説明

MIMO通信用アンテナなどの複数アンテナを備えたデータ通信端末

【課題】複数アンテナを有し、非使用時における外形寸法が小さく、PCに着脱容易に直接に嵌合可能なデータ通信端末の提供。
【解決手段】所定方向に互いにスライド可能な筐体1,2を有し、筐体1,2にはその所定方向における片側の端部(図1の左端部)にアンテナ11,21がそれぞれ配置してある。筐体1,2は、通信可能状態では、図1(B)の如くに、互いにスライドされる。このとき、アンテナ11,21は、所定方向に関する位置を互いに異にしており、相互の干渉が軽減される。筐体1は他方の端(図1の右端)にUSBインターフェース3を有する。USBインターフェース3は、筐体1,2が、図1(B)の如くに、通信可能状態に互いにスライドされたとき、筐体2の他方の端(図1の右端)より外側に突出するので、PCのUSBインターフェースに、容易に着脱できる。非使用時には図1(A)の如くに筐体の両端を揃えられ、小型化される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数アンテナを備えたデータ通信端末に関し、特にMIMO通信やダイバーシティ通信などのようなマルチアンテナ通信に適用して好適なデータ通信端末に関する。
【背景技術】
【0002】
MIMO(Multi-Input Multi-Output)通信技術は、使用周波数帯域を増加させることなく、通信速度を高速にできると共に、システムの総合的なスループットの向上を図り得る技術である。他方、近年、携帯電話機やデータ通信端末(「データ通信カード」と通称されることもある。)の分野においては、LTE(Long Term Evolution)と呼ばれる通信技術の研究開発が進められている。MIMO通信技術は、このLTEに適用して、データ伝送の高速化を図り得る通信技術として、期待されている。
【0003】
これら携帯電話機やデータ通信端末は小型化が進んでいる。小型化を図る携帯電話機やデータ通信端末では、アンテナについても外部可動式アンテナ(伸縮式長さ可変ホイップアンテナ等)ではなく、小型の内蔵アンテナが求められる。他方、MIMO通信などの複数アンテナを使用した通信では、アンテナ相互の干渉を抑制して、アンテナ相互のアイソレーションを確保し、ひいては所用の通信品質を得るために、アンテナ相互の距離をとる必要がある。しかしながら、端末の小型化は、アンテナ相互を十分に離間させて、アンテナ相互のアイソレーションを確保することを難しくしている。このため、アンテナ配置によっては、通信相手のアンテナとの位置関係に応じて、MIMO通信の品質劣化が生じる場合がある。
【0004】
1つの筐体に2つの無線機を備え、これら2つの無線機それぞれに設けられた第1および第2のアンテナにより異なる周波数をそれぞれが送受信するようにした移動体通信端末の例が特許文献1(特開2007−37170)に開示されている。この移動体通信端末は、アンテナ間の相互干渉を軽減するために、第1および第2のアンテナを筐体の長手方向に対し異なる端部にそれぞれ配置している(特許文献1における明細書の段落0059並びに図1,2,7,9及び10参照)。
【0005】
更に、特許文献1の移動体通信端末では、第1の送受信アンテナ(501)等を実装したプリント基板(503)と、第2の送受信アンテナ(502)等を実装したプリント基板(504)とを別基板として個別に配設することにより、第1と第2の無線機のグラウンドパターンを互いに物理的に分離させ、両プリント基板間のグラウンドパターン上を流れる電流の経路を断ち、電波干渉を軽減できるとしている(特許文献1における明細書の段落0090及び図7参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−37170(段落0056−0095、図1−10、要約)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
データ通信カード等と通称されるデータ通信端末は、USB規格などのコネクタを端部に備え、パーソナルコンピュータ(PC)を無線NANに接続するために、そのコネクタをPCのコネクタに直接に、即ちケーブを介在させること無く、嵌合させて用いられることが多い。このようにデータ通信端末のコネクタをPCのコネクタに直接に接続することにより、データ通信端末とPCとは物理的に一体な物として取り扱うことができる。
【0008】
MIMO通信をするデータ通信端末は、複数のアンテナを備えるし、またアンテナそれぞれに付属させてマッチング回路等の電子回路を有する。このような構成のデータ通信端末では、複数の筐体で構成し、それら複数の筐体をスライド可能に連結した構造とし、非使用時(非通信時)における外形寸法をできるだけ小さくするために、それら複数の筐体を互いに重なり合うように各筐体をスライドさせ、使用時(通信時)にだけそれら複数の筐体が互いに重なり合わないように各筐体をスライドさせ得る構造が望まれる。
【0009】
このように、データ通信端末をスライド構造で連結された複数の筐体で構成すると、手で把持するのを容易にするという要請から、外形はスライド方向に長い形状とすることが望ましい。また、このような形状のスライド構造のデータ通信端末をPCに直接に接続できるようにするために、USB規格などのコネクタを設けようとすると、長い形状の複数の筐体における長手方向(スライド方向)の端にそのコネクタを設けることが、コネクタの着脱の容易性確保の要請から、好ましい。
【0010】
ところが、上述した特許文献1の通信端末では、アンテナ間の相互干渉を軽減するために、第1および第2のアンテナを筐体の長手方向における互いに異なる端部にそれぞれ配置しているので、筐体の長手方向の端部にUSB規格などのコネクタを設け、そのコネクタをPCのコネクタに直接に嵌合することにより、通信端末をPCと一体構造の物として扱えるようにすることができない。
【0011】
また、MIMO通信用データ通信端末は、アンテナは2つではなく、3つ又はそれ以上備えることもある。特許文献1の通信端末では、第1および第2のアンテナを筐体の長手方向に対し異なる端部にそれぞれ配置するので、この条件を満たすためにアンテナは最大2個までしか備えることができない。したがって、特許文献1の通信端末は、アンテナを3つ又はそれ以上備えるMIMO通信用データ通信端末には適用できない。
【0012】
(本発明の目的)
そこで、本発明は、非使用時(非通信時)における外形寸法が小さく、PCに直接に嵌合可能で、PCのコネクタとの着脱が容易な位置にコネクタを設けることのできるデータ通信端末の提供を目的とする。また、本発明は、3つ又はそれ以上のアンテナを備えたときもアンテナ間の相互干渉を軽減できるデータ通信端末の提供を他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の課題を解決するため、本発明によるデータ通信端末は、主に、次のような特徴的な構成を採用している。
【0014】
本発明によるデータ通信端末は、
所定方向に互いにスライド可能な第1乃至第n(nは2又は2以上の整数)の筐体を有し、
前記第1乃至第nの筐体には、前記所定方向における一方の側の端部に第1乃至第nのアンテナがそれぞれ配置してあり、
前記第1乃至第nの筐体が通信可能状態に互いにスライドされたとき、前記第1乃至第nのアンテナは、前記所定方向に関する位置を互いに異にする
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のデータ通信端末によれば、非使用時(非通信時)における外形寸法が小さく、PCに直接に嵌合可能で、PCのコネクタとの着脱が容易な位置にコネクタを設けることのできるデータ通信端末を提供できる。また、本発明のデータ通信端末によれば、3つ又はそれ以上のアンテナを備えたときも、アンテナ間の相互干渉を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態であるデータ通信端末の非通信時における外観を示す斜視図(A)、およびそのデータ通信端末のデータ通信時における外観を示す斜視図(B)である。
【図2】図1のデータ通信端末の構成を示すブロック回路図である。
【図3】図1のデータ通信端末によりデータ通信を行うときの操作手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明によるデータ通信端末の好適な実施形態について添付図を参照して説明する。
【0018】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明によるデータ通信端末は、所定方向に互いにスライド可能な第1乃至第n(nは2又は2以上の整数)の筐体を有し、これら第1乃至第nの筐体には、その所定方向における一方の側の端部に第1乃至第nのアンテナをそれぞれ配置し、それら第1乃至第nの筐体が通信可能状態に互いにスライドされたとき、第1乃至第nのアンテナは、その所定方向に関する位置を互いに異にしている。
【0019】
より具体的には、本発明のデータ通信端末は、スライド構造により所定方向に互いにスライド(摺動)可能なn個の筐体を有してなり、それらn個の筐体における所定方向の片方の端部にそれぞれ1個のアンテナを備え、全体でn個のアンテナを備えるが、n個の筐体が通信可能状態に互いにスライドされたとき、それらn個のアンテナは所定方向に関する位置を互いに異にする。すなわち、通信可能状態では、所定方向に平行な平面にそれらアンテナを投影したとき、それらアンテナは、その所定方向に関して、互いに異なる位置にある。
【0020】
スライド可能に組み合わされた複数の筐体を有する構造では、個々の筐体をスライド方向(前述の「所定方向」)に長い形とし、それら複数の筐体を組み合わせた全体の形状をスライド方向に長い形にすることで、手で把持することを容易にすることができる。このように、複数の筐体それぞれの形をスライド方向に長くし、しかもそれら複数の筐体には片方の端部にそれぞれアンテナが設けてある。これら複数の筐体が通信可能状態に互いにスライドされたとき、各筐体の片方の端部に備えられたアンテナは、スライド方向において互いに異なる位置に配置され、互いに離間しているから、それら複数アンテナ相互の電波干渉を軽減できる。
【0021】
更に、このように互いにスライド可能なように複数の筐体を組み合わせてなる本発明のデータ通信端末では、それら筐体のうちの1つにおける他方の端(アンテナとは反対側の端)にUSB規格などのコネクタを設けることができる。かくの如くに筐体の端に設けられたコネクタは、PCのコネクタに直接に(ケーブルを介在させることなく。)容易に嵌合させることができる。そこで、本発明のデータ通信端末においては、複数の筐体のうちの1つの筐体におけるスライド方向の端にコネクタを設け、このデータ通信端末をPCと一体構成とすることが容易にできる。この本発明のデータ通信端末とPCとの一体構成を用いれば、PCから出力されたデータを本発明のデータ通信端末により変調して電波で通信の相手方に送信し、或いは通信の相手方から送信された電波の受信・復調を本発明のデータ通信端末で行い、復調により得たデータをPCに送ることが容易にできる。このように、本発明のデータ通信端末を、コネクタで直接にPCに接続して、PCとの一体構成で用いるとき、ケーブルで接続された無線通信装置を用いることなく、PCに無線通信機能を簡易に付与することができる。しかも、この一体構成では、本発明のデータ通信端末におけるコネクタとアンテナとは、そのデータ通信端末の筐体においてスライド方向関する互いに反対側の端部に配置されるので、そのアンテナは、コネクタが直接に嵌合されるPCから可能な最大距離だけ離間される。そこで、PCから漏れる雑音電波がそのアンテナに干渉する度合いを最低限に抑制できる。
【0022】
本発明では、互いにスライド可能な筐体を3個またはそれ以上とし、それら各筐体に備えられるアンテナを用いたMIMO通信やダイバーシティ通信が可能である。3個またはそれ以上であっても、それらアンテナは、通信状態ではスライド方向において互いに位置を異にするので、アンテナ間相互の干渉を軽減することができる。
【0023】
(図面を参照した実施形態の詳細説明)
次に、図面を参照して、本発明を一層具体的に説明する。図1は、本発明の一実施形態であるMIMO通信用のデータ通信端末を示す。この実施形態は、前述のnが"2"であり、前述のiが"1"である構成の例である。図1(A)は、そのデータ通信端末の非通信時における外観を示す斜視図、同図(B)はそのデータ通信端末のデータ通信時における外観を示す斜視図である。図1のデータ通信端末は筐体1および筐体2をスライド可能に組み合わせてなる。筐体1および2は、プリント基板に電子部品およびスライド用の機構部品を搭載しており、それらの長手方向(図の横方向)に手動操作により互いにスライド可能である。すなわち、筐体1および2の長手方向はそのスライド方向(前述の「所定方向」に相当。)である。筐体1および2は、その長手方向の片端部(図の左側端部)にアンテナ11および12をそれぞれ有する。筐体1は、その他端部(図の右側端部)に、USBインターフェース(前述の「コネクタ」に相当。)3を固定的に有している。
【0024】
筐体1および2の長手方向の寸法は同じである(筐体1の長さは、USBインターフェース3の長さを含むものとする。)。筐体1および2は、非使用時(非通信時)には図1(A)の如くに互いの端を揃えて最短長さとなるように、互いにスライドされ、この状態で収納される。筐体1および2は、使用時(通信時)には、図1(B)の如くに互いにスライドされる。この状態では、アンテナ11とアンテナ21との位置は長手方向において互いに異なり、互いの離隔距離が可能な最大な大きさになる。本実施の形態では、アンテナ11及び21は、USBインターフェース3の長さだけ互いに離隔されている。
【0025】
図2は、図1のデータ通信端末の構成を示すブロック回路図である。筐体1には、アンテナ11、アンテナマッチング回路部12およびMIMO変復調部23が内蔵されている。そのMIMO変復調部23には、USBインターフェース3が固定されている。このUSBインターフェース3はMIMO変復調部23の内部回路に接続されている。筐体2には、アンテナ21およびアンテナマッチング回路部22が内蔵されている。USBインターフェース3は、通信時には図1(B)の如くに筐体1の他端(図1における右端。)から突出する。このように筐体1の他端から突出したUSBインターフェース3は、PCのUSBインターフェースと軸及び回転角度を揃えるのが容易であるので、PCのUSBインターフェースに直接に容易に嵌合できる。同様に、USBインターフェース3は、PC側のUSBインターフェースから取り外すことも容易である。即ち、本実施の形態では、USBインターフェース3とPC側のUSBインターフェースとの着脱が容易である。このように、本実施形態では、USBインターフェース3をPC側のUSBインターフェースに直に嵌合でき、両者間接続用のケーブルを必要としないので、本実施形態のデータ通信端末をPCと一体的に結合できる。
【0026】
USBインターフェース3をPCのUSBインターフェースに嵌合することにより、図1のデータ通信端末におけるMIMO変復調部23は、PC側のUSBインターフェース及びUSBインターフェース3経由でPCから送られるデータを受け、このデータで変調した高周波の変調信号を生成する。この変調信号は、アンテナマッチング回路部12および22を経由して、アンテナ11および21からそれぞれ空間に送信される。
【0027】
図3は、図1のデータ通信端末によりデータ通信を行うときの操作手順を示す流れ図である。まず、データ通信を開始するか否かを決める(ステップS1)。データ通信を開始するときは(ステップS1においてYESを選択。)、筐体1および2を互いにスライドさせ、USBインターフェース3を図1(B)の如くに筐体2の他端(図1の右端)から突出させる(ステップS2)。次に、USBインターフェース3をPCのUSBインターフェースに嵌合させ、図1のデータ通信端末をPCに接続する(ステップS3)。このとき、MIMO変復調部23は、PCに接続され、USBインターフェース3及びPC側のUSBインターフェースを介して、PCとの間でデータの授受が可能となり、データ通信が開始される(ステップS4)。そして、データ通信を終了するか否かが判断される(ステップS5)。ステップS5においてデータ通信を終了しないときは(ステップS5においてNOを選択。)、ステップ4に戻り、データ通信を継続する。データ通信を終了するときは(ステップS5においてYESを選択。)、筐体1および2を互いにスライドさせ、筐体1および2の片端(図1の左端)を揃え、USBインターフェース3の右端を筐体2の他端(図1の右端)に揃え、図1(A)の如くに、図1のデータ通信端末を最短の形状とする(ステップS6)。図1のデータ通信端末は、最短の形状とされたとき、収納に適した形態となる。
【0028】
本実施の形態では、図3のステップS2で筐体1及び2を図1(B)に示す如くにスライドさせ、通信可能状態にしたとき、アンテナ11と21とは可能な最も大きい距離だけ互いに離隔される。アンテナ11と21との離隔距離は、図1(A)の状態から図1(B)の状態へ筐体1および2をスライドするときに、スライド距離を必要な程度まで確保できるように、筐体1及び2をスライド可能に組み合わせる構造(スライド構造)を設計することにより、必要な程度に適切に設定できる。したがって、本実施の形態においてはアンテナ11及び21相互の干渉を必要な程度まで低減できるので、本実施の形態に求められているMIMO通信の品質を確保するのが容易である。
【0029】
本実施の形態では、スライド構造により筐体1および2を組み合わせ、それら筐体1および2で構成される全体(本実施の形態のデータ通信端末)の長さを、非通信時には最短に短縮できる。そこで、非使用時の寸法を小さくできるので、収納のための所要空間を小さくできる。
【0030】
また、本実施の形態では、アンテナ11および21は、筐体1および2にそれぞれ固定される。前述の特許文献1では、一方のアンテナ(201,301,401,501)は外付けのモノポールアンテナであったが、本実施の形態では両アンテナ11,12を何れも内蔵アンテナとし、筐体1,2にそれぞれ固定できるので、この点でも、全体の寸法を小さくすることが可能である。
【0031】
本実施の形態では、筐体1,2のスライド方向に関し、アンテナ11,21とUSBインターフェース3とは筐体1,2における互いに反対側の端部に配置される。そこで、USBインターフェース3をPCのUSBインターフェースに直接に嵌合させることにより、本発明のデータ通信端末をPCと一体構成とし、本発明のデータ通信端末をPCの無線通信装置として用いたときも、アンテナ11,21はPCから可能な最も離れた位置に配置され、PCから漏れる雑音電波がアンテナ11,21に干渉する度合いを可能な最低限に抑制できる。
【0032】
また、本実施の形態は、筐体1,2をスライド可能に組み合わせてなるので、筐体1,2におけるグラウンドパターンを物理的に分離させることができる。筐体1,2におけるグラウンドパターンを物理的に分離することにより、筐体1のグラウンドパターンを流れる電流が筐体2のグラウンドパターンに流れ込むのを防ぎ、他方、筐体2のグラウンドパターンを流れる電流が筐体1のグラウンドパターンに流れ込むのを防ぎ得るので、他方の筐体内の電子回路やアンテナに互いに影響を与え合う伝導性干渉を軽減できる。
【0033】
以上、本発明の好適な実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることは、当業者には容易に理解できよう。
【0034】
例えば、上述の実施の形態のデータ通信端末はマルチアンテナ型のMIMO通信端末であった。しかし、本願発明は、複数のアンテナを有する各種の通信端末に適用でき、例えばダイバーシティ通信端末にも適用できる。また、上述の実施の形態ではデータ通信について説明したが、本願発明は音声通信にも適用できる。
【0035】
上述の実施の形態は、互いにスライド可能な2個の筐体を有して構成されていた。しかし、本願発明では、互いにスライド可能な筐体を3個またはそれ以上とすることも可能である。前述の特許文献1に記載の通信端末では、プリント基板の両端に第1および第2のアンテナを配置することによりアンテナ間干渉を軽減するというアイデアを採用していたから、アンテナは2つに限定されるが、本発明では、互いにスライド可能な複数の筐体の数と同数のアンテナを設けてもアンテナ相互の干渉を軽減できるので、本発明ではアンテナの数に関して格別な制限はない。したがって、本発明では、アンテナが3個またはそれ以上であっても、アンテナ間相互の干渉を軽減することができる。
【符号の説明】
【0036】
1,2 筐体
3 USBインターフェース
11,21 アンテナ
21,22 アンテナマッチング回路部
23 MIMO変復調部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に互いにスライド可能な第1乃至第n(nは2又は2以上の整数)の筐体を有し、
前記第1乃至第nの筐体には、前記所定方向における一方の側の端部に第1乃至第nのアンテナがそれぞれ配置してあり、
前記第1乃至第nの筐体が通信可能状態に互いにスライドされたとき、前記第1乃至第nのアンテナは、前記所定方向に関する位置を互いに異にする
ことを特徴とするデータ通信端末。
【請求項2】
前記第1乃至第nの筐体のうちの第i(1≦i≦n)の筐体は前記所定方向における他方の端にコネクタを有し、
前記コネクタは、前記第1乃至第nの筐体が前記通信可能状態に互いにスライドされたとき、前記第iの筐体以外の前記第1乃至第nの筐体の前記所定方向における前記他方の端から突出する
ことを特徴とする請求項1に記載のデータ通信端末。
【請求項3】
前記第1乃至第nのアンテナは、前記第1乃至第nの筐体にそれぞれ内蔵されていることを特徴とする請求項1または2のうちのいずれかに記載のデータ通信端末。
【請求項4】
前記第1乃至第nの筐体はプリント配線基板でなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のデータ通信端末。
【請求項5】
前記第1乃至第nの筐体のうちの少なくとも1つの筐体は、変復調部を有し、
前記変復調部は、前記第1乃至第nのアンテナにそれぞれ設けられたアンテナマッチング回路部を介して、該前記第1乃至第nのアンテナとの間で前記データの授受を行う
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のデータ通信端末。
【請求項6】
前記変復調部は前記第iの筐体に設けてあることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のデータ通信端末。
【請求項7】
前記変復調部はMIMO変復調部であることを特徴とする請求項5または6のいずれかに記載のデータ通信端末。
【請求項8】
前記第1乃至第nの筐体が前記通信可能状態に互いにスライドされたとき、前記第iの筐体の前記コネクタは、パーソナルコンピュータのコネクタに直接に嵌合可能であることを特徴とする請求項2乃至6のいずれかに記載のデータ通信端末。
【請求項9】
前記第1乃至第nの筐体でなる全体構造の長さが最短になるように該第1乃至第nの筐体が互いにスライドされたとき、前記コネクタの先端は、前記第iの筐体以外の前記第1乃至第nの筐体の前記所定方向における前記他方の端に揃うことを特徴とする請求項2乃至8のいずれかに記載のデータ通信端末。
【請求項10】
前記第iの筐体の前記コネクタがパーソナルコンピュータのコネクタに嵌合されたとき、前記第1乃至第nのアンテナは、嵌合された前記両方のコネクタを介して該パーソナルコンピュータと前記変復調記との間で授受されるデータの送受を行うことを特徴とする請求項5乃至9のいずれかに記載のデータ通信端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−9140(P2013−9140A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140207(P2011−140207)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】