説明

MIMO評価装置、及び、試験データストリームの送信方法

【課題】アンテナ指向特性を抽出可能なMIMO評価装置、及び、試験データストリームの送信方法を提供すること。
【解決手段】MIMO評価装置100において、複素振幅制御器102が、MIMO受信評価アンテナ群の重心(又は、幾何学的中心)以外の位置でN個の送信ストリームの位相及び振幅を一致させる位相・振幅目標値に、基本ストリーム及び合成基本ストリームの位相及び振幅を調整し、当該調整後の基本ストリーム及び合成基本ストリームをN個の送信ストリームとして送出する。こうすることで、評価対象アンテナの指向特性のみを抽出することができるMIMO評価装置を実現することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MIMO評価装置、及び、試験データストリームの送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、無線通信の分野の発展はめざましく、更なる伝送速度の高速化に向け研究が続けられている。無線LANにおいては、より高速な伝送速度を実現するIEEE802.11n(以下、単に11nと呼ぶことがある)規格の標準化が進められている。11nでは、高速化を実現する技術の一つとして、MIMO伝送技術の採用が決まっている。
【0003】
MIMO伝送は、複数の送信アンテナと複数の受信アンテナを用いて、同一周波数上で複数のストリームを同時に伝送する通信方式である。MIMO伝送では、同一周波数上で送信された複数のストリームを受信機が分離する処理を行う。このとき、伝搬路条件により、伝送特性が大きく変化する。また、アンテナの指向特性によっても受信条件が変わることから、アンテナ指向特性が無線機全体の伝送特性に影響を与える。すなわち、アンテナ指向特性及びMIMO復調アルゴリズムの特性であるMIMO伝送特性が無線機全体の伝送特性に密接に関連している。
【0004】
ここで、シングルアンテナの通信システムにおけるアンテナ特性を評価する装置が、特許文献1に開示されている。同文献には、シングルアンテナを評価するために、多重波伝搬環境(つまり、ダイバーシチ通信環境)を再現する装置が開示されている。
【0005】
すなわち、同文献に開示される装置では、評価対象アンテナの周りに複数の送信アンテナが配置され、各送信アンテナから送信される信号の位相と振幅を変化させる。そして、評価対象アンテナの位置で各送信アンテナから送信された信号が合成されることにより、多重波伝搬環境が実現されている。
【0006】
図25は、特許文献1で開示される無線伝送評価装置の構成を示す図である。デジタル信号発生器2502で送信データが生成され、変調器2503においてその送信データが変調される。変調された信号は、分配回路2504において、送信アンテナ本数分の信号に分配される。各分配信号は、位相回路2505で位相を補正され、減衰回路2506で振幅を補正される。位相回路2505及び減衰回路2506の補正値は、コンピュータ2507とD/Aコンバータ2508によって制御される。位相回路2505及び減衰回路2506で位相及び振幅が補正された信号は、送信アンテナ2500−1〜7を介して送信される。
【0007】
評価対象アンテナ2501−1、2では、送信アンテナ2500−1〜7から送信された信号が受信される。評価対象アンテナ2501−1、2で受信された複数の受信信号は、位相制御器2509及び制御回路2510によって位相が合わされて、さらに合成回路2511で合成される。この合成信号は、誤り率検出回路2512で復調される。そして、復調データのビット列と、既知の送信デジタルデータのビット列とを比較が比較されて、伝送誤り率が算出される。
【0008】
以上の構成により、多重波伝搬環境における評価対象アンテナの伝送誤り率測定が可能となっている。
【特許文献1】特開2005−227213号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、特許文献1に開示されているようなダイバーシチ通信におけるアンテナ評価方法を、MIMO伝送用アンテナの評価に拡張するためには、送受信処理系統を複数系統用意することが考えられる。
【0010】
しかしながら、単に受信処理系統を複数用意しただけでは、アンテナ指向特性とMIMO伝送特性とが合成された全体特性しか得られないため、MIMO伝送用アンテナの実効的な評価を行うことが難しい。すなわち、アンテナ指向特性又はMIMO伝送特性を個別に評価することができないため、MIMO伝送用アンテナの実効的な評価を行うことができない問題がある。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、アンテナ指向特性を抽出可能なMIMO評価装置、及び、試験データストリームの送信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のMIMO評価装置は、N−1(Nは3以上の自然数)個以上の評価対象アンテナから構成されるMIMO受信評価アンテナ群の受信特性を評価するMIMO評価装置であって、N−1種類の基本ストリームを生成する生成手段と、前記N−1種類の基本ストリームから、前記基本ストリーム又は2つの前記基本ストリームの組み合わせを合計N個選択する選択手段と、前記組み合わせに係る基本ストリーム同士を合成した合成基本ストリームを形成する合成手段と、前記選択された基本ストリーム及び前記合成基本ストリームをN個の送信ストリームとして送信するN本の送信アンテナと、前記MIMO受信評価アンテナ群の重心以外の位置で前記N個の送信ストリームの位相及び振幅を一致させる位相・振幅目標値に、前記選択された基本ストリーム及び前記合成基本ストリームの位相及び振幅を調整し、当該調整後の基本ストリーム及び合成基本ストリームを前記N個の送信ストリームとして送出する位相振幅制御手段と、を具備する構成を採る。
【0013】
本発明の試験データストリームの送信方法は、N−1(Nは3以上の自然数)個以上の評価対象アンテナから構成されるMIMO受信評価アンテナ群の受信特性に関する測定に利用される試験データストリームの送信方法であって、N−1種類の基本ストリームを生成するステップと、前記N−1種類の基本ストリームから、前記基本ストリーム又は2つの前記基本ストリームの組み合わせを合計N個選択するステップと、前記選択された基本ストリーム及び前記組み合わせに係る基本ストリームの位相及び振幅を位相・振幅目標値に調整するステップと、前記組み合わせに係る基本ストリーム同士を合成した合成基本ストリームを形成するステップと、前記位相及び振幅が調整された前記基本ストリーム及び前記合成基本ストリームをN個の前記試験データストリームとして送信するステップと、を具備し、前記位相・振幅目標値は、前記MIMO受信評価アンテナ群の重心以外の位置で前記N個の試験データストリームの位相及び振幅を一致させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、アンテナ指向特性を抽出可能なMIMO評価装置、及び、試験データストリームの送信方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、実施の形態において、同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明は重複するので省略する。
【0016】
(実施の形態1)
[MIMO評価装置の主要構成]
図1は、実施の形態1に係るMIMO評価装置の全体構成を示す図である。
【0017】
図1において、MIMO評価装置100は、送信機101と、複素振幅制御器102と、送信アンテナ103と、アンテナ回転台104と、受信機105と、コンピュータ106とを有する。ここでは、説明を簡単にするために、送信アンテナ103を送信アンテナ103−1〜3の3本としている。
【0018】
なお、図1において、評価対象アンテナ201はアンテナ回転台104に設置された評価対象のアンテナであり、実際上、MIMO評価装置100で測定を行う際には、評価対象のアンテナが搭載されたMIMO通信端末がアンテナ回転台104に載置される。このMIMO通信端末としては、例えば、MIMO通信機能が搭載された携帯電話等の無線装置又は無線ローカルエリアネットワークの搭載されたパーソナルコンピュータが想定される。また、電波暗室300は、反射波を発生しない空間を実現する。この電波暗室300には、MIMO評価装置100の構成要素のうち少なくとも送信アンテナ103−1〜3とアンテナ回転台104が設置される。
【0019】
送信機101は、コンピュータ106からの制御信号に基づいて、試験信号を生成する。ここでは、送信機101は送信アンテナ103の数Nよりも1つ少ないN−1種類の試験信号を生成し、それぞれを基本ストリーム1〜N−1として複素振幅制御器102に出力する。試験信号は既知信号であり、MIMO伝送特性の評価に用いられる。
【0020】
具体的には、送信機101は、ビット列で構成されるデータ信号を、適用される変調方式(QPSK、16QAM等)に応じたIQ平面上の信号点にマッピングすることにより変調信号を形成するとともに、得られた変調信号に同期用のプリアンブル及び伝搬路推定用シンボルを付加して試験信号を得る。そして、送信機101は、ベースバンド信号である試験信号をRF信号に変換し、得られたRF信号を基本ストリームとして出力する。図1においては、2種類の基本ストリームが、送信機101から出力されている。
【0021】
複素振幅制御器102は、基本ストリーム1〜N−1を入力とし、各基本ストリームの位相及び振幅を調整する。そして、複素振幅制御器102は、基本ストリーム又は2つの基本ストリームの組み合わせを選択して、その組み合わせについては基本ストリーム同士を合成した合成基本ストリームを形成し、得られた基本ストリーム及び合成基本ストリームをそれぞれ送信ストリームとして出力する。送信ストリーム数は、送信アンテナ103の数と一致する。
【0022】
複素振幅制御器102は、第1に、MIMO伝送特性を測定する場合は、各送信アンテナ103から送信された信号の位相及び振幅が、複数の評価対象アンテナ201の重心で一致するように、基本ストリームに対して処理を行う。なお、この複数の評価対象アンテナ201の重心に関しては、後に詳しく説明する。
【0023】
また、複素振幅制御器102は、第2に、アンテナ特性を測定する場合は、各送信アンテナ103から送信された信号の位相及び振幅が、複数の評価対象アンテナ201の重心で一致しないように、基本ストリームに対して処理を行う。この場合、評価対象アンテナ201の位置間を結んでできる領域の外で、つまり、評価対象アンテナ201の位置のうち、重心からの距離が大きい位置を結んでできる領域の外で、各送信アンテナ103から送信された信号の位相及び振幅が一致することが好ましい。
【0024】
アンテナ回転台104は、評価対象アンテナ201を載置する台であり、回転可能に構成されている。アンテナ回転台104が回転することにより、評価対象アンテナ201と、送信アンテナ103との位置関係を変更することができる。アンテナ回転台104の回転動作は、コンピュータ106からの制御信号に基づいて制御される。
【0025】
受信機105は、評価対象アンテナ201と電気的に接続されており、評価対象アンテナ201で受信された受信信号に含まれる同期用プリアンブル及び伝送路推定用シンボルを用いて同期処理、チャネル推定処理を行う。そして、受信機105は、受信信号に含まれるデータ信号部分をMIMO復調するとともに、復調結果に基づいて誤り特性(例えば、BER)を算出する。なお、ここでは、受信機105は、MIMO評価装置100の構成として説明しているが、アンテナ回転台104に載置されて、そのアンテナ評価が行われるMIMO通信端末の構成部であってもよい。
【0026】
コンピュータ106は、MIMO評価装置100を構成する機能部を制御する。
【0027】
[複素振幅制御器102の構成]
複素振幅制御器102は、送信機101で生成された基本ストリームを入力とし、入力基本ストリームの位相及び振幅が、位相・振幅目標値になるように調整する。また、複素振幅制御器102は、基本ストリームの分配処理、及び、基本ストリームの合成処理を行う。こうして複素振幅制御器102が基本ストリームに対して位相・振幅調整処理及び合成処理を行うことにより、実際の伝搬環境(例えば、郊外の見渡しのよい環境)で送信信号に与えられる振幅変化及び位相変化を予め与えた送信ストリームを形成できる。
【0028】
ここで通常、アンテナ特性の評価は、伝搬環境に影響されない静的な環境で測定する。これに対して、MIMO伝送の評価を行う場合は、伝搬環境を変動させるために、MIMO評価装置100では、複素振幅制御器102における位相・振幅目標値を変更することにより、仮想の測定伝搬環境を変更することができる。
【0029】
図2は、複素振幅制御器102の構成を示すブロック図である。
【0030】
図2において、複素振幅制御器102は、分配器111と、位相振幅制御器112と、合成器113と、制御器114とを有する。
【0031】
分配器111は、基本ストリームを入力とし、当該基本ストリームの内容を変えることなく、2つのルートに分配する。分配器111は、送信機101から出力される基本ストリームの数と同数設けられる。
【0032】
図2においては、分配器111−1、2が設けられている。分配器111−1は、送信機101から受け取った基本ストリーム1を位相振幅制御器112−1、2に分配する。分配器111−2は、もう一方の基本ストリーム2を位相振幅制御器112−3、4に分配する。すなわち、分配器111−1、2は、基本ストリーム又は2つの基本ストリームの組み合わせを選択する選択手段として機能している。
【0033】
位相振幅制御器112は、分配器111により分配された分配基本ストリームの位相及び振幅を調整する。この調整は、分配基本ストリームの位相及び振幅が、制御器114からの制御信号に基づいて設定された位相・振幅目標値になるように行われる。位相振幅制御器112は、分配器111の個数の2倍設けられる。
【0034】
図2においては、位相振幅制御器112−1、2、3、4が設けられている。各位相振幅制御器112に設定される位相・振幅目標値は、基本的には、それぞれ異なっている。
【0035】
位相振幅制御器112−1は、分配器111−1から受け取った分配基本ストリームの位相及び振幅が、制御器114からの制御信号に基づいて設定された位相・振幅目標値になるように調整する。位相及び振幅の調整が行われた分配基本ストリームは、送信ストリーム1として出力され、送信アンテナ103−1を介して送信される。
【0036】
位相振幅制御器112−2は、分配器111−1から受け取った分配基本ストリームの位相及び振幅が、制御器114からの制御信号に基づいて設定された位相・振幅目標値になるように調整する。位相及び振幅の調整が行われた分配基本ストリームは、合成器113に出力される。
【0037】
位相振幅制御器112−3は、分配器111−2から受け取った分配基本ストリームの位相及び振幅が、制御器114からの制御信号に基づいて設定された位相・振幅目標値になるように調整する。位相及び振幅の調整が行われた分配基本ストリームは、合成器113に出力される。
【0038】
合成器113は、選択された基本ストリームの組み合わせ(ここでは、基本ストリーム1、2)に対応する分配基本ストリームを合成し、得られた合成基本ストリームを送信ストリーム3として出力する。送信ストリーム3は、送信アンテナ103−3を介して送信される。
【0039】
位相振幅制御器112−4は、分配器111−2から受け取った分配基本ストリームの位相及び振幅が、制御器114からの制御信号に基づいて設定された位相・振幅目標値になるように調整する。位相及び振幅の調整が行われた分配基本ストリームは、送信ストリーム2として出力され、送信アンテナ103−2を介して送信される。
【0040】
制御器114は、コンピュータ106からの制御信号に基づいて各位相振幅制御器112の位相・振幅目標値設定信号を生成し、位相振幅制御器112に出力する。
【0041】
ここで、送信ストリームの個数が評価対象アンテナ201の個数より多いため、受信側で受信信号の分離ができないとも思われる。しかしながら、上記したように送信ストリームは、評価対象アンテナの個数以下の基本ストリームに基づいて形成されるため、受信側で受信信号を分離することができる。
【0042】
[送信アンテナ103の設置に関わる構成]
図3は、送信アンテナ103−1〜3を固定する保持台の構成を示す図である。
【0043】
アンテナ保持台400は、アンテナ保持板401と、アンテナ保持板401を支持する脚部402と、脚部402が倒れないようにするための補強部403から構成される。また、アンテナ保持板401には、送信アンテナ103−1〜3を保持するために、アンテナ保持孔404−1〜3が形成されている。アンテナ保持板401は、脚部402に固定される。脚部402は、アンテナ保持板401を所定の高さになるように固定する。脚部402は、補強部403に固定されている。
【0044】
図4は、アンテナ保持板401のアンテナ保持孔404に送信アンテナ103を取り付けるための取り付け部に係る構成を示す図である。
【0045】
取り付け部は、両端コネクタ405と、両端コネクタ固定用ナット406と、SMAコネクタ407、408から構成される。両端コネクタ405は、アンテナ保持孔404に挿入される。両端コネクタ固定用ナット406は、両端コネクタ405と反対側からアンテナ保持孔404に挿入される。そして、両端コネクタ405及び両端コネクタ固定用ナット406は、アンテナ保持板401を挟んでアンテナ保持板401に固定される。
【0046】
両端コネクタ405の上側にSMAコネクタ407を介して送信アンテナ103が接続される。両端コネクタ固定用ナット406の下側にSMAコネクタ408を介して同軸ケーブル107が接続される。こうして送信アンテナ103がアンテナ保持台400に設置されるとともに、同軸ケーブル107を介して複素振幅制御器102と接続される。
【0047】
[アンテナ回転台104の構成]
図5は、アンテナ回転台104の構成を示す図である。
【0048】
アンテナ回転台104は、アンテナを回転させるモータ120と、モータ120に接続された回転テーブル121と、アンテナを保持するアンテナ保持板124と、回転テーブル121にアンテナ保持板124を固定する脚部123と、モータ120を制御するアンテナ制御装置126とを有する。モータ120は、回転テーブル121を保持し、回転テーブル121を水平面内で回転させる。
【0049】
アンテナ保持板124には、評価対象アンテナ201を保持するためのアンテナ保持孔125が形成される。脚部123は、その一端部が回転テーブル121の上部に固定されるとともに、他端部がアンテナ保持板124に固定される。
【0050】
アンテナ制御装置126は、モータ120とコンピュータ106とに接続され、コンピュータ106によって設定される角度に回転テーブル121が動くように、モータ120を制御する。
【0051】
回転テーブル121がモータ120の回転軸に接続されているので、モータ120の回転に伴って、回転テーブル121の上部に固定された脚部123及びアンテナ保持板124も回転する。
【0052】
図6は、アンテナ保持板124のアンテナ保持孔125に評価対象アンテナ201を取り付けるための取り付け部に係る構成を示す図である。
【0053】
取り付け部は、両端コネクタ127と、両端コネクタ固定用ナット128と、SMAコネクタ129、130から構成される。両端コネクタ127は、アンテナ保持孔125に挿入される。両端コネクタ固定用ナット128は、両端コネクタ127と反対側からアンテナ保持孔125に挿入される。そして、両端コネクタ127及び両端コネクタ固定用ナット128は、アンテナ保持板124を挟んでアンテナ保持板124に固定される。
【0054】
両端コネクタ127の上側にSMAコネクタ129を介して評価対象アンテナ201が接続される。両端コネクタ固定用ナット128の下側にSMAコネクタ130を介して同軸ケーブル108が接続される。こうして評価対象アンテナ201がアンテナ回転台104に設定されるとともに、同軸ケーブル108を介して複素振幅制御器102と接続される。
【0055】
[MIMO評価装置100の動作説明]
(1)送信アンテナ103と、評価対象アンテナ201とのセッティング位置関係
先ず、送信アンテナ103と、評価対象アンテナ201とのセッティング位置の一例について、図7を参照して説明する。
【0056】
アンテナ保持台400に固定された送信アンテナ103−1〜3と、アンテナ回転台104に固定された評価対象アンテナ201−1、2とは、対向するように設置される。
【0057】
送信アンテナ103−1が設けられた位置と送信アンテナ103−2とが設けられた位置との中点Xと、評価対象アンテナ201−1が設けられた位置と評価対象アンテナ201−2が設けられた位置との中点Yとを結ぶ線は、送信アンテナ103−1と送信アンテナ103−2とを結ぶ線と、直交する。
【0058】
ここでは、点Yは、2つのアンテナの中点であるが、評価対象アンテナ201が3つ以上の場合も一般化すれば、評価対象アンテナ201の配置位置から求められる重心(又は、幾何学的中心)である。
【0059】
また、上記したように、実際上、MIMO評価装置100で測定を行う際には、評価対象のアンテナが搭載されたMIMO通信端末がアンテナ回転台104に載置される。MIMO通信端末としては、MIMO通信機能が搭載された携帯電話等の無線装置又は無線ローカルエリアネットワークの搭載されたパーソナルコンピュータが想定される。そして、MIMO通信装置の筐体形状によってアンテナ形状も限定されるため、これによってはアンテナの配置位置の重心(又は、幾何学的中心)が明確にならない場合もある。このような場合には、アンテナの給電点の配置位置を用い、これらの重心(又は、幾何学的中心)をY点として扱うことができる。
【0060】
また、評価対象アンテナ間で利得が異なる場合には、その重心は、アンテナ利得に基づいて決定することができる。例えば、複数のアンテナとY点の間の距離が利得の逆数となるようにY点を決定し、このY点を重心と定義することができる。
【0061】
図7において、送信アンテナ103−1と送信アンテナ103−2との離間距離は、4メートルである。
【0062】
点Xと点Yの離間距離を伝送波の波長の30倍(つまり、30波長)とすると、送信アンテナ103−3は、点Xから20波長の位置に配置される。このとき、送信アンテナ103−3の位置と点Yとを結んだ直線と、直線XYとのなす角は、32度となる。
【0063】
この送信アンテナ103−1と点Yとを結んだ直線と直線XYとのなす角、及び送信アンテナ103−2と点Yを結んだ直線と直線XYとのなす角は、MIMO通信環境を表すパラメータ(以下、「広がり角度パラメータ」と呼ぶことがある)である。特に、評価対象アンテナの指向特性によってMIMO通信特性を評価しようとする際には、重要なパラメータとなる。
【0064】
すなわち、広がり角度パラメータを32度としてMIMO評価を行う場合には、図7に示したような配置にアンテナをセッティングすればよい。ただし、この配置は一例であり、これに限られるものではなく、所望の広がり角度パラメータとなる距離にアンテナを配置すればよい。
【0065】
また、図7において、評価対象アンテナと重心(又は、幾何学的中心)である点Yとの離間距離は、0.17波長とされている。なお、この評価対象アンテナの配置は一例であり、これに限られるものではなく、評価対象アンテナと重心(又は、幾何学的中心)との離間距離は、評価対象のアンテナによって様々な値を取り得る。
【0066】
この評価対象アンテナ201−1、2は、アンテナ回転台104の回転に伴い、水平方向に回転する。以下、送信アンテナ103−1〜3の位置を結んだ直線と評価対象アンテナ201−1、2の位置を結んだ直線が平行となり、且つ、評価対象アンテナ201−1が左側に位置するときの角度を0°とする。また、評価対象アンテナ201−1、2は、点Yを中心として半時計回りに回転され、その回転角度は、正の値で表される。
【0067】
(2)MIMO評価装置100の動作
先ず、受信点(つまり、評価対象アンテナ201)での現象について考察する。送信アンテナ103−1〜3から送信された信号は、空間中を伝搬し、受信点で足し合わされる。このとき、各信号の振幅と位相によっては、互いに強めあう場合又は弱め合う場合がある。例えば、受信する2つの信号が同振幅で同位相の場合には、2つの信号は強めあい、合成信号は2倍の振幅になる。これとは逆に、受信する信号が同振幅で逆位相の場合には、2つの信号は弱めあい、合成信号の振幅は0となる。すなわち、受信点は、ヌル点となる。3つの信号が合成される場合も、2つの信号の場合と同様である。
【0068】
ここで、上記したように複素振幅制御器102は、基本ストリームに対して位相・振幅調整処理及び合成処理を行う。そして、複素振幅制御器102は、第1に、MIMO伝送特性を測定する場合は、各送信アンテナ103から送信された信号の位相及び振幅が、複数の評価対象アンテナ201の重心(又は、幾何学的中心)で一致するように、基本ストリームに対して処理を行う。
【0069】
また、複素振幅制御器102は、第2に、アンテナ特性を測定する場合は、各送信アンテナ103から送信された信号の位相及び振幅が、複数の評価対象アンテナ201の重心(又は、幾何学的中心)で一致しないように、基本ストリームに対して処理を行う。この場合、複数の評価対象アンテナ201の位置間を結んでできる領域の外で、つまり、複数の評価対象アンテナ201の位置のうち重心(又は、幾何学的中心)からの距離が大きい位置を結んでできる領域の外で、各送信アンテナ103から送信された信号の位相及び振幅が一致することが好ましい。すなわち、評価対象アンテナ201が2つの場合には、両アンテナ位置を結ぶ線分から外れた位置で、各送信アンテナ103から送信された信号の位相及び振幅が一致することが好ましい。また、評価対象アンテナ201が3つの場合には、アンテナ位置を結んだときにできる3角形外で、各送信アンテナ103から送信された信号の位相及び振幅が一致することが好ましい。
【0070】
上記複素振幅制御器102における第1の処理と、第2の処理とでは、その目的が異なる。第1の処理は、MIMO受信処理において、受信信号の分離ができない回転角度を生じさせることを1つの目的とする。一方、第2の処理は、MIMO受信処理において、受信信号の分離ができない回転角度を生じさせないことを1つの目的とする。
【0071】
第1の処理では、MIMO伝送特性とアンテナ指向特性とが合わさった全体の特性を測定できるのに対して、第2の処理では、MIMO伝送特性を一定レベル以上に維持できることから、アンテナ指向特性のみが強調された上で、これを測定できる。
【0072】
ここで、MIMO受信処理について簡単に説明する。ここでは、受信信号を分離する方式に、線形演算を用いたZF(Zero−Forcing)が採用される場合について説明する。
【0073】
下記式(1)は、MIMO伝送における受信信号を表している。
【数1】

【0074】
式(1)において、Tx、Txは、送信機101から出力される基本ストリームを表し、Rx、Rxは、受信機105に入力される受信信号を表す。また、伝搬路行列において、h11は第1の基本ストリームが第1の評価対象アンテナで受信される場合のチャネル推定値であり、h12は第1の基本ストリームが第2の評価対象アンテナで受信される場合のチャネル推定値である。h21は第2の基本ストリームが第1の評価対象アンテナで受信される場合のチャネル推定値であり、h22は第1の基本ストリームが第2の評価対象アンテナで受信される場合のチャネル推定値である。
【0075】
この式(1)からTx1とTx2を取り出すことができれば、同一周波数上で混ざり合った2つの基本ストリームを分離できる。式(1)の両辺に伝搬路行列の逆行列をかけると、式(2)のようになる。
【数2】

【0076】
ここで、伝搬路行列の逆行列が存在する条件は、伝搬路行列の行列式detH=|h11×h22−h12×h21|が0でないことである。伝搬路行列の逆行列が存在しないときには、受信信号を分離できない。
【0077】
図8は、回転角度を順次変更したときに得られた行列式detHの計算結果をプロットした図である。図8において、横軸は実部であり、縦軸は虚部である。図8は、回転角度を0度から180度まで変更したときに得られた結果である。また、図8(a)は、上記第1の処理で得られた結果、つまり送信アンテナ103−1〜3から送信される信号が点Yにおいて同位相となる場合に得られた結果である。また、図8(b)は、上記第2の処理で得られた結果、つまり送信アンテナ103−1〜3から送信される信号が点Yにおいて同位相とならない場合に得られた結果である。
【0078】
図8(b)では、行列式が0になる角度は存在しない。言い換えれば、MIMO分離できない角度は存在しない。すなわち、第2の処理では、MIMO伝送特性を一定レベル以上に維持できることから、アジマス角に応じた評価対象アンテナの指向特性のみが強調される。従って、第2の処理が実行されるときに得られる誤り特性は、ほとんど評価対象アンテナの指向特性にのみ依存する。
【0079】
すなわち、複素振幅制御器102において第2の処理が実行されることにより、評価対象アンテナの指向特性のみを抽出することが可能となる。
【0080】
一方、図8(a)では、行列式が0になる角度が存在する。言い換えれば、MIMO分離できない角度が存在する。すなわち、第1の処理では、アジマス角に対するMIMO伝送特性、及び、アジマス角に応じた評価対象アンテナの指向特性が合わさった全体特性が得られる。従って、第2の処理が実行される際に得られた評価対象アンテナの指向特性を、第1の処理が実行される際に得られた全体特性から差し引くことにより、MIMO伝送特性のみを抽出することが可能となる。
【0081】
すなわち、複素振幅制御器102において、第1の処理及び第2の処理を切り換えて、両処理を実行することにより、MIMO伝送特性及び評価対象アンテナの指向特性のいずれも抽出することが可能となる。
【0082】
なお、MIMO評価装置100が受信機105を備える構成とすることにより、伝送品質として伝送データ誤り率を用いることができる。伝送データ誤り率を用いることにより、単一周波数に対するデータ誤り率が理論的に導出される変調方式(BPSK、QPSKなど)、又は、マルチキャリア伝送方式を採用した場合のシミュレーション結果との比較評価が容易となる。
【0083】
また、伝送品質としてMIMOチャネル推定値の固有値を用いることができる。この場合には、受信方式は特に限定されず、シャノンの通信容量と通常呼ばれる理想状態における伝送品質として評価することが可能である。
【0084】
以上のように本実施の形態によれば、MIMO評価装置100において、複素振幅制御器102が、MIMO受信評価アンテナ群の重心(又は、幾何学的中心)以外の位置でN個の送信ストリームの位相及び振幅を一致させる位相・振幅目標値に、基本ストリーム及び合成基本ストリームの位相及び振幅を調整し、当該調整後の基本ストリーム及び合成基本ストリームをN個の送信ストリームとして送出する。
【0085】
こうすることで、評価対象アンテナの指向特性のみを抽出することができるMIMO評価装置を実現することができる。
【0086】
また、複素振幅制御器102は、MIMO受信評価アンテナ群の重心(又は、幾何学的中心)以外の位置でN個の送信ストリームの位相及び振幅を一致させる第1の位相・振幅目標値と、前記重心(又は、幾何学的中心)でN個の送信ストリームの位相及び振幅を一致させる第2の位相・振幅目標値との間で調整目標値を切り換える。
【0087】
こうすることで、第2の位相・振幅目標値によってアジマス角に対するMIMO伝送特性、及び、アジマス角に応じた評価対象アンテナの指向特性が合わさった全体特性が得られる。そして、この全体特性から、第1の位相・振幅目標値によって得られる評価対象アンテナの指向特性を差し引くことにより、アジマス角に対するMIMO伝送特性も単独で取得することができる。
【0088】
(実施の形態2)
図9は、実施の形態2に係るMIMO評価装置の全体構成を示す図である。
【0089】
図9において、MIMO評価装置500は、BER平均処理部510と、BER記憶部520と、複素振幅制御器530とを有する。
【0090】
BER平均処理部510は、受信機105から出力されるBER測定結果と、BER記憶部520に記憶されているBER平均値とを平均し、平均した結果を出力する。
【0091】
BER記憶部520は、受信機105から出力されるBER測定結果を記憶し、BER平均処理部510へ出力する。
【0092】
こうしてBER平均処理部510が所定区間で平均化処理を繰り返すことにより、所定区間でのBER平均値を取得することができる。
【0093】
複素振幅制御器530は、基本的に、実施の形態1に係るMIMO評価装置100の複素振幅制御器102と同じ機能を有する。複素振幅制御器530は、MIMO受信評価アンテナ群の重心(又は、幾何学的中心)以外の位置でN個の送信ストリームの位相及び振幅を一致させるという条件の下、複数の位相・振幅目標値を順次変更する。
【0094】
図10は、複素振幅制御器530の構成を示すブロック図である。
【0095】
図10において、複素振幅制御器530は、記憶部532と、制御器534とを有する。
【0096】
記憶部532は、コンピュータ106から複数の位相・振幅目標値設定信号を入力とし、これを記憶する。
【0097】
制御器534は、記憶部532から位相・振幅目標値を順次読み出して、位相振幅制御器112に設定する。
【0098】
図11は、図7に示したアンテナ配置において得られたBERシミュレーション結果である。図11において、縦軸はBERであり、横軸は回転角度である。また、変調方式にはQPSKが用いられ、MIMO復調方式にはZFが用いられている。
【0099】
図11(a)は、次の条件下で形成された送信ストリームを用いることにより得られたBERシミュレーション結果である。すなわち、搬送波周波数は、2GHzである。また、基本ストリーム1は、位相が0°(つまり、基準位相)で、その時の振幅が0dBであり、そのまま送信ストリーム1として送信される。基本ストリーム2は、位相が0°で、その時の振幅が0dBであり、そのまま送信ストリーム2として送信される。合成基本ストリームは、位相がそれぞれ0°と15°で振幅がそれぞれ−3dBと−3dBである基本ストリーム1と基本ストリーム2とを足し合わせた信号である。
【0100】
図11(b)は、次の条件下で形成された送信ストリームを用いることにより得られたBERシミュレーション結果である。
【0101】
すなわち、搬送波周波数は、2GHzである。また、基本ストリーム1は、位相が0°(つまり、基準位相)で、その時の振幅が0dBであり、そのまま送信ストリーム1として送信される。基本ストリーム2は、位相が0°で、その時の振幅が0dBであり、そのまま送信ストリーム2として送信される。合成基本ストリームは、位相がそれぞれ0°と340°で振幅がそれぞれ−3dBと−3dBである基本ストリーム1と基本ストリーム2とを足し合わせた信号である。
【0102】
図11(a)と(b)のBERシミュレーション結果を比較すると、BERが最も劣化する回転角度が異なる。図11(a)においてBERが最も劣化する角度は、80°と260°である。これに対して、図11(b)においてBERが最も劣化する角度は、60°と240°である。
【0103】
このように、送信ストリームの位相を変えることで、BERの劣化する回転角度が変化することが分かる。すなわち、MIMO受信評価アンテナ群の重心(又は、幾何学的中心)以外の位置でN個の送信ストリームの位相及び振幅を一致させるという条件を固定としても、位相・振幅目標値を変更すると、BERが劣化する回転角度が変化する。
【0104】
そこで、MIMO評価装置500においては、複素振幅制御器530が、MIMO受信評価アンテナ群の重心(又は、幾何学的中心)以外の位置でN個の送信ストリームの位相及び振幅を一致させるという条件の下、複数の位相・振幅目標値を変更区間で順次変更する。そして、BER平均処理部510が、変更区間で得られたBERを平均化する。
【0105】
こうすることで、BER特性に、多少なりとも残留しているMIMO伝送特性を、平均化できるので、より正確なアンテナ指向特性を得ることができる。
【0106】
(実施の形態3)
図12は、実施の形態3に係るMIMO評価装置の全体構成を示す図である。
【0107】
図12において、MIMO評価装置600は、アンテナ610と、位相振幅検出器620と、複素振幅制御器630とを有する。
【0108】
アンテナ610は、複数の評価対象アンテナ201の重心(又は、幾何学的中心)に配置されている。アンテナ610は、送信アンテナ103−1〜3から送信された信号を受信する。この受信信号には、パイロット信号が含まれる。
【0109】
位相振幅検出器620は、アンテナ610で受信されたパイロット信号を用いて、受信信号の位相と振幅とをモニタする。
【0110】
複素振幅制御器630は、基本的には複素振幅制御器102と同じ構成を有している。複素振幅制御器630は、位相振幅検出器620で検出された位相振幅情報に基づいて、送信ストリームの位相及び振幅を制御する。
【0111】
なお、アンテナ610の配置位置は、重心でなく、幾何学的中心であってもよい。
【0112】
図13は、MIMO評価装置600の信号送信パタンを示す図である。図13において、縦方向には、各送信アンテナ103に対応する送信信号が示されている。すなわち、図13における上段には、送信ストリーム1が示され、中段には、送信ストリーム2が示され、下段には、送信ストリーム3が示されている。また、横方向は、時間を表している。すなわち、各送信ストリームには、定期的にパイロット信号が含まれている。ここでは、特に、送信ストリームには、送信データ信号とパイロット信号とが交互に含まれている。
【0113】
図13において送信データ信号は、同期確立のために用いられるシンボル、空間によるチャネル変動を推定するチャネル推定用のシンボル、及び、BERを測定するために用いられる送信データ系列などから構成される。
【0114】
また、パイロット信号は、既知信号系列であり、例えば、BPSK変調された信号である。パイロット信号には、送信アンテナ103間で互いに直交する直交系列が用いられる。直交系列とは、位相振幅検出器620において、受信パイロット信号に対して乗算、積分などの演算処理を施したときに、送信ストリームごとにパイロット信号を分離できる系列を意味する。例えば、直行系列として、11110000と、11001100と、10101010を挙げることができる。
【0115】
位相振幅検出器620は、アンテナ610で受信されたパイロット信号に対して相関演算を行うことで、受信パイロット信号の位相及び振幅を求めることができる。
【0116】
以上のように本実施の形態によれば、位相振幅検出器620が、アンテナ610で受信されたパイロット信号を用いて、受信信号の位相と振幅とをモニタし、複素振幅制御器630が、位相振幅検出器620で検出された位相振幅情報に基づいて、送信ストリームの位相及び振幅を制御する。
【0117】
こうすることで、N個の送信ストリームの位相及び振幅を一致ささるターゲット位置で狙い通りに位相及び振幅が一致しているか容易に確認することが可能となる。すなわち、
ターゲット位置が評価対象アンテナ201の重心(又は、幾何学的中心)であるときには、位相振幅検出器620で検出した位相及び振幅が一致していることを確認することにより、狙い通りの設定になっていることを確認できる。また、ターゲット位置が評価対象アンテナ201の重心(又は、幾何学的中心)以外であるときには、位相振幅検出器620で検出した位相及び振幅が一致していないことを確認することにより、狙い通りの設定になっていることを確認できる。
【0118】
そして、これらの確認を行いながらアンテナ受信特性を測定することができるので、測定時間を短縮することができる。
【0119】
なお、アンテナ610の配置位置は、重心(又は、幾何学的中心)でなくてもよく、重心(又は、幾何学的中心)以外のターゲット位置でもよい。この場合、ターゲット位置が評価対象アンテナ201の重心(又は、幾何学的中心)以外であるときには、位相振幅検出器620で検出した位相及び振幅が一致していないことを確認することにより、狙い通りの設定になっていることを確認できる。また、この配置位置の場合、評価対象アンテナ201とアンテナ610との離間距離を大きくすることができるので、アンテナ610によって評価対象アンテナ201に与える影響を軽減することができる。
【0120】
また、アンテナ610を複数設け、各ターゲット位置に配置してもよい。こうすることでより確実な測定が可能となる。
【0121】
また、図13では、送信信号が間欠的に送信される送信パタンを示したが、送信信号が連続的に送信される送信パタンでもよい。
【0122】
この場合の送信パタンを図14に示す。図14に示すように、送信データ信号とパイロット信号との間には、無信号区間が存在しない。
【0123】
(実施の形態4)
実施の形態1乃至3では、電波暗室300内に評価対象アンテナを設置してMIMO評価を行うことを前提に説明した。これに対して、実施の形態4は、評価対象アンテナを移動局に設置してMIMO評価を行うMIMO評価システムに関する。
【0124】
図15に示すように実施の形態4に係るMIMO評価システム700は、基地局800と、測定局900とを有する。基本的には、実施の形態3に係るMIMO評価装置600の送信系に関わる機能部が基地局800に搭載される一方、受信系に関わる機能部が測定局900に搭載されている。
【0125】
図16は、基地局800の構成を示すブロック図である。
【0126】
図16において、基地局800は、送信信号生成部801と、送信アンテナ803−1〜3と、受信部805と、分配器811−1、2と、位相振幅制御器812−1〜4と、合成器813と、制御器814とを有する。
【0127】
送信信号生成部801は、MIMO評価装置600における送信機101に対応し、送信アンテナ803−1〜3は、送信アンテナ103−1〜3に対応する。分配器811と、位相振幅制御器812と、合成器813と、制御器814とは、それぞれ分配器111と、位相振幅制御器112と、合成器113と、制御器114とに対応している。
【0128】
送信信号生成部801は、ビット列で構成されるデータ信号を入力とし、このデータ信号を用いて試験信号を形成する。送信信号生成部801は、送信アンテナ803の数Nよりも1つ少ないN−1種類の試験信号を生成し、それぞれを基本ストリーム1〜N−1として分配器811に出力する。送信信号生成部801は、入力ビット列を、適用される変調方式(QPSK、16QAM等)に応じたIQ平面上の信号点にマッピングして変調信号を形成することにより、試験信号を形成する。
【0129】
図17は、送信信号生成部801の構成を示すブロック図である。
【0130】
図17において、送信信号生成部801は、符号化部821と、シリアルパラレル変換部(S/P部)822と、マッピング部823−1、2と、無線部824−1、2とで構成される。
【0131】
符号化部821は、データ信号を入力とし、入力データ信号に対して畳み込み符号化を施し、符号化されたデータを出力する。なお、ここでは符号化方式を畳み込み符号としたが、これに限られるものではなく、ターボ符号、LDPC符号、リードソロモン符号などでもよい。
【0132】
S/P部822は、符号化されたデータを入力とし、入力されたシリアルデータを2つのパラレルデータに変換し、パラレルに変換されたデータを出力する。
【0133】
マッピング部823−1は、S/P部822から出力されるパラレルデータのうち、一方のデータを入力とし、入力データを、適用される変調方式(BPSK、QPSK、QAM、PSK、APSK等)に応じたIQ平面上の信号点にマッピングして変調信号を形成する。形成された変調信号は、無線部824−1に出力される。
【0134】
マッピング部823−2は、S/P部822から出力されるパラレルデータのうち、他方のデータを入力とし、入力データを、適用される変調方式(BPSK、QPSK、QAM、PSK、APSK等)に応じたIQ平面上の信号点にマッピングして変調信号を形成する。形成された変調信号は、無線部824−2に出力される。
【0135】
無線部824−1は、マッピング部823−1から変調信号を受け取り、この変調信号に対して、フィルタ処理、D/A変換処理、周波数変換処理、増幅処理等を施して無線信号を形成する。この無線信号は、分配器811−1に出力される。
【0136】
無線部824−2は、マッピング部823−2から変調信号を受け取り、この変調信号に対して、フィルタ処理、D/A変換処理、周波数変換処理、増幅処理等を施して無線信号を形成する。この無線信号は、分配器811−2に出力される。
【0137】
図16に戻り、分配器811−1は、送信信号生成部801から受け取った基本ストリーム1を位相振幅制御器812−1、2に分配する。分配器811−2は、もう一方の基本ストリーム2を位相振幅制御器812−3、4に分配する。すなわち、分配器811−1、2は、基本ストリーム又は2つの基本ストリームの組み合わせを選択する選択手段として機能している。
【0138】
位相振幅制御器812は、分配器811により分配された分配基本ストリームの位相及び振幅を調整する。この調整は、分配基本ストリームの位相及び振幅が、制御器814からの制御信号に基づいて設定された位相・振幅目標値になるように行われる。
【0139】
位相振幅制御器812−1は、分配器811−1から受け取った分配基本ストリームの位相及び振幅が、制御器814からの制御信号に基づいて設定された位相・振幅目標値になるように調整する。位相及び振幅の調整が行われた分配基本ストリームは、送信ストリーム1として出力され、送信アンテナ803−1を介して送信される。
【0140】
位相振幅制御器812−2は、分配器811−1から受け取った分配基本ストリームの位相及び振幅が、制御器814からの制御信号に基づいて設定された位相・振幅目標値になるように調整する。位相及び振幅の調整が行われた分配基本ストリームは、合成器813に出力される。
【0141】
位相振幅制御器812−3は、分配器811−2から受け取った分配基本ストリームの位相及び振幅が、制御器814からの制御信号に基づいて設定された位相・振幅目標値になるように調整する。位相及び振幅の調整が行われた分配基本ストリームは、合成器813に出力される。
【0142】
合成器813は、選択された基本ストリームの組み合わせ(ここでは、基本ストリーム1、2)に対応する分配基本ストリームを合成し、得られた合成基本ストリームは、送信ストリーム3として出力され、送信アンテナ803−3を介して送信される。
【0143】
位相振幅制御器812−4は、分配器811−2から受け取った分配基本ストリームの位相及び振幅が、制御器814からの制御信号に基づいて設定された位相・振幅目標値になるように調整する。位相及び振幅の調整が行われた分配基本ストリームは、送信ストリーム2として出力され、送信アンテナ803−2を介して送信される。
【0144】
受信部805は、測定局900からのフィードバック情報である位相振幅情報を受信信号から抽出して、制御器814に出力する。
【0145】
制御器814は、位相振幅情報に基づいて、N個の送信ストリームの位相及び振幅を一致させるターゲット位置で狙い通りに位相及び振幅が一致しているかを判定する。そして、制御器814は、ターゲット位置で位相及び振幅が一致するまで、位相振幅制御器812の位相・振幅目標値を変更する。
【0146】
図18は、測定局900の構成を示すブロック図である。
【0147】
図18において、測定局900は、受信部906と、アンテナ910と、誤り検出部920と、フィードバック情報構成部930と、送信信号生成部940とを有する。
【0148】
受信部906は、MIMO評価装置600における受信機105及び位相振幅検出器620に対応する。
【0149】
受信部906は、評価対象アンテナ901と電気的に接続されており、評価対象アンテナ901で受信された受信信号に含まれる同期用プリアンブル及び伝送路推定用シンボルを用いて同期処理、チャネル推定処理を行う。そして、受信部906は、受信信号に含まれるデータ信号部分をMIMO復調し、得られた復調データを出力する。
【0150】
また受信部906は、アンテナ910で受信されたパイロット信号に対して相関演算を行うことで、受信パイロット信号の位相及び振幅を検出する。
【0151】
図19は、受信部906の構成を示すブロック図である。
【0152】
受信部906は、無線部951−1、2と、デマッピング部952−1、2と、パラレルシリアル変換部(P/S部)953と、復号部954と、位相振幅検出器955とで構成される。
【0153】
無線部951−1は、評価対象アンテナ901−1で受信した信号を入力とし、入力された信号に対して、増幅処理、周波数変換、帯域制限、A/D変換処理を施し、得られたベースバンド信号を出力する。
【0154】
無線部951−2は、評価対象アンテナ901−2で受信した信号を入力とし、入力された信号に対して、増幅処理、周波数変換、帯域制限、A/D変換処理を施し、得られたベースバンド信号を出力する。
【0155】
デマッピング部952−1は、無線部951−1からベースバンド信号を受け取り、当該ベースバンド信号とIQ平面上のシンボル候補との尤度を算出し、得られた尤度を出力する。
【0156】
デマッピング部952−2は、無線部951−2からベースバンド信号を受け取り、当該ベースバンド信号とIQ平面上のシンボル候補との尤度を算出し、得られた尤度を出力する。
【0157】
P/S部953は、デマッピング部952−1及びデマッピング部952−2から出力される尤度を入力とし、入力された尤度に対してパラレルシリアル変換を施し、得られたシリアルな尤度値からなるデータ列を出力する。
【0158】
復号部954は、P/S部953から出力されるデータ列を入力とし、入力データ列に対して復号処理を施し、得られたビットデータを出力する。復号部954は、例えば、ビタビ復号方法によって復号する。
【0159】
位相振幅検出器955は、アンテナ910で受信されたパイロット信号に対して相関演算を行うことで、受信パイロット信号の位相及び振幅を検出し、検出結果を位相振幅情報として出力する。
【0160】
図18に戻り、誤り検出部920は、復調データに含まれるCRC(Cyclic Redundancy Check)符号を用いて誤り検出を行い、フィードバック情報構成部930に出力する。また、誤り検出部920は、復調データに基づいて、誤り特性(例えば、BER)を算出する。BER測定用データとしては、既知データが用いられる。誤り検出部920は、BER測定用データを予め記憶しておくか又は生成し、当該BER測定用データと復調データと比較する。BER測定データには、例えば、擬似ランダム系列(PN系列)が用いられる。
【0161】
フィードバック情報構成部930は、位相振幅情報及びBER測定結果を含めたフィードバック情報を構成し、送信信号生成部940に出力する。
【0162】
送信信号生成部940は、送信データ及びフィードバック情報を入力とし、送信データ及びフィードバック情報を含めた送信信号を生成する。この送信信号は、アンテナ910を介して送信される。
【0163】
次いで、上記構成を有するMIMO評価システム700の動作について図20を参照して説明する。
【0164】
ステップS2001で測定局900は、測定要求信号を基地局800に送信する。この送信処理は、測定オペレーターが測定局900の測定モードスイッチを切り換えることにより、開始される。
【0165】
ステップS2002で基地局800は、3個の送信ストリームの位相及び振幅がターゲット位置で一致するような位相・振幅目標値で、パイロット信号の位相及び振幅を調整して送信する。
【0166】
ステップS2003で測定局900は、アンテナ910で受信したパイロット信号の位相及び振幅を検出する。
【0167】
ステップS2004で測定局900は、位相振幅情報を基地局800にフィードバックする。
【0168】
ステップS2005で基地局800は、位相振幅情報がターゲット位置で位相及び振幅が一致していることを示しているときには、ステップS2002で用いた位相・振幅目標値を決定値とする。一方、位相振幅情報がターゲット位置で位相及び振幅が一致していないことを示しているときには、位相・振幅目標値が変更された上で、ステップS2002及びステップS2003の処理が繰り返される。
【0169】
ステップS2006で基地局800は、ステップS2005で求められた決定値で、BER測定用データの位相及び振幅を調整して送信する。
【0170】
ステップS2007で測定局900は、評価対象アンテナ901−1、2を介して受信したBER測定用データを用いて、BERを測定する。
【0171】
ステップS2008で測定局900は、BER測定結果を基地局800に送信する。
【0172】
ステップS2009で基地局800は、BER測定結果を受信する。
【0173】
以上のステップS2001からステップS2009までの一連の処理は、1つの回転角度での処理に対応する。従って、測定局900が電測車である場合には、円を描くように走行する間の所定数の回転角度で、上記一連の処理を繰り返す。又は、測定局900が移動端末である場合には、その移動端末をユーザ又は回転装置によって回転させる間の所定数の回転角度で、上記一連の処理を繰り返す。こうして、評価対象アンテナ901を基地局800の送信アンテナ803−1〜3に対して360度回転させながら、評価対象アンテナの受信特性を測定することができる。
【0174】
また、上記のようにパイロット信号による位相及び振幅の調整と、BER測定とを交互に行うことにより、評価対象アンテナ901の位置が変化した場合でも、最適な位相・振幅目標値で、評価対象アンテナの受信特性を測定することができる。
【0175】
以上のように本実施の形態によれば、MIMO評価システム700に、実施の形態3に係るMIMO評価装置600の送信系に対応する機能部を搭載した基地局800と、受信系に対応する機能部を搭載した測定局900とを設けたことにより、測定局900を実際の伝搬環境に持ち出して評価対象アンテナ901の受信特性を測定することができる。
【0176】
なお、以上の説明においては、シングルキャリア方式の変調方式が用いられる場合について説明したが、これに限られるものではなく、OFDMなどのマルチキャリア方式が用いられてもよい。
【0177】
図21は、OFDM変調方式が適用される場合の送信信号生成部の構成を示すブロック図である。
【0178】
図21において、送信信号生成部801Aは、IFFT部825を有する。
【0179】
IFFT部825は、マッピング部823で形成された変調信号を逆高速フーリエ変換することによりOFDM信号を形成し、得られたOFDM信号を無線部824に出力する。
【0180】
図22は、OFDM変調方式が適用される場合の受信部の構成を示すブロック図である。
【0181】
図22において、受信部906Aは、FFT部956を有する。
【0182】
FFT部956は、無線部951から受け取るベースバンド信号を高速フーリエ変換し、得られた周波数成分信号をデマッピング部952に出力する。
【0183】
(実施の形態5)
実施の形態5に係るMIMO評価システムは、測定局を複数有する点で、実施の形態4に係るMIMO評価システム700と異なる。
【0184】
図23は、実施の形態5に係るMIMO評価システムの構成を示す図である。
【0185】
図23において、MIMO評価システム1000は、測定局900−1、2を有している。
【0186】
MIMO評価システム1000においては、測定局900−1に搭載された評価対象アンテナ901の受信特性を測定する場合で、且つ、パイロット信号の位相及び振幅を一致させるターゲット位置が評価対象アンテナ901の重心(又は、幾何学的中心)以外のときには、測定局900−2のアンテナ910の位置をターゲット位置とする。
【0187】
そして、測定局900−2が位相振幅情報を基地局800にフィードバックすることにより、基地局800は、最適な位相・振幅目標値で位相及び振幅を調整したBER測定データを測定局900−1に向けて送信することができる。
【0188】
図24は、MIMO評価システム1000の動作説明に供する図である。
【0189】
ステップS2101で測定局900−1は、測定要求信号を基地局800に送信する。この送信処理は、測定オペレーターが測定局900−1の測定モードスイッチを切り換えることにより、開始される。
【0190】
ステップS2102で基地局800は、3個の送信ストリームの位相及び振幅がターゲット位置で一致するような位相・振幅目標値で、パイロット信号の位相及び振幅を調整して送信する。このときのターゲット位置は、測定局900−1に搭載された評価対象アンテナ901の重心(又は、幾何学的中心)ではなく、測定局900−2のアンテナ910の位置である。
【0191】
ステップS2103で測定局900−2は、アンテナ910で受信したパイロット信号の位相及び振幅を検出する。
【0192】
ステップS2104で測定局900−2は、位相振幅情報を基地局800にフィードバックする。
【0193】
ステップS2105で基地局800は、位相振幅情報がターゲット位置で位相及び振幅が一致していることを示しているときには、ステップS2102で用いた位相・振幅目標値を決定値とする。一方、位相振幅情報がターゲット位置で位相及び振幅が一致していないことを示しているときには、位相・振幅目標値が変更された上で、ステップS2102及びステップS2103の処理が繰り返される。
【0194】
ステップS2106で基地局800は、ステップS2105で求められた決定値で、BER測定用データの位相及び振幅を調整して送信する。
【0195】
ステップS2107で測定局900−1は、評価対象アンテナ901−1、2を介して受信したBER測定用データを用いて、BERを測定する。
【0196】
ステップS2108で測定局900−1は、BER測定結果を基地局800に送信する。
【0197】
ステップS2109で基地局800は、BER測定結果を受信する。
【0198】
以上のステップS2101からステップS2109までの一連の処理は、1つの回転角度での処理に対応する。
【0199】
このように本実施の形態によれば、ターゲット位置が評価対象アンテナ901の重心(又は、幾何学的中心)以外であるときに、当該評価対象アンテナが搭載された測定局900−1以外の測定局900に備えられたアンテナ910の位置が、ターゲット位置とされる。
【0200】
こうすることで、基地局800は、最適な位相・振幅目標値で位相及び振幅を調整したBER測定データを測定局900−1に向けて送信することができる。
【0201】
なお、以上の説明では、測定局900が2台の場合を説明したが、これに限られるものではなく、n台(n=2,3,4、・・・)の測定局900が存在してもよい。この場合、ターゲット位置にする測定局を、評価対象アンテナを搭載している測定局以外の測定局にすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0202】
本発明のMIMO評価装置、及び、試験データストリームの送信方法は、アンテナ指向特性を抽出可能なものとして有用である。
【図面の簡単な説明】
【0203】
【図1】本発明の実施の形態1に係るMIMO評価装置の全体構成を示す図
【図2】複素振幅制御器の構成を示すブロック図
【図3】送信アンテナを固定する保持台の構成を示す図
【図4】アンテナ保持板のアンテナ保持孔に送信アンテナを取り付けるための取り付け部に係る構成を示す図
【図5】アンテナ回転台の構成を示す図
【図6】アンテナ保持板のアンテナ保持孔に評価対象アンテナを取り付けるための取り付け部に係る構成を示す図
【図7】送信アンテナと、評価対象アンテナとのセッティング位置の一例を示す図
【図8】回転角度を順次変更したときに得られた行列式detHの計算結果をプロットした図
【図9】実施の形態2に係るMIMO評価装置の全体構成を示す図
【図10】複素振幅制御部の構成を示すブロック図
【図11】図7に示したアンテナ配置において得られたBERシミュレーション結果
【図12】実施の形態3に係るMIMO評価装置の全体構成を示す図
【図13】MIMO評価装置から送信される信号のパタンを示す図
【図14】MIMO評価装置から送信される信号の他のパタンを示す図
【図15】実施の形態4に係るMIMO評価システムの構成を示す図
【図16】基地局の構成を示すブロック図
【図17】送信信号生成部の構成を示すブロック図
【図18】測定局の構成を示すブロック図
【図19】受信部の構成を示すブロック図
【図20】MIMO評価システムの動作説明に供する図
【図21】OFDM変調方式が適用される場合の送信信号生成部の構成を示すブロック図
【図22】OFDM変調方式が適用される場合の受信部の構成を示すブロック図
【図23】実施の形態5に係るMIMO評価システムの構成を示す図
【図24】MIMO評価システムの動作説明に供する図
【図25】従来の無線伝送評価装置の構成を示す図
【符号の説明】
【0204】
100,500,600 MIMO評価装置
101 送信機
102,530,630 複素振幅制御器
103,803 送信アンテナ
104 アンテナ回転台
105 受信機
106 コンピュータ
107,108 同軸ケーブル
111,811 分配器
112,812 位相振幅制御器
113,813 合成器
114,534,814 制御器
120 モータ
121 回転テーブル
123,402 脚部
124,401 アンテナ保持板
125,404 アンテナ保持孔
126 アンテナ制御装置
127,405 両端コネクタ
128,406 両端コネクタ固定用ナット
129,130,407,408 SMAコネクタ
201,901 評価対象アンテナ
300 電波暗室
400 アンテナ保持台
403 補強部
510 BER平均処理部
520 BER記憶部
532 記憶部
610,910 アンテナ
620,955 位相振幅検出器
700,1000 MIMO評価システム
800 基地局
801,801A,940 送信信号生成部
805,906,906A 受信部
821 符号化部
822 S/P部
823 マッピング部
824,951 無線部
825 IFFT部
900 測定局
920 誤り検出部
930 フィードバック情報構成部
952 デマッピング部
953 P/S部
954 復号部
956 FFT部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
N−1(Nは3以上の自然数)個以上の評価対象アンテナから構成されるMIMO受信評価アンテナ群の受信特性を評価するMIMO評価装置であって、
N−1種類の基本ストリームを生成する生成手段と、
前記N−1種類の基本ストリームから、前記基本ストリーム又は2つの前記基本ストリームの組み合わせを合計N個選択する選択手段と、
前記組み合わせに係る基本ストリーム同士を合成した合成基本ストリームを形成する合成手段と、
前記選択された基本ストリーム及び前記合成基本ストリームをN個の送信ストリームとして送信するN本の送信アンテナと、
前記MIMO受信評価アンテナ群の重心以外の位置で前記N個の送信ストリームの位相及び振幅を一致させる位相・振幅目標値に、前記選択された基本ストリーム及び前記合成基本ストリームの位相及び振幅を調整し、当該調整後の基本ストリーム及び合成基本ストリームを前記N個の送信ストリームとして送出する位相振幅制御手段と、
を具備するMIMO評価装置。
【請求項2】
前記位相振幅制御手段は、前記位相・振幅目標値と、前記重心で前記N個の送信ストリームの位相及び振幅を一致させる第2の位相・振幅目標値とで調整目標値を切り換える、
請求項1に記載のMIMO評価装置。
【請求項3】
前記MIMO受信評価アンテナ群が載置される載置面を有し、載置面を回転させることにより前記MIMO受信評価アンテナ群と、前記N本の送信アンテナとの位置関係を変化させる回転手段をさらに具備する、
請求項1に記載のMIMO評価装置。
【請求項4】
前記MIMO受信評価アンテナ群を介して受信した前記N個の送信ストリームを含む受信信号を分離するMIMO受信手段をさらに具備する、
請求項1に記載のMIMO評価装置。
【請求項5】
前記MIMO受信手段は、前記分離した受信信号に基づいて伝送品質を算出する、
請求項4に記載のMIMO評価装置。
【請求項6】
前記伝送品質は、伝送データ誤り率である、
請求項5に記載のMIMO評価装置。
【請求項7】
前記伝送品質は、MIMOチャネル推定値の固有値である、
請求項5に記載のMIMO評価装置。
【請求項8】
前記伝送品質は、データスループットである、
請求項5に記載のMIMO評価装置。
【請求項9】
前記MIMO受信手段で所定区間に算出された複数の伝送品質を平均化する平均処理手段を具備する、
請求項4に記載のMIMO評価装置。
【請求項10】
前記MIMO受信評価アンテナ群の重心に配置された受信アンテナと、
前記受信アンテナで受信された前記N個の送信ストリームを含む受信信号の位相及び振幅を検出する位相振幅検出手段と、
を具備する、
請求項1に記載のMIMO評価装置。
【請求項11】
N−1(Nは3以上の自然数)個以上の評価対象アンテナから構成されるMIMO受信評価アンテナ群の受信特性に関する測定に利用される試験データストリームの送信方法であって、
N−1種類の基本ストリームを生成するステップと、
前記N−1種類の基本ストリームから、前記基本ストリーム又は2つの前記基本ストリームの組み合わせを合計N個選択するステップと、
前記選択された基本ストリーム及び前記組み合わせに係る基本ストリームの位相及び振幅を位相・振幅目標値に調整するステップと、
前記組み合わせに係る基本ストリーム同士を合成した合成基本ストリームを形成するステップと、
前記位相及び振幅が調整された前記基本ストリーム及び前記合成基本ストリームをN個の前記試験データストリームとして送信するステップと、
を具備し、
前記位相・振幅目標値は、前記MIMO受信評価アンテナ群の重心以外の位置で前記N個の試験データストリームの位相及び振幅を一致させる、
試験データストリームの送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−19598(P2010−19598A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−178232(P2008−178232)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】