説明

MIMCAP構造の製造方法およびMIMCAP構造

【課題】有害な界面層を形成する追加の酸化が生じない、高い誘電率の誘電体を備えたMIMCAP構造を提供する。
【解決手段】電子デバイスが、第1電極と、チタン酸化物および第1ドーパントイオンを含む誘電体材料層とを含む。誘電体材料層は、第1電極の上に形成される。第1ドーパントイオンは、Ti4+イオンと比べて10%またはそれ以下のサイズ不整合を有し、誘電体材料は、650℃未満の温度でルチル正方結晶構造を有する。電子デバイスは、誘電体材料層の上に形成された第2電極を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MIMCAP構造の製造方法およびMIMCAP構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイナミックランダムアクセスメモリ金属−誘電体−金属キャパシタ(DRAM MIMCAP)の将来のスケーリングについて、二酸化チタン(TiO)が興味深い誘電体層と考えられており、ルチル相(少なくとも80)として結晶化した場合、アナターゼ相(約40)と比べて比較的高いk(誘電率)値を示すことに起因する。二酸化ルテニウム(RuO)は、下部電極および、ルチルTiOの低温成長のためのテンプレートとして用いられる導電性の酸化物である。例えば、熱的安定性、高価格などの幾つかの不都合を提示するRuOの使用を回避し、代替の電極と置換することが大きな関心事であろう。しかしながら、テンプレートが存在しなければ、ルチルTiOは、高い温度(約900℃)でのアニールの後にのみ得られる。従って、ルチルTiOの形成温度を低くする解決法が必要になる。
【0003】
DRAM MIMCAPの将来のスケーリングでは、高い誘電率の誘電体だけでなく、有害な界面層を形成する追加の酸化が生じない電極を見つけることが必要になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、有害な界面層を形成する追加の酸化が生じない、高い誘電率の誘電体を備えたMIMCAP構造を提供することである。
【0005】
本開示の他の目的は、こうしたMIMCAP構造を形成するための低温の方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これらの目的は、独立請求項の主題を用いて本開示に従って達成される。
【0007】
ここで開示するのは、MIMCAP構造を製造するための改善した方法、システムおよびデバイス、ならびにそのMIMCAP構造である。
【0008】
一実施形態では、電子デバイスが、第1電極と、その上に形成された、チタン酸化物および第1ドーパントイオンを含む誘電体材料からなる層とを含むスタックを備える。
【0009】
第1ドーパントイオンは、Ti4+イオンと比べて10%またはそれ以下のサイズ不整合を有し、誘電体材料は、650℃未満の温度でルチル正方(tetragonal)結晶構造を有する。電子デバイスは、誘電体材料層の上に形成された第2電極を備える。
【0010】
他の実施形態では、電子デバイスの製造方法は、第1電極を形成することと、その上に、チタン酸化物および第1ドーパントイオンを含む誘電体材料からなる層を形成することとを含む。第1ドーパントイオンは、Ti4+イオンと比べて10%またはそれ以下のサイズ不整合を有し、誘電体材料は、650℃未満の温度でルチル正方結晶構造を有する。該方法は、誘電体材料層の上に第2電極を形成することをさらに含む。
【0011】
アナターゼTiOは、動力学的に有利であるが、ルチルTiOは熱力学的に最も安定した相である。従って、先行技術の低温または600℃に達するアニール後の薄膜堆積では、アナターゼ相の形成が得られる。しかしながら、誘電体層としての使用では、著しく高い誘電率のため、ルチル相は好まれている。しかし、先行技術の手法では、アナターゼ相をルチル相へ完全に変換する(約900℃)には、より高い熱収支(thermal budget)が必要になる。
【0012】
アナターゼ相およびルチル相の両方が正方構造を有し、セルパラメータでの相違点はセルの体積であり、これはルチルTiOでより小さくなる。
【0013】
本願は、TiOを、より小さな半径を持つカチオン(cation)でドーピングすることによって、ルチルTiOを形成することを開示する。カチオンがTiOの格子の中に入り、Ti4+サイトと置換すると、セルが収縮すると考えられている。半径(サイズ)がTi4+より僅かに小さい適切なカチオンの1つは、Mg2+である。代替として、他のドーパント、例えば、Co2+,Ni2+,Zn2+,V2+なども好適である。チタン原子より小さいまたは僅かに大きい半径(10%またはそれより小さい半径の不整合)を有するドーパントも好適である。
【0014】
理論に束縛されるのを望まなければ、酸素空孔を生成するプロセス、例えば、アクセプタドーパント(Ti4+より小さい価数を持つイオン)の添加など、および還元性雰囲気の使用が、アナターゼ−ルチル変換を加速すると考えられている。反対に、格子間チタンの濃度、例えば、ドナードーパントの添加を増加させるプロセスは、その変換を抑制する。
【0015】
電子デバイスの好ましい一実施形態では、第1電極および第2電極の少なくとも1つが、金属または導電性酸化物を含み、導電性酸化物は、透明導電性酸化物(TCO)として使用するのに好適な材料である。
【0016】
電子デバイスの好ましい一実施形態では、第1ドーパントイオンの濃度は、0.3%at〜20%atである。
【0017】
電子デバイスの製造方法の好ましい一実施形態では、導電性酸化物は、透明導電性酸化物(TCO)として使用するのに好適な材料である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
本開示は、下記の説明および添付の図面を用いてさらに明らかになるであろう。全ての図面は、本開示の幾つかの態様および実施形態を図示することを意図している。記載した図面は、概略的に過ぎず、限定的なものでない。
【0019】
【図1】ルチルTiOのレファレンスとして、原子層成長法(ALD)を用いて堆積し、600℃、1分間、O含有雰囲気中でアニールした、TiO膜ベースのOの微小角入射X線回折(GIXRD)パターンを示す。
【図2A】物理的気相成長法(PVD)を用いて堆積し、600℃、1分間、O含有雰囲気中でのポスト堆積アニール後のTiレファレンス膜のGIXRDパターンを示す。
【図2B】物理的気相成長法(PVD)を用いて堆積し、600℃、1分間、O含有雰囲気中でのポスト堆積アニール後のMgドープTiO(16.5%atのMg)のGIXRDパターンを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示は、特定の実施形態に関して一定の図面を参照しながら説明しているが、本開示はこれによって限定されず、請求項によってのみ限定される。ここで記載した図面は、概略的に過ぎず、限定的なものでない。図面において、幾つかの要素のサイズは強調していることがあり、説明目的のため、スケールどおりに描いていない。寸法および相対寸法は、本開示の実際の実施品と必ずしも対応していない。
【0021】
さらに、説明および請求項での用語「第1」「第2」「第3」などは、類似の要素を区別するために使用しており、必ずしも連続的または時間的な順番を記述するためではない。この用語は、適切な状況下で交換可能であり、本発明の実施形態は、ここで説明したり図示したものとは別の順番で動作可能である。
【0022】
さらに、説明および請求項での用語「上(top)」、「下(bottom)」、「の上に(over)」、「の下に(under)」等は、説明目的で使用しており、必ずしも相対的な位置を記述するためのものでない。こうして用いた用語は、適切な状況下で交換可能であって、ここで説明した本発明の実施形態がここで説明または図示した以外の他の向きで動作可能である。
【0023】
さらに、種々の実施形態は、「好ましい」と参照していても、本開示の範囲を制限することなく本開示を実施できる例示の方法として解釈することになる。
【0024】
用語「備える、含む(comprising)」は、それ以降に列挙された手段に限定されるものと解釈すべきでなく、他の要素またはステップを除外していない。記述した特徴、整数、ステップまたは構成要素の存在を、参照したように特定するように解釈する必要があるが、1つ又はそれ以上の他の特徴、整数、ステップまたは構成要素、あるいはこれらのグループの存在または追加を除外していない。こうして表現「手段A,Bを備えるデバイス」の範囲は、構成要素A,Bのみから成るデバイスに限定すべきでなく、むしろ本発明に関して、デバイスの列挙した構成要素だけがA,Bであり、さらに請求項はこれらの構成要素の等価なものを含むものとして解釈すべきである。
【0025】
一態様において、下記のスタックを含む電子デバイスが開示される。
・第1電極。その上に、
・チタン酸化物と、第1ドーパントイオンとを含む誘電体材料からなる層。第1ドーパントイオンは、Ti4+イオンより小さいまたは僅かに大きいサイズを有し、誘電体材料は、650℃未満の温度でルチル正方結晶構造を有する。その上に、
・第2電極。
【0026】
第1ドーパントイオンは、ルチル構造への正8面体(octahedral)配位特性において、Ti4+イオンと比較して10%またはそれより小さい半径不整合を有する。
【0027】
本開示の実施形態において、第1ドーパントイオンは、Mg,Sc,Co,Ni,Zn,V,Cr,Cu,Zr,Nb,Mo,Ru,Rhおよびこれらの組合せからなるグループから選択できる。
【0028】
ルチルTiOの形成を引き起こすのに必要な最小濃度は、選択したドーパントイオンに依存する。幾つかの実施形態では、約0.3%atのドーパントイオンが、ルチルTiOの形成を導くために充分となる。1%atまたはそれ以上のより高濃度も、ルチルTiOの形成を導くことができる。ドーパントイオン濃度は、好ましくは、相分離を導く上限、即ち、特定の例では約20%atを超えない。
【0029】
本開示の幾つかの実施形態では、誘電体材料は、追加のストロンチウムを含んでもよい。しかしながら、これらの特定の例では、結晶化のときに形成される構造は、ペロブスカイト型である。ルチルTiOおよびドーパント元素を含むペロブスカイトSTOの両方が、DRAM MIMCAP応用に好適な高誘電率(high-k)値および大きなバンドギャップによって特徴付けられる誘電体である。
【0030】
本開示の実施形態において、第1電極および第2電極の少なくとも1つが、金属または導電性酸化物を含む。
【0031】
第1電極及び/又は第2電極は、金属、例えば、TiN,TaN,Ru,Ni,Mo,Wまたはこれらの組合せを含んでもよい。
【0032】
本開示の代替の実施形態において、導電性酸化物は、第1金属酸化物を含む。好適な抵抗率(10−3ohm・cm未満)を有する第1金属酸化物の非限定的な例は、RuO,IrO,MoO,VO,Inまたはこれらの組合せである。
【0033】
本開示の他の実施形態において、導電性酸化物は、第2金属酸化物および第2ドーパントを含む。第2金属酸化物は、In,SnO,CdO,MgO,ZnOおよびこれらの組合せからなるグループから選択される。第2ドーパントは、Sn,Sb,Ti,Y,Mo,Zr,W,Alおよびこれらの組合せからなるグループから選択される。
【0034】
特定の実施形態では、導電性酸化物は、透明導電性酸化物(TCO)として使用するのに好適な任意の材料である。
【0035】
第2態様において、電子デバイスの製造方法が開示され、下記ステップを含む。
・第1電極を形成すること。その上に、
・チタン酸化物と、第1ドーパントイオンとを含む誘電体材料からなる層を形成すること。第1ドーパントイオンは、Ti4+イオン半径と比べて10%またはそれ以下の半径不整合を有する。誘電体材料は、650℃未満の温度でルチル正方結晶構造を有する。その上に、
・第2電極を形成すること。
【0036】
本開示の異なる実施形態において、誘電体材料からなる層および第1または第2電極の少なくとも1つが、原子層成長法(ALD)または化学気相成長法(CVD)によって形成される。
【0037】
第2態様の幾つかの実施形態において、第1ドーパントイオンは、Mg,Sc,Co,Ni,Zn,V,Cr,Cu,Zr,Nb,Mo,Ru,Rhおよびこれらの組合せからなるグループから選択される。
【0038】
第2態様の他の実施形態において、誘電体材料は、追加のストロンチウムを含んでもよい。しかしながら、これらの特定の例では、誘電体材料の構造は、ペロブスカイト型である。
【0039】
両態様の異なる実施形態において、誘電体材料からなる層および第1または第2電極の何れかが、同じまたは異なる組成を有する多重サブ層(sub-layer)を含んでもよい。代替として、誘電体材料からなる層および第1または第2電極の何れかが、同質または傾斜(graded)した組成を有する単一層でもよい。
【0040】
誘電体材料は、堆積したままの形態でルチル正方結晶構造を有し、あるいは、ルチル構造は、誘電体材料からなる層を堆積した後、追加の熱処理を適用して形成される。特定の実施形態では、熱処理は、その場(in-situ)(堆積チャンバ内)で、または、酸化性雰囲気、650℃未満の温度の外部(ex-situ)で実施されるポスト堆積アニールである。第2態様の実施形態は、第1電極および第2電極の少なくとも1つが、金属または導電性酸化物を含むことを開示する。
【0041】
幾つかの実施形態では、導電性酸化物は、RuO,IrO,MoO,VO,Inまたはこれらの組合せからなるグループから選択された第1金属酸化物を含む。
【0042】
代替の実施形態では、導電性酸化物は、第2金属酸化物および第2ドーパントを含む。第2金属酸化物の非限定的な例が、In,SnO,CdO,MgO,ZnOおよびこれらの組合せからなるグループから選択される。第2ドーパントは、Sn,Sb,Y,Ti,Mo,Zr,W,Alおよびこれらの組合せからなるグループから選択される。
【0043】
特定の実施形態では、導電性酸化物は、透明導電性酸化物(TCO)として使用するのに好適な任意の材料である。
【0044】
(例)
一実施形態では、物理的気相成長法(PVD)からスタートした、300mmウエハ上における、Mgドープの誘電体ルチルTiOの形成、TiMg共スパッタ(co-sputter)膜が開示される。酸化性雰囲気で熱処理(アニール)を実施する前に、その膜を、反応物質としてチタン・メトキシド(methoxide)およびOを用いて、250℃でALD堆積した、2nmのTiOで被覆(capped)した。しかしながら、このキャップ層は任意である。レファレンスとして、ALDによって厚いTiO膜(14nm)を堆積し、その後、O中で600℃、1分間アニールを行った。
【0045】
図1中のレファレンス・サンプルのGIXRDパターンは、アナターゼ相の形成を示した。
【0046】
異なる例では、0%,11%,13%および16.5%のMg濃度で、TiおよびMgの供給源からMgとともに共スパッタによってTiを堆積した。
【0047】
堆積したままの場合、レファレンスTiサンプルは良好に結晶化し(Ti立方晶およびTi六方晶)、一方、Mgドープのサンプルは、結晶Mgとともに、弱く結晶化した六方晶Tiの存在を示した(図2a)。
【0048】
TiOの被覆と、600℃、1分間、O中のポスト堆積アニールの後、GIXRDは、ドープ無しサンプルでは、弱く結晶化したTiOの形成を示し、一方、ドープしたサンプルは、良好に結晶化したルチルTiOの形成を示した。MgまたはMgOは検出されず、MgはルチルTiO構造の中に少なくとも部分的に取り込まれたようである(図2b)。好ましくは、ドーパントイオン(例えば、Mg)は、完全またはほぼ完全にルチルTiO構造の中に取り込まれる。
【0049】
代替の実施形態では、MgドープのルチルTiOが、ALDまたはCVDによって形成される。好都合には、Mg濃度の調整は、ALDまたはCVDプロセスで達成するのがより容易である。
【0050】
ALD手法の追加の利点は、ALDを用いて、電極としての導電性酸化物(例えば、TCO)または金属の形成と組合せ可能な点である。こうした導電性酸化物の例が、TiドープのMgOである。
【0051】
電極としてのTiドープのMgOと、ルチル構造(よって、高誘電率(high-k)値および大きなバンドギャップ)を有する誘電体としてのMgドープTiOとの特定の組合せが好都合であり、ALDシーケンスで実施が容易である。代替の導電性酸化物は、TiドープのCdO、またはTiドープのInであり、これらの各々が10−3 Ohm・cm未満の低抵抗率を有する。
【0052】
追加の態様において、導電性酸化物で形成された第1電極と、その上にある、ルチル構造を有するドープTiOと、その上にある第2電極と、を備えるMIMCAPデバイスが開示される。第1電極および第2電極は、同じ導電性材料または同じでない導電性材料で形成できる。第1電極及び/又は第2電極の導電性材料は、金属または導電性金属酸化物である。好ましくは、導電性金属酸化物は、追加のドーパントを含む。本開示のスタックは、代替として、他のデバイス、例えば、RRAMメモリに設置できる。
【0053】
他の実施形態では、前駆体として、ビス−メチルシクロペンタジエニル・マグネシウムMg(MeCp)およびTi(OCHを用いて、ALDによってMgドープTiO膜を堆積した。反応サイクルは、{[HO/Ti(OCH[/HO/Mg(MeCp)/[HO/Ti(OCH}n、または、{[O/Ti(OCH[/HO/Mg(MeCp)/[O/Ti(OCH}・nである。
【0054】
x,yまたはzサブサイクルは、次のように変化し得る。(x/y/z)n,または、x=zのとき(y/x)n;(x/y)n。3つの特定の状況は、約12nmのMgドープTiOの目標厚さで、250℃で堆積した、222サイクルのO/Ti(OCHと3サイクルの/HO/Mg(MeCp)の総数で検討される。
【0055】
・(1)Mgが均一に分布しており、即ち、1サイクルのMgが、膜の下部、膜の中間および膜の上部に設けられる。{[O/Ti(OCH74[/HO/Mg(MeCp)}・3。
・(2)3サイクルのMgが、膜の中間設けられる。{[O/Ti(OCH111[/HO/Mg(MeCp)[O/Ti(OCH111}・1。
・(3)3サイクルのMgが、膜の上部に設けられる。{[O/Ti(OCH222[/H(MeCp)}・1。
【0056】
上述したように形成した全ての誘電体膜が、結晶性であり、表面凹凸(textured)のルチル構造(110)を有する。
【0057】
MgドープTiO膜が、10nm TiN/5nm Ru(下部電極として)、12nm MgドープTiO(誘電体として)、40nm TiN(上部電極として)からなるスタックの誘電体である3つのMIMキャパシタについて、EOT−Jデータ(EOT=等価酸化膜厚と、J=漏れ電流密度)を記録した。依存性EOT−Jを+1Vの極性で与えた場合、MgOがスタック上部に存在する場合、レファレンス(純粋なTiO)と比べて、Jは増加する。
【0058】
TiO層の中間への3つのMgOサイクルの挿入にも関わらず、結晶化が中断されず、純粋なTiOに匹敵する、低いJ(約1x10−7A/cm)が得られる。
【0059】
MgOをスタックの中間に1サイクルのMgOまたは3サイクルのMgOとして堆積した場合、純粋なTiOと比べて同程度のEOTおよびJ値が得られる。3サイクルのMgOは、実際、少し低いEOTを示し、酸化物格子の収縮および、MgO添加に伴う誘電率の増加の傾向を示した。
【0060】
MgOは、約7.3eV〜7.8eVのより大きなバンドギャップ、および低い誘電率(9.8)にも関わらず、EOTの増加に関与しない。この挙動は、分離した層形成というよりも、ルチル格子でのMg2+を用いたTi4+の置換を示している。負極性での改善点(−1Vの印加電圧で得られた、より低いJ)が、より大きなMg含有量で観測される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
第1電極の上に形成された誘電体材料層であって、該誘電体材料層は、チタン酸化物および第1ドーパントイオンを含み、第1ドーパントイオンは、Ti4+イオンと比べて多くても10%のサイズ不整合を有し、誘電体材料は、650℃未満の温度でルチル正方結晶構造を有するようにした誘電体材料層と、
誘電体材料層の上に形成された第2電極と、を備える電子デバイス。
【請求項2】
第1ドーパントイオンは、Mg,Sc,Co,Ni,Zn,V,Cr,Cu,Zr,Nb,Mo,Ru,Rhおよびこれらの組合せからなるグループから選択される請求項1記載のデバイス。
【請求項3】
第1電極および第2電極の少なくとも1つが、金属または導電性酸化物を含む請求項1記載のデバイス。
【請求項4】
導電性酸化物は、RuO,IrO,MoO,VO,Inおよびこれらの組合せからなるグループから選択された第1金属酸化物を含む請求項3記載のデバイス。
【請求項5】
導電性酸化物は、第2金属酸化物および第2ドーパントを含む請求項3記載のデバイス。
【請求項6】
第2金属酸化物は、In,SnO,CdO,MgO,ZnOおよびこれらの組合せからなるグループから選択され、
第2ドーパントは、Sn,Sb,Y,Ti,Mo,Zr,W,Alおよびこれらの組合せからなるグループから選択される請求項5記載のデバイス。
【請求項7】
電子デバイスを製造する方法であって、
第1電極を形成することと、
第1電極の上に、チタン酸化物および第1ドーパントイオンを含む誘電体材料層を形成することとを含み、第1ドーパントイオンは、Ti4+イオンと比べて10%またはそれ以下のサイズ不整合を有し、誘電体材料は、650℃未満の温度でルチル正方結晶構造を有するものであり、
さらに、誘電体材料層の上に、第2電極を形成することを含む方法。
【請求項8】
誘電体材料層、第1電極および第2電極の少なくとも1つが、原子層成長法(ALD)によって形成される請求項7記載の方法。
【請求項9】
第1ドーパントは、Mg,Sc,Co,Ni,Zn,V,Cr,Cu,Zr,Nb,Mo,Ru,Rhおよびこれらの組合せからなるグループから選択される請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
誘電体材料は、堆積したままの形態でのルチル正方結晶構造を有する請求項7〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
誘電体材料は、誘電体材料層を堆積した後、650℃未満の温度で熱処理を適用したときに、ルチル正方結晶構造を有する請求項7〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
第1電極および第2電極の少なくとも1つが、金属または導電性酸化物を含む請求項7〜11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
導電性酸化物は、RuO,IrO,MoO,VO,Inおよびこれらの組合せからなるグループから選択された第1金属酸化物を含む請求項12記載の方法。
【請求項14】
導電性酸化物は、第2金属酸化物および第2ドーパントを含む請求項12記載の方法。
【請求項15】
第2金属酸化物は、In,SnO,CdO,MgO,ZnOおよびこれらの組合せからなるグループから選択され、
第2ドーパントは、Sn,Sb,Y,Ti,Mo,Zr,W,Alおよびこれらの組合せからなるグループから選択される請求項14記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【公開番号】特開2013−102157(P2013−102157A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−231021(P2012−231021)
【出願日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.RRAM
【出願人】(591060898)アイメック (302)
【氏名又は名称原語表記】IMEC
【Fターム(参考)】