説明

MOPA方式レーザ光源装置およびMOPA方式レーザ制御方法

【課題】種レーザ光生成部と、光増幅部とを有するMOPA方式レーザ光源装置を用い、発振形態をパルス発振あるいは連続発振に切り替えることを可能した前記光源装置のレーザ出力において、連続発振からパルス発振に切り替えた直後の出力レーザ光の第1ピークパワーが、適切に制御されるようにしたMOPA方式レーザ光源装置を提供する。
【解決手段】種レーザ光を生成するための種レーザ光源と、前記種レーザ光を増幅するための光増幅器と、種レーザ光源を制御するための制御部とを有し、前記制御部により、種レーザ光源におけるパルス発振状態と連続発振状態の切り替えを制御するとともに、パルス発振状態と連続発振状態とで種レーザ光の平均パワーを異ならせるように制御する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、MOPA方式のレーザ光源装置およびレーザ制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
MOPA(Master Oscillator and Power Amplifier)方式は、高速変調制御可能な半導体レーザなどを種光源とし、その種光源を有する種レーザ光生成部(以降、MO部と記す)からの低出力の種レーザ光を光増幅部(以降、PA部と記す)で増幅して、高パワーのレーザ光を出射させる高出力レーザ光生成方式である。
【0003】
従来のMOPA方式レーザ光源装置においては、その発振形態を、連続発振状態とパルス発振状態とに切り替えるように構成した場合、後に図6を参照して詳細に説明するように、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後の出力レーザ光の第1ピークパワーが、第2ピークパワー以降のパワーに比べて大きくなることがある。このように連続発振状態からパルス発振状態への切り替え直後に第1ピークパワーの増大が発生すれば、例えばMOPA方式レーザ光源装置をレーザ加工用の光源として使用した場合に、スポットサイズや深さなどの加工状態が第1ピーク照射時と第2ピーク以降の照射時で異なり、均一な加工が困難となるという問題がある。
【0004】
特許文献1には、パルス発振状態のQスイッチ方式レーザ光源装置の制御に関して、出力レーザ光の被照射体からの反射光のピーク値を一定に揃えるために、反射光をモニタして、その反射光のピーク強度に応じてパルス光の繰り返し周波数を変化させる制御方法が開示されている。しかしながら、特許文献1の制御方法においては、出力レーザ光のピーク毎のパワーの変動を抑えるために、出力レーザ光の繰り返し周波数の複雑な制御が必要になるという問題がある。また、特許文献1の制御方法は、パルス発振のレーザ光源装置に適用されているに過ぎず、MOPA方式レーザ光源装置における連続発振状態からパルス発振状態への発振形態の切り替え、および切り替え時のレーザ光源装置の制御方法については、開示されていない。さらに、特許文献1に記載されているレーザ光源装置の制御方法では、反射したパルスをモニタしてそれをフィードバックすることにより、出力レーザ光の第2パルス以降については制御することが可能であるが、第1パルスを制御することはできない、という問題があった。
【0005】
一方特許文献2には、Qスイッチと利得媒質とを有するQスイッチ方式レーザ光源装置の発振形態を連続発振状態からパルス発振状態に切り替える際に、Qスイッチの休止間隔を連続発振状態の継続時間に応じて変化させ、パルス発振状態に切替えた直後の出力レーザ光の第1ピークパワーを抑制する制御方法が開示されている。この制御方法によれば、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後のパルス光の第1ピークの尖塔値と、第2ピーク以降のパルス光の尖塔値を揃えることができる。
【0006】
しかしながら、このような特許文献2の制御方法をMOPA方式レーザ光源装置に転用した場合、連続発振状態からパルス発振状態へ切り替えた直後の出力レーザ光パルスの第1ピーク間隔(Qスイッチの休止間隔にあたる)が、第2ピーク以降のピーク間隔と比べて2倍程度も異なってしまうことがある。その場合、MOPA方式レーザ光源装置をレーザ加工に適用する際には、加工機側の加工タイミングと前記MOPA方式レーザ光源装置の出力レーザ光の出射タイミングとを合わせるためのパルス間隔の制御を行わなければならない。しかしながら、このようなパルス間隔の制御は複雑とならざるを得ず、そのため尖頭値が揃った出力レーザ光を得るための条件の設定に時間や手間を要するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−43532号公報
【特許文献2】特開2003−110176号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の一般的なMOPA方式レーザ制御方法の問題点について、図6を参照して説明する。このMOPA方式レーザ光源装置のMO部およびPA部はそれぞれ励起光源を備えた構成になっており、図6には、MO部に入力する励起光のパワーと、MO部からの種レーザ光の出力平均パワーと、MO部からの種レーザ光の出力パターンと、PA部に入力する励起光と、PA部の利得媒体の反転分布状態と、出力レーザ光のパワーとの関係を示している。
【0009】
従来のMOPA方式レーザ制御方法においては、MO部からの種レーザ光を時間平均したパワーは、パルス発振状態か連続発振状態かの発振形態によらず、常に一定値となるように設定されていた。
この場合、図6に示すように、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後のPA部の反転分布率は、パルス発振状態における定常状態での反転分布率よりも高くなる(図6(A))。そのため、パルス発振状態に切り替えた直後のパルスレーザ光の第1ピークパワーが、パルス発振状態における定常時のピークパワーよりも大きくなってしまう(図6(B))。その後、定常時よりも大きいピークパワーのパルスレーザ光が出射されることによって、PA部の反転分布率は定常状態の反転分布率よりも低くなり(図6(C))、その結果、第2ピークパワーは、定常時のピークパワーよりも小さくなってしまう。そして、このような動作が数回行われた後、PA部の利得媒質の反転分布状態が定常パルス発振時のパルス出力直後の反転分布状態と同じになる(図6(D))。
したがって、従来のMOPA方式レーザ光源装置では、連続発振からレーザ発振に切り替えてから、PA部の利得媒質の反転分布状態がパルス発振定常時の反転分布状態と同じになって、出力レーザ光のピークパワーが揃うまでに長時間を要するという問題があった。
なお、従来のMOPA方式レーザ制御装置では、PA部からの出力光を時間平均したパワーが、発振形態によらずに常に一定になるように制御されている。
【0010】
上述のように、発振形態をパルス発振と連続発振とに切り替えるようにした従来のMOPA方式のレーザ光源装置においては、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後の出力パルスレーザ光の第1ピークパワーが、第2ピーク以降のピークパワーより大きくなり、その結果、例えば前記レーザ光源装置をレーザ加工用光源として使用すれば、スポットサイズや深さなどの加工状態が、第1ピーク照射時と第2ピーク以降の照射時とで異なり、均一な加工が困難となるという問題が生じていたのである。
【0011】
本発明は、上述の事情を背景としてなされたもので、任意のタイミングでパルス発振状態と連続発振状態とに切り替えることができるようにしたMOPA方式のレーザ光源装置において、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後の出力レーザ光の第1ピークパワーを適切に制御する方法および装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、MOPA方式レーザ光源装置の発振形態を連続発振状態からパルス発振状態に切り替える際の、パルス発振の条件(出力パワーや繰り返し周波数)に応じて、連続発振状態におけるMO部からの種レーザ光の平均パワーを変化させることによって、前記課題を解決することとした。
【0013】
すなわち本発明の第1の態様によるMOPA方式レーザ光源装置は、種レーザ光を生成するための種レーザ光源と、種レーザ光を増幅するための光増幅器と、種レーザ光源を制御するための制御部とを有し、制御部により、種レーザ光源におけるパルス発振状態と連続発振状態の切り替えを制御するとともに、パルス発振状態と連続発振状態とで種レーザ光の平均パワーを異ならせるように制御する構成としたことを特徴とするものである。
【0014】
第1の態様のMOPA方式レーザ光源装置によれば、パルス発振状態と連続発振状態とで、光増幅器に入射される種レーザ光の平均パワーを異ならせるように制御することにより、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後の出力パルスレーザ光の第1ピークパワーを適切に制御することができる。
但し、第1の態様のMOPA方式レーザ光源装置は、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後からピークパワーが揃ったパルスレーザ光を出力させるためだけに適用されるものではない。すなわち、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後の第1ピークパワーを、パルス発振状態の定常状態におけるピークパワーよりも大きくしたり、あるいは、逆に小さくする必要がある場合にも適用することができ、それらの場合には、連続発振状態における種レーザ光の平均パワーを、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後の目標とする第1ピークパワーに応じて制御すればよい。
【0015】
本発明の第2の態様によるMOPA方式レーザ光源装置は、第1の態様のMOPA方式レーザ光源装置において、種レーザ光の平均パワーの制御により、連続発振からパルス発振に切り替えた直後の光増幅器の利得媒質の反転分布率を定常パルス発振状態のパルス出力直後の光増幅器の利得媒質の反転分布率と略同じになるように制御する構成としたことを特徴とするものである。
【0016】
第2の態様のMOPA方式レーザ光源装置では、連続発振からパルス発振に切り替えた直後の光増幅器の利得媒質の反転分布率が、定常パルス発振状態のパルス出力直後の光増幅器の利得媒質の反転分布率と等しくなるように制御することによって、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えるときのパルス間隔が、定常状態のパルス発振時のパルス間隔と同じであっても、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後からピークパワーが揃ったパルスレーザ光を出射させることができる。
【0017】
本発明の第3の態様によるMOPA方式レーザ光源装置は、第2の態様のMOPA方式レーザ光源装置において、パルス発振状態における種レーザ光の平均パワーよりも、連続発振状態における種レーザ光の平均パワーが高くなるように制御する構成としたことを特徴とするものである。
【0018】
第3の態様のMOPA方式レーザ光源装置では、パルス発振状態における種レーザ光の平均パワーよりも、連続発振状態における種レーザ光の平均パワーが高くなるように制御されるため、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後からピークパワーが揃ったパルスレーザ光を出力させることができる。
なおここで、第3の態様として記載している制御を実施するに当たっては、実際上は、連続発振状態の反転分布率と定常パルス発振状態のパルス出力直後の反転分布率が近づくように、事前に連続発振状態の種光の平均パワーが調べられて、それに基づいて、種レーザ光の平均パワーが設定されている。このように種レーザ光の平均パワーが予め設定されたパワーに調整されていることによって、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えたときにおける、レーザ光の第1パルスが出射される直前の反転分布は、パルス発振の定常状態においてパルスが出射される直前の反転分布に近づく。
したがって、パルス発振状態から連続発振状態に切り替えた際の光増幅器の利得媒質の反転分布が定常パルス発振時のパルス出力直後の光増幅器の利得媒質の反転分布率と異なっている場合であっても、ピークパワーが揃ったパルス光が出射される。
【0019】
本発明の第4の態様によるMOPA方式レーザ光源装置は、第2または第3の態様のMOPA方式レーザ光源装置において、光増幅器で発生して種レーザ光源に戻る自然放出光を検出するためのモニタ部を備え、定常パルス発振状態におけるパルス出力直後のモニタ部での自然放出光の検出レベルと連続発振状態におけるモニタ部での自然放出光の検出レベルとの差が少なくなるように、種レーザ光の平均パワーを制御する構成とされていることを特徴とするものである。
【0020】
第4の態様のMOPA方式レーザ光源装置によれば、光増幅器で発生して種レーザ光源に戻る自然放出光(以下、ASE光と記す)を検知して、定常パルス発振状態のパルス出力直後のASE光の検出レベルと連続発振状態におけるASE光の検出レベルとの差が少なくなるように、種レーザ光の平均パワーが制御される。その結果、パルス発振状態と連続発振状態を切り替えても、ピークパワーの揃ったレーザ光を出射することができる。
なおこの第4の態様のMOPA方式レーザ光源装置は、ASE光のパワーがPA部の反転分布率および利得に応じて増減することを利用したものである。
【0021】
本発明の第5の態様によるMOPA方式レーザ光源装置は、第1の態様〜第4の態様のうちのいずれかのMOPA方式レーザ光源装置において、MOPA方式レーザ光源装置がファイバレーザであることを特徴とするものである。
【0022】
第5の態様のMOPA方式レーザ光源装置によれば、MOPA方式レーザ光源装置がファイバレーザで構成されるため、レーザ加工において微細な印字・加工を行うために、特に出力レーザ光の安定化が必要になった場合でも、ビーム品質が高く、ビームを細く絞りやすい加工用光源に適したレーザ光源装置を提供することができる。
【0023】
さらに、本発明における第6〜第9の態様はMOPA方式レーザ制御方法に関するものである。
【0024】
本発明の第6の態様のMOPA方式レーザ制御方法は、種光生成部からの種レーザ光を光増幅部で増幅するMOPA方式のレーザ光源装置を用い、パルス光と連続光とを切り替えて出射可能としたレーザ出力において、パルス発振状態と連続発振状態とで、光増幅部に入射される種レーザ光の平均パワーを切り替えることを特徴とするものである。
【0025】
上述の第6の態様のMOPA方式レーザ制御方法によれば、パルス発振状態と連続発振状態とで光増幅部に入射される種レーザ光の平均パワーを切り替えることにより、連続発振状態からパルス発振状態に切り替わった直後の光増幅部の利得を制御し、出力パルスレーザ光の第1ピークパワーを適切に制御することができる。
【0026】
本発明の第7の態様によるMOPA方式レーザ制御方法は、第6の態様のMOPA方式レーザ制御方法において、連続発振からパルス発振に切り替えた直後の光増幅部の利得媒質の反転分布率が、定常パルス発振状態のパルス出力直後の光増幅部の利得媒質の反転分布率と略同じになるように、種レーザ光の平均パワーを制御することを特徴とするものである。
【0027】
第7の態様のMOPA方式レーザ制御方法によれば、連続発振からパルス発振に切り替えた直後の光増幅部の利得媒質の反転分布率が、定常パルス発振状態のパルス出力直後の光増幅部の利得媒質の反転分布率と略同じになるように制御することにより、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後の出力レーザ光のパルス間隔が定常状態のパルス発振状態のパルス間隔と同じ場合(図1に示すようにt0=tである場合)であっても、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後からピークパワーが揃ったパルスレーザ光を出力させることができる。
【0028】
本発明の第8の態様によるMOPA方式レーザ制御方法は、第7の態様のMOPA方式レーザ制御方法において、パルス発振状態における種レーザ光の平均パワーよりも、連続発振状態における種レーザ光の平均パワーが高くなるように、種レーザ光の平均パワーを切り替えることを特徴とするものである。
【0029】
第8の態様のMOPA方式レーザ制御方法によれば、パルス発振状態における種レーザ光の平均パワーよりも、連続発振状態における種レーザ光の平均パワーが高くなるように制御することにより、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後からピークパワーが揃ったパルスレーザ光を出力させることができる。
具体的には、図1に示すように、連続発振状態の種レーザ光の平均パワーを高くした分だけ、光増幅器内の利得媒体の反転分布率が下がり、連続発振状態における光増幅器の利得媒体の反転分布率を、パルス発振状態の定常時における各パルスの発振直前の反転分布率に近づけることができる。その結果、パルス発振状態から連続発振状態に切り替えた際の光増幅器の利得媒質の反転分布が定常パルス発振時のパルス出力直後の光増幅器の利得媒質の反転分布率と異なっている場合でも、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後の出力パルスレーザ光の第1ピークパワーを、定常状態の出力レーザ光のピークパワーに近づけることができ、MOPA方式レーザ光源装置からピークパワーの揃った出力レーザ光を得ることができる。
【0030】
本発明の第9の態様によるMOPA方式レーザ制御方法は、第7または第8の態様のMOPA方式レーザ制御方法において、光増幅部で発生して種レーザ光生成部に戻る自然放出光を検出し、定常パルス発振状態のパルス出力直後の自然放出光のパワーが、連続発振中の自然放出光のパワーと略同じになるように、種レーザ光の平均パワーを制御することを特徴とするものである。
【0031】
第9の態様のMOPA方式レーザ制御方法によれば、光増幅部で発生して種レーザ光生成部に戻ってくるASE光をモニタし、連続発振中のASE光のパワーを定常パルス発振状態のパルス出力直後のASE光のパワーと同じになるように種レーザ光の平均パワーを連続発振中に制御することにより、ASE光のパワーを介して間接的にモニタリングした光増幅部の利得が制御され、種レーザ光の平均パワーを目標値になるように制御することができる。
なお、この制御方法は光増幅部から種レーザ光生成部に戻ってくるASE光のパワーレベルが光増幅部の利得媒体の反転分布状態に応じて増減することを利用したものである。
【発明の効果】
【0032】
本発明のMOPA方式レーザ光源装置およびレーザ制御方法によれば、パルス発振状態と連続発振状態に切り替え可能としたMOPA方式レーザ光源装置として、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後の出力パルスレーザ光の各パルスのピークパワーを、適切に調整することができる。したがって、本発明を例えばレーザ加工に適用した場合、連続光による加工からパルス光による加工への切り替えの直後に、パルス光のパワー安定化を図るためにパルス間隔の変更が必要になるという問題や、出力パルス光のパワー変動により加工ムラが発生するという問題を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のMOPA方式レーザ制御方法の概要を示す模式図である。
【図2】本発明の第1の実施形態によるMOPA方式レーザ光源装置の全体構成を示す略解図である。
【図3】本発明の第1の実施形態によるMOPA方式レーザ光源装置の種レーザ光源の構成を示す略解図である。
【図4】本発明の第2の実施形態によるMOPA方式レーザ光源装置の全体構成を示す略解図である。
【図5】本発明の第2の実施形態によるMOPA方式レーザ光源装置における発振形態切り替え信号と、MO部の出力平均パワーと、PA部からのASE光のパワーとの関係を示す模式図である。
【図6】従来のMOPA方式レーザ制御方法の概要を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明のMOPA方式レーザ制御方法の基本的な原理について、図1を参照して説明する。図1のMOPA方式レーザ光源装置はMO部およびPA部はそれぞれ励起光源を備えた構成になっている。また、従来のMOPA方式レーザ制御方法とわかりやすく比較するため、図6と同様に、図1も、発振形態に応じたMO部に入力する励起光のパワーと、MO部からの種レーザ光の平均パワーと、MO部からの種レーザ光の出力パターンと、PA部に入力する励起光と、PA部の利得媒体の反転分布状態と、出力レーザ光のパワーとの関係を示している。
【0035】
このMOPA方式レーザ制御方法において、MO部は図3のようなQスイッチング方式を採用しており、音響光学素子に高周波電圧が印加されている間は音響光学素子に回折格子が形成されて回折光が生じる構成となる。そのため、音響光学素子に高周波電圧が印加される間は回折光が生じてその回折光がファイバブラッググレーティングにより反射され、レーザ共振器の中で増幅されていく。本発明においてはMO部から出射される種レーザ光のパルス光と連続光との切り替え制御を音響光学素子によって行い、MO部へ入力する励起光のパワーを変化させる事により、MO光平均パワーの切り替え制御を行う。
【0036】
前記PA部の励起光がPA部内の利得媒体に入射すれば、PA部の利得媒体における反転分布率が高まり、さらに前記MO部からパルス状の種レーザ光がPA部に入射すれば、PA部から大出力のパルス光が出射される。そのパルス光が出射された後は、励起光の入射により利得媒体の反転分布率が大出力のパルス光出射前の反転分布率に戻る。
【0037】
図1に示すMOPA方式レーザ制御方法において、出力レーザ光の制御を連続発振からパルス発振に切り替えた後の出力レーザ光の第1パルスのピークレベルを、定常パルス発振状態における出力レーザ光のパルスのピークレベルと合わせるためには、種レーザ光の制御をパルス発振から連続発振に切り替えるときに、MO部の励起光のパワーを一定量だけ高める。その増加した励起光のパワーにより、出力レーザ光の第1ピーク出射直前のPA部の利得媒質の反転分布率が、パルス発振の定常状態のピーク出射直前の反転分布率と略同じになるように調整される。
この制御手法はMO部の励起光のパワーを高めることにより、MO部の種レーザ光の出力平均パワーが増え、前記PA部の利得媒質の反転分布率が下がることを利用している。
出力レーザ光の第1パルスのピークレベルを、定常状態における出力レーザ光のパルスのピークレベルと合わせるために必要な励起光パワーの設定値は、MO部から出射される種レーザ光の制御が連続発振からパルス発振に切り替わるまでの時間間隔をt0、定常状態における種レーザ光のパルスの時間間隔をtとすると、t0とtとの時間差に応じた値が予め内蔵メモリに格納されており、制御に応じて適宜設定される。
【0038】
このようなMOPA方式レーザ光源装置を用いることにより、図1に示すように、連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後のPA部の利得媒体内の反転分布率が、パルス発振直後の第1ピークと第2ピーク以降とで極めて近くなり、第1ピークからピークパワーの揃った出力レーザ光を得ることができる。
【0039】
なお、PA部の出力平均パワーは、パルス発振、連続発振といった発振形態によらず常に一定となるように制御される。
【0040】
以下に、本発明の実施の形態について、図2〜図5を参照して以下で説明する。
【0041】
図2には、本発明の第1の実施形態のMOPA方式レーザ光源装置を示す。このMOPA方式レーザ光源装置は、種レーザ光を生成するための種レーザ光源1と、種レーザ光を増幅するための光増幅器10と、制御部20と、メモリ22と、外部コントローラ24とを有している。
次に、前記のMOPA方式レーザ光源装置の各構成要素について説明する。
【0042】
種レーザ光源1は本実施形態においてMOPA方式レーザ制御方法のMO部として機能するものであり、その一例を図3に示す。図3に示すように、種レーザ光源1には励起光源2に接続された希土類添加光ファイバ5と、共振器を構成するための要素として、第1ファイバブラッググレーティング(Fiber Bragg Grating:以下、FBGと記す)3と、第2FBG4と、Qスイッチング動作を行うための音響光学素子(Acousto Optic Modulator:以下、AOMと記す)6とが設けられている。
【0043】
光増幅器10は、本実施形態においてMOPA方式レーザ制御方法のPA部として機能する。図2に示すように、光増幅器10は増幅用光ファイバ12と、増幅用光ファイバ12に励起光を入射させるための励起LD(Laser Diode)11により構成されている。励起LD11は光学的に増幅用光ファイバ12と接続されている。
【0044】
制御部20は、種レーザ光の平均パワー制御と、パルス発振状態と連続発振状態との発振形態の切り替え制御を行うために、種レーザ光源1の励起光源2と接続されている。また、制御部20は、出力レーザ光のON/OFF状態の切り替え制御を行うために、光増幅器10の励起LD11とも接続されている。さらに、メモリ22と、外部コントローラ24とも接続されている。
【0045】
メモリ22は、図2のMOPA方式レーザ光源装置の構成要素のパルス発振状態および連続発振状態に関する全てのパラメータおよびスケジュールなどのデータを記憶しておくためのものである。また、このメモリ22は、外部コントローラ24を介してユーザからの指示を入力された制御部20に、指示に応じた制御に必要なパラメータおよびデータを出力する。
【0046】
メモリ22から任意のタイミングで必要なパラメータを呼び出し、光増幅器10からのパルス発振状態の出力レーザ光の平均パワーと、連続発振状態の出力レーザ光の平均パワーが同じになるように制御を行うため、パルス発振状態と連続発振状態での構成要素に関するパラメータが、予めメモリ22に保存されている。
ここで、ユーザが連続発振状態からパルス発振状態に切り替える際には、パルス発振状態の繰り返し周波数の情報を、連続発振しているときにユーザから情報を受信し、その周波数に応じて種レーザ光の平均パワーを設定することが望ましい。高繰り返し周波数になるほど、CW発振時の反転分布状態に近づいていくので、高繰り返し周波数でパルス駆動を行う場合ほど、CW発振時の平均パワーとパルス駆動時の平均パワーの差は小さくなるように、CW発振時の平均パワーを制御することが望ましい。種レーザ光の平均パワーを切り替える時間を考慮すれば、周波数情報を発振器が受け取るタイミングは、パルス発振に切り替える100μsec以上前であることが望ましい。
【0047】
外部コントローラ24は、MOPA方式レーザ光源装置のユーザが直接、MOPA方式レーザ光源装置を制御するためのユーザインターフェースであり、パルス発振状態と連続発振状態との切り替え信号や、出力レーザ光のON/OFF状態の指示信号、さらに出力レーザ光のパワーの設定に関する信号を制御部20に出力する。
【0048】
続いて、図2に示したMOPA方式レーザ光源装置の動作について説明する。
図2のMOPA方式レーザ光源装置においては、外部コントローラ24から、出力レーザ光をON状態とするための指示信号と、パルス発振状態か連続発振状態の切り替え信号が制御部20に入力されれば、これら2つの信号が種レーザ光源1の励起光源2に入力される。励起光源2からの励起光は、切り替え信号に従い、所定の値の平均パワーになるように制御され、出射される。前記励起光は、希土類添加光ファイバ5に添加されている希土類元素に吸収され、希土類元素を励起する。励起状態となった希土類元素からの光は希土類添加光ファイバ5を伝搬し、AOM6に入射する。
【0049】
AOM6は、図示しないドライバを介して制御部20により制御されて、高損失な状態と低損失な状態とに切り替えられるように構成されている。AOM6が高損失な状態では、希土類添加光ファイバ5からの光の透過は抑圧され、低損失な状態では光は透過し、第2FBG4に入射する。第2FBG4は第1FBG3に比べて反射率が低いため、AOM6の透過光の一部が第2FBG4で反射され、AOM6を介して再び希土類添加光ファイバ5に入射され、希土類添加光ファイバ5の希土類元素の誘導放出により増幅される。増幅された光は高反射率の第1FBG3により、反射されて再び希土類添加光ファイバ5に入射され、更に増幅される。再度増幅された光はAOM6を介して、第2FBG4に入射され、その入射光の一部が第2FBG4を透過する。
【0050】
第1FBG3から第2FBG4までの構成部分はファブリ−ペロー共振器として機能し、AOM6の制御状態に応じて光が増幅され、その増幅された光がMOPA方式レーザ光源装置の種レーザ光として第2FBG4から出射される。AOM6が、制御部20により低損失な状態と高損失な状態とを周期的に繰り返すように制御される場合には、第2FBGから出力される種レーザ光はパルス光となり、低損失な状態を維持するように制御される場合には、種レーザ光は連続光となる。
【0051】
したがって、制御部20から前記発振形態切り替え信号が入力された種レーザ光源1は、その切り替え信号を前記のAOM6のドライバに送り、切り替え信号の内容に従ってAOM6を制御して、パルス光か連続光のいずれかの形態の種レーザ光を出射する。
【0052】
種レーザ光源1からの種レーザ光は光増幅器10の増幅用光ファイバ12に入射される。増幅用光ファイバ12は励起元素が添加されているコア部と、そのコア部を被覆するクラッド部と、そのクラッド部を被覆する樹脂クラッド部とを有するダブルクラッドファイバから構成される。前記コア部は、光増幅器10に入射した種レーザ光をシングルモード光として伝搬させ、コア部およびクラッド部から出射される励起光をマルチモード光として伝搬させる。増幅用光ファイバ12に入射された励起LD11からの励起光は、コア部を伝搬する際に一部が励起元素に吸収されて、励起元素が励起される。反転分布率が高められた励起元素では、前記コア部を伝搬する種レーザ光により誘導放出が生じ、この誘導放出により増幅用光ファイバ12から高パワーの光が出射される。
【0053】
光増幅器10の励起LD11は、発振形態がパルス発振か、連続発振かのいずれの場合においても、一定の出力パワーの連続光を出力する。すなわち、光増幅器10はパルス光か、連続光かのいずれかの種レーザ光を一定の増幅率で増幅する。
【0054】
次に、このMOPA方式レーザ光源装置の発振形態がパルス発振から連続発振に切り替えられる場合の動作について説明する。
先ず、外部コントローラ24からは、制御部20に発振形態切り替え信号が入力され、制御部20はメモリ22から連続発振の制御に必要なデータを呼び出す。次に、制御部20は種レーザ光源1の励起光源2の出力パワーを切り替え、かつAOM6が低損失な状態を保つようにAOM6のドライバを制御する。前記の種レーザ光源1の平均パワーは、上述のように連続発振状態の光増幅器10の利得媒質の反転分布率と、パルス発振状態のパルス光出射直前の光増幅器10の利得媒質の反転分布率との関係から決定され、メモリ22に保存されているデータをもとに制御部20で決定される。
【0055】
続いて、このMOPA方式レーザ光源装置の発振形態が連続発振からパルス発振に切り替えられる場合の動作について説明する。
先ず、外部コントローラ24からは、制御部20に発振形態切り替え信号が入力され、制御部20はメモリ22からパルス発振制御に必要なデータを呼び出す。次に、制御部20は種レーザ光源1の励起光源2の出力パワーをパルス発振定常時の値に切り替え、AOM6が低損失な状態と高損失な状態とを周期的に繰り返すようにAOM6のドライバを制御する。前述のように連続発振状態に種レーザ光の出力平均パワーが切り替えられていたことにより、連続発振からパルス発振に切り替えた直後の光増幅器10の増幅用光ファイバ12の反転分布率は、パルス発振定常時におけるパルス出力直後の増幅用光ファイバ12の反転分布率と極めて近い状態になっており、第1ピークと第2ピーク以降の出力レーザ光出射直前の反転分布率が略同じになる。
このようなレーザ制御方法により、MOPA方式レーザ光源装置からは連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後から、ピークパワーの揃ったパルス状の出力レーザ光が出射される。
【0056】
図4に、本発明の第2の実施形態のMOPA方式レーザ光源装置の構成を示す。なお、図4において、図2に示したMOPA方式レーザ光源装置と同一の構成の部分については同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0057】
図4のMOPA方式レーザ光源装置は、図2に示すMOPA方式レーザ光源装置の種レーザ光源1と光増幅器10との間に、種レーザ光源1に戻るASE光の光量を測定するためのモニタ部30を、光結合器32を介して設けたものである。モニタ部30には、光量を測定する機能を有するPDなどの受光デバイスを用いる。
モニタ部30は制御部20と接続されており、ASE光の光量の測定値を制御部20に入力される。
【0058】
次に、図4のMOPA方式レーザ光源装置の動作と機能について説明する。
前記ASE光は、増幅用光ファイバ12内において発生し、光増幅器10からMOPA方式レーザ光源装置のレーザ出射の方向にも、また種レーザ光源1に向かう方向にも伝搬する。このASE光のパワーは、増幅用光ファイバ12における励起元素の反転分布率の変化に伴って増減するため、モニタ部30を用いて間接的に増幅用光ファイバ12の反転分布率および利得の状態をモニタすることができる。この原理を利用して、光増幅器10から種レーザ光源1に戻ってくるASE光をモニタ部30でモニタしておき、モニタ部30で検出した光量が所定の値になるように、制御部20により連続発振状態の種レーザ光源1の種レーザ光の出力平均パワーを調整する。
【0059】
図5は、第2の実施形態におけるパルス発振と連続発振の発振形態切り替え信号と、種レーザ光源1からの種レーザ光の出力平均パワーと、光増幅器10からのASE光のパワーとの関係を示している。MOPA方式レーザ光源装置がパルス発振の状態においては、種レーザ光源1から前記発振形態切り替え信号に従ってパルス光が出射され、光増幅器10に入射する。このとき、種レーザ光源1の時間平均した出力パワーは一定に保たれている。光増幅器10の増幅用光ファイバ12には、励起LD11から一定パワーの励起光が入射するため、増幅用光ファイバ12の利得は増え、定常状態の最大利得に極めて近くなる。この状態で、種レーザ光源1からのパルス状の種レーザ光が増幅用光ファイバ12に入射されれば、光増幅器10から大出力のパルス光が出射され、増幅用光ファイバ12の利得は定常状態における最小利得に戻る。そして、前述の増幅用光ファイバ12の利得の増減量に比例してASE光のパワーも図5のように変動し、その変動量がモニタ部30で検出される。
【0060】
ここで、発振形態がパルス発振から連続発振に切り替われば、図5に示すように、発振形態切り替え信号が制御部20から種レーザ光源1に出力され、種レーザ光源1からは連続光が出射され、光増幅器10に入射する。このとき、連続光の出力平均パワーがパルス発振定常時のパルス光の出力平均パワーより高く制御されるため、光増幅器10の増幅用光ファイバ12の利得は、パルス発振定常時のパルス光出射直後の利得より低くなる(図5(A))。
【0061】
上述のように、種レーザ光源1の連続光の出力平均パワーが高められることにより、光増幅器10の増幅用光ファイバ12の利得が高くなり、光増幅器10からのASE光のパワーも大きくなる(図5(B))。
【0062】
この時のASE光のパワーの増加量がASE光モニタ部30によって検出されて、それに関する信号が制御部20に出力され、前記増加量に応じて制御部20により、種光レーザ光源1からの連続光の出力平均パワーが制御される(図5(C))。
【0063】
このような種レーザ光源1からの種レーザ光の出力平均パワーの制御により、光増幅器10からのASE光、および増幅用光ファイバ12の利得は、パルス発振定常時のパルス光出射直後の状態と同じになる(図5(D))。
【0064】
すなわち、上述の制御を行うことにより、図4に示すMOPA方式レーザ光源装置を連続発振状態からパルス発振状態に切り替えた直後から、極めてピークパワーの揃ったパルス光が図4のMOPA方式レーザ光源装置から出射される。
【0065】
ASE光モニタ部30で検出する光量は、パルス発振開始から十分な時間が経過した後のパルス出射直後のASE光のパワーになるように制御することが望ましい。なお、ASE光モニタ部30で検出する光量に対して所定値を設定する場合は、前記所定値を定期的にアクティブキャリブレーションしてもよい。あるいは、このMOPA方式レーザ光源装置の駆動開始前に調べておき、メモリ22にデータテーブルなどの形で記録し、適宜制御部20で呼び出してもよい。
【0066】
なお、上記のいずれの実施形態のMOPA方式レーザ光源装置においても、種レーザ光源としてLDを用いてもよい。その場合には、LD電流を直接変調することにより、MO部の種レーザ光の制御を行う。
【0067】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはもちろんである。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
【0068】
また、本発明のMOPA方式レーザ光源装置は、レーザ加工用の光源に最適であるが、それに限定されないことはもちろんであり、高パワーのパルス光が求められる用途には、すべて適用可能である。
【符号の説明】
【0069】
1…種レーザ光源、2…励起光源、3…第1ファイバブラッググレーティング、4…第2ファイバブラッググレーティング、5…希土類添加光ファイバ、6…音響光学素子、10…光増幅器、11…励起半導体レーザ、12…増幅用光ファイバ、20…制御部、22…メモリ、24…外部コントローラ、30…モニタ部、32…光結合器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
種レーザ光を生成するための種レーザ光源と、前記種レーザ光を増幅するための光増幅器と、種レーザ光源を制御するための制御部とを有し、
前記制御部により、種レーザ光源におけるパルス発振状態と連続発振状態の切り替えを制御するとともに、パルス発振状態と連続発振状態とで種レーザ光の平均パワーを異ならせるように制御する構成としたことを特徴とするMOPA方式レーザ光源装置。
【請求項2】
請求項1に記載のMOPA方式レーザ光源装置において、
前記種レーザ光の平均パワーの制御により、連続発振からパルス発振に切り替えた直後の前記光増幅器の利得媒質の反転分布率を定常パルス発振状態のパルス出力直後の前記光増幅器の利得媒質の反転分布率と略同じになるように制御する構成としたことを特徴とするMOPA方式レーザ光源装置。
【請求項3】
請求項2に記載のMOPA方式レーザ光源装置において、
パルス発振状態における種レーザ光の平均パワーよりも、連続発振状態における種レーザ光の平均パワーが高くなるように制御する構成としたことを特徴とするMOPA方式レーザ光源装置。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載のMOPA方式レーザ光源装置において、
前記光増幅器で発生して種レーザ光源に戻る自然放出光を検出するためのモニタ部を備え、定常パルス発振状態におけるパルス出力直後の前記モニタ部での自然放出光の検出レベルと連続発振状態における前記モニタ部での自然放出光の検出レベルとの差が少なくなるように、種レーザ光の平均パワーを制御する構成とされていることを特徴とするMOPA方式レーザ光源装置。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のうちのいずれかの請求項に記載のMOPA方式レーザ光源装置において、
前記MOPA方式レーザ光源装置がファイバレーザであることを特徴とするMOPA方式レーザ光源装置。
【請求項6】
種光生成部からの種レーザ光を光増幅部で増幅するMOPA方式のレーザ光源装置を用い、パルス光と連続光とを切り替えて出射可能としたレーザ出力において、
パルス発振状態と連続発振状態とで、前記光増幅部に入射される前記種レーザ光の平均パワーを切り替えることを特徴とするMOPA方式レーザ制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載のMOPA方式レーザ制御方法において、
連続発振からパルス発振に切り替えた直後の前記光増幅部の利得媒質の反転分布率が、定常パルス発振状態のパルス出力直後の前記光増幅部の利得媒質の反転分布率と略同じになるように、前記種レーザ光の平均パワーを制御することを特徴とするMOPA方式レーザ制御方法。
【請求項8】
請求項7に記載のMOPA方式レーザ制御方法において、
パルス発振状態における種レーザ光の平均パワーよりも、連続発振状態における種レーザ光の平均パワーが高くなるように、種レーザ光の平均パワーを切り替えることを特徴とするMOPA方式レーザ制御方法。
【請求項9】
請求項7または請求項8に記載のMOPA方式レーザ制御方法において、
前記光増幅部で発生して前記種レーザ光生成部に戻る自然放出光を検出し、定常パルス発振状態のパルス出力直後の自然放出光のパワーが、連続発振中の自然放出光のパワーと略同じになるように、種レーザ光の平均パワーを制御することを特徴とするMOPA方式レーザ制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−102088(P2013−102088A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245657(P2011−245657)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】