説明

MIMOメッシュネットワーク

【課題】MIMO技術を中継ノードに適用することにより、高速な伝送レートと高い信頼性を有する無線ネットワークを構築できるようにした、MIMOメッシュネットワークを提供する。
【解決手段】複数の中継ノードを有し、各中継ノードは、複数のアンテナを有するとともに、各中継ノード間に無線リンクを張ることにより、無線ネットワークを構築するMIMOメッシュネットワークであって、MIMOマルチプルアクセスとMIMOブロードキャストを交互に連結した構成となっており、被干渉・与干渉回避を実現するとともに、各中継ノードに前向き無線リンクに加えて後向き無線リンクを多重伝送することにより、ネットワーク全体の周波数利用効率を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、MIMO技術を用いたMIMOメッシュネットワークに関する。
【背景技術】
メッシュネットワークでは、中継機能を有した無線ノード(中継ノード)をメッシュ状に配置し、各中継ノード間に無線リンクを張ることで、簡易に広範囲な無線ネットワークを構築することができる(非特許文献1を参照)。
しかしながら、複数中継ノードが同一ネットワーク内に存在するため、無線リンク間の干渉が発生し、伝送品質が劣化するという問題がある(非特許文献2を参照)。
【非特許文献1】アイ. エフ. アキイルヂズ(I.F.Akyildiz)、エクス. ワン(X.Wang)共著,「ア サーベイ オン ワイヤレス メッシュ ネットワークズ(A Survey on wireless mesh networks)」,IEEE コミューン.マグ.(IEEE Commun.Mag.),2005年,第43巻,第9号,p.523−530
【非特許文献2】ケイ. ヤマモト(K.Yamamoto)、エス. ヨシダ(S.Yoshida)共著,「トレードオフ ビトイーン エリア スペクトル エフィシェンシー アンド エンド・ツー・エンド スループット イン レート・アダプティブ マルチホップ ラジオ ネットワークズ(Tradeoff between area spectral efficiency and end−to−end throughput in rate−adaptive multihop Radio Networks)」,IEICE トランス. コミューン.(IEICE Trans. Commun.),2005年,第E88−B巻,第9号,p.3532−3540
【非特許文献3】ジェイ. ミトラ III(J.Mitra III)、ジィー. キュー. マグァイア ジェイアール.(G.Q.Maguire JR.)共著,「コグニティブ ラジオ: メイキング ソフトウェア ラジオズ モア パーソナル(Cognitive radio:making software radios more personal)」,IEEE パーソナル コミューン.(IEEE Personal Commun.),1999年8月,p.13−18
【非特許文献4】エス. ヘイキン(S.Haykin)著,「コグニティブ ラジオ: ブレインエンパワーイド ワイヤレス コミュニケーションズ(Cognitive radio:brain−empowered wireless communications)」,IEEE ジェイ. セレクト. エリアズ. コミューン.(IEEE J.Slect.Areas.Commun.),2005年,第23巻,第2号,p.201−220
【非特許文献5】野田,タン,ダオ,小野,阪口,荒木共著,「実伝搬データを用いた マルチユーザMIMOシステムの特性評価」,信学技法,RCS2006−140,2006年10月
【非特許文献6】ジィー. ジェイ. フオスチニ(G.J.Foschini)著,「レイヤード スペース・タイム アーキテクチャ フォー ワイヤレス コミュニケーション イン ア フェーディング エンバイアロンメント ホウェン ユシング マルチ・エレメント アンテナズ(Layered space−time architecture for wireless communication in a fading environment when using multi−element antennas)」,ベル ラボズ テク. ジェイ.(Bell Labs Tech.J.),1996年,第1巻,第2号,p.41−59
【非特許文献7】エム. コスタ(M.Costa)著,「ライティング オン ダーティー ペーパー(Writing on dirty paper)」,IEEE トランス. インフ. スィーオリ(IEEE Trans.Inf.Theory),1983年,第29巻,第3号,p.439−441
【非特許文献8】アール. ディー. ウェーゼル(R.D.Wesel)、ジェー. エム シオフィ(J.M.Cioffi)共著,「アチーヴァブル レートス フォー トムリンソンーハラシマ プレコーディング(Achievable rates for Tomlinson−Harashima precoding)」,IEEE トランス. イン フォー. スィーオリ(IEEE Trans.Infor.Theory),1998年3月,第44巻,第2号,p.824−830
【非特許文献9】ユウ. エレゼ(U.Erez)、エス. ティー. ブリンク(S.T.Brink)共著,「ア クロース・トゥー・キャパシティー ダーティー ペーパー コーディング スキーム(A Close−to−Capacity Dirty Paper Coding Scheme)」,IEEE トランス. インフォー.スィーオリ(IEEE Trans.Infor.Theory),2005年10月,第51巻,第10号,p.3417−3432
【非特許文献10】アイ. イー. テラター(I.E.Telatar)著,「キャパシティ オフ マルチアンテナ ガウサイン チャネルズ(Capacity of multi−antenna Gaussain channels)」,ユーロ. トランス. テレコンミュー.(Euro.Trans.Telecommun.),1999年,第1巻,第6号,p.585−595
【非特許文献11】エー. ポールラジ(A.Paulraj)、アール. ナバー(R.Nabar)、ディー. ゴア(D.Gore)共著,「イントロダクション トゥ スペースタイム ワイヤレス コミュニケーションズ(Introduction to Space−Time Wireless Communications)」,ケンブリッジ ユニバーシティ プレス(Cambridege University Press),2003年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
具体的に、図1に示すような1次元のメッシュネットワーク(マルチホップネットワーク)を例として、従来のメッシュネットワークの問題点を説明する。
図1(A)は、単一周波数チャネルでメッシュネットワークを構成した例であり、この場合は、隣接する送信ノードの後向きリンクが干渉を発生する。ここでは、この干渉距離をdとしている。
一方、図1(B)は、A、Bの2つの周波数チャネルを用いてメッシュネットワークを構成した例であり、この場合は、隣接した送信ノードが異なるチャネルを用いることで、干渉距離を3dにまで広げることができる反面、周波数利用効率を1/2に低減してしまう。
そのため、メッシュネットワーク(マルチホップネットワーク)では、干渉回避と周波数利用効率の改善が重要な研究課題となっている。
すなわち、伝送品質が劣化せず(高い信頼性を有し)、かつ高速な無線ネットワークを実現できないのが現状である。
本発明は、上述のような事情よりなされたものであり、本発明の目的は、MIMO技術を中継ノードに適用することにより、高速な伝送レートと高い信頼性を有する無線ネットワークを構築できるようにした、MIMOメッシュネットワークを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
本発明は、複数の中継ノードを有し、前記各中継ノードは、複数のアンテナを有するとともに、前記各中継ノード間に無線リンクを張ることにより、無線ネットワークを構築するMIMOメッシュネットワークに関し、本発明の上記目的は、MIMOマルチプルアクセスとMIMOブロードキャストを交互に連結した構成となっており、被干渉・与干渉回避を実現するとともに、前記各中継ノードに前向き無線リンクに加えて後向き無線リンクを多重伝送することにより、ネットワーク全体の周波数利用効率を改善することによって効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、線形方式であるZFアルゴリズムを用いた本発明のMIMOメッシュネットワークにおいて、前記中継ノードのうち、ある受信ノードについて、前向き無線リンク及び後向き無線リンクを介して当該受信ノードに隣接する第1の送信ノード及び第2の送信ノードが複数アンテナを有したMIMOマルチプルアクセスシステムとし、前記受信ノードにおけるMIMOアルゴリズムの目的は、前記第1の送信ノードからの被干渉を回避しつつ前記第2の送信ノードからの信号を受信し、また、前記第2の送信ノードからの被干渉を回避しつつ前記第1の送信ノードからの信号を受信することであり、前記第1の送信ノード及び前記第2の送信ノードの送信ウェイトが、それぞれ

Mは各中継ノードのアンテナ本数であり、s10,s12は前記第1の送信ノード及び前記第2の送信ノードの送信信号であり、また、s=[s1012∈Cであり、Hij∈CM×Mは、ノード

で、前記第2の送信ノードからの被干渉を回避しつつ前記第1の送信ノードからの信号を

受信ウェイトとして用いることで、前向き無線リンクと後向き無線リンクのFB多重化が可能となることによってより効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、線形方式であるZFアルゴリズムを用いた本発明のMIMOメッシュネットワークにおいて、前記中継ノードのうち、ある送信ノードについて、前向き無線リンク及び後向き無線リンクを介して当該送信ノードに隣接する第1の受信ノード及び第2の受信ノードが複数アンテナを有したMIMOブロードキャストシステムとし、前記送信ノードにおけるMIMOアルゴリズムの目的は、前記第1の受信ノードへの与干渉を回避しつつ前記第2の受信ノードへ信号を送信し、また、前記第2の受信ノードへの与干渉を回避しつつ前記第1の受信ノードへ信号を送信することであり、前記第1の受信

れたとすると、前記第1の受信ノードの受信信号は、次の数式で記述でき、

=[y∈Cを用いて、ベクトル表記すると、次の数式となり、

の受信ノードへの与干渉を回避しつつ前記第2の受信ノードへ信号を送信でき、同時に、

て用いることで、前向き無線リンクと後向き無線リンクのFB多重化が可能となることによってより効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、非線形方式であるSIC/DPCアルゴリズムを用いた本発明のMIMOメッシュネットワークにおいて、前記中継ノードのうち、ある受信ノードについて、前向き無線リンク及び後向き無線リンクを介して当該受信ノードに隣接する第1の送信ノード及び第2の送信ノードが複数アンテナを有したMIMOマルチプルアクセスシステムとし、前記受信ノードにおけるMIMOアルゴリズムの目的は、非線形受信方式であるSICアルゴリズムを用いて、被干渉回避をしつつ、前記第1の送信ノード及び前記第2の送信ノードからの信号を多重化受信することであり、前記SICアルゴリズムでは、前記受信ノードの受信信号において、はじめに、前記第2の送信ノードからの信号s12を検波し、それを前記受信信号から差し引くことで、被干渉を回避し、前記第1の送信ノードからの信号s10を受信し、そこで、前記第2の送信ノードからの信号s12に対

となり、

線リンクのFB多重化が可能となることによってより効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、非線形方式であるSIC/DPCアルゴリズムを用いた本発明のMIMOメッシュネットワークにおいて、前記中継ノードのうち、ある送信ノードについて、前向き無線リンク及び後向き無線リンクを介して当該送信ノードに隣接する第1の受信ノード及び第2の受信ノードが複数アンテナを有したMIMOブロードキャストシステムとし、前記送信ノードにおけるMIMOアルゴリズムの目的は、非線形送信方式であるDPCアルゴリズムを用いて、与干渉回避をしつつ、前記第1の受信ノード及び前記第2の受信ノードへ信号を多重化送信することであり、前記第1の受信ノード及び前記

∈Cは前記送信ノードの送信信号ベクトルであり、y=[y∈Cを用いて、ベクト

であり、前記DPCアルゴリズムでは、yすなわちs32に対しては、チャネルベクトル

次の数式で記述でき、

により、この干渉成分をs′32の送信信号から差し引くことにより、与干渉回避が可能となり、

のFB多重化が可能となることによってより効果的に達成される。
更に、本発明は、中継機能を有する複数のノードを有し、前記各ノードは、M本のMIMOアンテナを搭載するとともに、前記各ノード間に無線リンクを張ることにより、無線ネットワークを構築するMIMOメッシュネットワークに関し、本発明の上記目的は、送信ウェイトと受信ウェイトの組合せにより、干渉回避を行うとともに、前記各ノードに前向きリンクと後向きリンクのストリーム信号を多重化して伝送することにより、ネットワーク全体のキャパシティを改善することによって効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、前記MIMOメッシュネットワークの信号モデルは、次のように定式化され、

り、

及び後向きリンクに対する送信信号であり、Hij∈CM×Mはj番目のノードからi番目のノ

番目のノードにおける前向きリンク及び後向きリンクに対する受信ウェイトベクトルであ

所望信号であることによってより効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、線形方式であるZFアルゴリズムを用いたMIMOメンシュネットワークにおいて、第1ノードから最終ノードまで順番に送受信ウェイトを計算するようにしており、第i受信ノードに着目すると、第(i−1)送信ノードの送信ウェイト

ただし、(x,y)はxとyの両方に直交する基底ベクトルであり、(x,y)はyに直交する空間の中でxに最も平行する基底ベクトルであり、前記計算された第1受信ノードの受信ウ

ムは、次の数式によってモデル化され、

リンクの等価チャネル係数であることによってより効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、第1受信ノードと第(i+1)送信ノードの間のシステムは、

化され、

きリンクの等価受信チャネルベクトルであり、第(i+1)送信ノードでは、チャネルの相

基づいて計算され、

i受信ノードと第(i+1)送信ノードの間のシステムは、次の数式によってモデル化され、

リンクの等価チャネル係数であることによってより効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、第i受信ノードにおける前向きリンク及び後向きリンクの

第i受信ノードが第(i−1)送信ノード及び第(i+1)送信ノードからの干渉なく、前向きリンクと後向きリンクの信号を同時に受信することによってより効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、非線形方式であるSIC/DPCアルゴリズムを用いたMIMOメッシュネットワークにおいて、第1ノードから最終ノードまで順番に送受信ウェイトを計算するようにしており、第i受信ノードに着目すると、第(i−1)送信ノードの

ただし、xはxに平行する基底ベクトルであり、(x,y)はxとyの両方に直交する基底ベ

第(i−1)送信ノードと第i受信ノードの間のシステムは、次の数式によってモデル化され、

向きリンクから第i受信ノードの前向きリンクへの干渉信号に相当する等価チャネル係数

送信ノードへフィードバックし、第(i−1)送信ノードでは、DPCアルゴリズムを用いて、次の数式のように、干渉信号をキャンセルし、


i受信ノードと第(i+1)送信ノードの間のシステムは、次の数式によってモデル化され、

ードの前向きリンクへの干渉信号に相当する等価チャネル係数であり、

等価チャネル係数であり、第i受信ノードでは、第(i+1)送信ノードから、送信ウェイ

ャンセルを実現し、

される。
また、本発明の上記目的は、第1ノードから最終ノードまで順番に送受信ウェイトを計算するようにしており、第iノードの状態が受信ノードであり、当該第i受信ノードに着

ードの加法性雑音ベクトルであり、そして、次の数式に基づき、等価送信チャネルベクト

より効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、第1ノードから最終ノードまで順番に送受信ウェイトを計算するようにしており、第iノードの状態が送信ノードであり、当該第i送信ノードに着

ただし、[・]は複素共役を表し、[・]は転置を表し、[・]は複素共役転置を表し、

次の数式で表す相反性の性質が成立し

ことによってより効果的に達成される。
また更に、本発明は、中継機能を有する複数のノードを有し、前記各ノードは、複数本のMIMOアンテナを搭載するとともに、前記各ノード間に、前向きリンク又は後向きリンクを張ることにより、無線ネットワークを構築するMIMOメッシュネットワークに関し、本発明の上記目的は、前記前向きリンクにK個のストリーム信号(Kストリーム)を多重化しているとともに、前記後向きリンクにK個のストリーム信号(Kストリーム)をも多重化しており、次の数式で表す条件を満たし、

ただし、Mは前記各ノードが搭載したMIMOアンテナの本数であり、Kはあるノードが送受信する総ストリーム数であり、K=K+Kが成立し、前記MIMOメッシュネットワークの信号モデルは、次のように定式化され、

向きリンク及び後向きリンクに対する送信信号ベクトルであり、Hij∈CM×Mはj番目のノ

のノードにおける前向きリンクと後向きリンクに対する送信ウェイト行列であり、

リンク及び後向きリンクの等価な加法性雑音ベクトルであることによって効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、線形方式であるブロックZFアルゴリズムを用いた本発明のMIMOメッシュネットワークにおいて、前記ブロックZFアルゴリズムによる線形干渉キャンセルによって他リンクへの干渉回避を行った上で、リンク毎にMIMO多重伝送を行い、そのときの各送受信ウェイト行列は、次の数式に基づいて計算され、

ンクへの干渉回避を行った前向きリンクと後向きリンクのMIMO送信ウェイト行列であ

番目のノードにおいて、前記ブロックZFアルゴリズムによって他リンクからの干渉回避を行った前向きリンクと後向きリンクのMIMO受信ウェイト行列であることによってより効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、第1ノードから最終ノードまで順番に送受信ウェイト行列を計算するようにしており、第i受信ノードに着目すると、第(i−1)送信ノードの後向

受信ノードでは、第(i−1)送信ノードから、次の数式のように、送信ウェイト行列


このとき、次の数式に示すように、第(i−1)送信ノードと第i受信ノードとの間には、

前向きリンクが形成され、

ことによってより効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、MIMO伝送方式としてオープンループ伝送方式で受信側にZFアルゴリズムを用いた場合は、第(i−1)送信ノードでは、(M−K)次のブロック

送信し、先頭K個の列ベクトルを用いた場合は、次の数式が成立し、

の第1〜K列であり、第i受信ノードでは、受信したKストリームの分離を行い、

次の数式に基づいて計算され、

オープンループ伝送方式の受信方式としてZFアルゴリズムを用いた場合、次の数式で表

づいて計算され、

ただし、[・]−1は[・]の一般逆行列であり、[・]は[・]の複素共役転置であり、

また、本発明の上記目的は、第(i+1)送信ノードに着目すると、第i受信ノードの前向き

その共役受信ウェイトを介してトレーニング信号を送信することにより、次の数式のように、

このとき、次の数式に示すように、第(i+1)送信ノードと第i受信ノードとの間には、

後向きリンクが形成され、

ことによってより効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、MIMO伝送方式としてオープンループ伝送方式で送信側にZFアルゴリズムを用いた場合は、第(i+1)送信ノードでは、事前にストリーム分離を行うウェイトを用いて、Kストリームを多重送信し、このとき、第i受信ノードでは、

ストリームを受信し、先頭K個の列ベクトルを用いた場合は、次の数式が成立し、

第1〜K列であり、このとき、第i受信ノードの後向きリンクに対する受信ウェイト行

オープンループ伝送方式の送信方式としてZFアルゴリズムを用いた場合、次の数式で表

数式に基づいて計算され、

ただし、[・]は[・]の複素共役であり、[・]は[・]の転置であり、[・]−1は[・]の一般逆行列であり、このとき、第(i+1)送信ノードの後向きリンクに対する送信ウェ

に達成される。

次の数式となり、

リームの等価なチャネル応答を対角成分に持つ行列であり、次の数式に基づいて計算され、

の等価なチャネル応答を対角成分に持つ行列であり、

に基づいて計算されることによってより効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、ブロックZFアルゴリズムに加えて、送信側でブロックDPCアルゴリズムを、受信側でブロックSICアルゴリズムをそれぞれ用いる本発明のMIMOメッシュネットワークにおいて、前記ブロックZFアルゴリズムによる線形干渉キャンセルと、前記ブロックSICアルゴリズム/前記ブロックDPCアルゴリズムによる非線形干渉キャンセルの組合せによって、他リンクへの干渉回避を行った上で、リンク毎にMIMO多重伝送を行い、そのときの各送受信ウェイト行列は、次の数式に基づいて計算され、


干渉回避を行った前向きリンクと後向きリンクのMIMO受信ウェイト行列であることによってより効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、第1ノードから最終ノードまで順番に送受信ウェイト行列を計算するようにしており、第i受信ノードに着目すると、第(i−1)送信ノードの後向

受信ノードでは、第(i−1)送信ノードから、次の数式のように、送信ウェイト行列

次の数式に基づいて計算され、

持つMIMOリンクと見做し、

とき、次の数式が成立し、

ャネル行列であり、次の数式に基づいて計算され、

干渉に相当する等価チャネル行列であり、次の数式に基づいて計算され、

i受信ノードの前向きリンクへの干渉信号に相当する等価チャネル行列であり、次の数式に基づいて計算され、

は、次の数式で表され、

で表すことによってより効果的に達成される。
また、本発明の上記目的は、第(i+1)送信ノードに着目すると、第i受信ノードの前


ドのときに、その共役受信ウェイトを介してトレーニング信号を送信することにより、次

ドへフィードバックし、

次の数式に基づいて計算され、

このとき、第(i+1)送信ノードの後向きリンクを、次の数式で表す等価チャネル行列

たとき、次の数式が成立し、

ャネル行列であり、次の数式に基づいて計算され、

干渉に相当する等価チャネル行列であり、次の数式に基づいて計算され、

i受信ノードの前向きリンクへの干渉信号に相当する等価なチャネル行列であり、次の数式に基づいて計算され、

キャンセルを実現し、

更に、本発明は、本発明のMIMOメッシュネットワークと、直交周波数分割多重(OFDM)と組み合わせることにより、広帯域な無線ネットワークとして動作するMIMO−OFDMメッシュネットワークに関し、本発明の上記目的は、前記MIMOメッシュネットワークに用いられるMIMOアルゴリズムをOFDMの各サブキャリアに適用し、OFDMの第lサブキャリアでは、前向きリンクにK(l)個のストリーム信号を多重化しているとともに、後向きリンクにK(l)個のストリーム信号をも多重化しており、前記MIMO−OFDMメッシュネットワークの信号モデルは次のように定式化され、

クの受信信号ベクトルであり、

における第lサブキャリアの前向きリンク及び後向きリンクに対する送信信号ベクトルで

受信した第lサブキャリアの前向きリンク及び後向きリンクの等価な加法性雑音ベクトルであり、定式化された前記信号モデルに対して、OFDMのサブキャリア毎に前記MIMOメッシュネットワークにおける送受信ウェイト行列の計算処理アルゴリズムを適用することによってより効果的に達成される。
【発明の効果】
本発明に係るMIMOメッシュネットワークは、MIMOマルチプルアクセス及びMIMOブロードキャストにおける被干渉・与干渉回避および多重化の技術をメッシュネットワークに適用したものである。
本発明によれば、従来のメッシュネットワークに存在していた干渉距離の問題および周波数利用効率の問題を同時に解決でき、高速な伝送レートと高い信頼性を有する無線ネットワークを構築することができる。
また、本発明に係るMIMOメッシュネットワークは、送受信ウェイトの組合せにより、干渉回避を行い、また同時に前向きリンク及び後向きリンクの空間多重を実現するものである。
本発明によれば、従来のメッシュネットワークにおける同一チャネル干渉問題を解決するとともに、リンク多重をも実現し、ネットワーク全体のキャパシティを改善することができる。
更に、一般化された本発明に係るMIMOメッシュネットワークでは、各ノードがM素子のMIMOアンテナを搭載しており、前向きリンクにK個のストリーム信号を多重化しているとともに、後向きリンクにK個のストリーム信号をも多重化している。
MIMO伝送方式として線形方式を用いた「一般化された本発明に係るMIMOメッシュネットワーク」によれば、ブロックZFアルゴリズム(またはブロックMMSEアルゴリズム)による線形干渉キャンセルにより、異なるリンク間の干渉回避を行いつつ、各リンクにおいて通常のMIMOマルチストリーム伝送を行うことができる。
また、MIMO伝送方式として非線形方式を用いた「一般化された本発明に係るMIMOメッシュネットワーク」によれば、ブロックZFアルゴリズム(又はブロックMMSEアルゴリズム)による線形干渉キャンセルと、ブロックSICアルゴリズム/ブロックDPCアルゴリズムによる非線形干渉キャンセルの組合せによって、他リンクへの干渉回避を行った上で、各リンクにおいて通常のMIMO多重伝送を行うことができる。
そして、一般化された本発明に係るMIMOメッシュネットワークは、直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing、OFDM)と組み合わせることにより、広帯域な無線ネットワーク(MIMO−OFDMメッシュネットワーク)として動作させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面及び数式を参照して詳細に説明する。
近年、電波環境を認知しダイナミックに無線資源割当を行うコグニティブ無線技術が注目を集めている(非特許文献3及び非特許文献4を参照)。現在提案されているコグニティブ無線では、周波数チャネルのダイナミックな割当てが主に検討されている。今後は、あらゆる無線環境を認知し、その情報を無線ノードが共有し、さらにその情報に基づいた協力的な適応処理を行うことで、究極の周波数利用効率を実現するコグニティブ無線ネットワークが望ましい。
時間・空間・周波数・電力などの無線資源をダイナミックに割当てることで、既存システム(プライマリシステム)にオーバーレイするコグニティブMIMOメッシュネットワーク(セカンダリシステム)が考えられる。このようなコグニティブMIMOメッシュネットワークの概念を図2に示すことができる。
メッシュノード(セカンダリシステム)の通信方式として、MIMO−OFDMAを採用し、このメッシュノードが以下の要素技術を実現することで、高速な伝送レートと高い信頼性を必要とするローカルな無線ネットワークを自律分散的に構築することができる。
要素技術:
(1)無線環境の協力的認知および認知情報の共有
(2)MIMO技術による空間的周波数共用
(3)適応ルーティングと適応電力制御による面的周波数共用
(4)時間・空間・周波数の適応無線リソース管理
(5)ネットワークコーディングと協力中継
(6)上記技術のクロスレイヤ最適化
このコグニティブMIMOメッシュネットワークのアプリケーションとしては、公衆無線ネットワークを利用しない(もしくはオーバーレイする)ローカルな無線ネットワーク(例えば、イベント会場などにおける無線LAN、警察・消防などの公共無線、被災地における非常時無線、無線プラントコントロールシステム、や公衆無線ネットワークが届かない遮蔽された環境における無線ネットワークへの適用が考えられる。
ここで、後述する数式において、使用する数学記号について説明する。[・]は複素共役、「・]は転置、[・]は複素共役転置を表す。また、xはxに直交する基底ベクトル、xはxに従属(平行)する基底ベクトルを表している。
<1>MIMO被干渉与干渉回避(周波数共用)
ここでは、マルチユーザMIMOシステム(非特許文献5を参照)とのアナロジーから、本発明に係るMIMOメッシュネットワークを構築するための基礎技術として、MIMO技術を用いた被干渉回避・与干渉回避・多重化の方法を説明する。これらの被干渉・与干渉回避および多重化技術を用いることで、空間軸における周波数共用が可能となり、周波数利用効率の高い無線ネットワークを実現できる。
MIMOアンテナを有したノードが受信処理により、プライマリ・セカンダリを含む複数のシステムと周波数共用を行う技術を、MIMOマルチプルアクセス(MIMO−MA)と呼び、送信処理により周波数共用を行う技術をMIMOブロードキャスト(MIMO−BC)と呼ぶ。
<1−1>MIMO−MA被干渉回避
ここでは、MIMO−MAにおける被干渉回避および多重化の方法を説明する。
図3に、MIMOマルチプルアクセス(MIMO−MA)のシステム構成図を示す。ここでは、プライマリ・セカンダリを含むK個の送信ノードが、M個のアンテナを有する受信ノードに、同時にアクセスしている。ただし、ここでは、簡単のために、K=2の場合に議論を絞る。
第i送信ノードからの送信信号をs、第i送信ノードと受信ノード間のチャネルベクトルをh∈Cとすると、受信信号ベクトルy∈Cは、下記数1のように記述できる。
【数1】

ただし、s=[s∈Cであり、n∈Cは、受信ノードにおける加法性雑音ベクトルである。
ここで、MIMO受信アルゴリズムの目的は、プライマリシステムからの被干渉信号sを回避しつつ、セカンダリシステムからの所望信号sを受信することである。また、s,sともにセカンダリシステムである場合には、これらを空間多重伝送することで、システムの周波数利用効率を改善できる。
MIMOマルチプルアクセスにおける被干渉回避・多重化の方法として、線形方式であるZFアルゴリズム、非線形方式であるSICアルゴリズムが知られている。
まず、線形方式であるZFアルゴリズムについて説明する。
線形方式であるZFアルゴリズムを用いた被干渉回避では、セカンダリシステムのための受信ウェイトとして、プライマリシステムのチャネルベクトルhに直交した基底ウェイ

を受けない。
【数2】

よって、プライマリからの干渉を受けずに、セカンダリからの信号sを受信することができる。
【数3】


である。
一方、s,sともにセカンダリシステムの場合は、チャネルベクトルhに直交したウ

【数4】


ここで、チャネルが対角化されていることから、下記数5及び数6により、s,sを干渉なしで検波することが可能となり、被干渉回避および多重化伝送が実現できていることがわかる。
【数5】

【数6】

以上では、線形方式として、ZFアルゴリズムを説明したが、他のアルゴリズム、例えば、MMSEアルゴリズムに関しても、同様の議論が可能である。
次に、非線形方式である逐次干渉キャンセラ(SIC)(非特許文献6を参照)について説明する。
非線形方式である逐次干渉キャンセラ(SIC)は、はじめに、プライマリの信号を検波し、それを受信信号から差し引くことで、被干渉回避を行う方式である。
逐次干渉キャンセラ(SIC)では、セカンダリシステムのチャネルベクトルhに直交

信ウェイトとして用いる。
このときの出力信号ベクトルは、下記数7のように記述できる。
【数7】


り、被干渉回避を行うことで、セカンダリシステムの信号の検波が可能となる。
【数8】

【数9】

また、s,sともにセカンダリシステムの場合には、同様の手順により、順序付けの多重化伝送を実現している。なお、sとsの処理の順序に関しては、これに限定されるものではない。
<1−2>MIMO−BC与干渉回避
ここでは、MIMO−BCにおける与干渉回避および多重化の方法を説明する。
図4に、MIMOブロードキャスト(MIMO−BC)のシステム構成図を示す。MIMO−MAとMIMO−BCは、送信電力の拘束条件以外は、双対な関係にある。
送信ノードの送信信号ベクトルをx∈C、送信ノードから第i受信ノードへのチャネル

うに記述できる。
【数10】

【数11】

ただし、nは第i受信ノードの加法性雑音である。また、2つの受信信号をベクトルy=[y∈Cにまとめると、下記数12による表現が可能となる。
【数12】

ただし、n∈Cは2つのノードの雑音n,nをまとめたベクトルである。
ここで、MIMO送信アルゴリズムの目的は、プライマリシステムへの与干渉yを回避しつつ、セカンダリシステムへ所望信号を送信することである。また、2つの受信ノードがともにセカンダリシステムである場合には、異なる情報を空間多重送信することで、システムの周波数利用効率を改善できる。
MIMOブロードキャストにおける与干渉回避・多重化の方法も、線形方式であるZFアルゴリズム、非線形方式であるDPC(SIC)アルゴリズムが知られている。
まず、線形方式であるZFアルゴリズムについて説明する。
線形方式であるZFアルゴリズムを用いた与干渉回避では、セカンダリシステムの送信

【数13】


このときの受信信号ベクトルは、下記数14で示すようになり、与干渉回避が行われていることが分かる。
【数14】


【数15】

このときの受信信号ベクトルは、下記数16となり、与干渉回避および多重化伝送が可能となる。
【数16】

次に、非線形方式であるダーティペーパコーディング(DPC)(非特許文献7を参照)について説明する。
非線形方式であるダーティペーパコーディング(DPC)は、送信側での逐次干渉キャンセラ(SIC)に等価であり、予め送信側でプライマリシステムへ到達するセカンダリ信号の成分を差し引くことで、与干渉回避を行う方式である。
ダーティペーパコーディング(DPC)アルゴリズムでは、プライマリにはセカンダリ

このときの受信信号ベクトルは、下記数17のように記述できる。
【数17】


よって、予めこの干渉成分をプライマリの送信信号から差し引くことで、下記数18により与干渉回避が可能となる。
【数18】

また、y,yともにセカンダリシステムの場合には、独立した送信信号s′をyに送信することにより、順序付けの多重化伝送ができる。なお、sとsの処理の順序に関しては、これに限定されるものではない。
【数19】

以上により、MIMO技術を用いた被干渉・与干渉回避および多重化の方法を説明した。これらの技術を用いることで、空間軸における周波数共用が可能となる。
<2>本発明の第1実施形態に係るMIMOメッシュネットワーク
本発明の第1実施形態に係るMIMOメッシュネットワークとは、<1>で説明したMIMOアルゴリズムを用いた被干渉・与干渉回避および多重化技術を発展させたMIMOメッシュネットワークである。本発明の第1実施形態に係るMIMOメッシュネットワークによれば、従来のメッシュネットワーク(マルチホップネットワーク)における干渉の問題を解決し、高い周波数利用効率を実現できる。
<2−1>1次元MIMOメッシュネットワーク
本発明の第1実施形態に係るMIMOメッシュネットワークの実施例である1次元MIMOメッシュネットワーク(以下、単に、「リレーMIMOネットワーク」とも称する。)の構成を図5に示す。
図5に示されたように、本発明のMIMOメッシュネットワークは、MIMOマルチプルアクセスとMIMOブロードキャストを交互に連結した構成となっており、干渉回避(被干渉・与干渉回避)と多重化伝送を同時に実現する。これにより、単一周波数チャネルで干渉距離を3dとすることが可能となり、また前向きリンクに加えて後向きリンクを多重伝送することにより、ネットワーク全体の周波数利用効率を改善することができる。
以下、本発明の第1実施形態に係るMIMOメッシュネットワークにおいて、干渉回避と多重化伝送を同時に実現するための送受信ウェイトの計算処理方法を、線形方式と非線形方式に分けて具体的に説明する。
<2−1−1>線形方式
ここでは、MIMO伝送方式として線形方式であるZFアルゴリズムを用いた場合の本発明の第1実施形態に係るMIMOメッシュネットワークにおける送受信ウェイトの計算処理方法について説明する。なお、説明は、受信ウェイトの計算処理方法、送信ウェイトの計算処理方法、及びそれらの相互関係の順に行う。
まず、線形方式における受信ウェイトの計算処理方法について説明する。
図5において、受信ノード#1に着目すると、送信ノード#0および#2が複数アンテナを有したMIMOマルチプルアクセスシステムと捉えることができる。
ここで、受信ノード#1におけるMIMOアルゴリズムの目的は、送信ノード#2からの被干渉を回避しつつ送信ノード#0からの信号を受信し、また、送信ノード#0からの被干渉を回避しつつ送信ノード#2からの信号を受信することである。

えられたとすると、受信ノード#1の受信信号ベクトルy∈Cは、下記数20で記述できる。
【数20】

ここで、s10,s12は送信ノード#0および#2の送信信号であり、また、s=[s1012∈Cである。Hij∈CM×Mは、ノード#jからノード#iへのチャネル行列であ

信ノード#0からの信号を受信できる。

ことで、MIMOメッシュネットワークにおける前向きリンク(Forward link)と後向きリンク(Backward link)の双方向リンク多重化(以下、単に、FB多重化とも称する。)が可能となる。

重化が同時に実現できていることが分かる。
【数21】


次に、線形方式における送信ウェイトの計算方法について説明する。
図5において、送信ノード#2に着目すると、受信ノード#1および#3が複数アンテナを有したMIMOブロードキャストシステムと捉えることができる。
ここで、送信ノード#2におけるMIMOアルゴリズムの目的は、受信ノード#1への与干渉を回避しつつ受信ノード#3へ信号を送信し、また、受信ノード#3への与干渉を回避しつつ受信ノード#1へ信号を送信することである。

えられたとすると、受信ノード#1および#3の受信信号は、それぞれ下記数22と数23で記述できる。
【数22】

【数23】

ここで、x∈Cは送信ノード#2の送信信号ベクトルである。
また、y=[y∈Cを用いて、ベクトル表記すると、下記数24となる。
【数24】


数24と数12は、同一の構造をしているため、送信ウェイトとして、チャネルベクト

つ受信ノード#3へ信号を送信できる。

用いることで、MIMOメッシュネットワークにおける前向きリンク(Forward link)と後向きリンク(Backward link)のFB多重化が可能となる。

【数25】

ここで、s=[s1232であり、s12は受信ノード#1への送信信号、s32は受信ノード#3への送信信号を示している。
これらより、与干渉回避およびFB多重化が同時に実現できていることが分かる。
次に、線形方式における送受信ウェイトの相互関係について説明する。
上述したように、ZFアルゴリズムに基づいた線形方式では、1つ目のリンクの送信ウェイトから、2つ目のリンクの受信ウェイトが決まり、2つ目のリンクの受信ウェイトから3つ目のリンクの送信ウェイトが決まる鎖関係にある。
線形方式を用いた1次元MIMOメッシュネットワークには、2つのウェイト鎖があり、その関係を図6(A)に示す。その初期値は1次元MIMOメッシュネットワークの両端、つまり前向きネットワークと後向きネットワークの起点ウェイトがすべてのウェイトを決定付ける。この2つの初期ウェイトは、ネットワークスループットが最大となるように、逐次的に最適化する必要がある。
以上では、MIMO伝送方式として線形方式であるZFアルゴリズムを用いた場合の本発明の第1実施形態に係るMIMOメッシュネットワークにおける送受信ウェイトの計算処理方法について詳細に説明したが、本発明で用いる線形方式として、ZFアルゴリズムに限定されることはなく、例えば、MMSEアルゴリズムを用いることも勿論可能である。
<2−1−2>非線形方式(SIC/DPC)
ここでは、MIMO伝送方式として非線形方式であるSIC/DPCアルゴリズムを用いた場合のMIMOメッシュネットワークにおける送受信ウェイトの計算方法について説明する。なお、説明は、線形方式の場合と同様に、受信ウェイトの計算方法、送信ウェイトの計算方法、及びそれらの相互関係の順に行う。
まず、非線形方式における受信ウェイトの計算方法について説明する。
線形方式と同様に、図5において、受信ノード#1に着目すると、送信ノード#0および#2が複数アンテナを有したMIMOマルチプルアクセスシステムと捉えることができる。
ここで、受信ノード#1におけるMIMOアルゴリズムの目的は、送信ノード#2からの被干渉を回避しつつ送信ノード#0からの信号を受信し、また、送信ノード#0からの被干渉を回避しつつ送信ノード#2からの信号を受信することである。
すなわち、受信ノード#1は、非線形受信方式であるSICアルゴリズムを用いて、被干渉回避をしつつ、送信ノード#0および#2からの信号を多重化受信する。
非線形受信方式であるSICアルゴリズムでは、受信ノード#1の受信信号ベクトルである数20において、はじめに、送信ノード#2からの信号s12を検波し、それを受信信号から差し引くことで、被干渉を回避し、送信ノード#0からの信号s10を受信する。

ことができる。
【数26】


重化が実現できる。なお、s10とs12の処理の順序に関しては、これに限定されるものではない。
【数27】

【数28】

次に、非線形方式における送信ウェイトの計算方法について説明する。
線形方式と同様に、図5において、送信ノード#2に着目すると、受信ノード#1および#3が複数アンテナを有したMIMOブロードキャストシステムと捉えることができる。
ここで、送信ノード#2におけるMIMOアルゴリズムの目的は、受信ノード#1への与干渉を回避しつつ受信ノード#3へ信号を送信し、また、受信ノード#3への与干渉を回避しつつ受信ノード#1へ信号を送信することである。
すなわち、送信ノード#2は、非線形送信方式であるDPCアルゴリズムを用いて、与干渉回避をしつつ、受信ノード#1および#3へ信号を多重化送信する。
非線形送信方式であるDPCアルゴリズムでは、数24において、yすなわちs32

用いる。

【数29】


よって、予めこの干渉成分をs′32の送信信号から差し引くことにより、与干渉回避が可能となる。
【数30】

これらより、順序付けの与干渉回避およびFB多重化が実現できることが分かる。なお、s12とs32の処理の順序に関しては、これに限定されるものではない。
次に、非線形方式における送受信ウェイトの相互関係について説明する。
非線形方式では、線形方式とは異なり、1つ目のリンクの送信ウェイトから、1つ目および2つ目のリンクの受信ウェイトが決まり、2つ目のリンクの受信ウェイトから、2つ目および3つ目のリンクの送信ウェイトが決まる。
よって、非線形方式を用いた1次元MIMOメッシュネットワークには、1つのウェイト鎖しかなく、その関係を図6(B)に示す。すなわち、1次元MIMOメッシュネットワークの片端の起点ウェイトが決まれば、すべてのウェイトが決まることが分かる。このウェイトの初期値は、例えば、第1送信固有ベクトルを用いることで、最適化することが可能である。
<2−2>2次元MIMOメッシュネットワーク
ここで、本発明の第1実施形態に係るMIMOメッシュネットワークを2次元平面に展開した、2次元MIMOメッシュネットワークを図7に示して説明する。
例えば、4本のアンテナを有したメッシュノード(中継ノード)を用意することで、4つのストリームの同時送受信が可能となり、図7に示すような碁盤形の2次元MIMOメッシュネットワークが構築できる。
この2次元MIMOメッシュネットワークを単一周波数チャネルで構成したとすると、

波数利用効率の改善が可能となる。
また、図7に示す2次元MIMOメッシュネットワークは、多端子システムと捉えることができるため、ネットワークコーディングや協力中継などを用いることで、更なる最適化が可能である。
上記のように、本発明の第1実施形態に係るMIMOメッシュネットワークの実施例について図5及び図7に基づいて説明したが、本発明はそれらの実施例に示された1次元や2次元に限定されることはなく、本発明のMIMOメッシュネットワークにおいて、各中継ノード(送信ノード及び受信ノード)を任意の形状に配置することもできる。
<2−3>計算機シミュレーション
ここでは、本発明の第1実施形態に係るMIMOメッシュネットワークの有効性を検証するために、数値シミュレーションを行う。
数値シミュレーションは、図8に示す(A),(B),(C),(D)の4通りのシナリオで行った。説明を簡単にするために、送信ノード#0、受信ノード#1、送信ノード#2の3つのノードで構成される1次元メッシュネットワークを想定する。
シナリオ(A)は、送信ノード#0と受信ノード#1との間のSISO通信である。また、シナリオ(B)は、シナリオ(A)に送信ノード#2からの後向きリンクの干渉を加えたものである。
一方、シナリオ(C)と(D)は、本発明の第1実施形態に係るMIMOメッシュネットワークであり、シナリオ(C)は、線形方式であるZFアルゴリズムを用いたもの、シナリオ(D)は、非線形方式であるSIC/DPCアルゴリズムを用いたものを示している。
ただし、線形方式であるZFアルゴリズムにおける両端の送信ウェイトの初期値は

端の送信ウェイトの初期値は、チャネル行列H10の第1右特異ベクトルとした。
また、各ノードのアンテナ本数は、2としている。そして、伝搬路は、すべて同一で無相関な(IID)レイリーフェージングチャネルとし、それぞれの方式の受信ノード#1における平均周波数利用効率[bps/Hz]を計算する。
例えば、MIMOメッシュネットワークの平均周波数利用効率Cは、下記数31で計算した。
【数31】

ただし、Pはそれぞれの送信ノードの送信電力を、σは受信ノードのアンテナ当りの雑音電力を表している。
モンテカルロシミュレーションにより得られた平均周波数利用効率を図9に示す。
図9より、従来のメッシュネットワークでは、後向きリンクの干渉により高い周波数利用効率が実現できないことが分かる。
一方で、本発明の第1実施形態に係るMIMOメッシュネットワークでは、被干渉回避およびFB多重化を行うことで、後向きリンクの干渉が存在しないSISOメッシュネットワークの2倍近い周波数利用効率が実現できる。
また、本発明の第1実施形態に係るMIMOメッシュネットワークでは、線形方式(ZF)と非線形方式(SIC/DPC)を比較すると、非線形方式(SIC/DPC)がSNR換算で6dB近く特性を改善している。これは前向きリンクに整合ウェイトを用いることによるアレーゲインに起因するものである。
<3>本発明の第2実施形態に係るMIMOメッシュネットワーク
次に、本発明の第2実施形態に係るMIMOメッシュネットワークについて詳細に説明する。本発明の第2実施形態に係るMIMOメッシュネットワークによれば、従来のメッシュネットワークにおける同一チャネル干渉問題を解決するとともに、リンク多重をも実現し、ネットワーク全体のキャパシティを改善することができる。
<3−1>ネットワークモデル
ここで、複数の中継ノードを有し、各中継ノードがM本のMIMOアンテナを搭載するとともに、各ノード間に無線リンクを張ることにより、無線ネットワークを構築する、本発明の第2実施形態に係るMIMOメッシュネットワークのネットワークモデルを図示する。
図面の見易さから、5つの中継ノードを有し、各中継ノードが3本(M=3)のMIMOアンテナを搭載した本発明の第2実施形態に係るMIMOメッシュネットワークのネットワークモデルを図10に示した。
図10に示されたように、本発明の第2実施形態に係るMIMOメッシュネットワークでは、前向きリンク(Forward link)及び後向きリンク(Backward link)が空間的に多重化されている。
以下では、あるノードに隣接する2つのリンクに着目して、各ノードがM本のMIMOアンテナを搭載した本発明の第2実施形態に係るMIMOメッシュネットワークの信号モデルを定式化する。

下記数32〜数37を用いて、モデル化することができる。
【数32】

【数33】

【数34】

【数35】

【数36】

【数37】


きリンク及び後向きリンクに対する送信信号であり、Hij∈CM×Mはj番目のノードからi

等価な加法性雑音である。

となる。
本発明の第2実施形態に係るMIMOメッシュネットワークでは、送受信ウェイトの組合せにより、干渉回避を行い、また同時に前向きリンク及び後向きリンクの空間多重を実現する。以下、本発明の第2実施形態に係るMIMOメッシュネットワークにおいて、干渉回避と空間多重を同時に実現するための送受信ウェイトの計算処理方法を、線形方式と非線形方式に分けて具体的に説明する。
<3−2>線形方式
アレーアンテナを用いた干渉キャンセルの方法としては、線形方式であるZFアルゴリズム、MMSEアルゴリズムや非線形方式であるSIC/DPCアルゴリズムなどがある。
ここでは、MIMO伝送方式として線形方式であるZFアルゴリズムを用いた場合の本発明の第2実施形態に係るMIMOメッシュネットワークにおける送受信ウェイトの計算処理方法について説明する。
一般に、M素子アレーアンテナを用いた線形方式(ZFアルゴリズム)では、(M−1)個の干渉信号をキャンセルすることができる。簡単のために、M=3の場合を考えると、1つのアンテナウェイトを用いて、2つまでの干渉信号をキャンセルすることができる。
しかし、MIMOメッシュネットワークでは、1つの所望信号に対して3つの干渉信号があるため、1つのアンテナウェイトでは対処できない問題がある。
そこで、図11の模式図に示すように、線形方式を用いた本発明のMIMOメッシュネットワークでは、送信ウェイトと受信ウェイトの組合せによって、干渉信号をキャンセルするようにしている。以下、図11に基づき、線形方式における送受信ウェイトの計算処理手順(決定手順)を詳細に説明する。
なお、以下、「k番目のノード」を単に「第kノード」とも称する。「第kノード」の状態が受信ノードの場合、以下、単に、「第k受信ノード」とも称する。「第kノード」の状態が送信ノードの場合、以下、単に、「第k送信ノード」とも称する。ただし、kは1からの任意の自然数である。
本発明のMIMOメッシュネットワークでは、第1ノードから最終ノードまで順番に、送受信ウェイトを決定(計算)するようにしている。ここで、第i受信ノードに着目する

る。
このとき、第(i−1)送信ノードと第i受信ノードの間のシステムモデルは、等価送信

【数38】

【数39】


する。
線形方式であるZFアルゴリズムを用いた場合の本発明の第2実施形態に係るMIMO

41に基づいて計算される。
【数40】

【数41】

ここで、(x,y)はxとyの両方に直交する基底ベクトルであり、(x,y)はyに直交する空間の中でxに最も平行する基底ベクトルである。

用いることにより、第(i−1)送信ノードと第i受信ノードの間のシステムは、下記数42及び数43によってモデル化されることができる。
【数42】

【数43】


きリンクの等価チャネル係数である。
次に、第i受信ノードと第(i+1)送信ノードの間のシステムは、上記数40及び数4

数45によってモデル化されることができる。
【数44】

【数45】


向きリンクの等価受信チャネルベクトルである。

ドが送信モードのときに、その共役受信ウェイトを介してトレーニング信号を送信するこ

線形方式であるZFアルゴリズムを用いた場合の本発明の第2実施形態に係るMIMO

46及び数47に基づいて計算される。
【数46】

【数47】

上記数46及び数47に基づいて計算された第(i+1)送信ノードの送信ウェイト

は、下記数48及び数49によってモデル化されることができる。
【数48】

【数49】


きリンクの等価チャネル係数である。
最後に、上記数42、数43、数48、数49を組み合わせることにより、上記数32及び数33は、下記数50及び数51によって表される。
【数50】

【数51】

つまり、上記数50及び数51は、第i受信ノードが隣接ノード(即ち、第(i−1)送信ノード及び第(i+1)送信ノード)からの干渉なく、前向きリンクと後向きリンクの信号を同時に受信することが可能であることを意味する。
以上では、MIMO伝送方式として線形方式であるZFアルゴリズムを用いた場合の本発明の第2実施形態に係るMIMOメッシュネットワークにおける送受信ウェイトの計算処理方法について詳細に説明したが、本発明で用いる線形方式として、ZFアルゴリズムに限定されることはなく、例えば、MMSEアルゴリズムを用いることも勿論可能である。
<3−3>非線形方式(SIC/DPC)
ここでは、MIMO伝送方式として非線形方式であるSIC/DPCアルゴリズムを用いた場合の本発明の第2実施形態に係るMIMOメッシュネットワークにおける送受信ウェイトの計算処理方法について説明する。
非線形方式を用いた場合では、送信側でDPCアルゴリズム、受信側でSICアルゴリズムをそれぞれ用いる。本発明の第2実施形態に係るMIMOメッシュネットワークにおいて、DPC/SICアルゴリズムを用いることにより、線形方式(ZFアルゴリズム)を用いた場合に比べて、直交拘束条件を減らすことが可能となり、余剰のアレー自由度を用いて高いダイバーシチ利得を実現することができる。
図12の模式図に示すように、非線形方式を用いた本発明のMIMOメッシュネットワークでは、送信ウェイトと受信ウェイトの組合せによって、干渉信号をキャンセルするようにしている。図12の模式図に基づき、非線形方式における送受信ウェイトの計算処理手順(決定手順)を詳細に説明する。
本発明のMIMOメッシュネットワークでは、第1ノードから最終ノードまで順番に送受信ウェイトを決定(計算)するようにしている。非線形方式(DPC/SICアルゴリズム)を用いた場合において、第i受信ノードに着目すると、第(i−1)送信ノードの送

【数52】

【数53】

ただし、xはxに平行する基底ベクトルであり、(x,y)はxとyの両方に直交する基底ベクトルである。
ここで、線形方式(ZFアルゴリズム)を用いた場合に比べて、非線形方式(DPC/


発明のMIMOメッシュネットワークによれば、余剰のアレー自由度を用いて、高いダイバーシチ利得を実現することができる。

用いることにより、上記数38及び数39によってモデル化された第(i−1)送信ノードと第i受信ノードの間のシステムは、下記数54及び数55によってモデル化されることができる。
【数54】

【数55】


ードの後向きリンクから第i受信ノードの前向きリンクへの干渉信号に相当する等価チャネル係数である。

信ノードへフィードバックする。

セルすることができる。
【数56】

【数57】

なお、DPCアルゴリズムでは、干渉信号を所望信号から差し引くようにしているため、送信電力の変動問題を発せさせることもある。よって、実用上は、DPCアルゴリズムの代わりに、例えば、非特許文献8に開示された「トムリンソーハラシマ プレコーディング(Tomlinson−Harashima precoding)」や非特許文献9に開示された「ラティス プレコーディング(lattice precoding)」等のアルゴリズムを用いることができる。これらのアルゴリズムの性能の上界は、DPCアルゴリズムの性能に漸近する。
非線形方式(DPC/SICアルゴリズム)を用いた場合において、次に、上記数52

(決定される)。
【数58】

【数59】

ここでも、線形方式(ZFアルゴリズム)を用いた場合に比べて、非線形方式(DPC

用いた本発明のMIMOメッシュネットワークによれば、高いダイバーシチ利得を実現することができる。
上記数58及び数59に基づいて計算された第(i+1)送信ノードの送信ウェイト

ノードと第(i+1)送信ノードの間のシステムは、下記数60及び数61によってモデル化されることができる。
【数60】

【数61】


ノードの前向きリンクへの干渉信号に相当する等価チャネル係数である。また、

等価チャネル係数である。

下記数62のように、他リンクからの干渉なく受信されるため、SICアルゴリズムによる非線形処理により、干渉信号をキャンセルすることができる。
【数62】


を検波する。
【数63】


引くことにより、干渉キャンセルを実現する。
【数64】


最後に、上記数62及び数64より、非線形方式(SIC/DPCアルゴリズム)を用いた本発明のMIMOメッシュネットワークによれば、隣接ノードからの干渉なく、前向きリンクと後向きリンクの多重伝送が可能となることが分かる。
また、線形方式(ZFアルゴリズム)を用いた本発明のMIMOメッシュネットワークに比べて、非線形方式(SIC/DPCアルゴリズム)を用いた本発明のMIMOメッシュネットワークは、更に高いダイバーシチ利得を実現している。
<3−4>チャネル推定方法(チャネル推定プロトコル)
上述したように、本発明のMIMOメッシュネットワークでは、双方向信号ストリームが空間多重されており、また、同時に隣接ノードからの干渉信号がキャンセルされている。これを実現するためには、各ノードは隣接するリンクの送信ウェイト又は受信ウェイト及びチャネル行列(チャネル情報)を計算(決定)する必要がある。
本発明のMIMOメッシュネットワークにおけるチャネル推定方法について、以下のように説明する。

立っている場合(ただし、[・]は転置を表す。)の、本発明のMIMOメッシュネットワークに適用されるチャネル推定の方法(プロトコル)の好適例について説明する。なお、一般的には、伝搬路が静的でRF回路のキャリブレーションが行われている場合は、チャネルの相反性が成り立つ。
<3−4−1>第iノードの状態が受信ノードの場合
本発明のMIMOメッシュネットワークにおいて、第iノードの状態が受信ノード、即ち、“Rx”の場合には、第(i−1)送信ノードから第i受信ノードへのチャネル行列

この第iノード(第i受信ノード)に着目すると、第(i−1)送信ノードの送信ウェイ


にしている。

推定するために、まず、下記数65及び数66のように、互いに直交しているトレーニン

【数65】

【数66】


受信ノードの加法性雑音ベクトルである。

【数67】

【数68】


<3−4−2>第iノードの状態が送信ノードの場合
本発明のMIMOメッシュネットワークにおいて、第iノードの状態が送信ノード、即ち、“Tx”の場合には、第i送信ノードから第(i−1)受信ノードへのチャネル行列

この第iノード(第i送信ノード)に着目すると、第(i−1)受信ノードの受信ウェイ

にしている。

すチャネルの相反性の性質を利用する。
【数69】

ただし、[・]は複素共役を表し、[・]は転置を表し、[・]は複素共役転置を表す。

後向きリンクの受信ウェイトは、前向きリンクの送信ウェイトと等価になり、また

価になる。

相反性の性質を持ち、数式で表すと、下記数70及び数71になる。
【数70】

【数71】



つまり、上記数67及び数68によって推定された等価送信チャネルベクトル

また、チャネルの相反性が成立した場合は、フィードバック制御、又はフィードフォワード制御を行う必要がない。
本発明のMIMOメッシュネットワークでは、まず、第1ノードから順番に等価送信チャネルベクトルを推定するといった初期チャネル推定処理を行い、そして、全てのノードの初期チャネル推定処理が終わった後に、各ノードが逐次的かつ分散的にチャネル追従を行うようにする。
<3−5>計算機シミュレーションによる性能評価
ここでは、本発明の第2実施形態に係るMIMOメッシュネットワークの有効性(性能)を検証するために、計算機シミュレーションによる性能評価を行った。
<3−5−1>シミュレーション条件
計算機による数値シミュレーションを行う条件は、以下の通りである。
条件1:
1次元メッシュネットワークを構成するノード数は8ノードである。
条件2:
数値シミュレーション用のシナリオを図13に示す。図13に示す(a),(b),(c),(d),(e),(f)の6通りのシナリオは、単一チャネルと複数チャネルの2種類に分類される。
具体的に、単一チャネル(1チャネル)に分類されたのは、シナリオ(a):SISOメッシュネットワーク(単一チャネル)、シナリオ(c):スマートアンテナメッシュネットワーク、シナリオ(e):ZF方式を用いた本発明のMIMOメッシュネットワーク、シナリオ(f):SIC/DPC方式を用いた本発明のMIMOメッシュネットワークである。
複数チャネル(2チャネル)に分類されたのは、シナリオ(b):SISOメッシュネットワーク(デュアル・チャネル)、シナリオ(d):リンク毎MIMOメッシュネットワークである。
条件3:
各ノードが複数アンテナを持つシナリオ、即ち、シナリオ(c):スマートアンテナメッシュネットワーク、シナリオ(d):リンク毎MIMOメッシュネットワーク、シナリオ(e):ZF方式を用いた本発明のMIMOメッシュネットワーク、シナリオ(f):SIC/DPC方式を用いた本発明のMIMOメッシュネットワークでは、各ノードのアンテナ本数は3とする。
条件4:
隣接ノードとの距離は、全て等しくdとする。送信ノードと受信ノードの全ての組合わせについて、その両者間の距離を表したマトリクスを図14に示す。図14では、ある受信ノードにおいて、所望信号と干渉信号を送信しているノードとの距離は、その受信ノード番号の行に示されている。
図14より、全てのシナリオにおいて、第4ノードの干渉条件が最も厳しいことが分かる。従って、第4ノードのキャパシティがネットワークキャパシティにおいて支配的となる。よって、以下の数値解析では、第4ノードの性能を評価する。なお、マルチホップリレーネットワークの場合、第4ノードに接続されているリンクがボトルネックになるので、第1ノードから第8ノードまでのエンド間キャパシティは、第4ノードのキャパシティの傾向とほぼ一致する。
条件5:
隣接する任意のノードにおける任意の送受信アンテナ間のチャネルは、互いに独立で同一の分布(Independently Identical Distributed、IID)のフラットレイリーフェージングチャネルに従うものとする。また、それらの電力は、距離により減衰するものとし、パスロス定数は3.5である。全てのチャネルは、見通し外(Non Line Of Sight、NLOS)環境を想定した人工的な環境である。
条件6:
シナリオ(d)、即ち、リンク毎MIMOメッシュネットワークでは、それぞれのリンクにおいて固有モード(Singular Value Decomposition、SVD)MIMO伝送(非特許文献10を参照)を想定する。固有モードMIMO伝送では、各リンクのチャネル行列の右及び左特異行列を、それぞれ送信ウェイト及び受信ウェイトとして用いる。
条件7:
ネットワークチャネルキャパシティを表す値として、第4ノードの総チャネルキャパシティを評価する。例えば、フェージング変動に対するMIMOメッシュネットワークの平均チャネルキャパシティCmimoは、下記数72に基づいて計算される。
【数72】


電力(Signal to Interference & Noise Ratio,SINR)をそれぞれ表している。

下記数73及び数74に基づいて計算される。
【数73】

【数74】


あたりの雑音電力はσで定義されている。終端ノード(第1ノード)の場合、総電力はどちらか一方のリンク(第1ノードでは前向きリンク)にだけに供給され、それ以外のノードの場合には、総電力は前向きリンクと後向きリンクにそれぞれ分配される。

7及び数78でそれぞれ定義されている。
【数75】

【数76】

【数77】

【数78】

条件8:
ノードあたりの総送信電力はPであり、受信アンテナあたりの雑音電力はσである。したがって、単位のチャネル利得を持つリンクのアンテナあたりの信号対雑音電力(Signal to Noise Ratio,SNR)は、P/σで与えられ、ネットワークの性能評価を示す図15及び図16の横軸となっている。
<3−5−2>ネットワークキャパシティの数値解析結果
図15と図16に、モンテカルロシミュレーションにより計算した各シナリオのSNRに対する平均総キャパシティを示す。図15は、本発明に係るMIMOメッシュネットワークの基本解析のために、距離3d以上のノードからの干渉信号は無視している。
図15より、シナリオ(a)、即ち、SISOメッシュネットワーク(単一チャネル)の性能は、隣接ノードからの干渉のために、最も特性が悪いことが良く分かる。これに対して、シナリオ(b)、即ち、SISOメッシュネットワーク(デュアル・チャネル)では、メディアアクセスコントロール(Media Access Control,MAC)プロトコルを導入することにより、干渉回避が実現され、性能改善につながる。また、シナリオ(c)、即ち、スマートアンテナメッシュネットワークでは、単一チャネルであっても干渉回避できることから、SISOメッシュネットワーク(デュアル・チャネル)の2倍以上の特性となる。そして、シナリオ(d)、即ち、リンク毎MIMOメッシュネットワークの性能は、それぞれのリンク内で多重化利得があるために、SISOメッシュネットワーク(デュアル・チャネル)の約3倍の特性が得られる。
一方、本発明のMIMOメッシュネットワークのスループット性能は、SISOメッシュネットワークの4倍以上となる。これは、本発明のMIMOメッシュネットワーク、即ち、シナリオ(e)ZF方式を用いた本発明のMIMOメッシュネットワーク、及びシナリオ(f)SIC/DPC方式を用いた本発明のMIMOメッシュネットワークが、リンク多重と同時に干渉回避を単一チャネルで実現できるためである。また、ZF方式を用いた本発明のMIMOメッシュネットワークと、SIC/DPC方式を用いた本発明のMIMOメッシュネットワークとを比較すると、SIC/DPC方式を用いた本発明のMIMOメッシュネットワークでは、ZF方式を用いた本発明のMIMOメッシュネットワークよりも、同じネットワークキャパシティを実現するSNRを約2dB改善することができる。これは、SIC/DPC方式を用いた本発明のMIMOメッシュネットワークが、最大化ウェイトにより、アレイ(ビームフォーミング)利得とダイバーシティ利得を得るためである。
図16はネットワーク内のすべての干渉信号を考慮した平均総キャパシティを示している。図16から、距離2d以上の干渉のために、SNRが高い領域(この場合約17dBに相当)において性能の飽和が見られる。図16より、すべての干渉信号を考慮しても、全てのシナリオにおいて、本発明のMIMOメッシュネットワーク(シナリオ(e)及びシナリオ(f))が優れていることが一目瞭然である。
図16では、SNRが高い領域において、平均総キャパシティは、シナリオ(f)SIC/DPC方式を用いた本発明のMIMOメッシュネットワーク、シナリオ(e)ZF方式を用いた本発明のMIMOメッシュネットワーク、シナリオ(d)リンク毎MIMOメッシュネットワークリ、シナリオ(c)スマートアンテナメッシュネットワーク、シナリオ(b)SISOメッシュネットワーク(デュアル・チャネル)、シナリオ(a)SISOメッシュネットワーク(単一チャネル)の順に優れている。
<4>本発明に係るMIMOメッシュネットワークの一般化
以上では、本発明の第1実施形態及び第2実施形態に係るMIMOメッシュネットワークについて詳細に説明した。上述した本発明に係るMIMOメッシュネットワークによれば、干渉回避を行うと共に、双方向リンクにおける複数のストリーム信号(前向きリンク及び後向きリンクにおける複数のストリーム信号)を多重化して伝送することができ、また、単方向リンクにおける複数のストリーム信号(異なる前向きリンクにおける複数のストリーム信号、又は、異なる後向きリンクにおける複数のストリーム信号)を多重化して伝送することもできる。
以下では、本発明に係るMIMOメッシュネットワークを一般化する。複数の中継ノードを有し、各中継ノードがM本のMIMOアンテナを搭載すると共に、各中継ノード間に無線リンクを張ることにより、無線ネットワークを構築する、一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークのネットワークモデルを図示する。
図面の見易さから、5つの中継のノードを有し、各中継ノードがM本のMIMOアンテナ(M素子アレーアンテナ)を搭載した本発明に係るMIMOメッシュネットワークのモデルを図17に示した。
図17に示されたように、一般化された本発明に係るMIMOメッシュネットワークでは、各ノードがM素子のMIMOアンテナ(M素子アレーアンテナ)を搭載しており、前向きリンクにK個のストリーム信号(以下、単に、Kストリームとも称する。)を多重化しているとともに、後向きリンクにK個のストリーム信号(以下、単に、Kストリームとも称する。)をも多重化している。
よって、あるノードが送信または受信する総ストリーム数K(以下、単に、送受信する総ストリーム数Kとも称する。)は、K=K+Kとなっている。ただし、アンテナ素子数Mと、前向きリンクにおけるストリーム数Kと、後向きリンクにおけるストリーム数Kは、下記数79で表した条件を満たすものとする。
【数79】

上記数79で表した条件を満たすとき、以上に説明した線形及び非線形のアルゴリズムを一般的なトポロジーに適用することができる。
例えば、前向きリンクにK=1ストリームと、後向きリンクにK=1ストリームとを多重化する双方向リンク信号伝送では、最低M=3素子のMIMOアンテナが必要となる。また、ノードに4素子(M=4)のMIMOアンテナを搭載した場合は、{K,K}={1,1}の双方向リンク信号伝送以外に、{K,K}={2,0}や{K,K}={0,2}の単方向リンク信号伝送も可能となる。
要するに、一般化された本発明に係るMIMOメッシュネットワークでは、各ノードにおいて、(M−1)ストリーム信号を多重化する任意のトポロジーを形成することができる。
また、各ノードに数79で表した条件を満たす場合、リンク毎に異なる多重化方式を採用することもできる。このように、本発明に係るMIMOメッシュネットワークでは、前向きリンクにおけるストリームや後向きリンクにおけるストリーム信号のデータレートや伝搬路の状況に応じて、これらのストリーム信号多重化トポロジーを適応的に制御することも可能である。
以下では、あるノードに隣接する2つのリンクに着目して、一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークの信号モデルを定式化する。

ができる。
【数80】

【数81】

【数82】

【数83】

【数84】

【数85】


はj番目のノードにおける前向きリンクと後向きリンクに対する送信ウェイト行列であり、

リンク及び後向きリンクの等価な加法性雑音ベクトルである。
上記のように定式化された信号モデルを有する、一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークにおいて、干渉回避及び空間多重を同時に実現するための送受信ウェイト行列の求め方法(計算処理手順)を、線形方式と非線形方式に分けて具体的に説明する。
<4−1>線形方式
一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークでは、第1ノードから最終ノードまで順番に送受信ウェイト行列を決定(計算)するようにしいる。
ここでは、MIMO伝送方式として線形方式(ブロックZFアルゴリズム、又は、ブロックMMSEアルゴリズム)を用いた場合の一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークにおける送受信ウェイト行列の計算処理方法(計算処理手順)について説明する。
図18の模式図に示すように、線形方式を用いた「一般化された本発明に係るMIMOメッシュネットワーク」では、ブロックZFアルゴリズム(またはブロックMMSEアルゴリズム)による線形干渉キャンセルにより、異なるリンク間の干渉回避を行いつつ、各リンクにおいて通常のMIMOマルチストリーム伝送(以下、単に、「MIMO多重伝送」とも称する。)を行う。
ここで、線形方式としてブロックZFアルゴリズムを用いた「一般化された本発明に係るMIMOメッシュネットワーク」では、まず、ブロックZFアルゴリズムによる線形干渉キャンセルによって他リンクへの干渉回避を行った上で、リンク毎にMIMO多重伝送を行う。そのときの各送受信ウェイト行列は、下記数86〜数89で表される。
【数86】

【数87】

【数88】

【数89】


向きリンクと後向きリンクに対するブロックZF送信ウェイト行列であり、

リンクへの干渉回避を行った前向きリンクと後向きリンクのMIMO送信ウェイト行列で

回避を行った前向きリンクと後向きリンクのMIMO受信ウェイト行列である。
<4−1−1>受信ノードのウェイト計算処理手順(ウェイト決定方法)
ここで、第i受信ノードに着目すると、第(i−1)送信ノードの後向きリンクに対する

第(i−1)送信ノードの前向きリンクに対するブロックZF送信ウェイト行列

【数90】

【数91】


及び数93に基づいて計算(決定)される。
【数92】

【数93】


は、下記数94に基づいて計算される。
【数94】


このとき、上記数82と数84は、下記数95と数96となり、第(i−1)送信ノードと第i受信ノードとの間には、ブロックZFによって異なるリンクからの干渉を回避した

【数95】

【数96】

【数97】

これは、(M−K)素子の送信アンテナと(M−K)素子の受信アンテナからなるMIMOチャネルに、Kストリームの多重伝送を行う通常のMIMOシステムと等価であり、任意のMIMO伝送方式(例えば、非特許文献11の第6章〜第8章に記載の任意のMIMO伝送方式、例えば送信側でチャネル情報を用いるクローズドループ方式やチャネル情報を用いないオープンループ方式、クローズドループ方式としてアンテナ選択方式やSVD−MIMO方式やプレコーディング方式やDPC方式やTomlinson−Harashima precoding方式、オープンループの方式として時空間符号化方式、またこれらの受信方式として、線形のZFアルゴリズムやMMSEアルゴリズム、非線形のSICアルゴリズムや最尤推定アルゴリズムなど)を適用することができる。
オープンループ方式で受信側にZFアルゴリズムを用いた場合は、送信側では、Kストリームを多重送信し、受信側では、受信したKストリームの分離を行う。このとき、

た場合は、下記数98が成立する。
【数98】


単位行列の第1〜K列である。
このとき、第(i−1)送信ノードの前向きリンクに対する送信ウェイト行列は、下記数99に基づいて計算される。
【数99】

オープンループ伝送方式の受信方式としては、線形の場合はZFアルゴリズムやMMSEアルゴリズムを用いることができる。
例えば、ZFアルゴリズムを用いた場合は、下記数100で表す等価送信チャネル行列

下記数101に基づいて計算される。
【数100】

【数101】

ただし、[・]−1は[・]の一般逆行列であり、また、[・]は[・]の複素共役転置である。
このとき、第i受信ノードの前向きリンクに対する受信ウェイト行列は、下記数102に基いて計算される。
【数102】

<4−1−2>送信ノードのウェイト計算処理手順(ウェイト決定方法)
次に、第(i+1)送信ノードに着目すると、第i受信ノードの前向きリンクに対する受

決定されている状態であり、既知である。

ドが送信モードのときに、その共役受信ウェイトを介してトレーニング信号を送信するこ

習する。もしくは、第(i+1)送信ノードではトレーニング信号を送信し、第i受信ノー

【数103】

【数104】

ただし、[・]は[・]の複素共役であり、また、[・]は[・]の転置である。

記数105及び数106に基づいて計算(決定)される。
【数105】

【数106】


は、下記数107に基づいて計算される。
【数107】


このとき、上記数83と数85は、下記数108と数109となり、第(i+1)送信ノードと第i受信ノードとの間には、ブロックZFによって異なるリンクからの干渉を回避

【数108】

【数109】

【数110】

これは、(M−K)素子の送信アンテナと(M−K)素子の受信アンテナからなるMIMOチャネルに、Kストリームの多重伝送を行う通常のMIMOシステムと等価であり、任意のMIMO伝送方式(例えば、非特許文献11の第6章〜第8章に記載の任意のMIMO方式、例えば送信側でチャネル情報を用いるクローズドループ方式やチャネル情報を用いないオープンループ方式、クローズドループ方式としてアンテナ選択方式やSVD−MIMO方式やプレコーディング方式やDPC方式やTomlinson−Harashima precoding方式、オープンループの方式として時空間符号化方式、またこれらの受信方式として、線形のZFアルゴリズムやMMSEアルゴリズム、非線形のSICアルゴリズムや最尤推定アルゴリズムなど)を適用することができる。
オープンループ方式で送信側にZFアルゴリズムを用いた場合は、後向きリンクにおいて、受信ウェイトは固定されているため、送信側では、事前にストリーム分離を行うウェイトを用いて、Kストリームを多重送信する。このとき、受信側では、(M−K)次のブ

立する。
【数111】


位行列の第1〜K列である。
このとき、第i受信ノードの後向きリンクに対する受信ウェイト行列は、下記数112に基づいて計算される。
【数112】

オープンループ伝送方式の送信方式としては、線形の場合はZFアルゴリズムやMMSEアルゴリズムを用いることができる。
例えば、ZFアルゴリズムを用いた場合は、下記数113で表す等価受信チャネル行列

【数113】

【数114】

ただし、[・]は[・]の複素共役であり、また、[・]は[・]の転置であり、そして、[・]−1は[・]の一般逆行列である。
このとき、第(i+1)送信ノードの後向きリンクに対する送信ウェイト行列は、下記数115に基づいて計算される。
【数115】

最後に、数95、数96、数108、数109を組み合わせると、上記数80で表す第

117となる。
【数116】

【数117】


トリームの等価なチャネル応答を対角成分に持つ行列であり、下記数118に基づいて計

のKストリームの等価なチャネル応答を対角成分に持つ行列であり、下記数119に基づいて計算される。
【数118】

【数119】

上記数116、数117、数118、数119より、MIMO伝送方式として線形方式を用いた「一般化された本発明に係るMIMOメッシュネットワーク」では、隣接ノードからの干渉なく、前向きリンクと後向きリンクにおいて、それぞれKストリームとKストリームのMIMO伝送が行えていることが分かる。
本発明では、上述した送受信ウェイト行列の計算処理手順を、第1ノードから最終ノードまで順番に行うことにより、全てのノードの送受信ウェイト行列を算出(決定)することができる。
以上では、MIMO伝送方式として線形方式であるブロックZFアルゴリズムを用いた場合の一般化された本発明に係るMIMOメッシュネットワークにおける送受信ウェイトの計算処理方法について詳細に説明したが、本発明で用いる線形方式として、ブロックZFアルゴリズムに限定されることはなく、例えば、ブロックMMSEアルゴリズムを用いることも勿論可能である。
<4−2>非線形方式
ここでは、MIMO伝送方式として非線形方式を用いた場合の一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークにおける送受信ウェイト行列の計算処理方法(計算処理手順)について説明する。
本発明では、MIMO伝送方式として非線形方式を用いた場合に、ブロックZFアルゴリズム(又はブロックMMSEアルゴリズム)に加えて、送信側でブロックDPCアルゴリズムを、受信側でブロックSICアルゴリズムをそれぞれ用いる。
図19の模式図に示すように、非線形方式を用いた「一般化された本発明に係るMIMOメッシュネットワーク」では、ブロックZFアルゴリズム(又はブロックMMSEアルゴリズム)による線形干渉キャンセルと、ブロックSICアルゴリズム/ブロックDPCアルゴリズムによる非線形干渉キャンセルの組合せによって、他リンクへの干渉回避を行った上で、各リンクにおいて通常のMIMO多重伝送を行う。そのときの各送受信ウェイト行列は、下記数120〜数123で表される。
【数120】

【数121】

【数122】

【数123】


ブロックZFによって他リンクへの干渉回避を行った前向きリンクと後向きリンクのMI

ードにおいて、ブロックZFによって他リンクからの干渉回避を行った前向きリンクと後向きリンクのMIMO受信ウェイト行列である。
後述するが、非線形干渉キャンセルの効果により、後向きリンクに対する送信ウェイト

て、高いダイバーシチ利得を実現することができる。
<4−2−1>受信ノードのウェイト計算処理手順(ウェイト決定方法)
ここで、第i受信ノードに着目すると、第(i−1)送信ノードの後向きリンクに対する

第(i−1)送信ノードの前向きリンクに対するブロックZF送信ウェイト行列

非線形方式を用いた場合の一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークでは、線形方式を用いた場合の一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークと同様に、まず、始めに、上記数90及び数91のように、第i受信ノードでは、第(i−1)送信ノ

る。

4及び数125に基づいて計算(決定)される。
【数124】

【数125】

ただし、IはM次の単位行列であり、[・]は[・]の正規直交補空間基底行列である。また、

【数126】

このとき、線形方式を用いた場合の一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークと同様に、第i受信ノードの前向きリンクを、下記数127で表す等価チャネル行列

【数127】

これは、(M−K)素子の送信アンテナとM素子の受信アンテナからなるMIMOチャネルに、Kストリームの多重伝送を行う通常のMIMOシステムと等価であり、任意のMIMO伝送方式(例えば、非特許文献11の第6章〜第8章に記載の任意のMIMO伝送方式、例えば送信側でチャネル情報を用いるクローズドループ方式やチャネル情報を用いないオープンループ方式、クローズドループ方式としてアンテナ選択方式やSVD−MIMO方式やプレコーディング方式やDPC方式やTomlinson−Harashima precoding方式、オープンループの方式として時空間符号化方式、またこれらの受信方式として、線形のZFアルゴリズムやMMSEアルゴリズム、非線形のSICアルゴリズムや最尤推定アルゴ

用されたMIMO伝送方式のMIMO送受信ウェイト行列として求まる。
また、非線形方式を用いた場合の一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークでは、線形方式を用いた場合の一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークと比べると、等価受信アンテナ素子数が(M−K)からMに増加しているため、高いダイバーシチ利得が得られる。

84は、下記数128と数129に変形することができる。
【数128】

【数129】


送信ノードの後向きリンクから第i受信ノードの前向きリンクへの干渉に相当する等価チャネル行列であり、下記数131に基づいて計算される。
【数130】

【数131】


クから第i受信ノードの前向きリンクへの干渉信号に相当する等価チャネル行列であり、下記数132に基づいて計算される。
【数132】


クDPCアルゴリズムを用いて、干渉信号を次のようにキャンセルすることができる。なお、本発明では、ブロックDPCアルゴリズムを用いることに限定されることはなく、例えば、ブロックTomlinson−Harashima precodingアルゴリズムやブロック lattice precodingアルゴリズム等の非線形アルゴリズムを用いることもできる。

クする方法を用いることもできる。
ブロックDPCアルゴリズムを用いた場合では、第(i−1)送信ノードの前向きリン

【数133】


すことができる。数134から、第(i−1)送信ノードの後向きリンクからの干渉を回避して、マルチストリームの多重伝送が可能となっていることが良く分かる。
【数134】

<4−2−2>送信ノードのウェイト計算処理手順(ウェイト決定方法)
次に、第(i+1)送信ノードに着目すると、第i受信ノードの前向きリンクに対する受

決定されている状態であり、既知である。
非線形方式を用いた場合の一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークでは、線形方式を用いた場合の一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークと同様に、まず、始めに、上記数103及び数104のように、第(i+1)送信ノードでは、チャネ

信ウェイトを介してトレーニング信号を送信することにより、等価受信チャネル行列

いることもできる。

記数135及び数136に基づいて計算(決定)される。
【数135】

【数136】

ただし、IはM次の単位行列であり、[・]は[・]の正規直交補空間基底行列である。また、

【数137】

このとき、線形方式を用いた場合の一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークと同様に、第(i+1)送信ノードの後向きリンクを、下記数138で表す等価チャネ

【数138】

これは、M素子の送信アンテナと(M−K)素子の受信アンテナからなるMIMOチャネルに、Kストリームの多重伝送を行う通常のMIMOシステムと等価であり、任意のMIMO伝送方式(例えば、非特許文献11の第6章〜第8章に記載の任意のMIMO伝送方式、例えば送信側でチャネル情報を用いるクローズドループ方式やチャネル情報を用いないオープンループ方式、クローズドループ方式としてアンテナ選択方式やSVD−MIMO方式やプレコーディング方式やDPC方式やTomlinson−Harashima precoding方式、オープンループの方式として時空間符号化方式、またこれらの受信方式として、線形のZFアルゴリズムやMMSEアルゴリズム、非線形のSICアルゴリズムや最尤推定アルゴ

用されたMIMO伝送方式のMIMO送受信ウェイト行列として求まる。
また、非線形方式を用いた場合の一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークでは、線形方式を用いた場合の一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークと比べると、等価送信アンテナ素子数が(M−K)からMに増加しているため、高いダイバーシチ利得が得られる。

数85は、下記数139と数140に変形することができる。
【数139】

【数140】


送信ノードの後向きリンクから第i受信ノードの前向きリンクへの干渉に相当する等価チャネル行列であり、下記数142に基づいて計算される。
【数141】

【数142】


クから第i受信ノードの前向きリンクへの干渉信号に相当する等価なチャネル行列であり、下記数143に基づいて計算される。
【数143】



SICアルゴリズムによる非線形処理を用いて、干渉信号をキャンセルすることができる。
【数144】


ブロックSICアルゴリズムを用いた場合に、第i受信ノードは、採用されたMIMO

キャンセルを実現する。
【数145】


最後に、上記数144及び数145より、非線形方式(ブロックSIC/DPCアルゴリズム)を用いた場合の一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークによれば、隣接ノードからの干渉なく、前向きリンクと後向きリンクにおいて、マルチストリームの多重伝送が可能となることが分かる。
また、非線形方式を用いた場合の一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークは、線形方式を用いた場合の一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークに比べて、ブロックSIC/DPCアルゴリズムを用いることにより、直交拘束条件を減らし、余剰のアレー自由度を用いて高いダイバーシチ利得を実現している。
本発明では、上述した送受信ウェイト行列の計算処理手順を、第1ノードから最終ノードまで順番に行うことにより、全てのノードの送受信ウェイト行列を算出(決定)することができる。
以上のように、一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークの実施形態について、図17、図18及び図19を用いて詳細に説明したが、本発明はそれらの図面に示されたような1次元MIMOメッシュネットワーク(リレーMIMOネットワーク)に限定されることはなく、各中継ノードを2次元に、もしくは、任意の形状に配置することも勿論可能である。
そして、本発明では、MIMO伝送方式として、線形方式も非線形方式も用いることが可能である。上述した本発明の実施形態において、線形方式を用いた場合に、ZFアルゴリズム及びブロックZFアルゴリズムを実施例として説明したが、本発明はそれらに限定されることはなく、例えば、MMSEアルゴリズムやブロックMMSEアルゴリズム等の線形アルゴリズムを用いることも勿論可能である。
また、上述した本発明の実施形態において、非線形方式を用いた場合に、SIC/DPCアルゴリズム及びブロックSICアルゴリズム/ブロックDPCアルゴリズムを実施例として説明したが、本発明はそれらに限定されることはなく、Tomlinson−Harashima precodingアルゴリズム、lattice precodingアルゴリズム、ブロックTomlinson−Harashima precodingアルゴリズムやブロックlattice precodingアルゴリズム等の非線形アルゴリズムを用いることも勿論可能である。
<4−3>MIMO−OFDMメッシュネットワーク
上述した一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークは、直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing、OFDM)と組み合わせることにより、広帯域な無線ネットワーク(MIMO−OFDMメッシュネットワーク)として動作させることができる。
つまり、一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークと直交周波数分割多重(OFDM)との組み合わせで構成されたMIMO−OFDMメッシュネットワーク(以下、単に、「本発明に係るMIMO−OFDMメッシュネットワーク」とも称する。)では、上述した本発明のMIMOメッシュネットワークに用いられるMIMOアルゴリズムをOFDMの各サブキャリアに適用する。よって、OFDMの第lサブキャリアでは、前向きリンクにK(l)個のストリーム信号が多重化され、また、後向きリンクにK(l)個のストリーム信号が多重化されることとなる。
以下では、本発明に係るMIMO−OFDMメッシュネットワークの信号モデルを定式化する。
ここで、第i受信ノードにおける第lサブキャリアの前向きリンクの受信信号ベクトル

下記数146〜数151を用いて、モデル化することができる。
【数146】

【数147】

【数148】

【数149】

【数150】

【数151】


のノードにおける第lサブキャリアの前向きリンク及び後向きリンクに対する送信信号ベ

ブキャリアの前向きリンクを後向きリンクに対する送信ウェイト行列であり、

i番目のノードで受信した第lサブキャリアの前向きリンク及び後向きリンクの等価な加法性雑音ベクトルである。
上記のように定式化されたシステムモデルに対して、サブキャリア毎に本発明のMIMOアルゴリズムを適用することによって、つまり、サブキャリア毎に上記<4−1>及び<4−2>で述べた本発明のMIMOメッシュネットワークにおける送受信ウェイト行列の計算処理アルゴリズムを適用することによって、広帯域な無線ネットワークとしての本発明に係るMIMO−OFDMメッシュネットワークを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の1次元メッシュネットワーク(マルチホップネットワーク)を説明するための模式図である。
【図2】 コグニティブMIMOメッシュネットワークの概念を説明するための模式図である。
【図3】 MIMOマルチプルアクセス(MIMO−MA)を説明するための模式図である。
【図4】 MIMOブロードキャスト(MIMO−BC)を説明するための模式図である。
【図5】 本発明の第1実施形態に係る1次元MIMOメッシュネットワークを説明するための模式図である。
【図6】 本発明の第1実施形態に係るMIMOメッシュネットワークにおける送受信ウェイト間の関係を説明するための模式図である。
【図7】 本発明の第1実施形態に係る2次元MIMOメッシュネットワークを説明するための模式図である。
【図8】 シミュレーションシナリオを示す模式図である。
【図9】 シミュレーション結果を示すグラフである。
【図10】 本発明の第2実施形態に係るMIMOメッシュネットワークを説明するための模式図である。
【図11】 線形方式を用いた場合の本発明の第2実施形態に係るMIMOメッシュネットワークを説明するための模式図である。
【図12】 非線形方式を用いた場合の本発明の第2実施形態に係るMIMOメッシュネットワークを説明するための模式図である。
【図13】 数値シミュレーション用のシナリオ(a),(b),(c),(d),(e),(f)を示す模式図である。
【図14】 干渉距離を表したマトリクスを示す図である。
【図15】 距離3d以上のノードからの干渉信号を無視した場合において、モンテカルロシミュレーションにより計算した各シナリオのSNRに対する平均総キャパシティを示すグラフである。
【図16】 ネットワーク内のすべての干渉信号を考慮した場合において、モンテカルロシミュレーションにより計算した各シナリオのSNRに対する平均総キャパシティを示すグラフである。
【図17】 一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークを説明するための模式図である。
【図18】 線形方式を用いた場合の一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークを説明するための模式図である。
【図19】 非線形方式を用いた場合の一般化した本発明に係るMIMOメッシュネットワークを説明するための模式図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中継ノードを有し、前記各中継ノードは、複数のアンテナを有するとともに、前記各中継ノード間に無線リンクを張ることにより、無線ネットワークを構築するMIMOメッシュネットワークであって、
MIMOマルチプルアクセスとMIMOブロードキャストを交互に連結した構成となっており、被干渉・与干渉回避を実現するとともに、前記各中継ノードに第1の無線リンクに加えて第2の無線リンクを多重伝送することにより、ネットワーク全体の周波数利用効率を改善することを特徴とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項2】
線形方式であるZFアルゴリズムを用いた請求項1に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、
前記中継ノードのうち、ある受信ノードについて、第1の無線リンク及び第2の無線リンクを介して当該受信ノードに隣接する第1の送信ノード及び第2の送信ノードが複数アンテナを有したMIMOマルチプルアクセスシステムとし、
前記受信ノードにおけるMIMOアルゴリズムの目的は、前記第1の送信ノードからの被干渉を回避しつつ前記第2の送信ノードからの信号を受信し、また、前記第2の送信ノードからの被干渉を回避しつつ前記第1の送信ノードからの信号を受信することであり、 前記第1の送信ノード及び前記第2の送信ノードの送信ウェイトが、それぞれ

次の数式で記述でき、

ただし、Mは各中継ノードのアンテナ本数であり、s10,s12は前記第1の送信ノード及び前記第2の送信ノードの送信信号であり、また、s=[s1012∈Cであり、Hij∈CM×M

て用いることで、前記第2の送信ノードからの被干渉を回避しつつ前記第1の送信ノードからの信号を受信でき、

イトとして用いることで、第1の無線リンクと第2の無線リンクのFB多重化が可能となることを特徴とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項3】
線形方式であるZFアルゴリズムを用いた請求項1に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、
前記中継ノードのうち、ある送信ノードについて、第1の無線リンク及び第2の無線リンクを介して当該送信ノードに隣接する第1の受信ノード及び第2の受信ノードが複数アンテナを有したMIMOブロードキャストシステムとし、
前記送信ノードにおけるMIMOアルゴリズムの目的は、前記第1の受信ノードへの与干渉を回避しつつ前記第2の受信ノードへ信号を送信し、また、前記第2の受信ノードへの与干渉を回避しつつ前記第1の受信ノードへ信号を送信することであり、
前記第1の受信ノード及び前記第2の受信ノードの受信ウェイトが、それぞれ

前記第1の受信ノードの受信信号は、次の数式で記述でき、

前記第2の受信ノードの受信信号は、次の数式で記述でき、

ただし、x∈Cは前記送信ノードの送信信号ベクトルであり、
=[y∈Cを用いて、ベクトル表記すると、次の数式となり、

して用いることで、前記第1の受信ノードへの与干渉を回避しつつ前記第2の受信ノードへ信号を送信でき、

イトとして用いることで、第1の無線リンクと第2の無線リンクのFB多重化が可能となることを特徴とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項4】
非線形方式であるSIC/DPCアルゴリズムを用いた請求項1に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、
前記中継ノードのうち、ある受信ノードについて、第1の無線リンク及び第2の無線リンクを介して当該受信ノードに隣接する第1の送信ノード及び第2の送信ノードが複数アンテナを有したMIMOマルチプルアクセスシステムとし、
前記受信ノードにおけるMIMOアルゴリズムの目的は、非線形受信方式であるSICアルゴリズムを用いて、被干渉回避をしつつ、前記第1の送信ノード及び前記第2の送信ノードからの信号を多重化受信することであり、
前記SICアルゴリズムでは、前記受信ノードの受信信号において、はじめに、前記第2の送信ノードからの信号s12を検波し、それを前記受信信号から差し引くことで、被干渉を回避し、前記第1の送信ノードからの信号s10を受信し、


これにより、被干渉回避および第1の無線リンクと第2の無線リンクのFB多重化が可能となることを特徴とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項5】
非線形方式であるSIC/DPCアルゴリズムを用いた請求項1に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、
前記中継ノードのうち、ある送信ノードについて、第1の無線リンク及び第2の無線リンクを介して当該送信ノードに隣接する第1の受信ノード及び第2の受信ノードが複数アンテナを有したMIMOブロードキャストシステムとし、
前記送信ノードにおけるMIMOアルゴリズムの目的は、非線形送信方式であるDPCアルゴリズムを用いて、与干渉回避をしつつ、前記第1の受信ノード及び前記第2の受信ノードへ信号を多重化送信することであり、
前記第1の受信ノード及び前記第2の受信ノードの受信ウェイトが、それぞれ

前記第1の受信ノードの受信信号は、次の数式で記述でき、

前記第2の受信ノードの受信信号は、次の数式で記述でき、

ただし、x∈Cは前記送信ノードの送信信号ベクトルであり、
=[y∈Cを用いて、ベクトル表記すると、次の数式となり、


次の数式により、この干渉成分をs′32の送信信号から差し引くことにより、与干渉回避が可能となり、

これより、与干渉回避および第1の無線リンクと第2の無線リンクのFB多重化が可能となることことを特徴とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項6】
中継機能を有する複数のノードを有し、前記各ノードは、M本のMIMOアンテナを搭載するとともに、前記各ノード間に無線リンクを張ることにより、無線ネットワークを構築するMIMOメッシュネットワークであって、
送信ウェイトと受信ウェイトの組合せにより、干渉回避を行うとともに、前記各ノードに前向きリンクと後向きリンクのストリーム信号を多重化して伝送することにより、ネットワーク全体のキャパシティを改善することを特徴とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項7】
請求項6に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、
前記MIMOメッシュネットワークの信号モデルは、次のように定式化され、

あり、

ク及び後向きリンクに対する送信信号であり、Hij∈CM×Mはj番目のノードからi番目の


はi番目のノードにおける前向きリンク及び後向きリンクに対する受信ウェイトベクトル

法性雑音であり、

ることを特徴とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項8】
線形方式であるZFアルゴリズムを用いた請求項7に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、
第1ノードから最終ノードまで順番に送受信ウェイトを計算するようにしており、第i

計算されており、
第(i−1)送信ノードと第i受信ノードの間のシステムモデルは、等価送信チャネルベ

て、次のように表し、

し、

ただし、(x,y)はxとyの両方に直交する基底ベクトルであり、(x,y)はyに直交する空間の中でxに最も平行する基底ベクトルであり、

送信ノードと第i受信ノードの間のシステムは、次の数式によってモデル化され、


向きリンクの等価チャネル係数であることを特徴とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項9】
請求項8に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、
第i受信ノードと第(i+1)送信ノードの間のシステムは、前記計算された第i受信ノ

向きリンクの等価受信チャネルベクトルであり、

ドが送信モードのときに、その共役受信ウェイトを介してトレーニング信号を送信するこ

もしくは、第(i+1)送信ノードではトレーニング信号を送信し、第i受信ノードでは

ックし、

第i受信ノードと第(i+1)送信ノードの間のシステムは、次の数式によってモデル化され、

きリンクの等価チャネル係数であることを特徴とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項10】
請求項9に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、

によって表され、

第i受信ノードが第(i−1)送信ノード及び第(i+1)送信ノードからの干渉なく、前向きリンクと後向きリンクの信号を同時に受信することを特徴とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項11】
非線形方式であるSIC/DPCアルゴリズムを用いた請求項7に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、
第1ノードから最終ノードまで順番に送受信ウェイトを計算するようにしており、第i

ただし、xはxに平行する基底ベクトルであり、(x,y)はxとyの両方に直交する基底ベクトルであり、

送信ノードと第i受信ノードの間のシステムは、次の数式によってモデル化され、

後向きリンクから第i受信ノードの前向きリンクへの干渉信号に相当する等価チャネル係数であり、

1)送信ノードへフィードバックし、
第(i−1)送信ノードでは、DPCアルゴリズムを用いて、次の数式のように、干渉信号をキャンセルし、

ネットワーク。
【請求項12】
請求項11に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、

第i受信ノードと第(i+1)送信ノードの間のシステムは、次の数式によってモデル化され、

ノードの前向きリンクへの干渉信号に相当する等価チャネル係数であり、

等価チャネル係数であり、

式のように、干渉なく受信され、


キャンセルを実現し、

ッシュネットワーク。
【請求項13】
請求項8、請求項9、請求項11又は請求項12の何れかに記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、
第1ノードから最終ノードまで順番に送受信ウェイトを計算するようにしており、
第iノードの状態が受信ノードであり、当該第i受信ノードに着目すると、第(i−1)

第i受信ノードへ送信するようにし、

ードの加法性雑音ベクトルであり、

とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項14】
請求項8乃至請求項12の何れかに記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、
第1ノードから最終ノードまで順番に送受信ウェイトを計算するようにしており、
第iノードの状態が送信ノードであり、当該第i送信ノードに着目すると、第(i−1)

ただし、[・]は複素共役を表し、[・]は転置を表し、[・]は複素共役転置を表し、

ことを特徴とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項15】
中継機能を有する複数のノードを有し、前記各ノードは、複数本のMIMOアンテナを搭載するとともに、前記各ノード間に、前向きリンク又は後向きリンクを張ることにより、無線ネットワークを構築するMIMOメッシュネットワークであって、
前記前向きリンクにK個のストリーム信号(Kストリーム)を多重化しているとともに、前記後向きリンクにK個のストリーム信号(Kストリーム)をも多重化しており、
次の数式で表す条件を満たし、

ただし、Mは前記各ノードが搭載したMIMOアンテナの本数であり、Kはあるノードが送受信する総ストリーム数であり、K=K+Kが成立し、
前記MIMOメッシュネットワークの信号モデルは、次のように定式化され、


前向きリンク及び後向きリンクに対する送信信号ベクトルであり、Hij∈CM×Mはj番目の

目のノードにおける前向きリンクと後向きリンクに対する送信ウェイト行列であり、

リンク及び後向きリンクの等価な加法性雑音ベクトルであることを特徴とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項16】
線形方式であるブロックZFアルゴリズムを用いた請求項15に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、
前記ブロックZFアルゴリズムによる線形干渉キャンセルによって他リンクへの干渉回避を行った上で、リンク毎にMIMO多重伝送を行い、そのときの各送受信ウェイト行列は、次の数式に基づいて計算され、

ンクへの干渉回避を行った前向きリンクと後向きリンクのMIMO送信ウェイト行列であ

はi番目のノードにおいて、前記ブロックZFアルゴリズムによって他リンクからの干渉回避を行った前向きリンクと後向きリンクのMIMO受信ウェイト行列であることを特徴とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項17】
請求項16に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、
第1ノードから最終ノードまで順番に送受信ウェイト行列を計算するようにしており、
第i受信ノードに着目すると、第(i−1)送信ノードの後向きリンクに対する送信ウェ

第i受信ノードでは、第(i−1)送信ノードから、次の数式のように、送信ウェイト行

れ、

このとき、次の数式に示すように、第(i−1)送信ノードと第i受信ノードとの間には、

前向きリンクが形成され、


ることを特徴とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項18】
請求項17に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、
MIMO伝送方式としてオープンループ伝送方式で受信側にZFアルゴリズムを用いた

の任意のK個の列ベクトルを用いて、Kストリームを多重送信し、先頭K個の列ベクトルを用いた場合は、次の数式が成立し、

列の第1〜K列であり、
第i受信ノードでは、受信したKストリームの分離を行い、

次の数式に基づいて計算され、

オープンループ伝送方式の受信方式としてZFアルゴリズムを用いた場合、次の数式で

づいて計算され、

ただし、[・]−1は[・]の一般逆行列であり、[・]は[・]の複素共役転置であり、

【請求項19】
請求項17又は請求項18に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、
第(i+1)送信ノードに着目すると、第i受信ノードの前向きリンクに対する受信ウェ


ドが送信モードのときに、その共役受信ウェイトを介してトレーニング信号を送信するこ

フィードバックし、

ただし、[・]は[・]の複素共役であり、[・]は[・]の転置であり、

され、

れ、

このとき、次の数式に示すように、第(i+1)送信ノードと第i受信ノードとの間には、

後向きリンクが形成され、


であることを特徴とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項20】
請求項19に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、
MIMO伝送方式としてオープンループ伝送方式で送信側にZFアルゴリズムを用いた場合は、第(i+1)送信ノードでは、事前にストリーム分離を行うウェイトを用いて、Kストリームを多重送信し、このとき、第i受信ノードでは、(M−K)次のブロックZF

頭K個の列ベクトルを用いた場合は、次の数式が成立し、

の第1〜K列であり、

に基づいて計算され、

オープンループ伝送方式の送信方式としてZFアルゴリズムを用いた場合、次の数式で

数式に基づいて計算され、

ただし、[・]は[・]の複素共役であり、[・]は[・]の転置であり、[・]−1は[・]の一般逆行列であり、

ワーク。
【請求項21】
請求項20に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、


トリームの等価なチャネル応答を対角成分に持つ行列であり、次の数式に基づいて計算され、

ムの等価なチャネル応答を対角成分に持つ行列であり、

に基づいて計算されることを特徴とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項22】
ブロックZFアルゴリズムに加えて、送信側でブロックDPCアルゴリズムを、受信側でブロックSICアルゴリズムをそれぞれ用いる請求項15に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、
前記ブロックZFアルゴリズムによる線形干渉キャンセルと、前記ブロックSICアルゴリズム/前記ブロックDPCアルゴリズムによる非線形干渉キャンセルの組合せによって、他リンクへの干渉回避を行った上で、リンク毎にMIMO多重伝送を行い、そのときの各送受信ウェイト行列は、次の数式に基づいて計算され、

への干渉回避を行った前向きリンクと後向きリンクのMIMO送信ウェイト行列であり、

ンクからの干渉回避を行った前向きリンクと後向きリンクのMIMO受信ウェイト行列であることを特徴とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項23】
請求項22に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、
第1ノードから最終ノードまで順番に送受信ウェイト行列を計算するようにしており、
第i受信ノードに着目すると、第(i−1)送信ノードの後向きリンクに対する送信ウェ

第i受信ノードでは、第(i−1)送信ノードから、次の数式のように、送信ウェイト行

は次の数式に基づいて計算され、

持つMIMOリンクと見做し、

受信ウェイト行列として求まり、


チャネル行列であり、次の数式に基づいて計算され、

の干渉に相当する等価チャネル行列であり、次の数式に基づいて計算され、

第i受信ノードの前向きリンクへの干渉信号に相当する等価チャネル行列であり、次の数式に基づいて計算され、

(i−1)送信ノードへフィードバックし、

で表すことを特徴とするMIMOメッシュネットワーク。
【請求項24】
請求項23に記載のMIMOメッシュネットワークにおいて、
第(i+1)送信ノードに着目すると、第i受信ノードの前向きリンクに対する受信ウェ


ドが送信モードのときに、その共役受信ウェイトを介してトレーニング信号を送信するこ

学習し、もしくは、第(i+1)送信ノードではトレーニング信号を送信し、第i受信ノ

+1)送信ノードへフィードバックし、

ただし、[・]は[・]の複素共役であり、[・]は[・]の転置であり、

され、

は次の数式に基づいて計算され、

このとき、第(i+1)送信ノードの後向きリンクを、次の数式で表す等価チャネル行列

受信ウェイト行列として求まり、


等価チャネル行列であり、次の数式に基づいて計算され、

の干渉に相当する等価チャネル行列であり、次の数式に基づいて計算され、

第i受信ノードの前向きリンクへの干渉信号に相当する等価チャネル行列であり、次の数式に基づいて計算され、

より、干渉キャンセルを実現し、

ットワーク。
【請求項25】
請求項15乃至請求項24の何れかに記載のMIMOメッシュネットワークと、直交周波数分割多重(OFDM)と組み合わせることにより、広帯域な無線ネットワークとして動作するMIMO−OFDMメッシュネットワークであって、
前記MIMOメッシュネットワークに用いられるMIMOアルゴリズムをOFDMの各サブキャリアに適用し、OFDMの第lサブキャリアでは、前向きリンクにK(l)個のストリーム信号を多重化しているとともに、後向きリンクにK(l)個のストリーム信号をも多重化しており、
前記MIMO−OFDMメッシュネットワークの信号モデルは次のように定式化され、

ンクの受信信号ベクトルであり、

ドにおける第lサブキャリアの前向きリンク及び後向きリンクに対する送信信号ベクトルであり、Hij(l)∈CM×Mはj番目のノードからi番目のノードへの第lサブキャリアのチャネ


ードで受信した第lサブキャリアの前向きリンク及び後向きリンクの等価な加法性雑音ベクトルであり、
定式化された前記信号モデルに対して、OFDMのサブキャリア毎に前記MIMOメッシュネットワークにおける送受信ウェイト行列の計算処理アルゴリズムを適用することを特徴とするMIMO−OFDMメッシュネットワーク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−154242(P2008−154242A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325251(P2007−325251)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 発行所:IEEE コミュニケーションズ ソサエティ 発行日:平成19年8月13日 刊行物名:16th インターナショナル カンファレンス オン コンピュータ コミュニケーションズ アンド ネットワークズ予稿集(CD−ROM)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】