説明

MQ−Tプロピルシロキサン樹脂

(RSiO1/2、(RSiO2/2、(RSiO3/2及び(SiO4/2単位(ただし、R基の少なくとも40モル%はプロピルであるものとする)を含むMQ−Tプロピルシロキサン樹脂を開示する。また、MQシロキサン樹脂をTプロピルシロキサン樹脂と反応させることにより、かかるシロキサン樹脂を調製する方法も開示する。これらのシロキサン樹脂は、パーソナルケアや、家庭用品ケア及び医療用ケアの種々の適用用途において、特に、顔料含有の化粧料配合物における樹脂添加剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[発明の分野]
本発明は、以下、MQ−Tプロピル樹脂のことであると承知されたい、(RSiO1/2単位、(RSiO2/2単位、(RSiO3/2単位及び(SiO4/2単位(ここで、R基の少なくとも40モル%はプロピルであるものとする)を含むシロキサン樹脂を提供する。本発明は、さらに、MQシロキサン樹脂をTプロピルシロキサン樹脂と反応させることにより、かかるシロキサン樹脂を調製する方法に関する。本発明のシロキサン樹脂は、パーソナルケアや、家庭用品ケア、自動車用及び医療用ケアの種々の適用用途において、特に、顔料含有の化粧料配合物における樹脂添加剤として有用である。
【0002】
[関連出願の相互参照]
該当なし。
【背景技術】
【0003】
[発明の背景]
一般式RSiO(4−n)/2(式中、Rはアルキル基であり、nは、一般的には、1.8未満である)のシロキサン樹脂は、多くの商業上の適用用途(例えば接着剤組成物及びコーティング適用用途等)におけるその有用性のため、シリコーンポリマーの重要なファミリーの1つである。シロキサン樹脂の具体的なサブクラスの1つであってMQ樹脂として知られるもの(主に、一般式RSiO1/2の「M」単位と一般式SiOの「Q」単位から構成されるため)は、化粧料配合物における有用性がわかっている。特に、MQ樹脂は、「長時間使用性(extended wear)」又は「耐移行性(transfer resistant)」化粧料配合物に一般的に用いられている。これらの配合物において、MQ樹脂は、塗布後における顔料の持続性(substantivity)又は他の配合物の皮膚に対する活性(actives)を強化し、より長時間の持続性をもたらし、したがって、長時間使用性の製品をもたらす。
【0004】
MQ樹脂を用いた耐移行性化粧料組成物の代表例は、米国特許第6,071,503号明細書、米国特許第6,074,654号明細書、米国特許第6,139,823号明細書、米国特許第6,340,466号明細書、国際公開第97/17058号パンフレット及び国際公開第97/17059号パンフレットに見られ、これらは、オルガノシロキサン樹脂及び液状ジオルガノシロキサン樹脂と揮発性担体との組合せを含む組成物を開示している。
【0005】
米国特許第5,330,747号明細書には、トリメチルシリル末端ブロック樹脂性コポリマー、シラノール末端ブロック液状ポリジオルガノシロキサン、及びフェニル含有液状ポリシロキサンを含む感圧接着剤組成物に由来する被膜形成剤を用いた、耐久性が強化された化粧料が教示されている。
【0006】
米国特許第5,075,103号明細書及び米国特許第5,733,537号明細書には、カール保持力を毛髪に付与するための毛髪処理方法が教示されており、この場合、少なくとも1種類の被膜形成成分が毛髪に適用される。改善点は、被膜形成成分として有機ケイ素化合物である無極性シルセスキオキサン(silsequioxane)が利用されていることである。
【0007】
米国特許第5,800,816号明細書には、a)約0.1〜60重量%のトリメチル化シリカ、b)約0.1〜60重量%の揮発性溶媒(25℃で0.5〜100mPa・s(センチポアズ)の粘度を有する)、c)0.1〜60重量%の不揮発性油(25℃で200〜1,000,000mPa・s(センチポアズ)の粘度を有する)、d)0.1〜80%の化粧用として許容され得る担体を含む、改善された耐移行性を有する化粧料組成物が開示されている。
【0008】
米国特許第5,837,223号明細書及び米国特許第6,036,947号明細書には、組成物の総重量に対して、a)10〜70%の揮発性溶媒(摂氏25度で0.5〜20mPa・s(センチポアズ)の粘度を有する)、b)0.5〜40%のゲルベ(guerbet)エステル、及びc)0.1〜20%のシロキシシリケートポリマーを含む、耐移行性の高艶出し化粧用スティック状組成物が教示されている。
【0009】
英国特許第2,319,527号明細書には、香料放出性の不揮発性ポリシロキサンが開示されており、これは、高分子量ポリジオルガノシロキサン化合物を主成分とし、該ポリマーの有機系置換基の少なくとも1個又はそれ以上が、芳香性アルコールに由来する残基である。
【0010】
特公平6−72085号公報には、改善された耐水性及び耐久性を有し、有機シリコーン樹脂、揮発性シリコーン油、及びメーキャップ用パウダーを含むメーキャップ化粧料組成物が教示されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
化粧料におけるMQ樹脂の使用は、長時間使用性又は耐移行性を有する配合物をもたらしているが、かかる配合物に使用されるシロキサン樹脂の特性を改変する必要性が存在する。特に、これらの配合物に使用されるMQ樹脂の被膜は、マットな仕上がり感及びベタつき(tacky)感を有し得る。したがって、化粧料配合物において現在使用されているMQ樹脂の長時間使用性及び耐移行性に少なくとも匹敵する特性を提供し、ベタつきのない改善された光沢を有する(すなわち、マットでない)、改善されたシロキサン樹脂の必要性が存在する。さらにまた、ヘアケア用配合物において処理後の毛髪のカール保持性を改善する樹脂の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、プロピル含有シロキサン(RSiO3/2単位(T単位)にM及びQ単位を組み込むことにより、改善されたシロキサン樹脂を見出した。得られるシロキサン樹脂は、本明細書においてMQ−Tプロピルシロキサン樹脂と称するが、改善された物性を有する。特に、本発明のMQ−Tプロピルシロキサン樹脂を含む化粧料配合物は、MQ樹脂と比べて改善された光沢を有し、Tプロピル樹脂よりもベタつきは少ないが、その長時間持続性又は磨耗特性は維持している。
【0013】
本発明は、MQ−Tプロピルシロキサン樹脂であって、
単位:
(i) (RSiO1/2
(ii) (RSiO2/2
(iii) (RSiO3/2、及び
(iv) (SiO4/2
(式中
、R及びRは、独立して、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、カルビノール基、又はアミノ基であり、
aは、0.05〜0.5の値を有し、
bは、0〜0.3の値を有し、
cはゼロより大きい値を有し、
dは、0.05〜0.6の値を有し、
a+b+c+dの値は1である、
ただし、該シロキサン樹脂中のR基の40モル%より多くはプロピルであるものとする)
を含むMQ−Tプロピルシロキサン樹脂に関する。
【0014】
本発明は、さらにシロキサン樹脂組成物の製造方法及びそれから得られる製品に関する。該方法は、
A) 少なくとも80モル%の(RSiO1/2単位及び(SiO4/2単位
(式中、Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、カルビノール基又はアミノ基であり、
a及びdは、ゼロより大きい値を有し、且つ
a/dの比は0.5〜1.5である)
を含むMQ樹脂、
及び
B) 少なくとも80モル%のRSiO単位
(式中、Rは、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、カルビノール基又はアミノ基であり、
cはゼロより大きい値を有し、
ただし、R基の少なくとも40モル%はプロピルであるものとする)
を含むTプロピル樹脂
を反応させることを含み、ここで、A/Bの重量比は95:5〜15:85である。
【0015】
MQ−Tプロピルシロキサン樹脂は、種々のパーソナルケア組成物、家庭用品ケア組成物若しくは医療用ケア組成物に有用である。特に、MQ−Tプロピルシロキサン樹脂は、着色料添加(color)化粧料配合物の持続性を強化するために使用され得る光沢のあるベタつきのない被膜を提供する。また、MQ−Tプロピルシロキサン樹脂は、カール保持性を強化するためのヘアケア用配合物における添加剤として使用され得る。また、MQ−Tプロピルシロキサン樹脂は、処理した毛髪の感触を向上させ、他のシロキサン樹脂添加剤と比べ、より柔らかい感触をもたらし得る。したがって、本発明は、本明細書に記載のMQ−Tプロピルシロキサン樹脂を含むパーソナルケア組成物、家庭用品ケア組成物又は医療用ケア組成物を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
発明の詳細な説明
本発明のMQ−Tプロピルシロキサン樹脂は、(i)(RSiO1/2単位、(ii)(RSiO2/2単位、(iii)(RSiO3/2単位及び(iv)(SiO4/2単位を含み、これらは当該技術分野において一般に知られており、また、本発明において、それぞれ、M単位、D単位、T単位及びQ単位として使用している。MQ−Tプロピルシロキサン樹脂中に存在する各単位の量は、MQ−Tプロピルシロキサン樹脂中に存在するM単位、D単位、T単位及びQ単位の総モル数に対するモル分率(すなわち、a、b、c又はd)で示すことができる。aの値(M単位のモル分率)は0.05〜0.5、或いはまた0.15〜0.4である。bの値(D単位のモル分率)は0〜0.3、或いは0〜0.1、或いはまた0〜0.05である。したがって、MQ−Tプロピルシロキサン樹脂は、D単位を含まないこともあり、或いはまた、モル分率0.3までのD単位を含むこと、及びモル分率0.3のD単位を含むことがあり得る。cの値(T単位のモル分率)は0より大きいか、或いは0.05〜0.65、或いはまた0.4〜0.65である。dの値(Q単位のモル分率)は0.05〜0.6、或いは0.2〜0.6、或いはまた0.2〜0.55である。
【0017】
本発明のMQ−Tプロピルシロキサン樹脂は、T単位上にプロピルであるRアルキル基を少なくとも40モル%、或いはまた50モル%、或いはまた90モル%有することを特徴とする。
【0018】
MQ−Tプロピルシロキサン樹脂の単位におけるR、R及びRは、独立して、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、カルビノール基又はアミノ基である。アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル及びオクチルが例示される。アリール基としては、フェニル、ナフチル、ベンジル、トリル、キシリル、キセニル、メチルフェニル、2−フェニルエチル、2−フェニル−2−メチルエチル、クロロフェニル、ブロモフェニル及びフルオロフェニルが例示され、アリール基は、通常フェニルである。
【0019】
本発明の目的のため、「カルビノール基」は、少なくとも1個の炭素結合ヒドロキシル(COH)残基を含有する任意の基であると定義する。したがって、カルビノール基は、1個より多くのCOH残基、例えば、
【0020】
【化1】

【0021】
等を含み得る。
【0022】
カルビノール基は、アリール基を含まない場合は、少なくとも3個の炭素原子を有し、又はアリール含有カルビノール基は少なくとも6個の炭素原子を有する。少なくとも3個の炭素原子を有するアリール基無含有カルビノール基としては、式ROH(式中、Rは、少なくとも3個の炭素原子を有する二価の炭化水素残基、又は少なくとも3個の炭素原子を有する二価のヒドロカルボノキシ残基である)を有する基が示される。R基としては、アルキレン残基、例えば、−(CH−(式中、xは3〜10の値を有する)、−CHCH(CH)−、−CHCH(CH)CH−、−CHCHCH(CHCH)CHCHCHCH−及び−OCH(CH)(CH−(式中、xは1〜10の値を有する)が示される。
【0023】
少なくとも6個の炭素原子を有するアリール含有カルビノール基としては、式ROH(式中、Rは、アリーレン残基、例えば、−(CH−(式中、xは0〜10の値を有する)、−CHCH(CH)(CH−(式中、xは0〜10の値を有する)、−(CH(CH−(式中、xは1〜10の値を有する)等である)を有する基が示される。アリール含有カルビノール基は、通常、6〜14個の原子を有する。
【0024】
アミノ基としては、式−RNH又は−RNHRNH(式中、Rは、少なくとも2個の炭素原子を有する二価の炭化水素残基であり、Rは、少なくとも2個の炭素原子を有する二価の炭化水素残基である)を有する基が示される。R基は、通常、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン残基である。Rとしては、エチレン、プロピレン、−CHCHCH−、ブチレン、−CHCH(CH)CH−、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、3−エチル−ヘキサメチレン、オクタメチレン及びデカメチレンが示される。
【0025】
は、通常、2〜20個の炭素原子を有するアルキレン残基である。Rとしては、エチレン、プロピレン、−CHCHCH−、ブチレン、−CHCH(CH)CH−、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、3−エチル−ヘキサメチレン、オクタメチレン及びデカメチレンが示される。
【0026】
一般的なアミノ基は、−CHCHCHNH及び−CH(CH)CHCH(H)NCH、−CHCHNHCHCHNH、−CHCHNH、−CHCHNHCH、−CHCHCHCHNH、−(CHCHNH)H及び−CHCHNHCHCHNHCである。
【0027】
通常、Rはメチル基であり、Rはメチル基又はフェニル基であり、Rはプロピル基である。
【0028】
また、MQ−Tプロピルシロキサン樹脂の個々のDシロキサン単位、Tシロキサン単位又はQシロキサン単位のいずれかは、ヒドロキシ基及び/又はアルコキシ基を含有し得る。かかるヒドロキシ基及び/又はアルコキシ基含有シロキサン単位は、一般式RSiO(4−n)/2を有するシロキサン樹脂に一般に見られる。このようなシロキサン樹脂中のヒドロキシ基は、通常、シロキサン単位上の加水分解性基と水との反応に由来し、アルコキシ基は、アルコキシシラン前駆物質を使用した場合の不完全な加水分解に由来するか、又はアルコールの加水分解性基との交換に由来する。通常、MQ−Tプロピルシロキサン樹脂中に存在する全ヒドロキシ基の重量パーセントは3%、或いは2%、或いはまた1.5%である。通常、MQ−Tプロピルシロキサン樹脂中に存在する全アルコキシ基の重量パーセントは20%まで、或いは10%までである。
【0029】
MQ−Tプロピルシロキサン樹脂の分子量は、限定されないが、通常、数平均分子量(M)は3,000〜10,000、或いはまた5,000〜8,000の範囲である。
【0030】
本発明のMQ−Tプロピルシロキサン樹脂は、一般式RSiO(4−n)/2(式中、Rはアルキル基であり、nは、一般的には、1.8未満である)を有するシロキサン樹脂を調製するための当該技術分野で既知の方法のいずれかによって調製され得る。或いは、MQ−Tプロピル樹脂は、後述の方法によって調製され得る。
【0031】
本発明のMQ−Tプロピル樹脂は、
単位:
((CHSiO1/2
(RSiO3/2(式中、R=CHCHCH−)、及び
(SiO4/2
を含むMQ−Tプロピル樹脂、
単位:
((CHSiO1/2
((CHSiO2/2
(RSiO3/2(式中、R=CHCHCH−)、及び
(SiO4/2
を含むMQ−Tプロピル樹脂、
単位:
((CHSiO1/2
((CHSiO2/2、((CH)(C)SiO2/2b’
(RSiO3/2(式中、R=CHCHCH−)、及び
(SiO4/2
を含むMQ−Tプロピル樹脂、
単位:
((CHSiO1/2
((CHSiO2/2
(RSiO3/2(式中、R=CHCHCH−)、及び(CSiO3/2
(SiO4/2
を含むMQ−Tプロピル樹脂、
単位:
((CHSiO1/2
((CHSiO2/2、((CH)(C)SiO2/2b’
(RSiO3/2(式中、R=CHCHCH−)、(CSiO3/2、及び
(SiO4/2
を含むMQ−Tプロピル樹脂
(式中、aは、該樹脂において0.05〜0.5の合計値を有し、b+b’の和は、該樹脂において0〜0.3の合計値を有し、cは、該樹脂において0.05〜0.65の合計値を有し、dは、該樹脂において0.05〜0.6の合計値を有する)
で示される。
【0032】
本発明はまた、シロキサン樹脂組成物の作製方法及びそれにより得られる製品を提供する。該方法は、
A) 少なくとも80モル%の(RSiO1/2単位及び(SiO4/2単位
(式中、Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、カルビノール基又はアミノ基であり、
a及びdは、ゼロより大きい値を有し、
a/dの比は0.5〜1.5である)
を含むMQ樹脂、
及び
B) 少なくとも80モル%のRSiO単位
(式中、Rは、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、カルビノール基又はアミノ基であり、
cはゼロより大きい値を有し、
ただし、R基の少なくとも40モル%はプロピルであるものとする)
を含むTプロピル樹脂
を反応させることを含み、ここで、該A/Bの重量比は95:5〜15:85である。
【0033】
成分(A)は、少なくとも80モル%の(RSiO1/2単位及び(SiO4/2単位(式中、Rは上記規定のものと同じ、すなわち、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、カルビノール基又はアミノ基であり、a及びdは、ゼロより大きい値を有し、a/dの比は0.5〜1.5である)を含むMQ樹脂である。成分(A)としての使用に適したMQ樹脂、及びその調製方法は、当該技術分野において既知である。例えば、Currie他に対する米国特許第2,814,601号明細書(1957年11月26日)(これは、参照されて本明細書の一部とする)には、MQ樹脂が、水溶性シリケートを、酸を用いてケイ酸モノマー又はケイ酸オリゴマーに変換することにより調製され得ることが開示されている。充分な重合が達成されたら、樹脂をトリメチルクロロシランで末端キャップし、MQ樹脂を得る。MQ樹脂の別の調製方法は、Goodwinに対する米国特許第2,857,356号明細書(1958年10月21日)(これは、参照されて本明細書の一部とする)に開示されている。Goodwinには、アルキルシリケート及び加水分解性トリアルキルシランオルガノポリシロキサンの混合物と水との共加水分解によるMQ樹脂の調製方法が開示されている。
【0034】
本発明における成分(A)として好適なMQ樹脂は、D単位及びT単位を含み得るが、全シロキサン単位の少なくとも80モル%、或いはまた90モル%はM単位及びQ単位であるものとする。また、MQ樹脂はヒドロキシ基も含有し得る。通常、MQ樹脂は、全重量%で、2〜10重量%、或いはまた2〜5重量%のヒドロキシ含量を有する。MQ樹脂はまた、さらに、「キャップ」され得、この場合、残留するヒドロキシ基は、M基とさらに反応する。
【0035】
成分(B)は、少なくとも80モル%のRSiO3/2単位(式中、Rは上記規定のものと同じ、すなわち、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、カルビノール基又はアミノ基である、ただし、R基の少なくとも40モル%はプロピルであるものとする)を含むTプロピル樹脂である。通常、Tプロピル樹脂はシルセスキオキサン樹脂である。シルセスキオキサン樹脂は、当該技術分野において既知であり、通常、3個の加水分解性基(例えば、ハロゲン又はアルコキシ基等)を有するオルガノシラン(分子内に存在する)を加水分解することにより調製される。したがって、成分(B)は、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシランを加水分解すること、又は前述のプロピルアルコキシシランを種々のアルコキシシランと共加水分解することにより得ることができる。このようなアルコキシシランの例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、ジメチルジメトキシシラン及びフェニルトリメトキシシランが挙げられる。また、プロピルトリクロロシランは、単独で、又はアルコールの存在下で加水分解し得る、この場合、共加水分解は、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン又は類似のクロロシランと、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン又は類似のメチルアルコキシシランとを添加することにより行なわれ得る。このような目的に適したアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール、メトキシエタノール、エトキシエタノール又は類似のアルコール類が挙げられる。さらに同時に使用し得る炭化水素型溶媒の例としては、トルエン、キシレン又は類似の芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、イソオクタン、若しくは類似の直鎖又は一部分枝鎖の飽和炭化水素、及びシクロヘキサン又は類似の脂肪族炭化水素が挙げられる。
【0036】
本発明における成分(B)として好適なT−プロピル樹脂は、M単位、D単位及びQ単位を含み得るが、全シロキサン単位の少なくとも80モル%、或いはまた90モル%はT単位であるものとする。また、T−プロピル樹脂は、ヒドロキシ基も含有し得る。通常、T−プロピル樹脂は、全重量%で3〜8重量%のヒドロキシ含量を有する。
【0037】
任意選択で、ポリオルガノシロキサンを、本発明の方法に成分(C)として添加し得る。本発明における成分(C)として有用なポリオルガノシロキサンは、RSiO2/2(すなわち、D単位)又はRSiO3/2(T単位)を含む。ポリオルガノシロキサンは、種々のD単位及びT単位をMQ−Tプロピル樹脂内に導入し、得られる樹脂の特性を改変するために添加され得る。ポリオルガノシロキサンの構造又は式は、限定されないが、ポリオルガノシロキサンは測定可能な程度の量のRSiO2/2単位(すなわち、D単位)又はRSiO3/2(T単位)を含むものとし、A)とB)の反応に添加されるポリオルガノシロキサンの総量は、50モル%を超えるD単位又はT単位を反応混合物内に提供しないものとする。ポリオルガノシロキサンは、任意の組合せのM単位、D単位、T単位及びQ単位を含み得るが、少なくとも或る程度のD単位又はT単位が存在するものとする。したがって、ポリオルガノシロキサンは、D単位又はT単位を含む、当該技術分野で既知の任意の液状シリコーン、ゴム状シリコーン若しくは樹脂性シリコーン、又はその組合せから選択され得る。D単位は、通常、R置換基としてメチル若しくはフェニル(これらを、それぞれ、DMe及びDphで示すことがある)又はその任意の組合せを含有する。T単位は、通常、R置換基としてメチル若しくはフェニル(これらを、それぞれ、TMe及びTphで示すことがある)又はその任意の組合せを含有する。ポリオルガノシロキサンは、10〜1,000mm/s(cS)の粘度を有する液状の直鎖ポリジオルガノシロキサンであり得る。通常、液状ポリジオルガノシロキサンはポリジメチルシロキサン、或いはまたポリメチルフェニルシロキサンである。また、ポリオルガノシロキサンはオルガノシルセスキオキサン樹脂であり得る。オルガノシルセスキオキサン樹脂は、通常、メチルシルセスキオキサン樹脂又はフェニルシルセスキオキソン(xone)樹脂である。
【0038】
成分(A)、(B)及び任意選択で(C)は、M単位、D単位、T単位及びQシロキサン単位の反応を行なうための当該技術分野で知られた任意の方法によって反応し得る。しかしながら、通常、成分(A)、(B)及び任意選択で(C)は、触媒の存在下での縮合反応によって反応する。通常、MQ樹脂を芳香族炭化水素又はシロキサン溶媒中に含有させる。好適な縮合反応触媒は、塩基触媒(金属水酸化物、例えば、水酸化カリウム及び水酸化ナトリウム等が挙げられる)、金属塩(例えば、シラノーレート、カルボン酸塩及び炭酸塩等)、アンモニア、アミン、及びチタン酸塩(例えば、チタン酸テトラブチル)、並びにそれらの組合せである。通常、成分(A)、(B)及び任意選択で(C)の反応は、反応混合物を、50〜140℃、或いはまた100〜140℃の範囲の温度に加熱することにより行なう。該反応は、バッチ式、半連続又は連続プロセスで行われ得る。
【0039】
反応における成分(A)の成分(B)に対する重量比(すなわち、A/B)は、95:5〜15:85、或いはまた95:5〜20:80、或いはまた90:10〜20:80と変化し得る。成分(C)の量は種々であり得るが、成分(C)の添加量は、反応混合物中のシロキサン単位の総モルを基準として追加で30モル%未満のD単位又はT単位を導入するのがよい。
【0040】
本発明のMQ−Tプロピル樹脂は、パーソナルケア、家庭用品ケア、自動車用又は医療用ケアの種々の適用用途に有用である。特に、MQ−Tプロピルシロキサン樹脂は、着色料添加化粧料配合物の持続性を強化するために使用され得る光沢のあるベタつきのない被膜を提供する。また、MQ−Tプロピルシロキサン樹脂は、カール保持性を強化するためにヘアケア用配合物に使用され得る。したがって、本発明は、本明細書に記載のMQ−Tプロピルシロキサン樹脂を含むパーソナルケア組成物、家庭用品ケア組成物、自動車用ケア組成物又は医療用ケア組成物を提供する。
【実施例】
【0041】
以下の実施例は、本発明の組成物及び方法をさらに説明するために示し、本発明を限定するものとは解釈されない。特に記載のない限り、実施例におけるすべての部及びパーセントは重量基準とし、すべての測定値は約23℃で得た。
【0042】
材料
MQ樹脂=キシレン中に70.8wt%固形分で溶解した式M0.430.57及びMn=3,230を有するMQ樹脂。このMQ樹脂は、Daudtによる米国特許第2,676,182号明細書に教示された手法に従って調製した。
【0043】
Tプロピル樹脂=プロピルシルセスキオキサン樹脂(トルエン中74.8wt%)。このプロピルシルセスキオキサン樹脂は、プロピルトリクロロシランの加水分解から調製した。
【0044】
フェニルシルセスキオキサン樹脂=フェニルシルセスキオキサン固形フレーク樹脂(100wt%固形分)、フェニルトリクロロシランの加水分解から調製。
【0045】
(実施例1)
MQTPr樹脂の調製
攪拌器、温度プローブ及び上面に冷却器を装着したディーンスタークトラップを取り付けた3ツ口反応フラスコに、MQ樹脂、Tプロピル樹脂、キシレン及び1MのKOH水溶液を、表1に示す比率で混入した。ディーンスタークトラップには予めキシレンを混入し、反応フラスコ内で固形分レベルを50%に維持した。フラスコ内の混合物を還流温度(100〜140℃)で少なくとも3時間維持した。反応混合物中に形成された水分はいずれも、必要に応じて連続的に除去し、ディーンスタークトラップ内に共沸混合物として捕捉した。3時間の還流後、水分をトラップから除去し、加熱をさらに30分間継続した。混合物を放冷した後、過剰の酢酸を添加して混合物中のKOHを中和した。次いで、混合物を、加圧フィルターに通すことによって濾過し、形成された塩を除去した。混合物を回転式エバポレーターにて真空下で加熱することにより、溶媒交換を完了させた。大部分のキシレンを除去した後、デカメチルシクロペンタシロキサンを添加し、一方で、あらゆる残留芳香族溶媒を除去し続けた。得られたシロキサン樹脂の構造を29Si NMR分光法及びGPCによってキャラクタリゼーションを行ない、結果を以下の表4にまとめた。
【0046】
【表1】

【0047】
(実施例2)
MQTPrPh樹脂の調製
一連のMQTPrPh樹脂を、実施例1に記載の実験手順に従い、表2に示す配合物を用いて調製した。この一連の樹脂において、フェニルシルセスキオキサン樹脂を添加し、さらにフェニル含有T単位をシロキサン樹脂中に組み込んだ。得られたシロキサン樹脂の構造を29Si NMR分光法及びGPCによってキャラクタリゼーションを行ない、結果を以下の表4にまとめた。
【0048】
【表2】

【0049】
(実施例3)
MQTPrD樹脂の調製
2種類のMQTPrD樹脂を、実施例1に記載の実験手順に従い、表3に示す配合物を用いて調製した。この一連の樹脂において、100mm/s(cst)の液状ポリジメチルシロキサンを添加し、D単位(MeSiO)をシロキサン樹脂中に組み込んだ。得られたシロキサン樹脂の構造を29Si NMR分光法及びGPCによってキャラクタリゼーションを行ない、結果を以下の表4にまとめた。
【0050】
【表3】

【0051】
【表4】

【0052】
実施例1〜3のシロキサン樹脂から得られた被膜を、揮発性溶媒中35%固形分でLenetaチャート(chart)上にコーティング後、光沢及びベタつきについて評価し、ファンデーション(着色料添加化粧品)で耐久性について、及び毛髪固定剤(fixative)でカール保持力及びコンディショニングについて評価した。結果を表6にまとめる。シロキサン樹脂を毛髪束に6wt%のデカメチルシクロペンタシロキサン溶液又はヨードデカン溶液として塗布した。これらの評価において使用した具体的な試験方法及び化粧料配合物の組成の説明は表6のとおりとする。
【0053】
【表5】

【0054】
光沢測定
1) Lenetaチャート(フォーム(Form)N2C)に溶液を、8番Meyerロッドを用いてコーティングする。
2) チャートを1時間乾燥させる。60°光沢度を、携帯型光沢計を用いてチャートの左側1/3の3つの点において測定する。3つの光沢度の値の平均値を計算する。コーティングを、ベタつき、脂っぽさ(greasiness)、指紋跡並びにコーティングがチャートから剥離するかどうか、及びどのように剥離するかについて評価する。
3) 延展(drawdown)が完了してから4時間後、60°光沢度を、携帯型光沢計を用いてチャートの中央部1/3の3つの点において測定する。3つの光沢度の値の平均値を計算する。コーティングを、ベタつき、脂っぽさ、指紋跡並びにコーティングがチャートから剥離するかどうか、及びどのように剥離するかについて評価する。
4) 延展が完了してから24時間後、60°光沢度を、携帯型光沢計を用いてチャートの右側1/3の3つの点において測定する。3つの光沢度の値の平均値を計算する。コーティングを、ベタつき、脂っぽさ、指紋跡並びにコーティングがチャートから剥離するかどうか、及びどのように剥離するかについて評価する。
5) 3つの異なる時点での平均光沢度を用い、総合平均を計算する。
【0055】
カール保持力試験方法
材料
・天然の茶色の新毛髪(virgin brown hair)束又は東洋人毛髪2g、25cmを準備する。
・Comb(登録商標):Ace;参照(reference)2618/6−GB。
・湿度チャンバ(試験中の温度及び湿度を調節するため)。
【0056】
試験材料(swatch)の前処理(洗浄)の手順:
1) 5束を30秒間、37℃の水道水で湿らせる。
2) この5束を30秒間、泡立てる。5gの30%SLS溶液(Empicol LX28/Albright & Wilson)を用い、この束を下向きに撫でつける(stroke)。確実に毛髪すべてが洗浄されるように同じ動作を繰り返すこと。毛髪を30秒間放置する。
3) この束を1分間、37℃の水道水ですすぐ。
4) 過剰の水を、この束を2本の指の間に3回にさっと通すことにより除去する。
5) この束を一晩、ペーパータオル上で室温にて乾燥させる。
【0057】
試験材料の樹脂での処理及びカールの手順:
ブランクすなわち陰性対照は、溶媒を処理に使用する。
1) 1束を一気に3回37℃の水道水中に浸漬させ、過剰の水を、この束を2本の指の間で撫でつけることにより除去する
2) この束をきれいな支持体上に置き、100マイクロリットルの6%樹脂溶液を束全面に、較正したマイクロピペットを用いて塗布する
3) この束を完全にほぐす
4) この束をスパイラルカーラーロッドで巻き、
5) 試験材料を、一晩、40℃の炉内に放置して乾燥させる。
【0058】
試験−カール保持力測定:
1. 湿度チャンバを試験の2時間前に、70%湿度及び25℃に設定して始動させる。
2. 試験開始10分前、ローラーを少しずつ捩ることにより注意深く毛髪から取り除く。この束の末端部を平らにするためカットする(できるだけ少なくカットする)。
3. 各束が正しくカールされた状態を確保する。
4. この束を湿度チャンバ内に吊るす:この束と接するワックスシーリング(sealing)底面は、チャンバの後方のミリメートル紙面の「0」のライン上でなければならない。
5. 所定の時間間隔で毛髪束の長さを測定する。長さは、ワックスシーリング底面とこの束の底面との距離として測定する。この束の底面は下方に下がり、そのため、視野角(view angle)は常にガラスと垂直になることに注意する。
6. 5時間後、この束を湿度チャンバから取り出し、この束の最大の長さを、完全にカールを延ばすことにより測定する。カール保持力は以下に記載のようにして計算する。
【0059】
カール保持力のパーセントは、以下のようにして計算する:
【0060】
【数1】

【0061】
乾燥毛髪又は湿った毛髪でのヘアコンディショニングのInstron試験
材料
・試験は、少し脱色した欧州人のものにおいて行なった。
・Comb(登録商標):Unbreakable又はAceブランド(狭い方の歯の間隔:16歯/25mm、広い方の歯の間隔:11歯/25mm)
【0062】
毛髪試験材料の調製及びベースライン試験:
1) 毛髪を2.35〜2.50gに測り分ける
2) プラスチックタブ(plastic tab)の下半分を紙やすりで擦る
3) 毛髪の末端約1.27cm(約1/2インチ)をカットする。
4) 紙やすりで擦ったタブの端部の中央にのりを付け、毛髪をのりの上に置く。毛髪の先端にさらにのりを絞り出し、次いで、別のプラスチックタブを用い、のりを毛髪内に押し込みながら毛髪を均一に広げ、両側から約0.3175〜0.635cm(約1/8〜1/4インチ)離れた位置に維持しながらタブ上に貼り付ける。
5) 束をタブの底面から15.24cm±0.635cm(6インチ±0.25インチ)にカットする。
6) のりを一晩乾燥させる。
7) 上部から約0.635cm(約1/4インチ)のタブの中央に穴を空ける。
8) すべての束を、以下の手順に従って洗浄する:
a)毛髪束を、摂氏40度の水道水で15秒間湿らせる。
b)ピペットを用い、1.0gの9%ラウリル硫酸ナトリウム(活性)を塗布し、束全体に30秒間撫でつける。
c)束を流水で30秒間すすぐ。
d)束をペーパータオルで覆ったトレイ上に置き、一晩乾燥させる。
e)束に3回狭い歯で櫛を通す。
9) 処理前の未処理束に櫛を通すのに要する力をInston試験機を用いて測定する。力の測定値は、乾燥毛髪及び湿った毛髪について、以下のようにして処理前に得る。試験室内の温度及び湿度は試験に適切であることを確保する(約摂氏256度(約華氏70度)及び30%RH)。
a) 5キログラムのロードセル(cell)を試験に使用する
b) 2つの櫛を、間隔が広い方の歯を左側にし、間隔が狭い方の歯を右側にしてホルダー内に入れる。櫛の約2.54cm(約1インチ)がホルダーの前面から突出し、互いに重なるように櫛をホルダースクリュー(holder screw)に固定する。未処理束では、すべての束で同じ櫛を用いて櫛を通す、しかし、処理束では、異なる処理ごとに異なる櫛を使用する。
c) 乾式櫛通し手順:束に3回櫛を通すことにより毛髪をほぐし、毛髪の束を時計回りに3回及び半時計回りに3回ねじることにより再度もつれさせ、束を吊るした状態で置き、Instronを用いて束に櫛を通す。
d) 湿式櫛通し手順:毛髪を蒸留水中に浸漬して湿らせ、毛髪の束に3回櫛を通すことによりほぐし、毛髪を蒸留水中に3回浸漬して再度もつれさせ、過剰の水を、束を人差し指と中指の間に2回通すことにより除去し、束を吊るした状態で置き、Instronを用いて束に櫛を通す。
【0063】
試験材料の樹脂溶液での処理及び試験の手順:
1) 束を15秒間、40℃の水道水下で湿らせる。
2) 過剰の水を、束を人差し指と中指の間で引っ張ることにより除去する。
3) この束をきれいな支持体上に置き、100マイクロリットルの6%活性シリコーン生成物を、較正したマイクロピペットを用いて塗布する。
4) 溶液を毛髪上で、エタノール系溶液の場合は60分間、水性溶液の場合は一晩乾燥させ、乾燥毛髪について試験する。
5) 乾燥毛髪及び湿った毛髪の両方に対し、Instron試験を行なう前に束に1回櫛を通す(前の項目の9を参照)。
【0064】
ファンデーション配合物
顔料予備混合物:
50wt% DC 245液
13.16wt% Carde AS 二酸化チタン(カプリリルシラン処理済み)
11.41wt% Carde AS ベンガラ(カプリリルシラン処理済み)
18.26wt% Carde AS 黄色酸化鉄(カプリリルシラン処理済み)
7.17wt% Carde AS 黒酸化鉄(カプリリルシラン処理済み)
【0065】
手順:
1) ワーリングブレンダー内にDC 245液を入れる
2) 二酸化チタンを添加し、パルスボタン(pulse button)を2秒間、計15秒間押すことにより混合する。
3) ベンガラを添加し、二酸化チタンと同様に混合する
4) 他の顔料について継続する
5) すべての材料が分散されたら、30秒間高速で混合して剪断し(shred)、顔料を磨砕する
6) 予備混合物を丸ガラスジャー内に入れ、ペールローラー上に6時間置く。
【0066】
A相
20.50wt% 顔料予備混合物
7.50wt% DC 5225C
8wt% 50%樹脂固形分(溶媒中)
【0067】
B相
54.80wt% DI水
1.0wt% NaCl
0.20wt% ポリソルベート20
【0068】
油中水型リキッドファンデーションのための手順
1) 顔料分散体をローラー上に1時間置く。
2) 樹脂及び溶媒を計り取り、50%固形分希釈液を作製する。オーブン/ホイール(oven and wheel)を用いて混合する
3) A相の原料成分を合わせ、均一になるまでデュアルブレード式乱流型混合作用を用いて混合する。
4) B相の原料成分を別のビーカー内で合わせ、均一になるまでマグネチックスターラーを用いて混合する。
5) A相の混合速度を1,376rpmに上げ、B相のものを、非常にゆっくりと滴下ろうとによって添加する。この添加は10分間かけて行うのがよい。
混合をさらに10分間継続する。
【0069】
ファンデーション耐久性の方法:Gardner磨耗試験機
1. コラーゲンを8.89cm×7.62cm(3.5インチ×3インチ)片に切断し、1個ずつ各7.62×6.35cm(3インチ×2.5インチ)のポリカーボネートブロック上に置き、湿度チャンバ内に一晩入れる。このチャンバは、一定の98%相対湿度レベルでなければならない。
2. コラーゲン及びブロックをチャンバから取り出す。コラーゲンをブロックにScotchテープで、テープがブロック表面の上部に付かないように注意しながら固定する。
3. およそ1グラムのファンデーションをコラーゲンに、ブロックの上面全体に数珠状に加える。8番Meyerロッドを用い、ロッドを数珠状のファンデーション上に置き、これをブロックの底面に向かって下方に広げることにより、コラーゲンをファンデーションでコーティングする。最終コーティング重量は、およそ0.2グラムとするのがよい。この操作は、適正なコーティング重量を得るまで繰り返してもよい。材料がブロック側面にあれば除去する。
4. コラーゲン上の試料を乾燥させる。乾燥時間は、種々の試料によって異なる。試料全面は、試験前に湿気が全くない状態にしなければならない。コラーゲン上の試料の色を、初期ベースライン色について分光測光計又は比色計を用いて測定する。L、a及びbは、三次元空間内における着色対象物の位置を示す。
5. コラーゲンの入ったブロックを上向きにしてGardner磨耗試験機に載せ、ブロックが試験機内にあることを確認する。Velcroの柔らかい面を損傷ブロックに付着させ、コラーゲン上のファンデーション試料を磨耗させるか、又はファンデーション試料に損傷を与える。損傷ブロックがファンデーション試料全面を前後に擦る。1回の損傷は、1回の前後の動作から成る。コラーゲン上のファンデーション試料に20回損傷を与える。試験機を一定間隔で停止し、色を測定してもよい。
6. ファンデーション試料に20回損傷を与えた後、色をL、a、bとして読み取り、色変化ΔEを計算する(下記等式を参照)。損傷の回数、コーティング重量及び反復回数(repetition)は、被験材料の必要性に合わせて変更してもよい。これは、作業者の判断次第である。
ΔL、Δa及びΔb=磨耗後の値−磨耗前の初期ベースライン時の値
ΔE=(ΔL+Δa*2+Δb*21/2
ΔEが大きいほど、ファンデーションがより多く剥がれ、したがって、ファンデーションの耐久性が低かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シロキサン樹脂であって、
単位:
(i) (RSiO1/2
(ii) (RSiO2/2
(iii) (RSiO3/2、及び
(iv) (SiO4/2
(式中
、R及びRは、独立して、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、カルビノール基、又はアミノ基であり、
aは、0.05〜0.5の値を有し、
bは、0〜0.3の値を有し、
cはゼロより大きい値を有し、
dは、0.05〜0.6の値を有し、
a+b+c+dの値は1である、
ただし、該シロキサン樹脂中のR基の40モル%より多くはプロピルであるものとする)
を含むシロキサン樹脂。
【請求項2】
単位:
((CHSiO1/2
(RSiO3/2(式中、R=CHCHCH−)、及び
(SiO4/2
を含むMQ−Tプロピル樹脂、
単位:
((CHSiO1/2
((CHSiO2/2
(RSiO3/2(式中、R=CHCHCH−)、及び
(SiO4/2
を含むMQ−Tプロピル樹脂、
単位:
((CHSiO1/2
((CHSiO2/2、((CH)(C)SiO2/2b’
(RSiO3/2(式中、R=CHCHCH−)、及び
(SiO4/2
を含むMQ−Tプロピル樹脂、
単位:
((CHSiO1/2
((CHSiO2/2
(RSiO3/2(式中、R=CHCHCH−)、及び(CSiO3/2
(SiO4/2
を含むMQ−Tプロピル樹脂、
単位:
((CHSiO1/2
((CHSiO2/2、((CH)(C)SiO2/2b’
(RSiO3/2(式中、R=CHCHCH−)、(CSiO3/2、及び
(SiO4/2
を含むMQ−Tプロピル樹脂
(式中、aは、該樹脂において0.05〜0.5の合計値を有し、b+b’の和は、該樹脂において0〜0.3の合計値を有し、cは、該樹脂において0.05〜0.65の合計値を有し、dは、該樹脂において0.05〜0.6の合計値を有する)
から選択される、請求項1に記載のシロキサン樹脂。
【請求項3】
A) 少なくとも80モル%の(RSiO1/2単位及び(SiO4/2単位
(式中、Rは1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、カルビノール基又はアミノ基であり、
a及びdは、ゼロより大きい値を有し、且つ
a/dの比は0.5〜1.5である)
を含むMQ樹脂、
及び
B) 少なくとも80モル%のRSiO単位
(式中、Rは、1〜8個の炭素原子を有するアルキル基、アリール基、カルビノール基又はアミノ基であり、
cはゼロより大きい値を有し、
ただし、R基の少なくとも40モル%はプロピルであるものとする)
を含むTプロピル樹脂
を反応させることを含み、ここで、A/Bの重量比は95:5〜15:85である、
シロキサン樹脂の作製方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法により調製されるシロキサン樹脂。
【請求項5】
請求項1又は4に記載のシロキサン樹脂を含む、パーソナルケア製品。
【請求項6】
化粧料製品である、請求項5に記載のパーソナルケア製品。
【請求項7】
ヘアケア用製品である、請求項5に記載のパーソナルケア製品。

【公表番号】特表2007−526362(P2007−526362A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−552150(P2006−552150)
【出願日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/002451
【国際公開番号】WO2005/075542
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VELCRO
【出願人】(596012272)ダウ・コーニング・コーポレイション (347)
【Fターム(参考)】