説明

MMP阻害剤として使用するためのアザシクロアルキル置換酢酸誘導体

【課題】マトリクス分解性メタロプロテイナーゼの阻害法および哺乳動物のマトリクスメタロプロテイナーゼ依存性状態の予防処置法の提供。
【解決手段】式I


〔式中、RはOHまたはNHOHであり;Rは水素、所望により置換されている低級アルキル、アリール−低級アルキル等であり;Rはビアリールスルホニル等であり;Rは水素、所望により置換されている低級アルキル等であり;RおよびRは水素、低級アルキル、低級アルコキシカルボニル等であり;mは0、1、2または3である。〕の化合物、薬学的に許容されるそのプロドラッグ誘導体、薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の要約
本発明は、マトリクス分解性メタロプロテイナーゼの阻害剤としての、以下に記載のα−(アザシクロアルキル)−置換されたビアリールスルフォンアミド酢酸誘導体、その製法、当該化合物を含む医薬組成物、マトリクス分解性メタロプロテイナーゼ活性を阻害する方法、および哺乳動物のマトリクスメタロプロテイナーゼ阻害に応答するマトリクスメタロプロテイナーゼ依存性疾患および状態を、そのような化合物または本発明の化合物を含む医薬組成物を使用して処置する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明の化合物は、マトリクス分解性メタロプロテイナーゼ(MMP)、例えばゼラチナーゼ、ストロメリシンおよびコラゲナーゼ、特にコラゲナーゼ−3(MMP−13)を阻害する。それ故に、本発明の化合物はマトリクス分解を阻害し、そして特にマトリクス分解性メタロプロテイナーゼ依存性病理学的状態、特に哺乳動物のコラゲナーゼ−3依存性病理学的状態を予防または処置するために有用である。そのような状態は、乳、肺、膀胱、結腸、卵巣、および皮膚癌を含むような悪性および非悪性腫瘍(腫瘍生長、腫瘍転移、腫瘍増殖または侵襲および/または腫瘍血管新生を阻害することによる);炎症性状態、例えば関節炎(リウマチ様および変形性関節症)、敗血症性ショック、炎症性腸疾患、クローン病等;またミエリンの破壊または喪失に関係する神経系の炎症性脱髄性障害(例えば多発性硬化症)、視神経炎、視神経脊髄炎(Devic病)、びまん性および移行性硬化症(Schilder病)および急性散在性脳脊髄症;また脱髄性末梢性神経症、例えば運動障害についてのLandry-Guillain-Barre-Strohl症候群;また組織潰瘍化(例えば表皮および胃潰瘍)、異常傷治癒、歯周(periodental)疾患および骨疾患(例えばページェット病および骨粗鬆症)を含む。
【0003】
眼科的適用は、眼炎症、角膜潰瘍、表皮爪膜、黄斑変性症、角膜炎、円錐角膜、開放隅角緑内障、網膜症、およびまた有害な影響を最小化するために屈折矯正手術(レーザーまたは切開)と組み合わせたそれらの使用を含む。MMPの阻害に加えて、本発明のある種の化合物はまた、TNF−α変換酵素(TACE)を阻害し得る。本発明の化合物で処置すべき他の状態は、気管支障害(例えば喘息)、アテローム性動脈硬化症性状態(例えばアテローム斑の破裂を阻害することによる)、並びに急性冠状動脈症候群、心臓発作(心臓虚血)、卒中(脳虚血)、血管形成術後の再狭窄、およびまた血管潰瘍形成、心臓拡張症および動脈瘤を含む。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の好ましい化合物、特にRがOHであり、R1がアシルである以下の式Iの化合物が、MMP−13(コラゲナーゼ−3)の強力な選択的阻害剤であり、そしてMMP−1(コラゲナーゼ−1)阻害、およびTNF−変換酵素(TACE)阻害が実質的にない。選択的MMP−13阻害剤は、MMP阻害剤に典型的に付随してきた副作用、例えば筋骨格性効果が実質的にないことが期待される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
発明の詳細な記載
本発明は式I
【化1】

[式中、Rは、OHまたはNHOHであり;
は、水素、所望により置換されている低級アルキル、アリール−低級アルキル、シクロアルキル−低級アルキル、またはカルボン酸から、炭酸から、カルバミン酸からまたはスルホン酸から誘導されるアシルであり;
は、ビアリールスルホニルまたはアリールオキシアリールスルホニルであり;
は、水素、所望により置換されている低級アルキル、アリール−低級アルキル、シクロアルキル−低級アルキルまたはカルボン酸から、炭酸からまたはカルバミン酸から誘導されるアシルであり;
およびRは、独立的に水素、低級アルキル、低級アルコキシカルボニル、アリール−低級アルキルまたはシクロアルキル−低級アルキルであり;
mは、0、1、2または3である]
の化合物、薬学的に許容されるそのプロドラッグ誘導体;薬学的に許容されるその塩;当該化合物を含む医薬組成物;およびマトリクス分解性メタロプロテイナーゼを阻害する、および哺乳動物のマトリクスメタロプロテイナーゼ依存性状態を予防または処置するためのそれらの使用に関する。
【0006】
本発明の化合物は、置換基の性質に依存して、1または2以上の不斉炭素原子を有する。またシクロヘキサン置換基は、互いにシスまたはトランスである。得られたジアステレオ異性体、エナンチオマーおよび幾何異性体は、本発明に含まれる。
【0007】
好ましいのは、α−アミノ酸部分の不斉炭素原子の配置がD−アミノ酸前駆体のものに対応し、そして(R)−配置と指定される本発明の化合物である。
【0008】
薬学的に許容されるそのプロドラッグ誘導体は、加溶媒分解によってまたは生理学的条件下で本発明の遊離酸に変換され得るものであり、そしてCOOH基が、例えば、エステル誘導体に誘導体化されているカルボン酸、またはCONHOH基が所望により置換されているO−ベンジル誘導体の形態に誘導体化されているヒドロキサム酸を示す。
【0009】
プロドラッグカルボン酸エステルは、例えば、低級アルキルエステル、シクロアルキルエステル、低級アルケニルエステル、ベンジルエステル、モノまたはジ置換性低級アルキルエステル、例えば、ω−(アミノ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノ、カルボキシル、低級アルコキシカルボニル)−低級アルキルエステル、α−(低級アルカノイルオキシ、低級アルコキシカルボニルまたはジ−低級アルキルアミノカルボニル)−低級アルキルエステル、例えば、ピバロイルオキシメチルエステルおよび一般的に当分野で使用される他のものである。
【0010】
本発明のヒドロキサム酸の所望により置換されているO−ベンジル誘導体は、例えば、ベンジルまたは低級アルコキシ、低級アルキル、ハロゲン、トリフルオロメチル等によって置換されるベンジルである。
【0011】
本発明の酸性化合物の薬学的に許容される塩は、塩基と形成される塩、すなわちカチオン性塩例えば、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えば、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、並びにアンモニウム塩、例えば、アンモニウム、トリメチル−アンモニウム、ジエチルアンモニウムおよびトリス−(ヒドロキシメチル)−メチル−アンモニウム塩である。
【0012】
同様に、酸付加塩、例えば、鉱酸、有機カルボンおよび有機スルホン酸、例えば、塩酸、メタンスルホン酸、マレイン酸の酸付加塩は、塩基性基、例えば、ピリジルが構造の一部を構成する場合、可能である。
【0013】
ここで使用する一般定義は、特に特定しない限り、本発明の範囲内で以下の意味を有する。
有機ラジカルまたは化合物と各々関連して前記および後記で引用される用語“低級”は、例えば、7を含んで7まで、好ましくは4を含んで4まで、有利には1または2炭素原子の分枝基または非分枝基である。
【0014】
低級アルキル基は、分枝基または非分枝基であり、そして1ないし7炭素原子、好ましくは1−4炭素原子含み、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピルまたはイソブチルである。
【0015】
所望により置換されている低級アルキルは、1ないし7炭素原子を有する非置換または置換直鎖または分枝鎖炭化水素基をいう。
【0016】
置換低級アルキルは、1以上の以下の基によって置換される低級アルキル基をいう:ハロ、トリハロメチル、例えば、CClまたはCF、ヒドロキシ、アルコキシ、アルコキシアルコキシ、アリールオキシ、シクロアルキル、アルカノイル、アルカノイルオキシ、アミノ、置換性アミノ、アルカノイルアミノ、チオール、アルキルチオ、アリールチオ、アルキルチオノ、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アミノスルホニル、ニトロ、シアノ、カルボキシ、カルバミル、アルコキシカルボニル、アルアルコキシまたはヘテロシクリル。置換アミノは、例えば、アルキル、アルアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヘテロアルアルキルによって、モノ−または、独立的に、ジ置換されたアミノ、または低級アルキレン、またはO、S、N−(H、アルキル、アシルまたはアルアルキル)が挿入されてヘテロシクリル基を形成する低級アルキレンによってジ置換されたアミノ等をいう。
【0017】
所望により置換されている低級アルコキシ(またはアルキルオキシ)基は、好ましくは1−4炭素原子を含み、そして例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、トリフルオロエトキシ、ビス−トリフルオロイソプロポキシ、パーフルオロエトキシ、トリフルオロメトキシまたは2−メトキシエトキシである。
【0018】
ハロゲン(またはハロ)は好ましくは、クロロまたはフルオロであるが、またブロモまたはヨードであってもよい。
【0019】
アリールは、炭素環式および/または複素環式アリールである。
炭素環式アリールは、単環式または二環式炭素環式アリール、例えば、フェニル、または所望により置換されている低級アルキル、所望により置換されている低級アルコキシ、低級アルキル−(チオ、スルフィニルまたはスルホニル)、低級アルコキシ−低級アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノおよびヘテロシクリル(cycyl)から選択されるラジカルによってモノ−、ジ−、またはトリ−置換され;または低級アルキレンジオキシによってモノ置換されたフェニル;または1−または2−ナフチルである。
【0020】
単環式炭素環式アリールは、好ましくはフェニルまたは、上記で定義の基によってモノ−またはジ−置換されたフェニルである。
【0021】
複素環式アリールは、単環式または二環式ヘテロアリール、例えば、ピリジル、キノリニル、イソキノリニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニル、フラニル、ピロリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリミジニル、ピリダジニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、ピラゾリル、イミダゾリル、チエニル、または置換された、特に例えば、所望により置換されている低級アルキル、所望により置換されている低級アルコキシ、シアノ、ヒドロキシ、アシル、トリフルオロ−低級アルコキシ、トリフルオロメチルまたはハロゲンによってモノ−またはジ−置換された任意の当該ラジカルである。ピリジニル(ピリジル)は、2−、3−または4−ピリジル、有利には3−または4−ピリジルである。チエニルは、2−または3−チエニル、有利には2−チエニルである。キノリニルは、例えば、2−、3−または4−キノリニル、有利には2−キノリニルである。イソキノリニルは、例えば、1−、3−または4−イソキノリニルである。ベンゾピラニル、ベンゾチオピラニルは、例えば、それぞれ3−ベンゾピラニルまたは3−ベンゾチオピラニルである。チアゾリルは、例えば、2−または4−チアゾリルである。トリアゾリルは、1−、2−または5−(1,2,4−トリアゾリル)である。テトラゾリルは、5−テトラゾリルである。イミダゾリルは、例えば、4−イミダゾリルである。フラニルは、2−または3−フラニル、有利には2−フラニルである。イソチアゾリルは、例えば、3−イソチアゾリルである。チアジアゾリルは、例えば、2−チアジアゾリル、例えば、2−[1,3,4]−チアジアゾリルである。オキサジアゾリルは、2−オキサジアゾリル、例えば、2−[1,3,4]−オキサジアゾリルである。ピリミジニルは、例えば、2−ピリミジニルである。ピリダジニルは、例えば、3−ピリダジニルである。
【0022】
ビアリール(Rについてのビアリールスルホニルにおけるように)は、2つの共有結合されたアリール基であって、ここで、該アリール基のそれぞれが、単環式炭素環式アリールまたは単環式複素環式アリールであるものである。より特に、ビアリールは、5または6員複素環式アリールによって置換される単環式炭素環式アリール、単環式炭素環式アリールによって置換された5または6員複素環式アリール、または5または6員複素環式アリールによって置換された5または6員複素環式アリールである。
【0023】
好ましいビアリール基は:(i)所望により置換されている低級アルキル、所望により置換されている低級アルコキシ、低級アルキル−(チオ、スルフィニルまたはスルホニル)、低級アルコキシ−低級アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノ、ヘテロシクリル、および低級アルキレンジオキシから選択されるラジカルによって所望により置換されたフェニルによって置換されたフェニル;(ii)低級アルキル、低級アルコキシ、低級アルキル−(チオ、スルフィニルまたはスルホニル)、低級アルコキシ−低級アルコキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、シアノ、トリフルオロメチル、アミノ、モノ−またはジ−低級アルキルアミノ、ヘテロシクリルおよび低級アルキレンジオキシから選択されたラジカルによって所望により置換されているフェニルによって置換されたチエニルまたはフラニル;または(iii)低級アルコキシによって所望により置換されているピリジルによって置換されたフェニル、チエニルまたはフラニルである。
【0024】
前記ビアリール基において、フェニルは、好ましくはパラ位で置換され、そしてチエニルおよびフラニル(例えば、2−または3−チエニルおよび2−または3−フラニル)は、好ましくは4−または5−位で置換される。
【0025】
特定のビアリール基は、例えば、4−ビフェニリル、5−フェニル−2−チエニル、5−ピリジル−2−チエニル、5−フェニル−2−フラニル、5−イソオキサゾリル−2−チエニル、2−フェニル−5−チアゾリル、2−フェニル−5−[1,3,4]−チアジアゾリル、5−チアジアゾリル−2−チエニル、5−イソオキサゾリル−2−チエニルおよび6−フェニル−3−ピリダジニルであって、それはすべてはここに示される通り所望により置換されている。
【0026】
アリールオキシアリールは、好ましくは炭素環式または複素環式アリールオキシ、好ましくは単環式炭素環式アリールオキシで、有利にはパラ位で置換されるフェニルである。
【0027】
ヘテロシクリルは、N、OおよびSより選択される1または2以上の複素原子を含む5ないし7員飽和環、例えば、ピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、(N−低級アルキルまたはアリール−低級−アルキル)−ピペラジニル、ペルヒドロフラニル、ペルヒドロピラニル等;また、例えば、テトラヒドロイソキノリニルである。
シクロアルキル−低級アルキルは、例えば、(シクロペンチル−またはシクロヘキシル)−(メチルまたはエチル)である。
【0028】
アシルは、カルボン酸、炭酸、カルバミン酸または有機スルホン酸から誘導されるアシルである。
カルボン酸から誘導されるアシルは、例えば、低級アルカノイル、アロイル、アリール−低級アルカノイル、シクロアルキルカルボニル;または例えば、低級アルコキシ、ヘテロシクリル、シクロアルキル、アミノまたはモノ−またはジ−(低級アルキルまたはアリール−低級アルキル)−アミノ、またはアリール−低級アルコキシによって置換された低級アルカノイルである。
【0029】
有機炭酸から誘導されるアシルは、例えば、低級アルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニル、アリール−低級アルコキシカルボニルまたはシクロアルキルオキシカルボニルである。
【0030】
カルバミン酸から誘導されるアシルは、例えば、低級アルキル、シクロアルキル、アリールおよびアリール−低級アルキルから独立的に選択される1または2置換基によって所望により窒素位置で置換されるアミノカルボニル;またはヘテロシクリル(cylcyl)カルボニルであって、ここで、該ヘテロシクリルは、窒素を含むヘテロシクリル、例えば、ピペリジノ、ピロリジノ、モルホリノまたは2−テトラヒドロイソキノリニルである。
【0031】
有機スルホン酸から誘導されるアシルは、例えば、低級アルキルスルホニル、アリールスルホニル、アリール−低級アルキルスルホニル、シクロアルキルスルホニルまたはシクロアルキル−低級アルキルスルホニルである。
【0032】
低級アルカノイルは、例えば、ホルミルを含むC−C−アルカノイル、そして好ましくはC−C−アルカノイル、例えば、アセチルまたはプロピオニル(priopionyl)である。
【0033】
アロイルは、炭素環式または複素環式アロイル、例えば、ペンゾイルまたは低級アルキル、低級アルコキシ、ハロゲン、シアノおよびトリフルオロメチルから選択される1または2ラジカルによってモノ−またはジ−置換されたベンゾイル;または1−または2−ナフトイル;およびまた、例えば、ピリジルカルボニルである。
【0034】
低級アルコキシカルボニルは、好ましくはC−C−アルコキシカルボニル、例えば、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等である。
【0035】
低級アルキレンは、1ないし7炭素原子の直鎖または分枝鎖アルキレン、好ましくは1ないし4炭素原子の直鎖アルキレン、例えば、メチレン、エチレン、プロピレンまたはブチレン鎖、またはC−C−アルキル(有利にはメチル)によってモノ−置換された、またはC−C−アルキル(有利にはメチル)によって同じまたは異なる炭素原子上でジ置換された、当該メチレン、エチレン、プロピレンまたはブチレン鎖であって、炭素原子の総数が7を含んで7までであるものである。
低級アルキレンジオキシは、好ましくはエチレンジオキシまたはメチレンジオキシである。
【0036】
本発明の特定の実施態様は、αアミノ酸部分の不斉炭素が(R)−配置である式Iの化合物、すなわち、式II
【化2】

(式中、R、R−Rおよびmは、上記で定義の意味である)
の化合物、薬学的に許容されるそのプロドラッグ誘導体および薬学的に許容されるその塩から成る。
【0037】
本発明のさらなる特定の実施態様は、
(a)Rが水素、低級アルキルまたはアリール−低級アルキルである;
(b)Rがカルボン酸から誘導されるアシル(アミド)である;
(c)Rが炭酸から誘導されるアシル(ウレタン)である;
(d)Rがカルバミン酸から誘導されるアシル(尿素)である;
(e)Rがスルホン酸から誘導されるアシル(スルホンアミド)である;
式IまたはIIの化合物および薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体;および薬学的に許容されるその塩に関する。
【0038】
好ましいのは、RおよびRが水素であり;さらに、ここで、mは、1;さらに、ここで、Rは、ヒドロキシである上記化合物である。
【0039】
また好ましいのは、Rがヒドロキシ(OH)であり、そしてRが上記で定義のアシルである本発明の化合物であり、これは特に、MMP−13の有力な選択的阻害剤として有用である(実質的にMMP−1またはTACEを阻害することなく)。
【0040】
本発明のさらなる特定の実施態様は、Rがヒドロキシであり;Rがビアリールスルホニルであって、ここで、該ビアリールが単環式炭素環式または複素環式アリールによって置換された単環式炭素環式アリールであるか;またはビアリールが単環式炭素環式または複素環式アリールによって置換された5−または6−員複素環式アリールであり;Rがカルボン酸、炭酸、カルバミン酸またはスルホン酸から誘導されるアシルであり;Rが水素または低級アルキルであり;RおよびRが水素であり;mが1である式IまたはIIの化合物;薬学的に許容されるそのプロドラッグ誘導体;および薬学的に許容されるその塩に関する。
【0041】
好ましいのは、RがラジカルAr−Ar−SO−であって、ここで、Arがフェニレン、フラニレンまたはチエニレンであるか;またはArがチアゾリレン、チアジアゾリレンまたはピリダジニレンであり;そしてArが単環式炭素環式アリールであるか;またはArが所望により置換されているピリジルであるか;またはArが所望により置換されているイソオキサゾリルもしくは所望により置換されているチアジアゾリルである、前記化合物である。
【0042】
さらに好ましいのは、Arが1,4−フェニレン、2,5−フラニレンまたは2,5−チエニレンであるか;またはArが2,5−[1,3,4]−チアジアゾリレンまたは3,6−ピリダジニレンであり;Arが単環式炭素環式アリールであるか;またはArが低級アルキル、低級アルコキシ、シアノまたはトリフルオロメトキシによって所望により置換されているピリジルであるか;またはArがトリフルオロメチルによって所望により置換されている3−イソオキサゾリルであるか;またはArが4−[1,2,3]−チアジアゾリルである、当該化合物である。
【0043】
さらに好ましいのは、RがラジカルAr−Ar−SO−であって、ここで、Arがフェニレン、フラニレンまたはチエニレンであり;そしてArが単環式炭素環式アリールであるか;またはArが所望により置換されているピリジルであるものである前記化合物である。さらに好ましいのは、Arが1,4−フェニレン、2,5−フラニレンまたは2,5−チエニレンであるか;またはArが単環式炭素環式アリールであるか;またはArが低級アルキル、低級アルコキシ、シアノまたはトリフルオロメトキシによって所望により置換されているピリジルである、当該化合物である。
【0044】
さらなる本発明の特定の実施態様は、式III
【化3】

[式中、mは、1;Rは、水素または低級アルキルであり;Arは、フェニレン、フラニレンまたはチエニレンであるか;またはArは、チアゾリレン、チアジアゾリレンまたはピリダジニレンであり;Arは、単環式炭素環式アリール、または所望により置換されているピリジルであるか;またはArは、所望により置換されているイソオキサゾリルまたは所望により置換されているチアジアゾリルであり;そしてRは、低級アルキルまたはシクロアルキルである]
のウレタン化合物;薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体;および薬学的に許容されるその塩に関する。
【0045】
好ましいのは、mが1であり;Rが水素または低級アルキルであり;Arがフェニレン、フラニレンまたはチエニレンであり;Arが単環式炭素環式アリール、または所望により置換されているピリジルであり;そしてRが低級アルキルまたはシクロアルキルである式IIIの化合物;薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体;および薬学的に許容されるその塩である。
【0046】
好ましいは、式IIIa
【化4】

[式中、m、R、R、ArおよびArは上記で定義のとおりの意味である]
の(R)−異性体、薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体、および薬学的に許容されるその塩である。
【0047】
さらなる本発明の特定の実施態様は、式
【化5】

[式中、mは、1であり;Rは、水素または低級アルキルであり;Arは、フェニレン、フラニレンまたはチエニレンであり;Arは、単環式炭素環式アリールまたは所望により置換されているピリジルであり;そしてRは、低級アルキル、シクロアルキルまたはアリールであるか;またはRは、低級アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アリール−低級アルコキシによって置換されているまたはアミノまたは(モノ−もしくはジ−低級アルキルもしくはアリール−低級アルキル)−アミノによって置換されている低級アルキルである]
のアミド型化合物;薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体;および薬学的に許容されるその塩に関する。
【0048】
好ましいのは、式IVa
【化6】

[式中、m、R、Ar、ArおよびRは上記で定義の意味である]
の(R)−異性体;薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体;および薬学的に許容されるその塩である。
【0049】
さらなる本発明の特定の実施態様は式V
【化7】

[式中、mは、1であり;Rは、水素または低級アルキルであり;Arは、フェニレン、フラニレンまたはチエニレンであり;Arは、モノ炭素環式アリールまたは所望により置換されているピリジルであり;RおよびRは、独立的に水素、低級アルキルまたはアリールであるか;またはRおよびRはそれらが結合している窒素と一緒になってピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、N−(低級アルキルまたはアリール−低級アルキル)−ピペラジニルまたはテトラヒドロ−イソキノリニル環を形成する]
の尿素型化合物;薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体;および薬学的に許容されるその塩に関する。
【0050】
好ましいのは、式Va
【化8】

[式中、m、R、R、R、ArおよびArは上記で定義の意味である]
の対応する(R)−異性体;薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体;および薬学的に許容されるその塩に関する。
【0051】
さらなる本発明の特定の実施態様は、式VI
【化9】

[式中、mは、1であり;Rは、水素または低級アルキルであり;Arは、フェニレン、フラニレンまたはチエニレンであり;Arは、単環式炭素環式アリールまたは所望により置換されているピリジルであり;Rは、低級アルキル、シクロアルキル、アリール−低級アルキルまたはアリールである]
のスルホニル誘導体;薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体;および薬学的に許容されるその塩に関する。
【0052】
好ましいのは、式VIa
【化10】

[式中、m、R、R、ArおよびArは上記で定義の意味である]
の対応する(R)−異性体、薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体;および薬学的に許容されるその塩に関する。
【0053】
好ましいのは、Arが1,4−フェニレン、2,5−フラニレンまたは2,5−チエニレンであり;Arがフェニルまたは低級アルキレンジオキシによって置換されたフェニルまたは低級アルキル、低級アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはハロによって独立的にモノ−またはジ−置換されたフェニルである、前記式III−VIaの化合物;薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体;および薬学的に許容されるその塩に関する。
【0054】
本発明の化合物は、ヒトを含む哺乳動物において、特にマトリクス分解性マタロプロテイナーゼ(matalloproteinase)酵素としての有益な薬理学的特性を示す。
該化合物は、従って、例えば、炎症性状態例えばリウマチ様関節炎、変形性関節症、腫瘍および他のメタロプロテイナーゼ依存性状態、例えば前記のものの処置のため特に有用である。
【0055】
有益な効果は、当分野で一般に既知の、およびここに例示のような薬理学的試験で評価される。
【0056】
前記引用特性を、インビトロおよびインビボ試験で、有利には哺乳動物、例えばラット、モルモット、イヌ、ウサギ、または単離臓器および組織、並びに哺乳動物酵素調製品を使用して実証可能である。当該化合物を、溶液、例えば好ましくは水性溶液の形態でインビトロで、および経腸または非経腸、有利には経口、たとえば懸濁液または水性溶液でインビボで適用できる。インビトロの用量は、約10−5モル〜10−10モル濃度の範囲であり得る。インビボの用量は、投与の経路に依存して約0.1〜100mg/kgの範囲であり得る。
【0057】
標準的試験の例を以下に例示する。
組変え体ヒトMMP−13に対する試験化合物の活性を、Mca−Pro−Leu−Gly−Leu−Dpa−Ala−Arg−CONHの加水分解から生じる加水分解産物Mca−Pro−Leu−Gly−COOHの蛍光強度の増加をモニタリングすることによって測定する。IC50は、阻害剤濃度に対する活性の%阻害をプロットすることによって推算する。
【0058】
組み換え体ヒトMMP(MMP−1、3および9)に対する試験化合物の活性を、消光蛍光ペプチド基質である、NFF2を使用して測定する。IC50は、4−パラメーター対数あてはめを使用して算出する。血清の、該化合物の阻害活性に及ぼす影響を、また測定できる。
【0059】
試験化合物の、組変え体ヒトMMP−7に対する活性を、消光された蛍光基質FS−6(Mca−Lys−Pro−Leu−Gly−Leu−Dpa−Ala−Arg−NH)を使用して測定する。該IC50は、阻害剤濃度に対する%阻害活性をプロットすることによって推算する。
【0060】
加えて、ウシ血清アルブミンが、試験化合物の阻害力を減じる能力を、1%BSAの存在下のアッセイを実施することによって試験する。
【0061】
組変え体ヒトMT1−MMPに対する試験化合物の活性を、蛍光発生性ペプチド基質、2−N−メチルアミノ安息香酸(Nma)−Gly−Pro−Gln−Gly−Leu−Ala−Gly−Gln−Lys−Nε−(2,4−ジニトロフェニル)(Dnp)−NHを使用して測定する。反応を、0.5nMの酵素の添加によって開始させる。阻害結果は、コントロール(非阻害反応)の活性の50%阻害(IC50)を生産する阻害剤濃度として表す。
【0062】
試験化合物の、軟骨分解をブロックする能力を決定するためのインビトロアッセイを、以下のように実施する。ウシ鼻外植体を、種々の濃度の阻害剤の存在下または不存在下で、培地中rh−1L−1αおよびrh−OSMで5または6日にわたり刺激する。インキュベーション後、培地を収集し、そして新しい刺激剤および阻害剤に交換する。第11日に、実験を培地を収集することおよびパパインで軟骨の残りを消化することによって終結する。次いで収集した液体およびパパイン消化した軟骨をHyPro分析の対象とし、そしてMMP阻害によるII型コラーゲン分解のパーセント阻害を計算する。
【0063】
インビボで、絶食したラットに試験化合物を投与し、そして4時間後、rh−tMMP−13の関節内注射でチャレンジする。さらに2時間後、膝を洗浄し、滑液を収集する。滑液に放出されたコンドロイチン硫酸(CS)の量を、ELISAによって測定し、そしてCS放出の%阻害を計算する。
【0064】
TNF−αの生産または分泌の阻害(TNF−αコンベルターゼの阻害による)を、例えばNature, Vol. 370, pp. 555, 558 (1994)に記載されるようにして決定できる。
【0065】
抗炎症性活性を、当分野で周知の標準的炎症および関節炎動物モデル、例えばラットのアジュバント関節炎モデルおよびマウスのコラーゲンII誘導性関節炎モデル(Mediators of Inflam.,Vol. 1,pp. 273-279 (1992))で決定できる。
【0066】
本発明の化合物の、インビボ軟骨分解への影響を、ウサギで決定できる。典型的には、4匹のウサギに化合物を経口的に投与し、その後4時間以内に20mM トリス、10mM CaCl、および0.15M NaCl pH 7.5に溶解した、40単位のヒト組変え体ストロメリシンを両膝(N−8)に関節内注射する。2時間後ウサギを殺し、滑洗浄液を収集し、そして関節内に放出された硫酸ケラタン(KS)および硫酸化グリコサミノグリカン(S−GAG)フラグメントを定量する。硫酸ケラタンを、Thonarの方法(Thonar et al., “Quantitation of Keratan Sulfate in Blood As a Marker of Cartilage Catabolism”, Arth. Rheum., Vol. 28, pp. 1367-1376 (1985))を使用して阻害ELISAによって測定する。硫酸化グリコサミノグリカンを、最初に滑洗浄液を、ストレプトマイセスヒアルロニダーゼで消化し、それからGoldbergの方法(Goldberg et al., “An Improved Method For Determining Proteoglycan Synthesized by Chondrocytes in Culture”, Connect Tis. Res., Vol. 24, pp. 265-275 (1990))を使用してDMB色素結合を測定することによって測定する。静脈内(i.v.)実験のため、化合物を1mLのPEG−400中に可溶化し、そしてp.o.実験のため、化合物を、体重キログラムあたり5mLの強化コーンスターチ中で投与した。アッセイを、他のMMP、例えば組変え体ヒトMMP−13で同様に実施できる。
【0067】
関節障害で軟骨分解に対する保護の効果は、例えばArthritis and Rheumatism, Vol. 26, pp. 875-886 (1983)に記載される変形性関節症の外科モデルにおいて決定できる。
【0068】
抗関節炎効果をまた、Laboratory Animal Science, Vol. 39, p. 115 (1989), Journal of Rheumatology, Vol. 30, Suppl.1, pp. 5-9 (1991), Journal of Pharmacology and Toxicology “Methods”, Vol. 30, pp. 19-25 (1993), and Brit. J. Pharmacol., Vol. 121, pp. 540-546 (1997), Toxicol. Pathol., Vol. 27, pp. 134-142 (1999)に記載される他の関節炎モデルで決定できる。
【0069】
潰瘍形成、例えば眼潰瘍形成への影響を、角膜へのアルカリ熱傷後の角膜潰瘍形成の減少を測定することによって、ウサギにおいて決定できる。
【0070】
本発明の化合物の抗腫瘍効果を、例えば当分野周知方法論に従う、プラセボ処置マウスに対する、Balb/cヌード処置マウスにおける皮下に埋め込まれたヒト腫瘍の成長を測定することによって、決定できる。例示的腫瘍は、例えばエストロゲン依存性ヒト乳癌腫BT20およびMCF7、ヒト膀胱癌腫T24、ヒト結腸癌腫Colo205、ヒト肺アデノ癌腫A549およびヒト卵巣癌腫NIH−OVCAR3である。
【0071】
腫瘍血管新生への影響を、例えば辺縁の血管からの血管新生を刺激するためペレットのWalker256癌腫を埋め込まれたラットで、Galardy et al., Cancer Res., Vol. 54, p. 4715 (1994)に記載されるように決定できる。
【0072】
本発明の化合物の、アテローム性動脈硬化症性状態へ及ぼす影響を、活性化されたマトリクスメタロプロテイナーゼを含むコレステロール給餌ウサギからのアテローム斑を使用して評価でき、Sukhova et al., Circulation 90, Vol. I, p. 404 (1994)に記載されるとおりである。ウサギアテローム斑におけるマトリクスメタロプロテイナーゼ酵素の阻害効果をインサイチュザイモグラフィーによって決定でき、Galis et al., J. Clin. Invest., Vol. 94, p. 2493 (1994)によって記載されるとおりであり、そして斑安定化を示す。再狭窄および血管再モデル化への影響を、ウサギバルーン化頸動脈モデルにおいて評価できる。
【0073】
血管動脈瘤への影響、例えば動脈瘤形成の阻害を、実験的モデル、例えばAPO−Eトランスジェニックマウスおよび/またはLDLレセプターノックアウトマウスで決定できる。
【0074】
神経系の脱髄性障害、例えば多発性硬化症への影響を、マウスの実験的抗免疫脳脊髄炎の回復を測定することによってGijbels et al., J. Clin. Invest., Vol. 94, p. 2177 (1994)によって記載されるように評価し得る。
【0075】
マトリクスメタロプロテイナーゼ、第1にMMP−13の阻害剤として、本発明の化合物は特に、例えば変形性関節炎、リウマチ様関節炎の処置のための抗炎症性剤として、腫瘍成長、腫瘍転移、腫瘍侵襲または進行の処置または予防のための抗腫瘍剤として、およびアテローム斑の破裂の処置または予防のための抗アテローム性動脈硬化症性剤として哺乳動物において有用である。
【0076】
筋骨格性副作用を誘導する可能性を、以下のようなラット腱炎モデルで決定できる:
ミニポンプを、無菌的技法を使用して雌Lewisラット(160−180g)の背中に皮下に埋め込む。傷を、9mm傷クリップによって閉じ、そして感染を防止するため抗敗血症性フィルムを噴霧する。試験化合物を、DMSO:PEG400 50:50(v/v)に溶解し、そして溶液を無菌性を維持するため層流フード中のポンプに負荷する。ラットに、定常点滴を介して投与し、コントロール動物はDMSO:PEG400ビヒクル充填ミニポンプを投与される。筋骨格変化を、研究の間中後足の体積を測定することによって、および第21日に後足を視覚的にスコアー化することによって評価する。後足体積の変化の欠如は、筋骨格副作用の欠如を示す。
【0077】
典型的には、本発明の化合物は、コラゲナーゼ−3(MMP−13)を、約0.1−100nMの範囲のIC50で阻害し;そして有効なMMP−13阻害濃度でのコラゲナーゼ−1(MMP−1)阻害が実質的にない。MMP−1阻害についてのIC50の、MMP−13阻害についてのIC50に対する比率は、典型的には約100−10,000の範囲内である。
【0078】
式Iの化合物を、以下の方法で製造できる:(a)式VII
【化11】

[式中、R’は、アミノ保護基、例えば、t−BOCであり、m、RおよびRは上記で定義の意味を有し、そしてRは水素またはカルボキシル保護基、例えば、低級アルキルまたはベンジルである]
のアミノ酸エステルを、式VIII
【化12】

[式中、R’は、ビアリールまたはアリールオキシアリールである]
の適当なスルホン酸の反応性官能性誘導体、例えば、対応するスルホニルクロリドと、好適な塩基、例えば、トリエチルアミンまたはN−メチルモルホリンの存在下で、極性溶媒、例えば、塩化メチレン、テトラヒドロフランまたはアセトニトリルを使用して、縮合させ、そして要すれば、アミノ保護基を選択的に除去し、式IX
【化13】

[ここで、R、R、R、R’およびmは上記で定義の意味を有する]
の化合物を取得し;
そして要すれば
(a)式I中のR置換基に対応する反応性誘導体で、式IXの得られた中間体をN−置換する、そして要すれば
(b)得られたエステルを、対応する酸に、標準的方法によって、例えば加水分解または脱ベンジル化によって変換する、そして要すれば
(c)当該酸中間体を、所望により保護形態のヒドロキシルアミン、例えば、(O−テトラヒドロピラニル、O−トリチルまたはO−t−ブチル)−ヒドロキシルアミンのようなヒドロキシルアミンと縮合させ、RがNHOHである式Iの化合物を取得する。
【0079】
式IXの化合物のピペリジル環のN−置換を、以下のように実施できる:
(a)式IXの中間体を、Rが炭酸から誘導されるアシルである式Iの化合物(式IIIのウレタン)に変換するために、
(i)式IXの化合物、好ましくはN,O−ビス−トリメチルシリルアセトアミドのブランチで、式X
【化14】

[式中、R上記で定義の意味を有し、そしてXは、脱離基、例えば、ハロ、好ましくはクロロである]
の化合物で、塩基、例えば、トリエチルアミンの存在下で処理する;または
(ii)式IXの化合物を、炭酸の反応性誘導体、例えば、ホスゲンまたはジ(2−ピリジル)炭酸エステルと、次いで式XI
【化15】

[式中、Rは前記の意味である]
のアルコールと不活性溶媒中かつ塩基、例えばトリエチルアミンの存在下で反応させる;
【0080】
(b)式IXの中間体を、Rがカルボン酸から誘導されるアシルである式Iの化合物(式IVのアミド)に変換するために、
(i)式IXの化合物を、所望によりN,O−ビス−トリメチルシリルアセトアミドの存在下、式XII
【化16】

[式中、Rは上記で定義の意味である]
のカルボン酸の反応性官能性誘導体と、例えば酸無水物または酸塩化物と、塩基、例えば、トリルアミンの存在下反応させる、または
(ii)式IXの化合物を、式XIIのカルボン酸と、縮合剤、例えば、カルボジイミド例えば、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、および例えば、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール、および塩基、例えば、N−メチルモルホリンの存在下で反応させる;または
(iii)式IXの化合物を、例えば、クロロアセチルクロリドと、塩基の存在下で反応させ、クロロアセトアミド誘導体を得て、これを種々の求核原子、例えば第一級または第二級アミンで置換してよく、Rが例えば、モノ−またはジ−置換アミノアルカノイルである式Iの化合物を得る;
【0081】
(c)式IXの中間体を、Rがカルバミン酸から誘導されるアシルである式Iの化合物(式Vの尿素)に変換するために、
(i)式IXの化合物を、式XIII
【化17】

のイソシアネート化合物で処理し、Rは水素以外の上記で定義の意味を有し、そしてRが水素である式Vの化合物を得て、要すればさらに得られた中間体をアルキル化またはアシル化する、または
(ii)式IXの化合物を、例えば、ホスゲンと、次いで式XIV
【化18】

[式中、RおよびRは上記で定義の意味である]
のアミンと、不活性溶媒の存在下かつ塩基、例えば、トリエチルアミンの存在下反応させる;または
(iii)式IXの化合物を、反応性カルバミン酸誘導体、例えば式XV
【化19】

[式中、RもRも水素でない]
のカルバモイルクロリドと、塩基の存在下反応させる;
【0082】
(d)式IXの中間体の、Rが置換性スルホニルである式Iの化合物、例えば、式VIの化合物への変換のために、式IXの化合物を、式XVI
【化20】

[式中、Rは上記で定義の意味である]
のスルホン酸の反応性官能性誘導体で、例えばスルホン酸ハライド例えば(例えば塩基、例えばトリエチルアミンの存在下の、アリールスルホニルクロリド)で処理する;
【0083】
(e)式IXの中間体を、Rが例えば、低級アルキルまたはアリール−低級アルキルである式Iの化合物に変換するために、
(i)式IXの化合物を、対応するアルコールの反応性エステル化誘導体、例えばそのブロミド、またはヨージドで、塩基、例えば炭酸カリウムの存在下で処置する、または
(ii)式IXの化合物の、対応するアルデヒドでの、還元剤、例えばボロヒドリド、例えばトリアセトキシボロヒドリドナトリウムの存在下で、還元的アルキル化する;
そしてそのエステル中間体のいずれかを、式Iの対応するカルボン酸へ、水素添加分解またはエステル加水分解の標準的な温和な方法を使用して好ましくは酸性条件下で変換し、該方法は、エステル化基の性質による。
【0084】
前記反応のため、Rが水素である式IXのカルボン酸を、溶媒としてTHFを使用して、ビス−トリメチルシリルアセトアミドでインサイチュ保護することができる。
式VII、VIIIおよびX−XVIの出発材料は、当分野で既知であり、そして当分野で既知のまたはここに記載の方法によって製造できる。
式VIIのアミノ酸において、(R)−エナンチオマー(D−アミノ酸)を、米国特許5817822およびそこの引用文献に記載されるような当分野で既知の方法論を介して製造できる。
【0085】
(R)−α−(ピペリジル)グリシンメチルエステルの製造のための別の方法は、以下のとおりである:
【化21】

該方法は、水素化条件下、キラルホスホランロジウム錯体、例えば(R,R)−Me−BPE−Rh触媒(米国特許5008457)を利用する、前記のようなHorner-Emmons縮合生成物の不斉水素化に関係する。CBZ保護基は、標準的条件(すなわち水素添加分解)下で除去でき、そしてエステル基を、標準的条件下、例えば塩基、例えば水酸化リチウムでの処理によって除去できる。
【0086】
式VIII(ここでR’はビアリールである)のスルホン酸に対応するスルホニルクロリド出発物質は、当分野で既知の方法によって製造でき、例えば、
(a)アリールボロン酸の、ハロ置換アリール−スルホン酸との、例えばPdCl(dppf)触媒の存在下でのパラジウム触媒Suzukiカップリング、次いで例えばオキサリルクロリドとの反応、または
(b)例えば5−(アリール)−(チオフェンまたはフラン)−2−スルホニルクロリドの製造のための、ビアリール化合物の、N−BuLi/SOでの処理、次いでN−クロロスクシンイミドとの反応である。
【0087】
該ビアリール出発材料をまた、アリールボロン酸の、PdCl(dppf)触媒の存在下Suzuki型カップリングによって、または例えばトリブチルスタニル−アリール試薬の、例えばPd(PPh)の存在下の、アリールハライドとのStille型縮合によって製造できる。
【0088】
アリールオキシアリールスルホニルクロリドの製造は、当分野で、例えばWO98/43963に記載される。
【0089】
本発明の化合物、例えば、Rが水素であり、Rがアシルであり、ここで、COOHが保護された形態(例えば、ベンジルエステルとして)である式Iの化合物を、Rが例えば低級アルキルである化合物へ、塩基、例えば炭酸カリウムの存在下でアルキルハライドでの処理によって変換でき、そして保護基をその後に除去する(ベンジル基の除去のための水素化)。
【0090】
本発明の化合物または中間体を、当分野周知の方法論を使用して関連する本発明の化合物または中間体に変換できる。例えばアルコキシ置換ビアリールまたはアリール誘導体を、例えば臭化水素酸での処理によって、対応するヒドロキシ置換化合物へ脱アルキル化できる。
【0091】
前記反応のための、好ましい溶媒、触媒、試薬および反応条件は、添付の例示的実施例で示す。
【0092】
出発材料および方法の選択に依存して、新規化合物は可能な異性体またはその混合物、例えば実質的に純粋な光学異性体(アンチポード)、ラセミ体、またはそれらの混合物のいずれかの形態であり得る。前記の可能な異性体またはその混合物は、本発明の範囲内である。
【0093】
任意の異性体の得られる混合物は、構成要素の物理化学的相違に基づき、純粋幾何または光学異性体、ジアステレオ異性体、ラセミ体に、例えばクロマトグラフィーおよび/または分画結晶化によって分離できる。
【0094】
任意の得られる最終生成物または中間体のラセミ体を、既知方法によって、例えば光学的活性酸または塩基により得て、光学的化性酸性または塩基性化合物を遊離させる、そのジアステレオ異性体塩の分離によって光学的アンチポードに分解できる。ヒドロキサム酸またはカルボン酸中間体を、それ故に、それらの光学的アンチポードに、例えばd−または1−(α−メチルベンジルアミン、シンコニジン、シンコニン、キニン、キニジン、エフェドリン、デヒドロアビエチルアミン(dehydroabietylamine)、ブルシンまたはストリクニン)−塩の分画結晶化によって;またはエナンチオ選択性クロマトグラフィーによって分解できる。
【0095】
最終的に、本発明の酸性化合物を、遊離形態でまたはその塩形態として取得する。
【0096】
本発明の酸性化合物を、薬学的に許容される塩基、例えば水性アルカリ金属ヒドロキシドで、有利にはエーテル性またはアルコール性溶媒、例えば低級アルカノールの存在下で塩に変換し得る。後者の溶液から塩を、エーテル、例えばジエチルエーテルで沈殿させ得る。得られた塩を、酸との処理によって遊離化合物に変換し得る。これらまたは他の塩を、取得された化合物の精製のためにもまた使用できる。
【0097】
遊離化合物とそれらの塩の形態の化合物の間の緊密な関連性の観点から、化合物がこの文脈で言及されるときはいつでも、対応する塩をまた意図する。ただしその状況下でそれが可能または適当であることを条件とする。
【0098】
化合物の塩を含む化合物をまた、それらの水和物の形態で取得でき、またはこれらの結晶化のため使用される他の溶媒を含むことができる。
【0099】
本発明に従う医薬組成物は、マトリクス分解性メタロプロテイナーゼ、特にMMP−13(コラゲナーゼ−3)を阻害するための、およびそれに原因のある障害の処置のための、ヒトを含む哺乳動物への、経腸、例えば経口または経直腸、経皮、および非経腸投与に好適なものであって、本発明の薬学的活性化合物の有効量を単独でまたは、1以上の薬学的許容担体と共に含むものである。
【0100】
本発明の薬理学的活性化合物は、経腸または非経腸適用のため好適な賦形剤または担体との組み合わせまたは混合としてその有効量を含む医薬組成物の製造において有用である。好ましいのは、錠剤またはゼラチンカプセルであって、活性成分を、(a)希釈剤、例えばラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロースおよび/またはグリシン;(b)滑沢剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、そのマグネシウムまたはカルシウム塩および/またはポリエチレングリコール;錠剤のためにまた(c)結合剤、例えば珪酸マグネシウムアルミニウム、スターチペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドン;要すれば(d)崩壊剤、例えばスターチ、寒天、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または発泡性混合物;および/または(e)吸収剤、着色料、香味料および甘味料とともに含む。注射可能組成物は好ましくは、水性等張性溶液または懸濁液であり、そして坐薬は有利には油脂乳化液または懸濁液から製造する。当該化合物は滅菌しおよび/またはアジュバント、例えば保存剤、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、溶解促進剤、浸透圧を調節するための塩および/またはバッファーを含み得る。加えて、これらはまた、他の治療的に価値ある物質を含み得る。当該組成物をそれぞれ慣行の混合、顆粒化、または被覆方法にしたがって製造し、そして約0.1ないし75%、好ましくは約1ないし50%の活性成分を含む。
【0101】
経皮適用のために好適な製剤は、担体と本発明の化合物の有効量を含む。有利な担体は、宿主の皮膚の通過を援助する吸収可能薬理学的許容可能溶媒を含む。特徴的に、経皮デバイスは、バッキングメンバー、所望により担体と化合物を含むリザーバー、所望により宿主の皮膚の化合物を制御されかつ予め決定された速度で時間の延長された期間にわたり送達するための速度制御障壁、および皮膚へデバイスを固定するための手段を含む包帯の形態である。例えば皮膚および眼への局所適用のための好適な製剤は、好ましくは当分野で周知の水性溶液、軟膏、クリームまたはゲルである。
【0102】
有効なマトリクス分解性メタロプロテイナーゼ阻害量の、上記で定義した本発明の化合物を含む医薬製剤は、単独でまたは他の治療的剤と組み合わせて、例えばシクロオキシゲナーゼ阻害活性のある抗炎症性/鎮痛性剤、または他の抗リウマチ剤、例えばメトトレキセートと、それぞれ当分野で報告の有効治療用量で組み合わせて含む。そのような治療的剤は、当分野で周知である。
【0103】
シクロオキシゲナーゼ阻害活性を有する抗炎症性/鎮痛性剤の例は、ジクロフェナック、ナプロキセン、イブプロフェン、ロフェコキシブ、セレコキシブ、エトリコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ティラコキシブ、COX−189およびABT−963である。
【0104】
他の有効成分と組み合わせて、本発明の化合物を、他の活性成分と同時、前、後に、同じまたは異なる経路で別個に、または同じ医薬組成物で一緒に投与し得る。
【0105】
活性化合物の用量は、温血動物(哺乳動物)の種、体重、年齢および個体条件に、および投与の形態に依存する。約50ないし70kgの哺乳動物ヘの経口投与単位用量は、約10〜1000mg、有利には約25〜250mgの活性成分を含む。
【0106】
本発明はまた、哺乳動物においてマトリクス分解性メタロプロテイナーゼ、特にコラゲナーゼ−3を阻害するために、組織マトリクス分解を阻害するために、およびここに記載のマトリクス分解性メタロプロテイナーゼ依存性状態、例えば炎症、リウマチ様関節炎、骨粗鬆症、また腫瘍(腫瘍成長、転移、発達または侵襲)、ここに記載の肺障害、アテローム性動脈硬化症などを処置するために、本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩を使用する方法、その医薬組成物に関する。腫瘍(癌腫)は、哺乳動物乳、肺、膀胱、結腸、前立腺および卵巣癌および黒色腫およびカポジ肉腫を含む皮膚癌を含む。
【0107】
以下の例は、本発明を例示し、そしてそれを限定しない。温度は、摂氏度で示す。もし特に述べないならば、すべての蒸発は減圧下、好ましくは約15〜100mmHg(=20−133mbar)で行なう。最終生成物、中間体および出発材料の構造は、標準的分析的方法、例えば微量分析および分光学的特性(例えば微量分析および分光学的特性(例えばMS、IR、NMR))によって確認する。使用した省略形は、当分野で慣行のものである。[α]決定のための濃度はmg/mlで表す。
【0108】
出願で使用した省略形のいくつかを記載する:
NMMはN−メチルモルホリン
CBZはベンジルオキシカルボニル
BOCはt−ブトキシカルボニル
t−MMP−13は途切れ(truncated)MMP−13
Mcaは(7−メトキシクマリン−4−イル)アセチル
NFF2はMca−Arg−Pro−Lys−Pro−Tyr−Ala−Nva−Trp−Met−Lys(Dnp)−NH
Nvaはノルバリン
NMAは2−N−メチルアミノ安息香酸
Dnpは2,4−ジニトロフェニル
Dppfは(ジフェニルフォスフィノ(phospino))フェロセン
DMFはジメチルホルムアミド
THFはテトラヒドロフラン
IPAはイソプロピルアルコール
TFAはトリフルオロ酢酸
OSMはオンコスタチンM
Rh−IL−1−αは組み換えヒトインターロイキン1−α
HyProはヒドロキシプロリン
EDClは1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロリド
HOATは1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール
(R,R)−Me−BPE−Rhは(1,2−ビス(R,R)−2,5−ジメチル−1−フォスフォリジニル)エタン)(1,5−シクロオクタジエン)ロジウム(1+)トリフルオロメタンスルホネート
実施例化合物を列記する表中、基RおよびRの結合点は、アステリスク(*)で終わる線によって示す。
【実施例】
【0109】
出発材料の製造の典型的手法
(a)2−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−チオフェン
5.44g(42.5mmol)のチオフェン−2−ボロン酸、4.25g(21.2mmol)の4−ブロモ−N,N−ジメチルアニリンおよび22.42g(212mmol)のNaCOの、無水エタノール中の混合物に、1.22g(1.05mmol)のPdCl(dppf)を添加する。混合物を55℃に終夜加熱し、室温に冷却し、ろ過し、そして炭酸ナトリウムを除去する。溶媒を減圧で除去し、そしてEtOAc(100mL)を得られた残さに添加する。混合物をシリカゲル(100g)の短いカラムを通して、ヘキサン/EtOAc(4:1)を使用して溶出させる。溶媒を、減圧で除去し、黄色固体を得て、これをヘキサンで磨砕し、黄色固体として表題化合物を得る。
【0110】
2−[4−(1−ピロリジニル)−フェニル]チオフェンは、同様の方法でチオフェン−2−ボロン酸および4−ブロモ−1−(1−ピロリジニル)ベンゼンから出発して製造する。
【0111】
(b)5−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−2−チエニルスルホニルクロリド
250mg(1.23mmol)の2−(4−N,N−ジメチルアミノフェニル)−チオフェンを、アイスバスで0℃に冷却されたストレート(neat)のクロロスルホン酸(0.81mL)にゆっくり添加する。反応混合物を、0℃で5分撹拌し、その後バスを除去し、そして混合物を追加的10分撹拌し、それから氷上(15g)に注ぐ。黄色−オレンジ色沈殿物を減圧ろ過によって収集し、水で洗浄し、そして空気乾燥し、表題化合物を得る。
【0112】
5−[4−(1−ピロリジニル)−フェニル]−2−チエニルスルホニルクロリドは、同様の方法で2−[4−(1−ピロリジニル)−フェニル]チオフェンから出発して製造する。
【0113】
(c)4−(4’−メトキシフェニル)フェニルスルホニルクロリド
7.6g(50mmol)の4−メトキシフェニルボロン酸、11.85g(50mmol)の4−ブロモフェニルスルホン酸、13.8g(100mmol)の炭酸カリウムおよび3.66g(5mmol)のPdCl(dppf)の、300mLのジメトキシエタンおよび水の1:1混合物の中の溶液を、窒素雰囲気下で、80℃に3.5時間加熱する。反応混合物を、室温に冷却し、そして1300mLの水および500mLのジエチルエーテルの混合物に添加する。不溶性沈殿物をろ別する。この固体材料を、次いでアセトンでスラリー化し、そしてろ過し、灰色固体を得、これをジエチルエーテルで洗浄し、減圧で乾燥し、4−(4’−メトキシルフェニル)フェニルスルホン酸を得る。18.2mL(208mmol)のオキサリルクロリドを、20分にわたり11g(41.6mmol)4−(4’−メトキシフェニル)フェニルスルホン酸の1000mL THF中懸濁液に滴加する。混合物をさらに15分撹拌し、次いで0℃に冷却し、次いで16.1mL(208mmol)のDMFを滴加する。混合物を、室温で18時間撹拌する。反応物を、0℃に冷却し、そしてHCl(4N)を注意深く、発熱反応が観察されなくなるまで添加する。塩水およびジエチルエーテルを添加し、層分離する。有機層を塩水で抽出し、そして合わせた水性層を酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過する。溶液をシリカの非常に短いパッドを通してろ過することによって部分的に精製する。溶媒を減圧で除去し、そして残さをヘキサン:ジエチルエーテル1:1で磨砕し固体を得、これを濾別し、そしてジエチルエーテルから再結晶化し、4−(4’−メトキシフェニル)フェニルスルホニルクロリドを得る。
【0114】
(d)5−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−チオフェン−2−スルホニルクロリド
8.3g(50mmol)の3,4−メチレンジオキシフェニルボロン酸、2.4mL(25mmol)の2−ブロモチオフェン、および1g(1.4mmol)のPdCl(dppf)の200mLのジメトキシエタン中の溶液を、窒素雰囲気下で、65℃に18時間加熱する。反応混合物を室温に冷却し、そしてセライトを経由してろ過する。濾液は飽和塩水(100mL)で洗浄し、そして硫酸マグネシウムで乾燥する。混合物を、ろ過し、そして溶媒を減圧蒸発させ、暗シロップを得て、これをカラムクロマトグラフィーによって(シリカゲル、5%酢酸エチル/ヘキサン)精製し、2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)チオフェンを得る。
【0115】
2.04g(10mmol)の2−(3,4−メチレンジオキシフェニル)チオフェンの、−78℃に冷却された80mlのTHF中の溶液に、6.9mLのn−BuLiの1.6Mの、ヘキサン中の溶液を滴加する。混合物を窒素雰囲気下で45分撹拌する。二酸化硫黄を、25分間反応混合物にバブリングする。混合物を0℃それから室温に温め、それから溶媒を減圧で除去する。残さをヘキサン中に懸濁し、そしてろ過する。黄色固体をヘキサンで洗浄し、そして乾燥し、リチウム5−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−チオフェン2−スルフィネートを得る。
【0116】
0.12g(0.43mmol)のリチウム5−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−チオフェン−2−スルフィネートの、0℃に冷却された塩化メチレン中の懸濁液に、0.057g(0.43mmol)のN−クロロスクシンイミドを添加する。混合物を15分撹拌し、それから室温に温め、そしてさらに15分撹拌する。反応混合物を、セライトのパッドを経由してろ過し、そして溶媒を減圧で蒸発させ、5−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−チオフェン−2−スルホニルクロリドを得る。
【0117】
以下のスルホニルクロリドを、同様の方法で製造できる:
5−(4−メトキシフェニル)−チオフェン−2−スルホニルクロリド;
5−(4−エトキシフェニル)−チオフェン−2−スルホニルクロリド;
5−(3,4−ジメトキシフェニル)−チオフェン−2−スルホニルクロリド;
5−(4−トリフルオロメチルフェニル)−チオフェン−2−スルホニルクロリド;
5−(4−メチルフェニル)−チオフェン−2−スルホニルクロリド;および
5−フェニル−チオフェン−2−スルホニルクロリド
【0118】
(e)2−(4−イソプロポキシフェニル)チオフェン−2−スルホニルクロリド
2−(4−イソプロポキシフェニル)−チオフェンを、Mitsunobu反応(J. Org. Chem., Vol. 55, p. 2244(1990))を使用して製造する。2−(4−ヒドロキシフェニル)チオフェン(2.0g、11.3mmol、1eq.)およびトリフェニルフォスフィン(3.27g、12.5mmol、1.1eq.)のTHF(55mL)中の溶液に、それぞれ1.0mLのイソプロピルアルコール(0.78g、13.1mmol、1.15eq.)および2.0mLのジエチルアゾジカルボキシレート(DEAD)(2.17g、12.5mmol、1.1eq.)を添加する。反応物を、終夜18時間撹拌する。溶液を濃縮し、そして残さを25mLのヘキサンで処理し、沈殿の形成をもたらす。ヘキサンをデカントし、そして固体を、さらにヘキサン(4x25mL)で洗浄する。合わせたヘキサン洗液をシリカのプラグを経由してろ過し、そして濃縮し、2−(4−イソプロポキシフェニル)−チオフェンを得る。これを、前記(d)のように4−(イソプロポキシフェニル)−チオフェン−2−スルホニルクロリドに変換する。
【0119】
以下の化合物を、同様の方法で製造できる:
5−(4−エトキシフェニル)−チオフェン−2−スルホニルクロリド;
5−(4−プロポキシフェニル)−チオフェン−2−スルホニルクロリド;および
5−(4−メトキシエトキシフェニル)−チオフェン−2−スルホニルクロリド。
【0120】
(f)5−(4−トリフルオロメチルフェニル)−フラン−2−スルホニルクロリド
6.3mL(20.0mmol)の2−トリ−n−ブチルスタニルフランおよび2.95mL(21.0mmol)の4−ブロモベンゾトリフルオリドの、100mLのトルエン中の混合物に、50mgのPd(PPh)を添加する。混合物を、還流で窒素雰囲気下で1時間加熱する。2回目の50mg分のPd(PPh)を添加し、そして混合物をさらに4時間加熱する。反応物を室温に冷却し、そしてセライトのパッドおよびシリカゲルのパッドを経由してろ過する。トルエンを減圧で蒸発させ、黄色油を得、これをカラムクロマトグラフィーによって精製し(シリカゲル、5%酢酸エチル/ヘキサン)、黄色油を得、これを次いで、ジエチルエーテル/ヘキサンから結晶化させ、2−(4−トリフルオロメチルフェニル)フランを得る。これを5−(4−トリフルオロメチルフェニル)−フラン−2−スルホニルクロリドに、前記(d)のように変換する。
【0121】
同様に、5−(3,4−ジフルオロフェニル)−フラン−2−スルホニルクロリドおよび5−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−フラン−2−スルホニルクロリドを製造する。
【0122】
(g)5−(4−エトキシフェニル)−チオフェン−2−スルホニルクロリド
4−エトキシフェニルボロン酸(300mmol)、5−ブロモチオフェン−2−スルホン酸(300mmol)、炭酸カリウム(600mmol)およびPdCl(dppf)(30mmol)の、1500mlの、ジメトキシエタンおよび水の1:1混合物を、窒素雰囲気下で、80℃に4時間加熱する。反応混合物を、室温に冷却し、そして3000mLの水および1500mLのジエチルエーテルの混合物に添加する。不溶性沈殿物をろ別する。この固体材料を、次いで1000mLのアセトンおよびジエチルエーテルの1:1混合物でスラリー化し、そしてろ過し固体を得、これをジエチルエーテルで洗浄し、そして減圧で乾燥し、5−(4−エトキシフェニル)チオフェン−2−スルホン酸を得る。
【0123】
塩化オキサリル(1456mmol)を、20分にわたり、5−(4−エトキシフェニル)チオフェンスルホン酸(290mmol)の1600mL THF中の懸濁液に滴加する。混合物をさらに15分撹拌し、次いで0℃に冷却し、次いでDMF(1456mmol)を滴加する。混合物を室温で18時間撹拌する。反応物を0℃に冷却し、そしてHCl(4N)を注意深く、発熱反応が観察されなくなるまで添加する。塩水およびジエチルエーテルを添加し、そして層分離する。有機層を塩水で抽出し、そして合わせた水性層を、酢酸エチルで抽出する。合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、そしてろ過する。溶液を、シリカの非常に短いパッドを経由してろ過して部分的に精製する。溶媒を減圧で除去し、そして残さをヘキサン/ジエチルエーテル(1:1)で磨砕し、そして固体を得、これを濾別し、そしてジエチルエーテルから、5−(4−エトキシフェニル)チオフェン−2−スルホニルクロリドを得る。
【0124】
(h)5−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−チオフェン−2−スルホニルクロリド
4−(トリフルオロメトキシ)ブロモベンゼン(4.54g、18.8mmole)、チオフェン−2−ボロン酸(4.82g、37.6mmol)およびNaCO(12g、112.8mmol)の、EtOH(150mL)中の混合物を、室温で撹拌する。次いで、ジクロロメタンと共に[1,1’−ビス(ジフェニルフォスフニオ(diphenylphosphnio))−フェロセン]ジクロロパラジウム(ii)錯体(1:1)(1.1g、0.94mmol)を添加し、そして、反応混合物を65℃で18時間加熱する。反応混合物を室温に冷却し、セライトを通してろ過し、そして減圧で濃縮する。残さをEtOAcに溶解し、そしてシリカゲルを添加する。EtOAcを減圧で蒸発させ、そしてゲルをシリカゲルのカラムに置き、そしてヘキサンで、次いでEtOAc/ヘキサン(1:9)で溶出させ、2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−チオフェンを固体として得る。
【0125】
2−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−チオフェン(2.15g、8.8mmol)のTHF(110mL)中の溶液を、−78℃で撹拌し、そしてn−BuLi(6.06mL、1.6Mヘキサン中)を添加する。混合物を−78℃で45分撹拌し、次いでSOガスを、溶液を経由して15分間バブリングし、−78℃で1時間撹拌し、室温に暖め、そしてさらに15分間撹拌する。ヘキサンを混合物に添加し、そして生成物をろ過する。沈殿物をヘキサンで洗浄し、リチウム5−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−チオフェン−2−スルフィネートを得る。
【0126】
リチウム5−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−チオフェン−2−スルフィネート(960mg、3.06mmol)のCHCl2(30mL)中の懸濁液に、N−クロロスクシンイミド(408mg、3.06mmol)を添加し、そして混合物を0℃15分撹拌し、次いで室温に暖め、そしてさらに15分撹拌する。反応混合物をろ過し、CHClですすぎ、そして減圧で濃縮する。EtOAc/ヘキサン(1:1)を使用するフラッシュクロマトグラフィーによって5−(4−トリフルオロメトキシフェニル)−チオフェン−2−スルホニルクロリドを得る。
【0127】
(i)(R)−α−N−BOC−4−ピペリジニル)−グリシン
工程1
【化22】

9.94g(0.030mmol)のN−CBZ−α−フォスフォノグリシントリメチルエステルの、20mLのテトラヒドロフラン中の溶液に、窒素下で、テトラメチルグアニジン(4.5g、0.039mmol)を添加し、そして溶液を15分撹拌する。N−BOC−4−ピペリドン(16.74g、0.084mmol)のテトラヒドロフラン中の溶液を、添加ろうとを介して、5分にわたり添加し、そして溶液を、室温で21時間撹拌する。テトラヒドロフランを、ロータリーエバポレーターを介して除去し、そして酢酸エチル(100mL)を添加する。有機溶液を5%水性クエン酸溶液(150mL)、飽和重炭酸ナトリウム溶液(50mL)、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し(50mL)、硫酸マグネシウムで乾燥し、そして蒸発させ油を得、これを酢酸エチル(12mL)に溶解する。ヘキサン(50mL)を添加し、粗生成物を沈殿させ、これを濾別し、そして酢酸エチル/ヘキサン(1:4比率)から再結晶化させ、4−[CBZ−アミノ]−(メトキシカルボニル)−メチレン]−N−BOC−ピペリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルを白色固体として得る;m.p. 101.5−102.6℃.
【0128】
工程2
【化23】

Parrボトルに、工程1の生成物(0.37g、0.9mmol)および脱気MeOH(40mL)を窒素パージ下で負荷する。この無色溶液に、(R,R)−Me−BPE−Rh触媒(10mg)を速やかに添加する。得られた溶液を抜き取り、それから窒素で満たし、これを3サイクル履行する。溶液を90psiの水素ガス下、室温で72時間撹拌する。混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、MeOHを除去する。残査を酢酸エチル(20mL)に溶解し、そしてシリカゲル(3g)のパッドを通してろ過し、触媒を除去し、そしてろ過固形物を酢酸エチル(20mL)ですすぐ。合わせた濾液を濃縮し、N−CBZ−(R)−α−(N−BOC−4−ピペリジニル)−グリシンメチルエステルを油として得る:Rf=0.36(ヘキサン/EtOAc 1:1);[α]25−20.7(c=1.05、CHCl);キラルHPLC 94%e.e.:(+)−エナンチオマー、3%、Rt 7.21分、(−)−エナンチオマー、97%、Rt 10.04分(Chiralcel ODカラム、ヘキサン/IPA/TFA 9/1/0.1%,流速 1.5mL/分)。
【0129】
工程3
工程2からの生成物(2.8g、6.9mmol)およびMeOH(103mL)の溶液をアイスバスで5℃に冷却する。1N LiOHの溶液(35mL、35mmol、33.5mLのHO中のLiOH・HOの1.5gから製造)を添加し、そして混合物を室温に温め、そしてさらに20時間撹拌する。反応混合物を、1N KHSO溶液で中和し、減圧で濃縮し、MeOHを除去し、そして酢酸エチルに再溶解する。水層のpHを2N KHSOで2に調節し、そして有機層を分離する。水層をさらに酢酸エチル(2x50mL)で抽出する。合わせた酢酸エチル層を50mLの塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、セライトを通してろ過し、そして減圧で濃縮し(N−BOC−4−ピペリジニル)−グリシンを白色泡状固体として得る:[α]25−18.6(c=1.07、CHCl) キラルHPLC 90%e.e.:(+)−エナンチオマー、5%、Rt 5.72分、(−)−エナンチオマー、95%、Rt 8.54分(Chiralcel OD ヘキサン/IPA/TFA 9/1.0.1%、流速 1.5mL/分)。
【0130】
工程4
Parrボトルに、5%Pd/C(0.27g)を、窒素雰囲気下で負荷する。工程3の生成物(1.25g、3.2mmol)のMeOH(14mL)中の溶液およびHO(8mL)を、窒素パージ下で添加する。混合物を抜きそれから窒素を3回再充填し、次いで抜き、そして水素をさらに3回再充填する。混合物を、52psi水素ガス下室温で3時間水素化する。混合物をろ過し、そして触媒固形物をEtOH(100mL)ですすぐ。濾液を減圧で濃縮し、HOを共沸的に除去する。灰色固体残さをMeOH(20mL)中に懸濁し、60℃で2時間撹拌し、0℃に冷却し;そしてさらに1次間撹拌する。混合物をろ過し、そして固体固形物を冷MeOH(10mL)ですすぐ。固体を減圧で乾燥し、(R)−α−(N−BOC−4−ピペリジニル)−グリシンを得る。
【0131】
実施例1
CHCl(30mL)中の(R)−α−(N−BOC−4−ピペリジニル)−グリシン(2.77mmol)および5−(トリフルオロメチルフェニル)−チオフェン−2−スルホニルクロリド(2.77mmol)に、EtN(6.93mmol)を添加する。反応混合物を終夜室温で撹拌する。反応混合物を、室温で終夜撹拌する。反応混合物を、10%クエン酸でクエンチし、そして水性層をCHCl(x2)で抽出する。合わせた有機層をMgSOで乾燥し、ろ過し、そして減圧で濃縮する。残さをフラッシュクロマトグラフィーによって、2%ないし5%ないし10% MeOH/CHClの勾配溶媒系を使用して、精製し(αR)−1−BOC−α−[[[5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2−チエニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン酢酸の溶液を得る;MS(M−1):547.1。
【0132】
実施例2
(αR)−1−BOC−α−[[[5−(4−トリフルオロメチル−フェニル)−2−チエニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン酢酸(1.49mmol)のCHCl溶液を、0℃に冷却する。次いでHCl(g)を15分バブリングし、そして反応物を、さらに1時間撹拌する。溶媒を減圧で除去し、(αR)−α−[[[5−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−チエニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン酢酸ヒドロクロリドを得る。
【0133】
同様に例えば、以下を製造する:
【化24】

【表1】

【0134】
実施例3
【化25】

0.067g(0.15mmol)の(αR)−α−[[[5−(4−エトキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン酢酸ヒドロクロリドの10mLのTHF中の溶液に、0.015mL(0.16mmol)のイソブチルアルデヒド(isobutyraldehyde)を添加する。これに0.046g(0.22mmol)のナトリウムトリアセトキシボロヒドリドの添加が続く。反応物を14時間室温で撹拌する。混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で希釈し、10mLのCHClで3回抽出する。合わせた有機層を10mLの飽和水性塩水で洗浄し、それから硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を減圧で除去し油を得、これをカラムクロマトグラフィー(LiChroprep(登録商標)DIOL、CHCl)によって精製し、(αR)−1−(2−メチルプロピル)−α−[[[5−(4−エトキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン酢酸を得る(m.p. 220−225℃(d));MS(M−1):479.2。
【0135】
同様に以下を製造する:
【化26】

【表2】

【表3】

【0136】
実施例4
(a)Rが水素である式Iのピペリジン化合物の、酸塩化物、クロロホルメート、イソシアネート、カルバモイルクロリドおよびスルホニルクロリドでの直接的アシル化のための典型的手法。これはAutoChem法を使用して自動化できる(Tommasi, et. al., J. Combi., Chem., Vol. 2, No. 5, pp. 447-449(2000))。
【0137】
が水素である式Iのピペリジン化合物の溶液(0.5mL DMF中0.05mmol)に、NMM(0.1mmol、ストレート)、それからアシル化剤(0.05mmol、ストレート)を添加する。反応混合物を、室温で12時間撹拌する。TFA(50μL)を添加し、混合物をクエンチおよび酸性化し、そして生成物を、逆相クロマトグラフィー(YMC C−8カラム、5mm、20x50mm、10−90% MeCN/水の直線勾配で15分にわたり溶出する)によって単離させる。溶媒を減圧で除去し、生成物を提供する。
【0138】
(b)Rが水素である式Iのピペリジン化合物の、N,O−ビス−トリメチルシリルアセトアミドを使用する、インサイチュ保護を伴う酸塩化物、クロロホルメート、イソシアネート、カルバモイルクロリドおよびスルホニルクロリドでの、アシル化のための典型的手法。
【0139】
【化27】

0.24g(0.5mmol)の(αR)−α−[[[5−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−チエニル]−スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン酢酸ヒドロクロリドの、10mLのTHF中溶液に、0.49mL(2.0mmol)のN,O−ビス−トリメチルシリルアセトアミド(BTMSA)を添加する。反応物を窒素雰囲気下で0.5時間室温で撹拌する。次いで0.13mL(1.0mmol)のイソブチルクロロホルメートを添加し、そして反応物をさらに14時間撹拌する。溶媒を減圧で除去し、そして残さに10mLの水を添加する。混合物を飽和重炭酸ナトリウムを添加することによって塩基性とし、それから10mLのジエチルエーテルで抽出する。水性層を10%水性クエン酸溶液でpH3に酸性化し、そして10mLの酢酸エチルで3回抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥する。溶媒を減圧で除去し、油を得これをEtO/EtOAc(10:1)での磨砕によってまたはカラムクロマトグラフィーによって(LiChroprep(登録商標)DIOL、50% CHCl/ヘキサン次いで100% CHCl)精製し、(αR)−1−[(2−メチルプロポキシ)カルボニル]−α−[[[5−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−チエニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン酢酸(acetic)を黄色固体として得る;m.p. 190−192℃;MS(M−1): 547.1。
【0140】
(c)Rが水素である式Iの化合物のクロロアセチル化および続く求核性置換のための典型的手法
室温の(αR)−α−[[[5−(4−メトキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン酢酸(500mg、1.12mmol)のTHF(10mL)中の溶液に、ビス−トリメチルシリルアセトアミド(909mg、4.48mmol)を添加する。混合物を、4時間撹拌し、次いでクロロアセチルクロリド(253mg、2.24mmol)を添加し、そして反応物を、終夜撹拌する。溶媒を減圧で除去し、そして残さをEtOAcに溶解し、そして1N HClで抽出する。有機層を、飽和NaClで洗浄しそれからNaSOで乾燥する。溶媒の減圧除去で、(αR)−1−(クロロアセチル)−α−[[[5−(4−メトキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン酢酸を、白色泡状物として得る。
【0141】
(αR)−1−(クロロアセチル)−α−[[[5−(4−メトキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]−アミノ]−4−ピペリジン酢酸(140mg、0.29mmol)の、室温のアセトニトリル(5mL)中の溶液に、4−メチルピペラジン(86mg、0.86mmol)を添加する。混合物を終夜撹拌し、それから減圧で濃縮する。エタノール(5mL)を残さに添加し、そして混合物を2時間撹拌する。白色沈殿物を減圧ろ過によって単離し、エタノールで洗浄し、そして減圧で乾燥し、(αR)−1−(4−メチルピペラジノアセチル)−α−[[[5−(4−メトキシフェニル)−2−チエニル]−スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン酢酸を得る;MS(M+1):551.3。
【0142】
実施例5
以下のアミドを、適当な酸塩化物または無水物を使用して、またはクロロアセチルクロリド、次いで求核性置換を使用して、先の実施例に記載のものと同様の手法によって製造する。
【化28】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】

【表8】

【表9】

【0143】
実施例6
先に記載したものと同様の手法によって、以下のカルバメートを、適当に置換されたクロロホルメートを使用して製造する
【化29】

【表10】

【表11】

【表12】

【表13】

【表14】

【表15】

【表16】

【表17】

【表18】

【表19】

【表20】

【0144】
実施例7
先の実施例に記載のものと同様の手法によって、以下のN−スルホニルピペリジル誘導体を、適当なスルホニルクロリドを使用して製造する。
【化30】

【表21】

【表22】

【表23】

【表24】

【0145】
実施例8
実施例4に記載のものと同様の手法によって、以下の領域を、適当なイソシアネートまたはカルバモイルクロリドを使用して、製造する。
【化31】

【表25】

【表26】

【表27】

【表28】

【0146】
実施例9
(αR)−N−BOC−α−[[[5−(4−エトキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]−アミノ]−4−ピペリジン酢酸(150mg、0.29mmol)を、炭酸セシウム(48mg、0.15mmol)の、室温の乾燥DMF(10mL)中の懸濁液に添加する。ベンジルブロミド(49mg、0.29mmol)を、混合物に添加し、そして反応物を、室温で2時間撹拌する。反応混合物を水で希釈し、そしてEtOAcで抽出する。合わせた有機抽出物をLiCl(飽和水溶液)、塩水で洗浄し、NaSOで乾燥し、そして減圧で蒸発させ(αR)−1−BOC−α−[[[5−(4−エトキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]−アミノ]−4−ピペリジン酢酸ベンジルエステルを得る。
【0147】
COの室温の乾燥DMF(15mL)中の懸濁液に、(αR)−1−BOC−α−[[[5−(4−エトキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン酢酸ベンジルエステル(0.58mmol)およびメチルヨージド(0.61mmol)を添加する。反応混合物を室温で3時間撹拌し、その後混合物を水で希釈し、そしてEtOAcで抽出する。合わせた有機層を合わせ、そして1N LiCl(水溶液)および塩水で洗浄し、次いでNaSOで乾燥し、そして減圧で蒸発させ(αR)−1−BOC−α−[[[5−(4−エトキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]−N−メチル−アミノ]−4−ピペリジン酢酸ベンジルエステルを黄色油として得る。
【0148】
(αR)−1−BOC−α−[[[5−(4−エトキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]−N−メチル−アミノ]−4−ピペリジン酢酸ベンジルエステル(330mg)および10% Pd/C(160mg)の、EtOH(20mL)中の混合物を、50psi圧力のH(g)下、Parr装置中18時間置く。反応混合物を次いでセライトを経由してろ過し、そして濾液を減圧で濃縮する。生成物を、2−5% MeOH/CHClの勾配溶出を使用するシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーによって精製する。溶媒の蒸発により(αR)−1−BOC−α−[[[5−(4−エトキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]−N−メチル−アミノ]−4−ピペリジン酢酸を、白色泡状物として得、MS(M−1:517.3)、以下の構造を有する:
【化32】

【0149】
同様に
(a)(αR)−1−[(1−メチルエトキシ)カルボニル]−α−[[[5−(4−エトキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]−N−メチル−アミノ]−4−ピペリジン酢酸;MS(M+1):525.3、(M−1):523.3
(b)(αR)−1−[(1−メチルエトキシ)カルボニル]−α−[[[5−(4−エトキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]−N−(プロピル)−アミノ]−4−ピペリジン酢酸;MS(M+1):553.1、(M−1):551.0
(c)(αR)−1−[(シクロペンチルオキシ)カルボニル]−α−[[[5−(4−エトキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]−N−メチル−アミノ]−4−ピペリジン酢酸;MS(M+1):551.3、(M−1):549.3
(d)(αR)−1−BOC−α−[[[4−(4−メトキシフェニル)−フェニル]スルホニル]−N−メチル−アミノ]−4−ピペリジン酢酸;MS(M+1)519.4:(M−1):517.4
を製造する。
【0150】
実施例10
0.26g(0.5mmol)の(αR−1−BOC−α−[[[5−(4−エトキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン酢酸の、1mLの48% HBr中の、窒素雰囲気下の混合物を、100℃に5時間加熱する。反応混合物を室温に冷却し、そして終夜撹拌する。溶媒を減圧で蒸発させ、(αR)−α−[[[5−(4−ヒドロキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン酢酸を固体として得る。
【0151】
実施例11
0.25g(0.52mmol) αR)−α−[[[5−(4−ヒドロキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン酢酸の、0℃に冷却された15mLのTHF中の溶液に、0.78mL(3.14mmol)のN,O−ビス−トリメチルシリルアセトアミドを添加する。これに1.05mL(1.05mmol)の、イソプロピルクロロホルメートの1M トルエン溶液の添加が続く。混合物を窒素雰囲気下で撹拌し、そして終夜室温に暖める。混合物を5mLのNaHCO飽和水溶液で処理し、それから2回20mLのジエチルエーテルで抽出する。水層をpH4に1N HClで酸性化し、そして30mLの酢酸エチルで3回抽出する。
【0152】
有機層を、飽和塩水(30mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、そしてろ過する。溶媒を減圧で除去し、そして残さをカラムクロマトグラフィーによって(LiChroprep(登録商標)DIOL、3% MeOH/CHCl)精製し、(αR)−1−[(1−メチルエトキシ)カルボニル]−α[[[5−(4−ヒドロキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]アミノ−4−ピペリジン酢酸、m.p. 113−115℃を得る。
【0153】
実施例12
(αR)−1−BOC−α−[[[5−(4−メトキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン酢酸(1mmol)、HOAT(1mmol)、EDCl(1.3mmol)、O−(2−テトラヒドロピラニル)−ヒドロキシルアミン(5mmol)および過剰のN−メチルモルホリン(2mL)の、CHCl(15mL)中の溶液を、終夜室温で撹拌する。水を添加し、そして層分離する。水層をさらに、CHClで洗浄し、そして合わせた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥する。ろ過および溶媒の減圧での除去により、次工程で使用のための材料を得る。材料を酢酸(10mL)、水(3mL)およびTHF(4mL)と合わせ、そして7時間75℃に加熱する。混合物を減圧で濃縮し、水および酢酸エチルを添加し層分離する。水層を合わせそして酢酸エチルで洗浄し、合わせた有機層を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄する。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥して、ろ過し、そして減圧溶媒除去する。粗残さをカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン、2:1、次いで酢酸エチルのシリカ上)。生成物分画を合わせそして減圧溶媒除去する。得られた白色泡状物を、CHCl−ヘキサンから再結晶し、白色結晶の(αR)−1−BOC−α−[[[5−(4−メトキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン−(N−ヒドロキシ)−アセトアミドを得る。
【0154】
同様に、
(a)(αR)−1−BOC−α−[[[4−(4−メトキシフェニル)−フェニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン−(N−ヒドロキシ)−アセトアミド
(b)(αR)−1−BOC−α−[[[5−(4−メトキシフェニル))−2−チエニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン−(N−ヒドロキシ)−アセトアミド
(c)(αR)−1−[(シクロペンチルオキシ)カルボニル]−α−[[[5−(4−エトキシフェニル)−2−チエニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン−(N−ヒドロキシ)−アセトアミド
を製造する。
【0155】
実施例13
(a)(αR)−1−[(2−フェニルエトキシ)−カルボニル]−α−[[[4−(4−クロロフェニル)フェニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン酢酸(91mg、0.16mmol)の、塩化メチレン(3mL)中の溶液に、O−トリチルヒドロキシルアミン(135mg、0.49mmol)、N−メチルモルホリン(0.053mL、0.49mmol)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(40mg、0.16mmol)および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミドヒドロクロリドを添加する。反応混合物を室温で18時間撹拌し、酢酸エチルで希釈し、そして水で洗浄する。水層を塩化メチレンで抽出し、合わせた有機層を1N 水性塩酸、飽和水性重炭酸ナトリウム、塩水で洗浄し、乾燥し、硫酸ナトリウムで乾燥し、そして減圧で濃縮する。粗生成物を、シリカゲルクロマトグラフィーによって精製し(ヘキサン中の10%ないし40%酢酸エチル)、(αR)−1−[(2−フェニルエトキシ)カルボニル]−α−[[[4−(4−クロロフェニル)−フェニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン−(N−トリチルオキシ)−アセトアミドを提供する。
【0156】
(αR)−1−[(2−フェニルエトキシ)カルボニル]−α−[[[4−(4−クロロフェニル)フェニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン−(N−トリチルオキシ)−アセトアミド(86mg、0.105mmol)の、0℃に冷却された塩化メチレン(5mL)中の溶液に、トリエチルシラン(0;033mL、0.21mmol)を添加し、次いでトリフルオロ酢酸(0.032mL、0.423mmol)をゆっくり添加する。0℃で5分撹拌後、溶媒を室温で減圧除去する。得られた固体を高真空下で乾燥し、そして最小量の塩化メチレン(約2.5mL)中に溶解する。ジエチルエーテル(約5mL)およびペンタン(約2.5mL)の混合物をゆっくり添加し、そして得られた白色沈殿物を磨砕し、ろ過し、そしてペンタンで洗浄し(注:もし高純度が最初の試み後に得られないならば、この沈殿工程の第二回目を繰り返す)、(αR)−1−[(2−フェニルエトキシ)カルボニル]−α−[[[4−(4−クロロフェニル)フェニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン−(N−ヒドロキシ)−アセトアミドを得る;m.p. 200℃;[M+1]=572.
【0157】
酸を前記と同様に;およびまた米国特許5,817,822の実施例1と同様に、すなわち以下のように4−メトキシベンゼンスルホニルクロリドの代わりに4−(4−クロロフェニル)ベンゼンスルホニルクロリドを使用することにより製造できる:
(R)−(1−BOC−4−ピペリジニル)−グリシン(米国特許5,817,822参照)は、4−(4−クロロフェニル)−ベンゼンスルホニルクロリドで濃縮し、(αR)−1−BOC−α−[[[4−(4−クロロフェニル)フェニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン酢酸を得、これを次いでベンジル(αR)−1−BOC−α−[[[4−(4−クロロフェニル)−フェニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジンアセテートに変換する。(2−ピリジル)(フェニルエチル)−カルボネート(Ghosh, Tetrahedron Letters, Vol. 32, pp. 4251-4254(1991)にしたがってインサイチュで製造)との反応によりベンジル(αR)−1−[(2−フェニルエトキシ)−カルボニル]−α−[[[4−(4−クロロフェニル)−フェニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジンアセテートを得、これを次いで水素化し(αR)−1−[(2−フェニルエトキシ)−カルボニル]−α−[[[[4−(4−クロロフェニル)フェニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン酢酸を得る。
【0158】
(b)同様に、(αR)−1−[[2−(1−ナフチル)エトキシ]−カルボニル]−α−[[[4−(4−クロロフェニル)フェニル]スルホニル]アミノ]−4−ピペリジン−(N−ヒドロキシ)−アセトアミドを製造する;m.p. 180−182℃;[M+NH]=639。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I
【化1】

[式中、Rは、OHまたはNHOHであり;
は、水素、所望により置換されている低級アルキル、アリール−低級アルキル、シクロアルキル−低級アルキル、またはカルボン酸から誘導される、炭酸から誘導される、カルバミン酸から誘導されるもしくはスルホン酸から誘導されるアシルであり;
は、ビアリールスルホニルまたはアリールオキシアリールスルホニルであり;
は、水素、所望により置換されている低級アルキル、アリール−低級アルキル、シクロアルキル−低級アルキルまたはカルボン酸から誘導される、炭酸から誘導されるまたはカルバミン酸から誘導されるアシルであり;
およびRは、独立的に水素、低級アルキル、低級アルコキシカルボニル、アリール−低級アルキルまたはシクロアルキル−低級アルキルであり;
mは、0、1、2または3である]
の化合物、薬学的に許容されるそのプロドラッグ誘導体;または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】

【化2】

[式中、R、R−Rおよびmは請求項1で定義の意味を有する]
の化合物である、請求項1に記載の化合物、薬学的に許容されるそのプロドラッグ誘導体または薬学的に許容されるその塩。
【請求項3】
およびRが水素である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
mが1である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
Rがヒドロキシである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項6】
Rがヒドロキシであり、かつRは、請求項1または2に定義のアシルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項7】
がビアリールスルホニルである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項8】
Rがヒドロキシである、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項9】
Rがヒドロキシであり;Rがカルボン酸から誘導される、炭酸から誘導される、カルバミン酸から誘導されるまたはスルホン酸から誘導されるアシルであり;Rがビアリールスルホニルであって、ここで、該ビアリールが単環式炭素環式もしくは複素環式アリールで置換されている単環式炭素環式アリールであるか;または該ビアリールが単環式炭素環式もしくは複素環式アリールによって置換されている5または6員複素環式アリールであるビアリールであり;Rが水素または低級アルキルであり;RおよびRが水素であり;mが1である、請求項1または2に記載の化合物;薬学的に許容されるそのプロドラッグ誘導体;または薬学的に許容されるその塩。
【請求項10】
がラジカルAr−Ar−SO−であって、ここで、Arがフェニレン、フラニレンもしくはチエニレンであるか;またはArがチアゾリレン、チアジアゾリレンもしくはピリダジニレンであり;そしてArが単環式炭素環式アリールであるか;またはArが所望により置換されているピリジルであるか;またはArが所望により置換されているイソオキサゾリルまたは所望により置換されているチアジアゾリルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
式III
【化3】

[式中、mは、1であり;Rは、水素または低級アルキルであり;Arは、フェニレン、フラニレンまたはチエニレンであるか;またはArは、チアゾリレン、チアジアゾリレンまたはピリダジニレンであり;Arは、単環式炭素環式アリール、または所望により置換されているピリジルであるか;またはArは、所望により置換されているイソオキサゾリルまたは所望により置換されているチアジアゾリルであり;そしてRは、低級アルキルまたはシクロアルキルである]
の化合物である、請求項1に記載の;薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体;または薬学的に許容されるその塩。
【請求項12】
式IIIa
【化4】

[式中、m、R、R、ArおよびArは請求項11で定義の意味である]
の化合物である、請求項11に記載の化合物;薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体、または薬学的に許容されるその塩。
【請求項13】

【化5】

[式中、mは、1であり;Rは水素または低級アルキルであり;Arは、フェニレン、フラニレンまたはチエニレンであり;Arは、単環式炭素環式アリールまたは所望により置換されているピリジルであり;そしてRは、低級アルキル、シクロアルキルまたはアリールであるか;またはRは、低級アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリル、アリール−低級アルコキシによって、またはアミノまたは(モノ−もしくはジ−低級アルキルもしくはアリール−低級アルキル)−アミノによって置換されている低級アルキルである]
の化合物である、請求項1に記載の化合物;薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体;または薬学的に許容されるその塩。
【請求項14】

【化6】

[式中、m、R、Ar、ArおよびRは請求項13で定義の意味である]
の化合物である、請求項13に記載の化合物;薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体;または薬学的に許容されるその塩。
【請求項15】

【化7】

[式中、mは、1であり;Rは水素または低級アルキルであり;Arは、フェニレン、フラニレンまたはチエニレンであり;Arは、単環式炭素環式アリールまたは所望により置換されているピリジルであり;RおよびRは、独立的に水素、低級アルキルまたはアリールであるか;またはRおよびRはそれらが結合している窒素と一緒になってピペリジニル、ピロリジニル、モルホリニル、ピペラジニル、N−(低級アルキルまたはアリール−低級アルキル)−ピペラジニルまたはテトラヒドロ−イソキノリニル環を形成する]
の化合物である、請求項1に記載の;薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体;または薬学的に許容されるその塩。
【請求項16】

【化8】

[式中、m、R、R、R、ArおよびArは請求項15で定義の意味である]
の化合物である、請求項15に記載の化合物;薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体;または薬学的に許容されるその塩。
【請求項17】

【化9】

[式中、mは、1であり;Rは水素または低級アルキルであり;Arは、フェニレン、フラニレンまたはチエニレンであり;Arは、単環式炭素環式アリールまたは所望により置換されているピリジルであり;Rは、低級アルキル、シクロアルキル、アリール−低級アルキルまたはアリールである]
の化合物である、請求項1に記載の化合物;薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体;または薬学的に許容されるその塩。
【請求項18】

【化10】

[式中、m、R、R、ArおよびArは請求項17で定義の意味である]
の化合物である、請求項17に記載の化合物;薬学的に許容されるそのプロドラッグエステル誘導体;または薬学的に許容されるその塩。
【請求項19】
Arが1,4−フェニレン、2,5−フラニレンまたは2,5−チエニレンであり;Arがフェニルまたは低級アルキレンジオキシによって置換されているフェニルまたは低級アルキル、低級アルコキシ、シアノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたはハロによって独立的にモノ−またはジ−置換されているフェニルである、請求項10−18のいずれかに記載の化合物。
【請求項20】
請求項1の化合物を、1以上の薬学的に許容される担体と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項21】
哺乳動物においてMMP−13を阻害する方法であって、その必要のある哺乳動物に有効量の請求項1に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項22】
哺乳動物において、MMP−1を実質的に阻害することなく、MMP−13を選択的に阻害する方法であって、その必要のある哺乳動物に有効量の請求項9に記載の化合物を投与することを含む方法。
【請求項23】
哺乳動物の炎症性状態を処置する方法であって、その必要のある哺乳動物に、有効量の、請求項1に記載の化合物を投与することを含む方法。

【公開番号】特開2009−137997(P2009−137997A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−14415(P2009−14415)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【分割の表示】特願2002−571493(P2002−571493)の分割
【原出願日】平成14年3月13日(2002.3.13)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】