3a,4,7,7a−ヘキサヒドロ−1H−イソインドール−4−オールおよび560gのシュウ酸二水和物を18Lの水に溶かし、次いで、200gの活性炭担持10%パラジウムを用いて100℃、100atmにて16時間水素化する。触媒の濾過後、溶液を6Lの容積まで濃縮し、そして4.5Lのジクロロメタンを添加する。810gの水酸化カリウムペレットを少しずつ添加し、次いで、クロロ蟻酸エチルを、30℃を超えない温度にて滴下する。反応混合物をジクロロメタンで抽出し、蒸発させると、やや褐色がかったオイルとして827gの(±)−(3aRS,4SR,7aSR)−4−ヒドロキシ−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 エチルエステルを得る;GCによる純度:98.5%。
【0076】
c) 300mlのテトラヒドロフラン中の6.6gの塩化オキサリルに、−60℃にて、7.4gのジメチルスルホキシドを添加し、次いで15分間撹拌する。50mlのテトラヒドロフラン中の10gの(±)−(3aRS,4SR,7aSR)−4−ヒドロキシ−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 エチルエステル、続いて23gのトリエチルアミンを−60℃にて添加し、そして室温まで昇温させる。懸濁液を濾過し、400mlの酢酸エチルを濾液に添加し、そして混合物を400mlの水で3回洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させると、粗製褐色オイルとして9.9gの(±)−(3aRS,7aSR)−4−オキソ−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 エチルエステルを得る。ES−MS(−):210(M−1)、RP−HPLC:単一ピーク。
【0077】
d) 10mlのテトラヒドロフラン中の2.1gの(±)−(3aRS,7aSR)−4−オキソ−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 エチルエステルを、−10℃にて、20mlのテトラヒドロフラン中の1Mリチウムフェニルアセチリドに10分以内に添加する。室温にて16時間後、100mlの飽和塩化アンモニウム水溶液を添加し、混合物を酢酸エチルで抽出し、溶媒を硫酸ナトリウムで乾燥し、そして蒸発させる。生成物を、ヘキサン/酢酸エチル(2:1)にてシリカゲルのフラッシュカラムクロマトグラフィーにかける。2.2gの(±)−(3aRS,4RS,7aSR)−4−ヒドロキシ−4−フェニルエチニル−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 エチルエステルを、褐色のオイルとして得る。ES−MS(+):314(M+1)、RP−HPLC:単一のピーク。
【0078】
同じ手順にしたがって、下記の化合物が得られる:
【0079】
実施例3a:(±)−(3aRS,4RS,7aSR)−4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 エチルエステル
ES−MS(+):328(M+1)、RP−HPLC:単一のピーク。
【0080】
実施例3b:(±)−(3aRS,4RS,7aSR)−4−ヒドロキシ−4−p−トリルエチニル−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 エチルエステル
HPLC−MS:単一のピーク、350(M+Na)。
【0081】
実施例3c:(±)−(3aRS,4RS,7aSR)−4−(3−シアノ−フェニルエチニル)−4−ヒドロキシ−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 エチルエステル
HPLC−MS:単一のピーク、361(M+Na)。
【0082】
実施例3d:(±)−(3aRS,4RS,7aSR)−4−ヒドロキシ−4−(3−メトキシ−フェニルエチニル)−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 エチルエステル
ES−MS(+):344(M+1)、HPLC:単一のピーク。
【0083】
実施例3e:(±)−(3aRS,4RS,7aSR)−4−(3−フルオロ−フェニルエチニル)−4−ヒドロキシ−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 エチルエステル
ES−MS(+):332(M+1)、HPLC:単一のピーク。
【0084】
実施例4:(±)−(3aRS,4RS,7aSR)−4−ヒドロキシ−4−フェニルエチニル−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 tert−ブチル エステル
【0085】
a) 粗製(±)−(3aRS,7aSR)−4−オキソ−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 tert−ブチルエステルを、精製することなく4ステップの手順で製造する:(3aSR,7aRS)−4−オキソ−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 エチルエステルから出発する:1)トルエン/p−TsOH中のエチレングリコールでのケタール形成。2)100℃にて密閉チューブにおけるMeOH中KOHを用いるエチルカルバメートの除去。3)室温にてアセトン中4N水性塩酸を用いるケタールの除去。4)ジクロロメタン中でBOC無水物、KCOを用いるtert−ブチル カルバメートの形成。
【0086】
b) 実施例3d)に記載した(±)−(3aRS,4RS,7aSR)−4−ヒドロキシ−4−フェニルエチニル−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 tert−ブチルエステルへの反応。ES−MS(+):342(M+1)、RP−HPLC:単一のピーク。
【0087】
同じ手順にしたがって、下記の化合物が得られる:
【0088】
実施例4a:(±)−(3aRS,4RS,7aSR)−4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 tert−ブチルエステル
ES−MS(+):356(M+1)、RP−HPLC:単一のピーク。
【0089】
実施例5:(±)−(3aRS,4RS,7aSR)−4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 メチルエステル
【0090】
a)1gの(±)−(3aRS,4RS,7aSR)−4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 tert−ブチルエステルを、酢酸エチル中約1N HClで室温にて18時間処理し、次いで飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄する。有機相をNa2SO4で乾燥し、そして蒸発させる。分取的HPLCによる精製。(±)−(3aRS,4RS,7aSR)−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−イソインドール−4−オールが得られる。
【0091】
b)5mlのジクロロメタン中の60mgの(±)−(3aRS,4RS,7aSR)−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−イソインドール−4−オール、25mgのクロロ蟻酸メチルおよび250mgポリマー担持ヒューニッヒ塩基(Hunig's base)を室温にて18時間撹拌し、次いで濾過し、そして蒸発させ、続いて分取的HPLCで精製すると、(±)−(3aRS,4RS,7aSR)−4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−イソインドール−2−カルボン酸 メチルエステルを得る。HPLC−MS:336(M+Na)。
【0092】
同じ手順にしたがって、下記の化合物が得られる:
【0093】
実施例5a:(±)−(3aRS,4RS,7aSR)−フラン−2−イル−(4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン
HPLC−MS:372(M+Na)。
【0094】
実施例5b:(±)−(3aRS,4RS,7aSR)−シクロプロピル−(4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−イソインドール−2−イル)−メタノン
HPLC−MS:346(M+Na)。
【0095】
実施例5c:(±)−(3aRS,4RS,7aSR)−(4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−イソインドール−2−イル)−ピリジン−3−イル−メタノン
HPLC−MS:361(M+1)、383(M+Na)。
【0096】
実施例6:(±)−((1SR,3SR)−3−ヒドロキシ−3−m−トリルエチニル−シクロヘキシル)−メチル−カルバミン酸 メチルエステルおよび(±)−((1RS,3SR)−3−ヒドロキシ−3−m−トリルエチニル−シクロヘキシル)−メチル−カルバミン酸 メチルエステル
【0097】
a) ジクロロメタン(20ml)中の3−メチルアミノ−シクロヘキサ−2−エノン(1.35g、10.8mmol;CAS 55998−74−8)およびトリエチルアミン(4.5ml、32.4mmol)の溶液に、クロロ蟻酸メチル(2.5ml、32.4mmol)を0℃に15分かけて添加する。45分後、反応混合液をジクロロメタンで希釈し、そしてクエン酸(10% w/v)で3回洗浄する。有機相を真空中で濃縮し、そして残渣を水/メタノール(1:1 v/v、20ml)中のKCO(3.0g、21.6mmol)で15分間処理する。反応混合物を真空中で濃縮し、そして残渣を水およびジクロロメタンの間で分液操作し、そして真空中で濃縮後、混合液を、溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(1:1 v/v)を用いるシリカゲル(100g)でクロマトグラフィーにかける。当該生成物 メチル−(3−オキソ−シクロヘキサ−1−エニル)−カルバミン酸 メチルエステルは、淡橙色オイルとして得られる。NMR (400MHz; CDCl3): 5.68 (s, 1H), 3.79 (s, 3H), 3.20 (s, 3H), 2.82 (t, J=6.5 Hz, 2H), 2.39 (t, J=6.5 Hz, 2H), 2.00 (quint., J=6.5 Hz, 2H)。
【0098】
b) メタノール(20ml)中のメチル−(3−オキソ−シクロヘキサ−1−エニル)−カルバミン酸 メチルエステル(412mg、2.2mmol)の溶液を、Pd/C(10%、80mg、1bar)で水素化する。濾過後、粗生成物を、溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(1:1 v/v)を用いるシリカゲル(30g)のクロマトグラフィーにかける。メチル−(3−オキソ−シクロヘキシル)−カルバミン酸 メチルエステルは無色のオイルとして得られる。NMR (400MHz; CDCl3): 4.23 (br, 1H), 3.69 (s, 3H), 2.83 (br,s, 3H), 2.57-2.34 (m, 3H), 2.21 (td, J=14 Hz, J=6 Hz, 1H), 2.05 (m, 1H), 1.91 (m, 1H), 1.80 (qd, J=12.5 Hz, J=3.5 Hz, 1H), 1.6 (m, 1H)。
【0099】
c) リチウム m−トリルアセチリドとのメチル−(3−オキソ−シクロヘキシル)−カルバミン酸 メチルエステルの反応は、実施例1のように行われる。溶離液としてヘキサン/酢酸エチル(グラジエント 4:1から1:1 v/v)を用いるシリカゲルでのクロマトグラフィーの後、標題の化合物 (±)−((1SR,3SR)−3−ヒドロキシ−3−m−トリルエチニル−シクロヘキシル)−メチル−カルバミン酸 メチルエステル(収率24%)が最初に溶出され(R=0.62(TLC シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル 1:1)、HPLC−MS:324.2(M+Na))、続いて(±)−((1RS,3SR)−3−ヒドロキシ−3−m−トリルエチニル−シクロヘキシル)−メチル−カルバミン酸 メチルエステル(収率50%、R=0.49(TLC シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル 1:1)、HPLC−MS:324.2(M+Na))が溶出される。
【0100】
同じ手順にしたがって、下記の化合物が得られる:
【0101】
実施例6a:(±)−(1RS,3SR)−((3−ヒドロキシ−3−m−トリルエチニル−シクロヘキシル)−(4−メトキシ−ベンジル)−カルバミン酸 エチルエステル
HPLC−MS:444.2(M+Na)
【0102】
実施例6b:(±)−(1RS,3RS)−((3−ヒドロキシ−3−m−トリルエチニル−シクロヘキシル)−(4−メトキシ−ベンジル)−カルバミン酸 エチルエステル
HPLC−MS:444.2(M+Na)
【0103】
実施例6c:(±)−[(1RS,3SR)−3−ヒドロキシ−3−(3−メトキシ−フェニルエチニル)−5,5−ジメチル−シクロヘキシル]−メチル−カルバミン酸 メチルエステル
HPLC−MS:368.2(M+Na)
【0104】
実施例6d:(±)−(1RS,3SR)−(3−ヒドロキシ−5,5−ジメチル−3−m−トリルエチニル−シクロヘキシル)−メチル−カルバミン酸 メチルエステル
HPLC−MS:352.2(M+Na)
【0105】
実施例6e:(±)−[(1RS,3SR)−3−(3−フルオロ−フェニルエチニル)−3−ヒドロキシ−5,5−ジメチル−シクロヘキシル]−メチル−カルバミン酸 メチルエステル
HPLC−MS:356.2(M+Na)
【0106】
実施例6f:(±)−[(1RS,3RS)−3−(3−フルオロ−フェニルエチニル)−3−ヒドロキシ−シクロヘキシル]−メチル−カルバミン酸 メチルエステル
HPLC−MS:328.2(M+Na)
【0107】
実施例6g:(±)−[(1RS,3SR)−3−(3−フルオロ−フェニルエチニル)−3−ヒドロキシ−シクロヘキシル]−メチル−カルバミン酸 メチルエステル
HPLC−MS:328.2(M+Na)
【0108】
実施例6h:(±)−[(1RS,3RS)−3−ヒドロキシ−3−(3−メトキシ−フェニルエチニル)−シクロヘキシル]−メチル−カルバミン酸 メチルエステル
HPLC−MS:340.2(M+Na)
【0109】
実施例6i:(±)−[(1RS,3SR)−3−ヒドロキシ−3−(3−メトキシ−フェニルエチニル)−シクロヘキシル]−メチル−カルバミン酸 メチルエステル
HPLC−MS:340.2(M+Na)
【0110】
実施例6j:(±)−[(1RS,3RS)−3−(3−クロロ−フェニルエチニル)−3−ヒドロキシ−シクロヘキシル]−メチル−カルバミン酸 メチルエステル
=0.31(TLC シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル 1:1)。
【0111】
実施例6k:(±)−[(1RS,3SR)−3−(3−クロロ−フェニルエチニル)−3−ヒドロキシ−シクロヘキシル]−メチル−カルバミン酸 メチルエステル
=0.22(TLC シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル 1:1)。
【0112】
実施例6l:(±)−(1RS,3RS)−N−(3−ヒドロキシ−3−m−トリルエチニル−シクロヘキシル)−アセトアミド
HPLC−MS:294.2(M+Na)。
【0113】
実施例6m:(±)−(1RS,3SR)−N−(3−ヒドロキシ−3−m−トリルエチニル−シクロヘキシル)−アセトアミド
融点 152〜155℃。
【0114】
実施例6n:(±)−(1RS,3RS)−(3−ヒドロキシ−3−m−トリルエチニル−シクロヘキシル)−カルバミン酸 エチルエステル
HPLC−MS:324.2(M+Na)。
【0115】
実施例6o:(±)−(1RS,3SR)−(3−ヒドロキシ−3−m−トリルエチニル−シクロヘキシル)−カルバミン酸 エチルエステル
融点 106〜107℃。
【0116】
実施例6p:(±)−(1RS,3RS)−[3−(3−フルオロ−フェニルエチニル)−3−ヒドロキシ−シクロヘキシル]−カルバミン酸 エチルエステル
HPLC−MS:328.2(M+Na)。
【0117】
実施例6q:(±)−(1RS,3SR)−[3−(3−フルオロ−フェニルエチニル)−3−ヒドロキシ−シクロヘキシル]−カルバミン酸 エチルエステル
融点 121〜123℃。
【0118】
実施例6r:(±)−(1RS,3RS)−[3−(3−メトキシ−フェニルエチニル)−3−ヒドロキシ−シクロヘキシル]−カルバミン酸 エチルエステル
HPLC−MS:340.2(M+Na)。
【0119】
実施例6s:(±)−(1RS,3RS)−N−[3−(3−フルオロ−フェニルエチニル)−3−ヒドロキシ−シクロヘキシル]−アセトアミドHPLC−MS:340.2(M+Na)。
【0120】
実施例6t:(±)−(1RS,3SR)−N−[3−(3−フルオロ−フェニルエチニル)−3−ヒドロキシ−シクロヘキシル]−アセトアミド
HPLC−MS:276.2(M+1)、298.2(M+Na)。
【0121】
実施例6u:(±)−(1RS,3SR)−[3−ヒドロキシ−3−(3−メトキシ−フェニルエチニル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸 エチルエステル
HPLC−MS:340.2(M+Na)。
【0122】
実施例6v:(±)−(1RS,3RS)−N−[3−ヒドロキシ−3−(3−メトキシ−フェニルエチニル)−シクロヘキシル]−アセトアミド
HPLC−MS:288.2(M+1)、310.2(M+Na)。
【0123】
実施例6w:(±)−(1RS,3SR)−N−[3−ヒドロキシ−3−(3−メトキシ−フェニルエチニル)−シクロヘキシル]−アセトアミド
HPLC−MS:288.2(M+1)、310.2(M+Na)。
【0124】
実施例6x:(±)−(1RS,3RS)−[3−ヒドロキシ−3−(3−メトキシ−フェニルエチニル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸 tert−ブチルエステル
HPLC−MS:368.2(M+Na)。
【0125】
実施例6y:(±)−(1RS,3SR)−[3−ヒドロキシ−3−(3−メトキシ−フェニルエチニル)−シクロヘキシル]−カルバミン酸 tert−ブチルエステル
HPLC−MS:368.2(M+Na)。
【0126】
実施例6z:(±)−(1RS,3RS)−(3−ヒドロキシ−3−m−トリルエチニル−シクロヘキシル)−カルバミン酸 tert−ブチルエステル
HPLC−MS:352.2(M+Na)。
【0127】
実施例6aa:(±)−(1RS,3SR)−(3−ヒドロキシ−3−m−トリルエチニル−シクロヘキシル)−カルバミン酸 tert−ブチルエステル
HPLC−MS:352.1(M+Na)。
【0128】
実施例6ab:(±)−(1RS,3RS)−(3−(3−フルオロ−フェニルエチニル)−3−ヒドロキシ−シクロヘキシル]−カルバミン酸 tert−ブチルエステル
HPLC−MS:356.2(M+Na)。
【0129】
実施例6ac:(±)−(1RS,3SR)−(3−(3−フルオロ−フェニルエチニル)−3−ヒドロキシ−シクロヘキシル]−カルバミン酸 tert−ブチルエステル
HPLC−MS:356.2(M+Na)。
【0130】
実施例6ad:(±)−(1RS,3RS)−[3−(3−フルオロ−フェニルエチニル)−3−ヒドロキシ−シクロヘキシル]−カルバミン酸 メチルエステル
HPLC−MS:314.2(M+Na)。
【0131】
実施例6ae:(±)−(1RS,3SR)−[3−(3−フルオロ−フェニルエチニル)−3−ヒドロキシ−シクロヘキシル]−カルバミン酸 メチルエステル
HPLC−MS:314.2(M+Na)。
【0132】
実施例7:(±)−(3−フェニルエチニル−シクロヘキサ−2−エニル)−カルバミン酸 エチルエステルおよび(±)−3−フェニルエチニル−シクロヘキサ−3−エニル)−カルバミン酸 エチルエステル
【0133】
15mLのトルエン中の100mg(0.35mmol)の(3−ヒドロキシ−3−フェニルエチニル−シクロヘキシル)−カルバミン酸 エチルエステル(ジアステレオ異性体混合物2)を、10mgのp−トルエンスルホン酸で処理し、そして120℃で6時間撹拌する。冷却および50mlの酢酸エチルの添加後、生成物を、少量の炭酸水素ナトリウムを含有する水、および食塩水で洗浄する。有機相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濃縮し、そして石油エーテルおよび酢酸エチルの3:1混合物を用いてクロマトグラフィーにかける。カラムから出てくる最初の生成物は、(3−フェニルエチニル−シクロヘキサ−2−エニル)−カルバミン酸 エチルエステル(収率、23%)であり、続いて(3−フェニルエチニル−シクロヘキサ−3−エニル)−カルバミン酸 エチルエステル(収率:48%)である。
【0134】
ラセミ体1:1H-NMR (400 MHz): デルタ = 7.41 (m, 2H); 7.30 (m, 3H); 6.04 (s, 1H); 4.63 (broad s, 1H); 4.35 (broad s, 1H); 4.10 (q, 2H); 2.20 (s, 2H); 1.90 (m, 1H); 1.70, (m, 2H); 1.50 (m, 1H); 1.23 (t, 3H)。
ラセミ体2:1H-NMR (400 MHz): デルタ = 7.40 (m, 2H); 7.30 (m, 3H); 6.19 (s, 1H); 4.68 (broad s, 1H); 4.10 (q, 2H); 3.92 (broad s, 1H); 2.61 (d, 1H); 2.28 (broad s, 2H); 2.12, 1.85, 1.59 (3m, 3H); 1.23 (t, 3H)。
【0135】
実施例8:(±)−メチル−(3−フェニルエチニル−シクロヘキサ−3−エニル)−カルバミン酸 エチルエステル
【0136】
22mg(0.082mmol)の(3−フェニルエチニル−シクロヘキサ−3−エニル)−カルバミン酸 エチルエステルを、2mlのDMFおよび1mLのTHFに溶かす。8mg(0.165mmol)の油中NaH60%分散体を添加し、そして混合物をアルゴン下で室温にて90分間撹拌する。反応混合物を0℃に冷却し、そして0.5mlのTHF中の16マイクロリットルのMeIを滴下する。室温にて1時間撹拌した後、反応混合物を再び0℃に冷却し、氷を添加し、そして粗生成物を酢酸エチルで抽出し、水および食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして石油エーテルおよび酢酸エチルの4:1混合物を用いてカラムクロマトグラフィーにかける。収率:43%。
1H-NMR (400 MHz): デルタ = 7.40 (m, 2H); 7.30 (m, 3H); 6.18 (s, 1H); 4.22 (broad m, 1H); 4.15 (q, 2H); 2.8 (broad s, 3H); 2.35 (broad s, 4H); 1.80-1.60 (m, 1H); 1.15 (t, 3H)。
【0137】
実施例9:(±)−(4aRS,5RS,8aSR)−5−ヒドロキシ−5−フェニルエチニル−オクタヒドロ−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステル
【0138】
a) (±)−(4aRS,8aSR)−オクタヒドロ−キノリン−5−オンオキサレート(1.50g、6.17mmol)、トルエン(5ml)および水(5ml)の混合物に、固体の炭酸カリウムを添加する。数分間撹拌後、クロロ蟻酸エチル(0.71ml、7.4mmol)を添加し、次いで、反応混合物を室温にて3時間撹拌する。有機相を分離し、そして水相をジクロロメタン(3×10ml)で抽出する。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空中で濃縮すると、1.22g(88%)の(±)−(4aRS,8aSR)−5−オキソ−オクタヒドロ−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステルを得る。1H NMR (400MHz; CDCl3): 1.28 (t, 3H), 1.40 1.70 (m, 3H), 1.72-1.90 (m, 1H), 2.0-2.20 (m, 3H), 2.30-2.48 (m, 3H), 2.55 (td, 1H), 3.32 (td, 1H), 3.50 (m, 2H), 4.12 (q, 2H)。
【0139】
b) THF(15ml)中の(±)−(4aRS,8aSR)−5−オキソ−オクタヒドロ−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステル(0.372g、1.65mmol)の溶液に、THF中のリチウムフェニルアセチリド溶液(3.30ml、3.30mmol;THF中1.0M溶液)を−50℃にて添加する。次いで、反応混合物を−50℃にて1.5時間撹拌し、次いで、室温まで昇温する。反応混合物をジエチルエーテル(100ml)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×10ml)、水(10ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、次いで、真空中で濃縮する。シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン 1:3 v/v)を用いて粗生成物(0.860g)を精製すると、(±)−(4aRS,5RS,8aSR)−5−ヒドロキシ−5−フェニルエチニル−オクタヒドロ−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステル(0.144g、26.7%)を得る。
【0140】
同じ手順にしたがって、下記の化合物が得られる:
【0141】
実施例9a:(±)−[(4aRS,5SR,8aSR)−5−(3−クロロ−フェニルエチニル)−5−ヒドロキシ−オクタヒドロ−キノリン−1−イル]−フラン−2−イル−メタノン
NMR (DMSO-D6, 500MHz): 7.84 (s, 1H), 7.45 (m, 4H), 6.95 (d, 1H), 6.63 (d, 1H), 5.51 (s, 1H), 4.03 (m, 1H), 3.94 (m, 1H), 3.32 (m, 1H), 2.06 (m, 1H), 2.04 (m, 1H), 1.96 (m, 1H), 1.94 (m, 1H), 1.85 (m, 1H), 1.74 (m, 2H), 1.71 (m, 1H), 1.60 (m, 1H), 1.50 (m, 1H), 1.41 (m, 1H)。
【0142】
実施例9b:(±)−[(4aRS,5RS,8aSR)−5−(3−クロロ−フェニルエチニル)−5−ヒドロキシ−オクタヒドロ−キノリン−1−イル]−フラン−2−イル−メタノン
NMR (DMSO-D6, 500MHz): 7.83 (s, 1H), 7.43 (m, 4H), 6.95 (d, 1H), 6.62 (m, 1H), 5.77 (s, 1H), 3.99 (m, 1H), 3.90 (m, 1H), 3.31 (m, 1H), 2.12 (m, 1H), 2.06 (m, 1H), 1.97 (m, 1H), 1.88 (m, 1H), 1.83 (m, 1H), 1.77 (m, 1H), 1.66 (m, 1H), 1.59 (m, 2H), 1.46 (m, 1H), 1.22 (m, 1H)。
【0143】
実施例9c:(±)−(4aRS,5RS,8aSR)−5−(3−クロロ−フェニルエチニル)−5−ヒドロキシ−オクタヒドロ−キノリン−1−カルボン酸 tert−ブチル エステル
NMR (CDCl3): 7.42 (d,J=1.1Hz, 1H), 7.32 (m, 3H), 3.55 (m, 1H), 3.48 (m, 1H), 3.10 (m, 1H), 2.08 (m, 3H), 1.90 (m, 1H), 1.8-1.6 (m, 7H), 1.46 (s, 9H), 1.38 (m, 1H)。
【0144】
実施例9d:(±)−[(4aRS,5SR,8aSR)−5−(3−クロロ−フェニルエチニル)−5−ヒドロキシ−オクタヒドロ−キノリン−1−イル]−モルホリン−4−イル−メタノン
LC−MS、M+1=403.1
【0145】
実施例9e:(±)−[(4aRS,5SR,8aSR)−5−(3−クロロ−フェニルエチニル)−5−ヒドロキシ−オクタヒドロ−キノリン−1−イル]−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−メタノン
LC−MS、M+1=416.2
【0146】
実施例10:(±)−(4aRS,5RS,8aSR)−5−(3−クロロ−フェニルエチニル)−5−ヒドロキシ−オクタヒドロ−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステルおよび(±)−(4aRS,5SR,8aSR)−5−(3−クロロ−フェニルエチニル)−5−ヒドロキシ−オクタヒドロ−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステル
【0147】
a) THF(10ml)中のトリメチルシリルアセチレン(1.54ml、10.8mmol)の溶液に、ヘキサンのn−ブチルリチウム(6.75ml、10.8mmol;ヘキサン中1.6M)の溶液を0℃にて添加する。反応混合物を0℃にて45分間撹拌し、次いで、室温にて20時間撹拌する。反応混合物をジエチルエーテル(100ml)で希釈し、飽和炭酸水素ナトリウム溶液(2×10ml)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして真空中で濃縮する。シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン グラジエント0−40% v/v)を用いて粗生成物(2.0g)を精製すると、(±)−(4aRS,5RS,8aSR)−5−ヒドロキシ−5−トリメチルシラニルエチニル−オクタヒドロ−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステルを得る(1.48、84%);1H NMR (400MHz; CDCl3): 1H NMR 0.1 (s-overlap, 9H), 1.05 (t, 3H), 1.10-1.30 (m, 2H), 1.30-1.60 (m, 6H), 1.60-1.95 (m, 4H), 2.80-3.0 (m,1H), 3.25-3.50 (m, 1H), 3.50-3.65 (m, 1H), 3.95(m, 2H)。さらなるクロマトグラフィーのフラクションは、すべて、(±)−(4aRS,5RS,8aSR)−5−ヒドロキシ−5−トリメチルシラニルエチニル−オクタヒドロ−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステルおよび(±)−(4aRS,5SR,8aSR)−5−ヒドロキシ−5−トリメチルシラニルエチニル−オクタヒドロ−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステルの不定の混合物を含有する。
【0148】
b) ジメトキシエタン(2ml)および水(1ml)中の、(±)−(4aRS,5RS,8aSR)−5−ヒドロキシ−5−トリメチルシラニルエチニル−オクタヒドロ−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステルおよび(±)−(4aRS,5SR,8aSR)−5−ヒドロキシ−5−トリメチルシラニルエチニル−オクタヒドロ−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステル(0.272g、0.84mmol)の混合物(約5:1)、1−ブロモ−3−クロロ−ベンゼン(0.161g、0.84mmol)、ヨウ化銅(I)(0.016g、0.093mmol)、トリフェニルホスフィン(0.02g、0.074mmol)、炭酸カリウム(0.127g、0.92mmol)、炭素担持パラジウム(10%)(10mg)を合わせ、そしてアルゴン雰囲気下で80℃にて24時間加熱する。反応混合物を室温に冷却し、セライト濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、そして真空中で濃縮すると、粗製オイルを得る。粗製オイル(0.181g)を、シリカゲルクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン グラジエント0−30%)を用いて精製し、そして所望の化合物を含有するフラクションを集め、そして真空中で蒸発させると、最初の生成物 (±)−(4aRS,5RS,8aSR)−5−(3−クロロ−フェニルエチニル)−5−ヒドロキシ−オクタヒドロ−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステル(140mg、46%) 1H NMR (400MHz; CDCl3): 1.28 (t, 3H), 1.28-1.50 (m, 2H), 1.50-2.00 (m, 7H), 2.0-2.20 (m, 3H), 3.08 (m,1H), 3.55 (tm, 1H), 3.80 (m, 1H), 4.15 (q, 2H), 7.24-7.40 (m, 4H) および第二の生成物(±)−(4aRS,5SR,8aSR)−5−(3−クロロ−フェニルエチニル)−5−ヒドロキシ−オクタヒドロ−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステル(30mg、10%) 1H NMR (400MHz; CDCl3): 1.29 (t, 3H), 1.41-1.58 (m, 2H), 1.58 -2.00 (m, 8H), 2.08-2.18 (m, 2H), 3.16 (m, 1H), 3.61 (m, 1H), 3.70 (m, 1H), 4.10 (m, 2H), 7.16-7.30 (m, 4H) を得る。
【0149】
同じ手順にしたがって、下記の化合物が得られる:
【0150】
実施例10a:(±)−(4aRS,5SR,8aSR)−5−ヒドロキシ−5−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステル
1H NMR (400MHz; CDCl3): 1.25 (t, 3H), 1.39-1.56 (m, 2H), 1.56-1.98 (m, 8H), 1.98-2.23 (m, 2H), 2.35 (s, 3H), 3.15 (m, 1H), 3.55-3.79 (m, 2H), 4.04-4.20 (m, 2H), 7.10 (m, 1H), 7.15-7.25 (m, 3H)。
【0151】
実施例10b:(±)−(4aRS,5RS,8aSR)−5−ヒドロキシ−5−m−トリルエチニル−オクタヒドロ−キノリン−1−カルボン酸 エチルエステル
1H NMR (400MHz; CDCl3): 1.25 (t, 3H), 1.30-1.50 (m, 2H), 1.56-2.20 (m, 8H), 2.20-2.44 (m, 3H), 2.85-3.19 (m, 1H), 3.54-3.63 (m, 1H), 3.69-3.84 (m, 1H), 4.07-4.19 (m, 2H), 7.05-7.27 (m, 4H)。
【0152】
実施例11:(±)−エチル−((1SR,3SR)−3−ヒドロキシ−3−m−トリルエチニル−シクロペンチル)−カルバミン酸 メチルエステルおよび(±)−エチル−((1SR,3RS)−3−ヒドロキシ−3−m−トリルエチニル−シクロペンチル)−カルバミン酸 メチルエステル
【0153】
a) THF中のエチルアミンの溶液(2.0M、60mmol)30ml中の3−メトキシ−シクロペント−2−エノン(800mg、7.13mmol)の溶液に、酢酸(200μl)を添加し、そして混合物を70℃にて2時間撹拌する。反応混合物を真空中で濃縮し、そして残渣を、アセトンとともにシリカゲルを通して濾過する。得られる固体をジクロロメタン/エーテルで結晶化させると、白色の結晶として3−エチルアミノ−シクロペント−2−エノンを得る。融点:136〜136.5℃。
【0154】
b) 4mlのTHFおよび1mlのDMF中の3−エチルアミノ−シクロペント−2−エノン(500mg、4mmol)の溶液に、水素化ナトリウム(12mmol)を添加する。反応混合物を室温にて20分間撹拌した後、クロロ蟻酸メチル(615μl、8mmol)を添加する。15分間撹拌後、反応混合物を飽和塩化アンモニウム水溶液でクエンチし、そして真空中で濃縮する。残渣をブラインおよびジクロロメタンで分液操作する。有機抽出液を、溶離液としてジクロロメタン/メタノール(95:5 v/v)を用いるシリカゲル(30g)でクロマトグラフィーにかけると、エチル−(3−オキソ−シクロペント−1−エニル)−カルバミン酸 メチルエステルを得、これをジクロロメタン/エーテルで再結晶する。融点:68〜68.5℃。
【0155】
c) エチル−(3−オキソ−シクロペント−1−エニル)−カルバミン酸 メチルエステル(400mg、2.18mmol)を、メタノール中にてPd/C(10%、80mg)で水素化すると、黄色がかったオイルとして(±)−エチル−((R,S)−3−オキソ−シクロペンチル)−カルバミン酸 メチルエステルを得る。
【0156】
d) (±)−エチル−((R,S)−3−オキソ−シクロペンチル)−カルバミン酸 メチルエステルとリチウム m−トリルアセチリドの反応を、実施例1のように行う。溶離液としてヘキサン/アセトン(5:1 v/v)を用いるシリカゲルカラムクロマトグラフィーの後、ともに淡黄色のオイルとして、標題の化合物 (±)−エチル−((1SR,3RS)−3−ヒドロキシ−3−m−トリルエチニル−シクロペンチル)−カルバミン酸 メチルエステル[R=0.48(TLCシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル 1:1)、HPLC−MS:324.2(M+Na)]が最初に溶出し、続いて(±)−エチル−((1SR,3SR)−3−ヒドロキシ−3−m−トリルエチニル−シクロペンチル)−カルバミン酸 メチルエステル[R=0.39(TLCシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル 1:1)、HPLC−MS:324.2(M+Na)]が溶出する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊離塩基または酸付加塩の形態の式I
【化1】

〔式中、
mは、0または1であり、
nは、0または1であり、そして
Aは、ヒドロキシであり、
Xは、水素であり、そして
Yは、水素であるか、または
Aは、XまたはYと一重結合を形成し;
は、水素、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、−COOR[式中、Rは(C1−4)アルキルである。]または−COR[式中、Rは水素もしくは(C1−4)アルキルである。]であり、そして
Rは、−COR、−COOR、−CONRまたは−SOであり、ここで、Rは、(C1−4)アルキル、(C3−7)シクロアルキルまたは所望により置換されていてもよいフェニル、2−ピリジルまたは2−チエニルであり、RおよびRは、独立して、水素または(C1−4)アルキルであり、そしてRは、(C1−4)アルキル、(C3−7)シクロアルキルまたは所望により置換されていてもよいフェニルであり、
R'は、水素または(C1−4)アルキルであり、そして
R''は、水素または(C1−4)アルキルであるか、あるいは
R'およびR''は、一体となって−CH−(CH−を形成し、
ここで、pは、0、1または2であり、この場合においてnおよびpの一方は0ではなく、
ただし、mが1であり、nが0であり、Aはヒドロキシであり、XおよびYはともに水素であり、RはCOOEtであり、そしてR'およびR''は一体となって−(CH−を形成する場合、Rは水素、トリフルオロメチルおよびメトキシでないものとする。〕
で示される化合物。
【請求項2】
遊離塩基または酸付加塩の形態の(−)−(3aR,4S,7aR)−4−ヒドロキシ−4−m−トリルエチニル−オクタヒドロインドール−1−カルボン酸メチルエステルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
請求項1において定義された式Iの化合物またはその塩の製造方法であって、
a)Aがヒドロキシである式Iの化合物の製造のために、式II
【化2】

〔式中、m、n、R、R'およびR''は請求項1において定義したとおりである。〕
で示される化合物を、式III
【化3】

〔式中、Rは請求項1において定義したとおりである。〕
で示される化合物と反応させる工程、あるいは
b)AがXまたはYとともに一重結合を形成する式Iの化合物の製造のために、Aがヒドロキシである式Iの化合物を脱水する工程、
ならびに、得られる式Iの化合物を遊離塩基または酸付加塩の形態で回収する工程
を含んでなる方法。
【請求項4】
医薬として使用するための、遊離塩基または医薬上許容される酸付加塩の形態の請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
グルタミン酸作動性シグナル伝達の異常に関連する障害、およびmGluR5により全体的にまたは部分的に介在される神経系障害の処置における使用のための、遊離塩基または医薬上許容される酸付加塩の形態の請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
医薬担体または希釈剤とともに、遊離塩基または医薬上許容される酸付加塩の形態の請求項1に記載の化合物を含んでなる医薬組成物。
【請求項7】
グルタミン酸作動性シグナル伝達の異常に関連する障害、およびmGluR5により全体的にまたは部分的に介在される神経系障害の処置における、遊離塩基または医薬上許容される酸付加塩の形態の請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項8】
グルタミン酸作動性シグナル伝達の異常に関連する障害、およびmGluR5により全体的にまたは部分的に介在される神経系障害の処置のために設計される医薬組成物の製造のための、遊離塩基または医薬上許容される酸付加塩の形態の請求項1に記載の化合物の使用。
【請求項9】
グルタミン酸作動性シグナル伝達の異常に関連する障害、およびmGluR5により全体的にまたは部分的に介在される神経系障害の処置方法であって、かかる処置を必要とする対象に、治療上有効量の遊離塩基または医薬上許容される酸付加塩の形態の請求項1に記載の化合物を投与することを含んでなる方法。
【請求項10】
同時的または逐次的投与のための、治療上有効量の遊離塩基または医薬上許容される酸付加塩の形態の請求項1に記載の化合物および第二医薬物質を含んでなる組合せ剤。

【公開番号】特開2008−303226(P2008−303226A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−179005(P2008−179005)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【分割の表示】特願2003−548836(P2003−548836)の分割
【原出願日】平成14年12月3日(2002.12.3)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】